今週の記事ランキング(2020.8.23〜8.27)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「三井住友カードがポイント特化型プラチナカード「プラチナプリファード」を9月1日に発行開始、キャッシュレスを推進」」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

山火事に襲われるカリフォルニア州でInstacartのショッパーたちが災害救援金を要求

Instacartのショッパーたちが率いるギグワーカーの活動家団体であるGig Workers Collective(GWC)がInstacartに、自然災害の被害に遭ったワーカーに災害救援金を支払うことを求めている(Medium投稿)。

この要求が行われた現在、カリフォルニアの各所が山火事に襲われている。San Francisco Chronicleの火災追跡記事によると、その内3つの大火であるLNU Lightning ComplexとSCU Lightning ComplexおよびCZU Lightning Complexは、合わせて1225棟の建造物を破壊し5人の命を奪った。

山火事などの気候変動関連の災害に対応してInstacartのワーカーは、会社が過去30日の休業分に相当する災害手当を支払うよう求めている。要求額はチップも含めて1日の平均収入に相当する額の30日分だ。またGWCは、緊急事態宣言や非難命令が出ている都市では操業を中止するように、会社に求めている。

米国時間8月25日にGWCは「カリフォルニアだけでも何千ものギグワーカーが配置換えにされたり、自然災害による需要の減少に悩まされている。Instacartは、被害を受けたワーカーに一銭も払わず、配置換えされたワーカーを自分を守る方法もなく放置することもできる。しかし、パンデミックの間にワーカーたちのおかげで初めて黒字を達成した企業が、同じワーカーが助けを必要としているときに見捨てるのは、恥ずべきことである」とMediumに投稿している 。

この要求が出る直前にInstacartは、ヘルスケアや有給病休に関する和解の一環として、サンフランシスコのInstacartワーカーに72万7985ドル(約7252万円)を支給する(San Francisco Chronicle記事)ことで合意に達していた。

このワーカー団体はまた、Instacartのワーカーの身分を従業員(正社員)とするように求めている。それによって彼らは、有給病休や健康保険、失業保険などの福利厚生を得られるようになる。

現在、TechCrunchはInstacartにコメントを求めている。返答があり次第、記事をアップデートしたい。

関連記事:Human Capital: What’s next in Uber and Lyft’s court battle and a look at board diversity in Silicon Valley(未訳記事)

カテゴリー:ニュース

タグ:Instacart ギグワーカー

画像クレジット: Patrick T. Fallon/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SmartHR子会社の会議改善クラウド「SmartMeeting」正式版提供開始

SmartHR子会社のSmartMeetingが、会議改善クラウドサービス「SmartMeeting」のクローズドベータ版リリースを発表したのは、約1年前のことだ。8月26日、ついにその正式版提供がスタートする。

SmartMeetingのミッションは「無駄な会議を減らして良い会議を増やし、労働生産性を向上させる」こと。SmartMeeting代表取締役の佐々木真氏は「社会人の誰もがやる会議だが、みんな満足していない。一方で解決策がなく、本を読んだり、研修を受けたりするぐらいしか打ち手がなかった」と述べ、「会議の課題に特化したサービスとしてツールを提供して、生産性向上を支援したい」と話している。

企業や部署により会議のバリュエーションはさまざまだが、「大きな課題は3つ」と佐々木氏は言う。それは「会議数が多い/長い」「会議の質が低い」「会議後の情報管理が大変」という点だ。

「優秀な人はSmartMeetingがなくても、本を読んだり研修に参加したりするだけで良い会議ができるようになるが、そういう人はごく一部。会議のレベルは、参加者の中でできない方の人に合っていくので、落差があればスキルの高い方の人にもストレスがかかり、生産性が下がる。それをならすのが、SmartMeetingの最初の大きな役割だ」(佐々木氏)

良い会議をするために、最低限やらなければならないことは、アジェンダを用意する、情報を共有するといった準備の部分だ。ただし、当たり前のように見えるそのことも、場が用意されていなければ、カレンダーやドキュメントツールなど、あちこちのツールにバラバラに情報が格納され、情報は分散してしまう。

「準備が会議のコア。誰でも良い会議をするための準備ができる、最低限整う、という機能が共通のフォーマットで用意されているのが、SmartMeetingの1つ目の大きな価値。いい会議のためには準備が欠かせないことはみんな分かっているけれども、ダイエットと同じで『分かっているけどできない』のが実情。無理に人力でやろうとしても破綻するので、SaaSで仕組み化したものが、このプロダクトだ」(佐々木氏)

会議の準備・記録・振り返りをクラウドでサポート

SmartMeetingは、会議前の準備、会議中の記録、会議後の振り返りが行えるクラウドサービスだ。その機能をもう少し詳しく見ていこう。まずは「会議準備機能」だ。

会議の詳細を設定・閲覧する画面には、フォーマットとして「会議の目的」「準備・進行・議事録担当者の役割設定」「アジェンダ」などの入力欄が既にあり、ファイルの添付も可能。テンプレートを使って効率よく記載することもできる。リマインダーによる通知もあるので、会議準備にどれくらいかかるかを逆算して、あらかじめセットしておけば「直前に思い出して準備が間に合わない」ということもなくなる。

また会議中には議事録をリアルタイムで共同編集することもでき、参加者全員がその場で確認しながら記録を残すことが可能。最近では、ボイスチャットと文字起こしによる、議事録の自動作成機能も追加された。議事録も同じシステムに保管されるため、振り返りも容易だ。

また会議の質の可視化もできるように、会議後には参加者によるレビューが匿名で入力可能。フィードバックではレビューの平均点と、良かった点、改善点も確認できる。

参加者のレビューだけでなく、次へのアクションにつなげる機能としては、「決定事項」の入力・管理ができるというのも特徴的だ。「会議はものを決める場、というのがSmartMeetingのコンセプト。情報共有だけなら会議の場でやる必要はない」(佐々木氏)というプロダクトの思想が盛り込まれている部分である。

決定事項のうち、次のアクションが必要なものについては、担当者と締切も同じ画面内で設定できる。さらに決定事項だけを一覧で管理することもできる。タスクが完了すれば、一覧画面からチェックを入れればよい。クローズドベータ版の利用企業からはこの一覧ページが好評だと佐々木氏はいう。「決まったことをやり切る。ここまでやってはじめて、会議は意味がある」(佐々木氏)

決定事項だけでなく、議事録を一覧できるページも用意されており、会議名や開催日時だけでなく、タグで検索することも可能となっている。「異動や入社などで後から参加した人にも『このタグの会議の議事録だけ見ておいて』と言えば、情報共有がスムーズになる」(佐々木氏)

振り返りという点では、会議のコストと時間を可視化する「会議レポート機能」も、会議に特化したクラウドサービスとして特徴的な機能だろう。

ここでは個人、グループ、全社の会議コストを参加者の人件費と時間から自動計算し、表示する。実は個別の会議詳細画面には会議中、リアルタイムで「残り時間タイマー」が表示されているのだが、会議レポート画面ではコストだけでなく、予定より早く終わった会議の「削減コスト」も見ることができる。対象となる期間は選択でき、グラフで時系列での変化も把握可能。前月・前年などとの比較もできる。

管理者向けには「業務レポート機能」も用意されている。会議自体の内訳以外に、会議とそれ以外の業務の時間の内訳もグラフで可視化され、部署ごと、個人ごとに忙しさを把握することができる。

「特にリモートワークが多くなっている今は、それぞれが忙しいのか暇なのか、管理者が把握しづらい。ここでそれを可視化することで、業務の偏りが調整できるようになり、従業員のヘルスチェックにも役立つ」(佐々木氏)

将来的には個人・部署だけでなく、タグを活用してプロジェクトごとに「会議に何時間かけ、いくら利益を生んだか」まで可視化したいという佐々木氏。「見える化しなければ始まらないが、会議の可視化は今まで意外と語られてこなかった。現状の可視化から業務の最適化につなげることができるようになる」(佐々木氏)

そのほかにも「クローズドベータ版ユーザーから地味に好評」(佐々木氏)という機能が、「日程調整機能」だ。SmartMeetingでは、GoogleカレンダーやOffice 365のカレンダーの情報を元に、会議の日程調整を自動化する。

日程調整は社内だけでなく、社外の人とも可能だ。空き時間枠が分かる専用ページが生成されるので、社外の相手に送信し、相手が都合の良い時間を選択するだけで調整が完了する。

「人がやらなくていいことはできるだけサービスで吸収する」

「無駄な会議はなぜ起こるか、なぜ会議でストレスが生まれるのかを、ずっと考えている。それがSmartMeetingの最大のテーマ」という佐々木氏。「正解はないけれども」と断りつつ、その課題の原因のひとつとして「情報の非対称性」を挙げる。

「会議では参加者の情報レベルをそろえる必要があって、それができていないと無駄会議になる。期待値や前提がバラバラではいい会議ができないし、そこを埋める作業や説明から会議が始まってしまう」(佐々木氏)

事前の会議準備の重要性を佐々木氏は、何度も強調する。「米Amazonでは会議の最初の10分は資料の読み込み時間に充てられているというけれど、これも情報レベルや認識をそろえるためのもの。ただし、できれば最初の10分じゃなくて、事前にやった方がいい。SmartMeetingはそのための場だ」(佐々木氏)

佐々木氏は事前の準備に加えて、会議で決まったことの共有や、何度も会議を重ねた後のレポートもきちんと見える化されるのが、SmartMeetingの大きなポイントと話している。それから可視化のほかにもうひとつ、「人がやらなくてもいいことは、できるだけSmartMeetingで吸収する」という考え方も示している。

「話す、意見を出す、ブレストする、決めるというのが人の価値。日程調整や議事録作成は機械がやればいい」(佐々木氏)

2019年10月に公開したクローズドベータ版は500社からの事前登録があり、中でも会議の課題が特に大きい上場企業や従業員数の多い企業に導入された。「入社したばかりの新卒社員でも、全てを手取り足取り教えることなく、会議準備ができる」など、利用企業からの評価も高いという。

今後のアップデートでは、発話を分析することで、発言した人を可視化し、発言の偏りを減らすことや不要な会議への参加を抑える機能の追加も計画しているという。

「発言しないから出席しない、ということをエビデンスに基づいて言えるようになる。効率化と同時に、数字を元に会議を科学することを、SmartMeetingでは目指している。無駄な会議をどれくらい削減できたか、誰が発言しているか、誰が参加すると良い会議になるかをファクトベースでやれるのが、SmartMeetingのいいところ。これを本当にやっているサービスは、日本でも海外でもまだないと思う」(佐々木氏)

「手本がないので、開発ではものすごく試行錯誤した。何からやったらいいか、仮説検証を繰り返して、初期のお客さんに使ってもらい、やっと正式ローンチにこぎ着けた」と佐々木氏は言うが、同時にこのジャンルを「未開のマーケット」と述べ、「会議の悩みは世界共通。日本で行けたら世界にも行ける」とも語っている。

SmartMeetingでは、会議に関連した「前後」の外部ツールとの連携も広げていきたいとしている。既に一部のツールとの連携は始まっているが、カレンダー、ZoomやTeamsといったウェブ会議ツール、Slackなどのチャットツールをはじめ、営業やマーケティング、エンジニアやデザイナーが使うツールも含めて、会議前・会議後で使うサービスとシームレスにつながるように連携を検討していくという。

「さらに将来は、『ファシリテーション講座』のような研修のリプレイスもできるのではと考えている。アルゴリズムとAIで『良い会議』『悪い会議』を実践的に可視化したい。個人的には専用のマイクとスピーカーが作りたい。会議に際して『人間はしゃべるだけでいい』という状況を、いずれハードでも実現できればと考えている。会議のレベルを上げること、そのレベルを定着させることを仕組み化できるのはSaaSの役割。ポテンシャルのある領域だ」(佐々木氏)

SmartHRは8月24日にも、人材データベース構築サービスの新会社Looper設立を発表している。SmartHRでは、「より効率よく業務を行えるようなサービスを、企業を取り巻くさまざまな領域で展開することを目指す」と各子会社の動きについて説明している。

特別目的買収会社について知っておくべきほぼすべてのこと

Special Purpose Acqusition Company(SPAC、特別目的買収会社)をもっとよく理解しておかねばと思っているだろうか。そう考えているのはあなた1人ではない。

見当もつかないというわけではないはずだ。Paul Ryan(ポール・ライアン)氏が現在SPACを保有していることはご存じだろう。野球界の経営者であるBilly Beane(ビリー・ビーン)氏やシリコンバレーの重鎮Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏も保有している。

SPACは他社の合併・買収を目的に設立される「白紙小切手会社」(blank-check companies)だ。SPACの大流行のきっかけを作ったのが物議を醸した起業家のChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏だということもご存知かもしれない。同氏は2017年に、Social Capital Hedosophia Holdings(ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングス)というSPACで6億ドル(約640億円)を調達した。その資金で最終的に英国の宇宙飛行会社Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の49%の株を取得した。

だがSPACは最初にどう設立され、具体的にはどう機能するのか。あなたはSPACの設立を検討すべきなのか。TechCrunchは今週、目下ほぼSPACの仕事しかしていない何人かに我々の(そしておそらくあなたの)質問をぶつけてみた。

SPACが至る所で急に芽を出し始めたのはなぜか。

Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏は、人気の原因は「サーベンス・オクスリー法と従来のルートで会社を公開することの難しさ」によるところもあると述べた。同氏は2億ドル(約210億円)の「白紙小切手会社」を8月18日に株式市場にデビューさせた。その後TechCrunchが話を聞いた。

新たに上場した会社でハーツ氏と提携し、事業を担当するTroy Steckenrider(トロイ・ステッケンライダー)氏は、SPACの人気の高まりが「スポンサーチームの質の変化」とも関連していると語る。ハーツ氏のような「これまでなら従来型ファンドの立ち上げは難しかったかもしれない」人がSPACのような投資ビークルの音頭を取り始めたというのだ。

忘れてはならないのは、数千万~数億ドル(数十億~数百億円)をベンチャーキャピタルから調達したが、新型コロナウイルスのパンデミックによりIPO計画が頓挫または遅延してしまった会社が実に多いということだ。その状況から脱け出すために比較的実行しやすい方法を必要としている会社もある。その方向に会社を動かしたいと考えている投資家も多数存在する。

SPACの設立手続きはどのように始めるのか。

「従来のIPOと手続面で違いは全くない」と投資銀行であるCowen(コーウェン)で資本市場グループのマネージングディレクターを務めるChris Weekes(クリス・ウィークズ)氏は説明する。募集への関心を高めるために「ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドなどの機関投資家とSPACの経営陣との1対1のミーティングを組み込んだロードショーが行われる」。

ロードショーが終わると、機関投資家(その中には現在多くのファミリーオフィスが含まれる)と割合としては少ない個人投資家が募集に応じることになる。

SPACを設立できるのは誰か。

株主に株を買うよう説得できる人なら誰でも設立できる。

SPACが資金を調達した後に何が起こるのか。

資金は経営陣が取得したい会社を決定するまでブラインドトラスト(受託者が運用に完全な裁量権を持つ信託)に移動される。どの投資家も対象会社がどこになるのかを知らない(少なくとも知るべきではない)ため、ユニットプライスはこの期間中実際にはあまり変動しない。

SPACの持ち分はすべて1ピース10ドルで売られているようだが、なぜか。

会計処理が簡単になるからなのか、従来そうしてきたからなのか。はっきりとはわからないが、ウィークズ氏によると、極めて少数の例外を除き、10ドル(約1060円)が常にSPACのユニットプライスだった(ユニットは通常株式とワラントの組み合わせ)。例外の1つはヘッジファンドの億万長者であるBill Ackman(ビル・アックマン)氏のPershing Square Capital Management(パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント)だ。同社は先月、40億ドル(約4200億円)のSPACを立ち上げ、1ユニット20ドル(約2120円)で募集した。

SPACのストラクチャーにここ数年で変化はあったのか。

あった。何年も前は、SPACがNDA(秘密保持契約)に基づき、機関投資家に交渉が決着した買収案件について伝える場合、投資家は資金をそのまま投資したままにしたいなら「イエス」、払い戻しを受けて退出したい場合は「ノー」に投票した。だが、「設立者株式」(投資家が保有する株式よりも権利内容が良い)を入手できない場合や、合併新会社に対して優遇措置が与えられない場合などに、結託して「買収取引を潰す」と脅迫することもあった。「市場ではいじめとも言えるようなこともあった」とウィークズ氏は言う。

その後、規制当局は議決権と出資払戻権を分離した。つまり、今日の投資家は「イエス」「ノー」のいずれに投票しても、資金を払い戻してもらうことができる。そのため投票プロセスはより表面的になり、ほとんどの買収取引が計画どおりに進むことになる。

ワラント(新株予約権)について聞いたことがある。

SPACのユニットを購入すると、機関投資家は通常、普通株とワラント、またはワラントの端数を受け取る。ワラントとは、その保有者に発行会社の株を後日固定価格で購入する権利を与える証券だ。基本的には、SPACへの投資意欲を高めるために加えられる「甘味料」だ。

SPACは以前よりも安全な投資になったのか。かつては最高に評判が良いというわけではなかった。

「どうしようもないフェーズはもう終わったと思う」と、国際法律事務所Orrick(オリック)のテクノロジー企業グループの弁護士であるAlbert Vanderlaan(アルバート・バンダーラーン)氏は言う。「90年代にはどうしようもない状況だと考えられていた。SPACは外国人投資家の食い物にされていた。2000年代初めになってもまだ毛嫌いされていた」。同氏は、「物事は急に元に戻る可能性もあるが、ここ数年間はプレーヤーが良い方向に変化しており、従来とは状況が大きく異なる」と指摘する。

ハーツ氏やステッケンライダー氏のような経営陣は集めた資金のうちいくらを会社で使うのか。

大まかな経験則はSPACの価値の2%に200万ドル(約2億1000万円)を加えた金額だ、とステッケンライダー氏は言う。2%で当初引受料(イニシャルアンダーライティングフィー)を概ねカバーする。200万ドル(約2億1000万円)はSPACの運営費用、すなわちSPAC設立にかかる初期費用から、法律面の準備、会計、NYSE(ニューヨーク証券取引所)またはNASDAQ(ナスダック)への申請費用までカバーする。「進行中のデューデリジェンスプロセスのための準備金にもなる」と同氏は言う。

この金額はVCが受け取るキャリーのようなものなのか。SPACのマネージャーはSPACのパフォーマンスに関係なくそれを受け取るのか。

両方イエスだ。

ハーツ氏はこう説明する。「2億ドル(約210億円)のSPACには、5000万ドル(約53億円)の『プロモート』(設立者持ち分またはそれに相当する価値)が含まれている」。しかし、「会社が業績を上げられず、たとえば1年または18カ月で半分に落ち込んだとしても、持ち分にはまだ2500万ドル(約26.5億円)の価値がある」

ハーツ氏はこれを「悪質」だと言うが、かと言って同氏とステッケンライダー氏がそれとは異なる方法でSPACのストラクチャーを決めたわけではなく、むしろまったくその通りのストラクチャーを採用した。

ステッケンライダー氏は次のように述べた。「当社は最終的に、初めてのSPACスポンサーとしてプレーンバニラ(最も単純な仕組み)のストラクチャーを採用することに決めた。投資コミュニティがSPACをできるだけ簡単に理解できるようにしたかった。パートナー企業(買収対象会社)との合併取引を行うと決めたり実際に行ったりする際に、ストラクチャーの経済性について再交渉すると思う」

2億ドルのSPACは、ほぼ同額の価値の企業を買収するつもりなのか。

違う。法律事務所のVinson&Elkins(ビンソンアンドエルキンズ)によると、対象会社の規模に上限はなく、下限があるのみだ。下限はSPACトラストに預けた資金の約8割だ。

実際、設立者が保有する株式とワラントへの希薄化の影響を減らすため、SPACがIPOで得た資金のの2〜4倍の規模の会社と合併するのが一般的だ。

ハーツ氏とステッケンライダー氏のSPAC(会社名は「one」)の場合、「2億ドル(約210億円)の投資ビークルの約4〜6倍の規模の会社を探している」とハーツ氏は説明する。「つまりだいたい10億ドル(約1060億円)前後ということになる」

パートナー企業がSPACより何倍も大きい場合、残りの資金はどこから調達するのか。

PIPEで調達する。SPAC同様、従前から存在する制度であり流行の波がある。これは文字通り「private investments in public equities」(上場会社による私募増資)であり、経営陣が合併したい会社を決定するとSPACに資金が注入される。

機関投資家が個人投資家とは異なる扱いを受けるのはここだ。そのため、業界を注視する者の中にはSPACを警戒する向きもある

具体的に言えば、SPACの機関投資家(おそらくSPACにまだ投資していない新しい機関投資家も同じ)は秘密保持契約に基づき、世間に知れ渡る前に買収対象を知ることができる。その情報に基づき、PIPE取引による追加出資を行うべきか判断することになる。

情報の非対称性は不公平に思える。ただ機関投資家は情報の取扱いについて制約を受けるだけでなく、最初の企業結合が公開されてから少なくとも4カ月間は株の取引も制限される。暗闇に放置された個人投資家は、いつでも自分の株を取引することができる。

SPACがこれらの全てを完了すべき期間の制約は。

場合によるが標準的には約2年間だ。

決められた期間内に完了しない場合はどうなるのか。

資金は株主に返還される。

パートナー企業が特定され、合併に合意した後、合併が実際に起こる前のフェーズを何と呼ぶか。

これは「De-SPAC」プロセスと呼ばれる。この段階で、SPACは株主の承認を得る必要があり、その後SECによるレビュー及びコメントの期間に入る。De-SPACプロセスは全体で12〜18週間かかる。

直線コースの最後を目指し、バンカーは従来のロードショーのスタイルで新しい営業チームを引き連れ、業界をカバーするアナリストらにストーリーを伝え始める。合併新会社のお披露目の後も市場で需要を引き付け、株主に会社への関心を持ち続けてもらうためだ。

パリハピティヤ氏やハーツ氏のようにベンチャー業界出身者がもっとSPACを始めるようになるだろうか。

インベストメントバンカーであるウィークズ氏は、SPACのスポンサーになることへのベンチャーキャピタリストの関心は低下しており、ポートフォリオ企業をSPACに売却することへの関心は高まっていると語る。「ほとんどのベンチャーキャピタルは通常、どちらかと言えばアーリーステージの投資家であり、非公開市場の投資家だ。一方、プライベートエクイティファンド、ヘッジファンド、ロングオンリーのミューチュアルファンドなどからの関心が全体的に高まっている」

ハーツ氏が関わればそれは変わるかもしれない。「我々は今シリコンバレーであらゆるファンドと話している。ベンチャーファンドを教育することだけを考えている」と同氏は語る。「多くの要望が寄せられた。著名なベンチャーキャピタリストであるBill Gurley(ビル・ガーリー)氏を直接上場の擁護者からSPACの擁護者に早急に転向させるつもりだ」

ところで、ハーツ氏のSPACがすでに念頭に置いている特定の買収対象(ターゲット)はあるのか尋ねると、ハーツ氏は「ない」と答えた。同氏は「ターゲット」という言葉にも問題があると考えている。

「我々は『パートナー企業』という言葉を好む」とハーツ氏は言う。ターゲットという言葉は「まるで誰かを暗殺しようとしているかのようだ」と付け加えた。

カテゴリー:ニュース

タグ:SPAC 買収 / 合併 / M&A 投資

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(翻訳:Mizoguchi

2025年に15兆円超の農産物販売を目標を掲げる中国eコーマスのPinduoduo

中国のeコマーススタートアップのPinduoduo(拼多多、ピンドゥオドゥオ)は、黒字化と偽商品の悪評を打ち消す努力を続けているが、このたび2025年に向けて新たな野心的な目標を掲げた。年間の農作物の総取引額(GMV)で、1兆人民元(約15兆3000億円)を上回るというものだ。

この発表は、中国時間8月21日金曜日に同社の第2四半期の結果開示とともに行われた。参考となる情報としては、中国商務省の統計によれば、2019年の中国内の農産物のオンライン販売額は、その1年前に比べて27%増加して、4000億人民元(約6兆1000億円)に迫っている。

なおGMV(総取引額)という用語は、割引、返金、返品などを考慮せずに、プラットフォームを通じて販売された商品の金額を合計しているものであるため、収益を示すための標準的な会計用語としては受け入れられていないことに注意することが重要だ。とはいえこの用語は、Pinduoduoなどの赤字で稼働しているスタートアップの、トランザクションサイズを表す場合には役立つ。

ここでの重要なメッセージは、Pinduoduoが中国の農業セクターのデジタル化をリードしたいと考えているということだ。調査会社iiMediaのレポートによれば、2019年は中国の農産物のわずか2.5%がオンラインで流通し、半分以上が伝統的な生鮮市場で売られ、そしておよそ3分の1がスーパーマーケットで売られている。

Pinduoduoは、2015年に果物のグループ購入サービスとして立ち上げられ、それ以降、Alibaba(アリババ)やJD.com(ジンドン)に匹敵する多目的eコマースサービスへと成長してきた。果物と野菜は今でも重要なカテゴリであり、2019年には2億4000万人(38%)の年間アクティブユーザーが、その市場を通じて農産物を購入した。

Pinduoduoは、その「拼」(ピン、グループ購入)アプローチが、成長プロセスを標準化し、小規模農場に規模の経済をもたらす役に立つと考えている。米国のように農業の機械化が普及している国と比較した場合、中国は1人当たりの耕作可能面積がはるかに少ないため、小規模な農場が大部分を占めている(Melbourne大学レポート)。新しく任命されたCEOのChen Lei(チェン・レイ)氏は、業績報告会で次のように語った:

「私たちはプラットフォーム上で消費者の需要を組み合わせて、スケール効果を生み出します。また得られた消費者に関する知見を活用して、何を植えるか、いつ収穫するかなどの、栽培サイクル全体で、農家が情報に基づいた意思決定を行う支援を行うことができます」。

Pinduoduoの年次報告書はより詳細なものである。

「私たちは、消費者の需要を集約し、農産物の収穫とマッチさせるためには、『拼』(ピン、グループ購入)が効果的な手段だと考えています、中国に浸透している手頃な価格の物流機能を活用することで、生鮮食品を農場からユーザーへと直接配送し、複数の流通層を回避できます。これは、ユーザーエクスペリエンスを向上させるだけでなく、さらに重要なことに、さまざまな品質、品種、量で提供される小規模農業生産物を、半分カスタマイズされたバッチ処理メカニズムへと変えることができるのです。これによって農業消費の不要なコストを削減し、小規模なカスタマイズされたサービスを実現できる可能性があるのです」。

同社の農業推進策には、農家を訓練するために農業の専門家を派遣することや、ロボット、IoTセンサー、低電力データ伝送などの精密農業技術への投資も含まれている。

Pinduoduoの台頭は、間違いなくそのライバルを驚かせた。スタートアップの6月末締めの年間アクティブバイヤーの数は6億8300万人を記録した(Pinduoduoリリース)。比較するならば、Alibabaは3月締めの年間国内アクティブバイヤーの数を7億4200万人と主張(Alibabaリリース)し、JD.comは8月締めのバイヤー数を4億1700万人と計上している(JD.comリリース)。

だが、Pinduoduoの顧客1人あたりの支出額は、ライバルたちに比べて大きく水を開けられている。年間GMVとアクティブバイヤーの数値を使用して計算するならば、JD.comは消費者1人あたり約5760人民元(約8万8000円)のGMVを記録(JD.comリリース)したのに対し、Alibaba(中国内)は約8447人民元(約12万9000円)であり(Alibabaリリース)、Pinduoduoは1127人民元(約1万7000円)となる(Pinduoduoリリース)。中国の農産物は利益率が低いことで有名であるため、Pinduoduoの課題は、中国の農業を変革するという夢に向かうために、健全な収益をいかにして達成できるかということだ。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Pinduoduo

画像クレジット:Pinduoduoでザクロを売る農家 / Pinduoduo

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(翻訳:sako)

佐賀県が「SAGAN BEAUTY & HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020」参加スタートアップを募集

佐賀県が「SAGAN BEAUTY & HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020」参加スタートアップを募集

Crewwは8月24日、佐賀県ジャパン・コスメティックセンター(JCC)とともに、オープンイノベーションによる新規事業創出を目的とした「SAGAN BEAUTY & HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020」を発表した2020年8月31日から開始する。

プログラム開始に合わせて、Crewwサイト内の専用ページをオープンし、スタートアップ企業のエントリーを開始する。佐賀企業4社とスタートアップ企業は、シナジー確認から協業までの最終ゴールに向けて、簡単で迅速な選考プロセスの下、強力な連携機会の発掘が可能となるとしている。

  • 主催: 佐賀県、ジャパン・コスメティックセンター(JCC)
  • 募集期間: 2020年8月31日~9月11日
  • 対象企業: 国内外すべてのスタートアップ企業。業種不問。参加企業4社に対してそれぞれエントリー可能
  • 目的: 佐賀県内企業とスタートアップ企業とのオープンイノベーションによる新たな事業創出を目的として実施
  • エントリー方法: Crewwサイト内の専用ページより、協業案を2500字以内で提案

佐賀県は、地方創生の取り組みとして、唐津市・玄海町を中心とした北部九州に美と健康に関するコスメティック産業を集積するべく産・学・官が連携してJCCを設立。2013年から「コスメティック構想」を推進している。

今回のプログラムは、この構想の一環として、佐賀県に拠点を置く以下4社の経営資源や佐賀の地域資源、これまでJCCが培ってきた美容・健康分野に特化した企業支援の知見や国内外のネットワークとスタートアップ企業の斬新なアイデア・技術・ノウハウと掛け合わせ、佐賀から世界を変えるビューティ&ヘルスケア事業の創出を目的としている。これにより、佐賀県内での新たな雇用創出や経済成長を目指す。

キャリアスクールのSHEがいまミレニアル女性に届けたいこと、コロナ禍で体験申し込みは2倍に

SHElikes

ミレニアル世代の女性をターゲットにデザインやライティングなどクリエイティブやビジネススキルのレッスンを学べる定額制キャリアスクール「SHElikes」を運営するSHE。受講生は2万人を突破し、新たに名古屋に拠点を構えるなど、順調に事業を拡大している。

しかし現在に至るまでには事業のピボットやリブランディング、代表の交代など数々の苦難が。創業ストーリーや、世界が大きく変化しているなかでSHEはミレニアル世代の女性に何を届けていきたいのかなど、現代表の福田恵里氏に話を聞いた。

福田恵里(@eri_razapii)
1990年生まれ。大阪大学在学中、米国・韓国に留学する。2015年、リクルートホールディングスに新卒入社。ゼクシィやリクナビのアプリのUXデザインを担当する。2017年4月にSHE株式会社を設立し取締役COO。2020年4月にCEOに就任する。

リクルートで修行を経て共同創業者と起業

福田氏がビジネスに興味を持ったのは2012年、在学中に米国へ留学したときのこと。年齢がほとんど変わらない同世代の起業家がゼロイチでアプリやウェブサービスを開発していることに衝撃を受けたという。帰国後、さっそく自身もスキルを身につけるべくデザインスクールに通い始める。そこで彼女はある課題に直面した。

「自分も含め女性は『作りたいもののアイデアは持っているけれど、実際に形にするにはどうしたらいいのかわからない』という人が多い印象を持ちました。当時はプログラミング学習が浸透し始めていたものの、女性で学んでいる人はごくわずか。この課題を解決するために、在学中から初心者女性向けのウェブスクールを主宰していて、それが今のSHEの原型になっています」。

大学卒業後はすぐに起業せず、ビジネスを学ぶためにリクルートへ入社する。最終的に起業を決断したのは、新卒3年目に差し掛かった春だった。

「リクルートで働きながらも、自身が立ち上げたウェブスクールを並行して運営していて『いつかは起業したい』という悶々とした思いを抱えていました。2年目のときに同じビジョンを持つ同僚の女性と出会い意気投合し、『いつか”なんて自分が決断しないと一生こないから、やるなら今しかない!』と思い切って2年でリクルートを卒業しました。

初めての登記や投資家へのプレゼンなど連日徹夜、休日も返上して起業準備に没頭し、SHEが誕生しました」。

盛況なのに熱量は上がらない、2年目にリブランディングを決断

2017年4月に創業。見切り発車ではあったものの学生時代やリクルートで知り合った起業家や投資家にヒアリングを重ね、事業計画を作成。最初に始めたのが女性向けコワーキングスペース事業だ。

「創業当時、ニューヨークで『The Wing』という女性専用コワーキングスペースが誕生し、10億円の大型資金調達をしていました。私たちもそこをベンチマークし事業を運営していたのですが、いくら待ってもお客さんは来ない……。日本の場合、米国のようにフリーランス人口が多くありません。女性に絞るとさらに母数が小さくなるので、スケールさせることは現状難しいと判断しました」。

「そこで、コワーキングスペースというハード面を売りにするのではなく、『自分らしく自由に働きたい女性』を支援するためのソフトコンテンツ面をより拡充したいと思ったんです。そうして新たに始めたのが、現在の事業の柱となるキャリア&ライフコーチングスクール事業のSHElikesです」。

当時のSHElikesはウェブデザインやウェブマーケティングなどのITスキルだけでなく、ヨガや料理教室など、さまざまなレッスンを開講していた。連日たくさんの女性が集まり賑わいを見せていたが、福田氏はサービスの価値提供に違和感を持ち始めたという。

「SHElikesでは、未経験の方にも心理的障壁なく気軽にサービスを利用してほしいという思いから、あえてキラキラした女性らしいやわらかい雰囲気のブランディングをしていました。しかし、いつからか、そのふわふわした雰囲気から、『SHElikesに参加するだけで自分も変われる』という受け身の考え方の方も増えてくるようになりました」。

「自分の理想の生き方・働き方に近づくためには、覚悟と努力が絶対的に必要です。夢は誰かに叶えてもらうものではなく、自分自身で掴むもの。その思想を伝えるためには、今のままではダメだと思い、3年目で大きくリブランディングすることに決めました」。

リブランディングによって大きく変化した事業と組織

まず取りかかったのは、CIの見直し。「一人ひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中をつくる」という変わらないビジョンの下、直近のカスタマーや環境の変化を踏まえ、自分たちの存在価値(Value)を、「固定概念を壊し、自分らしい生き方を勝ち得る『解放の伴走者』」と定義し直した。今までのゆるふわなイメージとは違い、熱狂・力強さ・カオスなどの要素を追加し、ロゴやステートメントも刷新した。

次に、事業内容。従来は通学型で、通えるエリア・時間共に制約があったが、リブランディング後は、場所や時間に捉われず学べるオンライン受講形式に変更。ただオンラインで学ぶだけでなく、コーチングや就職支援など、学習モチベーションを継続できる仕組みも整えた。

同時に組織の立て直しも実施した。創業当初は副業人材や業務委託のみで運営していたが、スポットでの稼働では責任感が発生しづらく、組織に対してのエンゲージメントも上がらないという課題があった。このままでは現場の熱狂度も上がらないと判断し、正社員採用を強化することに。

採用を進めた後は、役員だけでなく社内の全員を巻き込んだCREDO制定合宿を実施。トップダウンではなく、メンバー全員で自分たちのあるべき姿を議論することで、SHEの目指す世界観を共通認識できるようになった。

「私には、SHEに携わっている関係者全員をサステナブルに幸せにしたいという思いがあります。時代はもう令和。『お客様のために、会社の成長のために、自分たちの幸せを犠牲にしなければいけない』という今までの価値観はもう古いと思うんです」。

「例えば、最近話題のお笑い第7世代も、旧来の『人を叩いたりイジったりする笑い』ではなくて、見ている人も演じている人も幸せになるような新しいスタイルのお笑いを提供していますよね。SHEもお笑い第7世代のように、旧来の手法や常識に囚われず、働いている自分達も幸せであると感じられる組織にしたい」。

「だから、メンバーには仕事もプライベートも両立して自分らしく生きてほしいですし、それが実現できる環境を整えたいと思っています。彼、彼女らがロールモデルになることで『私もこういう生き方をしたい』とユーザーの皆様に思っていただければうれしいです」。

福田氏がユーザー第一の目線でいられるのは、自身も現場に立っていることと日々チェックしているハッシュタグの存在が大きい。

「自らデザイナー講座の講師として現場に立っていたので、会員さんの考えや温度感などを肌で感じることができました。また、毎日欠かさず『#シーライクス』のハッシュタグを見ることも大切にしています。会員の方が月に4000件ほどこのハッシュタグで意見や感想を投稿してくれていて。厳しい意見にも目を通すことで、私たちが今何を求められているのか把握することができています」。

コロナ禍で申込者数は2倍に、キャリアと真剣に向き合う女性にSHEという選択肢

2020年9月、7カ月におよぶリブランディングプロジェクトが完了。2020年4月には大きく体制を変え、福田氏がCEOに就任する。共同創業をして3年。今年から、代表取締役として新たな挑戦が始まった。

「コロナ禍による経済への不安と在宅時間の増加により、この機会に自身のキャリアを見つめ直す女性も多く、直近の体験レッスン申込者数はコロナ拡大前の2倍以上に増えました。世の中が大きく変化する今、自分の本当にやりたいことや、自分の本音と向き合って、SHEという選択肢を持ってくれたのだと思います。その人たちの人生に寄り添うための最善のあり方を模索しながら、時代の変化に合わせて柔軟に進化をし続けていきたいです」。

Slackで組織内の人材管理を支援するGather、HRツールのADPやGustoとも連携

組織に新しい従業員が加わる際には、単に「君、採用だ!」と伝えること以上の手続きが必要だ。とりあえず新人を会社のSlackに追加する。そして、彼らがちゃんと訓練を受けられるようにして、彼らに必要なハードウェアを届け、すべての内部ツールをセットアップしてもらい、すべてがスムースに行われていることを、定期的に確認する必要がある。また、従業員が去るときには、また別の手続きが必要となる。1年も前に退職した従業員が、ずっと会社の内部情報にアクセスできるままにはしたくはないだろう。

小さなチームが一度に1〜2人の採用をしている場合は、スプレッドシートで手続きを追跡するのは簡単だが、組織が急速に成長し始めると、スプレッドシートは迷路になってしまう可能性が高い。プロセスがより複雑になり、より多くの人が関与するようになると、ステップの省略が頻繁に行われるようになる。

Y Combinatorの2020年夏バッチの卒業生であるGatherは、こうした「ピープルオペレーションズ」タスク(旧来のHRタスクに、組織成長の要素を加味したもの)の自動化と合理化を支援するツールの開発を行っている。ツールはプロセスの各ステップがひと目でわかるビューを提供する。

Gatherは、ADPやGustoといったサービスの中の既存の従業員データベースを利用し、Slackを介してデータベースの情報や変更を、ワークフローやリマインダー、そしてタスクに変換する。

たとえば、新しい従業員が追加されると、オンボーディングワークフロー(新規採用者を組織の文化に馴染ませるためのさまざまな手続き)を開始する。例えば、マネージャーに初出勤日を通知し、セキュリティチームにはアカウントの設定が必要であることを知らせることができる。また「オンボーディングバディ」(新規採用者の初期の相談相手として振舞う人物)を設定し、新規採用者のスピードを上げるためのヒントをバディに送ることもできる。初出勤日後間もなく、システムは新規採用者に対して、さまざまなオリエンテーションドキュメントを読んだかどうかを確認するメッセージを送ることができる。従業員ごとのTo-Doの概要を、タイムラインスタイルで提供できるので、途中で省略されてしまったものがないかを確認することが可能になり、誰にリマインダーを送るべきかもわかる。

勤続5周年の記念日が近付いている従業員がいるだろうか?Gatherはマネージャーに対して、従業員あてにお祝いのメッセージを送ったり、場合によっては贈り物をするように促す通知を送ることができる。育児休業から復帰する従業員がいる場合には、Gatherはチームメイトたちに準備を行う必要があることを知らせる。あるいは、誰かが会社を退職する場合には、そのことを知る必要がある人たちに連絡を行い、内部アカウントを停止し、所有機器の所在を確認するためのタスク(オフボーディングタスク)を起動する。

ようこそDave! オンボーディング手続き全体を通して、あなたはGatherからステップ・バイ・ステップのオンボーディングメッセージを受信します。

Gatherの共同創業者であるAlex Hilleary(アレックス・ヒレアリー)氏、Brooks Sime(ブルックス・サイム)氏、John Wetzel(ジョン・ウェッエル)氏たちが出会ったのは、Andrew Yang(アンドリュー・ヤング)氏によって設立されたVenture for Amaricaのプログラムの中だった。このプログラムは、バーミンガム、シャーロット、マイアミ、フィラデルフィアといった都市のスタートアップ企業に、大学の新卒者を配属することで起業の方法を教えようとするものだ。

ヒレアリー氏が私に語ったところでは、そのプログラムの中で企業が成長するのを見て、彼らは「ピープルオペレーションズが如何に重要かを重要性を認識し始め」たのだ。「私たちのそれぞれの役割に対して、コミュニケーションや関係を拡大するために必要なツールキットが用意されています。たとえば、販売やマーケティングの場合には、CRMがあります。しかし、ピープルオペレーションズに関わる多くの人たちと対話を始めてわかったことは、彼らはそうしたものに相当する便利なツールを持っていないということでした。彼らはコミュニケーションと調整をスケールアップするために役立つものを持ち合わせていません、そしてそれこそが、企業が30人の時代の文化を、300人の文化へと拡大できない理由の1つなのです。世間のピープルオペレーションズチームは、その拡大を行うために必要なツールをただ持ち合わせていないのです」とヒリアリー氏は語った。

チームは現在、少数の企業の中でプライベートパイロットを実施している。Gatherの課金方法についてはまだ検討中だが、話しでは、従業員単位、月単位に請求することを検討しているようだ。興味を引かれただろうか?詳細はこちらから(Gatherサイト)参照できる。

画像クレジット:Gather

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(翻訳:sako)

セルフストレージサービスのShopifyを目指すOpenUnit

何かを数か月どこかに保存しておきたいことがある。引っ越しをするんだけど、まだ用意ができてないとか、部屋を片付けるために一部の品物を避難しておきたいときなどだ。方針が決まれば、それらの物と正式にお別れすればよい。

しかしそんなとき、便利な保存庫が見つからないことがある。保存庫の大手チェーンもあるけど、レンタル倉庫やトランクルームという業態(セルフストレージ業)は個人経営の零細ショップがほとんどで、テクノロジーを導入する余裕はない。見つけるためには、古臭いWebサイトをいくつも調べたり、電話をたくさんかけたり、面倒な書類を書かされたりする。

トロントのスタートアップOpenUnitは、それを直したい。同社はオールインワンのソリューションでセルフストレージサービスのShopifyを目指している。フロントエンドでは分かりやすいインタフェイスで予約がしやすいこと、そしてバックエンドではファシリティマネージャー(施設・設備の管理者)の雑務を何でもこなすことが目標だ。OpenUnitを利用してセルフストレージを開業すると、それは最初からデジタルとテクノロジーの利便性満載だ。

同社の管理ツールは以下のことをやる:

  • 予約をするためのホワイトレーベル型のサイト
  • 単品管理(バルクでない)
  • 費用追跡
  • 料金/売上分析
  • リース署名のデジタル化
  • 見込み客と既存の関係を管理するCRM

ファシリティマネージャー(セルフストレージ開業者)への月額の課金はなくて、クレジットカードを処理するとき一回の利用料の2.9% + 30セントを手数料として取るだけだ。

共同創業者のTaylor Cooney氏とLucas Playford氏は、地主が今貸している土地を売りたいと言ってきたときセルフストレージのプラットホームを思いついた。数日以内に出るなら金を出すと言うので、いろんな物を収めておく場所があればその「数日以内」は可能だ。そしてその場所探しを通じて、セルフストレージがきわめて遅れた業態であることを初めて知った。

画像クレジット: OpenUnit

二人は最初、ちょっと変わったサイトを考えた。それはHotwireのような検索システムで、顧客の地元に物件を見つけたら顧客に代わって月額料金の交渉をする。小額の手数料も取る。しかしファシリティマネージャーと仕事をする機会が増えると、市場にあるツールやシステムのギャップに気づくことが多くなった。で結局彼らは、セルフストレージの経営者のためにファシリティマネージメントの仕事を代行するソフトウェアにフォーカスを変えた。

OpenUnitはY Combinatorの2020年冬季の生徒だ。それは3月に終わったが、彼らはデモデーをYCの2020年夏季までずらすことにした。それは、来週のイベントだ。3月も終わり近くになるとパンデミックがいよいよ深刻になり、カナダの首相ジャスティン・トルドー氏は海外にいる国民に即時帰国を命じた。帰国で忙しいときに会社を立ち上げるのは無理と悟った二人は、立ち上げを遅らせることにした。

数週間の非公開テストを終えたOpenUnitは、保管施設とその経営者の大量受け付けを開始している。同社はセルフストレージビジネスをやってみたい人のための勉強会もやっているから、ご希望の方はここで行列に並ぼう

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

授業料は就職してからの出世払い、バーチャルコーディングスクールのLambda Schoolが約78億円を調達

テクノロジーの世界では、オンライン学習は過去数カ月の中で最もその特性を享受したものの1つだ。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのためで、人びとは家にいて、通常のルーチンから離れ、得た時間を使って知識を拡大してきた。よりシリアスな場合だと、キャリアを変えたい場合に次に何をすべきかを考えたり、失業してしまった自分に気がついた人もいる。

現在、そうした在宅で求職している人たちに対して、バーチャルなコンピュータサイエンス教育を行うビジネスを展開するスタートアップの1つが、その需要を活かすための大規模な資金調達ラウンドを発表した。

現在、データサイエンスならびにフルスタックウェブ開発を教えているLambda School(ラムダ・スクール)は、バーチャルに開催される9カ月(フルタイム)もしくは18カ月(パートタイム)のコンピューターサイエンスコースを3万ドル(約317万円)で提供しているが、受講者は最低年収5万ドル(約529万円)の職に就いてから収入に比例して受講料を支払えば良い仕組みだ。そのLambda SchoolがシリーズCで7400万ドル(約78億3000万円)を調達した。

投資資金は主にGigafundから投じられ、Tandem FundとLambda SchoolのインキュベーターであるY Combinatorもそれに加わった。Gigafundは元Founders Fundのパートナーたちによって、2017年(未訳記事)に設立されたVCで、当初はより多くの資金をSpaceX(スペースX)に提供していた。他の支援者にはGV、GGV、およびStripeも名を連ねている。Lambdaの事業開発責任者であるTommy Collison(トミー・コリソン)氏は、Stripeを共同創業したコリソン兄弟の2人の弟の方だ。

Lambda Schoolはその評価額を開示していないが、Ben Nelson(ベン・ネルソン)氏とLambdaを共同創業したCEOのAusten Allred(オースティン・オールレッド)氏によれば、2019年1月に3000万ドル(約31億7000万円)を調達したシリーズB(The New York Times記事)の際に、Lambdaが達成した1億5000万ドル(約158億7000万円)の評価額よりは高いことを認めた。また、IPOを計画しているからではなく、利益を上げられるようになることを目的としているために、これがLambdaにとって最後の資金調達になることを望んでいるとも述べた。オールレッド氏はまだ利益が出ていないことを認めた。

オールレッド氏は、スタートアップは急増するそのコースへの需要に対応するために、調達資金を使用する計画を立てると付け加えた。

「資金調達は行いましたが、現在私たち自身が処理できる以上の需要があるのです」と彼はいう。「それが良いことなのか、悪いことなのかはわかりません」。現在、約3000人の学生が在籍していて、全員が異なるタイムゾーン用にプログラムされたタイムテーブルに従ってライブ(オンデマンドではない)クラスを受講している。

今回の資金は、Lambda Schoolが提供するコンテンツの範囲を拡大するために、コンテンツそのものにも、またおそらくビジネスモデルの開発にも使用される。

良い動きの1つとして、米国時間8月20にLambda Schoolは、カリフォルニア州のBureau for Private Postsecondary Education(カリフォルニア州私立高等教育局、BPPE)から承認を受けた(Lambda Schoolリリース)ばかりだ。同社は、州内での教育を止めさせて(Business Insider記事)罰金を課そうとする当局との間で、長期にわたって揉めていた。

しかし、承認のための取り決めの一環として、少なくとも現時点では、Lambdaはもはやカリフォルニア州の受講生に対して所得分配契約(ISA)を提供していない。ISAは同社が遅延支払モデルを提供するための基礎であるため、オールレッド氏はLambdaはまだISAを利用できるようにするための取り組みを続けているが、暫定版としての「学生にやさしい代替手段」も検討していると語った(Twitter投稿)。

正確にいえば、教育局理事会による承認は学校としての認定と同じものではない。Lambda Schoolは学生がコースを修了した際に、公式な学位は提供しないが、修了証明書を提供する。現在、学位を授与できるようにするために認定を受ける計画はないと、オールレッド氏は述べている。

「規制の観点から見れば、認定を受けて学位を授与することもできますが、(理事会は)1年前にカリキュラムの変更を提出することを要求しているため、受講生にはそれを受け入れる余裕がありません。認定機関が要件を変更するまで、そのことは役に立ちません」と彼は述べ、さらに認定を受けている学校が常に自分たちより優れているとは限らないと付け加えた。

「完全に認定されていて、卒業率20%の学校が何千校もあります」と彼はいう。「そんな学校では良い成果を得ることはできません。私たちは別の方法で、受講生たちに自分の価値を証明する必要がありますが、通常それは成果を通して行われます」。

Lambda Schoolの資金はコースへの需要が急増している最中に得られたものかもしれないが、だからといって今がスタートアップにとって困難な時期ではないという意味ではない。

Lambda Schoolは2020年4月に、新型コロナウイルスの流行による市場の不確実さの中で、19名のスタッフを解雇し(未訳記事)役員報酬を15%削減した(また、通常スタートアップが資金調達を行う過程でしばしば発生する経理上の引き締めも、おそらく行われたことだろう)。現在の同社のチームは約150人体制で、その中に運営スタッフたサポートスタッフ、コースの教師、チームリーダー(基本的にはティーチングアシスタントたち)が含まれている。オールレッド氏によれば、現在のところ全員がリモートで働いているという。

しかし、4月より前の時点でも、Lambda Schoolはその遅延支払いビジネスモデルをどのように適用するかについて、多くの否定的な意見に直面していた。酷評する者は、収入に基づいて授業料を返済するやり方を、年季奉公の奴隷(Twitter投稿)とか搾取だと表現してきた。そして、このビジネスモデルは非現実的だと批判する人もいる。なぜなら同社は受講生たちが期待されるような給与を得ることができなかった場合のリスクを抱えているからだ。ISAモデルは給与額に基いて段階的に変化する返済を行うだけでなく、授業料の返済に対して24カ月という制限を与えている。このことが意味するのは、3万ドルの全額を返済する受講生もいれば、返済しない受講生もいるということだ。

オールレッド氏は支払いの不履行数を明らかにしなかったが、受講生の約15%が最初の月の終わりまでに脱落する、つまり彼らは一切何も支払わないと語った。

そうしたことを気にする人もいるだろうが、それはスタートアップの成長や、投資家の間の関心を抑えるには不十分のようだ。

「私たちはCEOとしてのオースティンに引きつけられました」とインタビューで語ったのは、Lambda Schoolの取締役会に参加する、GigafundのパートナーであるStephen Oskoui(スティーブン・オスコイ)氏だ。「Gigafundは、何十年にもわたって形作られていくであろう強みに、重点を置いています。そしてLambda Schoolの運営方法のモデルは、そこに多大な影響を与える可能性があるのです」。

関連記事:堅実ではあるが成長の遅いスタートアップはこの先どうなるか?

カテゴリー:EdTech

タグ:Lambda School

画像クレジット:Carlina Teteris/ Getty Images

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(翻訳:sako)

医療用の携帯型圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ開発のExoが42.2億円調達

医療機器のコストと複雑さを削減する新しい企業を支援し続ける投資家たちの後押しを受け、医療業界向けの新しい診断ハードウェアを開発するExo(エクソ)が、新しい資金ラウンドで4000万ドル(約42億2000万円)を調達した。

同社の声明によれば、これまではコスト、携帯性、画像品質の悪さ、高密度の身体組成を画像化できないことなどによって、超音波などの診断ツールが世界中の患者ケアに与えられる影響が限定されていた。

Exoは、特許取得済の圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(圧電マイクロマシン超音波変換器)を開発したことで、この問題を解決できたと発表した。デバイス自身が画質を改善する一方で、付属のソフトウェアツールキットがデバイスの診断機能を向上させる。

Exoは、2024年には世界のPOC(臨床現場即時検査)超音波市場が15億ドル(約1580億円)に達し、年間10%近くの成長を続けると予想している。

「世界中の救急治療室の医師は、診断と治療を行うまでに数分しか許されない患者をはっきりと診察することができないまま、新型コロナウィルスの診断や合併症、心不全、内出血など、極めて緊急な医療上の問題を解決しなければならないことが多いのです」とExoの最高経営責任者であるSandeep Akkaraju(サンディープ・アカラジュ)氏は語る。

声明によれば、同社の技術を支えるための新たな4000万ドルのラウンドは、2019年に行われた3500万ドル(約37億円)の投資に続くものであり、同社の総資本を1億ドル(約106億円)近くに引き上げた。今回のラウンドを主導したのは、Fiscus Ventures、Reimagined Ventures(両社ともMagnetar Capitalの関連会社)、そしてAction Potential Venturesである。そこにTDK Ventures、Solasta Ventures、およびIntel CapitalとApplied Venturesを含む、以前からのすべての投資家が参加した。

Exoのチームは、アップルやグーグルなどの消費者向けテクノロジー大手企業出身者と、GE、Johnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)、Maxim(マキシム)、Medtronic(メドトロニック)、Siemens(シーメンス)などの大手医療機器企業の出身者で構成されている。

「救急治療室の医師でありベンチャーキャピタリストでもある私は、Exoの製品が市場にもたらす変革の可能性を直接知っています」と声明で述べるのは、FiscusおよびReimagined VenturesのTed Koutouzis(テッド・クートウジス)博士だ。「Exoのチームは、しばしば混乱し、無秩序で緊急を要することが多い病院の環境内でシームレスに機能するデバイスの開発に焦点を当てていて、これまで医師が手の中に持つことを夢見ていた、高い画質、整ったインターフェース、ならびに診断を行えるツールを提供してくれます」。

Exoハードウェアには、既存のワークフローと統合できるように設計された、一連のソフトウェアツールが付属している。また、同社は医療画像処理への進出を足がかりに、病院や救急医療環境向けの幅広いツールスイートの提供を行うことを計画している。同社が構想するのは、1台でさまざまな診断を行える多機能デバイスだ。

「Exoは、救急治療室や集中治療室で、臨床即時画像診断の導入を真に推進できるプラットフォーム技術を開発しています。それは高度な外科用ロボットや内視鏡手術を促進し、非侵襲的な神経調節(ニューロモデュレーション)や医薬品のデリバリーを活用した治療を可能にします」と語るのは、Action Potential Venture Capital (生物電子工学技術に焦点を当てたGlaxoSmithKlineの企業ベンチャー部門)の Juan Pablo Mas(ファン・パブロ・マス)氏だ。

画像クレジット: Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(翻訳:sako)

今週の記事ランキング(2020.8.16〜8.20)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「AMD Ryzenモバイル搭載を期待したくなる?さらに完成度を高めたデルの13.4型モバイル「New XPS 13(9300)」」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

再生可能エネルギーサービスのArcadiaが従業員福祉向けクリーン電力を商品化

Arcadia(アーカディア)はホームオーナーや賃貸人が、再生可能エネルギー・クレジットとクリーン電力開発を通じて二酸化炭素排出量を相殺(オフセット)する方法を提供する会社だ。このほど同社は、従業員の福祉のために同社のサービスを利用する方法を企業向けに売り込みはじめた。

企業はArcadiaのサービスを使って、社員の二酸化炭素排出量を相殺したり、電気料金を肩代わりすることができる、と同社は説明している。これはオフィスに行かず自宅で仕事をする数百万人のアメリカ人に対する答えであり、オフィスがリビングルームのソファやダイニングルームのテーブルやベッドになった時代に、オフィスで得られる特典が変わってくることを示すものだ。

通勤手当や無料のコーヒーやおやつ、ソフトドリンクなどのオフィス特典は、世界パンデミックに対する米国政府の対応によって存在しなくなったため、企業は社員を喜ばす新しい方法を見つけようとしている(たった今雇用されている人々はそれだけで幸運ではあるが)。

Arcadiaの挙げたデータによると、夏季にオフィスで急増する電気使用量は、現在全国の家々に分散されている。つまり、社員は本来会社が払っていた冷房費用の増加を負担していることになる。

新しい社員福祉を採用した職場のために、Arcadiaは再生可能エネルギークレジットを購入して社員の排出量を相殺するか、国内のエネルギー市場から再生可能エネルギーを取得して、社員の電気料金を支払うことができる。

すでにArcadia、いくつか著名企業と契約を結んでおり、たとえばMcDonald’s(マクドナルド)は社員の排出量相殺に同社のサービスを使っている(ただし電気料金は払わない)。

「この新しい取り組みをArcadiaと共に進めるられることを大いに喜んでいる」とMcDonald’sの北米サステナビリティー担当マネジャーのEmma Cox氏が声明で述べた。「プログラムの設定と運用は驚くほど簡単で、会社は今やオフィスにいない社員たちを支援することができる。これはMcDonald’sの二酸化炭素排出量削減の目標とも一致している」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

メキシコとの国境の壁建設の寄附金をめぐる詐欺疑いでトランプ大統領元側近を逮捕

トランプ大統領の元首席戦略官の1人が逮捕された。8月20日に連邦検察が明らかにした容疑(連邦検察リリース)は、国境の壁建設のための資金調達に関係している。Steve Bannon(スティーブ・バノン)容疑者は起訴された4人のうちの1人だ。We Build the Wall(我々は壁を建設する)という運動での資金洗浄と詐欺の容疑がもたれている。

We Build the Wallは、米空軍の元軍人Brian Kolfage(ブライアン・コルフェージ)によって2018年にGoFundMeキャンペーンとして始まった。メキシコとの国境に壁を建設する費用を民間で賄おうという取り組みは、たちまちトランプ大統領の著名な盟友たちを引き寄せた。ここにはバノン容疑者、カンザス州務長官のKris Kobach(クリス・コバッハ)、ボストン・レッドソックス元投手のCurt Schilling(カート・シリング)、防衛関連事業の請負業者で教育長官Betsy DeVos(ベッツィー・デヴォス)の弟Erik Prince(エリック・プリンス)が含まれる。

GoFundMeキャンペーン

4人全員の名前が訴状にあるわけではないが、バノン容疑者とコルフェージ容疑者はいま、キャンペーンで集めた2500万ドル(約26億円)超がどうなったのか問われる事態に直面している。キャンペーンのウェブサイトとチーム紹介ページにはまだアクセスできる。

「被告人は国境の壁建設に関心を示して出資した多くの献金者を、全ての資金は壁建設に使われると言ってだました」とニューヨーク州南部地区の連邦検察検事Audrey Strauss(オードリー・ストラウス)氏は声明で述べた。

「キャンペーン開始者でWe Build the Wall代表のBrian Kolfageは1セントも受け取らないと献金者に繰り返し約束していた一方で、被告人たちは密かに何十万ドルという金をコルフェージに横流しし、そうした金はコルフェージが自身の贅沢な暮らしに使った」

訴状には、バノン容疑者と他のメンバーがWe Build the Wallキャンペーン活動は私益のためではないとしながら、どのように何十万ドルという金を搾取したのか詳細につづられている。コルフェージ容疑者は「給料として、あるいは報酬として1ペニーたりとも受け取らない」と繰り返し主張していた。

バノン容疑者はキャンペーンで集まった2500万ドルから100万ドル(約1億円)超を流用し、その多くを私用で使ったとされている。コルフェージ容疑者はキャンペーンで集まった資金から35万ドル(約3700万円)を個人の費用にあてた疑いがもたれている。両容疑者は非営利団体、ペーパーカンパニー、偽造の請求書、虚偽のベンダーとの取引を通じて支出を隠そうした。

時宜を得た試みとして、連邦検事のオフィスは主要捜査執行者として米郵便公社(USPS)の法執行部署である郵便検査局(USPIS)を指名した。

「この事件の捜査にUSPISが協力することを感謝する。我々はあらゆる詐欺の根絶と立件に引き続き注力する」

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

オンラインで「人対人」の接客を実現するオモチャデバイス「KARTE GATHER」

ショップに入ると、かわいいモンスター型の人形に向かって、店員が商品をあれこれ見せながら、何かを勧めている。接客の練習? それともスマートスピーカーか何かなのか? いや、どうやらモンスターのお腹にあるカメラの向こう側では、顧客がオンライン越しに、リアルタイムでショッピングを楽しんでいるらしい……。

顧客体験(CX)プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を提供するプレイドは8月20日、同社のR&D部門が開発する新プロダクト「KARTE GATHER」を発表した。

オンライン越しにリアル店舗の接客ができるオモチャデバイス

KARTE GATHERは、モンスター型のオモチャデバイスを通じて「リアル店舗の店員がオンライン接客できる」というプロダクトだ。顧客が店のECサイトなどにアクセスすると、ウェブ接客のポップアップの代わりにデバイスへの接続ボタンが表示される。接続されると、デバイスに搭載されたカメラを通して店員との対話や商品の確認ができ、その場に居ながらにして、店で買い物しているような体験が可能になる。

開発を担当したプレイド VP of R&Dの秋山剛氏は、2017年11月に発表された、VR空間上にECサイトの訪問客を可視化するプロダクト「K∀RT3 GARDEN(カルテガーデン)」開発にも携わっている。秋山氏は1年ほど前から、店舗に新たな価値のひとつとして「コミュニティ」の場という役割を付加できないかと、新たなプロダクトを構想していたとのことだ。

「顧客の行動が変化し、オンラインでの購入が増える中で、店舗は商品を買うほかにショーケースとしての役割を担うようになっているが、果たして店舗はショーケースというだけでいいのか。またアパレルなどでは店員さんのブランド化・メディア化も進んでいるが、それもやはりメディアというだけでいいのか、と考えていた」(秋山氏)

プレイド VP of R&Dの秋山剛氏

ショーケース、メディアというだけでは「共通言語によるコミュニケーション」が足りていないという秋山氏。リアル店舗には、店員と顧客が互いに顔を覚えて“お得意様”になっていく過程や、これまでに顧客が買ったものを店員が覚えていて、その人に合った新しい提案をしたり、顧客の方も気軽に店員に質問ができたりする環境があって、リアルならではの購買体験がある。そこでオンライン/オフラインの垣根なく、新しいコミュニケーションを生むプロダクトとして開発したのがKARTE GATHERだと説明する。

「KARTEは、ECサイトで顧客ごとに個別最適化した提案ができるけれども、R&D的には物足りない。買い物はもっと楽しいもののはず。人と人とのコミュニケーションが生む意外性が、それを生み出す。ウェブ接客だと初回割引クーポンが出て、2回目以降だと割引率が初回より低いということもあるが、それでは合理性に走りすぎている。店に行くことが楽しいという、プライスレスな体験をKARTE GATHERでは提供したい」(秋山氏)

秋山氏は「今のテクノロジーだけでは、個別最適化が難しいところ、店員さんが勝っているところがある」という。KARTE GATHERでは、デバイスを通して対話することで、顧客と店員が互いに印象づけられ、「もう一歩二歩、深いところでコミュニケーションできるようになる」と話している。

なぜ「モンスター型オモチャ」の形をとったのか。秋山氏は「スマホでもタブレットでも同じような接客は実現できるが、無味乾燥だし、ほかの来店客から見て接客しているのか別の業務をしているのかが分かりにくい。お客さんに“ヒト感”があるのは接客には重要と考え、『ヒト感があるけれどもヒトではない』キャラクターデバイスを作った」と説明している。

現在3体用意されているデバイスは、外面を少しずつ異なる布地にしているとのこと。腹部にはカメラ、背面にはタッチパネル、角と目に当たる部分にはLEDが装備されいる。LEDは接客中に、顧客が「イイね」などのアクションを示すと、光で知らせてくれる。

デバイスは自分では動けないので、顧客が見たい商品がある場合には、店員にデバイスを抱っこして動かしてもらわなければならない。カメラ位置が商品に寄りすぎたり遠すぎたりする場合も、「もう少し後ろへ」「前へ」と声をかける必要がある。また、顧客はカメラを通じて接客する店員の顔を見ることができるが、店員は顧客の顔を見ることはできない。

これらは一見不便なようだけれども、この「余白」「非対称性」によって、店員の接客の個性が出るのではないかと秋山氏は考えている。

「最適・最速だけではヒト感がない。ミスや行き違いがあることもコミュニケーションを生む。店員さんによって行動が変わり、自由度があることで個性が生まれ、楽しい顧客体験を生む。店舗スタッフの力が発揮できる設計だ」(秋山氏)

あらゆる接客が発生する場を対象にトライアル企業を募集

KARTE GATHERの着想は、新型コロナウイルス感染症の影響が出る以前のことだが、その後、リアル店舗へ出向きにくい状況となり、店舗営業の縮小も増えている。一方で、「オンラインにはない価値」が見直される動きもあって、店舗のあり方は今、まさに問われている。

秋山氏は「店頭での接客を今、行うことについて、肯定的立場でも否定的立場でもない」と話す。「客がいないのに店を開けるべきでない、とか、リスクを超えても店は開けるべき、といった極論でなく、場とスタッフをうまく活用できればいいと思う。来店客がいないのでスタッフが暇だというなら、KARTE GATHERのようなツールを利用することによって、Eコマースに生かせればいい」(秋山氏)

今後、導入を検討する企業や店舗とともに、KARTE GATHERの実運用の部分を「一緒に作っていきたい」という秋山氏。CXプラットフォームのKARTE利用を前提として、アパレルや不動産ほか、「接客が発生するあらゆる店舗」(秋山氏)を対象に、導入トライアル企業を募集していくそうだ。

電気自動車スタートアップのCanooが特別目的買収会社経由で株式公開へ

米国ロサンゼルスに拠点を置く電気自動車の新興企業であるCanoo(カヌー)は、SPAC(特別目的買収会社)であるHennessy Capital Acquisitionとの合併契約を締結し、時価評価額は24億ドル(約2530億円)となった。

スタートアップでは伝統的なIPOのパスをスキップし、SPACとの合併契約を通じて株式を公開したのは、米国時間8月18日の発表は、この電気自動車メーカーが今夏で4社目となる。同社以外としては、Nikola.、Fiske、Lordstown MotorsもSPACを通じて株式を公開している。

Canoo は、大手資産運用会社のBlackRockが管理するファンドや口座からの投資を含め、公開株式 (PIPE)への民間投資で3億ドル(約316億円)を調達したことを明らかにした。今回の買収によりCanooは、スケートボードの技術をベースにした電気自動車の生産と発売に向けて、約6億ドル(約632億円)の資金を得ることになる。

この取引が完了した後、統合された事業会社はCanoo Inc.と名付けられ、引き続きNasdaq株式市場にティッカーシンボル「CNOO」で上場される。

HCAC(Hennessy Capital Acquisition Co)のDaniel Hennessy(ダニエル・ヘネシー)会長兼CEOは、Canooのビジネスモデルとスケートボードのアーキテクチャと技術に賭けており、声明の中で「韓国・現代自動車(ヒュンダイ)グループとの提携などの重要なパートナーシップによってすでに検証されている」と述べている。

Canooは、電気自動車メーカーのFaraday Future(ファラデー・フューチャー)の幹部だったStefan Krause(ステファン・クラウゼ)氏とUlrich Kranz(ウルリッヒ・クランツ)氏が設立したEvelozcity(エヴェロズシティ)として2017年にスタートした。2019年春にCanooにリブランドし、昨年9月に初代車両をデビューさせた。サブスクリプションとしてのみ提供される最初のCanooの車両は、2021年までに公道デビューすると予想されていたが、8月18日の発表内容によると、その計画は2022年に変更されたようだ。

伝統的な電気SUVというよりはマイクロバスのように見えるCanooの初代車両の心臓部は、車のキャビンの下のシャーシにバッテリーと電気ドライブトレインを収容する「スケートボード」アーキテクチャだ。このアーキテクチャは、今年初めに現代自動車の関心を集めた。現代自動車は2月に、新興企業のスケートボードのデザインに基づいた電気自動車プラットフォームをCanooと共同開発する計画を発表した。このプラットフォームは、現代自動車と起亜自動車の将来の電気自動車や、同グループのいわゆる「目的別自動車」に使用される予定だ。現代自動車がCES 2020で展示した空飛ぶ車であるPBV(パーパス・ビルド・ビークル)は、ポッドのような乗り物で、レストランや診療所などの交通機関でさまざまな機能を発揮できるとしている。

Canooは消費者向けの製品だけに注力しているわけではない。B2B向けの車両も提供することを目指している。「CanooのEVはすべて同じスケートボードをアーキテクチャを共有し、異なる座席やトップハット(ブレーキディスクをホイールハブに備え付ける部分)などを組み合わせてユニークな車両を作ることができる」と同社は述べている。同社は2023年の供給を目標に設計された最初のB2B車両の生産を目指している。このB2B車両は、密集した都市環境での運行を想定して設計されており、ラストマイル配送に重点を置いたものになるという。

関連記事:現代自動車とEVスタートアップのCanooがプラットフォームを共同開発

カテゴリー:ニュース

タグ:電気自動車 Canoo

画像クレジット:Canoo

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米商務省がファーウェイへの禁輸をさらに強化、エンティティリストに38組織追加

米国時間8月17日朝、米商務省は中国のハードウェア大企業であるHuawei(ファーウェイ)が米国のテクノロジーを利用することを禁ずるため禁輸リストをアップデートすると発表(米商務省リリース)した。詳細は本日中に発表される。新しいリストも2020年5月に発表されたリストとほぼ同様の内容で、各種の抜け穴を塞ごうとしたものだ。ファーウェイは米国のテクノロジーにアクセスするため世界中で禁輸をかいくぐろうとしており、商務省はファーウェイを米国のテクノロジーからシャットアウトするために国際的な「もぐらたたき」を続けている。

リスト発表後、商務省の高官は「これは5月の規則を改正したもので、ファーウェイが禁輸命令を骨抜きにしようとする試みに対処したものだ」と述べた。これまで第三国の子会社は米国発のテクノロジーを利用したチップを購入することができた。商務省の狙いはファーウェイを米国発のテクノロジーから完全に遮断するこだ。もともと商務省の意図はそこにあった。

Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官は今朝の声明で次のように厳しく指摘した。「中国共産党によって策定された目標を達成するためにファーウェイと海外子会社は米国企業が製造し、あるいは米国企業が開発したテクノロジーを利用した先進的半導体を入手するための努力により力を入れている。我々は米国発のテクノロジーに対するアクセスを禁じて以後、ファーウェイグループは第三者を通じて米国発のテクノロジーを入手し続けた。これにより米国の安全保障と国益が脅かされるに至っている。今回の措置はファーウェイにそのような抜け道を許さないという米国の決意を示すものだ」。

関連記事:ファーウェイが米国による新たな妨害の悪影響を懸念

またMike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官はファーウェイについて「監視国家を作っている中国共産党の手先であり、常に米国の規則を破ろうとしてきた」と歯に衣着せぬ表現で指摘した。

ポンペオ長官は「我々は中国共産党が米国市民のプライバシーを侵害し、ビジネス上の知的所有権を利用し、世界の次世代コミュニケーションネットワークの信頼性を侵害することを許さない。これは単なる理念ではない。米国合衆国政府機関はこの目標を達成することを行動によって裏付けている。司法省はファーウェイが米国で開発されたテクノロジーの知的所有権の窃盗、違法行為の共謀、通信詐欺、金融詐欺、組織的不法事業、対イラン経済制裁の回避を支援したなどにより(容疑者の引き渡しを)要求している」と述べている(米商務省リリース)。

ファーウェイは新規則に対してまだコメントをしていない。ただし同社はこれまで中国共産党と直接の関係があることやスパイ行為については否定を続けてきた。トランプ政権によりファーウェイに対する措置は大きく強化されたが、米国は長年に渡って同社の行動を厳しく監視してきた。

ちょうど1年前に制定された禁輸対象を列挙した「エンティティリスト」に、今回のアップデートでファーウェイ関連企業として21カ国38組織が追加された。Fox Businessのインタビューでロス長官は5月の禁輸規則に対しファーウェイがハードウェア、ソフトウェア双方で抜け穴を探す努力を続けていたことを指摘した(The New York Times記事)。このソフトウェアというのはGoogle(グーグル)が開発したAndroid OSと各種アプリを指すものだろう。

ロス長官は FOX Businessに対して「(5月の)禁輸規則によりファーウェイはサードパーティーをダミーに利用するなど脱法の道を探ることとなった。新規則では米国発のあらゆる装置とソフトウェアは禁輸の対象であり、利用には個別に許可が必要であることを明確化している」と述べた。

【Japan編集部追記】Huawei Technologies Japan K.K.は現行エンティティリスト(PDF)に掲載されている。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:Huawei / ファーウェイ

画像:DANIEL LEAL-OLIVAS/AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インフルエンサープラットフォームのBitStarがシリーズDラウンドで10億円を調達

YouTuberをはじめとしたクリエイターのプロダクション事業、コンテンツ制作事業、インフルエンサーマーケティング事業を提供するBitStarは8月17日、第三者割当増資と金融機関からの融資により、シリーズDラウンドで総額10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

プロダクション、コンテンツ、広告の3領域統合とテクノロジーが武器

BitStarは2014年7月の設立。当初はデータを活用したインフルエンサーマーケティングを核とした広告領域から事業を始め、2017年秋以降、プロダクション領域やコンテンツ制作領域にも事業を展開している。

今年4月にリブランディングを行い、プロダクション事業、コンテンツ制作事業に、より注力するようになったというBitStar。代表取締役社長CEOの渡邉拓氏は「プロダクションからは実在スターを創出し、コンテンツ領域からはIP(知財)を生み出す。その結果、それらをマネタイズする広告領域へも価値が返ってくることを期待している」と話す。

2年前の資金調達時の取材で渡邉氏は、UUUMやCandeeといった他のインフルエンサーマーケティングのプラットフォーム事業との比較で「それぞれプロダクションやコンテンツなどの得意分野がある中で、我々は広告・プロダクション・コンテンツ制作の3領域を垂直統合し、一気通貫で対応できる点が強み」と語っていた。

今回の取材でも「その強みは変わらない」と渡邉氏は述べ、「垂直統合とテクノロジーを中心にビジネスを大きくしている」と話している。

テクノロジーについては、スターあるいはIPを生み出すまでの「発掘」「育成」「マネタイズ」の一連のプロセスをデータを用いて仕組み化。「この仕組み、プロダクトは、ある意味エンタメ業界のDXのような形で、我々の事業と組織をスケールしていく上での成長エンジンとなっている。路上スカウトではなく、定量的にデータで旬なクリエイターを発掘するツールや、データを分析して自動でアウトプットする育成のシステムもある。マネタイズでも、従来なら有名人を感覚的にキャスティングしていたところを、定量的に分かるデータベースを提供している」(渡邉氏)

所属クリエイター80名、マーケ事業のクライアントは800社以上に

3年前からスタートしたクリエイタープロダクション事業「BitStar」(旧E-DGE)の現在の所属クリエイターは80名、総ファン数は3000万人を超えているという。プロダクションビジネスではGoogleアドセンスが収益源となるため、KPIには月間再生数を採用しているが、昨年比で200%に成長したと渡邉氏は説明する。

所属するクリエイターのジャンルは幅広く、ゲーム実況や“詐欺メイク”などの美容系、テレビでも活躍する大食いタレントなど、多種多様だ。芸能プロダクションとの連携により、アーティストやアイドル、モデルなども含まれる。YouTuberだけでなく、育成枠ではTikTokerなど、さまざまなプラットフォームのクリエイターが参加しているそうだ。

クリエイターのサポートについては、「画一的なサービスを一律で提供するというよりは“機能組織”をつくり、イベントならイベント運営、テレビ出演ならテレビのキャスティングに強い人といった具合で、それぞれの領域のスペシャリストが、必要なときに都度、クリエイターのやりたいことに合わせて参画するような形を取っている」と渡邉氏。クリエイターの満足度も高く、多くのクリエイターに利用してもらっているとのことだ。

コンテンツ制作事業の「BitStar Studio」もプロダクション事業と同じ3年前に、芸能人のYoutubeチャンネルづくりからスタートした。現在はマスメディアと共同でのYouTubeチャンネル運営や、ブランド・企業との協業、自社メディアとしてのチャンネル開設も行う。

「メディアとの協業では『情熱大陸』や『オカルト部』のYouTubeチャンネル運営により、3年で損益分岐点を超えるところまで育ってきたところ。ブランド・企業との協業では、テレビに代わり、YouTubeチャンネルへ年間でスポンサードしてもらうという流れが昨年あたりからできてきた。僕らは、制作費をいただきながらレベニューをシェアするというSaaSビジネスのようなモデルでやらせてもらっている」(渡邉氏)

YouTubeはほかのSNSと異なり、コンテンツ制作が番組作りに近いと渡邉氏。「コンテンツを頻度高く、毎日のように配信していくので、PDCAが試される。そういうサイエンス的なところは我々が強いので、業界の先駆けとして伸ばしてきたところです」(渡邉氏)

直近では、新型コロナウイルス感染症の影響で、新製品リリースなどのタイミングでライブ配信需要も増えており、「制作の幅も広がっている」と渡邉氏はいう。

VR/VTuber対応でも、2018年に「BitStar Akihabara Lab」を立ち上げ、専門の制作・運営体制を提供。他社キャラクターを協業で運用したり、VR空間を生かした体験型イベント、AR技術を生かしたアトラクションを提供したりしている。AR技術で深度センサーを使い、VTuberキャラと触れ合ってチェキを撮影できるイベントは、来場者300人でチケット3000枚を販売するほどの人気だったそうだ。

VTuberのリアルファンイベント「わくわく!VTuberひろば」はオンライン化も試みられた

創業当初はYouTuberと企業のマッチングプラットフォームとして始まった、インフルエンサーマーケティング事業「BitStar Ads」は現在、インフルエンサーのキャスティングから広告運用・出稿、データ分析と幅を広げ、クリエイティブ領域、コンテンツ領域にも対応し、「人を軸にしたエージェンシーとしていろいろな広告商品を開発・展開している」(渡邉氏)という。

BitStar Adsの利用クライアントは累計約800社以上、動画配信数は4000本以上となった。「広告領域で特に強みとするのは、定量的にデータでキャスティングを最適化する国内最大級のインフルエンサーデータベース『IPR(Influencer Power Ranking)』で、こちらは現在約1500社の登録がある。YouTubeに加え、InstagramやTwitterなどのプラットフォームも合わせて10万以上のクリエイターをデータベース化しており、キャスティングに役立てていただいている」(渡邉氏)

投資家の電通、マルイなどと事業提携も進める

今回の資金調達ラウンドに参加した投資家は、電通グループ、丸井グループ、フォーイット、SKIYAKI、ビーマップ、セガサミーホールディングスと、既存株主であるコロプラネクスト、ABCドリームベンチャーズ、および複数の個人投資家。これまでの累計調達額は約30億円となった。

調達によりBitStarでは、大手事業会社との戦略的協業を具体的に始める。広告事業では、電通グループとの資本業務提携を通じて、ナショナルクライアント獲得と共同での広告商品開発を図る。「既存業界との協業により、知見や発想、ソリューションを共有して、商品開発を行う」(渡邉氏)とのことで、提携内容については今後随時発表を予定しているという。

プロダクション事業では、ファンクラブやファンサービス運用のプラットフォームを提供するSKIYAKIと、ファングッズ販売関連で既に提携を開始している。またコンテンツ制作事業では、事業会社とのYouTubeチャンネルの共同運営や、企業のオフィス内に配信スタジオを展開する際の協力などを行っていく。

丸井グループとの提携では、BitStar Akihabara Labで開発・運営するイベントアトラクションの「わくわく!VTuberひろば」を渋谷モディに常設することが決まっている。

フルスピード子会社でアフィリエイトプラットフォームを運営するフォーイットとは、プロダクト開発で協業。プロダクション所属には至らないマイクロ/ミドルインフルエンサーを対象とした、仕事依頼のためのプラットフォームを共同で開発する予定だ。

渡邉氏は、プロダクション・コンテンツ制作・広告と、「インフルエンサーサービスの3領域いずれのエリアでも成長したい」と述べている。

今期、「業界ナンバーワンの成長を目指す」と話す渡邉氏。成長率で170%を今期の業績目標としているという。直近ではプロダクション事業のKPIだけでなく、コンテンツ制作事業でも月間売上を昨年比で約2倍に伸ばしており、「新規領域でも順調に成長している」と渡邉氏は述べている。

新型コロナの業績への影響について渡邉氏は、前述したようにライブ配信コンテンツ制作など、需要が増えた部分もあるが、「リアルイベントや物販会、実写制作では影響が出ている」という。ただ「経営的には全般に大きなインパクトがあるわけではない」とも話している。

「視聴者層は増えていて、事前の市場予測よりさらに130%の伸びとなっている。芸能人がテレビから動画配信へ進出するなど、エンタメ界でDXが起きやすくなっている環境」という渡邉氏。「再度、緊急事態宣言クラスの制限があれば、痛手がないということはないが、リアルビジネスについてもECやD2Cを物販に取り入れたり、VR握手会を企画したりすることで、オンラインへの移行は進めている。もともとエンタメ業界のDXを進めてきた立場として、柔軟に対応したい」と語っている。

アマゾンがインドでオンライン薬局サービス「Amazon Pharmacy」を開始

Amazon(アマゾン)はインド南部カルターナカ州の州都ベンガルールでオンライン薬局を立ち上げた。同社は、主要海外マーケットの1つであるインドでさまざまな部門に触手を伸ばしている。

同社は米国時間8月14日、Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)という新たなサービスで市販薬と処方薬の注文受付をベンガルールで開始した、と発表した(インドでは抗生物質や一部の医薬品は処方箋なしに薬局で購入できる)。

Amazon Pharmacyはまた伝統的な生薬、そして血糖値測定器や吸入器、ハンドホールドマッサージ機などのヘルスデバイスも販売する。

「顧客が在宅して安全を確保しながら必要不可欠なものを手に入れることができるようにするという、今の時代に特に合ったものだ」とアマゾンの広報担当は声明文で述べている。

オンライン医薬品販売に関してインド政府は現在明確な規制を整備しておらず、これまでにインドのオペレーションに65億ドル(約6900億円)超を投資しているアマゾンにとって大きな機会だ。同社はインドでWalmart傘下のFlipkartと競合している。

アマゾンにとって、医薬品販売は新しいものではない。近年ヘルス専門家を雇い、2018年にはオンライン薬局スタートアップのPillPackを10億ドル(約1065億円)近くで買収した

1mg、Netmeds(ネットメッズ)、Medlife(メッドライフ)、PharmEasy(ファームイージー)といった多くのスタートアップが現在インドで薬をオンライン販売し、国内ほとんどの地域に配達している。例えば、これまでに1億7000万ドル(約180億円)超を調達した1mgは1000都市に注文品を配達している。

eコマースプレイヤーとしてこれらスタートアップはマーケットシェアを増やすために魅力的な割引を顧客に提供している。この点に関しては、Amazonは全オーダーを最大20%割り引くと話す。

ここ数カ月でアマゾンはインドでいくつかの新分野に進出した。5月にベンガルールの一部でフードデリバリーサービスを立ち上げ、その1カ月後に西ベンガル州でアルコールの販売・配達の許可を取得した。

2020年7月に同社は自動車保険の販売を開始(未訳記事)し、将来は健康やフライト、タクシーをカバーする保険サービスへと拡充させる計画だと述べた。

アマゾンが新たな分野に進出するにつれ、Flipkartも7月下旬にベンガルールで超ローカールデリバリーを試験展開するなど新規分野を開拓している。Flipkart はインドの2都市でアルコールを配達するために大手Diageoが支援するスタートアップと提携した、とロイターは政府文書を引用して報じている。

そしてアマゾンとFlipkartは今、新たな挑戦者に直面している。インドで最も富裕なMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が所有するインド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)が2019年末にeコマースベンチャーのJioMart(ジオマート)のテストを開始した

JioMartはいまや、インド中の200を超える町村で展開されていて、2020年7月は1日あたり40万点もの商品を販売したとのことだ。この数字は、グローサリーデリバリースタートアップBigBasket(ビッグバスケット)とGrofers(グロファーズ)のピーク数字を超えている。

地元のメディアは、アマゾンがReliance Retailへの数十億規模の出資を狙っている(観たく記事)と報じた。アンバニ氏の他のベンチャーである通信大手のJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)はFacebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、そのほか11の著名投資家からここ数カ月で200億ドル(約2兆1300億円)を調達した。同氏は7月にJio Platformsの資金調達は終了し、数四半期内にグローバルパートナーや投資家をReliance Retailに受け入れることを楽しみにしている、と述べている。

関連記事:アマゾンが新型コロナ禍中のインドでフードデリバリーを開始

カテゴリー:ニュース

タグ:Amazon インド ネットショッピング Amazon Pharmacy

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP Photo / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

今週の記事ランキング(2020.8.9〜8.13)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「私がたまたまある会社の朝のZoom会議に顔を出してしまった話」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

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