【コラム】データサイエンティストは恐れずに新しい分野に挑戦せよ

編集部注:本稿の執筆者Ilyes Kacher(イリエス・カーシャー)氏は、商品画像をオンラインで一括編集するAIベースのプラットフォーム、autoRetouch(オートレタッチ)のデータサイエンティスト。

ーーー

私はフランス出身のデータサイエンティストで、コンピュータービジョンの研究技師としての経験を日本で積んだ後、母国に戻った。しかし今、私はコンピュータービジョンのハブとは思えないドイツのシュツットガルトでこれを書いている。

ただし、みなさんが想像するであろうドイツの自動車技術の仕事をしているのではない。代わりに、パンデミック下の驚きべきチャンスを最もありそうもない場所で私は見つけた。そこはシュツットガルトのeコマースに特化したAI駆動の画像編集スタートアップで、あらゆる小売製品のデジタルイメージングプロセスを自動化している。

日本での経験は、仕事で海外に移住することの難しさを私に教えた。日本では、プロフェッショナルネットワークとの接点を持つことが往々にして必要だ。しかしここヨーロッパでは、多くの都市にアクセスできることが利点だ。パリ、ロンドン、ベルリンなどの都市は、特定技術のハブとして知られていると同時に、多様な雇用機会を提供している。

パンデミックのために完全リモートワークが増加している中、職探しの範囲を広げることで、興味にあう機会がより多く提供される。

意外な分野で価値を見つける、たとえば小売業

私は今、高級小売業からスピンオフしたテック企業で、自分の専門技術を製品画像に応用している。データサイエンティストの視点からアプローチすることで、私は小売業のように巨大で確立した業界への新たな応用に価値を認識見出した。

ヨーロッパには世界的に有名なブランドがいくつもあり、中でもアパレルと靴が代表的だ。その豊かな経験が、数十億の製品と数兆ドル(数百兆円)の市場にイメージング技術を応用するチャンスを生み出している。小売企業の利点は、定常的に画像を処理することで、AI企業が収益を上げ、利益を上げる可能性もあるベースを作ってくれていることだ。

もう1つ、探求すべき分野として、研究開発部門の一部にあることの多い独立部門がある。私は相当数のAIスタートアップが、非常にニッチなクライアントの研究コストとその結果得られる収益のために利益を上げていない分野に取り組んでいるところを見てきた。

データを持っている企業は収益見込みのある企業

私が特にこのスタートアップに惹かれたのは、そのデータアクセスの可能性だった。データはそれ自体非常に高価であり、多くの企業は限られたデータしか利用できない。B2BやB2Cレベル、中でも小売業やフロントエンドのユーザーインターフェースに関わるデジタルプラットフォームと直接つながりのある企業は狙いどころだ。

こうした顧客エンゲージメントデータを活用することは全員の利益になる。将来の研究開発や分野内のその他のソリューションに応用できる他、自社の他部門と協力して弱点を解決することにも使える。

さらにこれは、ブランドが影響を与えるユーザーの関連分野への関心が高ければ高いほど収益の可能性が大きくなることを意味している。私からのアドバイスは、データがすでに管理可能なシステムに保存され、アクセスが容易な企業を探すことだ。そういうシステムは研究開発に有用だ。

難しいのは、多くの企業がそういうシステムを導入していないこと、あるいはシステムを活用できるスキルを持つ人がいないことだ。もし、深い洞察を語れなかったり、システムが未導入の会社があったら、データ活用の方法を導入するチャンスを探してみて欲しい。

ヨーロッパでは最善策には自動化プロセスの開発が関わっている

私は、プロセスとコアシステムを作るチャンスをくれるアーリーステージ企業の成功の秘訣を知っている。私が働いていた会社は、入社当時まだ新しく、ある分野のためにスケーラブルなテクノロジーを開発する仕事をしていた。チームが解決すべき課題はすでに解決していたが、山ほどあるその他の問題を解決するために行うべきプロセスはたくさんあった。

1年に渡る大量一括画像編集を自動化するプロジェクトは、開発しているAIが、同時に複数の可変要素(複数の画像とワークフロー)を横断して独立に動くことように作られていれば、既存の有名ブランドには出来ないことをするテクノロジーだということを教えてくれた。ヨーロッパでこれを実行している企業はほとんどないため、それができる人材は切望されている。

というわけで、ちょっとしたカルチャーショックを恐れることなく、飛び込んでみてはいかがだろうか?

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画像クレジット:Warit Silpsrikul/EyeEm / Getty Images

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(文:Ilyes Kacher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

まるでSF!?リアルタイムで犯罪を予測する「CRIME NAVI」、Singular Perturbationsが提供

トム・クルーズ主演の洋画「マイノリティ・レポート」では、AIがまだ起こっていない犯罪を予測し、事前に犯罪者予備軍を見つけ出し、拘束した。同類のコンセプトは、2019年11月から2020年3月まで六本木の森美術館で行われた展示「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命──人は明日どう生きるのか」でも用いられ、街を行き交う人たちの顔認証や距離感、向いている方向、持っている物を画像処理し、犯罪予測を行うという展示も行われた。まさにそれらをSFプロトタイピングしたかのような事業を展開するのが、犯罪を予測する「CRIME NABI」を提供するSingular Perturbationsだ。

スリ被害体験を元に犯罪予測AIを考案

過去データから犯罪発生率が高い地点を割り出し、最適なパトロール経路を導き出す

社名の「Singular(特異的な)Perturbations(摂動たち)」は、 理論物理の手法名に由来する。リアルタイムに犯罪に関連するデータを収集し、世界最高精度の予測手法を含む独自のアルゴリズムに基づいて犯罪を予測し、未来の犯罪ヒートマップといった、リスク可視化・安全な経路提案・警備人員計画・犯罪要因分析などの犯罪リスクヘッジソリューションを提供する。

創業者で代表取締役CEOの梶田真実氏は、イタリアに住み始めた際にスリ被害に遭った。心細い中で、現地の警官が拙いながらもGoogle翻訳で日本語で励ましてくれたことでとても安心したという。自身も、犯罪が多発する地域・時間帯を特定し、同じように危険な目に遭う人を減らしたいと考え、2017年8月に同社の創業に至った。本人も東京大学大学院で統計物理学の博士号取得者だが、メンバーの67%もPh.D取得者で、計算犯罪学、空間統計、計算科学、犯罪学に長けたチームとなっている。

クライアントは警察庁に地方公共団体、学校法人と多岐に渡る。情報通信研究機構(NICT)の委託研究プロジェクトでは単独採択となり、2019年の9月から市民団体向けに、2020年8月からは地方公共団体向けに犯罪予測に基づくパトロール経路策定のアプリを配布し、実証実験を開始。足立区では実証実験中に検挙につながる事例もあり、名古屋市では2021年度導入が始まっている。

2021年開催のSmartCityX、2020年のGoogle for Startup AcceleratorではSmartCity / AIの文脈で、2020年にはPlug and PlayではFintechの文脈でアクセラレータに採択されている。現在、警備はドローンやパトカー、監視カメラなどが独立して動いている状態だが、その間をCRIME NABIが繋ぎ、最適配置を行うようにしていきたいという。同社は「安全を守る仕組みをデザインし、世界の犯罪を減らす」をビジョンに掲げており、重犯罪の多い欧米や東南アジアにも同事業を展開していくそうだ。

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マイクロソフトが「Windows 11を手動で入れた古いPCにはアップデート提供しない」可能性を示唆

マイクロソフトが「Windows 11を手動で入れた古いPCにはアップデート提供しない」可能性を示唆

マイクロソフトは推奨するハードウェア要件を満たさない、古いCPUを搭載したPCにWindows 11を手動でインストール可能だと述べたばかりです。ISOファイルをダウンロードして手動でインストールする場合は、それを制限しないと明らかにしていました。

その直後に、そうした場合はWindowsアップデートを受けられる権利がなく、セキュリティやドライバの更新も保留されるかもしれないと追加で述べています。

これは昨日の声明と同じく、テックメディアThe Vergeに対して語っていること。もっともマイクロソフトは「かもしれない」と言っているにすぎず、単なるブラフである可能性も十分にあります。同社が重要なセキュリティパッチを発行しないとは考えにくく、実際にサポート終了予定だったOS向けに有償であれ延長措置を追加したり、ときおり無償でセキュリティパッチを提供することも珍しくありません。

The Vergeは今回の声明につき「もしも自分がマイクロソフト社の立場だったら、将来起こりうる法的問題を避けるために、ありとあらゆるPCの構成に対して保証と技術サポートを提供していると人々に思われないようにしたいと考えるかもしれない。約束を守り、約束以上のサービスを提供する方がよい」とコメントしています。

とはいえ、マイクロソフトが将来的に、あるいはWindows 11の正式リリース直後からアップデートを提供しない可能性もゼロではないでしょう。記事執筆時点ではマイクロソフトはこれ以上の詳細を明かしておらず、本当にそうすると真摯に受け止められることを望んでいるとも思われます。

マイクロソフトが有言実行であれば、Windows 11をインストールした古いPCは、全てのハードウェアのドライバーを手動でアップデートする過去に逆戻りするかもしれません。

わざわざISOファイルを自力でダウンロードしてインストールメディアを用意できる人であれば、新たなISOで同じ手順を繰り返すことは難しくなさそうです。が、マイクロソフトが将来的にインストール可能なシステム要件を変更しないという保証も、どこにもないとも言えます。

これまでにもWindows 11プレビュー版ではCPUやTPM 2.0などの要件を緩和したり、マイクロソフトは古いPCを手放したくない、買い換えたくないと声高に訴えるユーザーを宥めるよう努力してきた感があります。しかし今回の「古いPCはアップデートを受ける権利なし」声明は、譲歩にも限度があり、あくまで新たなハードウェアに置き換えるための猶予を与えているに過ぎないと示唆しているのかもしれません。

(Source:The VergeEngadget日本版より転載)

電子商取引の記帳を自動化する会計プラットフォームのSynderが2.2億円調達

Synderのマイケル・アストレイコ氏とイリヤ・カイゼル氏(画像クレジット:Synder)

Synder(シンダー)の共同創業者であるMichael Astreiko(マイケル・アストレイコ)氏とIlya Kisel(イリヤ・カイゼル)氏は、Y Combinatorでの活動を終えると同時に、シードラウンドでTMT Investmentsから200万ドル(約2億2000万円)を調達すると発表した。

このラウンドは、アクセラレータープログラムに参加する前に獲得したものだが、ベラルーシを拠点とする2人は、このマイルストーンを公にするのを待ちたいと考えていた。今回の資金調達は、次の成長と拡大に向け、より多くの顧客を獲得し、知名度を上げ、販売につなげることを目的としている。

同社は、電子商取引ビジネスのための簡易な会計プラットフォームを自称している。もともとは2016年にCloudBusinessとして創業し、中小企業向けの会計の自動化と企業財務の管理のために開発を行っていた。

アストレイコ氏とカイゼル氏は2018年にSynderを立ち上げた。その1年後には、会社の時間をすべて、企業がオムニチャネル販売に移行する簡単な方法の開発に費やした。アストレイコ氏がTechCrunchに語ったように、オムニチャネル販売は、異なる決済システムの高い手数料や複雑さのせいで「大きな苦痛」となり得る。

「市場には多くのソリューションがありますが、会計や商取引に対応しながら経営するには、やはり特別な知識が必要です」とカイゼル氏は話す。「私たちにとって、シンプルであるということは、数回のクリックで連結された在庫、利益、負債にアクセスできるのであれば、それだけの価値があるということです。小規模な企業では、競争のためにそうした情報を共有していないことがありますが、機能的で簡単なものであれば、間違いなく共有するでしょう」。

Synderは、Amazon(アマゾン)、Shopify(ショッピファイ)、eBay(イーベイ)、Etsy(エッツィ)などの販売チャネルを1つのプラットフォームに接続し、ユーザーがワンクリック操作で管理できるようにして企業の重い負担を軽減する。また、さまざまな決済方法をそのまま利用できるように、会計処理の流れを支援する方法も生み出した、とカイゼル氏は語る。

同社はすでに4000社の顧客と取引をしており、今後は事業拡大を急ぐが、会社の成長には適切な人材が必要だとアストレイコ氏はいう。

TMT InvestmentsのパートナーであるIgor Shoifot(イゴール・ショイフォット)氏は、SynderがYCを卒業した後、Synderの役員に加わる予定だという。同氏は、この会社がやっていることのシンプルさを気に入っている。

「最良のソリューションは、経済的で簡潔かつエレガントなものであることが多く、10分で使い始めることができます」ショイフォット氏は付け加えた。「こんなに簡単で、何かをダウンロードしたりインストールしたりする必要のない、似たようなソリューションを提供しているところは本当にありませんでした。また、成長に力を入れている点や、キャッシュバーンがなく、収益を上げている点も気に入っています」。

Synderのビジネスモデルは、サブスクリプション型のSaaSモデルで、無料トライアルから始まり、ユーザーは企業の規模に合わせてプラットフォーム内の追加サービスを購入することができる。

15人以上の従業員が欧州に散らばっており、米国ではマーケティングとセールスの分野で採用を始めたばかりだ。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

関連記事:Facebook Messengerが絵文字機能を強化、サウンド付きも

画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す

Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。

「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。

Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。

「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。

Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。

この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。

新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。

Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。

画像クレジット:Messenger

投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。

新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。

連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。

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画像クレジット:Messenger

Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。

Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。

Messengerはこの10年間で大きく進化した。

10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。

しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。

Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。

その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。

現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。

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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。

「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Messenger

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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国政府によるITオープンソースソフトウェア採用への取り組み

編集部注:著者のVenky Adivi(ベンキー・アディビー)氏は、Ubuntu(ウブントゥ)の配布元であるCanonical(カノニカル)の戦略獲得および提案マネジメントディレクター

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近年、民間企業たちは、オープンソースのソフトウェアや開発手法を選び、プロプライエタリソフトウェア利用を避けている。それには理由がある。オープンソースを採用することで、新しいコードを書く代わりに、自由に利用できるコンポーネントを使うことができるので、コストと開発時間を削減できる。これにより、新しいアプリケーションを迅速に展開することが可能になり、ベンダーロックインを排除することができる。

しかし、米国連邦政府によるオープンソースの採用はそれほどは進んで来なかった。何百万人もの人々にサービスを提供し膨大な量の機密データの管理責任を担うために、多くの政府機関が大規模なレガシーITインフラならびにシステムを採用しているという事実が、変革への取り組みを難しいものとしてきたのだ。米国政府は毎年莫大なIT投資を行っているが、各省庁は基本的に独自の組織として活動しているため、意思決定はたとえば大手銀行などとは比較にならないほど分散して行われている。

近年、政府はよりオープンな方向に向かっていくつかの動きを見せているものの、連邦政府のITシステムのためのオープンソースの話は、現実というよりも可能性の話であることが多かった。

しかし、この状況は変わりつつあり、政府もオープンソース採用への転換点を迎えつつあることを示す兆候をいくつかみてとることができる。デジタルに精通した市民に対してサービスを提供できるアプリケーションの作成コストは上昇し続けているが、各省庁にとって、納税者からの税金を節約しながらサービスを向上させる方法を見つけるための予算は限られている。

経済的な観点からもオープンソースの役割は大きくなっているが、他にもさまざまなメリットがある。オープンソースソフトウェアは、ソースコードが公開されているため、開発チーム以外の人による継続的なレビューが行われ、ソフトウェアの信頼性やセキュリティの向上が図られる他、コードを共有して他の機関で再利用することも容易となる。

以下では、米国政府がますますオープンソースに向かっていることを示す5つの兆候を紹介する。

オープンソースイノベーションのための専用リソースの拡充

政府機関によるオープンソースへの取り組みを支援するために、2つの取り組みが行われている。

米連邦政府一般調達局(GSA、General Services Administration)の中に設けられた18Fは、他の政府機関がデジタルサービスを構築する際のコンサルティングを行っているが、熱心なオープンソース支援者でもある。その活動の中には、連邦選挙委員会(FEC、Federal Election Commission)のデータにアクセスするための新しいアプリケーションの開発や、GSAの委託業者採用プロセスを改善するためのソフトウェアも含まれている。

18F(その名称の由来はGSA本部の住所である1800 F St.を略したもの)は、民間企業におけるオープンソースの勃興と勢いに拍車をかけている草の根的な精神を反映している。同グループのウェブサイトには「私たちが作成したコードは、パブリックドメインとして一般に公開されています」と記載されている。

今から5年前の8月に、オバマ政権は新しい連邦ソースコードポリシーを導入した。それはすべての機関に対して、オープンソースのアプローチを採用し、ソースコード資産を生み出し、書かれたコードの少なくとも20%をオープンソースとして公開することを求めるものだった。また政権はCode.govも立ち上げて、他の省庁がすでに使用しているオープンソースソリューションを各省庁が探せるようにした。

しかし、その結果は玉石混交である。Code.govの追跡調査によれば、ほとんどの省庁が連邦政府の方針に沿った対応をしているものの、多くの省庁では実装上の課題が残されている。また、Code.govのスタッフが行ったレポートによれば、オープンソースを他の機関よりも積極的に取り入れている機関もあるという。

それでも、Code.govによれば、連邦政府におけるオープンソースの成長は、当初の予想よりもはるかに進んでいるという。

新政権からの働きかけ

2021年3月初旬にバイデン大統領が署名した、1兆9000億ドル(約208兆7000億円)のパンデミック対策法案の「米国救済計画法(American Rescue Plan)」には、連邦政府の新規技術プロジェクトに資金を提供するために、GSAから「技術革新基金(Technology Modernization Fund)」として90億ドル(約9883億8000万円)が計上されていた。1月にホワイトハウスは、たとえば最近のSolarWinds(ソーラーウインズ)事件のような情報漏えいに対処するために、連邦政府のITインフラをアップグレードすることを「待ったなしの国家安全保障上の緊急課題」であると発表した

これらの取り組みの多くが、オープンソースソフトウェアを基盤にすると考えてよいだろう。なぜならホワイトハウスのテクノロジーディレクターであるDavid Recordon(デビッド・レコードン)氏は、長年にわたってオープンソースの支持者であり、かつてはFacebookのオープンソースプロジェクトを率いていたことがあるからだ。

スキル環境の変化

キャリアの大半をレガシーシステムとともに過ごしてきた連邦政府のIT職員が退職し始めたが、その後継者はオープンソースの世界で育ち、それに慣れ親しんだ若い世代だ。

Linux Foundation(リナックス財団)の調査によれば、民間企業の採用担当者の約81%が、オープンソースの人材を採用することが優先事項であり、資格を持つプロフェッショナルを求める傾向がこれまで以上に強くなっていると回答している。オープンソースの普及を支える人材の必要性を認識している公共部門が、この傾向を反映するようになってきているのは間違いない。

ベンダーのより強力な役割

適切な商用オープンソースベンダーと提携することで、政府機関はインフラコストを削減し、アプリケーションをより効率的に管理することができる。例えば、FISMA(Federal Security Modernization Act、連邦情報セキュリティマネジメント法)、FIPS(Federal Information Processing Standards、連邦情報処理標準)、FedRamp(Federal Risk and Authorization Management Program、米国連邦リスク承認管理プログラム)などのポリシーで定められたセキュリティ要件への対応は、ベンダーが大きく先行しており、コンプライアンスへの対応も容易になっている。

さらに、ベンダーの中には強力なインフラ自動化ツールや手厚いサポートパッケージを提供しているところもあるため、連邦政府機関がオープンソース戦略を加速する際に単独で対応する必要はない。UbuntuのようなLinuxディストリビューションは、ノートブック/ デスクトップからクラウド、そしてエッジに至るまで、パブリッククラウド、コンテナ、物理 / 仮想インフラストラクチャに対して一貫した開発者体験を提供している。

これにより、アプリケーション開発は、24時間365日の電話およびウェブサポートを含む十分なサポート体制を得られるようになっており、ウェブポータル、ナレッジベース、または電話を介して世界クラスの企業サポートチームにアクセスすることができる。

パンデミック効果

新型コロナウイルスによって在宅勤務者の増加や市民のオンラインサービスへの要求が増大したことで、連邦政府の大部分がデジタルゲームの向上を迫られている。オープンソースを使うことで、レガシーアプリケーションをクラウドに移行したり、新しいアプリケーションをより迅速に開発したり、ITインフラを急速に変化する需要に適応させることができる。

こうした兆候が示しているように、連邦政府はオープンソースの採用に向けて、単なる話題から実際の行動へと急速に移行しようとしている。

勝者は誰かって?もちろん全員だ!

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(文:Venky Adivi、翻訳:sako)

Atlassianは同社Jira Software Cloudの開発工程に新インサイト機能を追加

DevOpsのチームは、常に社内のソフトウェアのデリバリーをもっと速くし、しかも信頼性を高めたいと頑張っているが、そのために必要な知識や現場の情報が得られないことも多い。

Atlassianは目下、同社のプラットフォームJira Software Cloudのユーザーに、開発工程の現状データに基づいた洞察を提供する一連の新機能を提供する。Jiraは課題やプロジェクトのトラッキング技術として人気があり、開発者やそのチームがワークフローのどこにいるのかを把握するのに役立つ機能を備えている。

それらの新しい洞察は、Jiraがユーザーに従来提供していたものの一歩先を行き、アジャイルソフトウェア開発のさまざまな側面への洞察が得られる。この新たな洞察の目標は、組織が今自分たちのやってることをよく理解でき、チームはどこを改良できるかわかるようになることだ。それにより、全体的に効率がアップする。

Jira SoftwareプロダクトのトップMegan Cook(ミーガン・クック)氏は「データは至るところにあるが、しかしそれと同時に、あなたが行なうアクションの洞察と理解はどこにもない。その意味では、賢く仕事をすることは困難であり、私たちが今挑戦しようとしているのも、そうした大きな問題だ」という。

クック氏は、AtlassianがJira Cloudで行っている大きな変化の1つとして、異なる開発トラッキングツールからのデータを1つの場所にまとめ、開発チームが意思決定できるようにすることを挙げている。

Jira Cloudが今ユーザーに提供している洞察の1つの例として、スプリントコミットメントに関連しているものがある。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、デベロッパーが競走状態になる、いわゆる「スプリント(短距離走)」になることがある。しかしそんなスプリントコミットメントに洞察が伴えば、チームは過去のパフォーマンスに基づいて、自分たちが処理できる仕事の量を理解できる。ここでビジネスゴールは、そのスプリントに対してチームがコミット過多 / 過少になってないか理解することだ。

もう1つの例はイシューのタイプ別分類だ。クック氏の説明によると、各チームのイシューのカテゴライズのやり方は、個人の好みで偏重することがある。今プロジェクトがやっているのがバグフィックスか技術の借用かなどにより、プロジェクトのそんなタイプがカテゴリーになることもあれば、タイプというか性質が、イノベーションか成長製品か、機能の段階的なアップデートかという違いでタイプが分かれることもある。イシューのタイプの分類に向けた洞察は、チームが今取り組んでいるイシューやプロジェクトのタイプをより直感的に理解するために視覚化を導入させるだろう。クック氏によると、前のように検索機能によってユーザーはイシューの違いを同定できたかもしれないが、しかし彼女が強調するのは、新しい洞察方式の方がずっと容易だ、という点だ。

画像クレジット:Atlassian

クック氏によると、今後の数週間で洞察を増やし、スプリント燃え尽き洞察なども加わる。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、燃え尽き洞察でスプリントをフィニッシュするために何が残されているかを知る。スプリント燃え尽き洞察は映像や画像によって、まだやり残している仕事の量や、割り当てられている時間内に仕事が完了するかなどを知ることができる。

デベロッパーのチームがもっと効率的に仕事をできるようにするためのAtlassianのやり方は、同社が何年もかけて築いてきた主要な価値の1つだ。それは、同社の強力な成長に貢献した。Atlassianの第4四半期の決算報告では、売上は5億6000万ドル(約615億円)で前年比30%の増だが、特に貢献量が大きいのは、強力なデベロッパーコラボレーションツールとマネージメントツールだ。

画像クレジット:Andrei Stanescu/Getty Images

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Hiroshi Iwatani)

モバイルアプリでアパートの住人を安全・効率的につなげるSugarが約2.7億円のシード資金を調達

アパートを「インタラクティブなコミュニティ」に変えることを目的とするスタートアップ企業Sugarが、250万ドル(約2億7400万円)のシード資金を調達した。

今回の資金調達には、MetaProp、Agya Ventures、Concrete Rose、Debut Capital、The Community Fund、Consonance Capital、Lightspeed Scout Fund、Jason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏のLAUNCH Syndicateなど、多数の投資家が参加した。また、SquareFootのCEOであるJonathan Wasserstrum(ジョナサン・ワッサーストラム)氏、Ben Zises(ベン・ジセ)氏、Diran Otegbade(ディラン・オテグバード)氏、Oleksiy Ignatyev(オレクシー・イグナティエフ)氏、Zillowの取締役でありSequoia Scout FundのメンバーでもあるClaire Cormier Thielke(クレア・コーミエ・ティエルケ)氏などのエンジェル投資家も参加した。

ちんたいそこで彼女は、不動産投資グループや不動産管理会社と提携し、近所の人々とのつながりを絶たれて孤立していると感じているアパートや住宅地の住民のために、アプリを作った。

「ほとんどの住宅用アプリは挙動がいまいちで、今風でなく、使いづらいものばかりだ。家賃の支払い、不動産管理者との連絡、ドアの解錠など、簡単であるはずの作業が煩雑で面倒だった」とディッコ氏は語る。

CEO兼創業者のファティマ・ディッコ氏(画像クレジット:Sugar)

その上、隣人とのつながりがなく、孤立していると感じることは、居住者が出ていくことやネット上でのネガティブな評判の原因にもなり、最終的にはビルのオーナーの収入減にもつながりかねない。

そこでディッコ氏は、居住者同士がただ交流できるだけでなく、鍵なしでドアの解錠ができたり、メンテナンスの依頼、家賃の支払いなどができるアプリの開発に着手することにした。このプラットフォームは、パンデミック関連のユースケースを超えて広く成長していった。現在、このスタートアップはさまざまな規模の住宅地、不動産投資グループ、Airbnbによる賃借、ホテル、その他の種類の住宅用地といった顧客を世界中に有している。

Sugarのプロダクトは2つの要素で成り立っている。1つは居住者向けのモバイルアプリ、もう1つは建物のオーナーや管理者向けのウェブベースのダッシュボードだ。モバイルアプリは、建物のオーナーや管理者に直接販売される。不動産管理者も、管理用ダッシュボードにアクセスして、居住者のエンゲージメント指標を把握したり、ポートフォリオ内の物件のオンライン評価やレビューを確認したりすることができる。

ディッコ氏によると、今回の資金調達に先立ち、Sugarは前月比で「一貫した」成長を遂げ、ローンチからわずか4カ月で6桁のARR(年間経常収益)を達成したという。現在、SugarはEquilibrium Real Estate Investment Group、CGI Investment group、Apartment Management Consultants (AMC)などの初期顧客のポートフォリオ内にある特定の物件への展開を開始している。これらの企業は、米国22州で655件の不動産と15万部屋のドアを管理している。

また、Sugarは、7万8000戸以上の住宅を管理し、居住者のエンゲージメントを高めようとしているBozzutoなどの大手不動産管理会社と90日間のパイロット契約を結んだとディッコ氏は語っている。

ディッコ氏によると、ドアの鍵なし解錠のハードウェア製品をコミュニティ・エンゲージメント・ダッシュボードに統合できることが、Sugarの差別化のポイントだという。

「当社のコンシューマー向けアプリは引き寄せる力があり、ユーザーとオーナーにメリットがある。Sugarは、プラットフォームの利用率を高めるためには、アクセスコントロールが最も重要な機能であると考えている」と述べている。「本プロダクトはハードウェアに接続することができ、ユーザーはアプリ内からドアのロックを解除したり、デジタルキーを共有したりすることができるため、製品の導入が進み、コミュニティポータル内でのエンゲージメントが向上するだろう」。

また、建物の既存のハードウェアやソフトウェアのスタックに統合できることも大きな差別化要因であると述べている。スタンフォード・ビジネス・スクールに入学する前、ディッコ氏はProcter & Gambleでシニア・プロダクト・エンジニアとして数年間勤務していた。その時、古い問題を解決するために新しいソリューションを考案するということにワクワクしたという。

2020年は2名だったSugarのフルタイムの社員は、現在9名となっている。今回の資金調達では、エンジニアリングとセールスの両方で重要な人材を採用する予定だ。

Agya VenturesのKunal Lunawat(クナル・ルナワット)氏は、同社がディッコ氏の「粘り強さ、推進力、優秀な人材を惹きつけ、評価する能力」に感銘を受けたと述べている。

「誰もが住宅のコミュニティについて語っているが、それを具体的に解決するプラダクトを作っている人は誰もいない」と彼は語る。「コミュニティに焦点を当てることは、Sugar社の理念の中心であり、だからこそ、世界有数の不動産管理会社の多くが彼らのソフトウェアに集まってきているのだろう」。画像クレジット:Sugar

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

30歳を迎えたLinuxがカーネルを5.14にアップデート、エンタープライズセキュリティを強化

今度の日曜日、8月29日に、Linuxが大きなリリースを迎え、これからのエンタープライズおよびクラウドアプリケーションに活躍のステージを提供する。その5.14のカーネルアップデートには、セキュリティとパフォーマンスの改良が含まれる。

エンタープライズとクラウドのユーザーが特に関心を向けるのが、いつもどおりセキュリティで、Linux 5.14にもそのための新しい能力がいくつかある。Red HatのLinux Engineeringの副社長Mike McGrath(マイク・マクグラス)氏によると、今回のアップデートにはコア・スケジューリングと呼ばれる機能が含まれる。それは、2018年のSpectreやMeltdownのような、プロセッサーレベルの脆弱性を軽減することを狙っている。Linuxのユーザーがそれらの脆弱性を抑えるために採っていた方法の1つは、CPUのハイパースレッディングを無効にしてパフォーマンスを落とすことだった。

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「具体的にいうと、コア・スケジューリング機能は、タスクを信頼できるタスクとできないタスクに分類して両者がコアを共有しないようにし、脅威が表に出ないようにする。それでいてしかも、クラウドスケールのパフォーマンスがあまり落ちないようにする」とマクグラス氏は説明する。

Linux 5.14におけるセキュリティのもう1つのイノベーションは、これまで1年半かけて開発してきた機能で、システムメモリーを前よりも良い方法で保護する。Linuxやその他のオペレーティングシステムに対する攻撃は、比較的弱い攻撃インタフェイスとして、メモリーをターゲットにすることが多い。今度の新しいカーネルでは、memfd_secret()と呼ばれる機能により、Linuxシステムの上で動くアプリケーションが、カーネルも含めて他の誰にもアクセスできないメモリ領域を作る。

「暗号鍵や機密的なデータ、その他の秘密情報などをそこに保存して、他のユーザーやシステムのアクティビティへの露出を制限する」とマクグラス氏は説明する。

多くのクラウドおよびエンタープライズアプリケーションを動かしているオープンソースのLinuxオペレーティングシステムに中核にあるものが、Linuxカーネルだ。カーネルと呼ばれる部位は、システムのオペレーションのための核となる機能性を提供している。

Linux 5.14のカーネルはこれまでの2カ月で7つのリリース候補を経由し、1650名のデベロッパーが寄与貢献している。Linuxカーネルの開発に貢献しているコントリビューターには、個人の他にAMD、IBM、Oracle、そしてSamsungなどの大企業もいる。Linuxカーネルの毎回のリリースで最大のコントリビューターの1つが、IBMのRed Hat事業部だ。IBMは2019年にRed Hatを340億ドル(約3兆7340億円)で買収した

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「毎回のカーネルリリースと同じく5.14にも極めて革新的な能力がある」とマクグラス氏はいう。

カーネルのリリースはもうすぐだが、オペレーティングシステムの全体としてのエンタープライズ向けリリースには、やや時間がかかる。マクグラス氏によると、Linux 5.14はまず、Red HatのFedoraコミュニティのLinuxディストリビューションに登場し、その次に将来のRed Hat Enterprise Linux 9の一部としてリリースされる。エンタープライズLinuxのベンダーであるSUSEのCTOであるGerald Pfeifer(ジェラルド・ファイファー)氏によると、同社のコミュニティリリース(Linuxディストリビューション)であるopenSUSE TumbleweedにLinux 5,14のカーネルが載るのは、カーネルの「公式リリースの数日後」とのこと。それに対してエンタープライズLinuxのSUSE Linux Enterprise 15 SP4は、5.14のカーネルを載せて2022年春リリースされる予定だ。

このLinuxカーネルのアップデートの直前に、Linuxは重要な道標を刻んだ。米国時間8月25日、30年前に作者のLinus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏(上図)が最初に、彼の個人的プロジェクトを世界に公開した。その後の年月の間にLinuxは、ホビイストの楽しみからインターネットを動かすインフラストラクチャに進化した。

マクグラス氏によると、Linuxはすでに今日のクラウドのバックボーンであり、彼のRed Hatにとっては今後、エッジコンピューティングのバックボーンにもなる。これまでのように通信に限定されず、製造業からヘルスケア、エンターテインメント、そして各種サービスのプロバイダーなど、あらゆる産業で幅広く使われるようになる。今からワクワクするような未来が、Linuxにある。

一方ファイファー氏にとっては、Linuxの長寿と次の30年も重要であり続けることは、ほとんど確実だ。彼によると、これまでの数十年間Linuxとオープンソースは、そのオープン性と独立性により、イノベーションの未曾有の可能性を切り開いてきた。

「30年後にもカーネルとしてのLinuxはリーダーだろうか?それは分からないけど現役であることは絶対的に確実だ。これまで私たちが作り開発してきたアプローチの多くが、技術の進歩の大黒柱であり続けるだろう。それだけは確実だ」とファイファー氏は語る。

画像クレジット:Sean Michael Kerner

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Hiroshi Iwatani)

個性ある短編動画で仕事でのコミュニケーションを円滑にするPopcornの新しいアプリ

新しいスタートアップであるPopcorn(ポップコーン)が、仕事のコミュニケーションをより楽しく、個性的なものにしたいと考えている。同社のアプリは「ポップス」という名の短いビデオメッセージを録画する手段を提供する。これは長いメール、テキスト、Slackメッセージ、Zoomコールの代わりにさまざまな目的で使用することができる。最近は他にも、短時間の動画を撮影できる場所はたくさんあるものの、そのほとんどが職場環境としては適切ではないソーシャルメディア上に存在している。また、同僚に作業開始を報せたり、ちょっとした挨拶をしたいだけなのに、携帯電話で撮影した動画をメールに添付して送るのも大げさすぎる。

一方Popcornは、メッセージに個性を加えるために短い動画を作成して、その動画のURLをどこにでも送ることができる。

例えばビジネスネットワーキングの場面でPopcornを使用することができる。同業他社の人と初めてコンタクトを取ろうとする、いわゆる「コールドアウトリーチ」(初回接触)の場面だ。LinkedInでいきなりメッセージを送りつける代わりに、PopcornのURLを貼り付けて、より自然でフレンドリーな自己紹介をすることもできる。また、職場のチームでも、毎日の始業確認や、進行中のプロジェクトの進捗状況の共有、新入社員へ挨拶などにPopcornを使うことができる。

画像クレジット:Popcorn

動画の長さは60秒までで、これはPopcornを使う際に、まとまりのないものにならないようにするための制限時間だ。また、動画に映りたくない場合は、音声のみを録音することもできる。見る側が急いでいるときには再生速度を上げることもできる。また「ポップ」を受け取りたいユーザーは、自分の「ポップコード」を宣伝することもできる(例:私のコードは U8696 だ。良かったら試してみて欲しい)。

職場に短編ビデオを導入するというアイデアを持ち込んだのは、Popcornの共同創業者であり、CEOのJustin Spraggins(ジャスティン・スプラギンス)氏だ。彼は消費者向けアプリの開発に携わってきた経験を持っている。彼が作って初めて話題になったアプリの1つが、2014年にリリースされたTinder(ティンダー)にInstagram(インスタグラム)を組み合わせたようなLooksee(ルックシー)というアプリで、ユーザーは共有された写真を使ってつながることができた。その数年後、彼はUnmute(アンミュート)というソーシャル通話アプリを共同創業したが、これはClubhouseの前身のようなものだった。その後、消費者向けアプリの開発会社である9 Count(ナインカウント)を共同創業し、BFF(旧Wink)やJuju(ジュジュ)などのソーシャルアプリをローンチしてきた。

9 CountのリードエンジニアであるBen Hochberg(ベン・ホックバーグ)氏は、Popcorn(法人名はSnack Break[スナック・ブレーク])の共同創業者の1人だ。彼らがPopcornの開発に着手したのは2020年の、新型コロナパンデミックが始まった直後のことだった。しかし、その後のリモートワークへの急速な移行により、Popcornは分散したチームの間で支持されるようになってきた。現在のリモートワーカーは、オフィスでの対面式の会議には二度と戻れないかもしれないものの、一方ではZoom(ズーム)ミーティングに長時間付き合わされることにも疲れを感じている。

Popcornの目的は、仕事のコミュニケーションを楽しく、パーソナルに、そして一口サイズにすることだとスプラギン氏はいう。そして「消費者向けソーシャルアプリで私たちが夢中になっているものを、仕事の場に取り入れたいと思っています。今の私たちにとってそれはとても重要なことだと思っています」と説明している。

「いろいろな人たちと仕事をする際に。私たちはどうやって──ただしZoomの予定は入れずに、どうやって『人間味』を持ち込めばいいのでしょうか?」とスプラギン氏はいう。「仕事のためのツールを、単なる便利な道具ではなくSnapchat(スナップチャット)のようなものにすることに大きな喜びを感じています」。

Popcornをビジネス向けソーシャルアプリとして真に機能させるためには、セキュリティの強化、スパムの制限、悪質な行為への何らかの報告フローの提供などの多くの課題が残されています。また、最終的には健全な収益モデルに着地する必要もあります。

現在、PopcornはiPhone、iPad、Macで無料でダウンロードでき、Slackとの統合も可能である。よって同僚に、いますでにキャッチアップや連絡を取り合うために使用しているコミュニケーションソフトウェアを使って、ビデオメッセージを直接送ることができる。現在のアプリは非常にシンプルだが、今後はARフレームを使ってユーザーの個性を表現するショートビデオを充実させていく予定だ。

スタートアップは、General Catalyst(Niko Bonatsos[ニコ・ボナストス]氏)とDream MachineAlexia Bonatsos[アレクシアボナトソス]氏、元TechCrunchの編集長)からプレシードラウンドで40万ドル(約4400万円)を調達した。スプラギン氏によると、同社は2021年秋にはシードラウンドを行い、AR技術を含めた採用に役立てたいと考えているそうだ。

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(文: Sarah Perez、翻訳:sako)

YouTubeが米国の全iOSユーザーにピクチャー・イン・ピクチャー表示を展開、Premium加入者から

YouTubeは2018年からAndroid端末でピクチャー・イン・ピクチャーの視聴をサポートしているが、米国時間8月26日、TechCrunchに対して、米国のすべてのiOSユーザーにiPhoneとiPadの両方でこの機能を提供開始する予定であることを明らかにした。現在のところ、YouTubeはプレミアム加入者を対象に、他のアプリを閲覧しながらミニプレイヤーでピクチャー・イン・ピクチャーの動画を視聴できるこの機能のテストを募集している。プレミアムユーザー向けのテスト期間は10月31日までとなっているが、米国のすべてのiOSユーザーがこの機能を利用できるようになる時期は、明らかにされていない。

これはモバイル向けの機能だが、プレミアムに加入しているユーザーは、デスクトップのYouTube experimentsサイトでテストできるようにする必要がある。2020年、YouTubeはプレミアム会員の特典として「実験」を始めた。

実験サイトを下にスクロールすると「iOSでのピクチャー・イン・ピクチャー」が表示され、試すためのオプションが表示される。その後、YouTubeアプリで動画を見ると、アプリからナビゲートしたときに動画のピクチャー・イン・ピクチャー表示が表示されるはずだ。

TechCrunchがとったスクリーンショット

ピクチャー・イン・ピクチャーで動画を表示すると、動画の表示位置や大きさを調整することができる。動画をタップすると、YouTubeアプリに戻る。端末をロックすると、ビデオは一時停止する。

一部のユーザーからは、YouTubeアプリを削除して再インストールしないと動作しない場合があるとの報告がある。

この機能は、YouTubeのiOSアプリに搭載されている既存のピクチャー・イン・ピクチャー機能とは異なり、スマホで移動している間でも動画の視聴を続けることができる。同様の機能は、Netflixなどのストリーミングアプリにもすでに搭載されている。

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画像クレジット:YouTube

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルの天気アプリに空気質指数を提供するBreezoMeterが「山火事トラッカー」発表

BreezoMeter(ブリゾメーター)は、環境汚染による健康ハザードをできるだけ多くの人に知ってもらうことを使命としている。イスラエルを拠点とする同社は、空気質指数(Air Quality Index、AQI)の計算を通じて、今では数十カ国で数メートル単位の大気質を識別できるようになった。また、Apple(アップル)との提携により、同社のデータをiOSの「天気」アプリや自社の人気アプリに組み込み、さらに他企業が独自の目的でデータセットを利用できるAPI製品を通じ、数億人のユーザーにこれらの指標を提供している。

数週間前に3000万ドル(約33億円)のシリーズCラウンドを調達したのに続いて、同社は新製品「Wildfire Tracker(森林火災トラッカー)」を発表し、大気の質から山火事の周辺地域のリアルタイム検知へと製品を放射状に拡大した。

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この新製品は、同社のセンサーデータ、衛星画像、現地の目撃情報を融合して、山火事の範囲をリアルタイムに把握することができる。共同設立者兼CEOのRan Korber(ラン・コーバー)氏はこう語った。「人々は、正確な天気や湿度のデータを期待するのと同じように、正確な山火事情報を求めています。彼らの生活に、直接影響する情報だからです」。同氏はさらに、BreezoMeterは「気候テックと人の健康をつなぐ橋渡し役になっていきたい」と付け加えた。

火災危険区域はポリゴンの境界線で赤く表示され、従来通り、これらの区域とその周辺地域の大気質データを見ることができる。

BreezoMeterの大気質マップは、山火事の汚染の広がりを簡単に示すことができる(画像クレジット:BreezoMeter)

コーバー氏は、そうした境界線を数十カ国にわたって正確に把握するのは、簡単なことではないと強調した。特に山火事が発生するような森林では、センサーの数が少ないこともある。また、熱画像を中心とした衛星データは惑わされることがあり得る。同氏は「私たちは異常を探しているわけですが、多くの場合、誤検出が起こります」という。例えば、大規模なソーラーパネルアレイは、熱センサーでは非常に熱く見えるが、明らかに火災ではない。

このようにして特定された火災の周辺地域は、BreezoMeterの大気質マップウェブサイトで消費者に無料で提供され、まもなく同社のアプリにも導入される予定だ。また、2021年後半には、これらの境界線を同社のAPIから商業顧客向けに提供する予定だという。コーバー氏は、APIエンドポイントを利用することで自動車メーカーなどの企業が、ドライバーに火事が近づいていることを警告できるようになると期待している。

今回の新機能は、BreezoMeterが長年にわたって行ってきた製品の拡張の延長線上にあるものだ。「設立当初は、大気質のみ……それもイスラエル国内の大気汚染を予測するだけのものでした」とコーバー氏はいう。「それ以来、ほぼ毎年、新しい環境ハザードに製品ポートフォリオを拡大してきました」。2018年には花粉情報が追加され、アプリのグローバル化が進んでいることを同氏は指摘した。

山火事の検知は、VC投資家にとって最近ホットな分野だ(失礼)。例えば、Corneaは消防士が火災を検知して軽減することに焦点を当てたスタートアップであり、Perimeterは山火事の境界範囲を識別して、地図付きの明確な避難指示を出すことを目指している。シリコンバレーのあるカリフォルニア州をはじめ、世界中の多くの地域で森林火災が多発するようになってきている中、この分野への投資や製品の投入が増えることが予想される。

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画像クレジット:David Odisho/Bloomberg / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

ChromebookでAndroid版MS Officeアプリが9月18日以降利用不可に、ウェブ版への移行推奨

ChromebookでAndroid版MS Officeアプリが9月18日以降利用不可に、ウェブ版への移行推奨

Chromebook(Chrome OS)の特徴の一つが、Android用アプリへの対応。この機能が搭載されているため、ChromebookでWordやExcelといったMicrosoft Officeアプリが必要な際は、Android版を利用できます。

ただしこのMicrosoft純正のOfficeアプリは、残念ながら9月18日(現地時間)以降利用できなくなりそうです。というのも、一部のユーザーが、Chromebook上でOfficeアプリのサポートが終了するとの通知を受け取っているため。

Chromebookの情報に特化したウェブメディアAbout ChromebookがMicrosoftに確認したところ、OfficeのAndroidアプリは9月18日にChromebookサポートを終了し、代わりにOffice.com(Web版Office)を利用する必要があるとの返答を得たとのことです。

なお、今回の処置はChromebookで利用できなくなるだけで、Android上では引き続きOfficeアプリが利用可能なようです。

Microsoftは声明の中で「Chrome OS/Chromebookをご利用のお客様に最適な体験を提供するため」としており、ウェブ版への移行に際し「追加のプレミアム機能を利用できる」とも言っています。

今後、何か新しいバージョンがリリースされるのか、あるいはクラウドPCのWindows 365導入を促す目的なのか、いまのところ、この変更の理由は定かではありません。

ただしどちらにせよ、Officeアプリを利用していたChromebookユーザーにとっては、ウェブ版を利用するか、あるいはGoogle Docなどに移行するのか、といった選択を迫られることになりそうです。

(Source:About Chromebook。Via 9to5GoogleEngadget日本版より転載)

米SECと司法省がモバイルアプリのテスト会社HeadSpin創業者を投資家への虚偽情報提供で起訴

左からHeadspinの創業者であるラクワニ氏とコーウェル氏(画像クレジット:Headspin)

米司法省と米証券取引委員会(SEC)は米国時間8月25日、モバイルアプリのテスト会社HeadSpin(ヘッドスピン)の共同創業者であるManish Lachwani(マニシュ・ラクワニ)氏を詐欺罪で起訴した。SECは、同氏が不正行為防止規定に違反したとし、民事罰として、恒久的差止命令、行為に基づく差止命令、企業の役員や取締役としての活動禁止を求めている。

一方、先にラクワニ氏を逮捕した司法省は、同氏を通信詐欺と証券詐欺の各1件で起訴しており、有罪となった場合の刑罰は、通信詐欺で最高20年の懲役と25万ドル(約2750万円)の罰金など、より厳しいものとなっている。また、証券詐欺で有罪となった場合、最高で懲役20年、罰金500万ドル(約5億5000万円)となる。

SECと司法省の双方は、2020年5月まで創業6年目のHeadSpinをCEOとして率いていたラクワニ氏が、シリーズCラウンドを投資家に売り込む際、自身の会社である同社が「顧客獲得と収益創出において強力かつ一貫した成長を達成した」と虚偽の主張を行い、投資家から8000万ドル(約88億円)を詐取したとしている。

SECの説明によると、同氏の捏造は、いわゆるユニコーンとしてのバリュエーションによりラウンドを確実に完了するためのものだった。この見せかけの計画は機能した。パロアルトに本社を置くHeadSpinは2020年2月、Dell Technologies Capital、Iconiq Capital、Tiger Globalから、シリーズCラウンドにおいて11億6000万ドル(約1276億円)のバリュエーションで6000万ドル(約66億円)の資金提供を受けた。その後同社はForbesの取材を受けた。Forbesは当時、同社のバリュエーションが、2018年10月にシリーズBラウンドを完了した際の投資家の評価の2倍だったと報じた。

SECはまた、ラクワニ氏が私腹を肥やそうとしていたとし「HeadSpinの既存の投資家に対し誤った内容を伝えた資金調達ラウンドで、自身のHeadSpin株を250万ドル(約2億7500万円)で売却」することでそれを達成したとしている(SECがシリーズCに言及しているのか、それ以前のラウンドに言及しているのかは、訴状からは明らかではない)。

司法省の連邦訴状によると、ラクワニ氏の策謀の疑いは、少なくとも同社が資金調達を行っていた2019年11月にまで遡る。当時、HeadSpin(アプリやデバイスが世界中のさまざまな環境で動作することを支援していた)の成功に関して、同氏が投資家に対し故意に誤った内容を伝えたとしている。

具体的には「投資家候補に対する資料やプレゼンテーションにおいて、ラクワニ氏は虚偽の収益を報告し、会社の主要な財務指標を誇張していた」と申し立てられた。同氏は、オペレーション、販売、請求書発行を含む記録を管理し、どの収益を計上して会社の財務記録に含めるかについて最終的な決定権を持っていた。

司法省の告発につながった調査の中で、FBIはラクワニ氏が「問い合わせを受けたが契約に至らなかった見込み顧客からの収入、取引を継続しなかった過去の顧客からの収入、既存の顧客に関して大幅に水増しした収入を含めるよう従業員に指示していた複数の例」を発見したという。

合計すると数字にどれほどの乖離があったのだろうか。訴状によると、最終的にラクワニ氏は「投資家に対して、Headspinの年間経常収益を約5100〜5500万ドル(約56〜61億円)過大に評価し、虚偽の情報を提供した」としている。

訴状によると、ラクワニ氏の不正行為は、同社の取締役会が内部調査を行い、HeadSpinのバリュエーションを11億ドル(約1210億円)から3億ドル(約330億円)に引き下げた後に判明した。実際、The Informationは2020年8月、同社がシリーズC株の価値を80%近く引き下げる予定だったと報じている

同紙は当時、ラクワニ氏がすでに別の幹部と交代したと報じていた。LinkedInによると、その人物は、シリーズCラウンドが発表された2020年2月頃、同社にチーフ・セールス・オフィサーとして入社したRajeev Butani(ラジーブ・ブターニ)氏だ。

元ソフトバンク社長で、現在はPalo Alto Networks(パロアルトネットワークス)のCEO兼会長であるNikesh Arora(ニケシュ・アローラ)氏が、当時HeadSpinの取締役として内部調査の指揮を手伝っていたと同紙は伝えている。

SECは調査を継続しているとしている。一方、司法省は発表で「訴状は単に犯罪が行われたと主張するものであり、合理的な疑いを超えて有罪と証明されるまで、すべての被告は無罪と推定される」と述べている。

Forbesによると、ラクワニ氏は、モバイル・クラウド事業をGoogle(グーグル)に売却した後、Yahoo(ヤフー)の共同創業者であるJerry Yang(ジェリー・ヤン)氏から、当時別のスタートアップで働いておりPalantir(パランティア)とQuora(クオラ)でエンジニアだったBrien Colwell(ブライアン・コーウェル)氏を紹介され、HeadSpinを共同で創業した。

コーウェル氏は現在もHeadspinのCTOを務めている。同氏はHeadspinにCTOとして在籍しているが、同社に関するSECや司法省の訴状には名前がない。

また同社自身も、政府の調査に協力しているということだが、起訴されていない。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】「ノーコード」もコード

編集部注:本稿の著者Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏は汎用人工知能が全人類に恩恵をもたらすことを使命とする研究・開発企業OpenAIの共同設立者兼CTO。Hadi Partovi(ハディ・パートビ)氏はすべての学生がコンピュータサイエンスにアクセスできるようにすることを目的とした非営利団体Code.orgの創設者兼CEO。

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米国時間8月11日、自然言語をコードに変換する新しいAlシステム「OpenAI Codex」がリリースされ、コンピューターソフトウェアの書き方におけるシフトの始まりが示された。

ここ数年「ノーコード」プラットフォームに関する話題が増えてきているが、これは新しい現象ではない。実際、プログラマブルデバイスの登場以来、コンピューターソフトウェアを「コーディング」する方法において、コンピューター科学者たちは定期的にブレークスルーを生み出してきた。

