LinkedIn、初のテレビCMによるとメンバーの300万人が宇宙飛行士の有資格者

linkedin

正直に言ってほしい。子供の頃、宇宙飛行士になりたかった人は何人いるだろうか?もちろん私はなりたかった ― そして、心の中では、今でもなれなかったことを少し後悔している。

今やそれもみんなが思うほど非現実的ではないかもしれない ― 少なくともLinkedInの新しいCMによれば。LinkedInはこれが同社にとって初めてのTVコマーシャルであり、アカデミー賞授賞式の間に放映されると言っている。

広告のメッセージは、LinkedInにサインアップすることよりも、宇宙飛行士になる夢についてが主だ。マーケティング担当VPのNick Bartleはブログ記事で、「次の宇宙飛行士を見つけるためにNASAと協力している」こと、その過程でLinkedInの米国ユーザー中300万人が 有資格者であることがわかったと書いている。

当社のデータは、多くの人たちの願望が、たとえ実現不可能に見える夢であっても、実は達成できることを示している。LinkedInはこうしたキャリアを追及する人たちを目的意識を持って手助けするために存在している。われわれは、強くつながっていることの意味を再定義し、人々のビジョンを実現できるよう努力していく。

LinkedInはメンバー数が4.14億人、月間ユニークビジター数が1億人であることを最近発表した(決算報告の後、将来予測に失望して株価は急落した)。


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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

超いいね、うけるね、すごいね、悲しいね、ひどいね―Facebook、拡大いいね!を世界のユーザーに公開

2016-02-25-facebook-reactions

人間性というのは6種類くらいの感情パターンで要約されてしまうのかもしれない。いくつかの国でのテストの後、Facebookは今日(米国時間2/24)、リアクション・ボタンの拡大を世界の全ユーザー向けに実施した。

この記事も6種類の絵文字を小見出に拝借した解説だ。

Facebook Reactions Animation


Likeいいね(Like)
– Facebookはリアクション・ボタンをできるかぎり広く利用してもらおうとデザインした。そこで今やあらゆる投稿に「いいね」ボタンがついている。今回のアップデートで、「いいね」ボタンにマウスを載せる(モバイルなら長押しする)とボタンが拡大され、他の絵文字アイコンが表示されるようになった。他の絵文字というのは「超いいね(Love)」、「うけるね(Haha)」、「すごいね(Wow)」、「悲しいね(Sad)」、「ひどいね(Angry)」の5種類だ。

アップデート後のFacebookの投稿には、これまでのように「いいね」が押された回数ではなく、「いいね」アイコンに加えて拡大絵文字アイコンが人気順に複数表示され、友達情報を含めてリアクション・ボタンが押された回数の合計が表示される。これは投稿を多数の文字やアイコンでごたつかせたくないFacebookとしてはなかなかスマートな解決法だ。内訳が知りたければマウスオーバーするか画面をタップすれば誰がどんな感情を抱いたかが表示される。

リアクション・ボタンがずらりと表示されないのはスマートだ。絵文字で記事が混雑することもないし、リアクション・ボタンを使いたくなければ別に使わずにすむ。

Love超いいね!(Love) – ニュースフィードのエンジニアリング責任者、Tom Alisonによると、ザッカーバーグ自身が「ニュースフィードの記事に『いいね!』以外の反応を誰でも簡単にフィードバックできるようなボタンが欲しい」と直接指示したのがリアクション・ボタンの拡大のきっかけだという。ユーザーが悲しい、あるいは愉快でない出来事について書くことは往々にしてある。これに「いいね」ボタンを押すことはためらわれるが、それでも共感や同情を表したいときはどうすればよいのか、という問題だった。

たとえばなにか悲しいことがあったときに「いいね」ボタンを押すのは正しい反応とは思えない。「残念(sorry)」とだけコメントするのも何か冷たい感じがする。その点、「悲しいね」の絵文字を送るのは同情ないし連帯感を表明するのによい手段だ。読者の反応が「いいね」しかないのでは投稿はポジティブなものに偏る危険性がある。その点、リアクション・ボタンの拡大はFacebookをユーザーの実生活により近づける可能性がある。


Wow 2うけるね(Wow)
– リアクションの多様化でFacebookは読み手の反応を通じてそれぞれの投稿の感情的意味をさらに正確に知ることができるようになった。われわれが何に「うけるね」と言っているのかを知れば、結局Facebookの知識の精度が上がる。最終的には投稿を選択して表示順序を決定するフィルター・アルゴリズムの改善に大きな効果があるはずだ。

Facebookはこう書いている ―「ある記事でユーザーがこのボタンを押した場合、われわれはユーザーがこのタイプの記事をもっと読みたいと考えていると推定する。短期的にはユーザーがどのボタンを押しても表示には影響しない。しかし長期的には、リアクションボタンが押された傾向がニュースフィードのアルゴリズムを改良し、ユーザーがもっとも関心を持つ記事を表示するのに役立つものと期待している」

「ひどいね」ボタンをよく押すユーザーにはアドレナリンの放出を促すような記事が表示される確率が高くなり、ペットの写真に好意的な反応を示すユーザーには可愛いペット写真がより多く表示されるようになる、ということだろう。

Hahaうけるね(Haha) – われわれはFacebookの投稿へのコメントにLol(笑)を多用する。そこでFacebookはワンクリックで同じ感情を表現できる方法を考えたらしい。リアクション・ボタンの拡大にあたって、Facebookはニュースフィード記事に対する1語のコメントを分類し、どういったものがもっとも人気があったかを調べた。その結果、文化を問わず、世界中で6種類の感情が普遍的だと判明した。

文化背景という点は重要だ。標準的な絵文字を決めるにあたって、Facebookはどんな文化ないし言語圏に所属する人々にも理解しやすく、使いやすくなるよう注意を払った。私は友達の投稿を読んでおおよその意味がわかる程度のスペイン語の知識はあるが、すこしでも複雑な感想となるとどんな言葉を選ぶべきか皆目見当がつかない。しかしリアクション・ボタンがあれば話は簡単だ。友達がそれを見て私の感情を正確に理解してくれることにも確信がもてる。

Sad悲しいね(Sad) – Facebookは「いいね」の拡大にあたって、Pathのアイコンのデザインを図々しくコピーしたと思えるのだが、私の取材に対してFacebookの担当者は他のSNSから影響を受けたことをきっぱり否定した。

考えてみるとFacebookはハーバード大学の寮の一室で誕生したときから、いいものとみればコピーするのをためらわないソーシャル・メディアだった。最近ではTwitterのリアルタイムで人気記事を表示するアルゴリズムを使っているし、コンテンツが短時間で消滅するというSnapchatの特長も取り入れている。

ある種の表現には正しいやり方が1種類しかない場合がある。そういうときにはそっくりのデザインになるのはやむを得ない。特に正しいデザインを見てしまった後では他のデザインを考えるのは難しい。だが悲しいことに、他人から影響を受けたという事実を誰も認めたがらない。

facebook_path_reactions

Angryひどいね(Angry) – 「いいね」は拡大されたが、「いやだね(Dislike)」ボタンは実装されなかった。それで「ひどいね」と思っているユーザーはかなりいるようだ。

Facebook Reactions How To

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クラウドファンディングのCAMPFIREが手数料を20%から5%に大幅引き下げ「小さな声も拾い上げられる場所に」

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国内クラウドファンディングサービスの黎明期にスタートした「CAMPFIRE」が1つ大きなサービスの方向性を示したようだ。サービスを運営するCAMPFIREは2月24日、CAMPFIREのサイトリニューアルを実施。あわせてこれまで20%に設定していた手数料を5%に変更。また審査基準も見直し、より多くのプロジェクトを掲載していくという。

CAMPFIREは2011年のローンチ。ツクルバが手がけるコワーキングスペース「co-ba」の立ち上げを始めとして、さまざまな場所作り、作品作りのプロジェクトを支援してきた。

CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏

CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏

だが最近は彼らのプロジェクトに関する話もあまり聞かなくなったと感じることが多かったし、最近ではサイバーエージェント・クラウドファンディングの手がける「makuake」をはじめとして、クラウドファンディングを新商品のテストマーケティングの場として使うようなケースが増えてきた。

共同創業者であり、2月から同社の代表取締役を務める家入一真氏は、テストマーケティング的なクラウドファンディングの利用について肯定しつつ、「それだけがクラウドファンディングではない。CAMPFIREはクラウドファンディングの原点に立ち返ってサービスをリニューアルする」と語る。ではCAMPFIREが考えるクラウドファンディングとはどういうものか? 家入氏はこう続ける。

「ネットの本質は『声の小さな個人』が声を上げることができることだと思う。例えば家から出られない人、気が弱い人。そんな小さな声だって拾い上げられるの場所こそがインターネット。そういう声を1つずつ拾い上げ、ファンとお金を集めるプラットフォームにしたい。競合がtoBを狙うのであれば、僕らはtoCを取っていきたい。5万円あればギャラリーで個展を開けるといった、個人の『何かやりたい』のを背中を押してあげる場所にしたい。そうすると手数料も取り過ぎだと思った」

そのため、これまで20%取っていた手数料を大幅に削減(とは言え米国のサービスなどは手数料が1桁パーセントなのが一般的だ)。プロジェクトの審査条件も緩和して、小さな個人であっても、ファンを作り、お金を集めやすい場にするという決断をした。20%と5%、大した差でもないと思う読者もいるかも知れないが、例えば100万円集めるプロジェクトで20万円取られるか5万円取られるかの違い、と考えるとその差が大きいことは理解できるのではないだろうか。

思いとしてはすごく共感するところだけれども、気になるのはマネタイズと掲載されるプロジェクトの品質だ。家入氏は「いくつか案は検討しているが、まずは流通総額を伸ばすのが大事。また品質については、『ごった煮』になると思う。でもそこから本当にいいモノが生まれてくる方が夢がある」と語る。

最近では銀行からの融資を断られた納豆メーカーや方眼ノートを制作するも宣伝費用がないという印刷所がソーシャルメディアを通じて注目を集めるなんて話があった。家入氏はそれらを例に挙げて、「クラウドファンディングは、1人1人の声は小さくても、集まったら何かを動かすというもの」だと語る。

加えて家入氏は「そもそもの話で、プロジェクト単位のビジネスモデルから脱却しないといけない」とも語る。さまざまなクラウドファンディングサービスの関係者とこれまで話して僕も感じでいるのだが、今のクラウドファンディングの大きな課題の1つは「プロジェクト」という切り出し方にあると思っている。期間を設定したプロジェクトでお金を集めることはもちろん大事だ。しかしお金が集まり、商品(やサービス)が支援者に届けば終了。その後のコミュニケーションは途絶えてしまう。

もちろんこれに対して各プラットフォーマーは対応手段を検討している。例えば先日紹介したReLicの「ENjiN」は、プロジェクト終了後も同社が出展するECモールにて商品を継続販売するようなアプローチを取るなどしている。具体的な説明はなかったが、CAMPFIREでも同様に継続的な支援ができる、ある種のコミュニティ的な機能を組み込んでいくことも検討しているという。

Facebookがビデオの視聴成績を表す数値項目を増加、ユーザーにより良いビデオを作ってもらうため

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良いビデオは見る人が多いし、Facebookの広告収入も多い。そこでFacebookは今日(米国時間2/18)から、ビデオ作者にビデオの良し悪しを表す数値を提供して、今後もっと良いビデオを作るために、反省すべきは反省していただくことにした。

FacebookのPage Insightを見ると、ユーザーがビデオの視聴に費やした時間や、ビデオを10秒以上見た回数などが分かる。たとえば、長さが10秒以下のビデオは、その97%が見られている。

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投稿ビデオの成績表

これまでFacebookが発表してきた数値は、3秒以上そのビデオを見た人の人数だった。それでは短すぎて何も分からない、という批判が多かった。

そこでFacebookのビデオのPage Insightsは、もっと見やすいデザインに変わり、次の数値が入ることになった:

[New]は新項目

  • 見られた総分数[New]
  • 10秒以上見られた回数[New]
  • 総視聴回数
  • ユニークビューワー数
  • どこまで見たかの平均%
  • オーディエンス滞留率
  • 平均視聴持続時間

ページのアドミンは、これらの数値をSound-On(音あり)とSound-Off(音なし)で比較でき、前からあった、オーガニックと有料の比較もできる。Facebookが最近行ったNielsen調査では、“ビデオキャンペーンの47%はその価値が最初の3秒で表現される”。でも、クリエイターが知りたいのは、どんなビデオならよく見られるのかであり、きれいなビデオはスクロールが遅くなる、なんてことではない。

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数値項目が増える前の古いビデオインサイト

Facebook上のビデオは、毎日の視聴時間が1億時間、視聴回数(ビュー数)は80億と、爆発的だ。誰が何を見ているかに基づいてビデオのリコメンデーションができるだけでなく、意外性に富んだビデオをプッシュできる大きな機会でもある。YouTubeでは人びとが目的意識を持ってビデオを見たり、特定のクリエイターを追ったりするが、Facebookにおけるビデオの視聴は、どっちかというと偶然性のかたまりだ。

しかもその偶然性は、Facebookにとって機会でもある。優れたビデオがたくさん作られているが、個人が知りうる量は少ない。でもその一部がNews Feedに入っていたら、嬉しいだろう。何十億もの人たちが毎日のようにFacebookに病みつきになっているのも、よそでは得られない、友だちからのコンテンツに出会えるからだ。これからは、ビデオの良し悪しがこれらの数値で具体的に分かるから、Facebookはさらに視聴者を稼ぎ、ビデオ作者をより大切にし、YouTubeなどとの競合に勝っていくだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メルカリがCraigslistライクなサービスを準備中——App Storeにて「アッテ」をひっそり公開

screen322x572フリマアプリ「mercari(メルカリ)」を手がけるメルカリがどうやらCraigslistライクなクラシファイドサービス(売ります・買います掲示板のような三行広告が並ぶサービスだ)を準備しているようだ。同社は2月15日付けで新アプリ「メルカリ アッテ」をApp Store上にひっそりと公開している。コーポレートサイトなどでの正式な発表はまだない。

すでに公開中のため僕も早速ダウンロードしてみたのだが、招待制ということでまだサービスを利用できない状況だ(アプリ上から事前登録はできる)。App Store上の説明も「ベータ版のため招待制となっています。アプリインストール後に、事前登録することができます。」と書かれているだけ。

ストア上のアプリ紹介画像には「何でも投稿できる地域コミュニティ」とあり、「あげます・売ります」「メンバー募集・イベント」「下さい 買います」「助けて・貸して・教えて」「助けます・貸します・教えます」「賃貸・ルームシェア」「求人」といった文言が並ぶ。これはそう、まさにクラシファイドサービスだと考えていいだろう。

クラシファイドサービスの元祖とも言えるCraigslistも東京版(英語版のみ)を用意しているが、日本ではジモティーが運営する「ジモティー」がこの領域のプレーヤーとして有名なところだろうか。ほかに画像から分かる範囲では、手数料は0円、副業やおこづかい稼ぎの案件も掲載できるようだ。またアプリ上のチャットにおいて当事者同士でやりとりを行い、あげます・売りますといったケースでは、手渡しでのやりとりを推奨している。

取り急ぎでのご紹介となってしまったが、ともかくアプリは現在App Storeからダウンロードできる状態だ。サービスの詳細については近日中にも追ってメルカリに話を聞いてみたい。

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「著名人と話せるメディア」から「コミュニケーションサービス」に——755刷新にかけるサイバー藤田氏

サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏

サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏

ITバブル期、渋谷を中心にしたITベンチャー(当時は「スタートアップ」なんて言葉はなかった)のムーブメント「ビットバレー」が活発だった1998年に設立されたサイバーエージェント。同社は1月28日に2016年9月期の第1四半期(2015年10〜12月)の連結決算を発表したが、売上高740億円(前年同期比16.7%増)、営業利益129億円(同3.6%増)、経常利益128億円(同0.9%増)、最終利益59億円(同7.0%減)で、売上高と営業利益は過去最高を更新した。

その売上を牽引しているのはもちろんゲーム事業だが、「ゲームの次」の領域として積極的に投資しているのが、動画や音楽といったメディア関連の新規事業だ。

メディア関連の新規事業に注力

テレビ朝日と組んだ動画配信サービス「Abema TV」は今月中にも先行配信を開始。4月には約20チャンネルを用意し、本格的にサービスを展開していく。1月にスタートしている動画配信サービスの「Ameba FRESH」も200チャンネル1000番組を配信。まだ数字を発表できる段階ではないようだが、「初速は好調」(サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏)だという。

AWAの状況(サイバーエージェント決算資料より)

AWAの状況(サイバーエージェント決算資料より)

また2015年9月にリリースしたサブスクリプション型音楽配信サービス「AWA」も成長中だ。こちらもまだ具体的な数字は開示されていないが、月間利用時間ベースではApple、Amazon、Google、LINE各社が提供する競合サービスをおさえて月間利用時間で1位になっているという(2015年12月にApp Annieで調査。調査対象はAndroid端末のみということなので、Apple Musicについてはなんとも言えないところがあるが…)。

ただしAWAのマネタイズにはまだまだ時間が掛かるというのが同社の認識。サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は「着々と伸びている。黒字転換するするというのはもともと分かっていたことだが、日本でサブスクリプションサービスをやるのは何年かかかる。サービスを磨き上げていく」と語る。

755は「メディア」から「コミュニケーション」に

そんな中で今回フルリニューアルするのが、子会社7gogoで展開するコミュニケーションアプリの「755」だ。755は「トークルーム」と呼ぶタイムラインをユーザーそれぞれが作成。そこに自身が投稿したり、他のユーザーがコメントを付けたり、Twitterのリツイートにあたる引用利用の「リトーク」といった機能をそなえる。

今回のリニューアルではアプリのデザインを一新したほかウェブにも対応。また、SNS「mixi」ライクな足あと機能を導入することで、ユーザー間の回遊を活性化する。昨年末にはニュースの閲覧(とそれもとにした投稿)機能もつけた。今後はTwitterほか外部SNSとの連携機能も強化する。

ユーザーごとの「トーク」が表示される755のトップ(左)とトーク内(中央)、足あと(右)

ユーザーごとの「トーク」が表示される755のトップ(左)とトーク内(中央)、足あと(右)

「これまでは有名人と一般ユーザーによる『1対n』のコミュニケーションアプリだった。だがユーザー同士がコミュニケーションする『n対n』のためのサービスにシフトしている」——藤田氏はこう語る。

僕は以前に755の話を藤田氏と、7gogoファウンダーの堀江貴文氏にサービスの話を聞いたことがあるのだが、そこで目指すのは「コミュニティではなくメディア」だと聞いていた。AKB48のメンバーをはじめとした著名人が755にルームを開設して自らの情報を発信。また並行して2014年末から2015年初にかけては10億円とも言われるテレビCMを出稿してダウンロード数も伸ばしたが、満足いく成功とは言えなかった。そこで改めてユーザー間のコミュニケーションサービスとしてリニューアルさせたのが、新生755だという。

著名人ではなく、ユーザー同士が話すのであればTwitterでもFacebookでもいいのではないか?

各種SNSと755との差について、藤田氏はタイムラインの「オープンさ」の違いを挙げる。「ツイッターでもユーザーごとのつぶやきは閲覧できるが、通常のタイムラインにはほかのフォロワーのつぶやきが流れる。そんな『他人のフィールド』で聞かれてもいないようなことをつぶやくことのには『差し出がましい』と思ってしまうようなこともある」(藤田氏)。755はユーザーごとにルーム(タイムライン)を持つことになるので、他のサービスに比較してクローズであり、「ほかのSNSよりも『自分のフィールド』で自由に話すことができる」のだという。たしかにTwitterで独り言を延々つぶやくようなことは苦手だという人は少なくないだろう。

またそんな755での独り言を誰が読んでくれたか分かるように足あと機能を導入した。「(足あとは)賛否両論あると思うが、スムーズにチェックできるようUI/UXにも配慮している」(藤田氏)

ではコミュニケーションサービスとしての755の勝算はどうなのか。藤田氏はこう語る。
「当たれば100億、1000億円規模のビジネスになるが、はずれればゼロ。(TVCMに)10億円出したからといって10億円を回収するようなモノではない。SNSでそういう(1000億円規模の)ビジネスを作る価値はあるが、成功するモノはものすごく限られている。だが755はそうなる可能性を持っている1つのサービスだし、少なくとも僕個人としてはそう思ってサービスを作っていく」

Twitter、Q4決算は売上7.1億ドル―成長はストップ、株価続落で新UIを発表

2016-02-11-twitter-down

今日(米国時間2/10)、Twitterは2015年第4四半期の決算を発表した。Twitterの上場以來、おそらくもっとも重要な四半期だったが、手短かに要約すればTwitterは手ひどく転倒した。

アナリストはTwitterのMAU(月間アクティブ・ユーザー数)が大きく伸びることを予測していなかったが、それと比べても低い成長にとどまった。前四半期、TwitterのMAUは3億2000万で、今期もほぼ同じだった。同社によれば、SMS経由のフォロワーを除いたMAUはわずかに減少している。事実、前期が3億700万、今期が3億500万だった。ただし同社は決算発表で「Q4のMAUは減少傾向だったが、1月の数字はQ3のレベルをすでに回復している」と強調した。

Twitterの発表した1株あたり利益(EPS)は0.16ドル、売上は7億1000万ドルだった。アナリストの予測はそれぞれ0.12ドル、7億1000万ドルだった。決算発表後、株価は最大13%ダウンし、13.75ドルの新安値を記録した。

これはTwitterにとって大きな打撃だ。昨年から株価は下落を続けており、70%近く落ちている。ログインするユーザー数がはかばかしく増えないことに対して投資家は繰り返し厳しい意思表示をしてきた。高い株価はTwitterの長期的成長とそれに並行する収益の拡大に対する投資家の期待を織り込んだものだ。投資家の期待に沿えなければ大会社として株式の公開を続けることは不可能になる。

今日の取引時間内でTwitter株は4%ほど戻して15ドルをつけたが、過去の高値は53ドルだった。つまりTwitterの時価総額はすでに何百億ドルも蒸発していることになる。

ディック・カストロがCEOを降り、共同ファウンダーのジャック・ドーシーが復帰したときにはまだ「プロダクトを作った人間が責任者に戻ってきたのだから」という楽観的な見方が残っていた。ドーシーがCEOとなり、「お気に入り」をカラフルな「いいね」に変更するなど懸命にアップデートを重ねても、状況は大きく改善しなかった。ドーシーが第2四半期の決算で述べたように「われわれは売上高については好成績を記録しているが、ユーザーの拡大に関しては満足していない」という状況が続いた。

Twitterは昨年10月に写真共有アプリのMomentsをリリースした。しかし効果があるとしてもそれが現れるのはしばらく先になりそうだった。MomentsはTwitterをビジュアルに活気づけたものの、メインストリームのユーザーを大量に惹きつけるという望んでいたような成果は得られなかった。Twitterは誕生以来10年感つきまとっている(そして活用しなければならない)枠組みから抜け出せなかった。つまりTwitterはニュース・マニアとセレブにとって理想的なメディアだが、ソーシャルな共有をするならFacebookだ、というものだ。

株価が急落するにつれて社内の士気も下がった。Twitterのような企業の社員は報酬の大きな部分がストック・オプションで支払われ、その価値は時価総額と共に増減する。ドーシーが復帰して以後のTwitterのような株価暴落があると、社員は〔換金できない〕大量のストック・オプションを抱えたままその価値が蒸発するのを見ていなければならない。

そういうわけで、Twitterが今日、新しいユーザー・インターフェイスをテストし始めたのは偶然ではない。この新しいタイムラインでは従来のようにツイートが投稿時刻の順序で表示されるのではなく、「Twitterのお勧め」投稿がトップに固定表示される。これは一見したところ、従来の「見逃していたかもしれない重要なツイートを再掲する」機能のアップデートらしく見える。しかしBuzzFeedの記事などを見ると、Twitterがコア・サービスを変えてきたことに対してユーザーが激しく反論していることが分かる。

さいわいなことに、ユーザーにとって役立つ機能もアップデートに含まれていた。ツイート表示に導入されたアルゴリズムはユーザーにとって関心がある可能性の高いツイートをフィードのトップに表示するのに効果があった。同時にTwitterはこのアルゴリズムによって広告を効率よく表示することができ、パフォーマンスと、最終的には広告価格の向上を狙える。また同社はファースト・ビューというビデオ広告をタイムラインのトップに表示することも発表した。これはフィードへのアルゴリズムの導入よりはるかに目障りだが、これほど目立つ位置であれば非常に高い広告料金を設定できるはずだ。

こうしたアップデートは新しいユーザーにも、ときおりツイートを眺める程度のカジュアル・ユーザーにもTwitterをさらに馴染みやすく、使いやすくすして成長を加速しようとする試みだ。しかし現状の問題点がこれですべてなくなるとは思えない。Twitterはユーザー数は現状では完全な頭打ちだ。Twitterは画期的なユーザー増加を図る方法を発見する必要に迫られている。

画像: Vdovichenko Denis/Shutterstock

〔日本版〕Twitterの株価はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagramの使い勝手が向上―やっと複数アカウントをサポート

instagram-explore

ありとあらゆる場所で写真を撮って共有しなければすまないマニアに朗報だ。今週、Instagram複数アカウントのサポートを開始する。この機能はヘビー・ユーザーにとって便利なのはもちろん、世界中の企業のソーシャル・メディアのマネージャーにとっても良いニュースだ。

Instagramアプリのv7.15以降(iOS、Androidともに)、ユーザーはいちいちログアウトせずに、最大5つのアカウントを切り替えられるようになる。

下に掲載したのはヘルプ・ページのスクリーンショットだ。

Screen Shot 2016-02-08 at 3.41.44 PM

個人的には、Instagramのアカウントは1つで十分だが、Instagramが成長を続けるに従ってますます多くの企業のソーシャル・メディア管理者がこのサービスを利用するようになっている。多数のSNSにInstagram写真を投稿しているマーケティング担当者にとっては仕事をやりやすくしてくれる効果がありそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Slackのクールなコミュニティが見つかるサイトHamster Pad(Slack上のSNSだ)

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あなたは、スロベニアのWebデベロッパーかな?。それともフランスのiOSプログラマー?。悲しみを癒やす友だちがほしい人?。そんな人はHamster Padに行ってみよう。Matt Schlichtと友人のAdam McKennaが作ったこのサイトは、Slackのコミュニティを数百も集めている。プログラミングのためのお部屋もあれば、ライターのための部屋もある。

Schlichtは語る: “これまではHamster Padみたいなのがなかった。ぼくたちはSlackのAPIをそのまま使って、このプラットホームの上に完全なソーシャルネットワークを作り始めた。誰でもチャットを加えられるし、誰でもチャットに参加できる。誰かと友だちになったら、その人たちが今やっているチャットが分かる”。

“Slackのエコシステムは、APIを公開したばかりの2007年のFacebookにとてもよく似ている。今のSlackは一日のアクティブユーザーが200万いるが、2007年のFacebookほどでかくはない。しかしそれでも、機会は同じだ”。

このサービスはかなり簡単だ。サインアップしてから、いろんな‘部屋’(room)をクリックする。その部屋に招待されたら、そこの人たちとお話できる。Hamster Padは、余分なことを何もしない。たくさんのクールな部屋を一箇所に集めて、それらに関するちょっとしたデータを提供するだけだ(今オンラインしてる人の数、友だちが今どんな議論に参加しているか、など)。

Schlichtと彼のチームは、bitcoinのフォーラムZapChainも作った。こちらもやはり、いろんなコミュニティを一箇所に集めたサイトで、ヒトはヒトと話をしたい生き物である、というコンセプトをベースにしている。誰かぼくにA/S/Lしない?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookが12歳を記念、フレンズデー・ビデオをプレゼント―ユーザー忠実度はアップ

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Facebookには独自の祝日ができたようだ。2月4日はこのソーシャル・ネットワークの12歳の誕生日を祝って フレンズデーと呼ばれる。しかしいかにもザッカーバーグらしく、Facebookのファウンダーは「われわれの誕生日だからといってFacebookにばかり注目するのではなく、世界にとって重要なことにもっと関心を持つ必要がある」と述べた。重要なことといえば、たとえばFacebookのユーザーだろう。

ともあれ、Facebookはフレンズデーを記念してユーザーに本人や友達が写っている写真のカード方式のビデオを贈った。 昨年12月に配布された今年のまとめビデオと同様、不都合な点があればユーザーが編集してから共有できるようになっている。フレンズデー用のステッカーも作成された。

フレンズデー・ビデオの一例

Friends Day Promo

Facebookでは「このビデオが世界の人々のつながりを一層深めるために役立つ」ことを大いに期待している。2011年の7億5000万人から2015年の15億9000万人へとFacebookのユーザーは文字通り倍増している。しかし本当に重要なのはユーザー数の拡大よりユーザー同士のつながりの深化だ。つまり、ケビン・ベーコン数として有名になった人間のつながりの数値化を用いれば、Facebookメンバー間の隔たりは、2011年に3.74次の距離だったものが、現在は 3.57次へと減少している。

ケビン・ベーコン数はちょっとした遊びのように思われるかもしれないが、Facebookの規模を考えれば、これは驚くべき変化だ。Facebookは電話帳さえ時代遅れにしようと努力中だ。世界中の人々はFacebook Messengerさえあれば、いつ、どこにいても即座にコンタクトできるというわけだ。

Facebookでは公式の誕生日に先立ってメンローパークの本社で内輪のパーティーを開いていた。そこにはサウジアラビア、ハンガリーやアメリカのルイジアナ州などから18人のユーザーが招かれ、Facebook がそれぞれの生活をどれほど変えたかを語り合った。

Facebook Friends Day Event at HQ

なるほど、たいへん有意義なパーティーだったようだ。

しかしこうしたことすべて―ユーザー数や売上その他の数字(いずれも驚くほど大きい)―よりもこの1年のFacebookにとって重要だったのはスティッキネス〔忠実度係数〕の向上だろう。これは一日あたりアクティブ・ユーザー数(DAU)と1月あたりアクティブ・ユーザー数(MAU)の比率だ。

つまりこういうことになる。DAUはもちろん重要な数字だ。しかし月に1度、5分ほどFacebookを訪問するだけでもMAUにはユーザー1人分としてカウントされてしまう。膨大な機能があり、なにか起きるたびに無数の通知を送り出しているFacebookのようなサービスにとってはクリアするのが容易すぎるハードルといえる。一方、DAUはもっと正確にサービスの現状を教えてくれる。しかしDAUの増加はサービスの全体としての健全さやユーザーの関心度は教えてくれない。

FacebookのフレンズデーCM

これに対して、DAUをMAUで割った値は月あたりアクティブ・ユーザーのうち、どれほどのユーザーが毎日サービスを訪問しているかというパーセンテージを教えてくれる。これが一般にstickiness〔忠実度〕と呼ばれる係数だ。この数値がアップしているならサービスへのユーザーの関心もアップしていると考えていいだろう。数値が減少しているなら、ユーザーは今でもサイトを訪問しはするが、あまりクールなサービスとは思わなくなっており、関心は薄れつつある。

Facebookが12歳を迎えた現在、われわれは「Facebookは若者にとってクールじゃなくなった」という憶測や逸話を山のように聞かされている。それなら忠実度係数は減少しているはずだ。

ところが事実はそうなっていない。ユーザーの忠実度は2013年の62%から現在の65%へとアップしている。さらにアメリカとカナダの主要地域ではさらに高く、73.1%から77.1%にアップしている。Facebookのユーザーは以前よりもさらに頻繁にFacebookを利用するようになっている。Facebookにとって真に祝うべき価値があるのはこの点だ。

Facebook Q4 2015 DAU

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、「非ログイン」ユーザーの対応に本腰

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Twitterは、ログインしていないユーザーに使いやすくするためのアップデート2件を発表した ― これまで同社があまり真剣に対応してこなかったユーザー層だ。

まず、Twitterはウェブページを改訂した。ログアウト中のユーザーが、興味のあるメッセージや写真、ビデオ等をログインすることなく閲覧しやすくするもので、今回対応する国を増やした。これまでこのページは、米国および日本だけで提供されていた。また、23の国で、モバイルユーザーのログアウト体験を改善したと同社は言っている。

これまでのTwitterのトップページは、なぜこのサービスを使うべきかが殆ど説明されていなかったため潜在ユーザーを困惑させていた。新しいページでは、Twitterが新参者にずっと入りやすく感じられる。

それはTwitterにとって長年の課題だった。同社はユーザー基盤の拡大に苦戦を続けている ― ウォール街が上昇を期待する指標だ。しかしその一方でTwitterは、同サービスをアカウント保有者やログインしっぱなしのユーザー以外の人々が、はるかに多く利用していることを知っている。

実際、Twitterは過去に、5億人もの人々がログインもユーザー登録もすることなく、立ち止まってツイートを読んでいると語った。同社はこうした人々へのリーチ ― および収益化 ― のための新たな方法を実験してきた。

トップページをユーザーがサイトを見やすくするように改訂しただけでなく、 プロモーテッドツイートを、アカウントを持たない人々に表示するテストも行った。そして、ログアウト中のユーザーへのTwitterプロフィールページの見せ方についても検討を重ねた。

Twitterはまず、改訂版ウェブページを公開し、ユーザーがスポーツ、ニュース、エンターテイメント、テクノロジー等のトピックを閲覧できるようにした。このページは、それ以来多少進化をみせ、Twitterが収集したモーメントや「特集」コンテンツを強調し、編集を前面に出すものになっている。

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そして、おそらくこのウェブページの海外展開以上に重要なのは、今日(米国時間2/2)Twitterが、同様のアップデートをモバイルでも公開すると発表したことだ。

「これまでも個々のツイートを見ることはできたが、記事を探したりTwitterで今起きている会話を知ることは、ログインなしには困難だった」とTwitterチームが今日の発表に書いた。「これからは新しいニュース記事を発行される度にチェックしたり、スポーツゲームのプレイ毎のアクションを見たり、誰もが話題にしている2人のラッパーのやりとりを見ることもできる」

2つのアップデートの背景にある意図に変わりはない。Twitterを、コアなユーザーグループを成すメディアおたくたち〈以外〉にとって魅力的にすることだ。

新しいページのタイムラインは23ヵ国で提供され、ユーザーがモバイル端末からTwitter.comを訪れた時に表示される。

新しいモバイル版ホームページは以下の国々で公開される:アルゼンチン、イタリア、インド、インドネシア、オーストラリア、オランダ、カナダ、ケニア、コロンビア、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、ナイジェリア、ブラジル、フランス、ポルトガル、メキシコ、英国、韓国、台湾、南アフリカ、日本、米国。

上記の国々ではデスクトップ版のページも同時に公開される(米国と日本は既に提供済み)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、ライブビデオ配信でTwitterのPeriscopeに挑戦―当面米国iPhone向け

2016-01-29-facebook-live

iPhoneユーザーはさっそくライブビデオ配信の準備をしよう。Facebook対Twitterのビデオ・ストリーミング対決だ。今回アップデートされたFacebook Liveでは、ビデオはFacebook本体と連携しており、ソーシャル・ネットワークを利用できる上に後からいつでもビデオを再生できる。ライバルのTwitterのPeriscopeは本体と別個の独立したサービスで再生できるのはビデオ公開後24時間に限られている。

5ヶ月もかけてベータ版に徐々にバグ修正や機能追加を加えた後、とうとうFacebookがライブ・ビデオ機能をアメリカのすべてのiPhoneユーザーに公開した。iPhoneユーザーが近況を投稿しようとすると、写真、スタンプ、場所などの投稿ボタンに並んでビデオのライブ配信のボタンが表示される(Android版は現在作業中だ)。

Facebook Live Rollout

Facebookはライブ・ビデオ機能にまず誰でも知っているセレブを動員した。つづいてMomentsアプリにジャーナリストや著名人が本人だと身元を確認されたアイコンを付して登場した。そしてついにすべてのiPhoneユーザーがライブ・ビデオを利用できるようになった。

ここでMeerkatの話題の話題が出ないのをいぶかしむ読者もいるかもしれない。Meerkatは運営中だが、背後にプラットフォームとなる巨大ソーシャル・ネットワークを持たないためストリーミング・サービスの話題からは除外される。

最大の問題は、ビデオ再生について「その場限り」を強制するPeriscopeの仕様がユーザーに安心感を与えるのかどうかという点だ。24時間で消滅することを知っていれば、送信するユーザーが自意識過剰を免れ、見る方には急いで見なければならないと思わせることができるだろうか? FacebookにはTwitterよりはるかに大きなユーザーベースがあり、ビデオ再生が恒久的にできることはセレブ、著名人を惹きつけるだろう。再生可能期間が長くなれば再生回数も増える。有名人がビデオ配信を使う場合、再生回数は重要な要素となる。

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左から、Meerkat、Periscope、Facebook Live、

ユーザーへの通知も大きな差異をもたらす。Periscopeでは連絡相手全員の投稿が通知される。Periscopeの連絡相手は、多くの場合Twitterでフォローしている相手全員となる。Facebookの場合はもう少し控え目だ。ビデオ配信が通知されるのは「親しい友達」に登録されている相手、交流のあるセレブ、興味を抱いたページだけとなる。

次にストリーミングを実際に見る方法だ。Twitterの場合、Periscopesはインラインで表示される。つまりユーザーがビデオを見つけるのは簡単だ。ただしライブ配信が長引く場合はURLはニュースフィードからいった消去され、もう一度続きを見るためには再度共有されねばならない。

Facebookの場合、まずフィードが親しい友達などに制限されるので、リアルタイムで現場からニュースをストリーミングするには具合が悪い。しかしビデオ・ストリーミングに受け手側から大きな反応がある場合、Facebookのシステムは自動的に表示ランクをアップさせ、多くの人がビデオを見つけやすくする。大まかに言って、Twitterの場合、どのビデオを見るかはユーザーが決めるのに対してFacebookではシステムが人気あるビデオを選択して見つけやすく表示する。

しかしライブ・ビデオ配信をめぐるこの両者の対決は、こうした個々の機能の優劣よりも、最終的には、どちらのプラットフォームがメインストリーム・ユーザーの心をつかむか、カメラの前に立って顔を見せようという気にさせるかに重要なポイントがありそうだ。

〔日本版:TwitterのPerisocpeは日本からも利用可能。iOS、Android双方のアプリあり。Meerkatのストリーミング公開ページiOSアプリAndroidアプリ。記事では触れられていないがビデオ通話ができる点では、Googleハングアウト、MicrosoftのSkypeがある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、絶好調のQ4決算で株価は12%の急騰

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今日(米国時間1/27)Facebook株は急騰を見せ、同社の第4四半期決算発表後に最大13%高値をつけた。

犯人は? またもやFacebookが四半期予測を完全に粉粋したからだ。Facebookは売上58.41億ドル、1株当たり利益79セントを計上した。前期は売上53.7億ドル、利益68セントだった。

さらにFacebookは、数多くの好調なデータを公開した。ユーザーは一日に計1億時間ビデオを視聴した。同社の広告事業の80%はモバイル端末から来ている。四半期が成功した理由の一部は、従来どちらかというと苦戦していた海外市場の収益化で躍進したことだ。

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好調な株価が会社に様々な変化をもたらすものだが、一つ重要なのは、会社の士気を高め、新たな才能が呼びやすくなることだ。

Facebookは世界最大級のIT企業と競争を続けていて、その時価総額は2000億ドルを超える。株価の好調は、サービスの改善を繰り返し、世界の残された地域にインターネットアクセスをもたらそうとするFacebookに、新たな才能が流れ込むことに一役買うだろう。

Appleと同じく、FacebookのCFOも外国為替レートの影響があったことに言及した ― 最近多くの企業を悩ませている問題だ。しかしFacebookは、広範囲にわたるマクロ経済の脆弱性に対して、少なくある程度の免疫を持っていたようだ。

ともあれ、何もかもがFacebookにとってかなりよいニュースだ。Square、Twitter、さらにはAppleでさえ下降しているIT企業の中にあって、Facebookの優れた実績は直ちに投資家たちから報いを受けた。彼らは単なる成長よりも益々金銭的進展に目を向けるようになっている。

実際、Facebookのユーザー基盤はさほど伸びていないが、収益化エンジンは改善を続けており、世界のその他の地域をオンライン化する様々な取り組みを開始したことで、必然的に収益化の対象となるユーザー基盤を大きく拡大している。他社が成長に集中して収益化エンジンの整備を後回しにしているの対して、Facebookの焦点は広告商品の改善に絞られている ― これまでのところ成功しているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Dear」はLINEとTwitterの“いいとこどり”を実現したコミュニケーションアプリ

アプリアイコン毎日一緒にいるような友人のことを「いつものメンバー」を略して「いつめん」なんて呼ぶ若者言葉もあるようだが、そんな「いつめん専用」をうたうコミュニケーションアプリがREVENTIVEの「Dear(ディアー)」だ。利用は無料。iOSおよびAndroid向けにアプリをリリースしている。

Dearではクラスやサークル、部活など、特定の属性の友人に限定した「グループ」をいくつでも作成できる(テーマカラーは6種類から選択可能)。作成したグループのタイムラインは、左右にスワイプすることで切り替え可能。グループはその名称とIDを設定して作成し、IDを元にユーザーを検索して、招待していく。すでにあるグループを検索して参加申請をすることも可能だ。

各グループでは画面左右にあるボタンを使って、即時性の高いコミュニケーションを目的とした「チャット」と、独り言や状況報告をタイムラインに投稿する「つぶやき」のそれぞれを利用できる。なお、UI/UXの設計はデザイン特化のスタートアップであるオハコが担当した。

チャットとつぶやき、1つのアプリで2つのインターフェースを持つ理由が正直分からなかったのだが、REVENTIVE代表取締役の水田大輔氏いわく、中高生は「LINEでチャット」「鍵付きのTwitterアカウントでLINEと同じメンバー向けにツイート」という使い分けをしていることが多いとヒアリングして分かったのだという。Twitterのアカウントは、趣味や雑談などテーマによって複数運用することも少なくない。このを使い方を1つのアプリで実現しようとしたのがDearだ。

「仲良しな友人であっても、どんな内容も同じ場所に投稿するわけでない。Dearでは、そんな中高生のLINEとTwitterの使い方を1つのアプリにまとめている。さまざまなテーマ、グループを横断したコミュニケーションを作っていく」(水田氏)

REVENTIVEは2011年に京都で設立されたスタートアップ。当初はクローズドSNSの「Close」を提供していた。2013年にミクシイ、ディー・エヌ・エー(DeNA)などから6000万円の資金を調達。2015年にもDeNAほか金融機関3社から5000万円の調達を調達。現在は拠点を東京に移し、このDearの開発に注力している。

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1つのグループに対してTwitter的なタイムライン投稿(左)とLINE的なチャット投稿(右)が可能な「Dear」

ブームか本物か―チャットのPeach、急成長してSNSアプリのトップ10に

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事情に詳しい読者ならソーシャル・ネットワーク/メッセージ・アプリのPeach( 私も最近紹介した)についていろいろ聞いていると思う。一部からは「バカバカしいにもほどがある」と酷評されている。一部には熱狂的なファンもいる。大多数はその中間の意見のようだ。
そこで私の感想を述べると、Peachはその名のとおり、フレッシュだ。この感覚は表現が難しいが、要するにPeachは既存のチャット・サービス、Twitter、Path、WhatsApp、Messengerなどにないある種の新鮮さを感じさせてくれる。

ただしPeachについてはブームを作るための大掛かりなキャンペーンが展開されている最中なので、耳に入ることのいくぶんかは始めから割引きして聞く必要がある。そうであっても、まずはこのサービスを試してみることをお勧めしたい。 冷笑的な態度を誇示したいというだけで見逃すのはもったいない。どうもそういう人が多いらしいが。

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PeachはアメリカのApp Storeで無料アプリの総合120位、ソーシャル・ネットワークのジャンル(非常な激戦区だ)で9位に入っている。この状況は「単なるブームか、本物か」といった詮索をするよりも、新しいものを試してみることを躊躇しない一般ユーザーが大勢いると考えた方が建設的だろう。一般向けアプリはこれからまだ十分に伸びしろがあると思う。なるほどSnapchatの成長の勢いはすごいし、Messengerも日毎に機能を拡充している。それでも既存のプレイヤーとはどこか「ひと味違う」サービスが参入する余地は十分ある。

私は先週末、ずっとPeachを使ってみた。その結果、まず第一にいえるのは、ソーシャル・グラフにあまり大勢の友達を登録しないことが大切だ。Peachは友達との関係が親密なほど楽しい。Peachにはコンテンツの一部を友達と共有するためのMagic Wordsと呼ばれるコマンドライン・インターフェイスがあるが、これも いったん使い方の要領をつかむと何か重要なことを成し遂げたような達成感がある。さらに面白いコマンドが追加されないかと期待してしまう。

あとPeachで写真を撮るのも愉快だ。簡単にビデオないしアニメーションの効果を得られる。Facebook Boomerangに似ている。

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画期的なテクノロジーが含まれているかといわれればノーだ。しかし新しくてフレッシュなことは間違いない。SNSジャンルでアプリのトップ10に入るというのは大変なことだ。いかにマーケティングの努力をしようと、一般ユーザー側にオーガニックな盛り上がりがなければとてもそこまでランクを上げられるものではない。こうしたユーザーのほとんどはTwitterやメディアのテクノロジー記事など読まない層だ。

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画像: abbydonkrafts/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messengerのユーザーは8億人―2016年のその戦略を探る

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SMSを無用化するチャット・ボット・プラットフォームを分岐させる。友達とオフラインで会うのを助ける。人工知能を強化する。ユーザーを喜ばせる。こういったところが2016年のFacebook Messengerのロードマップのようだ。このチャット・サービスには今や8億人の月間アクティブ・ユーザーがいる。これは昨年6月の7億人から1億人もアップしている。 3月には6億人、214年11月に5億人だった。

この数字でも明らかだが、Nielsenの調査によると、Facebook Messengerは2015年でもっとも急速な成長を遂げたプラットフォームだった。iOSアプリとしてはFacebook本体のアプリに次ぐ2位のダウンロード数となっている。 やり取りされる写真は月間100億枚以上だという。

一部の市場ではすでに独占的な地位を獲得したFacebookのチャット・アプリは、ライバルを根絶し、デベロッパーを組織して強固なエコシステムを作り、これまでのチャットとは異なる総合的なメッセージング・サービスとなるべく動き始める準備が整ったといえるだろう。

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今日(米国時間1/7)発表された公式ブログの記事でMessengerの責任者、 David Marcusは2016年の戦略を概括している一方、私は昨日、Messenggerのプロダクトのトップ、Stan
Chudnovskyを取材する機会があった。下記はMessengerの戦略と私が取材で得た感触をまとめたものだ。

まず2015年のMessengerの実績は―

  • 処理速度の改善
  • ビデオ通話
  • 絵文字、ハンドルネーム、カラーテーマによる会話のカスタマイズ
  • Messengerを利用した顧客サポート
  • Messenger内での支払いと受け取り
  • コンテンツと表現のためのアプリ制作のプラットフォーム
  • ロケーション共有の改善
  • 発呼者/メッセンジャー ID
  • 友達でないユーザーとのチャット
  • Photo Magicによる写真の自動共有
  • バーチャル・アシスタント、M
  • 交通機関プラットフォームとなるUberアプリ

2016の計画と予測

計画: 電話番号を追放する

Messengerは、アメリカではメッセージアプリとして(Googleには悪いが)圧倒的に優位な地位を築いている。多少とも意味のある競争相手はSMS/iMessageだけだ。FacebookのMarcusは「SMSというのは昔の二つ折り携帯に適合したサービスだ。今やわれわれはスマートフォンの時代のチャットを必要としている。写真、スタンプ、絵文字、GIFアニメ、支払い、ロケーション、交通機関などありとあらゆるコンテンツの処理がチャットには求められている。SMSは多様なコンテンツをうまく処理できない。Messengerは人々にSMSを捨てるよう説得することができるだろう。

MessengerはFacebookのユーザーなら誰でも利用でき、誰とでもどんなメッセージでも交換できるので、相手の電話番号を知る必要さえほとんどなくなっている。 インターネットに接続している人間すべてを一つの巨大なコミュニティーにまとめ上げるのがMessengerにとっての「次の大きな飛躍」となるだろう。

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予測:ビデオ・メッセージの時代が来る

モバイル時代に入って最大のヒットはビデオの普及だろう。しかし通話にビデオを用いるのはまだ始まったばかりで問題も多い。Skypeは最低だしFaceTimeはAppleのiOSデバイスでしか動作しない。MessengerはすでにVoIPによるオーディオ通話、ビデオ通話通話を実用化しているが、知名度がまだ低い。私はMessengerが2016年にはグループ・ビデオ会話サービスをスタートさせてこの状態を大きく変えるのではないかと考えている。多人数によるミーティングや会議の処理となればSMSに勝ち目はないだろう。

計画:チャットのスレッドは新しいアプリだ

ユーザーが今まで電話で行っていたさまざまな作業がMessengerのスレッド内でできるようになった。検索がウェブの中心を占めていたのと同じような意味で、今やチャットがモバイル・サービスの中心だといってもいい。
Facebookはその力をもってチャットを通販やコンテンツ流通などのプラットフォームにしようとしている。

Marcusは「Messengerは企業やサービスからアイテムを購入する(おそらく繰り返し購入することになるだろう) 新しい方法だ。ユーザーはFacebook
Messengerwを使って、きわめてスムーズかつ快適に、車を呼び、飛行機を予約し、カスタマーサービスと話すことができるようになる」と書いている。

予測:カスタマー・サービスは音声の録音メッセージからテキスト・メニューに変わる

Facebookは企業がカスタマー・サービスをMessenger内で運用し、自社のFacebookページと統合することによって、専用アプルをメンテナンスする必要なしに、はるかに快適で効率的な顧客サポートを可能にするよう望んでいる。ほとんどすべてのビジネスは顧客とのコミュニケーションを必要とする。
Facebook Messengerを利用すれば企業はそうしたコミュニケーションを無料ないし圧倒的な低価格で提供できる。現在Messengerではカスタマー・サービスで利用するための実験を始めたばかりだが、近くFacebookではMessengerのスレッドにメニューを表示するフォーマットを正式に提供するだろう。あの延々と続く録音メッセージに応じて数字キーを押すという不快な体験が追放されることを望むものだ。

計画Messengerでソーシャル・スペースを作る

われわれは毎日、Messengerでビジネスや私生活の親しい友だちと会話をしている。Facebookの普及率を考えるなら、Messengerを他の種類の会話にも使えるようにしようと考えるのは自然だ。FacebookはWhatsApp,などのチャット専用サービスの例にならって、スレッドのカスタム化、個人化を図っている。チャットの責任者、Marcusは「〔Messengerでの会話は〕個人的な意味として社会における握手に相当する」と書いている。Facebookはユーザーが「第三の場所」、つまり家庭でもなくオフィスでもない、リラックスして息抜きができる社交の場でMessengerが活用されるように方策を講じていく。

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予測:オフラインでの集まりにMessengerが使われる

Facebookはユーザーの友達をほとんど全員知っている。Facebookにログインしているユーザーが少々退屈したとき、同時に 友達の誰がオンラインになっているかも分かっている。Facebook「近くの友達」の方式を拡張して、たとえば、付近の友達の誰とオフラインで会えそうか探してくれるようになるだろう。

2015年にGoogleは同好の士を探してくれるソーシャル・アプリ、Who’s Downを発表、Danny TrinhのスタートアップはFreeをリリースした。どちらのアプリもオフラインで会えそうな友達を見つけるのが目的だ。残念ながらどちらのアプリも大きな反響を得ていない。どちらもユーザーベースが普遍的というレベルに届かず、従って実用性も低いままだ。しかしこれをユーザー8億人のMessengerがやれなるなら話はまったく違うものになるだろう。

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計画: 人工知能の強化

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FacebookはMessengerを他のチャット・サービスとの明確な差別化を図っている。その膨大な資金力とエンジニアリングの資源にものを言わせて、昨年夏、パーソナル・アシスタントのMを作りあげた。人力と人工知能を組み合わせたMは、残念ながら展開が遅く、多くの資源を食うプロジェクトとなった。しかしMの経験からFacebookはユーザーがMessengerに単なるメッセージ交換以上にどういう機能を望んでいるかを教えた。また自然言語についても知るところを増やしたに違いない。こうした経験からFacebookはMessengerのインターフェイスにさらに自然言語、特に音声による自然言語を導入するようになるだろう。コマンドに従って自他のメッセージを音声で読み上げる機能はユーザーに歓迎されるだろう。

予測:チャット・ボット・プラットフォーム

ユーザーがチャット・サービスに対して望む新機能はさまざまだが、そうした個別機能の実現よりも、むしろFacebookはユーザーの希望に沿ったアクティブな応答をするチャット・ボットを制作するるためのプラットフォームの構築に力を注ぐものと思われる。Mはこうしたチャット・ボットのモデルないしフラグシップとしての役割を果たすことになる。今週私はFacebookはデベロッパーに対してチャット開発のSDKへのアクセスを密かに増大させていることを探り出した。このSDKを使うと、テキスト・メッセージでメニューを表示し、ユーザーの応答に対応して自動的にメッセージを返し、また支払い処理を行うボットが簡単に開発できる。サードパーティーのデベロッパーが企業のためにMessengerを用いた効率的な顧客サービス・システムを書けるわけだ、こうしたアプリは企業の顧客にとって便利であるだけなく企業にとってもコスト削減や新たな収益機会の獲得などのメリットがある。

計画: ユーザーを喜ばせる

Facebookは今年、Messengerに思い切って風変わりな機能を持たせる。たとえばスレッド内に雪やハートの絵文字を降らせることができるようになる。一見子供っぽい試みだが、ありきたりの退屈なSMSを使っているのではないことに気かせる効果がある。またユーザーはMessengerに少し人間らしさを感じ取るだろう。

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予測:Facebookは若い世代を惹きつけるために思い切った手を打つ

Facebookには「もうクールなサービスではなくなったのでは?」という懸念が長くつきまっている。しかし努力の重点がソーシャル・ネットワークによって社会的なつながりの場づくりから、メッセージ・プラットフォームづくりへ移るにつれ、Facebookには陳腐化を防ぐ新しいアプローチが必要になってくる。おそらくMessengerはアジアで圧倒的な人気を得ているメッセージ・サービスのライバル、LineやKakaoTalkから若者に支持されるためのヒントを多く得ているに違いない。

ライバルが提供している機能には、われわれ大人の目からすると、ばかばかしくトリビアルで子供っぱいものも含まれている。しかしこうした機能が遊び心をもつ若い層の支持の重要な源泉となっていることも確かだ。Facebookがスタンプを実装する際、社内には反対の声も強かった。しかし蓋を開けてみればFacebookのスタンプは圧倒的な支持を受けた。ユーザーが特定のプロダクトを毎日長時間使い続けるようになると、単に論理的であり機能性が高いというだけでは飽きてしまう。突拍子もないアイディアが歓迎される理由はそこにあるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビジネス向けチャット、Slackの動物アニメのCMはかわいいし、効果的〔ビデオあり〕

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テクノロジーに詳しいならSlackが何であるかはよくご存知だろう。企業向けチャット・サービスの代表であるSlackの名を聞いてけげんな顔をするような読者は少ないはずだ。

ということでこちらのビデオをご覧いただきたい。:

事情に詳しい読者でもジョークを全部理解するのに繰り返しビデオを見直す必要があったらしい。もちろん特に何も考えずにかわいいビデオを楽しんでもかまわない。ファウンダーのスチュワート・バタフィールド(以前Flickrを作ったことで有名)のTwitterはこちら。

Slackが用意した動物テーマをサポートするページはこちら

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年明けに誰か事情に疎い人間があなたがたの会社でやたらにスラックとやらが話題になっているのはなぜか、などと尋ねるようなら上のビデオURLを送ってやればよいだろう。Slackは2016に大ブレークしそうだ。もしかするとエンタープライズ向けとしてわれわれの知るすべてのサービスの上をいくスーパー大人気アプリになるかもしれない。

私もスチュワートにあの「カラー雨傘」をひとつ注文したい。

〔日本版:Slackは現在UIが英語だが、コンテンツには日本語も問題なく使えて非常に便利なツール。ちなみに”Leave it to me!”は「それはオレに任せろ!」というような意味。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitterの2015年を検討する―財務は上昇、ユーザー数は頭打ち、株価は急落

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Twitterにとって2015年は最良の年ではなかった。世界的に知らぬもののない大企業となり、売上はアップしたが、ユーザー数は頭打ちで、株価は急落した。

Twitterは結局今年も根本的な問題を解決できなかった。財務状況は良好なトレンドを示しているが、ユーザーベースの拡大がどうしてもくうまいかない。結果論になるが、市場は後者の要素をやはり重視した。今年、新しいCEOが就任したが、これまでのところ同社のユーザーを目に見えて増加させるような成果は上げていない。

その結果、年の終わりを迎えてTwitterの株価は上場以来最低水準のまま取引されている。

グラフを見れば一目瞭然だ。Twitterの株価は上場直後に60ドル近くまで急伸した。その後しばらく30ドル台の半ばで推移し、40ドル台を回復することはなかった。しかし夏を過ぎるとTwitterの株価は20ドル台にまで急落した。

報酬の一部として株式取得のオプションを得ているものの、その行使価格がはるかに高く設定されている社員にとってこの実勢価格は深刻な問題だ。こうした人々は被害者の分かりやすい例だが、株式の取引価格が下落すると現に巨額の損失を被る人々が存在する。また上場株の下落は人材の採用を困難にし、社内の士気を下げ、、幹部の離職を促す。

今年Twitterには何が起きていたのか? 順を追って検討してみよう。

Twitterの財務状況

あらゆる企業にとって極めて重要な情報、つまり財務のパーフォーマンスの数字はTwitterの成功を告げている。決算報告によれば、同社の売上は順調に拡大しており、ウォールストリートのアナリストの予測を上回っている。ユーザーベースの1人当たり売上も印象的な数字だ。以前Twitterは一過性のブームに過ぎないとか財政的に維持可能ではないなどと批判されたものだ。それに対して現状は次のようなものだ〔下記のTwitter決算記事はいずれも翻訳ずみ〕。

ソーシャルメディアのマネタイズの可能性に関する限り、Twitterは輝かしいパイオニアだと評してよいだろう。この良好な財務状況を考えれば同社の経営チームは称賛されるべきだ。

しかしこの優れた財務状況にも問題があった。経営チームがユーザーあたり売上額アップさせるという堅実かつ優秀な仕事をしたとはいえ、Twitterの売上総額は依然としてアクティブ・ユーザー数に比例する。長期的にみればTwitterが収入を増やすにはユーザーベースを拡大するしかない。単純な理屈だが、もしTwitterのユーザー数が現状のままで推移し、要するに拡大に失敗するなら、長期的な成長は望めない。

いくら全力で絞ってみても、乾いた雑巾では得られる水滴には限界があるということだ。

Twitterの経営陣は、これまでの優れた仕事にもかかわらず、このサービスこそ日常使うべきソーシャル・ツールだと一般ユーザーを説得することに失敗している。.

Twitterのユーザーベースはなぜ拡大しないのか?

2015年の第2四半期の決算報告に際して新CEOのジャック・ドーシーはTwitterの経営の困難さを非常にシンプルに表現してみせた。「第2四半期の決算は収益化の良好な進展を示しているが、オーディエンスの拡大の分野ではわれわれは不満を感じている」

ドーシーの声明はTwitterの置かれた状況を非常に的確に要約していると思う。各種の財務指標は良い。しかし実際にログインしてくるユーザー数は期待ほどに伸びていない。月間アクティブ・ユーザー数は実際のところ頭打ちだ。株価の将来性がユーザーベースの拡大にかかっているソーシャルメディア企業としては投資家への深刻な警告だ。

もちろん、Twitterのユーザーベースの拡大が完全に停滞しているわけでない。Twitterの公開投稿を読むだけならログインは必要ないので、さまざまな理由でログアウト中のユーザーも多数存在する。Twitterも努力を重ねているが、こうしたユーザーを追跡することは非常に難しい。またTwitterではサービスへのエンゲージメントを高めるためにさまざまなプロダクトを開発している。しかしTwitterがマネタイズを劇的に改善する最良の方法はユーザーの関心グラフの可視化だろう。ユーザーはこの情報を利用するためにはサービスに登録し、ログインしていなければならない。そうして他のユーザーをフォローして始めてそうした人々が何に関心を抱いているかを知ることができる。

いくらTwitterの財務パフォーマンスがアナリストの予測を上回り続けてもログイン・ユーザー数がフラットなまま推移するのでは今後の大きな成長は望めない。企業の損益、つまりボトムラインを改善する方法はいくつか存在する。まったく新しい広告手法を開発する、あるいは広告収入を得る新しい分野に参入することは有効だ。しかし結局のところ、投資家の目を覚まさせるような劇的な効果はユーザー数の爆発的な伸び以外には期待できない。

要約すれば、Twitterの売上は増加はしているが、ユーザー数は頭打ち、株価は低下しているという状況だ。

投資家はTwitterに冷たすぎるのだろうか? 同社は十分な額のキャッシュを抱えているし、何十億ドルも稼いでいる。しかしコンテンツのレベルのカギを握る優秀なジャーナリストや著名人の関心を失うことなく一般大衆をユーザーに引き込めるかどうはTwitterにとって今のところ未知数だ。

Twitterは以前からそうだったが、現在も非常に理解しにくい企業だ。経営チームは新たな広告プロダクトを多数発表してきた。またPeriscopeの例でも明らかなように、大金を投じてビデオ広告の分野にも進出した。これらはすべて必要なことであるが、理論としても現実としても、効果が現れるまでには時間がかかる。こうした事情がTwitterの株価を低い水準に留めているのだろう。

Twitterが成長を必要としているなら、いわば「全部の気筒に点火して仕事をさせる」必要がある。つまりオーディエンスのモニター、獲得、満足の最大化などに社員全員がもっと真剣にならなければいけない。

先日、2015年第3四半期の決算についてTwitterにコメントを求めたところ、広報担当社員は決算発表の際に行われた電話会議のページへのリンクを送り返してきただけだった。こんなことではいけない。

画像: Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、実名ポリシーの施行プロセスを変更

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一年以上にわたる実名ポリシー議論の後、FacebookはLGBTQコミュニティーの人々を含めメンバー全員の利便性を高めるために、手続きの変更を発表した。

昨年10月、Facebookは偽アカウントとみなされたためにLGBTQメンバーのページが停止された問題を受け、実名ポリシーの変更を約束した。Facebookはメンバーに対して、友達や家族に知られている名前で登録することを要求している。例えば、多くのdragパフォーマーにとって、彼らのdragネーム〈こそ〉が人々に知られている名前だが、それでもアカウント停止の例外とはならなかった。

Facebookは実名ポリシーを廃止するわけではないが、「全メンバー、特に過少評価されたり差別を受けている人々」の目的にかなうようポリシーを改善するために新たなしくみのテストを始める、とFacebookのグローバル運用担当VP、Justin Osofskyと製品マネージャー、Todd GageがFacebookのブログに書いた。

例えば、Facebookの新たな通報プロセスでは、そもそもなぜその名前を通報するのかに関する詳しい情報と状況説明を求めている。従来、疑わしい名前の通報はボタンをクリックするだけでよかった。

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またFacebookは、誰かに通報された人々が自らを弁護し名前を検証するための新しいツールをテストしている。つまり、自分のアカウントが通報されたが、実際にはdragネームを使っていたり、虐待や嫌がらせやストーカーから逃がれるために別名を使っているような場合、Facebookがアカウントを停止する前に、自分の状況を説明する猶予期間が1週間与えられる。

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Facebookは、法的身分証明の提示を求めていたことについても、それが必ずしも本人の望む名前を反映してないことから、批判を受けてきた。

その後Facebookはメンバーの名前確認に使用できる文書の選択肢を広げ、また来年初めには、「ID検証プロセスに参加しなければならない人々の数を減らし、かつ他のメンバーの安全を確保する方法を検討する。また検証プロセス体験そのもののも、思いやりのある操作しやすいものにする努力を続ける」とFacebookは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、Momentsの改良で次のMessengerを狙う―本体の写真同期は1月10日で終了

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Facebookは大成功のMessengerに続くモバイル・アプリが手の内にあると確信しているようだ。 そのアプリとは現在プライベート・ベータ中の新しいMomentsだ。Facebookの確信のほどは、さきほど「本体の写真同期を近く終了する」と発表したことでも知ることができる。

同社ではこの情報をニュースフィードのトップに表示し、デバイス内の写真の同期と共有のために「Momentsアプリをダウンロードするよう」ユーザーに勧めている。つまりユーザーがモバイル・デバイスで撮影した写真をFacebook本体に非公開で同期させているなら、その機能が移管された新しいMomentsアプリをインストールしなければならないということだ。

Facebookはすでにニュースフィードでの推薦やメッセンジャーとの連携などを通じ、他のどのスタンドアローン・アプリにも増して、Momentsのインストールを強く推薦している。FacebookではMomentsはメインストリームのアプリになれる能力があると考えているに違いない。Facebookはこれまでに何十もの新機能が誰も使わないため消えていくのを放置してきた。同社は自然淘汰を強く信奉しているようだ。

実際、 Facebookは最近、社内のR&D担当部門、Facebook Labsを閉鎖している。この部門からはRiff、Slingshot、Roomsなど数多くの実験的プロジェクトが生まれているが、どれひとつものにはならなかった。

しかしMomentsの場合は話が違う。

このアプリはデバイスで撮影した写真を特定のFacebook友達とプライベートに共有する機能を提供するもので、この数ヶ月、Facebookがプロモーションに力を入れるにつれて
アプリ・ストアのランキングを着実にアップさせてきた。またFacebookは人気のチャット・サービス、Messengerと連携させることで+Momentsの知名度を上げる努力もしている。ユーザーがMomentsで写真を友達と共有すると、そのことが相手のFacebook本体にプッシュ通知されると同時にMessengerアプリからメッセージが送られる。

FacebookはMomentsを使うユーザーを本格的にこのアプリに定着させる構えだ。

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実はFacebookで写真同期が開始されたのは数年前だ。これはモバイル・ユーザーが写真を簡単にバックアップできると同時にFacebookに投稿しやすくすることを狙った機能だった。アプリはバックグラウンドで作動し、非公開のまま写真アルバムをFacebookのサーバーにアップロードし、後でユーザーが編集、共有、削除などの処理ができるようにした。当時、この機能は非常に高い評価を受けた。ソーシャルメディアにとって写真処理のしやすさとユーザー数や利用時間には死活的な関係があった。つまり機能をMomentsに移して本体の写真同期をシャットダウンするというのは実に大胆な決定といってよい。これは昨年FacebookがMessengerを普及させるために本体アプリからチャット機能を切り離したのに匹敵する大胆さといえる。.

しかしその結果は大成功で、MessengerはたちまちAppleのApp Storeの3位(ときおり2位)に駆け上った。FacebookはMomentsアプリでこの再演を期待している。

Facebookによれば、Momentsのインストールを望まないユーザーに対してはデバイスの写真をZIPファイルとしてコンピューターにダウンロードする(またはデバイスから削除する)機会が与えられるだろうとしている、

新しいMomentsの投入は、ライバルのGoogleがスタンドアローンの写真アプリ、 Googleフォトを成功させた(「写真とビデオ」カテゴリーでiOSアプリがトップ20、Androidアプリがトップ10入り)タイミングで行われた。

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1月10日に本体の写真同期機能が終了した後も。Momentsで同期された写真自体へはURLでアクセスできるということだ。つまりMomentsをインストールしてないユーザーも送られてきたリンクをたどれば同期写真を見ることはできる。

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十数億という桁はずれのFacebookのユーザーベースを考えればMomentsアプリもストアでのランキングを急速に上げてきたことは驚きではない。Momentsアプリは今月初めにはトップ100位に入る程度だった。しかしFacebookがプロモーションを始めると12月11日(先週の金曜)にはiTunes App Storeで3位となっていた。その後やや順位を下げたが、昨日も依然トップ15に入っていた。 Google PlayでもpMomentsアプリは10位以内だ。

ただしヨーロッパのFacebookのユーザーの場合、Momentsへの移行に関していまだに不透明な部分がある。

それはどういうことかというと、Momentsのセールスポイントは上述のように強力な顔認識機能であり、この機能に基づいて共有相手を推薦する能力だ。しかしヨーロッパではまさにこの能力がプライバシー保護の観点から禁止対象になっているため、Momentsはヨーロッパでは利用できない。FacebookとしてはヨーロッパでもMomentsをリリースする必要がので、同地向けに顔認識を削除したバージョンを用意しなければならないだろう。プライバシー上など同様の制限に対してFacebookは過去にも別バージョンで対応してきた歴史がある。当面、Facebook本体の写真同期機能が廃止されるのはMomentsが制限を受けずに公開できる国に限られるのだろうというのがこの問題に対するわれわれの理解だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+