アマゾンのZooxが自律走行車の運用テストをシアトルに拡大

Amazon(アマゾン)に2020年買収された自律走行車のスタートアップZoox(ズークス)が、シアトルに進出する。同社は、自律走行車のテストの拠点となるエンジニアリングオフィスとオペレーション施設を2022年にオープンする予定だ。

現在、1300人以上の従業員を擁するZooxは、サンフランシスコ、ラスベガス、そして本社近くのカリフォルニア州フォスターシティで自律走行車のテストを行っている。同社は、2019年にラスベガスで自律走行車の公道テストを開始した。

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共同創業者でCTOのJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏によると、オペレーション施設とエンジニアリングオフィスには、ほとんど新入社員が配属されるという。シアトルでの正確な従業員数は明らかにされていないが、レビンソン氏は、2021年に450人の新規雇用を創出することが同社の目標の1つであると述べている。

Zooxは、Amazonが拠点を置くシアトルで事業を立ち上げているが、レビンソン氏はTechCrunchに対し、2つの会社はまだ別々に運営していると述べている。例えば、Zooxのオフィスとオペレーションハブは、Amazonのキャンパス内には設置されない。レビンソン氏は、ZooxがAmazonに近いという利点を生かして、将来的にはAmazonとさまざまなコラボレーションを行っていくと述べ、それを「特別ボーナス」と表現した。

Zooxは何年も前からシアトルをテストサイトとして注目していたとレビンソン氏はいう。同社は、2019年末に同市で小規模なパイロットを完了させたほどだ。この地域の雨の頻度は、Zooxがシアトルを選んだ主な理由の1つだとのことだ。

「良くも悪くも、サンフランシスコではあまり雨が降らないし、ラスベガスはさらに雨が少ない。我々はテストのために、かなりの量の雨が降り、頻繁に雨が降るODD(運行設計領域)を求めています」。

Zooxでは、センサーのために「アクティブ・レイン・ミティゲーション」と呼ばれる高度な耐候性を発展させてきた。「我々は、その耐候性を雨の中でテストし、確認したいと考えており、シアトルはそのために完璧な場所なのです」とLevinson氏は語った。

Zooxがシアトルに興味を持ったのは、そのトンネルや、他とは異なる道路網、自律走行車に対する政策、さらにはロボットタクシーの商用サービスを開始するのに理想的な都市であると考えたからだ。

レビンソン氏は「サンフランシスコとラスベガスは、我々が取り組んでいる商用化のターゲットとなる都市であることはすでに発表しましたし、それは今も変わりません。しかし、今後の展開として、シアトルは我々の候補地の中でもかなり上位に位置しています」と述べた。

Zooxは、シアトルで「Level 3(レベル3)」と呼ばれる車両のテストを、自律走行システムを搭載したトヨタのSUVハイランダーで行う。Level 3のセンサーは、時速75マイル(約時速120km)で4人を運ぶことができる、ハンドルがなくムーンルーフがついている電気自律走行ロボタクシーのものと同じものだ。このLevel 3のテストと検証が「L5」車両に直結するとレビンソン氏は語った。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

CruiseとWaymoがサンフランシスコでのロボタクシーサービス開始の許可を得る

カリフォルニア州自動車局が、General MotorsのEV/AV部門であるCruiseと、Alphabet傘下のWaymoに、有料で展開される自動運転サービスの認可を発行した。

米国時間9月30日にCruiseは「driverless deployment permit(ドライバーレス展開許可証)」を受け取った。これは、フロントシートに安全ドライバーがいない状態で提供されるサービスで料金を受け取ってもよい、というものだ。Waymoの「drivered deployment permit(運転者同席許可証)」は、自動運転の間に関しても課金してよいが、ただし前席に運転者が必要だという意味だ。どちらも理論的には自動運転のデリバリーサービスに課金できるが、ロボットタクシーサービスの課金許可には一歩遠い。その最後のハードルは、カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission、 CPUC)の許可が必要だが、サンフランシスコにおける商用ライドシェアの立ち上げ日限についてはWaymoもCruiseも明言していない。

カリフォルニアの路上で自動運転車をビジネスにしようとしているのは、彼らだけでなない。2020年の12月には、州の公道上での商用の自動運転サービスに関して、自動運転デリバリーのNuroがカリフォルニア州自動車局から許可をもらう最初の企業になった

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CruiseとWaymoはそれぞれ2015年と2014年から公道上で安全ドライバーありの自動運転車をテストしている。そして2020年10月からと2018年10月からは、安全ドライバーなしでやっている。Cruiseはまた、カリフォルニアで6月に乗客ありの自動運転走行を許可された。そこで同社は過去数カ月、社員に無料乗車を提供している。8月にWaymoは、サンフランシスコでTrusted Testerプログラムを開始した。それによりサンフランシスコは、安全ドライバーありで無料の、自動運転電動Jaguar I-Paceをシェアできる都市の1つになった。

Cruiseは最新の認可により、その自動運転のChevy Boltベースの車隊をサンフランシスコの一部の公道上で午後10時から午前6時まで最高時速30マイル(約48.3km)で商用サービスに使用できる。Waymoはその小型自動運転者の車隊をサンフランシスコとサンマテオ郡の一部の公道で時速65マイル(約104.6km)m、時間制限なしで運用できる。どちらも、雨や薄霧の中でも走行可能だ。

ベイエリアでの商用サービスやデリバリーサービスの開始の計画については、両社とも口をつぐんでいる。2020年11月にCruiseとWalmartはアリゾナ州スコッツデールと提携して前席に安全ドライバーを乗せた配達を開始した。Waymo Viaのローカルデリバリー事業も、2020年1月からアリゾナ州フェニックスで操業しているが、それは訓練されたオペレーターが同乗して、UPSやAutoNationのようなクライアントにサービスを提供している。

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画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国の検索エンジン大手Baiduが上海でApollo Goロボタクシーのテストを開始

中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は、上海でApollo Go(アポロ・ゴー)ロボタクシーモバイルプラットフォームの公的なテストを開始し、中国における勢力の継続的な拡大を続ける。

Baiduは、そのロボタクシーがレベル4の能力を達成したと述べているが、地域の規制に準拠するために、現地時間9月12日の時点で一般公開されたすべての運行に人間の安全オペレーターが同乗する。米国自動車技術者協会(SAE)は、レベル4の自動運転車の定義を、ほとんどの場合人間の相互作用を必要とせず、限られた地域だけで運用することができるものとしている。Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Pony.AI(ポニーAI)、Yandex(ヤンデックス)などの企業はすべて、レベル4の自律性を備えた車両の頭脳を構築するために、LiDAR(ライダー)、レーダー、カメラ、GPSの同様の組み合わせを使用している。

上海で展開する車両群は、中国第一汽车(FAW)によって生産されるBaiduの第4世代自動運転車「紅旗EV」で編成される。同社は最初に稼働する車両の数を明らかにしなかったが、Baiduの広報担当者はTechCrunchに対して、目標は上海で約200台の車両を展開することだと語った。Baiduによれば、30の都市で約500台の自動運転車をテストまたは公に運用しているという。

Baiduはカリフォルニアで無人運転技術をテストする認可を得ているが、まだカリフォルニアでは何のサービスも展開しておらず、代わりにそのリソースのほとんどを中国でのスケールアップに振り向けている。同社の広報担当者によれば、中国でのロボタクシーサービスの需要が大幅に増大しているために、Baiduはテクノロジーの改善、多数の車両の製造、優れたユーザーエクスペリエンスの確保に注力しているのだ。上海は長沙、滄州、北京、広州にならび、Apollo Go ロボットタクシーサービスが一般に公開される5番目の都市だ。

ほんの数週間前に、Baiduは北京の通州区にApollo Goサービスを拡大した。通州区は、北京の東の玄関口と見なされており、31マイル(約49.9km)以上にわたって22の新しい駅が追加されている。2021年4月には、同社は北京の首鋼公園で10台の完全自動運転ロボタクシーを運行した。首鋼公園は1.2平方マイル(3.11平方km)のエリアであり、今回中国で最初の商業化されたロボタクシー運用の試験場となった。これらのクルマのハンドルの後ろには人間の安全オペレーターは座っておらず、乗客に安心感を与えるために同乗しているのは助手席の安全スタッフだけだ。1回の乗車料金は30元(約512.5円)で、18〜60歳の乗客が利用できる。サービスはまだ試験段階にあるため、上海を含む他のすべての場所では、乗車は無料だ。

上海の乗客は、Apollo Goアプリを使用して、午前9時30分から午後11時までの間にロボタクシーを呼んで、上海大学、上海インターナショナルサーキットや多くの観光アトラクションが集まる江京地区の150の駅の1つで乗降することができる。

上海はまた、自動運転車のための運用、テスト、研究開発施設が置かれたBaiduのApollo Park(アポロパーク)のある場所だ。1万平方メートルのスペースは、Baiduが市内に持ち込むことを計画する200台の自動運転車が収容される、中国東部で最大の自動運転車両群のサイトとなる。

