データ+AI企業Databricksがローコード・ノーコード機能拡張のため8080 Labsを買収

Databricks(データブリックス)は米国時間10月6日、ドイツのスタートアップである8080 Labsを買収したと発表した。8080 Labsは、Pythonベースのデータ分析・操作ツールPandasの人気GUIである「bamboolib」を開発している。bamboolibは、データサイエンティストがコードを書くことなく、迅速かつ容易にデータを探索し、変換することを可能にする。8080 Labsは、bamboolibの無料コミュニティ版と、企業向けの機能を追加した有料プロ版を提供していた。Databricksは、これらのUIにフォーカスした機能を自社のLakehouse Platformに統合し、ローコード・ノーコード機能を拡張していく予定だ。

今回の買収は、8月に16億ドル(約1783億円)のシリーズH資金調達ラウンドを終了して以来、Databricksにとって初めての買収となる。当時、DatabricksのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)CEOは、この分野で資本力のある競合他社に対抗するために資金調達を行ったと話していた。競争の激しい分野で急成長している企業にありがちなことだが、そのためには、エンジニアリング人材とソフトウェア機能の両方を手に入れるための買収が必要になる。

ゴディシ氏は本日の発表でこう述べている。「2020年のRedashの買収と合わせて、ローコード・ノーコードのソリューションを好むより多くのユーザーに当社のユーザーベースを拡大していきます。Databricksにシンプルな機能を導入することは、専門知識の有無にかかわらず、より多くの人が大規模なデータセットを簡単に分析・探索できるようにするための重要なステップです」。

Databricksにとって今回の買収は、専門知識を持たないシチズンデータサイエンティストに同社のプラットフォームを提供することに新たな重点を置くことを意味する。「データとAIがあらゆる規模の企業にとって戦略的な優先事項になるにつれ、組織内の誰もがデータに基づいて質問したり行動を起こしたりする権限を持つことが重要になっています」と同社は声明の中で述べている。Databricksは、同社の自動機械学習ツールと組み合わせることで、より幅広いユーザーがデータから価値を引き出すことができるようになると主張している。また、プロの開発者にとっても、同社のUIツールでデータ変換を構築し、よりカスタムな実装が必要になったときにPythonコードをエクスポートすることで、負担が軽減されるとしている。

8080 Labsの共同設立者であるTobias Krabel(トビアス・クラベル)氏はこう述べた。「我々は、複雑なデータタスクをシンプルにし、データサイエンスと機械学習のパワーをあらゆるスキルセットのデータチームが利用できるようにするために8080 Labsを設立しました。オープンソースをルーツとし、レイクハウスというカテゴリーでデータ環境を再構築するという素晴らしいビジョンを持つDatabricksには無限の可能性があると考えており、チームの一員としてその旅に加われることをこの上なく嬉しく思っています」。

8080 Labsは4人のビジネスエンジェルからエンジェル資金を調達していたが、詳細は公表していない。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Googleマップが米国で「最も環境に優しい」ルート検索機能を提供開始

Google(グーグル)は米国時間10月6日、2021年初め発表した「エコフレンドリールート」機能を、米国のiOSおよびAndroidユーザー向けに提供開始し、欧州では2022年にサポートを開始することを発表した。この新しいルート案内オプションは、ドライバーが最速ルートと最も燃費の良いルートから選択できるようにするもので、今回のリリースのハイライトであることは明らかだ。それに加え、Googleマップには他にも2つの新機能が追加される。1つは、ルート案内は必要だがターンバイターンのナビは必要ないというサイクリストのための新しい「Liteナビゲーション」モード(今後数カ月以内に提供開始予定)、もう1つは、ベルリンでDonkey Republicの自転車を利用したいときのための、自転車やスクーターのシェア情報の拡充だ。

関連記事:グーグルがマップの3D表示大型アップデートを予告、屋内でのARルート案内など新機能を多数発表

Googleマップのトランスポーテーション部門シニアディレクターであるRussell Dicker(ラッセル・ディッカー)氏はこう述べた。「エコフレンドリーなルート検索機能では、常に最速のルートを表示し、さらに燃費の良いルートも表示します。数回タップするだけで、異なるオプション間の相対的な燃料節約量や、ETA(到着予定時刻)の差がある場合はその差を確認し、自分に最適なものを選ぶことができます」。何があっても常に最速ルートを見たいというユーザーのために、Googleマップではそれだけを見ることができる設定も用意されている。

Googleは、この新しい経路選択オプションにより、マップユーザーが年間100万トン以上の二酸化炭素排出を回避できる可能性があると考えている。これは、道路から20万台の自動車を取り除くのと同じことだ。少なくともこの機能がしばらく使われて実際のデータが得られるまでは、このような数字には少し懐疑的にならざるを得ない。というのも、Google マップでは、多くの人にとって曖昧な概念である二酸化炭素の排出量ではなく、ユーザーのコスト削減につながる燃料効率に焦点を当てているからだ。

燃費を考慮しなくても、ルーティングは難しい問題だ。ディッカー氏は次のように述べている。「多くの場合、すばやく処理するか、正確ではあるが非常にゆっくりと処理するか選ぶことになります。私たちが成功したのは、Googleではすべてがスケールの問題であるため、たくさんの優れた選択肢を非常に迅速かつ大規模に得ることができる多くの技術を構築したからです」。

ディッカー氏は、より燃費の良いルートを選択するためには、距離、時間、標高、速度、そして一定の速度を維持できるかどうかといった要素が重要であると指摘している。

「Liteナビゲーション」は、過去1年間にGoogleマップで自転車の道案内を求める声が高まったことから生まれたものだとディッカー氏はいう。しかし、多くのサイクリストは走行中に携帯電話を目の前に置かないし、必ずしもターンバイターンの案内を望んでいるわけでもない。そのため、Liteナビゲーションでは、マップ上で自分がどこにいるかを確認するとともに、ETAや今後の高低差などの情報を提供することに重点を置いている。

自転車やスクーターのシェアリングについては、欧州ではDonkey Republic、Tier、Voi base、米国ではBird(バード)、Spin(スピン)との提携により、AndroidおよびiOSで、世界300都市のシェアリングステーションの場所がGoogle マップに表示されるようになった。

画像クレジット:Anchalee Phanmaha / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

オーティファイがノーコードAI利用ソフトウェアテスト自動化プラットフォーム強化で11.2億円のシリーズA調達

写真左からCEO近澤良氏、CTO松浦隼人氏、COO清水隆之氏(画像クレジット:Autify)

Autify(オーティファイ)のCEOで共同創業者の近澤良氏は、過去10年間、日本、シンガポール、サンフランシスコでソフトウェアエンジニアとして働く中で、ソフトウェア開発業界には「ソフトウェアテストに時間がかかりすぎる」という共通の問題があることに気づいた。

近澤氏と共同創業者の山下(サム)颯太氏は2016年にサンフランシスコで、ソフトウェアテストの自動化を開発し急速に変化する市場において開発者が高品質なソフトウェアを顧客に迅速に提供できるようにするために、Chaloを立ち上げた。

Chaloのソフトウェア・テスティング・オートメーションは、コード不要のプラットフォームを使って、人手不足と技術的困難の問題を解決する。

日本時間10月6日、Chaloはモバイル向けネイティブアプリテストのローンチやグローバル展開に向けた新製品開発のために、1000万ドル(約11億2000万円)のシリーズAラウンドを行ったことを発表した。

今回の資金調達によって、Chaloの調達額は1220万ドル(約13億6000万円)に達したと近澤氏はいう。完全なリモートカンパニーであるChaloは、全世界に30名の従業員を抱えている。

シリーズAを主導したのはWorld Innovation Lab(WiL)である。新規投資家としてUncorrelated Venturesと個人投資家のJonathan Siegel(ジョナサン・シーゲル)氏が参加した。既存の出資者であるArchetype Ventures、Salesforce Ventures、Tablyも今回のラウンドに参加している。

グローバルな同業他社の大半は、ローコードのテスト自動化ソリューションを提供しており、さまざまなコーディングスキルを持つソフトウェア開発者が作業を迅速に行えるようにすることを目標としている。しかし、日本を含むいくつかの国では、ローコードアプローチでは解決できない深刻な開発者不足の問題に直面していると、WiLのパートナーである久保田雅也氏はTechCrunchのインタビューで述べている。

久保田氏はTechCrunchの取材に対し「ローコードのソリューションは、技術に精通した企業では有効かもしれませんが、ノーコードは世界中のさらに大きなマスマーケットを獲得することができるでしょう」という。

「これまでソフトウェアのテスト自動化は、コードを書ける人しかできませんでしたが、ノーコードソリューションとしてのChaloを使うことで、誰でもテストを自動化できるようになるので、開発者にも非開発者にもメリットがあるのです」と近澤は続ける。

ウェブとモバイル向けのChaloの主な機能は、クロスブラウザかつマルチデバイスでの並行テスト、AIによる自動修復、ビジュアル回帰テストの3つだ。声明によれば、ChaloのAIは、ソースコード/UIの変更を検知し、実行に際してテストシナリオを自動的に修正する一方で、ビジュアル回帰テストでは変更を自動的に検知し、ユーザーがメンテナンスなしでテストを実行することを可能にするという。

世界の多くの企業でリモートワークが標準となりつつある中で、ソフトウェア開発者やQAチームは、手動テスト用のモバイルデバイスを準備・管理することがますます困難になっている。Chaloのモバイル用ノーコードテストシステムを使うことで、プログラミングの知識や自動化のスキルがなくても、ウェブブラウザ上でモバイルアプリを操作するだけで、誰でも簡単にソフトウェアのテストシナリオを作成、実行、自動化することができる。近澤はこのことで、OS、画面サイズ、ネットワーク事業者、ユーザーシナリオなどの異なる組み合わせの実際のモバイル機器を用意する必要がなくなるという。

今回ローンチされた「Autify for Mobile」は、モバイル・ネイティブ・アプリケーションのテスト効率を向上させるもので、ウェブアプリケーションとモバイル・ネイティブ・アプリケーションのテストを同一プラットフォーム上で管理することにより、QAの生産性を飛躍的に向上させることを目的としている。

近澤氏によれば、Autify for Webは2019年10月にサービスを開始し、日本、米国、シンガポールの他、欧州も含んで、Unity、DeNA、ZOZOなどの、B2CおよびB2BのSaaS顧客が多数存在しているという。

現在は、米国と日本の2つの市場に集中しているが、今後はさらにグローバルな展開を進めていく予定だと近澤氏はいう。

久保田氏はTechCrunchの取材に対し「Chaloは最初からそうしたグローバルビジョンを持っていて、それはよく考え抜かれた市場戦略に裏付けられています。グローバル展開が難しくなることが多い日本のユーザーだけに向けたソリューションをカスタマイズするのではなく、Chaloは本当の最初からグローバルスタンダードで設計を行うことにしたのです」と語る。

Global Market Insightsの調査によれば、ソフトウェアテスト市場は2027年までに600億ドル(約6兆7100億円)の増加が見込まれている。

近澤氏は「世界の企業の75%がソフトウェア開発のテストを手動で行っている中で、Chaloは自動テストのためのノーコードアプリケーションを提供することを通して、1兆3000億ドル(約145兆2800億円)規模の世界のテスト市場をディスラプトしたいと考えています」という。「『ノーコード』、『AI利用』、『カスタマーサクセス』という、テストの自動化に対するChaloの3つのアプローチは、労働力不足、高い保守費用、技術的な難しさなど、とても長い間テスト市場を悩ませていた課題の解決に役立ちます。何よりもすばらしいのは、Chaloが開発のどの段階でも製品の品質を犠牲にすることなく、問題に対処できていることなのです」。

久保田氏は「Chaloがテスト市場で勝てる理由は、開発者不足が日本だけの問題ではないからです。たとえば米国でも、労働統計局の発表によれば、2026年にはエンジニアの不足数が120万人を超えると言われています」という。

Chaloは、技術系企業だけでなく、技術者が十分にいないような地域や業界の企業でも、ソフトウェア開発の改善を可能にできると久保田氏は述べている。

Sensor Towerのデータを引用した同社の声明によると、モバイルアプリに対する世界の消費者支出は、2019年には前年比30%増で2020年には1110億ドル(約12兆4000億円)に達しており、市場は急速な成長を続けている。

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(文:Kate Park、翻訳:sako)

アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

アマチュアスポーツにおける分析・改善の支援サービスを提供するSPLYZA(スプライザ)は10月4日、約2億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はジャフコグループおよび栖峰投資ワークスがそれぞれ運営するファンド。

SPLYZAの主力製品である「SPLYZA Teams」(Android版iOS版)は、撮影したスポーツの映像をチーム内で共有することでメンバーの共通理解や分析力を向上させ、チーム内のコミュニケーションを活性化させるツール。ユーザーは学生からアマチュアチーム、プロのクラブまでと幅広く、サッカーやラグビー、バスケットボールなど20種類以上のスポーツ・600以上のチームに導入されている。ユーザー数は3万人を超えるという。

今回調達した資金は、SPLYZA Teamsの機能追加、新製品の開発、研究開発の強化といった開発体制をはじめ、営業およびマーケティング、カスタマーサクセスなどの販売促進活動と顧客フォロー体制の強化に充当。多様化するユーザーのニーズに応えるため企業としての総合力の向上を目指すという。アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

プライバシー重視のモバイルブラウザー「Firefox Focus」アップデート、新ロゴ、ショートカット機能などなど追加

Mozillaは、プライバシーを重視したモバイルブラウザー「Firefox Focus」をアップデートし、外観やショートカットを一新するとともに、プライバシーコントロールを強化した。Firefox Focusは2016年に初めて登場し、基本的にデフォルトでプライベートブラウジングモードを提供する。このブラウザーは、ニューカラー、新しいロゴ、ダークテーマを採用している。また、Mozillaは、ユーザーが頻繁に訪れるサイトにすばやくアクセスできるように、新しいショートカット機能を追加した。

最新のアップデートには、個々のトラッカーの有効 / 無効をすばやく切り替えられるシールドアイコン(盾型アイコン)がある。また、現在、グローバルにブロックしているトラッカーの数がわかるカウンターがある。Mozillaによると、これらによりユーザーは、自分がトラック(追跡)されているか気にせずに検索をすばやく完了できる。

Cybersecurity Awareness Monthの一環としてMozillaは、Android上のFirefoxに新しい機能を加えた。アプリのアカウントをこれから作るユーザーは、新しいパスワードを直接ブラウザーに保存可能で、モバイルとデスクトップの両方で、アカウントに簡単にログインできるようになる。

またブラウザーに保存したパスワードを自動入力して、そのアカウントにログインできる。Firefoxのアカウントを作ったユーザーは、すべてのパスワードをデスクトップとモバイルデバイスの両方で同期できる。さらにパスワードなどを使わずにユーザーの顔や指紋でアカウントのロックを解くこともできる。

Mozillaの発表によると、Firefoxは年内にWindowsのMicrosoft Storeで入手できるようになるという。Microsoftが、ストアにおけるサードパーティー製ブラウザーの制限を緩めたからだ。

「Firefoxのような独立したブラウザーを含む企業やアプリケーションに対して、Microsoft Storeがよりオープンになったというニュースを歓迎します。より健全なインターネットとは、人々が多様なブラウザーやブラウザエンジンから選択する機会を持つことだと考えています」とMozillaは声明で述べている。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

DevOps SaaSプラットフォームを提供するEsperが需要に応え、早くもシリーズCで約66億円を獲得

画像クレジット:Esper / Esperの創業者ヤドゥ・ゴパラン氏とShiv Sundar(シブ・スンダー)氏

DevOps SaaSプラットフォームである「Esper(エスパー)」は、カテゴリーの構築を進め、接続されたデバイスの数が増える中、需要を先取りするために新たな資金調達に挑むこととなった。

シリーズBで3000万ドル(約33億4000万円)の資金調達を発表してからわずか5カ月後、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導するシリーズCで6000万ドル(約66億8000万円)というさらに大きな資金調達を行った。シリーズBのリード役であるScale Venture Partners(スケール・ベンチャー・パートナーズ)、Madrona Ventures(マドローナ・ベンチャーズ)、Root Ventures(ルート・ベンチャーズ)などの既存の投資家も参加している。この投資により、Esperの資金調達総額は1億ドル(約110億円)に達した。

関連記事:IoT DevOpsプラットフォームのEsperがシリーズBで約33億円を調達

共同創業者でCEOのYadhu Gopalan(ヤドゥ・ゴパラン)氏はTechCrunchに対し、現在すでに数十億台のIoTデバイスが存在しており、毎年指数関数的に増加していると述べている。この成長は、技術革新と、特に世界的なパンデミックの中で、技術革新を行うことを最優先する企業よってもたらされている。

「その理由は、リモートで新たな用途を顧客に提供するための代替手段を必要としているからです。この傾向は、デバイスがクラウドに接続されるようになったときから始まっています。企業がクローズドなソリューションからクラウドに移行し、優れた顧客体験を提供したいと考えるようになったことが重要です。私たちは、その課題を解決しています」と彼は付け加えた。

Esperを使用することで、企業はこれらのデバイスやカスタムアプリをリモートで拡張、管理、保護、更新することができるようになる。ゴパラン氏によると、DevOpsの手法は今や標準的なオペレーションとみなされているそうだ。

しかし同氏は、この業界は「本来あるべき姿からまだ10年ほど遅れている」と指摘しており、それこそがEsperが取り組んでいるニーズだという。

遅れているとはいえ「モノのインターネット(IoT)」は誰もが追いつける速度に減速しているわけではない。2027年には1兆1000億ドル(約122兆円)の分野になると予測されており、IoT接続されたアクティブなデバイスの数は2025年に309億台に達すると予想されている。そのうち企業側には、旅行、レストラン、倉庫で使用されるタブレット、医療機器、フィットネス機器、店舗内キオスクなどのデバイスが含まれる。

現在、シアトルを拠点とするEsperは、200社以上の有料顧客と、2000人以上の開発者がプロダクト開発のために同社のプラットフォームを利用している。収益の伸びは2020年の4倍を目標にしており、人員も2021年は4倍に増やしたとゴパラン氏は述べている。

Esperが需要に応えるために行っていることの一部を紹介すると、Esperは、企業が100台のデバイスから無料で登録して始められるようにし、プラットフォームの機能を確認できるような仕様にしている。また、パートナー企業と協力して、他のチャネルも構築している。

「用意されているものはもちろんですが、私たちは潜在的なお客様に、その機能を体験していただいてから、本格的な導入を検討していただきたいと考えています。これにより、お客様は機能やその違いを実感することができます。もし継続することになった場合、同じツールを使うことができ、切り替えの必要もありません」と同氏は付け加えた。

これには新しい資本も関係してくる。Insightが積極的にアプローチを進めたため、Esperは「当社の軌道を加速させ、市場の成長をより早く予測するために、彼らと提携する機会に飛びつきました」とゴパラン氏は語る。

同氏は、今回の資金調達は、より多くの顧客を獲得するために活用したいと考えている。同社はこの分野ではリーダー的存在だが、常に改善の余地があり、Esperはマーケティングとパートナーシップを通じてそれを実現していくと説明している。

同社の次のステップは、製品の開発を継続し、顧客体験とカスタマーサポートを向上させることだ。

「近い将来、何百万台ものデバイスが単一のまとまりとして存在するようになり、それらのデバイスをどのように管理するのか、現在行っていることとどのように違うのかをお客様がイメージできるようにしなければなりません。我々は、この分野のリーダーであると自負しており、我々が構築しているカテゴリーは、ミッションクリティカルなデバイスに対応しています。お客様は、継続的に動作し、継続的に改善していくことを必要としており、我々はそれを可能にすることができます」とゴパラン氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、Akihito Mizukoshi)

デベロッパーのウェブアプリ開発をスピードアップするクロアチアのWaspが約1.7億円調達

アプリケーションの開発における、コーディングの複雑さから開発者を解放しようと努力しているスタートアップは少なくない。先にはRunXのシードラウンドを取り上げたが、そこは開発者がバックエンドのクラウドリソースを迅速にコーディングできるようにしている。米国時間10月4日、Y Combinatorの2021冬季を卒業したWaspが150万ドル(約1億7000万円)のシードラウンドを発表して、アプリケーションのビジネスロジックの部分のコーディングを迅速化しようとしている。

このラウンドはLunar VenturesとHV Capitalが共同でリードし、468 CapitalとTokyo Black、Acequia Capital、Abstraction Capital、そして多くの個人エンジェルが参加した。

WaspのCEOであるMatija Sosic(マチヤ・ソシッチ)氏によると、双子の兄弟Martin(マーティン)氏と一緒に2019年にクロアチアでスタートし、複数のサービスを縫い合わせて1つのフルスタックウェブアプリケーション作る開発者の仕事を、もっと簡単にしようとした。容易化する方法は、開発者がすでに使っているプログラミング言語がReactであれNode.jsあれ、何であっても、その上に構成(コンフィギュレーション)の層を設けることだ。

ソシッチ氏によると「非常に高いレベルで、Waspは少ないコードと内蔵のベストプラクティスでフルスタックのアプリケーションを作るためのシンプルな言語です。私たちは開発者に個別の言語にとらわれない統一的な体験を提供しますが、それは私たちの考えでは彼らに最大の価値を与えるエスクペリエンスです。なぜなら、開発者がいろいろなソリューションを自分で組み立ててアプリケーションを作る必要がありません」。

RunXと同様、Waspもオープンソースのツールで、開発者は無料で使える。そしてソシッチ氏によると、これまでにWaspを使って約300のアプリケーションが開発された。当面はオープンソースに徹して正しいツールを作っていくが、その後、最終目標として収益化の方法を考えたいという。

ソシッチ氏と彼の弟は2年前に、自費で会社を作った。Waspの初期のバージョンをProduct Huntでリリースしたのは2021年初めだ。彼らはその後、最初の関心事だったことを始めた。それはY Combinatorに入学し、シードラウンドを調達して、プロダクトの開発を続けることだ。

現在、プロダクトはアルファで、GitHubでダウンロードできる。今回得た資金は、機能を増やしてベータへ移行し、最終的にはバージョン1.0をリリースすることにつぎ込みたい、という。

画像クレジット:Wasp

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

サービスとしての「ストーリーズ」、Storytellerを使えば誰でも自分のアプリやウェブサイトにストーリーズの追加が可能に

Snapchat(スナップチャット)が開拓し、Instagram(インスタグラム)がクローンを作った「ストーリーズ」機能は、Google検索からPinterest(ピンタレスト)、その他のストリーミングアプリなども含む、現代のモバイルアプリの定番となっている。この機能が万人向けではないとしても(たとえばLinkedIn[リンクトイン]やTwitter[ツイッター]は最近ストーリーズ機能を停止した)、それでもStoryteller(ストーリーテラー)という企業が「サービスとしてのストーリーズ」(stories as a service)を収益事業としてなんとか立ち上げようとするだけの需要が市場には存在している。

同社のサービスを利用すれば、誰でも自分のアプリやウェブサイトにストーリーズ機能を追加することができるが、その際にコーディングや設定はほとんど必要ない。そうした難しい作業を行う代わりに、Storytellerの顧客はSDKを取り込んで自分のアプリにストーリーズを追加することができる。そして、コンテンツ管理システム(CMS)を利用してストーリーズをオーサリングして公開し、そのパフォーマンスを追跡することも可能になる。

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Storytellerのアイデアは、スコットランドのエジンバラにあるエンターテインメント専門の代理店、Storm Ideas(ストーム・アイディア)からスピンアウトしたものだ。なおStorm Ideasは、Bob Thomson(ボブ・トムソン)氏が設立したメディア企業にさまざまなソーシャルプロダクトを提供している企業だ。トムソン氏が初期の開発に関わり急速に成功した、オンラインのプロフィール画像をカスタマイズするためのツールTwibbon(トゥイボン)が、誕生して程なく2009年にStorm Ideasは設立された。過去10年ほどの間に、Storm Ideasは70人規模の会社に成長し、現在ではスポーツやエンターテインメント業界のクライアントに戦略、デザイン、開発、コンテンツを提供している。

その過程で、Storm Ideasは、顧客のニーズに基づいて他のコンセプトも考え出してきた。例えばタレントにソーシャルアセットを配布するプラットフォームであるHailTo(ヘイルトゥー)は、同社の顧客基盤の拡大に貢献した。

画像クレジット:Storyteller

その中で生まれたのがStorytellerだ。トムソン氏によれば、複数の企業、特に米国のメディア企業たちが、ストーリーズ機能を追加するアイデアを思いついても、実際の実装には苦労しているという。

「そのためのユーザーインターフェイスを開発し、それをAndroid、iOS、ウェブ用に再構築する必要があるからです。もちろんそれらすべてとやりとりを行うことのできるバックエンドも開発しなければなりません。それで終わりではなく、忘れがちですが、それらを管理するためのツールも必要なのです」とトムソン氏は説明する。「私たちは、そのようなことをしてくれる製品の追求にはチャンスがあると感じたのです」。

Storytellerの目標は、Brazeのような企業がプッシュ通知を実現してくれたように、ストーリーズを実現することだ。つまり、各企業が自社で製品を一から作るのではなく、自社のアプリにストーリーズを追加するためにSDKを利用するという選択ができるのだ。

Storytellerの最初の顧客は、Storm Ideasとすでに関係を持っていたHallmark(ホールマーク)だった。Hallmarkは、ユーザーが観た映画を記録できる「Hallmark Movie Checklist」(ホールマーク・ムービー・チェックリスト)アプリを運営している。同社は、毎月数十万人のユーザーに、ニューリリースや注目のセレクションなどのタイムリーな情報を配信する方法を探していた。Storytellerは、2019年にHallmark Movie Checklistとともに開始され、その後数カ月で他の顧客にも同様のツールセットの提供を進めていった。

画像クレジット:Storyteller

現在は独立したビジネスとしてスピンアウトしたStorytellerは、スポーツやエンターテインメント分野の数多くのアプリで数百万人のユーザーにサービスを提供しているが、その企業顧客の名前を公表することは許されていない。

トムソン氏は「大規模なエンタープライズタイプの導入については、2倍になっています」と語っている。

「これは出発のためのすばらしい基盤です。私たちは、もっとも難しい課題から取り組んできました。大企業と一緒に統合作業を進め、大勢のステークホルダーやたくさんの社内政治にも遭遇しました」と彼はいう。「それはときに莫大な労力を必要とする仕事でした。……しかし、当然ながら、私たちはこの先より多くの中規模のお客様にもこのサービスを提供したいと考えています。つまり、もう少し自分で作業をしたいと考えているお客様や、もっと手間のかからないアプローチが欲しいと考えているお客様たちです」。

現在は、ユーザー生成コンテンツを消費者向け製品を追加しようとしている企業ではなく、Storm Ideas がすでにサービスを提供している市場であるスポーツやメディア分野のクライアントに焦点を当てている。

顧客はStorytellerを通じて、バックエンドにアクセスし、画像やビデオ、投票をアップロードしたり、プレビューしたりしてストーリーを作成することができる。顧客はコンテンツを分類し、公開スケジュールを設定し、SDKにデータを投入して、分析結果を追跡することができる。また、Photoshop(フォトショップ)やAfter Effects(アフターエフェクト)などのツールを使ってプロフェッショナルにコンテンツを制作するチームを社内に持っていない小規模な企業向けに、使いやすいコンテンツ制作ツールを提供するスタジオコンポーネントの開発も新たに行っている。

画像クレジット:Storyteller

年内にリリースが予定されているこの機能では、顧客がテンプレートを選択し、自身のコンテンツでカスタマイズすることができる。これはまた、企業ユーザー以外の顧客にとってもStorytellerをより魅力的なものにしてくれる可能性がある。

現在同社は、こうした小規模な顧客に向けて、月間アクティブユーザー数が2万5000人以下のアプリ向けの無料プランから、月間ユーザー数が100万人以下の大規模アプリ向けの最大月額849ドル(約9万4300円)のプランまで、幅広い提供を行っている。さらにそれを超えた場合には、企業向け価格設定がある。

これまでのところ、Storytellerは、代理店の利益、トムソン氏自身の資金、そして初期の顧客からの収入で、資金を調達してきた。

Storytellerのチームには、これまでもプロジェクトに専念して来たStorm Ideasから参加した約30人のコアグループも含まれている。引き続き、個別の採用を続ける予定だ。また、Storytellerを顧客に販売する際に、もしコンテンツ制作面でのサポートが必要とされる場合には、このサービスを提供している親会社のStorm Ideasを紹介している。

画像クレジット:Storyteller

Storytellerは積極的な資金調達を行っていないものの、長期的には「Stories」プロダクトだけでなく、ブランドや企業がストーリーを伝えるための他の方法も視野に入れているため、資金調達を特に拒んでいるわけではない。

「私たちはiOS、Android、Webといった主要なプラットフォームに対応したSDKを開発しています、また同時に、テキスト、画像、ビデオのホスティング、処理、操作に優れたバックエンドと通信するためのAPI、そしてオーサリングやスケジューリングに優れたCMSの開発も行っています」とトムソン氏は語る。

画像クレジット:Storyteller

Storytellerは、セキュリティ、プライバシー、アナリティクスなどの、トムソン氏がいうところの「難しいことはすべて」解決済みのため、縦型ビデオなどの他のフォーマットへの対応を追加することには意味がある。

TikTok(ティクトック)のクローンを作ろうとするアプリ以外にも、多くのアプリが縦型ビデオを採用し始めている。たとえばNetflix(ネットフリックス)は、そのアプリに縦型ビデオを追加している。また、スポーツやメディアエンターテインメントの世界では、アプリ内での動画配信に適したコンテンツやクリップの大規模なライブラリを持っている企業もある。トムソン氏によると、縦型ビデオへの対応は現在の製品ロードマップに含まれているという。

トムソン氏は「Storytellerは新しい製品かもしれませんが、それを支えているリーダーシップチームはそうではありません」という。そして彼は「この製品を最高のものにするために、経験豊富で意欲的なすばらしいチームを集めました。Storytellerのチームは、スポーツやエンターテインメント業界で世界最大級の企業に製品やサービスを提供してきた実績があるので、世界最大級の企業だけでなく、小規模な企業にもストーリーズをサービスとして提供するための最適な場所にいるのです」と付け加えた。

画像クレジット:Storyteller

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Windows 11が正式リリース、対象のWindows 10 PCを順次アップデート

Windows 11が正式リリース、対象のWindows 10 PCを順次アップデート

Microsoft

Microsoftは10月4日(現地時間)、Windows 11を正式リリースしました。Windows 11を搭載したSurface Go 3も本日発売となったほか、Windows 11を初期搭載するノートPCも富士通NECから順次発売されます。

既存のWindows 10 PCに対しては、これまでのWindows 10大型アップデートと同様、互換性の確認が取れたデバイスに対してWindows Updateを介して通知します。自身のPCがWindows 11にアップデートできるかどうかは、PC Health CheckPC 正常性チェック アプリのダウンロード)を利用して確認できます。対象となるWindows 10 PCに対して、2022年半ばまでにWindows 11へのアップデートを提供予定としています。

Windows 11が正式リリース、対象のWindows 10 PCを順次アップデート

Microsoft

なお、Windows Updateからの更新が推奨される方法ではありますが、インストールアシスタントやインストールメディアを利用することで、手動でのインストールも行えます。この場合、Windows 11の最小要件を満たしていなくてもインストール自体は行えますが、今後、アップデートが提供されないなどの不都合が生じる可能性があるので注意が必要です。

MS「Windows 11を手動で入れた古いPCにはアップデート提供しない」可能性を表明

もちろん、Windows 11にアップデートしないという選択肢も残されています。Windows 10は引き続き、2025年10月14日までサポートされ、またWindows 11 HomeおよびProの24か月ライフサイクル、EnterpriseとEducationの36か月サービスサポートライフサイクルが10月4日に開始されたことも併せて発表されています。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

アップルがユーザーによる悪質なアプリや詐欺行為の報告を簡単に

The Vergeによると、App Storeのトップアプリのかなりの割合が詐欺であることが明らかになった報道を受けて、Apple(アップル)はユーザーがそのような行為を報告できるようにしているという。iOS 15の一環として、最新のApp Storeアップデートでは、無料、アプリ内課金(IAP)、有料のいずれのアプリについても、問題のアプリをインストールしていれば「詐欺や不正行為を報告」できるようになっている。

Kosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリウ)氏とRichard Mazkewich(リチャード・マズケウィッチ)氏のTwitterでの詳細によると、この機能は、従来の「問題を報告」機能よりもさらに踏み込んだものとなっている。これまでのように「疑わしい活動を報告する」「品質問題を報告する」「返金を要求する」「自分のコンテンツを探す」だけではなく、詐欺や不正行為を知らせることができるようになった。以前は、詐欺や不正行為を強調する前に、アプリ内での購入も必要だったが、それも必要なくなっている。

The Vergeが指摘したように「問題を報告」機能自体は数年ぶりに個々のアプリのリストに戻ってきた。以前は「アプリ」や「ゲーム」タブの下部にあり、報告する際には別のウェブサイトに送られていた。

Appleは、2021年6月に新しいApp Store Reviewガイドラインを発表した際に、この変更を実質的に予見していた。いくつかのセクションでは、Appleが不正行為や詐欺、開発者の不正行為に対してより厳しい姿勢で臨むという変更が含まれていたと当時TechCrunchは指摘していた。

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2021年初めにWashington Postが明らかにしたところによると、App Storeで発見された悪質なアプリには、顧客を騙して不要なソフトウェアを購入させるVPN、悪質な出会い系アプリ、QRリーダー、主要ブランドを詐称したアプリなどが含まれていた。同紙の推定によると、これらのアプリは、ユーザーから推定4800万ドル(約53億円)を詐取した可能性があるという。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

普及が遅れる仕事の最前線、現場やサービス業向けチャット&コミュニケーションアプリでYoobicが約55億円調達

ナレッジワーカーが職場のコラボレーションアプリに求めているものの基準を、さまざまな意味で打ち立ててきたのがSlack(スラック)だが、現場の作業員に関してはこれまであらゆるものが見過ごされてきた。このような最前線で働く人々が会話に参加できるような人気アプリを開発したソフトウェア企業の1つが今日、より多くの機能を提供するための資金調達ラウンドを発表した。

最前線で働く人やサービス業に従事する人たちがタスクを管理したり、お互いや経営陣とコミュニケーションをとったり、さらにはトレーニングや育成などのeラーニングを行うためのアプリを提供するYoobic(ユービック)が5000万ドル(約55億円)を調達した。

Highland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)がリードした、シリーズCとなる同ラウンドには、以前からの投資家であるFelix Capital(フェリックス・キャピタル)、Insight Partners(インサイト・パートナー)や、BNF Capital Limited(BNFキャピタル・リミテッド)がアドバイザーを務めるファミリーオフィスも参加(FelixはYoobicのシリーズAを主導し、Insight Partnersは2019年のシリーズBを主導した)。Yoobicは評価額について公開していないものの、信頼できる情報源から聞いたところによると、現在は3億ドル(約330億円)から4億ドル(約441億円)の間だそうだ。

今回の資金調達は、同社が飛躍的な成長を遂げる最中に実現した。

世界80か国の大手ブランド約300社と取引のあるYoobic。小売業、接客業、流通業、製造業などの分野で33万5000もの拠点をカバーしている。顧客には薬局チェーンBoots(ブーツ)、スーパーマーケットのCarrefour(カルフール)の他、Lancôme(ランコム)、Lacoste(ラコステ)、Logitech(ロジテック)、Peloton(ペロトン)、Puma(プーマ)、Vans(ヴァンズ )、VF Corp(VFコーポレーション)、Sanofi(サノフィ)、Untuckit(アンタックイット)、Roots(ルーツ)、Canada Goose(カナダグース)、Longchamp(ロンシャン)、Lidl(リドル)、Zadig & Voltaire(ザディグ・エ・ヴォルテール)、Athletico(アスレチコ)などが名を連ねている。

しかしこれは氷山の一角にすぎない。世界には27億人の「デスクレス」(現場およびサービス)ワーカーがいると言われており、世界の労働力の80%以上を占めている。しかし驚くべきことに、IT予算のうちデスクレスワーカーのために使われているのは、わずか1%にすぎないというのだ。これはスタートアップにとって、この分野に進出する大きなチャンスがあることを意味している。ただし、スタートアップ(またはデスクレスワーカー自身)が、財布の紐を握っている人々にその投資価値を納得させることができればの話である。

そのため今回の資金調達は、人材の採用、地理的な拡大(同社はロンドンで設立され、現在はニューヨークに本社を置く)、製品の拡大に充てられる予定だ。具体的にはより高い予測分析機能を構築して応答性を向上させ、企業の使用状況についてより多くの情報を提供し、また製造業、物流、輸送など、最前線での仕事の世界における特定の分野に対応するツールをさらに構築しようと計画していると、YoobicのCEOで共同創業者のFabrice Haiat(ファブリス・ハイアット)氏はTechCrunchのインタビューで話している。

Yoobicは数年前、小売業に特化する事業として開始した。この分野は前回の2019年のラウンドの時点でも集中的に取り組んでおり、マーチャンダイジングや店舗間の在庫に関するコミュニケーションなどを支援するツールを提供していた。今でも小売業は同社のビジネスの大部分を占めているが、小売業と同じようなニーズを持つ、フロントラインやサービス関連の従業員を抱えるより幅広い業種に進出するきっかけを同社は見出したのだ。

これはパンデミック渦にはなんとも幸運な方向転換となった。

「新型コロナウイルス(COVID-19)は我々に多大な影響を与えました」と、兄弟のAviとGillesと共同で会社を設立したハイアット氏は振り返る。「最初の2カ月間はパニック状態でした。しかし、現場の従業員が業務の成功に不可欠であることに企業が気づいたのです」。

新型コロナウイルスが到来して以来、プラットフォーム上のアクティビティは200%増加し、2021年初めにはプラットフォーム上での月間アクティビティ数が100万を超えたという。「狂ったように成長している」とはハイアット氏の言葉である。

フロントラインワーカーのためのソフトウェア開発が重要である理由はいくらでもある。最前線で働く人々は固定デスクを持たずに動き回り、スクリーンを睨んだり会議に出る代わりに顧客と長時間接し、また全般的に優先事項や慣習が異なるため、デスクワーカー向けに作られたソフトウェアが必ずしも彼らにフィットしないというのは当然のことである。

実際、この隙間を埋めるためのサービスを構築しようと試みる企業は何年も前から存在する。そして現場の人々のための優れたツールを開発している企業の中には、市場を統合しようとする興味深い動きが複数ある。Crew(クルー)最近Square(スクエア)に買収されServiceMax(サービスマックス)はZinc(ジンク)を買収。また、Facebook(フェイスブック)のWorkplace(ワークプレイス)は現場で働く人々のための強力なコミュニケーションプラットフォームとして、世界の大企業を顧客として獲得しようと性を出している

これらはいずれもすばらしい動きではあるものの、現場が本当に必要としているツールの全容を理解しているとは言えないとハイアット氏は主張する。そのツールとは、実用的な機能(在庫管理など)から、従業員に簡単に提供することができるなら欲しいと企業が思うような機能(専門的な育成やトレーニングなど)までさまざまだ。そういった意味では、現在のフロントラインワーカー向けアプリが提供する基本的なコミュニケーションツールは、ほんの駆け出しのようなものである。

市場のギャップとそれを解決するために何が必要かをよく理解することができたため、同社は投資家の関心を集め、大きな成長へとつなげることができたのだろう。

Highland EuropeのパートナーであるJean Tardy-Joubert(ジャン・タルディ=ジュベール)氏は次のように話している。「Fabrice、Avi、Gillesが率いるすばらしいチームのおかげで、Yoobicはデジタルワークプレイス分野のリーダーとしての地位を確立し、市場けん引力を発揮して目覚ましい成長を遂げています。そのため彼らと提携できることを非常にうれしく思っています。企業はこれまで、デスクワークをする従業員のためのデジタル投資に注力してきましたが、世界は今、分散化、非集中化にシフトしつつあります。私たちは巨大なリソース、テクノロジー、資本が現場チームに向けてシフトするような、劇的な変化が起こると予測しています」。タルディ=ジュベール氏は今回のラウンドでYoobicの取締役に就任する予定である。

画像クレジット:Thomas Barwick

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

Apple Watchのロック解除バグを修正するiOS 15アップデート提供開始

Apple Watchでロックを解除するようにiPhoneを設定し、最近iPhone 13にアップグレードした人は、ソフトウェアのバグで、この機能を継続して使用することができないかもしれない。ただし、すでにありがたいことに修正プログラムが登場しているので、それをインストールすれば「Face ID」に頼る必要はない(もちろんパスコード入力の必要もない)。最新のiOS15アップデート(iOS 15.0.1)が登場している。変更履歴によると「iPhone 13モデルで『Apple WatchでiPhoneのロック解除』が機能しなかったことがある問題」のバグ修正が行われている。

Appleは2021年初めにwatchOS 7.4でApple Watchでのロック解除機能を追加し、外出中にマスクをしていてもiPhoneに簡単にアクセスできるようにした。この機能は、その後のiOSとアップデートで壊れ、修正するために別の無線パッケージが必要だった。Appleは最近、iPhone 13の一部のモデルでこの機能が動作しないことを認め、近日中に解決策を提供すると述べていた。iPhone 13は9月24日に販売が開始されたばかりであり、少なくともこの問題は早期に発見されたといえるだろう。アップデートが数日後に行われたのは良いことだが、ここ数カ月の間に同社がこの機能に関して抱えていた問題を見るのは興味深いことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のCherylnn LowはEngadgetのレビューエディター。

画像クレジット:AleksandarGeorgiev / Getty Images

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(文:Cherylnn Low、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Automagiがスマホで荷物サイズを自動計測できる「ロジメジャー」を法人向けに提供開始

Automagiがスマホで荷物サイズを自動計測できる「ロジメジャー」を法人向けに提供開始

社会や企業にAIソリューションを提供するAutomagi(オートマギ)は9月29日、バーコードで荷物情報を読み込みスマートフォンで撮影するだけで、荷物のサイズがわかり記録管理ができる、物流業界向けの荷物情報収集AIアプリ「Logi measure」(ロジメジャー。iOS版)の提供を開始した。利用料金は月額15万円(税込)から。スマートフォンは、iPhone 12 Proを推奨している。

物流業界では、ダンボール箱に入った荷物のサイズを測るために、1つあたり平均1分ほどの時間を割いているという。どの業者も毎日膨大な量を扱うため、累積すると相当な時間になる。また、荷物サイズの計測と管理の効率化が遅れていることからトラックに積み込める量が制限されてしまい、現在は平均積載量は40%を切るともいわれているそうだ。

Automagiは、創業から4年間、120社以上の企業のDX化を支援してきた知見を活かし、荷物情報収集技術の開発を進めてきたが、今回そのサービスの本格提供に至った。

Logi measureは、スマートフォンで荷物に貼られたバーコードで荷物情報を読み取り、箱を撮影すると自動的にサイズが計測される。対応する箱の大きさは1辺が10~70cm。計測の精度は、3辺合計の実物対比で95%以上。計測時間は最短で3秒で、通常1分かかるところが20分の1に短縮できるとのことだ。

企業が使用しているデータ管理システムとの連携も行えるため、トラックにどれだけ積み込めるかを事前に予測することが可能になるという。「倉庫管理の効率化やトラックの積載率向上につながるほか、配送料金の算出や適正な梱包による梱包コストの削減など、荷物データを基盤にしたDXの推進を支援します」とAutomagiは話している。今後は計測対象範囲を拡大してゆくとのこと。

コードベースの全構造を視覚化するCodeSeeがオープンソースバージョンOSS Portを立ち上げ

コーディングのプロジェクトが大きくなり、参加者が増えると、プロジェクトの全体像を把握するのが困難になり、チームが分散しているととくにそうなる。今日(米国時間9/30)、開発チームを助けてコードベースの全体を理解できるようにするアーリーステージのスタートアップCodeSeeがリリースしたOSS Portは、多様な構成のオープンソースのチームにそれができるようにするための、それ自身オープンソースのプロジェクトだ。

また同時に同社は、昨年調達して未発表だった300万ドルのシードラウンドを発表した。そのラウンドはBoldstart VenturesとUncork Capitalが共同でリードし、DCVCとPrecursor VenturesおよびSalesforce Ventures、そしてさらに数名のエンジェル投資家が参加した。

全体としてCodeSeeの目標は、コードを視覚化してそれを理解できるようにすることだ。このところ開発のサイズはますます大きくなり、デベロッパーの数も増えているから、それは至難の課題だ。「CodeSeeはデベロッパーとチームがコードの構造や仕組みを深く理解するためのツールです」、とCEOのShanea Leven氏は語る。氏は、夫でCTOのJosh Leven氏と一緒に同社を創業した。

CEOのLeven氏によると、オープンソースのプロダクトから始めたのは、こんなサービスへのニーズがとくに高いのはオープンソースのプロジェクト、と彼らが見ているからだ。オープンソースのプロジェクトは世界中からいろんなデベロッパーが参加し、絶えず新しい人が加わることが多いので、コードベースの全体観を持つことがとても重要だ。CodeSeeがそんなプロジェクトで役に立つなら、それはプロダクトの商用バージョンにとって概念実証になる、と彼女は考えている。


CodeSeeの創業者でCTOのJosh LevenとCEOのShanea Leven. 画像クレジット: CodeSee

今回のリード投資家BoldstartのマネージングパートナーであるEd Sim氏は、このコードベースを理解する能力が、開発工程から欠落している重要なピースだ、と見なしている。そしてそれは、有能な技術者が定着するためにも重要だ、と氏は言う。技術者は、コードベースを理解できないと1年後に辞めてしまうことが多いからだ。

Sim氏はこう言う: 「コードベースに早く精通できるためのツールがあって、十分に視覚化されていれば、それは開発チームに大きな価値を提供し、良質なコードを迅速に提供できるようになる。それこそが、Shaneaがわれわれに教えてくれたことだ」。

Leven氏が夫と共に同社を立ち上げてから1年半になるが、今では10名の社員がいる。CEOのLeven氏は黒人で、彼女の個人的な経験から、差別のない企業および企業文化を作ることがきわめて重要と考えた。「いろんなスタートアップで仕事をしたけど、今度CEOになったことの最大の喜びは、前から考えていたような、差別や格差のない企業文化を築いていけることです」、と彼女は言っている。

彼女はこう付け加える。「人種構成などが完全な比率ではないし、いろんな意味でまだ何も完全ではありません。でも企業文化の構築は必須であり、毎日の体験の必要な部分です。それらを別々には考えません。会社がこっちにあって、差別や格差の廃絶があっちにある、というものではありません。ダイバーシティとインクルージョンは、この会社の基盤です」。

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同社はパンデミックの間に創業され、チームは地理的に分散しているが、彼女によると、今の形は会社が成長しているときの状態だ、という。そして今でも考えているのは、むしろローカルなハブを複数作って、そこに従業員たちのクラスターを配置する形だ。

「最初からハブ方式で行けたかもしれないけど、今後はチームとしてそれを考え、成長を目指し、それから、みんなにとってこっちの方が良いと思われることをやっていきたい。でもそれは、子ども用のワクチンが出回ってからにしたい」。

文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: CodeSee

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ソフト開発時に使える、プライバシー問題がない合成データセット作成を支援するTonic.ai

ソフトウェアを開発するとき、実際の顧客データでのテストが難しいことがある。有意なテストセットを作ることは、時間のかかる難題だ。この問題の解決を目指して、合成データセットの作成を支援するTonic.aiが米国時間9月29日、シリーズBで350万ドル(約3億9000万円)を調達した。

Insight Partnersがこのラウンドをリードし、GGV CapitalとBloomberg Beta、OctaveのWilliam Smith(ウィリアム・スミス)氏、Heavybit、そしてSilicon Valley CISO Investments(SVCI)が参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の累計調達額は4500万ドル(約50億1000万円)になる。

CEOで共同創業者のIan Coe(イアン・コー)氏によると、同社の目標は、開発者にプロダクション級のデータを提供して、組織の中のガバナンスやコンプライアンスを気にする連中を満足させることだ。「Tonicは合成データと差分プライバシーと分散コンピューティングを利用するデータトランスフォーメーション企業です。私たちは個人情報を含むデータからアイデンティティを取り除き、データの価値はすべて保全しながら、開発者がソフトウェアの開発とテストに使えるようにします」とコー氏は説明する。

同社は本物のデータから「フェイク」のデータセットをつくり、データベースに実際にあるような情報を作り出す。ただしこのソリューションは、ただ名前を変えて法的にも倫理的にも問題がないようにすることではない。データのリポジトリや複雑なデータベースからデータを取り出すときには、もっと極端に複雑な接続を使うことが多い。

コー氏によると、だからこそそれは、誰かが簡単に真似したり、自分で作ったりすることのできない技術だという。Tonicのボンネットの下では、大量の複雑な処理が行われている。1つの例としては、どこかで名前を変えたら、データ全体に整合性を持たせるために、アプリケーションのプロダクションプロセスの、その名前が現れるすべての場所で名前を変更し、本物のデータの遺漏を防がなければならない。

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現在、同社の主な顧客は開発者だが、プロダクトはデータサイエンティストなどにとっても有用なはずだ。2019年にローンチした同社は、GretelSynthetaicのようなスタートアップがこの問題の部分的解決に努力している様子を見てきた。そしてコー氏によると、エンタープライズ級の大きな複雑な問題に挑戦し解決しているような競合他社は1社もなかった。

「他のスタートアップの一部は、私たちと同世代でしたが、エンタープライズの複雑巨大なデータ集合に対して、合成データセットの作成という問題を本当に解決しているところは1社もありませんでした。彼らはデータのインフラストラクチャという厄介な問題や、データの仕事をCI/CDのパイプラインと統合することにも取り組んでいない。そしてそれは、Tonicの大きな差別化要因だ」とコー氏はいう。

同社の社員は現在40名程度だが、新たな資金により2022年には少なくとも100名に増員する予定だという。そのために最近同社は人事担当を1人雇い、同社のダイバーシティの確保などはその者の仕事になる。

「私たちの人事担当は2021年すでに特別雇用事業を行い、マイノリティの人たちを雇用しました。ダイバーシティを目的とする特別の雇用事業やサービスは、常時行なうことになるでしょう」とコー氏はいう。

画像クレジット:matejmo/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルがAIと新機能を導入して検索サービスを「再設計」

Google(グーグル)は米国時間9月29日、Multitask Unified Model(MUM)と呼ばれる新技術を含むAIの進歩をGoogle検索の改善に応用することを発表した。同社のイベント「Search On」では、MUMを活用した新機能をはじめとするデモンストレーションが行われ、ウェブ検索者を探しているコンテンツによりよく結びつけると同時に、ウェブ検索をより自然で直感的に感じられるようになる。

機能の1つは「Things to know」と呼ばれ、探しているモノをもっと簡単に理解できるようにする。この機能は、人がさまざまなトピックを調べるときの一般的なやり方を理解しており、検索者が最初に見たいと思っているテーマを表示する。

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Googleは例として「acrylic painting」(アクリル画)を検索すると、絵の描き方入門や、アクリル画のスタイル、アクリル画の描き方のコツ、アクリル絵の具の掃除の仕方といったさまざまな「Things to know」(知るべきこと)が表示される。アクリル画に関連する350あまりのトピックを見つけることができる。

この機能が提供されるのは数カ月後からだが、将来的にはMUMを使い表面的なトピックだけでなく、「家庭用品でアクリル画を描く方法」といったより深い洞察に基づくトピックをユーザーに開示することができるようになる。

画像クレジット:Google

また同社は、ユーザーが新しいクエリで検索を再開しなくても、最初の1つの検索を洗練し、拡張できる方法も開発している。

アクリル画の例でいえば、Google検索は、水たまりに絵を描くようなパドルポーリングに関する具体的なテクニックや、受講可能なアートクラスに関する情報を提供するかもしれない。それらのトピックにズームインすると、検索結果やウェブ上の記事、画像、動画などのアイデアが視覚的に豊かなページとして表示される。

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これらのページは、Pinterestに対抗するためのものと思われる。Pinterestの画像を多用したピンボードが、人々の視覚的なインスピレーションをウェブサイトへの訪問やオンラインでの購入などの行動に結びつけることを目的としているのと同様に、検索によって人々がインスピレーションを得ることができるようになっている。

Googleによると、このページは「ハロウィンの飾り付けのアイデア」や「屋内の垂直庭園のアイデア」など、ユーザーが「インスピレーションを求めている」検索に役立ち、試してみたいアイデアを提供するとのこと。本日よりモバイル端末で試すことができる。

Googleはまた、動画検索もアップグレードしている。すでに同社は、AIを使って動画内の重要な瞬間を特定している。さらに、動画内で明確な言及がなくても、そのトピックを識別し、ユーザーがより深く掘り下げて学ぶことができるリンクを提供する機能を始めている。

画像クレジット:Google

 

つまり、YouTubeの動画を見ているときに、MUMはその動画の内容を理解して提案をしてくれるということだ。例えば、マカロニペンギンの動画では、マカロニペンギンがどのようにして家族を見つけたり、捕食者を回避したりするのかを語る動画など、さまざまな関連動画をユーザーに提示することができる。MUMは、たとえ動画の中で明確に語られていなくても、これらの用語を識別して検索することが可能だ。

この機能は、今後数週間のうちにYouTube検索で初期バージョンが展開され、今後数カ月のうちにアップデートされ、より視覚的な機能が強化される予定だとGoogleはいう。

この変更は、YouTubeの大きなリーチを活用することで、Google検索へのトラフィック増加にもつながるだろう。Z世代のユーザーの多くは、すでに旧世代とは異なる方法でオンラインコンテンツを検索していることが調査で明らかになっている。Z世代ユーザーは、複数のソーシャルメディアチャネルを利用し、モバイルファーストの考え方を持ち、動画コンテンツに興味を持つ傾向がある。「Think with Google」の調査によると、Z世代のティーンエイジャーの85%がコンテンツを探すためにYouTubeを定期的に利用し、80%がYouTubeの動画が何かを教えてくれたと回答している。その他のデータでも、Z世代は新たなアイデアやプロダクトについて、テキストやネイティブ広告といったコンテンツフォーマットではなく、動画で知ることを好むことが明らかになっている。

モバイルへの移行が検索の優位性に影響を与えているため、Googleにはこのような追加が必要なのかもしれない。今日、モバイルでのショッピング検索の多くは、Amazonで直接始まるようになっている。さらに、iPhoneユーザーがスマートフォンで何か特別なことをしなければならない場合、Siri、Spotlight、App Store、またはネイティブアプリに助けを求めることが多い。

またGoogleは、MUM技術を使ってGoogleレンズを使ったビジュアル検索を改善する方法も発表している。

関連記事:ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アクセシブルなソフトウェアデザインのためのハブ「Stark」がMacアプリのベータ版を開始

Stark(スターク)は現地時間9月28日、Macアプリ「Stark」のプライベートベータ版を立ち上げた。プロジェクトに関わる誰もが簡単にコラボできるようにする一方で、プロダクトをより包括的なものにするためのアクセシビリティの規則遵守を簡素化するものだ。企業はデザインファイルをStarkのツールにアップロードすると、Starkがアクセシビリティの問題を特定し、変更を提案する。

Starkは、作品をアクセスしやすく包括的なものにするデザイナー向けの簡単なソリューションがないことにCat Noone(キャット・ヌーン)氏と同氏のチームが気づいた2017年に創業された。いまや50万人超が、Adobe XD、Figma、Sketch、Google Chromeのようなアプリ向けのStarkの統合されたプラグインを使った。これは、ビジュアル素材を視覚障害者のためのアクセシビリティ基準に合うよう、チェックしたり提案したりする。

「まずプラグインで始めました。あなたのプロダクトで起こっている問題を表面化することで意識を高めるすばらしい方法であり続けています」とヌーン氏はTechCrunchに語った。「しかしプラグインは大規模に、あるいは誰もがプロダクトに関われるようにする方法でアクセシビリティの問題を解決しません」。

ただ、ヌーン氏はMacアプリ用のStarkが多くのデザインファイルにある抜本的な問題を簡単に解決できるようにすることで「アクセシビリティを高める」と話す。例えばTwitterのようなアプリがフォントを変更すると(つい最近変更し、アクセスしやすいデザインにおけるカスタマイゼーションの必要性について議論を呼んだ)、デザイナーはアプリ内の何百ものスクリーンの書体を根気強く変更しなければならない。しかしStarkはこのプロセスをかなり迅速化する。

関連記事:ウェブデザイン変更後のツイッターはアクセシビリティが不十分と専門家は指摘

Starkに表示される可能性のあるアクセシビリティに関する警告メッセージ(画像クレジット:Stark)

「Starkがしようとしているのは、問題が起こったときに、あなたが提案された変更を受け入れ、デザインファイルを開き、変更し、そのまま進めてシンクさせるということです」とヌーン氏はいう。「ですので、その時点で1つのスクリーンだけでなく、全デザインシステム、あらゆるスクリーンで並行して表示されます。それはすごいことです。というのも、あなたのデザイン開発時間を短縮するからです。そして我々の目標は、これがなぜ修正されたのかあなたに教えながら、規則遵守にかかる時間を抑制することです」。

Starkがシードで150万ドル(約1億6800万円)を調達した2020年以来、プロダクトは消費者レベル、企業レベルどちらでも機能するアクセスしやすいデザインのGrammarlyだとヌーン氏はいう。Starkはまだ黒字になっていないが、同社の既存顧客にはMicrosoft、Pfizer、Instagram、ESPNなどがいる。加えて、Starkはアクセスしやすいデザインや、ヌーン氏いわくインターネット上で最大だというアクセシビリティリソースに興味がある人のSlackでのコミュニティもホストしている。同社はユーザーがプロダクトを試してSlackに参加できる限定無料プランを提供しているが、既存の一連のツールを利用するには年60ドル(約6700円)かかる。一元化された請求書へのアクセスや複数メンバーによる管理を加えるカスタムプランの見積もりを依頼することもできる。

関連記事:インクルーシブデザインの制作に役立つツールを提供するStarkが約1.6億円を調達

StarkのMacウェブサイトのスクリーンショット(画像クレジット:Stark)

アクセシビリティはテック企業にとって重要なものだ。というのも、障がいを持つ人が自社のプロダクトを使えなければ、巨大な顧客ベースを失うからだ。しかし包括的であることが十分な動機付けでなくても(ため息)、お金はそうだろう。

関連記事:【コラム】アクセシビリティを最初からスタートアップのプロダクトと文化の一部にする

「特にこのところ、パンデミックによって多くの企業がデジタルの活用を増やしました。プロダクトをすべての潜在ユーザーにとってアクセスしやすいものにしていないテック企業がマーケットから排除され、思いがけない大きな機会を逃すようになっています」とヌーン氏は述べた。しかしStarkは古いデザインファイルをアクセシビリティ基準に沿うものに変えるのを簡単にしている。「Macアプリ向けのStarkは、あなたがコンサルタントを10人も20人も雇わなくてもいいようにします。なぜなら、プロダクトを構築している個人は教育を受けていて、そばに使えるツールがあるからです」。

差し当たり、Macアプリ向けStarkのプライベートベータ版はSketchで使えるが、ほどなくFigmaやAdobe XDのような他の人気デザインツールでも使えるようになる、とヌーン氏は話す。その後、プロジェクト管理ツールを統合することで、ユーザーはアプリ内でタスクを他の人に割り当てることができるようになる。プライベートベータ版を試したい人はウェブサイトでアクセスをStarkにリクエストできる。ベータ版は無料だが、正式展開するときには料金プランが発表される。

「かなり意見を主張するコミュニティとともにこれを構築する余裕がありました」とヌーン氏は話した。「プライベートベータ版ですが、エンジニアやデザイナーにとってもかなりメリットのあるものです」。

Starkのチームは8カ国からリモートで働く17人だ。

「チームのメンバーは世界中に散らばっています。多くの言語、さまざまな肌の色、さまざまなバックグランドを持っています。我々自身のとらえ方、世界を誘導する方法はそれぞれの中にある包括性であり、かなりマジックのようなものだと考えています」とヌーン氏は語った。StarkがVRやARのような新手のテクノロジーに受け入れられることを同氏は願っている。その一方で、文化によってアクセシビリティが異なるという問題も解決して欲しいと思っている。例えば英語で書体を読みやすくすることはアラビア語やタイ語で書くことに必ずしも当てはまるとは限らない。「我々は構築したプロダクトを反映する存在であり、思うにそれが口でいうだけでなく行動で示すことを極めて簡単にしています。というのも、我々は毎日共同で暮らしているからです」。

画像クレジット:Stark

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ネットショッピングで「カート」に入れたものを自動的に分類するプラグインCarrotが約6.1億円を調達

eコマースの発展により、私たちはこれまで以上にブラウジングやショッピングをするようになったが、だからといって実際にそれほど多くのものを買っているわけではない。実際、Shopifyが引用したBaymard Instituteによると、ショッピングカートの約70%はデスクトップ上で放棄され、その数はモバイルやタブレットでは増える一方だという。

Bobby Ghoshal(ボビー・ゴーシャル)氏と共同設立者Ramin Bozorgzadeh(ラミン・ボゾルグザデ)氏による最新のベンチャー企業であるCarrotは、この状況を変えようとしている。

Carrotは、カートに入れた商品を保存し、自動的に分類するプラグインだ。

同社はKindred Ventures、M13、Abstract、Designer Fund、Combine、Paris Hilton(パリス・ヒルトン)氏、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Riverpark、Nextviewなどの投資家から550万ドル(約6億1200万円)のシードラウンドを受けたことを発表した。

Carrotの「特別なソース」は、小売店を問わず、カートに入れた商品を追加のボタンや信号なくキャプチャーする製品の機能だ。この技術は、カートに入れるというアクションをキャプチャーし、価格や小売店を含む情報をプラグインに保存する。

Carrotは、小売業者自体に基づいてカートを自動的に分類するが、ユーザーが独自のフォルダを作成することもできる。例えば、電灯を複数の小売店で購入する場合「電灯」というフォルダを作成し、価格や外観をCarrot内で比較することができる。

また、カートに入れた商品の価格変動を追跡することで、ユーザーはセールの時期を知ることができる。

Carrotでは、レジストリーを作成して友人や家族に送ることができる。レジストリー製品は、Carrotの主なユースケースの延長線上にあり、まだ完全な機能としては構築されていない。つまり、欲しいものリストのページを友人や家族に送っても、誰かがある商品を買ったかどうかはわからないので、重複してしまう可能性があるということだ。しかし、チームはその機能を近い将来に実現するという。

ゴーシャル氏は、シリアルファウンダーだ。Candidを共同で設立し、1億5000万ドル(約167億円)以上の資金を調達した他、WeWorkでデザインと成長の責任者を務めた経験もある。一方、ボゾルグザデ氏は、WeWorkのファウンディングエンジニアであり、WeWork Labsのエンジニアリング責任者、Etsyの初期のエンジニアでもあった。

現在、Carrotはデスクトップ版のみを提供しているが、モバイル版でもカートを保存できるようにしている。ゴーシャル氏によると、カスタマーからのフィードバックで、Carrotが提供する番号を使って、アイテムをカートにテキストで入れたいという要望があったそうだ。このアイデアは、ユーザーが後で買いたい商品をすでに自分にテキストで送っているということだ。

Carrotは、アフィリエイトモデルを利用して収益を上げている。小売店は、最初のセッション後にチェックアウトしたカスタマーごとに同社に支払う。

最終的には、ブランドが月額料金を支払うことで、競争入札やオーディエンスプロファイリングなどの機能を利用できるSaaSモデルに移行する計画だ。また、複数のチャートで単一のチェックアウトオプションを利用できるようにし、交換手数料などで収益を上げることにも取り組んでいる。とはいえ、現在は規模の拡大に重点を置いているため、収益は優先事項ではない。

ゴーシャル氏は、同社最大の課題は、人々がCarrotの使い方を話し、それを友人と共有するということも含めた規模の拡大にあると考えている。

「Googleのプラットフォームに関する課題についても考えなければなりません」とゴーシャル氏はいう。「理想的には、Googleに掲載されることですが、Googleがこの分野に参入するつもりがあるかどうかはわかりません。そこには考えなければならないリスクがあります」。

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(文:Jordan Crook、翻訳:Yuta Kaminishi)

統合が進むRPA業界、Blue PrismがVistaに約1652億円で売却される

2020年来、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場は大盛り上がりだが、市場のパイオニアの1つであるBlue Prism(ブルー・プリズム)がVista Equity Partners(ビスタ・エクイティ・パートナーズ)に10億9500万ポンド(約1652億円)で売却されることが、米国時間9月28日の午前、英国での申請により明らかになった。2020年、多くのRPAスタートアップ企業が大手ベンダーに買収されたが、今回の買収は、RPA分野のトップ3ベンダーのうちの1社が関与した初めてのケースだ。

これは込み入った取引で、申請書によればVistaは、Vistaファンドが間接的に所有するBali Bidco Limited(バリ・ビドコ・リミテッド)という企業を設立し、同社がVistaに代わって購入を行う。そのような金融メカニズムを使った理由は不明だが、最終的にはVistaがBlue Prismを買収し、2014年にVistaが43億ドル(約4796億円)で買収していたTibco(ティブコ)に統合する予定だ。

Blue Prismは、申請書内での自己申告によれば、先の3月の年次総会以降厳しい状況に直面し、選択肢を模索していたという。「Blue Prismの取締役会は、当社が直面している戦略上および経営上の逆風、経営上の重大なリスク、および株主のみなさまからのフィードバックを考慮して、さまざまな戦略的選択肢を検討しました」と同社は申請書中で述べている。

そうした選択肢の1つが売却であり、それが会社にとって最善の方法であると判断したのだ。Blue Prism社の会長でCEOのJason Kingdon(ジェイソン・キングドン)氏は、これがより強固な基盤を築くための最良の道であると考えている。

「VistaとTibcoが合併することで、私たちは次世代のインテリジェントオートメーションの最前線に立ち続けることができます。Tibcoの世界に広がる拠点と技術により、お客様に提供する製品の範囲を拡大することができるのです。また、株式非公開企業として、製品への投資やその他のM&Aの可能性を通じて新たな成長機会を追求するために、資金調達を拡大することができるのです」と、キングドン氏は声明で述べている。

私たちは、Blue Prismが売却を決断した理由を探るために、過去の営業成績を調査した。2021年4月30日までの6カ月間の売上高は8040万ポンド(約121億2000万円)で、実質為替レートベースで前年同期比24%増となっている。同じ期間に、Blue Prismは、営業損失を5380万ポンド(約81億円)から2090万ポンド(約31億4700万円)に圧縮した。

赤字の解消は進んでいたものの、不採算の程度に比べて成長が遅れていた。今回の取引が発表される前にBlue Prismの評価額は下落しており、一般投資家がBlue Prismの業績に満足していないことが示されていた。VistaはBidco(ビドコ)を通じてBlue Prismにプレミアムを支払っているが、Blue Prismの評価額は最近の下落が始まる前の2021年の初頭に比べて、さらに低くなっている。

同社の2021年上半期の収益を見て、それを1年分に推定してみると、Blue Prismは収益の約6.8倍で売却されたことになる。これは、Blue Prismのようにゆっくりと成長している企業の、ヨーロッパ市場におけるエグジットバリューを示しているので有益な数字だ。Vistaは、Tibcoとの買収・統合が有益なものになると確信しているようだ。

1997年に設立されたレガシーベンダーのTibcoは、企業内のデータソースを接続するための幅広い自動化サービスを提供しているが、Blue Prismは組織内のレガシーのありふれたタスクを自動化するためのRPAサービスを提供している。Blue Prismは、成長するRPA市場においてTibcoを手助けすることができるので、少なくとも理屈の上では、両社はうまく調和するはずだ。

2020年のガートナーのレポートによると、この分野のベンダーのトップ3には、2020年上場して話題になったUIPath、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)、Blue Prismがが並んでいた。2020年のレポートでIDCは、RPA市場は2021年20億ドル(約2230億円)に達すると推定しています。これはRPAにまつわる宣伝文句を考えると控えめな金額だが、IDCは2024年までには59億ドル(約6570億円)に達すると予想している。

この業界では統合が進んでおり、2020年は小規模な企業が大規模な企業に買収されてきた。最近では、Salesforce(セールスフォース)がドイツのスタートアップであるServicetrace(サービストレース)を買収してMulesoft(ミュールソフト)と統合したが、これはVistaがBlue Prismを買収してTibco取り込むのと同じような種類の動きだ。MulesoftとTibcoはお互いを競争相手といえるだろう。

関連記事:Salesforceが熱いRPAに参入、Servicetraceを買収してMulesoftと提携

この取引は、Blue Prismの株主総会での承認と、通常の規制当局の手続きを経て行われる。このニュースを受けて、Blue Prismの株価は2.12%下落している。

画像クレジット:mbortolino / Getty Images

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(文:Ron Miller、Alex Wilhelm、翻訳:sako)

ニュース速報アプリ「NewsDigest」など運営するJX通信社が資金調達、シリーズC総調達額が約22億円に

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