さまざまなeコマースツールを接続、自動化するAlloy Automationが約23億円調達

Y Combinator(Yコンビネーター)の卒業生で、異なるさまざまなeコマースツールの接続に力を入れるAlloy Automation(アロイ・オートメーション)は米国時間2月22日朝、a16zが主導する2000万ドル(約23億円)のシリーズAをクローズしたことを発表した。同社にとってこの資金調達イベントは、資金確保が困難だった2021年とは対照的に、活発なものとなった。

TechCrunchは、ちょうど1年前にAlloyのシードラウンドを取り上げたが、このスタートアップは当時、事前評価1600万ドル(約18億4000万円)で400万ドル(約4億6000万円)を調達し、調達後企業評価額が2000万ドルだった。つまり、Alloyは1年前の企業価値と同じだけの資本を調達したことになる。

TechCrunchは、Alloyの共同創業者兼CEOのSara Du(サラ・ドゥ)氏とCTOのGregg Mojica(グレッグ・モジカ)氏に、今回のラウンドと、この1年間で自社のピッチがどのように洗練されたかについて話を聞いた。

Alloy AutomationのシリーズA

資金調達を行った際に、Alloyは同規模の他の企業よりも、キャッシュバーン(資金燃焼率)の面でやや保守的であったことに気づいたと、共同創業者は語っている。ベンチャー市場が価格、つまり支出の自制を見直し始めている中で、この事実は同スタートアップの資金調達の見通しにとってマイナスではなかった。また、Alloyの第4四半期は好調であり、これも悪くなかったと、ドゥ氏とモジカ氏はTechCrunchに語った。

なぜ、同社はより多くの資金を調達したのだろうか? いくつかの理由があるが、創業者たちは次のように述べている。もちろん、成長中の事業において、現金は多くあるに越したことはない。しかし、Alloyにとって同じくらい重要だったのは、多くの出資を集めたことと、その資本政策にa16zの名前が入ったというシグナルだった。この2つの要素が、会社の地位を築くために役立ち、パートナーシップの確保につながると、共同創業者たちは説明する。また、人材コストが高騰している現在、総資金額が多ければ、目先の資金繰りに悩まされることなく、必要な人材を確保することができる。

Alloyは、自社の自動化技術(企業が多くのアプリケーションをリンクさせ、自動化されたワークフローの構築を可能にする方法)をeコマース市場に応用しているが、この分野に注力しているのは、初期の顧客からの要望によるものだ。現在、Alloyは複数のアプリケーション間のコントロールパネル、つまりeコマースを同調するためのオペレーティング・システムとしての役割を担うと、自らを謳っている。

自動化の市場は決して小さくない。ワークフローとオートメーションの分野に属する別の企業であるAppian(アピアン)は、最近の上場ソフトウェア企業の傾向に反して、投資家が実際に好むような成長を報告している。つまり、長期間にわたって成長を加速させているということだ。Alloyにとって、Appianの最近の成功は、創業者や投資家が切望するTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)の増加を意味する。

ドゥ氏とモジカ氏はインタビューの中で、かつてeコマース企業は独自の技術スタックを構築する傾向があったと語る。しかし現在では、それとは対照的に、サードパーティのソフトウェアが主流になっている。このような変化が、Alloyの構築しているものに対する需要を生み出したのだろう。eコマース企業が利用するソフトウェアサービスが増えれば増えるほど、それらを統合し、相互に補完することが求められるようになるからだ。

Alloyの従業員数は現在20人を超えるほどだが、当然のことながら同社は積極的な雇用計画を立てている。2022年中にはスタッフを倍増することを漠然と予期しているという。

Alloyは、eコマースソフトウェアの世界では中立的な立場に近く、eコマースサイトのすべての構成要素を自ら作り出すのではなく、その中心に位置することを望んでいる。そう考えると、TechCrunchが創業チームを取材したとき、モジカ氏がテキサス州で開催されたBigCommerce(ビッグコマース)のイベントに参加していたことにも驚きはなかった。BigCommerceは、ヘッドレスのeコマースソフトウェアをてがける企業で、顧客の選択に大きく依存しないという点でAlloyと精神的に共通している。

このようなオープンなモデルは、決済のようなファーストパーティのソリューションで収益を上げている他の企業とはやや対照的だ。eコマースの世界では、Shopify(ショッピファイ)がその典型例である。

Alloyが今後、パートナーと顧客それぞれの観点から中心性を高める努力をしながら、その中立性をどのように管理していくのか、興味深いところだ。確かにこのスタートアップ企業は、次の4〜6四半期を運営するだけの資金をすでに確保している。次のベンチャー資金調達に戻る前に、同社がどこまで行けるか、見守ることにしよう。

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GoogleのArea 120がモバイルアプリ開発者のプライバシーコンプライアンス対応を支援するプロダクト「Checks」を発表

米国時間2月22日、Google(グーグル)内のあるチームが、モバイルアプリ開発者向けの新製品「Checks(チェックス)」を発表した。これは現在のようにアプリに対する規制やポリシーが急速に変化する状況の中で、AI技術を活用してアプリ内で起こりうるプライバシーやコンプライアンス上の問題を特定することができるというものだ。

Checksはフリーミアムなソリューションとして、AndroidおよびiOSのあらゆる規模のアプリ開発者に提供される。開発者はChecksを使うことで、自分のアプリを分析し、発見された問題に対処するための実用的な洞察を含むレポートを受け取ることができる。

Checksは、ジェネラル・マネージャーのFergus Hurley(ファーガス・ハーレー)氏と、法務リーダーのNia Castelly(ニア・カステリー)氏が共同で設立したプロジェクトで、Googleの社内インキュベーターであるArea 120(エリア120)内で、過去2年間にわたり開発を行ってきた。Checksのチームはこれまで、開発者の技術的課題に対処するAndroid Vitals(アンドロイド・ヴァイタルズ)などのツールを構築してきたが、AIを使ってプライバシーコンプライアンスの課題に対応するというアイデアも持っていた。

現代のアプリ開発者は、欧州のGDPR(一般データ保護規則)要件から、アプリストア自体が施行する新ルールまで、さまざまな新しい規制やポリシーに対応しなければならない。一方で、消費者はフリーソフトウェアを使用する際のトレードオフについても理解を深めており、アプリがどの程度まで自分のプライバシーを尊重しているか、自分のデータがどのようにアクセス、保存、共有されているかといったことを、知りたがるようになってきた。また、開発したアプリがすべてのルールを守っていても、その開発者が使用しているSDKがルールを守っていない場合や、SDKのデータ共有のあり方が時間の経過とともに変わる場合もあり、これも別のコンプライアンス上の課題となっている。

画像クレジット:Google

Checksは、アプリ開発者が現在よりも簡単に、コンプライアンスを達成できるようにすることを目的としている。開発者は自分のアプリを提出して、プライバシーコンプライアンス分析を受ける。この分析には、自動化されたレビューの他、一部のサービス面では人間によるレビューも行われる。

Checksの利用を開始するためには、まずAndroidアプリの開発者は、自分のGoogleアカウントでログインし、Google PlayアプリのIDを入力する。その後、いくつかの質問に答えてアクセスを確認する。Checksは、アプリのプライバシーポリシー、SDK情報、ネットワークトラフィックなど、複数の情報源をスキャンしてレポートを作成する。このソリューションでは、自然言語処理を活用してアプリのプライバシー開示情報をスキャンするという、先進的な手法も採用されている。スキャンが完了すると、開発者には、発見された問題についての明確で実用価値のある洞察と、リソースのリストを含むレポートが提示される。

無料版では、自分が開発しているアプリを、Google Playの新しい「データ・セーフティ・セクション」に合致させるために使用できる。有料版のCore(コア)、Premium(プレミアム)、Enterprise(エンタープライズ)は、プロの開発者や、iOS向けの開発も含む大規模な企業のニーズに合わせて設計されている。

物理デバイスと仮想デバイスの両方で分析を行うChecksの利用には、技術的要件や前提条件はない。

月額249ドル(約2万9000円)の「Core」では、GDPRやCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制に対するコンプライアンスモニタリングや、今後のコンプライアンス要件に関するプロアクティブな通知機能が追加される。月額499ドル(約5万7000円)の「Premium」ユーザーは、自分の開発したアプリ内で行われるデータ共有行為のモニタリングを自動化し、SDK、パーミッション、アプリでデータ共有が行われている場所などを把握することができる。5つ以上のアプリをてがける顧客向けの「Enterprise」はカスタム価格となっており、より頻繁に、高度で詳細なプライバシーチェックが受けられる。さらに人間のレビュー担当者を含むコンプライアンスレビューチームの力を借りたり、カスタマイズされた分析やテストフローなども利用できる。

なお、Checksは、生成したデータやレポートをGoogle Playチームと共有することはないと述べている

チームは数百人のアプリ開発者からフィードバックを集めてChecksを構築した後、40人(社)のアーリーアダプターと協力して、発表前に製品をテストした。テスターには、Headspace(ヘッドスペース)、Sesame Workshop(セサミ・ワークショップ)、StoryToys(ストーリー・トイズ)、Carb Manager(カーブ・マネージャー)、Homer(ホーマー)、Lose It(ルーズ・イット)などの企業が名を連ねている。

現在、Checksはより多くの人々が利用できるようになっている。興味のある開発者は、Checksのウェブサイトでオンラインフォームに記入して、早期アクセスに申し込むことができる。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

その企業にとって価値の高いユーザーフローをノーコードで作れる豪Upflowyが約4.6億円調達

新型コロナウイスルによるパンデミックが消費者の行動と購入パターンに影響を与え、この不確実性の時代にはデータドリブンな意思決定が、プロダクトやサービスがユーザーにとって本当に利益になるために重要になってきた。UpflowのCEOであるGuillaume Ang(ギヨーム・アン)氏によると、その上でオンラインのトランザクションを行えるSaaSプロダクトの需要が激増しているという。

Upflowyには、企業が価値の高いユーザーフローを作り出すためのツールがある、と同社は考えている。このオーストラリアのスタートアップは、最近400万ドル(約4億6000万円)を調達したばかりで、ドラッグ&ドロップでA/Bテストができるツールや、企業は利用に際してコーディングを一切行わなくていいウェブやモバイル上の個人化ツールを提供ししている。上記最新の投資はCounterpart Venturesがリードし、これまでの投資家であるTidalやGlobal Founders Capital、Black Nova、およびAntlerが参加した。

ウェブサイトやアプリ上で売上に結びつくサインアップを獲得するためには相当な時間と費用を要し、そのために多くの企業が苦労している、とアン氏は語る。起業家やマーケター、そして特にスタートアップがコンバージョン率とユーザーフローを上げるために、アン氏と2人の共同創業者Matthew Browne(マシュー・ブラウン)氏とAlexandre Girard(アレクサンドル・ジラール)氏は2020年にUpflowyを創業した。同社によると、これまでの企業は、開発チームや技術者チームに頼んでプロダクトを改良することに追われ、マーケティングに力を入れることがお留守になっていたという。

Upflowyの創業者。左からCTOのアレクサンドル・ジラール氏、CIOのマシュー・ブラウン氏、CEOのギヨーム・アン氏。

新たな資金の大部分は、予測的個人化など、主にデータサイエンス方面の能力拡大や新機能の開発に充てたいとのこと。さらにまた、人員を増やし、フルタイムの社員を30人以上にしたいという。

「エンゲージメントの貧しいフォームがコンバージョン率を60%も下げ、広告費の大きな無駄遣いになってることに気がつけば、そこから上昇が始まる。それが、最初のステップです。ユーザーの見込み客としての選別をもっと効果的に行っていけば、勧める製品や個人化もより適切になり、見込み客が購入客になります(コンバージョンする)。Upflowのデータ視覚化とA/Bテストを利用すれば、客離れのような行動がどこで起こるのか明確に把握することができ、その後の実験や最適化もより効果的になります」とアン氏は語る。

アン氏によると、現在のUpflowのユーザーは数百社で、ファッションのブランドやスポーツチームなど消費者対象だけでなくB2BやSaaS、ヘルスケア方面の企業もいる。過去数週間で毎週、ユーザー数が増え、アクティベーション率が40%増加し、月間ユーザー数は倍増している。

「オーストラリアのテクノロジー業界は世界のイノベーションを動かしている」とアン氏は声明で語っている。「私たちもすでに、活動もテストも世界レベルで行いプラットフォームの有効性を確信しています。見込み客が企業で最初に行うことはサインアップのフオーですが、私たちは初めて、そのフローを作りやすく、そしてライブにすることができました。そのためには情報の流れを改善し、見込み客があらゆるルートをスマートに動き回れるようにしています」。

パンデミックのおかげでUpflowは、最初からリモート企業としてスタートすることができた。初期の2020年には、リモートファーストの企業はまだ珍しいコンセプトだったが、それでも世界中から人材が集まった。2022年は米国に進出して、そこでのプレゼンスを大きくしたいとアン氏はいう。

Upflowyに投資しているAPAC OptimizelyのsoマネージングディレクターであるDan Ross(ダン・ロス)氏は次のように語る。「Upflowは、ほとんどすべての企業が直面している問題を解決しました。完全なサインアップフローを迅速に作って、何回もテストしながら改良していけるツールは他にはありません。しかも、他のプラットフォームへデータを供給して、ビジターを顧客にコンバートする過程を見ることもできます」。

また、Counterpart VenturesのゼネラルパートナーPatrick Eggen(パトリック・エゲン)氏は、声明で次のように述べている。「現代の企業は、データ収集と顧客体験の間にある摩擦を取り除くシンプルなノーコードのソリューションを必要としています。技術者がウェブ体験を作り出す、テストも改良もできない雑なソリューションが市場に多い中で、Upflowyはこの市場の見方を変えて、消費者が求めるウェブ体験をチームが作れるようにしています」。

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(文:Kate Park、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新たな「ポストサブスクリプションSaaS」の時代に向けて見積から収益へのアプローチを改善するSubskribe

ほとんどのサブスクリプション型SaaSの価格戦略では、一定のシート数のみ使える無料版、より多くのシート数が使えるプロ版、そして大企業を対象としたエンタープライズ版が用意されている。

しかし、その中間に位置する企業、つまり、無料版の10シートの範囲を少しだけ超えるが、プロ版を使う価値があるほどの急成長は望めない企業はどうすればいいのだろうか?

Subskribe(サブスクライブ)は「見積りから収益まで」のプロセスに柔軟性をもたらすスタートアップ企業だ。これまで営業担当者は、ソフトウェアの見積を作成する際に、情報がさまざまな場所に散らばっていると、それらを調整して、サブスクリプションや単発のサービスを請求することが難しい時があった。

同社は、Google(グーグル)に勤務していたDurga Pandey(デュルガ・パーンデー)氏が、元Zuora(ズオラ)のエンジニアリングディレクターだったYibin Guo(イーピン・グオ)氏、元Okta(オクタ)ビジネステクノロジー担当シニアディレクターだったPrakash Raina(プラカシュ・ライナ)氏とともに、2020年に設立した。

「誰もがリカーリングの収益モデルを好みますが、顧客は月額10ドル(約1150円)払えるなら5000ドル(約57万円)のライセンス料を払いたいとは思いません」と、パーンデーCEOはTechCrunchに語った。「この10年間で、SaaSのビジネスモデルは大きく変わりました。以前は、Netflix(ネットフリックス)のサブスクリプションに似ていました。現在のソフトウェアの販売方法は、400分で毎月40ドル(約4600円)を支払う携帯電話のプランによく似ています」。

これに対し、Subskribeのテクノロジーは、適応性の高い見積 – 収益システムとして設計されており、営業担当者は、使用量の増加に応じて割引率を高めたり、創造的なアップセルやクロスセルを追加して、より効果的な取引を構成することができる。

画像クレジット:Subskribe

見積もりから請求までのプロセスの各部分は、ダイナミックオーダーの同じリポジトリーを参照するため、端から端まで統一された体験となる。その結果、企業は自社の成長に合わせて最適化された取引を得ることができ、結局より少ない費用で済むようにもなると、パーンデー氏は続けた。

同社は米国時間2月17日、少数の顧客とともに正式にサービスを開始した。同社は8VCが主導したシリーズAラウンドと、Slow Ventures(スロー・ベンチャーズ)が主導したシードラウンドで、1840万ドル(約21億1000万円)の資金を調達している。このラウンドには、Amplitude(アンプリチュード)、Asana(アサナ)、Coupa(クーパ)、Dialpad(ダイアルパッド)、Okta(オクタ)、Plaid(プレイド)、UiPath(ユニパス)などの企業の財務・業務担当上級幹部が参加した。

パーンデー氏は、この新たな資金をエンジニアリングチームの拡大に充てる他、顧客基盤の拡大と製品開発にも注力することを計画している。

Subskribeは販売開始からまだ4カ月しか経っていないため、同氏は成長の指標についてあまり語ることができなかったが、しかし顧客のパイプラインには契約間近の大手企業がいくつかあると述べている。

「私たちの目標は、この分野におけるデファクトプレイヤーとしての地位を確立し、お客様がお金を稼ぐためのプロセスをあまり気にしなくて済むようになる製品を提供することです」と、パーンデー氏は付け加えた。

画像クレジット:Subskribe / Subskribe co-founders Prakash Raina, Durga Pandey and Yibin Guo

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

部屋探しプラットフォーム「カナリー」がYahoo!不動産と業務提携拡大、賃貸物件情報約50万件をカナリーに掲載へ

お部屋探しプラットフォーム「カナリー」がYahoo!不動産と業務提携拡大、賃貸物件情報約50万件をカナリーに掲載へ

不動産仲介業者の業務をデジタル化する業務効率化ソリューションと、部屋探しプラットフォーム「カナリー」(CANARY。Android版iOS版)を開発・運営するBluAgeは2月21日、ヤフー提供の不動産・住宅情報サイト「Yahoo!不動産」との業務提携を拡大し、賃貸物件情報掲載における連携を開始したと発表した。

ヤフーとBluAgeは、売買物件情報掲載における業務提携を2020年7月より開始しており、「Yahoo!不動産」取り扱いの売買物件情報約30万件がカナリーにすでに掲載されている。今回の業務提携拡大により、約50万件の賃貸物件情報がカナリーに掲載されることになり、ユーザーの利便性が向上するとしている。

カナリーは、賃貸および売買物件を探すお部屋探しプラットフォーム。アプリの新規ダウンロード数は月10万件、累計ダウンロード数は100万件を達成しているという(2021年10月時点)。

従来のお部屋探しにおいては、消費者がウェブサイトや広告を通じて複数店舗へ直接来店しているが、昨今では、スマートフォンの普及やコロナ禍により、来店することなくモバイルアプリを通じて物件を探す消費者が増えている。また、カナリーは透明性・利便性の高さを重視し、いわゆる「おとり物件」を含む募集終了物件や重複した情報を大きく削減。ユーザーは正確かつ最新の情報を基に部屋探しを行えるという。

Windows 11でAndroidアプリを動かせる最小要件が公開―第8世代Core i3・Ryzen 3000以上、8GBメモリー以上

Windows 11でAndroidアプリを動かせる最小要件が公開―第8世代Core i3・Ryzen 3000以上、8GBメモリー以上

Microsoft

米マイクロソフトは今週、Windows 11の最新アップデートを配信し、米国にてAndroidアプリサポートをプレビュー版として一般提供を開始しました。それに続いて、Androidアプリを動かせるWindows 11 PCの最小要件が公式に明らかにされました。

本機能はAmazon Appstoreを通じて、Windows 11ユーザーがAndroidアプリダウンロードや利用できるようにするもの。2022年2月現在ではKindleやAudibleのほか、ロードモバイルやKhan Academy Kidsなど約1000本のアプリが提供されています。とはいえ、Windows 11が動くすべてのPCでAndroidアプリ動作がサポートされるわけではありません。

そこでMSは新たなサポートページを公開し、Androidアプリを使うため必要なPCの最小要件を以下の通り詳しく説明しています。

  • RAM(メモリー):8GB(最小) 16 GB(推奨)
  • ストレージ:ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)
  • プロセッサ:Intel Core i3 第8世代(最小)以上、AMD Ryzen 3000(最小)以上
  • Qualcomm Snapdragon 8c(最小)以上
  • プロセッサアーキテクチャ:x64またはARM64
  • 仮想マシンプラットフォーム:この設定を有効にする必要あり。詳しくはこちら

これらは過去3年のうちに10~15万円程度のPCを購入していれば、さほど厳しい条件とは思われません。

注意すべき点があるとすれば、インテルとAMDプロセッサでの「どれだけ古くても許容されるか」という違いでしょう。インテル製の場合は第8世代Core i、つまり5年前(2017年)の製品がサポートされているのに対して、AMD製は3年前(2019年)のRyzen 3000で線引きされています。

もっともRAMは8GB、ストレージはSSDであればいいという緩さであり、排除されるユーザーはあまり多くはなさそうです。あとはプレビュー版であれ、速やかに日本向けの一般提供を望みたいところです。

(Source:Microsoft。Via WindowsLatest9to5GoogleEngadget日本版より転載)

Kubernetes利用システムのリソース支出を視覚化し管理とインサイトを与えるKubecost

ウェッブ・ブラウン氏とアジェイ・トリパシー氏(画像クレジット:Kubecost)

2021年はKubernetesの採用が爆発的に増え、このクラウドネイティブツールを今では560万ほどのデベロッパーが使っている。前年に比べ67%の増加だ。

Kubernetesはオープンソースのコンテナプロジェクトで、アプリケーションを自動化しモニターし実行するために2014年にGoogleが作ったシステムだ。

Kubernetesはクラウドネイティブのデベロッパーが最も多く使っているツールの1つで、企業が大きくなると扱いが難しくなることもあるが、しかしKubecostはそんな成長痛の一部を、Kubernetesの大きな支出をモニターし、管理し、最適化するオープンソースのツールで軽減しようとする。

同社は2019年に2人の元Google社員、Webb Brown(ウェッブ・ブラウン)氏とAjay Tripathy(アジェイ・トリパシー)氏が創業した。どちらもGoogleのインフラストラクチャーやGoogle Cloudのための、インフラストラクチャモニタリングの仕事をしていた。

「インフラモニターの分野には、コンテナへの本格的な移行に要する費用とパフォーマンスと信頼性をめぐって問題があった。それらのチームは優遇されていたが、支出の可視性は完全に犠牲にされていた。それを数百万人ぶんの給与に例えると、どれだけの額がどの部やどのチームに行くのか分からない、という状態だった」とブラウン氏はいう。

Brown氏の説明では、そういう可視性がなければ、ダウンストリームに起きることも往々にして無駄と見なされる。彼が実際に見た例では、チームが80%も過大支出をしていて、しかもプロダクトの正しいコストを誰も知らなかった。

チームに支出の安全ネットがあって、今後のショックを和らげられるために、Kubecostはリアルタイムの費用可視性と、Kubernetes関連の何百万ドル(何億円)ものクラウド費用を継続的にモニターして軽減するために必要な、インサイトを提供する。

同社のコアプロダクトはオープンソースで、チームが自由に使える。ブラウン氏がいうのだから真実だろう。またエンタープライズ向けの商用プロダクトもあり、その機能は数分でインストールできて、セールスに持ち込まなくても試用や現用ができる。

顧客は情報をKubecostと共有しなくてもよいが、その代わりにその技術はオープンソースの情報を使い、それを顧客の環境に持ち込み、それをクラウドやオンプレミスのデータセンターに統合する。

そこから、情報はリアルタイムで集められて、企業がリソースに支出しているすべての領域と、費用の高騰やその理由を示すインサイトが提供される。それからKubecostは、費用を削減する方法のインサイトを提供し、アラートを送ったり、今後の長期的管理を可能にするポリシーを設定する。

画像クレジット:Kubecost

Kubecostはすでに2000社以上と仕事をしており、そのうち、エンタープライズ級は100社ほどとなる。それは2021年の1年間で3倍になり、エンゲージメントの数は5倍になった。同社が現在管理しているKubernetesの支出は総額20億ドル(約2300億円)ほどに達する。同社の年間経常収益は、前年比で3倍だ。ブラウン氏はKubecostの評価額を明らかにしないが、2021年の5倍だという。

同社を採用する企業がこれまでのペースで増えていくという想定で、同社は2500万ドル(約28億7000万円)のシリーズAを調達した。これをリードしたのはCoatue Management、そしてシード投資家からの参加としてFirst Round CapitalとAfore Capitalの名がある。Coatueのパートナー、David Cahn(デビッド・カーン)氏がKubecostの取締役会に加わる。

この新たな資金は全社的な雇用増に充てられる。Kubecostのルーツはオープンソースだが、ブラウン氏の計画では、そのコミュニティへの相当な投資により、機能をもっと増やしたいという。また、そのエコシステムのその他のプロダクトの統合や、インサイトと最適化の開発も進めたいとのこと。

さらに、Kubecostの管理を他に任せたい顧客企業やチームのために、その付加価値バージョンである「Hosted Kubecost」も開始する。

「全体的にいえるのは、これまではクラウドからコンテナへの本質的で重要な変革の波があり、それはデータセンターからクラウドへの変化よりも大きな変化だと私は認識しています。だからそれは、これからも続くだろう」とブラウン氏はいう。「Kubernetesは今や、モダンなエンタープライズのテクノロジースタックの心臓部です。私たちの計画は、そこに深入りすることによって移行を興し、すべてのアプリケーションをそこから動かせるような高スケールのプロダクトに到達したい」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Apache Arrowを商用化するデータ多用化企業Voltron Dataが約127億円調達

Voltron Dataは2021年、NVIDIAとUrsa ComputingおよびBlazingSQLの元社員たちと、Apache Arrowの共同創業者がローンチした。このグループが集まったのは、Arrowをサービスとする企業を作って、オープンソースのプロジェクトを自分で管理するのが難しい企業を助けるためだ。

Voltron Dataの共同創業者でCEOのJosh Patterson(ジョシュ・パターソン)氏によると、同社はスタンダードを広めるための企業であり、Apache Arrowで、データとアナリティクスを標準化することの威力とその認識を広めていきたい、という。

「私たちの目標は、データアナリティクスのこれまでのエコシステムに取り付いて、それをスタンダードに基づいて改善することです。これまで私たちが他の業界で何度も見てきたのは、彼ら自身がアクセラレータになってより効率的な方法を普及し、共通のビルディングブロックで業界全体を改善していく動きです。私たちが特に普及したいのも、データアナリティクスのエコシステムにおけるモジュール化と組み立て構成方式の技術です」とパターソン氏はいう。

このスタンダードの部分が、Apache Arrowの重要な役割だ。このプロジェクトのウェブサイトのFAQには、「Apache Arrowは、大きなデータセットを処理したり転送するハイパフォーマンスアプリケーションを作るためのソフトウェア開発プラットフォームで、分析アルゴリズムの性能と、異なるシステム間やプログラミング言語間でデータを移送するときの効率の両方の改善を目指している」とある。

パターソン氏によると、データとアナリティクスが進化すると開発者は、日に日に増えていく、さまざまな言語を用いた多数のシステムを互いに接続しなければならない。その巨大な難題をArrowは解決する。「このシステムとあのシステムを接続したいとき、一体何をするのか。そのためのグルーコードのリライトなんて、誰もやりたくない。そしてそんなときが、Arrowの出番だ。Arrowは今、複数のシステムを接続するためのデファクトスタンダードになっている」とパターソン氏はいう。

このオープンソースツールの人気はとても大きくて、同社によるとこれまで、毎月4200万回ダウンロードされている。SnowflakeやDatabricks、Google、Microsoftなども採用している。オープンソースのプロジェクトにしてはすごい人気であるため、Voltronのようにこれの商用化を目指す企業が現れても不思議ではない。

それに、VCたちがこのプロジェクトにお金を投じているのも当然だ。同社はシードとAラウンドで1億1000万ドル(約126億7000万円)を獲得したが、いくら投資インフレと言われる時代であっても、それはすごい額だ。

パターソン氏によると、それは明確な実用目的のあるお金だ。同社が解決を目指す問題は相当な難題であり、どれも複数の顔を持っている。そこで同社としては、それをできるだけ速くやるために投資が必要だ。

「このオープンソースプロジェクトは、パワーユーザーやエキスパートしか使わない沈滞状態になってほしくない。次の世代のユーザーやシステムビルダーやライブラリビルダーにも、その魅力が伝わって欲しい。私たちは問題点を解明して、もっと多くのツールとライブラリを作り、誰でもすぐ使えるという状態をもっと完成させたい」とパターソン氏は語る。

同社は現在、最初の商用製品を作っている。現時点で詳細はあまり語られないが、それはApache Arrowのマネージドバージョンで、オープンソース本体には触りたくないユーザーが対象だ。

同社のワークフォースは世界中に分散していて、現在100名近くの被雇用者がおり、求人も積極的に行っている。パターソン氏自身も黒人で、ダイバーシティとインクルージョンの完備した企業にしたいという。「インクルーシブは我が社にとってとても重要で、これまでのように、人種やジェンダーや性的指向がさまざまな人が入ってきて欲しい。私たちでは、誰もが認めてもらえるし誰もが力を発揮できるんだ」と。

現状は、同社従業員の20%がアフリカ系米国人、15%がヒスパニック、15%がアジア系、そしておよそ20%が女性だ。今後の成長とともに、さらにダイバーシティを充実していきたいという。

調達した資金は、2200万ドル(約25億3000万円)がシードラウンド、8800万ドル(約101億3000万円)がシリーズAだ。AラウンドをリードしたのはWalden Catalyst、これにBlackRockやAnthos Capital、Battery Ventures、Coatue、GV、Lightspeed Venture Partners、Nepenthe Capital、Redline、The Factoryが参加した。シードはBlack RockとWaldenがリードし、LightspeedとGVとThe Factoryが参加している。

画像クレジット:myshkovsky/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

自治体にオンデマンド輸送のテックを提供するカナダのRideCoがソフトウェアの拡張へ約18億円調達

自治体にオンデマンド輸送のテックを提供しているカナダのRideCo(ライドコー)は、2000万カナダドル(約18億円)のシリーズAラウンドをクローズした。RideCoの共同創業者でCEOのPrem Gururajan(プレム・グルラジャン)氏によると、新たに調達したこの資金は製品のさらなる開発に充てられ、エンジニアリングチーム、顧客サービス、営業とマーケティングチームの大幅拡大にも使われる。

Via(ビア)を最大の競合相手とするRideCoは、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのビジネスモデルを展開している。自前の車両と、Remix買収で獲得した輸送プラニングのテックを提供しているViaとは異なり、RideCoは輸送機関や運行オペレーターに基本的なソフトウェアとアプリを提供し、そうした機関やオペレーターがRideCoの最大の顧客である自治体にオンデマンドの輸送オプションを提供できるようにする。RideCoはまた、従業員の送迎をダイナミックに行う方法を探している企業にもサービスを提供している。

このソフトウェアは、バスやその他の車両のためにダイナミックルートを作成し、需要に応じて次のピックアップ場所とドロップ場所に向かわせる。サンアントニオ、ロサンゼルス、そして直近ではラスベガスといった都市が、こうした機能を利用して、ファーストマイルとラストマイルの輸送へのアクセス問題に取り組んでいる。これは、いまだに固定ルート輸送システムが中心となっているほとんどの都市に共通する問題だ。

「例えば、サンアントニオでは、人口密度が高いため交通の便が良い地域がある一方で、人口密度が低い地域も多く、そうしたところではファーストマイルとラストマイルへのアクセスに問題があります。そうした場合、固定ルート輸送はうまく機能しません」とグルラジャン氏はTechCrunchに語った。

ダイナミックシャトルやバスは、人々が乗車をオーダーする場所や降ろして欲しい場所に実際に行くことでそうした問題を解決し、都市にこれまでよりもモビリティを生み出すことができる。

「当社のサービスを利用している自治体では、ライトレールや高速バスレーンがあり、バスが満員になるような需要がある高頻度コリドーにつながる中・低密度地域でダイナミックトランジットを利用することができます」。

乗客はアプリで車両を確認でき、事前予約やリアルタイムでの乗車予約、あるいは出勤日の毎日午前9時といった定期的な乗車予約も可能だ。

Eclipse VenturesがリードしたRideCoのシリーズAは、創業以来7年間で初の機関投資家からの資金調達だ。グルラジャン氏によると、これはいくつかの要因のためで、まずRideCoは最初の数年間、中核となるテクノロジーの構築と、特定のユースケースを解決するためのベータ版顧客とのテストに注力していた。

RideCoは、製品を市場に投入する準備ができたとき、まだ製品と市場の適合性がないことに気がついた。

「市場に出てみると、この製品に興味を持つ顧客はいましたが、全体として市場はまだ準備ができていませんでした」と同氏は話した。「アプリ主導の交通機関であるものにはまだ不安があったようですが、2018年末ごろからすべてが変わり始めました。サンアントニオのような大都市との契約がいくつかあり、それらはコスト削減と住民のモビリティ向上の観点で大成功を収めました」。

それ以来、RideCoはカルガリーやヒューストンのような大都市からオンタリオ州コブールのような小さな町まで、米国とカナダのあちこちの都市に進出している。パンデミックで交通機関が、乗客の需要パターンの変化に柔軟に対応することや、近代的ですぐに反応するネットワークへの要望に応える新しい方法を考え始めたことも、RideCoの成長を加速させたとグルラジャン氏はいう。

この1年間で、RideCoの顧客数は2倍になったが、同社はその成長の基盤を明らかにしていない。

主要な競合相手であるViaが、オンデマンド輸送のプロバイダーというよりも、総合的な輸送技術プロバイダーとして提供するサービスを多様化させている中で、RideCoはオンデマンド輸送の提供を強化している。技術の類似性から2021年に互いに特許侵害訴訟を起こしたこの2社は同じ年に設立されたが、ViaはRideCoよりもはるかに多くの市場シェアを獲得している。

RideCoは、黎明期にあるこの業界で、まだシェアを切り開くことができるかもしれない。米国とカナダの交通機関の約16%がすでにオンデマンド交通を提供しており、この数値は他の共有モビリティの形態とともに増え続けると予想される。RideCoは、現在の勢いを維持する必要がある。

画像クレジット:RideCo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルが広告の重要性を強調し、AndroidにPrivacy Sandboxを導入する計画を発表

Google(グーグル)のChrome(クローム)ブラウザに導入されたPrivacy Sandbox(プライバシー・サンドボックス)のイニシアチブは、必ずしも完璧な成功を収めているわけではないものの、オンライン・プライバシーに関して、そして広告エコシステムにおけるGoogle自身の役割について、健全な議論を巻き起こしたことは間違いない。現在、Chromeにおけるこの取り組みの多くは依然として流動的だが、Googleはこれらのツールの多くをAndroid OSにも拡大することを計画している。これは広告業界に重大な影響を与えることになるだろう。

とはいえ、まだ広告エコシステムに関わっている人たちが絶望する必要はない。Googleによると、これらの新しいシステムをテストする間、現行のシステムは「少なくとも」あと2年間は有効のままになるとのこと。

通常、Androidでは、広告主はGoogleの広告IDを利用して、パーソナライズされた広告を提供したり、アプリケーション間でユーザーの行動を追跡したりする。これによって広告主は、例えば、あなたが商品を購入したのは、あなたがクリックした広告によるものだと、判断することができるというわけだ。簡単に言えば、広告IDはAndroid版のCookieと考えてよいだろう。ユーザーはAndroidの「広告」設定から、広告IDを削除することにより、この機能をオフにして、パーソナライズされた広告を拒否することができる。広告IDを削除すると、Googleは親切にも、広告が多くのサービスの無料化に貢献していることを気づかせてくれる。そしてそれこそが、Googleが今回の変更を行う理由でもある。

この発表に先立って行われたブリーフィングで、GoogleのAndroidセキュリティ/プライバシー担当プロダクトマネジメントVPは、特に広告の重要性を強調した(もちろん、広告はGoogle自身の収益においても大部分を占めている)。

「このエコシステムにとって重要な機能を強調することは有益なことです」と、VPは語った。「広告IDのようなツールは、より適切な広告体験の提供や不正行為への対処などに役立ちます。また、現在私たちがモバイルアプリで楽しんでいる無料コンテンツやサービスの多くを可能にするためにも役立っています。ですから、次世代のモバイル技術を構築する際には、こうした機能が確実にサポートされるようにすることが重要なのです」。

ここで問題となるのは、もちろんApple(アップル)だ。アップルは、Googleのチームが極めて露骨な手段と見なすようなものを使って、本質的にトラッキングを不可能にしている。これはプライバシーにとっては好都合だが、広告主は絶望の中から必死に這い上がって、あなたの行動やデバイスを追跡する新しい方法を考え出し、有益なトラッキングデータを手に入れようとするだろうと、Googleは主張する。しかし、Meta(メタ)が、アップルのポリシー変更によって、2022年には100億ドル(約1兆1500億円)の広告収入を失うだろうと述べたという事実は、Googleの主張を否定するようにも感じられる。Metaがこの問題を回避する良い方法を見つけられないのであれば、他の誰が見つけられるというのだろう?

そこで、Chromeと同様に、Googleはユーザーのプライバシー保護と広告エコシステムの維持という両方を実現しようとしているのだ。念の為にはっきりさせておくと、Googleは自社の広告システムも、サードパーティの広告主と同じルールに従うとしている。

今回の提案の中には、GoogleがChromeで行ってきたことをベースとするものがある。その中には、FLoC(フロック、コホートの連合学習)に代わって最近導入されたTopics(トピックス)や、個体識別子に依存することなく、広告主が独自に定義した「カスタムオーディエンス」に基づいて広告を表示することができるシステムのFLEDGE(フレッジ)が含まれる。

アトリビューションレポートなくして現代の広告エコシステムはありえないため、Googleはここでも新しいシステムを提案し、広告主が必要とするデータを提供し続けながらも、ユーザーのプライバシーを改善することを約束している。

また、開発者向けのSDKでは、サードパーティの広告コードを分離し、アプリ自体のコードとは別に実行されるようにする予定だ。現時点では、これはAndroid 13のみの機能になるようだ。なぜなら、これらの新しいプライバシー機能に加えて、あらゆるSDKに追加のセキュリティ保証を提供するという両方を重視した、全体的に異なるSDKアーキテクチャが必要だからだ。

Googleは、この新しいシステムについて、広告業界と連携していきたいと述べている。これまでのところ、これをサポートする意見は、広告エコシステムではなくアプリ開発者から多く寄せられている。

画像クレジット:rylan9 / Getty Images
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

あらゆるアプリを「スーパーアプリ」に変えるAppboxoが約8億円を調達

ミニアプリとは、より大きなアプリの中で動作する軽量のプログラムのことで、ユーザーのエンゲージメントと収益の追加的な源泉として機能する。ミニアプリは、WeChat、Alibaba、Grabなどの「スーパーアプリ」によって普及した。しかし、すべての開発者がこれらのハイテク企業のリソースを持っているわけではない。シンガポールを拠点とするAppboxo(アプボクス)は、この競争の場を均等にしたいと考えている。このスタートアップのプラットフォームでは、ミニアプリを自分で作ったり、サードパーティの開発者向けマーケットプレイスであるAppboxo Showroomからミニアプリにアクセスしたりして、開発者は自分のアプリをスーパーアプリに変えることができるのだ。

GCash(ジーキャッシュ)、Paytm(ペイティーエム)、VodaPay(ボダペイ)などを顧客に持つAppboxoは、米国時間2月16日、RTP Global(RTPグローバル)が主導するシリーズA資金調達で700万ドル(約8億円)を調達したことを発表した。その他、最初の投資家であるAntler(アントラー)と500 Southeast Asia(500ソースイースト・アジア)に加え、SciFi VC(サイファイ・VC)、Gradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)(GoogleのAIに特化したベンチャーファンド)、エンジェル投資家のHuey Lin(ヒュー・リン)氏とKayvon Deldar(ケイボン・デルダー)氏といった新しい支援者が参加した。

Appboxoは、2019年にCEOのKaniyet Rayev(カニエト・レイエフ)氏、CTOのNursultan Keneshbekov(ヌルスルタン・ケネシュベコフ)氏によって設立された。TechCrunchが最初に取り上げたのは2020年12月でシード資金を発表したときだった。現在、東南アジア、インド、南アフリカの10のスーパーアプリに採用され、400以上のミニアプリの統合をサポートしており、その大半はサードパーティの開発者によって構築されたものである。同社によると、統合されたユーザー数は5億人以上とのこと。

同社は、主に2つの製品を提供している。1つは、ミニアプリを構築・起動するためのSDKやAPIを備えたSaaSプラットフォーの「Miniapp」例えば、モバイルウォレットは、フードデリバリー、ショッピング、レストラン予約などのミニアプリを統合することができる。

2つ目は、約1年前に登場した「Shopboxo」で、企業はモバイルデバイスを通じてカスタマイズ可能なオンラインストアを30秒以内に立ち上げることができる。

Shopboxoで作成したミニアプリは、Appboxoを通じてスーパーアプリに統合することができる。レイエフ氏は、中小企業の幅広い加盟店ベースにリーチできることで「特にAppboxoの顧客はすでにeコマースを中心に同社のプラットフォームを使用しているため、2022年はミニアプリの数が数千に拡大する」と予想している。「金融系スーパーアプリは、新しい垂直方向への多様化を望んでおり、現在の状況では、eコマースが最も明白な機会であり、最も実行しやすいように見えます」と語る。

レイエフ氏は、AppBoxoの新たな資金調達は、Shopboxoをさらに発展させ、同時に加盟店エコシステムを拡大し、国際的なプレゼンスを構築するために使われるとTechCrunchに語っている。当初は、スーパーアプリが最も優勢なアジア太平洋地域に焦点を当てるが、ヨーロッパと米国にも進出したいという。

画像クレジット:AppBoxo

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(文:Catherine Shu、翻訳:Akihito Mizukoshi)

チーム内とチーム間での作業を自動化して進めるAsanaの新ワークフローツール群「Asana Flow」

Asana(アサナ)は常にチームのプロジェクト調整を支援してきたが、その歴史の大部分は、個々のチームに特定のタスクセットを完了まで管理するためのツールを提供することだった。米国時間2月15日、Asanaは、チーム内およびチーム間で作業を自動化して進める新しいワークフローツール群「Asana Flow(アサナフロー)」を発表した。

ワークフローツールは、プロジェクトを完了に導く手順を定義するプロジェクト計画ツールとは異なり、作業を論理的に進めるためのツールだ。Asanaの最高製品責任者であるAlex Hood(アレックス・フード)氏によれば、このツールでプロジェクトマネージャーは、単純にタスクを割り当てるのではなく、プロジェクトを完了および承認するためのすべてのステップ、データ、ツールを含む再利用可能なワークフローを作成できるという。

フード氏は、Asanaの核心はプロジェクト管理ツールであり、ワークフローとは、ある意味、繰り返し行われるプロジェクトのことだという。とはいえ、新製品では、その機能を拡張し、プロジェクト内での作業の流れを自動化しようとしている。

「今回発表するのは、プロジェクトを単に繰り返し実行するだけではない、テーラーメイドのワークフロー機能です。実際には、チーム内でのワークフローの受け渡しを計画するためのUIですが、クロスファンクショナルチーム間でのすべての受け渡しを含む、さまざまな人が使用するすべての統合機能が含まれています」とフード氏はいう。

ワークフロービルダーのUI(画像クレジット:Asana)

新しいワークフロービルダーを使えば、プロジェクトの担当者はコンポーネントをドラッグ&ドロップすることでワークフローを作成し、チーム間で流れる自動化されたプロセスのセットを構築することができる。また、ユーザーがワークフロー内のデータや受け渡しポイントを定義することで、仕事をよりスムーズに進め、仕事に関する議論を減らし、自動化された方法で進めることができるようになる。

ワークフローには、Salesforce(セールスフォース)、Slack(スラック)、PowerBI(パワーBI)、Zoom(ズーム)などの一般的なツールや、Dropbox(ドロップボックス)、Adobe Creative Cloud(アドビクリエイティブクラウド)などのコンテンツソースと連動するコンポーネントを含めることができる。また、必要に応じてカスタムアプリを作成し、標準の統合機能に含まれていない社内システムやカスタムツールを使って仕事を進めることも可能だ。

Asanaは一般的なワークフローテンプレートのライブラリを作成しているのでそれを基にワークフローを作成することもできるが、自身で自由にワークフローのテンプレートを作成して、社内の誰でも使用できるようにライブラリに追加することもできる。将来的には、企業がこれらのテンプレートを組織外で共有できるようになるかもしれない。

作業はワークフロー内で進行するにつれて、その作業を実行しなければならない個々の従業員に割り当てられる。また、各従業員用のページが作成され、進行中、完了済み、または処理が遅れているといった、注意が必要な作業が確認できるようになっている。フード氏は「ホーム画面は、会社の目標に基づいて、何が緊急で重要かを判断するのに役立ちます。また、自分が関与しているワークフローの緊急性も判断できます」という。

新しいワークフローツールは、同社が構築してきたAsana Work Graph(アサナワークグラフ)の論理的拡張であり、人、データ、仕事、あるいはミーティングのメモや文書のような仕事の構成要素などのあらゆる要素の組織内でのつながりを理解し、利用することを可能にする。

画像クレジット:Rudzhan Nagiev / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

グーグルのInboxを復活させてSlackも混ぜたメールクライアント「Shortwave」

Google(グーグル)による「Inbox」の実験は、それが続いていた間は輝かしいものだった。2014年に招待制のサービスとして開始されたInboxは、同社の次世代のメールクライアントだった。あまりにも優れていたため、Googleが2019年にサービスを終了させたことも意外ではなかった。しかし、ありがたいことに、Google / Firebase(ファイアベース)の元従業員グループが現在、Inboxの体験を復活させている……Slack(スラック)のユーザー体験も少し混ぜて。

Shortwave(ショートウェーブ)のAndrew Lee(アンドリュー・リー)CEO、Jacob Wenger(ジェイコブ・ウェンガー)CPO、Jonny Dimond(ジョニー・ダイモンド)CTOは、全員が以前、GoogleでFirebaseを担当していた。同社の初期から働く社員たちの多くも同じだ。

  1. conversation

    画像クレジット:Shortwave
  2. channel

    画像クレジット:Shortwave
  3. inbox

    画像クレジット:Shortwave

Inbox for Gmailと同様に、Shortwaveは基本的にGmailを中核とするメールクライアントであり、ユーザーは両者を簡単に行き来することができる。しかし、それ以上のものでもある。それは2022年に向けて再考されたInboxのようなものだと考えればよい。

リー氏が筆者に話してくれたように、同社のチームはInboxから2つの重要なインスピレーションを得た。「1つは、メールをグループ分けして処理するべきという考え方です」と、リー氏は述べ、Inboxのトピックごとにメールを束ねる機能を引き合いに出した。「受信箱の中でメールの量が増えると、すべてのメールに目を通すのは現実的ではありません。キーボードショートカットを駆使し、アプリが高度に最適化されていたとしても、すべてのメールに目を通すだけで長い時間がかかります」。例えば、カレンダーの通知のような自動化されたメールが届いても、招待はカレンダーですでに受け入れている場合があるだろう。そこで、数回のクリックですべてのメールを既読にしたり、スヌーズして後で見るようにしたりすれば、時間を大幅に節約できる。

画像クレジット:Shortwave

さらに、チームは「受信箱は、好むと好まざるとにかかわらず、ToDoリストである」という考えのもと、Shortwaveを開発した。「そうすると、ユーザーにToDoリストのように管理するツールを提供するか、あるいは頭の中で管理することを強要するかのどちらかになります」と、リー氏は説明する。「彼ら(Inboxの開発者たち)は、Inboxに文字通りチェックマークを追加して、『これは完了したものとしてマークされているよ』ということを表現するなど、ToDoリスト型の機能を追加しました。我々も同じことをしました」。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveでは、例えばメールを受信箱の一番上に固定することができる。筆者にとって、これはGmailのスター機能を使うよりも良い方法だが、これは個人的な好みの問題かもしれない(私はよくメールにスターを付けるが、その後、そのメールに戻ることはまずない)。また、必要に応じて受信箱内のメッセージを並べ替えたり、自分で作成したバンドルに整理したりすることもできる。

現代のメールクライアントに期待されるような、メッセージをスヌーズする機能も備えている。

Inboxのユーザー体験に加えて、チームはSlackのような最新のチャットクライアントの機能も実装した。例えば、GIFや絵文字を使って返信することができるなど、ShortwaveにはSlack風のリアクション機能が搭載されている。また、グループ会話用のチャンネルや通常の@メンションなど、特にビジネスシーンでのグループ会話を容易にするためのさまざまな機能も用意されている。

会話に参加している全員がShortwaveを利用している場合は、入力中を伝える通知も届き、他の人がオンラインにいるかどうかも確認できる。

筆者は数日前からShortwaveを試しているが、確かにこれは初期のInboxを思い出させる(ただし、iOSアプリとは異なり、Androidアプリはまだ少し粗い部分があり、チームもそれを認識している)。

リー氏の話によると、チームは主にビジネスユーザーをターゲットにしているという。また、誰でも無料でサービスを利用できるが、90日以上のメール履歴をサービスに残したい場合は有料になるという、Slackのようなマネタイズモデルを採用している。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveは米国時間2月15日、シリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)の資金を調達したことも発表した。このラウンドは、実はチームが製品開発に着手した直後の2020年4月にクローズしており、USVLightspeed(ライトスピード)が主導し、共同創業者たちも出資した他、Flybridge Capital(フライブリッジ・キャピタル)とAfore Capital(アフォア・キャピタル)が参加した。また、Mercury(マーキュリー)のCEOであるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏、Segment(セグメント)の創業者であるPeter Reinhardt(ピーター・ラインハート)氏とIlya Volodarsky(イリヤ・ヴォロダースキー)氏、Voyage(ボヤージュ)の創業者であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏など、多くのエンジェル投資家も出資している。

画像クレジット:SKrow / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AkamaiがLinodeを1040億円で買収

米国時間2月15日、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)のプロバイダーとして知られ、セキュリティやエッジコンピューティングのサービスも提供しているAkamai(アカマイ)が、Linode(リノード)の買収発表した。買収金額は9億ドル(約1040億円)で、AkamaiはLinodeが2022年の会計年度中に約1億ドル(約115億6000万円)の収益をもたらすと予想している。

2003年にローンチしたLinodeは、手頃な価格で仮想プライベートサーバー(VPS)をレンタルできるサービスとして、瞬く間にその名を広めた。それは、AWSがクラウドコンピューティングを流行語にする少し前のことだが、当時は自分のウェブサイトや基本的なウェブアプリをホストするには、VPSが適していたのだ。それ以来、ハイパークラウドやDigitalOcean(デジタルオーシャン)のような競合他社が出現し始めたため、Linodeは提供するサービスを拡大し続けた。競合他社とは異なり、Linodeは自己資金で創業し、外部からの資金調達を一切行わなかった。

現在、Linodeは開発者が期待するようなすべてのコアクラウドサービスを提供している(初期のVPSプロバイダーのほとんどがそうしている)。これには、計算処理だけでなく、ブロックおよびオブジェクトストレージ、マネージドデータベース、ロードバランサー、そして最近では、コンテナ化されたアプリケーションを実行するためのマネージドKubernetesサービスも含まれている。

画像クレジット:Linode

Akamaiによれば、この買収は「クラウドからエッジまで、世界で最も分散されたコンピュートプラットフォームになる」ためだという。

AkamaiのCEOで共同創業者であるTom Leighton(トム・レイトン)博士は発表の中で「Linodeの開発者フレンドリーなクラウドコンピューティング能力と、市場をリードするAkamaiのエッジプラットフォームおよびセキュリティサービスを組み合わせる機会は、Akamaiに変革をもたらします」と述べている。さらに彼は「Akamaiは20年以上にわたってエッジコンピューティング事業のパイオニアでしたが、本日クラウドからエッジまでのアプリケーションを構築、実行、および確保するための独自のクラウドプラットフォームを生み出すことで、弊社の歴史に新しいページを加えられることに興奮しています。これは開発者にとって大きな勝利です。開発者は、これまでにないスケール、リーチ、パフォーマンス、信頼性、セキュリティを提供するプラットフォーム上で、次世代のアプリケーションを構築することができるようになるのです」と続ける。

Linodeは当面はこれまで通りの運営を続ける予定で「私たちを成功に導いたものを(Akamaiは)変えるつもりはありません」と述べている。

Linodeの創業者、Christopher Aker(クリストファー・エイカー)氏はこう語る「AkamaiとLinode の間には、互いの使命や文化だけでなく、持ち寄れる強みを組み合わせることで生まれる自然な相乗効果があります。Linode のコンピュートおよびストレージ製品と、アカマイのサーバーレス、CDN、およびセキュリティソリューションを組み合わせることで、お客様は次世代のアプリケーションを構築、更新、拡張するための幅広いサービスを利用できるようになるのです」。

Linodeとは異なり、Akamaiはこれまで開発者向けのセルフサービス型 SaaS 製品をあまり提供してこなかったが、いまや市場ではかなり期待されている。今回の買収によって、Akamaiは、過去に多少のセキュリティ上のミスはあったものの、多くの開発者から長年にわたり本業・副業を問わず利用されてきた高評価の企業を手に入れ、この分野の足場を固めることになる。

今後の計画については、両社に問い合わせているところだ。

画像クレジット:Suzanne Kreiter/The Boston Globe via Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

消費者を守るために、米国議会はアプリストアのサプライチェーンを保護するべきだ

2022年2月上旬、ユーザーの携帯端末に未審査のアプリケーションをインストールできるようにすることなどを端末メーカーに義務づける法案「Open App Markets Act」が、米国上院司法委員会で承認された

この法案は、スマートフォン黎明期から続く、公式アプリストアからしかアプリケーションをインストールできない「壁に囲まれた庭」のようなアプリ流通モデルに対峙する。多くの人が、アプリストアの競争によって消費者にもたらされる潜在的な利益に注目しているが、本法案の一部は、監視されていないルートでのアプリ配信を可能にすることで、意図しない、しかし潜在的に重大なデバイスセキュリティのリスクを導入するものだ。

今日の「壁に囲まれた庭」モデルからの脱却は、ユーザーに新たなセキュリティリスクをもたらし、ユーザーはより多くの悪質なアプリが存在するストアを利用することになるかもしれない。Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)などの大手ソフトウェア企業が運営するアプリストアでは、販売するアプリにマルウェアや脆弱性がないかどうかを審査している。

このような審査は、特に人による審査がない場合、不完全である可能性があるが、これらのストアの管理された性質は、悪意のあるサイバーアクターがアプリを使用してユーザデータを盗んだり詐欺を行ったりする能力を大幅に低下させる。

これに対し、中国に多く存在するような規制の緩いアプリストアは、マルウェアを含む危険なアプリの温床となる。最も基本的なセキュリティチェックが行われていない規制の不十分なアプリストアは、データを盗んだり詐欺にあったりする危険なアプリをユーザーが簡単にダウンロードできるようになるため、消費者のリスクが増大する。

アプリストアは、現代のソフトウェアサプライチェーンの中心的な役割を担っている。アプリストアが消費者に提供するアプリは、私たちの日常生活に欠かせないものであると同時に、非常に機密性の高いデータと結びついている金融、健康、個人向けサービスなどを含んでいる。

個人および中小企業は、大企業が自社のデバイスにインストールできるソフトウェアを管理するためにつかうのリソースを持たないため、悪意のあるアプリによってデータを盗まれたり、詐欺にあったりするリスクが高くなる。

例えば、最近のFlubotマルウェア攻撃は、標的型テキストメッセージを利用して受信者に不正アプリをダウンロードさせ、攻撃者が金融情報を盗み出したりメッセージを傍受したりすることを可能にするものだった。このマルウェアは、Googleのアプリストア以外からのアプリのインストールを許可するようユーザに要求するもので、不正アプリが無防備なユーザにいかに大損害を与えるかを示す例になっている。

Flubotは、危険なソフトウェアを使用して機密データを盗んだり、データの身代金を要求したりする、より大きなトレンドの一部に過ぎない。このような傾向の危険性は、公式ストアのようなアプリ審査やセキュリティスクリーニングがない無規制のマーケットプレイスへの移行によってさらに拡大します。

アプリの自由な「サイドローディング」(公式アプリストア以外からアプリをインストールすること)を許可すると、ウェブ上のどこからでもアプリをインストールできるようになり、さらに大きなリスクが生じる。これにより、ユーザはより多くの無料アプリにアクセスできるようになるかもしれないが、同時に、ユーザを騙してマルウェアが仕込まれたアプリをインストールさせる攻撃の重大な機会を生み出すことにもなる。そのインストールの結果が銀行口座が空っぽの銀行口座であれば、無料アプリは無料とは言えない。

幸いなことに、米国議会は、消費者であるエンドユーザーを保護するために、新しいアプリストアに対してセキュリティ基準を課すことができる。

まず、アプリストアに対して、人間によるレビューを含む、基本レベルのセキュリティレビューとアプリの監視を義務付けることができる。人間による審査は、アプリが使用する権限がアプリの広告を反映していることを確認するのに役立ち、悪意のあるアプリが想定外のことを行うのを防ぐのに不可欠なステップとなる。

第二に、米国やその他の政府は、無制限の「サイドローディング」を義務付ける計画を断念すべきだ。一般的なエンドユーザが、付随するセキュリティリスクを理解しないまま、数回のクリックで未知のアプリをインストールできるとしたら、そのリスクはあまりにも大きすぎる。

最後に、悪意のあるアプリをインストールするリスクを減らすために、公式アプリストアにこだわることを選択するユーザもいるかもしれないが、これらのストア以外からアプリをインストールすることにしたユーザは、信頼できないソースからのアプリのインストールをブロックし、オープンウェブや信頼できないアプリストアからのアプリを避けることによって、リスクを減らすために、デバイスの衛生状態をよく保たねばならない。

悪意のあるアプリがもたらすリスクは常に存在するが、政策立案者とユーザは、競争が激化するアプリストア空間がユーザの個人データへの脅威を最小限に抑えることを保証するために、より多くのことを行うことができる。上記のような基本的なセキュリティ基準を既存の提案に追加することで、アプリストアの新たな選択肢がもたらすセキュリティリスクを最小化することができる。

編集部注:執筆者のMichael Chertoff(マイケル・チェルトフ)氏は元国土安全保障長官で、「Exploding Data:Reclaiming Our Cyber Security in the Digital Age」の著者。現在はテクノロジー分野を顧客とするセキュリティおよびリスク管理会社Chertoff Group(チェルトフ・グループ)の会長。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Michael Chertoff、翻訳:Yuta Kaminishi)

Windows 11でAndroidアプリを実行可能に、米国でAmazon Appstoreプレビュー提供開始

2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はAmazon(アマゾン)との提携によって、Windows 11パソコンでAndroid(アンドロイド)アプリを実行するテストを開始した。ただし、その機能を利用できるのはWindows 11 Insider Program(インサイダー・プログラム)に参加しているベータテスターのみで、アプリは50種類ほどに限られていた。そして米国時間2月15日、同社は利用範囲を拡大し、Microsoft StoreにあるAmazon Appstore Previewで1000種類以上のアプリやゲームを提供開始した。

この公開と合わせて、MicrosoftはWindows 11のTaskbar(タスクバー)の改善およびMedia Player(メディア・プレイヤー)とNotepad(メモ帳)アプリのデザイン変更も行っている。

当初、Androidアプリのベータテスターは、AmazonのKindle(キンドル)アプリ、The Washington Post(ワシントン・ポスト)、Clash of Kings(クラッシュ・オブ・キングス)、Coin Master(コインマスター)、Lego Duplo World(レゴ・デュプロ・ワールド)などのアプリを試すことができた。この体験は、新しいWindows Subsystem for Android(ウィンドウズ・サブシステム・フォー・アンドロイド)を利用したAndroidプラットフォーム上に構築されており、IntelのBridge Technology(ブリッジ・テクノロジー)を基盤としている。AMDとIntel両方のデバイスに対応しているが、Windows 11の動作要件を満たしていることが条件だ。

Amazon Appstore Previewの利用可能範囲拡大は、技術面の準備作業が必要だったため2月15日午前から公開が始まっている。ただし、完全に統合された体験はまだ提供されていない。

これで米国のWindows 11ユーザーは、Amazon Appstore PreviewをアクセスしてAmazonと提携している1000種類以上のアプリとゲームをダウンロードできるようになる。Audible(オーディブル)、Subway Surfers(サブウェイサーファーズ)、Lords Mobile(ロードモバイル)、Khan Academy Kids(カーン・アカデミー・キッズ)などだ。利用するためには、まずMicrosoft Storeを開き、アップデートする必要がある(Microsoft Store > LibraryからGet Updatesをクリック)。そこでお気に入りのアプリやゲームを検索して、Amazon Appstore経由でダウンロードできる。アプリはWindowsの一部と感じられるように動作するというコンセプトなので、Windowsの入力やスナップ機能などのウィンドウ操作とも統合される。

 

タスクバーの改善も本日公開される。Windows 11でデザイン変更されたタスクバーは、数多く苦情受けており、ユーザーは画面の下に固定され、ユーザー独自のショートカットを追加できないタスクバーに不満をもっている。Microsoftはフィードバックに耳を傾け、その問題を修正する予定だが、この日のアップデートは別の問題に対応するためのものだ。

第2モニター上のタスクバーにも時刻と日付が表示され、タスクバーの左端にライブの天気情報が表示されるようになった。Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)のユーザーは、タスクバーからミュート / ミュート解除やウィンドウ共有ができるようになり、ビデオ会議がスムーズに行えるようになる。

これらの機能は当初、2022年2月のセキュリティ以外のプレビューリリースで提供される予定だった。

一方、Media Playerは、キーボード愛好家のためにショートカットキーとアクセスキーが強化された他、アクセシビリティ機能が改善された。NotepadアプリにはWindows 11のDark Mode(ダーク・モード)機能を受け継いだ新しいユーザーインターフェースが加わり、メニューの簡易化、複数レベルのundo(やり直し)、カラフル絵文字対応、検索・置換の体験改善などが行われた。

こちらのアップデートは、Settings > Update & Security > Windows UpdateからCheck for Update(更新の確認)で要求できる。

Microsoftは、2022年にはWindows 11を、年次更新に加えて、今以上に更新頻度を高めると言っている。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグル、PCやMacをChromebookに変える「Chrome OS Flex」を発表

Google(グーグル)は米国時間2月15日、事実上すべてのPC(および古いIntelベースのMac)にChrome OSを導入することを目的とした、新戦略の早期プレビューとなるChrome OS Flexを発表した。Googleが2020年に買収したCloudReadyの上に構築されているChrome OS Flexは、既存のデバイスの寿命を延ばしたい企業や教育機関のユーザーをターゲットとしているが、USBドライブにアクセスできる人なら誰でも古いPC、あるいは低消費電力の新しいPCの寿命を伸ばすために使用することができる。そこには、明らかに持続可能性(サステナビリティ)という視点がある。

このアイデアは、Chrome OSの完全な体験を事実上すべてのコンピュータに提供するというものだ。しかし現在のところ、PCのコンフィグレーションは無数に存在するため、すべてのコンピュータでChrome OS体験を実現させることはできない。Googleは認証されたマシン(ほとんどがノートパソコン)のリストを公開しているが、他のマシンでも動作する可能性はある。そして、これを試すのは、Chrome OSが明らかにベースとしている最新のLinuxディストリビューションを試すのと同じくらい難しいことだ。

GoogleのChrome OS製品管理ディレクター、Thomas Riedl(トーマス・リードル)氏は、BIOS(基本出入力システム)にアクセスしてUSBドライブから起動するようにマシンを設定しなければならない場合、消費者にとってインストール体験はまだ少し面倒なものかもしれないと述べている。

画像クレジット:Google

Chrome OSとChrome OS Flexは同じコードベースを使用し、同じサイクルでリリースされる予定だ。ユーザーにとっては、両システムは見た目も使い勝手もほぼ同じになるはずだ。ただし、これはまだ非常に初期のリリースであり、ユーザーはすべてがすぐに完璧に動作することを期待すべきではない、とGoogleは明言している。

Androidアプリについてはどうか。Googleの広報担当者が筆者に語ったように、チームは現在、中核のユーザーエクスペリエンスをできるだけ強固なものにすることに注力しているが、Chrome OS FlexでGoogle Play StoreとAndroidアプリのサポートを追加する予定はない。「ですが、もちろん我々は将来のためにChrome OS Flexを改善する方法を継続的に評価しています」と広報担当者は述べた。

画像クレジット:Google

もしあなたが最新のMacやMacBookを使っているなら、Apple独自のハードウェアがそうしたマシン、特にM1を採用している新しいデバイスにLinuxディストリビューションをインストールすることをほぼ不可能にしているのと同じように、残念ながら対象外となる。ただ、2016年以前のほとんどのデバイスは問題なく動作するはずだ。もし白いMacBookをどこかにまだ持っているなら、今がそのMacBookの上に積もった埃を払う時かもしれない。

CloudReadyに基づいているため、Chrome OS Flexには企業向けのコンポーネントもある。Chrome OSに適用される通常のIT管理能力はすべて、Chrome OS Flexにも適用される。企業は、Chrome OSのライセンスをChrome OS Flexのデバイスに適用することもできる(一方で、以前はCloudReadyは別のライセンス体系を採用していた)。

CloudReadyのメーカーNeverware(ネバーウェア)の元製品担当ディレクターで、現在はGoogleでCloudReadyの製品マネージャーを務めるForrest Smith(フォレスト・スミス)氏は、2016年ごろから、企業がデバイスの寿命を延ばすのにNeverwareのサービスを利用するという考えに注意を向け始めたと語った。

「デバイスの寿命を12カ月延ばしたいという人がたくさんいて、彼らはどんな取引もいとわなかったのです。そして、Chrome OSのエコシステムが本格的に導入された2015年、2016年、2017年の3年間は本当にすさまじく、顧客は『Chromebookが思うように手に入らない』とNeverwareに来ていました」という。

リードル氏は「私にとって本当にエキサイティングなことは、非常に興味深いが独立したソリューションであったCloudReadyとその管理サービスをなんとか手に入れ、今ではシームレスに統合したことです」と話した。「ですので、これらのChrome OS Flexのデバイスは、過去にWindowsあるいはMacを動かしていたとしても、アドミンコンソールに表示されます。つまり、Chromebook、Chromebox、Flexデバイスなど、すべてのデバイスを統一されたインターフェースで管理できます。管理者にとって、ずいぶん簡単になります」。

画像クレジット:Google

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapchatがクリエイターのストーリーにミッドロール広告を導入する計画を発表

刹那的なメッセージングアプリだったSnapchat(スナップチャット)は、クリエイターが利益を上げられるプラットフォームとしての地位を確立しようとしている。米国時間2月14日、同社はSnapStar(スナップスター)と呼ばれる(そのためには申請して資格を得る必要がある)最大のクリエイターたちを対象に、Snapchatのストーリーの中にミッドロール広告を導入する計画を発表した。

Snapchatの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、この機能は、米国を拠点とする少数のクリエイターに向けてごく初期のベータ版がすでに導入されているが、今後数カ月のうちに、Snap Starsを対象にもっと広く展開していく予定だという。これらの広告は、ストーリーの中にミッドロール広告として表示され、クリエイターは広告収入の一部を得ることができる。その報酬は、投稿頻度や視聴者のエンゲージメントなどの要素を加味した支払い計算式によって決定される。Snapchatはこれらの支払いの仕組みなどについて、それ以上の詳細なコメントを控えている。

Snapchatは、TikTok(ティックトック)の類似品的なSpotlight(スポットライト)だけで、2021年に2億5000万ドル(約289億円)をクリエイターに支払っている。クリエイターは、アプリ内のギフト機能や、企業がAR開発者やインフルエンサーとより簡単に提携できるクリエイターマーケットプレイスを通じて、Spotlightでも利益を得ることができる。

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今回のテストは、クリエイターファンドの支払いとレベニューシェアの違いについて、クリエイターの間で継続的に行われている議論を受けて、実施されるものだ。長年YouTuber(ユーチューバー)として活躍し、Vidcon(ビドコン)の共同設立者であるHank Green(ハンク・グリーン)氏は先月、TikTokのクリエイターファンドの規模がユーザー数と同じペースで成長していないことを指摘した。つまり、TikTokのクリエイターがプラットフォームへの貢献に対して得られる収入は、時間の経過とともに少なくなっているということだ。しかも、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)が、1年で580億ドル(約6兆7000億円)もの利益を上げていることを考えれば、2億ドル(約231億円)のクリエイターファンドの規模は(それがたとえ10億ドル[1154億円]に成長することになっていたとしても)わずかなものに感じられる。一方、YouTubeは過去3年間に広告収入から100億ドル(約1兆1540億円)の分配を支払っている。しかしそれと同時に、TikTokやSnapchat Spotlightのような短い動画形式のプラットフォームに、YouTubeと同じくらい多くの広告が入ったら、とても使っていられないと感じるだろう。

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Snapchatはこのテストで、クリエイターファンドとレベニューシェアの両方のモデルを組み合わせようとしている。しかし、この機能がクリエイターにとってどれほど有益なものになるかは、支払いの仕組みが謎のままでは何とも言えない。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

営業担当者がその顧客のエキスパートになるための洞察を提供するDatabookが約57億円を調達

Databookの共同設立者でCEOのアナンド・シャー氏(画像クレジット:Databook)

2021年4月にシリーズAで1600万ドル(約18億円)を獲得した、AIを活用したコンサルティング型セールスインテリジェンス企業であるDatabook(データブック)が、今度はシリーズBで5000万ドル(約57億円)を獲得した。

パンデミック3年目でリモートワークが続く中、営業担当者の88%が「現在の経済状況では顧客のニーズを予測することが重要」と感じているとSalesforce(セールスフォース)は指摘する。しかし、営業担当者は、経営幹部へのセールスに必要な戦略的洞察、関連するビジネスユースケース、パーソナライズされたコンテンツが不足していることが多い。

そこでDatabookの出番だ。同社は、営業担当者が顧客の専門家になれるようなツールを、ボタンをクリックするだけという形で提供している。Databookの顧客基盤は現在、毎年3000億ドル(約34兆円)超の売上高を生み出しており、Salesforce、Microsoft(マイクロソフト)、Databricks(データブリックス)などのエンタープライズ企業がこの技術を利用して顧客の購買体験を向上させ、結果として収益獲得を増やしている。

「Databookのプラットフォームは、営業担当者のビジネスセンスを高め、アカウントの優先順位付けを支援し、営業活動全体を解決しようとするビジネス上の問題に正面から取り組むためのものにする強制機能です」と、Salesforceのエンタープライズセールス担当AVP、Frank Perkins(フランク・パーキンス)氏は文書で述べた。「Databookは、アカウントプランニングの方法と、担当者がアカウントに売り込むための準備に革命をもたらします。そして、これらすべてを一般的な営業担当者が完全にアクセスできる方法で行います。ゲームチェンジャーです」。

MicrosoftのベンチャーファンドM12はシリーズAをリードし、Bessemer Venture Partnersが主導する今回の応募者多数のシリーズBラウンドにも参加した。さらに、DFJ Growth、既存投資家であるThreshold Ventures、Salesforce Ventures、Haystackが参加している。

Databookの共同設立者でCEOのAnand Shah(アナンド・シャー)氏は、こんなに早く追加資金を調達するつもりはなかった、と電子メールを通じて語った。実際、同社は過去4年間で3倍の売上成長を見せており、その多くはマーケティング費用をほとんどかけずに得た需要だ。

「当社の財務内容は健全で、当社の規模とステージとしてはユニークで強固なものですが、イノベーションと新規顧客開拓のスピードを支えるべく採用を加速させるために、今すぐ追加資金を調達することにしました」とシャー氏は付け加えた。

同ラウンドの主導権を争う投資家が多数いたにもかかわらず、Databookが以前から知っているBessemerを選んだ理由について「優れた実績を持つナンバーワンのクラウドSaaS投資家」であり「当社の今後をかなり支援できる広範な投資およびポートフォリオ運用チームを抱えています」とシャー氏は述べた。

同氏は、今回の資金を3つの方法で活用する意向だ。1つ目は、製品、エンジニアリング、営業、マーケティング、カスタマーサクセスなど、事業の全部門での雇用だ。2つ目は、銀行、生命科学、小売、消費財などの新しい業界への進出だ。これらの業界はすべてデジタル化の影響を受けており、顧客関係管理への投資を行い、営業担当者が顧客について十分な情報を持ち、効果的に販売するために十分な時間が必要だと考えていると、同氏は指摘する。

Databookの顧客は、官民4万4000社のグローバルデータセットを活用している。このため、3つ目の資金活用分野として、欧州とアジア太平洋地域への事業拡大、営業およびマーケティングチームへの投資を行う。これは元アクセンチュアのPeter Zuyderduyn(ピーター・ザイダーダイン)氏を2021年に欧州地域のゼネラルマネージャーに任命したことを補完するものだ。

今回の資金調達は、同社にさまざまな変化が起きている中で行われた。シリーズAラウンドから評価額は5.5倍になり、従業員数も2倍に増えた。さらに、同社は2021年を売上高350%増で終え、第4四半期は複数の7桁の取引成立を受けてこれまでで最も好調な四半期となった、とシャー氏は述べた。

「これは、当社のビジネスと顧客基盤の急成長を直接証明するものです」と同氏は付け加えた。「当社の従業員の38%はこれまで過小評価されてきたコミュニティ出身者で、今後も採用を続けるなかで、多様性、公平性、包括性にいて高い水準を保つことを約束します」。

従業員の増加は役員レベルにも及んでいる。元Google社員のNeil Smith(ニール・スミス)氏が最高技術責任者に、Tamar Shor(タマール・ショア)氏がTreasure Dataを経て製品担当上級副社長に、そして元SalesforceのBruno Fonzi(ブルーノ・フォンジ)氏がエンジニアリング担当副社長に就任した。

一方、Databookはコンサルティング型セールスインテリジェンスのパイオニアであり「今、企業のB2Bセールスが優先している」この新しいカテゴリーのリーダーであり続けている、とシャー氏は話す。アカウントベースのテクノロジーやセールストレーニングに莫大な投資を行っているにもかかわらず、法人向けソフトウェアは依然として非効率で、収益の平均41%が営業とマーケティングのチームに費やされている。シャー氏は、Databookを使用する営業チームは、平均して3倍のパイプラインを達成し、2倍近くの案件を生み出し、サイクルタイムを1.5倍速くしていると推定している。

「企業は将来に向けて、企業におけるデジタル販売の役割を見直す必要があります」と同氏は話した。「顧客価値と信頼を生み出すには、市場開拓チームのメンバー全員が、特定のビジネス成果を解決する完全なソリューションで買い手と売り手を調整することで、戦略的なコンサルタントとして機能する必要があります」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、最初のAndroid 13開発者プレビュー版をリリース

スケジュールどおり、Googleは米国時間2月10日、Android 13の最初の開発者向けリリースを発表した。この超初期リリースは、開発者向けのものであり、OTAアップデートでは利用できず、一般的にユーザー向けの変更はあまり多くない。今回もそうだが、この初期リリースでもAndroidスマートフォンの使い方に影響を与えるいくつかの変更が行われている。

Android 12と異なり、Googleは2回の開発者向けリリースを実施した後、2021年よりも1カ月早い4月にベータ版をリリースする予定だ。同社のロードマップによると、Android 12は10月初旬にリリースされたが、最終リリースは8月になる可能性がある。

これらはすべて、大画面デバイス向けのAndroidリリースであるAndroid 12 Lもまだ開発中の間に行われているが、Googleはこれらの機能の一部(Chromebook上でのタブレット、フォルダブルアプリ、Androidアプリのサポートの改善が含まれる)をAndroid 13にも搭載する予定だという。

画像クレジット:Google

Android 13で最も目に付く変更点の1つは、Googleが「Material You」のダイナミックカラー機能をすべてのアプリアイコンに導入することだ。デフォルトでは、この機能はホーム画面の画像からヒントを得る。開発者は、この機能を動作させるためにモノクロのアプリアイコンを提供する必要があるが、多くの開発者は、テーマ付きとテーマなしのアイコンが混在する今の状況は見栄えが良いものではないため、提供が望まれている。現時点ではPixel端末でのみ利用可能だが、Googleはパートナーと協力してより多くのデバイスで利用できるようにするとしている。

画像クレジット:Google

これまでのリリースと同様、Googleはプライバシーとセキュリティを重視している。例えば、システム全体に適用される新しい写真とビデオのピッカーを使えば、ローカルデバイスやクラウド上の写真をアプリと共有することができる。すでにAndroidにはドキュメントピッカーが搭載されているが、写真と動画の専用ピッカーは搭載されていない。この機能を利用したい開発者は、新しいAPIを利用することで、アプリがデバイス上のすべてのメディアを表示する許可を求める必要がなくなる。

画像クレジット:Google

同様にGoogleは、アプリが位置情報の許可を求めることなく近くにあるWi-Fiデバイスのリストを簡単に求めることができるようにしている。これまで、この2つは相互に関連しており、位置情報の許可を求めないと近くのアクセスポイントの情報を得ることはできなかった。

Googleは、このAndroid 13で「Project Mainline」を中心とした取り組みを続けている。Project MainlineはGoogle Playのシステムアップデートを通じて、Androidポイントのアップデートをベンダーがユーザーに提供するのを待たずに、同OSをより多くアップデートできるようにするプロジェクトとなる。「既存のモジュールをアップデートすることで、フォトピッカーやOpenJDK 11といった新機能を古いバージョンのAndroidユーザに直接プッシュできるようになりました。また、BluetoothやUltraワイドバンドモジュールといった新しいモジュールも追加し、Androidのアップデート可能なコア機能の範囲をさらに拡大しました」と今回の発表で説明されている。

また、多言語話者向けに、Android 13ではアプリごとに言語設定ができるように、少なくともアプリがシステム言語とは異なる言語を選択できるようになる。そのためのAPIが用意され、GoogleのJetpackライブラリにも同様のAPIが用意される予定だ。

Android 13では、Googleは開発者がQuick Settingタイルを提供していることを簡単に強調できるようにする。これまでにもアプリはカスタムのクイック設定を提供していたが、ユーザーが知らない限り見たことがないだろう。開発者は、この「Quick Settings」メニューにカスタムタイルを直接追加するようユーザーに促す新しいAPIを入手できるようになる。

画像クレジット:Google

その他の新機能として、プログラマブルシェーダのOpenJDK 11 LTSリリースに合わせたAndroidコアライブラリの更新、ハイプされた高速ハイフネーションなどがある。「Android 13ではハイフネーションのパフォーマンスが200%も最適化されているため、レンダリングのパフォーマンスにほとんど影響を与えることなくTextViewsでハイフネーションを有効にできます」とGoogleは説明する。

画像クレジット:Google

Android 13におけるオプトインの変更の多くについて、Googleは今回も、デベロッパーオプションやadb(Android Debug Bridge)からオン / オフを切り替えるトグルのリストを提供し、容易にテストできるようにしている。

いつものように、これらの初期リリースはダウンロードでしか入手できないので、それらを試す場合はシステムイメージをスマートフォンにフラッシュする必要がある(その後、OTAアップデートが提供される)。今回のリリースでGoogleは、Pixel 6 Pro、Pixel 6、Pixel 5 a 5G、Pixel 5、Pixel 4a(5G)、Pixel 4a、Pixel 4 XL、Pixel 4をサポートしている(Pixel 3オーナーのみなさん、すいません)。また、Android StudioのAndroidエミュレーター用のシステムイメージと、それをテストしたいベンダー向けのジェネリックシステムイメージ(つまり、ピュアなAndroid)も用意される。

画像クレジット:BigPappa / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Katsuyuki Yasui)