初期のコンピューターは、キーボードが発明されるまで、スイッチやパンチカードを用いてプログラムされていた。コーディングは数字や機械語を入力する作業から始まり、やがてGrace Hopper(グレース・ホッパー)氏が近代的なコンパイラとCOBOL言語を発明して、プログラミング言語とプラットフォームにおける数十年の革新を先導した。Fortran、Pascal、C、Java、Pythonなどの言語は進化を続け、最新の言語(古い言語を使用して構築)によって、プログラマーはより一層人間的な言語で「コーディング」できるようになった。

言語と並行して、私たちは「ノーコード」プラットフォームの進化を見てきた。1980年代に現れたノーコードの草分け的存在であるMicrosoft Excelを含め、学校や職場などの場所を問わず、視覚的なインターフェイスでコンピューターをプログラムできるようにするプラットフォームだ。スプレッドシートに数式を記述したり、Code.orgやScratchにコードのブロックをドラッグすることで、コンピューターのプログラミング、つまり「コーディング」が実行される。「ノーコード」はコードだ。10年ごとにブレークスルーとなるイノベーションが生まれ、コードを書くのが容易になり、古いコーディング方法が新しいコーディング方法に取って代わられる。

イノベーションの波に乗るように、発表がもたらされた。今回、OpenAlは自然な英語で「コードを書く」まったく新しい方法であるOpenAI Codexを発表した。コンピュータープログラマーは、自分たちのソフトウェアに何をさせたいかを英語で記述することが可能になる。OpenAlの生成Alモデルは、それに対応するコンピューターコードを、ユーザーが選択したプログラミング言語で自動的に生成する。これは私たちが常に望んできたことだ。コンピューターが、プログラミング言語のような複雑な媒介を介さずに、私たちが何をして欲しいのかを理解し、それを実行する。

ただし、これは終わりではなく始まりである。Alが生成したコードによって、あらゆるプログラミングツールやあらゆるプログラミングクラスにおける進化、そして新しいソフトウェアのカンブリア爆発のような変革が想像できる。それはコーディングの衰退を意味するものだろうか?いや違う。プログラマーがコードを理解する必要性を置き換えるものではない。パンチカードからキーボードに移行したときや、グレース・ホッパー氏がコンパイラを発明したときのように、コーディングが格段に容易になり、インパクトが大きくなることで、その重要性が増すことを示唆しているのだ。

実際に、今日のソフトウェアに対する需要はかつてないほど高まっており、今後も増加の一途を辿ることが予想される。この技術が発展するにつれて、Alはコードの生成においてより大きな役割を果たすようになり、ひいてはコンピューター科学者の生産性とインパクトが増幅され、より多くのコンピュータープログラマーがこの分野にアクセスできるようになるだろう。

ドラッグ&ドロップだけでプログラムを作成したり、音声でコードを記述できるようにするツールはすでに存在している。これらの技術やOpenAI Codexのような新しいツールにおける進歩は、ソフトウェアを作る能力の民主化につながるはずだ。その結果、世界中のコードの量とコーダーの数が増えていくだろう。

これはまた、新しい方法でプログラミングを学ぶことが、これまで以上に重要になっていることを意味する。コードを学ぶことで、機会への扉が開かれ、世界的な問題の解決に寄与することもできる。ソフトウェアの開発が容易になり、アクセスしやすくなるにつれて、あらゆる学校のすべての生徒に、技術の利用者になるだけでなく、創造者にもなれる根本的な知識を提供していく必要があるだろう。

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画像クレジット:Luis Cagiao Photography / Getty Images

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(文:Greg Brockman、Hadi Partovi、翻訳:Dragonfly)

Solo.ioがそのエンタープライズプラットフォームにクラウドネイティブAPIゲートウェイとサービスメッシュを統合

最新のクラウドネイティブエンタープライズアプリケーションが必要とする、すべてのサービスやマイクロサービスに接続するのは複雑な作業かもしれない。それこそが、スタートアップのSolo.io(ソロアイオー)がGloo Mesh Enterprise(グルーメッシュエンタープライズ)プラットフォームの新しいリリースで、破壊的に変革しようとしている分野だ。

マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くSoloは、創業以来、サービスメッシュと呼ばれるコンセプトに重点を置いてきた。サービスメッシュは、異なるコンポーネントを自動化された最適なアプローチで接続する。これはしばしばKubernetes(クバネテス)によるクラウドネイティブ環境の中で提供される。

Soloの創業者でCEOであるIdit Levine(イディット・レバイン)氏がTechCrunchに説明したところによれば、2017年に会社を立ち上げた当初から、サービスメッシュのコンセプトとその必要性が市場に理解されるまでには数年かかるかもしれないと考えていたという。そのため彼女の会社は、異なるデータソースやサービスであるAPIを開発者が接続できるようにするAPIゲートウェイ技術も構築してきたのだ。

これまでは、このAPIと、SoloGloo Mesh Enterpriseのサービスメッシュのコンポーネントは別の技術であり、構成や制御も異なっていた。それが今では、APIとサービスメッシュの両方の機能が統合された、統一されたサービスに変わりつつある。この統合された機能により、Kubernetes上で動作するクラウド上のあらゆるサービスのセットアップと設定が容易になるはずだ。

Gloo Meshという名で知られるSoloのサービスメッシュは、もともとGoogleが作成したオープンソースのIstio (イスティオ)プロジェクトをベースにしている。またAPI製品はGloo Edge(グルーエッジ)と呼ばれ、オープンソースの Envoy(エンボイ)プロジェクトを利用しているが、このプロジェクトはもともとライドシェア企業のLyft(リフト)が作成したものだ。レバイン氏は、現在彼女のチームがIstioのプラグインアーキテクチャを使用して、最適化されたアプローチでEnvoyと接続していると説明している。

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レバイン氏は、多くのユーザーがAPIゲートウェイから始めて、サービスメッシュの利用へと拡大していると指摘する。今回のGloo Mesh Enterpriseのアップデートにより、SoloはサービスメッシュとAPIマネジメントの両市場で、競合他社との差別化を図ることができるようになり、顧客の導入がさらに加速することを期待していいる。

サービスメッシュの分野はまだ始まったばかりだが、たとえばライバルTetrate(テトレート)はより成熟したAPIゲートウェイ技術を提供している。またAPI管理の分野には、7100万ドル(約78億円)の資金を調達した、Kong(コング)のようなライバルがいる。2016年にGoogleはAPI ベンダーの Apigee(アピジー)を6億2500万ドル(約687億2000万円)で買収し、それ以来数年をかけてその技術の拡張を続けてきた。その中には2021年2月に発表されたApigee X(アピジーエックス)プラットフォームも含まれている。

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API管理のためのGloo EdgeをGloo Mesh Enterpriseに統合したことで、SoloがAPI技術のすべてのベースをカバーできたわけではない。Gloo Edgeは、現在最も一般的なRESTベースのAPIをサポートしているが、最近徐々に存在感を増しているGraphQL(グラフキューエル) API規格には対応していない。レバイン氏は、SoloプラットフォームのためのGraphQLの発表については、これからに「期待していてください」と語った。

Soloはこれまで2回のラウンドなどから合計3650万ドル(約40億1000万円)を調達している。2018年には1100万ドル(約12億円)のシリーズAを、2020年10月には2300万ドル(約25億3000万円)のシリーズBを発表している。RedpointやTrue Venturesなどが同社の投資家として名を連ねている。

画像クレジット:Laurence Mouton/Getty Images

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(文: Sean Michael Kerner、翻訳:sako)

ワークフローの理想的な進め方を自動で取得し新入社員研修を簡易化するTangoが約6.3億円を調達

Tangoの創業者。左からダン・ジオヴァッキニ氏、ケン・バブコック氏、ブライアン・シュルツ氏(画像クレジット:Tango)

Ken Babcock(ケン・バブコック)氏と共同創業者のDan Giovacchini(ダン・ジオヴァッキニ)氏、Brian Shultz(ブライアン・シュルツ)氏が、ワークフローの理想的な進め方を自動で取得し、チームがトップパフォーマーから学べるようにするChromeの拡張機能Tangoを立ち上げようと思い立ったのは、2020年3月に彼らがハーバード・ビジネス・スクールに通っている頃だった。

「この機会は、多くの企業が分散してリモート化するようになった、パンデミックによってもたらされた。多くのチームリーダーが、おそらく初めてリモートで社員を入れるようになり、採用後の時間を短縮していた。もはやオフィスで直接人にお願いする機会はなくなり、新入社員トレーニングの多くは社員自身のデバイスまかせとなっていた」と、CEOのバブコック氏はTechCrunchに語っている。

彼らは、ロサンゼルスを拠点とするTangoを設立するためにビジネススクールを退学し、米国時間8月24日、同社のワークフロー・インテリジェンス・プラットフォームのために、570万ドル(約6億2600万円)のシードラウンド獲得を発表した。このラウンドには、Wing Venture Capitalがリードし、General Catalyst、Global Silicon Valley、Outsiders Fund、Red Sea Venturesが参加した。また、Yelpの元役員であるMichael Stoppelman(マイケル・ストップペルマン)氏、Uberの元データ部門責任者であるJai Ranganathan(ジャイ・ランガナサン)氏、KeepTruckinのCEOであるShoaib Makani(ショアイブ・マカニ)氏、Awesome People VenturesのJulia Lipton(ジュリア・リプトン)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Tangoは、特にカスタマーサクセスやセールスイネーブルメントに携わる従業員が、1つの情報を探したり、タスクを手伝ってくれるのに適切な同僚を探したりするのに費やす時間を、1週間のうち20%程度削減することができるように設計されている。この技術は、ユーザーのワークフロー(アクション、ページへのリンク、URL、スクリーンショットなど)を記録し、それをビデオで順を追ってドキュメントに変換することで、チュートリアルを作成する。

以前、共同設立者たちはブートストラップで会社を運営していたが、Tangoがプロダクト主導の成長戦略をとることができるよう、プロダクトチームとグロースチームを拡大し、プロダクト開発に注力するためにシード資金を調達することを決めた、とバブコック氏は語っている。現在、チームには13名の社員がいる。

2020年の開始以来、Tangoは9月の公開に向けて、データや機能を把握するための10のパイロットを準備した。バブコック氏によると、Tangoには無料版だけでなく、追加機能を提供するプレミアム版や法人向けも用意されている。

「大きな問題は、統合と、コンシューマーのコンテンツがある場所で人々と繋がることだ」とバブコック氏は述べている。「私たちは、ドキュメント作成の負担を軽減しており、すでにWikisやその他の資料を備えている企業に対しては、それらのシステムにいかに自分たちのプロダクトを組み込めるかを学んでいる」。

Wing Venture CapitalのパートナーであるZach DeWitt(ザック・デウィット)氏は、3年前に共通の友人を通じて同社と出会ったという。

彼の会社は、斬新なデータセットをアクセス可能にするアーリーステージのBtoBのスタートアップ企業に投資している。Tangoの場合は、企業やビジネスのために、ユーザーがワークフローを分析できる新しいデータセットを作成していた。

10年前の20個から150個のSaaSアプリを使用している平均的なテック企業では、どのアプリを使用すべきか、それらをどのように使用すべきか、ユーザーが行き詰った場合はどうするか、何もデータを取得していない場合はどうするかなどいくつものパターンが考えられる、とDewitt氏は述べている。Tangoはバックグラウンドで動作し、ビジネスを成功させるための基盤となるユーザーのワークフローをキャプチャしてくれる。

「私はそのアプローチに圧倒された」と彼は付け加えた。「Tangoのチュートリアルを提供できるよう、多くの人が行き詰まるカ所を理解し、むしろ予測しなくてはいけない。また、知識を共有する人たちを社内で称えることで、会社の文化を変えることもできる。このアイデアは、行き詰まっている人、新入社員など複数の人たちにメリットがある。これは強力だ」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

人間が行うアプリのテスト手順を自動スクリプト化するtestRigor

人間のQAテスターが開発中のアプリをテストする際に行う一連のアクションを平易な言葉で入力すると、自動テストスクリプトができ上がる。Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のコホートメンバーであるtestRigor(テストリガー)という会社が実現したのは、まさにそういうことだ。このアーリーステージのスタートアップは米国時間8月24日、410万ドル(約4億5000万円)のシード資金調達ラウンドを実施したと発表した。

今回のラウンドに参加した投資家には、FlashPoint VC(フラッシュポイントVC)、Y Combinator、PTV、Phystech Ventures(フィズテック・ベンチャーズ)、および複数の個人が含まれる。同社はこれまでに、30万ドル(約3300万円)のエンジェル資金調達と70万ドル(約7700万円)のプレシード資金調達を行っているので、現時点までに調達した資金の総額は510万ドル(約5億6000万円)となっている。

testRigorの優れているところは「スタートボタンをクリック」「ストップボタンをクリック」といった一連の手順を入力すると、testRigorがそれをコード化し、自動的にスクリプトを実行して、アプリケーションの合否を報せてくれることだ。

「(testRigorは)指示した手順を実行し、簡潔に合否を判定します。もし不合格になった場合は、何が問題だったのかを教えてくれるので、JIRA(ジラ)のチケットを作成してその場で修正したり、問題を再現するための手順を示すことができます。(中略)そしてこれが実際に、私たちの最も価値を提供するところなのです」と、共同設立者でCEOのArtem Golubev(アルテム・ゴルベフ)氏は説明する。

このプロセスをさらにシンプルにするために、同社はテストの手順を記録するためのChromeの拡張機能を作成した。また、人々がどのようにアプリを使用しているかを判断する分析結果に基づいて、自動的にテストを作成し、最も人気のある機能をテストすることもできる。

後者の機能は「行動テスト」と呼ばれている。「私たちは言葉通り、分析スクリプトを導入しており、エンドユーザーが実際の環境でどのようにアプリケーションを使用しているかに基づいて、システムが自動的に(テストを)作成します」と、ゴルベフ氏は述べている。

testRigorは現在、Netflix(ネットフリックス)をはじめ、フォーチュン500社を含む約100社の顧客を抱えており、22人の従業員が働いている。そのうち12人は2021年採用された。ゴルベフ氏は年内に30人にまで増やしたいと考えている。同氏によれば、雇用には苦心しており、Y Combinatorに参加した理由の1つは、その分野で支援を得るためだったという。

「雇用という問題を解決するために私は走り回っているのですが、YCがこの分野で役立つということを知りました。当社の最大の問題は、すぐに採用できないことです」と、ゴルベフ氏はいう。その点では、YCに参加したことが確かに役に立つと、同氏は考えている。

採用難に直面しているにもかかわらず、ゴルベフ氏は「多様な人材を採用する必要がある」と考えており、22人の従業員のうち約40%が女性であるとのこと。多くの企業が偏見のために良い人材を逃していると、同氏は考えているという。「私が見てきたのは、人々が非常に大きな偏見を持っているために、自分の思い描くプロフィールに一致しない非常に優秀な人材を見逃しているということです」と、ゴルベフ氏は語る。

ゴルベフ氏は、新型コロナウイルス流行前にtestRigorをリモート会社として起ち上げ、今回のような資金調達ができたらオフィスを開設しようと考えていたが、今は100%リモート会社になることを決意しており、完全リモート企業であるGitLab(ギットラブ)を、会社を成長させる上でのモデルとして見ているという。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マニュアル&ナレッジ管理ツール「toaster team」がスマホの縦型画面に対応した動画マニュアル作成機能を提供

マニュアル&ナレッジ管理ツール「toaster team」がスマホの縦型画面に対応した動画マニュアル作成機能を提供開始

マニュアル&ナレッジ管理ツール「toaster team」(トースターチーム)を展開するnoco(ノコ)は8月25日、スマートフォン専用アプリ(iOS版)において、縦型動画マニュアルの作成と編集が行える「動画マニュアル作成機能」の提供を開始した。

toaster teamは、2020年7月に正式リリースされた、ブログを書くように誰でも手軽に社内ナレッジを共有できるツール。特定の人間が作成して掲示板のように社員に示すのではなく、関係者がそれぞれのナレッジを共有する形で作業手順や業務マニュアルなどを作成できる。2020年7月のサービス提供開始以降、累計導入企業は1900社を突破した。利用料金は月額3万5000円(税別・50アカウント)から。

今回の新機能(専用アプリ)は、「動画編集の未経験者でもスマホ片手に動画マニュアルの作成・編集が行える徹底した優しいUI」を備えたもの。ステップごとに短い動画を撮影することで、編集時間を大幅に短縮。また、スタンプ・字幕・ボイスオーバーの各機能や、動画マニュアルの日本語を100言語に自動翻訳できる機能も備えている。

マニュアル&ナレッジ管理ツール「toaster team」がスマホの縦型画面に対応した動画マニュアル作成機能を提供開始

nocoが想定した活用シーンの例としては、販売店での接客方法や設備の使い方、建築やリフォームの現場での施工方法、医療施設での施設や機器の取り扱い方法などが挙げられている。この機能の開発目的は、広く定着しているスマホの動画メディアを業務ツールとして活用することにあった。そこで、動画制作をきわめて簡単にしたというわけだ。

nocoは、toaster teamは「マニュアル作成ツールではなく、社内そして社外(顧客、クライアント)の困っている人たちの、知らない、わからない、できないを解決する」ものだと話している。今後は「社内外にとりまくさまざまなヘルプを解決するハブ」を目指すという。