ソフトバンク、小規模事業者向けローンプラットフォームKabbageに2.5億ドル投資

Kabbageは、種々のデータに基いた信用情報を使って小規模事業者や個人に少額の資金を自動で貸し出すプラットフォームを運営している。11万5000人の顧客と35億ドルのローン金額を誇る同社は、本日(現地時間8月3日)大型資金調達について発表した。

Kabbageはこの度開催されたシリーズFで、ソフトバンクから2億5000万ドルを調達。Kabbageの共同ファウンダーでCEOのRob Frohweinによれば、調達資金はアメリカ国内での事業拡大や各業種の状況にあったローンを提供するための分析ツールの開発、アジアをはじめとする新市場への進出、決済サービスのような新たなプロダクトを獲得するためのM&Aなどにあてられる計画だという。

これでKabbageの累計調達額は5億ドル(+35億ドル分の借入)に達し、同社の10億ドル超の評価額にもさらなるはずみがつくだろう。

Kabbageを知らない方のために説明すると、同社は2015年のシリーズEで1億3500万ドルを調達した際に、評価額が10億ドル超のいわゆる「ユニコーン」企業の仲間入りを果たした。今週本誌が行ったインタビューでは、CEOのFrohweinが具体的な評価額に触れることはなかったが、今回の資金調達が「有意義なアップラウンドだった」と彼は語っていることから、おそらく現在の評価額は12億5000万ドルから20億ドルの間といったところだろう。

アトランタで2009年に設立されたKabbageは、ビッグデータを使ったローンサービスを提供する企業の中では草分け的な存在だ。同社は企業や個人のソーシャルメディア上のプロフィールから、QuickBooks(会計ソフト)のアカウント情報、さらには大局的なマクロデータまで、何百という情報源から顧客のデータを入手し、貸出の可否やローン金額を決めている。

OnDeckCan Capitalをはじめとする小規模事業者向け貸出プラットフォームの疑わしいビジネスモデルが取り沙汰され、オンラインローン業界全体が揺れ動く中、Kabbageはそれをものともせずに成長を遂げた。Frohweinはビッグデータの活用をその理由に挙げ、150万以上のデータポイントをもとに借主の信用力を判断しているからこそKabbageのビジネスはうまくいっているのだと語った。

「少し前にオンラインローン業界が窮地に立たされたとき、Kabbageの社員はみんな不安な表情を浮かべていました。でも私はそこで『ようやくだな!』と言ったんです」とFrohweinは当時の状況を語る。「そのとき何が起きたかというと、自分たちのソリューションを差別化しようと努力していた企業とそうでない企業の間に明確なラインが引かれたんです。つまり、業界全体がむやみに持ち上げられる流行期を過ぎたということです。その結果、少数の優秀な企業だけが生き残ったと。Kabbageはその中に含まれると考えています」

また彼は、Kabbageのローン事業は黒字だが、プラットフォーム事業はまだ利益が出ていないと語った。後者は2015年にローンチされた新事業で、Kabbageを含むローン事業者にオンラインプラットフォームを提供するものだ(顧客にはKarrotと呼ばれる消費者向けローン事業を運営するKabbage自体に加え、ING、Santander、Scotiabankといった大手金融機関も含まれている)。「会社全体としては第4四半期にはGAAPベースで黒字になる計画です」とFrohweinは付け加えた。

Kabbage以外にもビッグデータ戦略を採用しているフィンテック企業が存在する。具体的にはKreditech(銀行のサービスを受けられない人に対してクレジットスコアを作る手助けをしており、Peter ThielとNaspersを株主に持つ)やFundbox(こちらもJeff Bezosを含む多くの面白い投資家を株主に持つ)、BlueVine(Citi Groupらの投資先)がその一例だ。しかしKabbageはデータの活用方法を次のレベルへ引き上げようとしている。

ひとつめの戦略が業種やビジネス形態に基づいたローン商品の開発だ。例えば建設業と飲食業では、キャッシュフローにかなり大きな違いがある。そこでKabbageは各企業の実態に合ったローンを提供し、不必要なデフォルトや障壁といった、借主に関する十分な情報があれば避けられるはずの問題を解消したいと考えているのだ。

また、Kabbageの顧客は他社に比べてロイヤルティが高いと同社は話す。Frohweinによれば、平均的なユーザーは3〜4年間に20回もKabaggeからローンを借りる一方、業界平均は2.2回だという。

調達資金の使途として挙げられた、M&Aや新プロダクトのローンチにも注目だ。Kabaggeが業界統合を狙ってOnDeckを買収するのではという話もあったが、情報筋によればこれは単なる憶測に過ぎず、M&Aの狙いは業界統合よりもプラットフォームに新たなサービスを追加することなのだという。

Frohweinから新プロダクトのローンチやM&Aに関して具体的な話はなかったが、彼は決済が現在興味を持っている分野であることは認めた。

「PayPalとSquareは単なる決済サービスから発展して、今では企業向けのローンサービスを提供しています」と彼は語る。「この2種類のサービスの間にはかなり深い関係がある、と考える企業が存在するのは間違いありません。そう考えると、私たちが決済事業を始めるのも全くの的はずれではありませんよね」

最近ソフトバンクは1000億ドル級の巨大な「ビジョン・ファンド」を通していくつかの大型投資を行っているが、今回のKabbageへの出資はソフトバンクグループが直接行ったものだ(不思議なことに1000億ドルと比較すると2億5000万ドルという額が大したことないように感じられてしまう)。将来的にはビジョン・ファンドとも関わるようになるかもしれないが、少なくとも今のところは、ソフトバンクによる投資がかなり面白いチャンスに繋がる可能性がある。

両者のコラボレーションは大きくふたつの形をとることになるだろう。ひとつめはKabbageのローン事業・プラットフォーム事業のさらなるアジア展開だ(現在アジアではホワイトラベルのプラットフォーム企業として営業している)。

ふたつめは、ソフトバンクグループの投資先との協業だ。この点に関してはまだ何も発表されていないが、ソフトバンクはSpring(多くの小規模事業者を顧客に持つ)、Lyftをはじめとするライドシェアリング企業各社(個人事業主という小規模事業者に依存)、SoFiなどさまざまな企業の株主を務めている。

そう考えると、Kabbgeへの出資は、ソフトバンクのネットワークを活かせそうな企業を狙った賢い投資だと言える。

「ソフトバンクは新しいテクノロジーやデータの力を使って、顧客体験を変え、市場を拡大しようとしているマーケットリーダーに投資しています」とソフトバンクグループで役員を務めるDavit Thevenonは声明の中で述べた。「Kabbageへの投資を決めた理由は、同社がオープンデータを利用したユニークな自動ローンプラットフォームを運営していること、そして世界中の小規模事業者を支える存在としてのポジションをうまく確立したことです」

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Sansanが42億円を資金調達か、日経新聞が報じる

日経新聞がSansanの第三者割当増資による42億円の大型資金調達について報じている。出資したとされるのは未来創生ファンド、既存VCのDCMベンチャーズ、米セールスフォース。この件に関してTechCrunch JapanではSansanの広報部に問い合わせているが、記事執筆時点で公式回答や発表はない。

Sansanはクラウドでの名刺管理を法人、個人向けに提供している。法人向けサービス「Sansan」は6000社のユーザーを抱えている。個人向けサービス「Eight」は登録数こそ「100万人が使う」とSansanがうたうほど伸びているものの、マネタイズはこれから。両者は今のところ連動していないが、数が取りやすい企業内個人ユーザーを法人需要と結びつけることができれば、「日本市場のLinkedIn」とも言えるビジネスSNSのデファクトのポジションも獲れる可能性がありそうだ。

これまでSansanは、2014年5月には総額14.6億円の資金調達をしており、米国をはじめグローバル市場への展開も加速するとしていた。日経新聞が報じたところによれば、英語版を開発して9月にはインドやシンガポールなどアジアへ進出する、という。Crunchbaseによれば、2016年1月にもシリーズCで1690万ドル(約18.6億円)を調達していて、累計調達額は3700万ドル(約40.7億円)程度とみられる。

Sansanの2016年3月の9期目の売上は、すでに約31.5億円。一方、純損失約13.7億円と赤字でもあり、資本金、資本準備金あわせて13.5億円の減資している。YouTubeやテレビでCMをご覧になった読者も多いと思うが、まだまだ販管費やマーケティング費用を抑えて利益を優先するよりも、スタートアップらしい投資フェーズにあると言えそうだ。今回、追加調達によって大きく踏み込んだ形。国内でみれば、Sansanと同じく名刺管理サービスを提供していてビジネスSNSの位置に近いウォンテッドリーとの競争も激しくなりそうだ。

トヨタ、東大発ベンチャーのPreferred Networksに105億円出資――AIの共同研究・開発すすめる

IoTにフォーカスした深層学習技術の研究開発を行うPreferred Networks(PFN)は8月4日、トヨタ自動車を引受先とした第三者割当増資を実施し、約105億円を調達したと発表した。

トヨタ自動車はPFNとの共同研究・開発により、モビリティ分野へのAI技術の応用を進めていく狙いだ。

PFNとトヨタは2014年10月から共同で研究開発を開始し、関係強化を目的に、同じくトヨタから10億円を調達していた(2015年12月)。

PFNはプレスリリースのなかで、「今回の資金調達により、計算環境の拡充、優秀な人材の確保をすすめ、モビリティ事業分野におけるトヨタとの関係強化、共同研究・開発をさらに加速させる」としている。

VRデバイスでキャラクターを操作してライブ配信、カバーが3000万円の資金調達

VR/AR向けソーシャルサービスを開発するカバーは8月1日、みずほキャピタル、TLMおよび個人投資家数人を引き受け先とした総額約3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

カバーは2016年6月設立のスタートアップ。代表取締役の谷郷元昭氏は、地域情報サイトの「30min.(サンゼロミニッツ)」の開発・運営を手がけた(現在はイードに譲渡)サンゼロミニッツの創業者でもある。カバーにはアエリア元取締役でエンジェル投資やスタートアップ支援を行う須田仁之氏、アジャイルメディア・ネットワーク元CTOの福田一行氏が参画している。同社はVR特化のインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」の2期生に採択されている。

創業当初はVRデバイスを使って楽しめる卓球ゲームを開発していたカバーだが、今年に入ってピボット。3Dキャラクターを自由に操作し、インタラクティブな番組を配信できる、AR対応のバーチャル版ライブ配信サービスを9月にも提供する予定だという。サービスについては言葉で説明するよりも、まずはこの動画を見て頂いたほうが理解しやすいだろう(複数の動画が)。

この動画内で動いている女性の3Dキャラクターは、VRデバイス(テスト環境ではHTC Viveを使用していた)で操作しており、リアルタイムにその動きが表示されている(顔や手の向きだけでなく、ボタン操作で表情や指の動きを変えたり、マイクで認識した音をもとに、唇を動かしたりもできる)。3D空間上では写真や動画の再生をしたり、3Dペイント機能を使って立体的なお絵かきをしたりもできる。デモには音声が入っていないが、もちろん音声会話も可能だ。

以前に比べれば楽になったとは言え、モーションキャプチャーをし、そのデータを使ったリアルタイムなアニメーションを配信するには設備もコストもかかる。それをVRデバイスだけでまかっているというわけだ。同社はこのキャラクターによるライブ配信プラットフォームを開発。まずは自社やパートナー企業のキャラクターによる番組を制作・配信していくという。キャラクターを持たない企業に対しては、3Dモデルの制作も支援する。

サービスのイメージ

カバーではiOS11のARKitに対応したAR機能も準備中だ。ライブ配信時に、ARモードでキャラクターだけを自分がいる場所に呼び出して、表示することも可能になる。そのほか、ライブ配信とは別に「撮影モード」を用意しており、ARでキャラクターの動画・写真撮影もできる。

AR動画の撮影イメージ

8月中にもアルファ版のサービスとして、この配信環境で制作した番組をYouTubeやニコニコ生放送で配信する予定。そして9月をめどに視聴者向けのアプリを提供するとしている。アプリでは、ライブ配信にコメントしたり、ギフトを送ったりする機能や前述の撮影モードを搭載する。

「もともとはゲーム会社の出身。IPには一番労力を割いていたので、『キャラクターもの』の事業はやりたかった。VRとキャラクターの相性がいいのは分かっていたが、それが実際にできるのか? ニーズはあるのか? と考えていた。そんな中で最初は卓球ゲームを作ってみた」

「だが(VRゲームの)市場はまだ広がっていないし、モバイルのようなカジュアルな市場があるかと言えば、なかった。しっかりしたコンシューマーゲーム会社でないと作れない。このプロジェクトは今年の2月くらいから始めていたが、Tokyo VR Startupsのデモデーまでの1カ月で、ほぼ突貫で作っていった」(谷郷氏)

同社が狙うのは、アニメの市場だという。「(アニメに関する)ライブやVRのシアターもできている。3Dモデルさえあれば、アニメを作ることはできる。VRやARといった『空間』をディスプレイにできる場所に、キャラクターやコンテンツを提供していく」(谷郷氏)。ライブまでの実現したボーカロイドの「初音ミク」から、人気アイドルグループを手がける秋元康氏がアニメキャラクターによるアイドルユニットの「ナナンブンノニジュウニ」をプロデュースしたり、バーチャルYouTuberの「Kizuna AI」が70万人以上のファンを集めているような状況だ。バーチャルキャラクターによるファンビジネスの時代は眼前にまで来ているのかも知れない。

同社は今後プラットフォームや視聴、配信用のアプリケーションの開発に注力する。「まずは自前での番組も配信するし、権利者のコンテンツも載せていく。このプラットフォームはただの『美少女・イロモノ』には見られたくない。IPのマーケティングに使えるものにしていきたい」(谷郷氏)

家族や恋人とURLでカレンダー共有――登録ユーザー500万人の「TimeTree」が5.3億円を調達

URL1つで簡単に予定が共有できるカレンダーアプリの「TimeTree(タイムツリー)」。その提供元であるJUBILEE WORKSは8月1日、既存投資家のK CUBE VENTURES西武しんきんキャピタル東映アニメーションのほか、Cognitive Investmentなど国内外の投資家から総額5億3000万円を調達したと発表した。

なお、同社は2016年11月に総額2億1000万円の資金調達を実施しており、それを加えた累計調達金額は7億4000万円となる。

TimeTreeの最大の特徴は、URLをLINEやメールで送るだけで他のメンバーと予定の共有ができる点だ。1つのアプリで複数のカレンダーを持つことができるため、家族用や同僚用などとカレンダーを分けて運用することができる。また、TimeTreeにはコメントや写真を投稿できる機能が備わっている。だから、アプリ上で「この日の集合場所はどうする?」などのコミュニケーションを完結することも可能だ。

ターゲットは若い主婦層

JUBILEE WORKS代表取締役の深川泰斗氏によれば、TimeTreeは家族や恋人との予定共有のために利用されることが多いという。属性別にユーザーを見ると、20〜30代の女性が最も多い。

「TimeTreeのユーザーで多いのが、夫から『言うの忘れてたけど、飲み会があるから今日はご飯いらない』などと言われて困っている若い主婦層。そういった経験をきっかけに、家族の共有カレンダーとして使われる。そして、その後にアプリを使い始めたお父さんユーザーが、今度は同僚との予定共有に利用する例もある」(深川氏)

聞けば、女性をターゲットにしたのは当初からの戦略であり、そのために開発当初から「女性から『カワイイ』と感じてもらいながら、男性が使っても恥ずかしくないデザインを心がけていた」という。

2015年3月にサービスリリースのTimeTree。同アプリの登録ユーザー数は現在500万人だ。約1年前の2016年8月時点では200万人ということだったから、そこからユーザー数を2倍以上に伸ばしたことになる。

また、TimeTreeは韓国語やロシア語など13ヶ国語に対応しており、特にドイツやオーストリアなどのヨーロッパ圏でユーザー数の伸びが大きいと深川氏は話す。

年内にも新機能を追加予定

JUBILEE WORKSは今回調達した資金を利用して開発体制の強化を図り、Rubyエンジニアなどの採用を行っていく。また、これまでの“グループ内での予定共有”の枠を超えた新機能の追加も予定しているという。

これはSMBによる利用を想定したもので、例えば外部向けイベントに参加する不特定多数の人々に、イベントの詳細や日程を共有したり、アップデートをリアルタイムで伝えたりといったユースケースが想定される。この詳細はまだ明らかにされていないが、深川氏は「年内には詳しい内容をお伝えできるようにしたい」と語った。

心拍や呼吸数を計るタンクトップ「hamon」を制作、ミツフジが総額30億円を調達

スマートウォッチなど腕に着けるタイプのウェアラブルデバイスは数多くあるが、京都に拠点を置くミツフジが手がけるのは衣服と同じように着用できるウェアラブルIoT製品だ。本日ミツフジは第三者割当増資と融資により、総額30億円の資金調達を実施した。引受先はカジナイロン、電通、前田建設工業、南都銀行、京銀輝く未来応援ファンド投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタルと他数社が含まれている。

ミツフジが開発する「hamon」は、着用者の心電、心拍、筋電 、呼吸数、加速度、ジャイロ、温度、湿度などの情報を収集できるIoTウェアだ。収集した情報はトランスミッターからBluetoothを経由してスマートフォンで確認することができる。

hamonは、企業や介護施設による患者や従業員の見守りサービスでの利用を想定しているとミツフジの広報担当者は説明する。例えば、介護施設で患者の心拍を計測し、異常がないか見守るサービスだったり、建設現場で作業員が熱中症や怪我で倒れた時に責任者にアラートを飛ばすようなサービスを想定している。

ミツフジはもともと1956年に西陣織の職人が西陣帯工場として創業した会社だ。1992年より抗菌作用などが認められる銀繊維に着目し、銀メッキ導電繊維AGPoss(エージーポス)の開発と製造販売に取り組んできた。AGPossは糸に銀を織り込むのではなく、ナイロンの表面に銀メッキを施しているのが特徴。そのためAGPossは銀の量が多く、導電性、電磁波シールド、抗菌、防臭、保温、断熱、制電効果に優れているという。hamonはAGPossの導電性に着目して誕生したプロダクトと担当者は説明する。

銀メッキの繊維と聞くとなんとなくゴワゴワしてそうなイメージがあるが、実際の繊維は柔らかいと担当者は言う。hamonは着心地にこだわって作っていて、トランスミッターについても「重さは25グラムほどで、さほど違和感なく着ることができます」と言う。洗濯については洗剤の種類や洗濯する温度に注意する必要はあるが、トランスミッターを外せば洗濯も可能だそうだ。

今回調達資金は導電性繊維とウェアの量産体制の整備を目的としている。2018年4月には京都府南丹市に、2018年7月には福島県川俣町に自社工場を竣工する予定だ。ウェアは写真のタンクトップ型以外のバリエーションも開発しているという。

hamonに似た衣服型のウェアラブルには、GoogleとデニムブランドLevi’sが共同開発するProject Jacquard」などがある。彼らはジャケットの袖をタップやスワイプすることでスマホの音楽やナビアプリを操作できる衣類を制作している。

遊び体験の実名投稿サイト「PLAYLIFE」が1.3億円の資金調達、地方展開も視野に

“遊び”に特化した投稿型メディア「PLAYLIFE」を運営するプレイライフは7月31日、環境エネルギー投資みずほキャピタル、セゾン・ベンチャーズ、池田泉州キャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズの各社が運営するファンドを引受先とする総額約1億3000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。

PLAYLIFEは、登録ユーザーが実名で、実際に体験した遊びのプランをノウハウとして投稿し、遊び情報を検索・共有・投稿できるユーザー参加型メディア。1記事につき、写真の付いたスポットを3カ所以上登録するルールがあるため、「食べログ」や「Retty」などの飲食店の口コミサイトや「NAVERまとめ」などと比べると、旅行やデートなど、半日〜1日の過ごし方を提案するスタイルの記事が多く、また“インスタ映え”を意識したスポットの紹介記事も目立つ。2017年3月に月間利用者数300万人を突破し、成長を続けているという。

プレイライフは2013年6月の設立で、2015年11月にはCOENT VENTURE PARTNERS PTE. LTD.や個人投資家を引受先とした総額6000万円の資金調達を行っている。代表取締役CEOの佐藤太一はDeNAやアクセンチュアでコンサルタントとして働いた経験を持つ人物だ。

今回の資金調達により、プレイライフでは、PLAYLIFEのサービス拡大に向けた開発体制の強化、コンテンツ強化、営業などの体制強化を図るとしている。また、地方活性化を支援する法人・自治体向けのサービス開発など、新規サービス開発も進めていくという。

代表の佐藤氏は資金調達について「これまで社員たった2名で運営してきた組織を大きく強化・拡大して、日本全国の遊びを制覇するとともに、すべての遊びたい人たちの背中を押すサービスを創っていく」「人生において、思い出に残る大事な瞬間は『仲間との遊びの時間』。この時間をもっとたくさん味わうために、今まで以上に本気で遊びと向き合い、遊びに悩み、遊び倒していきたい」とコメントしている。

全世界800万DLの「クラッシュフィーバー」開発元が10億円調達――数億円規模の新作タイトル開発へ

スマートデバイス向けのゲーム開発を手がけるワンダープラネットは7月31日、Eight Roads Ventures Japanを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額10億円を調達したと発表した。

ワンダープラネットにとっての最大のヒットタイトルが、iOS/Android端末向けスマホゲームの「クラッシュフィーバー」。パズルゲームとロールプレイング・ゲームの要素を組み合わせたゲームシステムが特徴だ。

同タイトルのダウンロード数は全世界累計で800万件。ワンダープラネットは2016年5月に台湾、香港、マカオ版を配信開始しており、2016年9月には台湾と香港のApp Storeセールスランキングで第1位を獲得した。続いて2016年10月には15言語対応のグローバル版を世界各国に配信している。

ワンダープラネット取締役兼CFOの佐藤彰紀氏によれば、800万の総ダウンロード数のうち約半分が海外でのダウンロード実績なのだとか。デイリーアクティブユーザー数は非公開だが、「全世界合計で数十万DAU」(佐藤氏)だという。

台湾で行なわれたファンイベントの様子

ワンダープラネットの特徴は、海外マーケットにおけるパブリッシングを自社で行っている点だ。「自社でパブリッシングを行うと、当然運営費やマーケティング費などが増大する。しかし、業者との収益分配や内製化による運営のしやすさなどを踏まえれば、最終的にはこの方法のほうが成功確度が高く、かつ得る収益も多くなる」(佐藤氏)

ゲームを世界に配信する一方で、コストのかかる過度なローカライゼーションを行なわないことも同社の特徴だ。佐藤氏は「各国限定のキャラクターなどは導入するが、コア部分に変更は加えない」と話す。例えば、北米と日本では好まれるグラフィックのテイストが異なるが、本当に面白いゲームはそのままでも通用するというのが彼らの考えだ。

2016年8月期の決算公告によれば、現在ワンダープラネットの売上高は約18億2300万円で、最終損益が約2億7000万円の赤字となっている。クラッシュフィーバー単体での売上高は数億円前半の規模だと見られる。

開発費が数億円規模の新作タイトル開発へ

ワンダープラネットは、今回調達した10億円を利用して新作タイトルの開発に乗り出す。同社が「超大型版権ゲーム」と呼ぶそのタイトルの開発費用は数億円規模だという。ワンダープラネットは詳細をまだ明らかにしていないが、今年中には新作ゲームの詳しい内容を発表する予定だ。

調達資金のもう1つの使い道が、クラッシュフィーバーの海外展開の強化だ。ワンダープラネットは韓国と北米向けビジネスを強化するほか、2017年度内に中国本土への配信開始を予定している。

自身もDeNA時代にゲーム開発に携わっていたEight Roads Venturesの深澤氏は、ワンダープラネットへの資本参加について以下のように語った:

「Eight Roads Venturesはヨーロッパのゲーム会社であるInnoGamesで2億6000万ユーロ(約330億円)のエグジット実績があり、その知見が活かせると考えている。また、私がDeNA時代に関わっていたゲームが結果的に失敗してしまうという苦い経験を味わったこともあるが、その経験から得た学びも活かしたい」。

取締役兼CFOの佐藤彰紀氏(写真左)と社外取締役に就任したEight Roads Venturesの深澤優壽氏(同右)

資金調達に良い季節はあるのか?――「夏は投資活動が停滞する」説を検証

【編集部注】執筆者のJason RowleyはベンチャーキャピタリストでCrunchbase Newsの記者。

いよいよ夏本番(英語で言うところのドッグ・デイズ)だ。夏と聞くと、ビーチや裏庭でのバーベキューを思い浮かべる人もたくさんいるだろうし、私たちのようにエアコンが効いた部屋で外の熱から逃げようとする人もいるだろう。

しかしスタートアップやベンチャーキャピタルの世界では、夏は少し違う意味合いを持つ。

この記事では、「夏に投資活動が停滞する」というについて検証したい。昨年も同様の記事を公開したが、今回は少しひねりを加え、ベンチャーキャピタリスト/ベンチャーキャピタル(VC)の投資活動の季節性だけでなく、VCにとっての投資家(リミテッド・パートナー=LPと呼ばれる人たち)の活動についても調査した。つまり、VCがいつ資金を調達し、いつその資金を企業に投資するのか、というのが今回のトピックだ。

資金調達を考えているファウンダーやVCのためにも、調査方法や結論に入る前に、まずは調査結果を以下に紹介する。

ファウンダーはいつでも資金調達できる

アメリカ国内のファウンダーは資金調達のタイミングを気にしなくてもよいので安心してほしい。少なくともここ数年の動向を考えると、夏に投資活動が停滞するとは言えないことがわかった。1年を通して見ると、月によって多少の上下はあるものの、資金調達ラウンドを開催する上で最適な月というのは存在しない(※脚注)。

つまり、常に資金を調達するにはいいタイミングということだ。

下のグラフは、過去6年間のアメリカ企業に対するVC投資を月別にプロットしたものだ。Y軸は全体に占める各月の割合を示しており、もしも各月の投資件数が同じであれば、全てのバーが8.33%(100%÷12か月)になる。

年のはじめと終わりには多少凹凸があるものの、全体としては6月辺りを頂点とする緩やかなアーチを描いている。この傾向は昨年の調査結果とも合致する。

しかし、一見綺麗にまとまっているように見えるこのグラフの裏で、実際のデータはかなりバラけていた。下のグラフには、平均をとる前の各年のデータを示している。

VCのファンドは年始に集まる傾向

スタートアップは1年を通して安定的に資金調達できることがわかったが、ベンチャーキャピタルの状況は異なる。VCがファンドのジェネラル・パートナー(=GP)として資金調達を行うタイミングには偏りが見られた。

彼らは『不思議の国のアリス』で言うところの「はじめから始めろ」という考えに従うかのごとく、第1四半期にファンドを設立する場合が多い。

下のグラフは、11年間におよぶアメリカのVCの資金調達活動をまとめたものだ。

グラフが示す通り、第1四半期にかなりの割合のファンドが設立されている。しかし、GPがLPから資金を調達するタイミングには季節性が見られる一方で、第2四半期以降に組成されるファンドの数もそれなりにあるのがわかる。

Crunchbaseの日付の扱い方に一部問題(後述の調査方法参照)があったため、一定数の企業は分析対象から外しているが、この調整はVCの資金調達について調べる上でかなり効果があった。というのも、VCは新しいファンドの情報を公にしないことが多く、さらに当局へ提出する資料も比較的簡単ものであることから、何月何日にファンドが設立されたという情報はなかなか手に入れるのが難しいのだ。多くの場合、設立年のみがわかっており、その際Crunchbaseではその年の1月1日が設立日として登録されてしまう(さらにクローズ日が別の日であっても、ファンドの申請書類上は設立日を1月1日とするVCがたくさん存在するという可能性もある)。

いずれにしろ、1月1日を設立日とする371ファンドと、各月の初日に設立されたとされる数百ファンドは対象から外されている。この調整は、VCの資金調達タイミングの分布へ統計的に有意な影響を及ぼすものではない。

季節性が存在する(あるいはしない)理由

上記の通り、VCの投資活動が夏に落ち着くという傾向は見受けられず、よく言われる”夏の停滞期”というのは存在しないことがわかった。確かに7月は若干投資件数が落ち込んでいるものの、全体を見ると8月以降も投資件数が落ち込んでいるわけではなく、7月の減少具合も他の月同士を比べたときの変化とそこまで大差ない。

しいていうならば、VCも一般的なアメリカ国民と同じように、家族の顔を見に帰省したり、サンクスギビングの残り物を消費したりするのに忙しいため、11月はスタートアップの資金調達件数が減る傾向にある。

しかし繰り返しになるが、その減少度合いも平均値(約8.33%)に比べてそこまで大きいとは言えず、投資件数は1年を通して比較的安定している。恐らくその理由は、少数の魅力的な案件をめぐる競争の激しさゆえに、VCは1年中活発的に投資先候補を探しており、季節性が出にくくなっているためだろう。

その一方で、VCの資金調達活動に見られる季節性の背景はよくわからない。多くのLPにとって、VCファンドはひとつのアセットクラスに過ぎず、ある投資家のポートフォリオに占めるベンチャー投資の割合は低いのが普通だ。政府系機関(大半が年金機構)や機関投資家(大学など)がLPの大多数を占めていることを考えると、投資時期などが規制によって定められているため、年初に投資活動が集中している可能性はある。しかしこれは憶測に過ぎないため、真相を究明するためにはもっと詳細な調査が必要だ。

最後に念のためもう一度言っておくと、少なくともアメリカを拠点とするスタートアップのファウンダーやVCは、1年のうちどのタイミングで資金調達を行うか気にする必要はない。ビジネス一般に関して言えば、タイミングはとても重要な要素であり、それは資金調達に関しても同じだ。ただ、ファウンダー(VCもある程度)は、誰かが勧める特定の日や迷信を信じなくてもよい。それよりもよっぼど大きな影響を及ぼす要素がある。

調査方法
全てのグラフは、Crunchbase上のアメリカに拠点を置く企業を対象とした、2011〜2016年の4万3600件におよぶVC投資のデータから構成されている。分野や企業の規模・ステージ、拠点による分類は行っていない。上述の通り、Crunchbaseのデータの扱い方を考慮し、発生日が各月の初日となっている案件は全て取り除いた。これにより、日にちが不明確なデータは対象から外されている。

※日付はCrunbaseの”Announced On”というデータを参照しているため、(投資ラウンドのクローズ日と発表日が異なることがあるように)実際の発生日に比べてデータ上の日付は後ろにズレている可能性がある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Duolingo、7億ドルの評価額で2500万ドル調達――マネタイズ方法は未だ模索中

人気言語学習アプリのDuolingoは、Drive Capitalがリードインベスターを務めたシリーズEで2500万ドルを調達した。reCAPTCHAのファウンダーLuis on Ahnが共同設立した同社の合計調達額は1億830万ドルにのぼり、彼らによれば今回のラウンドで評価額は7億ドルに達したという。

グロース・マーケティング担当VPのGina Gotthilfいわく、複数の企業から投資提案があったものの、その中でもっともミッションを共有できた(そしてもっとも良いオファーを提示した)Drive Capitalから投資を受けることに決めたとのこと。さらに、Duolingoは現時点で資金を必要としていたわけではなかったものの、結局必要ないときの方が資金調達しやすいということもあり、Driveのオファーを受けることにしたと彼女は話す。

また同社のユーザー数は最近2億人を越え、MAU(月間アクティブユーザー数)は2500万人にのぼるという。

設立から5年が経過したDuolingoは、今回調達した資金を使って、現在約80人のチームをエンジニアやデザイナーを中心に増員して2018年中に150人まで増やそうとしている。さらにプロダクト群も拡充していく計画だ。具体的には、中級レベルのユーザーをターゲットとした新しいプロダクトを複数ローンチ予定だとGotthilfは言う。そのひとつめがDuolingo Storiesと呼ばれるもので、このプロダクトは初級者を主なターゲットにした現在のDuolingoよりも難しい問題で構成されるようだ。名前が示す通り、Storiesはこれまでのものよりも長いストーリーが中心になるとのことだが、詳細はまだ明かされていない。

また、アジア言語として初めてDuolingoに登場した日本語コースに加え、今年中(2018年頭までズレる可能性もあるが)には韓国語・中国語コースのローンチも予定している。

もうひとつ彼らが力を入れているのが人工知能だ。既にDuolingoは簡単な会話ができるチャットボットを提供しているが、まだこの部分には改善の余地があると考えている。

昨年von Ahnは、サーバー代や従業員の給与といった経費に1日あたり4万2000ドルかかると記していた。それを考慮すると、彼らが新しいマネタイズの方法を模索しているのにも納得がいく。

Duolingoはもともと無料サービスを利用する言語学習者を活用し、有料顧客に向けて翻訳サービスを提供しようとしていた。しかし結局そのアイディアはうまくいかず、去年同社はアプリ上に広告を掲載し始め、広告の表示されない有料プランをローンチした(Android版アプリのみで、iOS版にはこれから導入予定)。さらに、TOEFLのような有料の英語検定試験も提供しており、現在では世界中の大学や企業、政府系機関で公式な言語能力試験として認定されている。

売上などの数字は公表されていないが、Gotthilfは今回の評価額に売上の伸び具合が反映されていると語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

仲介時でなく、見積もり提案に課金――個人とプロをマッチングする「Zehitomo」が1.5億円調達

カメラマンなどのプロフェッショナルと依頼者をつなぐマッチング・プラットフォーム「Zehitomo(ゼヒトモ)」。そのプラットフォームを運営するZehitomoは7月26日、500 Startups JapanDraper Nexus Venturesアコード・ベンチャーズKLab Venture Partners、複数の個人投資家から総額1.5億円を調達したと発表した。

Zehitomoは、カメラマンやパーソナルトレーナーなどのプロフェッショナルと、仕事の依頼者であるユーザーとをマッチングするプラットフォーム。

2016年10月のサービスリリース以降、約6800人のプロがZehitomoに登録し、これまでの提案件数は1万件だ。提案総額は3.5億円以上だという。

同プラットフォームで依頼できるカテゴリーの数は600以上。記念日の撮影やヨガのパーソナルトレーニングなど、その種類は幅広い。依頼者がプラットフォーム上で希望の日時、場所、条件などに回答すると、プロフェッショナルからチャット形式で見積もり提案が届くという仕組みだ。

1つの案件に応募できるプロの数は最大5人までに制限されている。また、マッチングが成立したときの仲介手数料や登録費用、月額料金などもかからない。ではZehitomoがどこで収益を得るのかというと、彼らは見積もりを提案する際、プロに対して課金している。1回あたりの費用は平均500円程度だ。

仲介手数料モデル VS 応募課金モデル

この“応募課金モデル”とも呼べるビジネスモデルは、クラウドソーシングで主流の“仲介手数料モデル”とは対極の位置にある。日本で応募課金モデルを採用しているサービスには、先日TechCrunch Japanでも紹介したミツモアがあるし、同様に個人とプロのマッチング・プラットフォームを手がけるアメリカのユニコーン企業Thumbtackもこのモデルを採用している。

Zehitomo代表のジョーダン・フィッシャー氏は、このモデルの利点について「見積もりの提案に費用かかるため、本気で仕事をとりにくるプロからの提案が集まる。また、応募できるプロの人数に制限をかけることで、マッチングの確率も高まる」と話す。

そうは言っても、応募課金モデルならではの問題もあるように思う。プロがいくら本気でも、「とりあえず依頼しとくか」くらいの気持ちの依頼者ばかりが増えれば、応募費用だけがかさんでしまう。見かけ上は5分の1の確率で選ばれるかもしれないが、蓋をあけてみれば5人いずれのプロも選ばれない、なんてこともあり得る。

見積もり提案≒ターゲット広告

これについてフィッシャー氏に聞いたところ、「Zehitomoの構造上、その問題はたしかに発生してしまう。だが、この見積もり提案を『非常に確度の高いターゲット広告』と考えてほしいと思っている」と答えた。

なるほど、わざわざカテゴリーを選択して依頼をした以上、度合いは違えど、そこには“誕生日の写真を撮ってほしい”などの明確なニーズがある。それに対して直接リーチできる見積もり提案は、たしかに自分の細かなプロフィールが付いたターゲット広告のようなものだ。

もちろんコンバージョンしない例はある。でも、個人事業主であるプロフェッショナルからすれば、ただでさえ少ないリソースを使って効果があるか分からない広告に手を出すよりも、案件の応募にお金を使ってみるのもアリなのかもしれない。

それでもなお、この“コンバージョン率”を上げるための施策は必要なわけだが、フィッシャー氏は、「そのために重要なのはプロ側の教育だ。しっかりとプロフィール欄を埋めて、自分をアピールした方がマッチング率もあがる」と語る。

Zehitomoはプラットフォームに「プロフィール欄を埋める」などの各種タスクを用意した。それらのタスクをクリアするごとに、応募費用に充てられるサービス上の通貨をプレゼントするという施策を実施している。

“The Biggest Startup You Never Heard Of.”

2015年9月、Zehitomoと同じ応募課金モデルを採用するThumbtackは、12.5億ドルのバリュエーションで1億2500万ドルを調達し、ユニコーン企業に仲間入りした。

そのニュースを伝えたForbes誌は、その当時のThumbtackに登録するプロフェッショナルは20万人で、年間の流通総額は10億ドルだと報じている(ThumbtackのWebサイトによれば、現在の登録プロフェッショナル数は25万人)。

しかしForbes誌は、それでもThumbtackは黒字化していないとも報じている。フィッシャー氏によれば、このビジネスで一番コストがかかるのは依頼者の集客なのだとか。Thumbtackも、その集客のために多額の投資をしているのではないかと彼は考えている。

「Thumbtackに欠けているのはブランド力だと思う。本国のアメリカでも、一般のユーザーに広くその名前が知られているわけではない。ユーザーが誰かに仕事を依頼したいとき、彼らの頭にThumbtackの名前が浮かぶわけではなく、Googleで先頭に表示されるのがThumbtackだからユーザーはそれを選ぶ。『The Biggest Startup You’ve Never Heard Of』なんです」とフィッシャー氏は語る。

今回1.5億円を調達したZehitomoは、その資金をサービスのさらなる開発に充てるという。また、サービスの基礎を固めたあとは、ブランド構築にフォーカスしていきたいとフィッシャー氏は話す。この種のサービスが苦労する集客の問題が解決できるかどうかも、このブランド力を構築できるかにかかっているだろう。

中列、右から3番目がZehitomo代表のジョーダン・フィッシャー氏

「ごちクル」運営のスターフェスティバルが総額10億円を資金調達、新規事業創出に取り組む

法人・団体向けのお弁当宅配やケータリングサービス「ごちクル」などを運営するスターフェスティバルは7月24日、キッコーマン、クレディセゾン、電通グループが運営するファンド、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)、みずほフィナンシャルグループが運営するファンドから、総額10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。スターフェスティバルは2009年7月の創業。今回の調達を含め、累計資金調達額は約50.5億円となる。

スターフェスティバルは、有名店やシェフ監修の弁当からワンコイン弁当までをネット注文で宅配するごちクルのほか、2015年からは企業の従業員向けにランチを提供するサービス「シャショクル」を提供。2016年8月には新規事業として、ごちクル、シャショクルの利用者をターゲットに、広告主となる企業の製品やサービスのプロモーションを行う広告事業「ごちアド」を開始した。また、全国の特産品や食材を活かした弁当の企画開発・販売、特産品の流通、プロモーション協力を行う、地方創生サポート事業も行っている。

7月6日には、今回の発表に先駆け、JR東日本との資本業務提携も公表(今回発表の資金調達にはこの資本業務提携が含まれている)。JR東日本グループ傘下で製造する弁当などを販売することで、製造パートナーの拡充や地産品の仕入れなど物流強化を図る考えだ。

スターフェスティバルでは、今回の資金調達により、「ごちクル」、「シャショクル」、「ごちアド」など既存サービスの強化を図るとともに、新規事業の創出にも積極的に取り組むとしている。

株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」運営元が約1.1億円を調達

株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」を提供する日本クラウドキャピタルは7月20日、西武しんきんキャピタル、事業会社2社およびエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額1億1580万100円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回調達した資金はFUNDINNOの機能改善に加えAIやブロックチェーンを活用した新たなシステム開発に当てるという。なお日本クラウドキャピタルはFUNDINNOリリース前の2017年2月28日にも、ECや決済領域で複数の事業を展開するラクーン他2社から資金調達(金額は非公開)を実施している。

FUNDINNOは非上場の中小・ベンチャー企業と、そのような企業に投資したい投資家を結びつける株式投資型のクラウドファンディングサービスだ。投資の見返りとして商品やサービスを受け取るのではなく、未公開企業の株主となれる点が大きな特徴。投資を募る企業側にとっても、事業に共感してくれた投資家から少額ずつ資金を調達できる新たな手段として関心を集めている。

立ち上げのきっかけは、代表取締役CEOの柴原祐喜氏が米国留学時 「株式投資型のクラウドファンディングを通じて資金調達をするのが当たり前となっている環境」を目の当たりにしたこと。帰国後に日本国内でも同様のサービスを展開したいと考えていた矢先、改正金融商品取引法により「株式投資型」のクラウドファンディングが解禁されたためサービス開発に踏み切った。(立ち上げの背景やサービスの仕組みについては前回の資金調達時に詳しく紹介している)

2017年4月のリリースから3ヶ月ほどがたち、これまでに2社がFUNDINNOで資金募集を実施。請求書データ共有サービスを手がけるBank Invoiceは1460万円、シルクスクリーン印刷サービスを提供するJAMは3130万円と、いずれも目標額を上回る金額を約10日間ほどの期間で集めた。

日本の企業のうち99.7%を占め、日本経済に大きな影響を与えるベンチャー・中小企業。その中には優秀な技術やアイデアを持ちながら活かしきれていない企業も数多く存在する。FUNDINNOではそのような企業の情報を投資家に届け、マッチングをすることで中小・ベンチャーを応援するプラットフォームを目指していくという。

リーディング特化の英語学習アプリ「ポリグロッツ」がシリーズAで6000万円の調達

POLYGLOTS(ポリグロッツ)は英語のリーディングに重点を置く英語学習アプリだ。本日、ポリグロッツはシリーズAラウンドで総額6500万円を調達したことを発表した。リードインベスターは米SynexCorporationの創業者で九州大学の名誉博士であるロバート・ファン氏が務め、他に事業会社と個人投資家が参加している。

ポリグロッツは英文を読んで英語を学習することに主軸を置いたアプリだ。ユーザーが記事を読むと、読んだ記事のワード数や読了までの時間がグラフで表示される。記事を読んでいる途中で分からない単語があった時は、単語をタップして辞書を引くことができる。調べた単語は自動で単語リストに追加されるので、あとで単語を復習することが可能だ。

今回ポリグロッツは新たにWebReader機能を実装した。これまでポリグロッツで提供していたのは彼らがキュレートした記事のみだったが、WebReader機能を使えばユーザーはウェブ上のどの英語記事でもポリグロッツの機能を使って読むことができる。

ポリグロッツは「好きなものを使って学習する」のがコンセプトとポリグロッツ創業者でCEOの山口隼也氏は説明する。今回のWebReader機能の実装により、ユーザーはこれまで以上に自分の好きなコンテンツを英語学習に活かすことができるようになると言う。

ポリグロッツは2014年5月に創業し、2014年末からポリグロッツのアプリを提供している。2015年3月末にはEast Venturesやエンジェル投資家から2000万円を資金調達した。

ポリグロッツには現在70万人弱のユーザーがいるそうだ。アプリの基本機能は無料で利用できるが、有料プランでネイティブスピーカーが記事を読み上げた音声を聞けるリスニングコンテンツや英会話のフレーズが学べる学習コンテンツ、先生にチャットで質問ができる機能などを提供している。ポリグロッツは他にも広告と「法人版POLYGLOTS」の提供でマネタイズも行なっている。

今後構想しているのは、ポリグロッツを英語の先生と英語を学習する生徒とをつなぐプラットフォームにすること、と山口氏は説明する。ポリグロッツの有料版では、リスニングのコンテンツを作ったり、ユーザーの英語の質問を答えるのに英語の先生が登録している。こうした英語の先生とポリグロッツで日々英語を学習している人たちをマッチングして、英語レッスンが提供できるプラットフォームを作ることを考えていると山口氏は言う。

「先生の特徴が分かって、レッスンの予約ができるようなマッチング・プラットフォームを考えています」。

今回調達した資金は、このマッチング・プラットフォームの実現に向けて開発を進めること、そしてユーザーの自習をサポートする機能の拡充に充てると山口氏は説明する。機能拡充については、ユーザーが発音を練習できる「シャドウイング機能」や長い文章でも読みやすいようスラッシュで文章を区切って読み進めることができる「スラッシュ・リーディング機能」を予定しているそうだ。また、中国や韓国版のポリグロッツ(中国人や韓国人が英語を学ぶことができる)を提供し、グローバルでユーザーを増やすことを視野に入れいていると山口氏は話している。

ロボアドバイザー「THEO」提供元のお金のデザイン、​新生銀行から総額5億円を調達

新たな個人の資産運用方法として注目を集めるロボアドバイザー。国内でも複数のサービスが立ち上がっているが、そのうちの1つ「THEO(テオ)」を提供するお金のデザインは7月14日、同日付で新生銀行を引受先とした第三者割当増資により総額5億円を調達したことを明らかにした。

まずは今秋を目処に新生銀行の顧客向けにTHEOの取り扱いを始めるほか、共同で新サービスの開発にも着手するという。お金のデザイン代表取締役社長の中村仁氏によると、4月に発表していたTHEO+をベースにしつつ「単に新生銀行がTHEOの取り扱いを開始する以上のこと」を検討中だという。

「我々の戦略はTHEO+というスケールできるプロダクトをどんどん改善していくこと。THEO+は初期の単純接続や残高表示連携を始めとした展開を考えている。現時点ではまだ詳細は明かせないが、単純にTHEO+新生銀行様を始める以上のことを計画している」(中村氏)

お金のデザインと新生銀行は5月8日に業務提携に関する基本合意を締結。その時点で新生銀行側は今後「新生総合口座パワーフレックス」の顧客向けにTHEOの取り扱いを開始することや、お金のデザインへの出資を検討しているとしていた。

THEOは5つの質問に答えると、それを元に世界の約6000種類のETF(上場投資信託)の中からユーザーに最適な組み合わせを提案、運用するというロボアドバイザーサービスだ。4月4日時点で無料診断を完了したユーザー数が26万人、実際に運用しているユーザー数が1万人を突破している。

運営元のお金のデザインは2013年8月の創業で、2016年2月にTHEOをローンチしている。2015年12月には東京大学エッジキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズらから総額約15億円を調達。それ以降複数の銀行や銀行系のVC、事業会社などから資金調達を実施し、2017年2月22日の時点で創業から累計で約33億円を超える資金を集めていた。(これまでの資金調達には過去の記事で詳しく紹介している)

冒頭でも触れたように現在ロボアドバイザーの領域は非常に盛り上がっており、たとえば2016年10月にはウェルスナビが総額15億円を、2017年3月には「VESTA」運営元のGood Moneygerが7500万円を調達したことをTechCrunchでも取り上げている。その他にもサービスローンチや、大手金融機関との連携などニュースが多く、今後もこの勢いは続いていきそうだ。

企業向けウェルネスサービスも提供開始、ハカルスが5000万円を追加で調達

健康管理サービスを提供する京都拠点のスタートアップ企業「ハカルス」が今日、合計5000万円の資金調達を実施したことを発表した。京都市スタートアップ支援ファンドを引受先とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫の資本性ローンによるもので、これで2016年10月のシード資金調達からの累計調達額は1億円となる。

ハカルスは元々デジタル計量計で食材の栄養分を分析し、それによって栄養バランスを管理するサービスを提供していたが、後にアプリにフォーカス。「スパースモデリング」と呼ばれる、小さなデータセットでも全体の傾向や特徴が導き出せる機械学習を使ったヘルスケア・アプリを提供してきた。現在は食事指導を中心とした企業向けのヘルスケア・ウェルネスサービス「HACARUS」として、ユーザー管理のためのクラウド環境やログ解析、APIによる既存データ・システムとの連携などを進めている。

パートナー企業によるサービス提供の第一弾として、福利厚生サービスを提供するリロクラブと提携。500万人の会員を持つ「RELO CLUB」の会員向けに7月末から「HACARUS for RELO CLUB」の提供を開始するという。RELO CLUB会員はアプリを通じて食事・運動指導などのサービスが受けられる。

ハカルスでは今回調達した資金で人材確保を進めるほか、ディープラーニングだけに頼らない独自の人工知能アルゴリズムの開発をさらに推進するとしている。スパースモデリング技術では、東北大学の大関真之准教授と連携し、アプリを使ったデータ入力の煩雑さやデータ欠損の問題を克服するという。

なお、ハカルスはTechCunch Tokyo 2016スタートアップバトルのファイナリスト20社のうちの1社だ

古くて新しい技術――マルチバリューDB開発のシマントが7000万円調達

マルチバリュー型データベースの開発・提供を行うシマントは7月11日、シードラウンドでDraper Nexus VenturesとIDATEN Venturesから総額7000万円を調達したと発表した。Draper Nexusからの出資は2017年2月時点で実施されており、今回のシードラウンドはそれを含んだものとなる。

なお、IDATEN VenturesはVisionaire Venturesなどに所属する足立健太氏が運営するVCだ。

シマントが開発する「SImount Box」は、1つのレコードが複数の値をもつ“マルチバリューデータベース”の技術を採用するデータベースだ。

古くて新しい技術

現在主流のリレーショナルデータベース(RDB)は、顧客データや注文データなどを個別のテーブルに分けて格納し、それぞれのテーブルを顧客IDなどのキーで関連付けて結果を出力する。その構造上、データベースを開発する際には生データを重複しないように複数のテーブルに分割する“データの正規化”が必須となる。

一方、1つのレコードに対する複数の値をかたまりとして扱うことができるマルチバリューDBでは、テーブルの設計やデータの正規化を行う必要がない。シマント代表の和田怜氏は、これにより運用までの開発期間を大幅に短縮できると話す。

データベースのシステム構築には6ヶ月〜1年の時間を要することもあるが、それが2週間程度に短縮された例もあるのだとか。

また、例えば1つの顧客名(レコード)に関するデータを集めるために各テーブルを横断的に検索するRDBと比べて、マルチバリューDBでは検索必要数が少なくて済む。複数の値をもった1つのレコードを検索すればいいからだ。このデータ処理時間の削減効果は、データ量が多ければ多いほど大きくなる。

「これまでデータの処理に5時間かかっていたものが、10分に短縮されたという導入事例もある。処理時間を短縮できるSImount BoxはビックデータやIoTの時代に適したデータベースだといえる」(和田氏)

マルチバリューDBの歴史は意外に古く、その基礎は1960年代に確立している。マルチバリューDBは元々、1965年にイニシャルリリースされた「Pick OS」と呼ばれるオペレーティングシステム用に開発されたデータベースなのだ。

しかし、その後Oracleがデータベースの覇権を握るにつれ、SQLをクエリ言語として使用するリレーショナルDBが業界の主流となった。ただ、ビッグデータの時代が到来した今、その“忘れられた技術”に再度注目が集まることになる。

「リレーショナルDBは処理能力を犠牲にした技術だが、これまではマシンのスペックがどんどん良くなっていたから、それで成り立っていた。しかし、ビッグデータの時代になり、スペックが上がるスピードがデータの増加量に追いつかなくなった。だからこそ、Hadoopのような技術が生まれたのだと思う。しかし、分散処理にはコストがかかりすぎるため、データベース側で処理能力を上げていく技術がもう一度脚光を浴びるようになった」(和田氏)

ちなみに、シマントCTOの渡邉繁樹氏はPick OSの元開発メンバーの1人で、その後に日本オラクルなどで技術要職を歴任してきた人物なのだそう。現在60歳のベテラン・データベース技術者だ。

インターフェースはエクセル

SImount Boxは、DB設計や実行を専用のエクセルファイル上で完結することができる。クエリ言語はシマントが独自に開発した「IntuitiveQueryLanguage」と呼ばれる言語を使用。エクセル上から直接DBにクエリコールできる。

もちろん、現時点でこの独自言語を使えるユーザーはほとんどいないため、現在は案件ごとにシマントが検索条件を設定して納品している。ただ、納品後のデータベースの設定にユーザーが細かな変更を加えることは可能で、その難易度は「エクセルの関数やマクロ組める人なら十分対応できる」といったレベル感だという。

現場レベルで使い慣れたエクセルをインターフェースとして採用し、かつ運用開始までの時間が短縮されるSImount Boxは、例えば開発中のアプリケーション用DBなどPDCAを高速で回していく領域でも使いやすい。

「私たちのアプローチは、保守や運用など“守り”の要素が重要となる基幹データベースをRDBからマルチバリューDBに変えてくださいというものではない。SImount Boxは、基幹データベースが吐き出したCSVファイルを利用して、例えば部門ごとの専用DBを高速で構築するために使うこともできる」(和田氏)

2014年創業のシマントは、今回調達した資金を開発体制の強化とサービスの開発に用いる予定だとしている。

MUFGアクセラレータプログラムの第2期生にも採択されたシマント。今後の展開について和田氏は、「どの領域の顧客に注力していくかを決めていく。有力な分野は、金融、医療、物流などのビッグデータと深く関わる分野だ。また、マルチバリューDBの一番の弱点はユーザーコミュニティが脆弱であること。ユーザーコミュニティが大きくなるまでは、私たちは案件ドリブンでプレゼンスを高める必要があります」と語る。

高齢者のお友だちロボットを作るIntuition RoboticsがToyota Research Instituteから$14Mを調達、早くもメリットあり

高齢者ケアのためのアシスタントロボットElliQを作っているIntuition Roboticsが、サンフランシスコにオフィスを開いた。スタッフの増員と製品テストの充実を図りたい同社は、新たに1400万ドルを調達した。今回は、Toyota Research Institute(TRI)からだ。

ElliQを同社は“活動的な老後のためのお友だち(active aging companion)”と呼び、それはタブレットと併用する対話的ロボットで、高齢者が簡単にすぐ使えることを目指している。このロボットは高齢者が自分以外のものに積極的に関心を持ち、日常生活が活動的で、外部世界とのつながりを維持できることを目指している。そのために家族や親戚や介護者とビデオチャットができ、コンパニオンとして活動の提案ができ、また薬の服用を思い出させたりする。

最近ベイエリアのユーザーによるテストを始めたばかりだが、チームの増員も目指している。そのためには資金がもっと必要だし、またハードウェアのエキスパートも見つけたい。なんといっても、ハードウェアは難しいからね。

Toyota Research Instituteが投資をすれば、その二つが手に入る。Intuition RoboticsのCEO Dor Skulerによれば、同社にアプローチしてきたToyotaは、すぐにそれらしさの片鱗を見せた。ElliQのプロトタイプを見て、モーターの交換を提案したのだ。さすが、ハードウェアのエキスパートである。

“製品開発の現段階では、ヘルプが必要だから、その道に詳しくて専門家もいる投資家にアプローチされたことは、とっても嬉しかった”、とSkulerは語る。

同社のこの前の資金調達は600万ドルで、iRobotのRoombaやTerra Venture Partners, Bloomberg Beta, Maniv Mobilityなどが投資家だった。クラウドファンディングのプラットホームOurCrowdからも、資金を調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

平均DAU4万人のおでかけ動画メディア「ルトロン」が15億円調達――体制強化で月間1000本製作へ

スマートフォン向けの動画広告サービス「VIDEO TAP」や動画メディアの「ルトロン」などを運営するオープンエイトは7月10日、ジャフコグロービス・キャピタル・パートナーズから総額15億円の資金調達を実施したと発表した。

また、同社は2015年10月にTBSなどから8億円を調達している

オープンエイトが手がける事業は2つ。広告事業とメディア事業だ。

女性向けの動画広告サービスの「VIDEO TAP」やネイティブアド・サービスの「NATIVE TAP」などを運営するオープンエイトの広告事業では、@cosmeウーマンエキサイトなどの女性系メディアをネットワーク化。全ユーザーの94%が20〜40代の女性で、月間のべユニークユーザーは1億人以上だ。

VIDEO TAPは2015年4月のリリースだが、オープンエイト代表の高松雄康氏によれば、広告事業はすでに損益分岐を超えており、「投資回収フェーズに入っている」という。

オープンエイトは、この事業を通して改めて動画広告のエンゲージメント率の高さを知る。そこで同社は、コンテンツを自社で作って「ユーザーの心を動かしたい」という想いから、2016年6月におでかけ動画メディアの「ルトロン」をリリースした。

「ルトロン」は各地の観光スポットやレストランなどの魅力を伝える動画メディア。ユーザーは動画というリッチなメディアを通して”やってみたいこと、行ってみたい場所”を発見することができる。ルトロンにはこれまでに3000本以上の動画が掲載され、月に200本以上のコンテンツが自社製作されている。現在、Facebookページの”いいね!”数は73万以上で、デイリーアクティブユーザー数は平均4〜3万人程度だという。

下の動画はルトロンのコンテンツ例だ。

 

「@cosme、食べログ、クックパットなど、有力なWebサービスは目的志向が強いサービスだと思っている。例えば、食べログを開くときは、ユーザーがすでに”ラーメンを食べたい”などの目的を持っているとき。それに対してルトロンは、ユーザーの心を動かしてラーメンを食べたいという気持ちを喚起するメディアだ。そして、僕たちが重視するのはエンゲージメント。再生回数が多くても、ユーザーの心を動かさない動画を作っても意味がない」(高松氏)

オープンエイトは前回8億円を調達しているが、同社はそのうちの約2億円を費やしてコンテンツ製作の体制を整えた。「おでかけ領域で動画メディアをやっている競合はいなかった。ロケ取材をベースにコンテンツを作るのはお金がかかり、体力の少ないスタートアップが手がけるのは難しかったからだ」と高松氏は話す。

自身もスタートアップであるオープンエイトは、できるだけコストをかけずにコンテンツを製作するためにプロセスのシステム化を追求する。コンテンツの種類ごとに内容をフォーマット化したり、撮影に関する細かいマニュアルを用意して、誰が撮影しても同じ画角で撮影できるような体制を整えたりした。

また、合計で16人のルトロン事業メンバーを”企画チーム”と”編集・撮影チーム”に完全に分離。企画チームはそのほとんどの時間をブレストに費やし、一方の編集チームは、福岡から北海道まで全国に散らばる外部カメラマン(約30人)が撮影した動画の編集や撮影に集中できるようにした。

さらなる体制強化で月間1000本製作

オープンエイト代表の高松雄康氏

オープンエイトは今回調達した資金を利用して、ルトロンのコンテンツ製作体制をさらに強化する。編集チームを現在の8人からほぼ倍の14人に増やし、8月から月間1000本のペースでコンテンツを製作するという。また、同社は同じく8月にルトロンのアプリをローンチする予定で、それにあわせてWebプロモーションを開始する。

高松氏によれば、オープンエイトはAI開発にも着手しているという。

「ロケ先のレストランなどが1年後に廃業する確立は大体4〜5%程度。つまり、残りの95%を取材した動画はストックされたデータとして蓄積されていく。ルトロンでタレントを起用しない理由も、肖像権などの関係で過去に取材した動画が使えなくなるのを防ぐためだ。開発中のAIは、そのような過去のコンテンツを再編集してもう一度ユーザーに届ける役割を担う」と高松氏は話す。

例えば、クロワッサンというキーワードをもとに、”クロワッサンが美味しい店TOP3”などのコンテンツを配信したり、アプリリリース後にユーザーデータを集めたあとは、各ユーザーごとに最適な情報を自動で配信したりするなどの機能を展開していく。前者のAIによるコンテンツの再配信は今年秋ごろから、そして、ユーザーデータをもとにしたリコメンド機能は来年春ごろから提供していきたいと高松氏は話す。

チャット形式でストーリーが展開、スマホ時代のケータイ小説「Balloon」がローンチ

先月の米国TechCrunchの記事でもあったが、「チャットフィクション」と呼ばれるジャンルのアプリが、今ティーンを中心に注目を集めている。

これは言ってみれば「スマホ時代のケータイ小説」。自分の読みたいストーリーを選択すれば、まるでチャット型UIのメッセンジャーを見ているかのごとく、チャット形式で物語を読み進めることができる。サービスにもよるが、プロの投稿したストーリーを読めるだけでなく、ユーザーがストーリーを投稿できるプラットフォームになっているものある。

“ケータイ小説”なんて説明をしたが、実際は「小説」というよりはチャットでの「会話」。一般的な小説のような地の文での情景描写は基本的にはなく、多くは1人、ないし2人程度の登場人物による吹き出し——つまり会話だけで話が進んでいくのだ。小説というよりはライトノベル、いや、脚本の世界を想像してもらったほうが分かりやすいだろう。

冒頭の米国TechCrunchの記事にもあるように、すでに海外では「Hooked」や「Yarn」といった人気アプリが登場している。Hookedは数カ月前に日本語化されていて(ただし当時ほとんどは機械翻訳のようなテキストで、英語のほうがよっぽどか読みやすそうだったが)いくつかのストーリーを読んでみたが、2人の登場人物の会話から徐々にその環境があきらかになっていくあたりは、ホラーやサスペンスもののストーリーを読むのにはピッタリな気がした。

そんなチャットフィクションの領域に挑戦する日本のスタートアップがFOWDだ。同社は7月10日、チャットフィクションアプリ「Balloon」をリリースした。App Storeから無料でダウンロードできる。

「Balloon」のイメージ

Balloonは国内のクリエーターが執筆したストーリーを読めるチャットフィクションアプリ。特徴的なのは連載型を採っていること。連載ストーリーは毎日更新で、常に何かしら新しいコンテンツを読むことができるようになっている。

サービスは無料だが、いわゆるソーシャルゲームの「スタミナ制」のように、一定量のストーリーを読むと読み続けることができなくなり、しばらく時間を待つ必要がある。7月24日までの2週間は期間限定で無制限の読み放題とするが、以後はこのスタミナ制が採られると同時に、月額数百円の読み放題プランを提供する予定だ。

ローンチ時には21作品を掲載。3、4話で完結する短編と、12話完結の長編ストーリーを用意するという。内容は日常系、サスペンス、ファンタジーなど広いジャンルをそろえる。

ちなみに執筆するのはいわゆる小説家よりも、マンガ家や脚本家を本業とする作家が中心なのだそう。要は「小説」でなく、吹き出し(会話)で展開するストーリーを得意とする人達ということだ。ターゲットとするのはティーンから25歳くらいまで。8月にもプラットフォームを開放し、一般ユーザーの投稿も可能にする予定だ。コンテンツやIPを持つ会社との連携なども進めていくという。

ベンチャーキャピタリストから起業家に転向

サービスを手がけるFOWDは2017年6月の設立。代表取締役社長の久保田涼矢氏は学生時代からウェブ制作やウェブマーケティングなどに携わったのち、コロプラおよびコロプラネクストでベンチャーキャピタリストとして投資に携わっていた人物。

起業家がその経験をもとにアドバイスを行う投資家になるという話はたまに聞くが、投資家、しかも1995年生まれという若さで起業家に転向するのは珍しいケースだろう。同社は独立系ベンチャーキャピタルのTLM、East Venturesに加えて、千葉功太郎氏ほか個人投資家数名からシードマネーを調達している。金額は非公開だが数千万円前半程度の額だという。

FOWD代表取締役社長の久保田涼矢氏

「まずはチャットフィクションだが、『チャット』だけでサービスを縛りたくない。時代によってUIも好まれる絵柄も変わってくる。広義でストーリーを提供するプラットフォームに育てたい」(久保田氏)

また今後は、ヒットするストーリーの解析にも力を入れていくという。「日本のエンタメコンテンツは魅力的で、レベルが高い。でも海外の勢いに負けつつある。そこには(エンタメの)解析がされていなかったということがあると思う。(ヒットの)再現性やストーリーの研究をやるべきではないか。ただし他の人の先に行くには、データの解析だけでは難しい。インフルエンサー事務所と組んだり、自社のコンテンツをより研究したり、ダーゲットとする若年層とどれだけ触れているかが重要」(久保田氏)

ちなみに僕が複数の関係者に聞いたところだと、この夏には複数の会社からチャットフィクションアプリのリリースが予定されているという。DMMが1月に買収したピックアップもチャットフィクションアプリ「TELLER」をローンチしている。