小さなeコマース企業のフルフィルメントを代行し自動化するBigblue

360万ドル(300万ユーロ、約3億7000万円)のシードラウンドを終えたばかりのフランスのスタートアップBigblueは、ヨーロッパにおける、フルフィルメントのエンドツーエンドソリューションを作っている。自分のウェブサイトで、複数のマーケットプレイスに製品を売っている人は、これからは販売が成立した後のあらゆる処理をBigblueが面倒見てくれる。

Bigblueは、車輪を再発明しようとはしない。むしろ同社は既存のロジスティクス企業と協力し、ユーザーはただBigblueとだけ関係を持てば良いようにする。そしてBigblueが複数のロジスティクス企業のフルフィルメントセンターと協力してユーザーの製品を保存し、配送は複数の運送業者から選ぶ。

基本的にBigblueは、ユーザーの顧客体験を改善する。Bigblueを使うようになると、ユーザーは製品を指定のフルフィルメントセンターに送り、自分のオンラインストアにBigblueを統合する。同社はすでにShopifyやWooCommerce、Magento、Wix Store、Prestashop、Fastmag、そしてAmazon(アマゾン)のマーケットプレースと統合している。

クライアントが製品をオーダーすると、それは直接、製品の在庫のあるフルフィルメントセンターで包装され配送されてその顧客に届く。Bigblueの顧客が払う料金は、単一の定額だ。ユーザーはそれを払うだけで後は何もしなくてよい。その品物はDHLで送るか、それともChronopostを使うかなどを、ユーザーはいっさい気にしない。Bigblueが正しい運送業者をユーザーに代わって選んでくれる。

ユーザーは、配送が現在どうなっているかをBigblueのサイトでチェックできる。自分の品物のうち、未発送のものがどれかもわかる。発送の通知は、ユーザーにメールで届く。

小さなeコマース企業が良質なロジスティクスのネットワークを築くのは困難だが、Bigblueを利用すれば、アマゾンの大きなeコマースウェブサイトとも互角に競合できる。自社でロジスティクスのチームを持たなくても、顧客体験を向上できる。

同社のシードラウンドはSamaipataがリードし、Bpifranceが参加した。そのほかPlug and PlayやClément Benoit(クレメント・ブノワ)氏、Thibaud Elziere(ティボー・エルジエール)氏、そしてOlivier Bonnet(オリビエ・ボンネット)氏も同社に投資した。

新たに得た資金で同社は50名を新たに雇用し、プロダクトを改良する。統合先のeコマースプラットホームやERPそしてマーケットプレースも、今後もっと増やしたい。また、Bigblue自身の配送追跡ページとメールを個人化するツールキットも作ろうとしている。そして同社は、返品処理や配送所要時間の改善も目指している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bigblueeコマース物流

画像クレジット:Bigblue

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

偽造品販売撲滅のためアマゾンが中小企業向け知的財産保護プログラムを欧州で展開

1年で最大のショッピングシーズンに突入しようとしている。新型コロナウイルス感染症のために2020年はオンライン要素がかなり強そうだ。そんな中、Amazon(アマゾン)は自社サイトでの偽造品販売をなくそうと新たな試みを開始した。

アマゾンは米国時間11月25日、IP Acceleratorが欧州(特にフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、英国)で利用できるようになったと発表した(Business Wire記事)。アマゾンで販売する中小企業が自社製品の知的財産の商標を入手してブランドを保護し、偽造品の販売を取り締まれるようにし、またそうした中小企業に法律事務所の紹介などを行う。IP Acceleratorへの参加は無料だ。法的なサポートは「低コストの支援」として提供され、そうしたコストは「競争力のある、事前交渉によるレート」となると同社は述べている。

アマゾンの欧州6大マーケットでの立ち上げでは、同社のプラットフォームを活用している15万超の中小企業が対象となる。これら中小企業が扱う製品はその地域で販売されている製品の半分以上を占める。IP Acceleratorは欧州での立ち上げの1年以上前、2019年10月に米国で始まった。

アマゾンは米国での取り組みにも言及し、これまでにIP Acceleratorプログラムを通じて中小企業から米特許商標庁に6000もの商標登録を届け出た、と述べている。

アマゾンは長らく、マーケットプレイスを通じての偽造品や違法アイテムの販売に苦慮してきた。マーケットプレイスはサードパーティーの販売業者が利用していて、買い物客に幅広い選択肢を提供する規模の経済というコンセプトの下に構築されている。そしてIP Acceleratorは、そうした状況と格闘する多くの積極的な取り組みに続くものだ。

取り組みにはアマゾンによる数多くの訴訟が含まれる。訴訟は自分で行うものと他者との提携で行うものがある。そして直近の動きとしては今月、オンラインインフルエンサーをターゲットとするためにプラットフォーム外に拡大して原告となったケースがある。

アマゾンはまた、違法な商品を追跡して見つけ出せるよう、たくさんのテクノロジーを構築した。

そして同社は政府当局とも協業していて、最近は模造品が販売されたりバイヤーに届けられたりする前に輸入を止める取り組みが展開されている。

いくつかの点で、これは果てしない仕事だ。アマゾンの成長は、より多くのセラー、より多くの選別すべき商品、そして危険なアイテムとより多くのチャンスがあることと隣り合わせだ。しかしアマゾンは正しく対応したいと考えている。もし知的財産を守ることができなければ、良いブランドはアマゾンを避けるようになる。そして消費者もまたプラットフォームに対して信頼を寄せなくなるだろう。

だからこそ、IP Acceleratorのような取り組みが展開されている。小規模のセラーが自前のブランドの運命をより直接コントロールできるようにするという発想だ。

中小企業へのフォーカスはかなり明確なもので、中小企業を合算するとアマゾンでかなりの販売力を持っているからではない。中小企業は法的措置をとるという選択肢をさほど持っておらず、おそらく商標取得の費用の心配もしている。欧州連合の知的財産庁がこのほど発表したレポートによると、中小企業のわずか9%が知的財産権を登録しているのに対し、大企業ではその割合は36%だ。

「中小企業の経営者との話から、なぜ知的財産権が重要なのか、どのようにしてセラーが知的財産を守ることができるのかについて往々にして不明瞭な部分があることを承知しています」と欧州セラーサービス担当副社長のFrancois Saugier(フランソワ・ソシエ)氏は述べた。「中小の事業者をサポートする我々の幅広い約束の一環として、事業を初めて間もない起業家たちにとって知的財産の登録プロセスを可能な限り簡単でリーズナブル価格にするIP Acceleratorを立ち上げました」。

法的な面でのサポートに加えて、このプログラムに参加する中小企業はアマゾンのBrand Registryにも参加できる。現在35万ものブランドをカバーしていて、事業者はアマゾンが構築した自動アルゴリズムを使ってブランドの管理・追跡ができる。また模倣の可能性や商標犯罪を報告するホットラインも提供される。

知的財産についての出版物の中で、IP WatchdogはIP AcceleratorがそのBrand Registry(ブランド登録)へのアクセスの早さゆえに、いかに破壊的なコンセプトかを語っている。以前は特許局から承認された商標を有していなければならなかった。しかしいまではIP Acceleratorが認める法律事務所経由での申請が手続き中でありさえすれば、ブランド登録ができる。一般的に事業者はマーケティングで有利なスタートを切りたい。そして批評家たちはIP Acceleratorがそのシステムの抜け穴を利用している方法かもしれないとみている。

プラットフォームの中小企業に業務サービスを提供する事業は興味深いものだ。

野心を持ってアマゾンで販売する優秀な中小企業の買収や合併を模索するスタートアップがこのところ多く出現している。

そうしたスタートアップの計画は、事業をうまく運営するためにより良いサプライチェーン管理、マーケティング、知的財産コントロールなどをもって規模の経済を活用することだ。その戦略は、そうした中小の事業者が会社を自分たちで次のレベルに持っていくのに困難にぶつかるという事実に基づいて練られている。

その点で、アマゾンのIP Acceleratorはこうした小規模のセラーが独立を維持するのに新たな救いの手となるかもしれない。

「素晴らしいアイデアというのは、うまくいっているあらゆる事業の根幹です。そうしたアイデアを現実のものとするのは、知的財産にかかっています」と英国知的財産庁のイノベーション担当ディレクターでチーフエコノミストのPippa Hall(ピッパ・ホール)氏は声明文で述べた。「あなたの知的財産を理解し、守り、そして最大限活用することは成功のために極めて重要な要素です。よい知的財産戦略が、素晴らしい事業計画の中心にあるべきです」。

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ禍でも米国の2020年末商戦ネット売上高は20〜30%超増加の見込み

全米小売業協会(NRF)とeMarketer(イーマーケッター)が米国時間11月23日に発表した予想によると、堅調なeコマースの売上により米国の年末商戦の小売支出額は全体的にアップしそうだ。実在店舗の売上の落ち込みでマーケットは影響を受けることが見込まれるが、11月から12月にかけての小売全体の売上高は伸びるとNRFとeMarketerは予想している。

NRFはeMarketerより楽観的な予想を示した。米国の11〜12月の年末商戦の売上高は前年比3.6〜5.2%増、額にして7553〜7667億ドル(約79〜80兆円)に達すると予測している。2019年は前年比4%増の7291億ドル(約76兆円)で、過去5年間の平均成長率は3.5%だった。

画像クレジット:NRF

売上高の成長はオンライン販売と他の店舗外販売によるもので、これらは20〜30%増えて2025〜2184億ドル(約21〜23兆円)に達する見込みだ。昨年、2019年の1687億ドル(約18兆円)を上回っている。

NRFの予想のポイントは、消費者が喜んで支出しているということだ。2020年が困難な年だったにもかかわらず、ではなく困難な年だったからこそおそらくそうなのだろうと分析している。

「結局のところ、通常よりも素晴らしいホリデイを自身や家族が過ごすのは当然だ、という心理的な要素があるのでしょう」とNRFのチーフエコノミストであるJack Kleinhenz(ジャック・クラインヘンツ)氏は述べた。「新型コロナウイルスの感染拡大が続けば経済へのリスクはありますが、消費者が不安をものともせず明るい気持ちを持ち続けている限り、彼らは年末商戦でお金を使うでしょう」と付け加えた。

NRFはまた、米国人がパンデミックのために個人サービスや旅行、エンターテインメントといった他の部門での支出を減らし、これが小売支出の増加につながるかもしれないとも記している。

一方、eMarketerは売上高全体についてはさほど楽観的ではない。

同社は年末商戦の小売売上高の前年比の成長率はわずか0.9%と過去最低になると予想している。この成長はeコマース部門によるもので、eコマースは同社が2008年に小売売上高を追跡し始めて以来最高となる35.8%成長を見込んでいる。一方、実在店舗の売上高は4.7%減を予想する。

NRFとeMarketerの予測の不一致は、どのように「小売売上高」を計算しているかに関係している。

eMarketerの予測には、自動車・ガソリンの売上高が含まれるが、外食、旅行、イベントの売上高は含まない。一方、NRFの数字からは自動車・ガソリン、外食の売上高が除かれている。

ただし、NRF、eMarketerともにeコマースの売上高が大幅に増加することについては意見が一致する。NRFはオンライン売上高が第3四半期に前年比36.7%増だったと指摘した。この成長は部分的には早いホリデーショッピングのためだ。2020年は消費者の42%が例年より早くショッピングを開始したことが最近明らかになった。加えて、2020年10月の小売売上高は前年同月に比べて10.6%アップした、とNRFはレポートの中で指摘した。

成長率が20〜30%になるのか、あるいは35.8%になるのかはともかく、eコマースが危機を乗り切っているのは明らかだ。

NRFはまた、季節雇用は近年と同程度になると予想している。小売業者は2019年に季節労働者56万2000人を雇用し、今年は47万5000〜57万5000人の雇用が見込まれる。こうした雇用の動きの一部は、前述した通り早いショッピングのためにすでに10月にみられたとNRFは指摘した。

ブラックフライデーの店舗内ショッピングは従来と同じレベルではないかもしれないが、実在店舗の小売業者は消費者がネットで買い物して自宅で商品を受け取ったり、店舗またはカーブサイドでピックアップしたりしやすくしている。Amazon(アマゾン)はそうではないが、Walmart(ウォルマート)とTarget(ターゲット)は特にeコマース投資の恩恵を受け、年末商戦を前に発表した直近の四半期決算はウォール街の予想をさっくりと上回った。

しかし、サイバーマンデーが売上高を大きく左右するだろう、とeMarketerは話す。

画像クレジット:eMarketer

2020年の5大オンラインショッピングデーの1つであるサイバーマンデーは、eコマース売上高の総額という点においてはブラックフライデーを今回も上回るとeMarketerは話す。ブラックフライデーの売上高102億ドル(約1兆660億円)に対し、サイバーマンデーは128億9000万ドル(約1兆3500億円)になると予想する。しかしeコマース売上高の成長率としてはサンクスギビングデーが前年比49.5%と最も成長する。

画像クレジット:eMarketer

モバイル経由のeコマースに関しては、米国人はブラックフライデーとサイバーマンデーを含む2週間の間にAndroidデバイスのショッピングアプリに1億1000万時間を費やす、と分析会社App Annieは予想した。パンデミックにより1日あたりのモバイル使用時間はすでに4時間20分に伸び、プライムデーの週に米国人はショッピングに6100万時間を費やしたと指摘した。

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(翻訳:Mizoguchi

Amazonが処方薬オンライン注文・配達サービスのAmazon Pharmacyを米国でスタート

処方薬配達サービスのPillpack(ピルパック)を7億5300万ドル(約785億円)で買収して2年と少し経つが、Amazon(アマゾン)はとうとうAmazon Pharmacyを立ち上げた。モバイルからの処方薬オンライン注文を受け付けて発送するサービスだ。

しっかりとしたプロフィールの薬局を使い、顧客はアマゾンのサービスを通じて保険情報の追加や処方箋の管理、支払い方法の選択などができる。同社は幅広いヘルスケアサービスにしようと取り組んでいる最中でもあり、アイテムを販売するだけでなく、ユーザーにアマゾンのポータルで「セルフサービスヘルプ」を提供する。ユーザーはまた電話で薬剤師にアドバイスを求めることもできる。「フレンドリーで知識豊富な薬剤師が365日24時間いつでも薬についての質問に答えます」と説明にある。

アマゾンは2019年に店頭処方薬サービスを開始した。間違いなくこれは、アマゾンにとって最も広範なヘルスケア事業参入に向けた取り組みだ。かなり大きな、そして新しい収入源に道を開くかもしれない。特に現在も続く新型コロナウイルスのパンデミックにより、消費者はリモートケアや、買い物にオンラインチャンネルを使う方向に向かうことを余儀なくされている。

実際これは薬、ウェルネスのためのワンストップショップとして、アマゾンが今後も拡大を続けるという以上のものだ。多くの消費者にとって、薬局での買い物とグローサリーの買い物は密接に関わっている(もちろん数十年にわたって多くの独立した薬局は食品を売る店のようになり、一方で食品店もまた薬局コーナーを設けるようになった)。

アマゾンはグローサリーと食品分野で、かなり積極的かつ野心的に事業を展開してきた。Amazon Fresh、Whole Foods、アマゾン独自のブランドアイテム、Amazonグローサリー店舗などを含む自前のブランドや買収したブランドの展開は医薬品戦略を反映している。食品やグローサリーの店舗で薬・ウェルネス事業を展開することは、アマゾンでの買い物体験をより完璧なものにする。そうして消費者のあらゆる買い物ニーズはアマゾンだけで満たされるようになる。

Amazon Pharmacyはさしあたって米国でのみの展開のようだが、グローバルでもチャンスはある。オンライン薬局サービスは2025年までに世界で売上高1310億ドル(約14兆円)に達すると予想されている。一方、処方薬のマーケット規模は2020年に9040億ドル(約94兆円)となり、2025年までに1兆3000億ドル(約135兆円)近くまで成長すると推定されている。

「より多くの人が毎日の雑用を家から完結させようしている時代にあって、薬局は重要であり、アマゾンのオンラインストアに追加される必要があります」と同社の北米消費者担当の上級副社長Doug Herrington(ダグ・ヘリントン)氏は声明文で述べた。「PillPackは6年以上、慢性的な病気を抱える人に優れた薬局サービスを提供してきました。そしていま、当社は薬局サービスをAmazon.comに拡大します。多くの顧客が時間やお金を節約し、暮らしをシンプルにし、そして健康でいられるようサポートします」。

ベーシックなAmazon Pharmacyサービスに加え、アマゾンはPrime会員向けに特別な機能を提供する。アマゾンのプレミアムな会員制サービスを利用している人はアマゾンからの注文で無料の2日以内配達を無制限で利用できる、と同社は声明文で説明した。

Prime会員はまた、Amazon Pharmacyで保険を使わずに支払うときに割引を受けられる。そしてAmazon Pharmacyに参加している全米5万店の薬局でも同様の割引を受けられる。Amazon Primeでの処方薬購入では、会員は保険なしで支払うときにジェネリック薬で最大80%、ブランドから出ている医薬品で最大40%の割引を受けられる。

Prime会員は精算時に処方薬の割引を受けられ、アマゾンの会員は誰でもブランドのものからジェネリックのものまで、必要な分量の医薬品をオンライン購入できる。

アマゾンはまた、顧客が最も安いオプションを選べるよう医療保険を使った場合、保険なしの場合、Prime処方薬割引プランの場合の価格を比較できる。加えてアマゾンは、24時間サービスを利用できるようスタッフを待機させていて、客は薬についていつでも質問できる。

「当社は手頃な薬を入手できることの重要性を理解しています。そしてPrime会員が新たなAmazon Prime処方薬割引サービスにかなりの価値を見出すと確信しています」とAmazon Prime担当副社長のJamil Ghani(ジャミル・ガニ)氏は声明文で述べた。「Primeにとっての最終目標は、会員の日々の暮らしをよりスムースで便利にすることであり、信じられないほどの節約、シームレスな買い物体験、迅速かつ無料の配達をAmazon Pharmacyに拡大することに興奮しています」。

アマゾンでの薬局サービス立ち上げは、上場企業のGoodRx、RxSaverのような企業、配達サービスExactCare Pharmacyといった他の割引処方薬サービスにとって逆風となる。

GoodRxが差異化を図ろうと遠隔診療サービスの提供を開始し、バリューチェーンを上げようとしているのは、アマゾンとの競争が理由の1つだろう。アマゾンが従業員以外へのバーチャルケア提供へと踏み込むかどうかは興味深いところだ。2019年に同社はシアトルの従業員向けに、対面、遠隔どちらででも提供されるAmazon Careを導入した。

当時、同社はこの試験事業を従業員向けに限定した。しかし同社のアプローチが知れ渡っているということ、最初のアプリ開発にともなうプロダクト開発の量、ユーザーエクスペリエンス、ブランドからするに、同社がこの先、米国マーケットを拡大の機会ととらえていることを示しているといえそうだ。

2020年8月にアマゾンはフィットネストラッカーのHaloを立ち上げた。これはパーソナルヘルス・ウェルネスのモニターとアドバイスのサービスを含む64.99ドル(約6800円)の手首につけるトラッカーだ。健康をモニターするためのアプリもついていくる。

TechCrunchが指摘したように、このサービスは普通の健康トラッキングガジェットとアプリのコンボという以上のものだ。体脂肪率などさまざまな健康に関する指標を総合的に把握できる。体脂肪率はスマホのカメラとAmazon Haloアプリを使って自宅で測定できる。アプリの深層ニュートラルネットワークベースのアップロード写真処理を通じて、周囲のものから体の画像を切り離すことができ、体脂肪率が簡単に測定できるいわゆる体脂肪「ホットスポット」を分析する能力を持つ。そしてアプリはユーザーの体の3Dモデルを生成する。Haloユーザーは体脂肪の増減で実際に体型がどうなるのかを見るためにスライダーを使って体脂肪率を調整できる。

まとめると、Whole Foodsで買い物し、Haloを使い、そしてAmazon Pharmacyで処方箋を入手するというAmazon Primeユーザーは、自身の健康について最も完全な知見をアマゾンに提供することになる。

アマゾンがAmazon Careサービスを消費者に提供するようになった場合、一連のヘルスケアで同社が触れない唯一の部分は、高額医療となるだろう。しかしアマゾンの野心からして、アマゾンのロゴが付いた急病診療所や病院が突然登場するということはあり得なくはない。

関連記事:Amazon、オンライン薬局のPillPackを10億ドル以下で買収

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(翻訳:Mizoguchi

インド小売最大手のReliance Retailが家具通販のUrban Ladderを約25.5億円で買収

Reliance Retail(リライアンス・リテイル)は家具通販スタートアップUrban Ladder(アーバン・ラダー)の過半数株式を取得し、インド最大の小売チェーンとしてAmazon(アマゾン)、Flipkart(フリップカート)との戦いに向けてeコマースを強化した。

現地証券取引所への申請書類で、Reliance RetailaはUrban Ladder株式の96%を約2443万ドル(約25億5000万年)で取得したことを明らかにした。インドの小売最大手は、設立7年半のスタートアップから残りの株式を購入する権利を保持しており、2023年12月までに追加で1006万ドル(約10億5000万円)を投資する提案をしたと語った。

2012年4月設立されたUrban Ladderは家庭用の家具および装飾品をオンライン販売(未訳記事)おしている。同社はインドのいくつかの都市で実店舗の小売チェーンも展開している。買収条件からみて投げ売りだったことを思わせる。

Urban Ladderはこれまでに1億1500万ドル(約120億2000万円)をSequoia Capital、SAIF Partners、Steadview Capital、MITを始めとする投資家から調達したとCrunchbaseとTracxnは示している。2020年3月までの会計年度で、インドのスタートアップは5820万ドル(約60億9000万円)の売上で663万ドル(約6億9000万円)の損失を計上した。

Reliance Retailはこの投資について「グループのデジタルおよび新たなコマースへの取り組みを可能にし、グループが提供する消費者製品ラインアップの幅を広げるとともに、小売事業全体のユーザーエンゲージメントと体験を向上させるものです」と声明で語った。

Urban Ladderの買収に先駆け、Reliance Retailは2020年にFuture Groupと34億ドル(約3554億8000万円)の契約を完了し、インド第2位の小売チェーンから事業のいくつかを買収した。8月には医薬品マーケットプレイス、Netmedsの親会社であるVitalicを約8320万ドル(約87億円)で買収した(未訳記事)。

Reliance RetailはReliance Industies(インドで最大評価額の会社)の傘下にあり、この数カ月で約64億ドル(約6691億1000万円)を調達した。姉妹子会社のJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)は、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)らの著名投資家から合計200億ドル(約2兆910億円)以上を獲得している。

Reliance Retailaは、インドの6500を超える市町にある1万近い店舗を通じて、毎週350万人以上の顧客に対応しているほか、Jio PlatformsとのジョイントベンチャーであるJioMartでeコマース事業にも参入している。JioMartは現在200以上のインド市町に進出しており、フェイスブックとの提携によってWhatsAppとの統合も果たしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amozonが詐欺商法に関わったインフルエンサーらを提訴

Amazon(アマゾン)は米国時間11月12日、10人以上のインフルエンサーやその他の業者を含む厄介者に対して訴訟を起こしたことを発表した(Amazonリリース)。彼らは、高級ブランド品の偽物をTikTok(ティックトック)やInstagram(インスタグラム)などのソーシャルメディアサイトと個人のウェブサイトに陳列し、アマゾンの出品者用アカウントを使って販売処理を行うという方法で、アマゾンの詐欺防止策を迂回していた。

訴訟では、被告のKelly Fitzpatrick(ケリー・フィッツパトリック)氏とSabrina Kelly-Krejci(サブリナ・ケリー=クレイチ)氏は販売業者と共謀して詐欺行為を働いたとされている。彼女らは、アマゾンに表示される平凡なノーブランド品と偽高級ブランド品の写真を並べて投稿していた。そこには「これを注文」「これが買える」と書かれている。

アマゾンで嘘の商品として示されるノーブランド品の写真の横には「Order This(これを注文)」とあり、実際に客が受け取る偽ブランド品の写真の横に「Get This(これが買える)」とある。

アマゾンの法廷提出資料

アマゾンのサイトには平凡なノーブランド品の写真だけを提示し、別のソーシャルメディアやウェブサイトで偽ブランド品の宣伝を行うことで、被告と販売業者はアマゾンの詐欺防止対策を回避しうようとしていた。また、Instagram、TikTok、個人サイトなどで動画を使ってその偽ブランド品の品質の高さを示し、アマゾンや、DHgate(ディーエイチゲート)などのその他の電子商取引サイトに客を誘導して、そこで取引を行っていた。

驚くべきことに、フィッツパトリック氏は、偽ブランド品の販売を行っていた最中もアマゾンのインフルエンサープログラムのメンバーだった。2019年11月23日から2020年3月6日まで、彼女はKellyfitz02-20というユーザー名でこのプログラムに参加していた。アマゾンは詐欺行為を発見するや彼女をプログラムから追放し、彼女のアソシエイトアカウントを停止した。

その後も彼女は、新しいアソシエイトアカウントを開設して、ソーシャルメディア上で偽ブランド品の宣伝を継続。フォロワーを彼女自身のウェブサイトや別の電子商取引サイトに誘導し、販売を行っていた。

Instagramはフィッツパトリック氏の以前のアカウントを停止したが、停止されるごとに彼女は新しいアカウントを開設している。

現在、フィッツパトリック氏はInstagramアカウントを非公開にしているが、彼女のウェブサイトはまだ存在しており、偽高級ブランド品が買えるアマゾンの「秘密のリンク」が示されている。

「秘密のリンクとは?」(画像クレジット:styleeandgrace.com)

同じようにケリー=クレイチ氏も、自身のウェブサイトでコピー商品が買えるアマゾンへの「秘密のリンク」を示していた。ある動画の中で彼女は、「秘密のリンクで注文するのは怪しい感じがするだろうけど、ここなら素晴らしいものが手に入る」と話している

画像クレジット:budgetstylefiles.com

この訴訟によれば、被告たちは2019年11月ごろから訴状が提出されるまで、この手法で不正行為を行っていたと主張する。

アマゾンが依頼した調査人たちは、問題のリンクを通じて注文を行うと、宣伝されていた偽ブランド品が入手できることを確認した。裁判所に提出された資料には、その品物のサンプルが数点示されている。これには財布、パース、サングラスなど、Gucci(グッチ)やDior(ディオール)のデザイナーもののコピー商品が含まれていた。

今回提訴された被告の中には、彼女たちの他に、コピー商品の調達に関わった中国の企業や販売業者も含まれていた。一部の事例では、アマゾンに対して偽名、偽の連絡先、架空の企業名を使って自身の正体と所在を何段階にも隠している業者もあったとアマゾンは話している。

この数年間、アマゾンは同オンラインストアの消費者からの信頼を傷つけるものと認識して、偽造品には強い態度で臨んできた。2017年、同社は「アマゾンブランド登録」を立ち上げ、ブランドオーナーに、違反商品の特定と通報を積極的に行うツールの提供を開始した。その翌年、商品のシリアル化サービス「Transparency」(トランスパレンシー、透明化)を開始し、登録された商品の偽造品の排除に協力している。

そして2019年、アマゾンはセルフサービスの偽造品削除ツール「Project Zero」(プロジェクトゼロ)の提供を開始した。アマゾンに出品された偽造品をブランドオーナーが即座に削除できるというものだ。現在、1万件以上のブランドが登録している。

またアマゾンでは、偽造品訴訟の件数も増やしている。偽造品の商売に手を出さないよう人々に思いとどまらせるのが狙いだ。

今回の訴訟では、被告たちによるアマゾンでの広告、宣伝、販売の禁止、アマゾンのベンダー、セラー、アソシエイトの各アカウント開設の禁止、偽造品業者の支援と幇助の禁止、損害賠償、弁護士費用、その他の保全を求めている。

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(翻訳:金井哲夫)

欧州でeコマースプラットフォームに対し新型コロナ詐欺対応でデータ共有を促す動き

欧州の議員は、消費者を標的にコロナウイルス詐欺を働く不正な業者と戦うためのツールとして、より多くのデータを互いに共有するよう主要なeコマースおよびメディアプラットフォームに圧力をかけている。

パンデミックが西側に広がった後、インターネットプラットフォームはよくわからない、または疑わしい品質の防護具(未訳記事)や疑わしいコロナウイルス関連のオファーの広告で溢れかえっていた。一部の企業がそのような広告を禁止したにもかかわらずだ。

懸念されるのは、消費者がだまされていることだけではない。喧伝されているようなウイルスへの曝露に対する保護効果がない製品を購入した場合や、本当は効かない偽コロナウイルス「治療薬」が販売された場合に生じる実際の危害のリスクだ。

米国時間11月6日の声明の中で、EUの司法委員であるDidier Reynders(ディディエ・レンデルス)氏は「以前の経験から、詐欺師らはパンデミックを欧州の消費者をだますチャンスとみています。また、主要なオンラインプラットフォームと連携することは、消費者を違法行為から保護するために不可欠であることもわかっています。私は本日、プラットフォームが力を合わせ、相互の情報交換に参加し、対応をさらに強化することを奨励しました。現在欧州を襲っている第2波の間、私たちはさらに迅速に動く必要があります」と述べている。

委員会によるとレンデルス氏は11月6日、Amazon(アマゾン)、Alibaba / AliExpress、eBay、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト) / BingRakuten、(TechCrunchの親会社である)Verizon Media / Yahooを含む11のオンラインプラットフォームとパンデミックに関連する新しいトレンドと事業慣行について話し合った。新型コロナ詐欺の新たな波に立ち向かうために、ハイテク企業にもっと多くの対策に取り組むよう促した。

EU加盟国の消費者保護当局は2020年3月、この問題に関して共通の立場をとった。それ以来、委員会と消費者保護施策の執行者の汎EUネットワークは、新型コロナウイルス詐欺によってもたらされる脅威へ協調して対応するべく、11のプラットフォームと定期的に連絡をとっている。

委員会はこの行動が、プラットフォームによる「数億件」の違法なオファーや広告の削除についての報告につながったと主張している。また委員会によると、詳細なデータは開示しなかったものの、プラットフォームが新型コロナ関連広告の(委員会の表現では)「着実な減少」を確認した。

欧州ではeコマースプラットフォームでの販売に関する規制が厳しくなりつつある。

EUの議員は2020年12月、既存の電子商取引規制の改定を提案する一連の法律を発表する。違法なコンテンツや危険な製品などの法的責任の拡大を目指す。

EUのデジタルポリシーを率いる委員会のEVPを務めるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタエアー)氏は先週のスピーチ(未訳記事)で、デジタルサービス法(DSA)は違法なコンテンツや危険な製品に関してプラットフォームの責任を重くすることを求めると述べた。その中には、違法なコンテンツに関する報告手続きやコンテンツに関連する苦情処理の統一が含まれている。

同じく12月に発表される2番目の包括法案であるデジタル市場法は、市場で支配的な地位を保持すると考えられるプラットフォーム傘下のサービスに追加の規制を導入する。これには、デジタル市場での競争を促進するために、ライバルによるデータを利用を可能にするという要件が含まれる可能性がある。

欧州議会の議員らはまた、「know your business customer(顧客確認の原則)」をデジタルサービス法に含めるよう求めている(未訳記事)。

委員会はまた、新型コロナ関連の偽情報を取り締まるため、6月(未訳記事)に新型コロナウイルスの「インフォデミック」と表現した内容についてソーシャルメディアプラットフォームに公開するよう求めた。

委員会は11月6日、新型コロナの偽情報と戦うため、フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、Twitter(ツイッター)、TikTokが2020年9月にとった措置について最新情報を提供し、3回目となるモニタリングレポートを公開した。域内市場のコミッショナーであるThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は、その分野でもさらに多くのことを行う必要があると述べた。

「パンデミックに関連する偽情報のウイルス的な拡散は、市民の健康と安全を危険にさらしています。偽情報と効果的に戦うために、今後数週間でオンラインプラットフォームとより強力に協働することが必要です」と同氏は声明で述べた。

プラットフォームは偽情報に関するEUの(法的拘束力のない)行動規範(未訳記事)に署名している。

違法なヘイトスピーチなどのコンテンツへの取り組みに関してプラットフォームを規制する法的拘束力のある透明性ルールは、DSAパッケージの一部に組み込まれているようにみえる(未訳記事)。だが、公衆衛生危機に関する偽情報などの「有害なコンテンツ」のようなあいまいな問題に対する取り組みが、今後どう展開するかはまだ分からない。

偽情報問題に対処する欧州民主主義行動計画(European Democracy Action Plan)も年末までに予定されている。

11月6日の委員会の最新のモニタリングレポートにある発言の中で、価値・透明性担当VPであるVera Jourová(ベラ・ヨウロバー)氏は次のように述べている。「プラットフォームは透明性を高め説明責任を果たすために取り組みを強化しなければなりません。我々はプラットフォームが正しく行動するためにより良いフレームワークを必要としています」。

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米国のホリデー商戦オンライン売上高は新型コロナ影響で過去最多の20兆円予想

Adobe Analytics(アドビ・アナリティクス)が発表した予測によると、新型コロナウイルスパンデミックによるeコマースへの急激なシフトは米国のオンラインホリデー商戦に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。Adobe Analyticsは、2020年11月と12月の米国のオンライン売上高が1890億ドル(約20兆円)に達すると予想している。この数字は前年比33%増で、過去最多となる。

Adobe Analyticsは2019年の売上高の増加幅が13%にとどまったことを指摘し、今シーズンだけで2年分の成長を達成することになる、と話す。

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消費者が景気刺激策の追加の小切手を受け取り、そして新型コロナウイルス感染症拡大を押さえ込むために米国の広い範囲で再び実在店舗が閉鎖される事態になれば、オンライン売上高はさらに増える可能性がある。その場合、消費者はオンラインでさらに110億ドル(約1兆1500億円)多く使うことが予想され、オンライン売上高の総額は前年比47%増の2000億ドル(約21兆円)となる。

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また、消費者の今シーズンの買い物の仕方はいつもと違うものになりそうだ。

通常、オンラインショッピングシーズンは実在店舗で展開されるセールのデジタル版であるブラックフライデーセールで始まる。このセールはサイバーマンデーへと続き、消費者は実在店舗での買い物でお得に買えなかったアイテムをオンラインで探す。

ここ何年かで、それぞれのセールイベントの境界は曖昧になっていた。たとえば、オンラインショッピングはサンクスギビングデーへとシフトし、サイバーマンデーまで引っ張る。

今年は、いわゆる「サイバーウィーク」(サンクスギビングからサイバーマンデーまで)が「サイバーマンス」になるとAdobe Analyticsは予想する。

画像クレジット:Adobe Analytics

これは部分的には、11月の最初の2週間に始まる大幅なホリデー割引に始まり、ブラックフライデー週末とサイバーマンデーにかけて最も値引きが大きくなるという流れによるものだ。

Adobe Analyticsはまた、11月1日から21日にかけてのオンライン売上高が毎日20億ドル(約2090億円)を超え、11月22日から12月3日までは1日あたり30億ドル(約3140億円)に増えると予想する。

ブラックフライデーのオンライン売上高は前年比39%増の100億ドル(約1兆500億円)となり、サイバーマンデーは前年比35%増の127億ドル(約1兆3000億円)に達して年間を通じて最大のオンラインショッピングデーになる見込みだ。

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テレビや家電製品の最もお得なセールはブラックフライデーまで続くが、玩具や家具のセールはサイバーマンデーの前日の11月29日に始まる。スポーツ用品の最もお得なセールは12月13日、電子機器は12月18日だとAdobeは話す。

過去数年と同様、モバイルがeコマース支出に大きく貢献することになりそうだ。米国の消費者は2020年に、前年より281億ドル(約2兆9000億円)多くスマホで買い物することが見込まれ、率にして55%の増加だ。

小規模の小売事業者(年間オンライン売上高が1000万ドル〜5000万ドル)も活発なオンラインショッピングの恩恵を受ける。オンライン売上高は大規模な小売事業者よりも大幅に増加する(107%増)。一方の大規模事業者の売上高は前年より10億ドル(約1050億円)増え、率にして84%増だ。

今年、米国の消費者の中には家族に会うための旅行を控える人がいることから、パンデミック前の年に比べると普段なら直接会っていた人に小売から直接送るギフトに米国人は18%多く支出するとAdobe Analyticsは予想している。しかし消費者は迅速な配達に余計にお金をかけるのに興味はなく、64%が即配サービスを利用しないと答えた。つまり、小売事業者は無料配送の締め切り日についてはっきとさせておく必要がある。

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オンラインで購入したものを店舗でピックアップする(BOPIS)傾向も強まるとみられる。多くの小売がカーブサイドピックアップという選択肢も提供していることから、BOPISの注文は昨年よりも40%多くなり、クリスマス前の週に小売が提供するオプションでの全注文の半分を占めることが予想される。

パンデミックのためにホリデーオンライン買い物客の9%が新規顧客だとAdobe Analyticsはみている。コンバージョンレートも13%上昇し、その一方で売上高は33%増加する。ただし、注文1件あたりの額に増減はない見込みだ。

こうした予想を複雑にする要因の1つとして、選挙が挙げられる。これまで選挙年のオンライン売上は選挙結果の影響を受けてきた。2016年の選挙後は14%減、2018年の中間選挙後は6%減だった。Adobe Analyticsによると、消費者の26%が選挙結果がホリデー支出に影響する、と答えた。

今回の予測に使われたデータはAdobe Analyticsのものだ。同社は米国の小売サイトへの1兆もの訪問を分析している。ここには1億ものSKU(最小管理単位)と、米国における大手小売100社のうち80社が含まれているとのことだ。

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タグ:eコマース米国

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(翻訳:Mizoguchi

中小の販売業者でも延長保証を提供できるようにするExtendが42億円を調達

延長保証サービスは、既存の製品保証期間を1~2年延長して、購入した製品が故障した場合でも安心していられるようにするサービスだ。大型店舗で高額な商品を購入するときには決まってこうしたサービスをつけるよう勧められるのが長年の慣例となっている。米国時間10月15日、Extend(エクステンド)というスタートアップが、大規模な資金調達に成功したことを発表した。同社が目指すのは、「延長保証を提供できるのは大型の販売店だけ」という固定概念を覆し、APIを使用して、中小の販売業者が扱う低価格の商品についても延長保証サービスを提供できるようにすることだ。

エクステンドは、Peloton(ペロトン)、iRobot(アイロボット)、Harman / JBL(ハーマンJBL)、Advance Auto Parts(アドバンス・オート・パーツ)、Traeger Grills(トリガー・グリル)、BlendJet(ブレンドジェット)、SoClean(ソークリーン)、1More(ワンモア)、August Home(オーガスト・ホーム)、Balsam Hill(バルサム・ヒル)、NewAir(ニューエア)、Evolve Skateboards(エボルブ・スケートボード)、その他150社と提携して、これらの企業の商品に延長保証サービスをつけられるようにしている。同社は今回、シリーズBラウンドで4000万ドル(約42億1800万円)を調達した。

エクステンドの創業者兼CEOのWoody Levin(ウディ・レヴィン)氏は、インタビューに答えて次のように語っている。「当社の目的は、中小の販売業者が、特にD2C(直接販売)の場合に延長保証サービスを提供する際のさまざまな障害を取り除くこと、そして延長保証サービスに対する消費者の偏見を取り除くことだ。一部の消費者は、こうしたサービスは人々の(もし故障したらどうしよう、という)不安感を食い物にしているだけで、保証条件が印刷されている紙ほどの価値もない、と思っている(最近では、ネット通販の決済時に画面中央に表示される画像に保証条件が記載されることが多い)」。

「延長保証サービスは本当に長い間、偏見の目で見られてきた。当社はこのイメージを払拭して、もっとエレガントなエクスペリエンスにしたいと考えている。あらゆる商品にApple Careのような延長保証サービスを提供できるようになりたい」とレヴィン氏は言う。

複数のスタートアップを売却した経験を持つベテラン起業家であるレヴィン氏は、「当社が延長保証サービスを提供できる商品の総額は現時点で270億ドル(約2兆8000億円)を超えている」と付け加えた。

エクステンドがApple(アップル)並みの保証サービスを目指しているのであれば、同社は然るべきVCから資金を調達していると言える。いずれも、トップクラスの投資家として有名なVCばかりだ。今回のラウンドをリードしたのは、Facebook(フェイスブック)、Salesforce(セールスフォース)、Tableau(タブロー)などの企業を支援した実績を持つMeritech Capital(メリテック・キャピタル)で、出資者には他にPayPal Ventures(ペイパル・ベンチャーズ)や、以前の支援者であるGreat Point Ventures(グレート・ポイント・ベンチャーズ)とShah Capital Partners(シャー・キャピタル・パートナーズ)も名を連ねている。

中でも重要なのはPayPal(ペイパル)だ。最も広く利用されているオンライン決済サービスやその他のサービスを販売業者向けに提供しているペイパルは、高いコンバージョン率につながるテクノロジーに今後も常に目を光らせていくだろう。市場の現状を考えれば特にそう言える。市場では現在、ソーシャルディスタンスによってeコマースが急成長しており、競争は激化している。また、商品を買える場所が増え、割引販売が多くなり、顧客を逃がさないために多くのテクノロジーが利用されている。

ペイパル・ベンチャーズのパートナーであるJay Ganatra(ジェイ・ガナトラ)氏は次のように語る。「延長保証はあらゆる規模の販売業者にメリットがあるサービスだと思う。しかし、実際にそのサービスを導入して維持するのは、多くの販売業者にとって大変複雑な作業だ。エクステンドは、顧客とのつながりと顧客サポートを強化するのに役立つ、使いやすいツールを販売業者に提供する取り組みを、ペイパルと協力して進めている。また、エクステンドのチームには、会話型チャットボットを使用してエンドユーザーのエクスペリエンスを大幅に改善してきた実績がある。我々は、この分野を改革し続けるエクステンドの投資家として、同社の今後をとても楽しみにしている」。

エクステンドはこれまでに5600万ドル(約59億円)を調達しており、評価額は公表していない。

延長保証サービスの基盤となっているのは「購入者に安心感を提供する」という考え方である。例えば、iPhoneの購入者がApple Careに登録するのは、高価なiPhoneを修理するのに大金をかけたり、 偶発事故によって結局は破棄する羽目になったりすることを避けるためだ。一方、販売業者にとって延長保証サービスは、売り上げを一定の水準からさらに増やすための強力な刺激策となる。

これに気づいた販売業者は、ここ数年、非常に高価な商品以外にも幅広く延長保証サービスを提供してきた。

「これまでは、この安心感を利益に変えられるのは販売業者の上位1%だけだった。Amazon(アマゾン)のサイトを見ると、40ドル(約4200円)のリュックサックにも延長保証サービスが提供されている。延長保証があることを宣伝するだけで購入率が上がるからだ」とレヴィン氏は言う。

しかし、延長保証は単なる宣伝だけでは終わらない。2019年に延長保証によって産み出された売り上げは1300億ドル(約13兆7000億円)にも達しており、毎年約7.4%のペースで伸びている。

これまで、延長保証サービスを提供する会社は体質が古く、大手の販売業者としか取引しないという事実が、多くの販売業者にとって障害となってきた。SquareTrade(スクエアトレード)やAsurion(アシュリオン)といった企業は、販売業者の上位1%のみと取引し、中小の販売業者は無視する、とレヴィン氏は言う。「こうしたレガシーな企業は1回限りの統合(による延長保証サービスの提供)にしか興味がない」。

対照的に、エクステンドのソリューションは最新のアプローチを取っている。任意のeコマースサイトと決済フローに組み込むことができるAPIを構築したのだ(このAPIは、同じく延長保証プロセスの改革と近代化に取り組んでいるAffirm(アファーム)などの企業でも使用できる)。1~2年のプラン向けの料金は最低19.99ドル(約2100円)程度だと思われるが、もっと高くなる可能性もある。

また、エクステンドはAIGなどの保険業者と提携して、延長保証を支える保険を提供している。代理店と話して補償を請求することもできるが、エクステンドでは補償請求の処理に24時間対応の自動チャットボットを活用している。レヴィン氏によると、補償請求の98%はKayley(ケイリー)と名付けられたチャットボットによって処理されているという。

こうした補償請求でトラブルになることはほとんどない。というのは、補償請求はオンラインで行われた取引と紐付けられており、補償請求に必要なレシートはエクステンド側が特定してくれるため、購入者側で用意する必要がないからだ。通常は、購入金額が返金され、購入者はそのお金で同じ製品を再購入するか、販売時点で同等の価値を持っていた他の製品を購入することになる。

メリテック・キャピタルのジェネラルパートナーであるAlex Clayton(アレックス・クレイトン)氏はこう語る。「我々は常に、業界の将来を形成するような企業を支援しようと努めてきた。エクステンドは自社のプラットフォームでまさにそのような取り組みを行っている。また同社は、販売業者には製品の延長保証サービスと保護プランの提供を簡素化するソリューションを提供し、顧客には最初から最後までシームレスな体験を提供することにより、eコマース用インフラストラクチャ市場に存在する大きなニーズを満たそうとしている。同社が次にどんな取り組みをするのか楽しみだ」。

今回の資金調達ラウンドの規模と出資企業を見れば、エクステンドが勢いに乗っている企業であることは間違いないが、延長保証サービスに目をつけてきたのはエクステンドだけではない。今年初め、Clyde(クライド)は延長保証プラン事業のために1400万ドル(約14億8000万円)を調達している。また、True(トゥルー)が支援するUpsie(アップシー)は、延長保証を、販売業者を経由せずに消費者に直接提供するプラットフォームを構築している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:eコマース

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(翻訳:Dragonfly)

Psyckeは消費者の個性とファッションをマッチさせる製品でシード投資を調達

オンラン・ファッションブランドがひしめく市場では、消費者はサイトを選び放題だ。しかし通常は、各ブランドをひとつずつ訪ね、自分で取捨選択して好みのものを探し出すという手段を強いられる。これはあまり楽しい体験ではない。過去の購入履歴やクッキーは、ユーザー体験を仕立てるほどの役には立たない。たとえば、アーミーグリーンのミリタリージャケットを買った場合、その後のおすすめにアーミーグリーンのミリタリージャケットばかり出てくるようでは、そのeコマースサイトに成功の見込みはひとつもない。

それに対してPsycke(サイク:ブランド名はPSYKHE)は、AIと心理学を利用し、ユーザーの人物プロファイルと製品の「個性」をもとに製品のおすすめをするeコマース・スタートアップだ。たしかに、このような技術を主張するスタートアップはたくさんある。しかしPsyckeは、主立ったファッション小売り業者の製品情報のアグリゲーターになることで、ファッション製品の購入を簡易化するユニークなアプローチを売りにしている。それぞれのユーザーごとに異なる店頭が提示され、次第にパーソナライズされてゆくと同社は話している。

このほどPsyckeは、幅広い投資家から170万ドル(約1億8000万円)のシード投資を調達し、今後、他の消費者向け垂直市場のための企業間取引にも事業を拡大する新計画を発表した。

今回の投資に参加したのは、Net-a-Porterの最大のファンド投資家であるCarmen Busquets(カーメン・ブスケッツ)氏、北米の高級ファッション販売代理店MadaLuxe Groupの新しい投資部門SLS Journey、DAZNの会長でDisney Media Networksの前共同会長、ESPNの元社長でもあるJohn Skipper(ジョン・スキッパー)氏、Aser Venturesの最高執行責任者でありMP & Silva とFC Inter-Milanにも在籍していたLara Vanjak(ララ・バンジャック)氏。

Littel Black Doorは高級服の共有や売買、持続可能性にも配慮した現代女性のためのソリューション(日本語訳)

電子商取引ビジュアル検索プラットフォームのSyteが米国とアジアでの拡大のためにシリーズCで31.4億円を調達(日本語訳)

それで、これは何をしてくれるのか? 企業対消費者間取引のアグリゲーターとして、主要な小売業者の在庫をプールする。そして同社のプラットフォームが、機械学習と性格特性科学を用いて、ユーザーが登録時に行った性格テストの結果を踏まえた製品のおすすめを見繕う。この技術は国際特許を申請中であり、Moda Operandi(モーダ・オペランディ)、MyTheresa(マイテレサ)、LVMHのプラットフォーム24S、11 Honoré(イレブンオノレ)といった主要小売り業者とアフィリエイトパートナー契約を結んでいると同社は話している。

このビジネスモデルは、アフィリエイトパートナー・モデルに基づいており、売上げごとに5〜25パーセントの収益を得る。同社は、将来的にユーザーが自分の個性に合わせてアイテムを並べ変えられるプラグインを提供し、他の消費者向け垂直市場のための企業間取引にも事業を拡大する予定だ。

この性格テストの結果はどのように役立てられるのか? まずPsyckeは、パートナー取引先の100万点を超える実際の製品それぞれに、機械学習を使って(トレーニングデー対基づき)全般的な心理学的プロファイルを割り当てている。

そのため、たとえば金属の鋲打ちがされた革のブーツ(つまり「反抗的」な雰囲気)の場合、「同調性」の特性では中から低の点数が与えられる。ピンクの花柄ドレスの場合は、同じ特性では高い点数となる。保守的なツイードのブレザーは「開放性」という特性では点数は低い。なぜならツイードのブレザーは保守的なスタイルを主張する傾向にあり、従ってそうした人間性を示すからだ。

現在、Psyckeの小売パートナーには、Moda Operandi、MyTheresa、LVMHのプラットフォーム24S、Outdoor Voices(アウトドア・ボイセズ)、Jimmy Choo(ジミー・チュー)、Coach(コーチ)、サイズに大きな幅があるプラットフォーム11 Honoréなどが加わっている。

競合相手にはThe Yes(ザ・イエス)とLyst(リスト)がある。しかし、Psyckeの差別化の中心は、この性格の得点付けにある。さらに言えば、The Yesはアプリのみ、アメリカのみで、モノブランドだけをパートナーにしている。Lystは数千件のブランドのアグリゲーターだが、どちらかと言えば検索プラットフォームだ。

Psyckeは、ロックダウンの最中にある人々をオンラインに殺到させ、世界のeコマースを急成長させている新型コロナウイルスの今なお続く影響を、うまく利用できる立場にある。

このスタートアップは、CEOで創設者であるAnabel Maldonado(アナベル・マルドナルド)氏の発想から生まれた。創設チームには、CTOのWill Palmer(ウィル・パーマー)氏、主任データサイエンティストRene-Jean Corneille(ルネ=ジャン・コルネイユ)氏も加わっている(写真上)。マルドナルド氏は、故郷トロントで心理学を学んだ後、イギリスの国民保険サービス(NHS)で5歳未満の子どもの発達診断を行う専門家チームに就職した。

転機となったのは、ファッション誌Marie Claire(マリ・クレール)イギリス版の編集指導のコンペに勝ったときだった。その後彼女は、Christian Louboutin(クリスチャン・ルブタン)の出版部門に進み、さらにMail on Sunday(メール・オン・サンデー)とMarie Claireでインターンを経験した。こうして雑誌出版で数年間を過ごした後、CoutureLab(クチュールラボ)でeコマースの世界に足を踏み入れた。フリーランスとなった彼女は、いくつもの高級ブランドやプラットフォームと編集コンサルタントとして仕事を重ねた。ファッション・ジャーナリストとしては、The Business of Fashion(ザ・ビジネス・オブ・ファッション)、The New York Times Style(ザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル)、Marie Claireに業界コラムを寄稿している。

ファッション業界に10年間携わってきた彼女は、「ファッションに実際よりも軽薄な印象を与えた」言説にフラストレーションを募らせていったという。「これは1兆ドル規模の産業です。私たちはみな、美的なものに、自分自身の感覚で反応するはずです。しかし、みんなが口に出して語るのは、秋の流行のニューカラーや、みんなお揃いの、いわゆるマストアイテムのことばかりです」

しかし彼女はこう話す。「これまで、個人差の調査は行われてきませんでした。この世界は、本来あるべき深みを完全に失っています。そこで私は、誰もが美に対して高い感受性を持ち、服装の選択に、その人だけの内なる必要性に基づく心理学的な影響が大きく作用していることを、何らかの方法で証明したいと思ったのです」。そうして彼女はその「ファッション心理学」または彼女が言う「なぜ私たちはこれを着るのか」に対応するためのスタートアップを立ち上げたのだ。

アマゾンが月額約530円で毎月スタイリストが選んだ男性用ファッションアイテムが届くサービスを開始(日本語訳)

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(翻訳:金井哲夫)

Amazon出品よりも高速で優れた自社ECサイトで勝負したいブランドを支援するShogunが約37億円を調達

今年はeコマースがブームとなり、かつてないほど多くの企業や買い物客が、コロナ禍においてソーシャルディスタンスが確保できる安全な選択肢として、ウェブサイトやアプリに目を向けるようになった。個々の企業やブランドがより良いウェブサイトを設計できるように支援するプラットフォームを構築したスタートアップが本日、グロースファンディング(事業拡大のための資金調達)のラウンドを発表した。インターフェイスの改善と高速化によってこの局面に挑むためだ。

Shopify(ショッピファイ)、Big Commerce(ビッグ・コマース)、Magento(マジェント)などのeコマース用プラットフォーム上にブランドが自社サイトを構築し、商品やサービスを販売できるように支援するShogun(ショーグン)は、この1年間で182%の成長を遂げ、3500万ドル(約36億8千万円)の資金調達を行ったことを発表した。Leesa(リーサ)、MVMT、Timbuk2(ティムバック2)、Chubbies(チャビーズ)、K Swiss(Kスイス)などを含む15000社のほか、社名は公表されなかったがFortune 500の家庭用品ブランドも現在Shogunのツールを使用しており、その数は過去8か月で5000社増加した。

Nick Raushenbush(ニック・ラウシェンブッシュ)氏とShogunを共同で創業したCEOのFinbarr Taylor(フィンバー・テイラー)氏によると、今回調達した資金は2つの主力製品(Page BuilderとFrontend)をさらに強化して、同社の市場戦略を向上させるために使う予定とのことだ。ちなみに、Page Builderはドラッグ&ドロップでECサイトを作成できるツール、Frontendはページの読み込み時間を短縮し、企業が簡単にページを更新できる機能を備えた、エンドツーエンドの「ヘッドレスコマース」ソリューションである。

画像クレジット:Shogun

これまでのところ、同社の成長の大部分は有機的であり、マーケティングチームは2人、営業担当者も2人しかいない。「お客様との約束を果たすために、これらのチームだけでなく、エンジニア、設計、製品に関わる各チームも増員する」とテイラー氏は述べた。

シリーズBをリードしているのはAccel(アクセル)で、Initialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)、VMG Partners(VMGパートナーズ)、Y Combinator(Yコンビネーター)が参加している。このラウンドに業界の著名人が多数参加していることは、eコマースとウェブデザインの世界においてShogunが高い信頼を得ていることを物語っている。そのような著名人には、Bryant Chou(ブライアント・チョウ)氏(WeblowのCTO)、Mark Lavelle(マーク・ラヴェル)氏とMark Lenhard(マーク・レンハード)氏(それぞれMagentoの元CEOと戦略担当SVP)、Alex O’Byrne(アレックス・オバーン)氏(Shopifyの大手エイジェンシーであるWe Make WebsitesのCEO)、Brian Grady(ブライアン・グラディ)氏(Magentoの大手エイジェンシー、Gorilla GroupのCEO)、およびRomain Lapeyre(ロマン・ラピエール)氏(GorgiasのCEO)などがいる。

成長は、Shogunの取り組みに市場がどれだけ注目しているかを示す指標の1つである。Shogunのユーザー数が増えているだけではない。同社の推定(Adobeの数字を引用)によると、世界全体のe-コマース市場の売上も、今年3月以降、当初の予測を超えて約940億ドル(約9兆9000億円)もの拡大を記録したという。

もう1つの指標は資金調達そのものだ。Shogunは、前回のラウンドから8か月という短いスパンで今回のラウンドを成功させた。同社は、今年2月にイニシャライズドキャピタルがリードした(YCとVMGも参加)シリーズAラウンドで1000万ドル(約10億5千万円)を調達している。

3つ目の指標は評価額だ。テイラー氏は、Shogunの評価額は「9桁の数字であることは間違いない」と述べたが、具体的に何億ドル程度なのかについては明言しなかった。PitchBook(ピッチブック)のデータによると、同社の今年2月時点の評価額は5000万ドル(約52億6000万円)だった。

eコマースの世界は現在、単に広いマクロ経済トレンドの観点からだけでなく、現在舵取りをしているのは誰なのかという観点からも、重要な時期を迎えている。そのような中で報じられたのが、Shogunに関する今回のニュースである。

Amazonや他のマーケットプレイスは、多くの人々がオンラインで買い物をする方法に影響を及ぼすようになった。なんと言っても、顧客が望むものや必要とするものを送料無料で購入できる、使いやすいインターフェイスを備えたワンストップショップを提供しているからだ。同じように、ソーシャルメディアプラットフォームにも、新しい種類の「ストア」が誕生した。ブランドが顧客候補と交流するために利用してきたソーシャルメディアだが、今ではそこで商品やサービスを販売することもできるようになっている。

しかしこれで話が終わるわけではない。ブランドや企業は、オンライン上で生き残るために、製品やサービスを思い通りに見せられる独自のスペースを持ち、顧客体験をより良くコントロールして、第三者に依存することは(物理的にも金銭的にも)避けたいと考えている。
もちろん、欲しいものを最安値で手に入れられる場所にしか関心がない消費者もいるだろう。しかし、自分が欲しいものがピンポイントで決まっている消費者や、特定の企業に愛着を感じていて、気を散らされることなくそこで買い物をしたいと考える消費者もいる。そして、そのような消費者のためにショップを構えることにも必ず商機がある。

Amazonのようなマーケットプレイスのインターフェイスや、Instagramの「ショッパブルな写真(ショップリンク機能)」の予測性は、時にはイライラするほど役に立たないことがある。筆者は、わずかに値段が異なるデンマーク製泡立て器を15種類も見たいとは思わない。欲しいのは、無事に届き、1か月使用しても壊れず、返金してくれる人を探しまわる状況に陥らないような製品だ。同様に、特定のブランドから購入したいと思うかもしれないが、ストーリーやピンで表示される商品と欲しい商品は異なる可能性が高いと思う。

Shogunは、Shopifyのようなプラットフォームを使用してオンラインで独自の「不動産」を構築することを決めた顧客企業に対し、より多くの選択肢を提供し、快適な速度で機能するECサイトを構築するよう提案している。

eコマースビジネスは「テック」能力の見せ所だとみなされてはいても、その能力をコアコンピテンシーとして持つeコマース企業はあまりない。そこにチャンスがあるのだ。

アクセルのパートナーであるEthan Choi(イーサン・チョイ)氏は、「小売業者は大小を問わず、自社の技術スタックを維持するのにうんざりしている」と述べている。ECサイトのプラットフォームは、配送や物流、支払い、在庫発注などの分野も手がけることにより、ますます洗練されてきているが、ウェブデザインの分野まではまだ手が回っていない。

「Shopifyには15種類ほどのテンプレートしかないため、デザインを管理できず、自社のECサイトが、他の100万社のサイトの中に埋もれてしまう。資金とエネルギーがあっても、カスタムサイトを構築するには非常にコストがかかり、テキストの一部を変更するだけで丸一日かかることがある」とイーサン氏は語る。

速度は、Shogunが特定し、別の方法で解決してきた課題である。テイラー氏によると、サイトの速度は閲覧者を購入者に変換するための最も重要な要素である。そのため、Shogunは顧客に最短のページ読み込み時間を提供している。

多くのスタートアップの事例と同じく、テイラー氏とラウシェンブッシュ氏がこの市場ニーズを見つけたのは偶然の出来事だった。

スコットランド・グラスゴー出身のエンジニアであるテイラー氏は以前、Yコンビネーター(YC)で働いていた。YCでは、インキュベーター宛ての大量の申請書を管理するためのツールを考案し、それを構築するサポートをしていた(ちなみに、その流れを汲み、地域レベルでスタートアップとの連携を高めるためにYCが設立したのがStartup Schoolだが、これもテイラー氏が構築した)。

サイドプロジェクトとして、彼は友人のニックと一緒にRuby on Railsをベースとするページビルダー(サイト作成ツール)を考案した。そのページビルダーは当初あまり注目されなかったが、eコマースエージェンシーで働くニックの友人が、「もし2人がeコマースのページを作るためにページビルダーを微調整してくれたら、当社が利用する。報酬も支払う」と言った。
「それがきっかけだった」とテイラー氏は言う。

彼らのプロジェクトは、最終的により多くの顧客とユーザーを獲得して軌道に乗った。勢いづいた彼らは、ついに組織を離れ、自分たちの目的を達成するためにスタートアップを設立し、YCコホートの仲間入りを果たした。

「Shogunは今後、モバイルコマースを向上させるためのツールを構築することに注力していく」とテイラー氏は語る。同氏によると、一般的に、eコマースサイトをモバイルで利用する割合は全体の80%を占めるが、モバイルによる売上は20%にすぎないという。

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(翻訳:Dragonfly)

Amazonが同社以外の店舗における購入データを消費者から買い取るプログラムを開始

米国Amazon(アマゾン)は、Amazon.com以外で何を買ったかに関する情報を提示し、簡単なアンケートに答えた利用者に直接報酬を支払うという新しいプログラムを立ち上げた。Amazon Shopper Panel(アマゾン・ショッパー・パネル)と呼ばれるこのプログラムの参加者は食料品店、デパート、ドラッグストア、映画館、テーマパーク、レストランなどの娯楽施設(営業している場合)など、アマゾン以外の店舗で買い物をした際のレシートを1カ月に10件送付することが求められる。

Whole Foods、Amazon Go、Amazon Four Star、Amazon Booksといったアマゾン傘下の店舗は対象外となっている。

このプログラムに参加したい人は、iOSAndroid用に新しくローンチされたAmazon Shopper Panelモバイルアプリを使い、紙のレシートなら写真を撮影して、またはメールで送られてきたレシートなら転送の形でreceipts@panel.amazon.comに送付すると、10ドル(約1050円)の報酬を得ることができる。これは自分のAmazon Balance(アマゾン・バランス、日本ではアマゾンチャージに相当)に追加するか、慈善事業への寄付に使える。

アマゾンによれば、すべてのアンケートに答えることで、毎月さらなる報酬が利用者に支払われるという。これはオプションだが、興味のあるブランドや製品、それをどれほど買いたいと思うかといった内容だ。また、広告について感想を聞くアンケートもある。報酬額はアンケートごとに異なる。

このプログラムは、現在は米国の消費者のみを対象として、招待され登録した人だけが参加できる。招待された参加者は、新しくローンチされたAmazon Shopper Panelアプリがダウンロードできるようになり、パネルの一員となる。招待者以外でこのプログラムに興味のある人も、予約リストに登録して招待を待つことができる。

画像クレジット:Amazon

処方箋の内容など、個人的な機密情報は削除されるとアマゾンは述べている。ただし、一般的な個人情報は削除せず、現在のプライバシーポリシーに準拠するかたちで保管される。参加者が望むなら、すでにアップロードしたレシートを削除することも可能だ。

消費者パネルはよく行われている活動だが、アマゾンのパネルには、取得したデータをいろいろなかたちに役立てる計画がある。

アマゾンのウェブサイトには、消費者のデータをAmazon.comとWhole Food Marketの品揃えの改善、さらにPrime Video(プライム・ビデオ)といったアマゾンのサービスで提供されるコンテンツの内容の改善に「使用する可能性がある」とある。

またアマゾンは、収集したデータを広告主が、広告と製品の購入との集団レベルでの関連性を知るために役立てたり、どの消費者グループがどのような製品に興味を持つかに関するモデルをアマゾンが構築する助けにするとも話している。既存の製品のフィードバックを得られるよう、データをブランドに提供する場合もあると同社はウェブサイトで触れている。

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このプログラムは、米国内外での消費者の購入情報の使用法を巡り、アマゾンの競争を阻害するビジネス手法に対する監視の目が強まったことを受けて立ち上げられたものだ。

アマゾンが外部小売業者の販売データを自社のプライベートブランドの事業に役立ててきたその手法(CNBC記事)を、米国の規制当局は激しく非難している。同社CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、2020年7月に米国連邦議会で証言を行い、アマゾンにはそれを行わないというポリシーがあるが、そのポリシーに違反したか否かを確認する手段がない(The Washington Post記事)と話した。アマゾンはまた、EUでの事業において独占禁止法違反(The Wall Street Journal記事)で起訴されるおそれもにも直面(Reuters記事)している。

そんな中でアマゾンは、広告事業への投資を増やし続け、第1四半期は前年比で44%増、39億1000万ドル(約4120億円)に達した。この伸び率は、総額ではまったく及ばないものの、Google(グーグル)の13%、Facebook(フェイスブック)の17%よりも大きい。ちなみにDigiday(ディジデイ)の記事によると、グーグルの広告事業費は同じ第1四半期で280億ドル(約3兆円)、フェイスブックは174億ドル(約1兆8000億円)となっている。

パンデミックによってeコマースへの移行が5年分ほど早まったこともあり、アマゾンのより効率的な広告スペースへの必要性も加速化された。そのため、自社のウェブサイトから直接収集できるよりも多くのデータを取り込む必要性が急激に増したようだ。

このプログラムの開始にあたって広告主に送られたメッセージの中で、アマゾンは自身のeコマース事業を、小売り市場全体のごく小さな一片だと位置づけている。これは規制の回避を期待して、同社がよく使う表現だ。

非常に競争の激しいこの小売り環境において、アマゾンはあらゆる規模のブランドと協力し、その事業が、私たちのストア内に限らず、お客様が買い物をするさまざまな場所においても成長できるよう支援いたします。また、販売パートナー、特に中小事業者が当ストアで成功できるよう、ツール、見識、データの提供に懸命に取り組みます。

しかし、当ストアはパズルの1ピースに過ぎません。お客様は日常的にアマゾンを利用し、製品を探して調べ、他の店舗で購入されています。事実、アマゾンの売上高は、米国全体から見るとわずか4%です。そのためブランドはさらなる情報を求めてNielsen、NPD、特定セグメント専門の情報プロバイダーなどのサードパーティーの消費者パネルやビジネス調査会社に頼ることが多くなっています。そうした登録型の消費者パネルには定評があり、顧客の意見や買い物に関する情報を集めたい数多くの業者が利用しています。それを執り行う企業は、複数の店舗での買い物行動に関するデータを収集し平均的な販売価格、販売総数、無数の人気商品による収益などのデータを報告します。

これに続きShopper Panelでは、アマゾンのストアにとらわれない付加的な見識を提供し、販売店やブランドを支援すると説明している。

プログラムの予約リストがいつまであるかは明示されていないが、米国時間10月20日より、誰でも登録できると同社は述べている。話している。

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(翻訳:金井哲夫)

FacebookがMessenger APIでInstagramもサポート、ソーシャルショッピングを強化

Facebook(フェイスブック)は2020年9月にMessengerをInstagramとの連携を強化した。これに続いて米国時間10月19日、Messenger APIをアップデートし、企業が自社アプリ内で顧客との会話にMessengerと同時にInstagramを効果的に利用できるようにしている(Facebookリリース)。

これまで企業はInstagramアプリ内からの顧客からの問い合わせに対し、フェイスブックの統合された受信箱を利用してきた。これはスモールビジネスの場合にはあまり問題がなかったが、問い合わせ数が膨大となる大企業の場合、効率的な管理が難しかった。今回のアップデートで企業は自社のオンラインショッピングシステム内に設けたコミュニケーション機能にInstagramを統合できるようになった。特に、写真写やリンクなを含むリッチメディアの処理ができるようになったことは大きい。

企業のショッピングアプリで、Messengerからの問い合わせに対して顧客データベースを起動し過去の購入履歴など顧客プロフィールを即座に検索する機能を追加できる。今回のアップデートでInstagramについても同様の機能が得られる。CRM(顧客管理)システムを持つ企業であれば、問い合わせに対して詳細な顧客情報を即座に引き出して回答に利用することができる。

フェイスブックによれば、企業はこのAPIを利用して自社のInstagramのプロフィール、ショップ、ストーリーを管理できるという。

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今回のアップデートはInstagramがショッピング機能を中心に据える努力を背景としている。新しく登場したInstagramショップはアプリのビジュアルを大きく変えショッピング体験を前面に打ち出している。

フェイスブックによれば、MessengerとInstagramにおける企業と顧客の会話は前年比で1日当たり40%以上増加しているという。

今回のAPIのアップデートで、フェイスブックは企業がInstagramを通じたFAQに属する質問にアルゴリズムで自動的に回答すると同時に、必要ならライブでサポートを続けることができる機能を追加した。フェイスブックのパートナー企業であるClarabridgeではアルファ版のテストでInstagramによる問い合わせに対する回答率が55%アップしたという。

新しいMessenger APIは一部のパートナー企業に対しベータテスト公開中(Facebookリリース)だ。Adidas、Amaro、Glossier、H&M、MagazineLuiza、Michael Kors、Nars、Sephora、TechStyle Fashion Groupその他の大手消費者ブランドがベータテスターとなっている。同時にフェイスブックのパートナーとなっているデベロッパーに対しても公開されていた。本日の発表以降、一般企業デベロッパーも後期ベータテストの待機リストに登録できるようになった。

最近のInstagramとMessengerのアップデートで最も重要な部分は無料アプリ間通信機能だが、これは今回のAPIのアップデートにはまだ含まれていない。顧客からのメッセージは、顧客が利用しているアプリに応じて企業のMessengerかInstagramのどちらかの受信箱に表示される。ただし「この点は今後改善していく」とフェイスブックは約束している。APIのMessengerとInstagramのアプリ間通信機能のサポートは今後のアップデートを待つ必要がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アリババ系列のTaobao Taiwanが台湾から年内撤退へ、当局の裁決を受け

海峡で隔てられている台湾と中国本土のインターネットはまったく異なる世界だ。中国本のテック大企業Alibaba(アリババ)とTencent(テンセント)ですら台湾参入はさほど成功しておらず、しばしば規制のハードルにぶつかってきた

アリババ支援のジョイントベンチャーを通じてTaobao(タオバオ)が台湾で展開されるようになって1年にも満たないが、Taobaoは今年末までにオペレーションを停止すると発表した。10月15日に顧客に通知した(Taobaoリリース)。

この決定の2日前に、台湾の経済部投資審議委員会はTaobao Taiwanが中国支配の企業だと裁決(Taiwan Times記事)し、同社に台湾から撤退するか異なる企業構造で再登録するよう求めた。台湾の法律では、中国の投資家は直接、あるいは非直接的に台湾の企業の30%超の株式を取得するには台湾政府の許可を取得しなければならない(Taiwan Times記事)。

Taobao Taiwanは英国登記のCladdagh Venture Investmentが所有・運営している。そしてCladdagh Venture Investmentの株式28.77%がアリババが所有している。にもかかわらず投資当局は、AlibabaがCladdaghの役員会の決定に対し「拒否権」を持っていて、Taobao Taiwanを事実上コントロールしているのはアリババだと裁決した(台湾経済部リリース)。

アプリ調査会社App Annieによると、Taobao Taiwanは直近では台湾のGoogle Playストアで最もダウンロードされている買い物アプリで、Shopeeがそれに続く。意外なことに、Taobaoの中国版はiOS買い物部門第6位で、Shopeeが首位だ。

Taobao Taiwanはアリババのメインのマーケットプレイスとは別のものだ。アリババのマーケットプレイスのモバイル月間ユーザーは直近の四半期に8億7400万人を誇った。アリババの買い物客のほとんどは中国本土だが、香港や台湾の顧客は長い間、中国のTaobaoアプリを利用することができ、追加料金を払って商品を輸入していた。

一方、人口約2400万人の台湾のローカルベンダーを引きつけるために設立されたTaobao Taiwanは、シンガポール拠点のShopeeやローカルのPChome 24といった人気のサービスと競合している。

Taobaoが台湾の法律の影響を受けるのはこれが初めてではない。2015年に当局は、当時アリババの香港法人によって設立されたTaobao Taiwanに対し、中国とのつながりを理由に撤退を命令した。Shopeeも例外ではなかった。親会社Seaの40%の株式をTencentが所有しているとして、2017年に調査を受けた(The Business Times記事)。

「当社はCladdaghの決定を尊重します」とアリババの代理はTechCrunchへの声明で述べた。「Alibabaの事業は台湾マーケットで通常どおりです。引き続きTaobaoアプリを通じて高品質のプロダクトを消費者に提供します」

Claddaghがどのようにジョイントベンチャーの再構築ではなく撤退という判断に至ったのかは不明だ。同社はコメントの求めに応じなかった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:アリババ、ネットショッピング、Taobao Taiwan

画像クレジット: Taobao Taiwan

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(翻訳:Mizoguchi

Quinceが「メーカーから消費者」の新しい小売業モデルのベータ版をローンチ

小売業は今、急速に変わりつつある。D2Cがショッピングを変えた一方で、Quinceは小売業をさらに劇的に変えようとしている。

知られているかぎりではQuinceは、2019年に850万ドル(約9億円)のシード資金を調達しただけだが、男女のアパレルやアクセサリー、ジュエリー、家庭用品といったおよそ700品目の在庫を自前で持つことでサプライチェーンの概念を変えようとしている。

「Last Brand(最後のブランド)」を自称するQuinceは、1年のベータテストを経て「M2C」と呼ばれる新しいモデルをローンチしている。M2Cは「manufacturer to consumer(メーカーから消費者へ)」の略だ。

このモデルでは、必需品のデザインを持って工場に直接出向き、過剰なパターンやブランド品ではなく、需要に応じて毎週ダイナミックに調整する。発注量は、需要次第で各週に変わる。Quinceは、消費者からの注文が入ってくるようになるとメーカーと協力して、個々のSKUの生産量を過不足が生じないよう調節。その後、、工場が直接顧客へ発送する。これまでのように、小売業の流通センターやストアに一旦送って、それをさらに最終目的地へ送る、ということをしない。

品物があまり売れず在庫が残っても、それは発注した小売業の責任であるため、工場がこのモデルに従う必要はないかもしれない。しかしQuinceの共同創業者でCEOのSid Gupta(シド・グプタ)氏によると、この新しいモデルが登場した今が小売業にとって転換期だという。1つのSKUの発注量が10万になるような大きなブランドは、現在パンデミックで苦戦しており、SKUのポートフォリオを縮小している。

工場に残された道は、2つしかない。D2Cブランドに変わるか、それともAmazon(アマゾン)のようなマーケットプレイスで直販するかだ。

「D2Cの需要は非常に細分化されており、ほとんどのD2C企業が小規模だ。効率的な利益を得るのは難しい。しかしアマゾンのようなマーケットプレイスで販売しようとすると、同じような品目で何百何千もの売り手と競合することになる。また、実際に高品質な製品を作っている工場は、従業員に公正な賃金を払い、環境にも配慮しなければならないため、コストが3%か5%高くなるかもしれない」とグプタ氏はいう。

彼によると、アマゾンのユーザーにはそんな工場の努力は伝わらない。効果的な広告を出すことも、工場には難しい。

しかしQuinceのような環境なら、メーカー自身が新しいやり方に取り組むことができる。

一方、Quinceは工場と直接接触することによって、高級品のコストを大幅に下げることができる。たとえばカシミアのセーターなら他店のように150ドル(約1万5800円)以上でなく、50ドル(約5300円)で販売することができる。このようなQuinceの協力工場は現在、全世界に30ほどある。

グプタ氏によると、同社は持続可能性に真剣に取り組んでおり、たとえば素材は有機産品のみ、工程は環境に優しいかなど使用する素材や製造工程、労働者の給与などに基準を設けている。また、ヒットした品目については、工場やその従業員への利益還元も検討している。

2019年秋のシード資金でQuinceは、ベータテストを開始することができ、チームを16名に増員できた。その中には、共同創業者のBecky Mortimer(ベッキー・モーティマー)氏とSourabh Mahajan(スーラーブ・マハジャン)氏がいる。また、従業員の35%は女性、65%はマイノリティだ。

同社の投資家はFounders Fundと8VC、およびBasis Set Venturesだ。

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フォローしている人がおすすめする自分に合った商品を発見、購入できるPickerが約1.6億円のシード資金を獲得

ユーザーがフォローしている人がおすすめしている商品を発見し、購入できるアプリPickerが、130万ユーロ(約1億6000万円)のシード資金を獲得した。このバルセロナのスタートアップを支援したのは、ベルリンのBtovだ。同社が調達した資金はこれで200万ユーロ(約2億5000万円)になるが、多くは様々なエンジェル投資家からのものとなる。

Daniel Ramos(ダニエル・ラモス)氏とConan Moriarty(コナン・モリアーティ)氏、Enric Gabarró(エンリク・ガバロ)氏が2018年に創業したPickerは、インフルエンサーや友だちやPickerのコミュニティからの推薦に基づいて商品を発見、購入できるマーケットプレースを提供する。iOS、Androidアプリは現在、スペインとドイツ、オーストリア、スイスで利用できる。

以前、Zalandoに在籍しインフルエンサーマーケティングの経験があるCEOのエンリク・ガバロ氏は、「現在、オンラインでの買い物はひどい状況にあり、良い商品がゴミ山の下に隠れている。大手のオンラインショップでカメラを検索すると、20万件以上の結果が出る。その中のどれが良いのか、それを知る方法はありません。レビューは匿名であり、誰もあなたのことを知りません。いつも言っていますが、Pickerはあなたが、あなたのためのベストな商品を見つけるための方法です。1人の信頼できる人の意見は、500件のレビューに優るものだからです」と主張する。

さらに広く言えば、ガバロ氏は友人、家族、コミュニティとそれらを共有し「優れた商品を強化」することがお金を節約し、環境にも貢献する最善の方法であり、それと同時に「信頼できる良いメーカーを支援し、愛する人たちを支援する」ことになると信じている。同社のキャッチフレーズは「stop buying more, buy better(たくさん買うな、上手に買え)」だ。

とはいえ、Pickerのユーザーはかなりの量の買い物をしているようで、同社は2020年に全世界での売り上げが200万ユーロ(約2億5000万円)に達成する予定であることを明らかにしている。さらに他の国でのローンチも準備中だ。

同社はさまざまなブランドやeコマースサイト、マーケットプレース、リセラーと提携し、個々の売上に対してマージンを得ているため、初期から黒字だガバロ氏はいう。またガバロ氏によれば、Picker上でキャンペーンを行いたいブランドもあるというが、まだテスト段階とのことだ。

「私たちのメインの顧客は25歳以上の女性で、ファッションやメイク、そして子供の物に関心がある。またスタートアップ関連の本やガーデニング、ウィスキー、庭仕事用の工具など、ニッチなカテゴリーもある。セックストイなんかもあるね」とガバロ氏はいう。隔離生活の間、スペインではセックストイの売り上げが増え、、ドイツではDIY用品が売れたという。パンデミックでネットショップが忙しくなったといっても、売れ筋は多様だ。

アジアにはPinduoduoという競合他社があるが、こちらはディスカウントにフォーカスしている。またヨーロッパには小さな競合他社が多い。そしてもちろんInstagramとPinterestも強敵だ。

「ソーシャルメディアは広告の視聴時間が主な収益源だったが、広告ではなく誰かの購入を収入源とするまったく新しいやり方もある。私たちは100%ユーザーの側に立ち、本当に買いたい、あるいはシェアしたい製品を見つけてもらいたいと考えている。ユーザーが、自分に一番合った商品を早く見つけて欲しいが、私たちのプラットフォームで長時間過ごすだけの状態にはなって欲しくない。ソーシャルを利用して商品を発見できるプラットフォームは、強力な差別化要因だと思う」とPickerのCEOは述べている。

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タグ:Pickereコマースソーシャルコマース

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アマゾンの2020年プライムデーのグローバル売上高は1兆円超えの見込み、日本は10月13、14日に開催

延期されていたAmazon(アマゾン)のプライムデーについての新たな予測が米国時間10月6日に発表された。それによると、10月に開催されるプライムデーのグローバル売上高は2019年を上回って100億ドル(約1兆600億円)近くに達する。eMarketerは今回初めてのプライムデーの予測を発表し、消費者は引き続きeコマースにかなり金を使い、2020年のホリデーシーズンを前にお得な買い物を探す、とみている。

eMarketerは、2020年のプライムデーのグローバル売上高が99億1000万ドル(約1兆470億円)に達し、うち61億7000万ドル(約6500億円)は米国の消費者によるものになると予測している。

これは過去数年のプライムデーの売上を上回っている。2019年のプライムデーのグローバル売上高は69億3000万ドル(約7300億円)で、そのうち43億2000万ドル(約4560億円)が米国での売上だった。2016年の売上高は15億ドル(約1580億円)、2017年は24億7000万ドル(約2600億円)、2018年は41億3000万ドル(約4360億円)だった。

こうした数字は他の会社が算出したものとほぼ一致している。たとえば、Internet Retailerは2019年のプライムデーのグローバル売上高は71億6000万ドル(約7560億円)で、前年の41億9000万ドル(約4400億円)から増えたした、と推定した(Digital Commerce 360記事)。アマゾンはプライムデーの売上量については具体的に明らかにしないが、2019年はイベント期間中に1億7500万アイテムを販売したと述べている(未訳記事)。

画像クレジット:eMarketer

もちろん2020年のプライムデーを予測するのは、新型コロナウイルスパンデミックがeコマース産業に及ぼしている影響のためにかなり難しい。新型コロナによる健康危機はサプライチェーンを混乱させ、遅延を引き起こした。一方で消費者の需要は予測不可能なものになるかもしれない。大手小売でのこれまでのeコマース支出の増加は政府による景気刺激策と密接に結びついている。

パンデミックにより、2020年のアマゾンはほとんどのマーケットで毎年恒例のセールを7月中旬から10月にずらした。一方で、同社はインドでのプライムデーを8月に開催した。この開催時期は前年よりは後ろ倒しになったが、他の国で計画された今年のプライムデーよりは早かった。インドでの開催後にアマゾンは、過去最多の販売事業者が参加し、少なくとも100万人の新規プライム会員を獲得したと明らかにしている。

開催時期の変更にもかかわらず、2020年のプライムデーも引き続きトラフィックや売上高が増加するとeMarketerのアナリストはみている。

「2015年のプライムデー開始以来、アマゾンはイベントのスケールや扱いを拡大してきました」とeMarketerの主任アナリストAndrew Lipsman(アンドリュー・リップスマン)氏は述べた。「毎年わずかに変化していて、Lightning Dealsそして中心的に取り扱われるAmazon EchosやFire TVの大幅割引など、顧客や販売事業者はある程度予想ができました。販売事業者は販促や広告戦略のための作戦を練り、それに応じて在庫の準備もできました」。

アマゾンはすでにプライム会員向けにEcho Show 5の割引は90ドル(約9500円)のものが45ドル(約4700円)に、Echo Autoのディスカウントは30ドルオフの19.99ドル(約2100円)となっている。さらにこれまでよりも安いEcho Dots、Insignia 4K TVやBlink Miniデバイスなどで動くAmazon TVの割引などお得なディールの提供を開始しているが、プライムデーは正式には10月13日から始まる。

プライムデーはまた、決まって競合企業のセールを刺激する。これにより、アマゾンのイベントは他のeコマース小売に恩恵をもたらすオンラインショッピングの増加につながる。2020年3月時点でオンライン小売の37%がプライムデーの計画は新型コロナの影響で未定だと述べた。しかし56%がプライムデーの売上は芳しいものになると期待している、とeMarketerは指摘している。

これまでのところ、Target(ターゲット)はプライムデーに対抗するために大々的なセール「Target Deal Days」を計画していて、プライムデーと同じ期間に数十万ものアイテムでブラックフライデーのようなディスカウントを約束する。一方のWalmart(ウォルマート)はひと足早い10月11日から10月15日までイベントを開催すると明らかにした。

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タグ:Amazoneコマースプライムデー

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Instagramが同社の動画サービスIGTVでのショッピング機能を拡大、Reelsでのテストも計画

Instagramが米国時間10月5日朝、Instagram ShoppingサービスをIGTVに拡張すると発表した。IGTVとはInstagramの操作が簡単なスマートフォン向け動画サービスで、クリエイターやインフルエンサーに彼らのInstagram上のユーザーベースをもっと直接的に収益化する方法を与え、さらに企業やブランドがそのフォロワーに商品を売ることができるものだ。Instagramによると、TikTokに対抗する新しい機能であるReelsの上でも近くショッピングのテストを始める。

画像クレジット:Instagram

ここ数年でショッピングは、Instagramの大きな部分を占めるようになった。

Instagramの発見タブに2018年に個人化されたShoppingチャンネルが加わり(未訳記事)、そこにユーザーが欲しそうな(とInstagramが思う)品物が並んだ。その後Shopping機能はStoriesになり、2019年はチェックアウトをローンチした。それは写真の中に欲しいものがあったらそれを買える、という機能だ。さらに2019年の夏Instagramは専用のShopセクションの設計を変更し(未訳機維持)、Facebook Payを使えるようにした。

今やInstagramでは、製品を見てそれを買うというアクションをIGTV、Instagram Live、そしてStoriesで行うことができる。

IGTVでは、ユーザーは購入の完結をアプリ内のチェックアウト、または売り手のウェブサイト上でできる。便利なのは、アプリをいちいち切り替えなくても購入と決済が最後までできることだ。その方法ではInstagramが手数料を徴収し、それが同社の新たな収益源になっている。しかも最近は新型コロナウイルスのパンデミックのおかげでeコマースが加速され、ネットで買い物をする人がこれまでになく増えている。

Instagramによると、買い物ができるIGTVの動画は今後、Instagram Shopの上でも見つかるようになるという。

ショッピングをInstagramの中心的機能にする意図が同社にあるため、Reelsが買い物可能になっても意外ではない。

InstagramのCOOであるJustin Osofsky(ジャスティン・オソフスキー)は「デジタルクリエイターとブランドは新しい文化をInstagramにもたらし、Instagramを訪れる人はそこからインスピレーションを得ている。ショッピングをIGTVとReelsに導入して、動画からでも容易に購入できるようにしたい。またそれによって売り手は、彼らのストーリーをシェアし、顧客に到達し、売上を得る」と声明の中で述べている。

ショートビデオが買い物を誘発することに気づいたのは、Instagramだけではない。TikTokの部分買収を狙ったWalmart(Walmartリリース)は、「ソーシャルコマース」というトレンドの成長を狙っており、そこではソーシャルメディアとオンラインショッピングの結合が商品への需要を急増させていた。それは、ジェネレーションZを狙った現代版のQVCのように、スマートフォンの小さな画面にブロードキャストされる。

対照的にTikTokは、今のところソーシャルコマースを本格展開していない。リーバイスとのパートナーシップ(未訳記事)のように、一部の広告でテストを行ったくらいだ。それはパンデミックの初期に、インフルエンサーが作った広告をユーザーのフィードで見せ、リーバイスのウェブサイトに誘導した。ユーザーのTikTokのプロフィールにeコマースのリンクを入れたり、動画からショッピンできる機能も試した(未訳記事)。

InstagramはReelsへのショッピングの導入について、2020年の後半としか発言していない。

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タグ:Instagrameコマースソーシャルコマース

画像クレジット:Bryce Durbin

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アプリに銀行口座を連携させるPlaidがインターフェイスを改良、銀行決済をカードのように簡単に

アプリやサービスと銀行口座を接続できるユニバーサルバンキングAPIを開発するPlaidが、Plaid Linkをアップデートした。Plaid LinkはVenmo、Acorns、ChimeといったPlaidを利用しているアプリやサービスに銀行口座を追加する際に表示されるインターフェイスだ。

現在、3000ものアプリがPlaidを利用しているため、おそらくPlaidを目にしたことがあるのではないだろうか。同社によると、米国では4人に1人がPlaidを使ってアカウントの連携を行っているという。

そして、米国時間10月2日のアップデートは、複数のアプリでPlaidをより使いやすくするものだ。初めて銀行口座に接続するときは、銀行を検索して認証情報を入力してログインする。

2回目にアプリやサービスへ銀行口座を登録する場合、Plaidは以前に追加した銀行口座を表示する。金融機関のリストをスクロールして自分の銀行を探し、またユーザーIDなどを入力する必要はない。ただし、Plaidがパスワードやワンタイムパスワードの入力を再び求めることはあるかもしれない。

画像クレジット:Plaid

eコマースプラットフォームで買い物をする場合、カードを保存しておけば、その情報を再度入力する必要はない。本日のPlaid Linkのアップデートで、同社は銀行口座情報についても同様のことを行っている。

ペイメントカードは、銀行口座に接続して送金するよりもカードでの決済の方がはるかに簡単であるため流行している。Plaid Linkが使いやすくなったことによって、フィンテックのスタートアップがユーザーの口座に接続するときの面倒が減るだろう。

またPlaidによると、さらにPlaid Linkはやや速くなったという。各パネルの読み込みが30%速くなった。現在、銀行のリストはユーザーの場所に応じて表示される。地元の銀行がリストの一番上に表示されるため、スクロールする必要もなくなった。

関連記事::Visaが5800億円でPlaid買収、最終的な評価額は倍に

カテゴリー:フィンテック
タグ:PlaideコマースAPI

画像クレジット:Sarah Wardlaw / Unsplash

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オンライン園芸店のBloomscapeが約16億円調達、植物管理アプリVeraを買収

2020年、新型コロナウイルスによって続くロックダウンの間、植物に投資して小さな庭園を造りたいと考えているのは、あなただけではない。温室から消費者へ生きた観葉植物を直販を手掛けるBloomscape(ブルームスケープ)によれば、今年は植物に興味を示す人が増え、すでに成長を続けている同社のサービスへの需要が高まっているという。米国時間9月30日にBloomscapeは、1500万ドル(約15億8000万円)のシリーズBラウンドによる新たな投資金調植物管理アプリVera(ベラ)の買収を発表した。

この新ラウンドはGeneral Catalystが主導し、Annox CapitalのBob Mylod(ボブ・マイロッド)氏、Booking Holdingsの元会長でありHome Depot役員のJeff Boyd(ジェフ・ボイド)氏、Burt’s BeesのCEOを経てSeventh GenerationのCEOとなったJohn Replogle(ジョン・ルプロール)氏、それにすでに同社の既存投資家のRevolution VenturesとLudlow Venturesが参加している。

General Catalystの共同創業者であり業務執行取締役のJoel Cutler(ジョエル・カトラー)氏と、Annox Capital Managementの業務執行社員であるBob Mylod(ボブ・マイロッド)氏は、今回のラウンドの一環としてBloomscapeの取締役会に参加する。現在までBloomscapeは、2400万ドル(約25億3000万円)を調達した。

Bloomscapeは2018年、ミシガン州在住のデザイナーであり起業家のJustin Mast(ジャスティン・マスト)氏により、観葉植物が消費者の玄関先に届けられるまでの米国内の流通経路の再構築を目指して設立された(dbusiness記事)。

今では、ホームセンターやAmazon(アマゾン)を始めとする大手eコマース企業など、他の企業も生きた観葉植物の通販を手掛けている。しかしBloomscapeは、配達プロセスと舞台裏の流通業務を確実に改善した手段に違いがある。

同社は、観葉植物のパッケージ技術で特許を出願している。その技術により、植物と植木鉢は適正な温度の下にしっかりと保たれる。また「結着剤を混ぜた独自の用土が移動の間も土を保持し、根を保護する」とマスト氏は説明している。

しかも、観葉植物は温室から直接消費者へ出荷されるため、温室からいったん量販店に送られ、そこから消費者に配送されるという、平均4週間はかかる通常の工程よりも、健康な状態で届けることができる。

同社はまた、地域フルフィルメント戦略の改善も進めている。そこには、輸送時間をさらに短縮するための地域拠点やシステムの構築も含まれる。

マスト氏は、Bloomscapeの現在までの成功は、1つの要因だけによるものではなく、人々、プロセス、システムの連携によるものだと強調する。

「私たちの製品およびサプライチェーン部門で働く人々は、国内外への観葉植物の配送と最上級のフルフィルメントプロセスに数十年の経験を誇っています」とマスト氏。「現在私たちは、さまざまな条件ごとに、どの植物がよく売れているかに関する大量の情報を内部に集積しています。この情報を体系化することで、健康な植物による製品構成を確実にする最適化が可能になります」と続ける。

新型コロナウイルスの感染蔓延以前から、Bloomscapeは着実な成長を遂げていた。具体的な数字は示さないものの「この事業は昨年から4倍に成長し、従業員も倍以上に増えている」とマスト氏は説明する、

Bloomscapeでもっとも急速に延びているセグメントは、主にに南部および中部大西洋地域の郊外に暮らすミレニアル世代だ。その多くは、新たに、または最近一戸建て住み始めた家族でもある。

新型コロナウイルスが蔓延しロックダウンが施行されると、Bloomscapeは、単に増大する顧客の需要に対応するだけでなく、リモートワークという従業員のライフスタイルへの迅速な適応も求められるようになった。

「あまりにも多くの人たちが、計り知れない困難を抱えたこの時期でも事業に感染拡大の悪影響を受けなかった私たちは大変に幸運でした。新型コロナウイルス流行の最初の2カ月ほどで、世界中がそうであったように、たくさんの変化を経験しました」とマスト氏。「多くの人たちが、植物に癒やしを求め、植物に興味を持つようになりました。私たちの観葉植物が自然を家庭にもたらし、ほんのわずかでも慰めや喜びを提供できることに大変な喜びを感じています。この時世に人々に価値あるものを届けられることを胸を躍らせています」と同氏は話した。

新型コロナウイルスの感染蔓延によって促進されたeコマースへの移行は、この健康危機が収まった後もBloomscapeに恩恵をもたらし続けるだろう。さらにマスト氏は「ひとたび植物に手を染めた人は、もうやめられなくなる」と指摘する。

資金調達のニュースに伴い、Bloomscapeは植物管理アプリVeraの買収も発表した。買収額は公表されていない。この取引は、技術のみが対象となり、アプリ開発チームそのものは含まれないとのことだ。

Veraは現在、植物管理のコツ、記事、トラブルシューティング、水やりのリマインダーなどを利用者に提供している。Bloomscapeでは、このアプリを活用して利用者とのつながりを深め、既存の植物管理アシスタント・サービス「Talk to Plant Mom」(植物ママと話そう)などをはじめとする、同社の植物管理情報や資料を統合させたいと考えている。

Veraを使った植物管理情報の提供拡大に加え、Bloomscapeは今回新しく手に入れた資金を使い、人材の増強、地域フルフィルメント戦略の改善、新製品のローンチを計画している。そのひとつが、Edible Garden Shop(食用ガーデンショップ)だ。ここでは、小さなトマト、ラベンダー、スイートペッパー、ホットペッパー、ケールミックス、ミント、カモミールの苗が買える。「来年には屋外用植物の扱いも開始する」と同社は話していた。

「Bloomscapeが持つ家庭園芸の見識を上回る顧客向け垂直市場の見識を持つ人たちは、滅多にいません」とカトラー氏は、今回の投資に関する声明の中で述べている。「彼らは、植物の栽培と生きたままの配送という複雑な物流管理に大変に秀でているばかりでなく、生活空間に緑を欲している今日の顧客と強い共鳴で結ばれています」と続けた。

画像クレジット:Bloomscape>

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(翻訳:金井哲夫)