Baiduの長期的計画は、中国の30の都市に今後2〜3年で3000台の自動運転車を展開することだ。同社は2013年から自動運転技術の研究開発に投資しており、2017年からApolloプロジェクトを推進していることを考えると、Baiduはまさにそれを実行する準備ができているのだろう。6月、BaiduとBAIC Group(北汽集団)は、Apollo Moon(アポロ・ムーン)の計画を発表した。Apollo Moonは、1台あたりの製造価格が48万元(約819万円)で大量生産される設定になっている。さまざまなことを考慮するとこれは本当に安いといえるだろう。Baiduは、成長する車両群に追加を行うために、今後2、3年のうちに1000台のApollo Moobと、まだ発表されていないさまざまなモデルも生産すると述べている。

インフラストラクチャは、ApolloGoを拡張するというBaiduの目標の中の、大きな部分を占めている。Baiduの広報担当者は、同社は中国の主要都市のたくさんの交差点での、5Gを利用したV2X(車対何か)インフラストラクチャの構築にも投資していると語った。Baiduは、交通渋滞を軽減するために道路情報を自動運転システム転送できるエッジコンピューティングシステムを、カメラやLiDARなどのセンサーと組み合わせてすでにインストールしている。同社によれば、長期的には、スマートインフラストラクチャは、自動運転車のパフォーマンスを向上させ、車載センサーとコンピューティングパワーに必要な莫大なコストの一部を相殺するのに役立つという。

Baiduは、現在ロボタクシーはレベル4の自律性を実現するために車載機能に依存しているものの、大規模な展開を行うためにはV2Xが鍵だと考えている。

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画像クレジット:Baidu

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

インテル子会社モービルアイとレンタカー大手Sixtが2022年にドイツで自動運転タクシーサービスを開始

Intel(インテル)の子会社で先進運転支援システムの開発で知られるMobileye(モービルアイ)と、レンタカー / カーシェアリング大手のSixt SE(シクストSE)は、2022年よりミュンヘンでロボタクシー(自動運転タクシー)サービスの開始を計画している。両社のCEOが、9月7日にドイツで開幕したIAA MOBILITY 2021(IAAモビリティ2021)ショーで発表した。

このロボタクシーサービスは、近年開発または買収してきたIntelの(そして特にMobileyeの)資産をすべて活用したものになる。それらの中には、2020年に9億ドル(約990億円)を投じて買収したMoovit(ムーヴィット)の技術も含まれる。このイスラエルのスタートアップ企業は、都市の交通パターンを分析し、公共交通機関を中心とした交通手段の提案を行うアプリを提供している。

このパートナーシップにより、乗客はMoovitのアプリを使ってロボタクシーのサービスを利用できるようになる。また、このサービスはSixtの「ONE(ワン)」アプリを介しても提供される。これはユーザーが配車やレンタカー、カーシェアリング、サブスクリプションなど、Sixtのモビリティサービスを利用するためのアプリだ。

当初は大規模な商用サービスとして展開されるわけではない。Mobileyeのロボタクシーは、2022年にミュンヘンの街中で、アーリーライダー(先行乗客)によるテストプログラムを開始する予定だ。他のアーリーライダープログラムと同様、まずは小規模なグループの乗客を募って試験運用を行い、それからサービスを拡大していくことになるだろう。その後、規制当局の承認が得られれば、試験運用から商業運用に移行する予定だと、両社は述べている。

IntelとMobileyeは、このサービスをドイツ全土に拡大し、10年後には他の欧州諸国でも展開を計画している。両社がドイツを選んだ理由は、同国では最近、運転者なしの車両の公道走行を許可する法律が制定され、Mobileyeがすでに自動運転技術のテストを行っているからだ。

「ドイツは、重要な自動運転法を促進することで、自動運転モビリティの未来に向けて国際的なリーダーシップを発揮しました」と、IntelのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOはIAAで語った。「私たちが来年、ミュンヘンでロボタクシーの運行を開始することができるのは、この新しい法律のおかげです」。

IAAの基調講演で、MobileyeはMoovitAVとSixtのブランドが施された車両も公開した。Mobileyeの自動運転システムを搭載したこれらの車両は量産され、ドイツでロボタクシーサービスに使用される予定だと両社は述べている。

2020年の売上高が約9億6700万ドル(約1066億円)だったMobileyeは、高度な運転支援システムを実現するコンピュータビジョン技術を自動車メーカーに提供していることでよく知られるが、自動運転車技術の開発にも取り組んでいる。

現在は「Mobileye Drive(モービルアイ・ドライブ)」と名付けられている同社の自動運転システムは、システムオンチップベースのコンピューター、カメラやレーダー、LiDAR技術をベースとする冗長性を持たせたセンシングサブシステム、REMマッピングシステム、論理規則ベースのResponsibility-Sensitive Safety(RSS、責任感知型安全論)運転ポリシーで構成されている。MobileyeのREMマッピングシステムは、100万台以上の車両に搭載されているREM技術を活用することで、基本的にデータをクラウドソーシングし、先進運転支援システムや自動運転システムのサポートに利用できる高精細な地図を作成する。

そのデータは、動画や画像ではなく、1キロメーターあたり約10キロビットで収集される圧縮テキストだ。MobileyeはBMW、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)など6つのメーカーと契約し、先進運転支援システム用の画像処理チップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車両では、Mobileyeが商用事業者に販売しているアフターマーケット製品からデータを収集している。

Mobileyeの社長兼CEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が、過去にTechCrunchに語ったように、同社はこの戦略のおかげで、商用ロボタクシーサービスを効率的に立ち上げて運営することが可能であり、また、2025年までには一般向け乗用車にもこの技術を導入することができるという。

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画像クレジット:Intel

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

​​現代自とAptivの自律運転合弁会社Motionalが「Hyundai IONIQ 5」電動ロボタクシーを公開

Motional(モーショナル)は米国時間8月31日、同社が計画しているロボタクシーの最初の画像を公開した。Hyundai(現代自動車、ヒョンデ)の電気自動車「IONIQ 5 SUV(アイオニック・5)」をベースにした車両は、MotionalがLyft(リフト)アプリを通じて、2023年から顧客に利用してもらいたいと考えているドライバーレス配車サービスの目玉となるものだ。

現代自動車により組み立てられるこの専用車両には、Motionalの自律走行技術が搭載されており、LiDAR、レーダー、カメラなど30以上のセンサーが車室内外のいたるところに見られる。そのセンシングシステムは360度の視界を確保し、300メートル先まで見通すことができるとMotionalは説明している。

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)と現代自動車の40億ドル(約4400億円)規模の合弁事業として生まれた同社は、意図的に数多くのセンサーを入れて披露していると、会長兼CEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は最近のインタビューで語っている。

「多くの競合他社は、このセンサー群を隠そうとして、大きなプラスチックケーシングの中に隠そうとしています」とイアグンマ氏はTechCrunchに語った。「ですが実際のところ、センサーを隠すことはできません。センサーはクルマの重要な部分であり、テクノロジーの重要な部分でもあります。ですから当社の戦略は、センサーを好ましいものととらえ、車両のデザイン言語を適応させて、統合されたセンサー群のデザインに反映させることでした」。

Motionalは、最初のドライバーレスロボタクシーサービスをどこで立ち上げるか発表していない。ボストン、ラスベガス、ロサンゼルス、ピッツバーグなど、同社が現在テストを行っている都市のいずれかでサービスを開始すると思われる。

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画像クレジット:Motional

Motionalのロボタクシーのベースとなるのは、2021年2月に発表されたEV「Hyundai IONIQ 5」で、2021年後半には市販モデルの発売が予定されている。一般消費者向けバージョンには、Motionalの自律走行技術は搭載されない。Motionalは、他のAV開発企業とは異なり、最初のロボタクシーにシャトルバスデザインや大型バンを選択しなかった。

同社が調査したところ、タクシーや配車サービスの利用者の大半は2人以下の乗客であるとわかったという。IONIQ 5は、Motionalのユースケースに適したサイズの車両だとイアグンマ氏は付け加えた。

IONIQ 5は、Electric Global Modular Platform(E-GMP)と呼ばれる同社の電気自動車専用プラットフォームを初採用したモデルだ。市販仕様とロボタクシー用の両方に、800ボルトの電気システムを搭載している。この高電圧システムは、一般的な400ボルトと同等の電力をより少ない電流で供給することが可能だ。800ボルトシステムは、ポルシェ初の量産電気自動車であるTaycan(タイカン)でデビューしたが、より軽く、より効率的で、充電時間を短縮できる。

この高速充電は、Motionalのロボタクシーサービスにとって重要なメリットとなるだろう。

画像クレジット:Motional

IONIQ 5のロボタクシーバージョンは現代自動車で組み立てられるが、これは注目すべきディテールだとイアグンマ氏はいう。

「この車両は、写真でご覧になったとおりの外観で組立ラインから出荷されます」と同氏はいう。「これは、ベース車両を別のラインに移動させ、部品を外して再統合したり、(センサーなどを)後付けするというようなシナリオではありません」。

ロボタクシーの内部にはディスプレイが設置されており、それを使い乗客は乗車中にロボタクシーに追加の停車を指示するなど、車両との対話が可能だという。

このロボタクシーには、人間が運転する従来の車両と同様に、ステアリングホイールなどの機能が備わっている。なお、乗客が運転席に座ることは許されない。

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画像クレジット:Motional

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

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画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

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画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾン傘下のZooxが自動運転車の事故防止のために行ったこと

自律走行車業界を取り巻く話題は通常、ベンチャーキャピタルの出資やIPO(新規株式公開)、企業買収などに集中しがちである。しかし自律走行車産業の将来は、人間のドライバーよりも安全に運転できることを証明し、一般の人々の信頼を得られるかどうかという重大な課題にかかっている。要するに、安全性が肝なのである。

Zoox(ズークス)は米国時間6月22日に発表した安全報告書の中で、同社のカスタム電動自律走行車についての新たな情報を開示し、衝突防止と衝突時の保護を目的とした様々な設計の詳細を説明している。

「AV車を導入する理由は、すべてが安全性のためだと誰もが口をそろえて言いますが、実際には誰も次の項目にたどりついていません。衝突を防いで命を救うため、実際に何をすれば良いのでしょうか」。同社の最高安全イノベーション責任者であり、元国家道路交通安全局の責任者であるMark Rosekind(マーク・ローズカインド)氏はTechCrunchのインタビューの応じ、このように話している。

同氏のよると、最新の報告書がその質問に答えているという。

Zooxは競合他社とは少し違う。同社は自動運転のソフトウェアスタックの開発だけではなく、オンデマンドのライドシェアリングアプリや車両そのものの開発を行い、さらにはロボタクシーフリートの所有、管理や運営までをも計画しているのである。

12月、Zooxは同社が一から製作した自律走行可能な電動ロボタクシーを公表した。センサーを搭載したキューブ型の車体にハンドルやサンルーフはなく、4人を乗せて時速75マイル(約120km)で走ることが可能だ。当時Zooxはこの4人乗りの車両の仕様として、列車のような対面式の座席構成や、1回の充電で最大16時間の連続運転が可能な133kWhのバッテリーなどを紹介。しかしすべてを明らかにしたわけではなく、搭乗者のほか歩行者や自転車、他のドライバーをどのようにして守るのかについては明かにされていなかったのである。

関連記事:アマゾン傘下のZooxがドライバーレスの電動ロボタクシーを初披露、最高時速120km

誤解のないよう書いておくが、安全報告書を発行しているAVメーカーはZooxだけではない。自主的な安全性自己評価レポート(VSSA)は同業界において比較的一般的になってきており、NHTSAの自動運転システムVSSA開示指標に含まれ、車両の設計、衝突シミュレーションシナリオ、テストのベンチマーク、搭乗者や道路利用者の保護対策などの12の分野をカバーすることになっている。

Zooxの最初の安全性報告書は2018年に発表され、ここでは同社の「防ぎ、守る」という理念が紹介されている。今回発表された最新の安全性報告書には、車両の設計に関する具体的な詳細を含む、同社の安全目標の達成方法が記載されている。そしてこの最新報告書が示唆するところによると、衝突回避システムや、車両が他の道路利用者とのコミュニケーションに使用する照明システムの詳細など、さらに多くの安全性報告書が発表される予定だ。

Zooxはこれまでに100以上の安全技術を設計し、専用車両にそれらを搭載している。その中から「運転制御」「単一障害点の排除」「搭乗者の保護」という3つのカテゴリーに分類される9つの技術について、ローズカインド氏が詳しく説明してくれた。

運転制御

画像クレジット:Zoox

Zooxの車両は独立したブレーキとアクティブサスペンションシステムを備えている。つまり、それぞれのブレーキには独自の電子制御ユニットが搭載されており、道路上のトラクションや重量配分をより正確にコントロールすることができ、その結果制動時間が短縮できる。

同車はまた、現在市場に出回っているAV車には存在しないとローズカインド氏が指摘する四輪操舵と、双方向性を備えている。四輪操舵とは車線内の位置と進行方向を同時に調整できる機能である。

「弊社のソフトウェアが車両の進路を決定すると、たとえスピードを出して縁石を通過しても、1センチ単位の精度でその進路を維持し続けます」とローズカインド氏。

四輪操舵と左右対称な車体デザインにより、双方向の走行が可能になる。双方向走行が可能になると、複雑で時間がかかり、対向車との事故のリスクを高めるUターンや3ポイントターンが不要になる。

単一障害点の排除

ローズカインド氏によると、同社の設計目標として、安全性上重要なシステムに単一障害点を存在させないという点があるという。例えば同車両には2つのパワートレインが搭載されており、モーター、ドライブシステム、バッテリーが互いに連動している。システム内の1つのコンポーネントが故障しても、もう1つのコンポーネントがそれを引き継ぐというわけだ。

また、車両には2つのバッテリーのほか、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのすべてを監視する安全診断システムも搭載されている。また、車両の四隅にはライダーやレーダーなどのセンサーが配置されており、それぞれが270度の視野を確保している。

診断システムはモニタリングにとどまらず、発見された故障や性能上の問題を軽減することも可能だ。例えば損傷や破片のせいでセンサーの性能が低下した場合、車両のクリーニングシステムを作動させたり、双方向から単方向に変えてセンサーが不完全でも基本的には問題ない位置に配置させたりすることができるとローズカインド氏は説明する。

「フェイルセーフ操作なら、走行を継続し、搭乗者を降ろし、問題があればそれを解決するか、または安全な場所に停車させることができます」。

搭乗者の保護

画像クレジット:Zoox

車内のすべての座席において5つ星の衝突防止性能を満たすというのがZooxの目標だ。同社は現在衝突テストを行っており、ローズカインド氏によると「かなり順調に進んでおり、ほぼ完成している 」とのことだ。

同社は5種類のエアバッグを内蔵した新しいタイプのエアバッグシステムを設計。カーテンエアバッグが車の両サイドに配置され、また正面のものは2つに分かれており頭、首、胸を保護できるようになっている。後部座席と側部座席のエアバッグもある。

このシステムにはエアバッグコントロールユニットが搭載されており、これが衝突の場所や速度を監視して、どのエアバッグをどのような順番で展開するかを決定する。すべてのエアバッグが一斉に開くのではなく、衝突場所や衝撃の大きさに応じてエアバッグが開く仕組みとなっている。

さらに、シートやバックル、シートベルトの表面にもセンサーが設置されており、搭乗者がシートベルトを着用しているかどうかを判断することが可能だ。全員がシートベルトを着用するまでは車は動きませんとローズカインド氏はいう。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

中国のロボットタクシーユニコーンのWeRideが5カ月で660億円を超える資金を調達

最近の中国における、自動運転産業の資金調達の状況を把握するのは難しい。広州とカリフォルニア州を拠点とするロボットタクシー企業WeRide(ウィーライド)は、ルノー・日産・三菱アライアンスを戦略的投資家の1つとして迎え、シリーズBとCの資金調達ラウンドによって、わずか5カ月弱で6億ドル(約664億円)以上を調達した

4年前に設立されたこのスタートアップによると、2021年5月に行ったシリーズCの資金調達で評価額が33億ドル(約3654億円)に跳ね上がったという。WeRideは、これまでその投資家の詳細を公表してこなかったが、中国時間6月23日、ルノー・日産・三菱が運営する戦略的ベンチャーキャピタルファンド「Alliance Ventures」、中国の国有プライベートエクイティファンド「China Structural Reform Fund」、中国のCDB Equipment Manufacturing Fundsを運用する「Pro Capital」から3億1000万ドル(約343億円)という多額の投資を受けたことを明らかにした。

投資情報の一部が未公開であるため、WeRideが設立以来どれくらいの資金を調達したかは不明だ。シリーズAラウンドでは「数千万ドル(数十億円)」の資金を獲得している。

ルノー・日産・三菱アライアンスがWeRideに資金を提供するのは、2018年に行われた最初の戦略的投資に続いて2回目となる。今回の資金調達は、中国市場向けのレベル4自動車の開発に向けて、両社が連携を強化するために行われた。WeRideのソフトウェアによって自動化された東風、日産の合弁会社が製造する電気自動車は、すでに1年半前から広州でロボットタクシーサービスを提供している。WeRideは研究開発のために、カリフォルニアでは日産車を使用している。

日産自動車のCOOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は、今回の提携について次のように述べている「中国がモビリティの未来を定義する最前線に立っている中で、私たちはWeRideと提携し、中国の人々の生活を豊かにするために、さらに革新的な技術やサービスを提供できることをうれしく思います」。

WeRide側も日産との提携について、同様にバラ色の印象を持っている。WeRideの創業者でCEOであるTony Han(トニー・ハン)氏は「過去3年間にわたり、彼らはWeRideの自律走行プラットフォームを支える重要な役割を果たしてくれました。そのおかげで当社は先進的なロボットタクシー群を生み出すことができたのです」と語った。

「日産自動車からの継続的な支援によって、私たちは中国における無人ロボットタクシーの商業利用を加速させていきます」。

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

中国のPony.aiが2022年にカリフォルニアでのドライバーレスロボタクシー運用を計画

中国と米国で運用しているロボタクシーのスタートアップ、Pony.ai(ポニー・エー・アイ)は、2022年に計画している商用サービスに先立ち、カリフォルニア州の公道でドライバーレス車のテストを開始した。

ドライバーレス車両によるテストは、運転席にセーフティードライバー(安全管理者)がいない無人自動車が走ることを意味しており、カリフォルニア州フリーモントの公道で毎日行われている、と同社は語った。Pony.aiは中国の広州でもドライバーレス車のテストを行っている。

また同社は、2021年の夏にカリフォルニア州アーバインで、セーフティードライバーの乗った無人車を使ったライドシェアサービスを再開する計画であることも話した。目標は、2022年に完全ドライバーレス・サービスを展開することだ。

「完全ドライバーレス化は完全自律運用への鍵であり、私たちの野心的計画にとって不可欠な起爆剤です」とPony.aiのCEOで共同ファウンダーのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏はいう。

Pony.aicが商用サービスを運用するためには規制のハードールがいくつか残っている。ドライバーレス乗車サービスを有料で提供しようとする無人運転車企業は、カリフォルニア州運輸局(DMV)とカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)の両方から運用許可を受ける必要がある。GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCから乗客輸送テストが可能なドライバーレス自動運転サービス許可を受けた最初の企業となった。DMVの最後の一歩は運用開始許可で、これまでにNuro(ニューロ)のみが取得している。

Ponyのカリフォルニア州でのドライバーレス・テストのマイルストーンは、州がPonyの6台のドライバーレス車両によるテストを約39平方マイル(101平方km)の地域で行う許可を出してから1カ月後だった。何十という会社(計55社)がセーフティードライバー付き自動運転車のテスト許可を取得しているが、ドライバーレス車両の許可受けるのは稀だ。Ponyは同州でドライバーレス・テスト許可を受けた8番目の会社で、取得企業には中国のAutoX(オートエックス)、Baidu(バイドゥー)、およびWeRide(ウィーライド)、米国のCruise、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)らがいる。商業的運用が可能な deployment permit(運用開始許可)を受けているのはNuroだけだ。

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Pony.aiは、2016年にBaiduの開発者だったペン氏とLou Tiancheng(ルー・チャンチェン)氏が設立し、2017年にセーフティードライバー付き無人運転車のテスト許可を取得した。5月にカリフォルニア州DMVが発行したドライバーレス許可は、Ponyの州内における活動実績を踏まえて拡張された。

Pony.aiはカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでライドシェアのテストを行ってきた。2019年、電動無人運転のクロスオーバー車、Hyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)にPonyの自動運転システムとVia(ヴィア)のライドシェアリング・プラットフォームを搭載し、公道で乗客輸送を開始した。BotRide(ボットライド)と呼ばれるそのロボタクシー・サービスはドライバーレスではなく、運転席には常時人間セーフティードライバーが乗っていた。BotRideのパイロットは2020年1月に終了した。

その後同社は公開ロボタクシー・サービスのPonyPilotをアーバイン地区で運用開始した。その後、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために、乗客輸送から貨物輸送に切り替えた。Pony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuy(ヤミバイ)とも提携して、アーバインの顧客に無人ラストマイル配送サービスを提供した。その配送サービスは新型コロナパンデミックによって急増した注文に対応するための能力増強のために実施した、と当時Pony.aiは述べていた。

パンデミックが沈静化してカリフォルニア州に平常状態が戻るのに備え、Ponyは商業的ロボタクシーサービス運用の準備を進めている。その目標を達成するために、同社はすでに何社ものパートナーを集め、トヨタ自動車からの4億ドル(約440億円)を含む10億ドル(約1100億円)以上の資金を調達している。2020年11月、新たな2億6700万ドル(約290億円)の資金調達を完了した同社の企業価値は53億ドル(約5840億円)に達した。Ponyは、Bosch(ボッシュ)、Hyundai、トヨタをはじめとする自動車メーカー、部品メーカーとの提携、協業をいくつか行っている。

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画像クレジット:Screenshot/Pony.ai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転Motional CEOが示唆する物流業界の自律的な未来

Aptiv(アプティブ)とHyundai(現代自動車)の40億ドル(約4379億円)規模の合弁会社であるMotional(モーショナル)が、自動運転トラックや物流への関与の可能性を探っていることを、同社のCEOが米国時間6月9日開催されたTechCrunch’s 2021 Mobility Eventのライブセッションで語った。

TechCrunchのトランスポーテーション担当編集者であるKirsten Korosec(カーステン・コロセック)が司会を行うパネルで、Motionalのビジネスモデルをトラック輸送に拡大する意図について質問されたKarl Iagnemma(カール・インヤマ)氏は「もちろん、同じコア技術が複数のユースケースに適用できることがすばらしいことなのです」という。「それは似ています。同じではありませんが、似ているのです。そのため、他のユースケースも積極的に検討しているところです。この分野では、さらなる活動を行う予定です。今日は特に発表することはありませんが、この先たくさん出てきますよ」。

もちろんMotionalは、たとえばロボットタクシーモデルのように、人間を運ぶための自動運転という難しい技術的問題を解決することが、最大の経済的チャンスになると考えているのだが、インヤマ氏は、人間を運ぶ場合でも小包を運ぶ場合でも、自動運転の核心には知覚、計画、意思決定、ローカリゼーションといった同じ難しい問題が横たわっていると認識している。

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配送・物流モデルの何が最も魅力的なのかという問に対して、インヤマ氏は「現在開発中のものに、技術的な観点から最も近い位置にある優れたビジネスチャンスを探しているのです」と答えた。「本当に、それに尽きると思っています。こうした異なるユースケースは、場合によって、その周りにあるビジネスケースが大きく異なるため、機会も大きく異なるのです。そのことは、社内での順位付けにも役立っています。何がおもしろいチャンスなのでしょう?そしてまた、現在の技術開発の道筋に沿う形で、言ってみれば最小の労力増加で最大の機会増加につながるようにしようとしているのです。それが、Motional社内での戦略指針のようなものです」。

セッションのもう1人のパネリストだった自動運転車企業Aurora(オーロラ)の共同創業者でCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏は、配車サービスや乗客輸送業における自動運転技術は、長期的には変革をもたらすビジネスであると同時に、トラック輸送を凌駕するビジネスになると認めている。Auroraは現在、ロボットタクシーではなく、貨物輸送アプリケーションに注力している。理由はいくつか挙げられるが、今すぐにでもスケールアップできるからというのもその1つだ。

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「ロボットタクシー市場は発展に時間がかかりますが、貨物・トラック輸送の市場はすでに存在しています」とアームソン氏はいう。

両パネリストとも、自動運転の世界には「安直に手に入る果実」は存在しないという点で一致している。自動運転車全体の課題を解決することは難しいが、都市の道路網の変動を考慮する必要のないトラック輸送であれば、もう少し簡単に解決できるのではないかとアームソン氏は主張する。高速道路はほぼ均一な性質を持っているため、そこを走行するための自動運転システムを構築することはより容易なのだ。

「ですから、運用が規定された設計領域で技術を成功させるという最初の難関を突破できれば、技術の拡大から運用の拡大へと展開が進んでいきます」とアームソン氏はいう。「それは、従来のビジネスのようなものにより近いものに見えます。このように、事業と運営の規模を拡大し、収益源を確保しておくことで、そのコア技術を応用して配車ビジネスに参入し、その分野でも刺激的なビジネスを構築することができる余裕が生まれると考えています」。

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タグ:Motional自動運転物流Auroraロボタクシー

画像クレジット:Motional

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

GMの自動運転車子会社で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、マイクロソフト、ホンダも出資しているCruise(クルーズ)は、ハンドルを握る人間の安全管理者がいないテスト車両で乗客を運ぶ許可を取得した。

この許可証は、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)がドライバーレス・パイロット・プログラムの一環として発行したもので、自動運転車メーカーが商業的な運用を開始する前に満たさなければならない規制要件の1つだ。この許可証は重要だ。Cruiseは許可証を取得した最初の会社となった。しかし、この許可証に基づくテスト用の自動運転車では乗客に料金を請求することはできない。

「カリフォルニア州で乗客向けの商用サービスを開始するためには、カリフォルニア州DMV(車両管理局)とCPUCの両方から商業許可証を発行してもらう必要があります。私たちは本日、カリフォルニア州PUCから、乗客の輸送をテストするためのドライバーレス自動運転サービス許可証を最初に受け取ったことを光栄に思います」と、Cruiseの政府担当ディレクターであるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、TechCrunchに対してメールでの声明で述べた。

自動運転車のテストと最終的な運用開始を決定する規制機関は、CPUCとカリフォルニア州DMVの2つ。カリフォルニア州DMVは、安全運転者の有無にかかわらず、自動運転車のテストを監督する。約55社が安全運転者付きの自動運転車のテスト許可を取得した。人間が運転しないドライバーレス・テスト許可証は、カリフォルニア州で商用のロボットタクシーや配送サービスを開始しようとする企業にとって新たなマイルストーンとなり、必要なステップとなっている。AutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Pony.ai、Waymo、WeRide、Zooxは、DMVからドライバーレス許可証を取得した。

DMVでの最後のステップは、Nuroだけが達成した運用開始許可だ。この許可により、Nuroは商業規模での運用が可能になる。Nuroの車両は乗客を乗せず、貨物だけを積載できるため、CPUCの許可プロセスを回避できる。

CPUCでは「Drivered」と「Driverless」という許可証があり、いずれも企業に自動運転車へ客を乗せることを許可する。Aurora、AutoX、Cruise、Deeproute.ai、Pony、Voyage(Cruiseに買収された)、Waymo、Zooxなどが「drivered」の許可を得た。Cruiseはドライバーレスの許可証を最初につかんだ企業だ。

将来的に、ロボットタクシーでシャトルバスを運行し、乗客に乗車料金を請求したいと考える企業は、DMVとCPUCからこれらの許可をすべて取得しなければならない。

「CPUCの自動運転車乗客サービスパイロットプログラムにおける最初の無人運転許可証が発行されたことは重要なマイルストーンです。自動運転車は、個人のモビリティニーズを解決し、道路の安全性を向上させ、州内の商品を持続的かつ効率的に移動させることで、交通システムやコミュニティを変革する可能性を秘めています」と、Genevieve Shiroma(ジュヌビーブ・シロマ)コミッショナーは声明で述べた。「自動運転車の効果的な運用開始は、車両の製造、メンテナンス、サービスのビジネスモデルを変革し、カリフォルニア州の労働力に新たな雇用と産業を創出することにもつながります」。

CPUCは2020年、長い規制上の手続きをパスすれば、許可された企業が自動運転車によるライドシェアサービスを提供し料金を請求できる2つの新しいプログラムを承認した。この決定は、自動運転車業界がCPUCに対し何カ月にもわたって働きかけた結果だ。業界は、無人運転車による料金徴収とライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討するよう働きかけてきた。

CPUCによると、Cruiseは最終的にパイロット版に参加する他の企業とともに、ドライバーレス自動運転車乗客サービスを提供する車両の運行状況について、四半期ごとに報告書を提出しなければならない。また、ドライバーレス運行における乗客の安全を守るための計画をまとめた乗客安全計画を提出しなければならない。

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画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】完全自律運転車の航続距離を伸ばす鍵は「光」だ

編集部注:本稿の著者Nick Harris(ニック・ハリス)氏は、科学者でエンジニア、そしてフォトニックプロセッサーを製造するLightmatterの創業者兼CEO。

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先進運転支援システム(ADAS)は計り知れない可能性を秘めたテクノロジーだ。ニュースの見出しを見ていると、自律運転車の将来は暗いのではないかと時折思うことがある。自律運転車に関する事故、規制、企業の過大な評価額が過大評価されているという意見るためだ。これらはどれもそれなりの根拠に基づく報道なのだが、自律運転車の世界が持つ驚くべき可能性を見えにくくしている。

自律運転車のメリットの1つが環境負荷の軽減であることは一般的に認められている。なぜなら、自律運転車のほとんどは電気自動車でもあるからだ。

業界アナリストによるレポートでは、2023年までに730万台(市場全体の7%)が自律運転機能を搭載するため、15億ドル(約1649億円)相当の自律運転専用プロセッサーが必要になると試算されている。さらに、2030年までに自動車販売台数の50%が米国家道路交通安全局(NHTSA)によって定義されたSAEレベル3またはそれ以上の自律運転機能を備えるようになった場合、必要とされる自律運転専用プロセッサーは140億ドル(約1兆5390億円)相当まで増加する見通しだという。

自律運転電気自動車(AEV)が消費者を満足させる航続距離、安全性、パフォーマンスを提供して期待に完全に応えるには、コンピューティングとバッテリーに関するテクノロジーを根本から革新することが必要かもしれない。

光チップの方が高速でエネルギー効率も高いため、SAEレベル3に達するのに必要なプロセッサーの数は少なくなる。しかし、光チップによるコンピューティング性能の向上がSAEレベル5の完全自律運転車の開発と実用化を加速させるだろう。そうなれば、2030年までに自律運転用の光チップの市場規模は、現在予測されている140億ドル(約1兆5390億円)をはるかに上回る可能性がある。

AEVは非常に幅広い用途で使用できる可能性がある。例えば、大都市でのタクシーサービスやその他のサービス、高速道路専用のクリーンな輸送車両などだ。このテクノロジーが、環境にすばやく大きな影響を及ぼし得ることを、我々は目にし始めている。実際に、このテクノロジーは今、人口密度も汚染度も非常に高い一部の都市で大気汚染の軽減に寄与している。

問題は、AEVが現在、サステナビリティ面での課題に直面しているということだ。

AEVが効率よく安全に走行するには、気が遠くなるような数のセンサーを駆使する必要がある。カメラ、LiDAR、超音波センサーなどはその一部にすぎない。それらのセンサーが連携して作動し、データを集めて、リアルタイムで検知、反応、予測することにより、いわば自動車の「目」になるのだ。

効果的かつ安全な自律運転に必要なセンサーの具体的な数についてはさまざまな意見があるが「自律運転車は膨大な量のデータを生成する」ということに異議を唱える者はいない。

それらのセンサーによって生成されたデータに対して反応するには、それがたとえシンプルな反応だとしても、多大なコンピューティング能力が必要とされるし、いうまでもなくセンサー本体を動かすためにもバッテリー電力が必要だ。さらに、データの処理と分析には、カーボンフットフリントがけた外れに大きいことで知られる深層学習アルゴリズムが使われる。

AEVがエネルギー効率の面でも経済的な面でも実現可能な代替輸送手段となるには、ガソリン車と同レベルの航続距離を実現する必要がある。しかし、AEVが走行中に使用するセンサーやアルゴリズムの数が増えれば増えるほど、バッテリーの持続時間、つまり航続距離は短くなる。

米エネルギー省によると、現在、電気自動車が充電なしで走れるのは300マイル(約483キロメートル)がやっとだ。一方、燃焼機関を搭載した従来型の自動車は、燃料タンクを1度満タンにすれば412マイル(約663キロメートル)走行できる。このうえ自律運転をするとなれば、航続距離の差はさらに広がり、バッテリーの劣化が加速する可能性もある。

Nature Energy(ネイチャー・エナジー)誌に最近掲載された論文によると、AEVの航続距離は都市部の走行時で10~15%短くなるという。

2019年にTeslaが開催したイベント「Tesla Autonomy Day」では、都市部の走行中にテスラの運転支援システムが作動すると航続距離が最大で25%短くなることが明らかになった。つまり、電気自動車の一般的な航続距離が300マイル(約483キロメートル)ではなく225マイル(約362キロメートル)になるということだ。これでは消費者が魅力を感じる航続距離に達しない。

第一原理解析を行うともっと詳しく理解できる。NVIDIA(エヌビディア)のロボタクシー向けAIコンピューティングソリューションであるDRIVEの消費電力量は800ワット、テスラのModel 3のエネルギー消費率は100キロメートルあたり11.9キロワットである。大抵の都市部で制限速度とされる時速50キロメートルで走行した場合、Model 3が消費するエネルギーは約6キロワットだ。つまり、AIコンピューティングだけで、自動車の走行に使われる総バッテリー電力の約13%を消費していることになる。

この例は、AEVに搭載されるコンピューティングエンジンを動かすには多大のエネルギーが必要であり、そのことが、バッテリー持続時間、航続距離、消費者に受け入れられるかどうか、という点を左右する非常に大きな問題になっていることを示している。

この問題は、現在の先進AIアルゴリズムに使われる電力大量消費型の現世代コンピューターチップを冷却するためにも電力が必要であるという事実によってさらに複雑化する。大量のAIワークロードを処理すると、半導体チップアーキテクチャは大量の熱を発生させるからだ。

このようなチップでAIワークロードを処理すると熱が発生し、その熱によってチップの温度が上がると、チップのパフォーマンスが下がる。そうすると、その熱を冷やすためにヒートシンク、ファン、その他の冷却機能が作動する頻度が増えて、そこでエネルギーが浪費され、バッテリー残量は減り、結果的に電気自動車の航続距離は短くなる。自律運転車の業界は進化を続けているが、AIコンピューティング用のチップが発する熱に関するこの問題を解決する新たなソリューションが緊急に必要とされている。

チップのアーキテクチャに関する問題

何十年もの間、我々はムーアの法則と、そこまで有名ではないスケーリング則であるデナード則を頼りに、フットプリント(専有面積)あたりのコンピューティング能力を毎年向上させてきた。現在、電子コンピューターのワットあたりの性能を大幅に向上させることはもう無理だということは広く知られており、世界中のデータセンターがオーバーヒートしている。

コンピューティング性能をもっとも大幅に向上させるには、チップのアーキテクチャから見直す必要がある。具体的には、特定のアプリケーションに特化してチップをカスタマイズする必要がある。しかし、アーキテクチャ面でのブレイクスルーは1回限りの手品のようなもので、コンピューティングの歴史においてブレイクスルーがいつ達成されるのかを予測するのはまったく不可能だ。

現在、AIアルゴリズムのトレーニングと、その結果として作られるモデルに基づく推論に必要とされるコンピューティング能力は、ムーアの法則下における増加率の5倍という指数関数的な速度で増加している。その結果、大きな経済的メリットがもたらされる程度までAEVを普及させるために必要なコンピューティング能力と、現在のコンピューティング能力との間に、巨大な差が生まれている。

AEVは、バッテリー航続距離と自律運転に必要なリアルタイムのコンピューティング能力とを両立させる点で苦戦を強いられている。

AEVのサステナビリティを向上させる「光コンピューティング」

AEVが消費者を満足させる航続距離、安全性、パフォーマンスを提供して期待に完全に応えるには、コンピューティングとバッテリーに関するテクノロジーを根本から革新することが必要かもしれない。量子コンピューターが近い将来に、あるいは中期的にでも、AEVが抱えるこの難題の解決策になるとは考えにくい。しかし、今すぐブレイクスルーを達成できる、もっと現実的な別の解決策がある。それは、光コンピューティングだ。

光コンピューティングでは、電気信号の代わりにレーザー光を使ってデータの計算と伝送を行う。その結果、電力消費量は劇的に減り、クロック速度やレイテンシーなどの重要な処理能力パラメータは向上する。

さらに、光コンピューティングでは、多数のセンサーからのインプットを同時に1つのプロセッサーコアで処理して推論タスクを実行できる(各インプットには一意の色によって記号化されている)。一方、従来のプロセッサーは一度に1つのタスクしか処理できない。

ハイブリッド型の光半導体が従来の半導体アーキテクチャと比べて優れている点は、光そのものが持つ特異な性質にある。各データインプットは異なる波長、つまり「色」でコード化され、同じ神経回路網モデルを通る。つまり光プロセッサーは電子プロセッサーに比べてスループットが高いだけでなく、エネルギー効率も大幅に良いということだ。

光コンピューティングは、極めて高いスループットを低いレイテンシーと比較的少ない電力消費量で実現することが求められる応用分野で力を発揮する。例えば、クラウドコンピューティングだ。将来的には自律運転で応用できる可能性もある。自律運転では、膨大な量のデータをリアルタイムで処理することが求められるからだ。

光コンピューティングは現在、商用化の一歩手前まで来ており、自律運転に関する今後の見通しをさらに有望なものに変え、同時にカーボンフットプリントを減らす可能性を秘めている。自律運転車のメリットがますます注目を集めており、消費者が間もなく自律運転車を求めるようになるのは明らかだ。

そのため、自律運転によって変容する業界や路上における安全性について検討するだけでなく、自律運転が環境面でサステナビリティを確実に実現できるように取り組む必要がある。つまり、今こそAEVに「光を当てる」べきだ。

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タグ:自律運転先進運転支援システム(ADAS)EVロボタクシーコラム

画像クレジット:5m3photos / Getty Images

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(文:Nick Harris、翻訳:Dragonfly)

ドライバーレスタクシーサービスWaymoがGoogleマップで予約可能に

フェニックスの郊外で自動運転車を使って営業しているライドシェアサービスWaymo Oneを、Googleマップでアクセスしたり予約したりできるようになった。

米国時間6月3日に行われたWaymoの発表によると、最初はAndroidユーザーのみだが、完全な自動運転車のライドシェア機能をマップアプリから使えるのはこれが初めてだ。この共同事業は、2つのAlphabet傘下企業を一緒にするだけでなく、大衆的知名度や親しみやすさを上げたいという、Waymoの意欲の表れでもある。

Waymoは米国でおよそ600台を保有しているが、そのうち300から400はフェニックスにある。ただし、そのすべてがWaymo Oneの運転手不在の自動運転車として使われているわけではない。Waymo Oneのサービスは運転者のいない完全な自動運転車だけを使い、運転席に安全管理者はいない。またGoogleマップに出現したら、それが確実に完全自動運転車であることを意味している。フェニックス地域ではテストのために走っている車両もあるが、Waymo Oneのサービスで使われている自動運転車の正確な台数をWaymoは明らかにしていない。

Waymo Oneが@Googleマップにいるよ。フェニックス都市圏にいてライドシェアオプションをタップしたら#WaymoDriverが動かしている完全自動運転車を呼べるんだ。

ただしプロセスでは、少々アプリを使い分ける必要がある。Googleマップでは、Waymo Oneの車両に直接アクセスして、予約や支払いをする方法がないため、Waymoアプリに移動して予約を完了しなければならない。ユーザーはまず、Android端末からWaymoのフェニックス都市圏(チャンドラーやメサ、テンピの一部を含む)にある場所への行き方や帰り方の入力が必要だ。またユーザーは、ライドシェアまたはトランジットのタブをタップすると、Waymoでの料金と到着時刻の予想が出る。

既存のWaymo One利用者はWaymoアプリに誘導されて乗車予約ができるが、新規利用者はPlayStoreに誘導されアプリをダウンロードすることになる。

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タグ:GoogleGoogleマップWaymo自動運転ロボタクシー

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

中国のロボタクシースタートアップPony.ai(ポニーエーアイ)は、カリフォルニア州の当局から自動運転車両をセーフティードライバーが乗り込むことなしに3都市で試験する許可を取得した。

全部で55社がセーフティドライバー付きでの自動運転車両のテストを行う許可を得ているが、ドライバーなしの許可を得ている企業はずっと少ない。Ponyは同州でこの手の許可を得た8番目の企業であり、その他の企業は中国企業のAutoX、Baidu、WeRide、そして米国企業のCruise、Nuro、Waymo、Zooxだ。この中でNuroだけがいわゆる運営許可を得ていて、商業展開ができる。

自動走行車両のテストを管轄するカリフォルニア州車両管理局が発行する許可は、同州でのPony.aiの既存の活動を拡大する。同社は2017年からセーフティドライバー付きでの自動走行車両テストを許可されてきた。

新たな許可の下で、Pony.aiは自動走行車両6台をドライバーなしで、フリーモント、ミルピタス、アーバインの特定の道路でテストできるようになる。許可には制限がある。車両のスピードは時速72km以下で、良好な天候と小雨の状況でのみ走行が許される。試験はまずフリーモントとミルピタスで午前10時から午後3時の間に行われる。

こうしたドライバーなしのテスト許可を得ている企業は保険の証明か500万ドル(約5億4000万円)相当の債券を提出し、またテクノロジーでつながった遠隔オペレーターを訓練するなどいくつかのルールに従わなければならない。当局によると、ドライバーなしのテスト許可取得企業は、ドライバーレス車両が関わった事故が発生した場合、10日以内に州車両管理局に報告し、テストを止めた場合は年次レポートを提出する必要もある。

2016年に元Baidu開発者のJames Peng(ジェームズ・ペン)氏とLou Tiancheng(ルー・ティエンチェン)氏によって創業されたPony.aiは比較的短い期間に多くのパートナーや投資家を獲得した。2020年11月に同社は2億6700万ドル(約290億円)の資金調達後に評価額が53億ドル(約5770億円)に達した、と述べた。中国とカリフォルニアで事業を展開する同社は、トヨタからの4億ドル(約436億円)を含め、創業以来10億ドル(約1089億円)を調達した。Pony.aiはBosch、Hyundai、トヨタを含む自動車メーカーやサプライヤーといくつかの提携やコラボレーションを抱えている。

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Pony.aiは小型車から大型トラックまであらゆるサイズの車両のためのアグノスティック・バーチャル・ドライバーと呼ぶものを構築中で、それはライドシェアとロジスティック(配達)サービスネットワークで運用される見込みだ。同社は2019年に、自社の自動テクノロジーを長距離トラックマーケットに応用するためにOEM、そしてサプライヤーと協業している、と話した。しかし同社はおそらくロボタクシーでの取り組みで最も知られている。

Pony.aiはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアをテストしてきた。2019年にPony.aiの自動走行システムとViaの配車プラットフォームを搭載したHyundaiのクロスオーバー電動自動走行車両Konaが顧客を乗せて公道走行を開始した。BotRideという名称のロボタクシーサービスはドライバーレスではなく、常にセーフティドライバーが運転席にいた。BotRideの試験は2020年1月に完了した。

Pony.aiはその後、PonyPilotという一般向けのロボタクシーサービスをアーバイン地区で開始した。新型コロナウイルスパンデミックが世界に広がったため、Ponyはロボタクシーサービスの対象を人から荷物へとシフトさせた。2021年4月にPony.aiはeコマースプラットフォームのYamibuyと、アーバイン地区の顧客への自動走行ラストマイル配達の提供で提携したと発表した。新たな配達サービスは、新型コロナパンデミックをきっかけとするオンライン注文の急増に対処する追加の能力を提供すべく立ち上げられた、とPony.aiは当時述べていた。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国Xpengが展開するLiDARを利用した自律運転EV

Elon Musk(イーロン・マスク)の、LiDAR(Light Detection and Ranging、光による検出と測距)に依存する企業は「破滅する」という発言は有名で、実際Tesla(テスラ)は、自動運転機能は視覚認識で成り立つという信念の元、レーダーを撤去しようともしている。しかし、中国のXpeng(シャオペン、小鵬汽車)は異なる考えのようだ。

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2014年に設立されたXpengは、中国で最も有名な電気自動車のスタートアップ企業の1つで、設立からわずか6年で上場を果たしている。同社はTeslaと同様、自動化を自社戦略の重要な課題と考えているが、Teslaとは異なり、レーダー、カメラ、Alibaba(アリババ)が提供する高精度地図、自社開発のローカリゼーションシステムの他、さらに最近ではLiDARを組み合わせて道路状況を検知、予測している。

Xpengの自律走行研究開発センターを統括するXinzhou Wu(ウー・シンヂョウ、吳新宙)氏は、TechCrunchのインタビューに応じ「LiDARは、子どもやペットなどの小さな動く障害物や、運転中の誰もが恐れる他の歩行者やバイクに対しても正確に距離を測定し、走行可能な空間を3Dで提供してくれます」と話す。

「LiDARに加えて、位置や速度を示す通常のレーダー、基本的なセマンティック(意味的)な情報を大量に持つカメラがあります」とウー氏。

Xpengは、2021年下半期に納車を開始する量産型EVモデルP5にLiDARを搭載する。この車はファミリーセダンで、Alibabaのマップに掲載された中国の高速道路や一部の都市の道路を、ドライバーが設定したナビに基づいて走行することができるようになる。LiDARを搭載していない旧モデルでは、すでに高速道路での運転アシストが可能だ。

「Navigation Guided Pilot(NGP)」というこのシステムは、TeslaのNavigate On Autopilotをベンチマークとしているとウー氏は話す。例えば車線変更、ランプへの進入、退出、追い越しの他、中国の複雑な道路状況ではよく観られる突然の割り込みに対する操作などを、すべて自動的に行うことができる。

「都市部は高速道路に比べて非常に複雑ですが、LiDARと精密な知覚能力があれば、基本的に3層の冗長性を持ったセンシングが可能になります」。

ADAS(先進運転支援システム)であるNGPでは、ドライバーはハンドルから手を離さず、いつでも車両をコントロールできる状態である必要がある(中国の法律では、ドライバーが路上でハンドルから手を離すことは認められていない)。Xpengの野望は、2~4年後にドライバーを排除すること、すなわちレベル4の自律性に到達することだが、実際の導入は規制次第とのことだ。

「しかしそれについてはあまり心配していません。中国政府はテクノロジーの規制に関して、実は最も柔軟だと思っています」とウー氏は話す。

LiDAR陣営

マスク氏がLiDARを嫌うのは、レーザーを使ったリモートセンシング手法のコストが高いことにある。ウー氏によると、初期の段階ではロボタクシーの上で回転するLiDARユニットに10万ドル(約1090万円)ものコストがかかっていたという。

「今では、少なくとも2桁は低くなっています」と話すウー氏。ウー氏は米Qualcomm(クアルコム)に13年在籍した後、2018年末にXpengに入社し、同社の電気自動車の自動化に取り組んでいる。現在は、Xpengの中核である、500人のスタッフを擁する自律走行研究開発チームを率いており、このチームの人数は2021年末までに倍増するという。

LiDARを搭載した新型セダンについては「次は、エコノミークラスをターゲットにしています。価格的にはミッドレンジと言えるでしょう」とウー氏は話す。

Xpengの車両に搭載されるLiDARセンサーは、深圳に本社を置くドローン大手のDJI(ディー・ジェイ・アイ)の関連会社であるLivox(ライボックス)が提供する。Livoxはより手頃な価格のLiDARが売りで、Xpengの本社かクルマで約1.5時間の広州を拠点とする。

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LiDARを採用しているのはXpengだけではない。Xpengのライバルで、より高価格帯の市場をターゲットにしている中国のNIO(ニーオ)は、2021年1月にLiDARを搭載したクルマを発表したが、このモデルの生産開始は2022年になる予定である。最近では、中国の国有自動車メーカーBAIC(北汽集団)の新しいEVブランドであるARCFOX(アークフォックス、極狐)が、Huawei(ファーウェイ)のLiDARを搭載した電気自動車を発売すると発表した。

マスク氏は最近、Teslaがカメラと機械学習による純粋なビジョンに近づくにつれ、製品からレーダーを完全に撤去するかもしれないと示唆している。マスク氏はTeslaの古いソースコードのコピーをXpengが持っていると主張しており、Xpengに好意的な感情を抱いていない。

2019年、Teslaは同社のエンジニアであったCao Guangzhi(ツァォ・グゥァンヂー、曹廣志)氏に対し、企業秘密を盗んでXpengに持ち込んだとする訴訟を起こした。Xpengは不正行為を繰り返し否定している。ツァォ氏は現在、Xpengに在籍していない。

供給の課題

Livoxは、ドローンメーカーであるDJIに「育てられた」独立した事業体であると主張しているが、ある関係者の話では、Livoxは別会社という位置づけの「DJI内のチーム」にすぎないという。DJIとの距離を主張する意図は、DJIが米国政府のエンティティリストに登録されているためだ。Huaweiを含む多数の中国ハイテク企業の主要サプライヤーがエンティティリストにより排除されている。

さらにXpengは、NVIDIA(エヌビディア)のXavierシステムオンチップ・コンピューティングプラットフォームや、Bosch(ボッシュ)のiBoosterブレーキシステムなどの重要部品を使用している。世界的に見ても、半導体の供給不足は続いており、自動車の幹部たちはチップにさらに依存するようになる自動運転車の将来のシナリオに悩み始めている。

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Xpengはサプライチェーンのリスクを十分に認識しているようだ。「第一に、安全性は非常に重要です。安全性の課題は国家間の緊張よりも重要です。新型コロナウイルス感染症に影響を受けているサプライヤーもありますし、複数の供給路を検討しておくことは、私たちが非常に重要視している戦略の1つです」とウー氏は話す。

ロボタクシーの攻勢

Xpengは、Pony.ai(ポニーアイ)や広州のWeRide(ウィーライド)など、中国で急増している自律走行ソリューション企業と手を組むこともできた。しかし、Xpengは彼らの競争相手となり、自社で自動化に取り組み、人工知能のスタートアップ企業を打ち負かすことを誓ったのだ。

EVメーカーとロボタクシーのスタートアップ企業の関係について、ウー氏は「自動車用の大規模なコンピューティングが手頃な価格で利用できるようになり、LiDARの価格が急速に低下している現在、この2つの陣営に大差はありません」。

「(ロボットタクシー会社は)量産車の開発を急ぐ必要があります。2年後にはすでに量産可能な技術になり、ロボタクシー企業の価値は今よりもずっと低くなってしまうと思います」とウー氏は続ける。

「私たちは、自動車産業に求められる安全性と検査の基準を満たす技術の量産方法を知っています。これは、生き残りを左右する非常に高いハードルです」。

Xpengにはカメラのみに頼る計画はない。LiDARのような自動車技術の選択肢がより安価で豊富になってきた今、なぜそれを利用せずにカメラのみにこだわる必要があるのか、とウー氏は問いかける。

「私たちは、マスク氏とTeslaに敬意を払い、彼らの成功を願っています。しかし、(Xpengの創業者である)Xiaopeng(何小鵬)の有名なスピーチにあるように、私たちは中国で、そして願わくば他の国でも、さまざまな技術で競争していきます」。

5Gは、クラウドコンピューティングやキャビンインテリジェンスと一体になって、Xpengの完全自動化の実現を加速させることになると思われるが、ウー氏は5Gの利用法についてはあまり詳しく語らなかった。無人運転が可能になり、ドライバーがハンドルから手が離すことができるようになれば、Xpengは車に搭載される「多くのエキサイティングな機能」を探求するだろう。すでにノルウェーで電気SUVを販売しているXpengは、さらなるグローバル展開を目指している。

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画像クレジット:Xpeng

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

中国の自動運転車両スタートアップWeRideが米サンノゼでの無人テスト許可を取得

このほど3億1000万ドル(約339億円)を調達した中国の自動運転車両スタートアップWeRide(ウィライド)が、米国カリフォルニア州サンノゼの公道で無人の車両をテストする許可を取得した。無人運転車両テストの許可を取得したのはAutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Waymo、Zooxに続き7社目となる。

自動運転車両開発の初期段階においては、テストの許可はセーフティドライバーが運転席に乗ることが必須だった。セーフティドライバーが乗り込んでの自動運転車両テストの許可は現在56社が取得している。人間が運転席に乗り込まないドライバーなしのテストの許可は新たな指標となり、商業ロボタクシーや配達サービスを米国で展開したい企業にとっては必須のステップだ。

カリフォルニア州内の自動運転車両テストを管轄するカリフォルニア州自動車管理局(DMV)は、今回の許可でWeRideはサンノゼ内の特定の道路でドライバーなしで自動走行車両2台をテストできる、と述べた。WeRideは2017年からドライバー付きでの車両テストの許可を持っている。同社はまた、どのように、そしていつ車両をテストするか規制されている。DMVによると、無人自動運転車両は時速45マイル(約72km)以下で走行し、テストは月曜日から金曜日の間に行う。ただし濃い霧や雨の場合、テストは不可だ。

カリフォルニア州でドライバーなしでのテストを行う許可を取得するには、企業は数多くの安全や登録、保険に関する要件を満たさなければならない。ドライバーなしテスト許可を申し込む企業は保険の証拠か500万ドル(約5億5000万円)相当の債券を提出し、車両がドライバーなしで走行できることを証明しなければならない。そして、連邦自動車安全基準を満たすか国道交通安全局からの免除を取得している必要があり、SAEレベル4あるいはレベル5の車両でなければならない。かつ、テスト車両は絶えず監視され、テクノロジーでつながったリモートオペレーターを訓練する必要もある。

ドライバーなしテスト許可所有事業者はまた、ドライバーなしテスト車両の衝突をすべて10日以内にDMVに報告し、離脱の年次報告を提出しなければならない。

WeRideのオペレーションの大半は中国で行われている一方で、今回の許可取得は同社が引き続き米国にも関心を持っていることを示している。中国・広州に本社を置くWeRideはR&Dとオペレーションセンターを北京、上海、南京、武漢、鄭州、安慶、そしてシリコンバレーに置いている。2017年創業の同社は2021年2月に広州で配車事業運営の許可を取得した。

同社は中国で最も資金を調達した自動運転車両テクノロジーのスタートアップで、出資者にはバスメーカーのYutong、中国の顔認証企業SenseTime、そしてとRenaultと日産、三菱の戦略ベンチャーキャピタル部門Alliance Venturesが含まれる。その他、CMC Capital Partners、CDB Equipment Manufacturing Fund、Hengjian Emerging Industries Fund、Zhuhai Huajin Capital、Flower City Ventures、Tryin Capital、Qiming Venture Partners、Sinovation Ventures、Kinzon Capitalも投資している。

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画像クレジット:WeRide

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMの自動運転子会社Cruiseがドバイでのロボタクシーサービス事業を契約、2029年まで独占

Cruise(クルーズ)が、そのロボタクシーの可能性をサンフランシスコ以外にも広げた。GM(ゼネラル・モーターズ)の自律走行車子会社で、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Microsoft(マイクロソフト)、Honda(ホンダ)の支援も受けている同社は、2023年にドバイでロボタクシーサービスを開始する契約を結んだ。

ドバイでのロボタクシーサービスには、ハンドルやペダルのない、高速道路での走行を前提としたシャトル型自動運転EV「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」が使用される。2020年1月に発表されたOriginは、GMが製造する。

関連記事:GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場

Cruiseはドバイを拠点とする現地法人を新たに設立し、その新会社が車両の導入、運用、メンテナンスを担当していく。

RTA(Roads and Transport Authority、ドバイ道路交通局)の長官兼理事会長であるMattar Mohammed Al Tayer(マタール・モハメド・アル・ターイル)氏によると、ドバイの自動運転交通戦略の一環として、まず限られた台数の車両でサービスを開始し、2030年までに4千台の車両に拡大する計画だという。これらのロボタクシー、そして最終的にはサービスは、限定地域で徐々に導入され、その後、他の地域に拡大される予定だ。

ドバイのSheikh Hamdan bin Mohammed(シェイク・ハムダン・ビン・モハメド)皇太子は、Cruiseとの契約について「2030年までにドバイにおける交通手段の25%を自動運転による移動に変えることを目指す、自動運転交通戦略(Dubai Autonomous Transportation Strategy)の実現に向けた大きな一歩」と述べている。

重要なのは、Cruiseが少なくとも向こう数年間はドバイを手中におさめるという点だ。今回の契約に基づき、Cruiseは2029年まで、ドバイにおける自動運転タクシーおよびライドヘイリングサービスの「エクスクルーシブ・プロバイダー」となる。アル・ターイル長官は、Cruiseの選定は軽々しく行われたものではなく、複数年にわたる包括的なプロセスを経て行われたと述べている。

関連記事:GMの子会社Cruiseが運転手なしの自律走行車公道テストをサンフランシスコで開始

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

ヒュンダイの電気自動車IONIQ 5がMotionalとLyft初のロボタクシーに

Motionalは同社の自動運転技術を現代自動車の新型完全電動SUVに統合し、Motional初のロボタクシーを開発する。2023年初頭には一部の市場の顧客かLyftアプリを介してこの完全電動・完全自動運転タクシーを予約できるようになる。

2021年2月に公開され、2021年後半に一般発売が予定されているHyundai IONIQ 5は、Motionalの無人運転システムに完全に統合される。LiDAR、レーダー、カメラなど、レベル4の自動運転機能に必要なハードウェアとソフトウェアが装備され、車両のセンシングシステムは360度の視界を提供し、300メートル先まで見通すことができる。このレベルの無人運転技術は、人間が運転を引き継ぐ必要がなくなることを意味する。

Motionalの広報担当者によると、車内の居住空間は民生用モデルと同様だが、ロボタクシーの運転に必要な機能が追加されているという。同社は車両にハンドルが搭載されているかどうかは明らかにしておらず、またロボタクシーの画像も公開していない。

MotionalのIONIQ 5ロボットタクシーはすでに公道とクローズドコースでテストを開始しており、Lyftのプラットフォームに導入される前に、さらに何カ月ものテストと実世界での経験を経なければならない。Motionalはロボットタクシーが人間のドライバーよりも安全であると確信した時点でテストを完了するとしている。

MotionalはAptivと現代自動車が40億ドル(約4400億円)を投じて設立したジョイントベンチャーで、2020年12月にLyftとの提携を発表し、その計画にLyftが主に関与することを示した。Motionalは最近、ラスベガスの公道で無人運転技術のテストを開始したとも発表している。現代自動車のIONIQ 5はMotionalが公道で無人運転を行う2番目のプラットフォームだ。

関連記事:2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ、MotionalとLyftが提携

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画像クレジット:Hyundai

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:塚本直樹 / Twitter

自動運転開発のCruiseが同業Voyageを買収、ロボタクシー商業化へ前進

Udacity(ユーダシティ)のスピンアウトで自動運転車開発のスタートアップVoyage(ヴォヤージュ)がCruise(クルーズ)に買収された。発生期にある産業における統合が続いていることを示す取引だ。

金銭的条件は開示されなかった。Voyageの総勢60人のチームはCruiseに加わり、Voyageの共同創業者でCEOのOliver Cameron(オリーバー・キャメロン)氏はプロダクト担当副社長に就任する。Stellantisと呼ばれるVoyageのFCAとの提携はCruiseによる買収がクローズすれば解消となる。

2017年創業のVoyageは、CruiseやArgo AI(アルゴエーアイ)、Waymo(ウェイモ)、Aurora(オーロラ)といった資金潤沢な企業に比べると零細だった。しかしその規模、そしてわずか5200万ドル(約56億7400万円)の資金調達にもかかわらず、キャメロン氏はVoyageを際立たせた。同社は2つの高齢者居住コミュニティでの事業展開でよく知られている。Voyageはカリフォルニア州サンノゼの4000人が暮らす退職者居住地域と、フロリダの12万5000人が暮らす広さ40平方マイル(約103平方キロメートル)の高齢者居住地域The Villagesでテストを行い、乗車を提供した。

「Voyageのアプローチは、移動のための足を最も必要とする人、つまり高齢者にモビリティを戻すプロダクトを提供するために当社の限られたリソースを活用するというものでした。この目標に向けて当社は大きく前進しました。コミュニティ周辺で数えきれない高齢者(最高齢者は92歳!)に移動手段を提供しました」とキャメロン氏は買収を発表するブログに書いた。「いまCruiseで我々は、ゆくゆくは高齢者だけでなく自動運転サービスの恩恵を受けるあらゆる年齢層の人々にサービスを提供するための十分なリソースを持つことに興奮しています」。

Voyageは2つの高齢者居住地域での事業からすぐさま撤退したりはしない。しかしながらCruiseは、同社が注力しているのはサンフランシスコでの商業事業であることをTecCrunchに繰り返し述べた。Cruiseはタイムラインを示さなかったが、テストや高齢者居住コミュニティでの事業展開はいずれ終了を余儀なくされる。

プロダクト担当副社長というキャメロン氏の役割は、Cruiseがサンフランシスコで商業ロボタクシーサービスを立ち上げる計画に近づいていることの表れだ。Cruiseはハードウェア、ソフトウェア両方のエンジニアを数百人雇ったが、ロボタクシーユーザーの忠実な基盤を構築するのに顧客を獲得する必要がある。キャメロン氏は新たな役割でCruisの自動運転サービスのために顧客との接点をじっくりと考えることになる。

同氏は米国時間3月15日朝のツイートで、CruiseとVoyageの合体を「すばらしい結婚」と表現した。Cruiseが「最も高度な自動運転テクノロジー、ユニークな自動車企業パートナー、初の専用自動運転者を持っている」と指摘した。「Voyageと当社の顧客サービス第一のチームで、我々はともに革新的な自動運転プロダクトを提供します」。

Cruiseは車両開発を進めるための資金を持っている。2021年初め、同社は新規ラウンドで20億ドル(約2180億円)を調達して評価額は300億ドル(約3兆2740億円)となり、投資家ならびにパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わったと明らかにした。Cruiseがテクノロジー商業展開に近づくなか、GM(ゼネラル・モーターズ)とホンダ、他の機関投資家もさらに資金をCruiseに注入した。

関連記事:GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi