アマゾンがミルクが切れそうになると教えてくれるスマート冷蔵庫を開発中と情報筋

Amazon(アマゾン)は、レジなしのAmazon Goストアで使用している技術の一部を、あなたのキッチンに導入することを目指していると報じられている。InsiderによるとAmazonは、中に入っているアイテムを監視し、なくなりそうなものがあれば注文をアシストしてくれるスマート冷蔵庫の開発に取り組んでいるという。

このプロジェクトは少なくとも2年前から同社が取り組んでいるもので、Amazon Goシステムを開発したチームが指揮を執っているという。Goストアで使用されているJust Walk Out技術は、買い物客がカートに入れたものを追跡し、退店時に自動的にチャージするものだ。この冷蔵庫のプロジェクトには、Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)とLab126のハードウェアチームのメンバーも参加しているとのこと。

報道によると、この冷蔵庫は、中に入っている商品をモニターし、ユーザーの購買習慣を把握する。頻繁に購入する商品の在庫が少なくなると、冷蔵庫が知らせてくれ、Whole Foods(ホールフーズ)やAmazon Freshに追加注文しやすくするということで、同社の食料品部門が活性化する可能性がある。また、冷蔵庫はレシピの提案もしてくれるので、賞味期限が近づいている商品を忘れていた場合などにも便利かもしれない。

Insiderの情報筋によると、Amazonは冷蔵庫を自社では作らないだろうとのこと。家電メーカーとの提携を検討しているようだ。また、Alexa(アレクサ)による音声コントロールが搭載される可能性もある。それは大きな懸念ではないそうだが、家庭用ロボット自社製テレビなど、他のほぼすべてのタイプの製品にAlexaを詰め込んでいる同社の傾向を考えると、冷蔵庫が音声アシスタントに対応していても不思議ではない。

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同社はこれまで、このプロジェクトに年間5000万ドル(約55億7000万円)以上を費やしてきたと言われている。それでも、Amazonが計画を棚上げにする可能性もあるため、冷蔵庫が市場に出るという保証はない。もしこの冷蔵庫が発売されたとしても、おそらく安くはないだろう。Amazonの広報担当者は、同社は「噂や憶測については」コメントしないと述べている。

このコンセプトはまったく新しいものではない。2016年、Samsung(サムスン)は、ドアを開けなくても中のものを把握できる冷蔵庫を発表した。内蔵のタッチスクリーンを使って食料品を注文することもできる。Amazonの冷蔵庫は、切らしそうな商品にフラグを立て、Amazon独自の食料品エコシステムを通じ、それらの商品を補充注文できるということで、Samsungのアイデアをさらに推し進めたものといえる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Anna Omelchenko / Shutterstock

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

パスワード不要のログインを実現するYubicoのハードウェアキーが指紋認証に対応

ハードウェアによるセキュリティキーを開発するYubicoが、YubiKey Bioを発売した。本製品は同社初のバイオメトリックを利用した認証キーで、パスワード不要のログインや多要素認証を実現する。

YubiKey Bioが発売されたこのタイミングは、テクノロジー大手が、サイバー攻撃の主要なターゲットである従来のパスワードを使ったログインから変わろうとしている時期と重なる。Microsoftは最近、すべての消費者アカウントに対しパスワード不要のサインインオプションを展開した。Googleは2021年、最終的にパスワードを排除する計画を発表した。

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YubiKey Bioが発表されたのはほぼ2年前、2019年11月のMicrosoft Igniteイベントだったが、本製品はキーに指紋リーダーを組み込んで、パスワード不要の時流に乗り遅れまいとしている。Yubicoの説明によると、これは同社にとって「次の論理的ステップ」だという。特に現在、新型ノートパソコンの多くが生体認証によるセキュリティを実装していない。

指紋がデバイスに登録されるとデータは安全な場所に保存され、生体認証を担うサブシステムはキーの中核的なセキュリティ機能とは独立している。データが安全に保存される部分とキーのその他の部分との通信はすべて暗号化され、リプレイ攻撃を阻止する。

YubicoのCEOで共同創業者のStina Ehrensvärd(スティーナ・エーレンスヴァード)氏は「YubiKey Bio Seriesの立ち上げにより、生体認証を使ったセキュリティキーの基準を上げ、私たちのエンタープライズ顧客と日常的なYubiKeyのユーザーにシンプルで強力なパスワードレス認証を提供できることを誇りに思います」と述べている。

YubiKey Bio(画像クレジット:Yubico)

同社によると、完璧なセキュリティシステムはありえないにしても、偽造プリントを利用しようとするハッカーは、そのプリントを利用するためにはユーザーの物理デバイスに触れなければならない。このことがYubiKeyの平均的な顧客の脅威を大幅に減らす。ただし湿度や気温などの影響で皮膚に異変があり、生体認証が利用できないときには、各人のPINを使う認証も可能だ。

YubiKey 5C NFCなど、Yubicoのその他のハードウェアセキュリティキーと同じく、YubiKey Bioはプラグアンドプレイのデバイスで、バッテリーもドライバーもその他のソフトウェアも何も不要だ。macOSとWindowsとLinuxマシンで使える。YubiKeysはまた、セキュリティと認証のオープン・スタンダードであるFIDO U2F、FIDO2、WebAuthnプロトコルなどをサポートし、それらはMacとiPhoneとWindows PCとAndroidデバイスで機能する。最初からFIDOプロトコルをサポートしているアプリやサービスでもよい。

YubiKey BioはUSB-A対応が80ドル(約8940円)、USB-C対応が85ドル(約9500円)。いずれも発売中だ。

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画像クレジット:Yubico

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

D-Waveが量子ゲート方式の量子コンピューター製造を計画中

20年以上にわたり、D-Waveは量子アニーリングの代名詞だった。早期にこのテクノロジーに賭けたことで、世界で初めて量子コンピューターを販売する会社になるとともに、同社のハードウェアが解くことのできる現実世界の問題をある程度限定した。それは量子アニーリングがタンパク質折り畳みやルート選定などの最適化問題で特に有効であるためだ。しかし同社は米国時間10月5日のQubitsカンファレンスで、超電導量子ゲート方式量子コンピューターをロードマップに載せたことを発表した。同じタイプをIBMをはじめとする他社がすでに提供している。

D-Waveは、アニーリングとゲート方式の量子コンピューターと従来型コンピューターの組み合わせこそ、同社のユーザーがこのテクノロジーから得るべき最大の価値だと信じている。「最初にアニーリングを追究すると決めた時と同じように、私たちは将来を見据えています」と同社がこの日の発表で語った。「私たちは当社の顧客が実務的価値を促進するために何を必要としているかを予測しており、実務的応用価値を備えた量子誤り訂正ゲート方式システムが、量子アプリケーション市場のもう1つの重要部分である量子シミュレーションシステムに必要であることを知っています。これは材料科学や医薬品研究などの分野で特に有効な応用です」。

画像クレジット:D-Wave

以前同社は、アニーリングは量子アプリケーションを作る最速の道だと主張していた。現在およそ250社のD-Waveユーザーが同社ハードウェアのアプリケーションを作っていて、事実上全ユーザーが同社のLeap(リープ)クラウドサービスを通じてアクセスしている。さらに、量子アニーリングにはそれ自体明確な価値があるので、D-Waveはそれを捨てるつもりはない。「アニーリングは今もロードマップの中心です」と同社は言い、今後も現行システムへの投資と開発を続ける計画だ。実際、D-Waveはアニーリング(およびそれが可能にする最適化への応用)が量子アプリケーション市場の約1/3を占めていると信じている。

しかし同社は、これが戦略の大転換であり、それには少し説明が必要であることもはっきりわかっている。そもそもD-Waveは何年も前から同社のアニーリング技術がいずれは汎用量子コンピューターにも利用できると発言していた。しかし、背景にある技術と理論が成熟し、関連する材料工学の課題をD-Wave自身が学習したことから、今こそ「技術、理論の両面から見て、ゲート方式の課題に真っ向から直面する最適な時期」だと会社は考えている。

D-Waveは、これが平坦な道のりではないことも公言してはばからない。何といっても、これはやはり量子コンピューティングなのだ。それを踏まえると、同社ゲート方式のプロセッサーのロードマップに日付がなく、最初のキュービットの開発(フェーズ1)から汎用量子処理装置(QPU)の開発までのフェーズだけが記載されていることも納得できる。

ゲート方式のニュースは今日の見出しを飾る出来事ではあるが、D-Waveは他にもいくつか発表した。同社は最新の5000+量子ビット、Advantage(アドバンテージ)クラスの機種の性能改善アップデートを公開した。同社は、Constrained Quadratic Model(CQM)ソルバーも発表した。D-WaveのLeapサービスで現在提供されているソルバー群を補完するものだ。

全体的ロードマップでは、D-Waveは、7000量子ビット以上を搭載し、新たなトポロジーで20-way connectivityを実現したAdvantageの最新機種(デザインも改訂される)を2023年または2024年に発売予定だ。また来年以降、混合整数問題を解くことで薬剤の臨床試験や化学プロセス最適化、流通、スケジューリングなどに利用できる新たなハイブリッド・ソルバーを公開していく予定だ。

しかし、真の最終目標は、顧客がさまざまなハードウェアとソフトウェアの組み合わせを利用して、事実上どんな問題にも量子コンピューティングで取り組める、深いレベルまで統合されたシステムを提供することだ。

「量子テクノロジーに対する当社の全力アプローチは、チップ製造からシステム開発まで、ハイブリッド・ソフトウェア・ソルバーから堅牢なオープンソース開発ツールまでを含むもので、これは当社が、定常的な製品イノベーションを繰り返しながらクロスプラットフォームのスタックをいち早く市場に届ける世界で唯一の会社であることを意味しています」とD-WaveのCEOであるAlan Baratz(アラン・バラッツ)氏は語った。

画像クレジット:D-Wave Systems

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ドコモから重量1キロ以下の5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場、月額1100円から維持可能

月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場

NTTドコモ(以下、ドコモ)が5G対応PCとして「ThinkPad X1 Nano」を2021年10月6日に発売します。販路はドコモオンラインショップ、全国のドコモショップ、家電量販店。

本製品はTiger Lakeこと第11世代インテル Core i7(またはCore i5)を搭載した13インチのモバイルノート。ドコモに先んじてレノボが2020年12月08日に発売しましたが、今回、新たにキャリア版が追加された格好です。

特徴は何といっても1キログラムを切る軽さです。構成によって若干変わりますが、実測で905グラム(公称の最低値は907グラム)となっており、モバイル性を重視した1台となっています。もちろん打ちやすさで定評のキーボード(US・JIS配列を選択可能)に加え、トラックポイントとトラックパッド、それにドルビー・ビジョン対応のスピーカーを搭載しているなど、テレワーカーに適した製品といえます。

描画性能とAI処理能力が向上したハイエンド仕様で、メモリは8GB or 16GB、ストレージ(SSD)は256GB or 512GB or 1TBから選択できます。本体サイズは292.8×207.7×16.75ミリ。内蔵バッテリーはType-Cケーブルと65W出力のACアダプターを用いて充電できます。月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場月額1100円から維持可能、ドコモから5G対応モバイルPC「ThinkPad X1 Nano」登場

製品概要の詳細は既出の速報やレビューをご覧ください。

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ドコモ版 ThinkPad X1 Nano の注意点

ドコモ版は5G対応かつnano SIM(eSIMは非搭載)を1枚挿せます。回線契約なしで購入でき、端末の返却を前提とした割引きプログラム「いつでもかえどきプログラム」を適用することも可能です。

本製品で契約可能な料金プランは5Gギガホ、5Gギガライト、データプラス、ahamo。なお、ドコモによれば、ギガプランの契約があれば月額1100円から維持できるとのことです。また、サポートに関しては、レノボが用意する保守・サポートを受けることが可能ですが、ドコモの「ケータイ保障サービス」への加入はできません。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

超薄型軽量でアンビエントパワーで動作、コンピューターとして能力をすべて備えたプロセッサーのWiliotが約222円調達、技術をライセンス供与

Wiliot。このIoTスタートアップ企業は、超薄型かつ軽量型の、アンビエントパワーで動作する、しかし同時にコンピューターとしてのすべてのパワーを持つ新しいタイプのプロセッサを開発した。Wiliotが、その技術やスケールアップを目した戦略に興味があるとする支援者のバックアップを受け、巨額の成長資金を得た形となる。

今回調達された金額は2億ドル(約222億円)で、これは同社が事業を次のステップに進める上でシリーズCを活用した結果であるとされている。今後数カ月、SaaSモデルに向けて変化があるとされ、これについてWiliotは「software as a service」ではなく「sensing as a service」であるとしている。これはAIを利用することでチップを取り付けた対象のさまざまな信号を読み取り、解読することを表しており、同社ソフトウェアの稼働と販売に力を入れていくと考えられる。チップハードウェアについてライセンスモデルへのシフトがあることと同時に行われ、複数のサードパーティによる生産が行われることにもなる。Wiliotによるとチップのライセンス付与についてはすでに複数の契約が結ばれているとのこと。これによりチップのサイズやフォームファクターに新たなバリエーションが形成されることが期待される。

ソフトバンクのViison Fund 2は前回の支援者による融資を受けており、これからの可能性を雄弁に語る。83North、Amazon Web Services, Inc.(AWS)、Avery Dennison、Grove Ventures、M Ventures、Merck KGaAの企業VD、Maersk Growth、Norwest Venture Partners、NTT DOCOMO Ventures、Qualcomm Ventures LLC、Samsung Venture Investment Corp.、Vintage Investment Partners and Verizon Venturesといった華々しいリストを確認することができます。

Wiliotの評価は公開されていませんが、同スタートアップのSVPであるSteve Statler(スティーブ・スタトラー)氏によれば、そのSaaSへの転換と「一致した」ものであるとされている。また、前回Wiliotの資金調達(2019年の3000万ドルのシリーズB)について私たちが先にお伝えしたとき、情報源によれば、評価額は1億2000万ドル(約133億円)であったとされていた。ただし、当時と現在の間に、シリーズBが7000万ドル(約78億円)に拡大されたことで、クローザーの投資前企業価値も2億ドルとなったことが示唆されます。単純な計算の上では、同社評価額は4億ドル(約445億円)以上になっているのではないかと考えられるが、SaaSへの注力、また同技術のライセンス付与への関心によっては、それ以上の金額となる可能性も考えられる。

現在までのところ、同社はその事業開発を同チップのバージョン1(Wiliotの自社制作のもの)に基づいて行っている(バージョン2は9月に公式発表となると考えられており、サードパーティが制作するチップになると予想される)。Wiliotのチップは、スタトラー氏の言葉を借りるなら、RAMやROM、センサー、Bluetooth、ARM CPU、メモリ、安全な通信能力、そのすべてが空気中のアンビエントパワー(ラジオ波)によって動作する、切手の大きさと薄さの印刷可能なコンピュータであるとされている。RFIDタグのように薄く、非常にパワフルかつ便利なものだ。

スタトラー氏は、Wiliotには30の支払い顧客が存在しており、これまで「数十万」ものこうしたチップが利用されていると述べている。しかし、IoTにおけるそのスケール(および機会)は、数十万という数字を鑑みても、そのすべては、完全にデプロイされているわけではなく、限定的なテストに留まっている。

スタトラー氏によれば、そのような顧客のうちの1人に、ワクチンを作る大手製薬会社(名前非公開)があり、同チップをそのワクチンの瓶の一部に取り付け、温度や使用量、希釈をモニタリングして、将来的なワクチンにシステムの利用が可能であるように計画しているとされています。これは今、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックと戦う上でのワクチンの重要性が認識されたからこそ、特に関連性の高い事例であるといえます。

Wiliotが関連する他の業界には、消費財メーカー、家具メーカー、(RFIDの導入が進んでいる)アパレル業界などがあります。

バージョン2になると、そのアンビエントパワーに関連する部分も拡張される。バージョン1では、同チップはすでに空気中にあるラジオ波からのエネルギーを活用することができ、波をより均等に広げることができるようになる比較的安価なデバイスを活用することもできた。現在、このブースターのレンジは1〜3メートルであるとスタトラー氏は述べており、バージョン2は「大きなブレイクスルー」によってこれがさらに拡張され、ブースターをより興味深いオプションと考えてもらうことができるようになるとしている。WiliotはSigfoxとも提携していることで知られており、同社はアンビエントパワーを活用する上での革新的方法を開発している会社でもあるため、これは注目かもしれない。

CEO兼共同設立者であるTal Tamir(タル・タミール)氏は、2019年に次のように語っています(残念ながら、今回はインタビューの時間が取れなかった)。「これは氷山の一角に過ぎません。ラジオ周波数のエネルギーを活用できるような数多くの先進的デバイスが利用できるようになるでしょう。ここでの問題は、何を活用するかではなくどれくらい必要であるかということです。ナノワットのエネルギーを活用し、電話が3〜5ワットを稼働時に消費するなら、どうすれば良いかはわかりますよね」。

SoftBankのように、投資や所有のポートフォリオにおいて、サービスやハードウェアに複数の投資をしている企業にとっては、資金面での支援だけでなく、戦略的なパートナーとしても大きなチャンスがある。

Softbank Investment Adovisersのマネージング・パートナーであるYanni Pipilis(ヤニ・ピピリス)氏は、声明の中で「AIを使って世界を感知する、初のハイパースケーラブルな自己発電型コンピューターを発明することで、Wiliotはデジタルと現実を結びつける立場にあります」と述べている。「私たちは、IoTとAIによって、人々はより良く、より健康的な生活を送ることができると信じてきました。あらゆる食品や医薬品が、安全に使用できるかどうかを理解する能力を持ち、人々とシームレスにコミュニケーションできるようになるのです。拡大し続けるIoTの応用をグローバルに飛躍的に拡大するWiliotの支援に一役買えることをうれしく思います」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

Koboが電子書籍リーダーの新モデル2種類発表、Bluetoothヘッドフォンでオーディオブックを聴ける

Koboの新しい電子書籍リーダーとして「Sage」と「Libra 2」の2モデルが登場した。同社電子書籍リーダーのうちサイズが大きめのモデルでおなじみになった左右非対称のデザインで、新たにBluetooth接続でオーディオブックを聴けるようになった。Sageはスタイラスに対応している。従来のモデルでは数週間おきに充電が必要だが、Sageにはバッテリー内蔵のカバーが用意されたため、これを使えば電源に接続するのは数カ月おきで済む。

今回発表された2モデルのうちハイエンドの方がSageで、以前にレビューしたFormaの進化型だ。Formaと同じ8インチ、300 ppiの、色を調整できるスクリーンで、リーディングエクスペリエンスが向上しているようだ。Libra 2はLibra H2Oの後継で(H2Oは終了するが、Libra 2も防水だ)、7インチでライトも同じタイプのディスプレイだ(もっと小さいデバイスを好む人には、今後もClaraが最適だろう)。

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両モデルともBluetoothオーディオに対応し、Koboのオーディオブックをワイヤレスのヘッドセットに送信できる。新機能が追加されるのはいつでも楽しいものだが、Koboがこの機能を自社サービスのみに制限したのはちょっと驚きだ。同社はこれまで他のフォーマットやサービスに対して全般に極めてオープンな姿勢を示し、さまざまなフォーマットのドキュメントをKoboのリーダーで読むことができた。だからKoboのオーディオブックだけという限定的なアプローチには驚きを感じる。他のサービスとの連携(Koboデバイスで人気のPocket連携など)は簡単にできるだろう。どちらも内蔵ストレージは32GBで、このような容量を食う機能にも対応できる。

画像クレジット:Kobo

Koboは10.3インチスクリーンの大型モデルであるElipsaで初めてスタイラスペンに対応したが、Sageもスタイラスペン対応だ。スタイラスペンが便利なのは、画面が大きくなってスケッチをしたりメモをとったりするスペースができたからだ。この便利さがElipsaより小さいSage(とは言っても電子書籍リーダーとしては大きい方だが)に引き継がれるかどうかは予測が難しい。いずれレビューの際に評価したい。

両モデルとも残念ながらサイズと重量はやや増している。FormaとLibra H2Oは「サイドのあご」とも呼ばれるようにベゼルの1辺だけが広くなっているデザインが特徴で、リーダーを片手で持って操作できるようになっている。筆者は基本的には左右対称の方が好きだが、新モデルのフォームファクター(先駆けとなったのはAmazonのOasisだろう)には興味をひかれた。デバイスのスクリーン部分が薄いので未来的に感じられるし、もちろん場所もほとんどとらないからだ。

Sage(上)とForma(下)を横から見たところ。実際には、筆者が前述したほどの違いではないようだ。

新しいSageとLibra 2は、画面部分に薄いカ所がなく全体が同じ厚みになっているのでずっしりとした感じがある。すっきりとしたデザインでおそらく持ちやすいと思われるが、ポケットにおさめるのが難しいことはFormaですでにわかっている。そして両モデルとも約20%重くなっている。厳密には数十グラム、3〜4ミリ増えただけだが、電子書籍リーダーの魅力の1つは薄くて軽いことだ。

ケースを取り付けてしまえば、この違いは大したことではなくなる。Sage用としてスリープカバーが進化してカバーを開け閉めすると自動でデバイスがオン / オフするパワーカバーが登場し、閉まっている間にデバイスを充電できる。もちろん、これを取り付けるとさらに数百グラム重くなるわけだが。

デザインやサイズ、重さが若干変更されたことを辛口に書いてきたが、スクリーンとフロントライトは依然としてクラス最高レベルだし、Koboのソフトウェアは読みやすい。今後レビューする機会を得られたら、旧モデルとの比較を紹介するつもりだ。

Kobo Sageは260ドル(約2万9000円)、Libra 2は180ドル(約2万円)で、10月19日から出荷が開始される(訳注:日本語版記事作成時点で、日本での価格や販売予定は未発表)。

画像クレジット:Kobo

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Kaori Koyama)

オンオフ使えるスキャナーScanSnap iX1300登場、2つのスキャン方式でコンパクトでも多彩な書類に対応

「働き方改革」の旗の下、その歩みは遅いように感じられたDX。しかし新型コロナウイルスの蔓延というネガティブな追い風ではあるが、リモートワーク、在宅勤務は一気に進み、現在も多くの企業で採用されている。

とはいえ、その歩みは途中。業界にもよるが「完全」デジタル化の実現が構造的に難しいケース多く、仕事において「紙」がまだまだ欠かせない企業もある。そんな紙をデータ化、オンラインで仕事を完結させるようにするプロダクトがスキャナーだ。最近では、家庭においても紙をスキャンしてデータ化し、スマホなどで確認するという人も増えてきているという。

PFUの人気ドキュメントスキャナーシリーズの新製品ScanSnap iX1300が発表された。在宅ワークや家庭での書類最適だというiX1300のポイントはコンパクトであること。あまり広い場所を確保できない自宅でも、A4サイズほどのスペースで利用できる(本体は幅296×奥行114×高さ87mm、利用時に全開にすると奥行247mm×高さ242mm)。毎分30枚(A4カラー/300dpi)の高速読み取りが可能な「Uターンスキャン」と厚手の紙やA3の大きな書類も読み取れる「リターンスキャン」の2つのスキャン方法を採用。いずれにしても読み込んだ書類が手前に排出されるため、書類のセットなどのためにイスを立ったりすることなく座ったままできる。

また、利用時にPCなどを立ち上げる必要なく、本体のボタンを押し、書類をセットするだけでスキャンされるため、機械が苦手な人は子どもでも操作することができる。

さらにスキャンデータをPCやスマホに直接データを送ったり、連携したDropboxやGoogleドライブ、Eight、free、マネーフォワード クラウドにそのまま送ることもできる。

発売は10月8日から。カラーはホワイトとブラックの2色。価格は税込3万5200円となっている。

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

中国での電力供給不足からくる工場の減産により、半導体の原料である金属シリコンの価格が2ヶ月足らずで約4倍にも高騰し、アップルをはじめとする大手ハイテク企業にとって大問題となる可能性が浮上しています。

金属シリコンはテクノロジー業界で重要な役割を果たしており、チップ製造のみならずガラスやコンクリート、太陽光発電パネルやシリコン製品などの様々な産業に使われています。シリコンは地殻の28%を占めるほど豊富に存在するものの、精製された高純度なシリコン原料は生産が追いつかず原料メーカーは増産に追われていましたが、中国での減産により供給がさらにタイトになっている模様です。

これまでの世界的な半導体不足は、チップ需要の増加や水不足などが原因となっていましたが、そこにシリコン原料の生産量が減らされたことが追い打ちを掛けるかたちです。

Bloombergの報道によると、中国政府が国内の電力消費量を減らすため、金属シリコン製造の主要拠点で減産を命じているとのことです。たとえば国内第2の生産地である雲南省は、9月~12月は8月の水準より90%の減産を命じられたそうです。そのため以前は1トンあたり8,000元~1万7000元(約13万3000円~27万円)だった金属シリコンが、現在では6万7300元にまで値上がりしたと伝えられています。

すでに材料不足は太陽電池業界にも影響を与えており、太陽電池用ポリシリコンは先週水曜(9月29日)に13%も値上がりし、2011年以来の最高値を記録しています。

またシリコン価格は長期にわたって高止まりすると予想されており、上海金属市場のアナリストの見解では2022年夏まで高水準が続くとのこと。その時期になれば、同年後半にかけて生産が増やせる見通しが開けると述べられています。つまり、それまではシリコン価格の値上がりが減産による品不足や、最終的に消費者が支払う価格などに影響する可能性があると思われます。

これまでアップルは例外的に半導体や部品不足の影響を免れてきたと見られていますが、とはいえiPhone 13 Proモデルの出荷予定は11月までずれ込んでいます。もしかすると、年末までに発売が予想される新型MacBook Proなどにシリコン不足のしわ寄せが直撃するのかもしれません。

(Source:Bloomberg。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

Apple Watch Series 7は10月15日発売、税込4万8800円から

米国時間9月14日に開催されたビッグイベントでデビューしたApple Watch Series 7の発売日は、「秋」という漠然としたものだった。本日、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ロシア、韓国、アラブ首長国連邦、英国、米国のユーザーを対象に、日本時間10月8日午後9時から予約受付を開始し、1週間後の15日から店頭で販売することを発表した。

関連記事:Apple Watch Series 7は20%も大きなディスプレイでもっと頑丈に

最も注目すべき点は、ディスプレイのサイズが前モデルよりも20%大きくなり、文字の表示量が50%増加したことだ。さらにディスプレイはより明るくなり、クリスタルも強化されている。また、防塵性能はIP6X、防水性能はWR50となっている。ウワサと違い全体的なバッテリー駆動時間は改善されていないが(定格は18時間)、充電は33%高速化されている。

画像クレジット:Apple

このスマートウォッチには、アルミニウムはミッドナイト、スターライト、ブルー、グリーン、(Product)Redの5種類のカラーがある。ステンレスは3色(シルバー、グラファイト、ゴールド)、チタンは2色(チタニウム、スペースブラックチタニウム)のラインナップがある。Apple Watch Series 7は399ドル(税込4万8800円)から、SEは279ドル(日本では税込3万2800円)からとなっています。また、Series 3は199ドル(日本では税込2万2800円)からとなっており、こちらも引き続き購入することができる。

アップルは、スマートウォッチの世界市場で圧倒的なシェアを維持しており、GoogleやSamsungといった競合他社は、Wear OSとTizenの両方を採用した「Galaxy Watch 4」で力を合わせている。Amazonもウェアラブル市場に参入しているが、これまでのところフィットネスバンドに特化しており、Google傘下のFitbitの直接的なライバルとなっている。

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画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードがオープンソース化

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードをオープンソース化

Googleは10月1日、文字入力アプリ「Gboard」(ジーボード)に対応した湯呑み型の物理キーボードを発表した。「キーボードにお茶をこぼす。Gboard湯呑みバージョンを使えばそんな日常茶飯事のトラブルが解決するだけでなく、難しい魚編の漢字もワンタッチで入力できるようになります」とのこと。

手になじむ円筒形キーボードの配列は、JISではなくSSI(スシ)。魚偏の漢字が縦にあいうえお順に並べているほか、スペース、カーソルキー、エンターキーなどを合わせて58キーが装備されている。これで、ひらがな入力が可能となる。

おもな仕様は以下のとおり。

インターフェース:USB Type-C
キー数:SSI(スシ)配列 58キー
キー仕様:ロープロファイルメ カルスイッチ
キーピッチ:もちろんピッチピチ
ストローク深さ:やけどしない深さ
押下圧:リラックスしながら押せる強さ
サイズ:一息つくのに丁度いいサイズ
本体重量:手に馴染む重さ
容量:125ml
動作時温度(回路部):-10〜60℃
湯呑み部温度範囲:-20〜140℃(熱い飲み物を注ぐ際はやけどにご注意ください)

販売はしていないが、ハードウェアの作り方とソフトウェアはオープンソース化され、Githubで公開(ライセンスはApacheライセンス 2.0)されている……って、これエイプリルフールのあれ? 実はGoogleでは、毎年4月1日におかしなキーボードを発表してきた。ざっと以下のごとし。

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードをオープンソース化でもなんで10月1日に? Googleによれば、10月1日は「北野大茶湯」が開かれた日とのこと。天正15年の10月1日に、豊臣秀吉が北野天満宮で開催したお茶会だ。何でもいいから茶道具を持参すれば、身分に関わりなく参加できた。それを記念してのことのようだ。

これまでのものは、ほぼジョークネタといえるのだけど、この湯呑み型キーボードはホントに作れてホントに使える。だんだん本気になってきたみたい。しかも、エイプリルフールだけでは物足りなくなってきたようだ。それは大いに結構。こういうことは、いつでもどんどんやってほしい。

NEC・OCC・住友電気工業が世界初マルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを開発、通信の大容量高速化に対応

NEC・OCC・住友電気工業が世界で初めてマルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを開発、通信の大容量高速化に対応

日本電気(NEC)は10月4日、OCC住友電気工業と共同で、非結合型マルチコアファイバーを収容した海底ケーブルを、世界で初めて開発したと発表した。これは、ファーバーケーブルの外径を変えずに伝送容量を拡大する空間分割多重技術のひとつ。1本のファイバーケーブルに複数の光伝送路を設けることができるというもの。5Gの普及や各国での相次ぐデータセンターの建設に伴い、国際的なデータ流通量の継続的な増大が予想される。そんな中、この技術による国際データ通信網の拡充が期待されている。

光ファイバーは、光の通り道となるコアの周りを屈折率の違うクラッドという被膜で覆うことで、ファイバーを曲げても光が外に漏れずに効率的に伝わる二重構造になっている。通常、コアは1本(シングルコアファイバー)だが、今回開発されたマルチコアファイバーは、4本のコアがクラッドの中に収められている。ケーブルには、この非結合型4コアファイバーが32本収められるため、最大128コアによる伝送が可能となる。

使用される海底ケーブルは、OCCが製造するOCC-SC500シリーズのLWケーブルと呼ばれるもので、水深8000mに対応する直径17mmの小径ケーブルだ。シングルコアの場合、伝送容量を大きくするにはケーブルを太くしてファイバー収容数を増やすことになるが、今回開発された技術を用いることで、17mmの直径のままで容量が4倍になる。外径が細くて荷重も小さいため、コストが削減でき、敷設の際にはより長いケーブルを船に積み込めるなど、効率が上がる。

NECは、実際の利用を想定した水中の長距離伝送試験を行ったところ、ファイバー単体の試験結果と比較して、光信号パワーの減衰量と、コア間クロストーク(隣接するコア同士の光の漏れ)の光学的特性に大きな変化はなかったとのこと。

今回の開発では、NECは長距離伝送試験の実施、OCCは海底ケーブルの製造、住友電気工業は非結合型4コアファイバーの製造をそれぞれ担当している。このプロジェクトは、総務省の「ICT重点技術の研究開発プロジェクト」における研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の技術課題「マルチコア大容量光伝送システム技術」の取り組みの一環として行われている。

【インタビュー】iPhone 13シネマティックモードの開発経緯をアップル副社長とデザイナーに聞く

iPhone 13 Proモデルのシネマティックモードは、先に行われたApple(アップル)の同端末のプレゼンテーションで特に強調されていた。これまでに公開されたレビューを読んだ人たちは、このモードの賢さは認めているものの、その利便性に疑問も感じているようだ。

筆者はこの機能を試してみた。最新のiPhoneをディズニーランドに持っていって、今後数年で数千人いや数百万人の人たちが行うような方法で実際にこの機能をざっと試してみた。筆者が行った個人的なテストの一部は、この記事でも触れる他、こちらの筆者のiPhoneレビューでも紹介している。この記事では少し掘り下げた情報をお届けする。

関連記事:【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

この記事では、世界iPhone製品マーケティング担当副社長Kaiann Drance(カイアン・ドランス)氏とアップルのヒューマンインターフェースチームのデザイナーJohnnie Manzari(ジョニー・マンザリ)氏に、この機能の目標と開発の経緯について話を聞いた。

「動画で高品質の被写体深度(DOF:ピントの合う最も近い距離と遠い距離の間)を実現するのはポートレートモードよりもはるかに難しいことはわかっていました」とドランス氏はいう。「静止画と違い、動画は撮影時に動く(撮影者の手ぶれも含め)ことが前提です。ですから、シネマティックモードで、被写体、人、ペット、モノを撮影するには、さらに高品質の深度データが必要になります。しかも、その深度データをすべてのフレームに追いつくように継続的に維持する必要があります。このようなオートフォーカスの変更をリアルタイムで実行すると、非常に重い計算負荷がかかります」。

シネマティックモードではA15 BionicチップとNeural Engineを多用する。Dolby Vision HDRでエンコードすることを考えると当然だ。また、ライブプレビュー機能も犠牲にしたくはなかった(アップルがこの機能を導入後、大半の競合他社は数年間、この機能を実現できなかった)。

しかし、アップルは最初からシネマティックモードの概念を機能として考えていたわけではない、とマンザリ氏はいう。実際、設計チームでは、機能とは反対の側面から取り掛かることが多い(同氏)。

「シネマティックモードなどというアイデアはありませんでした。ただ、興味深いとは思いました。映画製作が今も昔も人々を惹き付けるのはなぜだろうか、と。そして、それが徐々におもしろい方向へと進み始め、このテーマについて調査が始まり、社内で広く検討されるようになり、それが問題解決につながります」。

ドランス氏によると、開発が始まる前、アップルの設計チームは映画撮影技術の調査に時間を費やし、リアルな焦点移動と光学特性について学んだという。

「設計プロセスではまず、現在に至るまでの映像と映画撮影の歴史に深い敬意を払うことから始めました。映像と映画撮影のどの部分が今も昔も人々を惹き付けるのか、映画撮影のどのような技術が文化的な試練に耐えて生き残ったのか、またそれはなぜなのか、という疑問には大変魅了されました」。

マンザリ氏によると、従来とは異なる技法を選択する決断を下すときでさえ、アップルのチームはもともとのコンテキストの観点から慎重かつ丁寧に決断を下そうとするという。アップルのデザインとエンジニアリング能力を活かして、複雑さを排除し、人々が自身の可能性を引き出せるような何かを作成する方法を見出せるようにすることに重点を置く。

ポートレートライティング機能の開発プロセスでも、アップルの設計チームは、アヴェンドンやウォーホルなどの古典的な肖像画家やレンブラントなどの画家、および中国のブラシポートレートなどを研究し、多くの場合、オリジナルを見に足を運んだり、研究室でさまざまな特性を分析したりした。シネマティックモードの開発でも同様のプロセスが使用された。

画像クレジット:Matthew Panzarino

設計チームはまず、世界中の最高の映画撮影スタッフに話を聞いた。また、映画を観たり、昔のさまざまな映像例を分析したりした。

「そうすることで、いくつかの傾向が見えてきました」とマンザリ氏はいう。「ピントとピントの変更はストーリーテリングには欠かせない基本的な道具であること、私たちのように職能上の枠を超えたチームではそうした道具を使う方法とタイミングを把握する必要があることは明らかでした」。

それができたら、撮影監督、撮影スタッフ、第一助手カメラマン(ピント調整役)などと緊密になる。セットで彼らを観察したり、質問したりする。

「浅い被写界深度を使う理由、またそれがストーリーテリングという観点からどのように役に立つのかについて、撮影スタッフと話すことができたことも本当に良い刺激になりました。そこで覚えたのは、これは本当に陳腐化することのない知見ですが、見る人の注意を誘導する必要がある、ということです」。

「しかしこれは、現在のところ、スキルのあるプロ向けのアドバイスです」とマンザリ氏はいう。「あまりに難しいため、普通の人は試してみようとも思いません。1つのミスで数インチずれただけでだめです。これはポートレートモードで我々が学習したことです。いくら音楽やセリフで見る人の聴覚を刺激しても、視覚に訴えることができないなら、使いものになりません」。

その上にトラッキングショットがある。トラッキングショットでは、カメラが移動し、被写体もカメラに対して移動している状態で、ピント調整担当者は継続的にピントを合わせる必要がある。高度なスキルを要する操作だ。トラッキングショットを成功させるには、カメラマンは数年間、徹底的に練習を重ねる必要がある。マンザリ氏によると、アップルはここにビジネスチャンスを見出したのだという。

「これはアップルが最も得意とする分野なのです。つまり、難しくて、習得が困難とされている技術を、自動的かつシンプルにできるようにしてしまうというものです」。

チームはまず、フォーカスの特定、フォーカスロック、ラックフォーカスなどの技術的な問題に取り組む。こうした研究からチームは凝視にたどり着く。

「映画では、凝視と体の動きによってストーリーを組み立てていくのは極めて基本的なことです。人間はごく普通に凝視をコミュニケーションに使います。あなたが何かを見れば、私も同じものを見るという具合です」。

こうして、アップルのチームは凝視を検出する仕組みを組み込んでピントの対象をフレーム間で操作できるようにすることで、観る側がストーリーを追えるようにする必要があることに気づく。アップルは撮影現場で、こうした高度なスキルを備えた技術者を観察し、その感覚を組み込んでいったとマンザリ氏はいう。

「我々は撮影現場でこうした高い技術を備えた人たちと出会うことができます。彼らは本当に最高レベルの人たちです。そんな中、あるエンジニアが気づきます。ピント調整担当者というのはピント調整ホイールの感覚が体に染み付いていて、我々は、彼らがそれを操る様子を観ているだけだと。つまり、本当にピアノがうまい人が演奏しているのを観ていると、簡単そうに見えるけれど、自分にはできないことはわかっているのと同じ感覚です。ピント調整担当者が行っていることをそのまま真似ることなどできないのだと」とマンザリ氏はいう。

「第一助手カメラマンはアーティストで、自分がやっている仕事が本当にうまく、すばらしい技量を備えています。ですから、我々チームもフォーカスホイールを回すアナログ的感覚をモデル化しようと多くの時間を費やしました」。

これには、例えば長い焦点距離の変更と短い焦点距離の変更では、フォーカスホイールランプの操作スピードが速くなったり遅くなったりするため、変更の仕方が異なるといったことも含まれている。また、ピント調整が意図的かつ自然に感じられない場合、ストーリーテリングツールにはならない、とマンザリ氏はいう。ストーリーテリングツールは観る側に気づかれてはならないからだ。映画を観ていて、ピント調整テクニックに気づいたとしたら、おそらくピントが合っていないか、第一助手カメラマン(または俳優)が失敗したからだ。

最終的に、チームは映画撮影現場での調査研究を終えて多くの芸術的および技術的な課題を持ち帰ったのだが、それを解決するには極めて難しい機械学習の問題を解く必要があった。幸いにも、アップルには、機械学習研究者のチームとNeural Engineを構築したシリコンチームがいつでも協力してくれる体制があった。シネマティックモードに内在する問題の中には、これまでにない新しい独自のMLの問題が含まれていた。それらの問題の多くは非常に厄介で、微妙な差異や有機的な(人間くさい)感覚を維持するという掴みどころのないものを表現するテクニックを必要としていた。

シネマティックモードを試す

このテストの目的は、1日でできること(と午後のプールでのひととき)を撮影することだった。ディズニーランドに行けば誰もがやりたいと思うようなことだ。1人でカメラを持ち、特別なセットアップもなければ、撮影者の指示もほとんどない。ときどき、子どもにこっちを向いてというくらいだ。下の動画は、誰が撮っても大体こんな感じになるだろうというレベルを維持した。これは肝心なところだ。B-ROLL(ビーロール)はあまり用意していないし、何度も撮り直すようなこともしなかった。編集もしていない。唯一、撮影後にシネマティックモードを使っていくつか重要な場所を選択した。これは、エフェクトを入れるため、または自動検出機能によって選択されたカ所が気に入らなかったためだ。といっても大した編集ではなかったが、編集結果には満足している。下のデモ動画を再生できない場合は、こちらをクリックしていただきたい。

この動画はもちろん完璧なものではないし、シネマティックモード自体も完璧ではない。アップルがポートレートモードで導入して大成功した人工的なぼけ味(レンズブラー)は、1秒あたりの実行回数があまりに多くなる点が非常に苦しい。焦点追跡もカクカクすることがあるため、撮影後に編集するケースが想定していたよりも多くなるようだ。低照度設定でも問題なく動作するように思うが、高い精度を求めるならライダー光線の届く範囲内(約3メートル以内)で撮影するのがベストだ。

それでも、何を追跡しているのか、どこに向かっているのかはわかるし、このままでもとても便利で使っていて楽しい。多くのレビューがこのあたりを軽く流していることは知っているが、この種の新機能を(実際に使ってみるのではなく)人工的な負荷を与えてテストするのは、ごく普通の人がどの程度便利に使えるのかを確認するには、いささか雑な方法ではないかと思う。筆者が、2014年にディズニーランドでiPhoneのテストを始めた理由の1つもそこにある。iPhoneが数百万の人たちに使用されるようになって、処理速度とデータ量の時代はあっという間に過ぎ去りつつある。どのくらいの高い負荷を高速処理できるかはもうあまり重要なことではなくなってしまった。

人工的なテストフレームワークによって多くの早期レビューワたちが主に欠点を見つけているのを見ても別に驚きもしない(実際欠点は存在するのだ)。だが筆者は可能性のほうに注目したい。

シネマティックモードとは

シネマティックモードは実は、カメラアプリの新しいセクションに存在する一連の機能であり、iPhoneのほぼすべての主要コンポーネントを利用して実現されている。具体的には、CPUとGPUはもちろん、アップルのNeural Engineによる機械学習作業、加速度計による動きの追跡、そしてもちろんアップグレードされた広角レンズとスタビライザーも利用されている。

シネマティックモードを構成している機能の一部を以下に示す。

  • 被写体認識と追跡
  • フォカースロック
  • ラックフォーカス(ある被写体から別の被写体に自然にピントを移動する)
  • イメージオーバースキャンとカメラ内蔵スタビライザー
  • 人工的ぼけ(レンズブラー)
  • 撮影後編集モード(撮影後にピント変更可)

上記のすべての機能はリアルタイムで実行される。

動作原理

これらすべてを、リアルタイムプレビューや後編集で毎秒30回も実行するためには、控えめにみても、かなり大きな処理能力が必要だ。アップルのA15チップで、Neural Engineのパフォーマンスが飛躍的に向上しており、GPUの処理能力も大幅に向上しているのはそのためだ。上記の機能を実現するには、そのくらいの処理能力が必要なのだ。信じられないのは、シネマティックモードを1日中かなり使ったにもかかわらず、バッテリーの駆動時間が明らかに短くなるということがなかった点だ。ここでも、アップルのワットあたりのパフォーマンスの高さがはっきりと現れている。

撮影中でも、ライブプレビューによって撮影内容を極めて正確に確認できるので、そのパワーは明らかだ。撮影中、iPhoneは加速度計からのシグナルを拾って、ロックした被写体に自分が近づいているのか、逆に被写体から遠ざかっているのかを予測し、すばやくピントを合わせることができるようにする。

と同時に「凝視」のパワーも利用している。

凝視検出機能により、次の移動先となる被写体を予測し、撮影シーン中のある人物が別の人物を見たり、フィールド中の物体を見ている場合、システムはその被写体に自動的にラックフォーカスできる。

アップルはすでにセンサーをオーバースキャンしてスタビライザーを実現している(つまり、事実上フレームの「エッジを越えて」見ている)ため、設計チームは、これは被写体予測にも使えるのではないかと考えた。

「ピント調整担当者は被写体が完全にフレーム内に収まるまで待ってからラックを行うわけではなく、被写体の動きを予測して、その人がそこに来る前にラックを開始します」とマンザリ氏は説明する。「そこで、フルセンサーを実行することで動きを予測できることがわかったのです。このように予測することで、その人が現れたときには、すでにその人にピントが合っている状態になります」。

これは上記の動画の後半のほうで確認できる。娘がフレームの左下に入ってきたときにはすでにピントが合っている。まるで、目に見えないピント調整担当者がそのシーンに娘が入ってくるのを予測して、そこ(つまりストーリーに新しく入ってきた人)に観る人の注意を惹きつけているかのようだ。

撮影した後も、焦点を修正して、クリエイティブな補正を行うことができる。

シネマティックモードの編集ビュー(画像クレジット:Matthew Panzarino)

撮影後の焦点選択ですばらしいのは、iPhoneのレンズは非常に小さいため、当然の結果として、被写界焦点が極めて深くなる(だからこそポートレートモードやシネマティックモードで人工的なぼけを実現できる)。つまり、物体に非常に近い位置にいない限り、フレーム内の任意の物体を選択してピントを合わせることができる。その後、シネマティックモードがすべての動画について保持している深度情報とセグメンテーションマスキングを使用してリアルタイムで変更が行われ、人工的なぼけエフェクトが再生される。

筆者は、iPhone 13 Proのレビューで、シネマティックモードについて次のように書いた。

このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

この機能をデモするためにアップルがどの映画会社と組もうと興味はないが、この機能から最大の恩恵を受けることができるのは、必ずしもカメラの操作に長けている人たちとは限らないと思う。幸いにも手が空いていて、このコロナ禍という厳しい現実の中でも、そこにいたときの気持ちを撮りたいという基本的な欲求を持っている人たちこそ最大の恩恵を受けるのではないか。

そして、それこそが映画という媒体の持つパワーだ。そこにいたときの気持ちになれる。シネマティックモードは、この初期バージョンではまだまだ完璧には程遠いが、従来よりもはるかに容易で、扱いやすい形で、これまではとても手が出せなかった世界への扉を開く道具を「ごく普通の人たち」に与えてくれるものだ。

現時点では、詳しく見ていけば不満な点もたくさんあるだろう。しかし、初めて実物のカイロ・レンを目の当たりにしたときの子どもの反応を撮影したことがある人なら、気にいる点もたくさんあるはずだ。完璧ではないからといって、この種の道具が使えることに異を唱えるのは難しい。

「私が誇りに思うのは、誰かが私のところにやってきて、写真を見せてくれたときです。写真の出来栄えを誇らしげに語り、自分が突如として才能あるクリエーターになったかのように満面の笑みをたたえて、こんな風に話してくれる。『私は美術学校など行ったこともないし、デザイナーでもない。私を写真家だと思った人など1人もいないけど、この写真は本当にスゴイでしょ』と」とマンザリ氏はいう。

「映画は人間のさまざまな感情やストーリーを見せてくれます。そして、基本を正しく抑えていれば、そうした感情やストーリーを観る側に伝えることができる。iPhoneであなたにも新しい世界が開けるのです。私たちはシネマティックモードに長い間、本当に懸命に取り組んできました。お客様に実際に試していただけるのを本当に楽しみにしています」。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

iFixitが新型iPad mini(第6世代)を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析・iPad Air(第4世代)と比較

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

iFixit

修理業者iFixitがiPhone 13 Proの分解に続き、新型iPad mini(第6世代)の分解動画を公開しています。今回の記事では、新iPad miniの画面表示が揺れる「ゼリースクロール」問題について深く掘り下げ、iPad Air(第4世代)との比較などを行っています。

iFixit恒例の修理しやすさスコアは、10点満点中の3点です。分解の結果、アップルは新型モデルでバッテリー交換しやすくするよう検討したものの、最終的には断念し、今まで通りバッテリーを本体に固定したとの推論に達しています。

さて、真の本題ともいえるゼリースクロール問題について。この症状は長いWebページなどを素早くスクロールすると、画面上の文字や画像がゼリーのように揺れて見える現象のこと。ディスプレイの左右で画面書き換え速度が違うために起こるもので、アップルも事実と認めつつも「液晶画面の正常動作である」趣旨を回答しています。つまり公式見解では不具合ではない、というわけです。

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

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iFixitいわく、ゼリースクロールは液晶デバイス一般では珍しくないとのこと。では、なぜ新型iPad miniで顕著に目立っているのか? それは画面のスキャン(書き換え)方向が、本体内でディスプレイを駆動するコントローラーボードの配置に関係しているため、と推測されています。

新型iPad miniでは、この部品は(縦置きした場合に)左側、縦向きに配置されています。かたや同じ問題が発生していない第4世代iPad Airでは、コントローラーボードが上部に配置されています。すなわちAirでは、ディスプレイが更新される方向がスクロールの動きと平行になっており、やはり画面が一度に更新はされないものの、横に並んだ文字が分割されないため影響は目立たない、というわけです。

iFixitが新型iPad mini 第6世代を分解、表示が揺れる「ゼリースクロール」問題を分析

iFixit

その逆に新型iPad miniではディスプレイ更新の方向とスクロールが垂直になっており、横方向に書き換えのタイミングがずれるために左や右に傾いて見えるということ。この推測であれば、iPad miniを横置きしたときにゼリー現象が目立たなくなる現象も説明が付くと思われます。

またiFixitは、アップルが新型iPad miniに安物のディスプレイパネルを使っている可能性もあり、そのために書き換えが予想以上に目立っているかもしれないと述べています。

ディスプレイのスキャン方向は設計的にどうしようもありませんが、もしも画面パネルの品質によるところが大きければ、「当たり」(たまたまパネル品質がいい)の個体を引き当てれば、ゼリースクロールも抑えられているはず。どうしても気になる場合は、製品の受け取りから14日以内に受けられる交換手続きを利用してもいいかもしれません。

(Source:iFixit(YouTube)Engadget日本版より転載)

アマゾン傘下のRingが「バーチャルセキュリティガード」や新アラームシステム、よりスマートなモーションアラート機能を発表

2021年のRing(リング)は、Amazon(アマゾン)が毎年開催しているデバイスとサービスイベントの一部に過ぎないが、ハードウェアの刷新とEero Wi-Fi 6ルーター機能の統合を含む新しいプロアラームなど、多くのアップデートを行っている。また「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新サービスも用意されており、これは基本的に、ユーザーが監視できないときに代わりRingのフィードを監視するもので、よりスマートな状況認識能力により、既存のドアベルやカメラの警戒能力を向上している。

Ring Alarm Pro

「Ring Alarm Pro(リング・アラーム・プロ)」は、Eeroを内蔵したベースステーションを含む、ホームセキュリティシステムのアップグレード版だ。このベースステーションは、他の最新のEeroハードウェアとリンクするためのメッシュ機能を備えたWi-Fi 6ルーターとしても機能する(これは、Amazonが買収したコンシューマー向けブランドとのすばらしいシナジー効果となっている)。Ring Alarm Proには、月に3GBのモバイルデータが含まれており、1GBあたり3ドル(約330円)で追加データを利用できるため、24時間365日のバックアップインターネットが可能だ。RingのPower Packアクセサリーをベースステーションに取り付ければ、停電時にもインターネットを利用することができる。

また、Alarm Proベースステーションには、最大64GBのカードに対応したmicroSDカードスロットがあり、接続したRingカメラやドアベルのローカルビデオストレージとして利用できる。

これまでのRingのアラーム製品と同様に、モーションセンサー、ドア・窓センサー、火災・湿気センサーなどと連携する。また、同社のサブスクリプション製品にはプロレベル(月額約2200円)が導入されており、セルラーバックアップサービスに加えて、プロによるモニタリングや、Eeroを介した家庭用インターネットの広告ブロック(これもまたシナジー!)、コンテンツフィルタリング、脅威防御サービスなどを利用することができる。

Virtual Security Guard

Eeroの新たなプロレベルのサブスクリプション(従来の月額10ドルのオプションと一緒に提供される)とは別の「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新たなサブスクリプション・サービスは、現場にいるセキュリティ・ガードの利点を模倣することを目的としている。

基本的に、モニタリング会社Rapid Response(ラピッド・レスポンス)との提携により、プロの監視員による監視を追加するものだ。Rapid Responseの担当者は、会員が指定したRingのカメラやドアベルのフィードを監視し、モーションアラートに反応して、サイレンやライトの作動、双方向通話機能の使用などの介入を行い、必要と判断した場合には、実際に救急隊員を派遣する指示を仰ぐことができる。

Ringは、Virtual Security Guardが完全に契約者の管理下にあることを強調している。例えば、カメラはデフォルトで除外されており、どのカメラをいつ監視するかはユーザーが選択する。また、エージェントは、ユーザーが指定したホームモードまたはアウェイモードで監視するようにグリーンライトが点灯しない限り、カメラを起動することはできない。エージェントは、動きが検出されたときにライブビューでリアルタイムの映像を見ることができるだけで、映像はダウンロードなどのために保存されることはない。さらに、ユーザーが設定したプライバシーゾーンは監視エージェントには表示されず、バーチャルセキュリティエージェントがフィードを監視しているときは、Ringアプリでライブ表示され、エージェントが見た過去のライブビューも明確に表示されるようになっている。

具体的な価格については明らかにされていないが、ユーザーがすでにプロの監視プランを導入していることが条件となっているため、割高な価格設定になると思われる。また、このプログラムを利用するには、Ringの、屋外用のワイヤー接続したビデオドアベルまたはセキュリティカメラを導入している必要があり、2021年後半から招待制で提供される予定だ。

Custom Event AlertsとPackage Alerts

画像クレジット:Ring

2021年のRingは、空飛ぶドローンが実際に出荷されるなど、かなり目を引く発表を行っているが、多くのユーザーにとって最も役に立つニュースは「Package Alerts(パッケージアラート)」と「Custome Event Alerts(カスタムイベントアラート)」という新しいスマートアラートの導入だろう。

関連記事:Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

「Package Alerts」は、その名の通り、ゾーンを指定して、そのゾーンに荷物があると通知を受け取ることができるというものだ。例えば、玄関先やポーチを監視するように設定して、Amazonが荷物を配達したときに通知を受け取ることができる。

これらの機能は、Ring Video Doorbell Pro 2とRing Video Doorbell(2020年モデル)のデバイスを持っている人であれば、Ring Protect Plan(リング・プロテクション・プラン)に加入している場合に限り、米国時間9月28日より利用可能となる。

「Custom Event Alerts」は、Spotlight Battery Camのユーザーに適用されるが、こちらもRing Protect Planに加入していることが条件となり、もう少しカスタマイズの自由度が増えることとなる。例えば、Ringが撮影した閉じた状態のガレージドアの静止画と開いた状態の静止画を使用して、この2つの状態を区別し、状態の変化が起こったときに警告するように教えることができる。Ringはこの機能を、ゲートやドアなど、ユーザーが定義した他のタイプの状態変化にも適用できると述べている。Package Alertsよりも少し遅れて配信を開始し「今後数カ月のうちに」利用可能になる予定だ。

Ring Jobsite Security

画像クレジット:Ring

最後に、Ringはコントラクターや現場管理者をターゲットにした「Jobsite Security(ジョブサイト・セキュリティ)」を発表した。これは、Ring Alarm Proをベースにした製品で、例えばゲートの開閉状態を把握するためのOutdoor Contactセンサーなどのアップグレード製品と使う業務用に調整されている。また、ターゲット層を「反映」して、セーフティーオレンジを多用している(セーフティーオレンジは、”反射性”を利用しているというダジャレ)。

Jobsite Securityは、The Home Depot(ザ・ホーム・デポ)との提携により、399.99ドル(約4万4000円)から独占販売される。これは、同社のブランドを国内だけにとどまらせず、B2Bの分野にも広げていくという布石なのかもしれない。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソニーが1万1000円前後の完全ワイヤレスイヤホンWF-C500発表、360 Reality AudioやIPX4相当の防滴対応

ソニーが1万1000円前後の完全ワイヤレスイヤホンWF-C500発表、360 Reality AudioやIPX4相当の防滴対応

ソニーはオブジェクトベースの360立体音響技術を使った音楽体験360 Reality Audioに対応する、完全ワイヤレスイヤホン「WF-C500」を2021年10月8日に発売します。市場想定価格は1万1000円前後(税込、以下同)となっています。

WF-C500は本誌読者からの注目度が高い「WF-1000XM4」(3万3000円)の音質、基本性能、装着設計を継承しつつ、価格を抑えたモデルです。同社いわく市場では1万円以下のマーケット構成比の増加が顕著だとし、ラインナップを拡充したい考えです。

昨今のトレンドである『ノイズキャンセリング機能』や『外音を一時的に取り込む機能』には非対応ですが、360RA対応が注目点です。これは、全天球に広がる仮想的な音場空間に各音源をオブジェクトとして任意の位置に配置することで、リスナーがスピーカーやヘッドホンを通して立体的な音響を楽しめるというものです。

そして音質に関しては、チューニング方法などの詳細は非開示なものの、5.8mmドライバーユニットを備え、圧縮音源をCD音質相当まで補完するDSEEにも対応。同社によれば、低域から高域までのバランスを保ち、ボーカルが鮮明に聞こえるとのこと。ソニーが1万1000円前後の完全ワイヤレスイヤホンWF-C500発表、360 Reality AudioやIPX4相当の防滴に対応

ソニーが1万1000円前後の完全ワイヤレスイヤホンWF-C500発表、360 Reality AudioやIPX4相当の防滴に対応

イヤホンと耳の接触面を増やす形状をWF-1000XM4から継承し、装着時の安定性を確保しているという

スマート機能としては、イヤホンから音を鳴らして位置確認が行える「Google Fast Pair」や、Windows 10 PC に近づけるだけでペアリングを促すポップアップ画面が立ち上がる「Swift Pair」に対応。もちろんソニーのワイヤレスオーディオ機器と連携する「Sony|Headphones Connect」アプリも使えます。

このほかの主な仕様と付属品は以下の通り。

  • 連続音楽再生時間:最大約20時間
    → 充電ケースで1回の充電が必要。本体10時間+充電ケースで充電して10時間の合計20時間再生可能
  • 質量:本体5.4g、ケース35g
  • 対応BTコーデック:AAC / SBC
  • 耐久性:IPX4相当の防滴
  • カラー:アイスグリーン / コーラルオレンジ / ホワイト / ブラック
  • 付属品:ハイブリットイヤーピース(SS / M / LL 各2)、充電ケース、USB Type-CRケーブル ( USB-A – USB-CR 約20 cm )

イヤホンと耳の接触面を増やす形状をWF-1000XM4から継承し、装着時の安定性を確保しているというちなみに、日本流行色協会が発表した2021年春夏のプロダクツ・インテリアのトレンドカラーでは、カラーグループ 1.Experiment エクスペリメントに「アイスグリー ン」の色合い、3.Spontaneous スポンテーニアスに「コーラルオレンジ」の色合いが掲載されており、ソニーいわくWF-C500のカラー選定の参考にしたとのことです。イヤホンと耳の接触面を増やす形状をWF-1000XM4から継承し、装着時の安定性を確保しているというイヤホンと耳の接触面を増やす形状をWF-1000XM4から継承し、装着時の安定性を確保しているというイヤホンと耳の接触面を増やす形状をWF-1000XM4から継承し、装着時の安定性を確保しているという

(Source:ソニーEngadget日本版より転載)

ディズニーとアマゾンが提携、カスタム音声アシスタント「ヘイ、ディズニー」を開発し搭載Echoをディズニーワールドリゾートのホテルに展開

Amazon(アマゾン)は、初めてEcho(エコー)デバイスで別の音声アシスタントを利用できるようにする。同社は先に開催した秋のイベントで、Disney(ディズニー)が開発し、Alexa(アレクサ)の技術をベースに作られた新しい音声アシスタント「Hey, Disney(ヘイ、ディズニー)」を発表した。このアシスタントは、独自の声を持ち、ディズニーファンが探索できる1000以上のカスタム・インタラクションを備えており、その多くは、本物のキャラクター音声やディズニーの膨大なライブラリーからのオリジナル録音を含んでいる。また、大規模なパートナーシップにより「Hey, Disney」の機能を追加したAlexaデバイスが、2022年からオーランドのDisney World Resort(ディズニー・ワールド・リゾート)ホテルに設置される予定だ。

まず最初に「Hey, Disney」は、ジョークややり取り可能なトリビア、お気に入りのディズニーキャラクターからの挨拶、ディズニー映画にインスパイアされた「soundscapes(サウンドスケープ)」と呼ばれるオーディオ環境へのアクセスなど、ディズニーファンのためのさまざまな体験を提供する。ユーザーがこれらの新機能を使うと、ディズニー、Pixar(ピクサー)、Marvel(マーベル)、Star Wars(スター・ウォーズ)などのお気に入りのキャラクターの声で応えてくれる。その間、このエクスペリエンス全体は「Disney Magical Companion(ディズニー・マジカル・コンパニオン)」と呼ばれるものによって動いている。

このコンパニオンは、基本的にはディズニー版のAlexaであり、新しい体験を通してユーザーを案内するために、ディズニー自身が開発したカスタムボイスだ。このコンパニオンの声はまだ明らかにされていないが、ディズニーは本物の声優を使って音を作っており、その声は「男性の声色」になるとのことだ(ミッキーだろうか?)。

画像クレジット:Amazon/Disney

2022年以降、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの部屋に「Echo Show 5(エコー・ショー5)」が置かれ、宿泊するゲストは、それを使って「Hey, Disney」体験にアクセスできるようになる。ここでは、パークの開園時間やパークへの最短ルート、食事できる場所など、リゾートのゲストが抱きがちな特定の質問にアシスタントが答えてくれる。また、アシスタントを使って、タオルの追加やルームサービスでの食事の注文など、特定のゲストサービスのリクエストをすることもできる。お気に入りのディズニーキャラクターが、ゲストのためにパーソナライズされたメッセージを1日中流すこともできる。

Amazonは、2021年初めに発表したAlexaカスタムアシスタント技術に続き、ディズニーと共同でこの新しい音声アシスタントを開発した。このソリューションでは、機器メーカーやサービスプロバイダーが、ブランドの個性や顧客のニーズに合わせた独自のインテリジェントアシスタントを作成することができる。自動車メーカーのFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は、Alexaカスタムアシスタントの最初の顧客だったが、今回のディズニーのものは、アマゾン自身のEchoデバイス上で直接動作する最初のアシスタントとなる。このソリューションにより、ディズニーはアシスタントに独自のウェイクワード(「Hey, Disney」と特有の声、そして個性を与えることができた。また、顧客専用のインタラクション・ライブラリにつながり、それらのほどんとが「Hey, Disney」を最初に起動してからでないと利用できない仕様となっている。

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Amazonは、あるアシスタントから別のアシスタントに引き継ぐことができるようなインタラクションがいくつかあるかもしれないとも触れている。例えば、誰かが「Hey,  Disney、アラームを止めて」と言ってアラームを止めようとした場合、アラームは通常Alexaの機能であるにもかかわらず、Echoが適切に反応してくれるだろう。しかし、いくつかの簡単なユースケースを除き、ディズニー固有のインタラクションのほとんどは、ディズニー自身のアシスタントで指示する必要がある。

Alexaの導入に関する提携も、今回の両社の新契約の大きな要素の1つだ。

Amazonは2018年に「Alexa for Hospitality(アレクサ・フォ・ホスピタリティ)」というプラットフォームを発表しており、Marriot(マリオット)だけでなく、LEGOLAND Parks(レゴランド・パークス)でも採用されていた。しかし、今回のディズニーの契約は、オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの数千室を網羅するものであり、Alexa for Hospitalityの大きな一歩となる。

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Amazonによると、リゾートで提供される「Hey,  Disney」体験は、ゲストが個人のアマゾンアカウントにログインできないことや、アマゾンが室内でのインタラクションの音声記録を保存しないことから、家庭での体験とはまた異なるものになるとのことだ。しかし、家庭用の「Hey, Disney」は、Alexa上で実行される他の子ども向け機能のガイドラインに従うこととなる。つまり、まず親の同意を得る必要があり、顧客は既存のプライバシーダッシュボードやインターフェースを使って音声記録を閲覧・管理することができる。

これに関連して、Amazonは新しいEcho Show 5スマートスクリーン用の新しいディズニースタンドも発売した。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アマゾンは約9000円のエクササイズバンド「Halo View」でFitbitに対抗

Amazon(アマゾン)は、オリジナルのエクササイズバンド「Halo」を発売してから1年後、後継モデル「Halo View」を発表しました。Amazonは、まだスマートウォッチの分野に本格参入する準備ができていないようだが、今回発表されたHalo Viewは、Google(グーグル)傘下のFitbitブランドを直接狙っていることは明らかだ。

Huawei(ファーウェイ)などが独占している低価格帯のフィットネスバンドに挑戦するほどではないが、80ドル(約9000円)という価格(同社のHaloサービス1年分を含む)は、市場の中位層、特にディスプレイを搭載した製品の中では競争力があると考えられる。

画像クレジット:Amazon

Haloは、カラーAMOLEDタッチスクリーンと触覚フィードバックを搭載しており、ユーザーの活動に対してリアルタイムで反応するよう設計されている。水泳用の防水機能を備え、1週間のバッテリー駆動が可能で、90分間でフル充電することができる。内蔵されたセンサーが活動量、ワークアウトのライブトラッキング、睡眠、血中酸素濃度をモニターする。

画像クレジット:Amazon

この新しいデバイスには、さまざまなコンテンツ機能が搭載されている。Michael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)、Elena Cheung(エレナ・チャン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベスアンドリュース)氏といったトレーナーによる何百ものビデオコースを内蔵した「Halo Fitness」は、Appleの「Fitness+」に対抗するものだ。また、ユーザーがより健康的な食習慣を身につけられるように設計された「Halo Nutrition」も新たに加わっており、これらはすべてHaloソフトウェアの一部として提供される。Fitness+と同様に、デバイスで取得したリアルタイムのフィットネス指標は、Halo Fitnessワークアウト中にスクリーン上にリアルタイムで表示される。

関連記事:米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

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Halo viewは「ホリデーシーズンに間に合うように」3つのバンドカラーで発売される(別売りバンドもある)。初代Haloは、プライバシーに関する懸念を引き起こしました。Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員は「最近の報告では、Haloがこのような広範囲の個人的・私的な健康情報にアクセスすることに懸念を抱いています。一般に販売されている消費者向け健康機器の中で、Haloは前例のないレベルの個人情報を収集しているようだ」と指摘している。

関連記事:米上院議員クロブシャー氏がAmazonのフィットネストラッカーHaloについてプライバシー面の懸念を表明

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンが子供向けのインタラクティブな小型プロジェクター内蔵ビデオ通話デバイス「Amazon Glow」を発表

米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)は新しいインタラクティブデバイスのAmazon Glowを発表した。離れている大切な家族などと子どもがビデオ通話で交流できるようにしたいと考える家庭向けのデバイスだ。競合製品には同様にビデオで家族がつながることを主に狙うFacebookのPortalデバイスシリーズがあるが、Amazon Glowは画面を通じたつながり以外の機能も搭載して差別化している。テクノロジーを活用してデバイスの前にインタラクティブに操作できるプロジェクター映像を映し出し、ゲームやアート、パズルなどのバーチャルなアクティビティを楽しんで、人と対面しているような感覚を与える。

これを実現するために、Amazon Glowには没入型プロジェクション、センシング技術、ビデオが組み合わされている。市場にある他のスマートスクリーンとは異なり、Glowは小さなテレビのような外観ではない。8インチのディスプレイが縦に立っていて、ディスプレイの前にはタッチ操作に対応する19インチの空間がプロジェクターによって作られる。このプロジェクター映像の空間で、バーチャルゲームをプレイしたり、離れた場所から各自のタブレットで参加する家族とアクティビティを楽しんだりすることができる。

ゲームは、デバイスに同梱されている専用マットの上でプレイする。

画像クレジット:Amazon

Amazon Glowを使って子どもは仲の良い人とチェスやチェッカー、釣り、神経衰弱などのゲームを楽しめる。子ども向けの本を選んで一緒に読んだり、デジタルの鉛筆、クレヨン、ブラシ、スプレー缶でお絵描きをするなどの楽しみ方もある。離れている人とデジタルで遊ぶことを、まるで同じ部屋にいるかのように感じさせようとしている。

Amazon Glowで実際の物体とデジタルの遊びを組み合わせる楽しみ方もある。例えば、子どものお気に入りのおもちゃをスキャンしてデバイスの前の平面にプロジェクターで映し出し、オリジナルのジグソーパズルにすることができる。子どもはスキャンしたものの映像を叩いて壊し、パズルにする。あるいは、紙に描いた絵をスキャンし、家族の手を借りてアートワークに変えたり、スキャンした絵にデジタルで描き足したりすることもできる。

「Glow Bits」も同梱される。これはデバイスと連携して操作するように作られた実際の「物体」だ。最初のGlow Bitsキットはパズルゲームのタングラムで、子どもは実物のピースを使ってパズルを解き、離れている家族は自分のタブレットの画面でデジタルのパズルピースを使ってプレイする。

画像クレジット:Amazon

Glowの発売時には、子ども向けエンターテインメントの人気キャラクターと遊べるスペシャルアクティビティが用意される。「アナと雪の女王」のアナとエルサ、ディズニー&ピクサーの「トイストーリー」のウッディとバズ、マテルの「バービー」や「ホットウィール」、ニコロデオンの「スポンジ・ボブ」や「ドーラといっしょに大冒険」「セサミストリート」のエルモやゾーイなどが登場する予定だ。

Amazon Glowは離れている人ともっと親しくつながっていたい家庭を主なターゲットにしている。親のどちらかが頻繁に出張したり、祖父母が離れて暮らしていたりする家庭で使われることになるだろう。コロナ禍で感染防止のために家で長い時間を過ごす時期であることからも有用と思われる。

Amazon Glowで子どもが任意の相手と通話をすることはできない。保護者が最初に、子どもが通話できる連絡先をあらかじめ承認してAmazon Glowを設定する。このようにして保護者はデバイスの通話先を家族や信頼できる友人だけに制限できる。そして保護者はいつでもデバイスに備え付けられている物理的なプライバシーシャッターを閉じてカメラやマイクを無効にできる。

また、Amazon GlowはAlexaデバイスではないため、音声やビデオの記録が収集されることはない。位置情報データや描いたものを追跡したり保存したりすることもない。

ただしAmazonはプロフィールの設定やアクティビティの履歴を保存し、Glowに付属するAmazon Kids+サブスクリプションで利用できる関連性の高いアクティビティやコンテンツを紹介する。

画像クレジット:Amazon

デバイスの価格は299.99ドル(約3万3000円)だが、早期アクセス期間は249.99ドル(約2万8000円)で提供される。マット、マットケース、タングラムのBitsの他、1年間のAmazon Kids+サブスクリプションが付属する(Amazon Kids+は子ども向けの本、映画、テレビ番組、教育アプリ、ゲーム、そしてAlexaの子ども向けプレミアムスキルを無制限で利用できる有料サービス)。

Amazon Glowはまだ販売が広く開始されているわけではない。

購入希望者は、www.amazon.com/glowで早期アクセスプログラムへの参加をリクエストする必要がある。Amazonは、最初のデバイスは米国の顧客に数週間以内に発送されるとしている。

開発者は2022年前半に公開される予定のSDKへのアクセスを申し込むことができる。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

スイッチサイエンスがConta規格対応の2軸加速度センサーと3軸振動センサーを発売

スイッチサイエンスがConta規格対応の2軸加速度センサーと3軸振動センサーを発売

スイッチサイエンスは9月28日、Conta規格に対応する2つのセンサーボード、「Conta産業用2軸デジタル加速度センサ IIS2ICLX 搭載」と「Conta産業用3軸デジタル振動センサ IIS3DWB搭載」の発売を同社ウェブショップにて開始した。

Conta規格とは、ブレークアウト基板同士の接続性を確保するために、フォームファクターやピン配列などの規約をまとめたもの。スイッチサイエンスが規定した。今回発売されたセンサーボードは、STマイクロエレクトロニクスの2軸加速度センサー「IIS2ICLX」を搭載し高精度の傾きセンサーなどが作れる産業用2軸デジタル加速度センサーと、3軸デジタル振動センサー「IIS3DW」を搭載した産業用3軸デジタル振動センサー。

「Conta産業用2軸デジタル加速度センサ IIS2ICLX 搭載」の概要

  • 2軸加速度センサー「IIS2ICLX」搭載
  • 入出力はI2Cバスインターフェース
  • 割り込み出力端子あり
  • I2Cスレーブアドレスは「6Ah」(7ビット表記)。ジャンパSJ1をカットして3.3V側につなげば「6Bh」にもなる
  • 動作電圧:1.71V~3.6V
  • 基板外形:2cm×2cm
  • ピンヘッダー搭載
  • 価格:6380円(税込)

IIS2ICLXの特徴

  • 2軸リニア加速度センサー
  • 選択可能な最大測定範囲:±0.5 / ±1 / ±2 / ±3g
  • 超低ノイズ密度:15µg/√Hz
  • 温度に対する優れた安定性(<0.075mg/℃)と再現性
  • 内蔵の補正機能により温度に対する高い安定性を実現
  • I2C / SPIデジタル出力インターフェース
  • 低消費電力:0.42mA
  • 外部センサーからデータを効率的に収集するセンサー・ハブ機能
  • 最大3KBのスマート組込みFIFO
  • プログラム可能なハイパスおよびローパス・デジタル・フィルター
  • AIアルゴリズムを集積し、システム・レベルで消費電力を低減するプログラム可能な機械学習コア
  • 加速度センサーと1つの外部センサーから得たデータを処理するプログラム可能なステート・マシン
  • 幅広い動作温度範囲:-40℃~+105℃
  • 温度センサー内蔵
  • 電源電圧:1.71V~3.6V

「Conta産業用 3軸デジタル振動センサ IIS3DWB 搭載」の概要

  • 3軸デジタル振動センサー「IIS3DWB」搭載
  • 入出力はSPI
  • INT1とINT2の2つの割り込み端子を基板上に用意
  • 動作電圧:2.1V~3.6V
  • 基板外形:2cm×2cm
  • ピンヘッダー搭載
  • 価格:3960円(税込)

IIS3DWBの特徴

  • 3軸デジタル振動センサー
  • 選択可能な最大測定範囲:±2g / ±4g / ±8g / ±16g
  • 超広帯域 / フラットな周波数特性:DC~ 6kHz(±3dBポイント)
  • 超低ノイズ密度:3軸モードで最小75µg/√Hz / 1軸モードで60µg/√Hz
  • 温度および機械的衝撃に対する感度の高い安定性
  • 広い動作温度範囲:-40℃~+105℃
  • 低消費電力:1.1mA
  • SPIシリアル・インターフェース
  • 選択可能なカットオフ周波数を備えたローパス / ハイパス・フィルター
  • ウェイクアップの割込み / アクティブ – 非アクティブ / FIFOしきい値
  • 組込みFIFO:3KB
  • 温度センサー搭載
  • 電源電圧範囲:2.1V~3.6V
  • 小型パッケージ:LGA 2.5×3×0.83mm 14リード

アマゾンの最新「Echo Show」は15インチの壁掛け型スマートピクチャーフレーム

Amazon(アマゾン)は先ほど、最新かつ最大の、Echo Showファミリーメンバーのベールを剥いだ。Echo Show 15は同社のスマートスクリーン技術を生かし、15.6インチ、1080pのディスプレイを壁に掛け、巨大デジタルピクチャーフレームとの二役を担わせる。

250ドル(約2万7900円)の新デバイスは、すでにEcho Show 5とEcho Show 8、さらには部屋にいる人に合わせて首を振る画面で一部の不評を買ったEcho Show 10(同じく価格は250ドル)が揃っている商品ラインへの間違いなく斬新な追加アプローチだ。新しいデバイスは、顔認識を利用して個人を認識しカスタマイズされたコンテンツを提案する新機能、Visual ID(ビジュアルID)の追加によってレベルアップを図っている。

画像クレジット:Amazon

新しい体験は、Alexa(アレクサ)ホームエコシステムのコントロールパネルのような役割を果たすカスタマイズ可能なホーム画面を中心につくられている。機能は主にカスタマイズ可能なウィジェットを通じて実現されていて、カレンダーイベント、ToDoリスト、レシピなどを追加できる。デジタルホワイトボートか冷蔵庫に貼られたマグネットのようでもある。他に、防犯カメラや玄関インターホンの映像を1つのウィジェットで見られるスマートホームコントロールもある。

Echo Show 15の明確な強みの1つは画面の広さだ。これはさまざまな情報を同時に見られることを意味していて、タイリング効果やピクチャーインピクチャーなどを使って、玄関ベルが鳴った時など特別な状況下でビデオを表示できる。実際これは、Samsung(サムスン)のスマート冷蔵庫の扉で見るような夢の機能を、何千ドルも払うことなく実現していると言えるかもしれない。

これ以外にもこのデバイスは、現在Echo Showに期待することはおよそ何でもこなし、実質的に大きなキッチンテレビとして機能する。たとえばPrime Video(プライムビデオ)、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、Sling TV(スリングTV)などのストリーミングが可能だ。最後のSling TVはTikTok(ティックトック)のコンテンツとともに近日提供される予定で、好きな人は15.6インチの画面で見られるようになる。

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1080pのスクリーンの左右にはサイドファイアリング方式スピーカーが付いている。短いビデオクリップには十分だろうが、ストリーミング・ミュージックや映画、テレビなどを長い時間鑑賞するつもりなら別のEchoかBluetoothスピーカーとつなぎたくなるだろう。

カメラは大きめのベゼル(額縁用語にこだわるなら「マット」)に組み込まれている。この場合、白い縁取りが右上隅にある5メガピクセルカメラの存在を際立たせているのは良いことだ。隠しカメラのような存在は、間違いなくプライバシー問題の元になるが、少なくともここでは鮮やかな15.6インチ画面の横に白い背景にくっきりと黒い円形が見えている。、

画像クレジット:Amazon

デバイスはビデオチャットにも使用可能なので、Alexa for Businessを職場へのハードウェア進出手段として推進しているAmazonにとって、いずれ興味深い提案商品になるだろう。予算が厳しくたくさんの会議室のある会社向けの(比較的)低価格なリモート会議デバイスとして、この商品が使われることが想像できる。使っていないときには天気予報や社内イベント、会議室予約などをカレンダーに表示することもできる。Amazonが本格的にIT部門に売り込むことになれば興味深い。

カメラをふさぐ物理的遮断ボタンがついているらしい(未確認)。しかし私ならAirbnbで泊まった部屋にこれが掛けられていたら、コンセントを抜いて裏返しておくだろう。もちろん私はEcho Show 10の顔追跡機能を特に気味悪がった1人なので、そう思って読んでいただきたい。2020年、Amazonがその機能を発表したとき、顔の細かい特徴は追跡に使っていないとすかさず指摘していた。

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ここでもAmazonは、Visual IDを利用するにはユーザーがオプトインして自分の顔を登録必要があることを強調した。ユーザーは、気が変わったら、自分のプロフィールをデバイス上でもAlexaアプリからでも削除できる。この機能はカメラを内蔵した同社のさまざまなShow製品全体に今後搭載されていくと私は予想している。ディスプレイはAmazonが最近発表したクアッドコアAZ2チップ(2020年のAZ1の後継)とオンボードのニューラルプロセッサーが駆動する。このカスタムビルトインチップはほとんどの処理をボード上で実行するので、Visual IDのデータをクラウドに送ることはない。しかしながらAmazonの顔認識にまつわる過去の経緯を踏まえると、この機能がプライバシー擁護派の間で懸念を呼ぶことはまず間違いない。

関連記事:アマゾンが顔認識技術を地方警察には1年間提供しないと表明、FBIへの提供についてはノーコメント

Show 15は2021年初めにベータ版が公開されたSound Detection(音声検知)機能の改訂版を搭載している。当初この機能は、ガラスの割れる音や赤ん坊の鳴き声などの決められた音を検知し、その時点でアカウント所有者に警告を送るように作られていた。新たに追加されたCustom Sounds(カスタム・サウンド)は、デバイスに音を聞かせることで実質的にシステムを訓練することができる。

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Echo Show 15の価格は250ドルで、2021年中に発売される。実際に商品を近くで見ていないので製造品質について語ることはできないが、この価格からは、単なるデジタルフォトフレームのスケールアップ版以上のものを期待したい。壁に掛けたりカウンターやテーブルの上に常時置かれるものなのでなおさらだ。この商品は、多かれ少なかれ背景に溶け込むようにデザインされていた初期のスマートスピーカーに対する事実上のアンチテーゼだ。カウンタートップスタンドとキャビネットマウントも用意されているが別売りだ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook