学習支援プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テスト実施までのフローを一元化

  1. 学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

モノグサは9月22日、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」(Android版iOS版)の「小テスト機能」をアップデートしたと発表した。Monoxer上で作成したBook(問題集)をそのまま小テストとして使えるため、記憶定着からテストにおける確認まで、Monoxer上で完全に一元化できる。

これまでのMonoxerでは、先生が児童・生徒に憶えてもらいたい項目をBook(問題集)として作成し、その確認のための小テストは別途作成をする必要があった。今回のアップデートにより、学校や塾の先生方にとってより手間がない形で、記憶定着から確認テストの実施までのフローをサポート可能となった。

2021年4月に正式リリースした小テスト機能は、児童・生徒が学んだ内容をMonoxer上で小テストにし、AIが自動採点するという機能。多くの学校・塾では、先生が紙のテストをプリントアウトおよびコピーし、生徒に解かせた後に採点して、点数を集計している。膨大な時間が割かれていることから、同社は、このプロセスをMonoxerを活用し小テスト機能としてデジタル化した。

Monoxerでは、手書き入力や音声認識など機能を利用することで先生は様々な形式のテストを作成し、採点をすべてAIに任せられるという。作成する小テストは、配点・制限時間・難易度の設定が可能。択一問題から英単語や漢字を入力する問題まで、これまで紙でできていたテストから、デジタルならではのもの作ることも作成できる。

また、Monoxerにおける学習履歴・記憶度と小テストの結果を比べることで、一夜漬けなのか、日々の学習の成果なのかわかるため、長期の目標に対しても正しく進捗を把握できるという。学習履歴とテスト結果を紐付けることで、生徒や保護者に対して、結果だけでなく、プロセスも共有可能となっており、先生、保護者、児童・生徒の三者間でより強固な関係性を構築できるとしている。学習プラットフォームMonoxerの「小テスト機能」がアップデート、記憶定着から確認テストの実施までのフローが一元化

Monoxerは、児童・生徒におぼえてほしい内容を先生が登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題が自動で作成されるという、記憶定着のための学習プラットフォーム。生徒は作成された問題をスマホ・タブレットのアプリで学習可能な上、個別の習熟度・忘却度に応じて、リアルタイムで問題の出題頻度や難易度が調整される。このため、児童・生徒それぞれのレベルにあった学習が実現できるとしている。

また、遠隔でも生徒の学習状況・定着度がわかるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行うことが可能という。

 

累計利用件数2.8億件のBNPLサービス「NP後払い」のネットプロテクションズが約10億円調達、株式評価額1060億円に

累計利用件数2.8億件のBNPLサービス「NP後払い」のネットプロテクションズが約10億円調達、株式評価額1060億円に

ネットプロテクションズホールディングスは9月24日、MY.Alpha Managementが運営するファンドを引受先とする、約10億円の第三者割当増資について合意したと発表した。MY.Alpha Managementは、投資運用会社York Capital Managementからスピンオフした投資顧問会社。

また、アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドからMY.Alpha Managementが運営するファンドに対して総額約17億円の既存株式譲渡を行う。

今回の資金調達および株式譲渡により、ネットプロテクションズホールディングスの2021年における資金調達の総額は80億円超となった。今回の資金調達を前提とした同社の株式価値評価額は1060億円超(1株あたり払込金額1098.211円に増資完了時の予定発行済株式総数(潜在株式を含む)96,521,000株を乗じたもの)となる。

調達した資金は、事業拡大にむけた新規機能開発、プロモーション活動の強化などに対応するための財務基盤強化などに活用する。

MY.Alpha Managementは、2021年9月1日時点で約100億ドル(約1.1兆円)の運用資産を持つ、York Capital Managementのアジア部門がスピンオフした投資顧問会社。このスピンオフに伴い、2021年9月1日時点で約35億ドル(約3900億円)の運用資産を持つ新運用会社となった。

ネットプロテクションズは、2002年より、未回収リスク保証型の後払い決済(BNPL)サービス「NP後払い」の提供を開始。2020年度の年間流通金額では前年度比約16%の成長率、年間ユニークユーザー数が1580万人(2020年4月1日~2021年3月31日における「NP後払い」の利用者のうち、氏名・電話番号の双方が一致する利用者)に達した。また、2021年3月までに累計利用件数が2億8000万件を突破したという。

また2011年より企業間取引向けに「NP掛け払い」の本格販売を開始し、2020年度年間流通金額では前年度比約27%の成長率で伸長した。

2017年には、BtoC向けカードレス決済「atone」(アトネ)の提供を開始した。2018年には、台湾においてもスマホ後払い決済サービス「AFTEE」(アフティー)をリリースしている。

これらの事業を通じて、顧客の購買歴・支払い歴をあわせた取得難度の高い信用ビッグデータを保有しており、今後は様々な領域でのデータ活用・展開を模索するとしている。

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

フードデリバリー比較注文アプリ「done!」(ダン)を手がける「いえメシ」は9月24日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による3500万円の資金調達を発表した。引受先はDRG Fund、MIRAISE。調達した資金は、done!の開発体制の強化にあてる。

また、done!の正式開始は10月中旬予定としており、本日東京都在住者向けにクローズドβ版を公開し、先行利用(利用料無料)の受付を開始した。申し込みは、「先行利用受付フォーム」から行える。

done!は、フードデリバリーを横断検索して注文できるアプリ。サービスごとに異なる料金や時間を一括で比較し、最適なデリバリーを提案するという。「料金を安く抑えたい」「注文する料理がマンネリぎみなので、おいしいお店を効率よく探したい」「グルメサイトでの評価を毎回確認しにいくのが面倒」といったユーザーの声に応えるとしている。

取り扱いサービスは、デリバリーサービスが出前館・Uber Eats・menu・Wolt・foodpanda・楽天ぐるなびデリバリーで、グルメサイトは食べログ。掲載エリアは東京都内(全国対応に向け順次拡大予定)。フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

現在、多種多様なフードデリバリーサービスが立ち上がる中、ユーザーには無数の選択肢があるものの、自分が本当に食べたいものやお店を探すのは容易ではない。いえメシによると、店舗ごとに契約するサービスが異なり、あるサービスでは希望の店舗が掲載されていないというパターンもよくあるという。また、フードデリバリー利用時にユーザーが感じる不満などに「配送料金が高い」「配送エリアが限られる」「届くまでの時間が長い」がトップ3として上がるそうだ(クロス・マーケティング。2020年11月「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査」)。

いえメシは、こうしたユーザーのニーズに応えるためにdone!を開発したという。

フードデリバリー比較注文アプリdone!を手がける「いえメシ」が3500万円のシード調達

クロス・マーケティング。2020年11月「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査

産業廃棄物を回収する収集車の配車計画を自動作成するSaaS「配車頭」を手がけるファンファーレが1.5億円調達

産業廃棄物を回収する収集車の配車計画を自動作成するSaaS「配車頭」を手がけるファンファーレが1.5億円調達

廃棄物業界の省力化・効率化に取り組むファンファーレは9月21日、総額1億5000万円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND(シンガポール)、Coral Capital。あわせて、Treasure Data(トレジャーデータ)共同創業者であり、同社取締役を務める芳川裕誠氏(前CEO・現会長)と太田一樹氏(前CTO・現CEO)がファンファーレのアドバイザーに就任したと明らかにした。

調達した資金は、産業廃棄物業界独自の機能や要件に応えるための、開発組織の拡充やカスタマーサクセス体制の構築・強化にあてる予定。

2019年6月設立のファンファーレは、産業廃棄物業界の省力化を目的に、2020年9月よりAIを使って産業廃棄物の回収のための配車計画を自動で作成するSaaS「配車頭」(ハイシャガシラ)を提供している。

配車頭は、AIが廃棄物の収集運搬のための配車計画の作成することで、既存の乗務員でより多くの配車を実現し、複雑で手間だった配車計画作成に必要な作業時間を大幅に短縮するという。

産業廃棄物を回収する収集車の配車計画を自動作成するSaaS「配車頭」を手がけるファンファーレが1.5億円調達

産業廃棄物を回収する収集車の配車計画を自動作成するSaaS「配車頭」を手がけるファンファーレが1.5億円調達

廃棄物業界の省力化・効率化に取り組むファンファーレは9月21日、総額1億5000万円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND(シンガポール)、Coral Capital。あわせて、Treasure Data(トレジャーデータ)共同創業者であり、同社取締役を務める芳川裕誠氏(前CEO・現会長)と太田一樹氏(前CTO・現CEO)がファンファーレのアドバイザーに就任したと明らかにした。

調達した資金は、産業廃棄物業界独自の機能や要件に応えるための、開発組織の拡充やカスタマーサクセス体制の構築・強化にあてる予定。

2019年6月設立のファンファーレは、産業廃棄物業界の省力化を目的に、2020年9月よりAIを使って産業廃棄物の回収のための配車計画を自動で作成するSaaS「配車頭」(ハイシャガシラ)を提供している。

配車頭は、AIが廃棄物の収集運搬のための配車計画の作成することで、既存の乗務員でより多くの配車を実現し、複雑で手間だった配車計画作成に必要な作業時間を大幅に短縮するという。

チャットボットサービス「BOTCHAN」を運営するwevnalが6億円のシリーズA調達

チャットボットサービス「BOTCHAN」を運営するwevnalが6億円のシリーズA調達

チャットボットサービス「BOTCHAN」を展開するwevnalは9月22日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約6億円の資金調達を発表した。引受先は、ニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ。

2011年4月設立のwevnalは、デジタルマーケティングを中心に事業を展開。現在SaaS事業への変革期として「BOTCHAN」事業に注力しており、D2C業界を中心に累計500社以上の企業に導入されているという。同社は、BOTCHANをLTVの最大化を実現するためのBX(Brand Experience)プラットフォームと再定義し、調達した資金は、その実現に向けたサービス強化、機能開発、データ整備を行うための人材採用などの強化、事業成長を加速するためのマーケティング強化に活用する。なおLTV(顧客生涯価値)は、1人の顧客が生涯に渡ってどの程度利益をもたらすかを算出した数値のこと。

発達障害支援VRのジョリーグッド社長が提言「職場・学校でもソーシャルスキルを学ぶ機会を」

ジョリーグッド代表取締役上路健介氏

少子高齢化に端を発する人手不足が深刻化する中、多様な人材に長く働いてもらうことが重要になってきている。発達障害や精神疾患を抱える人々も例外ではない。医療福祉系VRビジネスを開発・展開するジョリーグッドは、発達障害支援施設向けVRサービス「emou」(エモウ)を提供している。VRゴーグルを装着してバーチャルな環境でコミュニケーションを学ぶサービスだ。VR技術によって障害者支援はどう変わるのか。同社代表取締役の上路健介氏に話を聞いた。

「VRで発達障害支援」が事業化するまで

ジョリーグッドは2014年5月創業の医療VRサービス事業者だ。医師の手術を360度リアルタイムで配信・記録する医療VRサービス「オペラクラウドVR」、発達障害の方の療育をVRコンテンツで行う発達障害支援施設向けVRサービス「emou」、薬などを使わずにうつ病などの病気を治療するデジタル治療VRサービス「VRDTx」(未承認開発中)を中心にビジネスを展開している。

創業者でもある上路氏がテレビ業界出身だったことから、ジョリーグッドはメディアや制作プロダクション向けのVRコンテンツ作りのサポートから事業をスタートした。その後観光業向けのVRブームが起こり、それに関連したVR活用セミナーを開催したところ、医療機器メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンから高い評価を受けた。それがきっかけとなり、2018年11月に同社と医療研修VRを共同開発することを発表。医療VRビジネスを開始した。

そうこうしているうちに、ジョリーグッドの医療VRサービスのことを聞きつけた発達障害支援施設の関係者などから「ジョリーグッドの技術は発達障害の人が苦手とするソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)に活用できるはず」と声をかけられ、emouを開発するに至った。

上路氏は「当時の私は発達障害のことをよく知りませんでした。ですが、こうして声をかけていただいて、VR技術の新しい活用方法を開拓することができました」と振り返る。

発達障害とソーシャルスキルトレーニング

では、発達障害とはどんな障害なのか。

厚生労働省によると、発達障害とは「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態」だ。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが発達障害に含まれる。

発達障害の人はソーシャルスキルに課題を抱えることが多い。ソーシャルスキルとは、社会の中で周りの人と協調して生きていくための能力だ。コミュニケーションを取るためのスキルとも言い換えられる。

「ソーシャルスキルとひと言でいっても、その内容は多岐にわたります。声の大きさ、話し方、会話をしている最中の相手への配慮などが含まれます」と上路氏はいう。

ソーシャルスキルが試される場面は数多くあるが、仕事でミスをした時の対応の仕方、周りの人が噂話をしているときの立ち回りなど「気まずい空気」に対処する時を想像してもらえるとわかりやすいだろう。

さらに同氏によると、ソーシャルスキルを鍛える機会がなかったために、学校や職場などでコミュニケーションに失敗し、その経験がトラウマとなって社会に出たくなくなってしまう発達障害者もいるという。そのため、ソーシャルスキルを身につけ、強化する訓練であるSSTは重要なのだ。

上路氏は「大切なのは、発達障害を抱える人たちが学校や職場などの『社会』で経験するであろうさまざまな場面を事前に予習し、人やコミュニケーションに対する恐怖を取り除くことです。SSTはいわば『社会の予習』なのです。発達障害を抱える人の状況はそれぞれ異なりますし、症状の重さも多様です。『人に向き合うのがもう無理』という方もいます。1人ひとりに合わせて『まずは外の景色を見せる』『動物を見せる』『人を見せる』というように、段階的に、何回でも安全なVR空間でコミュケーションを練習してもらうことがSSTでは重要です」と話す。

「発達障害者支援」の課題

「VRでSSTを行う」と聞くと、それだけで画期的に聞こえる。しかし、実際のところ、発達障害支援施設ではVRを必要としているのだろうか。発達障害支援施設にはどんな課題があるのだろうか。

上路氏は「支援施設ではSSTを行いたくても、SSTのマニュアルがなかったり、カリキュラムがなかったりする施設は珍しくありません。また、SSTを行う指導員の育成にも時間がかかります。VRを使用しないSSTは、指導員による寸劇や紙芝居で行われます。『Aさんがこんな行動に出ました。Bさんがこんなことを言っています。あなたはどうしますか?』という具合に、特定の状況を再現し、適切な対応を学んでいきます。この時、発達障害を抱える方は想像することが苦手なため、受講者の理解の深さは指導員の演技力や個人の能力に依存してしまいます」と問題を指摘する。

それだけではない。寸劇や紙芝居でのSSTは、現実に起きるであろうあらゆるシチュエーションを発達障害者に見せ、イメージさせることで、実際の「その場面」に備えさせるものだ。しかし「その場面」にまだ遭遇していない発達障害者にとっては、イメージすること自体が非常に難しい。

「中にはイメージ作業そのものが負担になり、SSTを嫌いになってしまう方もいるんです」と上路氏。

だが、VRを使ったSSTでは、発達障害者はVRを通して「その場面」を擬似的に体験できるため「イメージする」という作業がなくなる。さらに、没入感の強いバーチャル空間をゲーム感覚で体験することもでき、SSTを楽しむ人もいるという。

支援施設の課題はSSTだけではない。発達障害支援施設の数は年々増しており、当事者やその家族がより良い施設を選ぼうとしているのだ。施設間の差別化や競争が始まっている。

「現状、支援施設は独自のツールとノウハウでSSTを行っています。そのため、支援施設の違いや個性が見えにくかったり、指導員の質にばらつきが出ます。emouのようなVRとSSTコンテンツがセットになったものを使えば、同じクオリティのコンテンツで何人もの施設利用者にSSTを行えます。指導員の教育コストを下げることもできます。さらに、『VRを活用している』ということでプロモーションにもなります。実際、emouを導入した支援施設で、導入をきっかけにメディアに取り上げられたところもあります。支援施設のビジネスというのは、定員を満たさないと十分な利益が出せません。なので、プロモーションや差別化というのは非常に重要な問題なのです」と上路氏はいう。

コミュニケーションで問題を抱えているのは障害者だけ?

emouは、SSTコンテンツのサブスクリプションサービスだ。360度のVR空間で「挨拶」「自己紹介」「うまく断る」「自分を大事にする」「気持ちを理解し行動する」「仲間に誘う」「仲間に入る」「頼み事をする」「トラブルの解決策を考える」など、100以上のコンテンツを利用することができる。

emouには指導員向けの進行マニュアルと導入マニュアルも含まれており、SSTの実績がない施設や、SSTの経験が浅い人材でも一定の質でSSTを実施できる。

導入開始時に導入初期費(5万5000円)、VRゴーグルにかかる機材費(3台で19万8000円、こちらは導入施設が買取る)、月々5万5000円のサービス利用費がかかる。翌月からはサービス利用費の支払いだけで良い。導入施設で準備するのはコンテンツ管理 / SSTの進行管理のためのiPadのみとなる。

ここまで見てきたように、emouは発達障害者の支援のために開発されたサービスだ。しかし、emouの開発と活用が進むにつれ「SSTが必要なのは発達障害を抱える人だけではない」と上路氏は気づいた。

「うまく断るとか、自分を大事にするとか、頼み事をするとか、トラブルの解決策を考えるというのは、発達障害を持っていない人でも十分に難しいですよね。胸を張って『得意です』といえる人は多くないと思います。また、今はコロナ禍で学校に通えない子どももいます。これまでは学校がソーシャルスキルを学ぶ場として機能してきましたが、そうもいかなくなってきています。ソーシャルスキルは今や発達障害を抱える人だけではない、大人も子どもも巻き込んだ課題なのです。なので、企業の研修や、学校教育の一環として、emouが役に立つ可能性もあると思っています」と上路氏。

こうして発達障害者ではない層にも目を向ける中で、今上路氏が注目しているのがリワーク市場だ。

2020年に内閣府が発表した『令和2年版 障害者白書』によると、精神障害者数(医療機関を利用した精神疾患のある患者数)は2002年から2017年まで増加傾向が続いている。さらに、精神疾患による休職者のうち、職場に復帰できているのは半数以下だ。

上路氏は「復職者支援のために1企業にemouを1セット設置したり、emouのノウハウを生かしてVR産業医のようなサービスを展開することで、ソーシャルスキルに関わる課題を抱える人を助けることができるかもしれません。今後はリワーク市場を視野にサービスを充実させていきたいですね」と語った。

フードデリバリーの運用支援・アカウント最適化を行うSaaSを手がけるLisa Technologiesが約1.15億円調達

フードデリバリーの運用支援・アカウント最適化を行うSaaSを手がけるLisa Technologiesが約1.15億円のプレシリーズA調達

飲食店が運用するフードデリバリーの運用支援・アカウント最適化を行うSaaS「フードデリバリーマネージャー」(FDM)を手がけるLisa Technologies(リサテクノロジーズ)は9月21日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からのデッドファイナンスを含む、総額約1億1500万億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のサイバーエージェント・キャピタル、既存投資家のライフタイムベンチャーズ、新規投資家の三井住友海上キャピタル、ユナイテッド。累計調達額は約1億7000万円となった。

調達した資金により、プロダクトの開発および人材採用を含めた組織基盤の強化を推進する。

FDMは、Uber Eatsなどのフードデリバリーアカウントの売上や顧客の行動データを一括管理できるサービス。販売戦略やマーケティング戦略、市場分析を行い、フードデリバリーの成功を徹底的にサポートするという。フードデリバリーの運用支援・アカウント最適化を行うSaaSを手がけるLisa Technologiesが約1.15億円のプレシリーズA調達フードデリバリーの運用支援・アカウント最適化を行うSaaSを手がけるLisa Technologiesが約1.15億円のプレシリーズA調達

2017年8月設立のLisa Technologiesは、「外食にテクノロジーを」をミッションに、フードデリバリーの運用支援・最適化SaaSを展開。フードデリバリーを導入する飲食店に対して、売上や顧客の行動データを分析し、アカウントに沿った改善提案、運用支援やマーケティング戦略の立案を行うプラットフォームを運営している。

インキュベイトファンドが既存投資先の成長支援を目的とする初のグロースステージ特化のGrowth Fundを設立、161億円規模

インキュベイトファンドが初の「グロースステージ」特化のGrowth Fundを設立、161億円規模

「資本と人材の両面からスタートアップの成長速度を最大化」するというベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」は9月21日、既存投資先の成長加速支援を目的とした成長株ファンド「Growth Fund」(グロース・ファンド)の設立を発表した。リミテッドパートナーの約8割が国内外の機関投資家、そのうち57%が海外投資家という構成になっている。ファンドの規模は161億円。

2010年に1号ファンドを設立したインキュベイトファンドは、一貫してプレシードおよびシードステージといった創業初期への投資に特化してきたが、今回初めて、グロースステージの投資機会に特化したファンドを立ち上げた。出資者の内訳は、海外機関投資家が46.6%、国内機関投資家が34.2%、残りが事業会社・個人となっている。また、リミテッドパートナーには、北米の大学基金、アジアの代替アセットへのファンド・オブ・ファンズ、アジアの政府系ファンド、アジアのテック専業の投資銀行などが含まれている。

代表パートナー本間真彦氏によると、2021年上半期、これまで約30倍もの開きがあった北米と日本のベンチャーキャピタル投資額の差が、さらに拡大したという。だが、北米や中国に比べて未発達だった日本のグロースステージの投資機会も、国内外の機関投資家のグローステージへの投資の増加で徐々に拡大しているとのこと。そうした中でインキュベイトファンドは「既存の投資先企業の成長のレベルを一気に引き上げ、日本からより規模の大きい、上場後もグローバルに展開できるような、スケールの大きいスタートアップの育成」にさらに注力すると、本間氏は話している。

オンライン営業システムのベルフェイスが約30億円のシリーズD調達、大手金融向け新機能開発やセキュリティーを強化

オンライン営業システムのベルフェイスが約30億円のシリーズD調達、大手金融向け新機能開発やセキュリティーを強化

非対面の商談を実現するオンライン営業システム「Bellface」(ベルフェイス)を運用するベルフェイスは9月21日、第三者割当増資による約30億円のシリーズDラウンド資金調達を実施したと発表した。引受先は、シンガポールのベンチャーキャピタルAxiom Asia Private Capital、三井住友トラスト・インベストメント、第一生命保険、そして既存投資家のインキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタルとなっている。累計調達金額は85億5000万円となった。

「勘と根性の営業をテクノロジーで解放し、企業に新たなビジネス機会をもたらす」をミッションとするベルフェイスは、行政や企業の営業DXを推進。電話とPC・スマートフォンを使って資料や画面の共有など商談を可能にするサービスとしてBellfaceを展開しており、アプリインストールやURL発行などの事前準備が不要で、面倒な設定や手続きなしに効率的に非対面の商談が行える数々の機能を備えているという。また、商談の映像や会話を記録可能で、それをチームで共有・分析ができるため、営業組織のスキルの向上やマネジメントの効率化を図れるとしている。

最近では、金融業界での導入が加速しており、特に個人向け営業の領域で、「IT機器に 不慣れな方やインターネット環境が整っていない方に対しても、簡単かつ安心して使える bellFaceの利便性を高く評価いただいております」とのこと。

今回調達した資金は、大手金融企業向けの新機能開発、セキュリティーの強化に向けられるという。また、中長期を見据えたプロダクト開発にも積極的に投資を行う。

ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」のネクイノとENEOSが次世代ヘルスケアブース「スマートライフボックス」共同開発

ピルのオンライン診察アプリ「スマルナ」のネクイノがENEOSから資金調達、次世代ヘルスケアサービス「スマートライフボックス」共同開発

ネクイノは9月15日、ENEOSホールディングス(ENEOS)を引受先とする資金調達とともに、協業を開始したと発表した。シリーズBラウンドにおける資金調達は合計で約27億5000万円、創業以来の累計調達額は約35億円となり、今回の資金調達でシリーズBラウンドを終了としている。

また、予防医療の領域から健康課題に対し総合的にサポートする、専用無人ブース「スマートライフボックス」を共同開発し、9月15日より実証実験を開始した。

スマートライフボックスは、室内に設置した検査機器による様々なバイタルデータの計測と、そのデータを一緒に参照できる医療専門家とのビデオ通信によるコミュニケーションが可能という。プライバシーが保たれた静かな環境で医療専門家が健康課題に応じ、地域の医療機関への適切な受診についてアドバイスを受けられるとしている。

また実証実験として、三井不動産がららぽーと柏の葉(千葉県柏市)でリニューアルオープンした、まちの健康研究所「あ・し・た」内にスマートライフボックスを設置し、一般の方に医療専門家とのオンライン健康相談サービスを無償提供する。利用の際は、スマートフォンやPCなどより専用アプリを通じ、本人確認と予約を行うと入室可能となる(ウイルス感染症対策として、室内には消毒除菌機器を装備している)。

内容については、ネクイノの女性向け健康相談サービスの提供からスタートし、実証実験地域の方の対象拡大と、提供サービスの内容拡充を2022年3月末まで順次実施する予定。

ネクイノが運営する婦人科領域に特化したオンライン診察プラットフォーム「スマルナ」(Android版iOS版)では、アプリ内で助産師・薬剤師が対応する「スマルナ医療相談室」において1日平均400〜500件の医療相談対応を行うほか、服薬指導も実施。健康への関心や受療行動の変容のきっかけとなる婦人科領域を中心にサービスを提供している。

医療の新しいスタンダードの実現を目指すネクイノは、医療DXへの動きを加速させるサービス展開を行うための次のステップとして、ENEOSが有する顧客基盤を活用し、医療へのアクセス改善および医療のコミュニケーションの質の改善など、各種ヘルスケアサービスを生活圏内の自宅以外の場所で提供すべく「スマートライフボックス」を共同開発した。

またENEOSは、利便性の高いサービスをトータルで提供するプラットフォームの構築を目指しているという。同プラットフォームでは、ヘルスケア分野で提供するライフサポートサービスの1つとして、各地域の特色や医療アクセスを考慮したサービスの検討を進めており、同実証がヘルスケアにおける第1弾の取り組みとなる。

今回の協業により、スマートライフボックス実証実験において中核となる、サービス基盤の開発に両社で取り組み、利用しやすく質の高いヘルスケアサービスの展開拡大を目指し、「新たな医療体験」を創出するという。

ニュース記事に特化した文章要約AI「ニュースタンテキ」を展開するバズグラフが約1億円調達

ニュース記事に特化した文章要約AI「ニュースタンテキ」を展開するバズグラフが約1億円調達

自社開発の自然言語処理AIをベースに、文章要約AI「ニュースタンテキ」を展開しているバズグラフは9月16日、第三者割当増資による1億600万円の資金調達を発表した。引受先は個人投資家。調達した資金は、ニュースタンテキの新機能開発、またベースとなる自然言語処理エンジンのAPI開発など、より良いソリューションを提供できる環境整備の開発にあてる。

ニュースタンテキは、独自の自然現処理エンジンにより、主にニュース記事を中心とした文章に対し、AIによる文章要約を可能としたサービスという。今秋に有償版リリースを予定しており、現在は全機能無料公開中。

URLによる本文抽出機能、最大1万文字まで要約可能、10%~90%の文章要約圧縮率選択、ニューラルマップ(文章構造図)の閲覧、キーワード出現率の表示などを特徴としている。

現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISが4.28億円のシリーズA調達

コンサルティング・デザイン・システムの力で現場に「使える」AI・アルゴリズムを提供するALGO ARTISが4.28億円調達

AI(アルゴリズム)のコンサルティングおよびソリューションを提供するALGO ARTISは9月15日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額4億2800万円の資金調達を2021年7月に完了したと発表した。引受先は、リードインベスターの東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、ディー・エヌ・エー(DeNA)。また、2021年9月にシリーズ A ラウンドのエクステンションラウンドを実施予定としている。

調達した資金は、エンジニアなどの人材の獲得費用にあてプロダクト開発を促進し、主要事業の成長をより一層加速する。

ALGO ARTISは「社会基盤の最適化」というミッションの下、現場に「使える」AI(アルゴリズム)を提供するために、コンサルティング・デザイン・システムの力を駆使して優れた最適化AI(アルゴリズム)を開発し、継続的に価値を提供することを目指し事業を展開している。

プラントやロジスティクスのスケジュール管理をはじめ幅広い社会基盤の管理業務を対象とし、現場で継続的に利用されるために、入念なヒアリングとコンサルティングを経てアルゴリズム・デザイン・機能を設計・実装。また、実装の過程ではプロトタイプを提供し、実際に利用してもらうことで、机上では把握できない課題を抽出し、改善を繰り返すことでスムーズな現場導入を実現しているという。

ALGO ARTISの前身事業は、DeNAにおいて本格的にAIを活用した事業が2016年から検討開始され、複数の新規事業を手がける中で生まれたという。2019年にはDeNA内でエネルギー事業推進室が立ち上がり、インフラ系企業と、最適化に関する複数のプロジェクトを推進してきた。

2021年7月に、より積極的かつ継続的な投資による事業の成長を実現させるために、DeNAの後押しもあり現代表の永田健太郎氏が中心となる形で外部より資金調達を行い、同事業をスピンオフ。ALGO ARTISを設立した。現在は、DeNAの持分法適用会社として引き続き連携を取りながら、AI(アルゴリズム)を活用した最適化ソリューションの提供事業を展開している。

植物肉「Green Meat」を手がけるグリーンカルチャーが東京造形大学と協同で植物肉料理をデザインし販売

植物肉「Green Meat」を手がけるグリーンカルチャーが東京造形大学と協同で植物肉料理をデザインし販売植物肉「Green Meat」を販売するグリーンカルチャーは9月16日、東京造形大学造形学部デザイン科の酒井俊彦ゼミナールと協同で、デザインの観点から植物肉の飲食店へのアプローチを考えるプロジェクト「メタモルフード・デリバリー」を開始したと発表した。学生たちが考案したメニューを、フードデリバリーサービスのゴーストレストラン研究所が運営する「Ghost Kitchens」で商品化し、Uber Eatsが配達する。

プロダクトデザイナー酒井俊彦氏は、デザイン先行で食べ物を「変身」させる授業を酒井ゼミで行っている。ライスペーパーを植木鉢に、「Green Meat」を土に見立てたハーブの鉢植えのような生春巻き風のものなど、見た目のデザインを重視したメニューのアイデアが学生たちからたくさん提案されている。

その中から今回発売されるのは、メインが「グリーンミートのヴィーガン出汁茶漬け」、サイドメニューが動物性材料を使わない植物肉入りの「たいやき」。

販売メニューは以下のとおり(価格は税込)。東京都港区西麻布を中心とした地域で、Uber Eatsから注文ができる。

  • グリーンミートのヴィーガン出汁茶漬け(植物肉2倍)1280円
  • グリーンミートのヴィーガン出汁茶漬け(トマト / きゅうり / ゴボウ / 枝豆 / きのこ・パプリカ)各1180円
  • グリーンミートのヴィーガン出汁茶漬けとヴィーガンたい焼きセット
    セットたい焼き1個付き1540円
    たい焼き2個付き1880円

  • プレーンたい焼き(2個)680円
  • カレーたい焼き(2個)780円
  • プレーンたい焼きサラダ(2個)980円
  • カレーたい焼きサラダ(2個)1080円

Green Meatは、大豆たんぱくなどを原料とする、動物性原料不使用の植物肉。挽肉の形状で提供されるため、さまざまな料理に利用できる。現在、東京都内のラーメン店「麺屋武蔵」や高級レストランなどに導入され、北米にも輸出されている。「既存の畜肉を補うだけではなく、畜肉よりおいしくて健康的」とグリーンカルチャーでは話している。

スマートニュースが約251億円調達、企業価値約2200億円超えの「ダブルユニコーン」に

東京拠点のニュース集約サイトアプリのSmartNews(スマートニュース)は、Apple Newsといった標準のニュースサービスとの厳しい競争にもかかわらず成長を続けている。米国時間9月15日、同社は2億3000万ドル(約251億4000万円)のシリーズFラウンドを完了したことを発表した。この結果、スマートニュースの総調達額は4億ドル(約440億円)を超え、会社評価額は20億ドル(約2200億円)に達した。同社は誇らしげに「ダブルユニコーン」だという

出資したのは米国のPrinceville CaptalとWoodline Partnersに加え、日本からJIC Venture Growth Investments、Green Co-Invest Investment、およびYamauchi-No.10 Family Officeが参加した。既存の出資者でこのラウンドに参加したのはACA InvestmentsとSMBC Venture Capitalだ。

2012年に日本で創業したスマートニュースは、2014年に米国に上陸し、2020年初めにローカルニュースの提供範囲を拡大した。同アプリのコンテンツチームには元ジャーナリストたちがいるが、読者の体験をパーソナライズするために機械学習を用いて記事を選別している。しかし、アプリの大きな差別要因の1つは、ユーザーのフィルターバブルを割るために、ユーザーがさまざまな政治的観点のニュースを読める「あらゆる立場からのニュース(News From All Sides)」機能を提供していることだ。

関連記事:スマートニュースのローカルニュース機能が米国6000以上の都市で利用可能に

同社は他にも、ワクチンのダッシュボードや米国選挙のダッシュボードといった新サービスを通じて重要な情報をひと目で見られるようにしている。追加された資金を使って、消費者の健康と安全に焦点を当てた機能を、米国ユーザー(日本以外では最大)向けにさらに開発するつもりだと同社はいう。新機能は今後数カ月のうちに公開予定で、山火事の最新情報や犯罪・安全レポートなどがある。ハリケーン追跡も最近始めた。

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スマートニュースのビジネスモデルは主として広告に焦点を当てている、と以前同社は語っており、米国ユーザーの85~90%はサブスクリプションを購入していない。しかしスマートニュースの信条は、有料無料に関わらずニュース利用者は質の高い情報をアクセスする権利があるということだ。

現在、スマートニュースは、全世界で3000以上のパブリッシングパートナーと契約していて、ウェブおよびモバイルアプリを通じてそのコンテンツを提供している。

収益を生むために、同社はインライン広告とビデオ広告を販売しており、収益はパブリッシャーと分配する。パブリッシングパートナーの75%以上が、同社の「SmartView(スマートビュー)」を活用している。これはアプリの速読モードで、Google AMPなどに代わるものだ。ユーザーはオフラインのときでも記事を読むことができる。同社はパブリッシャーに対して、稲妻アイコンがつけられたこれらのモバイルフレンドリーな記事は、高いエンゲージメントを得られると約束している。同社のアルゴリズムはこの種のコンテンツを多くの読者にむけて表示することでパブリッシャーに報いている。SmartViewのパートナーの中にはは、USA Today(ユーエスエー・トゥデー)、ABC(エービーシー)、HiffPost(ハフィントン・ポスト)などの有名ブランドも入っている。現在、スマートニュース全体のページビューのうち70%以上がSmartViewからのものだ。

スマートニュースのアプリは非常に粘着性があり、ユーザーの注意を引き寄せて維持する力が強い。同社はApp Annieの2021年7月のデータを引用して、米国モバイルデバイスでの月・ユーザー当たりの平均利用時間がGoogleニュースとApple Newsを合わせたよりも多かったという。

App Annieのデータ(画像クレジット:スマートニュース)

会社は月間アクティブユーザー数(MAU)の公表を拒んだが、2019年に米国と日本を合わせて2000万人に成長したという。そしてこの日、米国のMAUが2020年2倍に増えたと同社は述べた。

Apptopia(アップトピア)から提供されたデータによると、スマートニュースアプリは2014年10月の公開以来約8500万回ダウンロードされていて、うち1400万回は過去365日間に行われている。インストールが一番多いのは日本で、生涯ダウンロード数の59%を占めていると同社はいう。

「この最新の調達ラウンドを活かし、私たちのミッションの強さを一層確実にするとともに、とりわけ米国におけるプレゼンスを高め、米国のユーザーとパブリッシャーにアピールする機能を提供していきます」とSmarNewsの共同ファウンダーでCEOの鈴木健氏は語る。「私たちの米国や海外の投資家は、情報へのアクセスを民主化し、消費者、パブリッシャー、広告主全員の役に立つエコシステムを作るスマートニュースの取り組みの膨大な成長の可能性と価値を認めています」と付け加えた。

新たな資金は米国での成長を拡大し、会社のチームを強化するために投資すると同社はいう。2019年にユニコーンになった前回の資金調達以来、同社は従業員数を2倍以上に増やして全世界で約500名になった。現在米国内の人員100名を2倍にする計画で、エンジニアリング、プロダクト、および管理職を追加する。

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、スマートニュースがIPOを計画していると報じたが、同社はこれについてのコメントを拒んだ。

スマートニュースアプリはiOSとAndroidで世界150か国以上で利用できる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマホでロボットを遠隔操作し農作業に参加できるRaraaSをH2LとPwC財団が共同開発

スマホでロボットを遠隔操作し農業作業を行えるRaraaSをH2LとPwC財団が共同開発

「オーディオビジュアルに次ぐ新世代の感覚共有技術BodySharingの研究開発」を進めるH2Lは9月15日、環境社会問題に取り組む団体への助成を行う公益財団法人PwC財団と共同で、スマートフォンで遠隔地のロボットを操作して農作業に参加できるシステム「RaraaS」(ララース)を開発した。RaraaSは、Remote Agricultural Robot as a Service(遠隔農業ロボットサービス)の略称という。

RaraaSは、農業従事者の減少、都市一極集中型の社会構造、障害者の社会参画機会の制限と低賃金という3つの社会課題の解決を目指して開発された。H2Lは、筋肉の動きを検出する独自の筋変位センサーで人の動作や感覚をデータ化して、それをバーチャルアバター、ロボット、他の人に伝えるという「BodySharing」(ボディシェアリング)技術を開発している。RaraaSは、それを使って農作業を支援しようという試みだ。細かな指の動きや力の入れ具合などがロボットに伝えられ、ロボットからは果実の重さをフィードバックするといったシステムの実現を目指している。

7月から、RaraaSを使った「遠隔ロボットdeいちご摘み」という体験会が実施されている。現在は開発関係者のみで行われているが、10月から12月までは一般から募集した参加者が体験できるようになる予定。申し込み方法などの詳細はまだ発表されていないが、所要時間は15分程度で、Zoomに接続できるPCとiOSを利用できる15歳以上の人が対象となるとのことだ。体験者には、体験写真、遠隔ロボットの操作レポートなどが贈られるとのこと。

2012年7月設立のH2Lは、肉の膨らみから手の動作を検出する技術と、多電極の電気刺激を腕に与えて触感を伝える技術に強みを持つスタートアップ。これらの技術と、アバター合成技術、遠隔操作ロボットなどを組み合わせ、BodySharingを実現している。

PwC財団は、PwC Japanグループに属するPwCコンサルティング合同会社が設立。「人」と「環境」に関する社会課題に取り組む団体を支援するために2020年5月1日に設立され、2021年5月1日に公益財団法人へ移行した。教育やアップスキリング(スキルの向上)、個性や多様性(ダイバーシティ&インクルージョン。D&I)の支援、環境問題への対策など、社会における重要な課題解決に取り組む団体を対象に、公募による助成金交付を中心とした活動を行っている。

24歳CEOが率いるスキマバイトアプリ「タイミー」が約53億円を調達

空き時間に面接不要ですぐに働け、勤務終了後すぐお金を受け取れるスキマ時間バイトアプリ「タイミー」(iOSAndroid)提供のタイミーは2021年9月15日、第三者割当増資と金融機関からの借り入れにより総額約53億円の資金調達を行った。

調達先には、日本の未上場企業への投資が初となる海外機関投資家のKeyrock Capital Managementなどが含まれており、同社CFOの八木智昭氏は「コロナ禍における、タイミーの力強い成長ぶりが評価された」と話す。タイミーは2018年8月に同アプリをリリースして以来、金融機関からの借入を含む累計調達額が約90億円となった。また、今回の資金調達先でもある伊藤忠商事とは資本業務提携契約を、KDDIとは業務提携の検討を目的とした基本合意をそれぞれ締結している。

スキマ時間にすぐ働けるアプリ

タイミーは「この時間なら働ける」人と「この時間だけ働いて欲しい」企業をつなぐスキマバイトアプリだ。働き手は応募や面接がなく、条件をクリアしていれば好きな場所・好きな時間・好きな職種ですぐ働ける。また応募の際には、過去に働いた人のレビューを見ることができる。仕事が終わったらその場で報酬がアプリに反映され、24時間好きなときに引き出しが可能である(タイミーが給与を一時的に立て替える)。

一方、企業側は来て欲しい時間や求めるスキルを指定するだけで、条件にあった働き手と自動でマッチングできる。求人掲載手数料は無料で、管理画面から簡単な情報入力を済ませれば、最短1分で単発アルバイトの求人を掲載可能。また「勤務ドタキャン」を防止するペナルティ制度や、過去に働いた実績・レビューが見える機能で、働き手の質の担保も行われている。企業は働き手への賃金プラス30%を手数料としてタイミーに支払い、これが同社の主な収益源となっている。規模や時間を問わず、飲食・小売・物流などあらゆる業種の企業が利用する。

画像クレジット:タイミー

タイミーが従来の派遣会社や求人サイトと決定的に異なる点は、その「手軽さ」にある。20・30代が中心のタイミーの働き手は、例えば「今日の○時〜○時、渋谷で暇だな」と感じたら、ピンポイントの案件をタイミーで探してすぐに仕事をすることができる。登録会や面接もない。また企業にとっても、必要な時に必要な人材を迅速に集められる。あるスーパーの店長は「募集からたった数十秒後にマッチングした時は、衝撃を受けた」と話しているという。

面接がなく手軽であるため、「働き手の質が低いのでは」と想像してしまうが、「従来の派遣などと比較しても、むしろ無断欠勤などは少ない」と八木氏は話す。抑止力となっているのは、勤務終了後に働き手・企業が双方に残すことができるレビューだ。両者にとって、タイミーというプラットフォーム上で継続的に活動していくためには「良いレビューを残さなければならない」というインセンティブが働く。

コロナ禍で大胆にポートフォリオを変化

タイミーCEOの小川嶺氏は現在24歳。高校生の頃から起業を志しており、大学在籍中にファッション関連の会社を立ち上げたものの1年半で解散。生活費を稼がなければならなかった同氏は、日雇いバイトをすることもあったという。その時に、バイト前に毎回説明会に行かなければならなかったことが「不便だと思った」(同氏)。「これだけスマートフォンが普及している時代なら、アプリだけでもっとシンプルに完結する仕組みをつくれるはず」と感じたのが、タイミーをローンチするきっかけとなった。

同社が最も苦しかった時期は、日本で新型コロナウイルスが感染拡大した2020年4月頃。それまで企業ユーザーの半数以上を占めていた飲食店が軒並みダメージを受け、タイミーの成長にも陰りが見えた。しかし小川氏は、営業リソースを物流関連企業などに迅速に振り分け直し、大幅に方向転換。現在ではEC倉庫での軽作業といった物流関連がタイミー利用企業の60%以上を占めており、全体の成長率ではコロナ禍前をも凌ぐほどに息を吹き返した。2021年8月時点でタイミーの利用者数は約200万人、導入店舗数は約4万4000カ所に上る。

しかし、小川氏の目指すゴールはまだまだ先にありそうだ。「私達はUberやAirbnbのようなシェアリングエコノミーのサービスを目指しています。その意味でいうと、現時点でのタイミーはただ案件が掲載されているだけのサイトにすぎない。今後は、例えばユーザーの傾向を把握した上でAIがレコメンドする機能であったり、時給が変化するダイナミックプライシングであったりなど、ユーザーのスキマ時間をもっと有効活用できるよう工夫したい」。

自動車や部屋だけではなく、私達が持つ「時間」は紛れもなく貴重な資産である。誰もがスキマ時間をシェアすることで報酬を得られる世界を目指すタイニーは、今後日本の「働き方」の新しい方向性を示す存在になるかもしれない。

画像クレジット:タイミー

CuboRexがねこ車を電動化できる「E-Cat Kit」と独自開発の低重心ねこ車フレーム「Cat Frame」をセット販売、耐荷重100kg

CuboRexがねこ車を電動化できる「E-Cat Kit」と独自開発の低重心ねこ車フレーム「Cat Frame」をセット販売

農地や被災地など悪路環境で使える乗り物や運搬器具を製造開発するハードウェアスタートアップCuboRex(キューボレックス)は9月14日、低重心型の作業用一輪車を開発し、それに同社の一輪車電動化キット「E-Cat Kit」(イーキャット・キット)を組み合わせた「E-Catコンプリートパッケージ」の販売を開始した。同社販売ページで購入できる。

CuboRexは、作業用一輪車、いわゆる「ねこ車」を、ほぼタイヤ交換だけで電動化できるキット「E-Cat Kit」を2020年10月に正式リリース。和歌山県や広島県のJAや代理店をはじめ、傾斜地での作業が多いみかん農家を中心に300台以上を販売してきた。

そんななかでCuboRexは、和歌山県有田市で広く使われている低重心で安定性が高い「有田式アルミ製三つ積みねこ車」を電動化できれば、農家のさらなる作業効率の向上と負担軽減が実現できると考えた。そこでCuboRexは有田式ねこ車のフレーム「Cat Frame」を独自に製造することにした。これに「E-Cat Kit」を組み込んだものが「E-Catコンプリートパッケージ」だ。

今後は「Cat Frame」と「E-Cat Kit」の販売拡大とともに、「E-Cat Kit」の販路を農業以外の運搬に関わる仕事にも広げてゆくという。

「E-Cat コンプリートパッケージ」概要

  • 販売価格:19万7780円(税込。「E-Cat Kit」と「Cat Frame」のセットでの提供価格)
  • 対荷重量:最大100kg
  • 荷台サイズ:380×1120 mm
  • 重さ:12kg(一輪車単体5kg)
  • 商品詳細・販売:https://cuborex.base.shop/items/52127770

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、お気に入りをオンラインでリピート可

産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは9月10日、モビリティビジネス・プラットフォーム「SHOP STOP」を展開するMellow(メロウ)との連携第1弾として、移動型の八百屋「食べチョクカー」を始動すると発表した。

また、買い物と同時に受け取るQRコードによって後日オンラインで同じ生産者の商品をリピート可能。この仕組みにより、オンラインの「食べチョク」サイトと、オフラインの食べチョクカーとを連動させる。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクカーは、野菜など生産者から直接仕入れたこだわり食材をマンションの敷地内で販売するというプロジェクトで、都内2~3カ所のマンションにおいて、10月から3ヵ月間期間限定で開始する。順次場所の拡大を進める予定。

インターネットを介した買い物に抵抗がある方や食べチョクを使ったことのないという場合でも、少量(1個単位)から購入できるため、生産者のこだわり食材を気軽に楽しめる機会を提供するという。実際に商品を見て少量からお試しして、安心感、納得感を得てから、インターネットでも購入できる。

コロナ禍によりおうち時間の需要が増加し、変化した生活様式に対応するとともに、遠出せず混雑がない場所で買い物ができるようにした。マンションや公園・商業施設など生活の場所の近くで販売することで、人が集まる場所に移動せずにこだわり食材を直接見て買うという体験を提供する。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

また同プロジェクトは、メロウが提供する企業向け「店舗型モビリティ導入プラン」第1弾の取り組みにあたる。同プラン内容は、各企業のコンテンツに最適な店舗型モビリティのリース、オフィス街やマンション、商業施設、公園といった出店ロケーション調整をはじめ、モビリティ事業へ参入されるにあたり必要なリソースをワンパッケージでサポートするものとなっている。これにより、リスクをおさえたモビリティ事業立ち上げが可能としている。産直食材をマンション敷地などで販売する移動型八百屋「食べチョクカー」が始動、同じ生産者の商品をオンラインでリピート可

食べチョクによると、利用者の約48.3%が一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)在住者という(2021年8月全注文のうち、送付先が一都三県となっている割合)。都心在住者の場合、新鮮で高品質な食材が身近で購入できない、自宅からスーパーまでが遠く通うのが大変という声があり、マンションの敷地内で販売することで、それら課題を解決する。

また、より生活に入り込んだ場所で産直食材に触れる機会を提供することによって、生産者のファン作りにつなげるという。

Mellowは、オフィス街、住宅街、病院といったロケーションを停留所として、移動型店舗「ショップ・モビリティ」を配車するプラットフォームサービス「SHOP STOP」を運営。キッチンカーを中心とした1200店以上と提携し、首都圏・関西・九州エリアで展開中という。フード以外には、「豊洲市場仲卸による鮮魚販売モビリティ」「保険の相談モビリティ」などのショップ・モビリティ運営ノウハウも有するそうだ。

キッチンカーの開業、経営に関する無料相談や、キッチンカー参入の障壁となる初期費用、営業場所の確保、保険などのリスクへの備え、営業ノウハウなどあらゆるサービスをワンパッケージにした日本初の飲食事業者向けMaaSサブスプリクション「フードトラックONE」を展開している。

送金アプリ「pring」の法人向けサービスが請求書自動化サービス「invox」とAPI連携し24時間振り込み可能に

送金アプリ「pring」の法人向けサービスが請求書自動化サービス「invox」とAPI連携し24時間振り込み可能に

「お金コミュニケーションアプリ」をコンセプトにチャット機能付き送金アプリ「pring」(プリン。Android版iOS版)を展開するpringは9月13日、請求書自動化サービス「invox」(インボックス)運営元のDeepworkと業務提携を結んだと発表した。法人から24時間365日振込ができるサービス「pring法人送金」とinvoxとのAPI連携を10月1日から開始する。

invoxは、電子化された請求書をデータで受領する場合は自動取り込み、紙の場合は取引先からどんな形式の請求書が届いても「99.9%正確に」振込データ、仕訳データ、請求データを生成し、経理の支払いや計上の業務を自動化するというクラウドサービス。2021年3月18日にサービス開始1周年を迎え、8月に導入企業数が900社を突破した。

API連携は10月1日から実施され、invoxを利用する法人は、請求書の受け取りから支払いまでがシームレスに行えるようになる。これにより、支払い業務の工数が大幅に削減され、支払いデータの作成、作成したファイルのアップロードは人を介さず行われるため、ミスや不正のリスクを低減できるとのことだ。