楽天がNFT事業に参入、2022年春「Rakuten NFT」展開し楽天運営の他サービスとも連動予定

楽天がNFT事業に参入、2022年春「Rakuten NFT」展開し楽天運営の他サービスとも連動予定

楽天グループは8月30日、ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)事業に国内で参入すると発表した。2022年春、スポーツ・音楽・アニメなどのエンターテインメント分野におけるNFTの取引を行えるマーケットプレイスと、IPホルダーがNFTの発行・販売サイトを構築できるプラットフォームを併せ持つ「Rakuten NFT」を開始する。

Rakuten NFTでは、ユーザー向けには、エンターテイメント分野のNFTを購入したり個人間で取引したりできるマーケットプレイスを開設。IPホルダー(デジタルコンテンツの知的所有権者)向けには、ブロックチェーンの専門知識がなくてもNFTを発行し、販売サイトを構築できる独自のプラットフォームを設ける。

さらに、楽天が運営する他のサービスにおいて、ユーザーが商品の購入や使用条件を満たすとNFTを景品として獲得できるなど、様々なサービスと連動したプラットフォームとしても活用できるようになる予定

NFTは、ブロックチェーン技術を利用して、デジタルコンテンツの一意性、希少性を確保でるようにする仕組み。つまり、デジタルであっても唯一無二のコンテンツを所有したり、売買したりできるようになる。近年ではスポーツやアートの分野で注目を集め、コンテンツ産業が大きく変わる可能性があるとされる。

楽天は、2016年8月にブロックチェーン技術に特化した研究開発組織「楽天ブロックチェーン・ラボ」を開設し、2019年8月から「暗号資産における現物取引サービス」を楽天ウォレットで開始しており、そこで培われた技術を最大限に活かして、「NFTの民主化」を目指すとのこと。

楽曲の所有権をNFTとして販売、ファンがロイヤリティを受け取れるようにする音楽マーケットプレイス「Royal」

音楽とNFTを結びつけて、ユーザーがマーケットプレイスで曲の所有権を買えるようにし、人気が出るとロイヤルティを得ることができるスタートアップへの投資を、Founders FundとParadigmがリードした。

Royalというスタートアップは、「3LAU(ブラウ)」という名前で活躍するEDMアーティストのJustin Blau(ジャスティン・ブラウ)氏と、住宅購入スタートアップ「Opendoor」の共同設立者であるJD Ross(JD・ロス)氏が主導している。ブラウ氏は、NFTコミュニティの中でも特に積極的に活動している人物で、ミュージシャンが暗号資産を利用して作品を収益化する方法を模索する目的で、数多くの新興企業を立ち上げてきた。新型コロナの蔓延によりツアーができなくなってからは、本格的にNFTに取り組み、「クリエイターからすべての価値を奪うプラットフォーム」の力関係を逆転させる方法を探していたという。

Beepleの作品がクリスティーズで6900万ドル(約75億8000万円)で販売され、世の中の人がNFTという言葉を初めて知ったときから数週間も前に、ブラウ氏は自らの記録を作っていた。特製の曲とアートワークを収めたセットが、1170万ドル(約12億9000万円)相当の暗号資産で売れたのだ。

今回のRoyalの投資発表は、CryptoPunksやBored ApesなどのコミュニティNFTプロジェクトに投資家が数億ドル(数百億円)相当の暗号資産を投じるなど、NFT市場の強気の動きが熱を帯びてきた頃に行われた。デジタル作品をブロックチェーン上に置くことに関心のあるビジュアルアーティストは、ここ数カ月の間に、自分のアートを収益化するプロセスを簡素化するためのプラットフォームが数多く登場し、成熟してきているが、ミュージシャンに焦点を当てた取り組みは少なかった。

ParadigmとFounders FundはRoyalの1600万ドル(約17億6000万円)のシードラウンドをリードし、これにロス氏が最近までゼネラルパートナーだったAtomicが参加した。ロス氏と一緒にOpendoorの共同創業者だったKeith Rabois(キース・ラボイス)氏が、Founders Fundの投資をリードした。

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Royalのローンチの詳細やプロダクトの計画は、まだ情報がとても少なく、その分割資産の販売をいつ始めるのかもわからない。しかし最初はブラウ氏の音楽が中心になることは明らかだろうし、彼が音楽業界に占めていた地位がファンや投資家を惹きつけるだろう。ユーザーは今からでもアーリーアクセスでサインアップできる。

NFTのスタートアップはより複雑な所有権分割を追究して、クリエイターたちが成功をファンと共有できるようにする。しかしその複雑さが、規制当局がいずれ介入する原因になるという、さまざまな憶測を招いている。2017年のICOブームでは、多くの創業者たちがSECから書簡をもらって証券詐欺を非難されたが、今回も起業家たちはそれを避けるために相当な努力が必要だ。ブラウ氏によると、同社は法律顧問と密接に協力して、コンプライアンスの完全な達成を目指しているという。

同社にとってもっと大きな課題は、音楽の権利を買うためのアクセスを確実に民主化して、ファンの全員を幸福にし、新しいファンをどんどん作っていくことだ。暗号資産への投機はとても多様化しており、そのための努力が難しい。でもブラウ氏によると、音楽のロイヤリティの所有権の拡散はまだ改良の余地が極めて大きく、現在、目立つのは一般ファンではなく、レーベルやプライベートエクイティ集団やヘッジファンドだ。

「投資家が嗅ぎつけるよりもずっと早く、ファンが所有権を握ることが重要です。アクセスの民主化が、NFTのような暗号資産の未来の鍵を握っている」とブラウ氏はいう。

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画像クレジット:Royal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

暗号資産のPaxosがステーブルコインをPAXからUSDPに名称変更

暗号資産(仮想通貨)、Paxos Standard(PAX)の母体であるPaxos(パクソス)は、同社の暗号資産の名称変更を発表した。Paxos Standardは、Pax Dollarとなり、近々みなさんお気に入りの暗号資産取引所やウォレット、エクスプローラーなどで新しいティッカーシンボル「USDP」で識別できるようになる。

名称を除き、USDPは基本的にPAXと同一だ。他のステーブルコインと同様に、USDPは法的通貨と比べて時間とともに変動しないように設計されている。USDPの価値は米ドルに紐付けられている。1USDPの価値は常に1米ドルだ。

ステーブルコインには数多くの利点がある。送金は暗号資産をウォレットからウォレットに移すだけという簡単さだ。仲介銀行の情報を入力することも、現地の規制の心配をする必要もない。世界には銀行口座を持たない人がたくさんいる。ステーブルコインと暗号資産ウォレットには、伝統的銀行口座の代替手段になる可能性がある。

ステーブルコインはDeFiプロジェクト(分散型金融)を活用するためにも使える。例えばDeFiのレンディングプールに拠出して、手持ちステーブルコインの利息を得ることができる。

USDP以外にも人気のステーブルコインとしてUSD Coin(USDC)やTether(USDT)がある。見ての通り、時間とともに命名規則が現れている。実際Paxosは、自社のステーブルコインの名称変更はこの理由からだと言っている。

Paxosは、新たにトークンを発行するたびに、一定の米ドルと米ドル同等物を銀行口座に入金する。現在Paxosは米ドル同等物として短期償還の米国政府債券を利用している。同社の債券は監査法人が定期的に監査している。

Paxosは自社を規制遵守に注力している会社として位置づけようとしている。最近同社はUSDP、USDC、USDTの違いを強調したレポートを書いた。同社によれば、USDCとUSDTはそのリザーブ(裏付け資産)を理由に規制された資産とみなすべきでないという。Paxosは、業界で最も適法な企業となって企業顧客が優先パートナーとしてPaxosを選ぶことを望んでいる。

数日前、Circle(サークル)は、USDCはUSDCリザーブを現金および現金同等物に切り替えると発表した。今後暗号資産各社から、ステーブルコインのリザーブ戦略について話があることは間違いない。

画像クレジット:Kris Hoobaer / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPalは英国にまで暗号資産の購入、所有、売却のサポートを拡大

PayPal(ペイパル)は、暗号資産(仮想通貨)の購入、所有、売却を初めて米国以外のユーザーに提供する。同社は米国時間8月23日、英国のユーザーがBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Litecoin(ライトコイン)、Bitcoin Cash(ビットコイン・キャッシュ)の4種類から暗号資産を選び、連携している銀行口座またはデビットカードを使って購入できる新サービスを発表した。

同社は2020年秋、Paxos Trust Company(パクソス・トラスト・カンパニー)と提携して、まず米国内で暗号資産サポートをスタートした。サービスは2020年11月中旬には米国の全ユーザーに公開された。PayPal傘下のVenmo(ベンモ)も今春、暗号資産サポートを追加した。

英国で暗号資産を利用したい顧客は、PayPalのウェブサイトまたはモバイルアプリを通じて購入できる。そこでは事前に決められた購入額の中から選ぶか自分で額を入力できる。暗号資産は、ユーザーが望めば、1ポンド(約151円)から購入できる。ただし、 暗号資産の購入または売却には所定の手数料および為替手数料がかかる、と同社は注記している。手数料は売買される暗号資産の額によって異なる。

新しいサービスの内容そのものは米国内のサービスと概ね変わらないが、1つだけ例外がある。PayPalは、英国ユーザーの取引高制限の調整についてTechCrunchに語った。開始当初、1回の暗号資産購入の上限は1万5000ポンド(約225万7600円)に設定されている。米国では開始当初、1週間の購入限度を2万ドル(約219万4300円)に設定していた。しかし、2021年7月に限度額を10万ドル(約1097万1700円)に引き上げるとともに年間購入額制限を撤廃した。

また同社は暗号資産の最初の海外進出先が英国である理由について、当地がフィンテックハブであること、およびPayPalの世界第2位の市場であり、消費者顧客の大規模な基盤があるからだとTechCrunchに話した。

「私たちは英国の暗号資産エコシステムをさらに発展させる手助けができると考えています。米国でこのサービスに高い需要があることはわかっていました。それでも、PayPalのアプリ内暗号資産サービスに対する顧客エンゲージメントの大きさには初日から驚かされました」とPayPal広報担当者は語った。「サービス開始以来、当社ユーザーの驚くべき、かつ持続的なエンゲージメントが続いています。当社の米国プラットフォームで暗号資産を購入、所要、売却する消費者は、以前の2倍の頻度でログオンしています」と広報担当者は付け加えた。

暗号資産は、今後数カ月のうちに公開が予定されているPayPalの来るべき「スーパーアプリ」の主要機能でもある。

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他の暗号資産サービスをいつ、あるいはいつか英国でも展開するかについて同社はコメントしなかった。最近提供を開始した「Checkout with Crypto」(暗号資産でチェックアウト)がその1つで、ユーザーは所有する暗号資産を使って無数のオンラインショップでチェックアウトできるようになる(取引に必要な暗号資産は事前に不換通過に変換しておく)。しかしPayPaylは、英国で追加機能を提供する前に、まず新機能を使った暗号資産の購入、保持、売却を現地顧客がどう受け入れるかを観察、学習したいと語った。

自社アプリでの暗号資産サポートに加えて、PayPalのベンチャーキャピタル部門は過去数カ月間に暗号資産とプロックチェーンにいくつか投資を行った。暗号資産リスク管理ソフトウェアのTRM Labs(TRMラボ)のシリーズAに1400万ドル(約15億4000万円)、デジタル資産取引インフラストラクチャー会社、Talos(タロス)のシリーズAに4000万ドル(約43億9000万円)、および暗号資産税務ソフトウェア会社のTaxBit(タックスビット)のシリーズAに1億ドル(約109億7000万円)を投資している。

「パンデミックは私たちの生活全般にわたってデジタルの変化と変革を加速しました。金銭のデジタル化や消費者のデジタル金融サービス利用の拡大もそうです」とPayPalのブロックチェーン・暗号資産・デジタル通貨担当ゼネラルマネージャー兼パイスプレジデントであるJose Fernandez da Ponte(ホセ・フェルナンデス・ダ・ポンテ)氏が声明で語った。

「PayPalの世界展開力、デジタル決済の専門知識、および消費者と企業に関する知識に、堅牢なセキュリティとコンプライアンス管理が組み合わさることで、英国の人々が暗号資産を探求するのを手助けする独自の機会と責任が当社に与えられました。今後も英国および世界中の規制当局と密に協力することで、当社のサポートを提供し、将来の世界の金融と商業におけるデジタル通貨の役割を明確にするために意味のある貢献を続けていくことに注力します」。

現在PayPalは、英国以外に米国のハワイ、米国海外領土を除く地域で暗号資産をサポートしているが、世界中の認可・規制された暗号資産プラットフォームおよび中央銀行と提携を結ぶことでデジタル通貨の可能性を探求していくと語った。

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansのポルノ禁止は暗号資産決済にとって千載一遇のチャンスとなる

米国時間8月19日、​​​​アダルト系SNSとして知られるOnlyFansは、2021年後半に「性的に露骨なコンテンツ」をアプリから禁止するという大規模な爆弾発言をした。OnlyFansは、アダルトコンテンツ業界を完全に破壊し、パフォーマーが購読料を通じてファンと直接つながれるようにすることで、パフォーマーにさらなる独立への道を与えていましたが、これは明らかに大きな変化だ。今回の閉鎖は、暗号業界にとっては千載一遇のチャンスでもある。暗号業界は、今回の閉鎖と、消費者に優しい暗号資産決済インフラが次々と登場する流れを利用して、決済業者の影響を受けても崩壊しないプラットフォームを作ることができる。

関連記事:アダルト系SNSのOnlyFansが「職場安全」なアプリを宣伝、約1098億円超の評価額で資金調達目指す中

OnlyFansは、ユニコーン企業の評価額で資金調達をしようとしており、巨額の収益を上げているにもかかわらず多くの問題を抱えているが、今回の根本的な変更の理由については明言していない。OnlyFansのニュースに関する声明では「これらの変更は、我々の銀行パートナーおよびペイアウトプロバイダーの要求に応じるためのものです」と述べられている。

大衆文化の中で、セックスワークやアダルトコンテンツに対する風当たりが強くなっているにもかかわらず、銀行機関は基本的に保守的で、これらのプラットフォームを経由して流れる資金を扱うことに慎重になっている。

プラットフォームを運営する企業の多くは、ある日突然、プラットフォームが金融機関の支持を失い、すべてを失ってしまうかもしれないという不安を常に抱えている。その一方で、多くのベンチャーキャピタルは「悪徳条項」によって、これらの分野での活動を禁じられており、これらのプラットフォームが成長資金を得ることができないようになっている。アダルトコンテンツのプラットフォームが、これらの金融機関と友好的な関係を築くことができないのは明らかであり、プラットフォームとそれを利用するクリエイターたちが前進する時期がきているのだろう。

多くの意味で、OnlyFansがポルノを捨てたことは、クリエイターのネットワークに対する明白な裏切りのように見える。クリエイターたちは、自分たちの後にどんな模倣者を受け入れる際に必ず覚えているだろう。支払いプロバイダーの行き詰まりにどう対処するかについて懐疑的になる可能性が高いが、野心的なプラットフォームが成長しても、これまでと異なる結果にはならないだろう。クリプトネイティブなプラットフォームではまた別の状況になる可能性も高いが、普及率が低いことを考えると、ファンがコンテンツへの支払い方法を知らない可能性のあるプラットフォームを採用することは、クリエイターにとって大きなリスクとなる。

ポルノ業界は、ゆっくりではあるが、暗号資産による支払いを受け入れている。2018年、Pornhubは初めて暗号資産による支払いの受け付けると発表した。2020年に話を進めると、VisaとMastercardはこのプラットフォームを捨てため、現在では暗号資産による支払いとACH送金が、唯一のプレミアムサブスクリプションサービスの支払い方法になっている。この分野には、CumRocketやSpankChainなど、ニッチな視聴者を対象とした暗号プラットフォームのプレイヤーがすでにいくつか存在しているが(おそらくリブランディングが必要)、OnlyFansのような絶対的な存在がいなくなったことで、既存プレイヤーや新興プレイヤーが革新を起こしてこの市場を獲得する余地が実際にあるかもしれない。

本当の課題は、従来のウェブ決済構造が非常に合理化され、無料のアダルトコンテンツが相変わらず大量に提供される中で、規制ガイドラインに準拠しながら、新しいプラットフォームと最初の暗号ウォレットの両方に新規ユーザーを簡単に組み込めるようにすることだ。暗号資産購入を検証するためにパスポートや運転免許証をアップロードするようユーザーに求める顧客(KYC)のガイドラインは、おそらく新しい暗号資産ポルノサイトを求める最も簡単なオンボーディング要求ではない。しかし市場が少し成熟し、最初のウォレットを設定するユーザーの課題がプラットフォームのオンボーディングプロセスから切り離されると、実現すべき多くの利点が出てくる。

ポルノは、常に新しいテクノロジーの発射台のようなものだ。ここ数カ月で暗号資産の人気が急上昇し、総資産が2兆ドルを超えようとしているが、人々が実際に使用しているアプリでの暗号資産普及率は極めて低いままだ。暗号資産の購入や送信を簡略化することを目的とした新しいソリューションやスタートアップが登場していることから、OnlyFansの撤退で空いた空白を埋めて、暗号資産に全面的に取り組むより革新的なプラットフォームを構築するために、ポルノ業界が最適な場所にいる可能性があるように思う。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

Coinbase Global(コインベース・グローバル)の日本法人Coinbase(コインベース)は8月19日、世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」を同日ローンチすると発表した(関東財務局長 登録番号 第00028号)。

同社は「暗号資産取引のグローバルスタンダード」を掲げ、世界最高レベルの安全性、初心者でも簡単に使える操作性とともに、暗号資産の取引を開始する。取引可能な暗号資産は、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XLM(ステラ)で、さらに取り扱い資産を増やす予定。また今後は、トレーダーや機関投資家向けのサービスなどを展開し、ビジネスを拡大していく方針としている。

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

日本においては、世界基準のセキュリティやコンプライアンス基盤に加え、日本最大級の口座保有数を誇る三菱UFJ銀行をパートナーとして迎え入れており、三菱UFJ銀行の口座を持つ利用者は、インターネットバンキングを通した入出金が可能となっている。

Coinbase Globalは、2012年にアメリカ・サンフランシスコで創業以来、世界各国でサービス展開を広げており、現在100カ国以上で暗号資産の購入・売却・管理を行える暗号資産取引所を展開している。2021年4月14日にはナスダック市場に直接上場し、フィンテック業界を中心に注目されている。世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Coinbase(企業)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)三菱UFJ銀行日本(国・地域)

機関投資家や富裕層を対象に暗号資産の運用・管理事業を展開するHyperithmが12億円のシリーズB調達

機関投資家や富裕層を対象に暗号資産の運用・管理事業を展開するHyperithmが12億円のシリーズB調達

日本・韓国を拠点に機関投資家や富裕層を対象とした暗号資産のウェルスマネジメント(資産の総合管理)事業を展開するHyperithm(ハイパーリズム)は8月18日、シリーズBラウンドとして第三者割当増資による約12億円の資金調達を発表した。引受先は、HashedとWemade Treeを筆頭に、ココネ、Coinbase Ventures、Guardian Fund、GS Futures、米国機関投資家(社名非公開)となっている。これにより企業評価額は約122億円となった。また、アメリカ、シンガポール、韓国などの機関投資家が新たに株主に加わった。

米国では、暗号資産を株式や債券と並ぶアセットクラスとして認める機関投資家も存在し、モルガン・スタンレーやJPモルガン・チェースなどの投資銀行は、暗号資産ファンドの販売を開始するようになっているという。2018年創業のHyperithmでも、2021年6月時点で運用資産が前年比25倍以上に増加した。上場企業、ファミリーオフィス、ベンチャーキャピタル、暗号資産取引所、マイニング会社など国内外50社以上の法人が利用している。日本においては、私募で暗号資産のレンディングサービスを運営しているそうだ。

Hyperithmは、「暗号資産を運用する時代」を見据えて「機関投資家向けの暗号資産の運用窓口」となることを目指している。トレーディングやリスク管理は、全過程が「性能と安定性を追及して設計されたマルチパラダイムのプログラミング言語Rustで開発したアルゴリズムを通じて」自動化されているとのこと。

今回調達した資金を使って、Hyperithmは、暗号資産領域の人材確保と組織基盤の強化、またレンディングサービスだけでなく、日本国内のブローカレッジ事業展開のための暗号資産交換業の登録手続きを進めると話している。

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タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)ウェルスマネジメント(用語)Hyperithm(企業)Rust(製品・サービス)資金調達(用語)日本(国・地域)

ジャック・ドーシー氏が「最初のツイート」をNFTとして売るために使った「Cent」が約3.3億円調達

Centは、ユーザーが良い投稿やコメントに対し報酬を暗号資産で提供し合うことができる広告なしのクリエイターネットワークとして2017年に設立された。これはRedditの表彰に似ているが、イーサリアムを使ったものだ。しかし2020年後半、Centのサンフランシスコを拠点とする小規模なチームは、ツイートのNFT市場であるValuablesを作成し、3月には、この小さなブロックチェーンスタートアップ企業に思いがけずツキが回ってきた。

CEOのCameron Hejazi(キャメロン・ヘジャジ)氏は「ちょうどその日の仕事を終えて、夕食を食べようとしていたら、たくさんの人がメールを送ってきたんです」と振り返る。それから彼は、TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、CentのValuablesアプリを使ったTwitter史上初のツイートをしたことに気づいた。「私はその夜、ずっと震えていました。チームのみんなで、『よし、戦いに向かおう、やってやるぞ!』と話していました」。

ドーシー氏は結局、290万ドル(約3億1960万円)でNFTを売却し、その収益をGive Directlyによるアフリカの新型コロナウイルス感染症救援対策基金に寄付した。しかしCentにとっては、小さな会社が無料のマーケティングキャンペーンを受け取ったようなものだった。それから約5カ月経った現在、CentはGalaxy Interactive(ギャラクシー・インタラクティブ)、元ディズニー会長のJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)、will.i.am(ウィル・アイ・アム)、Zynga(ジンガ)創業者のMark Pincus(マーク・ピンクス)などの投資家から300万ドル(約3億3000万円)のシード資金を調達することを発表している。

関連記事:TwitterのCEOが約3億円でサービス初ツイートを売ったツイートNFTマーケットプレイス「Valuables」とは

Valuablesでは、インターネット上の誰もがすべてのツイートにオファーを出すことができ、それに対し他の人が対抗オファーを出すことが可能だ。ツイートをした人がオファーを受け入れると(Valuablesにログインするには、Twitterアカウントの認証が必要だ)、Centはそのツイートをブロックチェーン上に鋳造し、1対1のNFTを作成する。

NFT自体には、ツイートの文章、作成者のユーザー名、鋳造された時間、作成者のデジタル署名が含まれている。またNFTには、ツイートへのリンクも含まれているが、リンク先のコンテンツはブロックチェーンの範囲外だ。

画像クレジット:Cent

ツイートをNFTとして鋳造することに独自性はなく、Centと同じことを他社が行うことも可能だ。Twitterでも、最近、NFTアートの無料配布を始めたが、Centのように実際のツイートをNFTとして販売しようとはしていない。ヘジャジ氏は、ドーシー氏がセントを起用したことを賛同ととらえている — ドーシー氏自身がTwitterで290万ドル(約3億1960万円)を稼いでいることから、Twitterがセントを締め出すことは難しいと考えている。何と言っても、ドーシー氏はCentを選んだのだ(最初のツイートのスクリーンショットを撮って、その.JPGをNFTとして鋳造し、OpenSeaのようなより大きなNFTプラットフォームに投稿するのではなく)。

関連記事:ツイッターがNFTを作り始めたらしい、140点のNFTをユーザーに1日限り無料で配布

「Twitterの人々と話をしました。私たちは健全な関係を築いていると確信しています」とヘジャジ氏は述べている(Twitter社は、それが事実かどうかについてのコメントや確認を拒否した)。「このアプローチをInstagramやTikTokなどの他のSNSプラットフォームに適用することも考えましたが、特にTwitterに適しているという仮説を立てました。なぜなら、Twitterは会話のプラットフォームであり、暗号資産を扱う人々が実際に生活している場所だからです」。

ヘジャジ氏はCentのシード資金を使い、プラットフォームの構築を続けていきたいと考えている。同社の目標は、クリエイティブな人なら誰でもNFTを使って収入を得られるようにすることだ。そのためには、ユーザーがNFTを簡単に作成できるツールを開発するだけでなく、クリエイターに特化した既存のSNSを充実させることも必要だ。Centに投稿されるコンテンツは、短い投稿ではなく、アートや文章などのクリエイティブな作品が多く、RedditというよりもDeviantArtに近いものがある。これらは、300万ドルのシードラウンドでは高い目標だが、Centのベータ版プラットフォームには、将来性を感じさせる側面がある。

「私たちがSNSに投稿するものには、すでに価値があります。それが広告費に取って代わっているだけで、単一の団体に多くの富が集中しなければならないというようなことはありません。その富を分散させるシステムを目指すことができるのです」とヘジャジ氏はいう。「これらのネットワークは、その存在によって配信を独占しているのです。TwitterのユーザーをCSV形式でダウンロードして、全員にメールを送信するというようなことはできません」。

CentのSNSプラットフォームのスクリーンショット

ヘジャジ氏は、独立した配信リストに加えて、広告付きのインターネットからの脱却を目指している。彼はSubstackの例に言及している。Substackでは、クリエイターが自分のリストを管理することができ、同時にプラットフォームの運営資金は、ニュースレターを購読するためにお金を払ってくれるユーザーから得ているため、広告なしの状態を維持することができる(また、ベンチャーキャピタルのサポートもある)。

しかしCentは、ユーザーが、原則自分の使っているプラットフォームで飛躍する可能性があると思うクリエイターに投資できるという点で、他とは異なる。

ユーザーは投稿を「シード」することができる。シードとは、Centのプラットフォームでクリエイターとして参加しているクリエイターを購読する方法のことだ。シードする側は、月々1ドル(110円)以上の定額料金を支払う。新進気鋭のクリエイターの支援には報酬があり、シードする人は、クリエイターの将来の利益の一部を得ることができる。これは、クリエイターが将来もすばらしいコンテンツを作り続けることに賭けるようなものだ。利益の5%はCentに寄付されるが、残りの95%はクリエイターと過去のシーダー全員で50対50で分配される。このプラットフォームに参加することで、クリエイター同士のネットワークやサポートが可能になるが、Patreonのような他のクリエイター向けプラットフォームでより直接的な収益を得ることもできる。

ユーザーは、投稿をシードするだけでなく、他の人の投稿を「スポット」することもできる。Cent版「いいね!」ボタンだ。「スポット」1つにつき、ユーザーの暗号資産から1セント(約1.1円)に相当する金額が支払われる。Centによれば、他のプラットフォームでは、投稿が1000の「いいね!」を獲得しても、名声獲得の漠然とした感覚しか得られない。しかし、Centでは、ユーザーが1000の「スポット」を獲得すれば、それだけで10ドル(約1100円)になる。しかし、このようなプロジェクトは、十分な数の人々がこのプラットフォームを利用しなければ機能しない。

「Centを立ち上げたときに暗号資産を選んだのは、創造力と暗号資産のアドレスだけでお金を稼げるというアイデアが気に入ったからです」とヘジャジ氏はいう。「時間が経つにつれ、暗号資産を実際に所有し、すぐに使えるようにしている人はほとんどおらず、決済手段としては限りがあることがわかりました。私たちは、Centを使ったクリエイターへの支払いをより簡単にする方法に取り組んでおり、暗号資産を使ったものとそうでないものの両方を検討しています」。

この考え方は、Yatのような他のNFTスタートアップにも通じるものがある。Yatでは「革新的な分散化」モデルの一環として、クレジットカードによる支払いが可能だ。これらの企業が成功するかどうかは、最終的に分散化されたブロックチェーンベースのインターネットに対する一般の人々の支持にかかっている。しかしそれまでは、Centのような企業が、クリエーターがオンラインで報酬を得る方法を再構築するための実験を続けていくことになるだろう。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ジャック・ドーシーTwitterNFTCentValuables資金調達暗号資産SNS

画像クレジット:Cent

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

Twitterが分散型ソーシャルネットワーク研究グループ「bluesky」のリーダーに暗号資産開発者を起用

Twitter(ツイッター)が野心的に発足させた分散型ソーシャルメディアに取り組む研究グループ「bluesky(ブルースカイ)」は、米国時間8月16日、重要な一歩を踏み出した。このプロトコル開発の今後の方向性を指揮する正式なプロジェクトリーダーを、Twitterが任命したのだ。

このプロジェクトの舵取りは、暗号資産開発者のJay Graber(ジェイ・グラバー)氏が、Twitterから任されることになった。Twitterはblueskyが、最終的にTwitterを含む多くのソーシャルネットワークが採用することになる分散型ソーシャルメディアプロトコルを策定することを期待している。blueskyは独立した組織として運営されるが、現在まで主にTwitterの従業員が資金提供と管理を行ってきた。

グラバー氏は、すでにblueskyチームの中で仕事をしているものの、正式な役職に就いていたわけではなく、Twitterから報酬を受けて、分散型ソーシャルエコシステムの技術的なレビューを、開発者たちの研究グループのために作成していた。以前は匿名性の高さに注力した暗号資産「Zcash(ジーキャッシュ)」の開発チームに所属していた他「Facebook Events(フェイスブック・イベント)」に競合することを狙った「Happening(ハプニング)」と呼ばれる独自の分散型ソーシャルネットワークを構築したこともある。しかし、グラバー氏は、分散化の利点に興味を持つユーザーを独力で増やすことができないという問題に行き当たり、結局、この取り組みから手を引いてしまった。この分野における新興ネットワークの多くにとって、これはほとんど克服不可能な問題になっている。

うれしいお知らせがあります。ソーシャルメディアを分散化するために@Twitterが始めたイニシアチブ、@blueskyを私が率いることになりました。最新情報はツイッターとhttp://blueskyweb.orgでフォローしてください。

ジェイ・グラバー

グラバー氏は、TechCrunchによる1月のインタビューで、莫大なユーザーベースを擁するTwitterが分散型ソーシャルスペースに参入することには、大きなチャンスを感じていると語っていた。Twitter自身も最終的にはこのプロトコルに移行すると述べている。

「Twitterが分散型プロトコルに移行することによる本当の凄さは、理想的な方法で機能するプロトコルを設計することができれば、Twitterが非常に多くのユーザーを連れてくるため、最初にニッチな場所を見つけてそこから自力で起ち上げていく努力が必要ないということです」と、グラバー氏は語っていた。

TechCrunchでは1月に、TwitterがDonald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領を永久追放したことを受けて、さらに注目を集めていたこの取り組みについて紹介した。トランプ氏の追放後、TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、将来に向けたソーシャルメディアのモデレーションに関する問題に対処する継続的な取り組みの1つとして、このblueskyを強調した。ソーシャルメディアのプロトコルが分散化されれば、1つの企業や組織がネット上における会話の領域を支配的に統制することがなく、個々のネットワークが自らを律することができる。

「1つのソースに寄らず、より良いモデレーションを可能にするにはどうしたらよいか、ということはソーシャルメディアに関わる全員の大きな関心事になっていると思います」と、グラバー氏はTechCrunchに語った。

blueskyの組織はまだ初期段階にある。グラバー氏の次の仕事は、プロトコル開発者やウェブ開発者を含む最初に雇用する人材でチームを強化することだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS暗号資産分散型ソーシャルネットワークbluesky

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coinbaseの第2四半期決算は予測超えも第3四半期の取引高は減少傾向と注記

米国時間8月10日の取引終了後、Coinbase(コインベース)は第2四半期決算報告を発表し、再び印象的な結果を示した。

同四半期中Coinbaseの総売上は22億3000万ドル(約2469億6000万円)に達し、その結果16億1000万ドル(約1783億円)の利益をこの3カ月間に計上した。同社は一時的な項目から7億3750万ドル(約816億7000万円)の利益を得ており、これについてCoinbaseは、四半期初めのダイレクトリスティングによる「税優遇」よるものと説明している。

この結果、本稿では同社の調整後EBITDAを重視するという奇妙な状況になった。この数字はより厳密な純利益よりも割り引かれることが多いが、同四半期の調整後の数字は、会社の定常的収益性をより明確に表わしている。Coinbaseは四半期の調整後EBITDAを11億ドル(約1218億2000万円)と報告した。

会社は予測を優に上回った。市場の予測は売上がわずか18億5000万ドル(約2048億8000万円)、調整後EBITDAが9億6150万ドル(約1064億8000万円)だった。Yahoo Financeによる。

すべてが順調だが、同社は暗号化経済の現状を理解するのに役立つすばらしいデータ群を提供している。詳しく見てみよう。

取引高

Coinbaseの第2四半期に関して我々が必要としているデータセットが2つある。第1は月間取引ユーザー数(MTU)と総取引高に関するものだ。


Coingbaseが第2四半期にMTU、および同社の四半期取引高を増やし続けたことは同プラットフォームの資産価値が減少していることを踏まえると実に印象的だ。つまり、Coinbaseは暗号資産全体の価格が下落していたこの時期に取引高を増やすことに成功したということだ。

「価格変動に関わらず、当社は第2四半期を通じて数十億ドル(数千億円)の純資産流入額を記録し、新規顧客を増やしました」と同社はいう。

次のデータ群は、取引高を発生源と種別で分類している。


2021年第1四半期から第2四半期にかけての小売取引高の成長は目覚ましいが、Coinbaseが同四半期に追加した機関投資家の取引高はさらに強力だ。これは膨大な結果といえる。

暗号資産志向の人々が金融志向よりも増加する中、この2番目の数字はいっそう注目に値する。Ethereum(イーサリアム)の取引高がBitcoin(ビットコイン)を上回っているだけでなく、Ohter cyrpto assets(その他の暗号資産)がBitcoinの2倍以上取引されている。

主役の交代か?同社はこうなった理由を3つ挙げたが、その2番目が最も興味深い。決算書にこう書かれている。

割合の変化は主としてEthereumの取引高のはっきりした成長によるものです。CoinbaseにおいてEthereumが初めてBitcoinの取引高を上回ったのは、DeFi(ディーファイ)およびNFTエコシステム(Ethereumが重要なブロックチェーンとして支えている)の成長がきっかけであり、当社のステーキング・プロダクトであるETH2が需要を高めた結果です。

Ethereumブロックチェーンで興味深いのは、基礎をなすコインであるether(イーサ)の流通量を増加させていることだ。Bitcoinは最古の暗号資産だが、その王座はサビつきつつある。それでもBitcoinはCoinbaseで47%を占める最大の資産だ。

次に売上について話そう。

売上

機関投資家による取引はCoinbaseの印象的な成長の源だが、同社の売上を分析すると今も小売が中心だ。データはこちら。


第1四半期から第2四半期にかけての取引売上の成長は自明の理であり、第2四半期における同社の好調な総合結果の主要因だった。しかし、更に注目すべきは同社のサブスクリプションおよびサービス売上の膨大な変化であり、2021年第1四半期の5640万ドル(約62億5000万円)から最新四半期の1億260万ドル(約113億6000万円)へと100%近く成長した。

たしかにCoinbaseは今も取引中心の会社だが、売上で見ると、サービス部門が重要になりつつある。

ここでちょっと悪いニュース。

2021年第3四半期は?

まず、Coinbaseが第3四半期のスタートをどう説明しているかを見てみよう。

7月の小売MTUと総取引高はそれぞれ630万ドル(約7億円)と570億ドル(約6兆3131億5000万円)だった。暗号資産の価格と変動性が第2四半期と比べて著しく下がったためだ。8月時点の小売MTUと取引高は7月よりやや改善したが、依然として年初より低いままだ。これを踏まえ、第3四半期の小売MTUと総取引高は第2四半期よりも低くなると我々は考えている。

これに対して第2四半期はMTUが880万ドル(約9億7000万円)、四半期の月平均総取引高が1540億ドル(約17兆570億4000万円)に達した。8月が7月よりも好調という傾向にはやや慰められるものの、Coinbaseの第3四半期のビジネス規模は第1四半期や第2四半期よりも小さくなりそうだ。

なぜ強力な第2四半期結果を受けてもCoinbase株が飛躍していないのか不思議に思っている人にはこれが理由だろう。もちろん、暗号資産の本格的な投資家ならだれでも、この分野の数値がいかに変動するかをよく知っている。だから、何回かの好調な結果が続いた後の減少はさほど大きいことではない。

Coinbaseは本稿執筆時点の時間外取引で1株あたり267.55ドル、これはおよそ0.25%ほどの値下がりなのでほとんど誤差の範囲だ。

そういうわけで、Coinbaseの第2四半期はすばらしかった!

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coinbase暗号資産NFT

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

企業はバグバウンティを導入すべき!「最も安全な暗号資産取引所」を目指すクラーケンがハッカーに協力を要請するワケ

企業はバグバウンティを導入すべき!「最も安全な暗号資産取引所」を目指すクラーケンがハッカーに協力を要請するワケ

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

暗号資産取引所クラーケンは、取引所によるセキュリティ対策の一環としてバグバウンティ・プログラム(bug-bounty program)を実施しています。バグバウンティとは、報奨金制度の一種です。企業が自社の製品・サービスに対する調査を公開で依頼し、世界中のホワイトハッカーから製品やサービスの脆弱性(バグ)の発見・報告を受け、ハッカーに対して報奨金を支払う仕組みを指します。本稿では、なぜクラーケンがバグバウンティを採用しているか、そして、企業だけでなくコミュニティ全体でセキュリティ対策をすることが重要である理由について、解説します。

暗号資産業界全体への貢献も目指す、社内特別チーム「セキュリティ・ラボ」を構築

クラーケンにとってセキュリティは最も重要な事項です。社内には世界最高クラスのセキュリティ専門家やエンジニアが多数在籍しており、常に我々のプロダクト・サービスが正常に機能しているか監視しています。

我々は、セキュリティの専門家集団が在籍する特別チームを「セキュリティ・ラボ」と呼んでいます。

セキュリティ・ラボは、クラーケンのセキュリティがいくら強化されても、暗号資産業界全体のセキュリティ向上がなければ意味がないと考えています。このため、クラーケンの顧客を含めて業界で広く使われている第三者企業開発のプロダクト・サービスをテストし、脆弱性を公開したりセキュリティに対する知識を深めるための教育コンテンツを展開したりしています。

セキュリティコミュニティの力を借りる「バグバウンティ・プログラム」

このようにクラーケンは、自社のセキュリティ・ラボの活動を中心に業界全体でシステム上の欠陥をなくす活動を行う一方で、バグバウンティ・プログラムとして業界全体もしくはセキュリティコミュニティのサポートを得ることで、クラーケンのセキュリティを改善するための取り組みも実施しているのです。

具体的には、顧客や第三者の企業、ホワイトハッカーなどにバグを発見してもらった場合、その対価として謝礼をお支払いするとともに、ウェブサイトの「ウォール・オブ・フェーム」に氏名を記載させていただいています。

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クラーケンの「ウォール・オブ・フェイム」(抜粋)

謝礼に関しては、クラーケンでは、バグを報告いただいた方に対して、最低500ドル(約5万5000円)相当のビットコインを差し上げています。特に深刻なバグの場合は、報告いただいたバグの重要度に応じて、500ドル以上の謝礼をお支払いしています。

なお、バグ報告は、bugbounty@kraken.com宛てにお送りいただいています。

脆弱性のレベル

クラーケンでは、脆弱性のレベルを「重大」「高い」「中程度」「低い」に分類しています。

「重大」は、クラーケンやクラーケンの顧客の多くに直接的かつ即時的にリスクがあるケースです。例えば、クラーケンのサインインやパスワード、2FA(2要素認証)を迂回するケースや顧客情報、内部のプロダクションシステムへのアクセスが該当します。

「高い」は、アクセス権限がない機密情報を読み込んだり修正したりする攻撃です。コンテンツセキュリティポリシー(CSP)を迂回するクロスサイトスクリプティング(XSS)や、公開情報から重要な顧客データを発見されることなどが含まれます。

「中程度」は、限定的ではあるものの、アクセス権限がない情報を読み込んだり修正したりする攻撃です。リスクの低い行為に対するクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)や、アクセス権限がないにもかかわらず、内部のプロダクションシステムの機密ではない情報を公開することなどが含まれます。

「低い」は、機密情報などへの入手にはつながらない、かなり限定的な範囲でのデータへのアクセスを想定しています。

実は費用対効果が抜群、バグバウンティ・プログラムのススメ

クラーケンは、暗号資産関連企業を含むすべての企業がバグバウンティ・プログラムを導入すべきだと考えます。

なぜなら、バグバウンティ・プログラムの費用対効果は「抜群」といえるからです。

実は、データ流出による被害コストが1件あたり400万ドル(約4億4000万円)であることを考えると、バグバウンティ・プログラムの導入費用はかなりお手頃です。もちろんバグバウンティ・プログラム導入前には多く事項を検討しなくてはなりませんが、外見的には「研究者が脆弱性を報告するためのメールアドレスの設定」、「ふるい分けをするため専門知識のある社員を配属」、そして「報酬体系の確立」を行うだけでプログラムの体制は整います。

ハッカーや優秀なセキュリティ研究者と協力し、コミュニティとしてセキュリティを高めることの重要性

クラーケンは、取引所だけがセキュリティ対策を万全にすれば良いと考えておらず、コミュニティ全体の協力の下でセキュリティレベルの底上げを図ることが重要だと考えます。クラーケンの最高セキュリティ責任者(CSO)のニック・ペルコッコは、クラーケンの強固なセキュリティに自信と信頼を持っているものの、「1つの企業だけで常に100%の安全性を保てる企業は存在しない」と細心の注意を払っています。

では、コミュニティのどんな人々が協力をしてくれるのでしょうか?バグバウンティ・プログラムに関してよく耳にするのは「ハッカー」です。

日本においては、「ハッカー」と聞くと不正にアクセスして重要な情報や資金を盗む集団というネガティブな印象を持つ人が少なくないかもしれません。しかし、ニック・ペルコッコは「我々も含む多くのホワイトハッカーは、より安全な世界を見たいと思っているのが本音だ」と指摘し、次のように述べています。

「我々は、セキュリティのコミュニティがシステムやプロダクトの脆弱性を発見することで企業やプロジェクトに多大な恩恵をもたらすと信じているし、我々はそのことを会社をあげて大いに歓迎したい」

バグバウンティ・プログラムとは、こうした善意あるハッカーが脆弱性を報告し、報酬を得るための安全なプラットフォームといえます。

コミュニティから協力を募り、脆弱性に関してある意味で「オープン」な姿勢を持つクラーケンは、セキュリティの脆弱性に関する情報を隠したり曖昧にしたりする企業と対照的です。クラーケンは「透明性こそセキュリティと暗号資産の核心的な要素」であり、「(オープンな姿勢こそ)我々を強くし、我々の競争力を高める」(ニック・ペルコッコ)と考えます。

実際、クラーケンはバグバウンティに参加する世界屈指の優秀なセキュリティ研究者によっていくつかのアプリのテストを実施してもらいました。彼らの一部は小さな脆弱性を発見し、クラーケンは本物の攻撃者が悪事を働く前にその脆弱性への対応に成功しました。

2020年は、クラーケンで報酬の支払い対象となったバグ・バウンティは29件あり、平均の報酬額は775ドル(約8万5000円)でした。

クラーケンは、1つの取引所としてのセキュリティ対策に加えて、コミュニティ全体からのサポートによって、外部評価機関から安全面で一流の取引所であるという評価を得られたのです。

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カテゴリー:寄稿
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)クラーケン / Kraken(企業・サービス)ハッカー / ハッキング(用語)バグ / 脆弱性(用語)バグバウンティ / バグ報奨金制度(用語)ブロックチェーン(用語)

画像クレジット:Ewan Kennedy on Unsplash

バイデン政権の大規模インフラ法案の「悲惨な」修正提案を暗号資産コミュニティが非難

バイデン政権が発表した超党派のインフラ整備計画は、共和党と民主党の間に、まれに見る協力関係を生んだが、暗号資産(仮想通貨)の規制に関して政権が提案した修正がこの法案の障害となっている。

政権は、インフラ整備計画のうち280億ドル(約3兆800億円)を、これまで規制が緩かったデジタル通貨の税務コンプライアンスを強化することで捻出しようとしている。橋や道路の再建を目的とした法案に暗号資産が登場したのはそのためだ。

特に「デジタル資産移転を実行するサービスに責任を持ち、当該サービスを定期的に提供する者」をブローカーと認定し税務報告義務を課すとしている点が、同法案の大きな批判の的となっている。

この定義は、伝統的な金融の分野ではそのまま当てはまるかもしれない。だが、暗号資産の開発者や企業、さらにはデジタル通貨を採掘する人までもが、ユーザーの情報を集めて報告する義務が生ずる可能性がある。非中央集権的な金融システムでは設計上不可能なことだ。

そして今、この重要な歳出パッケージに加えられた新たな修正が、問題をさらに悪化させる恐れがある

意図しない結果

Square(スクエア)、Coinbase(コインベース)、Ribbit Capital(リビットキャピタル)などの関係者は、法案の内容に関する共同書簡の中で「金融監視」と、暗号資産の採掘者や開発者に対する意図せざる影響について警告した。また、電子フロンティア財団Fight for the Futureというプライバシーを重視するデジタル著作権団体もこの法案を非難した。

暗号資産業界からの反発を受け、有力上院議員2人が、新しい報告ルールを明確にするための修正提案を行った。財務委員会のRon Wyden(ロン・ワイデン)委員長(民主党、オレゴン州)は、同じく財務委員会のPat Toomey(パット・トゥーミー)委員長(共和党、ペンシルバニア州)とともに、法案に反対し、法案の文言に対する修正を提案した。

修正案では新たな報告対象が「ブロックチェーン技術やウォレットを開発する個人を含まない」と定め、この問題に関する法案の曖昧さを解消している。

「ブローカーの定義を明確にすることで、採掘者、ネットワークバリデーター、その他のサービスプロバイダーなどの非金融仲介者(その多くは米内国歳入庁に様式1099を提出するために必要な個人識別情報を持っていない)が、超党派のインフラパッケージで規定された報告義務の対象とならないことを保証します」とトゥーミー氏は述べた。

ワイオミング州選出のCynthia Lummis(シンシア・ランミス)上院議員も、トゥーミー氏とワイデン氏の修正案を支持し、Jared Polis(ジャレッド・ポリス)コロラド州知事も支持を表明した。

勝者と敗者の選択

ドラマはここで終わらない。法案の交渉は続いており、週末には法案がまとまる可能性があるなか、2人の上院議員が競合する修正案を提案したものの、暗号資産コミュニティの支持を得ていない。

Rob Portman(ロブ・ポートマン)上院議員(共和党、オハイオ州)とマーク・ワーナー上院議員(民主党、バージニア州)の修正案は、エネルギーを大量消費する「プルーフ・オブ・ワーク」システムに参加する従来の暗号資産採掘者は新たな財務報告義務が免除される一方「プルーフ・オブ・ステーク」システムを採用する採掘者にはこのルールを適用するというものだ。ポートマン氏は財務省と協力し、インフラ法案の暗号資産に関する部分を作成した。

プルーフ・オブ・ステークシステムは、複雑化する数学の問題を解決するコンピューティングハードウェアへの投資(および電気代)を必要とせず、参加者が特定のプロジェクトの金銭的持ち分を保有し、暗号資産の一部を抱え込み、新しいコインを生成するというものだ。

プルーフ・オブ・ステークは、気候変動に配慮した魅力的な代替案として浮上しており、プルーフ・オブ・ワークのマイニングに必要な重いコンピューティングと膨大なエネルギーを削減できる。そのため、今回の改正でプルーフ・オブ・ワークのマイニングが特別に免除されることになったのは不可解だ。

Cardano(カルダノ)のような人気の高いデジタル通貨の中には、すでにプルーフ・オブ・ステークで開発されたものがある。規模第2位の暗号資産であるEthereum(イーサリアム)は、システムの規模拡大と手数料削減のために、プルーフ・オブ・ワーク方式からプルーフ・オブ・ステーク方式への移行を進めている。ビットコインは、プルーフ・オブ・ワークに頼る最も注目すべきデジタル通貨だ。

ワーナー・ポートマン修正案は「妥協案」とうたわれているが、ワイデン・トゥーミー修正案と現行法案の中間に位置するものではない。多くの暗号資産擁護者が自分たちの活動の存亡をおびやかす新たな危機とみなす問題を招くだけだ。

Square(スクエア)の創業者であり、ビットコインを支持するJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏をはじめとする著名な暗号資産コミュニティのメンバーらは、ワイデン・ランミス・トゥーミー修正案を支持する一方で、第2案は見当違いで有害だと非難している。

暗号資産のシンクタンクであるCoincenter(コインセンター)のエグゼクティブディレクターは、ワーナー・ポートマン修正案を「悲惨だ」と表現した。CoinbaseのCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏もその言葉を繰り返した。「マーク・ワーナー氏は11時間が経った時点で、暗号資産の基礎技術をどれにするか、どれにしないかを決める修正案を提案しました」とアームストロング氏はツイートした。「どの種類の暗号資産が政府の規制に耐えられるかを上院が決めることになるかもしれません」。

残念ながら、暗号資産コミュニティ、そしてプルーフ・オブ・ステーク・モデルの約束された将来に対し、ホワイトハウスはワーナー・ポートマン修正案を支持しているようだが「11時間の交渉」が続けば変わる可能性もある。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産アメリカ

画像クレジット:Kosamtu /

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFT特化ブロックチェーン「パレット」開発のハッシュポートが前澤友作氏より4.8億円調達、同氏と共に新サービス提供予定

NFT特化ブロックチェーン「パレット」のハッシュポートが前澤友作氏より4.8億円調達、同氏とブロックチェーン活用新サービス提供予定

HashPort(ハッシュポート)は8月3日、前澤友作氏(スタートトゥデイ代表取締役)を引受先とし、総額約4億8000万円の資金調達を実施したと発表した。調達した資金は、NFT特化ブロックチェーン「パレット」(Palette)におけるコンテンツの獲得とトークンエコシステムの拡大加速化にあてる。また、今後前澤氏と共にブロックチェーンを活用した新しいサービスを提供予定。

2018年7月設立のHashPortは、「すべての資産をデジタル化する」をミッションに、ブロックチェーンの社会応用を支えるソリューションプロバイダーとして事業を展開。2019年よりNFT領域に取り組み、2020年よりパレットを開発。2021年3月にはテストネット運用を開始した。NFT特化ブロックチェーンとして、世界トップティアのブロックチェーンプロジェクト4社、国内外の大手暗号資産(仮想通貨)取引所3社、東証一部上場企業2社を含む計12社をコンセンサスノードに迎え、共同でネットワークの運営を行なっている。

また2021年7月には、パレットで利用できる暗号資産(仮想通貨)である「パレットトークン」(Palette Token、PLT)が、国内で初めてのIEO(Initial Exchange Offering)として、コインチェックで販売が行われた。同IEOでは、9億3000万円の募集に対し224億5000万円超の応募が集まり、応募倍率は24.1倍を記録。パレットトークンは、7月29日よりコインチェックにおいて二次取引も開始されている。

パレットエコシステムの目標は、日本のコンテンツの世界への発信と、世界市場で戦える日本発のブロックチェーンサービスの創出という。今回、トークンエコノミーに強い関心を持つ前澤友作氏と新しいビジネスを共創すべく、資金調達を実施したとしている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)暗号資産 / 仮想通貨(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)HashPortブロックチェーン(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

イーサリアムデベロッパーの迅速な分散型アプリ開発をサポートするTenderlyが約17億円調達

暗号資産(仮想通貨)は2021年にかなり受け入れられつつあるが、まだ極めて初期段階にあるこの分野の熱意がますます多くのデベロッパーやユーザーを引き込むにつれ、ブロックチェーンインフラのスタートアップは過熱している。

ベンチャーキャピタリストの注意を引いている最新の暗号資産スタートアップはTenderly(テンダリー)だ。同社はEthereum(イーサリアム)デベロッパーが分散型アプリケーションを動かすスマートコントラクトを監視・テストするためのデベロッパープラットフォームを手がけている。同社のCEOであるAndrej Bencic(アンドレイ・ベニシック)氏は、Accelがリードした1530万ドル(約17億円)のシリーズAをクローズしたとTechCrunchに明らかにした。本ラウンドには既存投資家も参加した。セルビア・ベオグラードに拠点を置くTenderlyは、Point Nineがリードした2021年初めのシードラウンドで330万ドル(約3億6000万円)を調達している。

Tenderlyのこれまでの目的は、ユーザーが問題を見つけて苦情を言うというシーンで、ユーザーがこれらのバグを積極的に発見できるようにする代わりに、駆け出しのブロックチェーンデベロッパーがコントラクトエラーを見つけ出せないままにしないことだった。TenderlyのVisual Debuggerはすでに「何万もの」イーサリアムデベロッパーに使用されているが、同社はより多くのデベロッパーがイーサリアムネットワークで頭を抱えたり、惑わされたりすることなく開発できるようにするツールセットに引き続き取り組みたいと考えている。

「Tenderlyは起業当初から我々自身が抱える問題の1つのソリューションでした」とベニシック氏は話す。「イーサリアムや類似するネットワークからの情報の抽出・観察をできるだけ簡単にしたかったのです」

ベニシック氏は、デベロッパーが使いやすさを損なうことなくこれまでよりも早くプロダクトを世に出すのを自社プロダクトでサポートできればと願っている。

これまでにTenderlyの顧客の大半は、ブロックチェーンベースのコンピューティングの世界に飛び込むことを目指す、分散型金融にフォーカスした比較的小さなスタートアップだった。Tenderlyは小さな会社で、セルビアを拠点とする14人のチームだ。今回調達した資金はグローバル展開の拡大、エンジニアリングの構築、他の地域での採用に役立つ、とベニシック氏は語る。

暗号資産の価格上昇はこれまで、ブロックチェーン業界におけるデベロッパーの取り込みとかなり密接に関係していた。なので、ビットコインとイーサリアムの下降気味の価格修正が、現在進む新たなデベロッパーのブロックチェーン受け入れの不安定化につながるという懸念がある。とはいえ、暗号資産の世界では変動性は少しも珍しいものではなく、多くのデベロッパーがその干満の波に乗ることは経験のほんの一部にすぎないことを学んでいる。

「弱気相場の中でenderlyの大半を構築しました。そして我々が気づいたのは、価格が懸念するようなものになっても、テックに興奮している人は通貨が上下しようがテックに興奮しているということです」とベニシック氏は話した。

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画像クレジット: Tenderly

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

自らを「爆弾探知犬」と呼ぶ、暗号資産取引プラットフォーム間不正操作検出ソフトのSolidus Labs

写真左から右へ、前方に座っているのはCTOのPraveen Kumar(プラヴィーン・クマール)氏とCEOのAsaf Meir(アサフ・メイル)氏、立っているのはCOOのChen Arad(チェン・アラド)氏。

自社の監視およびリスクモニタリングソフトウェアが暗号資産取引プラットフォーム間の不正操作を検出できるとするSolidus Labsは2021年5月下旬、シリーズAラウンドで2000万ドル(約21億9660万円)を調達したことを発表した。ちょうどその前週に、米国政府から暗号監視の取り組みを改善する意向があるという種々のシグナルが送られてきたことを考えると、タイミングはかなり良い。例えば、米国財務省はIRSに対する暗号資産コンプライアンスの強化を求めている。

もちろん、Solidusは先週突然生まれたわけではない。同社は2017年、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元従業員数人によって設立された。当時、ビットコインは流行り始めたばかりだったが、エンジニアたちがビットコインの多様なユースケースを予想していた一方で、コンプライアンスツールがないことが大手金融機関による導入の障害になることも認識していたため、その開発に着手した。

Solidusは現在、従業員30人、資金調達額は2375万ドル(約26億860万円)で、需要の増加に対応するために人員を倍増しようと計画している。金曜日にTechCrunchは、ニューヨークに拠点を置く同社の協同創設者兼CEOで、ゴールドマンのエンジニア出身であるAsaf Meir(アサフ・メイア)氏に、今回の新しい資金調達ラウンドについて話を聞いた。ラウンドを主導したのはEquity Partnersで、Hanaco Ventures、Avon Ventures、645 Ventures、Exchange FTXの他、元CFTC会長のChris Giancarlo(クリス・ジャンカルロ)氏、元SECコミッショナーのTroy Paredes(トロイ・パレデス)氏など、政府関係者数名が参加している。私たちはまた、増加傾向にある暗号犯罪の種類についても言及した。以下に、その対談の抜粋を紹介しよう。

TechCrunch(以下、TC):どのような顧客をお持ちですか?

アサフ・メイア氏(以下、AM):暗号資産、暗号資産、デジタル資産など呼び方はいくつかありますが、その売買のリスクにさらされている、取引所、ブローカーディーラー、OTCデスク、流動性プロバイダー、規制当局を始め、幅広い関係者と協働しています。

TC:具体的に何を明らかにすると約束していますか?

AM:私たちが検出するのは、主に数量と価格の操作です。それはウォッシュトレーディング、スプーフィング、レイヤリング、ポンプアンドダンプ、および独自の市場にのみ存在する暗号ネイティブ警告の追加ライブラリの増加に関係しています。

2020年に比べてインバウンド需要が400%増加したのは、主に2つの要因によるものだと思います。1つは、規制の精査です。世界的に見て、規制当局は市場参加者に、寛容ではなく許可を求めなければならないと伝えています。2つ目の理由は、この資産クラスのエクスポージャーに対する機関投資家の意欲が急激に高まっていることです。あらゆる機関が、実行プラットフォームについて次のような内容を尋ねます。「リスク軽減ツールはどんなものがあるか?市場の整合性をどのように確保しているか?」。

TC:数カ月前にも話を伺いましたが、シアトルの取引プラットフォームBittrexのように、顧客のパイプラインが増えているとおっしゃっていましたね。需要は主に米国からですか?

AM:アジアやヨーロッパにも需要がありますので、そちらにもオフィスを開設する予定です。

TC:あなたの元雇用主、ゴールドマンも顧客ですか?

AM:それについてコメントすることはできませんが、現時点では、暗号資産へのエクスポージャーをどのように取得するかを考えていない銀行はないと言えます。安全で準拠した堅牢な方法でそれを行うには、暗号専用のソリューションを採用する必要があります。

現時点で新しいフロンティアが存在しています。私たちが現在取り組んでいるクライアントは、暗号資産のみの取引所、ブローカーディーラー、流動性プロバイダー、さらには従来の金融機関で、暗号資産に参入し、暗号化オペレーションや暗号デスクを開設しようとしている企業です。そして、さらに進化する新たなフロンティアが広がっています。NFT、ステーブルコイン、インデックス、レンディングプラットフォーム、分散プロトコルなど、あらゆることを知る神が突然私たちに手を差し伸べ、正しいことをしたいのだと告げてきたかのようです。プラットフォーム上のユーザーが十分に保護されていること、トレーディング活動が監査されていることを確認し、不正操作を防ぐものです。

TC:サブスクリプションサービスはどのように機能していますか?誰が技術を構築していますか?

AM:顧客からの個人的なデータ(顧客のトレーニングデータ)を利用して、それを検知モデルに組み込んでいます。最終的には、顧客がアクセスできるダッシュボード上の洞察と警告を通じて、検知モデルを提示するようにしています。

誰がそれを構築しているのかに関しては、ゴールドマンやMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)、Citi(シティ)から多くのフィンテックエンジニアが参加しており、大規模なトレーディングシステムに関する伝統的な知識を持ち込んでいます。また、イスラエル出身のすばらしいデータサイエンティストも揃っており、その専門知識を金融犯罪に応用しています。

TC:その犯罪はどのようなものでしょうか?

AM:立ち上げ当初は、ウォッシュ取引やポンプアンドダンプなど、実行しやすいものを使ったホールセール的な操作が多く行われていました。今日私たちが目にしているのは、悪意のある者が異なる実行プラットフォームを利用することができる非常に洗練された操作スキームです。私たちは文字通り、新しい警告を提示しています。ルールベースのレガシーシステムを使用する場合、何を探しているのかがはっきりしないため、それを表示することはできません。多くの場合、まだ名前が付けられていないという警告が表示されます。このタイプの動作は本質的に操作性が高いと考えられているため、クライアントはそれを調査する必要があります。

TC:その新しい異常について、もう少し詳しく説明していただけますか?

AM:顧客のプライベートデータをどこまで共有できるかについて葛藤しています。しかし、今まさに直面している問題は「急増する」アカウント抽出攻撃です。これは、悪意のある攻撃者がさまざまな方法でアカウントの資金にアクセスし、洗練された手段で取引所、ブローカーディーラー、カストディアンからトレードできるようにするものです。これはソーシャルエンジニアリング関連の異なった方法で起こっていますが、私たちはアカウントの逸脱やプロファイリングを通じて、その回避のために協働している取引所やブローカーディーラー、金融機関に警告することができます。

私たちが問題としているのは検出と未然防止であって、「何がどこで起きたのか」事後に追跡することではありません。そして、そのアカウントについての個人識別可能な情報さえ知っていれば、それを行うことができます。名前やIPアドレスではなく、トレーディングの属性がすべてです。実際、香港で取引所が特定のコインペアを出し入れするようなことがあれば、他の顧客に先手を打って警告することができます。そうすれば、顧客は準備して身を守るための手段を講じることができます。

TC:防止の面で、香港取引所での活動を止めることもできますか?何か異常を検出した場合、クライアントから介入する権限を与えられていますか?

AM:私たちはいわば爆弾探知犬であり、ボットを無効にするつもりはありません。データを入手して不正操作を指摘する方法はわかっていますが、その場合は金融機関に任せます。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Solidus Labs暗号資産資金調達

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

インドが中央銀行によるデジタル通貨の段階的導入を検討中

インドの中央銀行がデジタル通貨の導入を検討していることが、幹部の発言により明らかになった。これまで調査中としていた中央銀行の意向が初めて明確に示された。

同国の中央銀行であるインド準備銀行(Reserve Bank of India)のT Rabi Sankar(T・ラビ・シャンカール)副総裁は、現地時間7月22日に行われた会合で、インドの中央銀行は、同国で外国為替規則とIT法の改正が行われる間に、国のデジタル通貨を「段階的」に導入することを検討していると語った。

国家に裏づけられたデジタル通貨は、経済の現金への依存度を下げ、より低コストでスムーズな国際決済を可能にし、民間の暗号資産の変動性から人々を守ることができると、副総裁は述べている。

「すべてのアイデアはその時を待たなければなりません。そしてCBDC(中央銀行デジタル通貨)の時は近づいています。我々はリスクを慎重に評価してきました」と、シャンカル氏はシンクタンクのVidhi Centre for Legal Policy(ビディ法政策センター)が開催した会合で聴衆に語った。

シャンカル氏は、インドのデジタル通貨が「世界の決済システムで主導的な地位を繰り返し主張できるように、(計画を)前進させることが中央銀行の努めです」と述べた。

このインド中央銀行トップの発言は、欧州中央銀行が7月中旬に、デジタルユーロの創設につながる24カ月の「段階的調査」を開始し、順調に進めば2025年までに導入すると発表したことを受けてのものだ。

また、同時期に中国の中央銀行は、実証実験を行っているデジタル人民元の取引金額が6月末までに345億元(約5870億円)に達したと発表した。

「各国の中央銀行はデジタル通貨への関心を高めています」と、シャンカル氏は語った。「CBDCは、世界のすべてとまではいかなくとも、ほとんどの中央銀行の武器になるでしょう。そのためには、よく調整された微妙なアプローチが、計画段階でも、ステークホルダーとの協議でも、検討されることになるでしょう」と同氏は述べ、インドの中央銀行は「かなり長い間」国家に裏づけられたCBDCを発行することのメリットとリスクを調査してきたと付け加えた。

「私たちは、世界各国の中央銀行が提案している、卸売および小売市場向けの特定目的CBDCについて調査してきました。人口規模の汎用CBDCの起ち上げも検討しており、インド準備銀行は段階的な導入戦略に向けて取り組み、インドの銀行・金融システムにほとんど影響を与えないユースケースを調査しています」と、シャンカル氏は語った。「しかし、近い将来、卸売および小売市場で試験導入を実施する可能性もあります」。

シャンカル氏は発言の中で、インドの中央銀行がBitcoin(ビットコイン)などの民間暗号資産(仮想通貨)に対する立場を変えていないことも示唆した。

2018年、インド政府の委員会はすべての民間の暗号資産の取引を禁止するよう提言し、違反者には最大10年の懲役を提案した。同委員会はまた、不換紙幣のデジタル版とその導入方法を検討するようにも政府に提案した。

当時、インド準備銀行では、この動きは国内の金融システムの「リングフェンシング(隔離)」を抑制するために必要だと述べていた。また、ビットコインをはじめとする暗号資産は、金属でできているわけでもなく、物理的な形で存在しているわけでもなく、政府によって刻印されているわけでもないので、通貨として扱うことはできないとも主張していた。

「それらは本質的な価値を持たないため、コモディティやコモディティに対する請求権ではありません。金に似ているという一部の主張は明らかに日和見的に思われます」と、シャンカル氏は今回の会合で語った。

2018年の中央銀行による通達は、暗号資産を取引するためのサービスを提供している国内のスタートアップや企業に混乱をもたらした。その後、それらのほぼすべてが、廃業したりあるいは他の市場にサービスを提供するために転業した。

この提案に対し、いくつかの取引所やトレーダーは異議を唱え、最高裁に訴訟を起こした。インドの最高裁は2020年、この禁止令が違憲であると判断し、彼らを支持する判決を下した。この判決は「歴史的」と捉えられたものの、まだ政策レベルでは先の通達に影響を与えていない。その間、インドは民間の暗号資産を禁止する法律を導入する計画があることを示唆している。

2021年初めに下院のウェブサイトで公開された議題では「インドにおけるすべての民間の暗号資産を禁止する」が「暗号資産の基礎技術(ブロックチェーン)とその利用を促進するために、一定の例外を認める」ことを求める法案が提出されている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:インド中央銀行デジタル通貨暗号資産

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NFTコレクターズマーケットプレイスの立ち上げ計画をDraftKingsが発表

DraftKings(ドラフトキングス)が、ファンたちに向けてスポーツやエンターテインメントをテーマにしたデジタルコレクターズアイテムを集めたマーケットプレイスでNFT(非代替性トークン)ゲームへ参入することを発表した。このプラットフォームは「2021年の夏の終わりにデビューする」とのことで、ファンタジースポーツ企業であるDraftKingsにとって、新たな利益をもたらす可能性のある拡張となるだろう。

DraftKingsは、混雑し始めているものの同時にまだ空きも多い市場に参入することになる。今日のニッチなコレクターたち向けには、NFTマーケットプレイスの選択肢がたくさんあるものの、2021年の最初の数カ月間のうちに何十億ドル(何千億円)もの資金が流れ込んだことを考えると、提供されているものはまだ少ないと言えるだろう。今週投資家たちは、NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)に15億ドル(約1659億円)の評価を与えた。NBA Top Shot(NBAトップショット、有名なNFTの一種)を生み出しているDapper Labs(ダッパーラボ)は、最近75億ドル(約8293億円)の評価額の下で調達を行ったと伝えられている。

Dapperの既存の支配によって、DraftKingsは独占的なリーグ提携以外の機会を追求することになるだろう。NBA Top Shotでは、NBAの歴史の中の「Moments」(モーメント)を購入することができる。これは、リーグや選手会とのパートナーシップを通じてアクセス可能な、実際の試合や選手の映像クリップだ。すでにDapperは、NBAに加えて、他のリーグとも提携を行っている。

DraftKingsのこのスペースへの参入の足掛かりは、クオーターバックのTom Brady(トム・ブレイディ)氏が創業したNFTスタートアップAutograph(オートグラフ)との、独占的なパートナーシップだ。同社はすでに、タイガー・ウッズ、ウェイン・グレツキー、デレク・ジーター、大坂なおみ、トニー・ホークといったトップアスリートたちと独占的なNFT契約を結んでいて、スポーツパーソナリティグッズのハブとして機能するプラットフォームを構築していきたいと考えている。

こうしたパートナーシップ以外にも、DraftKingsはユーザーのオンボーディングプロセスをさらに簡素化することで、この分野で一歩リードしたいと考えている。具体的にはユーザーにウォレットに暗号資産を入れる作業を強いることなく、代わりに米ドルでNFTを購入できるようにするのだ。このプラットフォームが開始されれば、ユーザーはプラットフォーム上でDraftKingsからNFTを購入したり、転売や取引を行うことができるようになる。

2012年の創業以来約7億2000万ドル(約796億円)の資金を調達してきたDraftKingsにとって、NFTの拡大は既存のユーザーを新たな分野に取り込む機会となるだろう。多くの宣伝文句や投資家の関心にもかかわらず、NFTの世界へ目立った展開をしている既存の技術系スタートアップは多くない

DraftKingsの共同創業者であるMatt Kalish(マット・ケイリッシュ)氏は、TechCrunchに対して、同社の熱心なコミュニティが、新興市場で勝つための最大の資産であると語っている。

「DraftKingsのコミュニティには、毎日、毎週、何百万人もの人々が参加しています」とケイリッシュ氏はいう。「私たちの最大の強みは、コミュニティの強さと大きさだと思います【略】このことで多くの人の目を引きつけることができるでしょう」。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:DraftKingsNFT暗号資産コレクション

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

フィンテックUpgradeがビットコインリワード付きのクレジットカードを発行

フィンテックスタートアップのUpgrade(アップグレード)は米国時間7月21日、新しいクレジットカードを発行する。Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、Visa(ビザ)ネットワーク全体で機能する古典的なVisaクレジットカードだ。しかし、支払いのたびに1.5%のビットコインリワードを得ることができる。

Upgradeは、ビットコインリワード付きのクレジットカードを発表した最初の会社ではないが、広く利用できる最初のカードだ。申し込みが承認されれば、すぐにバーチャルカードを使い始めることができる。

BlockFiは、2020年12月にビットコインリワード付きの独自のクレジットカードを発表した。その後すぐにGeminiも追随した。しかし、いずれのカードもまだ広く利用できない。数週間前、BlockFiはウェイティングリスト上の人々を招待し始めた。そのため、一般での利用開始はすぐにやってくるはずだ。

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Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、クレジットスコアに応じて500〜2万5000ドル(約5万5000〜275万円)の信用枠を提供する。Apple Pay(アップルペイ)とGoogle Pay(グーグルペイ)に対応している。Upgradeの他のクレジットカードと同様に、月々の手数料、遅延損害金、返品手数料はない。

画像クレジット:Upgrade

基本的にこの新しいカードは、Upgradeの既存のクレジットカードとほぼ同じように機能する。しかし、すべての購入に対し、1.5%をキャッシュバックではなく、ビットコインで受け取ることができる。特定のカテゴリー、パートナー小売業者、ポイントシステムはない。シンプルで上限のないキャッシュバックプログラムだ。

8.99〜29.99%の利率が設定されているが、Upgradeは、毎月の料金を24〜60カ月で返済できる分割払いプランにまとめることを推奨している。分割払いにすると、固定金利で毎月均等に支払うことになる。

「Upgrade Cardカードは、すでに年換算で30億ドル(3300億円)以上のクレジットを消費者に提供しました」と、共同創業者でCEOのRenaud Laplanche(ルノー・ラプランシュ)氏は声明で述べた。「今日から、誰もがUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込み、他のUpgrade Cardと同様に手頃で責任あるクレジットを享受することができ、さらにビットコインを所有することで潜在的な上振れと楽しみを得ることができます」。

同社は、ビットコインリワードのためにNYDIGと提携している。今のところ、ビットコインを使って多くのことができるわけではない。持ち続けるか売却するかを選ぶことはできる。例えば、自分のビットコインを他のウォレットに移す方法はない。リワードを売却する場合は、1.5%の取引手数料がかかる。

また、このカードは50州すべてで利用できるわけではないことも留意すべき点だ。ハワイ、インディアナ、アイオワ、ルイジアナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ワシントン、ウェストバージニア、ウィスコンシンの各州およびコロンビア特別区の顧客は、現時点ではUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込むことができない。

再びUpgradeは、トップ・オブ・ザ・ファネル戦略として、製品のポートフォリオを多様化している。クレジットカードの種類の多様化が、この先、より多くのパーソナルローン獲得ににつながるはずだ。

公平を期すためにいうと、Upgradeは、毎月の残高支払い時にリワードを受け取ったら、債務を返済することを奨励している。しかし、同社は、個人がパーソナルローンを必要するときにいつでも同社のことが浮かぶような顧客関係を築きたいと考えている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:BitcoinクレジットカードUpgrade暗号資産

画像クレジット:Upgrade

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏がテスラはビットコインが環境に優しくなれば受け入れを再開する「可能性が高い」と発言

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは米国時間7月21日、Crypto Council for Innovation(クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション)が主催したオンラインのパネルディスカッションにおいて、暗号資産の採掘に使用される電力の50%が再生可能エネルギーになった時点で、Bitcoin(ビットコイン)による支払いの受付を再開する「可能性が高い」と述べた。これは、先月のTwitter(ツイッター)における同氏の発言と合致するものだ。

テスラは、2021年2月にビットコインによる支払いの受け入れを始めた。同時期に同社は、歴史的な15億ドル(約1650億円)分のビットコインを購入している。だが、そのわずか3カ月後には、環境問題を理由にこの決定を撤回した。

暗号資産はエネルギー使用の点で悪評を受けている。それは確かに非常に多くのエネルギーを消費するからだ。少なくとも、暗号資産の多くはそうである。世界の2大暗号資産のビットコインとEthereum(イーサリアム)は、Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれる仕組みを使ってネットワークを動かし、それぞれの暗号資産の新しいブロックを「鋳造」している。この「Work(作業)」は、複雑な暗号の問題を解くことであり、マイナー(採掘者)はこれに取り組むためにハイエンドのグラフィックカードを組み合わせて作業を行う。大規模なマイニングセンター(採掘工場)では、何千ものGPUが24時間稼働している。

イーサリアムは、プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステーク(proof-of-stake)と呼ばれるエネルギー使用量を大幅に削減する方法に移行することをすでに表明しているが、ビットコインはこの移行の可能性が低いようだ。だから「環境にやさしく」なるということは、ビットコインの根本的な部分を大きく変えるのではなく、マイニングセンターを動かすエネルギー源を変えることになる。

ビットコインのグローバルなマイニングネットワークは、明らかに再生可能エネルギーに依存しているものの、グリッドがどれほど分散化されているかを考えると、再生可能エネルギーの使用率について正確な洞察を得ることは非常に困難だ。明らかなのは、マスク氏がビットコインの現在または将来の「環境への優しさ」を判断する出発点には、グローバルネットワークからの前例のない透明性が必要だということ。そしてマスク氏はおそらく、個人の見解によるデータに基づいて、いつでもこの判断を下せるように、多くの余裕を持とうとしているだろうということだ。

マスク氏の今回のコメントは意外ではない。同氏は6月に「採掘者による適正な(~50%)なクリーンエネルギーの使用が確認され、将来的に前向きの傾向が見られるようになれば、テスラはビットコインによる決済の受け入れを再開します」とツイートしている。

コインテレグラフ

ご覧になりましたか?

イーロン・マスクがまた非難されていますが、今回は何のためでしょうか? Sygnia(シグニア)のCEOであるMagda Wierzycka(マグダ・ウィアジッカ)氏は「ビットコインで見られるのは、1人の非常に強力で影響力のある個人による価格操作です」と彼を非難しました。

イーロン・マスク

これは正確ではありません。テスラは市場を動かすことなく簡単にBTCを清算できることを確認するために、保有資産の10%以下を売却しただけです。採掘者による適正な(~50%)なクリーンエネルギーの使用が確認され、将来的に前向きの傾向が見られるようになれば、テスラはビットコインによる決済の受け入れを再開します。

しかし、マスク氏はコメントに十分な余裕を持たせている。「ビットコインの採掘者を再生可能エネルギーに移行させようとする意識的な努力があるなら、テスラはそれをサポートできます」と、同氏は会談の後半で付け加えた。ビットコインの採掘の大部分は中国で行われていた。中国では安価な石炭と水力発電により、わずかながら経済的な採掘ができたからだ。しかし、マスク氏はこれらの石炭発電所の一部が閉鎖されていることを指摘した(中国の採掘者の大部分は、中国政府による採掘の取り締まりを受けて国外へ移住し始めている)。

ビットコインの環境への影響に関するマスク氏の懸念は、ビットコインのコミュニティで議論を巻き起こしていることにも留意しておくべきだろう。ビットコインは、その実際のエネルギー消費量に比べて、過剰な監視を受けている、という意見もある。今回のオンライン討論に参加したTwitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、ビットコインの再生可能エネルギーへの移行を促すことはできると実際に主張を続けている。決済企業のSquare(スクエア)の「Bitcoin Clean Energy Initiative(ビットコイン・クリーン・エナジー・イニシアティブ)」プログラムが発表した報告書では、ビットコインの採掘によって、再生可能エネルギーが現在よりもさらに安価で経済的に実現可能になると主張している。

今回のマスク氏のコメントは、これまでと同様にあいまいな表現ではあるものの、同氏が依然として暗号資産市場に大きな影響力を持っていることを示している。ビットコインの価格は、4月に6万3000ドル(約694万円)以上の史上最高値を記録した後、7月19日には3万ドル(約330万円)を下回った。しかし、この億万長者の創業者がオンライン討論会で、自分や会社の保有量をより詳細に明らかにしたところ、ビットコインの価格は反発した。

マスク氏個人やテスラのビットコイン保有に加えて、同氏の航空宇宙企業であるSpaceX(スペースX)もビットコインを保有している。マスク氏は、個人的にイーサリアムと(もちろん)Dogecoin(ドージコイン)も保有していると付け加えた。彼のコメントを受けて、3つの暗号資産の価格は上昇した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:TeslaElon Muskビットコイン暗号資産

画像クレジット:ARK Investment Management

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(文:Aria Alamalhodaei, Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産VCは約165億円コミットするほどTerraform Labsの「エコシステム」に期待している

現在、多くのブロックチェーンプラットフォームが投資家や開発者の注目を集めようとしのぎを削っており、その中には大手のEthereum(イーサリアム)から、2021年5月にご紹介したSolana(ソラナ)のようないわゆる「Ethereumキラー」も含まれている。

多くの場合これらの技術は非常に有望であると考えられており、投資家はブロックチェーンだけでなく、そのブロックチェーンネットワーク上に構築される製品やプロジェクトのエコシステムにも資金を提供したいと考えている。例えば米国時間7月14日には、Solanaブロックチェーンネットワーク上に存在するデジタルウォレットのPhantom(ファントム)が、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z / 2021年6月にはSolanaのデジタルトークンにも多額の資金を投じている)がリードするシリーズAで900万ドル(約10億円)の資金調達を発表した。

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同様に、投資家のシンジケートが米国時間7月16日、Terraform Labsに票を投じた。Terraform Labsは3年前に設立されたプラットフォームで、当初はさまざまなフィアット通貨の価値に連動した、いわゆるステーブルコインをeコマース向けに鋳造することを目的としていたが、その後、提供するサービスを拡大してきた。

実際、このプラットフォームから構築される可能性があるものは非常に多く、Pantera CapitalやArrington XRPなどの支援者は、Terraエコシステムに関連する製品に1億5000万ドル(約165億円)を投資することをコミットしているが、これは数年かけて展開されるコミットメントであり、それが実を結べば、Terraformの実質的な成長を後押しする一種の好循環になると同社は述べている。

なぜ彼らはTerraformにそこまで期待しているのか?シンガポールを拠点とするこの企業は、決済時間を数日から数秒に短縮することで韓国のマーチャントユーザーの間で急速に人気を集めているが、その際、eコマースの顧客はオンライン(時にはオフライン)の取引にブロックチェーンが関わっていると知らないことが多いようだ。

投資家のMike Arrington(マイク・アーリントン)氏によると、この会社は非常に好調で、Chaiというeコマース用ウォレットを立ち上げ、アジアで人気を博しているという。また、現実世界の資産の価格を追跡するファンジブルトークン(代替可能な資産)、すなわち「シンセティック」を作成するMirror Protocolも立ち上げた(Mirrorの最初のラウンドはArrington XRPが主導した)。

確かに、Terraformのトークン(LUNAと呼ばれる)の時価総額は2021年1月の3億ドル(約330億円)から26億ドル(約2861億円)へと急上昇しているが、これは興奮した買い手たちによるものだ。

これらの投資家が先走っているかどうかはまだ答えの出ていない問いだが、Coinbase VenturesやGalaxy DigitalのMike Novogratz(マイク・ノヴォグラッツ)氏などを含む出資者たちは、Terraformがまだまだ成長すると確信している。

2021年1月にGalaxy DigitalがTerraformの2500万ドル(約27億5000万円)のラウンドを共同で主導した際、ノヴォグラッツ氏はBloombergの取材に応じ、この投資について次のように述べている。「Terraformのすばらしい点は、サンドボックスの外に出ていく最初のサンドボックス型実験の1つであることです。当社は常にそうしたプロジェクトに注目しています。なぜなら、これらのプロジェクトはこれから他に何が起こるかを示す炭鉱のカナリアだからです」。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Terraform Labs資金調達暗号資産

画像クレジット:Chan2545 / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Aya Nakazato)