高勝率のトレーダーを”マネ”して自動で取引、仮想通貨取引の「マネコ」が1億円調達

仮想通貨のフォロートレードサービス「マネコ」を運営するGaiaは4月16日、NOW、リミックスポイント、名称非公開の上場企業1社、複数の個人投資家から総額1億円を調達したと発表した。

フォロートレードとは、みずから取引をするのではなく、勝率の高いトレーダーと同じ注文を”まね”することができるサービスだ。利用は簡単で、ランキングで過去の利益額などを参考に理想のトレーダーを探し、投資金額などを設定すればいい。あとは、そのトレーダーが出した注文通りに自動的にトレードが行われる。自分で取引のタイミングを考えたりする必要がないため、「とりあえず仮想通貨に触れてみたい」という初心者には適したサービスなのかもしれない。

Gaiaは同サービスを2018年12月にリリース。2019年3月までに仮想通貨取引所のLiquidとBitMEXに対応している。同社は今回調達した資金を利用して、アライアンスの強化、中長期的な人材強化、海外展開や他の金融商品への展開を進めるとしている。

ブロックチェーンでアート市場を変えるスタートバーンが3.1億円を調達、元Anypay CEOの大野氏が取締役に

ブロックチェーンを活用すれば、長年自分が模索してきたアートの民主化を実現できるかもしれない——。自身も美術家として活動を続けてきた施井泰平氏が代表を務めるスタートバーンの「アートブロックチェーンネットワーク」構想を紹介したのは、2018年7月のこと。

あれから約8ヶ月、同社が次の段階に向けて新たな一歩を踏み出すようだ。スタートバーンは3月19日、UTEC、SXキャピタル、電通、元クリスティーズジャパン代表の片山龍太郎氏を引受先とした第三者割当増資により、3億1000万円を調達したことを明らかにした。

また同社は3月1日付で元AnyPay CEOの大野紗和子氏が取締役COOに、片山氏が社外取締役に就任したことも発表している。

今回調達した資金を活用してブロックチェーンネットワークや接続ASPの開発を加速させつつ、事業提携・共同事業を含めた国内外のビジネス展開や組織体制の強化を進める計画だ。

サービス横断で作品の来歴・流通をマネジメント

スタートバーンが現在開発するアートブロックチェーンネットワークは、世界中のアートサービスをつなぐ“インフラ”の役割を果たすものだ。

ここで核となるのは、ブロックチェーンの非改ざん性・相互運用性を活用した「証明書」を発行できること。この証明書には売買の履歴に加えて、美術館での展示、貸し出し、鑑定など作品の評価と信頼性に関わる様々な履歴が連続的に記録されていく。

それも特定のサービスだけではなく、ネットワークに参加する全サービスを横断して「各作品がどのような道のりを歩んできたのか」、その来歴を自動的に記録し、参加者が閲覧できる環境を整えるという試みだ。

前回も紹介した通り、アート業界では「これまでに誰が所有してきたのか、どこで展示されてきたのか」が作品の価値にも大きな影響を及ぼすため、来歴情報をトレースできることは非常に価値が高い。加えて、作品の足取りや今の在り処がわかることは、各プレイヤーにとって別のメリットもある。

「アーティストやマネジメント層の場合、いざカタログを作ったり展示会をやろうと思った際に自分の作品を誰が保有しているのか把握できず、苦労するということがよくある。またセカンダリーのオークションハウスでは、偽物を売ることが1番のリスクとなるからこそ、来歴の調査にものすごく神経を使っている」(施井氏)

これまではアート作品の証明書に関する共通のフォーマットやルールが存在しなかった。その観点では「電子化された、同じフォーマットの証明書」をブロックチェーン上で簡単に発行できるだけでも意味のあることだが、そこに来歴が自動的に記述される仕組みも紐づいているのがアートブロックチェーンネットワークの特徴だと言えるだろう。

施井氏はこのネットワークをあらゆるステークホルダーが使えるものにしたいと考えていて、Eコマースやオークションサイトだけでなく、保険、真贋鑑定、融資サービスなど様々なプレイヤーと連携していくことを目指しているという。

還元金の仕組みもアップデート、数社との提携も決定

上述したように「サービスをまたいで来歴を追える」ようになれば、アート作品の流通手段やアーティストの収益構造にも新しい可能性が生まれる。

たとえば二次販売、三次販売とユーザー間で作品が売買される度に、作品を生み出したアーティストに還元金が支払われる仕組みを作ることも可能だ。

そもそもスタートバーンは2014年3月に施井氏が「アートの民主化」を目的に創業したスタートアップだ。

既存の仕組みでは、マーケットに流通するアーティストになれるのはほんの一握りの人たちのみ。その状況を改善するには、作品の価格決定の仕組みから変える必要がある。そう考えた施井氏は2015年に「Startbahn.org」を立ち上げた。

アート特化のSNSとオークションを組み合わせたようなこのプロダクトの特徴は、サービス上で作品の来歴が記録され、ユーザー間で作品が売買されるごとに作者へ還元金が支払われること。このサイクルが回れば、初期の販売価格を抑えながら、最終的に相応の対価を受け取れるチャンスが生まれる。

ただ当時のStartbahn.orgには大きな穴があった。外部のサービスで作品を売買されてしまった場合、来歴をトレースできたいため還元金も発生しなくなってしまうのだ。

なんとかその状況を打破できないか。いろいろと試行錯誤をしていた時に施井氏が出会った技術こそがブロックチェーンだった。そこから約2年に渡ってアイデアをブラッシュアップした結果、今のブロックチェーンネットワーク構想と、このネットワークに参加する1サービスとして新生Startbahn.orgのアイデアが生まれることになる。

7月に話を聞いた際は全ての作品において還元金が発生する仕組みを考えていたようだったけれど、還元金の存在が二次流通を阻害する要因になると考える人もいるため、アーティストや各サービスがスマートコントラクトによりルールをカスタマイズできる仕様へとアップデートしたという。

たとえば証明書を発行する際にアーティストが「還元金が発生する場所でのみ販売できる」というルールを設定しておけば、この作品は「売買時に還元金が発生する」と規定されたサービス上でのみ流通することができ、常に還元金が生まれるようになる。

同じように「この作品は3年間、日本の販売所でのみ売ることができる」「アート保険に入っていない作品はこの展示場に出せない」など、アーティストやサービス提供者が、自分たちの意思を込めて流通の仕方をコントロールすることも可能だ。

「(昨年7月の)シード調達は、自分たちの構想が実際に形にできるのか、そこに賛同してくれる企業がどれだけいるのかを試すためのものでもあった。結果的には各方面の企業とディスカッションする機会に恵まれ、新しい可能性に気づいたり、アイデアをよりブラッシュアップすることができた」(施井氏)

昨年9月にはあくまでテストネット上ではあるが、アートブロックチェーンネットワークを公開。11月には同ネットワーク上でサービス展開を予定する丹青社など5社との提携も発表した。

金融以外のブロックチェーンのユースケースへ

スタートバーンのメンバー。前列の右から4人目が代表取締役CEOの施井泰平氏、その左隣が取締役COOに就任した大野紗和子氏

業界内外の企業と連携を深めながら、構想をアップデートし続けてきた中で迎えた今回の調達。夏頃にはブロックチェーンネットワークのメインネット公開も予定しているが、これからは一層社会へのインパクトを追求するフェーズになっていくという。

その上ではボストン・コンサルティング・グループやGoogleを経て、前職のAnyPayで取締役COO、代表取締役CEOとして決済やブロックチェーン事業の立ち上げに携わった大野氏。そして産業再生機構で執行役員を務めるなど、ビジネス経験豊富な片山氏の参画は非常に心強いだろう。

特に大野氏はスタートバーンの新たな取締役COOとして、事業連携や海外展開、アートブロックチェーンネットワークの社会実装をリードしていく役割を担うことになる。

「これからの時代『オンラインで完結するものから一歩外に出て、リアルなものや場所とテクノロジーを絡めないと新しいものが生まれづらいのでは』という考えがあった。(その点、実世界と交わるアート領域には興味を持ったことに加え)スタートバーンはブロックチェーンありきではなく、アート市場に対する課題意識から始まった会社。いかにアーティストへ収益を還元するか、来歴管理の仕組みを作るか考えた結果、ブロックチェーンと相性が良かったのでアートと融合させようというアプローチが面白いと感じた」(大野氏)

「土地の登記のように最終的に国のデータベースに届け出が必要な領域の場合、それを代替するのは法律や市場のハードルもあって難しい。一方でアートは来歴管理のニーズが高いにも関わらず、明確に定められたルールやデータベースがない。非常に珍しい領域であり、金融に次ぐブロックチェーンのユースケースになる可能性も秘めている」(大野氏)

もちろん本格的に社会へと普及させていくためには、乗り越えなければならない壁もまだまだ多いという。例えばアート作品の場合、仮想通貨などと違ってブロックチェーンの外にある情報をインプットさせる必要があり、その際に間違った情報が登録されてしまう恐れもある。いわゆるオラクルの問題だ。

これについては今のところ「後から編集できるようにしておいた上で、編集した場合は必ず履歴が残る仕様を検討している」(施井氏)そう。オラクルの問題ひとつとっても、様々な業界で課題となるポイントなので、アートという切り口からその最適解を追求していきたいというのが2人に共通する考えのようだ。

今後スタートバーンでは幅広いアート関連サービスとの連携を進めるほか、従来のアート流通における活用に加えてデジタルコンテンツの流通や販売管理、美術品のレンタルビジネス、高級ブランドの二次流通管理、美術品の分散所有など、各種事業との連携も見据えていく計画。

日本発のアートブロックチェーンネットワークがこれからどのように社会と交わっていくのか、今後の展開に注目だ。

すべてのブロックチェーンのハブとなることを狙うCosmos

先週Cosmos Networkがローンチしたが、私はこれが重要な出来事だと信じている。そう、それは確かにブロックチェーンへの取り組みだ。だが単なる新しいブロックチェーンではない。もし私が正しければ、その影響はいつか読者にもおよぶだろう。だが、あまりにも先端的な話なのでその影響が及ぶのには10年ほどもかかるだろう。もしくはTechCrunch読者のような先進ユーザーには5年ほどで。

(わかっている、これは随分と大胆な発言だ。だが自分を振り返ってみると、私はこの手の話には結構強いのだ。最後に私が書いたブロックチェーンのローンチは、Ethereumに関してだった。おそらくその後、読者も耳にしてきたことだろう。そして当時それをとりあえた非専門のコメンテーター/ジャーナリストは私だけだったのだ)。

今回のローンチは難解で、極めて技術的な成果であり、現在のところそれはブロックチェーンを、より良く中央集権ではない、より公平な未来への道だと崇拝している、小さく奇妙なサブカルチャーの中心で既に生きている人たちにとってのみ重要なものである(そういう人たちと、暗号通貨を主に素早く裕福になるための機会と見なしている、はるかに多数のその他大勢と混同しないように。乱暴なくくり方で失礼)。しかし、これは非常に印象的な技術的偉業であり、最終的にはより多くの人たちにとって重要になる、さまざまな可能を秘めている。

Cosmosは自分自身を「ブロックチェーンのインターネット」と呼んでいる。だがそれだけではない。同じくらい重要なことは、これが初の大規模分散型Proof-of-Stakeネットワークの立ち上げだということだ(いや、EOSは考慮されない(1)(2))このモデルでは、ブロックチェーンの検証は、ギガワット単位の電力を注ぎ込むことで困難な計算問題を解決する「マイナー」(採掘者)によって行われるのではなく、購入した(あるいは委任された)暗号通貨を「賭ける」(stake)「バリデーター」によって行われる。

その名前からわかるように、バリデーターたちは、ブロックチェーン上のトランザクションが有効であることを認証(バリデート)する。かれらは誠実で正確な場合には報酬を得られることを知っている。しかしもし彼らが不誠実だった場合、もしくはエラー、もしくはオフラインのときには、彼らの賭け金は「切り捨てられる」(slashed)。すなわちそのお金は失われてしまうのだ(現時点では100人のバリデーターがいるが、この数は3倍になる予定だ)。理論的上は、不誠実なバリデーターたちが共謀したとしても、少なくとも全バリデーターの3分の2が正直者である限り、ブロックチェーンは安全なままであることが示されている。

これは非常に重要なことである。なぜならProof-of-Stakeの高い効率性と速度は、Bitcoinや(現在の)Ethereumが採用しているようなProof-of-Workよりも、比べ物にならない環境に優しく、多くの動作を支援する、分散型システムへの道を切り拓くからだ。もしProof-of-Stakeがこの過酷で残酷な実世界で成功したとすれば ―― それはもちろん、かなり厳しい「もし」である。その実装は複雑だし、Proof-of-Workに比べて社会的にも技術的にも遥かに大きな攻撃側面を持っている。ブロックチェーンはついに現実的なスケールとなることができるだろう。世界の電力のバカにならない消費を行うことなく、許容可能なセキュリティも実現できる。

だが、Cosmosの野望はもっと先に進む。Cosmosは、単なるもう一つのブロックチェーンとしては意図されていないのだ。私たちは既に十分過ぎる種類のブロックチェーンをを持っている。それは他のブロックチェーン同士を互いに接続するハブとしての利用が意図されている ―― なので「ブロックチェーンのインターネット」なのだ。さらに、ソフトウェアエンジニアなら誰でも、まったく新しいカスタムデザインのブロックチェーンを(理論的には)容易に構築できるツールを提供する。これは次々に、任意の数の他者との相互運用を可能にする。

なぜこれが大切なのだろう?なぜなら、もしブロックチェーンが暗号通貨の用途を超えて大切なものになるのなら、例えば名前空間やファイルストレージ、デジタルグッズ、サプライチェーン、自主的アイデンティティ、そして分散型ソーシャルメディアなどのアプリケーションに使用される場合や、望ましい分散型アプリの通常の機能を考えたときに、そうしたアプリが互いに対話できれば、大きな利便性を得ることができるからだ。

今でもある程度までは、それは既に可能である。例えばBitcoinをZcashと1回の不可分なトランザクションで交換する「アトミックスワップ」を実行することができる。しかし、この種の相互運用性は困難であり、(それが何であれ)ホストチェーン側の都合によって制限される。Cosmosは説得力のある代替ビジョンを提供する。すべての分散型アプリケーションが実行される、単一の「ワールドコンピューター」を想定する代わりに、アプリケーションごとに1つのブロックチェーンを用意する。それらのブロックチェーンは合意された複数の「ハブ」を介して互いに対話し、資産やデジタルグッズ、データ、そして暗号通貨などを互いに送信し合うのだ。

今週ローンチされたのは、そうしたハブの最初のものとなるCosmos Hubである。原則として将来的には、誰でもハブを運営することができる(Cosmosのビジョンの多くはまだ「原則として将来的には」の状態にとどまっている)。現時点では、接続された他のブロックチェーンは存在していない、原則として将来的には、Cosmosのバリデーターたちはそうした他のブロックチェーンたちと相互運用開始するかどうかの投票を行うだろう(Cosmosには、ブロックチェーン業界用語である「ガバナンス」(すなわち「チェーン上の投票」)もあらかじめ組み込まれている)。

とはいえ、ハブを介して接続できるのは、特定の種類のブロックチェーン、つまりCosmos自身に似たアーキテクチャを持つ ―― つまり正確に言えば「高速な決済速度」を持つ ―― ブロックチェーンだけだ。原則として将来的には、Bitcoin、Ethereum、ZCashなどの他のブロックチェーン用にアダプタを開発することができる。このことによってほぼ間違いなくCosmosはBitcoinの「サイドチェーン」の1つになるだろう。そして/あるいは(まだ大きな支持を集められていない)ライトニングネットワークの競合相手/協力相手になるだろう。

私の口調が疑いに満ちているように響くって?まあ、いつも以上に疑ってはいないと思う。私はベイパーウェアがソフトウェアになる前の発言に対して慎重になっているだけだ。しかし、先週ローンチされたCosmos Hubは、前者ではなく後者だと思われる。実際の世界的に対する最終的な重要性について私が間違っていたとしても、それは大きくて重要な技術的成果であることには変わりない。チームに対して称賛と祝福を。投資家や投機家たちにとっては、一見暗号の冬が永遠に続くように見えているかもしれない。だが技術者にとっては、Cosmosのローンチは春の訪れを告げる力強い兆候なのだ。

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(翻訳:sako)

ドローンの飛行データをブロックチェーンに保存するサービス「Red Cat」

Red Catはドローンの飛行データをブロックチェーンに保存して不変性を保証しようとしているスタートアップだ。米国時間3月6日、ドローンデータ・プラットフォームの第2ベータテストを発表した。

2017年にRed CatのCEOのJeff Thompson氏は、商用ドローンビジネスの普及を妨げているものは何かと探ったところ、ブラックボックスのようなシステムが必要であると認識した。いわゆるブラックボックスとは飛行機のフライトに関するデータを追跡するフライトレコーダーのことだ。彼はブラックボックスの機能をドローンで再現するためのプラットフォームを作り、ブロックチェーンの不変性という特長を生かしてそこにデータを保存すればよいと確信した。

「事故の責任を持ち追跡できる能力を必要とする人々はわれわれの情報を活用できる。規制当局であれ保険会社であれ、大きな損害を与えたときに小切手を書かなくてはならない人々だ」とThompson氏はTechCrunchに話した。

このツールは、墜落や飛行機とのニアミス、あるいは昨年ロンドンの ガトウィック空港閉鎖を引き起こしたドローンのような事故があったときの関係者に役立つはずだ。利用者はRed Catの記録を調べることで、見ているデータが正確でいかなる改ざんも受けていないことを確信できる。

Flight logs in Red Cat / Screenshot: Red Cat

この業界が成熟して他の商業航空交通と空域を共有していくためには、このようなシステムが不可欠だとThompson氏は信じている。しかし同社はデータ追跡システムを作るだけでは満足していない。ドローンがさまざまな目的地を訪れたとき、この先何が起こるのかを知るための詳細な洞察をドローン会社に提供したいと考えている。

最終目標は、企業がドローンの飛行を制御、監視しどのように利用されているかを理解できるようにすることだ。現在同社はこのすべてを改善し続けているところだ。今回のベータは2度目で、第1ベータは200人が利用した。第2ベータの目的はドローンコミュニティーからさらにフィードバックをもらうことであり、ドローン会社、パイロット、規制当局、保険会社などRed Catに保存されたデータを利用することの恩恵を受けられる人たちが対象だ。

Red Catはプエルトリコに拠点があり、これまでに220万ドルを調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tide Foundationはブロックチェーンで消費者に個人データの完全なコントロール手段を与える

大規模なデータ漏洩や、企業が消費者の許可なく第三者と高度な個人情報を共有しているといった話は、繰り返し耳にするようになっているようだ。Tide Foundationはその状況を変えたいと思っている。彼らの手法は、消費者に個人毎のの暗号化キーを与えることで、ブロックチェーン上の個人データに対して消費者自身が完全なコントロールを行えるようにするというものだ。

さらに米国時間3月5日に発表された声明によれば、スタートアップはそのコンセプトを一歩進めて、ユーザーが自身の個人情報を、オープンマーケット上で売ることができるようにしようとしている。

Tideの共同創業者であるIssac Elnekave氏は、TechCrunchに対して「全体構想は、消費者があるビジネスと関わって個人特定情報を提供しようとする場合に、Tideプロトコルがその情報を暗号化し、消費者に対してそれを復号化できる個人用の唯一のキーを提供するというものです」と語った。

データを完全にコントロールしているため、消費者が最初に許可を与えない限り、企業は情報を第三者に転送することはできない。マーケットプレイスは、データを必要とする企業、そのデータを管理するベンダー、そして最終的にデータを所有している消費者が、そのデータにアクセスするための公正なマーケットバリューについて交渉する手段を提供する。さらに、データを購入する側の企業は、消費者に関する完全な知識と共に提供される、はるかに価値があり正確な情報を入手できることを理解している。

EquifaxMarriottのような、大規模なデータ漏洩が発生した場合に、もし顧客がTideプロトコルを使っていたならば、ハッカーは手に入れたデータベースの中の個人情報を利用することはできない。なぜなら消費者自身がその情報を復号化するキーをコントロールしているため、データそのものがデータ泥棒にとって無意味なものとなるからだ。

技術的には、このプロトコルは一種の標準的ビジネスブロックチェーンスタイルで機能する。「Tideプロトコルは、事業者(ベンダー)が保管している暗号化された消費者データへの、許可されたアクセスを管理するために、分岐したEOSノード、スマートコントラクト、そして追加の独自分散レイヤーを使用しています」と同社は声明の中で説明している。

暗号化キーを管理する、消費者側に関しては、プロセスが誰の手にも届くように、キーの管理プロセスをシンプルなものにする特許取得済の技術を開発したと、同社は語っている。なおその技術は、彼らが“Grandpa Test”(おじいちゃんテスト)と呼ぶものに合格したものだという。

「私たちは、ブロックチェーンがウェブ上に広く普及するユーザー体験となるように、階層的で分散した手段を開発したのです」と説明するのはもう1人の共同創業者であるYuval Hertzog氏である。彼は、そのアイデアは非常に複雑なものを単純化して、キーの管理を典型的なウェブ操作にすることだと語った。

Elnekave氏は、同社は昨年施行されたEUの厳格なプライバシー規制である(忘却される権利も含む)GDPRに準拠する方法も提供できると語った。このプロトコルは消費者に対して暗号化キーへの完全なコントロールを与えるので、ユーザーは単に事業者へのアクセス権の付与をやめるだけでよく、基本的には暗号化キーを捨ててアクセスをブロックするだけだ、と彼は説明した。

Tideは3年前にオーストラリアのシドニーで創業し、2年前にそのブロックチェーンに基くデータプライバシーソリューションの基盤となるTideプロトコルを開発した。現在13人の従業員がいる。同社は昨年の11月にシードラウンドで200万ドルを調達した。

同スタートアップは、データの所有権は基本的人権であるべきだと信じている。これはTideと似たようなツールセットを提供し、医療情報に焦点を当てたスタートアップであるHu-manity.coと同様のスタイルである。

Hu-manity wants to create a health data marketplace with help from blockchain

画像クレジット: Yuichiro Chino / Getty Images

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(翻訳:sako)

米国で求人の多いプログラミングの仕事と言語、ブロックチェーンとGo言語

プログラマーとして高給で需要の多い仕事を探している人、手を上げて。求職求人サービスHired調査によると、今ならブロックチェーンのアプリケーションの書き方を勉強すべきだそうだ。

Hiredに登録している10万名近くのデベロッパー対して、今最も需要の高い仕事や、求人の最も多いプログラミング言語、そしてロンドンやニューヨーク、パリ、そしてサンフランシスコなど大都市のテクノロジー求人市場における、平均給与のもっとも高いキャリアを調べた。

そして同社によると、その結果はあなたにとって意外かもしれない。

いや、むしろ意外ではないかもしれない。Hiredのデータによると、業界全体として今はブロックチェーンのエンジニアとセキュリティのエンジニアの需要がもっとも増えている。ブロックチェーンの経験のあるプログラマーの求人は、2018年になんと前年比で517%も増えた(ほぼ6倍)。セキュリティエンジニアの求人は同じ期間に132%増えている(ほぼ2.3倍)。

すべての国や地域で、最も高給の職種はセキュリティエンジニア、検索エンジニア、ブロックチェーンエンジニア、自然言語処理エンジニア、機械学習エンジニア、そしてゲーミングエンジニアの計6種だ。

下図は、サンフランシスコの例だ。

これらのデータについて、HiredのMehul Patel CEOがブログにこう書いている。「ニューヨークとサンフランシスコとトロントでは、ブロックチェーンエンジニアが高給のトップスリーに入っている。今の主なテクノロジーハブ都市におけるソフトウェアエンジニアの給与をよく見ると、必要とされている人材は都市によってかなり異なる。たとえばゲーミングエンジニアはニューヨークでは給与が最高だが、自然言語処理エンジニアの給与はトロントで急騰している」。

しかしこの調査によると、ブロックチェーンのスキルはデベロッパーたちの心を今一番多く占めているスキルではない。「いちばん勉強したいのはブロックチェーンの技術」と答えたデベロッパーは全体の12%にすぎない。なお、いちいち断らないが、これらの数字はすべて、今回のHiredの調査の結果である。

このような、実態と需要の乖離は、需要のもっとも多いプログラミング言語と、最も多くのデベロッパーがプログラミング経験のある言語との違いにも、表れている。

すなわち、最も需要が多いのはGo言語を知っている求職者だ。しかし、今実際に主にGo言語で仕事をしているデベロッパーは7%にすぎない。

Goに次いで求人側で高く評価されているScala、Ruby、Typescript、そしてKotlin(下図)も、デベロッパーのコミュニティでは普及率が低い。Goは全世界的に、求人側が最も関心を示している言語だが、サンフランシスコとトロントではTypescriptの経験者の需要が多い。

画像クレジット: maciek905

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

大日本印刷が出資、ブロックチェーン活用によるデジタル作品の売買技術を持つBlockPunk

大日本印刷は2月19日、シンガポールを拠点とするスタートアップ「BlockPunk」(ブロックパンク)と戦略パートナーとしての提携を発表した。シンガポール拠点のシードステージベンチャーである「SeedPlus」(シードプラス)が主体となり、BlockPunkに130万シンガポールドル(約1億円)を投資。大日本印刷は、SGInnovate, Hustle Fund、Entrepreneur Firstともに、このラウンドに加わる。

BlockPunkは、デジタル作品をオンラインで売買できるプラットフォームを開発。改ざんが事実上不可能なブロックチェーンを使用することで、作品の希少性、真贋性を保証し、二次販売を可能にするという。同社は、Netflixでアニメ部門を統括していたJulian Lai-Hung(ジュリアン・ライハン)氏と、イエール大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得後、Linkedinでプロダクトマネージャーを勤めていたJatin Shah(ジャティン・シャー)氏の2人が創業した。

大日本印刷はプレスリリースで「日本政府はブロックチェーンをクリエイターの権利を保護するための重要な技術だと認識しており、日本のアニメやアート、エンターテイメント業界に適用するために、BlockPunkと協力していくことを楽しみにしています」とコメントしている。

容易にコピーできてしまうため、写真はもちろん、アニメやイラストなどデジタル作品の著作権保護は非常に難しい。自分が撮影した写真や描いたイラストが無断コピーされ、いつのまにか第三者が販売している、フリー素材として拡散しているという問題は後を絶たない。日本の最大手印刷会社である大日本印刷がBlockPunkの戦略パートナーとなることによって、電子書籍を含むデジタル作品の強固な著作権保護の仕組みが早急に構築されることを期待したい。

博報堂ら、Dappsのキャラなどをラジオ放送中に配布する「TokenCastRadio」の実証へ

博報堂は2月6日、テレビやラジオ番組などの放送中にトークンで実装されたアイテムを視聴者だけに一斉配布できるメディアサービスを開発したことを明らかにした。開発したのは同社発足のHAKUHODO Blockchain Initiative。サービス名は「TokenCastMedia」だ。

TokenCastMediaは、デジタルアセットの所有権を安全かつ迅速に移転できるブロックチェーン技術の特徴を応用。トークンとして実装されたデジタルアセットの情報を埋め込んだ透かし音を放送する。専用のスマホアプリで検出することで、リアルタイムで番組を視聴している視聴者だけがデジタルアセットを受け取ることができるという、視聴者参加型の番組制作を支援するというサービスだ。

その第一弾となる「TokenCastRadio」の試験放送は、博報堂DYメディアパートナーズ毎日放送トークンポケットフランジア、そしてエヴィクサーが3月に共同で行う。

上にも名前を挙げた、サービス開発支援やスタートアップスタジオなどで知られるフランジアは、2月5日に同社が開発したDapps「Cipher Cascade(サイファーカスケード)」の事前登録を開始、β版のリリースを2月下旬に予定している。

Cipher Cascade

TokenCastRadioの試験放送では、このCipher Cascadeにトークンとして実装されたキャラクターやアイテムの情報を、毎日放送のラジオ番組「オレたちやってマンデー」内で透かし音として放送。同番組のリスナーは、エヴィクサーの音声認識技術が組み込まれた、トークンポケットのDappsブラウザアプリ「TokenPocket(トークンポケット)」を使用し、放送中にゲームのキャラクターやアイテムを受け取ることができる。

博報堂はこのサービスを使った番組制作によって、「メディアをこれまでの『多くの生活者に情報を一斉に配信する媒体』から一歩進め『多くの生活者に価値を一斉に届けることができる媒体』に進化させる」ことを目指すとコメントしている。

仮想通貨を物理的にプレゼントできるカード「ウォッカ」、セガサミーなどから資金調達

ビットコインをオフラインで配布するためのウォレットカード事業を展開するウォッカは2月8日、セガサミーホールディングス、トランスコスモス、オークファンなどから資金調達を実施したと発表した。金額は非公開だが、関係者らからの情報によれば調達額は5000万円程度とみられる。

ウォッカが展開するのは、デジタル化された仮想通貨を含むトークンを物理的にシェア/プレゼントするためのプラスチック製のウォレットカード「Wodca(ウォッカ)」だ。用途としては、企業の販促やプロモーションのためにトークンを配布することなどが考えられる。

WodcaにはカードごとにユニークなIDが振り分けられ、カードの裏面にWodcaでカードを認証するのための「Access Code」、トークンの口座にあたる「Wallet Address」、外部のウォレットにトークンを送信するために必要な「Private Key」がスクラッチ加工によって記載されている(コインなどで削って初めてコードが見られる)。

カードの所有者は、IDとAccess Codeを使ってWodcaのWebサイト上でアクティベーションをすると、Wallet Addressにビットコインやイーサリアムなどのトークンが送信される仕組みだ。Private KeyはWodcaのシステムを含むインターネット上のサーバーには保存されておらず、カード裏面に記載されているのみ。だから、Wodcaはインターネットから完全に隔離されたセキュリティ性の高い「コールドウォレット」として機能する。

ウォッカは今回調達した資金を利用して、人材採用による開発体制の強化を行うとしている。「仮想通貨市場の成長のためには、ルール/法令の整備とともに、より多くの人が安心して日常の生活で使用できる環境になる必要がある。すべての人が簡単で安全な仮想通貨ウォレットを持てる社会を構築していきたい」(ウォッカ)

サイバーパンクなブロックチェーンゲーム「Cipher Cascade」の事前登録が開始

サービス開発支援やスタートアップスタジオなどを手がけるフランジアは2月5日、「Cipher Cascade(サイファーカスケード)」と題されたDappsの事前登録を開始した。β版のリリースは2月下旬を予定している。

Dappsはブロックチェーンを利用した分散型アプリケーション。猫を育成し売買する「CryptoKitties」やモンスターを捕獲し交換する「Etheremon」などのゲームが有名だ。2018年末には「My Crypto Heroes」のテレビCM放送も話題となった。

本日発表されたフランジアのCipher Cascadeはサイバーパンクな世界観が特徴的。

プレイヤーは「$in $ekai」という架空の都市の住人となり、その独自の経済圏でサバイバルしていく。ちなみに$in $ekaiは「暗号技術が支配する欲望と希望が入り混じったサイバーパンクな世界観の都市」なのだそう。プレイヤーはそんな都市の住人となり「Cipher Cascade Coin」と呼ばれる通貨で自由な取引や様々なアクティビティを行う。

2月下旬にリリースが予定されているβ版では、プレイヤー同士が対戦できるミニゲーム(Arena)を実装。Arenaで勝利することでコインを稼ぐことができる。

今後はソーシャルフィード機能や友達との協力プレイ機能に加え、「クランバトル」などのミニゲームが追加される予定で、「トークンを活用したブロックチェーンファーストな広告体験も提供できる準備を整えていく」という。フランジアは外部の弁護士によるリーガルチェックを徹底して実施している。

Cipher Cascadeはブロックチェーン技術を活用して開発され、スマートフォンおよびPC対応のブラウザーで気軽に楽しめるゲームだ。同タイトルでは、イーサリアムのメインチェーンと連動するサイドチェーンを構築し、トランザクション処理の高速化を実現しているため、ストレスフリーなゲームプレイができるという。加えてサイドチェーン上でトークンを扱うことで、ゲームプレイやトークンアセット購入に必要なネットワーク手数料(いわゆるガス代)が発生しない“ユーザーフレンドリー”な仕様となっているそうだ。

同社いわく「イーサリアムのパブリックなブロックチェーン技術を活用することで、ゲーム内のトークンアセットをゲーム内外で広く流通させることが可能になり、他のブロックチェーンゲームのゲーマー同士がアセットの貸し借りを行える様になる」。そして、このような環境を提供することで「ゆくゆくはユーザーがゲームプレイに投資したお金、時間、情熱を価値のある形でユーザーに還元することが出来る世界が実現出来ると考えている」と説明している。

Citizens Reserveが、ブロックチェーン上にサプライチェーンプラットフォームを構築している

ベイエリアのスタートアップであるCitizens Reserveは、サプライチェーンをデジタル化するという大きな目標を掲げている。昨年秋、同社はブロックチェーン上に構築された、サービスプラットフォームとしてのサプライチェーンである、Sukuのアルファ版を開始した。本日同社は、アムステルダムに拠点を置く、RFIDタグ製造会社のSmartracとの提携を、プラットフォームの重要なアイデンティティ要素として発表した。

企業はRFIDを使用して、畑または工場から市場まで製品を追跡することになる。CitizensのCEOであるEric Pisciniは、サプライチェーンのデジタル化における重要な部分の解決に、この提携が役立つと語る。製品が市場に到達するまでの追跡手段を提供し、生産時に不当労働が行われていないこと、環境基準が遵守されていること、あるいは製品が鮮度を保つために適切な条件下で保管されていたことなどに関する情報を提供できる。

サプライチェーンの追跡における大きな問題の1つは、ある特定の瞬間に世界中で移動中であるアイテムを、単に全体的に特定することだ。RFIDタグは、そうした各アイテムにデジタルIDを付与する方法を提供する。デジタルIDは、不正を防ぐためにブロックチェーン上に配置することができる。もし確実なデジタルIDを手に入れることができれば、サプライチェーンのデジタル化に関する大きな問題が解決されることになる。

彼は、これはブロックチェーン上にプラットフォームを構築することによって、サプライチェーン全体をデジタルの領域に移動させるための、より広範な取り組みの一部であると語った。これは、確実で追跡可能なデジタル記録を提供するだけでなく、盗難や詐欺を減らし、履歴を確実にするなどの、あらゆる種類の追加の利点をもたらすことができる。

農家や製造業者から税関当局、海運会社、コンテナ会社、そして商品を市場から販売店舗まで輸送する物流会社に至るまで、数多くの関係者がこのプロセスには関与している。サプライチェーンに関わるさまざまな関係者のすべてを、ブロックチェーンソリューションに移行させることは、依然として大きな課題である。

本日発表されたパートナーシップは、Citizens Reserveのソリューションに対する、アイデンティティメカニズムの1つを構築する手段を提供する。同社はまた、倉庫管理や物流などの他の問題を解決するために、他のパートナーシップにも取り組んでいる。

同社は現在、カリフォルニア州ロスガトスに11人の従業員を擁している。Pisciniによれば、同社は1100万ドルを調達している。

画像クレジット: Mint Images / Getty Images

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Linux Foundationがブロックチェーン上に分散サプライチェーンを構築するためのフレームワークHyperledger Gridをローンチ

The Linux FoundationのHyperledger Projectはもっぱらブロックチェーンのプロジェクトだが、今朝(米国時間1/22)同団体はサプライチェーンのプロジェクトを作るためのフレームワークを発表した。ブロックチェーン単独の一人舞台はさせない、というわけだ。

まさしく同ファウンデーションはそのへんに気を使って、このプロジェクトが厳密にブロックチェーンのプロジェクトではない、と指摘している。むしろそれは、サプライチェーンのデジタル化という問題を解決する、というもっと広い視野のためのビルディングブロックを提供する。このプロジェクトを発表するブログ記事は、それがアプリケーションでもないし、ブロックチェーンのプロジェクトでもない、と言っている。では何なのか?

“Gridは、技術とフレームワークとライブラリが協働するエコシステムであり、それによりアプリケーションのデベロッパーが自分の業界や市場の形にもっとも適したコンポーネントを選べるようにする”、とある。

Hyperledgerは、そのプロジェクトがジャーゴンや先入観に支配された説明に閉じ込められることを望んでいない。それが望むのは、デベロッパーに一連のツールとライブラリを提供して、彼らが自由にアイデアを暖められるようにし、自分たちの業界の要求に合ったアプリケーションを作れるようにすることだ。

現時点までのこのプロジェクトの主なコントリビューターは、Cargill、Intel、そしてBitwise IOだった。

サプライチェーンは、エンタープライズにおける分散台帳アプリケーション(distributed ledger applications, DLT)の初期の主要なユースケースだった。それどころか今日の本誌TechCrunchには、ブロックチェーン上にサプライチェーンを構築するスタートアップCitizens Reserveを取り上げた記事すらある。IBMもかなり前から、ダイヤモンドの検査食品の安全性などに関してサプライチェーンを研究開発してきた。

しかし、分散台帳という考え方は、一般的にエンタープライズにとっても、そしてましてやサプライチェーンにとっても新しすぎるから、デベロッパーはまだ、自分たちの取り組み方を探っている状態だ。The Linux Foundationは、そこに対して柔軟性に富むオープンソースのフレームワークを提供することにより、デベロッパーにオープンなオプション(選択肢)を与え、これが実際に動き出すときにアプリケーションを作れるための、柔軟な基礎を提供しようとしている。

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Digital GarageとBlockstreamが日本でブロックチェーンによる金融サービスを開発

昨年は世界の暗号通貨の市場が暴落したようだが、でも世界でもっとも暗号通貨を厚遇する国の一つである日本では著名な人びとが力を合わせて、Bitcoinとブロックチェーンによる金融サービスを開発している。

Bitcoinのコントリビューターたちが創業したブロックチェーンスタートアップBlockstreamが今週、日本でDigital Garageと金融サービス企業東京短資(Tokyo Tanshi)と共にジョイントベンチャーを立ち上げた、と発表した。Digital GarageはTwitterやSquareなどにも投資している初期段階専門の投資家およびインキュベーターだ。

そのジョイントベンチャーはCrypto Garageと呼ばれ、“日本の機関投資家向け市場のためのBitcoinとブロックチェーンソリューションに特化する”。その立ち上げは昨年発表され、Blockstreamが額面不詳の投資により加わったのは最近のことのようだ。Blockstreamによると、同社はこの取り組みに“専門家としての技術”を提供する、という。

このジョイントベンチャーに関して今分かることは以上だが、同社は最近、最初のプロダクト“SETTLENET.”をリリースした。同社の説明によるとそれは、BlockstreamのブロックチェーンLiquid Networkを使用するプラットホームで、スピードとセキュリティを重視する暗号通貨取引所およびブローカーだそうだ。

(大文字だけの名前はみんな嫌いと思うから)Settlenetはすでに、取引所や暗号通貨プロジェクトの監督官庁である金融庁の認可を得ており、その最初のローンチは日本円向けの安定通貨(ステーブルコイン)だという。最大の目標は取引所が流動性を提供でき、したがってその安定通貨がアトミックなスワップにより、LiquidサイドチェーンにpegしているBitcoinと売買(トレード)できることだ。

すでに数社がコラボレーションしている。Blockstreamに投資しているDigital Garageはこの事業にさらに1000万ドルを投じた。それは、2016年以来の三度目の投資だ、と言われる。それによりBlockstreamの調達総額は9000万ドルになった。

一方、東京短資は100年以上前に創業された仲買企業だ。同社は昨年以来Digital Garageと暗号通貨プロジェクトをやっており、昨年両社が共同でCrypto Garageを発表した。両社のもっと幅広い目標は、日本におけるブロックチェーンによる金融サービスを運営していくことだ。

注記: 筆者は少量の暗号通貨を保有している。それは勉強のためには十分な量だが、人生を変えるほどの量ではない。

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野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

「顔の見える電力プラットフォーム」を提供するみんな電力は1月21日、シリーズBラウンドにおいてTBSイノベーション・パートナーズ、SBIインベストメント、TOKAIホールディングス、セガサミーホールディングス、丸井グループ、電通から11億8000万円を調達したと発表した。

みんな電力は電力小売業を営むスタートアップ。でも、普通の電力小売とはちょっと違う方法で電気を販売している。最近、道の駅や一部のスーパーなどでは野菜を作った人の顔が見えるように、農家の人々のプロフィールが入ったポップアップが売り場に用意されていることがある。みんな電力は、それと同じように、電気を発電した人の顔が見ることができ、その発電所を「応援」することが可能なプラットフォームだ。

みんな電力のWebページにいくと、電気の生産者の一覧ページがある。そこに掲載された発電所のプロフィールページでは、どんなひとが、どこで、どれくらいの電気を発電しているのかが分かる。みんな電力と契約して電気を買うユーザーがその中から応援したい発電所を選ぶと、電気料金の一部がその発電所に寄付される仕組みだ。みんな電力に供給される電気の約75%以上は、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源で発電され、固定価格買取制度(FIT)を通して事業者に販売された「FIT電気」だ。だから、ユーザーはみんな電力を通して再生可能エネルギーの普及にも協力することにもなるというわけだ。

みんな電力は今回調達した資金を利用して、ブロックチェーン技術を用いたP2P電力流通プラットフォーム「ENECTION2.0」の商用化を進める。

固定価格買取制度は、個人などが再生可能エネルギー電源で発電した電気を一定期間のあいだは電力会社が固定価格で買い取ることを国が保証するという制度だ。しかし、みんな電力によれば、しかし前身となる「余剰電力買取制度」ができてから10年が経過した今年、2019年11月にはその買い取り期間が終了する電源が50万件以上発生する見通しだ。そうなれば、個人が電気の生産者にもなり、自由契約で電気を売ることが可能な時代になる。みんな電力はその時代に併せてENECTION2.0を拡大することで「誰でも再生可能エネルギーを作り、シェアできる社会」を目指すという。

金融庁、コインチェックを仮想通貨交換業者として正式登録

金融庁は1月11日、仮想通貨交換業者のコインチェックを改正資金決済法にもとづく業者として正式登録したと発表した。同社は2018年1月に約580億円相当の仮想通貨NEMが流出したことを発表。同社はこれにより、日本円を含む取り扱い通貨全ての出金を停止するなどサービス一部の一時停止を余儀なくされた。また金融庁はこれを受け、コインチェックに対して2度の業務改善命令を出すなどしていた。

コインチェックは2018年11月までに事件の発端となったNEMを含む全仮想通貨の購入、入金を再開するなど徐々に提供サービスの再開を進めてきたが、ついに今回金融庁はコインチェックを正式な登録業者として認めることとなった。同社は今後、登録を受けていない「みなし事業者」ではなくなり、登録済みの仮想通貨取引所として運用できるようになる。

分散型の次世代認証基盤を使った「鍵」を開発するビットキーがVOYAGEなどから3.4億円を調達

ブロックチェーンに似た分散技術などを活用し、独自の電子鍵テクノロジーを開発するスタートアップ、ビットキーは12月26日、総額3.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はVOYAGE VENTURESと、複数の事業会社経営者、エンジェル投資家だ。

ビットキーのキーテクノロジー「ビットキー」は、次世代ID/Keyとして、スマートコントラクトやスマートオラクルを応用した各種分散技術、暗号化技術などを活用した、同社独自のデジタルキー基盤だ。分散技術でもブロックチェーンは使わず、独自でブレイクスルーした技術を用いているという。

ビットキーは「改ざん不可能で、複数間で安全にやり取りでき、コスト面にも優れたID・電子鍵のプラットフォーム」として、サービス提供を目指している。また同社はビットキーを搭載した、物理的なスマートロックデバイスの開発も行っており、まずはBtoC領域で提供していく構えだ。

同社は2018年8月創業(会社設立は5月)。ビットキー代表取締役 CEOの江尻祐樹氏は、リンクアンドモチベーショングループでコンサルタント業務に従事した後、ワークスアプリケーションズへ入社。コンサルタントとして活動しながら、旧知のエンジニアたちとともに、2017年末にブロックチェーン/分散システム研究会を立ち上げた。

その後、ブロックチェーン/P2Pや分散技術を活用した、新しいデジタルID認証/キー基盤を開発し、事業化するべくビットキーを設立。江尻氏がワークスアプリケーションズで出会った、共同代表でCOOの福澤匡規氏と、同じく共同代表でCCOの寳槻昌則氏とともに、研究会の参加者を中心にしたメンバーでスタートした。

ビットキー代表取締役 CEO 江尻祐樹氏

江尻氏は会社設立の動機について「ちょっと壮大に聞こえるかもしれませんが、デジタル化が進む現代において、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)などのジャイアントに独占、支配、依存することで生じている社会問題の解決です」と語る。

つまり、巨大デジタル企業の台頭により起きるデータ寡占の問題を、分散型テクノロジーを使うことで、解決したいということだ。

「裏を返すと、より安全で利便性の高い、デジタル社会のID・権利・取引のプラットフォームを生み出して、世の中を前進させたいともいえます」(江尻氏)

ビットキーでは今回の資金調達により、開発体制の強化を図る。また、今後の正式リリースに備え、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどの体制づくりも行っていく。

またその後の展開について、江尻氏は「2019年には、スマートロックほか関連プロダクトの『Tobira事業』でロケットスタートを切り、世界一のシェア、出荷台数を1年で実現したい。2020年には日本で、家、オフィス、ホテルなど、どこの扉もビットキーを使って開けるのが当たり前、というのを目指す」と話している。

2020年はTobira事業以外でも、モビリティやスマート行政などの領域にも進出し、可能であればオリンピックでも活用してみたい、と江尻氏はコメント。2021年にはメディカルや自動運転車などとの連携、グローバルへの本格進出も目指すとしている。

「中国、アメリカ(企業の進出の仕方)とは違う、コミュニティの仲間を増やし手を取り合う形で、さまざまな国と連携して、世界の“デジタル社会インフラ”にしていきたい。初めはアジア、ヨーロッパへの展開を想定しています」(江尻氏)

またR&Dの面でも「政府や大学・研究機関と連携し、よりセキュアでセーフティの高いプラットフォーム化や、生体認証・AIと連携した、デバイスすらいらない認証基盤・デジタルキープラットフォーム化についても少し話をし始めている」と江尻氏は述べていた。

Facebookがステーブルコインを始める? その前に知っておくべきこと

Bloombergが伝えるところによると、Facebookは、独自のステーブルコインの投入計画をひっさげて、ブロックチェーンの波に飛び乗ろうとしているようだ。

次から次へとプライバシー流出問題で騒がれ足元に火が点いた状態のソーシャルネットワークの大手Facebookは、5月にブロックチェーン部門を内部に設立したが、さまざまな憶測を呼びながらも、その本当の狙いは不明のままだ。

Bloomebergの記事は、その新部門から何が現れるのかを明確に示した最初のものとなった。さらに、それは「メッセージングアプリWhatsAppを使ってユーザー同士で金銭の移動ができ、最初はインドの送金市場にフォーカスをあてた」ステーブルコインであるという。

Facebookは、これに対して曖昧なコメントを返した。

「他の多くの企業と同様に、Facebookもブロックチェーン技術の力を役立てる方法を模索しています。この新しい小さなチームでは、さまざまな応用方法を探っています。私たちからは、これ以上は申し上げられません」と、FacebookはBloombergに対する声明の中で答えている。

もしこのアメリカの巨大企業が、Bloombergが報じたとおりの計画を実行した場合、それは時価総額3760億ドル(約41兆7600億円)、年間収入は400億ドル(約44億4000万円)にのぼり、事業規模においてもユーザー基盤においても、(たちまち)一般消費者向けブロックチェーン・サービスの最大手となる。Facebookには、その中核的ソーシャルネットワークに22億人以上、WhatsAppに15億人、Messengerに13億人、さらにInstagramに10億人のユーザーを擁している。

これは、しっかり知っておくべき話だ。

Facebookのブロックチェーン部門を率いるPayPalの元CEO、David Marcus。彼は、暗号通貨交換所Coinbaseの役員でもあった。

またひとつ新しいステーブルコイン

ステーブルコインは、今年の後半にブロックチェーンの世界で大流行した。数多くのプロジェクトが飛び出して、いろいろなソリューションを提示したのだが、まずその理由を考えてみよう。

ステーブルコインの考え方は簡単だ。法定通貨と連動する暗号通貨なので、価格の乱高下の影響を受けないというものだ。

プログラム可能で国境のない通貨としてのブロックチェーンには可能性があるが、安定性が大きな問題になっている。たとえばBitcoinは、1年前には2万ドル(約222万円)という高値をつけたが、現在は4000ドル(約44万4000円)をわずかに上回る程度だ。ただ注意すべきは、この数カ月間にそれよりも価格が下がっていたことだ。「アルトコイン」の場合は、さらに変動が激しい。

ステーブルコインは、Bitcoin、Ethereumなどのトークンを、銀行口座よりも早く買い入れることができる預け入れ方法を提供している。また、不安定なトークンからの利益の移動も可能になり、とくに、暗号通貨を他者(他の企業)に経費をかけずに送ることができることが大きい。

しかし、大変にシンプルな前提で、しかも多くの人たちが参入しているにも関わらず、実際に成功し、その価値を証明できたステーブルコインはいまだに存在しない。

もっとも注目を集めているTetherですら、経済的支援にまつわる心配に追い回されている。その背後にある組織は、そのトークンの価格が1ドルを下回っても、市場でその裏付けとするのに十分な法定通貨を用意しているか否かを明らかにしていない。

Tetherが苦戦する中、仮想通貨取引所がライバルのステーブルコインをローンチ


TechCrunchが11月に報告したとおり、いくつもの「Tetherキラー」が登場したが、王座を奪ったものはない。USD Coinは、CounbaseやBinanceなどの大手取引所で取引されるEthereumをベースとする暗号通貨で、時価総額2億3000万ドル(約255億5000万円)と二番目に広く利用されている。驚くべき規模だが、それでもTetherの180億ドル(約2兆円)の15パーセントにも満たない。そのギャップの大きさは明らかだ。

そして、規制の問題がある。

Andreessen HorowitzやBain Capitalといった大物投資家から1億3000万ドル(約144億4000万円)以上を調達したBasisは、設立から18カ月後の今月、廃業した。「ボンドトークンもシェアトークンも、有価証券ではないと認めざるを得ない」と判断したのが理由だ。

フィンテックのサービス

詳細はまだはっきりしないが、Facebookが推進するステーブルコインは、安定を強く望む暗号通貨の所有者に、技術を使ってそれ以上のものを提案することになりそうだ。

Facebookは、もしかしたら、膨大なユーザー数を誇るメッセージングサービスに、金融サービスや製品を追加する可能性がある。フィンテックは、信用力の調査方法が限られ、為替市場の価格が低いといった問題の改善にデジタル・プラットフォームやデータが有効な新興市場で急速に発達している。しかし、Facebookはそこに本格的に足を踏み入れたことがない。唯一あるのは、WhatsAppだ。インドではピア・トゥー・ピアの取り引きができるようになっているが、それを世界的に広げ、新しい金融機能を追加すると考えれば筋が通る。

安くて速い海外送金は、FacebookのCEO、Mark Zuckerbergがブロックチェーンの可能性に注目していると書いた1年前の記事で私が提唱したことだ。2017年の新年の抱負を聞いたとき、彼は暗号通貨とブロックチェーンを勉強して「我々のサービスにどう使うのがベストかを見たい」と話していた。

WhatsAppは、月間のアクティブユーザーが15億人を超える。そのうち約2億人を占めるインドでは、それは巨大な単一市場だ。インドはまた、世界銀行のデータによると、2017年には690億ドル(約7兆6660億円)を受け取った世界最大の送金先にもなっている。

送金以外にも、ステーブルコインはもっと多くの利点がある。デジタル製品やサービスの購入から、ピア・トゥー・ピアの支払い、もっと本格的な暗号通貨による取り引きや融資などだ。

明らかなのは、Facebookのブロックチェーン部門の仕事はまだ初期段階にあるということだ。現時点では、30名ほどの社員が配属されている。

チャットアプリが暗号通貨とブロックチェーンに参入

Bloombergが推測するようにプロジェクトが継続された場合でも、WhatsAppがブロックチェーン機能を持つ最初のメッセージングアプリとなるまでには時間がかかるだろう。しかし皮肉なことに、WhatsAppやFacebookのMessengerといった独占的地位にあるサービスに対抗するための手段として、他社が暗号通貨の機能を採り入れている。

カナダのチャットアプリKikは、2017年のICOを通じて1億ドル(約111億円)を調達して、独自のトークン「Kin」と、開発者用アプリをサポートするブロックチェーンを開発した。昨年、KikのCEO、Ted LivingstonがTechCrunchに話したところによれば、基本計画は、Facebookのような広告モデルではなく、ユーザーの注意や関わりを通して「ボジティブ」に利益をもたらすアプリを開発できるようにすることだという。収益は、さまざまなユーザー本位の基準で、Kinで支払われる。

Livingstonは、暗号通貨の弁明をするどころか、ブロックチェーン技術を「役立たず」だとする意見を批判した。Kikのアプリはまだブロックチェーン化されていないが、昨年の夏からベータ版のリリースを開始した。

KikのCEO、Ted Livingstonは、ブロックチェーンと暗号通貨が広告ベースのモデルに置き換わると信じている。つまり、より多くのアプリや製品が、金儲けのためではなく、消費者のために作られるようになるということだ。

日本のLINEアプリは、アジアの一部で人気が高いが、ブロックチェーンを導入し、独自の取引所暗号通貨投資ファンドを設け、「Link」というアプリ内トークンを使えるようにしている。ICOは行わず、Linkトークンをユーザーの間で流通させてさまざなに利用してもらい、売買も可能にしてゆく計画がある。Linkは、事実上LINEのサービスや製品の購入の手段となり、サードパーティーのサービスでも使えるようにしたいと同社は話している。

ロシアのFacebook的存在であるVKontakteの創設者Durov兄弟が開発したメッセージングアプリTelegramもそうだ。Telegramは暗号通貨業界で人気を高めており、ICOを通じて17億ドル(約1888億円)を調達した。大変に期待された公開だったが、結局のところ、対象は認定投資家に限られることになった。

しかし、非常に野心的な「非中央集権的」プラットフォームの目標について長々と書かれた白書に批判が集まっている。プロジェクトは目立たない形で進められ、一部には製品がリリースされる前に投資金を現金化した投資家もいると見られる混乱した現状は、ほとんど明かされていない。

もうひとつ、暗号通貨を採り入れたチャットアプリで注目すべきものが、Statusだ。非中央集権的チャットアプリとエコシステムを開発し、2017年にEthereumで1億ドル(約111億円)以上を調達した。Statusは現在使用可能だが、Coindeskによると、資金繰りがうまくいかず、100名いた写真のうち25パーセントを、今月、一時解雇したとのことだ。

その一方で、韓国最大のメッセージングアプリKakaoは、ブロックチェーン企業を所有している。将来の計画の詳細は不明だが、Kakaoはブロックチェーン企業に投資を行っている。

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(訳者:金井哲夫)

仮想通貨ではなく日本円でDAppsを利用できる「Uniqys Transaction Proxy」発表

ここ数年でイーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームを用いて構築されたDAppsの数は増えつつあり、DAppsだけを集めた情報サイトなどを目にすることも多くなった。gumiが開発するシュミレーションゲーム「MyCryptoHeroes(マイクリプトヒーローズ)」など、DAppsにはゲームからブラウザアプリまで様々な種類のものが登場している。

一方で、例えばイーサリアムで構築されたDApps内で販売されるアイテムを購入するためには、ユーザーは仮想通貨のETHをあらかじめ用意してイーサリアム利用料(GAS)を支払わなければならないなどハードルが高く、これがDApps普及の妨げになっているという意見もある。

そんななか、モバイルファクトリーの完全子会社であるビットファクトリーは、ETHではなく日本円でDApps内での支払いができる開発者向けサービス「Uniqys Transaction Proxy」を発表した。ユーザーが直面するハードルである“仮想通貨の入手”をなくすことで、DApps開発者はユーザーの裾野を広げることが可能になる。

同サービスの流れは以下の通り。ユーザーはまず、DApps内でゲームアイテムなどを購入する際に日本円で料金を支払う。Uniqys Transaction Proxyを利用するDAppsの開発者は、ユーザーから受け取った収入の一部(日本円)をビットファクトリーに利用料として支払う。最後にビットファクトリーは、DAppsから発行依頼を受けたトランザクションを代理で発行し、イーサリアム利用料をETHで支払うという仕組みだ。

Uniqys Transaction Proxyは本日よりクローズドベータ版をリリース。こちらの公式サイトで事前登録を受け付けている。

LINEのブロックチェーン利用Q&Aサービスがスマホ対応

「Wizball」(ウィズボール)のスマホのブラウザ版が登場

LINEは、独自開発したブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を基盤としたdApp(分散型アプリケーション)のQ&Aプラットフォームである「Wizball」(ウィズボール)をスマホに対応させた。これまで、PCブラウザ版、Androidアプリ版があったが、新たにスマホのブラウザ版を提供する。

Wizballの仕組み

Wizballは、フェイクニュースの氾濫で「情報の信頼性」が問われる中、ブロックチェーンを利用することで150名を超えるさまざまな分野の「Wizball認定専門家」を重視したQ&Aプラットフォーム。dAppとして2018年9月にβ版が公開され、約3カ月で総質問数が3万件を突破している。主な質問カテゴリーは、IT・テック、ライフ、エンターテインメント、旅行、恋愛・人間関係、ファッション・美容、学問・教養・法律、就職・職場生活、スポーツ・レジャー ビジネス・経済など。

「質問」「回答」「投票(Vote)」のすべてのアクションに対して「LINKポイント」を毎回支給されるのが特徴だ。アクションを起こすたびにサービスへの寄与度を示す「WP(Wiz Power)」も与えられる。さらに「WP」などの量に応じて、定期的に配当ボーナスが支給する仕組みもある。なお、1LINKポイントは500LINEポイントに相当する。

LINK chainを基盤しているので「インセンティブ配分の履歴」をブロックチェーン内に保存可能なのも特徴。「透明性」「信頼性」がある環境でユーザーの価値を評価できるとしている。同社は今後、ユーザーの「サービス貢献度」などでもブロックチェーンの活用を予定しており、全ユーザーにより公平な情報共有環境を作り上げていきたいとのこと。

なお同社は現在、年末年始に「Wizball」を楽しんでもらうためのキャンペーンを実施中。合計3つのイベントをクリアすることで最大13.4LINKポイント(6700LINEポイント相当)が手に入る。

Coinbaseで暗号通貨同士の交換が可能に

信じられないことに、現在CoinbaseでETHを買うためには、BTCを一旦USドルに変えなくてはならない。同社はようやく暗号通貨同士の直接交換機能を追加する。

同機能は、Bitcoin(BTC)、Ethereum(ETH)、Ethereum Classic(ETC)、Litecoin(LTC)、0x(ZRX)、およびBitcin Cash(BCH)で利用できる。今は米国ユーザーのみ利用可能だが、他の国々にも展開する予定だと同社は言っている。

手数料を詳しく見てみよう。ヨーロッパまたは米国に住んでいる人は、USドルまたはユーロで暗号通貨を売買するたびに、スプレッド(買値と売値の差)に加えて1.49%以上の手数料を支払う。クレジットカードやデビットカードを使うと手数料はさらに高くなる。

Coinbaseは、不換通貨と暗号通貨のスプレッドは0.5%前後だが通貨の組み合わせや注文待ち行列によって変わると言っている。

取引高が200 USドル(または相当)以下だと手数料はずっと高くなる。たとえば、10ドルの売買では手数料が0.99ドルすなわち9.9%になる。100ドルの手数料は3%だ。

しかし良いニュースは、これがトークンとトークンの取引ではまったく別の話になることだ。Coinbaseは手数料を取らない——スプレッドは避けられない。そして、特殊な組み合わせ(ZRXをBCHと交換するなど)では、スプレッドに1%前後支払うことにもなる。それでも、Coinbaseで取引したいだけの人にとっては、ずっと良いユーザー体験だ。

他の交換所の話を持ち出すまでもなく、Coinbase Proのユーザーは遠い昔から暗号化同士の取引が可能だ。しかし多くの新しい暗号通貨ユーザーにとっては今もCoinbaseが入り口だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook