eコマース企業の顧客への最も効果的なオファーの提示をサポートするBandit ML

Bandit MLは、お店の商品や販促企画と、それらがニーズにぴったり合う顧客とのマッチングを完璧にしようとしている。

同社はアクセラレーターY Combinatorの2020夏季を受講した。そして9月には、YCとHaystack Fund、Webb Investment Network、Liquid 2 Ventures、Jigsaw Ventures、Basecamp Fund、Pathbreaker Venturesそして複数のエンジェルたちから132万ドル(約1億3700万円)のシード資金を調達した。CEOのEdoardo Conti(エドアルド・コンティ)氏によると、エンジェルの中にはUberの元および現社員が10名いる。

というのもコンティ氏は、それまでUberのソフトウェアエンジニアで研究員だった。共同創業者は、Lionel Vital(ライオネル・ヴィタル)氏とJoseph Gilley(ジョセフ・ギリー)氏だ。

彼がメールで説明してくれたところによると、5ドル(約520円)のディスカウントを大喜びする顧客もいれば、送料無料に惹かれて買う人もいる。すでにたくさん買ったので、今回は何にも興味を示さないお客さんもいる。Bandit MLはマーチャント(商業者)のオーダー履歴とウェブサイトの活動データを見て、各ショッパーに最も適したオファーを見つけようとする。

画像クレジット:Bandit ML

コンティ氏も認めるとおり、ディスカウントの内容を最適化するソフトウェアはすでに存在しているが、彼によるといずれもBrandit MLがやることをやっていない「UberやAmazon(アマゾン)、Walmartといった大手のように機械学習を利用する一般市販のツール」だという。

Bandit MLの技術は、完全自動化である点でもユニークだという。サインアップしてから最初の最適オファーが得られるまで10分かからないお店もある。また、そのときかぎりの買い物に焦点を当てるのではなく、過去120日間といった長期的な買い物履歴も見る。コンティ氏によると、同社が最適なオファーを決定するために使っている技術は、彼がFacebook(フェイスブック)で関わったReAgentプロジェクトに似ているという。

Bandit MLは現在、Shopifyのお店を持つマーチャントを主に狙っているが、Caliiなど、そのほかのストアも今後サポートする予定だ。コンティ氏によると、同社は7月以来、数百万ドル(数億円)相当のプロモーションの送付に利用され、ある衣料品店は売上が20%増加した。

「どんなオンラインビジネスでも利用できる常時稼働のインセンティブエンジンから始まったスタートアップだが、今後はいきなり誰でも使える機械学習ツールを作って、小さなオンラインビジネスが世界企業のWalmartやAmazonと十分競合できるようにしたい」とコンティ氏は語る。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Bandit MLeコマース

画像クレジット:Christina Reichl Photography/Getty Images

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドの裁判所がリテール大手Future GroupのパートナーAmazonに関する請願を却下

インドの小売り大手Future Groupが同社の約34億ドル(約3520億円)の資産をMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏のReliance Industriesに販売しようとしたことを、パートナーのAmazon(アマゾン)に妨害および阻止されようとしたことに対して起こした訴訟で、インドの裁判所はFutureの訴えを退けた。それは、世界で2番目に大きなインターネット市場に65億ドル(約6730億円)あまりを投資している米国のeコマース企業に、かすかな希望をもたらしている。

Future Groupは、パートナーのAmazonが規制当局やその他の機関に懸念を申し立ててインドの2つの大企業間の取引を停止させようとすることを禁じる暫定差し止め命令を求めていた。デリーの最高裁は米国時間12月21日に、Amazonが「修復不可能な損害の可能性」を理由として規制当局と諸機関に懸念を申し立てることを禁じることはできない、と裁定した。その取引が合法的で承認されるべきものかは、規制当局が決定するとその裁定では述べている。

しかしながら裁判所は、Future Groupの下のFuture Retailが起こしている訴訟は有効であり、Reliance Industrieとの取引の承認を求める試みも正当と裁定した。

「名誉あるデリー最高裁による、Future Retailの求める暫定差し止め命令と、緊急時仲裁人プロセスはインドの法の下では無効とする主張を退けた裁定を私たちは歓迎する」とAmazonの広報担当者は述べている。

この裁定は、AmazonとFuture Groupという冷え込んだパートナー間での賭け金の高い抗争における最新のエピソードだ。Amazonは2019年、その価値が1億ドル(約103億円)以上といわれる取引で、Futureの非上場企業の1つの49%を手に入れた(未訳記事)。その取引では、Futureは資産をライバルに売ることはできないとなっている。Amazonは、裁判所への提出文書でそう述べている。

2020年の新型コロナウイルスパンデミックで、インドの企業がキャッシュ不足になってから事態は変わった、とFuture GroupのCEOであるKishore Biyani(キショア・ビヤニ)氏は最近のバーチャル会議で話している。Future Gropuによれば、8月に同社はアンバニ氏のReliance Industriesとの合意に達し、インド最大の小売チェーンを持つRelianceにFutureの小売りとホールセール、ロジスティクス、および倉庫業ビジネスを34億ドルで売ることになった。

数カ月後にAmazonは、シンガポールに仲裁人を立ててこの取引に抗議し、インドの小売り大手間の取引を法廷がブロックすることを求めた。Amazonは10月終わりにシンガポールで仲裁裁判に勝ち、緊急救援を確保した(未訳記事)。それによりFuture Groupは、Relianceへの売却を棚上げされた。

しかし12月21日までは、裁定がインドの法廷で有効かどうか不明だった。シンガポールの仲裁裁判所の裁定が出てから数時間後にFuture GroupとRelianceは声明で、取引を「遅滞なく進める」と発表した。

一方、Amazonはインドの監視機関であるインド競争委員会に駆け込んで、この取引をブロックするよう求めた。しかしながらインド競争委員会は、2つのインド企業間の取引を承認した。初期の聴聞でFuture Groupの弁護士は、Future Groupの取引をブロックしようとするAmazonの努力を東インド会社になぞらえた。この英国商社のインド進出により、200年近くの植民地支配が始まった。

抗争の俎上にあるのは、コンサルタント企業BCGとインドの業界団体Retailers’ Association Indiaによると2019年の7000億ドル(約72兆5000億円)が2025年には1兆3000億ドル(約134兆6000億円)になるといわれているインドの小売り市場だ。現在、インドの小売業の全売上の3%がオンラインだ。

Future Groupはまだ、コメントの求めに応じていない。

関連記事
Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資
インド最大の小売Reliance Retailが2番手Future Groupの事業を3580億円で買収
Amazonに新たな頭痛の種、インド政府がRelianceによる3580億円のFuture Group買収を承認

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Future GroupAmazonインドeコマース裁判

画像クレジット:Pradeep Gaur/Mint/Getty Images

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがARを使ったバーチャルメイクやインフルエンサー動画導入でショッピング機能を強化

Snapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)のフィルターを使ったことがある人なら、AR(拡張現実)で人気のある利用例の1つは、たとえば口紅やアイシャドウの色合いを変えるなど、バーチャルメイクで自分の外見を変えてみることだと知っているだろう。Google(グーグル)は米国時間12月17日、この分野への参入を発表し、Google検索上でARを利用した化粧品の試用体験を開始した(Googleブログ)。同社はL’Oréal(ロレアル)、Estée Lauder(エスティ ローダー)、MAC Cosmetics(マック・コスメティクス)、Black Opal(ブラックオパール)、Charlotte Tilbury(シャーロット・ティルブリー)などのトップブランドと提携しており、消費者が様々な肌色のモデルや、スマートフォンのフロントカメラを使って自分自身のメイクアップを試せるようにしている。

グーグルは、美容ブランドにAR技術を提供しているデータパートナーのModiFaceや、人気の高い「YouCam メイク」アプリなどのAR美容技術を手がけるPerfect Corpの協力を得て、この新機能を作成した。

画像クレジット:Google

現在、消費者がGoogle検索で、特定の口紅やアイシャドウ製品、たとえば「L’Oréal’s Infallible Paints Metallic Eyeshadow(ロレアル インファリール ペインツ メタリック アイシャドウ)」などと検索すると、検索結果の上部にバーチャルな試用体験が表示されるようになっている。ここから、様々な肌色のモデルの写真をクリックして、化粧品の色合いを比較し、自分にぴったりの製品を見つけることができる。

あるいは、自分自身でその製品を使った時にどうなるかを見てみるために、スマートフォンのカメラを使うこともできる。画面にはカメラの映像の下に様々な色が表示されるので、タップしてその中から1つを選ぶと、カメラが捉えている自分の顔に適用される。ソーシャルメディアに用意されているフィルター機能と似たような仕組みで、2019年に導入されたYouTubeのARメイク機能とそっくりだ。

画像クレジット:Google

ただしグーグルの機能は、ソーシャルメディアで共有するために自分のイメージを美化しようとするためのものではない。グーグルの目的は、消費者とブランドを結びつけて売上を伸ばすことにあり、オンラインショッピング全体に向けた投資の、そしてもちろん、オンライン広告事業をさらに拡大するための一環だ。

しかし、グーグルによれば、このARを使った試用体験自体は広告フォーマットとは見なされず、ブランドはこの機能に参加するためにグーグルにお金を払っているわけではないという。広告ではなく、これはグーグルがGoogleショッピングの検索結果をより多くの小売業者に開放しようとしている動きの続きだ。過去数年間、Google検索の「ショッピング」タブは有料の商品リストに限定されていた。しかし2020年6月、グーグルはショッピングタブの小売店リストの大半(未訳記事)を無料にすると発表した(Googleブログ)。

この動きは、新型コロナウイルス感染拡大によって物理的な店舗の閉鎖を余儀なくされ、事業に大きな影響を受けていた小売業者の危機的時期に行われた。しかし、グーグルは利他的な理由でこの変更を行ったわけではない。現実は、ショッピングタブを有料広告に限定したために、ショッピングの検索結果も限定されてしまっていたからだ。しばしば在庫切れ商品にユーザーを案内するなど、データの品質にも問題を抱えていた。一方、アマゾンが広告事業に大々的に力を入れてきたことは、グーグルの広告収入を削り取る脅威となっていた。

さらに、最近の若い消費者の多くは、グーグルで買い物をすることはまったくない。彼らはソーシャルメディアで商品を知り、そのあと小売店への直接リンクをクリックして購入したり、あるいはFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)などのソーシャルプラットフォーム上で、アプリから離れることなく、直接買い物しているのだ。

グーグルもこのインフルエンサー主導のショッピング市場に参入しようしている。

前述のARメイクに加え、Google検索は美容、アパレル、インテリアやガーデニングの愛好家や専門家からのおすすめ商品を表示するようになる。Googleショッピングで観られる動画では、彼らがお気に入りの商品について語ってくれる。たとえばプロのメイクアップアーティストのJonetからメイクの見せ方について話を聞いたり、Homesick Candlesからホリデーギフトについて聞くことができる。

この機能は、グーグルの社内インキュベーターであるArea 120(エリア・ワントゥエンティー)から生まれたShoploopを使ったもので、フェイスブックやインスタグラム、そしてより最近では、TikTok(ティックトック)によるビデオベースのショッピング施策と競合することになる。

現在、美容ブランドの売り上げは新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んでいる(WSJ記事)。その原因は、実店舗が閉鎖されたり、人々が自宅で仕事をするようになったからだけではない。顔の半分がマスクで隠れてしまうことで、化粧に力を入れる意味も半減してしまったからだ。

そんな時期に導入されるグーグルのARメイク機能とインフルエンサー動画は、iOSとAndroidのGoogleアプリで利用できる。

関連記事
YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる
グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:GoogleネットショッピングARメイクアップ

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmart(ウォルマート)とTikTok(ティクトック)は米国時間12月17日朝、TikTokのソーシャルビデオアプリを使った新たなライブ販売の試験で提携すると発表した。覚えている読者もいるかと思うが、トランプ大統領令によってTikTokが米国事業を米国企業に売却しない限り米国マーケットでの事業を禁止すると脅された際、ウォールマートはTikTokへの出資を計画した。その事業禁止令はいくつかの裁判所の判断を受けて現在、棚上げされている。しかしながらウォールマートのTikTokへの関心は衰えていなかった。ソーシャルネットワークと不釣り合いなようにみえるウォールマートは、若い世代のオンライン消費者を動画、特にライブストリーミングの動画を通じて引きつけることに可能性を見出した。

それがTikTokで行う新たなテストだ。

TikTokの新しい「shoppable product(買い物できるプロダクト)」のテストでは、ウォールマートライブストリーミングの間、TikTokユーザーはTikTokアプリを離れることなくウォールマートのファッションアイテムを購入することができる。ファッションアイテムそのものは10人のTikTokクリエイターによるコンテンツの中で特集される。クリエイターのグループはMichael Le(マイケル・ル)氏が率いる。同氏のTikTokダンスは4300万人超のファンを獲得している。他のクリエイターにはDevan Anderson(デヴァン・アンダーソン)氏、Taylor Hage(テイラー・ヘイジ)氏、Zahra Hashimee(ザハラ・ハシミー)氏ら新進気鋭のスターが含まれる。

クリエイターらは「Holiday Shop-Along Spectacular」というTikTokで開催される特別イベントに参加する。このイベントは米国東部時間12月18日午後8時にウォールマートのTikTokプロフィールで展開される。

画像クレジット:Walmart

イベントの間、クリエイターはそれぞれのスタイルでお気に入りのウォールマートファッションを披露する。一部のクリエイターはファンにクローゼットの中を垣間見せ、また別のクリエイターはリビンングルームをファッションショーの花道に仕立てたり、ファッショナブルなダンス披露したりするかもしれない、とウォールマートは話す。

TikTokユーザーが特集されたファッションアイテムを購入する方法は2通りある。

プロダクトがスクリーンに表示されると、ユーザーがタップしてアイテムをカートに入れられるピンが登場する。そしてユーザーはモバイルチェックアウトへと誘導される。あるいは、イベント終了時にショッピングカートのピンをタップして特集されたアイテムをチェックし、購入したいものを選ぶこともできる。

イベントを閲覧できなくても、TikTokユーザーはイベント終了後にウォールマートのTikTokプロフィールからアイテムを購入することが可能だ。

「当社の顧客のために買い物エクスペリエンスを刷新する方法を我々は常に模索しています」とウォールマートの米国担当マーケティング責任者William White(ウィリアム・ホワイト)氏は声明文で述べた。「顧客にさらに良いサービスを提供する新しい方法を探すために、我々はこれまで以上に迅速に動いています。当社のコミュニティのためにこのイベントを作り出しました。多様なクリエイターの暮らしや情熱、スタイルが反映されるため、視聴者は誰であれ、どんな服装を好むかにかかわらずイベントを楽しめるでしょう」と付け加えた。

ウォールマートは、TikTokプラットフォームで1年以上ブランドを展開していて(実際、ModernRetailがこのほど詳細に報じたレポートによると、ウォールマートはTikTokビデオの制作を従業員に課したりした)、モバイルショッピングで提携するというアイデアは直近の買収交渉の結果出てきたものではないと述べた。

ウォールマートはまたTechCrunchに対し、今回は合同テストという位置付けであり、アプリを通じての販売でTikTokとの売上高の共有はなく、手数料も発生しないと述べた。

画像クレジット:WalmartのTikTokプロフィール

TikTokが買い物できるビデオを手がけるのは今回が初めてではない。

同社は最近、この分野を開拓しており、2019年はハッシュタグに買い物の要素を加えたHashtag Challenge Plusを立ち上げた。ビデオ視聴者をTikTok内の買い物サイトに導くものだ。今年は、消費者がTikTok上に投稿されたリンクを通じて購入できる「Shop Now」ボタンをLevi’sのようなブランドが展開した。そして2020年秋の大きなディールとして、TikTokはソーシャルコマースでShopifyと正式に提携した。この提携によりShopifyの販売業者はShopifyのダッシュボードから直接TikTokマーケティングキャンペーンを展開することができる。

若いユーザーは楽しむため、そして買い物するためにインフルエンサーやオンラインビデオに目を向けていて、ライブストリーミング販売は急成長中の儲けが多いマーケットでもある。

程度の差はあるが主要なテック企業もこの分野に投資している。Facebook(未訳記事、フェイスブック)とInstagramで積極的に推進しており、Google(グーグル)はR&D部門を通じて、Amazon(アマゾン)はQVC(24時間テレビショッピング放送チャンネル)のようなAmazon Liveで、Alibaba(アリババ)はAliExpressで、またJD.comやPinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版アプリDouyinなども投資している。

しかし、TikTokはインフルエンサーがすでに彼らのお気に入りのアイテムやファッション、スタイルを見せびらかしている場所であるために、TikTokにとってライブストリーミング販売は自然な流れだ。

「TikTokではコミュニティにクリエイティビティを与え、喜びをもたらし、価値を加える新たな方法を常に模索しています」と同社のグローバルビジネスソリューション担当副社長Blake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は話した。「クリエイターとブランドはTikTok Liveを通じてオーディエンスとつながるためにクリエイティブな場所を見つけました。我々のコミュニティが好きなブランドを発見してそれに関わることができるようにするために、このインタラクティブなエクスペリエンスをさらに刷新することを楽しみにしています」。

そして「ブランドは今年1年を通してコミュニティに大きな影響を及ぼしました。ウォールマートが有意義にコミュニティに従事するためにTikTokのクリエイティビティとこの手のものとしては初となるエクスペリエンスを受け入れることに心躍らせています」と語った。

関連記事
トランプ政権のTikTok禁止措置に対する米連邦判事の2度目の判決、米政府の制限一時差し止め
TikTok対抗機能のInstagram Reelsでショッピングも可能に
WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartTikTokネットショッピング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

クロスボーダーeコマースの税務コンプラプラットフォームTaxdooがシリーズAで21.7億円調達

クロスボーダーのeコマース企業を対象に「金融コンプライアンスのために自動化されたプラットフォーム」と呼ばれるものを構築するスタートアップTaxdoo(タックスドゥー)が2100万ドル(約21億7000万円)の新規資金を調達した。

シリーズAラウンドをリードしたのは、ベンチャーキャピタルファンドのAccelで、Visionaries Club、20VC、それに既存投資家からHTGFが参加した。資金は、国際的な展開を含むTaxdooの成長や、増える雇用、研究開発、販売、顧客サポートに投資する。AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏がTaxdooの取締役会に加った。

Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏の20VCが含まれていることは注目に値する。ポッドキャスターからVCに転向した同氏は当初、同氏のマイクロファンドがさまざまなステージの米国のスタートアップをターゲットにしているため、欧州のVCであるStrideのパートナーとしての同氏の役割とは競合していないと述べていた。Taxdooはドイツのハンブルクを拠点としている。「20VCは基本的に、米国に対して主に投資しますが、英国とパリ以外の欧州のどこでもStrideが投資しない場所なら投資できます」とステビングス氏はWhatsAppのメッセージで明らかにした。

創業は2016年5月。3人の創業者であるChristian Koenigsheim(クリスチャン・ケーニヒスハイム)氏、Matthias Allmendinger(マシアス・アルメンディンガー)氏、Roger Gothmann(ロジャー・ゴスマン)氏がハンブルク大学で財務の博士号を取得した後だ。Taxdooは自動化により、Amazon(アマゾン)、eBay、Shopifyなどのさまざまなマーケットプレイスやプラットフォームで販売活動を行うクロスボーダーのeコマース企業が直面する税金とコンプライアンスの負担に対応したいと考えている。企業は、複雑さを増す付加価値税、会計、その他のコンプライアンス上の要請に直面しているが、データは複数のオンラインシステムにまたがってサイロ化されたままだ。

Taxdooはそのデータを1つの場所にまとめ、独自の技術によりトランザクションレベルのデータの取り込み、税金計算、欧州各国での申告を自動化する。顧客はプラットフォームを介して税理士と協力し、イントラスタット申告(物流に関する統計申告)を含むその他のコンプライアンスの負担を軽減することもできる。

「マーケティングと物流の観点から、欧州で国境を越えて製品を販売することがますます容易になっていますが、結果として生じる会計や付加価値税などのコンプライアンスの義務は販売業者にとって悪夢です」とTaxdooのクリスチャン・ケーニヒスハイム氏は筆者に語った。

「スプレッドシートを使用してこうした問題に手作業で取り組めばトラブルの元になります。この問題を解決するため、社内の専門知識を使って、データの収集からさまざまな国での付加価値税申告書の提出や販売業者の会計システムへの取引の統合まで、プロセス全体を自動化しました」。

ケーニヒスハイム氏によると、典型的なTaxdooの顧客はさまざまな市場や自社店舗で製品を販売しており、年間売上高は約500万~1000万ユーロ(約6億3000万~12億6000万円)だ。「私たちの最大の顧客は、年間売上高が1億5000万ユーロ(約190億円)以上のグローバルな消費者ブランドです」と同氏はいう。

例としては、air upやYFoodなどのD2Cブランド、eコマース企業のOmniDealやsellvinなどがある。「とりわけ私たちは、税務専門家、ERPシステム会社、eコマースエージェンシーと提携して、クライアントのこうした複雑な問題の処理を支援しています」とケーニヒスハイム氏は付け加えた。

「私たちの秘訣は、ワークフロー全体をエンドツーエンドで自動化することです。これは、自動化されたコネクターを使用して、マーケットプレイス、ショップ、ERPシステムなどのさまざまなチャネルからのデータを集約することから始まります。私たちのシステムが、適用されるすべての規制の下でデータを分析し、EU全体で必要な申告書を作成します。そして、私たちが作成した便利なソフトウェアソリューションにより、税務パートナーの国際ネットワークが申告書を提出します」。

Taxdooのデータは、販売業者の会計システムにエクスポートすることもできるため、販売業者は地域の税理士と容易に協働できる。

対象となる市場は急速に成長している。パンデミックによるデジタル化の加速とeコマースの成長が一因だ。Taxdooは、西ヨーロッパとスカンジナビアのeコマース取引全体に占めるクロスボーダー取引は現在約25%であり、さらに増加していることを示すデータを引用している。

AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏は声明でこう述べている。「eコマースは活況を呈しており、あらゆる規模の企業が自社の製品とサービスを国境を越えて販売しようとしているため、統合された金融および税務コンプライアンスツールが早急に必要とされています。Taxdooの創業者は、税務、財務、ソフトウェアの交差点で独自の経験を結集しています。Taxdooをカテゴリーを定義する会社に育てるために彼らと協力できることをうれしく思います」。

関連記事:人気ポッドキャストTwenty Minute VCホストのハリー・ステビングス氏、番組の人気に乗じてマイクロVC設立

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Taxdooeコマース資金調達

画像クレジット:Taxdoo

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

Amazon Fashionが写真を元にしたカスタムTシャツ作成サービスの提供を開始

Amazon(アマゾン)は米国時間12月15日、顧客がカスタムウェアを作ることができるMade for Youという新しいサービスを立ち上げる。このサービスでは正確な寸法のカスタムTシャツを作ることができる。しかしアプリで身体をスキャンしてサイズを測定するのにモバイルテクノロジーを活用している他の企業と異なり、Amazon FashionのMade for Youサービスではカスタムフィットのための測定材料としてユーザーが身長、体重、ボディスタイルそして写真2枚を提供する。

データを提供すると、ユーザーは8通りの配色のセレクション、好みの袖とシャツの長さ、ネックライン、ファブリックを選ぶことができる。

Made for Youを利用するにあたり、ユーザーはデザインをカスタマイズするのにまず2種類のファブリックのどちらかを選ぶ。普通重量の100%ピマコットンシャツか、軽量の3種混合(56%ピマコットン、38%モダール、6%ポリウレタン)シャツだ。その後スリム、クラシック、リラックスからフィット感を選び、クルーネックあるいはVネック、半袖あるいは長袖かを決める。

おまけとしてシャツのラベルに名前をプリントすることもできる。

カスタマイズが終わると、ユーザーは発注する前に仮想ボディに着せた状態でカスタマイズしたプロダクトを閲覧できる。このカスタマイズはウェブ、Amazonアプリどちらでもできる。

カスタムシャツの値段は25ドル(約2600円)で、プライム会員だけでなく全米のアマゾン顧客が利用できる。

画像クレジット:Amazon

立ち上げにあたり、Blake Scott氏(ブレイク・スコット、Instagramフォロワー65万人)氏、Caralyn Mirand(キャラリン・ミランド、Instagramフォロワー25万3000人)氏、Sai de Silva(サイ・デ・シルヴァ、Instagramフォロワー33万人)氏らを含むインフルエンサーがアマゾンに代わって新機能を宣伝しており、同社のマーケティングで特集されている。

カスタム服はよく贅沢なものとして考えられているが、アマゾンのプロセスは手ごろなものにする。既存のサイズでは収まらないためにフィット感に悩んでいる人にとってはありがたいだろう。しかしこのサービスは同時に、Amazon Fashion事業のための顧客データを収集するための試みであることは明白だ。

しかしながらアマゾンはMade for Youを、現在展開しているオンラインショッピングの障壁をなくす取り組みの一環と位置付けている。その障壁とは今回の場合、サイズとフィット感だ。これまで同社は顧客からのフィードバックに基づいてMade for Youにより多くのスタイルとセレクションを加えたいと話している。

画像クレジット:Amazon

アマゾンは、ユーザーがスタイリングの選択肢を評価するのに役立つEcho Lookカメラで実験をするなど、何年もファッション事業に注力してきた。そしていま同社はファッションインスピレーションのための画像を「Style by Alexa」に送ったり、売上に繋げたりするのにソーシャル機能#FoundItOnAmazonからのデータを使っている。Prime Wardrobeとオプションのスタイリングサービスで、アマゾンは顧客がどんなものを着たいのかを学習し、アイテムを数回に分けて自宅で試着できるようにすることでショッピングのプロセスを自動化しようとしている。

アマゾンはAmazon Fashion事業のために収集したデータを衣服のカスタマイズ以外に使うかどうか説明しなかったが、データは安全に保管され、顧客はMade for Youホームページの上部左側にあるプロフィールのアイコンをタップしてデータをいつでも削除できると述べた。同社はまた、アップロードされた写真は保存されず、バーチャル替え玉を作って測定値を決定するのに使った後はすぐさま削除されるとも話している。

アマゾンのこうした取り組みの最終目標は、オンラインでのアパレルショッピングを向上させることであり、これは他のエリアでも応用できる可能性がある。たとえばアパレルで何十ものプライベートレーベルを構築するのに使えるかもしれない。顧客の実際のサイズにデータを加えることで、ベストなフィット感のためにどのように服をカットするかを学習することもできるかもしれない。また、後に顧客が正しいサイズを写真から選ぶのをサポートすえるシステムに取り組むことも考えられる。

Made for Youはウェブとモバイルで12月15日から米国で利用できる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonファッションネットショッピング

画像クレジット:Caralyn Mirand

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

eコマースロジスティックスのShippitが23.6億円調達、東南アジア事業拡大を目指す

Shippit(オーストラリア、シドニー)のeコマースのロジスティックスのプラットフォーム、ShippitがTiger GlobalがリードするラウンドBで3000万豪ドル(約23億6000万円)を調達することに成功した。ラウンドにはJason Lengaも加わっている。同社はこの資金により東南アジアにおける存在を拡大する計画だ。2014年に創立されたShippitはロジスティックス全般を効率化することを目的とする。同社は発注に対する最適の配送業者の選定、積荷のトラッキング、返品の処理などを自動化するテクノロジーを持つ。

今回のシリーズBによりShipitは2017年以降、4100万豪ドル(約32億2000万円)を調達したことになる。資金は東南アジアを中心とする事業拡大に使用され、ソフトウェア開発者50人を含む100人を新規採用し、社員数を倍増させる計画だ。

Shippitによれば、現在オーストラリアでSephora、Target、Big W、Temple&Websterなど数千の小売業者の配送を月に500万件処理しているという。同社は5月にシンガポール、8月にマレーシアにオフィスを開設した。

共同ファウンダーで共同CEOのWilliam On(ウィリアム・オン)氏はTechCrunchの取材に対してこう語った。

東南アジアは5年以内に世界最大のeコマース市場になると予測されています。我々がターゲットとする市場は東南アジアだけですでにオーストラリアの5倍、米国の2倍の規模です。我々はフィリピンとインドネシアへの事業拡大を検討しています。東南アジア事業については今後3年間、最低でも前年比100%の成長を見込んでいます。

オン氏はまた「オーストラリにおけるShippitの事業も、過去12カ月で取扱量が3倍に増加しました」と述べた。

eコマースが拡大する中、新型コロナウイルス流行によるサプライチェーンとロジスティクスチェーンの不安定性があらわになったことはShippitのようなロジスティックスサービスの重要性を強調することとなった。アジア太平洋地域の電子商取引はパンデミック以前に急成長路線に乗っていた。Forresterによれば、こ同地域のオンライン小売売上高は2019年の1兆5000億ドル(約156兆円)から、2024年には2兆5000億ドル(約260兆円)へと、年平均成長率11.3%で成長すると予測している。

ライバルのスタートアップにはShipStation、EasyShip、Shippoなどがある。Shippitの競争戦略は、オンラインショッピングをできるかぎりシンプルにすることだという。このためオンラインショッピングカートと運送業者割当エンジンの統合などを目指している。これにより注文と同時に最適な運送業者の
決定までが自動的に行われるようになる。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shippiteコマース物流東南アジア

画像クレジット:Kiyoshi Hijiki / Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

eコマース企業の顧客対応を支援するGorgiasが約26億円調達

Gorgias(ゴルギアス)は12月10日、シリーズBラウンドで2500万ドル(約26億円)を調達し、ポストマネーのバリュエーションは3億ドル(約312億円)になったと発表した。

ちょうど1年少し前に同社がシリーズAラウンドで資金を調達したとき、CTOのAlex Plugaru(アレックス・プルガル)氏と共同で創業したCEOのRomain Lapeyre(ロメイン・ラペール)氏は、eコマース企業が最も受けることが多いカスタマーサービスの質問対応を自動化するためにeコマース企業と協業していて、その一方でサポートチームがより素早く対応し、追加で製品やサービスを購入したいと顧客に思わせることができるようサポートするツールも提供していると筆者に語った。

現在eコマース4500店超をサポートしていて「ここにはSteve Madden、Timbuk2、Fjällräven、Marine Layer、Ellana、Electrolux、Sergio Tacchiniなどが含まれる」とGorgiasは説明する。売上高は今年200%増えた。

パンデミックの間にeコマースが全体的に成長したことを考えれば、Gorgiasの成長は不思議ではない。各小売店のオンライン注文は「かなり増加」し、これは顧客サービスの要望の増加につながった。そうしてeコマース企業は次々とGorgiasに助けを求めた。

当初、eコマース業者は顧客により素早く対応し、サポートチームをさらに効率的にしたがっていた、とラペール氏は話した。しかし時間が経つにつれ、eコマース業者は「売上を伸ばす手段」としての顧客サポートの活用に興味を持つようになった。実際、同氏は対応時間に基づいてサポートチームに対価を支払っていたとある業者が今では販売手数料を払っていることを思い出した。

こうした傾向はパンデミックが終息した後も続くと考えている、とラペール氏は話した。「我々は5年先に進んだのです」

Gorgiasはこれまでに計4000万ドル(約42億円)を調達した。新規ラウンドはSapphire Venturesがリードし、SaaStr、Alven、Amplify Partners、CRV、Greycroftなどが参加した。

調達した資金でGorgiasは引き続き人材を採用し(30人だったチームは今年100人超に増えた)、特にオートメーションを開発するエンジニアリング分野の人材を増強するとラペール氏は述べた。

「消費者がますますオンラインで買い物し、Gorgiasのプラットフォームは高成長のeコマースブランドのために新種の顧客サポートを展開しています」とSapphire VenturesのマネジングディレクターRajeev Dham(ラジーブ・ダム)氏は声明で述べた。「共同創業者でCEOのロメイン・ラペール氏とチームは、eコマース業者が顧客とのコミュニケーションの全てを1つのアプリで管理できるという驚くようなプロダクトを開発しました。このプロダクトは最終的にはより良い顧客エクスペリエンスを提供します」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ネットショッピング、資金調達

画像クレジット:Gorgias

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

韓国のデジタル決済技術スタートアップCHAIが約62.4億円調達

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、韓国では非接触型決済と電子商取引の需要が高まっている。これは決済サービス事業者にとっては朗報だが、市場は非常に細分化されており、多くの加盟店にとって決済オプションの追加は時間のかかるプロセスだ。CHAIは、企業が20以上の決済システムを受け入れることができるAPIで、この問題を解決したいと考えている。ソウルを拠点とするこのスタートアップは12月9日、シリーズB投資ラウンドにおいて6000万ドル(約62.4億円)を調達したと発表した。

このラウンドは韓国のHanwha Investment & Securities(ハンファ・インベストメント&セキュリティーズ)が主導し、ソフトバンク・ベンチャーズ・アジア(ソフトバンクグループのアーリーステージ・ベンチャーキャピタル部門)、SKネットワークス、Aarden Partners(アーデン・パートナーズ)などの戦略的パートナーが参加。これにより、CHAIの資金調達総額は2月にシリーズAで調達した1500万ドル(15.6億円)と合わせて7500万ドル(約78億円)となった。

先月、韓国の中央銀行である韓国銀行は、新型コロナウイルスの感染流行が始まって以来、非接触型決済が前年比17%増加したという報告書を発表した(The Korea Herald記事)。

CHAIは「I’mport」と呼ばれるAPIを電子商取引企業に提供しており、これを利用することで、企業は現地の決済ゲートウェイを通じたデビットカードやクレジットカード、デジタルウォレット、電信送金、キャリア請求、PayPalなど、20以上の支払いオプションを受け付けることができるようになる。現在、Nike KoreaやPhilip Morris Koreaなど2200の加盟店で利用されている。

CHAIのDaniel Shi(ダニエル・シン)最高経営責任者(CEO)は、企業は通常、各種類のオンライン決済タイプを個々に統合しなければならないので、I’mportはクライアントの時間を大幅に節約していると、TechCrunchに語った。

また、同社は「CHAIカード」と呼ばれる独自のデジタルウォレットとデビットカードも提供しており、2019年6月の発行開始から現在までに250万人のユーザーを獲得しているが、これはSamsung Pay、Naver Pay、Kakao Pay、Tossなど韓国を代表するデジタルウォレットと比較すると少ない数字だ。

「CHAIは韓国のデジタル決済市場では後発の企業ですが、価値を提供するまたとない機会に恵まれました」とシン氏は言う。CHAIカードは、他のカードよりも低い取引手数料を加盟店に提示しており、一般的にユーザーは約20回もアプリをチェックして、カードやデジタルウォレットによる支払い頻度に応じて得られる新しいキャッシュバックやその他の特典を確認しているという。

「我々はプラスチックカードの使用体験をデジタル化しました。これは堅牢なオンライン・リワード・プラットフォームの構築に向けた第一歩です」と、シン氏は付け加えた。

ハンファ投資証券のSeungYoung Oh(オ・スンヨン)取締役は、「I’mportは、かつてeコマース事業者が数週間かかっていたことを、コピー&ペーストの簡単な作業にまで減らし、コストを大幅に削減しました。これは韓国では初のビジネスモデルであり、CHAIがこのサービスを世界的なフィンテックの分野に不可欠なインフラとして成長させていくことを確信しています」と述べている。

カテゴリー:ネットスーパー
タグ:非接触型決済、韓国、ネットショッピング

画像クレジット:CHAI

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

10分でグローサリーを配達するドイツのGorillasが約46億円調達

ハイパーローカルな配送センターを所有・運営し、すでにベルリンでサービスを展開しているグローサリー配達スタートアップGorillas(ゴリラス)がシリーズAラウンドで4400万ドル(約46億円)を調達した。

本ラウンドはヘッジファンドのCoatueがリードし、欧州の匿名投資家が参加した。CoatueのDaniel Senft (ダニエル・センフト)氏とBennett Siegel(ベネット・シーゲル)氏がGorillasの役員会に加わる。

AccelとIndexが本ラウンドに参加すると報道されていたが、結局投資しなかったことは注目に値する。Atlantic Food LabはGorillasの120万ユーロ(約1億5000万円)ほどだったとされているシードラウンドに拠出した。

今年5月にKağan Sümer(カーガン・シュメール)氏とJörg Kattner(イェルク・カットナー)氏によって設立され、ベルリンとケルンで事業展開しているGorillasは平均10分でグローサリーを届ける。ギグエコノミーモデルと異なり、同社は直接ライダー(配達人)を雇用し、家庭用品とともに新鮮なグローサリーを最短かつ「小売価格」で買い物客に届けることができると強調している。週に一度の買いだめから漏れるグローサリーマーケットに対応しようとしている。

一部の人は、Deliveroo(デリバルー)やUberEats(ウーバーイーツ)上で運営されている配達専門のレストラン、ダークキッチンにかけて、Gorillasが試しているモデルのことを「ダーク」コンビニエンスストアと名付けた。Gorillas、そしてDijaやWeezyのような欧州の競合他社はローカル配達オンリーのグローサリー・コンビニエンスストアを構築している。これらスタートアップはまた米国のgoPuffともよく比較される。

GorillasのCEO、Kağan Sümer氏は、配達モデルも含め巨大スーパーは消費者がスーパーマーケットとサプライチェーンのニーズに合わせてグローサリーの買い物を計画するようにデザインされていて、消費者のニーズに合わせてではない、と話す。

これは長期保存が可能な商品、生鮮食品でも賞味期間が長いもの、そして週ごとのまとめ買いに対応するモデルでは特に機能する。しかし2つのユースケースにとっては不便だ。大事な食材がないなどの「緊急」の買い物のとき、そして今すぐ消費したいものを中心に冷蔵庫の中身を素早く補充したいときだ。

「最大の問題は、大量買いが過剰に提供されていることです。つまり言いたいのは、スーパーのインフラ全てが大量買いを想定して形成されているということです、とシュメール氏は話し、これによりマーケットの3分の1が十分にサービスを利用できていないと主張した。

「ペンネはあるが、アラビアータではないとしましょう。今すぐ必要なソースをどうやって手に入れるか? その方法がないのです」

「なので我々は自問しました。もし人々が必要としているものを必要なときに提供する会社が登場したらどうなるか、と。我々の仮説は、そうなれば人々は感謝するだろうし、グローサリー購入を一層オンデマンドにシフトさせるだろう、というものでした」

Gorillasは「Faster than you(あなたよりも速い)」というスローガンを掲げ、配達料はわずか1.8ユーロ(約230円)だ。Gorillasについての疑問は、ユニットエコノミクスはどうなのかということだ。特に大規模展開するなかで、価格を大幅にあげない場合だ。「調達先との関係を通じて、我々は健全なマージンを確保していて、これにより小売価格で販売できます」とシュメール氏は述べた。「手堅いバスケットサイズ(買い物量)と調達マージンで、長期的に持続する事業を構築できます」

配達にかかる時間は平均10分だと同氏は話す。「フルフィルメントセンターを中心としたネットワークを通じて、狭い範囲で顧客にサービスを提供できます。究極的には、配達時間に関して完全に透明性のある効率的で素早いサービスの提供に努めます」とした。

一方で、新たに調達した資金はドイツ中にサービスを拡大し、それから欧州展開を加速するのに使われる。ドイツ以外での最初の展開はアムステルダムだ。加えてベルリンでのチーム編成にも資金を使う。来年の第2四半期末までにドイツ国内15都市と欧州で60カ所超のフルフィルメントセンターを展開する計画だと話している。

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット: Gorillas

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

InstagramがTikTokのライバル機能となるReelsでショッピングも可能に

Instagram(インスタグラム)は米国時間12月10日、TikTok(ティックトック)のライバル機能であるReels(リール)の中でショッピング機能をローンチした。この新機能は、ショッピング関連のアップデートの継続的な動きの1つとして開発中であることを、Instagramが2020年10月に発表していたものだ。今回のサービス開始により、企業もクリエイターもReelsを作成する際に商品にタグを付けることができるようになる。Reelsとは先月のデザイン変更後(未訳記事)にInstagram内で独自のタブが提供されるようになったショートビデオ形式だ。

同社によれば、すでに多くのReelsに、ファッションやメイクアップ、スキンケアや商品ハウツーなどのショッピングコンテンツが掲載されているという。今回のローンチにより、こうしたコンテンツを含むInstagramReelsを見たユーザーは「View Products(商品を見る)」というボタンをタップして、商品を購入したり、保存したり、採り上げられている商品の詳細を知ることができるようになった。

画像クレジット:Instagram

また、クリエイターはReelsに「Branded Content(ブランド提供コンテンツ)」タグを追加することで、ブランドと協力して商品のプロモーションを行っていることを明らかにすることができる。これは有料プロモーションの一形態となる。

今回のアップデートにより、Instagramにおけるショッピングの注目度はこれまで以上に高まるだろう。また登場も、動画を使ったショッピングの採用が増えてきた時期に重なっている。特に、ライブストリームのビデオショッピングに焦点を当てたスタートアップの数が増えてきている。ここ数カ月、投資家たちは、たとえばライブショッピングプラットフォームのPopshop Live (ポップショップライブ、未訳記事)やBambuser(バンブーサー、未訳記事)などの企業を支援してきたが、その一方でAlibaba(アリババ、未訳記事)、Amazon(アマゾン、未訳記事)、Google(グーグル)、JD.com(未訳記事)などの大手テック企業も、様々なかたちでビデオショッピングのトレンドに参加している。

画像クレジット:Instagram

おそらく最も重要なのは、InstagramのライバルであるTikTokが、最近電子商取引で(未訳記事)Shopifyと提携し(未訳記事)、そのプラットフォーム上でブランドに対して直接広告枠を提供したり、インフルエンサーとコラボを行い、Instagramの市場に食い込んできていることだ。TikTokはまた、トランプ大統領の禁止令により、同社が米国撤退の交渉に入ることを余儀なくされた際には、Walmart(ウォルマート)からも関心を寄せられていた(未訳記事)。そして、2020年にTikTokアプリは、世界で最もダウンロードされたアプリの1つとしてInstagramを抜き去った。これは若いユーザーたちのソーシャルメディアとの関わり方に、急激な変化が起きていることを示している。

引き離されたままではいけないと、Instagram はオンラインショッピングの目的地としてのトップの座を狙ってそのアプリを刷新した。(主要なホーム画面の機能の再配置[未訳記事]は多くのユーザーからの批判を巻き起こした)。アプリ内でFacebook Payを利用して顧客が購入すると、Instagramに収益が発生するため、同社は広告運用以外の収益を得ることができるようになる。

これでInstagramのユーザーはフィード、ストーリー、ライブ、IGTV、そして今回の最新のローンチによってReelsの動画からショッピングができるようになった。

同社によると、この機能はすぐにグローバル展開されるという。

関連記事
Instagramが同社の動画サービスIGTVでのショッピング機能を拡大、Reelsでのテストも計画
グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:InstagramTikTokネットショッピング

画像クレジット:Instagram

原文へ

(翻訳:sako)

3Dフットスキャンでスニーカーの返品を減らすNeatsyの挑戦

アメリカを拠点とするNeatsy AIは、心地よいスニーカーのフィット感を予測するための 3 Dモデルの撮影に、iPhoneのFaceIDに使われる深度センサー付きフロントカメラをフットスキャナーとして利用している。

同社のアプリは現在iOS向けにソフトローンチを行っており、来月には正式にローンチする予定。スニーカーのフィット感の好みについていくつかの基本的な質問に答えると、iPhoneのフロントカメラを使って足の3Dスキャンを撮影するステップに進める。アプリはスキャン結果を使用して、アプリ内で購入できるスニーカーを対象に、各モデルの横に緑色の文字でユーザー個人のフィットスコア(5 段階評価)を表示し、パーソナライズされたフィット感の予測を提供する。

靴のオンライン販売は、ブランドごとにサイズの規格が異なり標準化されていないため、実際に試着した後で返品される比率が高い可能性がある。Neastyはショッピングのプロセスにサイズとは別のもっと個人的なフィット感を伝えるシグナルを取り込むことで、この問題に同社のAIで取り組みたいと考えている。

2019年3月に創設されたこのスタートアップは、プレシードでエンジェル投資家から40万ドル(約4170万円)を調達してiOSアプリを市場に投入している。このアプリは現在、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、カナダ、ロシアで利用できる。

Neastyはアプリユーザーのフットスキャン結果を同社が開発した機械学習モデルで分析し、現時点ではPuma、Nike、Jordan Air、Adidasなどの大手スニーカーブランドを対象に心地よいフィット感を予測している。これはスニーカーのインソールのスキャン結果に基づくものだと、CEO兼創業者のArtem Semyanov(アルタム・セミヤノフ)氏は述べている。

また、同社は靴の素材も考慮に入れており、フィット感に関するユーザーからのフィードバックをもとに継続的にアルゴリズムに磨きをかけていくと、セミヤノフ氏は語る(同社によると、靴のレコメンド用3Dスキャニング技術の米国特許をすでに確保したとのこと)。

アルゴリズムの効率性は、今年の夏に実施されたいくつかの商用パイロットサービスでテストされた。同社によると、回答者140名のフォーカスグループで、スニーカーのサイズに起因する返品率は2.7倍減少し、返品全体でみても1.9倍減少することを実証できた。

返品の処理がオンライン小売店にとって大きなコストになるのは明らかだ。物流コストや破損、商品の紛失などの要因を考慮すれば、eコマース・アウトレットでのスニーカーの返品だけでも年間300億ドル(約3兆1300億円)に上るとNeastyは推定している。

「一般的に言って、靴のeコマースでの返品率は製品とショップによって 異なり30%から50%ほどです。このカテゴリーでいちばんよくある理由はフィット感とサイズのミスマッチなのです」とセミヤノフ氏は言う。同氏はNastyの創設以前はPrism Labsで機械学習チームを率いていた。

Zapposによると、最も高額なシューズを購入するカスタマーは最終的に購入品の50%を返品します。オンライン購入者の70%は年1回は返品しています。Statistaは返品配送による事業者のコストが2020年までに5500億ドル(約57兆3600 億円)に上ると推定しています」私たちのメールでの質問にセミヤノフ氏はメールでこのように回答している。同氏は次のように続ける。

「UPSの2019年の調査で分かったことですが、購入者の73%は返品にまつわる全般的な体験が同じ小売店から再購入するかどうかに影響を及ぼし、また68%が返品の体験はその小売店に対する全般的な見方に影響すると回答しています。そこにドラマがあるのです」。

「小売店は返品による高額な費用負担を受け入れざるを得ません。そうしなければ買ってもらえませんからね。でも私たちは対症療法的に問題を処理するのではなく、返品の根本的な理由に対処したいのです」。

Amazonのようなeコマースの巨大企業は物流に注力して配送プロセスの手間を減らし、配送と返品をスピードアップして、カスタマーが交換品を手に入れるまでの時間を短縮することでこの問題に対応するが、多くのスタートアップはサイズとフィット感の問題について、この5年間にデジタルツール(やあまりデジタルでない手段)で取り組んできた。3Dボディモデルから「スマート」サイズ計測スーツに至るまで、果てはブランドや衣料品に特化したサイズ計測用テープ(Nudeaのブラ用フィットテープ)さえも現れたが、誰でも何にでも使えるようなひとつのソリューションを考えついた人はいなかった。こうしたスタートアップの多くが沈んでゆき、あるいは成果を出せないままeコマースプラットフォームに買収されてきた

Neastyはフィット感について他の大勢の創業者たちがやろうとしたことに取り組んでいるが、少なくとも特定のニッチ(スニーカー)にターゲットを絞っている。比較的狭い領域に焦点を合わせることが有益なツールに育て上げるための手助けになるかも知れない。

また、広く普及しているiPhoneのセンサーハードウェアを利用できることからも優位に立てる(一方で、カスタムシューズデザインのスタートアップとして先行するSolely Originalはプレミアム料金を徴収して個人用のフィットキットを発送している)。

しかし、スニーカーの履き心地のよさに狙いを定めたとしても、Neastyのフットスキャンプロセスではユーザーが数々の操作を正しくやり遂げる必要がある(全体の手順は下のビデオを参照)。しかも無地の靴下を用意しなければならない(ストライプしか持っていない人は面倒かも)。スキャンは 1 回すれば済むのだが、2秒で完了ということはない。

本稿執筆時点で、私たちはNeastyのスキャンプロセスを自ら試すことはできなかった。というのも、FaceIDの深度センサー付きカメラを搭載したiPhoneが必要だからだ。執筆者の第2世代iPhone SEでは、アプリの指示に従ってスワイプして次のステップには進めるのだが、黒い背景に緑色の枠で左足撮影用のテンプレートが表示されて本来ならスキャン開始となるところで応答しなくなってしまう。

これはバグだそうで、必要なハードウェアを搭載していないiPhoneのモデルではスキャナーが全面的にオフになるように修正しているところだという(App Storeに掲載されている説明ではiPhone SE(第2世代)に対応と謳っているが、フットスキャン機能がそうだとは言っていない)。

Neastyアプリの現在のバージョンは、アプリに詳しいジェネレーションZやミレニアル世代をターゲットとして特選スニーカーを消費者直接販売(D2C)するeコマースだ。しかし小売店がこのテクノロジーを試してみるよう誘導する目的でこのアプリが製作されたのは明確である。

このことについてセミヤノフ氏に尋ねると、長期的に目指しているのはeコマースの世界でカスタムフィットモデルを当たり前にすることだと言う。

「Neastyアプリは、未来のオンラインショップがどうあるべきかについての当社のビジョンを示せる、最も手早い方法なのです」と同氏はTechCrunchに語る。「ユーザーを店舗に誘導し、スニーカーを買ってもらえれば利益の一部が分配されます。このアプリは小売業者にとって新しいローリターンの販売チャネルとして機能すると同時に、返品が及ぼす経済的な影響を自分で確認することもできるのです。

「長期的には、B2Bが当社にふさわしいビジネスモデルだと考えています。最終的にすべてのeコマース店舗がフィッティング技術を持つようになるでしょうが、それには当社製品が用いられると確信しています。オンラインショップで統一されたクレジットカード決済システムを導入するのと同じことになるのです」。

関連記事:バイオ素材のGenomaticaがナイロン加工のAquafilとの提携し再生可能な消費者製品生産

カテゴリー:ネットサービス

タグ:ファッション eコマース

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

中国で注目が集まるオンライン医療、AlibabaとJD.comのヘルスケア部門を比較する

中国テクノロジー業界の注目はオンライン医療へと転換し始めている。今週、JD Health(JDヘルス)は香港で2020年最大(Reuters記事)となるIPOの登録申請を行った(JD Healthリリース)。

Amazon(アマゾン)と同じく、中国の2大eコマース企業であるAlibab(アリババ)とJD.comは、巨大な医療業界を征服するための努力を続けている。提供するサービスは医薬品の深夜配達、美容整形などの消費者向け医療サービス、患者のオンライン診断から病院向けデジタルソリューション(予約管理など)、薬品メーカーの広告サービスまで多岐にわたる。

Alibaba Healthはeコマース企業である親会社の投資ポートフォリオとしてスタートを切り、ここ数年の一連の事業統合を経て子会社(Alibaba Groupリリース)へと成長した。一方のJD Healthは、2019年にJD.comからスピンオフしたあと、次々と大型出資を獲得した

ヘルスケア分野への進出は、巨人たちが目指すあらゆる商品のワンストップショップに向けての一歩だ。二大デジタル医療巨人を数字で比較する。

売上

収入源は両社とも医薬品(市販薬と処方薬の両方)およびビタミンサプリメントなどのヘルスケア製品の販売が大半を占めている。いずれも医薬品の消費者向け直接販売事業を有しており、サプライチェーン経由を主としながらもサードパーティー向けマーケットプレイスの機能も果たし、手数料の徴収によって収益化している。それぞれ、消費者、病院、および医薬品メーカーをターゲットにした小規模だが成長しているサービスセグメントを持つ。

Alibaba Health — 70億人民元(約1114億9000万円、9月末までの6カ月間)

JD Health — 88億人民元(約1401億2000万円、6月末までの6カ月間)

収益性

2020年、Alibaba Healthは初の黒字転換を果たし、9月期中間決算で2億7860万人民元(約44億3000万円)の利益を上げて、前年同時期の損失760万人民元(約1億2000万円)から大きく成長した。

JD Healthは6月までの半年間に54億人民元(約860億2000万円)の損失を計上、2019年の同時期は2億3630万人民元(約37億6000万円)の利益を上げていた。損失の主な原因は転換優先株追加発行後の公正価値の変化による。

アクティブユーザー

Alibaba Healthは生み出した売上は少ないがユーザー基盤は大きく、これはAlibabaの壮大なエコシステムのおかげだ。6月決算の1年間に、2億5000万ユーザーがAlibabaの企業・消費者間マーケットプレイスであるTmallのオンライン薬局を通じて購入した。Alibaba Healthの消費者直接薬局のアクティブユーザーは6500万人だった。

それに対して、JD Healthのプラットフォームで2019年1回以上購入したユーザーは7250万人だった。

医師ネットワーク

2社ともにオンライン健康相談サービスを提供しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延によって需要が急増した。Alibaba Healthは9月時点で3万9000人以上の医師からなるネットワークを有していたのに対して、JD Healthは社内および第三者の医師6万5000人とつながっている。

関連記事:JD.comの創業1年のヘルスユニコーンがHillhouseから876億円を調達する

カテゴリー:ヘルステック
タグ:AlibabaAlibaba HealthJD.comJD Healtheコマース

画像クレジット:JD.com

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SellerXが1億1800万ドルを調達、Amazonマーケットプレイスのセラーを買収予定

Amazon(アマゾン)のマーケットプレイスが成長、成熟し続ける中、eコマースの世界において新たなチャンスが出現した。Amazonのプラットフォームを介して販売活動をする中小企業の中でも特に有望な企業を合併して、そのエコシステム内で独自の経済を構築するという、新種のスタートアップによる新たなシステムだ。最近ではベルリンを拠点とするSellerX(セラーエックス)が1億1800万ドル(約124億円)のラウンドを終了。調達金は支払い、物流、配送にFulfillment by Amazonを活用する中小企業を買収するために使用される予定だ。

このラウンドはCherry Ventures(チェリーベンチャーズ)、Felix Capital(フェリックスキャピタル)、TriplePoint Capital(トリプルポイントキャピタル)が共同でリードしており、Village Global(ヴィレッジグローバル)、Zalando(ザランド)共同創業者のDavid Schneider(デビッド・シュナイダー)氏、Shutterfly(シャッターフライ)のCEOで元Amazon UKのChris North(クリス・ノース)氏、ドイツを拠点とする大手Amazonセラーで、携帯電話のアクセサリーや家庭用品を販売するKW Commerce(KWコマース)の創業者らも参加している。

この1億1800万ドルはSellerXのシードラウンドであり、実質的にはこれまでで初めて調達した資金である。中にはエクイティもあるがほとんどが借り入れによる調達で、これらは中小企業を買収して同社の戦略を実施するために使用される予定だ。同スタートアップをPhilipp Triebel(フィリップ・トリーベル)氏とともに共同創設したMalte Horeyseck(マルテ・ホリーセック)氏は、同社は「デジタル版Procter & Gamble」になると豪語している。

トリーベル氏によると、SellerXは家庭用品、ペット、園芸用品、子供関連、美容商品などの「エバーグリーン的な消費財」にフォーカスする予定とのことだ。これまでに1件の買収を成功させており、著者が情報を訊ねたところ公開は拒否されたものの、今後数週間のうちに行われる他の買収と合わせ、SellerXは今年末までに2000万ユーロ(約25億円)の収益を上げることができるだろうとホリーセック氏は述べている。

Amazonのマーケットプレイス界におけるロールアップ事情は、実際かなり勢い付いている。過去数か月の間にも、Fulfilled by Amazonを使用して販売を行うポテンシャルの高い中小企業を合併するため、多くのスタートアップ企業が借り入れと共に大規模な資金調達を行なっている。

ちょうど昨日もHeyday(ヘイデイ)と呼ばれる米国拠点の企業が1億7500万ドル(約183億円)のラウンドを発表。今週初めにはロンドンに拠点を置くHeroes(ヒーローズ)が6500万ドル(約68億円)のラウンドを発表し、Perch(ペーチ)は先月1億2300万ドル(約129億円)を調達した。この分野のもう1つのビッグプレイヤーであるThrasio(スラシオ)は、今年初めに同社のデットラウンドで評価額12億5000万ドル(1300億円)となった。

この機会に飛びつくのも無理はない。Amazonのマーケットプレイスはeコマースの世界で急速に主要プレーヤーとなり、さらに新型コロナウイルスの世界的なパンデミックによって物理的なショッピングが難しくなったため、ますます需要が加速した(例えば現在イギリスでは「生活に必要不可欠な店」以外は休業を余儀なくされている)。Amazonは980億ドル(約10兆2500億円)の収益を報告したが、同社の前四半期製品売上高は520億ドル(約5兆4400億円)に達し、マーケットプレイスの販売者による売上高はその50%強と推定されている。Felix(フェリックス)の創業者であり投資家でもあるFrederic Court(フレデリック・コート)氏は、Amazonはすでにオンラインリテールの50%を占めていると指摘する。

「今やAmazonは現代のハイストリート(繁華街)である」と同氏はインタビュー中で語っている。

それと同時に、企業が従来の小売店方式を放棄して独自のブランドを構築し、独自の条件で独自の商品を販売する「D2C」という概念も盛んになってきている。Amazonはこの傾向ができ上がるまでの道のりで大きく貢献していると言える。作家がAmazonで自社出版すれば出版社との契約を避けられるのと同じで、Amazonに商品を掲載すれば、購入してくれるかどうかわからないバイヤーに商品を売り込むことなく、膨大な買い物客に直接アクセスすることができるのだ。

その一方で、プラットフォーム上では非常に大きな断片化が生じている。Amazon人気が高まるにつれ、個々の売り手がその他大勢の売り手の中に埋もれてしまい、また差別化を図ることも難しくなっている。

Amazonには掃いて捨てるほどのモノが売られている。卸売サイトから購入してAmazonで転売する業者で溢れかえっているため、同サイトには同一の無名製品がたくさん売られている。

同社の審査システム課題があり、怪しい製品も多数売られているせいで普通に買い物をしているだけでは良し悪しを識別するのは至難の業である(同社はこれを解決するための努力をしているようだが、まだ解決からは程遠い)。

そのため、Amazonには問題が生じている。製品が素晴らしいからという理由ではなく、何でも揃っているため、ニーズを満たすだけの探し物は見つかるという価値と、Amazonプライムの配送システムの魅力のみからAmazonは今も成り立っているように感じられるのだ。

ホリーセック氏によると、SellerXの目的は(また競合他社にもそうであって欲しいのだが)、最も成功している企業をただ見つけるのではなく、資本や専門知識、企業を長期的に維持する体力がなくても、Amazonのフレームワークを使用して誠実に面白いものを売っている企業に焦点を当て、ビジネスを繁栄させることだという。こういったセラーを拾い上げ、SellerXが構築している独自のアナリティクスやプロセス、生産に関わるネットワークを応用して、苗木を大木へと育て上ようというアイデアである。

結果的にはSellerX、小規模セラー、そしてAmazon全員にとって、すべての面でWin-Winになるとホリーセック氏は考えている。

「我々の取り組みによって、Amazonはより質の高いマーケットプレイスへと生まれ変わることができるでしょう。常にハイクオリティな製品を提供することができる、より強力なD2Cブランドを築き上げることが目的です。これは今のAmazonにとって非常に重要な改善点です」と同氏は言う。

Cherry Venturesの共同創業者であるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は発表の中で次のように述べている。「Amazonには多様なセラーが存在します。カテゴリー別でのベストセラーや大きな収益をあげている製品を扱うセラーなどを獲得し、テクノロジーを介して彼らを強化し、次世代の消費者ブランドへと築き上げることで、これまでにない新たなチャンスを生み出すことが可能になります。創業者のマルテとフィリップは、10年におよぶeコマースとバイ・アンド・ビルド戦略の専門知識を兼ね備えており、この機会を逃すことのないよう確実に準備を整えています」。

関連記事:中国のミレニアル世代にビタミンサプリをネット販売するLemonBoxが2.6億円調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:eコマース 資金調達 Amazon

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

中国のミレニアル世代にビタミンサプリをネット販売するLemonBoxが2.6億円調達

中国外に居住する多くの中国人と同様、Derek Weng(ドレック・ウェン)氏は中国に帰国する時はいつも家族や友人から買い物を頼まれる。最も頼まれることが多いプロダクトはマタニティーアイテム、化粧品、そしてビタミンサプリメントだ。中国に住む多くの人が「輸入物の方が品質がいい」と考えている。

そうした需要からウェン氏はビジネスのアイデアを得た。米国の健康補助食品を自身と同じ中国のミレニアル世代にオンラインで販売しようと2018年にLemonBox(レモンボックス)を興した。同社はすぐにY Combinatorからシード資金を獲得し、そしてちょうど今週、250万ドル(約2億6000万円)のプレAラウンドの完了を発表した。同ラウンドはPanda Capital(パンダキャピタル)がリードし、Y Combinator(Yコンビネータ)が参加した。

LemonBoxは2つの点で他の輸入会社と差別化を図っている。求めやすい価格と、パーソナリゼーションだ。以前Walmart(ウォルマート)で中国輸入事業に関わっていたウェン氏はTechCrunchに対し、多くの米国サプリメーカーと知り合いで、これにより中間業者のコストを省くことができていると話した。

「中国ではほとんどのサプリメントは薬局やAmway(アムウェイ)のような連鎖販売取引企業を通じてかななりの利幅で販売されています。しかしビタミンは製造するのにさほどコストはかかりません。Amwayや同類の企業はマーケティングと販売にかなり金をかけています」

LemonBoxのフルフィルメントセンターの内部

LemonBoxはWeChatベースのライト版アプリをつくった。ユーザーがアプリで自身の健康状態に関する質問に応えるとプロダクトのレコメンデーションが案内される。LemonBoxはボトルで販売するのではなく、毎日摂取するさまざまなサプリのパックを提供することでユーザーのニーズをカスタマイズしている。

「もしあなたがベジタリアンで旅行が多い、そして別の人はかなり喫煙するという場合、それぞれが必要とするものは全く異なります。私はビッグデータを使ってユーザーの処方箋をカスタマイズしたかったのです」とビジネススクールで人工知能を学んだウェン氏は説明した。

たとえばBコンプレックスタブレット30錠はLemonBoxでは35元(約560円)だ。Amwayの同様のプロダクトの120錠入りボトルはJD.comでは229元(約3650円)で販売されている。これは30錠あたりの価格にすると57元(約910円)になる。

安いビタミンを販売することはLemonBoxにとって、消費者を引き寄せ、中国のミレニアル世代の健康に関する洞察を得る手段にすぎない。洞察をもとに同社は品揃えを増やしたいと考えている。ウェン氏は同社の顧客規模を明らかにするのは却下したが、ユーザーコンバージョンレートは「たいていのeコマースサイトより高い」と述べた。

新たな資金でLemonBoxはシリコンバレー拠点のものに次ぐフルフィルメントセンターを深センの自由貿易地域に開所する。新型コロナウイルスで国際線フライトや国境をまたぐ貿易に混乱が生じるなか、サプライチェーンに安定をもたらすのが目的だ。さらに同社は健康関連の認証の確保と調達地域に日本を加えることにも資金をあてる。

LemonBoxのWeChatベースストアのスクリーンショット

ウェン氏が米国で暮らしていたここ10年ほどで中国のインターネットは激変し、主にAlibaba(アリババ)とTencent(テンセント)に支配された産業になった。ウェン氏は単に米国のD2Cモデルを中国で真似ることはできないと気づいた。

「米国ではウェブサイトを、そしてアプリも作るかもしれません。製品を販売するためにGoogle(グーグル)やFacebook(フェイスブック)、あるいはInstagram(インスタグラム)にあなたのサービスを埋め込むでしょう。全ての“大陸”が互いにつながっています」とウェン氏は述べた。

「中国では全く状況は異なります。第一に、多くの人はウェブブラウザを使いません。モバイルから接続しています。Baidu(バイドゥー)はGoogleほど人気ではありませんが、みなWeChatを使っています。WeChatはトラフィックの多い主要プラットフォームとは関係がありません」

かくしてLemonBoxは、ウェブ版の立ち上げやAlibabaのTmallマーケットプレイスへの出店など、WeChatストア以外での展開を模索している。

「学ぶべきことはたくさんあります。ゼロから学ぶような体験です」と同氏は話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達、eコマース、LemonBox

画像クレジット: LemonBox founder Derek Weng with Eric Migicovsky

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

中国のテック企業はこぞってグローサリー分野に注力する

中国の大手インターネット企業のほぼ全社がオンライングローサリーに関与している。ちょうど11月29日の週、Alibaba(アリババ)が創業2年のグローサリー共同購入会社Nice Tuan(ナイス・トゥアン)の4つめの資金調達ラウンドとなる1億9600万ドル(約205億円)のC3を共同でリードした。

中国の人々は、グローサリーを含め、ほぼすべてのものをオンラインで購入する。当初、グローサリーのeコマースの利用者は主に、eコマースの便利さに頼りながら育ったデジタルに精通しかつ配達のための料金を払うことを厭わない人たちだった。一方、多くの高齢者は一般に食材が安くで手に入る従来の生鮮市場に足を運ぶのを好む。

いま、中国のテック企業は全世代のグローサリー買い物客を急いで囲い込んでいる。かなりの資金を集めている新しいビジネスモデルとしてはNice Tuanがある。同サービスはいわゆるコミュニティ共同購入だ。

従来型のグローサリーeコマースにおいては、Alibabaのような仲介プラットフォームは通常、個人の買い物客を数多くの小売業者に結びつけ、玄関先まで商品を配達する。中国ではそうした商品は通常1時間以内に配達される。

それとは対照的に、コミュニティ共同購入は近所を管轄するマネージャーに頼っている。マネージャーは往々にしてパートタイムの仕事を探している主婦で、マネージャーが近所で販促をし、人気のWeChatメッセンジャーによるグループチャットで注文をまとめる。そしてマネージャーはサプライヤーに共同購入の注文を入れ、コンビニエンスストアなど地域のピックアップ場所で客に商品を渡す。

受け渡されるのを待つグローサリーバッグが山ほど店舗の隅にある光景は最近では珍しいものではない。このモデルは米国居住の中国人起業家に動機付けを与えた。

eコマースがユビキタスなものになっている中国においてすら、グローサリーショッピングの大半はいまだにオフラインで行われている。それが急速に変化している。調査会社iiMediaによると、グローサリー共同購入が始まったエリアは2020年に前年比100%増で、マーケット規模は720億元(約1兆1400億円)に達すると予想されている。

グローサリー共同購入と客によるピックアップは、玄関先まで配達される利便性が当たり前だった世界からの後退のように聞こえる。しかしグローサリー共同購入モデルにはいくつかのセールスポイントがある。グループチャットでのテキストによる注文は高齢者にとって利用しやすい。eコマースアプリはたくさんのボタン、そしてわかりにくい販売ルールがあり、使いづらさを高齢者は感じている。また、まとめ注文によりセールスマネジャーはサプライヤーからお得に購入できるかもしれない。もし共同購入会社が攻めの姿勢なら、展開するサービスにラストマイル配達をいつでも追加することができる。

中国のテック企業は明らかにオンライングローサリーについて強気で、成功のための投資を確固たるものにしようとポートフォリオを多様化している。Tencent(テンセント)はNice Tuanの主な競合相手であるXingsheng Youxuanの投資家だ(Bloomberg記事)。フードデリバリーサービスのMeituanは自前のグローサリー部門を抱えていて、従来型のデジタルグローサリー店舗、そしてWeChatベースの共同購入モデルを展開している。eコマースの新興企業Pinduoduoもグローサリー共同購入に対応している。Alibabaはすでに、オンラインとオフラインどちらでも展開しているHemaスーパーマーケットを運営している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ネットショッピンググローサリー中国

画像クレジット:A Nice Tuan user picks up her grocery order from a group-buying manager. Photo:Nice Tuan

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

フランス当局が偽造品販売容疑でモバイルショッピングの「Wish」を捜査

フランス政府で消費者の権利と詐欺を担当する機関が、モバイルEコマースプラットフォームで最近上場申請(未訳記事)したWish(ウィッシュ)の捜査を行った。同社は2019年に19億ドル(約1980億円)の売上を記録したが、フランス政府はWishがスニーカーや香水などの製品を、有名ブランドのロゴを偽って表示した画像を使って販売していたと考えている。

製品の誤表示だけでなく、Wishは実際にはそうでないのにセール品であると偽っていると当局はいう。Wishは一部の商品に70%オフ、80%オフ、90%オフなどと表示していたが、元の価格はまったくのでっち上げだった。

捜査を担当するdirection générale de la concurrence, de la consommation et de la répression des fraudes(DGCCRF、競争・消費・詐欺防止総局)は、フランス経済・財務省配下の機関だ。同局はパリの裁判所に報告書を送った。

後は裁判所が、申し立てが正しいか根拠がないかを決めるだけだ。「裁判所はWishを召喚するか罪状を認めるよう提案することができます。近いうちにわかるでしょう」とフランスのCédric O(セドリック・オ)デジタル経済大臣はいう。

もしWishが有罪になれば、フランスでの年間売上の最大10%を徴収される可能性がある。中でもサードパーティーの販売業者が扱った商品についてWishが責任を問われるかどうかが注目される。

本件のタイミングは、欧州のデジタルサービス法によって2000年からのえコマース指針が全面改訂されることを考えると少々奇異に感じる。すべての目はコンテンツ管理に向けられているが、デジタルサービス法は偽造品販売者やマーケットプレイスの責任などにも焦点を当てている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Wisheコマースフランス

画像クレジット:Emilija Manevska / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サイバーマンデーの米国オンライン売上予想は史上最高の1兆3250億円

2020年の感謝祭とブラックフライデーのオンラインショピング売上は2019年を大きく上回ったが、例年のショッピングの混雑を避けて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるソーシャルディスタンスと不況を後押しするオンラインショッピングとしてはやや期待はずれだった面もある。

そして現在、みんなの目は「サイバーマンデー」に向けられている。ここ数年4日間セール中最大のオンラインショッピングデーとなっている。Adobe(アドビ)は米国史上最大となる108億ドル(約1兆1270億円)から127億ドル(約1兆3250億円)の消費を予想しており、Salesforceの予測はその中間の118億ドル(約1兆2310億円)だ。全世界の数字は460億ドル(約4兆8000億円)になるとSalesforceはみている。

アドビによる売上の40%がスマートフォンによるという数字は、週を通じて比較的安定している。一方、小規模小売業者の利用が多いShopifyは70%に近い数字を出している。

内訳を見ると、ブラックフライデーが90億ドル(約9390億円、未訳記事)で感謝祭が51億ドル(約5320億円)というのがアドビの数字だ。そして2019年のサイバーマンデーでは94億ドル(約9810億円)が消費された

Salesforceの方が楽観的で、ブラックフライデーのデジタル売上は128億ドル(約1兆3350億円)、全世界では620億ドル(約6兆4690億円)、感謝祭の米国オンライン売上は約68億ドル(約7090億円)で全世界では304億ドル(約3兆1720億円)と予想している。

「サイバーマンデーは過去のオンライン売上の記録を軒並み破る勢いです。消費者がテレビ、おもちゃ、パソコンなどの価格が上がり始める前にディスカウントを利用することは間違いありません」とAdobe Digital InsightsのディレクターであるTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏は語った。「買い物客はクリスマスシーズンに向けて価格が高くなる前にプレゼントを買おうこという気持ちになっています」。

本誌はデータが手に入り次第数字の更新を続けていく予定だ。ちなみにアドビは、サイバーマンデー売上の29パー千Mとが太平洋時刻午後7時から11時の間(1日の仕事が終わった後)に生まれるだろうといっている。

2社の数値の違いの一部は集計方法による。アドビは米国のトップ100小売業者のうち80社の数字に基づいており、約1兆回の取引を対象としている。Salesforceは同社のCommerce Cloud(コマース・クラウド)から集めたデータを使って数十億件の買い物と数百万件のソーシャルメディアからのコンバージョンをカバーしており、それらを組み合わせてShopping Indexの分析を行っている。

両者のデータからはっきりいえるのは、サイバーマンデーは最大の日であり続けるだろうということだ。何故か?サイバーマンデーには破壊的状態が起きるからだ。ホリデーシーズンに向けた大セールはやっているがみんな仕事に戻っているので、店に行く代わりにオンラインでショッピングをする。そしてサイバーマンデーの数字は大きくなる。

長い週末の他の日と同様、売上に影響を与える要因の1つは、セールの開始がどんどん早くなっているという事実だ。しかしアドビは、多くの消費者は未だに大安売りは特定の日に設定されていると信じているという。人気の高い商品カテゴリは、パソコン(平均30%値下げ)、おもちゃ(平均20%)、家電製品(21%)、電子機器(26%)などだ。

大企業はオンラインショッピングでも最大の収穫を上げ続けている。大きな理由は、消費者にとって配達、受取り、返品などの選択肢が広いことで、購買層がものわかりのよいアーリーアダプターからより一般的でオンラインショッピングに慣れていない消費者へと移れば移るほど、その優先度は高くなる。年間売上10億ドル(約1040億円)以上の大型小売業者のコンバージョン率は、小規模事業者より平均70%高い。

それでも小企業はここ数年、さまざまなスタートアップやフルフィルメント、配送などで「Amazon(アマゾン)のようになる」ためのツールをつくるShopifyのような会社に後押しされて、追いつこうとしている。アドビによると、最新の感謝祭ショッピングホリデーであるSmall Business Saturdayには、47億ドル(約4900億円)が消費され、2019年を30.2%上回る新記録だった。そして、小企業にとっての厳しい時期が何であるかを象徴するように、今年のSmall Business Saturdayに落とされた金額は10月の1日平均より294%も多かった。

これまでにホリデーウィークエンドで235億ドル(約2兆4520億円)が消費されている。

関連記事
2020年感謝祭の米国ネットショッピング売上は前年比42.3%増の6200億円超の見込み
米国サイバーマンデーのオンライン売上高は過去最高の約1兆200億円

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Adobeネットショッピングサイバーマンデー

画像クレジット:fotog / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人や家族などとコミュニケーションを楽しみながらグループ購入を行える「シェア買い」アプリ「カウシェ」(KAUCHE。Android版iOS版)開発・運営のX Asiaは11月30日、約1.8億円の資金調達を発表した。取引先はANRI、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド。調達した資金は、カウシェの機能開発、人材採用などの強化に用いる。

また、11月30日のAndroid版リリースを記念し、「Androidアプリ リリース記念キャンペーン」も開始した。先着300名限定の特別クーポン(1人1回利用可能)のプレゼントを行っている。期間は12月6日23時59分まで。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

カウシェは、ショッピングの醍醐味ともいえるコミュニケーションをオンラインで実現するアプリ。買い物可能な商品は食品や酒類を含む飲料など。

X Asia 代表取締役CEO 門奈剣平氏によると、従来ECサービスのように(ひとりだけで)目的の商品を購入できればよいという形態ではなく、ショッピングセンターやデパ地下などで魅力的な商品を偶然見つけて、「この商品、よくない?」「一緒に買おうよ!」といったやり取りやつながりを楽しみつつ、購入できるショッピング(醍醐味)アプリを目指しているという。買い物ならではの楽しさの実現のため、あえて検索機能を用意していないそうだ。

カウシェでは、購入したい商品を選び、割引価格での購入を決定後に、「シェア買いURL」情報をLINE・Twitter・InstagramなどのSNS上でシェアすることになる。この時、24時間以内に(自分以外の購入者として)友人・家族など1人以上が商品の購入を決めると「シェア買い」が成立し、価格の最大70%引きの値段で商品を入手できる(商品により割引率は異なる)。24時間以内に「シェア買いが成立しなかった場合」は、全額返金となる。なお、シェア買いは匿名参加も可能で、個人情報を他の希望購入者に明かすことなく買い物を行うこともできる。

シェア買いが成立した製品については、個別決済・個別配送が行われるため、集金や割り勘などの手間がない。9月25日よりApple Payに対応し、iOS版の場合よりスムーズに買い物を楽しめる。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

2020年4月創業のX Asiaは、カウシェ(iOS版)を2020年9月より提供開始。リリース初日に1000リットル以上の水が「シェア買い」されたという。iOS版リリースから現在までに、購買者数が約4倍に増えたほか、カウシェ掲載商品数は1500点以上に到達。より多くの方に「シェア買い」購入体験を届けたいとしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:X Asiaカウシェ資金調達(用語)食品(用語)ネットショッピング / eコマース(用語)日本(国・地域)

2020年感謝祭の米国ネットショッピング売上は前年比42.3%増の6200億円超の見込み

米国時間11月26日、人々が感謝祭の料理を準備したり食べたり、特別な一日をリラックスして過ごすための「仕事」をしている中、祝日にお買い得品を求めてオンラインショッピングに勤しむ人もいる。Adobe(アドビ)は、米国のトップ100の小売業者のうち80社のオンライン販売をリアルタイムで追跡しており(Adobeサイト)約1億のSKUをカバーしているが、初期の数字を見ると、感謝祭の日の電子商取引売上額は60億ドル(約6240億円)を突破するだろうと述べている。一方、Shopifyは、そのプラットフォームに加盟する100万以上の小売商の活動に基づき、カート内の平均金額は全世界では84.50ドル(約8792円)、米国では特に88.30ドル(9188円)だったと述べている。

なお、感謝祭の売上高の数字が入り次第、この記事は更新していく予定。

売り上げ好調が予想されるシーズンに、2020年は消費者がオンラインショッピングで1891億ドル(約19兆6740億円)を消費するとアドビは見ている。

Adobe(アドビ)の60億ドルという数字をいくつかの文脈に当てはめると、ホリデーシーズン全体では2019年比33.1%増という予想が浮かび上がってくる。アドビは2019年に、買い物客が感謝祭に42億ドル(約4370億円)をオンラインで消費したと発表しており、今年、2020年の数字は42.3%増ということになる。そして今日に至るまで、今週の各日は30億ドル(約3122億円)以上の売り上げがあった。

何が起こっているのだろうか?この数字は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年の経済的な落ち込みにもかかわらず、小売業者は少なくとも、伝統的に最も重要な売り上げ期間である次の数カ月間に、損失の一部を補うことができるだろうという希望に満ちた兆候である。

ここ数カ月にわたって我々が報じてきたとおり、全体的に2020年は電子商取引にとって高水位の年となっている。オンラインにおけるブラウジングやショッピングの増加という大きなトレンド(年々増え続けている)を、コロナ禍がさらに後押ししていることは明らかだ。

新型コロナウイルスの蔓延を抑えるために、人と人との距離を開けようという動きは、多くの人を店舗のような混雑した場所から遠ざけるように駆り立てた。私たちは家にいることを余儀なくされ、自宅からインターネットで物事を済ませるようになった。

このような傾向は、すでにオンラインショッピングに慣れている人がより多くのお金を使うようになっているというだけでなく、オンラインショッピングというプラットフォームに新しいカテゴリーの買い物客を導き入れているのだ。

アドビによると、今週のこれまでのところ、全売上の9%が「店舗が閉店していたり、対面での接触によるウイルス感染を避けようと、従来の実店舗の買い物客がオンラインで取引を完了させるようになったことによる正味の新規顧客から発生したもの」だという。

ブラックフライデー(感謝祭の翌日)は、伝統的にホリデーショッピングの始まりとされてきたが、電子商取引の成長により、実店舗が閉まっており多くの人が何もすることなく家の中をうろうろしている感謝祭の日が、より重要視されるようになってきた。今年はその傾向を踏襲しているようだ。

「家族は休日に多くの伝統を持っています。しかし、旅行が制限され、自宅に留まることを要請され、ウイルスの蔓延に対する恐れなどから、米国人はその多くを楽しむことができなくなっています。オンラインショッピングは、オンラインで維持することができる祝祭日の習慣の1つであり、売上高は、贈り物の習慣が今年もずっと愛されている伝統であることを示しています」と、Adobe Digital InsightsのディレクターであるTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏は声明で述べている。

もっとも、ブラックフライデーの売り上げが縮小するといっているわけではない。アドビは、今年のオンライン販売における売り上げが103億ドル(約1兆702万円)を突破すると予測している。

何が売れているのか、いくつか掘り下げてみよう。

アドビによると、ボードゲームや「家族に焦点を当てる」その他のカテゴリーが好調で、売上は2019年の5倍に増加しているとのこと。

同様に、私たちがいま、どれほどオンラインで食料品の買い物をしているかということだが、先週の食料品の売上は10月と比較してなんと596%も増加している。人々は長い週末のために食料品を買い込んでいたのだ(家族と一緒に食べるかどうかはともかく)。

その他の多く売れた商品としては、「Hyrule Warriors: Age of Calamity(ゼルダ無双 厄災の黙示録)」や「 Just Dance 2021(ジャストダンス2021)」といったゲームソフト、VTechのラーラングトイ、レインボーハイのファッションドールなどが挙げられる。

アマゾンが今週発表した、今シーズンから配送の選択肢を増やすという発表は、電子商取引が単純な宅配を超えていかに成長しているか、小売業者がビジネスを他者と差別化するために、いかに重要な要素となっているかを物語っている。店頭受取サービスは今週、昨年同期と比べて116%の増加、迅速配送は49%増となっている。

予測通り、スマートフォンの役割もこれまで以上に大きくなっている。アドビによると、11月のこれまでのスマートフォン経由の利用額は255億ドル(約2兆6540億円)で、2019年と比べて48%増と大幅に成長している。これらの数字を基にすると、スマートフォンは電子商取引の全売上高の38.6%を占めることになる。ショッピファイはスマートフォンに対してさらに強気だ。そのプラットフォーム上で、感謝祭の世界的な売上の70%を占めていたと述べているのだ。

アドビは、米国では大手小売業者が人々の買い物の方法を支配し続けていると述べている。ウォルマートやターゲット、アマゾンなどの大手小売業は、合計で年間10億ドル(1000億円)以上の収益を上げるが、10月以降は147%に売上高を伸ばしている。その理由の1つは、コンバージョン率が中小企業よりも100%高い、より洗練されたウェブサイトにあると考えられる(中小企業が競争力を上げるためのツールを構築できる会社にとっては大きな伸びしろが残されているということだ)。

しかし、Shopifyの物語は異なる絵を描いていることに注目すべきだ。そのプラットフォームは、どんなブランドでも電子商取引サイトを構築できる仕組みを提供するもので、多数の小売業者のオンライン売上高の合計、いわゆる「ロングテール」に焦点を置いている。約100万もの加盟店が同社のプラットフォームを使用して受注、販売、決済などを実行しているのだ。Shopifyはブラックフライデーに詳細な結果を発表する予定だが、そのメッセージは、ビジネスの規模がすべてではない、ということになるだろう。つまり、物を売るにはそれを効率良く販売できる仕組みを築くことが重要だということだ。

関連記事
新型コロナ禍でも米国の2020年末商戦ネット売上高は20〜30%超増加の見込み
2019年感謝祭セールのオンライン売上は現在21億ドル、前年比20%増
米国のモバイル上でのホリデーショッピングシーズンは過去最大となる見込み

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AdobeShopifyネットショッピング

画像クレジット:Ian Sane (opens in a new window)Flickr (opens in a new window)under a CC BY 2.0 (opens in a new window)license.

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)