Nikolaが電動セミトラックの納車見通しを下方修正、バラ色とはいえない予測は収益面でも続く

SPAC(特別買収目的会社)との合併により上場を果たした電動トラックのスタートアップ企業であるNikola(ニコラ)は、サプライチェーンの制約から多くの遅延が発生している影響で、年内に納車できる車両の台数が半減する見通しであると、米国時間8月3日に警告した。

未だ量産開始前の段階にある同社は、第2四半期の決算発表の中で、年内に50〜100台の生産を計画していた電動セミトラックの生産台数を、25〜50台に引き下げると発表した。バラ色とは言えない予測は、収益面でも続いた。

同社は2021年度の売上高予想を、0ドル〜750万ドル(約8億2000万円)へと引き下げた。これまでは1500万ドル(約16億4000万円)〜3000万ドル(約32億7000万円)と予想していた。

Nikolaの報告によると、第2四半期の純損失は1億4300万ドル(約155億9000万円)と、前年同期の1億1570万ドル(約171億2000万円)の損失から増加したとのこと。調整後1株当たりの純損失は20セント(約22円)で、実際にはアナリストの予想よりも良い結果となった。同社の当四半期末の現金残高は6億3260万ドル(689億8000万円)となっている。

今回の決算発表では、量産前試作車のテストやアリゾナ州に建設している工場の0.5期工事の完了など、電動トラックの量産に向けた進捗状況に焦点が当てられたが、市場の関心は、見通しの下方修正や、創業者のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が証券詐欺で起訴されたことによる影響の方に向けられた。他に同社の最新情報としては、14台の量産前試作車と、5台のアルファ版および9台のベータ版のプロトタイプを製作したことが発表された。

Nikolaの株価は、日中の取引で7.47%下落した。

2020年NikolaののCEO兼会長を辞任したミルトン氏は、米国時間7月29日、連邦大陪審により2件の証券詐欺および1件の通信詐欺の罪で起訴された。検察は訴状の中で、ミルトン氏がソーシャルメディアを利用したり、テレビに頻繁に出演したりして、同社が製品を製造する前に「Nikolaに関する虚偽の誤解を招くような情報」を市場に氾濫させる広報活動を行ったと詳述している。

2020年3月、Nikolaは特別目的買収会社であるVectoIQ Acquisition Corp.(ベクトIQ・アクイジション)との合併により株式公開することを発表した。ミルトン氏は、その年の夏に会社が上場した後、Twitterに頻繁に投稿し、個人投資家に向けて直接的にメッセージを発信していた。そして9月、GMが20億ドル(約2181億円)の出資を発表した数日後に、著名な空売り専門投資会社のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)が、Nikolaに詐欺の疑いがあると告発。米国証券取引委員会はこの件について調査を開始し、2週間後にミルトン氏は会長を辞任した。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転トラック開発のTuSimpleが貨物ネットワーク構築に向けRyderと提携

2021年初めに上場した自動運転トラック開発のTuSimple(トゥーシンプル)は、自動運転トラック輸送をサポートする貨物ネットワークを構築する計画の一環としてRyder(ライダー)と提携した。

7月26日の週に発表した取引の下、Ryderの車両メンテナンス施設はTuSimpleの貨物ネットワークのためのターミナルとなる。AFNと呼ばれているTuSimpleの自動運転貨物ネットワークは、2024年までに米国中で展開されることになっている自動運転トラック輸送網のための配送ルートとターミナルの集合体だ。TuSimpleが上場する前に同社の少数株を獲得したUPS、運輸会社​​U.S. Xpress、Penske Truck Leasing、そしてBerkshire Hathawayのグローサリー・食品サプライチェーン会社McLane IncがAFNの立ち上げ時のパートナーだった。

TuSimpleのAFNは自動運転トラック、デジタルマッピングされたルート、貨物ターミナル、顧客が自動運転ロラックのオペレーションをモニターし貨物をリアルタイムで追跡できるシステムから構成される。

Ryderの施設は主に、TuSimpleのトラックがメンテナンスを受けたり、調整された自動運転システムが使われているセンサーを必要に応じて搭載したりできる戦略的ターミナルとして機能する。一部のケースでは、ターミナルは貨物をピックアップしたい小規模オペレーターのための移送ハブのようにも使われる。しかしこれは、TuSimpleの会長兼CEOのCheng Lu(チェン・ルー)氏によると、顧客がやって来て貨物をピックアップするハブ・ツー・ハブを意図するものではない。

「これらのトラックは修理やメンテナンスが受けられる必要があり、長い稼働時間を持っていなければなりません。これは、自動運転だろうがなかろうが、すべての運送業者が気にかけていることです」とルー氏は話した。

小規模の荷主と運送業者は、貨物のピックアップやドロップオフのためにこれらのターミナルを使うかもしれない。しかし大半の場合、特にUPSのような大規模オペレーターのために、TuSimpleは貨物を直接顧客の配送センターへ運ぶ。Ryderの施設はTuSimpleがより広範な地理的領域でより多くの顧客にリーチすることができるようになる結節点、あるいは停留場となる、とルー氏は付け加えた。

提携は徐々に導入される。TuSimpleは安全オペレーターが運転席に乗り込む50台の自動運転トラックを保有し、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州で顧客のために貨物を運んでいる。提携ではこれら地域にあるRyderの施設をまず使用し、米国中にあるメンテナンス施設500カ所へと徐々に拡大する。

TuSimpleは2021年後半にフェニックスとオーランド間で貨物を運び、東海岸へと事業を拡大する予定だと述べた。同社は新しいトラック25台を注文していて、納車され次第、車両群に加わる。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動トラックメーカーNikolaの創業者ミルトン氏、詐欺容疑で起訴

電動トラックスタートアップNikola(ニコラ)の創業者で前CEO兼会長である、早口の演出巧みなTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が3件の詐欺容疑で起訴された。

マンハッタンの米連邦地検が米国時間7月29日に開示した起訴状によると、ミルトン容疑者は個人的な利益のために「個人投資家を欺くために詐欺計画に携わった」とのことだ。ミルトン容疑者は2件の証券詐欺、1件の通信詐欺で大陪審に起訴された。

地検は訴状の中で、ミルトン容疑者が、車両を生産する前から「Nikolaについて誤ったミスリードする情報をマーケットに広めた」PRにおいて、どのようにソーシャルメディアを活用し、また頻繁にテレビに登場したかについて詳しく述べた。

起訴内容はNikolaと、同社を2015年に創業したミルトン容疑者の大急ぎの滅裂な事業を反映している。ミルトン容疑者は最初のプロトタイプを発表してかなりの注目を集め、Nikolaが「トラック運送のiPhone」を生産すると豪語した。その後、​​Badgerという電動ピックアップトラックを含む他のプロダクトに関する約束、アリゾナ州に工場を建設するという計画が続いた。

2020年3月に同社は特別買収目的会社VectoIQ Acquisition Corpとの合併を通じて上場すると発表した。同年夏に上場後、ミルトン容疑者は頻繁にTwitterに投稿し、個人投資家にメッセージを送っていた。そして同年9月、GMが同社への20億ドル(約2190億円)の投資を発表してから数日後に、空売りで有名なHindenburg ResearchがNikolaを詐欺だと糾弾した。米証券取引委員会が調査を開始し、2週間してミルトン容疑者は会長職を辞任した

Nikolaは7月29日、いまだに大株主であるミルトン容疑者と距離をとっているとの声明を出した。

トレバー・ミルトン氏は2020年9月20日にNikolaを辞め、以来、Nikolaの運営に関与しておらず、連絡も取っておりません。本日の当局の動きはミルトン氏個人に対するものであり、Nikolaに対するものではありません。Nikolaは調査を通じて当局に協力してきました。以前発表した目標とタイムラインに全力を注いでおり、2021年後半に製造施設からNikola Treバッテリー式電動トラックを出荷することにフォーカスしています。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードの電動ピックアップトラックF-150 Lightningの予約が12万件超え

Ford(フォード)と同社のベストセラー車両であるF-150ピックアップトラックは一貫してピックアップトラック所有者のブランド忠誠心を鼓舞してきた。J.D. Power 2020 U.S. Automotive Brand Loyalty Studyによると、Fordの顧客ロイヤリティ率は54.3%だ。そしていま、車両の電動化に動く中で、同社は新たな購入者を引き込んでいるようだ。

Fordは米国時間7月28日、2021年第2四半期の決算を発表した。現在も続く半導体不足にもかかわらず驚くべき収益をあげたことに加え、F-150 Lightning電動ピックアップトラックのプレオーダー件数が5月の発表以来、12万件に達したことを明らかにした。同社の2021年第2四半期の売上高は268億ドル(約2兆9360億円)と予想をわずかに下回り、純利益は5億6100万ドル(約615億円)だった。

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明確にしておくと、プレオーダーは注文ではなく、同社が今後販売する台数を正確に反映しているわけではない。顧客は払い戻し可能な100ドル(約1万1000円)のデポジットを払ってEVを予約できる。

しかしプレオーダーからは需要についての知見が得られる。

重要なことは、決算発表によるとこれらの新規オーダーの4分の3がこれまで同社車両に乗っていない客からのものであるということだ。決算発表時にCEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏は、Lightningのプレオーダー5件のうち2件がICE(内燃エンジン)ピックアップとの交換になるとも述べた。

これはFordの販売に影響を及ぼす可能性があるばかりでなく、同社の最近のバッテリー製造進出の妥当性をも立証している。世界中の自動車メーカーがセル会社や化学会社とのバッテリー合弁事業に関わっていて、Fordも例に漏れない。同社は米国でのバッテリーセル製造でSK Innovationと提携していて、電動化のための300億ドル(約3兆2865億円)の投資の一環としてミシガン州にR&Dセンターを建設中だ。

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販売増はまた、Fordがかなりの投資を約束している、埋め込まれた電動アーキテクチャのアップグレードを支える。ファーリー氏によると、これによりFordはずっと簡単に今後発売するEVをアップデートでき、新たなコネクテッド機能を使えるようにすることができる。

「ですので、我々が電気自動車のアップグレードについて語るとき、電気自動車のツーリングとエンジニアリング、部品、推進力への投資以上の基礎的なものなのです」とファーリー氏は決算会見で話した。「また、埋め込まれたソフトウェアとハードウェアのシステムへの完全に新しいアプローチも含まれています」。

F-150 Lightningは、基本価格4万ドル(約440万円)超を喜んで払う新規顧客に魅力的に映る多くのアップグレードをともなう。ガソリンで走るモデルと同じトルクとパワーを備え、加えてハンズフリーのADAS BlueCruiseシステム、包括的なインフォテイメントユニット、停電時に家に給電できるだけの容量を持つバッテリーも持つ。

ファーリー氏は決算会見で、価格が2万ドル(約220万円)〜のコンパクトなハイブリッドピックアップである新Ford Maverickの注文がすでに8万件近く入っていることも明らかにした。このモデルは、必ずしもピックアップトラックを求めているわけではないものの、実用性にひかれている人向けのものだ。

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「当社の初の大量生産EVに対する需要は明らかに当社の楽観的な予測を上回りました」とファーリー氏は述べた。「当社はいま、制限をなくしてこれら最新のバッテリーで動くEVの生産能力を増やすために懸命に取り組んでいます」。

決算によると、米国顧客の電動Mustang Mach-Eの注文と他のFord車両の販売の合算は、2020年同時期の7倍超だった。需要の高まりを受け、半導体の供給が安定したとき事業は「バネ仕掛け」でリバウンドする、とファーリー氏は述べた。

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タグ:Ford電気自動車トラック決算発表

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

トラブル続きのEVメーカーLordstown Motorsが株式売却で約442億円の命綱を獲得

Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)が、同社の全電動ピックアップトラックを市場に投入するには十分な資金がないかもしれないという警告を発してから5週間後、投資会社Yorkville Advisorsが運用するヘッジファンドが、3年間で4億ドル(約442億円)相当の株式を購入することに合意したと、米国時間7月26日に発表された規制当局の報告書により明らかになった

Lordstown Motors社内の騒動はCEOとCTOの辞任につながっただけでなく、同社を破綻の危機に陥れている。今回の新たな契約によりLordstownは、同社初の電気自動車を生産するために必要な資金を確保し、事業を継続できる可能性が出てくる。株主総会で承認されれば、ヘッジファンドのYA II PNは、発行済み株式の約19.9%に相当する3510万株を購入することができる。

この資本は、ここ数カ月苦戦していたLordstownに命綱を与えるものだ。また、1株7.48ドル(約826円)で同社の株式を購入できるヘッジファンド側は、株価が上昇すれば経済的な利益を得られる。

Lordstown Motorsは、前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)が経営するWorkhorse Group(ワークホース・グループ)から派生した会社だ。 Workhorse Groupはバッテリー駆動の輸送技術を持つ会社で、上場企業でもある。WorkhorseはLordstown Motorsの株式を10%保有している。

オハイオ州の自動車メーカーであるLordstown Motorsは、2019年に設立され、1年以内に特別買収目的会社(SPAC)であるDiamondPeak Holdings Corp.との合併契約に至り、時価総額は16億ドル(約1766億円)に達した。同社は2021年後半から、オハイオ州ローズタウンの旧GM組立工場でピックアップトラック「Endurance」の生産を開始する計画を立てていた。

その計画は頓挫し、一連の不手際や不正疑惑が同社の問題をさらに大きくした。

2021年3月、以前Nikola Motor(ニコラ・モーター)に関して発表したレポートが証券取引委員会の調査と創業者辞任につながった空売り筋のHindenburg Research(ヒンデンブルグ・リサーチ)は、Lordstown Motorsのショートポジションを取ったと発表した。Hindenburgは当時、ショートポジションの根拠について「収益も販売可能な製品もない会社であり、その需要と生産能力の両方について投資家を欺いていると考えられる」と述べていた。

Hindenburgは、Lordstownの電動ピックアップトラックの予約注文が10万台に達したという主張に異議を唱えたが、これは2021年1月にLordstown Motorsが共有した数字だ。ショートセラーである前者は「広範な調査の結果、同社の注文は大部分が架空のものであり、資本調達と正当性の付与のための小道具として使われているようだ」と述べた。

その2カ月後、Lordstownは第1四半期の決算で、資金不足のためEnduranceの生産台数が約2200台からわずか1000台に半減する可能性が高いと報告した。

CEOとCTOが辞任した翌日、Lordstownの幹部らは、2022年5月までの電動ピックアップトラックの限定生産に必要な資金を提供するだけの拘束力のある予約注文を受けている、と述べて投資家を落ち着かせようとし、ますます深みにはまった。同社はこの発言を数日以内に撤回した

米国司法省(DOJ)と米国証券取引委員会(SEC)は、別々に同社を調査している

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

GMが3モデル目の電動ピックアップトラックを開発中、GMCラインナップに追加

GM(ゼネラルモーターズ)はGMCラインナップにフルサイズの電動ピックアップトラックを加える。2025年までに世界で電気自動車(EV)100万台超を販売すべく、2020年の一連のEV発表に続くものだ。

EVピックアップはメディア向けプレゼンテーションでのスライドの中で共有され、その後同社はTechCrunchに開発の事実を認めた。グローバルのBuickとGMCの副社長であるDuncan Aldred(ダンカン・アルドレッド)氏は車両についての詳細や、いつ生産に入るのか明らかにしなかった。

GMブランドはすでに2021年第4四半期にGMC Hummer EVの生産を開始することを目指している。デトロイトとハムトラムクにある同社のFactory ZERO組立プラントで生産されるGMC Hummer EVは航続距離350マイル(約563km)で、最高出力は1000HP、最大トルクは1万1500ポンドフィートだ。価格は8万ドル(約876万円)〜となっている。

今回の発表の3カ月前に、GMは電動のChevrolet Silveradoピックアップトラックを生産すると発表した。こちらもFactory ZEROプラントで組み立てられる。Chevrolet Silverado EVピックアップは同社のUltiumバッテリープラットフォームをベースにし、フル充電での推定航続距離は400マイル(約643km)超だ。

GMの社長であるMark Reuss(マーク・ルース)氏は発表時に、Chevroletフルサイズピックアップを消費者と商業の両マーケット向けと位置づけている、と述べた。同社はさまざまなオプションやコンフィギュレーションがある小売バージョンとフリートバージョンのSilverado電動ピックアップを提供する計画だ。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)a

​​Rivianが電動車両R1TとR1Sの納車時期を9月以降へとさらに延期

​​Rivian(リビアン)は待望の電動ピックアップトラックR1Tと電動SUVのR1Sの納車をさらに数カ月延期する。CEOのRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏が顧客に送ったレターによると「パンデミックの連鎖的な影響」、特に現在も続く半導体チップ不足によって生産が遅れているためだ。R1Tの納車は2021年9月に始まり「ほどなくして」R1Sも続く、とスカリンジ氏はレターに書いた。

「電動アドベンチャー車両」の最初のシリーズの発売を記念した特別バージョンであるR1Tローンチエディションの納車は1カ月の延期を経て7月に始まる予定だった

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​​世界的なチップ不足に苦慮している自動車メーカーはRivianだけではない。GM(ゼネラル・モーターズ)や Ford(フォード)、トヨタ、そして実質的には他の自動車メーカーすべてが減産したか、チップで動く特定の機能を搭載せずに車両を生産している。たとえばGMはいま、世界的な半導体チップ不足のためにスマホワイヤレス充電機能なしの中型・フルサイズのSUVを生産している。

十分なインバウンド収益がある有名メーカーと異なり、​​Rivianは電動ピックアップトラックをマーケットに持ってくる初のメーカーになろうとしている新規参入企業だ。Fordは電動のF-150 Lightningピックアップトラックを2022年春にマーケットに投入する計画だ。GMC Hummer EVピックアップの生産は2021年後半の開始が見込まれている。

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TechCrunchが確認したスカリンジ氏のレターは以下の通りだ。

注文したクルマに乗るのが待てないのは承知しております。この夏の初め、納車が7月に始まる、と当社は発表しました。しかしながら、R1Tの最初の納車の時期は9月にずれ込み、R1Sはそのすぐ後の秋となります。直に私からお知らせさせていただきます。

当社の生産が予想よりも長くかかっているのにはいくつかの理由があります。パンデミックの連鎖的な影響が予想以上に増幅しました。施設の建設から設備の導入、車両部品の供給(特に半導体)に至るまで、すべてがパンデミックの影響を受けました。これらの予期せぬ障害に加えて、複数の車両に対応する生産プラントを準備しながら3種の新しい車両を立ち上げるというのは、相互に関連した活動の複雑なオーケストラであり、小さな問題がさらなる遅れにつながります。

スカリンジ氏は、現在7000人超を雇用していることなど、同社の状況についてさらに詳細を明らかにした。同氏によると、イリノイ州ノーマルにある同社の工場には2つの生産ラインがある。1つはR1車両向け、もう1つは商業バン向けだ。

同社は2019年に自社のスケートボードを使ってAmazon(アマゾン)の電動配達バンを開発している、と発表した。Amazonはこうしたバン10万台を発注し、納車は2021年開始だ。2021年初め、Amazonはロサンゼルスとサンフランシスコで電動配達バンのテストを開始した。

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Rivianは「認証プロセスの一環として数百台の車両を生産し、これらの多くはユニークなビニールカバーで覆われたままになっている」とスカリンジ氏は話した。同氏はまた、そうした車両がなぜ顧客に届けられていないのかについて「社の長期的な成功と、立ち上げたプロダクトの質と頑強性がブランドに期待しているものを真に方向づけている、というあなたの究極的な満足にとって重要」だと考えているからだ、と説明した。

同氏はまた、納車についての詳細をどのように案内するかという点でRivianが改善する必要があることも認めた。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

柔軟な処理能力を備えた自動運転技術の開発を進めるISEEがヤードトラックでハブの配送を自動化

ロボタクシーはまだ数年先になるかもしれないが、今日あるような自動運転車によって変革が可能な業界は他にもある。MITのスピンオフ企業であるISEEは、コンテナの仕分けや保管が行われている一般的な輸送ヤードで、その1つを見出した。このところ人間のドライバーの数が減ってきているが、今後は同社が専用に開発したロボット運転のヤードトラックがその作業を担うことになるかもしれない。新たな資金調達と大手荷主との提携により、ISEEは大きく成長を遂げる可能性がある。

船積場は物流業界の緩衝地帯だ。コンテナを満載した船からコンテナを降ろすとき、クレーンがコンテナを降ろした岸壁にコンテナをそのまま置いておくことはできない。時間に制約があるため、すぐにトラックアウトする必要があるが、あるコンテナは税関や検査を経て1週間施設に留まる必要があるかもしれない。あるいは、冷蔵保管されていて、電気と空気の接続が必要なコンテナもあるかもしれない。

このような状況はいずれも、プロのドライバーによって処理される。適切な場所まで数百メートルまたは数千メートルの距離を走る短距離トラックへの連結、電源のある空きスロットへの設置、長期保管、検査の準備に入るなどさまざまだ。しかし、ロジスティクスの多くの仕事と同様に、年々登録者が減少しているため、この仕事も人手不足に直面している。結局のところ、作業はかなり反復的であるが、特に容易というわけではなく、そしてもちろん、重い機器は危険をともなうことがある。

ISEEの共同創業者であるYibiao Zhao(イビャオ・ジャオ)氏とDebbie Yu(デビー・ユウ)氏は、物流業界はさらなる自動化を必要としており、特にコンテナヤードがその傾向にあると指摘する。「顧客と一緒に仕事をしていると、ヤードでの作業がいかに時代遅れなものかということに驚きます。基本的には人々が大声を上げているだけなのです」とジャオ氏はいう。「これを次のレベルに引き上げる大きなチャンスがあります」。

画像クレジット:ISEE

ISEEのトラックは完全にカスタム化されたものではなく、よくあるタイプのヤードトラックで、LiDARやカメラなどのセンサーを装備して360度の認識を持たせている。その仕事は、コンテナ(未処理のもの、そこが重要)をヤードのあちこちに運び、50フィート(約15m)のトレーラーを左右わずか1フィート(約30cm)のスペースしかない駐車スペースに戻すことだ。

「顧客は、まるで別のドライバーを雇うかのように、当社のソリューションを採用しています」とジャオ氏はいう。安全地帯を設ける必要はなく、ヤードで特別な配慮をする必要もない。ISEEのトラックは、障害物を避けながらインテリジェントに走行し、通り過ぎる作業員のために減速し、自動運転か人間による運転かにかかわらず、他のトラックのためのスペースを確保する。多くの産業機械や車両とは異なり、これらは安全を保ち、予測不可能な混沌とした交通の中で可能な限り安全に運転するように、現在の自動運転の状態を適応させることができるのだ。

人間のドライバーを超える自動化システムの利点は、こうした環境において特に顕著である。ヤードトラックのドライバーのやや特殊な制約の1つとして、運転席がキャビンの左側にあるため、十分によく見えるのは左側だけであり、トラックも左側にしか駐車できないことが挙げられる。もちろん、ISEEトラックにはそのような制限はなく、どちらの方向にも簡単に駐車できる。

画像クレジット:ISEE

効率性もまた、絶対確実な機械思考によって改善される。「ヤードには何百、何千ものコンテナがあります。人間は、何がどこにあるのか覚えていないことにより、ヤードを歩き回ってアセットを探すことに多くの時間を費やしてしまいます」とジャオ氏は説明する。だがもちろん、コンピュータは決して記憶を失わないので、ガソリンを無駄にしてヤードを回り、コンテナやそれを置く場所を探し回ることはない。

一旦駐車すると、別のISEE技術が電気や空気のために必要な接続を行うことができるが、これは悪い状況に置かれた人間のドライバーにとっては危険なステップとなり得る。

ロボットプラットフォームは一貫性も提供する。ユウ氏によると、人間のドライバーは訓練生の段階では能力が低く、慣れるまでに数年かかるという。「私たちは効率性について多くを習得しました」と同氏は語る。「これは基本的に顧客が最も気にかけていることであり、サプライチェーンはスループットによって左右されます」。

そのため、速度を調整することは興味深い課題であると同氏は指摘する。車両がより速く進むのは簡単だが、障害物があるときだけでなく、行き止まりのコーナーなどを注意して走行しなければならないときにも、必要に応じて減速できるようにするための意識が必要だ。

これは自律性を開発するための完璧な訓練の場だと言えるだろう、そしてそれこそが同社のアイデアである。

「今日のロボットは、極めて制約の厳しい環境下では、事前定義されたルールに従って動作します。しかし将来的には、自律走行車がオープンな環境で走行するようになるでしょう。私たちは、ロボットや自律走行車が不確実性に対処できるようにするための技術的なギャップを認識しています」とジャオ氏は述べている。

ISEE創業者(画像クレジット:ISEE)

「私たちは、複雑な人間の行動をともなう、比較的制約のない環境を必要としていました。コンテナヤードは、実際に理想的な関係を築くもの、つまり当社が提供する柔軟な自律性と敷地の組み合わせを実現するものであることに気づきました」と同氏は続けた。「ヤードは私有地であり、規制はなく、すべての車両はそこにとどまり、子どももいないし、ランダムな人々もいません。公共の高速道路のような長距離道路や交通量の多い通りもありません。しかし、単純なものではなく、ほとんどの産業環境同様に複雑です。密集し、混雑しており、歩行者やトラックが行き来しています」。

MITからのスピンアウトであり、論文やコンピュータビジョンの研究に強い基盤を有しているが、これは理論上のビジネスではない。ISEEはすでに、Lazer SpotとMaerskという2つの主要な荷主と協働している。両社とも数百のヤードと約1万台のトラックを所有しており、その多くまたはほとんどがISEEによって自動化される可能性がある。

現時点で同社はパイロット段階を終えており、Maerskと協力して1ヤードで数台の車両を稼働させている。Maersk Growth FundもISEEに投資しており、その額は公表されていないが、近い将来に買収の可能性も浮上している。しかし、当面の計画としては、技術とサービスを拡大し、改良することに注力し、ISEEと将来の競合他社との差を広げることを目指している。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

ボルボ、ダイムラー、トレイトンが約660億円を投じて全欧的な電気トラックの充電ネットワーク構築

Volvo GroupとDaimler Truck、およびVolkswagenの大型トラック別会社Traton Groupが米国時間7月5日に、電動の大型トラックとバス用高性能充電ステーションの全ヨーロッパ的ネットワークを作るための、法的拘束力のない協定を発表した。このニュースは、最初にロイターが報じた

ヨーロッパの大手自動車メーカー3社は、5億ユーロ(約658億1000万円)を投じて、戦略的に重要な地点やハイウェイの近くに1700カ所の充電ポイントを構築し運用する。協定の締結は年内とされており、2022年に運用を開始する。また将来的にはこの合弁事業のパートナーを増やして、充電ポイントの大幅増を狙っている。

このベンチャー事業は、2050年までにカーボンニュートラルな貨物輸送を実現するというEUの目標を実現する端緒となるものだ。個人や運輸企業でEV化が遅れている大きな理由の1つが、充電インフラャが未整備であることだ。そのインフラを作ることによって3社は、自社製の電気トラックやバスの売上増を狙っている。

Daimler TruckのCEOであるMartin Daum(マルティン・ダウム)氏は、声明で次のように述べている。「2050年までに、気候の中立性を実現することはヨーロッパのトラックメーカーの共同の目標です。その鍵を握るのは、業界が一致協力して正しいインフラを作り、路上にCO2ニュートラルなトラックを送り出すことです。私たちは、Volvo GroupやTRATON GROUPとともに全欧的な高性能充電ネットワークを構築します。開拓者としての第一歩を踏み出すことに、とてもエキサイトしています」。

VolvoとDaimlerのパートナーシップには前例がある。2021年5月に、互いに競合する両社は長距離トラック用の水素燃料電池の共同開発でチームを組み、開発コストの低減と生産量のアップを狙っている。この最新のベンチャーも、業界の気候関連の問題を大企業が共同で解決していく動きの1つだ。

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ヨーロッパの自動車産業の業界団体ACEAは、2030年までに最大5万基の高性能充電ポイントを、という目標を掲げている。TratonのCEOであるMatthias Gruendler(マティアス・グリュンドル)氏はロイターの記事で、ヨーロッパのインフラを完全にEV対応にするためには100億ユーロ(約1兆3162億円)が必要、と述べている。

Volvoが発表した声明によると、今回のベンチャー事業は、自動車メーカーや政府機関など自動車産業と関連のある者全員へ向けての、気候の目標に達するために必要な迅速な事業拡大とそのためのアクションを呼びかけるものだ。

この充電ステーションには特定のブランド名は表記されず、EV群を運用する者なら誰でも、ヨーロッパの長距離輸送で義務化されている45分間の休憩時間中の高速充電と、夜間充電の両方を利用できる。

この合弁事業は独自の社名でアムステルダムに本社が置かれる。株式を3社が同量保有するが、他の製品分野では互いの競合が続く。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

自動運転トラックのEmbarkがSPAC合併で上場へ、評価額は約5770億円

創業5年の自動運転トラックのスタートアップEmbark Trucks Inc.は現地時間6月23日、バリュエーション52億ドル(約5770億円)で特別買収目的会社Northern Genesis Acquisition Corp. IIと合併すると発表した。

Embark(エンバーク)は自動運転トラックに対してまた別のアプローチをとっている。ライバル企業TuSimpleのアプローチである、トラックを生産して運用するというものではなく、EmbarkはAVソフトウェアをサービスとして提供する。運送業者と車両所有者は1マイルあたりのサブスク料金を支払うとソフトウェアにアクセスできる。Embarkのパートナー企業はMesilla Valley Transportation、Bison Transport、Anheuser-Busch InBev、HP Inc.などだ。

運送業者はこのソフトウェアが使えるハードウェアを自動車メーカーから直接購入する。そのため複数の部品やメーカーで「プラットフォーム・アグノスティック」となるようシステムをデザインした、とEmbarkは話す。同社によると、ソフトウェアは1秒あたり長さ60秒のシナリオを最大1200シミュレートでき、走行する他の車両の動きのためにそうしたシナリオを使って適応予測をする。

Embarkは、SPAC取引に関する投資家へのプレゼンテーションで、2023年までに「ドライバー不要」あるいはセーフティドライバーなしでのオペレーションの開始、そして2024年に米国のサンベルト(北緯37度以南の地域)での商業展開を目標としている、と説明した。しかし、Embarkはそれを達成するためのテクニカル上のマイルストーンに到達していない。ソフトウェアはまだ緊急車両とのやり取り、タイヤ破裂や他の機械故障への対応などですべきことがある、と説明した。

合併が完了すれば、Embarkには2億ドル(約220億円)の私募増資を含め、現金で約6億1500万ドル(約680億円)が注がれる。私募増資の投資家はCPP Investments、Knight-Swift Transportation、Mubadala Capital、Sequoia Capital、Tiger Global Managementなどだ。

Embarkはまた、元運輸長官のElaine Chao(イレーン・チャオ)氏が取締役会に加わると明らかにした。まだ24州でしか商業展開が認可されていない自動運転トラックの業界に身を置く企業にとっておそらく大きな恩恵となる。

Embarkは2016年にCEOのAlex Rodrigues(アレックス・ロドリゲス)氏とCTOのBrandon Moak(ブランドン・モーク)氏によって設立された。両氏はカナダのウォータールー大学でエンジニアリングの学位を取りながらともに自動運転に取り組んだ。Y Combinatorを終了したのちにEmbarkはすぐさま計1億1700万ドル(約130億円)を調達した。ここにはSequoia Capital がリードした3000万ドル(約30億円)のシリーズBラウンド、Tiger Global Managementがリードした7000万ドル(約780億円)のシリーズCラウンドが含まれる。

合併取引は2021年下半期に完了する見込みだ。SPAC合併経由で上場する競合社のAVトラックデベロッパーPlusの仲間入りすることになる。TuSimpleは3月に従来のIPO上場を選んだ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

ブリヂストンが自動運転トラックKodiakに出資、タイヤ技術と車両運行管理システムに焦点を当てる戦略的提携も

タイヤメーカー大手のBridgestone(ブリヂストン)は、スマートタイヤ技術のテストと開発を目的とした広範なパートナーシップの一環として、シリコンバレーを拠点に長距離トラックの自動運転技術を開発しているスタートアップ企業のKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)に、少数株主として出資することを発表した。

取引条件は明らかにされていないが、Kodiak Roboticsの共同設立者でCEOを務めるDon Burnette(ドン・バーネット)氏は、これは直接的な金銭出資であると、TechCrunchに語った。また、このパートナーシップの一環として、Bridgestone Americas, Inc.(ブリヂストン・アメリカス・インク、ブリヂストンの米国グループ会社)のCTOであるNizar Trigui(ニザール・トリギィ)氏が、オブザーバーとしてKodiakの取締役会に参加する。

この提携は単なる出資だけにとどまらない。両社はブリヂストンのタイヤ技術と車両運行管理システムの進化に焦点を当てた戦略的パートナーシップも締結している。Kodiakはテストプログラムの一環として、ダラスとヒューストン間の貨物輸送に使用される自動運転トラックに、ブリヂストンのセンサー付きタイヤと車両運行管理システムを使用する。同社は2021年5月、自動運転トラックによる貨物輸送をサンアントニオまで拡大すると発表。カリフォルニア州のマウンテンビュー周辺でも、自動運転トラックのテストを行っている。

年間10万から15万マイル(約16万〜24万km)の距離を走るセミトラックでは、タイヤを常にモニタリングしてその正常な状態を保つことが、トラック輸送の安全性には不可欠であるとバーネット氏は語り、それは人間が運転する場合でもコンピューターが運転する場合でも変わらないと付け加えた。

「自動運転システムの安全性は、最終的には、加速や減速、操舵の際に道路に接するタイヤを操作する能力にかかっています」と、バーネット氏は述べている。「タイヤが期待どおりの性能を発揮してくれると信頼できなければ、限界領域の安全性は必然的に保証されません」。

Kodiakはブリヂストンのスマートタイヤを使用して、空気圧や温度をモニターし、さらに車両の運動性や操縦性に影響を与えるホイールの負荷を測定する。Kodiakが収集したデータをブリヂストンと共有することで、ブリヂストンはタイヤの化学的特性を向上させるためにそれを利用することができる。だが、自動運転技術をてがける企業は、さらなる付加価値をタイヤメーカーにもたらすことができると、バーネット氏は強調する。Kodiakの自動運転トラックには独自のセンサーが搭載されており、タイヤがどのように使用されているかを正確に理解するための膨大な走行データを収集することができるのだ。

「Kodiakのような自動運転技術プロバイダーは、トラックがどのように運転されているかという生のデータをすべて持っています」と、バーネット氏はいう。「どのような力が発生し、どのように操舵され、どのくらいブレーキが踏まれたかということを、私たちはリアルタイムで把握しています。だから、これまでブリヂストンのような企業が集めることができなかった豊富なデータを収集することができるのです」。

これによりブリヂストンは、タイヤの最終的な寿命をより正確に予測できる予測モデルを構築することが可能になり、さらには路上でタイヤに問題が発生する可能性がある場合には警告を発することもできるようになる。「Kodiakが本当に興味を持っているのは、まさにそこなのです」と、バーネット氏は付け加えた。

今回のニュースに先立ち、Kodiakは2021年5月に、韓国の財閥であるSKグループと提携し、同社の自動運転技術をアジアで展開する可能性を検討していくと発表した。SKグループとの提携の最終的な目的は、Kodiakの自動運転技術を同地域で販売・流通させることにある。Kodiakは、人工知能マイクロプロセッサーや高度な緊急ブレーキシステムなど、SKグループが持つ製品、部品、技術を、自社の自動運転システムにどのように利用できるかを検討する。両社はまた、アジアの顧客向けに車両運行管理サービスを共同で提供することにも合意している。

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画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Waymoが米テキサスで自動運転トラックのテストを物流大手J.B. Huntと共同実施へ

Waymo(ウェイモ)は、輸送・ロジティクスの主要顧客であるJ.B. Hunt Transport Servicesのために貨物を運搬する計画だ。2社がいう「テストラン」が米国で最も交通量が多い商業回廊で実施される。

Waymoのトラッキングと貨物輸送サービスWaymo Viaが州間高速道路45号線を使ってテキサス州のヒューストンとフォートワース間で荷物を輸送する。トラックはWaymo Driver自動走行プラットフォームで動くが、Waymoの「自動走行スペシャリスト」、ライセンスを持つトラックドライバー、そしてソフトウェア技術者がオペレーションをモニターするために各トラックに乗り込む。

J.B. Huntと、Alphabet傘下のWaymoが協業するのは今回が初めてではない。両社はここしばらく自動走行トラックの試験展開のために準備してきたようだ。

「我々はここしばらくオペレーションとマーケット調査でJ.B. Huntと緊密に連携を取っていて、自動走行テクノロジーを展開するために今後も協業を続けます」とWaymoはブログへの投稿で述べた。「長期の準備に備えて、通常のメンテナンスのための最善のプラクティス、今後の施設レイアウトがどのようなものか、どのレーンが自動走行テクノロジーに最適かなどを探ります」。

Waymoはこのテストランで何台のトラックを使用するのかTechCrunchと情報を共有するのは却下したが、広報担当は「どのように協業できるか、共同で長期計画を立てるという目標を持った」期間限定のパイロットとなる、と話した。

Waymo Driverはレベル4プラットフォームであり、理論的に人間のセーフティドライバーが運転席に乗り込まなくても走行できるが、それは(天候がいいなど)特定の条件下に限定される。

WaymoはDaimlerトラックにWaymo Driverを搭載するためにDaimler Trucksとも提携した。この他に電動ロボタクシーの開発でVolvoと、自動貨物バンの開発でFiat Chrysler Automobilesとも提携している。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動トラックRivianga全米40州で自社保険プログラムを立ち上げ

電動トラックのスタートアップRivianは、米国時間4月15日木曜日にRivian Insuranceプログラムの詳細を発表した。この保険は、同社のデジタル注文プロセスに統合される予定だ。

この保険は当初、40の州で提供される予定だ。「アドベンチャー・ビークル」企業としてのRivianのマーケティングに沿って、顧客は自宅やボート、ダート・バイク、キャンピングカーなどのレクリエーション設備をカバーするオプションもある。同社が保険プログラムを開始するという計画は、1年以上前に求人広告が発見されて初めてリークされた。

この保険サービスが際立っているのは、Rivian車両プラットフォームとDriver+セーフティスイートの統合だ。同社はブログ記事の中で、この統合により「カスタマイズされたデータベースの補償」を提供できると述べている。Rivian Insuranceを選択した顧客には、Driver+の割引料金が適用される。ドライバーはさらに、RivianのActive Driver Assistanceソフトウェアを使用することで割引を受けることができる、別のプログラムも選択できる。

これは、2021年後半に初の電動ピックアップを市場に投入することを計画しているRivianにとって、賢明な動きだ。Tesla(テスラ)と同様に、RivianはRivian Collision CenterとService Centerですべての作業を自社で行うことで、顧客がシームレスな保険プログラムに魅力を感じるようになると考えているようだ。Rivian Insuranceはベテランに続く新規参入者の一例だが、実は大きな利点がある。なぜなら、Tesla Insuranceが利用できるのはカリフォルニア州のオーナーだけだからだ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

GMが航続距離640km超の電動ピックアップ「シボレー・シルバラード」を生産へ

2025年までに世界で電気自動車(EV)100万台超を販売する計画を進めているGM(ゼネラルモーターズ)は、ラインナップに電動のChevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)ピックアップトラックを加える。

GM社長のMark Reuss(マーク・ルース)氏は米国時間4月6日、電動でフルサイズのシボレー・シルバラードピックアップは同社のUltiumバッテリープラットフォームをベースとし、フル充電時の航続距離は400マイル(約643キロメートル)超だと明らかにした。これはGMの推定距離であり、正式なEPAの数字ではないことは留意しておくべきだろう。

GMはフルサイズのピックアップを消費者と商用の両マーケット向けのものと位置づけている。シルバラードEVピックアップはさまざまなオプションやコンフィギュレーションで提供される、とルース氏は話した。

「特に初期においてEVマーケットの重要な部分であるフリートと商業分野の潜在可能性にかなり興奮しています」とルース氏はデトロイトのハムトラックにある同社の組立工場Factory ZEROでのプレゼンテーションで述べた。

電動のシルバラードはFord(フォード)が将来販売する電動F-150と競合する。そして新規参入のRivian(リビアン)は商用マーケットをターゲットとしないが、同社の電動R1Tピックアップでこの分野に参戦する。RivianはR1Tを2021年夏発売する予定だ。

今回のニュースは、GMのUltiumバッテリープラットフォーム、商用客を専門とする(まずFedExで開始)の新たな部門BrightDropの立ち上げ、電動・コネクテッドプロダクトのエコシステムなど、過去18カ月にあった一連の発表に続くものでもある。BrightDropは、EV600という推定航続距離250マイル(約402km)の電動バンと、EP1と命名されたポッドのような電動パレットの2つのメーンプロダクトで事業を開始する。

GMは2020年、EVとAVのプロダクト開発に270億ドル(約2兆9640億円)を投資すると約束した。ここには2021年に注入する70億ドル(約7684億円)が含まれ、2025年までに世界で30種のEVを発売し、うち3分の2を北米で展開する計画だ。

電動ピックアップトラックのシルバラードはミシガン州デトロイト・ハムトラックにあるFactory ZERO組立工場で生産される、とルース氏は話した。週末に発表されたGMC Hummer EV SUVも同じ工場で生産されることも明らかにした。GMは2020年10月にデトロイト・ハムトラック組立工場の名称を「Factory ZERO」に変え、その後さまざまなタイプの電動トラックやSUVを生産するために同工場に22億ドル(約2415億円)投資すると発表した。

450万平方フィート(41万8000平方メートル)に拡大し、全面的改修と設備一新が行われている同工場ではGMC Hummer EVピックアップと、シェアリング自動運転専用の電動車両Cruise Originも生産される。GMC Hummer EVピックアップの生産は2021年後半に始まる予定だ。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

自動運転技術のオーロラがボルボと提携、高速道路を自律走行するトラックの製造を目指す

自動運転車のスタートアップ企業であるAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Volvo(ボルボ)と自動運転セミトラックを北米向けに共同開発することで合意したと発表した。

両社によると、この数年に渡る予定の提携は、ボルボの自動運転ソリューション部門を通じて行われ、同社の顧客が利用するハブ間の高速道路を自動運転で走行できるトラックの製造に焦点を当てたものになるという。オーロラが開発した、自動運転ソフトウェア、コンピュータ、センサー類を含む「Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)」と呼ばれる技術スタックが、ボルボのトラックに搭載されることになる。

今回の発表は、オーロラがUber(ウーバー)の自動運転子会社を買収したことや、トヨタ自動車と自動運転ミニバンの開発で提携を結んだことに続くものだ。米国で販売されているクラス8トラックは、半数近くが3社のトラックメーカーによって占められているが、オーロラは現在、そのうちのPaccar(パッカー)とボルボの2社と提携している。

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「パッカーなど以前発表したパートナーとの提携は、ボルボとの協業と並行して継続します」と、オーロラの広報担当者はTechCrunchに語った。「パッカー初の自動運転技術パートナーとして、我々の提携の独自性は、安全のために運転手を乗せることなく運用できるパッカー初の大型トラックを製造して、それを市場に初めて投入し、広範囲に展開することを可能にします」。

オーロラによると、同社が買収したBlackmore(ブラックモア)とOURS Technology(アワーズ・テクノロジー)による周波数変調連続波LiDARは、長距離トラックの自動運転を解決する鍵になるという。LiDAR(ライダー)とは、light detection and ranging(光による検知と測距)レーダーのことで、自動運転システムに必要なコンポーネントと考えられている。オーロラの技術は、従来のTime of Flight(光の飛行時間から計測する)方式とは異なり、危険を察知してから停止または減速するのに十分な時間を確保できる長距離の認識が可能であることを売りにしている。

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今回の発表は、ボルボの自動運転車部門であるVolvo Autonomous Solutions(ボルボ・オートノマス・ソリューションズ)にとっても、大きな加速を示すものだ。同事業部にとって、これが自動運転トラックを公道に導入する初の案件となる。

2017年の創設以来、オーロラは急速に自動運転技術をリードする企業の1つとなり、Amazon(アマゾン)、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)からの支援を集めている。同社は、Uber、Tesl(テスラ)、Google(グーグル)の元幹部らによって設立された。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

長距離トラックの中継輸送から無駄な時間をなくすBatonが11.5億円調達

トラック業界では「休止と留置」の時間が効率と利益とドライバーの敵だ。トラックヤードで積替えのために過ごす休止時間と、スケジュールがずれた荷降ろしと荷積みの間に生ずる無駄な時間は、米国のトラック業界に年間20億時間あまりの損失を与えている。

8VCのインキュベーター事業から生まれたサンフランシスコのBatonは、このトラック業界の長年の問題を解決すると彼らが信じるビジネスを開発した。社名の「バトン」は、同社のビジネスモデルを表している。Batonは、混雑した都市部の郊外にドロップゾーンのネットワークを構築しており、パートナーから24時間設備をサブリースしている。長距離トラック運転手は、これらのドロップゾーンに荷物を積んだトレーラーを止めておくことができる。Batonは、クラス8の大型トラックを所有する地元の運送企業と契約して、そのトレーラーを届け先まで運ぶ。

Batonが開発したのは、トラックとドロップゾーンと倉庫と地元のドライバーを単一のAPIで調整するソフトウェアだ。顧客はそのAPIからの自動アップデートで、荷が届いたことをリアルタイムで知ることができる。

共同創業者のAndrew Berberick(アンドリュー・バーベリック)氏は、最近のインタビューで「長距離トラック輸送には無駄な時間がとても多い」と述べている。Batonの利点は、休止と留置で失われる大量の無駄な時間をなくし、さらに都心の渋滞で過ごす路上の時間も減らす。同社によると、米国のトラックドライバーの賃金は時間制ではなく距離制であるため、ドライバーの収入増にも貢献し、炭素排出量も減らす。

Batonの顧客は、CRSTのような長距離トラック輸送の企業だ。この非上場の運送企業は、Walmart のような米国最大の小売企業に荷物を運んでいる。また、さまざまな戦略的投資家たちも、Batonに投資している。最初の330万ドル(約3億6000万円)のシード資金は不動産企業のPrologisと8VCが2019年12月に投資した。そして現在はシリーズAでさらに資金と投資家を求めているが、そのラウンドをリードしているのは8VCとMaersk Growthだ。後者はロジスティクスの大手AP Moller-Maerskのベンチャー部門となる。

結局、BatonはシリーズAで1050万ドル(約11億5000万円)を調達し、共同創業者のNate Robert(ネイト・ロバート)氏とバーベリック氏によると、今の投資前評価額は5000万ドル(約54億6000万円)だったという。このラウンドに参加した投資家はPrologis、Ryder、Lineage Logistics、Project44のCEOであるJett McCandless(ジェット・マッキャンドレス)氏、KeepTruckinのCEOであるShoaib Makani(ショアイブ・マカニ)氏、Clarendon CapitalのオペレーティングパートナーJohn Larkin(ジョン・ラーキン)氏、I.S.Gの創業者Trace Haggard(トレース・ハガード)氏、そしてCooley LLCだ。

Batonのドロップゾーンはロサンゼルスに数カ所あり、同市における増設を計画している。ロバート氏とバーベリック氏によると、今後1年もしくは1年半で、アトランタとシカゴとダラスにも開設する予定だとのこと。

Batonの短期的な狙いは、人間が運転するトラック輸送の無駄の解消だが、ロバート氏によると、同社のビジネスモデルは、自動運転トラックにも適用できる初めてのアプリケーションになりうるという。「ただし、ハイウェイだけに限るべきだ。しかもそのためには乗り換えハブの全国的なネットワークが必要となる」とロバート氏は語る。

Batonはすでにこのアイデアのパイロット事業を行っており、ロバート氏はそれを「自動運転中継(autonomous relays)」と呼んでいる。この事業には、アリゾナとカリフォルニアの州境にある某自動運転トラック企業が協力している。

8VCのパートナーで共同創業者のJake Medwell(ジェイク・メドウェル)氏は次のように語っている。「ルートによっては、自動運転でしかも最終的には電動のトラックがスタンダードになるため、Batonのハブのネットワークとソフトウェアによる調整が中核的なインフラストラクチャーになるだろう。BatonによるDXで、トラック輸送業の自動化が可能になる」。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国の自動運転トラックスタートアップTuSimpleがIPO申請

TuSimple(ツー・シンプル)は多様な戦略的投資家集団が支援する自動運転トラックの会社で、Volkswagen AGの大型トラック部門であるThe Traton Group、Navistar,Goodyear、および運送会社のU.S. Xpressが出資している。米国時間3月23日、同社は上場申請書を提出した。

TuSimpleは、最近特に電気自動車や自動運転車のスタートアップでトレンドとなっている特別買収目的会社(SPAC)との合併ではなく、伝統的方法で上場しようとしている。

提出された書類によると、発行する株数と売出し価格の範囲はまだ決まっていない。TuSimpleは普通株をNASDAQ Global Select Marketにティッカーシンボル「TSP」で登録するつもりだ。Morgan Stanley、Citigroup、およびJ.P. Morganが引受会社になる。

3月23日に提出された同社のS-1書類によると、TuSimpleは償還可能型転換優先株の販売および株主からの借入を事業の主な費用に充ててきた。同社の主たる資金源は3億1080万ドル(約337億5000万円)の現金および現金相当物で、150万ドル(約1億6000万円)の制限つき預金は含まれない。現金および現金相当物は、主に銀行口座にある預金および預金証明書からなる。

S-1書類によると、TuSimpleの2020年営業損失は1億7790万ドル(約193億3000万円)で、前年の8480万ドル(約92億2000万円)から2倍以上なった。2018年の営業損失は4500万ドル(約48億9000万円)だったという。同社の2020年12月31日時点の累積赤字は4億520万ドル(約440億3000万円)だった。

普通株保有者に起因する2020年の純損失は1億9880万ドル(約216億1000万円)で、前年の1億4500万ドル(約157億6000万円)より増えた。

売上は2020年に180万ドル(約2億円)へと増加した。前年は71万ドル(約8000万円)だった。

2015年に設立されたTuSimpleは、今やAurora、Embark、Kodiak、Waymoが名を連ねる小さくても活気のある業界における自動運転トラックスタートアップのはしりだった。TuSimpleの創業チームおよび初期の出資者であるSinaとComposite Capitalは中国出身だが、多くの事業は米国内で運営されており、グローバル本社はサンディエゴにある。TuSimpleはエンジニアリングセンターとトラック基地をアリゾナ州ツーソンに置き、無人運転を支援する施設を最近テキサスに作った。なお無人運転車者は非常時用ドライバーが常時同乗している。TuSimpleは北京と上海でも操業している。

事業拠点とパートナーが米国主体であるにも関わらず、同社株式の大部分は中国投資家が保有している、とS-1目論見書に書かれている。クラスA株式の主要株主はSun Dream Inc.(20%)、Composite Capital Master Fund(7.28%)、およびNavistar(6%)など。現在NavistarはVolkswagen GroupのTheTraton Groupが所有している。TuSimpleの共同ファウンダーであるMo Chen(モウ・チェン)氏とXiaodi Hou(シャオディ・ホウ)氏は、クラスA株式をそれぞれ9.1%と8.5%持っている。2人はクラスB株式を50%ずつ保有している。

Sun Dreamを最終的に支配しているCharles Chao(チャールズ・チャオ)氏は取締役の1人だが、おそらく最もよく知られているのはSinaの会長としてだろう。SinaはWeiboの親会社だ。

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タグ:TuSimple新規上場自動運転トラック

画像クレジット:TuSimple

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

Amazon(アマゾン)は電気貨物車両を使った顧客への配達をサンフランシスコにも拡大する。同社は2021年に計16都市でRivian(リビアン)製EVを導入する予定であり、その中でベイエリアは2番目の実施となった。

テストを行う2番目の都市としてサンフランシスコを選んだいくつかの理由の1つは、その特徴ある道路と天候だと同社は説明した。Rivianとの提携でデザイン・製造されたAmazonのEVはフル充電で最大150マイル(約241km)走行可能だ。

同社はClimate Pledgeの一環として、2021年2月初めにロサンゼルスで電気貨物車両のテストを開始した。Climate Pledgeにはカスタム電気配達車両10万台の購入が含まれている。同社は2020年10月に初めてこの車両を披露し、2022年までに10万台展開することを目指していると述べた。

ベイエリアでの配達はまずはカリフォルニア州リッチモンドにある同社のステーションから始まる。同ステーションはAmazonが新型EV車両に合うように再設計している多くのステーションの1つだ。サンフランシスコ中心部に立地する新しい配達ステーションへの直近の2億ドル(約218億円)の投資は、同市での配達を大幅に増加させるという同社の意図を示している。

「すでに目にしてきたことから、これは最速の現代商業電動化プログラムの1つであり、非常に誇りに思っています」と同社のグローバル車両・プロダクト担当ディレクターであるRoss Rachey(ロス・レイチェイ)氏は声明で述べた。

街中での短距離配達向け車両の電動化の理論を理解している企業はAmazonだけではない。DHLは展開する車両の20%がすでにゼロエミッションのタイプだと話し、UPSはEV1万台を発注済みだ。そしてFedExは全車両を2040年までにEVに換えることを約束している。

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タグ:AmazonRivian電気自動車配送トラック

画像クレジット:Amazon

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Canooが仕事や遊びに使える新電動ピックアップトラックを発表

ロサンゼルス拠点のスタートアップCanoo(カヌー)は最新、そして3つめのモデルとなる電動ピックアップトラックを発表した。似たようなトラックや従来のディーゼルピックアップにあるシャープなコーナーや大きなエンジンハウジングをなくし、商用顧客や週末に冒険を楽しむ消費者のための電動車両だ。

市場に出回っているものの中で最もスペース効率がいいとCanooが謳うこのトラックは米国時間3月11日午後に予定されていた正式公開の前のに10日夜にリークされた。

3つのモデルのCanoo車両はすべてデザインランゲージを共有する。しかしCanooの重要な礎石は基礎だ。Canooは同じプラットフォームアーキテクチャーを全車両で使っており、客室やトップハットをモデルごとに変えているだけだ。Canoo独自仕様のプラットフォームは、EVパワートレインの重要な部品を搭載した薄くて平らなスケートボードのようだ。このタイプのデザインでは同社のトラックはよく売れている従来のピックアップのような平台型サイズに近くなる。

Canooのトラックは2021年第2四半期にプレオーダー受付を開始し、早ければ2023年に納車が始まる。

トラックの長さは約467cmだ(比較するとTeslaのCybertruckは約586cm、RivianのR1Tは約553cm)。しかしCanooのモデルが抜きん出ているのは、プルアウト式のベッドエクステンションだ。これはトラックベッドを約182cmから約243cmに伸ばし、車両の長さを競争力のある約541cmにする。また最大600馬力を誇り、航続距離は約321kmを超える。

画像クレジット:Canoo

Canooの他の車両と同様、ピックアップトラックにもさまざまなオプションが用意されている。例えばトラックベッド用の仕切りや、トラックをバンに変えることができるキャンパーシェルがある。ルーフトップテントすらある(少なくとも写真では確認できる)。これはCanooが車両に合うアクセサリーの事業も考えていることをうかがわせる。

また折りたたみ式の作業机や追加のコンセント、折ることができるサイドテーブル、さらにストレージのあるトラックベッドへの隠れた階段、ルーフラックを備えた貨物ストレージエリアもある。

「当社のピックアップトラックは最もタフなそこらのトラックと同じくらい強く、飛躍的にもっと生産的となるようにデザインされています」とCanoo会長のTony Aquila(トニー・アクィーラ)氏は声明で述べた。「このトラックはあなたの役に立ちます。トラックを仕事、週末、アドベンチャーで使う人のためにアクセサリーも作りました。ありとあらゆるものを手がけました。というのもこれはあなたのプラットフォームだからです。まったくすごいヤツです」。

2020年12月、Canooは特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.との合併取引で上場し、評価額は24億ドル(約2610億円)となった。Fisker Inc.、Nikola Corp.、Lordstown MotorsなどNASDAQに上場するのに従来のIPOを回避した一連のEVメーカーや充電インフラ企業の仲間入りを果たした。

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画像クレジット:Canoo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

急成長中のトラックシェアFluid Truckが67億円調達、住友商事も出資

Fluid Truck(フルイッドトラック)は商用車を所有したりリースしたりする手間とコストをなくすことを目的とするアプリベースのプラットフォームを構築した。この分野はすでにPenske、Ryder、U-Haulのような企業がマーケットシェアを独占している。

そして現在、Fluid Truckはそこに参戦するための資金を持っている。デンバー拠点の同社は米国時間3月2日、トラックシェアリングプラットフォームを拡大するためにシリーズAラウンドで6300万ドル(約67億円)を調達したと発表した。同プラットフォームはウェブやモバイルのアプリを介して中間・ラストマイルの配達企業がオンデマンドレンタル車両を遠隔から管理するのをサポートする。プライベートエクイティファームのBison Capitalが本ラウンドをリードし、Ingka Investments(Ikeaの親会社Ingka Groupの投資部門)、米州住友商事、Fluid Vehicle Ownersが参加した。

外部から資金調達するのは初となる今回の投資は、創業4年のFluid Truckが急成長している中でのものだ。創業者でCEOのJames Eberhard(ジェームス・エバハルド)氏は、売上高が過去2年で100倍になったとTechCrunchに語った。そうしたタイプの成長は有望のように聞こえるが、同氏はベースラインを明らかにしなかったのでその規模を判断するのは難しい。

2020年から2025年にかけてeコマースはグローバルで年平均成長率9.5%で引き続き拡大する見込みで、アクセスしやすいレンタルトラックの需要は相関的に成長するとみられる。eコマースがFluid Truckのターゲット産業の1つであることは驚きではない。

米国の25マーケットで事業を展開しているFluid TruckはカーシェアリングZipcarの商用版だ。引越し業者やeコマース配達企業はFluid Truckのプラットフォームを使ってトラックをレンタルできる。Fluid Truckの事業所に対するアピールは「購入したりリースしたりする必要はありません」以上のものだ。同プラットフォームでは、配達を行う企業は車両を管理・維持して最終的に売却するためのスタッフを管理するマネジャーを置く必要がなくなる。

トラックの購入や管理を外注したい事業者は、Fluidのサービスネットワーク内の工業団地や小売エリアでレンタル可能な車両を見つけることができる。

「プラットフォームに行き、トラックを借り、わずか数分でトラックに乗ることができます。これは事業者がトラックを増やしたり減らしたりするのを可能にします」とエバハルド氏は話した。「当社のユーザー行動が、必要とする全車両を所有するというものから、Fluidで予備の車両を手に入れる、というものに変わっているのを目の当たりにしています」。

エバハルド氏はそうした種の補充使用が、企業が各トラックを所有せずにFluid Truckのプラットフォームを使う状態に変わることを願っている。

Fluid Truckは予約やレンタルプロセスがスムーズなものになるようにデザインされた同プラットフォームのテクノロジーにより、U-HaulやRyder、その他の小規模事業者が独占しているマーケットで競争力を持つことができると主張する。レンタル店に行って順番を待つというプロセスは遅くて雑だが、Fluid TruckのアプリはバンのレンタルをUber車両を呼ぶのと同じくらい簡単なものにするとエバハルド氏は話す。

「複雑さをすべて取り払い、バーチャル車両を持てるようにしています」とエバハルド氏はTechCrunchに語った。

Fluid Truckの車両は貨物バン、ピックアップトラック、大型ボックストラック、その他さまざまな車両などで構成され、現在数千台があり、間もなく何万台という規模になる。同社はまた、米国で最も多く中型EVレンタル車両を所有していると主張する。同社は車両台数を拡大するために複数のOEMと協業し、台数を増やし続けている。それでも、商用サイドのEVの浸透は緩やかなため、同社が所有する全車両におけるEVの割合はまだ1%にも満たない。

Fluidがトラック分野で圧倒的な存在になることをエバハルド氏は願っている。しかしトラックシェアアプリを展開しているのは同社だけではない。競合相手のGoShareとBungiiも似たようなサービスを提供している。

今回の巨額のラウンドは、デジタルトラックシェアリングにおいてFluidがよく知られた存在になるのに有利に働くかもしれない。そしておそらくさらに重要なことに、同社はIkeaの注意と投資を引きつけている。

「これはIkea小売がラストマイルの配達サービスを顧客に提供できるようにする新たな取り組みであり、環境への負荷を減らしながら顧客との約束を改善し続けます」とIngka InvestmentsのマネジングディレクターKrister Mattsson(クリスター・マットソン)氏は声明で述べた。このコメントから将来Fluidと提携することが予想される。

今回調達した資金でFluidは事業拡大を目指す。チームを増強し、米国で更に数十のマーケットでサービスを展開し、欧州とカナダへの進出も準備する。

Fluid Truckはまた自社のテクノロジー部分にも投資する。ここには車両のサービスやメンテナンスを予測して自動化するための社内テレマティクスプラットフォームが含まれる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Fluid Truckトラック資金調達

画像クレジット:Fluid Truck

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi