Uber Eatsが四国上陸、愛媛・松山、香川・高松で9時〜24時までデリバリー可能に

Uber Japanは3月11日、同社が手掛ける飲食のデリバリーサービス「Uber Eats」を四国に展開することを明らかにした。3月18日午前9時より愛媛県松山市の一部地域で、3月25日から高松市の一部地域でサービスが始まる。Uber Eatsはこれまで、首都圏では東京や横浜、川崎、さいたま、千葉、関西では大阪、京都、神戸、東海地方では名古屋、九州では福岡のそれぞれ一部地域でサービスを展開。2月には中国地方に進出し、岡山、広島、福山で利用可能になったが、四国は今回が初進出となる。

同サービスは、専用のスマーフォンアプリを使うことで利用者の現在地を特定し、その周辺の配達可能な飲食店に配達を依頼できるのが特徴。配達を担当するのはUber Eatsの専用ドライバーで、飲食代金のほかに配達料が別途かかる。従来の宅配は、飲食店側が配達要員を確保する必要があり人員確保の難しさやコストの問題があったが、専用のドライバーを擁するUber Eatsなどの普及によって飲食店は配達を新たな収益源として利用できるようになる。利用者にとっては、これまでは出前注文を受け付けていなかった飲食店の料理を自宅などで手軽に食べられるメリットが生まれる。なお、配達に要する時間は最長でも30分程度になるという。
松山市では、市中心部西エリア、中心部東エリアおよび城北、城西、城南各エリアの一部で朝9時から深夜24時までサービスを受け付ける。高松市では市中心部の北部エリアのみとなる。いずれも配送料は350円。宅配を依頼できる飲食店(レストランパートナー)は、松山市、高松市ともそれぞれ40社超。

クラウドキッチンの大きな流れの中に見える大きな危機

個人経営のレストランは廃業に追い込まれる。もしかしたら食料品店も。

これは、勢いを増す新しい大きなトレンドを間近に見てきた人たちが、口を揃えて訴え始めている話の要点だ。そのトレンドとは、クラウドキッチン。レストラン経営者のための調理器具が完備された共有スペースで、ほとんどの利用者はクイックサーブを実践している。

この動きは局所的には面白く、また一部の企業には収益性の高い展開に見えるものの、それは仕事を奪い、さもなければ地域社会に代償を求める形で私たちの生活を変貌させてしまう恐れがある。Sequoia Capitalの著名なベンチャー投資家であるMichael Moritz(マイケル・モリッツ)氏は、ファイナンシャル・タイムズに先月掲載された「地元のレストランに嵐を巻き起こすクラウドキッチン」と題されたコラムで、まさにこのことを警告していたように思える。

モリッツ氏は冒頭で、ロンドンを拠点に、低料金の自営の配達業者に近所のレストランから客に食事を届けさせる出前サービスで華々しい成功を収めたDeliverooを取り上げている。対象となるレストランのなかには、Deliveroo自身がロンドンとパリで運営するシェアキッチンも含まれている。

先日、この企業にAmazonが投資したことに関して、彼はこう言っている。「かつては単に世界最大の本屋として知られていた企業が、世界最大のレストラン運営企業になる前触れかもしれない」。

これは、レンストランを経営する人にとっては悪い知らせだと彼は言う。「今のところ、この投資はDeliverooへの単純な肩入れに見える。しかし、小規模な自営のレストランは、エプロンの紐を引き締める必要があるだろう。Amazonは、マルチブランドのレストラン運営企業へあと一歩のところにまで迫っている。そしてそれは、晩餐の場を壊滅させてしまうことを意味する」

よい知らせと悪い知らせ

彼は誇張しているわけではない。シェアキッチンは、今はまだ、飲食系の起業家が新しい事業を立ち上げ成長させる有望な道筋として、とくに食事をテイクアウトする人が増えている昨今、好意的に受け止められてはいるが、困った点も少なくない。それは良い点を圧倒するどころか、悪い方向に作用する恐れもある。

たとえば、昨年、UBSは顧客に対して(キッチンは死んだのか?」と題した報告書を発表したが、DeliverooやUber Eatsといった出前アプリの人気の高まりは、家庭での料理、レストラン、スーパーマーケットの衰退を示唆するものだと述べている。

出前の経済学は、あまりに誘惑的になりすぎたと同行は指摘する。賃金が低いために最初から低コストであり、ドローンが出前を始めるようになれば、その原価中心点は完全に消えてなくなる。しかも、中央集中型のキッチンのお陰で、料理の原価も安くなろうとしている。Deliverooもそのような施設をオープンしようとしているし、Uber Eatsの参入計画も伝えられている(3月、ブルームバーグが報じたところによると、Uberは、調理器具が完備された業務仕様のキッチンを業者に貸し出し、Uber Eatsなどの出前アプリで食事を販売するプロジェクトをパリで試験中とのこと)。

Food Networkのテレビ番組に定期的に登場し、いくつものレストランを開業しては閉店させてきたシェフEric Greenspan(エリック・グリーンスパン)氏は、クラウド・キッチンに関するショートドキュメンタリー番組でこう話していた。「出前はレストラン業界のなかでも、もっとも急速に成長している市場です。売り上げの10%からスタートして、今では売り上げの30%に達しています。さらに(業界の予測では)クイックサーブ・レストランの売り上げは、今後3年から5年の間に50〜60%になるでしょう。これは買いです。しかも、クイックサーブ・ブランドは、1日の売り上げをたんまり増やしてくれる重要な鍵になります」。

グリーンスパン氏はさらに、人々がレストランに足を運ばなくなった時代では、レストラン経営の意味はどんどん失われていると話す。「近年では、実店舗のレストランを開くということは、自分で問題を背負い込むことを意味します。今や(中央集中型キッチンで)、強力な製品が作られている限り、私がそこに立っている必要はありません。品質の遠隔管理も可能です。インターネットなら(Uber EatsやPostmatesなどのマーケットプレイスからログアウトしても)お客さんを怒らせることはありません。実際のレストランをある日突然閉店して、そこへあなたが遠くから車で訪れたとしたら、怒るでしょう。でも、Uber Eatsで(私のレストランのひとつを)探したとき、そこを私がクローズしてしまったために見つからなかったとしても、まあ、そんなに怒らないはずです。他の店で注文すればいい」

大手様のみ歓迎

今のところこのモデルは、グリーンスパン氏にはうまく機能している。彼はロサンゼルスでクラウドキッチンを経営しているが、その所有者には、たまたまUberの共同創設者Travis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏が加わっている。彼は、今のシェアキッチンがもたらした好機を、いち早く掴んだ一人だ。実際、昨年の初め、カラニック氏はCity Storage Systemsというスタートアップに1億5000万ドル(約163億円)を投資したと発表した。この企業は、持てあまされている不動産を、食事の出前など、新しい産業のために再利用する事業に特化している。

同社はCloudKitchensを所有しており、フードチェーンの他にも、個人経営のレストランやフードトラックのオーナーを招き入れ、月額制で設備を貸し出している。追加料金を払えば、データ解析もやってもらえる。

レストラン経営者に向けた宣伝文句は、CloudKitchensは間接費を減らして売り上げを伸ばす、というものだ。しかし同社は、テナントに関するあらゆる種類のデータや顧客の好みなどを、知らぬ間に蓄積している。将来いろいろな形でCloudKitchensの役に立つと思われる情報だ。この業界にAmazonが参入を望んでいたとしても不思議ではない。また、少なくとも中国の強力な競合相手のひとつ(熊猫星厨)が今年の初めにTiger Global Management主導による5000万ドル(約54億円)の投資を受けたことも、驚くにはあたらない。

巨大なビジネスチャンスと思われるものを、抜け目ない起業家が黙って見ているはずがない。キッチンは、投資家の目からすればまったく理に適った対象ではあるものの、しかし、その他の者にとっては、今すぐ飛びついていい万能薬ではない。

波及効果

大変に気になる点は、中央集中型キッチンをうまく回すためには、適正な給与が支払われず、経済状況が大変に苦しいUberの配達員や出前を取り仕切る人たちに依存しなければならないことだ(昨年、Uberの配達員とともにDeliverooの従業員は、「労働者」としての地位とよりよい給与を求めて訴えを起こしたが敗訴した。最近になってEU議会は、いわゆるギグエコノミーの労働者を保護する新しい規則を通過させたが改善は見られない。一方、米国ではUberとLyftが従業員の地位を契約社員にする法律の制定を求める訴えを継続している)。

ニューヨーク出身の起業家で食通のMatt Newberg(マット・ニューバーグ)氏は、ロサンゼルスにあるCloudKitchensの2つの施設と、昨年秋にGVから1000万ドル(約10億8000万円)の資金を調達したKitchen Unitedと、年間契約で業務用キッチンを貸し出しているFulton Kitchensの2つのシェアキッチンを訪れたとき、不吉なものを感じたと話している。

ニューバーグ氏は、彼が見て聞いたことを録画したのだが(下に掲載したのでぜひ見てほしい)、サウス・ロサンゼルスにオープンしたCloudKitchensの最初の施設の状態に驚いたという。

レストランのキッチンといえば、ごった返しているものだ。だがそれは「食べ物と持続可能性を愛する人」によるものだとニューバーグ氏は言う。しかし、彼がシェアキッチンに足を踏み入れたとき、「そうした人間味」は感じられなかった。ひとつには、窓がないことがある(倉庫だから)。さらにニューバーグ氏が言うことには、見るからに低賃金の作業員で溢れていた。彼がざっと数えた限りで「おそらく7坪から8.5坪ほど」の場所に27のキッチンが詰め込まれており、多くの人たちがパニック状態だったという。

「叫び声が飛び交って、オーダーが遅れるごとにサイレンが鳴って、そこらじゅうにタブレットがある状態を想像してみてください」

そしてニューバーグ氏はこう付け加えた。「中に入ると、なんてことだ、ここがロサンゼルスだなんて誰も思わないぞ、てな感じ。まるで爆心地ですよ。軍事基地のようで、画期的に見えて、だけどクレイジーで」。

ニューバーグ氏によれば、CloudKitchensの新しい2番目の施設は、Kitchen UnitedやFulton Kitchensの施設と同じぐらいマトモだという。「あそこ(CloudKitchensの2つめの倉庫)は、WeWorkのキッチン版みたいな感じでした。めちゃくちゃきれいで、サーバーファームのように静かです。やっぱり窓はありませんが、キッチンは上等で大きくなっています」

成長の痛み

CloudKitchensに出したメールの返事は来ないままだが、どのスタートアップにも成長痛はある。おそらく、シェアキッチンの企業も例外ではない。ベンチャー投資家であるモリッツ氏も、レストラン経営者はそれを警戒し続けるべきだと忠告している。ファイナンシャル・タイムズのコラムで彼は、2000年代初頭に、彼の会社Sequoia CapitalがFaasosというケバブのレストランに投資したと書いている。このレストランは、料理を客の家まで出前する計画を立てていたのだが、高い家賃や売り上げなどの理由から頓挫してしまった。

そこで自らを救済する目的で、中央集中型のキッチンを開いてケバブを売ることにした。現在、Faasosはメニューの幅も広げ、インド料理の特別メニューや、中華やイタリアンも、それぞれ別のブランド名で扱うまでになったと彼は書いている。

それは、グリーンスパン氏が従っているものと同じ脚本だ。昨年、Food&Wine誌に語ったところによると、彼の目標は少なくとも6つの出前専用の構想を同時進行させることだという。メディアの有名人であるグリーンスパン氏だけに、Faasosのように、この予定が遅れても問題はないだろう。しかし、無名のフランチャイズや、スター性のあるセレブなシェフもいないレストランの場合、未来はそう明るくない。

モリッツ氏はこう書いている。「鍛えられたレストランやキッチンの運営企業、とくにソーシャルメディアをうまく使いこなせる企業なら、フォロワーを増やし、自分たちを刷新できれば、今でも一部の市場に好機がある。しかし、より規模が大きく動きの速い企業との競争にかかる費用が高騰する前に、素早く立ち回ることが必要だ。Amazonがクラウドキッチンを使って、あらゆる種類の料理のケータリングや、Deliverooなどのサービスを利用した出前を始めるらしいという、単なる予測だけでも、レストラン経営者には胃の痛い話だ。

これは、地域社会のことを気に掛ける人にとっても心配の種になる。

クラウドキッチンでは、これまでになく早く安くテイクアウトを注文できるようになる。しかし、それには代償がある。ほとんどの人間が、まだ想像も付かない代償だ。

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(翻訳:金井哲夫)

Kiwiのロボットが腹ペコのバークレーの学生たちに食事を届ける

SkyDeckの本部を訪れると、そこここにKiwiロボットが居るのを見ることができる。このカリフォリニア大学バークレー校のアクセラレータのフロアには、様々なものが並べられているが、スタートアップの小さなチームは、スペースの片隅でロボットを動作させようと奮闘している。

このロボットは、最近UCバークレー校を訪問した人には見慣れたものとなっている。何年もの間、製品のインキュベーションと試作を繰り返す無数のハードウェアスタートアップたちとは異なり、Kiwiのチームは実際の世界で彼らの製品をテストするために、バークレイキャンパスに製品を持ち込んだ。

共同創業者兼CEOのFelipe Chavez Cortesによれば、同社は既にデリバリーロボット群を使って、1万件以上の注文を処理したそうだ。ますます混み合ってきたデリバリーロボットの世界では、これは差別化できる要素である。なぜなら現在都市部の歩道でのテストには問題が指摘されているからだ。昨年の12月、サンフランシスコ市は、ロボットによる歩道占拠の恐れから、都市の路上でのロボット走行を禁止したのだ。

バークレーキャンパスの目と鼻の先に拠点を置くことで、アクセスの良さが担保され、常に空腹の学生たちというリソースが存在することとなり、同社のテストに役立つということがわかった。また同社の小さなロボットは、競合相手の製品のように、歩道を占拠することもない。

「歩道は大切な場所です、私たちは可能な限り最善の方法で、人びとと交流する技術を創造する必要があります」とCotesは言う。「それこそが、私たちが複数の種類のロボットを使っている理由なのです。このサイズのものは注文の80%に対応できます」。

もう一つの重要な差別化要素は、KIwiの、よりモジュール化されたデリバリー方法である。1台のロボットで配送のすべてをこなすのではなく、この小さな4輪のロボットは最後の300メートルをカバーすることを想定してデザインされている。

「当初レストランから顧客の家に直接向かう1台のロボットから始めたのですが、ごく初期のうちにそのやり方は非効率であることがわかりました」とCortes。「そこで私たちはマルチモーダル(複数形態)システムを作りました。私たちは3種類のロボットを持っています。1つはレストラン店内で働くもの、2つめは通りを走る半自律運転の三輪車、そして3番目はラストマイルロボットです。ラストマイルロボットを街に配備しておき、三輪車を使って一度に何十もの食事をピックアップしてきて、それをロボットに乗せます。ロボットが最後の300メートルを担当します。これはうまく行っています。現時点で、人間の配達員を使うよりも安く、企業は配達をコントロールできています」。

今のところ、Kiwiは大胆なスタートアップの1つであり、それを生み出したアクセラレーターと共に働いている。より大規模なスケールでソリューションを提供するためには、同社にはまだまだ取り組むべき課題がたくさん残っている。バークレイキャンパスを一歩踏み出したら、完全な自律走行の問題や、盗難の可能性などの問題に向き合う必要があるからだ。しかし、それでもこれは有望なスタートの1つだ。

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(翻訳:sako)

フォードとドミノ・ピザが自動運転車による宅配実験へ

フォードとドミノ・ピザがタッグを組み、自動運転車によるピザの宅配実験を行おうとしている。この実験の狙いは、自動運転車に対する消費者の反応や両者の関わり方を解明することだ。

実験には自動運転機能を備えたフュージョン・ハイブリッドが使用される予定で、車体にはドミノ・ピザのパートナー企業Roush Enterprisesが設計したピザを収納する箱も取り付けられる。この箱はピザを保温するだけでなく、注文主がコードを入力することで解錠できるようにもなっている。実験対象となるのはアン・アーバー(ミシガン州南東部)エリア在住の消費者で、その中からランダムに選ばれた人は注文時に自動運転車でデリバリーしてほしいか選べるようになる。

先述の通り、この実験では自動運転車でピザを配達した際に消費者がどのような反応を示すのかが焦点になっている。フォードで自動運転・電気自動車担当VPを務めるSherif Marakbyによれば、同社は顧客やユーザーエクスペリエンスを自動運転テクノロジーのコアに据えており、実証実験を通して自分たちの仮説を検証し、自動運転テクノロジーを向こう数年のうちにビジネス化したいと考えているという。

「私たちの研究のユニークなところは、自動運転テクノロジーの開発と並行して、人に関する研究も行うということ」とMarakbyは言う。「なぜそんなことをやっているかというと、私たちはこれまで知らなかったようなことをこれから体験するようになるため、できるだけ早い段階で車やインターフェース、ユーザーと車の関わり方を新しい環境に沿った形に変えていきたいからだ」

これはフォードが今まで取り組んできたこととは必ずしも一致しない。同社はこれまで何年間もテクノロジー重視の製品開発を行い、さらに何十年もの経験を通じて、顧客が何を求めているのかということを数世代にわたってある程度把握してきた。しかし自動運転車となると、さすがのフォードにも見えない部分がかなりある。

「自動車ビジネスでは、通常誰がターゲットなのかわかっていて、そのターゲットに応じた製品やサービスが開発されている」とMarakbyは説明する。「しかし自動運転車に関しては、まだまだわからないことが多いため、消費者のことをよく知る企業とパートナーシップを結び、テクノロジーだけでなく、ユーザーが実際に触れ合うことになる車をどう変えなければいけないか模索している」

注文後はドミノ・ピザのアプリでデリバリーの進捗を確認できる。

これまでにもドミノ・ピザとフォードは、車載システムSYNCとアプリを使ったピザ発注システムの開発など、さまざまなプロジェクトでタッグを組んできた。この歴史があったからこそ、今回の自動運転車によるピザ宅配の話が生まれたのだ。

「数か月前にドミノ・ピザと提携して実験を行うことが決まった」とMarakbyは語る。「フォードは自動運転テクノロジーを開発しており、実はドミノ・ピザもデリバリービジネスを改善するためにテクノロジーの活用にかなり力を入れている。自動運転車によってデリバリー業務のプロセスが簡素化され、もしかしたらもっとユーザーフレンドリーになるかもしれないということは既によく知られているだろう」

こうして両社は「民俗学的研究」とも呼べる、消費者についての研究を共同で行うことにしたのだ。その目的は、ピザ宅配のような自動運転車を使ったサービスで消費者の需要を満たすためには、どんな戦略をとらなければいけないのか解明することだ。

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自動運転車が公道を走れるようになるまで待たずにこのような実験を行うことこそがフォードの戦略なのだとMarakbyは繰り返し語った。つまり彼らは、消費者が自動運転車との関わりあいに何を求めるのかを理解することは、自動運転車が公道を正確に走れることと同じくらい重要だと考えているのだ。

フォードの目標は、フードデリバリーをはじめとするサービス業で活用できる自動運転車を、2021年中に大量生産できるようにすることだとMarakbyは言う。だからこそ、車体のデザインなど細かな部分がまだ決まっていないうちに、消費者が自動運転車でのデリバリーや移動に何を求めるかというのを解明しておくのが重要なのだ。

この実験には人間のドライバーも参加する予定で、彼らは実験の観察に加えて、何かあったときには運転を引き継ぐことになっている。しかしこの実験で本当にテストされているのはドライバーはおろか、自動運転テクノロジーに関わることではなく、人間以外の何かからピザを受け取る消費者がどう感じるかなのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

LINEで出前を注文できる「LINEデリマ」がローンチ——ピザーラや銀のさらなど全国1万4000店に対応

アプリから簡単に食事のデリバリーができるサービスにはUberEATSなどがあるが、LINEも料理のデリバリーサービスを強化する考えのようだ。LINEは本日記者会見を行い、LINEから料理が注文できるデリバリーサービス「LINEデリマ」を発表した。

LINEデリマは独立したアプリではなく、LINEのアプリ内から利用できるサービスだ。LINEアプリの「その他」から「LINEデリマ」を選択してアクセスできる。

ユーザーはLINEデリマで出前を取れる店舗をジャンル検索、店舗名検索、エリア検索などで探すことができる。食べたい料理を選んだら、配達時間、支払い方法、配達先などの情報を入力し、注文する流れだ。

LINEデリマでは全国1万4000店のメニューから選べる。サイトを見てみると、ガスト、ケンタッキーフライドチキン、銀のさら、バーミヤン、ピザーラなどの店舗が掲載されている。レストランはLINEデリマのLINE公式アカウントからチャット形式で検索することも可能だ。

LINEデリマ公式アカウント

LINEデリマではLINE Payで決済ができたり、LINEポイントを使用したりすることもできる。

今後、ユーザーにおすすめメニューをプッシュ通知する機能や公園などへもデリバリーできる機能を追加する予定とLINEは説明する。また、料理だけでなく日用雑貨や生鮮食品、医薬品など、取り扱う商品を拡充していく計画だ。最終的には、1回で文房具や日用品といった様々な商品が届くサービスにすることを考えているとLINEは説明する。

LINEはこれまでも料理のデリバリーサービスを提供してきた。2016年7月より宅配ポータルサイト「出前館」と業務提携を実施し、「出前館 on LINE」を展開している。これは「出前館 on LINE」のLINE公式アカウントから出前が注文できるサービスだ。そこから機能を拡充し、LINEデリマの提供に至ったと言う。

「これまで電話で出前を取っていたところから、インターネットで注文するようになりました。LINEで出前が取れるようになれば、さらに出前の市場は拡大していくと思います」とLINEの代表取締役を務める出澤剛氏は話している。

AmazonのWhole Foods買収の勝者と敗者――InstacartからSlackまで

Amazon137億ドルをWhole Foods Marketの買収に投じることで、生鮮食料品ビジネスに深く食い込もうとしている。この買収の話自体はAmazonとWhole Foods Market間のものだが、実際に買収が成立すれば、両社以外にもたくさんの企業が影響を受けることになる。

食べ物とテクノロジーの融合はここ数年で活発化し、さまざまなスタートアップが誕生したほか、大手テック企業が食べ物に関連した取り組みを始めたり、逆に大手食品小売企業が次世代の消費者や彼らがどのようにお店を選ぶかを見逃さないためにテクノロジーを利用し始めたりしている。その中でも特に業界への影響力や規模が大きい企業(+それ以外の数社)に関して、Whole Foods MarketのM&Aがどのようなインパクトを与え得るかについて以下に考察を記している。

Instacart

2012年にY Combinatorのアクセラレータープログラムから誕生したこのスタートアップは、まだ宅配サービスを行う生鮮食料品店がほどんど存在しない頃に、商品をアプリ経由で販売・配達するというサービスを開始し、アメリカの食料品配達業界の草分け的な存在となった。自分たちのことをAmazonの競合と捉えているInstacartは、主要都市で大きな利益を上げ、投資家も同社の力を信じている。その証拠に、Instacartはこれまでに約6億7500万ドルを調達しており、同社のバリュエーションは34億ドルにのぼる

そんなInstacartの株主であり食品小売パートナーでもあるのが、他ならぬWhole Foods Marketなのだ。

つまり、AmazonによるWhole Foodsの買収が完了すれば、これまで1番の競合相手だった企業がInstacartの株主になってしまうのだ。問題はAmazonがこの状況にどう対応するかだ。まず、Instacartを完全に買収して競合企業の数を減らすというシナリオが考えられる。さらに、金融投資としてInstacartの株式はそのまま保有しつつ、Whole Foodsの全デリバリー事業をAmazon Primeに移管するというのもあり得るだろう。

Whole FoodsとInstacartの契約期間はあと4年残っており、情報筋によれば今回の買収によって契約内容が変わることはないため、後者はすぐには起きないかもしれない。

そうなると、Instacartが買収のターゲットとなる可能性もあり、CostcoやWalmartのようなAmazonの競合候補であればそれに興味を示すだろう。また、Whole Foodsとの契約がなくなれば、他の食品小売企業から見ても、Instacartはデリバリーパートナーとして魅力的に映ると考えられる。

Instacartの計画について知る情報筋によれば、どうやら市場はその方向に進もうとしているようだ。つまり、最大のライバルを株主の座に座らせておく代わりに、InstacartはAmazonが持つ株式(割合的には1%未満)を買い戻す可能性が高い。

Instacartは今年の終わりまでに、アメリカ国内市場の約80%をカバーするようになる予定で、先週にはPublixやWegmans、Ahold Delhaizeと新規契約や契約内容の拡充を行った。さらに先述の情報筋によれば、Instacartの売上全体に占めるWhole Foods Marketの割合は10%にも満たないというのも注目に値する。

Instacartのこれまでの道のりは決して平坦ではなかった。事業の成長に伴い、不透明な料金体系にフラストレーションを感じていた顧客や配達人やからは数々の反発があり、資金的にも同社にダメージを与えていた。しかし、依然としてInstacartは成長を続けており、Amazonが求めているものよりも大きなものを築いてきた。

Google Shopping

Googleは早くから小売業に進出しようとしており、2013年のGoogle Shopping ExpressのローンチでAmazonと競合することになった。その後同社は食品を主に扱うようになり、それにつれて段々とパートナー企業の数も増えていった。その中の1社がWhole Foodsなのだ。Amazonが親会社になることで、Whol FoodsはGoogleが扱っている商品をAmazonに移動させる可能性がある。

これを受けて、Googleは今後タッグを組む食品小売企業の数を増やしていくことになるのだろうか? また、CostcoやTargetといったパートナーが扱う商品の宅配対象品目を拡大してくのだろうか?

小売業界におけるAmazonの力は年々増してきているように感じられる。そんな中、インターネットと関わりがほとんど(もしくは全く)ないような食料品店にもチャンスが生まれるかもしれない。大型買収とは無縁な小さなお店が、パートナーとしてのWhole Foodsを失い在庫の確保に必死なGoogleで商品を販売できるようになるかもしれないのだ。その一方で、Googleは販売網の拡大を狙う小売店と優位な契約を結べるかもしれない。

Shipt

競合といえば、Instacartがやっていることをもっとうまくできると考えているスタートアップは未だに増え続けている。そんな企業のひとつであるShiptは、今年に入ってから4000万ドルを調達し、まだGoogleやAmazon、Instacartが手を出せていない”非沿岸地域”の顧客を狙っている。

彼らもWhole Foodsとパートナーシップを結んでいるが、Googleのように最終的には同社との協業関係が崩れてしまうかもしれない。また、Whole Foodsからの売上と他のパートナー企業(アメリカ中部の小売大手が名を連ねている)からの売上の割合も気になるところだ。しかし、Amazonの傘下にない小売企業ができるだけ同社から距離を保つために、Shiptとパートナーシップを結びたいと考える可能性も十分にある。というのも、良くも悪くもInstacartはAmazonと資本的な繋がり(たとえAmazonが単なる株主に留まるとしても)を持つことになるのだ。

同じことがStorePowerGrubmarketに関して言える。両社はどちらもInstacartのようなサービスを提供しており、StrePowerは食料品店を、Grubmarketは生産者や農家を対象に、顧客から注文をとったり、商品を配送したりする手助けを行っている。さらに、どちらもこれまでにかなりの金額を外部から調達してきた。

現在Instacartと取引をしている小売企業が、今後Amazonとの関係が複雑化するかもしれないということを受けて、Instacart以外のオプション(パートナーとしても買収対象としても)に気づくようになれば、StorePowerやGrubmarketのような企業に追い風が吹く可能性もある。そうすれば、資金調達時の彼らの交渉力も上がってくるだろう。

Costco

Costcoにはさまざまな手札が揃っている。テクノロジーという意味ではそこまで名が通っていない同社だが、スーパーマーケットチェーンとしては世界第3位(1位:米Walmart、2位:仏Carrefour)で、Amazonに対抗するためのパートナーを求めている。そんな彼らには多くの選択肢が残されている。

Blue Apron、Sunbasketなどの食材宅配企業

Whole Foodsのメインの商品は生鮮食料品だが、同社は加工食品も扱っているため、その中間に位置する食材宅配サービスを始めるのもそこまで難しいことではない。つまり、Whole Foodsの買収で生鮮食料品や加工食品(ミレニアル世代が好むブランドの商品を含む)を扱う店舗網を手に入れることになったAmazonには、Blue Apronのような事業を始めるチャンスがあるのだ。なお、Blue Apronはこのサービスで大成功をおさめ、健全なバランスシートをもってIPOを控えている。AmazonはBlue Apronが既に解決し終えようとしている規模の経済性の問題に対処しなければならないが、その一方で、食材宅配企業にとってメインの市場となる大都市にWhole Foodsが持つ店舗網のきめ細かやかさ(そして各店舗にある新鮮な食材を販売するためのリソース)を無視することはできない。今後どうなるかについてはまだ静観するしかないが、もしもAmazonにその気があれば食材宅配企業にとってはかなりの脅威になるだろう。

Walmart

WalmartにはWhole FoodsとAmazonのニュースに関するコメントを現在求めているところだが、彼らの眼前にもCostcoと同じようにさまざまな可能性が広がっている。TechCrunchライターのSarah Perezが既に指摘している通り、WalmartがAmazonになる前にAmazonはWalmartになりたいと考えている。そして、Walmartは既に食料品のピックアップサービスを提供している一方で、まだ宅配サービスには手を付けていない。

Walmartがこのギャップを埋めるようとしているならば、今回のニュースを受けて、同社は物流のノウハウを持つ企業を買収することになるかもしれない。さらに、顧客層にまでWhole Foods買収の影響がおよぶ可能性もある。Sarahの分析記事でも触れられている通り、AmazonはAmazonプライムで中間〜富裕層の消費者を重点的に攻めている。高級スーパーとして知られるWhole Foods(Whole Paycheckという名前で呼ばれることがあるほど)の買収でその傾向はさらに強まるだろう。そんな中、Walmartが富裕層に対してどのような動きを見せるのかというのはとても気になるところだ。”Amazon効果”を心配する企業が増えることで、Walmartは優位に交渉を進められうようになるかもしれない。

Jana Partners

投資会社Jana Partnersの努力がこの度ようやく報われた。彼らは今年の4月からWhole Foodsにプレッシャーをかけ続けており、遂にAmazonとの話がまとまったのだ。今回の買収はWhole Foodsの株主に大きな利益をもたらし、Jana Partnersも今年に入ってから取得したWhole Foodsの株でかなりのリターンを稼ぎ出した。これを受けて、今後食料品業界で「物言う投資家」の動きが活発化する可能性がある。

Ocado、Bigbasket、Conershop

食料品配達企業の中には各地域に特化したプレイヤーもいるが、一様にAmazonの競合と表現されており、今後Amazonがそのうち何社を買収するのか気になるところだ。Whole Foodsに大金を投じたことで、しばらくの間Amazonは財布の紐は締めることになるかもかもしれない。しかし、だからといって各地で活躍する企業を買収する気が全くないということはないだろうし、買収対象となる企業もAmazonのような大きな枠組みの中で、各種の有用なデータを利用しながら事業を展開する方がうまくいく可能性もある。その一方で、InstacartやPostmates(以下で触れている)のような評価額が彼らにつくかどうかというのはまた別の話だ。

Postmates

現在Postmatesはフードデリバリーサービスを主な事業をとしているが、オンデマンドのデリバリーネットワークというもともとの構想もなくなったわけではない。他のデリバリーネットワークや特定の地域に特化したプレイヤーと同じように、PostmatesはInstacartとの関係性が今後複雑化するであろう小売企業と、より良い関係を築けるようになるかもしれない。InstacartとWhole Foods(Amazonとも読み替えられる)の親密な関係は、他の小売企業にとってはある種の障害となる可能性が高く、これはInstacartの競合企業にとっては喜ばしいことだ。さらに大手小売企業がPostmatesのような企業のことをAmazonに対抗する上での重要なパートナーと捉えることで、彼らの価値自体が高まる可能性もある。

Slack

Amazonはこれまでにも数々の大型買収を行ってきたが、Whole Foodsほどの規模のものはなかった。先述の通り、Whole Foodsの買収が連続大型買収のひとつめということでもない限り、Amazonはしばらくの間M&Aの手を緩めることになることになるだろう。その一方で、先週AmazonがSlackの買収に興味を持っているという噂が浮上した。どうやら結局Slackは別の道を歩むと決めたようで、代わりに5億ドルを調達しようとしていると報じられている。しかし、CiscoがIPO直前のAppDynamicsを買収したように、ギリギリのタイミングで物事が変わることはよくあり、Microsoftも同社には注目しているようだ

いずれにしろ、Slackの値段は公知のものとなり、しかもかなりの高値がついている。もしかしたら、Whole Foodsの買収に大金を費やしたAmazonが買収競争から外れると見た、テック業界とはそこまで関係の深くない企業が急にSlackの買収に乗り出すということもあるかもしれない。これに関しては、これまでに比べてかなりはっきりとした金額が明らかになったということを考慮し、今後の行く末を見守るしかない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

食料品配達のInstacartが4億ドル調達 ― バリュエーションは34億ドル

食料品配達を手がけるInstacartが約4億ドルの資金調達を完了したことが明らかとなった。今回のディールの内情に詳しい情報提供者によれば、バリュエーションは34億ドルとのこと。巨大な規模となった今回の資金調達の噂を最初に報じたのはAxiosだった。Instacartの幹部から今回の件についてコメントを得ることはできなかった。

過去数年間、サービス料金の引き上げと給料の引き下げを行ったInstacartは論争の的になっていた。同社のこれまでの累計調達金額は2億6000万ドルで、バリュエーションは20億ドルと報じられていた。

Instacartが前回の資金調達を終えたあと、同社の競合は行き詰まりを見せていた。例えば、Good Eggsは経営陣の刷新とレイオフをせざるを得ない状況に追い込まれてる。そして、インドでライドシェアリングサービスを提供するOlaは、同社の食料品配達サービスを完全にシャットダウンしている。

今のところ、Instacartのサービスを利用できるのはアメリカ国内のみに限られる。U.S Department of Agricultureの最新の調査によれば、アメリカの一般家庭では合計で年間7270億ドルの食料品が消費されているという。

InstacartのAporva Mehta氏

これまでにもTechCrunchでお伝えしたように、Instacartは単純にデリバリーサービスだけから収益を得ているわけではない。同社のサービスでは、食料品の値段に加えて、最寄りのストアでのピックアップと自宅までの配送(1時間以内で到着)のそれぞれの方法で配送料がかかる仕組みになっている。

しかし、Instacartはそれに加えて、消費者向けブランドを同社のプラットフォーム上で宣伝し、その代わりに彼らから広告料を受け取っている。従来の食料品店では、目のつきやすい棚に商品を並べる際にはブランドに料金を課しているが、それと同様の仕組みだといえる。

Bloombergによれば、本調達ラウンドをリードしたのはSequoia Capitalだ。InstacartはY Combinatorの「startup factory」から2012年に誕生したスタートアップ。Sequoiaの他にも、Andreessen Horowitz、KPCB、Whole Foodsなども同社に資本参加している。Whole Foods MarketsとCostCoのスーパーマーケットの中にはInstacart会員専用の特設エリアが設けられており、支払いをスピーディに終えることができる専用レジ「express lanes」も設置されている。

Instacartの競合となるのは、ShiptPostmatesStorePowerなどの企業だ。今回Instacartが巨額の資金調達を完了したことにより、これらの競合はプレッシャーを感じているのかもしれない。一方、Instacartは今回の資金調達によって競合を出し抜くチャンスが生まれたといえるだろう。

 

― 本稿では、Ryan Lawler氏がこの件の追加報道に協力をしてくれた。

米ドミノ・ピザのボットがパワーアップ、Messenger経由で全てのピザが注文できるように

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米ドミノ・ピザの注文受付ボットDomが、大きなテストに臨もうとしている。スーパーボウル開催直前にドミノ・ピザが、Facebook Messengerを通じてフルメニューから注文できる機能をローンチしたのだ。しかも、この機能は事前に設定が必要な「ピザ・プロフィール」無しでも利用できる。つまり今回のアップデートによって、普段あまりドミノ・ピザを利用しない人も、電話やウェブサイト経由での注文の代わりにボットを試しやすくなる。

今回がドミノ・ピザのボットのデビューではないので、誤解のないように。同社はAnyWhereオーダリングプラットフォームを使って、既に1年間以上も電話やウェブサイト以外からの注文を受付けている。例えば2015年の春には、Twitter経由の注文受付をスタートし、その後Apple TVGoogle HomeAmazon Echo、Ford Sync、SMS、サムスンのスマートテレビ、スマートウォッチ、アプリ内の音声アシスタントなど、様々な新興プラットフォームへも対応してきた。

しかし、これまでのAnyWhereを利用した注文方法の問題点は、顧客がまずドミノ・ピザのアカウントを作り、個人情報を入力した後に「Easy Order」と呼ばれるものを作らなければいけないという、実際の注文までにかかる手間だ。なお、このEasy Orderには、顧客のお気に入りのピザや、最も注文回数の多いピザなどの情報が含まれている。そして前述のようなプラットフォーム経由で注文するときは、このEasy Orderに含まれているものしか注文できず、フルメニューを見ることはできなかった。

その後ドミノ・ピザは、前回注文したピザを再び注文するリオーダリング機能を、AnyWhereプラットフォームを利用しているアプリに追加した。

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しかし、今回のMessengerボットのアップデートにより、今後はフルメニューを見ながらDomに注文をお願いできるようになる。一見大したことがないように思える変化だが、DomのようにECに特化したボットの使い勝手を考えると、これは大変重要なポイントだ。

ドミノ・ピザとの確認の結果、これまでDomはおろかドミノ・ピザを利用したことがない人でも、新しい機能は問題なく使えるということがわかった。住所や電話番号などの注文に必要な情報は、Domが顧客に尋ねるようになっているのだ。

しかし、ドミノ・ピザにすぐにでも解決してほしい、大きな問題がひとつある。Dom経由で注文すると、現金でしか支払いができないのだ。(もう誰も現金なんか使ってないのに!)特にピザをチャットボット経由で注文するのがカッコいい、と考えるようなアーリーアダプターが現金で支払を行う姿は想像しづらい。

昨年の秋にローンチしたMessengerプラットフォームには、チャットボット向けの決済機能が追加されていた。しかしローンチ当初、同機能はまだ限定ベータ版だったので、ピザを注文するためのボットは、その対象に含まれてなかったのかもしれない。

しかしドミノ・ピザも、将来的にはMessenger経由の支払機能追加を検討していきたいと話している。

Messenger経由で注文した商品は、配達だけでなく店舗で受け取ることもできるため、店舗受け取りを選択すれば、店頭で自分の好きな決済方法を選ぶこともできる。

ドミノ・ピザにとって、スーパーボウルサンデーは一年で最も忙しい日のひとつだ。当日はアメリカ中で1200万枚ものピザを販売する予定で、この数は普通の日曜日の5倍にあたると同社は話す。

そのため、チャットボットでの注文というのは少し馬鹿げて聞こえるかもしれないが、もしもMessengerのような代替ルートで注文する人が出てくれば、電話回線に余裕を持たせ、トラフィック過多でウェブサイトの読み込みが遅くなるのを防ぐことができ、ドミノ・ピザの利益に影響を与える可能性さえあるのだ。

Domを試したい人は、ドミノ・ピザのFacebookページを訪れるか、Messengerアプリで「Domino’s」と検索してみてほしい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ユーザーがいる場所まで給油車をお届け ― Yoshi.Incが210万ドルを調達

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Yoshi.Incは、どこにクルマを停めていてもそこまで給油車を運んでくれるサービスを提供するスタートアップだ。同社は現地時間12日、合計で210万ドルの資金調達を完了したと発表した。同社はこの資金を利用して、給油デリバリービジネスを新しい地域へと拡大するとともに、自動車関連の新しいビジネスを展開していく。CEO兼共同装用者のNick Alexanderは、「ガソリンスタンドやオートショップで行うサービスを、ユーザーがその時にいるところで、かつ競争力のある価格で提供します」と説明する。

今回の調達ラウンドをリードしたのはZhen Fundで、その他にもJoe MontanaのLiquid 2 VenturesやY combinatorパートナーのAli Rowghaniを初めとする個人投資家も本ラウンドに参加している。Yoshiは2016年のY Combinatorバッチにも参加している。

現在Yoshiのサービスは月額20ドルで利用でき、それに別途で給油した分のガソリン代金がかかる。また、洗車サービスやオイル交換、ワイパー交換などには追加料金が発生する。これらのサービスはすべてYoshiのアプリで注文可能だ。YoshiはFirestone(北米ブリジストンのタイヤ製造・卸売事業子会社)と提携を結んでおり、無料でタイヤの空気圧をチェックするサービスを提供しているほか、ユーザーはYoshiのアプリを通して新しいタイヤを購入したり、タイヤ交換サービスを注文できるようになっている。

Palo Altoを拠点とするYoshiは、アトランタ、ナッシュビル、ベイエリア近郊でサービスを提供している。同社の競合となるのはMobile Fuel、Fild、WeFuel、Purpleなどのスタートアップや小規模ビジネスだ。しかしAlexanderは、他社が提供するサービスの種類はYoshiほどに充実していないと語る。

今回の調達ラウンドに参加したJoe MontanaはYoshiのチームを賞賛し、「Yoshiがこれからも順調に成長する姿を見たいものです;彼らはこれまでこの業界をリードしてきましたし、これからも現状のマーケットを攻略しつづけ、さらに将来のマーケットにも応用可能な戦略を見せてくれることでしょう」。

Alexanderによれば、同社は今回調達した資金を利用して、人材の強化、サービス提供地域の拡大、サービスの安全性の向上を図る。また彼は、Yoshiが成長できたのは同社の紹介制度によるところが大きいと話している。同僚や家族を紹介したユーザーにはポイントが配布され、そのポイントを使って無料で給油をしたり、クルマのパーツを購入できるようになっているのだ。
ただし、Yoshiの給油トラックとスタッフを出動させるためには、1人のユーザーからの注文だけでは不十分だ。サービスが提供されるのは、その地域で少なくとも3人のユーザーからの注文が集まったときに限られている。Yoshiのアプリはコンシューマー直結型のアプリではあるが、エンタープライズ向けサービスの拡大も目指している。従業員のクルマや営業車に給油をしたり、パーツの交換をするなどの利用法がある。
サービスの会員費や利用料金を一部援助する企業もあれば、単にYoshiの利用を推奨するにとどまる企業もある。企業向けサービスが生まれた背景として、給油のために仕事に遅刻する従業員がいるという事実があった。また、クルマの不調のせいで気が散ってしまうこともある。Yoshiの「一度注文すれば、あとはおまかせ」サービスを推奨することは、従業員のプロダクティビティを向上することにもつながるのだ。
(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ドローンによる医療品配達サービスのZiplineが2500万ドルを調達

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ドローンによる医療品の配達サービスを展開するZipline International Inc.が、シリーズBで2500万ドルを調達した。今回調達した資金によって、ルワンダ、米国などで同社の人道的なビジネスを拡大していく予定だ。

Ziplineは、ドローンを利用してクルマなどが通れない僻地にある診療所や病院に重要な医療品を届けるサービスを展開する企業だ。

先日、TechCrunchはカリフォルニア州Half Moon BayにあるZiplineの本社を訪れ、同社の固定翼ドローン、射出機、そしてユニークな着陸方法について取材した。

共同創業者兼CEOのKeller Rinaudoによれば、今回のラウンドでリード投資家を務めたのはVisionnaire Venturesで、その他にもSequoia CapitalAndreessen HorowitzSubtraction Capital、そして個人投資家のJerry Yangも本ラウンドに参加している。今回のラウンドを含めたこれまでの資金調達金額の合計は4300万ドルとなる。

Rinaudoは、「Doordashなどが夕食の即時配達サービスを展開し、Instacartは食料品の配達をしています。それであれば医療品の配達サービスも可能なのではないかと考えたのです」と話す。

Ziplineは先日、ルワンダの国家プロジェクトとして、計600万人の患者を抱える複数の診療所にオンデマンドで輸血用の血液を配達するというプロジェクトを開始している。

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Zipline CEOのKeller Rinaudo(中央)。その隣にはルワンダ大統領のPaul Kagameがいる。

11万人いるルワンダの全国民に血液を届けることを目指し、政府はZiplineと連携したこのプロジェクトを今後も拡大していく方針だという。また、血液の他にも、抗毒素、各種ワクチン、狂犬病の治療薬(専門的には「ウイルス暴露後ワクチン」と呼ばれる)など、配達する医療品の種類も拡大する予定だ。

今回調達した資金によって同社は人員の強化、技術開発などを進め、インドネシア、ベトナム、米国などの新しいマーケットに参入していくことを目指すとRinaudoは話す。

しかしながら、米国で同様のサービスを展開するためには、規制機関から認可を受け取るか、規制除外のサービスとして認めてもらう必要があると彼は話す。

競合企業となるFlirteyやMatterportは、ドローンによる食料品、建築資材、薬品などの配達サービスを展開している。しかし、Ziplineは医療品のデリバリーのみに特化していく方針だ。

米国のマーケットでは地方の診療所への血液やワクチンの配達サービスが考えられるだろう。また、都市部ではアレルギー症状を一時的に緩和する「エピペン」の即時配達サービスを展開することも可能そうだ。そうすれば、急に子どもたちが深刻なアレルギー症状を起こしたとしても安心できる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Just Eatが350万ポンドをPOS関連システム統合サービスのFlypayへ投資

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オンライン食品デリバリー界の雄Just Eatが、イギリスのスタートアップFlypayへの投資を行った。Flypayは、チェーンレストランやパブが、用途に応じて使い分けている個々のシステムを統合するためのプラットフォームを運営している。350万ポンド規模となった今回のラウンドは、先日英メディアTimeOutがリードインベスターとなって700万ポンドを調達したラウンドAの延長とされている。

”戦略的提携”とも言われているJust Eatによる投資の結果、同社はFlypayが運営するFlytプラットフォームにおける、最新のパートナーテック企業となった。このプラットフォーム上では、予約やロイヤルティープログラムからデリバリーやレビュー管理まで、レストラン・パブ・バーが普段利用しているさまざまなシステムを統合することができる。

Flypayは当初、”ウェイターフリー”で会計ができるようなテーブル会計アプリの開発に注力しており、その後、オーダー・受け取りやテーブルでのオーダー、カウンターでの支払、ロイヤルティープログラムといった機能をそこに追加していった。

しかし、その頃から同社は、飲食業界で使われている個々のシステムと競合するのではなく、それらをまとめるようなプラットフォームを開発した方がサービスの価値が高まるのでは、と考えるようになった。

「私たちが新たに提供する、飲食店の運営会社向けのFlytプラットフォームを使えば、電子取引周りのシステム環境を大幅に簡素化できます。顧客やオーダーの管理を全て独自のアプリに統合することもできれば、私たちのプラットフォームを経由して、情報集積アプリやメッセージ・ボイスコマース、その他最新の技術を利用した他のプラットフォームへ各システムを接続することもできます」とFlypayのファウンダー兼CEO Tom Weaverは語る。

さらに彼は、「私たちの顧客は、さまざまな街に店舗を構えているカジュアルダイニングやパブブランドです。現在はWahaca・GBK・Jamie’s Italian・Fuller’s・Chilangoやその他多くのブランドにサービスを提供しており、最近イギリスでもっとも人気のレストランブランドとも契約を結んだところです。もう少しで情報が公開される予定で、その会社とは今までにないようなお店を作ろうとしています」と付け加える。

この点についてJust EatとFlypayは、今後ブランドを問わず全てのカジュアルダイニングの運営会社に対して”デジタルエクスペリエンス”を提供するために協業していくと話している。このコラボレーションを通して、Flypayはレストランやバーが既に持っているアプリに、Flyt経由でデリバリー機能を追加するサービスを開始予定だ。しかし、まだこれは始まりに過ぎない。

両社はさらに、実店舗での情報とJust Eatの顧客データーベースを紐付け、レストランやパブ、バーの運営会社が”デリバリーシステムを採用・有効活用”しやすくなるような施策を打ち出していく予定だ。

Just Eat CEOのDavid Buttressは声明の中で「Flypayへの投資によって、注文・支払・カスタマーサービス・デリバリー機能などを備えた、飲食サービス利用者のための、シームレスなシステムの開発を私たちは続けることができます。そうすれば、レストラン側はJust Eatを利用してデリバリサービスを提供できるようになりますし、カジュアルダイニングチェーンに対する私たちのサービスの訴求力も高まります。Flytプラットフォームは、カジュアルダイニング界のデジタルな部分を大きく変える力を秘めており、私たちはその可能性を信じています」と語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オンライン食品デリバリー市場には2100億ドルの可能性

A day's worth of meals from a raw-vegan delivery service, ready for a cleanse or detox. Includes: crepes, berries, collard green wraps, sushi, salad and pizza.

編集部注著者のEric Kim氏は、LA拠点のモバイル食品オーダースタートアップRushOrderの、共同創業者兼CEOである

昨年私は、広範囲にわたるオンライン食品オーダリングへの長期的シフトについての記事を書いた。その時には、対象領域に大量の資金が流入しているのを目撃した。それから1年が経ち、私たちは今や、非常に異なる資金調達環境を目にしている。調査会社のCB Insightsによれば、食品デリバリーカテゴリーへの国際的な資金の流入は、16年第1四半期に69パーセント減少し、そして更に第2四半期には49パーセント減少している。

Source: CB Insights

出典:CB Insights

ファイナンスの視点からは流れは間違いなく後退している一方で、オンライン食品デリバリー業界が示すマーケットの可能性は、相変わらずの大きさを誇っている。実際、今年6月の最新業界レポートのMorgan Stanley Researchの指摘によれば、(デリバリー業界からの)アプローチ可能なコアとなるレストランは年間2100億ドルを売り上げているのに対し、オンライン食品デリバリーはわずか100億ドルを計上しているのに過ぎない。5%以下である(Morgan Stanley Research: Restaurants and U.S. Internet)。この金額は「電子商取引の2分の1、オンライントラベルの8分の1」に過ぎない。これらのメトリクスが示しているのは、オンライン食品デリバリーは明らかに「いまだに成長待ち段階」ということだ。

Source: Public Company Filings, AlphaWise, PhocusWright, US Census Bureau, ComScore, Forrester, Euromonitor, Morgan Stanley, and Wall Street Research Reports

出典:Public Company Filings、AlphaWise, PhocusWright、U.S. Census Bureau、ComScore、Forrester、Euromonitor、Morgan Stanley、そしてWall Street Research Reports

あまり頻繁に議論されていない統計は、この2100億ドルのアプローチ可能なマーケットの60パーセントがピザだと見積もられていることだ。これ自身は興味深いデータであるが、一方AlphaWiseが4月に行ったサーベイの結果が示すのは、消費者はピザ以外のデリバリーオプションを欲しているという事実である。

5000人以上の米国の消費者を対象とした彼らの調査では、回答者のほぼ3分の2がそれ以前の半年の間にレストランでテイクアウトの注文を行っている;こうした、容易にデリバリー注文に置き換え可能なテイクアウト注文が、ピザの代わりに頼めるオプションとして使われているのだ。調査ではさらに、こうした需要の高まりが「都市や、郊外、そして農村のマーケットを問わず」一貫して起きていると述べている(Morgan Stanley Research: Restaurants and U.S. Internet2016年4月のAlphaWiseの調査)。

そしてオンライン食品デリバリーサービスが急速に拡大し続けるにつれ、これまでデリバリーを提供できなかったレストランが、ますます多くデリバリー向けにアクセス可能になって来ている。以上のことが意味することは、これまで歴史的にピザの領域であったパイの一部の1260億ドルが、急速に手に入れやすくなってきたということだ。

Source: Morgan Stanley, AlphaWise

出典:Morgan Stanley、AlphaWise

この考慮すべき2100億ドルマーケットの可能性が、固定された数字ではないということも忘れないようにしよう。もし消費者たちが全体としてレストランでの外食時間を減らし、より多くの時間をオーダーに使ったならば、全体のパイは大きくなる。実際に、市場調査会社のThe NPD Groupは、次の10年間の店外フードサービスの成長は、レストラン業界全体の成長の速度を上回るだろうと予測している。

もし私たちが外食産業全体を広く眺めれば、そのマーケット規模は4900億ドルとなり、食品デリバリーの可能性(アプローチ可能な部分)はそのうちのちょうど43パーセントとなる。この角度から眺めれば、このマーケットの半分以上はまだ技術的に追求可能である。そこでは、ただの1パーセントの成長が、ほぼ50億ドルのデリバリーマーケットの機会拡大につながる(Wall Street Research Reports)。

Source: Public Company Filings, Morgan Stanley, Technomic

出典:Public Company Filings、Morgan Stanley、Technomic

とは言ったものの、メディアから流される膨大なノイズのために、ここで追加された視点は容易に見過ごされてしまう。長期的傾向は時間をかけて生まれるものであることを忘れてはならない ‐ しばしば、かなりの数の上下する投資サイクルを経て。そして、これらのサイクルを通じて、歴史上常にそうであったように、企業は栄えたり没落したりしていく。覚えておくべき重要なことは、発生の頻度は低いものの、広範で長期的なシフトは、それを活用できた幸運な者たちには並外れた機会を与えてくれるということである。

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(翻訳:Sako)

オフィス向けケータリングサービスのZeroCaterが410万ドルを調達

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アメリカでは毎期のように、フードデリバリー企業が誕生ないし資金調達を行っている一方、Sprigのように事業を縮小したり、Spoonrocketのように事業を全面的に停止してしまった企業も存在する。

そんな中生き残ったプライヤーを見ると、フードデリバリー業界でもオフィス向けケータリングの分野に特化したサイトやアプリを運営する企業の存在が目立っている。Technomicの調査によれば、この分野の市場規模はアメリカだけでも200億ドルに達するのだ。

2009年に設立されたZeroCaterは、オフィス向けケータリングに早くから目をつけていた企業のひとつで、この度Romulus Capitalが主導し、Struck Capitalも参加したシリーズAラウンドで410万ドルを調達した。

ZeroCaterのCEO兼設立者であるArram Sabetiは、起業について学ぶために以前スタートアップのJustin.tvで働いていた。そしてオフィスマネージャーとしてチームのためにケータリングを頼む際のめんどくささに嫌気がさしてZeroCarterをはじめたと彼は語った。

また、システム面への投資を行うまでの長い間、Sabetiは簡単なスプレッドシートを使ってZeroCaterを運営していた。その後、ウェブサイトやアプリ、バックエンドシステムへの投資を行い、美味しい食事を求めながらもそれぞれの好みやニーズを持ったオフィスで働く人々とレストランを結びつけることに成功したのだ。

ZeroCaterを使えば、オフィスマネージャーやケータリングの注文を行う人は、各チームメンバーの好み(味の好みやアレルギー、ライフスタイルなど)をサイトに登録することで、2回目以降はワンクリックで注文ができるようになる。

Sabetiによれば、シリーズAで新たに調達した資金は、現在ZeroCaterがいるオフィス向けケータリング市場での事業拡大と、さらなる製品設計・開発にあてられる予定だ。

サンフランシスコを拠点とする同社は、現在オースティン、シカゴ、ニューヨーク市、ニュージャージーの一部地域、サンフランシスコ・ベイエリア、サンノゼ、そしてワシントンDCでサービスを展開している。ZeroCaterは、オフィスワーカーの人口密度が高く、中規模から大規模の企業が多いエリアに焦点をあてているため、郊外への進出は考えづらい。

個人の注文よりもオフィスにいる何人かのグループでの注文の方が、配達1回あたりの金額が高いため、Grubhubのようなテイクアウトサービスに比べ、値段が高めのレストランもZeroCater経由での注文には応じやすいとSabetiは説明した。

さらに企業向けケータリングというアイディアは、素晴らしいチームやトラクション、テクノロジーのほか、健全な「ユニットエコノミクス」を重視するベンチャー投資家にとっても魅力的なものだとRomulus Capitalの設立者兼ジェネラル・パートナーのKrishna K. Guptaは語る。

「20倍の資金を調達した企業でも、ZeroCaterほど上手く事業を運営できていません」と彼は付け加えた。

Romulus Capitalは、ほかにもeLaCarteのようなフードテック企業や、建築業者向けツールや機械のC2Cレンタルサービスを運営するEquipmentShare、フィットネスコースのClasspassなど、マーケットプレイスを運営する企業にも投資を行ってきた。

ZeroCaterは、ベンチャーキャピタルの支援を受けてオフィス向けフードデリバリーサービスを運営するBento、Cater2Me、EatClub、eZCater、Farm Hill、Zestyといったスタートアップと競合しており、このようなスタートアップの数は増え続けている。

競合他社の中には、ZeroCaterのことを露骨にからかう企業も存在する。ZeroCaterとGoogleで検索すると、上位の検索結果の中にEatClubのサイトへのリンクがあり、そこには彼らの「ZeroCaterに似てるけど、もっと良い(Like ZeroCater but better)」という宣伝文句が記載されている。

EatClubは今日までに1650万ドルの資金を調達しており、それに比べるとZeroCaterの600万ドル弱という調達資金総額は(悪気がなくても)余裕がないように映る。

しかしSabetiによれば、ZeroCaterの強みは料理のバリエーションと配達時間にある。

「どれだけカッコいい機能がウェブサイト上にあろうが、ブランドが知られていようが、食べ物を時間通りに顧客に届けられなければ意味がありません。私たちは、スムーズなオペレーションを含め、顧客が素晴らしい食事体験が出来るよう、基本的な項目に徹底して取り組んできました。ZeroCaterの業績がそれを物語っています」とSabetiは話す。

ZeroCaterの売上は2015年8月時点で1億ドルを超えているものの、Sabetiはそれ以上の売上に関する詳細や、ポスト・マネー・バリュエーションを含むシリーズAの諸条件については明かさなかった。

現在ZeroCaterは約120名のフルタイム従業員を抱えており、サンフランシスコに本社を置いている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アルコールの新時代、デリバリーアプリがアルコール市場をどう変えるか

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【編集部注】執筆者のMegan Hanney氏は、テック業界を中心に活動する国際法律事務所にてそのキャリアをスタートさせた。その後、WeWorkのロンドン初となるコーワーキングスペースを立ち上げ、さらに起業家向けメディアプラットフォームのRebelhead Entrepreneursの共同設立者となった。

ロンドンの新興テックスタートアップのひとつであるBevyの登場まで、ヨーロッパには深夜のアルコール飲料の配達に特化したアプリは存在しなかった。今後は年中無休を視野にいれつつ、現在朝5時までサービスを提供し、急速な拡大化も可能なビジネスモデルを備えたBevyは、お酒の購入手段を増やすことを通じて、オンデマンドサービスを再定義しようとしている。

Bevyは究極の便利さを目指し、GPS技術を使った配達状況のトラッキングや、最低購入額の撤廃、30分以内の待ち時間を実現させた。ナイトライフを楽しむ人のため、Bevyはアルコール飲料の他に、割り物やタバコ、vape(電子タバコ)関連製品やコンドームの配達も行う。

Bevyのアルコールに特化したマーケット支配力は、「バトラー」に仕立てあげられたドライバーによって強化されている。同社のドライバーは、「バトラー」にふさわしい格好をしているだけでなく、到着時には購入者の年齢確認も行うよう指導されている。さらにBevyは、利用客に対して、お酒が届いたら「バトラー」へのチップも大歓迎だとちゃっかり伝えている。

アメリカ・ヨーロッパ全体をめぐる戦い

JustEatのような既存のプレイヤーや、その後に続いたDeliverooの人気に見られる通り、ヨーロッパ中でオンデマンドフードデリバリーサービスの競争が、長期にわたって激化している。その後、Henchmanなど特にカテゴリーを定めない、生活用品や必需品の宅配サービスの登場をうけて、オンデマンド市場はロンドンでも広まっていった。

SauceyDrizlyMinibarThirstieなど、アメリカはオンデマンドのアルコールデリバリーアプリにおいてヨーロッパに先んじている一方、2015年12月のBevyのローンチまで、ヨーロッパに同様のサービスは存在せず、現在でも直接の競合となるような企業は見当たらない。

Bevyの共同設立者であるMarco Saio氏は、「アメリカでのBevyに似たアプリの成功から、私たちがやっていることは間違ってないと感じています」と言う。「アメリカでは通常、深夜1時以降になると、アルコール飲料をお店で買うのは難しくなります。そこで、Bevyが24時間サービスと共に市場に参入すれば、時間に関係なくお酒が買えるようになり、いつでもお客さんの欲求を即座に満たすことができます」

さらにSaio氏は、「アメリカの消費者は、深夜にお酒を配達してくれる様々なアプリに馴染みがありますが、Bevyは、ドライバーネットワークの徹底管理を行い、販売責任を小売店が担っているという点から、これまでにないビジネスモデルの上に成り立っています。私たちはドライバーに多大なリソースを投入しており、各ドライバーは仕入元となるひとつの小売店に配置されるまで、何ヶ月にも及ぶトレーニングを受けなければいけません」と語る。「つまり、Bevyはそのオペレーション力を活かして、配達時間を他の宅配アプリの半分にまで縮めることができるのです。同時に、各小売店の在庫情報をオンラインで管理することで、酒類販売のライセンスの問題や、配達リスクを回避しています」

ビジネスモデルの成功

今日のデジタル時代において、Bevyのビジネスモデルは、完璧な破壊的イノベーションの例だと言える。Uberが自社の車を保有せずWeWorkが不動産を所有していないように、他の業界のリーダーと同じく、Bevyは自社で在庫を持っていない。その代わりに、Bevyは24時間営業の大手小売店と協働し、注文を受けたドライバーが小売店から商品を購入後、そのまま直接購入者に届けるというモデルを確立した。

ヨーロッパのナイトライフは衰退の道をたどっており、ミレニアル世代は家の中で夜を過ごすようになっている。

通常、HungryHouseなどのフードデリバリーアプリでは、アルコール飲料には料金が上乗せされている一方、高級そうな見た目とは裏腹に、Bevyの料金には通常の小売価格が適用されている。

そのため、Bevyは、メインとなる小売店からの手数料に加え、一律5ポンドの配達料金の一部をその収入源としている。さらなる収益獲得に向けて、Bevyはアプリ上の広告サービスについても検討している。

また、Bevyの配達とテクノロジーを掛けあわせたシステムは、自社開発されたものだ。Siao氏は自社のシステムのことを、会話を交わすふたつのアプリのようだと言う。「一方のアプリが購入者に焦点をあて、一番近くで開いている小売店の在庫情報を引き出してくる間に、もう一方のアプリが、アルゴリズムを使って、入ってきた注文を一番近くにいる『バトラー』へと送信します。Bevyのリリースまで丸一年を開発に費やし、6週間毎の新バージョンのリリースを経て、今のアプリは75個目のバージョンにあたります。私たちは、Benvyのビジネスモデルとテクノロジーを使って、競争の激しい30分デリバリーの業界を制覇することに注力しています」

ビジネスの成長と資金調達

イギリス国内でBevyが最初に力を入れたエリアには、ロンドン自治区内のケンジントンやチェルシーが含まれていた。ローンチ以降、Bevyは、24時間営業の酒屋がなかったウエストミンスターを含む、近くの富裕層があつまる地域へと進出していった。裕福な地域における、夜間のアルコール飲料の供給率が極端に低いことから、Bevyは狙いを定め、周辺の小売店とパートナーを組むことで、その高い需要に応えることができている。

Saio氏は、「私たちは、最初のマーケットとなるロンドンに一極集中し、拡大路線をとる前にロンドンでの地位を確立することを目指しています」と言う。「アルコール飲料の供給状況や、24時間営業を行っている小売店の数から、マンチェスターが次の進出先の候補として考えられるでしょう。主な課題は、店舗でのオペレーションと在庫管理システムの電子化で、照明のスイッチのように、押せば一瞬で店舗の在庫情報を一手に集められるようなシステムの構築にあたっています」

Saio氏によると、Bevyは現在シードラウンドからシリーズAの資金調達段階にあり、目的額のほぼ半分は、既に民間の投資会社を通じて調達済みだ。残りの必要資金については、エンジェル投資家やアクセラレーターから調達予定とのこと。現状のアプリはiOS用に作られているが、イギリスではアンドロイド用の方がマーケットが大きく、より速い成長を遂げる可能性を秘めている。そのため、シリーズAで調達される資金は、Android用アプリとeコマースウェブアプリの開発にあてられる予定だ。

シリーズBはクラウドファンディングを利用して行われる予定で、Bevyのソーシャルな性質を考慮するとぴったりな調達モデルだといえる。さらにBevyは、SeedrsCrowdCubeといったエクイティクラウドファンディングのサービスを利用することにも前向きだ。ヨーロッパ全体への拡大にBevyは意欲的であるものの、もっと先の話だと考えており、将来的にはパリのような主要都市における、厳しくて対応が困難な法律と向き合うことになるだろう。

Bevyのユーザー数は、ひと月あたり平均55%増加しており、売上も毎月平均40%伸びている。

ミレニアル世代とナイトクラブの衰退

ヨーロッパのナイトライフは、アメリカに比べるとゆるやかに衰退の道をたどっており、ミレニアル世代は、家の中で夜を過ごすようになっている。これは、ヨーロッパにおけるオンデマンドのアルコールデリバリーサービスの登場が、比較的遅かったことと関連があるかもしれない。過去10年間にイギリスのナイトクラブの数は45%減っており、オランダでも38%の減少を記録している。

この傾向は、イギリス中へサービスを展開した後に控える、Bevyによるヨーロッパ全体への進出の追い風でしかない。イギリスのアルコール・タバコ市場の規模は約300億ポンドに及ぶ一方、今後Bevyが、大酒飲みで有名な大陸で、どううまくビジネスを展開していくのか見るのが楽しみだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter