話題のヘッドレス通販の触媒を目指すY/Cが支援するVue Storefront

「ヘッドレスコマース」は最近よく使われる言葉だ。実は私自身、すでにヘッドレスコマースについて記事を書いているVue StorefrontのCEOであるPatrick Friday(パトリック・フライデー)氏は、このコンセプトを使ってコマースエコシステム全体の中での自社の位置づけを明確にしようとししている。

「Vue Storefrontは、ヘッドレスコマースに頭となるフロントエンドを提供します」とフライデー氏は説明する。

つまり通常のヘッドレスコマース企業は消費者から「頭」が見えない部分、つまりバックエンドのインフラ構築に注力する。これに対してVueは消費者が実際に接するフロントエンドを高度なウェブアプリとして提供する。同社は自らを「ヘッドレスコマースのための稲妻のように高速なフロントエンドプラットフォーム」だと表現している。

フライデー氏とCTOのFilip Rakowski(フィリップ・ラコウスキー)氏は、eコマース企業のDivanteで働いていたときにオープンソースプロジェクトとしてVue Storefrontテクノロジーを構築し、2020年に新しいスタートアップとしてスピンアウトしたという。同社はシリコンバレーのアクセラレーターのパイオニア、Y Combinatorの最新のクラスに参加しており、SMOK Ventures、Movens VCがリードしたラウンドでシード資金150万ドル(約1億6000万円)を調達している。

「我々が会社を立ち上げたのも、資金を調達したのも、エージェントを説得したのも新型コロナウイルスによるパンデミックの最中でした」とフライデー氏は述べている。2020年12月初旬のある朝に投資家との契約にサインし、その夜さっそくYCombinatorの面接に臨んだこという。

フライデー氏をはじめとするチームは、オープンソースのテクノロジーをコアとしてビジネスを立ち上げたとき単に新しいウェブアプリを構築する以上のことができることに気づいた。つまりVueを利用すればMagentoやShopifyなどのeコマースプラットフォームをContentstackやContentfulなどのヘッドレス・バックエンド・システムに接続し、さらにPayPal、Stripeなどの支払サービスを含むサードパーティのシステムとの統合することが可能だった。

画像クレジット:Vue Storefront

フライデー氏によれば、ユーザーから「Vue Storefrontは接着剤のような存在だ。ヘッドレスアプリは複雑で使うのが難しかったが、Vueが接着剤となって多様なサービスを統合してくれた」と感謝されたという。

Vueのプラットフォームを使用して解説されているオンライン店舗は世界中で300以上となる。フライデー氏によれば、パンデミックとロックダウンにともなうeコマースの急拡大により、企業が「4、5年前のフレームワークやテクノロジー使ったプラットフォームがすでにレガシーになっている」と気づいたため、Vueの採用が加速したという。一方、ラコウスキー氏はこう説明する。

レガシーシステムを新しいプラットフォームに更新しようとすとき、Vue Storefrontが乗り換えを容易にすると考えて我々のところに相談に来るユーザーが多数います。Vueのテクノロジーを使えばバックエンドと独立にユーザーと対話するフロントエンドのコードを書くことができるのでプラットフォームのアップデートが極めて容易、迅速になります。

投資家から資金を調達した直後だったため、Vue Storefrontのチームは前回のYCデモデーには参加していない。ただし次回のデモデーには参加するという。なおVue自身は米国時間4月20日にオンラインでVue Storefront Summitを開催する予定だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Vue StorefronteコマースヘッドレスコマースY Combinator資金調達

画像クレジット:Vue Storefront

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(文:Anthony Ha、翻訳:滑川海彦@Facebook

H&Mが新疆ウイグル自治区の綿花不買を理由に中国のアプリから削除される

新疆の綿花産業で強制労働が行われていると主張し、それに対する「深い懸念」を表明した声明を共産党の組織が激しく非難したことを受けて、H&Mは中国の主要なeコマースとサービスのアプリから削除された。消費者がオンラインショッピングに親しんでいる国において、オンライン攻撃はH&Mの収益に劇的な影響を与える可能性がある。

現地時間3月25日の朝「H&M」を検索してみたところ、AlibabaのTaobaoやJD.com、Pinduoduo、MeituanのショップリストアプリDianping、TencentとBaiduの地図アプリなど、中国の主なオンラインプラットフォームでの検索結果はゼロだった。

AlibabaのTaobaoマーケットプレイスで「H&M」を検索しても結果はゼロだった

自社アプリやウェブサイトを中心にオンライン販売を行っている一部の欧米諸国とは異なり、H&Mは、中国でサードパーティーのeコマースプラットフォームのネットワークに流通を利用しており、個別のアプリやウェブサイトに代わっていくつかの「スーパーアプリ」が大部分を占めている。例えば、多くの国際的なブランドは、淘宝網(タオバオ)を通じて独自の公式ストアを運営し、WeChat内で動作するライトアプリを持っている。

中国本土は、2020年のH&Mの売上高で四大市場の1つであり、中国の146都市で445の実店舗を運営していた。

水曜日、ネットキャンペーンに精通していることで知られている党の青年部である共産主義青年同盟はマイクロブログプラットフォーム「Weibo(微博)」に投稿し、H&Mが新疆ウイグル自治区に関する綿産業についてのうわさを流したと非難した。このソーシャルメディアへの投稿はインターネット上で広く怒りを呼び、1日に38万3000回も「いいね」が押され、何万人ものユーザーがH&Mのボイコットを呼びかけた。

2020年の新疆ウイグル自治区に関するH&Mの声明がなぜ復活したのか、中国のインターネット大手がH&Mのオンラインストアやオフライン情報の上場を取り消すよう政府の命令を受けたのかは不明だ。

中国政府は、反テロ対策の一環として、新疆ウイグル自治区での人権侵害の申し立てを繰り返し否定しており、少数民族のイスラム教徒が多数を占める最西端の省「職業教育訓練センター」を運営していると述べている。

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明らかなのは、中国と西側諸国との間の外交的緊張が今週、高まっているということだ。新疆は、他の問題とともに、近年の中国と米国の政治的駆け引きの中心にある。中国のいくつかの国営報道機関は、国内のインターネットプラットフォームによるH&Mの商品の撤去を引用した記事で、H&Mの全国的なボイコットを呼びかけた。

JD.com、Pinduoduo、Tencent、Alibaba、Baiduはこの件についてコメントを避けた。Meituanはすぐに連絡が取れなかった。

綱引き

新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり、英国、カナダ、欧州連合(EU)、米国が中国政府関係者への制裁措置を発表した数日後に、青年団のコメントは発表された。これに対して中国政府は、EUの企業や個人に対する広範な制裁措置を発表。これらの企業や個人は、中国との取引を禁じられている。

H&Mは物議を醸した声明を取り下げたようだ。オンライン上の騒動に対応して、スウェーデンのアパレル大手はWeiboに投稿し「世界中のサプライヤーが持続可能な開発の目標を遵守することを保証する」とし「いかなる政治的姿勢を示すものでもない」と述べている。

さらに「H&Mは常に中国の消費者を尊重しており、中国における長期的な投資と開発にコミットしている」と付け加えた。

持続可能な綿花生産を推進し、Nike、Adidas、IKEAなど多くの多国籍ブランドをメンバーとする「Better Cotton Initiative(ベターコットンイニシアチブ)」をインターネットユーザーがターゲットにするようになったことで、他の外国ブランドもH&Mと同様に注目を集めている。BCIは2020年10月、人権上の懸念を理由に、新疆ウイグル自治区から調達した綿の認可を一時停止すると発表した。米国政府は2020年に、新疆ウイグル自治区の綿花に対する制裁措置を開始している。

カテゴリー:その他
タグ:H&M中国eコマース

画像クレジット:Roman BalandinTASS/Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Glossierの元役員たち作ったヘッドレスコマースのChordが18億円相当を調達

美容グッズのネットショップGlossierの役員だったHenry DavisとBryan Mahoneyの両氏は昨年、Arfaと呼ばれる新しいeコマーススタートアップを立ち上げた。そして本日(米国時間3/24)は、その企業のビジョンと新しい名前、新しい資金調達、そして買収を発表した。

まず名前から: 今後このニューヨークのスタートアップはChordと呼ばれる。会長兼COOになったDavis氏によると、その名前は、このスタートアップが今や単なるD2Cのブランドではなくて、自分たちのテクノロジー(eコマースのためのバックエンドインフラストラクチャ)を提供することにフォーカスしていることを表す。同社自身が扱うブランドについては、後日発表するそうだ。

CEOのMahoney氏によると、このプラットホームはeコマースを開きたい各ブランドに「コマース・アズ・ア・サービス」を提供する。言い換えると、企業がヘッドレス・コマースの世界へ移行し、フロントエンドのショッピング体験は自前で作っても、バックエンドのeコマースインフラストラクチャは既存のサービスを有料で使うようになると、Chordがそのために必要なニーズをすべて提供する。そこには複数のプロダクトと機能があり、コンテンツ管理や顧客データのプラットホーム、受注管理なども揃っている。

Davis氏が言うのは、そういうeコマースの運営者は、データのインフラストラクチャが不十分で、しかもますます複雑でマルチチャネルのビジネスになっていくから、自分のコアビジネスに関して妥協とトレードオフを迫られる。やるべきことに対して、その技術基盤がない。Chordは、彼らがそうならないようにしたい。「あなたのテクノロジースタックはちゃんとここにあってあなたをサポートできますよ」、とDavis氏は説明する。


Chordの創業者Henry DavisとBryan Mahoney。画像クレジット: Chord

そしてヘッドレスコマースのスタートアップは増えてきたけど、Davis氏によれば、現状のeコマースでは「みんなが同じツールを使って同じことをして競争している。他と違ったヘッドレスソリューションが同じツールにアクセスしているのでもない。それに対してわれわれは、他と差別化できる、より良いコマース・バックエンドを提供したい」、という。

Chordが提供する差別化の例としてMahoney氏は、顧客データのプラットホームが完全で漏れがなく、プラットホーム全体からデータを一箇所に集める「単一の分析レイヤ」が提供される、と言っている。

関連記事: Where is the e-commerce app ecosystem headed in 2021?(未訳、有料記事)

同社は、デンバーのeコマースデータのスタートアップYaguaraを買収した(価額は非公開)。Davis氏によるとYaguaraのチームがChordに加わったことによって、eコマースバックエンドのデータとデータ視覚化の部分が強化される。

また同社はこのほど、シリーズAで1800万ドルを調達している。Crunchbaseによると総資金額は2500万ドルだ。なお、そのラウンドはEclipse Venturesがリードした。

Mahoney氏によると、同社のビジョンは「ヘッドレスコマースのStripeとして知られるようになり、彼らがインターネット上の決済を強化するインフラストラクチャを作ったように、ヘッドレスコマースの創成と運用を強化したい」という。

関連記事: 「ヘッドレス」eコマースプラットフォームFabricが早くもシリーズAで約45億円調達

(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: jayk7/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

友人におすすめ商品を提案するソーシャルショッピングのChumsがYCデモデイに先んじて3.8億円を調達

米国時間3月23日の朝、Y Combinator(YC)のDemo Dayがキックオフされるが、今回のバッチに含まれるスタートアップ企業は、最近の成長を投資家たちに披露する前に、少しでもニュースにしようと急いでいる。そうした企業のリストには、RunwayMonoPangea、そしてFluxが含まれる。

そこにさらにChumsが加わった。Chumsは、ユーザーが友達に商品を提案するのに役立つソーシャルショッピングサービスだ。このスタートアップは、2つのプレシード投資で合計350万ドル(約3億8000万円)を調達した。

TechCrunchはChumsの創業者の1人であるNoah Elion(ノア・エリオン)氏に、このラウンドについて話を聞いた。同氏によると、同社は2020年12月に100万ドル(約1億1000万円)をクローズし、その後さらに150万ドル(約1億6000万円)を調達しようとしていたという。同社への関心が高かったため、Chumsは当初の目標額より100万ドル(約1億1000万円)多く、合計350万ドル(約3億8000万円)を調達することになった。

同社は、SAFE(Simple Agreement for Future Equity、将来株式取得略式契約スキーム)で資金を確保した際のバリュエーション・キャップについては明かさなかった。

150万ドル(約1億6000万円)という目標額は、同社が今後1年半の間に必要とする資本金の額に基づいて設定されたものだとエリオン氏は述べている。最終的な調達額は、Ludlow、Shrug、Contrary Capital、そしてFuel Capitalなどの企業や個人から出資された。【更新】BoxGroupがこのラウンドで2番目に大きな小切手を書いたことは注目に値する。

現在YCに参加している企業が、数週間前に製品を発表したばかりにもかかわらず、どうやってオールドスクールなシリーズAラウンドの資金を調達できたのか。その質問に答えるには、創業チームの経歴がヒントになる。例えば共同創業者のDick Fickling(ディック・フィックリング)氏は、Honeyの初期のエンジニアだった。Honeyもショッピングに特化したスタートアップだったが、巨額のM&Aエグジットに至った企業だ

Chumsのサービスは、ユーザーが購入したいと思う商品タイプをフォローしたり、友人のニーズに合う商品を互いに提案したりできるモバイルアプリだ。このアプリが市場に登場したのは3週間前で、エリオン氏は同社が資金調達を行う直前だったと説明している。TechCrunchが初期の牽引力について質問したところ、エリオン氏は、まだ多くを語るには早すぎるが、これまでのところ「勇気づけられる」レベルのエンゲージメントが得られていると語った。

このスタートアップは現在4人で、ウェブサイトでは友人のグループと表現されている。これはほぼ事実だ。エリオン氏とフィックリング氏は、前者がChumsの前身であるChums Referralを構築した後にチームを組み、その過程で友人になった。フィックリング氏は、チームの他のメンバーであるエンジニアリング担当ディレクターのLauren Williams(ローレン・ウィリアムズ)氏や製品担当のLena Gasilina(レナ・ガシリーナ)氏とは、以前から同僚で友人だったという。

同社チームは、デザイナーとフロントエンド開発者を募集しているが、それ以降の採用は予定していない。次のラウンドまでは、6人のままでいるつもりだという。なぜか?同社は6人のスタッフでプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成したいからだ。そうすれば、余裕のある評価額でさらなる資金調達ができるはず、とのこと。このアイデアはわからないでもないが、2021年に資本を維持するために成長を抑えるというスタートアップの計画を聞くのは少し奇妙だった。

Chumsは、おすすめ商品からの手数料で収入を得て、その収入をユーザーと分けている。エリオン氏は、同社が小売業者との商業的なつながりを確保するために協力しているネットワークについては明かさなかったが、将来的にはChumsがより良い条件を確保するために直接取引を行うことになるだろうと述べた。

ラウンドをクローズし、チームのほとんどが揃い、アプリも市場に投入されたChumsはこれから、Google(グーグル)は過度に操作されており、Amazon(アマゾン)は探しているものがわかっている場合のみに最適だというエリオン氏の見解を証明できるかどうかにかかっている。同氏の考えでは、人々は「コンテンツの多様性」と「自発的な買い物」のためのスペースとしてショッピングモールを好んできた。Chumsはそうしたニッチを埋め、大きな利益を生み出すことができるかもしれない。

関連記事:MAU700万人を突破したインドの美容系eコマース「Purplle」がシリーズDで約49億円を調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:eコマース 資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

MAU700万人を突破したインドの美容系eコマース「Purplle」がシリーズDで約49億円を調達

インドで美容製品のeコマースプラットフォームを展開するPurplleは、世界第2位のインターネット市場である同国でのプレゼンス拡大を目指し、新たな資金調達ラウンドで4500万ドル(約48億9000万円)を調達したとインド時間3月22日に発表した。

シリーズDとなる今回の資金調達はSequoia Capital Indiaと、既存の投資家であるVerlinvest、Blume Ventures、そしてJSW Venturesによって行われた。この新しいラウンドはこれまでに9500万ドル(約103億2000万円)を調達してきた同社の価値を、2019年のシリーズCラウンド時点での1億5,000万ドル(約163億円)から引き上げ約3億ドル(約325億8000万円)と評価したものであると、事情に詳しい関係者がTechCrunchに語った。

今回のラウンドでは、2015年にPurplleに約200万ドル(約2億2000万円)を投資していたIvyCap Venturesが一部退出した。同VCは声明の中で、Purplleは22倍のリターンを実現し、1号ファンド全体の1.35倍のリターンを実現したと述べている。

IvyCap Venturesの創業者兼マネージングパートナーであるVikram Gupta(ヴィクラム・グプタ)氏は、「当社は引き続きこの会社の成長を信じているので、2号ファンドへの出資を維持しました」と述べた。

Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が投資家の中に名を連ねる設立8年目のPurplle.comは、1000以上のブランドから約5万にわたる製品を販売しているという。また、月間アクティブユーザー数(MAU)は700万人に達しているとのこと。

Purplleの共同創業者兼CEOであるManish Taneja(マニッシュ・タネジャ)氏(写真上)は3月22日の声明で次のように述べている。「Purplleは力強い成長を遂げてきました。パンデミックの年を入れても、過去3年間、90%以上のGMV CAGR(流通取引総額 年平均成長率)を達成しています。また、プライベートブランドの拡大にも成功しており、Good Vibesはすでに1億5000万インドルピー(約2070万ドル、約22億5000万円)のブランドとなっています。今回の投資は、Purplleを数十億ドル規模のデジタルファースト・ビューティ&パーソナルケア企業に成長させるのに役立ちます」。

Purplleの成長はユーザーがファッションや美容製品をオンラインで購入し始めている、インドのECスペースの成長を示している。インドを拠点とするオムニチャネルのDTCブランドMyGlammは先週、Amazon(アマゾン)が共同で主導したラウンドで2420万ドル(約26億3000万円)を調達した。

Sequoia Indiaのプリンシパル、Sakshi Chopra(サクシー・チョープラ)氏はこう述べた。「当社は、Purplleが高いリテンションと低い顧客獲得コスト(CAC:customer acquisition cost)で構築されたビジネス、高品質をベストプライスで提供する幅広いブランドの品揃え、そして魅力的なプライベートブランドのポートフォリオ・ミックスという3つの重要な鍵で、バリューリテイリングの美容プレイブックを解読したと信じており、同社と提携できることを嬉しく思います。今後10年間でオンラインでの美容関連の普及率が10%から25%以上になる中で、Purplleは支配的な美容ショッピングスポットになると考えています」。

関連記事:eコマースマーケティングのスタートアップ企業Yotpoが約250億円調達、企業価値は約1524億円に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インド eコマース

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

eコマースマーケティングのスタートアップ企業Yotpoが約250億円調達、企業価値は約1524億円に

直近の資金調達の発表からわずか7カ月後、Yotpo(ヨットポ)はシリーズFラウンドでさらに2億3000万ドル(約250億円)を調達したことを明らかにした。これにより同社の企業価値(資金調達後)は14億ドル(約1524億円)となった。

「今回のラウンドは、私の目から見ると、eコマースの未来を祝福するものです」と、同社の共同創業者でCEOのTomer Tagrin(トマー・タグリン)氏は筆者に語った。「ブランドは、もうマーケティングスタックの接続について心配する必要がありません」。

従来の小売業における成功は「一に場所、二に場所、三に場所」によって決まっていたが、eコマースは「消費者の注目がすべて」だと、タグリン氏はいう。その注目を集めるために、平均的なブランドは10〜14種類のマーケティングアプリケーションを使用しており「かなりひどい体験」をしていると、同氏は推測している。そこで、2011年創立のニューヨークに本社を置くYotpoは、ブランドが必要とするすべてのeコマースマーケティングを、単一の統合されたプラットフォームで提供することを目指している。

これを説明するために、タグリン氏は「例えば、あるマーケターが、過去90日間に商品を購入して5つ星のレビューを残したユーザーだけにカスタマイズされたオファーを作りたいと考えているとします」と説明した。Yotpoでは「ボタンをクリックするだけ」でそれが可能だが「Yotpo以前には、そのような体験は実現できませんでした」と、同氏は述べている。

同社のプラットフォームは現在、Yotpo SMS Marketing、Yotpo Loyalty & Referrals、Yotpo Reviews、Yotpo Visual UGCという4つの主要製品で構成されており、これらは相互に統合されている。また、Shopify(ショッピファイ)、Salesforce Commerce Cloud(セールスフォース・コマース・クラウド)、Adobe(アドビ)傘下のMagento(マジェント)、BigCommerce(ビッグコマース)などのeコマース・プラットフォームとも連携できる。

Yotpoのトマー・タグリンCEO(画像クレジット:Yotpo)

タグリン氏によると、Yotpoには前回のラウンドで得た資金がまだ残っていたが、製品やマーケティングへの投資を継続するとともに、戦略的な買収のために追加の資金を調達することにしたという(同社は2020年初頭にSMSBumpを買収しており、完全な統合に向けて「70%ほど進んでいる」とタグリン氏は述べている)。中でも、カスタマー・コミュニケーションや、カスタマーライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の測定に関する新製品の投入を計画しているそうだ。

Yotpoは現在、年間経常収益も1億ドル(約109億円)を超えており、2020年はSMS Marketingの収益が170%増加して、Loyalty & Referralsの収益も約2倍になったという。Patagonia(パタゴニア)やSteve Madden(スティーブ・マデン)などの大手ブランドがこのプラットフォームを利用しているが、Princess Polly(プリンセス・ポリー)のような新しいメーカー直販型ビジネスにも利用されていることをタグリン氏は指摘。全体で3万社の有料顧客を抱えているという。

「私が言いたいのは、Victoria’s Secret(ヴィクトリアズ・シークレット)は少しずつたくさん切られて死んでいくということです」と、タグリン氏は述べている。「たくさんのミニブランドがあり、それらは既存のブランドに取って代わろうとしている新鋭ブランドです」。

Crunchbaseによると、Yotpoは現在までに総額4億ドル(約435億円)以上の資金を調達している。今回のラウンドは、Bessemer Venture Partners(ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ)とTiger Global(タイガー・グローバル)が主導し、Claltech Investment(クラルテック・インベストメント)、Coin Ventures(コイン・ベンチャーズ)、Hanaco(ハナコ)、Vertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)、Vintage Investment Partners(ビンテージ・インベストメント・パートナーズ)などが参加した。

「Tiger Globalは、小売業の未来を担うeコマースに長年にわたり強気で取り組んでおり、Warby Parker(ワービー・パーカー)やPeloton(ペロトン)などのディスラプター(破壊的)ブランドや、JD.comなどの大手企業、Stripe(ストライプ)やTwilio(トゥイリオ)など最高クラスのSaaS企業に投資してきました」と、Tiger GlobalのJohn Curtius(ジョン・カーティウス)氏は声明で述べている。「統合されたマーケティング技術スタックを提供するYotpoのアプローチと、それによってブランドとオンラインショッパーに提供される価値に、我々は胸を躍らせています」。

関連記事:eコーマス業者が顧客とのより良い関係を構築することを支援するYotpoが約79億円を調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Yotpo資金調達eコマースマーケティング

画像クレジット:Christina Reichl Photography / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「ヘッドレス」のeコマースプラットフォームを手がけるSaleorがシードラウンドで約2.7億円調達

ポーランドと米国を拠点とするスタートアップ企業のSaleor(セーラー)は、開発者がより優れたオンラインショッピング体験を簡単に構築できる「ヘッドレス」eコマースプラットフォームを提供している。同社はシードラウンドで250万ドル(約2億7000万円)を調達した。

今回のラウンドは、ベルリンのCherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)が主導し、さまざまなエンジェル投資家が参加。その中には、Vercel(バーセル)のCEOでNext.js(ネクスト・ジェイエス)の発明者であるGuillermo Rauch(ギレルモ・ローチ)氏や、Contentful(コンテントフル)の元CMOだったChris Schagen(クリス・スカーゲン)氏、Lookout(ルックアウト)の共同創業者Kevin Mahaffey(ケビン・マハフィー)氏などが名を連ねている。

Saleorでは今回調達した資金を、間もなくローンチするクラウド製品や、フロントエンドエンジニア向けのGraphQL(グラフQL) APIなど、同社のヘッドレスeコマースプラットフォームのさらなる開発に投資するという。

Saleorの設立は2020年だが、その歴史は2013年、創業者のMirek Mencel(ミレク・メンセル)氏とPatryk Zawadzki(パトリック・ザワツキ)氏が、彼らの在籍していたエージェンシーの業務とは別に製品を生み出した時にまで遡る。Saleorは「ヘッドレス」アプローチを採用した「APIファースト」のeコマースプラットフォームと説明されている。これは、開発者がユーザーのために価値を生み出すフロントエンドに集中できるよう、プラットフォームがバックエンドの面倒な作業を行うというものだ。

「Saleorは、私たちのMirumee Softwareにおける代行業務の中で、よりモジュール化された、柔軟でスケーラブルなeコマースソフトウェアを必要としていたことから生まれました」と、Saleorの共同設立者であるミレク・メンセル氏は振り返る。「大規模なブランド向けのソリューションの多くは、ベンダーロックインや、新技術の採用の遅れ、商用認証プログラムなど、独自仕様による障害を内包していました。その一方で、オープンソースでは、私たちはMagento(マジェント)の開発環境が気に入らず、他の代替となる製品ではスケールアップが見込めないと感じていました」。

そこでSaleorは、既存の独自仕様のソフトウェアよりも優れたスケーラビリティと拡張性を実現する「技術的な卓越性と品質」に注力したオープンソースのプラットフォームとして構想された。当初はメンセル氏とザワツキ氏のエージェンシーが社内で使用していたプロダクトが、2016年には世界中の開発者に使用されるプラットフォームへと成長した。

「そこで止めることもできたのですが、しかし、私たちは、各ブランドがより革新的なフロントエンド体験を求めているのを目にしました」とメンセル氏はいう。「Saleorのコアをプレゼンテーション層と切り離せば、革命的なフロントエンドへの道が拓けることは明白でした。困難はありましたが、私たちはオープンソースの優れたeコマースプラットフォームだったものを解体し、APIファーストで再構築しました」。

当初からヘッドレスという信念を持っていた2人は、RESTよりもGraphQLの方が「パワー、精度、開発者の満足度が高い」ということにも気付いた。多くの開発者は「たくさんのことを上手くやるよりも、いくつかのことを見事に成し遂げる」方を好むと考え、彼らはSaleorにGraphQL APIのみを採用した。「私たちは一度も振り返ったことがありません」と、メンセル氏は語っている。

当初の6人だったチームは、2018年にSaleor 2.0をリリースした。現在は20人に増えているSaleorは、メンセル氏によると、オープンソース、GraphQL、そして「フェアプライス」のクラウドによる開発者ファーストのコマースというシンプルなビジョンを持っており、Cherry Venturesはこのビジョンに明確に賛同しているという。

Cherry Venturesの創業パートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は「私たちは今、開発者がヘッドレスコマースソリューションに切り替えることで、より柔軟で差別化されたショッピング体験を可能にするパラダイムシフトを目の当たりにしています」と語っている。「ミレク、パトリック、そして彼らのチームは、この開発の最前線にいて、革新的なマーチャントが消費者のあらゆるタッチポイントやデバイスに対応した最先端のショッピング体験を構築することを可能にするでしょう」。

「私たちは、Saleorのコアチームの規模を拡大し、2021年立ち上げる予定のSaleor Cloudの構築を加速させるため、ベンチャーの支援を受けることを決めました」と、メンセル氏は付け加えた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Saleorネットショッピング資金調達

画像クレジット:Saleor

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ブランドのeコマース市場進出をサポートするテルアビブのCymbioが7.6億円調達

テルアビブで「ブランドと小売業者を結びつける」サービスを提供するCymbioが米国時間3月17日、シリーズAで700万ドル(約7億6000万円)を調達したことを発表した。

CEOのRoy Avidor(ロイ・アビドール)氏は、Mor Lavi(モル・ラヴィ)氏やGilad Zirkel(ギラッド・ジルケル)氏らとともに同社を創業した。アビドール氏によるとそのプラットフォームは、ブランドが自らの製品を自分が売りたいeコマースで売れるようにするという。通常、新市場の開拓には、eコマース店の設営にいくらかかるか?どれだけの売上が見込めるか?十分な利益が得られるか?など費用対効果分析が必要だ。しかしアビドール氏によると、Cymbioはその過程を楽にし、統合も瞬時に行える。

このプラットフォームは、複数のマーケットプレイス間の違いにも自動的に対応する。製品分類の分類規格はどのようなものを使っているか、製品の画像の背景色は決まっているか、在庫の同期や追跡や返品はできるか、などなど。またドロップシッピングができるので、マーケットプレイスではなくブランド自身がプロダクトを発送し、それにより顧客の氏名や住所にアクセスできるようになる。

アビドール氏によると、「顧客がいる場所にいる必要がある」を認識するブランドが増えているという。すべてのマーケットプレイスで販売するわけではないが、Cymbioでは時間とお金よりも「ブランドの認知度と認知度」が主な制限事項となっている。

Cymbioの創業者たち(画像クレジット:Cymbio)

2020年にはCymbioの顧客数は12倍に増え、現在ではSteve Madden、Marchesa、Camper、Micro Kickboardなどが含まれていると同社は述べている。また同社によると、新マーケットプレイスのローンチまでの時間は91%短縮され、平均的な顧客のデジタル収入は65%増加するという。

アビドール氏によると、シリーズAは主に営業とマーケティングの拡張に投じ、またプロダクトの開発も継続するとのこと。また、チームは「誰もが何にでもすぐに接続でき、開発者を必要としないコード不要の統合」に取り組んでいるという。

この新たな投資をリードしたのはVertex Venturesで、これにUdian Investmentsと、Payoneerの創業者Yuval Tal(ユヴァル・タル)氏、そしてSapiensの共同創業者Ron Zuckerman(ロン・ズッカーマン)氏が参加した。

Vertex Ventures IsraelのゼネラルパートナーであるEmanuel Timor(エマニュエル・ティモール)氏は、Cymbioについて声明で「Cymbioの技術はオンラインで販売されているブランドにとって根本的なゲームチェンジャーになり、長時間かかる面倒な(各eコマースサイトとの)統合を過去のものにしてくれる」と語っている。

関連記事:新型コロナを追い風に米国のeコマース売上高は2022年までに109兆円超えか

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Cymbioeコマース資金調達

画像クレジット:Kmatta/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国Pinduoduoが年間アクティブユーザー数7.88億人でアリババの王座を奪取

史上初、Pinduoduo(拼多多、ピンデュオデュオ)がAlibaba(阿里巴巴、アリババ)を年間アクティブユーザー数で抜き、中国eコマースの新興企業は5年間で華々しい成長を遂げた。

この節目は、Pinduoduoが中国の発展途上の低層都市のユーザー向けである、という当初の偏見を乗り越えた証でもある。Pinduoduoは、中間業社を排除して低価格の果物と乳製品を販売することで名を成したが、徐々に多様化を進め、大幅割引のiPhoneなど全方位の商品を扱うようになった。

同社は2018年にNASDAQに上場し、Tencent(テンセント)が主要株主・パートナーとなっている。2020年年間アクティブユーザー7億8800万人を記録したことが、発表されたばかりの第4四半期決算でわかった。同年のAlibabaのアクティブユーザーはわずかに少ない7億7900万人だった。

しかし月間アクティブユーザー(MAU)では、Alibabaが2020年12月に9億200万人と大きくリードしている。同月PinduoduoのMAUは7億7200万人だった。

中国サイバースペース最高権威のレポートによると、どちらの企業にもまだ成長の余地があり、中国には2020年現在9億8900万人のインターネットユーザーがいる。

21年前に創業したAlibabaは、売上でPinduoduoを大きく引き離しており、その理由の一部は取引高の多さと盛況なクラウドコンピューティングビジネスにある。Alibabaは12月末締四半期で、2210億人民元(約3兆7080億円)の売上を計上し、対するPinduoduoは2655億人民元(約4兆4540億円)だった。

農産物は今もPinduoduoの中心で、同社は元GoogleのColin Huang(黄峥、コリン・ホアン)氏が設立した。現在ホアン氏は会長に退き、将来同社の「農業プラットフォーム」を成長させる鍵となると彼が信じる食料とライフサイエンスの研究に時間を割いている。

Pinduoduoは、農作物を農家から都会の消費者へと運びたいだけではない。ここ数年、同社はアグリテック(農業テクノロジー)に打ち込んでおり、AI利用農家を促進し、農業従事者が知識を持ったオンラインベンダーになるための教育も行っている。これらの戦略は、中国地方経済を押し上げようとする政府の方針とも一致しており、数億人の生活に影響を及ぼす。

関連記事:アリババのライバルPinduoduoはなぜ中国の農業に投資するのか

このeコマース新興企業には大きな目標がある。2025年までに年間1450億ドル(約15兆8000億円)の農作物を販売することだ。どうやら順調に向かっているようだ。eコマース取引の指標である同社の2020年総取引高は2700億人民元(4150億ドル)以上だった。同社のマーケットプレイスでは1200万の農家が直接消費者に販売している。

関連記事:2025年に15兆円超の農産物販売を目標を掲げる中国eコーマスのPinduoduo

「Pinduoduoは農業製品から始まりました」と現在の会長兼CEOであるChen Lei(チェン・レイ)氏が声明で語った。「いつかPinduoduoが世界最大の食料品店になることを願っています」。

Pinduoduoで売られている果物を試してみるコストは比較的低いため、食料品販売は、電子機器ほど利益が大きくないがユーザー獲得の方法として効果的かもしれない。

農業ドリームを追求している同社だが、まだ利益が出るまでには至っていない。Pinduoduoの純損失は四半期で13億8000万人民元(約230億円)まで減少した。2019年の同時期は17億5000万人民元(約290億円)の損失だった。

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タグ:Pinduoduo中国eコマース農業

画像クレジット:A strawberry grower on Pinduoduo

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナを追い風に米国のeコマース売上高は2022年までに109兆円超えか

Adobeのeコマース部門が米国時間3月15日に発表したレポートによると、新型コロナウイルスのパンデミックは米国のオンラインショッピングを1830億ドル(約19兆9980億円)押し上げた。この数字はパンデミックが米国で始まった2020年3月から2021年2月までの間のオンラインショッピングの増加額だ。

この期間、米国の消費者はオンラインで計8440億ドル(約92兆1500億円)を使った。一方、2020年の消費額は8130億ドル(約88兆7630億円)で、前年比42%増だった。1830億ドルという増加額は、2020年11月と12月にオンラインで使われた1882億ドル(約20兆5480億円)という2020年のホリデーショッピングシーズンの規模に近いとAdobeは指摘する。同社はこうした成長が今後も続き、2022年までに1兆ドル(約109兆1800億円)に達すると予想する。

パンデミックは多くの産業にとってアクセルとなって数年前倒しさせた。これはパンデミックがなければ成し得なかった。

eコマースもこのトレンドの恩恵を受けた。消費者は外出禁止命令に直面し、必要不可欠ではない小売店舗は休業を余儀なくされ、実在店舗での買い物の多くはオンラインコマースに取って代わられたからだ。パンデミックだけで「20%の押し上げに相当するオンライン支出の稀な段階変化」を生み出したとAdobeは話し、たとえパンデミックが数カ月内に終焉を迎えてもこの影響は続くと指摘した。

たとえば同社の分析では、2021年1月と2月に米国の消費者はすでに計1210億ドル(約13兆2130億円)を使っていて、これは前年同期比34%増だ。

またこの期間、オンラインショッピング向けの信用販売は前年比215%増で、注文数は18%増えた。これはパンデミックによる変化がもたらした売上増のもう1つの要因だ。

Adobeは、現在の成長率が続けば2021年の売上高は8500億〜9300億ドル(約92兆8250億〜101兆5615億円)に達すると予測する。そして2022年には米国のeコマースにとって初の1兆ドル台となるとみている。

eコマース売上高の増加意外にも、パンデミックは人々がどのように買い物し、何を購入するかという点で長期的変化につながったかもしれない。

実在店舗とカーブサイドでのピックアップサービスの浸透は2021年2月時点で前年同月に比べて67%アップした、とAdobeはいう。消費者はこの買い物のハイブリッドモデルにかなり受容的なようだ。例えばAdobeの直近の調査では、米国の消費者の30%が通常の配達よりもピックアップを好んでいることが明らかになった。

定期的なオンラインショッピングへのシフトは後に、典型的な「セールホリデー」に影響が出るかもしれない。過去においては、買い物行動は年の後半に活発になる傾向があった。2020年のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)の買い物の増加は同じ週の他の日より20%少なく、売上高は3200万ドル(約34億9380万円)減ったとAdobeは指摘した。レイバーデーとプレジデンツデー(大統領の日)でも同様の傾向が見られた。そして注目すべきことに、2020年のサンクスギビングからサイバーマンデーにかけての5日間でも売上高は9%減、額にして6億ドル(約655億円)減った。

しかしながら、小売業者は新たなオンライン買い物客の波に十分に対応していないことを示す要素もあった。2020年7月のピーク時には「在庫切れ」のメッセージが一般的で、これはパンデミック前に比べて3倍の多さだった。2021年1月には在庫切れのメッセージはパンデミック前の水準の4倍に増えた。これは特にグローサリー、ペット用品、医薬品で顕著だったとAdobeは話した。

オンライングローサリーも消費者行動の変化の恩恵を受け、停滞する兆しはない。2021年2月にオンライングローサリーはパンデミック前の2020年1月に比べて230%成長した。

消費者調査と違い、Adobeのデータは1兆回を超す米国小売サイトへの訪問や1億超のSKU(在庫管理の最小単位)をカバーしているAdobe Analyticsで直接見られる傾向を元にしていて、米国のeコマース産業や消費者支出をより全体的にそしてリアルタイムにとらえている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:eコマースアメリカ

画像クレジット:Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleトラベルでホテル予約リンクが無料掲載可能に、アフターコロナでの成長を見込んで

Google(グーグル)は2020年、それまで有料広告の商品で占められていたGoogleショッピングタブの仕様を大幅に変更し、オンライン小売事業者が無料でそれを利用して商品を販売できるようにした。また、Googleフライトに参加しているパートナー企業に課していた料金も無料化した。同社は米国時間3月9日、Googleトラベルに掲載されるホテル予約リンクでも同じようにすると発表した。

今週から、世界中のホテルや旅行会社が無料でGoogleトラベルにホテル予約リンクを掲載できるようになった。これによってユーザーは、旅行の計画を立てたり下調べしたりする際に、ホテルをより包括的に探せるようになる。

新型コロナウイルス感染が収束し、旅行者の数が戻ることを見越して、Googleはこの変更をより消費者のニーズに応えるためと位置づけている。

「旅行が本格的に再開されたら、人々が探している情報を見つけて、オンラインで旅行会社と簡単につながるようにすることが重要になります」と、Googleトラベルのプロダクトマネジメント担当VPを務めるRichard Holden(リチャード・ホールデン)氏は書いている。

実際には、このGoogleトラベルにおける無料リスティングの採用も、以前は有料広告で占められていた多くのリストに無料で掲載できるように変えていくGoogleで進行中の大規模な取り組みの一環である。電子商取引の最前線において、この変更は増大するAmazon(アマゾン)からの脅威に対抗するため、戦略的に意図されたものだ。Amazonはeコマースにおける広告ビジネスを、長年にわたって着実に成長させてきた。今では多くのユーザーが、商品を探す際に、完全にGoogleを飛び越えて、最初からAmazonで直接検索するようになってきている。これはGoogleのコアビジネスである広告事業に対する懸念すべき脅威だ。

画像クレジット:Google

商品の無料リスティングを始めた直後に、ショッピングタブのクリック数(2020年6月時点で70%増)とショッピングタブにおけるインプレッション(130%増)が増加したと、Googleは述べている。これはつまり、時間が経つに連れて、Googleはより多くのブランドを自社の電子商取引プラットフォームに引き込むことができ、競争が激化するという考えに基づく。多くの商品で市場の争いが激しくなれば、これまで無料リスティングの恩恵を受けていたブランドの中には、露出度を高めるために有料広告に転向するものも出てくるだろう。

航空券やホテルなどの旅行関連は、新型コロナウイルス収束後に、ウェブトラフィックの面で、Googleが成長を見込める分野の1つだ。だが、これまで過去数年間、ホテルの予約リンクは、特定の旅行日の料金と空室状況をリアルタイムで表示する有料広告としてGoogle上で提供されていた。

これらの掲載が無料になることで、消費者はさらに選択の幅を広げることができる。そしてGoogleは、ホテルの予約を検索するための場所として、より信頼性が高まるだろう。そうなればGoogleにとって、新型コロナウイルス収束後にブームとなることが予想される旅行予約アプリやサービスの数々と競争する際に役立つ可能性がある。ウイルスの感染流行はまだ終わっていないが、米国ではもうすでに収束に向かっていると捉えている兆候が見られる。例えば、いくつかの州ではマスク着用の義務が解除され、春休みの学生たちは例年のようにフロリダのビーチへ旅行を計画している。旅行の分野でコロナ禍が終わった効果はまだ完全には現れていないが、ロックダウンとステイホームで1年間を過ごした消費者が、欲求を抱えていることは明らかだ。

Googleは、今回の無料リスティングの追加により、そのプラットフォーム上で予約トラフィックとユーザーのエンゲージメントが増加すると主張している。そして次にこれは、広告主にとって、ホテル広告展開へのリーチが拡大することにつながるだろう。

一方で、この変更はホテルや旅行会社が、GoogleのHotel Centerアカウントを取得すれば無料でリスティングできるようになるため、潜在的な新しい広告主を引き寄せることにも役立つだろう。今後は掲載までのプロセスがもっと容易になり、ホテルのリスティングを提供するためのツールの複雑さが軽減されるとGoogleは述べている。すでにGoogleのHotel Prices APIやホテル広告に参加している既存のホテルパートナーは、無料の予約リンクに表示されるために何かアクションを起こす必要はないことも、同社は言及している。

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タグ:Googleeコマース旅行

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Walmart(ウォルマート)は2020年12月、TikTok(ティックトック)プラットフォームを使った米国での新たなライブストリーミング買い物体験の初テストでTikTokと提携した。そのテストは極めてうまくいったようで、Walmartは米国時間3月9日、別のライブストリーミング買い物イベント「Spring Shop-Along:Beauty Edition」を開催するためにTikTokを再び利用すると発表した。1時間のライブストリームではTikTokのクリエイターやインフルエンサーが登場する。

関連記事:ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmartは初のTikTokライブショッピングイベントでどれくらい売り上げたかは明らかにしなかったが、予想の7倍超の視聴があり、同社のTikTokフォロワーベースを25%成長させることができた、と述べた。こうした指標は、Walmartが再びTikTokに戻ることを選択するのに十分なものだった。前回はホリデーライブストリームにフォーカスしてアパレルを扱ったが、今回は美容品を販促する。

Spring Shop-Alongは米国東部標準時3月11日午後9時からWalmartのTikTokチャンネルで開催される。前回のホリデーイベントと同様、今回のイベントでもさまざまなTikTokクリエイターが登場し、お気に入りのアイテムについて話したり紹介したりする。参加するクリエイターの1人はすでに発表されている。350万人ものTikTokフォロワーを持つGabby Morrison(ギャビー・モリソン)氏(@GabbyMorr)だ。

画像クレジット:Walmart

ギャビーや他のクリエイターは60分間のライブイベントの間、スキンケアやメーク、髪の手入れのルーティーンのデモンストレーションを行い、実際に使っているWalmartの美容プロダクトを披露する。特集される美容ブランドはNYX、Maybelline、The Lip Bar、Bliss、Kim Kimble、そしてMarc Jacobsの香水だ。

イベントの視聴者は美容のアドバイスを受けたり、プロダクトの「ピン」をタップして特集されたプロダクトをTikTokアプリ内で直接買い物できる。アイテムをカートに追加し、イベントの途中あるいは終了後に精算できる。

「トレンドに乗っているか、あるいは新しいプロダクトを発見しているかとブランドはコミュニティに語りかけて参加を促すコンテンツを制作するために、TikTok上にユニークな拠点を見つけました」とTikTokグローバルビジネスソリューションのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏はWalmartの計画についての声明で述べた。

「買い物できるライブストリームの体験で、TikTokコミュニティがいかにお気に入りのクリエイターと関わって新たなプロダクトを発見するのが好きかを見るのはエキサイティングなものです。発見から購入までの道のりを支えるイノベーティブな方法を引き続き構築することを、そしてWalmartのようなブランドがユーザーにクリエイティビティをもたらすのを見ることを楽しみにしています」とチャンドリー氏は付け加えた。

Walmartはホリデーライブストリームに先駆けてeコマースでTikTokを活用することに興味を示していた。とりわけWalmartはTikTokがトランプ政権下で米国事業を米企業に売却しなければ禁止すると脅されたときにTikTokへの投資を計画していた。TikTokの米国事業を新たなオーナーのOracleとWalmartにスピンアウトするかもしれないという強制売却は、バイデン政権がトランプ政権下での動きをレビューしている間は棚上げされる

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2020年ホリデー期間中のWalmartのTikTokチャンネルのスクリーンショット

ライブストリームでの買い物は米国でますます関心と投資を集めている。NTWRK、最近資金調達したBambuserPopshop Liveなど、数多くのスタートアップがこのマーケットに参入している。大手テック企業もモバイルビデオやライブビデオでのショッピングに加わっている。

GoogleのモバイルビデオショッピングShoploopのR&Dプロジェクトは検索に統合された。Facebookはライブショッピングを構築するためにビデオショッピングスタートアップPackagdを買収し、FacebookInstagramでのビデオショッピングにかなり投資した。AmazonはQVCのようなAmazon Liveを通じてライブショッピングを展開している。Alibaba (AliExpress)、JD.com,、Pinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版姉妹アプリDouyin、すべてモバイルビデオショッピングをサポートしている。

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しかしながらWalmartはライブストリームショッピングでTikTokと提携する計画は事業買収の交渉の結果ではなかったと述べた。WalmartはTikTokのプラットフォームを1年以上活用してきた。TikTokチャンネルの展開に加え、Walmartは従業員にTikTokビデオを制作することを課しさえしていた

Walmartにコメントを求めたが、TikTokでの最初のライブストリームについての数字を明らかにするのは却下した。しかしパイロットテストは期待を上回るものだったようだ。

「予想の7倍超の視聴があり、また初のイベント後にTikTokフォロワーが25%増えたことをうれしく思っています。また、スムーズな精算エクスペリエンスにも満足しています」と広報担当はTechCrunchに語った。「売上高は開示できませんが、イベント前に立てていた予測を上回りました」。

今週のライブショッピングイベント後もWalmartはさまざまなフォーマット経由で異なるプロダクトを特集するためにクリエイターと引き続き提携することで、TikTokにさらなる買い物エクスペリエンスを持ってくる計画だと話している。

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タグ:WalmartTikTokネットショッピング

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソーシャルコマースによる副収入を支援するElenasが6.5億円調達、ラテンアメリカ全域に拡大計画

コロンビアのスタートアップElenasによれば、同社はオンラインで商品を販売できるようにすることで、何万人もの女性が収入を得るのを支援しているという。同社は米国時間3月4日、シリーズAの資金調達で600万ドル(約6億5000万円)を調達したと発表した。

これは同社が2020年秋に発表した、200万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドに加えての資金調達だ。創業者兼CEOのZach Oschin(ザック・オズチン)氏は、パンデミックで消費者が対面ショッピングに対して神経質になる状態が続く中、(特に女性の間で)高い失業率に後押しされ、需要は伸び続けていると述べている。

「当社はこれまで数万人の女性に、副収入を得る機会を提供してきました」とオズチン氏は語る。

同氏は、Elenasは基本的に、ラテンアメリカ全域で1100万人の女性が関与している直販・カタログ販売モデルを改革したものだという。独立した売り手 / 起業家(必ずしもそうではないが、多くの場合、女性)は、250以上の代理店やブランドから、美容、パーソナルケア、電子機器のようなカテゴリの製品のカタログを、割引された卸売価格で閲覧できるようになっている。そして何を売りたいか、利益を含めた価格をいくらにするか決めて、WhatsAppやFacebookなどのソーシャルチャンネルで製品を宣伝する仕組みだ。

デジタルに重点を置いていることに加え、リスクが少ないため、Elenasのモデルはリセラーにとってより優れているとオズチン氏は語る。「これは従来の直販とは大きく異なり、起業家が在庫を抱えないモデルです。また、支払いの回収や配送などは、Elenasとその代理店パートナーがすべて処理するため、起業家は関与する必要がありません」。

「当社の目標は、女性が店舗を運営するために必要なものをすべて提供するバックエンドのオペレーティングシステムを提供することです」と同氏は付け加えた。

Elenasはリセラーのために自動化されたオンボーディングプロセスを提供しているが、その後アプリ内でも「どうしたら売れるか、販売方法のトレーニングを多く行っています」とオズチン氏は語った。

ElenasのCEOザック・オズチン氏(画像クレジット:Elenas)

(2018年にTechCrunchのラテンアメリカStartup Battlefieldに参加した)同社はこれまでに、リセラーに対し700万ドル(約7億6000万円)以上を支払っているという。性別で参加を制限しているわけではないが、オズチン氏の推定によれば、リセラーの95%以上が女性で、そのうち80%が30歳以下、そして約3分の1はこれ以前に直販の経験がないという。

今回の新たな資金調達はLeo Capital,、FJ Labs、Alpha4 Ventures、そしてMeeshoからの出資による。オズチン氏によると、同社の投資家は6つの大陸にまたがっており、国際的なビジョンを反映しているという。実際、同社の次なるステップの1つは、メキシコそしてペルーを皮切りにラテンアメリカ各国に拡大することだ。

Leo Capitalの共同設立者であるShwetank Verma(シュウェタンク・ヴェルマ)氏は声明の中で次のように述べた。「インドと中国でのソーシャルコマースの急成長を見てきて、今回この地域に適した製品と運営モデルを体現してきたElenasとパートナーを組むことに興奮しています。Elenasのチームは包括的でインパクトのあるソリューションを構築しており、これから飛躍的な成長を見込める立場にあります」。

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タグ:Elenasラテンアメリカeコマース資金調達副業コロンビア

画像クレジット:Elenas

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

Twitterがカードを利用した新しいオンライン通販機能をテスト中

TwitterはShopifyなどオンライン通販の商品ページにツイートをリンクさせる新しい方法をテストしていることを確認した。実験中の新しいTwitterカードでは商品名、ショップ名、商品価格など商品の詳細に加えてクリックすると購入ページにジャンプする「ショップ」ボタンが表示される。

このテストはソーシャルメディア分野のコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が発見し、スクリーンショットをツイートした。カタールで活動している同氏はTechCrunchに対し「これをAndroid端末で見た」と述べている。

こうしたツイートは本質的に広告と同様の機能だが、TechchCrunchの取材に対してTwitterは「eコマースに焦点を絞ったオーガニックなプロモーションツイートの実験」だと認めている。

この新しいフォーマットは 最近発表されたスーパーフォローなどTwitterがクリエイター向けプラットフォームになろうとする大きな動きの一環かもしれない。アカウントをスーパーフォローしたユーザーは特別なコンテンツやサポーターバッジ、商品の割引などの特典を得ることができる 。直接ショッピングができるツイート形式によりクリエイターはファンを効果的に商品ページに誘導できるようになるだろう。

関連記事:Twitterが同社初となる有料クリエイターサブスク機能「スーパーフォロー」発表、サービスの構造が劇的に変わる可能性

Twitterは先週のInvestor Dayイベントでeコマースへの今後の注力について簡単に触れたが、具体的な内容は明かさなかった。

Twitterの収益化責任者Bruce Falck(ブルース・ファルク)氏は「Twitterでのeコマースのサポートを強化する方法を検討中です」と述べている

「ユーザーは商品のブランドと会話したり、お気に入りの商品について話すためにTwitterを利用することがよくあります。実際、我々のプラットフォーム上で販売を行うためのクリエイティブな方法を模索している企業もああります」とファルク氏は説明する。

「あるテーマに関する会話をしたいユーザーとリアルタイムのエンゲージメントを統合するTwittetのプラットフォームがいかに大きな可能性を持つか、我々に自信を与えてくれます。ユーザーがブランドのアカウントをフォローしていれば、新しいスキンケア製品や流行りのスニーカーを数回のクリックで簡単に発見し即座に購入できるようになります」とファルク氏はいう。

ただしファルク氏は「Twitterは商業化の可能性を探っている」としながらも「まだ極めて初歩的な段階にある」と投資家に注意を促した。

こここ数カ月通販のソーシャル化が高まってきたこを考えると、この試みはTwitterがeコマースの商品を効率的に発見するチャンネルになるという可能性を示すものとして興味深い。このトレンドはFacebookをはじめInstagram、WhatsAppがいずれもショッピング機能への注力を強めていること、動画でもショッピング体験への注目が高まりっていることなどによっても明らかだ。

関連記事:事業者がFacebookページとInstagramプロフィールから通販が可能に、Shopifyなどとも連携可能に

動画に関しては、製品のデモのライブストリーミング、TikTokのような事前に録画されたショートビデオが特に人気がある。

例えばShopifyは2020年秋、ソーシャルコマースでTikTokと提携した。また、TikTokの米国事業について買収の意向(現在は保留中)をしめしたWalmartは商戦の活発化が期待できる祭日にビデオアプリ上で独自のライブストリーミングによるショッピングイベントを開催した。またここ数カ月、多くのスタートアップがビデオショッピングを事業の柱として資金調達に乗り出している。

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一方、ショートビデオのプラットフォームであるVineをいち早く立ち上げながら閉鎖してしまった(Perisocpeも3月末で終了予定)Twittは、動画への熱意を低下させているのかもしれない。とはいえTwitterは、プラットフォーム上でのショッピングにユーザーの関心を集めるためのツールにこと欠いているわけではない。Twitterには写真、ビデオ、ライブストリーミングをツイートに付加させることができるツールを多数持っている。目立つ「ショップ」ボタンや価格などを含むTwitterカードと組み合わせることで、ツイートをeコマースの活発化に結びつけることができるだろう。

関連記事:動画ライブ配信アプリ「Periscope」の2021年3月末終了をTwitterが発表

商品販売ページに直接ジャンブできるTwitterカードはTwitterのeコマース分野における努力の第一陣なのだろう。

実際Twitter自身、これ以外にもソーシャルコマース分野に多数の野心的計画を持っていると述べている。

「これはオンライン通販ビジネス分野での最初の実験であり、今後も経験を豊富にしていくつもりです」と広報担当者は述べた。

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タグ:Twittereコマース

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

カスタマーデータプラットフォームのLexerがグローバル展開に向け27億円調達

左からLexer創業者のデイブ・ウィットル氏、アーロン・ウォリス氏、クリス・ブリューワー氏(画像クレジット:Lexer)

新型コロナウイルスパンデミックの間に起きたオンラインショッピングへの大規模なシフトは、小売業者がAmazonのようなライバルと競争するためにカスタマーデータを迅速に分析する必要があることを意味する。豪州メルボルンに本社を置くカスタマーデータプラットフォームのLexerは、データを1つのプラットフォームに整理することでブランドの管理を支援し、中小規模のブランドの分析を容易にする。同社は2月25日、豪州、米国、東南アジアでの事業拡大のためにシリーズBで2550万ドル(約27億円)を調達したと発表した。

このラウンドはBlackbird VenturesとKing River Capitalがリードし、投資家のJanuary Capitalも参加した。これまでにLexerが調達した総額は3300万ドル(約35億円)になった。Blackbird Venturesの共同創業者でパートナーのRick Baker(リック・ベイカー)氏がLexerの取締役会に加わる。

同社は2010年にAaron Wallis(アーロン・ウォリス)氏、Chris Brewer(クリス・ブリューワー)氏、Dave Whittle(デイブ・ウィットル)氏が創業した。クライアントにはQuiksilver、DC Shoes、John Varvatos、Sur La Tableが含まれる。新しい資金はLexerのチームにさらに50人を追加するために使用される。同社は豪州、米国、東南アジアでの人員を2倍にする計画がある。最高経営責任者であるウィットル氏はTechCrunchに、小売業者にエンタープライズグレードのカスタマーデータ、洞察、マーケティング、販売、サービス機能を提供すると語った。

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ブランドはLexerを利用して既存・新規両方の顧客への売上を増やす。Lexerはクライアントのサイトを訪れるさまざまなグループの購買パターンや、将来購入に至る可能性が最も高いカスタマー、最も成果を上げているマーケティング戦略などをクライアントが理解するのを支援する。

Lexerの最も有名な競合他社には、2020年Twilioが32億ドル(約3420億円)で買収したSegmentsやAdobe Analyticsがある。ホイットル氏によると、Lexerの主な差別化要因は、エンドツーエンドのソリューション提供だ。

ブランドは多くの場合、さまざまなソースからのデータを理解するために、複数のデータと分析ソフトウェアを使う必要がある。Lexerの目標は、1つのプラットフォームですべてにアクセスできるようにすることだ。「私たちのクライアントは、戦略、実行、カスタマイズ、プロジェクト管理のために、費用と時間のかかるサードパーティを雇う必要はありません」とホイットル氏は述べた。

Lexerは、シリーズB以前は成長のほとんどが単一のブランド、または中規模の小売ブランドのグループによるものだった。現在は、あらゆる規模のブランドとの連携に重点を置いているとホイットル氏は付け加えた。

パンデミックにより、多くのブランドはオンライン販売を増やし、他のeコマース業者から抜きん出るためにデジタルエンゲージメントをより重視するようになった。

「私たちは顧客に対し文字どおり何百もの戦術を用意し、新型コロナが強いる制限や障壁に適応できるようにしました。例えば、小売業者が買い物をするオフラインのカスタマーをeコマースサイトへとシフトさせる支援をしました」とホイットル氏は述べた。「もう1つの方法として、新型コロナにより供給の制約が生じ、小売業者の在庫が少なくなったときに、彼らの顧客満足度を確保するために高価値で忠実なカスタマーをターゲットにする支援をしました」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Lexereコマース資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

印eコマース大手Flipkartが2030年までに2.5万台以上のEVを同国で導入

Walmart(ウォルマート)が所有するインドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)はインド時間2月24日、今後10年間で電気自動車(EV)への100%移行を達成するために、2030年までにサプライチェーンに2万5000台以上の電気自動車を配備すると発表した。

バンガロールに本社を置く同社は、国中でファースト&ラストマイルデリバリーを担う配達車両を製造するため、Hero Electric(ヒーローエレクトリック)、Mahindra Electric(マヒンドラ・エレクトリック)、Piaggio(ピアッジオ)などの大手EVメーカーと提携したと述べた。

この発表は、ライバルのAmazon(アマゾン)がインドで「100台近くの」電動三輪車を開発・導入するためにMahindra Electricと提携したと述べた翌日のことだ。米国のeコマース最大手である同社は2020年、2025年までにインド国内で1万台の電気自動車を導入する目標を発表した。

Flipkartは、同社の電気自動車には二輪車、三輪車、四輪車が含まれる予定で、車両はすべてインドで設計され組み立てられると述べている。同社によると、すでにデリー、バンガロール、プネー、ハイデラバード、コルカタ、グワーハーティーなどインド国内の「複数の場所」で電動二輪車と電動三輪車の配備を開始しているという。

近年、インド政府は同国内のガソリン車やディーゼル車を環境に優しい電気自動車に置き換えることを推し進めている。2019年にロイターが報じたところによると、インド政府はOla(オラ)やUber(ウーバー)などの配車サービス企業に対し、2026年4月までに車両の40%を電動に転換するよう命じる計画を立てているという。

FlipkartのEkartとMarketplace担当SVPであるAmitesh Jha(アミテス・ジャ)氏は声明の中で「物流車両の電動化は、Flipkartのより大きな持続可能性の目標の重要な部分であり、Climate GroupのEV100イニシアチブに対する当社のコミットメントと一致しています」と述べている。

「2030年までに物流車両を完全に電動化するというこの道のりの中では、必要とされるインフラの成長を支援しながら、現地の大手企業と協力して電気自動車を調達し、展開していきます。当社は、ビジネスと持続可能性の両方の目標を達成する上での電動モビリティの重要性を理解しており、国内での電気自動車の普及拡大に向けて道を切り開くことに尽力する所存です」と同氏は付け加えた。

同社は過去1年間、充電事業者、スキル開発機関、アグリゲーター、オリジナル機器メーカーを横断したエコシステムパートナーのネットワーク構築に取り組んできたと述べている。

2021年中に上場を予定している同社は、電気自動車のフリートに投入される3つのモデルを特定した。1回の充電で最大150km(93.2マイル)の航続距離を実現するHero Electric社のNyxシリーズ、「550kg(1212.5ポンド)のクラス最高の積載量」を特徴とするMahindra Electric社のTreo Zor、そしてPiaggio社のApe’ E Xtra FXの3車種である。

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タグ:Flipkartインド電気自動車物流eコマース

画像クレジット:Amarjeet Kumar Singh / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

出荷関連サービスのShippoがeコマースブームに乗り約520億円の評価額でさらに約47億円調達

eコマース企業に出荷関連サービスを提供するソフトウェア会社のShippo(シッポ)は米国時間2月23日、新たに4500万ドル(約47億円)の資金調達を発表した。同社は4億9500万ドル(約520億円)と評価された。TechCrunchはこのラウンドをシリーズDと呼ぶことにする。シリーズCに続き価格が決められたラウンドだからだ。同社は今回の資金調達ラウンドに名前をつけなかった。

Shippoの2020年のシリーズCは、2020年4月に発表された3000万ドル(約32億円)の取引で、約2億2000万ドル(約230億円)の評価だった。D1 CapitalがシリーズCとDの両ラウンドをリードした。これはD1 Capitalが2021年のラウンドで同社の株式に対し2020年の約2倍を支払うことに満足していたことを意味する(投資家がリード投資家として連続するラウンドで前回の投資から増やすということは、今やスタートアップの質に関する否定的なシグナルではなく、肯定的な指標と見なされていることを思い起こして欲しい)。

なぜ直近ラウンドの直後にさらに資金を集めるのか。Shippoの創業者でCEOのLaura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏によると、同社は2020年、顧客の獲得と提携に関して大きな進歩を遂げた。そのため、Shippoが第4四半期に投資家と取締役会を開いた頃、より多くの資本を投入する良い時期だという決定に至った。

ある意味、タイミングは合理的だ。顧客ベースを拡大するにつれ、さまざまなプロバイダーとより良い出荷取引を交渉することができ、それにより新しい顧客を引き付け続けることができる。ベーレンス・ウー氏はTechCrunchとのインタビューで、同社が初期の顧客のほんの数個の出荷を手伝っていた頃、同社のプラットフォームでサポートしていた物流会社は同社と会いたがっていなかったと述べた。今や当時より多くのボリュームをさばくShippoは、顧客からの需要をパートナーとの関係強化に利用し、顧客へのサービス全体の質を向上させることができる。

ベーレンス・ウー氏は、Shippoが新しいラウンドを開始する前にそのようなかたちでUPSとの提携を確保したと述べた。

成長に目を向けると、Shippoは2020年プラットフォーム支出、または「GPV」を2倍にした。GPVは、同社が使うGross Postage Volume(総郵便料金)の頭字語だ。TechCrunchはそれが大まかに売上高と連動していることを確認した。つまり、Shippoは2020年トップラインを2倍にした可能性がある。すばらしい。2021年もそれを達成したいとベーレンス・ウー氏はTechCrunchに語った。同社は2021年も人員を2倍にし、約150人を追加する。

増加した資本で勢いのついたShippoの次の動きは何か。CEOによると同社は、プラットフォーム(そこではShippoが例えばマーケットプレイスになる)、国際展開(ベーレンス・ウー氏によると、Shippoは国際配送を「ほんの少し」しか行っていない)、そして同社がコア顧客ベースと見なすものにもっと投資したいと考えている。

TechCrunchは、Shippoが出荷ラベルという元々の「ホーム」からプロダクトをどれだけ幅広く持ち出すことができるかについて興味を持っていた。同社によると、パッケージの旅には、その購入前を含め、多くの進出余地があるという。しかし、ベーレンス・ウー氏は、そのようなプロダクト拡大の仕事は、同社の当面の焦点では​​ないと断った。

現在のeコマースブームがどのくらい続くか、そしてこの新しい資本がShippoをどこまで遠くへ運んでくれるのか見てみよう。2021年もサイズが2倍になるようなら、2022年半ばにIPOカウントダウンを開始する必要がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Shippoeコマース資金調達物流

画像クレジット:Justin Sullivan

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

小売業者と新進ブランドの商品を結びつけるマーケットプレイスAboundが約24.2億円を調達

Abound(アバンド)は、独立系小売業者が新進気鋭ブランドの新製品を販売するのを支援するオンラインマーケットプレイスを運営するスタートアップだ。同社は初の機関投資家向け資金調達ラウンドで、2290万ドル(約24億2000万円)を調達したと発表した。

CEOのBill Shope(ビル・ショープ)氏は、Niklas de la Motte(ニクラス・デ・ラ・モッテ)氏、Drew Sfugaras(ドリュー・スファガラス)氏とともにAboundを設立した。ショープ氏の話によると、小規模な小売業者は常に新製品を探しており、年に数回のトレードショーに参加しているという。一方、Aboundを使えば、それらの業者はオンラインショッピング形式で商品を見つけることが可能になる。卸売価格(最大50%の割引)で仕入れることができ、返品は無料、さらに場合によってはNet 60の販売条件(小売業者は請求書発行から60日以内に支払いをすればよい)が適用される。

Aboundは実のところ、メーカーの代表者と小売業者をつなぐコミュニティとしてスタートしたのだが、「そのモデルでは限界が見えていた」とショープ氏は語る。そこでチームは、この体験をサポートすることに決め、まずは募集した50のブランドに、無料のコンサルティングを提供するところから始めた。その条件は、2019年10月に開始するマーケットプレイスに参加するブラントの1つとなることだった。

いうまでもなく、それから数カ月の間に小売業を取り巻く環境は劇的に変化した。新型コロナウイルスの影響で、店舗は閉鎖を余儀なくされたり外出自粛により客足が減った。ショープ氏によるとAboundの売上は短期的に激しく落ち込んだものの、すぐに回復し「すべての展示会がキャンセルされた」ため、成長を維持したという。

これは、Aboundがeコマース小売業者をサポートしていることも理由の1つだが、成功している店舗の小売業者は、実店舗の運営を継続しつつ、迅速にウェブサイトを起ち上げ、カーブサイド・ピックアップ(事前にネットなどで注文した商品を、店舗に入らなくても駐車場などで受け取ることができるサービス)のような機能を追加するなど、「非常に強力なハイブリッドモデル」を持っていたからだと、ショープ氏は指摘している。

画像クレジット:Abound

Aboundでは2020年に入ってから、ベビー・キッズ用品、美容、飲食、ホーム&リビング、ジュエリーなどのカテゴリーで、18万点の新商品を追加しており、毎月の販売量は20倍に増加しているという。

「小売業の観点からいえば、(新型コロナウイルス流行以前の購買モデルに)戻ることはないと思います」と、ショープ氏は語っている。ウイルス感染が拡大する以前でさえ、独立系小売業者はAmazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)のような大手企業と競わなければならなかった。「最寄品で大手に勝つことはできません。消費者が新しいブランドを発見したり、利益の10%を慈善団体に寄付したりするような店は、消費者を自分の店に引き込むために必要なストーリーや品揃えを備えているものです」。

今回の資金調達は、Left Lane Capital(レフト・レーン・キャピタル)が主導し、RiverPark Ventures(リバーパーク・ベンチャーズ)、All Iron Ventures(オール・アイアン・ベンチャーズ)、そしてブランディング会社のRed Antler(レッド・アントラー)が参加した。この資金によって、Aboundはチームを成長させ、国際的に事業を拡大し、製品の開発を継続することができる。

Left LaneのマネージングパートナーであるHarley Miller(ハーレイ・ミラー)氏は、声明の中で次のように述べている。

私の家族は過去20年間、独立系小売業を営んできました。成長するにつれて、私は多くの業界イベントに参加するようになったことで、卸売の売買がいかに最適化されていないかを、長年の間に理解するようになりました。2020年と2021年にはほとんどの主要な展示会が中止されるため、新興ブランドや独立系小売業者は、ビジネスの成功につながる新しい流通チャネルを模索してきました。Aboundは、中小企業が最も必要としている時期に、従来の卸売モデルに代わるエキサイティングでユニークな代替手段を提供しています。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Aboundeコマース資金調達マーケットプレイス

画像クレジット:Toshiro Shimada / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コード不要でさまざまなeコマースツールを利用可能にするPipe17が約8.5億円調達

eコマース(電子商取引)市場に焦点を当てたソフトウェアを手がけるスタートアップのPipe17は、800万ドル(約8億4600万円)の資金調達を終えたと米国時間2月18日朝に発表した。

Pipe17のサービスは、小規模なeコマース事業者が、コードを書かずにデジタルツールを導入するのに役立つ。このスタートアップのサービスを利用することで、社内にIT機能がないeコマース業者でも、同社の販売プラットフォームを利用して発送したり、POSデータとERPを連携させることが、すぐにできるようになる。

大手物流不動産会社GLPのベンチャー部門であるGLP Capital Partners(GLPキャピタル・パートナーズ)が、この資金調達ラウンドを主導した。

Pipe17の共同設立者であるMo Afshar(モハマド・アフシャール)氏とDave Shaffer(デイヴ・シェーファー)氏が、TechCrunchのインタビューで語った話によると、彼らのスタートアップのアイデアは、eコマース市場を調査したところ、販売プラットフォームに関わる意欲に対し、電子商取引ツールを連携させるためのソフトウェアが比較的不足していることに気づいたところからきているという。Shopify(ショッピファイ)やBigCommerce(ビッグコマース)、Shippo(シッポ)などは優れたプラットフォームだが、eコマース運営の勢いを維持するためには、自社でコードを書くことができなければ、結局はデータをすべて、1つのプラットフォームから別のプラットフォームへ移動させなければならない。そのギャップを埋めるために、彼らはPipe17を開発した。

アフシャール氏によると、Pipe17は接続というレンズを通して、eコマース業者の運営を簡素化したいと考えているという。2人の共同設立者は、簡単な相互互換性こそが、現代のeコマースのソフトウェアに欠けている重要な要素だと考えており、現在のeコマース市場をSplunk(スプランク)やDatadog(データドッグ)が登場する以前のITやデータセンターの世界になぞらえている。

問題を解決するためには別のアプリケーションを購入しなければならないというのが、eコマース業界における一般的な認識だと、共同設立者は説明する。Pipe17は、ほとんどのeコマース企業はおそらく十分なツールを持っているが、それらの既存のツールをコミュニケーションさせる必要があると考えている。

このスタートアップの巧妙なところは、我々がノーコード・ローコードと呼ぶもの、あるいはより高度なノーコードというべきものを構築していることだ。開発者ではない人に、異なるソフトウェアサービス間の接続を視覚的にマッピングするためのインターフェースを提供するのではなく、マッピングする必要がありそうなものをあらかじめ構築するのだ。リンクさせたい2つのeコマースサービスを選ぶだけで、Pipe17はインテリジェントな方法でそれらを接続してくれる。コーディングが苦手な人にとって(おそらく多くの小規模オンラインストア運営者がそうだろう)、これは魅力的なセールスポイントになるだろう。

このスタートアップの顧客ターゲットは、年間売上高が数百万ドルから数億ドル(数億円から数百億円)の販売業者だ。

なぜPipe17は今になって資本を調達したのだろうか?2人の共同設立者は、Plaid(プレイド)やTwilio(トゥイリオ)がそれぞれのニッチで行ったのと同じように、大きな市場を単純化するチャンスは限られているため、今資金を調達することは理に適っていると述べている。アフシャール氏の見解によれば、eコマースの運営はまさに大規模化が進んでいるというが、2020年見られたデジタル販売の成長を考えると、これは議論の余地がない展望だ。

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Pipe17が埋めようとしているニッチには、複数のプレイヤーが存在する。各企業がどれだけ競合するかについては異論があるかもしれないが、Y Combinator(Yコンビネーター)の支援を受けたAlloy(アロイ)は最近、ノーコードのeコマース自動化サービスを構築するために400万ドル(約4億2300万円)の資金を調達した。これはPipe17がやっていることに関わりがある。もし彼らが競争に巻き込まれたら、果たしてどこがトップに立つだろうか。それを見るのは興味深いことになるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Pipe17eコマースノーコード資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

数千万人規模の小売業者を代表するインドの有力な商業団体が、インド政府にAmazon(アマゾン)の同国における事業禁止を求めた。この米国の電子商取引企業グループが、インドの少数の販売業者を優遇し、それらの販売業者との関係を公に虚偽表示して、国内の外資規制を回避するためにそれらの販売業者を利用していたと報じられたためだ。

全インド商業者連合(The Confederation of All India Traders、CAIT)は米国時間2月17日、Reutersの記事で明かされたことを受け、インド政府にAmazonに対して深刻な措置を取るように「要求」した。「CAITは何年もの間、AmazonがインドのFDI(外国直接投資)規制を回避し、不公正で非倫理的な商活動を行っているのを見過ごしてきました」と、CAITは述べている。

インドの8000万人の小売業者と4万の商業団体の代表だと主張するCAITのPraveen Khandelwal(プラヴィーン・カンデルワル)事務局長は、「Amazonが故意にルールを弄んでいることは公然の事実です。これ以上何を待つことがあるでしょうか。インドでは即刻事業を禁止されるべきです」と語った。

CAITは何年もの間、インドでAmazonとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)が利用している違法なビジネス慣行と彼らが主張しているものについて懸念を表明している。これらの行為が、小規模な小売業者に実存的な脅威をもたらしていると、CAITは述べている。

インドはAmazonにとって重要な海外市場であり、この世界第2位のインターネット市場における事業に65億ドル(約6900億円)以上を投資することを同社は約束している。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

Amazonの広報担当者は声明の中で、同社はロイター通信の記事にある内部文書というものを見たことがないため、同記事に書かれた情報や主張の信憑性などを確認することはできないと述べた。「その記事は根拠のない、不完全な、および/または実際のところ間違った情報に基づいているように思えます。おそらく世間を騒がせ、Amazonの信用を落とす意図で供給されたものでしょう」と、広報担当者は述べている。

「Amazonは、インドのすべての法律を遵守し続けています。過去数年の間に、同国では商業界を管理する規制の変更が何度もあり、Amazonはその都度、遵守を確実にするために迅速な対応をとってきました。この記事には古い情報が含まれているようで、何らかの違反行為を示すものではありません。私たちは、インドの消費者にファーストクラスのサービスを提供し、インドの製造業者や中小企業が、インド国内だけでなく、世界中の顧客にリーチできるよう支援することに引き続き注力しています」と、声明は続いている。

インドでは長年の法律により、Amazonをはじめとするeコマース企業が、在庫を保有したり、消費者に直接商品を販売することを制限している。これを回避するため、同社は在庫を保有する企業として機能する地元企業との合弁事業を介して運営を行ってきた。インドは2018年後半に、この抜け穴の修正に乗り出した。

ロイター通信は、非公開の内部文書を引用し、Amazonが大手販売業者の一部の在庫を大幅にコントロールしていたと書いている。記事では、33の業者がアマゾンで販売されている全商品の約3分の1を占めており、2019年初頭にはアマゾンが間接的に出資していた2つの業者が、インドにおけるAmazonの売上高の約35%を占めていたと主張している。

この新たに掲載された記事と、そしてその潜在的な反響は、Amazonにとってインドでまた1つ増えた頭痛の種に過ぎない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインドeコマース

画像クレジット:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)