グーグルとアップルのアプリ内決済ルール強制を禁じる韓国の法案の最終採決が延期に

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)が、それぞれのアプリストアで配信するサードパーティ製アプリ内のサービスへの課金方法について定めたルールを巡ってますます厳しい目を向けられている中、韓国ではそれに関し大きな進展が起こっている。

韓国国会の司法委員会は現地時間8月25日、GoogleとAppleがアプリ内課金でソフトウェア開発者に手数料を請求する慣行を防ぐための、世界初となる画期的な法案を可決した。同日の本会議で予定されていた、同案を可決・有効化するために必要な全議員による最終採決は、当面の間延期となった。

メディアによると、本会議は暫定的に8月30日に延期されたとのこと。

法案が成立した場合、韓国は、このようなグローバルテック巨人らが特定のアプリ内決済システムを強要することを禁止する最初の国となる。

「反グーグル法」と名付けられたこの法案は、国会の立法・司法委員会で承認された電気通信事業法改正案で、GoogleとAppleがアプリ開発者に自社の決済システムの使用を強制することを禁じようとするものだ。

Googleは2020年9月、すべてのアプリ開発者に自社の決済システムを課し、すべてのアプリ内課金に対して最大30%の手数料を徴収すると発表した。

現地メディアの報道によると、2021年7月、Googleはアプリ開発者の要求に応じて新しい課金制度を2022年3月末に延期することを決定し、プレイストアの手数料を15%に引き下げると発表した。

Appleは声明で次のように述べた。「提案されている電気通信事業法は、他のソースからデジタル商品を購入するユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシー保護を弱め、購入を管理することを困難にし、(子供向けの)『Ask to Buy』やペアレンタルコントロールなどの機能の効果が失われるでしょう。この法案の結果、App Storeでの購入に対するユーザーの信頼が低下し、これまでにAppleから8兆5500億ウォン(約8079億円)以上の収益を得ている、韓国の48万2000人以上の登録デベロッパーの事業機会の縮小につながると考えています」。

AppleとGoogleはもちろん、自社のアプリ内決済システムを義務付けることで、より良い安全なユーザーエクスペリエンスを実現するという大きな問題があると主張している。そして、この点がここでも論拠となっている。

Googleはコメントの要請に直ちに返答していない。

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

有料ニューズレターのSubstackがサブスクソーシャルアプリ「Cocoon」のチームを買収

サブスクリプション方式のニューズレターを作れるプラットフォームとして最大のサービスであるSubstackが、同じくサブスクリプション方式で親密な友人たちのためのソーシャルメディアを提供しているCocoonを買収したことを発表した。

TechCrunchはこのY Combinatorで育ったスタートアップが、Lerer Hippeauがリードするシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達した2019年11月に取り上げたことがある。それから間もなくパンデミックがやってきて、互いに親しい者同士がソーシャルメディアでコミュニケーションする方法も激しく変わった。Cocoonの初期の提案は「親友のためのソーシャルネットワーク」というもので、それは前から多くの人がやっていた文章によるグループの、ちょっと高級なものだと考えられていた。しかしながらやがてCocoonは進化して、ユーザーは自由に微調整できるもっとオープンなソーシャルサークルになっていった。ユーザーはアプリでテキストや写真のアップデートを共有できる他、モバイルの位置データやフィットネスの成績など、自動的に更新されるデータを友だち同士のSlackのチャンネル風フィードで共有できるようになった。

アプリの共同創業者であるSachin Monga(サチン・モンガ)氏とAlex Cornell(アレックス・コーネル)氏は、Facebookのプロダクト部門にいたときに出会った。

多くのネットワーキングアプリと違い、Cocoonは広告やユーザーデータを収益源にせず、月額4ドル(約440円)のサブスクリプションをユーザーに押し付けて収益を得ていた。Substackによると、Cocoonは今後も独立して運営されるが、買収したのは立ち上がったばかりのCocoonアプリではなく、小さなチームだという。最近のSubstackは、ニューズレターを書いている人たちのネットワークによるコミュニティ作りに熱心であるため、自らのプラットフォームの機能を進化させるためにより多くの人材を求めていることは驚くことでもない。

3月にこのスタートアップは6億5000万ドル(約715億4000万円)の評価額で6500万ドル(約71億5000万円)のシリーズBを完了した。そもそも最近ではFacebookもTwitterもニューズレターというメディアに関心を示しているため、Substackは今後ますます有望と思われる分野を支えていくに十分なキャッシュを入手できたことになる。実は、Cocoonの前にも小さなスタートアップをいくつか買収している。2021年8月初めにはディベートのプラットフォームLetterを額非公表で買収した。5月には、コミュニティづくりのコンサルタント事業People & Companyを人材取得の目的で買収している。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Spotifyのポッドキャストサブスクを米国の全クリエイターが利用可能に

米国時間8月24日、Spotifyはポッドキャストのサブスクリプションを米国の全ポッドキャストクリエイターに公開した。このサービスはテストとして2021年4月に少数のクリエイターを対象に開始されていた。大手から個人まですべてのクリエイターがSpotifyのポッドキャスト制作ツールであるAnchorを利用して特定のエピソードをサブスク利用者限定コンテンツに指定し、Spotifyや他のプラットフォームで配信できる。Spotifyによれば、サービス開始以降、100以上のポッドキャストがサブスクを利用しているという。同社はこのサービスを広く公開することにともない、早期に利用したクリエイターからのフィードバックに基づいて、価格と機能に関していくつか重要な変更を加えている

関連記事:Spotifyが米国で有料ポッドキャスト開始、2年間クリエイターの取り分は100%

これまでクリエイターは月額2.99ドル、4.99ドル、7.99ドル(約330円、550円、880円)のいずれかの価格を選ぶようになっていた。クリエイターは自分のオーディエンスにとって最適と思われる価格を選ぶことができた。

しかしクリエイターがもっと柔軟な価格設定を望んでいることがわかり、価格を20通りから選べるようになった。最低価格は0.49ドル(約55円)で、そこから徐々に上がっていって最高価格は150ドル(約1万6500円)だ。

画像クレジット:Spotify

Spotifyは調査の結果、クリエイターは価格を完全に自由に設定するよりも最初にある程度設定されている方を望むことがわかったと説明している。そのため、現在はクリエイターが価格を自由に入力するようにはなっていない。今後はテストの結果が良かった3通りの価格として0.99ドル、4.99ドル、9.99ドル(約110円、550円、1100円)が先頭に表示され、その下に17通りの価格が表示される。SpotifyはTechCrunchに対し、先頭の3通りのうち4.99ドル(約550円)が最もパフォーマンスが良かったと述べた。

価格設定と、別のポッドキャストアプリを使いたいリスナーが利用できるプライベートRSSフィードへのアクセスに加え、ポッドキャストクリエイターはサブスク利用者の連絡先アドレスのリストをダウンロードできるようになる。クリエイターはサブスク利用者に追加のベネフィットを提供してエンゲージメントを高められるとSpotifyは説明している。クリエイターが自分の顧客との直接的なつながりを構築するチャンスを失うとなれば、有料サブスクのようなサービスを利用するつもりがなかったクリエイターにも訴求するかもしれない。

画像クレジット:Spotify

有料ポッドキャストを提供しているのはSpotifyだけではない。Appleも2021年4月にポッドキャストのサブスクプラットフォームを発表した。しかし今のところ、Spotifyの方がクリエイターに有利だ。Appleは1年目はポッドキャストの売上の30%を徴収し、2年目には15%になる。これは他のサブスクアプリと同様だ。一方のSpotifyは、今後2年間はこのプログラムを無料に据え置く。つまりクリエイターは2023年まで売上の100%を受け取れる。その後はサブスクの売上のたった5%を徴収する計画だ。

関連記事:アップルがポッドキャストの有料定額サービス開始を発表、米国では番組あたり約53円から

マーケットプレイスモデルに参入する第一歩にあたり、Appleの独占的な振る舞いを厳しく批判するSpotifyが手数料をこれほど小さなパーセンテージにしたことは注目に値する。Spotifyは長年、AppleがSpotifyのサブスクビジネスから手数料を取るのは競争を阻害する行為だと主張してきた。AppleはApple MusicのサブスクによってSpotifyのビジネス上のライバルになっており、今度はポッドキャストのサブスクでもライバルになる。

現在、Spotifyはサブスクベースのポッドキャストを多数配信している。NPRのような大手から、Betches U Up?、Cultivating H.E.R. Space、Mindful in Minutesといった独立系クリエイターまでさまざまだ(NPRはAppleの有料ポッドキャストサービスでも配信されている)。Spotifyで配信するクリエイターは他のプラットフォームを利用してもよい。プライベートRSSフィードを自分の顧客と共有し、Appleのポッドキャストなど他のプラットフォームに配信できる。

Appleのサブスクサービスが出だしでつまづいていることに対してクリエイターの不満の声が高まる中で、Spotifyはサブスクをクリエイターに広く公開することにした。The Vergeの記事には、バグや紛らわしいユーザーインターフェイス、相互運用性の問題などに対するクリエイターの不満が書かれている。これに対してSpotifyは、ポッドキャストのサブスクに関心を持つクリエイターから「数千件」の登録があったと述べている。

Spotifyは米国以外にも利用を広げるとしている。2021年9月15日には米国以外のリスナーもサブスク専用コンテンツを聴けるようになる。その後すぐにクリエイターもポッドキャストのサブスクを利用できるようになる予定だ。

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画像クレジット:stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

建築業界向け建材・家具検索の「TECTURE」が1.2億円調達、建築基準法対応建材の検索を可能とするアップデートも実施

建築業界向け建材・家具検索の「TECTURE」が1.2億金調達、建築基準法対応建材の検索を可能とするアップデートも実施

建築業界向けの建材・家具検索プラットフォーム「TECTURE」を手がけるtecture(テクチャー)は8月24日、総額約1億2000万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capital、個人投資家を含めた8社。2019年創業からの累計調達額は1.9億円となった。調達した資金により開発体制およびデータベース構築体制を強化し、さらなる事業拡大にむけて組織基盤を強化する。また、TECTUREの検索機能アップデートを実施した。

今後の計画として、2022年春には、複数の主要専門誌5年分に相当する3500事例(約7万枚の写真)をデータベース化する予定。今後は「BtoB」の検索領域を拡大し、建物・家具・建材・設計図書・3Dデータなど空間に関するあらゆる検索・データ管理を可能にするという。またコンシューマー「toC」へ向けたマーケットプレイスの展開を予定しており、2023年には日本最大級の空間デザイン検索プラットフォームとなることを目指す。

tectureは、「空間デザインの未来をつくる」をミッションに掲げ、建築家の谷尻誠氏、編集者の佐渡島庸平氏、開発者の川田十夢氏、同社代表の山根脩平氏が、2019年2月に立ち上げた、建築デザイン領域のDX化を目指すスタートアップ企業。デザイナーの作品事例に家具・建材の商品情報を埋め込むことで、作品事例(メディア)から商品情報(カタログ)までワンストップで検索できる設計・メーカー向けプラットフォーム「TECTURE」を展開している。これまで大量の紙で検索していた家具・建材カタログや設計図書をオンライン上で効率的に管理できることから、サービス利用者数は1万5000人を超え、サービス導入設計事務所数は約200社に達しているという。

建築業界向け建材・家具検索の「TECTURE」が1.2億金調達、建築基準法対応建材の検索を可能とするアップデートも実施

TECTUREのアップデートでは、デジタルカタログとしての機能を大幅に強化し、プロユースの検索性に対応した。「建築をさがす」「家具・建材をさがす」の2つのタブで絞り込み検索を実装している。事例や家具・建材の検索性を高め、詳細検索では「防火」「防煙」「ホルムアルデヒド」など建築基準法に対応した建材を絞り込める。

また、メーカー各社の販促ならびに空間デザインや設計業務を強力にサポートするだけでなく、これから家を建てよう、リノベーションをしようと計画中のユーザーにとっても、利用価値の高いサービスアップデートとなっているという。建築業界向け建材・家具検索の「TECTURE」が1.2億金調達、建築基準法対応建材の検索を可能とするアップデートも実施

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

接客ノンデスクワーカーに向け実店舗の業務を効率化する現場接客DX SaaSを提供するcocoが2.4億円調達

店舗向けに現場接客DX SaaS「coco」を提供するcoco(ココ)は8月25日、第三者割当増資による約2億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、Z Venture Capital、マネックスベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、basepartners、Headline、みんなのマーケット、East Ventures、個人投資家の有安伸宏氏、笠原健治氏、吉田浩一郎氏、今泉卓也氏、堅田航平氏、田村航弥氏、従業員含む6名となっている。これにより、累計3億円を超える資金調達が完了した。

cocoは、実店舗の業務を効率化する「接客現場DX」プラットフォーム。具体的には、顧客アンケートのデジタル化や、電話による顧客とのやり取りをテキストチャットに転換するなどで顧客満足度を向上させるとのこと。つまり、顧客の声を丁寧に拾い上げ、店舗に埋もれている接客関連のデータを有効活用して、店舗と接客を改善し、利益の増大につなげるというものだ。

コロナ禍により、店舗に足を運ぶ人がいなくなり、売り場はすべてオンライン化されてしまうという危機感があったと、cocoの代表取締役の高橋俊介氏は話す。しかし、現実には実店舗での買い物を望む人々の気持ちは強く、高橋氏は買い物によって「お店とは、こんなにも楽しくワクワクする場所なのか」と改めて実感したとのこと。

しかし現在、店舗では密を避けるために様々な制約が生じ、対応顧客数を減らさなければならない状況を強いられている。そこで、顧客1人あたりの購買単価やリピート率の向上が重要となり、接客のDXが求められているというわけだ。「人々はリアルで良質な体験を強く必要とし、その良質な体験を提供する場がお店であり、お店があるから、私たちは日々の生活を豊かに、楽しく暮らすことができるのです」と高橋氏は話している。

今回調達した資金で、セールス体制の強化、プロダクトのアップデート、店舗スタッフが「よりリッチで洗練された体験を顧客に対して提供できるようなプラットフォーム作り」を目指すという。

累計受講回数200万回超のヨガ・フィットネスのライブレッスン「SOELU」が6.5億円調達、秋頃に初のオリジナル商品を予定

累計受講回数200万回超のヨガ・フィットネスのライブレッスン「SOELU」が6.5億円調達、秋頃に初のオリジナル商品を予定

ヨガやトレーニングをオンラインのライブレッスン「SOELU」(ソエル)を提供するSOELUは8月25日、第三者割当増資として6億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、DG Daiwa Venturesをリードインベスターに、GMO VenturePartners、HIRAC FUND、ベンチャーユナイテッドなどの合計10社となっている。この調達により、累計資金調達額は15億円になった。

2014年4月に設立し、2018年からはスマートフォンでヨガやトレーニングの双方向ライブレッスンが受けられるようになったSOELUは、2021年の7月、累計受講回数が200万回を突破した。2020年には、コロナ禍の影響で自宅で運動をする人が増え、会員数は7倍に増加している。

今回の資金調達は、「さらにSOELUを知っていただく機会や、お家で満足のいくフィットネス体験の実現」のためだとのこと。具体的には、「多くの人が無理なく運動を続けられる習慣付けをサポートするプロダクト」になるよう「インタラクティブなフィットネス体験作りやマーケティング、採用への投資」としている。同時に、食事や睡眠をはじめ運動以外の健康領域へのアプローチも強化する。2021年秋頃には初のSOELUブランド商品、プロテインの販売を予定しているという。

SOELUは、朝5時から深夜0時まで、15分から60分間のライブレッスンを、毎日200クラスを開講しており、月間6000本近く提供しているという。その他にいつでも利用できるビデオレッスンもあるそうだ。ヨガ、トレーニング、ダンスサイズ、ピラティス、マタニティ、ストレッチなど、300人の専門インストラクターが150種類以上のプログラムを用意している。受講者の姿はインストラクターにしか見えないシステムを採用しており、プライバシーが守られている環境で受講できる。

DNSのNS1がオープンソースのサービスNetBoxをクラウド化

ニューヨークを拠点とするスタートアップのNS1(エヌエスワン)は、企業にマネージドDNS(ドメイン・ネーム・システム)サービスを提供し、アプリケーションの配信と信頼性の向上を行う事業がその始まりだった。そのNS1が、米国時間8月24日、プレビュー発表された新サービス「NetBox Cloud」により、DNS以外の新たな領域にサービスを拡大する。

企業のネットワーク管理者にとって、すべてのネットワークインフラがどこにあり、どのように接続されているかを理解することは、しばしば困難な仕事となる。これは、インフラストラクチャー・リソース・マネジメント(IRM)と呼ばれる新しい種類のエンタープライズテクノロジーの仕事であり、NS1はこれに飛び込もうとしているのだ。TechCrunchは、2021年7月のEC-1シリーズで、NS1を広範囲に渡って紹介している。同社は、インターネット上のいくつかの大規模サイトに対して、DNSをサービスとして提供している。DNSとは、IPアドレスとドメイン名を結びつけるもので、NS1はアプリケーションからのトラフィック配信をインテリジェントに最適化するための技術を持っている。

新しいNetBox Cloudサービスでは、NS1がNetBoxのマネージドサービスを提供することになる。このNetBoxは、開発者のJeremy Stretch(ジェレミー・ストレッチ)氏がクラウドプロバイダーのDigitalOcean(デジタルオーシャン)に在籍していたときに開発した、人気のあるオープンソースのIRMツールだ。ストレッチ氏は、2021年4月にNS1に特別エンジニアとして入社し、それに伴って現在はNS1がそのオープンソースプロジェクトをサポートしている。

ストレッチ氏は、DigitalOcean在職中に、IPアドレス管理をMicrosoft Excel(マイクロソフトエクセル)のスプレッドシートで行っていた時期があったと語る。スプレッドシートを使ってIPアドレスを追跡するやりかたは規模の増大に対応できないので、ストレッチ氏はその問題を解決するために2015年にNetBoxの初期バージョンをコーディングした。ここ数年の間、NetBoxは機能を拡充してきたが、今回NS1のNetBox Cloudサービスでも使えるようになった。

ストレッチ氏は、Netboxの役割は主にネットワークインフラのモデリングであって、ストレッチ氏がネットワークインフラの「正しい情報の基盤」と呼ぶものを提供するアプローチだと説明した。基本的な考え方は、まず組織がネットワークの望ましい状態をモデル化し、そこにモニタリングを導入して、現在の運用状態が望ましい状態と同じであることを検証できるようにすることだ。

「つまり『正しい情報の基盤』というアイデアは、ネットワーク上で構成されているはずのものが、実際に確認され文書化された記録として残されるようにするということです」とストレッチ氏はいう。

NetBoxは、オープンソースのツールとして長年にわたり人気を博してきたが、導入に商用サポートが必要な企業や、マネージドサービスを求める企業にとっては、特に利用しやすいものではなかった。今回の新サービスの目的は、あらゆる規模の組織がNetBoxを利用してネットワークをより良く管理できるようにすることだ。

NS1の共同創業者でCEOのKris Beevers(クリス・ ビーバーズ)氏は、TechCrunchに対し、ストレッチ氏はNetBoxのオープンソースコミュニティを構築するためのしっかりとした仕事をしてきたが、NetBoxの商用サービスは用意されてこなかったと語った。ビーバーズ氏は、NetBoxがオープンソースとして広く採用されている一方で、商用サポートやマネージドサービスを求める企業も多いと考えている。

ビーバーズ氏がExtra Crunch EC-1シリーズで何度も繰り返していた重要なテーマは、NS1自身がビジネスとして非常に実験的であるということであり、それはNetBoxにも同じことがいえるということだ。NetBox Cloudの最初のベータ版の目的は、この技術を採用しようとしている顧客を正確に把握し、商用ユーザーが直面する課題を知ることだ。基本的には、NS1はNetBox Cloudを積極的に改良して、企業が気にすることに対応していくとビーバーズ氏は語る。

そして「NS1の観点からすると、これは非常に魅力的なオープンソース製品とコミュニティなのです。導入の障壁をできる限り低くしたいと考えています」とビーバーズ氏は続ける。

NS1は2013年に創業され、これまでに2020年7月の4000万ドル(43億9000万円)のシリーズDを含む、計1億1840万ドル(約130億円)の資金を調達している。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Sean Michael Kerner、翻訳:sako)

デジタル映画コレクションのMovies AnywhereがAI利用のライブラリー整理機能を追加

Movies Anywhere(ムービーズ・エニウェア)は複数サービスを横断してデジタル映画のコレクションを管理できるアプリだ。このほど、同アプリは膨張するライブラリーを整理しやすくする機能を追加した。

米国時間8月24日、Movies AnywhereはAIを利用した新機能「My Lists」を公開している。ライブラリーの映画をジャンル、俳優、シリーズ、テーマなどさまざまな要素に基づいて自動的にグループ分けする。

巨大なライブラリーを持つデジタル映画コレクターも、この機能を使えば、作品探しはNetflix(ネットフリックス)などの最新ストリーミングサービスと同じように推奨作品をスクロールしていくだけでよくなる。つまり、これまでのように購入順やアルファベット順に並んだ購入済み作品の無限に続くページをスクロールしていく代わりに、コンテンツが見つけやすいように整理されたリストをざっと見るだけでライブラリーに入っているもの簡単に見つけられる。

例えばあるシリーズの全作品を購入している場合、専用の列にまとめて表示される。これまで同じシリーズの作品の間に別の作品が挟まれた状態で探さなくてはならなかったのと比べて大きな改善だ。

「アクションスリラー」などの特定のカテゴリーや「強い女性の友情」などといった中心テーマの作品をたくさん持っていることに気づくこともあるだろう。映画の他の上映作品を絞り込むのに役立つかもしれない。

こうしてアルゴリズムが生成したリストは、編集することも可能で、タイトルを追加、削除したり、リスト全体を削除することもできる。

画像クレジット:Movies Anywhere

自分でリストを作ることもできる。お気に入りや家族と見たい映画のリストなど、好きなようにコレクションを編成できる。この機能は、買ったけれどもまだ見る時間を作れていない映画の「今度見る」リストを作るのにも使える。

Movie Anywhereアプリは何年も前からあるが、2017年の新プラットフォーム移行後、現在はDIsney(ディズニー)、Universal(ユニバーサル)、WB(ワーナー・ブラザーズ)、Sony Pictures(ソニー・ピクチャーズ)、および20th Century Fox(20世紀センチュリー・フォックス)が共同運営している。デジタル映画コレクターに向けた最大のセールスポイントは、さまざまなサービスから購入した映画をすべて一か所で管理できることだ。たとえばiTunes(アイチューンズ)、Vudu(ヴードゥー)、Prime Video(プライム・ビデオ)、YouTube(ユーチューブ)、Xfinity(エックスフィニティー)などが提供するデジタル・ダウンロードもそうだ。これまでは、あるタイトルを買ったかどうかを知るために、アプリからアプリへと切り替えなくてはならなかった。

My Listsは、アプリを最新であると感じさせるために同社が追加してきた数多くの機能の1つだ。たとえば2020年は、Screen Pass(スクリーンパス)というデジタル映画貸し借り機能を導入しており、その前にはユーザーが最大9人の友だちと鑑賞できる Watch Togetherという共同鑑賞機能を公開した。

新しいMy Listsは、Movies Anywhereのモバイルアプリ、デスクトプ版、およびストリーミングデバイスのナビゲーションバーで本日から利用できる。

関連記事:友人に映画を貸し出す「Screen Pass」機能をMovies Anywhereが正式公開
画像クレジット:Movies Anywhere

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Link in Bio」のLinktreeがPayPalと提携、世界中のユーザーがダイレクト決済の支払い受付可能に

ユーザー1600万人超を抱える人気の「Link in Bio」(リンクインバイオ)サービス、Linktree(リンクツリー)が、最近立ち上げた直接支払いのための「Commerce Links」ツールをグローバル展開するためにPayPal(ペイパル)と提携する。メルボルン拠点のLinktreeによると、PayPalがサービスを展開する200カ国超のクリエイターは現在、決済ツールを通じて支払いを受けることができる。

3月に提供が始まったCommerce Linksでユーザーはブラウザやタブを別途開くことなしに自分のLinktreeプロフィールで直接支払いを受けられる。この新しい統合によってLinktreeのユーザーは自分のPayPal口座をつなげて、フォロワーや顧客からPayPal、デビットカード、クレジットカード経由で支払いを受けることができる。ユーザーは取引や決済換算レートなどに関する情報にもアクセスできる、とLinktreeは説明する。利用できる関連データはクリエイターがデジタルプレゼンスを管理するのをサポートするためだという。

「クリエイター経済が成長するにつれ、クリエイターは自身のオーディエンスからできるだけ煩わしい思いをせずに支払いや支援金を回収する新しい方法を求めています」とLinktreeの共同創業者でCEOのAlex Zaccaria(アレックス・ザッカリア)氏は声明で述べた。「当社のソリューションを世界のユーザーに提供し、ユーザーがこれまで以上にデジタルプレゼンスを管理して収益につなげられるようにすべく、PayPalとコラボすることに胸躍らせています」。

クリエイターは、2種類のCommerce Linksを使ってフォロワーや顧客から支払いを受けることができる。「Support Me Link」では、Linktreeユーザーはビジターから支払いや寄付を受けることができ「Request Links」では顧客やフォロワーがクリエイターのLinktreeプロフィールから直接クリエイターに商品やサービスをリクエストできる。

PayPalとのコラボは、クリエイターにフォーカスした一連の取り組みの最新例だ、とLinktreeは話す。今回の提携発表の数日前に、Linktreeは自動音楽リンク集約プラットフォームのSonglink/Odesliの買収を発表していた。LinktreeはSonglink/Odesliを新しく立ち上げた「Music Link」機能に統合する。この機能では、ユーザーが好みのプラットフォームでコンテンツを聴けるよう、曲あるいはアルバムを自動的にすべての音楽ストリーミングサービスで表示する。

2016年創業のLinktreeはいま、Shorby、Linkin.bio、Beaconsなどいくつかの「リンクインバイオ」プラットフォームと競合している。Linktreeは3月にシリーズBで4500万ドル(約49億円)を調達した、と発表した。同ラウンドはIndex VenturesとCoatueが共同でリードし、既存投資家のAirTree VenturesとInsight Partnersも参加した。

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「Link in Bio」を提供するLinktreeがソーシャルコマース機能で約49億円のシリーズB調達
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画像クレジット:Linktree

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

注文した食料品・日用品が10分で届く宅配スーパー「OniGO」1号店が東京・目黒区にオープン、年内25店舗展開へ

注文した食料品・日用品が10分で届く宅配スーパー「OniGO」1号店が東京・目黒区にオープン、年内25店舗展開へ

10分で届く宅配スーパー「OniGO」の1号店が8月25日、東京の学芸大学(目黒区鷹番)にオープンしました。『世帯収入が比較的多い子育て世帯』をターゲットに、目黒区・世田谷区・品川区を中心に年内で25店舗、来年夏までに100店舗の開設を目指します。

「OniGO」は、配送専用店舗から食料品を即時配達する、いわゆる「ダークストア」と呼ばれるビジネスモデルを採用した宅配スーパーです。

ユーザーはアプリから商品を選択し、注文完了ボタンを押すと、注文した商品が10分以内に届きます。商品は生鮮品やグローサリー・お菓子・冷凍食品・ドリンク・洗剤・その他日用品、酒類、薬品類などを扱います。

注文した食料品・日用品が10分で届く宅配スーパー「OniGO」1号店が東京・目黒区にオープン、年内25店舗展開へ注文した食料品・日用品が10分で届く宅配スーパー「OniGO」1号店が東京・目黒区にオープン、年内25店舗展開へ注文可能距離は店舗から半径約1〜2km以内で、配送手数料は300円。商品価格は実店舗とほぼ同じだといいます。

配達員への報酬については”10分以内のお届け”を実現するために、Uberのような単発業務発注ではなく時給制を採用。店舗に常駐し、OniGOから貸与される電動アシスト自転車で配達します。また、配達先を近場に限定することで配達員の土地勘を養い、事故リスクの低減を目指します。配達員の時給は1500円を基本とし、適宜インセンティブを付与します。

一般的な宅配スーパーの場合、注文から配達までに3時間ほどかかるのが一般的ですが、これを10分に短縮することで、新たな宅配需要の取り込みを狙います。

(Source:OniGOEngadget日本版より転載)

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」(フォトラクション)の開発・運営を行うフォトラクションは8月25日、第三者割当増資による7億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、GMO VenturePartners、既存株主のDBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル。調達した資金により、PhotoructionおよびAIを活用しデスクワークや雑務を代行するアウトソーシングサービス「建設BPO」の開発とカスタマーサクセス、採用と組織体制の強化を実施していく予定。

建設業界では、国内建設投資額が平行線になると予測され、今後も多くの需要が見込めるという。しかし、法改正により2024年には残業規制がかるのに加え、労働人口が100万人減ると予想されており、労働力不足のために1人当たりの生産性向上や人材リソースの確保は待ったなしの状況となっているという。そこで同社は、人材とテクノロジーへの投資を継続的に実施することで、国内60兆円を超える建設産業の生産性向上をさらに加速するとしている。

2016年3月設立のフォトラクションは、「建設の世界を限りなくスマートにする」をミッションとし、建設現場の生産性向上をアプリケーションとデジタルアウトソーシングで支援するサービスとして、Photoructionを提供している。同サービスは2017年末に工事現場の写真管理アプリケーションとしてスタートし、現在ではスーパーゼネコンをはじめ10万超の建設プロジェクトで活用されるようになった。また2018年には、建設業務に特化したAIの研究開発も開始。2021年1月に建設BPOをリリースした。

建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

同社は、SaaS×AIにより、業務の効率化だけではなく1人当たりの労働時間を増やせるよう、新しい生産性向上サイクルの可能性を追求するとしている。
建設・土木の生産支援クラウド「Photoruction」の開発・運営を手がけるフォトラクションが7.6億円調達

Facebookが音声やビデオ通話機能をFacebookアプリ本体に再統合か、公式には「アプリ切り替え回数を減らすため」

Facebook、音声やビデオ通話機能をメインアプリに再統合か。公式には「アプリ切り替え回数を減らすため」

Facebook

2014年にFacebookアプリからは音声およびビデオ通話を含むメッセージ機能が削られ、すべてメッセージアプリMessengerへと移されています。それらの機能を、再びFacebookアプリ本体に統合するテストが行われていることが報じられました。

米Bloombergによると、米国を含む一部の国ではFacebookアプリから直接、音声通話やビデオ通話が可能になっているとのことです。Messengerの製品管理担当ディレクターであるコナー・ヘイズ氏は、この機能はテスト中にすぎず、FacebookユーザーがMessengerアプリに切り替える回数を減らすことを目的としていると明かしています。

またMessengerに切り替えなくてもできることを広げるため、FacebookアプリにMessengerの受信箱の限定版を追加するテストも行っているそうです。

Facebookアプリ本体にメッセージ機能が出戻ってくる可能性は、すでに2年前から手がかりが見つかっていました。当時はFacebookアプリ内でメッセージ送信しようとすると、Messengerアプリを起動するかわりに、新たな「Chats」セクションに移動する仕様でした。

上記のヘイズ氏は、FacebookがMessengerを単独のアプリではなく、サービスとして考え始めているとの趣旨を述べています。さらに「時間の経過とともに、こうしたことがかなり多く見られるようになるでしょう」とのことです。

Facebookは昨年、InstagramとMessengerのメッセージング機能を統合しましたが、いずれWhatsAppもこれらに加える予定です。

なぜFacebookは、複数アプリのメッセージ機能を統合しようとしているのか。一説には、メッセージングプラットフォームでもSNSと同様の支配を望み、長期的にはテキストメッセージやチャット以外にも使えるプラットフォームに育て上げる思惑との推測もありました

また米MacRumorsは、各アプリを深く結びつけておけば、もっかFacebookが直面している反トラスト(独占禁止法訴訟)で敗れた場合に、分割(事業分割や売却)されにくくなる可能性があるため、と示唆しています。

Facebookはメッセージ機能の統合につき、アプリの説明では「単一のアプリをインストールしていれば、他のアプリをダウンロードしなくてもいい」とユーザーの使いやすさを強調しています。が、それ以上に野心的な戦略や、最悪の事態に備えた保険の意味合いが大きいのかもしれません。

(Source:Bloomberg。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

APIの利用状況に関するユーザーの行動のインサイトを提供するMoesifが約13億円を調達

APIファーストのサービスを提供する企業の増加を背景に、MoesifはAPIを提供する企業の顧客がAPIをどう使っているかを知る方法を開発している。

サンフランシスコに拠点を置くスタートアップのMoesifは米国時間8月23日、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏とArra Malekzadeh(アラ・マレクザデ)氏が主導したシリーズAで1200万ドル(約13億1500万円)を調達したと発表した。2019年の350万ドル(約3億8500万円)のシードラウンドを主導したMerus Capitalも今回のラウンドに参加した。Moesifの共同創業者でCEOのDerric Gilling(デリク・ギリング)氏はTechCrunchに対し、調達金額の合計は1550万ドル(約17億円)になったと述べた。

関連記事:APIの提供企業がAPIの使われ方を知るツールMoesifがシードで$3.5Mを調達

2017年にギリング氏とXing Wang(シン・ワング)氏がMoesifを創業し、2018年にはAlchemist Acceleratorを修了した

APIの利用状況やワークフローに関するデータを必要とする企業は、これまでSnowflake上などでその機能を自社で開発する必要があったとギリング氏はいう。この場合の問題点の1つは、誰かがレポートを見たいときにその都度処理しなくてはならないことだ。つまりチケットを送ってレポートが実行されるまで待たなくてはならない。また、利用状況に基づいて正確に顧客に請求をしたり、誰かが料金の上限を超えたときに管理したりするのが難しい。

ギリング氏は次のように補足する。「最初は当社の利用者が当社プラットフォーム上で開発をしてAPIに関するデータを引き出していました。そのうち、例えば料金の上限を超えそうなときに顧客に知らせるなど、顧客に直接サービスを提供できないかと問い合わせを受けるようになりました。そこで我々は新機能を開発し、プラットフォームのルック&フィールもカスタマイズできるようにしたのです」。

Moesifは日常的にアクセスできるセルフサービスの分析と、高い費用対効果で分析をスケールできる機能を提供する。利用者はこれを使って監視し、APIに問題が発生したときに詳しく把握できる他、利用状況に基づいて誰がどの程度の頻度でAPIを使っているか、誰がプロダクトの利用をやめる可能性があるかを知ることもできる。

Moesifの2021年の売上は前月比で20%成長し、多様なユースケースと大企業にも対応できるようになっている。ギリング氏によれば、シードラウンドの時点では分析とユーザーによる試用を始めたばかりだったという。現在ではUPS、Tomorrow.io、Symbl.ai、DeloitteなどがMoesifを利用している。

2人から始まったMoesifのチームは9人になり、ギリング氏は今回の資金でエンジニアリング、セールス、デベロッパーリレーション、カスタマーサクセスのスタッフを充実させる予定だ。

同氏はこの分野におけるソートリーダーになることにも目を向けている。またGTM戦略を推進し、APIを収益化しダッシュボードを改善する新機能を開発して、顧客の利用状況よりもサーバの健全性に力を入れていると同氏がいうところの競合他社と差別化しようとしている。

投資に付随して、Craft Venturesのマレクザデ氏がMoesifの経営陣に加わる。同氏はポートフォリオの別の企業からギリング氏を紹介され、MoesifはSaas企業に関するCraftの方針に合うと考えた。

マレクザデ氏が特に関心を持っているのは開発者向けツールで、同氏は以前にAPIを開発するスタートアップで仕事をしていたときにAPIがどう使われているか、顧客にいくら請求すればいいのかがわからず「プロダクトとエンジニアリングのチームにレポートを求めていつも手こずらせていた」と問題点を痛感していた。

マレクザデ氏がそのスタートアップで働いている頃にはMoesifはまだ存在せず、同氏の会社は自社でツールを開発しなくてはならなかったが、結局使いづらいものしかできなかった。トップクラスのエンジニアを採用しても、そういう人たちは会社の中心的なプロダクトでないツールの開発に時間を使うのを嫌がった。

マレクザデ氏は「創業者の2人は技術系ですが、ウェブサイトには優れたコンテンツが掲載されていて2人をよく知ることができました。興味深いのは2人は技術系でありながらビジネスユーザーと同じ言葉を話すことで、これがデベロッパーファーストの企業としての特徴になっています。Moesifの売上の増加にはたいへん目を引かれ、顧客の照会も輝かしいものでした」と述べた。

画像クレジット:ConceptCafe / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokがShopifyとの提携を拡大、米英カナダで買い物機能のテストを実施

TikTok(ティクトック)がeコマースに進出している。同社は米国時間8月24日朝、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)との提携拡大、並びに米国、英国、カナダの特定のShopify販売事業者と今後数週間で行うTikTokショッピングのパイロットテストを発表した

ソーシャルビデオプラットフォームであるTikTokは2020年10月、Shopifyの販売事業者がShopifyのダッシュボードから直接TikTokマーケティングキャンペーンを展開したり最適化したりできる新しいツールの導入や、TikTok For Business Ads Manager内での統合など、Shopifyと提携する計画を明らかにした

8月24日に詳細が発表された提携の拡大では、これまでよりもさらに踏み込む。間もなく、TikTok For Businessアカウントを持っているShopifyの販売事業者は新しい「ショッピング」タブをTikTokプロフィールに加え、プロフィールにミニ店舗を持ってくるために製品カタログを同期させることができるようになる。

この新たなサービスを真っ先に利用するユーザーの1人がKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)氏で、同氏はこの機能を自身の化粧品ブランドで使い、TikTok上で直接商品を購入できるようにする。米国や英国の他の販売事業者ともテストが進行中で、今後数週間内にカナダの販売事業者とも展開される予定だ。販売事業者はShopifyのTikTokチャンネルを通じてテスト参加をリクエストできる、とTikTokは説明している。

新たな提携にはまた、Shopifyの販売事業者へのプロダクトリンクの提供が含まれる。これはTikTokビデオでプロダクトをタグ付けするのに使う。TikTokユーザーはタグの付いたプロダクトをクリックすれば販売事業者の店舗に案内され、精算できる。

画像クレジット:Shopify x TikTok

「クリエイターは新しい種の起業家精神への道を切り開いています。そこでは、コンテンツ、コミュニティ、そしてコマースが鍵を握ります」とShopifyの社長Harley Finkelstein(ハーレイ・フィンケルスタイン)氏は声明文で述べた。「新たなアプリ内買い物エクスペリエンスと、TikTok上でのプロダクト発見を初めて可能にすることで、Shopifyは世界で最も急成長しているソーシャルエンターテインメントプラットフォームの1つでクリエイター経済を後押ししています。次世代の起業家がさらに多くの方法でオーディエンスとつながるのを、先見の明あるパートナーのTikTokとサポートすることを楽しみにしています」と付け加えた。

Shopifyはまた、Shopifyのソーシャルコマースチャンネルのインストールが2020年2月から2021年2月にかけて76%増えたことを指摘し、販売事業者の間でTikTokとの提携に対する需要が増えつつあると述べた。

TikTokは着実にeコマース機能を開発していて、ここには2019年のHashtag Challenge Plus立ち上げも含まれる。この機能では、ハッシュタグに買い物ができる要素を加え、ビデオ視聴者をTikTok内のショップに誘導する。2020年にはLevi’sのようなブランドがTikTokの「Shop Now」ボタンを展開できるようにした。このボタンで消費者はTikTokに表示されるリンクを通じて購入できる。そして2020年秋に発表したShopifyとの提携に加えて、WalmartがライブストリームショッピングイベントでTikTokの活用を開始した。

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2021年初め、BloombergはTikTokが2021年に米国でのeコマース拡大を準備している、と報じた。ユーザーがプロダクトへのリンクをシェアできる他、手数料プログラムやライブストリームショッピングが含まれ、これらすべてはFacebookに対抗するためのものだ。後に、アプリ内ショッピングのテストが欧州のいくつかのブランドで始まった、とも報じた。

TikTokの買い物できるコンテンツでのさらなる大きな目標は、究極的にはFacebookとInstagramに対抗することかもしれない。FacebookとInstagramも近年、FacebookとInstagram ShopsInstagram内の専用ShopタブReelsでのショッピングなど、オンラインショッピングに投資している。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

テストを経てInstagramが「ショップ」タブ内の広告をグローバルで開始

Instagramは2020年に、Facebookがeコマースに向けて転換する一環として「ショップ」を公開した。「ショップ」はアプリの最もわかりやすい場所である下部のナビゲーションバーにあり、新しい写真をアップロードするボタンよりもアクセスしやすい。2021年8月前半の米国でのテストを経て、Instagramは「ショップ」タブ内に広告をグローバルで導入し、このタブを利用できるすべての国で順次公開する。

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これはeコマースプラットフォームとして進化するInstagramの最新のアップデートだ。Instagramはこれまでに、TikTokに対抗するものとしてリールでショッピングをする機能を実装し「ショップ」カテゴリーで限定商品を販売する「ドロップ」を導入し、クリエイターが広告商品を販売したことに対して手数料を得るアフィリエイト機能を追加してきた。

現在「ショップ」では商品が正方形のタイルで2列に並んでいる。広告はこのレイアウトの中の1つのタイルとして表示されるが、画像の左下に「Sponsored」(広告)と目印がつく。広告をクリックすると商品詳細ページが開き、商品の詳しい情報や他の画像、そして同じブランドの別の商品が表示される。ユーザーは広告から商品を自分のウィッシュリストに保存したり友人に送ったりすることができる。広告が不適切である場合は、タイルを長く押すと非表示にしたり広告を報告したりするオプションが表示される。

画像クレジット:Instagram

Instagramは「ショップ」の広告をAway、Donny Davy、Boo Oh、Clare paint、JNJ Gifts、DEUX、Fenty Beautyといった米国の広告主とともにテストしてきた。TechCrunchが以前に報じたように、こうした広告はオークション方式のモデルで導入され、デスクトップでは「ショップ」を利用できないためモバイルにだけ表示される。広告に関するユーザーのエクスペリエンスは、ユーザーのInstagramの使い方やInstagramのタブで買い物をする人の数次第となるだろう。

画像クレジット:Facebook

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

音声プラットフォーム「Voicy」でリスナーから音声配信者への直接課金が月間1000万円を突破

音声プラットフォーム「Voicy」でリスナーから音声配信者への直接課金が月間1000万円を突破

音声配信プラットフォーム「Voicy」(ボイシー。Android版iOS版)を提供するVoicyは8月24日、リスナーから音声配信者(パーソナリティー)への直接課金が、月間1000万円を突破(2021年8月時点)したことを発表した。

リスナーは、有料配信(プレミアム)を行うパーソナリティーに月額料金を支払うことで限定配信が聞ける「プレミアムリスナー」になれるが、直接課金とはその支払いを意味する。現在、プレミアム配信を行っているパーソナリティーは80名以上。月間流通総額は2021年年初から比較すると2倍に延びているという。

Voicyは日本で初めて「ボイスメディア」という音声フォーマットを確立。各分野の専門家、企業経営者、ワーキングマザーなどさまざまな立場の人たちが、気軽に録音して公開できる「音声の大衆化」を実現した。ただし、配信したい人はパーソナリティーとして応募し、審査を受けなければならない。審査通過率は5%と厳しいが、そのおかげで高いクオリティーが保たれているといえる。「プレミアムリスナー」には、「声のプロ」を育成する目的もあるとのこと。

今回の発表は「声のニュースリリース」でも聞くことができる。

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

サプリメントD2Cスタートアップmilim(ミリム)は8月24日、自分に合ったサプリを自由に選べる定額制のサプリメント提供サービス「PERFORM」(パフォーム)の販売を開始した。また同時に、DRG Fundからシードラウンドとして約2000万円の資金調達を実施したことを発表した。サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

PERFORMは、同社が医師の監修の元に開発し、国内の適正製造規範(GMP)認定の工場で製造している5種類のサプリから、自分に合ったものを毎月3つ選択して購入できるというサービス。選択した3種類が月に1回届くが、そのときの体や生活の状態から、次回の組み合せを自由に変更できる。

価格は、単品購入の場合は2900円~3800円(税込)。また例えばお勧めの組み合わせ(COMPLETE VITAMINS & MINERALS、ENERGY、RELAX CBD)を通常注文した場合は、初回が1万2200円、次回からは1万200円。定期コースなら初回2900円、次回から7900円となる(それぞれ税込)。

サプリメントD2CのMilimが2000万円のシード調達、定額制カスタマイズサプリ「PERFOTM」を発売開始

選べる製品は次の5つ。

  • COMPLETE VITAMINS & MINERALS:不足しやすい11種類のビタミンと9種類のミネラルを配合した「必須栄養サプリ」
  • ENERGY:ザイナマイトを主成分に、アルギニン、カフェインを配合したエナジードリンク的なサプリ
  • RELAX CBD:CBD、GABA、L-テアニン、L-トリプトファンを配合したリラックス用のサプリ
  • BRAIN:オトメアゼナ、PQQ、EPA、DHA、カフェインを配合した「スマートアプリ」
  • RECOVERY:イミダペプチド、アントシアニン、クエン酸を配合した「抗ヘトへト」サプリ

ワクチン接種証明が必要なレストランのためにデジタルワクチンカードを米OpenTableが作成

ニューヨーク、サンフランシスコ、ニューオーリンズなどの都市では、屋内で食事する人に新型コロナウイルスのワクチン接種義務を制定する動きがある。そこで、オンラインレストラン予約サービスのOpenTable(オープンテーブル)は、レストランがワクチン接種のチェックを効率化できる機能の展開を開始する。同社は米国時間8月23日、生体認証セキュリティ企業であるCLEAR(クリア)との提携を発表し、ユーザーがデジタルワクチン接種証明カードを作成できるようにした。

CLEARは、ユーザーが目と顔をスキャンして本人確認を行うことで、空港のセキュリティを迅速化するサブスクリプションサービスで会社を築いてきた。しかし、新型コロナウイルスの感染流行が始まって以来、同社はユーザーにワクチン接種の証明を提供する無料サービス「Health Pass」を開始した。OpenTableは9月から、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードとの連携を、iOSおよびAndroid向けアプリで展開する。

OpenTableのアプリで、ワクチン接種が必要なレストランを予約すると、確認画面の上部にCLEARのバナーが表示される。このバナーをクリックすると、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードを作成できる。そして食事の際には、予約確認ページの「CLEAR」ボタンをクリックして、デジタルワクチン接種証明カードを呼び出すことができる。OpenTableによれば、同社が個人の健康情報やワクチン接種証明カードのデータを保存することはないとのこと。

CLEARは、ユーザーのワクチン接種情報を照合できる、ワクチンプロバイダーや薬局のネットワークを持っている。あるいはユーザーが、ニューヨークやカリフォルニア、またはWalmart(ウォルマート)でワクチンを接種した人に提供されるSmart-QRコードをスキャンしてもよい。これら2つの方法ではデジタルで検証される一方で、CLEARはユーザーが米国疾病予防管理センター(CDC)の物理的なワクチン接種記録カードから情報をアップロードすることも受け付けているが、この方法では検証レイヤーが追加されていないため、確実性は高くない。

「CLEARは、画像認識を用いてCDCのワクチン接種記録カードの写真であることを認識し、不正行為に対するセキュリティレイヤーを設けています。このプロセスを通すことで、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードはユーザーの認証済みIDと直接結びつくことになり、不正行為の抑止に役立ちます」と、CLEARの担当者は、TechCrunchの取材に語った。このアプリを利用するには、政府が発行した身分証明書をアップロードし、自撮りした写真を送信して本人確認を行う必要がある。

これらのデジタル認証は、偽のワクチン証明カードや他人のカードの写真を使おうとする人たちの不正を防ぐ効果があるだろう。特に、レストランの中には、ワクチンカードと身分証を照合しない店もあるからだ。ニューヨークでは「Excelsior Pass(エクセルシオール・パス)」というアプリを使って、健康記録をもとにワクチン接種の有無を確認しているが、他に同様の技術を導入している州はハワイだけだ。このようにワクチン接種証明の提示を強制することは、多くの州で禁止されている。

今月初め、OpenTableはレストランのプロフィールページに、安全対策として「ワクチン接種の証明」を追加できる機能を導入した。そして個々の食堂は、客が各レストランやレストラングループの入店条件を満たしていることを「認証」することができる。つまり、お気に入りのタコス屋でワクチン接種の証明をしておけば、次回からワクチン接種証明カードを提示する必要がなくなる。これは個人の客にのみ適用されるもので、団体客には適用されない。なお、OpenTableには最近、ダイレクトメッセージ機能が追加され、食事制限の変更をレストランに伝えることもできるようになった。

関連記事:米国のワクチン接種証明アプリ、倫理面でのリスクが潜む中で企業による開発が進む

画像クレジット:OpenTable

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Instagramがスワイプアップリンクをやめ、使いやすいリンクステッカーを採用

Instagram(インスタグラム)は8月30日から、Instagram Stories(インスタストーリー)のスワイプアップリンクを廃止する。昔から人気があるこの機能は、企業や人気クリエイターらのストーリーを見ている人を、特定のウェブサイトへ導き、詳しい製品情報や、特別の記事、サービスへのサインアップなど、何でもやらせたいことに誘うことができる。しかし今度からは、人気のスワイプアップリンクでアクションに誘う代わりに、新たにできたLink Sticker(リンクステッカー)を利用することになる。

このステッカーは2021年6月初めから一部のユーザーでテスト中だった。そして8月30日からは、本格的に展開される。

その発表に最初に気づいたアプリ研究家のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によると、スワイプアップリンクをやめる計画について、クリエイターに警告していたという。

Instagramによると、スワイプアップリンクは8月30日になくなり、代わりに「リンクステッカー」を使うとのこと。ストーリーのステッカーシートを探してみたが、リンクステッカーはない(私のところはまだのようだ)。ストーリーにリンクを置けなくなるのだろうか?

Instagramによると、現在、スワイプアップリンクを使ってる人のリンクステッカーへの変換は2021年8月30日に始まる。企業と、証明済みもしくはフォロワー数が規定数に達しているクリエイターが対象だ。Instagram自身がそのフォロワー数を明言したことはないが、いろいろなところで1万名以上と報じられている。

リンクステッカーには、スワイプアップリンクよりも良い点が2つあるそうだ。

まず、クリエイターの自由度が大きい。投票や質問や場所など、リンクの性質によってステッカーのスタイルやサイズを変えることができる。最も効果的と思える場所に、自由に置ける。スワイプアップリンクと違って、どんなポストでも読者が応答や反応を送ることが可能だ。

リンクステッカーは、利用者制限ではスワイプアップリンクと同じだが、今後はもっと多くのアカウントが使えるようにしていくとInstagramはいう。ただしアクセスの拡張は、変な人が変な目的で使ったりしないよう、細心の注意が必要だ。例えばリンクステッカーを不正な情報やスパムの散布に利用する悪者がいるかもしれない。ストーリーでリンクの共有を広げるための第一歩だが、正しく利用されるようにして欲しい。

全体として、ジェスチャーからステッカーへの移行は、ポストに加える対話機能をステッカーに統一していく動きという現在のInstagramのクリエイティブに対する方針と一致している。今度のリンクステッカーも、これまでの寄付用、音楽用、投票用などのステッカーの仲間入りをする。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」が80.3億円調達、2030年までに1兆円規模のグローバルプラットフォーム目指す

製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」が80.3億円調達、2030年までに1兆円規模のグローバルプラットフォーム目指す

製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」(キャディ)を手がけるキャディは8月24日、シリーズBラウンドにおいて、総額80億3000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL、DCM Ventures、グローバル・ブレイン、また新規投資家の海外投資家DST Globalのパートナー陣、Arena Holdings、Minerva Growth Partners、Tybourne Capital Managementなど。今回の増資により、累計調達額は99.3億円となった。また、今回の調達に合わせて三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行から25億円の追加融資枠も確保した。2021年冬には、製造業系の企業を対象にしたエクステンションラウンドも予定しているという。

調達した資金は、グローバルも含めた人材採用やCADDiの開発、そして新規事業に投資する予定。これにより、受発注にとどまらず、設計から製造・物流・販売までのバリューチェーン全体のDXを加速し、製造業のデジタル化におけるデファクト・スタンダードを構築することで、2030年までに1兆円規模のグローバルプラットフォームになることを目指す。

CADDiは、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに、多重下請けピラミッド構造から「強み」をベースにフラットにつながる構造へと変革する、製造業の受発注プラットフォーム。装置メーカーの利用企業は全国約1600社(2021年5月現在)、提携加工会社は600社以上。

産業機械装置メーカーやプラントメーカーを対象とし、板金・切削・製缶などの特注部品で構成される装置・プラント一式の一貫生産を担う。独自開発の原価計算アルゴリズムに則った自動見積もりシステムにより、品質・納期・価格が最も適合する加工会社の選定を可能とするという。従来2週間以上かかっていた相見積もりの負担や複数サプライヤーの管理工数を削減できるうえ、低価格かつ高品質な加工品の安定発注を行えるとしている。