スピントロニクス素子で従来品の500倍という世界最高感度のフィルム型ひずみゲージを製作、仮想現実などでの応用に期待

スピントロニクス素子で従来品の500倍という世界最高感度のフィルム型ひずみゲージを製作、スポーツ科学・仮想現実での応用に期待

(a)引っ張り試験機でプラスチックフィルム(フレキシブル基板)上の磁気トンネル接合を引っ張っている様子(上)と、試料の模式図(下)。(b)磁気トンネル接合の素子抵抗の引っ張りひずみによる変化。挿入図は磁気トンネル接合の模式図。ひずみが0.2%~0.4%の範囲で、素子抵抗が200%近く減少していることがわかる(つまり、ゲージ率が約1000)。同研究では、抵抗が変化し始める閾(しきい)ひずみ(図では0.2%程度)をゼロにする方法も提案

大阪大学産業科学研究所の千葉大地教授ら研究グループは2月16日、磁気トンネル接合素子を使った世界最高感度のフィルム型ひずみゲージを製作したと発表した。

ひずみゲージとは、材料が外力に比例して変形するひずみを電気信号として検出するセンサーのこと。構造物のひずみや圧力検出、人体の活動から生まれるデータのセンシングデバイスなどにも活用されている。今回製作したフィルム型ひずみゲージは、金属箔ひずみゲージに比べて感度が約500倍と高く、まったく新しいスピントロニクスの社会実装の道を拓くという。

磁気トンネル接合素子は、ハードディスクの読み取りヘッドや固体磁気メモリーなどに利用されているスピントロニクスデバイス。絶縁体ナノ薄膜を磁性ナノ薄膜で挟んだ構造をしており、2つの磁性体の角度がずれることで電気抵抗が変化するというもの。研究グループは、柔らかいプラスチックフィルム(フレキシブル基板)上にこの素子を形成した。このひずみゲージは、ひずみ検出感度の指標であるゲージ率が1000という非常に大きな値を示した。これは、現在普及しているフィルム型の金属箔ひずみゲージの500倍の感度に相当する。

今回製作したひずみゲージは、1mm四方の1/6800という小さなものだが、固体磁気メモリーで使われている素子は、さらにその数十万分の1のサイズとなっている。そのため、もっとずっと小さなひずみゲージを作ることも可能であり、これをフレキシブル基板上に集積化すれば、「緻密なひずみのマッピング」も実現するという。また、柔らかい基材にこの機能を持たせることで、生体親和性の高いひずみゲージを作ることができ、生体の動きの精密測定が求められる医療、スポーツ科学、仮想現実などの分野での応用も期待できる。

この成果は、スピントロニクスに「力学情報のセンシング」という新しい応用の道を拓くものであり、より解像度の高い力学情報の提供が可能となり、「新たな産業を生み出すキラーデバイス」になると研究グループは話している。

Valveの携帯ゲームPC「Steam Deck」の分解動画をiFixitが公開、SSDやアナログスティックは交換しやすい設計

iFixitがValveの携帯ゲームPC「Steam Deck」の分解動画を公開、SSDやアナログスティックは交換しやすい設計

iFixit

「ハイテク製品が発売されたら直ちに分解」でおなじみの修理業者iFixitは、Valve社の携帯ゲームPC「Steam Deck」を分解する動画を公開しました。Valve社はSteam Deckを自ら修理しようとするユーザーに数々の問題が起こる可能性があると警告していましたが、iFixitはそれほどの注意は必要ないとの結果を示しています。

今回のレポートが興味深いのは、iFixitはSteam Deckの交換部品の正規代理店の1つとなると発表している事情もあります。つまり本家のValveが「 Steam Deckの内側を見てみましょう!(=ユーザーが分解してはいけない)」の動画を出しているのに、正規の業者が「ユーザーが分解しても大丈夫」と受け取られかねない実演を公開しているわけです。

さてiFixitが製品版のSteam Deckを分解したところ、ほぼ全ての部品に分かりやすいラベルが貼られている上に、ケースを開けて中身を見ることにさほど苦労していません。設計は十分にモジュール化されており、必要以上に部品を交換したり分解せずに、色々な箇所を修理できると分析されています。

またSSDはネジ1本を外すだけで交換でき、ディスプレイの取り外しも吸盤(画面を引っ張り上げる)と熱(ヒートガンなど)以外は必要ありません。

またValve社はアナログスティックについてドリフト問題(ユーザーが触れていないのに、勝手にスティックがふらつき(drift)入力されること)対策を強く意識していると語っていましたが、iFixitによれば3本のネジを外すだけで両方のスティックを交換できるとのこと。万が一ドリフトが起きたとしても、本体を修理に出さなくともユーザー自らが交換部品を取り寄せて付け替えしやすいわけです。

しかしバッテリーはかなり交換しにくく、USB-CポートとmicroSDスロットは基板にはんだ付けされているため、慎重に扱った方がよさそうです。

iFixitは総合的に見て、Steam Deckは他社の最新ノートPCよりも修理しやすいと評価しています。自分で大容量のSSDに交換したい人、スティックの調子が悪くなればすぐに取り替えたい人にとっては、理想の携帯ゲーム機となるのかもしれません。

(Source:iFixit(YouTube)Engadget日本版より転載)

極小3Dプリント技術のScronaは大規模な製造業向けのプランを立ち上げる

Scrona AGは2015年に「最小のインクジェットプリントカラーイメージ」でギネスの世界記録になり、ちょっとした話題を呼んだ。80×115マイクロメートルのカクレクマノミの絵は、Kickstarterでキャンペーンときも話題になった。

ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)からスピンオフした同社は、さらに大きな志を抱き、積層造形 / 3Dプリントを大量生産の世界に導入するために、極小プリント技術の規模を拡大することを計画、特にディスプレイ、PCB、半導体などのエレクトロニクス分野への応用を視野に入れている。後者は、チップ不足が続く中、多くの人が破壊を切望している分野であることは間違いないだろう。

Scronaの共同創業者でCEOのPatrick Galliker(パトリック・ガリカー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「Scronaを使えば、これまで不可能だったものをデジタルでプリントできます。それはどのような素材でも、スケールでもよいため、今日の製造技術と明日の革新的な製品の両方で速さと精度とコストを改善します。今回、Scronaのスケーラブルなプリント技術のディスラプティブなポテンシャルを理解しているエキスパートの投資家たちのシンジケートに支援されることに、私たちはとてもエキサイトしています。私たちの技術には、製造工程の工程数を1/10に減らす能力があり、また素材やエネルギーや水の使用量も大幅に減らすことができます」。

彼らのプランは、新しい投資という形でゴーサインをもらった。670万ドル(約7億8000万円)のシリーズAはAM Venturesがリードし、またスイス政府からの290万ドル(約3億4000万円)の助成金を加えると、合わせて1000万ドル(約11億6000万円)ほどのラウンドになる。

同社によると、3Dプリントは、従来の方法と比べて、速くてしかも解像度100倍のはるかに精密なプリントが可能になる。そのシステムは静電吐出を用いるので、金属や生物素材など、さまざまな素材を使うプリントが可能だ。

AM VenturesのJohann Oberhofer(ヨハン・オーバーホーファー)氏は、リリースで「Scronaの技術には大きなポテンシャルがあります。特に添加物の製造では、この技術で、これまでのプリントヘッドで処理できなかった素材も処理できます。最高の解像度と、高性能な素材をめぐる処理のこれまでの制約がなくなることの両方があることは極めてユニークなことです」と述べている。

画像クレジット:Sittikan Raingkhun/EyeEm/Getty Images (画像を加工した)

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

周囲の音を取り込む大きな穴があるソニーの新型イヤフォン「LinkBuds」、Nianticと協業しARゲームも盛り上げる

Sony(ソニー)は最高のヘッドフォンを作っている。WF-1000XM5もWH-1000XM4もすばらしい。特に後者は、ノイズキャンセリング機能が優れている。アップデートは遅いが、すでにFCCのリストに載ってるという噂もある。どんなに遅くても今だにすばらしいし、すでに1年半もの間、毎日、私の生活を破壊する建設工事の騒音から身を守っている。

同社の最新モデルは、ある意味でそれと正反対のものとなる。Sonyにしては珍しく覚えやすい名前のLinkBudsには、多くの音を通すための大きな穴がある。その中央にあるダイヤフラムに穴が開いており、周囲の音を取り込むことができる。それは、環境を意識して設計された初期のヘッドフォンに通じるものだ。

画像クレジット:Sony

ヘッドフォンもまた誰にでも合う製品はないし、本製品についてもそういえる。ノイズの除去が最優先の人には向いていない。しかし、デバイス上の音とリアルな世界の環境音を結びつけるアプリケーションである拡張現実(AR)にはうってつけのモデルだ。

これはハードウェア企業がここ数年追究しているテーマでもある。たとえばApple(アップル)には、空間オーディオ機能がある。もちろんSonyには何年も前から360 Reality Audioがあり、それを新しい設計のハードウェアと組み合わせて、ARへの関心の高まりに乗じた魅力的な何かを提供できるという夢がある。そのためにSonyは、Microsoft(マイクロソフト)やゲームを開発しているNianticと協業している。

NianticのArchit Bhargava(アーキット・バルガヴァ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「IngressやポケモンGO、ピクミン ブルームといった私たちのプロダクトは、拡張現実とリアルの世界のゲームプレイを利用して、楽しさと驚きを喚起するものです。音は、どんなエンターテインメントでも、特にユーザーが外の世界を探検するタイプのゲームでは重要なものです。そのため私たちは、LinkBudsの発売を機にSonyとの協業で、私たちのコミュニティにリアルな世界の没入的なオーディオを提供できることにとてもエキサイトしています」。

画像クレジット:Sony

ARの普及カーブはまだ初期の位置にあり、専用ヘッドフォンがそんなにたくさん売れるとは思えないが、今なら(外部音による)位置認識がメインのセールスポイントになるだろう。しかも、開放的なデザインは耳に装着しやすく、重さはわずか4gだ。それはWF-1000XM5の7.3gよりもかなり軽量で、AirPods Proより1.5gも軽い。

もう1つ興味深いのは、イヤフォン本体ではなく、耳をタップする「Wide Area Tap」というシンプルな機能だ。巨大な穴が開いているイヤフォンにはうれしい機能です。私もこのところSamsungのGalaxy Budsを使っているが、表面積の小さいイヤフォンでは、直接製品をタップするのは難しい。ただ、ランニング時や誤って耳をぶつけたときなどの振動が、こちらの操作にどう影響するかは気になるところだ。

本製品は日本では2月25日発売で価格は税込2万3100円となっている。個人的には、WH-1000XM5を待ちたい。

画像クレジット:Sony

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

電気通信大学とフランス国立科学研究センター、6本目の人工指sixth fingerが体の一部になる身体拡張の可能性を実証

電気通信大学とフランス国立科学研究センター、6本目の人工指sixth fingerで体の一部になる身体拡張の可能性を実証

開発した「第6の指」(sixth finger)。腕の筋肉の電気活動の計測結果に応じて制御されるモーターを内蔵している。このモーターの動きに連動し、指が動く。また同時に、手のひら装着部位に皮膚を刺激できる刺激ピンがついており、指の曲げ伸ばしと同期して、皮膚感覚がフィードバックされる。この刺激ピンは着脱式で、皮膚感覚をフィードバックしない条件にもできる。右図はsixth fingerを装着した状態ではめることができる手袋をはめた様子

電気通信大学は2月14日、他の身体の部分から独立して制御できる人工の指を装着した人が、それを自分の体の一部として取り込むことができるかという実験に成功したことを発表した。これは、もともと体に備わっていない6本目の指を、人は自分の体として感じ、動かせるのかを検証するもの。それを世界で初めて、実験的に立証したという。

人間の脳は身体の変化に柔軟に対応できるというが、まったく新しい身体部位を人工的に与えられた場合に、それを自分の身体として自由に動かせるようになるのか。本来備わっている部位とは独立して動く人工の部位を、人は新たな身体として獲得、つまり「身体化」できるのか。そうした疑問に答えるべく、電気通信大学大学院情報理工学研究科(梅沢昂平氏、鈴木悠汰氏、宮脇陽一教授)とフランス国立科学研究センター(CNRS。Gowrishankar Ganesh氏)は、共同で人工の指「sixth finger」を開発し、実験を行った。

研究グループが開発したのは、手の小指の脇に第6の指となる、腕の筋肉の電気活動によって制御できる人工指システム。腕の筋肉の電気活動をセンサーで計測し、それが、普通に指を曲げ伸ばしするときに生じる腕の筋肉の電気活動とは異なる特定の信号パターンになったときにのみsixth fingerが動くようにした。こうすることで、本来の指や他の身体部位とは関係なく、sixth fingerを動かすことができる。

電気通信大学とフランス国立科学研究センター、6本目の人工指sixth fingerで体の一部になる身体拡張の可能性を実証被験者は18名の成人。各自がsixth fingerを装着し、自身の指とsixth fingerを使った指の曲げ伸ばし、キータッピングといった習熟タスクを平均1時間程度行った。その結果、全員がsixth fingerを直感的に動かせるようになったという。

習熟タスクの後、sixth fingerの使用に慣れた後の感覚や行動の変化を確かめた。たとえば、特定の位置に手を伸ばすとき、途中に置かれた障害物を回避する軌道から、手の幅に関する感覚の変化が読み取れた。また、手の幅や小指の位置の感覚が曖昧になっていた。それらのことから、「身体化に対する主観的な感覚が、行動変容によっても客観的に」裏付けられたという。

今回の実験により、「既存の身体部位と独立して動かすことができる人工身体部位が工学的に実現可能」であることがわかった。もっと力の出る駆動系を使い、実際に「使える」指を作れば、6本指による高速タイピングや、ギターやピアノの演奏も可能になり、「豊かで便利な生活の実現」に貢献できると研究グループは話す。さらに、3本目の腕や4本の足、尻尾や羽などの人工器官を身体化に挑戦できる可能性も秘めているとのことだ。

保証つき中古iPhoneを再生・再販するSwappie、欧州での事業拡大に向け約142億円を調達

サミ・マルティネン氏とエマ・レイヒコイネン氏(画像クレジット:Swappie)

フィンランドを拠点とするSwappieは、中古iPhoneの再生・再販を行う企業だ。すべてのプロセスを請け負い、整備されたデバイスは12カ月間の保証付きで、独自のマーケットプレイスで販売される。2020年には、欧州の新しい市場に進出するために、3580万ユーロ(約47億円)のシリーズBをクローズした。

同社はこのたび、グロースエクイティ企業であるVerdaneがリードする1億800万ユーロ(約142億円)のシリーズCラウンドを実施した。既存投資家であるLifeline Ventures、Inventure、Reaktor Ventures、TESIも参加した。今回のラウンドにより、同社の累計調達額は1億4900万ユーロ(約196億円)を超えた。

Swappieの共同創業者兼CEOであるSami Marttinen(サミ・マルティネン)氏は、声明の中でこう述べている。「当社は、品質を標準化し、サステナビリティの役割を擁護し、中古車を購入するのと同じように整備されたスマートフォンを購入することを一般的にすることで、Swappieがこの分野における消費者の認知度と信頼性を高められると心から信じています」。

中古・整備済みスマートフォンの市場全体は、2022年から2027年の間に年率10.23%で成長すると予測されている。スマートフォンは、2022年には1億4600万トンのCO2を排出すると予測されている。Swappieによれば、人々が携帯電話を1年でもより長く使用することで、約200万トンの排出量を削減できるという。

VerdaneのパートナーであるJanne Holmia(ヤンネ・ホルミア)氏はこう述べている。「人々や企業がより持続可能なライフスタイルへと移行していく中で、iPhoneの再生やリコマースの分野は大きく成長しており、それにともない、Swappieは再生済みスマートフォンにおける欧州のマーケットリーダーとなる可能性を示しています」。

しかし、欧州の電子機器リフレッシュ市場を制するための競争は、まだ終わっていない。

2021年、欧州の再生電子機器マーケットプレイスであるRefurbedは、Evli Growth PartnersとAlmaz CapitalがリードしたシリーズBで5400万ドル(約62億4000万円)の資金を調達した。Refurbedは、130社の再生品業者が同社のマーケットプレイスで販売するという、少し変わったアプローチをとっている。

ドイツ、オーストリア、アイルランド、フランス、イタリア、ポーランドで事業を展開している同スタートアップは、他の3カ国にも拡大する予定だ。

この分野では他に、Back Market、Swappa(米国)、Amazon Renewなどが競合している。また、ドイツにはRebuyもある。これからも、まだまだ競争は激化していくだろう。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

インテル、タワーセミコンダクターを約6250億円で買収、カスタムファウンドリ戦略を構築へ

Intel(インテル)のCEO、Pat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、2021年3月に同社のファウンドリ戦略を発表した際、これをIDM(Integrated Device Manufacturing、垂直統合型デバイスメーカー)2.0と名づけた。当時、同社はその第1弾として、200億ドル(約2兆3140億円)を投じてアリゾナ州に2つの新工場を建設することを発表した。また、他の半導体メーカーにファウンドリサービスを提供するプロバイダーになる計画も明らかにした。

その計画に沿って、同社は米国時間2月15日、カスタムファウンドリサービスを提供するTower Semiconductor(タワーセミコンダクター)を54億ドル(約6250億円)で買収すると発表した。

ゲルシンガー氏は、この動きが同社のビジョンに完璧に合致すると見ている。「Towerの専門技術ポートフォリオ、地理的リーチ、深い顧客関係、サービス第一の運営は、Intelのファウンドリサービスを拡大し、ファウンドリの世界的主要プロバイダーになるという当社の目標を前進させるのに役立ちます」と、同氏は声明で述べた。

IDM2.0は、半導体製造に対する3つのアプローチからなる。Intelのグローバルな工場ネットワーク、サードパーティの生産能力の活用、そしてIntelファウンドリサービスの構築だ。これにより、Intelは単に自社ブランドのチップを製造するだけではなく、カスタムチップに対するニーズの高まりに応えることができるようになる。

Moor Insight & Strategiesの創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムアヘッド)氏は、このカスタムチップこそが今回の取引の鍵だと話す。「Intelの買収は、これまで製造できなかったタイプのシリコンを製造できるようになることを意味します。具体的にはRF、センサー、シリコンフォトニクス、電源管理チップなどです」と述べた。

半導体産業を追跡するSemiAnalysisのチーフアナリスト、Dylan Patel(ディラン・パテル)氏も、Tower買収はIntelにとって賢い行動だと同意する。「Towerの買収は、Intelのファウンドリサービスにおいて、プロセスノードの種類によって必要とされるギャップを埋めるものです。買収により、複数の外部顧客とのインターフェースとなる特殊技術を成功裏に運営して利益を上げてきたチームを取り込みます」とパテル氏は語った。

また、Intelはこれまで、社内のニーズに合わせてカスタマイズしたフローをほとんど使っていたと同氏は付け加えた。Towerは、より標準化されたフローを提供する方法をもたらす。「Intelは業界標準のフローを採用しようとしているため、製品設計キット(PDK)機能は、彼らが多くの支援を必要とする分野です。Towerの特殊なニッチ技術における能力は、柔軟で拡張性のあるPDKを作成して提供する能力を大いに高めます」と同氏は述べた。

想像に難くないが、TowerのCEO、Russell Ellwanger(ラッセル・エルワンガー)氏は、2社の合併が大きな力になると考えている。「Intelと一緒に、我々は新しい有意義な成長機会を推進し、一連の技術ソリューションとノード、大幅に拡大したグローバルの製造拠点を通じて、顧客にさらに大きな価値を提供します」と、エルワンガー氏は声明で述べた。

両社の取締役会は買収を承認しているが、通常の規制当局による承認手続きとTowerの株主の審査を経る必要がある。プロセス完了には約12カ月かかる見通しだ。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

パンデミック後の世界で折りたたみスマホは成功するか?アナリストはその継続的な成長を予測する

先週Samsung(サムスン)はNoteを永遠に葬ってしまった。それは象徴的な行為だった。なんと言ってもスマートフォンは、同社のGalaxy S系列の最先端であり続けるだろう。でもそれは、10年続いたブランドの終わりを表している。それはまた、フォルダブルへの自信を示す機会の1つでもあり、Noteからモバイルのフラグシップの王座を奪うことでもあった。

出だしでさまざまなつまずきを経験したにもかかわらず、Samsungは折りたたみ式スマートフォンという技術の先導者だ。同じぐらい長い企業は他にもいるが、先鞭をつけたのはこの韓国のハードウェア大手であり、同社はモバイルの未来と信ずるこのカテゴリーに他社よりずっと多い投資をしているらしい。

Samsungは少し前に、フォルダブルの市場はニッチより大きいと宣言した。私がSamsungの経営者だったら、やはりそう言っただろう。市場全体の一部として考えても、答はやはり「イエス」だ。まず、それは依然として、大企業とはいえ1つの企業の領域であり、しかもその企業の全台数の小さなパーセンテージにすぎない。

いろいろなアナリスト企業が過去数年間、このカテゴリーの成長を予測しているが、最近のCanalysの予想は、過去にあまり見たことも聞いたこともない、おもしろい視点を提供している。すなわちそれは「パンデミックはこのカテゴリーの成長に貢献するか」という問いだ。

確かにそれは、ちょっとわかりづらい視点だ。そもそも、パンデミックはこれまでも、スマートフォンに負の影響を与えているではないか。理由はいくつかある。まず、誰にとっても明らかなのは、人びとがあまり出かけなくなっているので、新しいスマートフォンなんかいらない。休業で職を失い、可処分所得が減り、しかも前からスマートフォンは更新サイクルが遅くなり価格が高くなっている。もっと最近では、半導体の不足とサプライチェーンの問題が業界を押さえつけている。

人びとが電子製品にお金を投じる機会といえば、家で仕事をするためのPCの購入ぐらいだ。でもこの曇り空が晴れ渡ったら、これらの反対を見ることになるのだろうか?

CanalysのRunar Bjørhovde(ルナー・ビョーロフデ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「フォルダブルの今後の成長の契機は、パンデミックの間に、多くの人びとが画面の大きいデバイスを使い始めていることだ。消費者は、自分が日常使うモバイルデバイスに、絶えずもっと良いユーザー体験を求め続けている。特に生産性とエンタープライズの方面では、欲求のバーがさらに高くなり、大きな画面を求めている。だからパンデミックの回復とともに、消費者のニーズと欲求を満たすフォルダブルスマートフォンのような製品を提供する新たな機会が、スマートフォンのベンダーに訪れる」。

これはおもしろい理屈だが、はたして人びとは、パンデミックの前に比べて大型画面のデバイスにもっとなじんでいるのだろうか?この疑問に対し、人びとは家を出なくなっているのに、スマートフォンを使う機会は増えている、と反論できるかもしれない。

1月に公表されたオーストラリアの研究者たちの報告によると「この悪質なウイルスの地域社会への伝染を防ぐために多くの国がロックダウンを課し、それにより私たちの日常生活が変わっている。ステイ・ホームやワーク・アト・ホームが、もっとも有効な感染予防措置として、個人のレベルとコミュニティのレベルの両方で、世界中で推奨されている。この自己隔離が人びとをますますスマートフォンに向かわせ、それにより互いの接続を維持しようとしている」という。

現時点では、フォルダブルの台数が増え続けていることに疑問の余地はない。Canalysは具体的な数字を挙げて、2021年には890万台のフォルダブルが出荷され、2024年には3000万台を超えると予想している。これまでの需要の停滞への反作用として、パンデミックがこれらの数字に寄与するのではないか。パンデミックでアップグレードが2年遅れ、サプライチェーンの問題もあり、新しいハンドセットを買う気になっている消費者が増えていて、しかも少々高い機種を買うのではないか。

Canalysのもう1人のアナリストによると、高級機の売上減少がメーカーを刺激してハイエンドのイノベーションを推し進めた、という。Toby Zhu(トビー・ズー)氏は次のように主張する。「Androidのベンダーは高級機の分野で大きなプレッシャーに圧されている。800ドル(約9万2000円)以上のスマートフォンが2019年には18%下落し、その間にiOSは68%伸びたからです。Googleと主なAndroidデバイスのベンダーは、製品の差別化と最先端のユーザー体験に重点投資して、ハイエンドの顧客へのアピールを続ける必要があります」。

そんな中でSamsungがある程度成功していることが、一気にフォルダブルのダムの水門を開いた。最も顕著な例であるOppoは、Find Nが初期から好評で「フォルダブルの正しい姿」という褒め言葉を、あちこちからもらった。それは、Motorolaなどによる初期のフォルダブルとは極端に違う設計だ。私の場合は、2021年のGalaxy Z Flipが、フォルダブルを本気で検討する気になった最初の機種だ。そのフォームファクタはGalaxy Foldより扱いやすく、お値段も安い。

Googleなどがもっと投資をして、フォームファクタの選択肢の幅を広げれば、関心を持つ人が増えるだろう。デバイスの生産量が増えれば、コストも下がる。ただし上記2024年の予測である3000万台は、Counterpoint Researchによると2021年に13億9000万台と言われる、スマートフォン全体の出荷量の中ではバケツの中の水一滴だ。

こんな話でいつも大きな疑問符になるのが、Apple(アップル)だ。何年も前から、折りたたみ式iPhoneの噂はあるし、発売は早くて2023年とも言われている。それらの噂によると、今は生産の問題を解決中であり、市販されるのかどうかも未定だそうだ。しかし初期のフォルダブルたちが辿った道を見れば、慎重になるのも当然だ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

重量76g・動画視聴に特化のARグラス「Nreal Air」、ドコモとauから3月4日発売

重量76g・動画視聴に特化のARグラス「Nreal Air」、ドコモとauから3月4日発売

Nreal

メガネ型ディスプレイのNrealが、新モデル「Nreal Air」(エンリアル エアー)を3月4日にNTTドコモとKDDIから発売すると発表しました。メーカー希望小売価格は4万9800円ですが、ドコモでは3万9800円、auでも3万9799円で予約を受付中。なお、Nreal Airの一般販売は、日本が世界初になるとのことです。

Nreal Airは、2021年10月に発表されていたもの。動画の視聴に特化したARグラスで、見た目は通常のサングラスにかなり近い印象です。カメラ機能などを排し、シンプルな機能となったため、約76gと軽量になったのも特徴です。

映像は、ARグラス越しに4mで130インチ、6mで201インチに相当で表示されます。また、ツルの部分にスピーカーも搭載しており、「低音強調アルゴリズムとノイズキャンセリングにより、まるで仮想の専用 IMAXシアターにいるかのように、エンターテインメントの臨場感を高めます」と説明されています。

スタンドアロン型ではなく、スマートフォンとUSB Type-Cで接続して利用します。このため、利用するには、USB-Cポートを備え、Display Port(Alternate mode)に対応していることが条件となります。ただ、拡張性を高めるアクセサリとして、「Nreal Streaming Box」も発売され、これを利用すれば、Miracastに対応したスマートフォンならNreal Airを利用可能となります。

重量76g・動画視聴に特化のARグラス「Nreal Air」、ドコモとauから3月4日発売

Nreal

Nreal AirとNreal Streaming BoxをUSBで接続。スマートフォンはNreal Streaming Boxとワイヤレス(Miracast)で接続することで、スマートフォン上のコンテンツをNreal Airにミラーリングできます。

(Source:USB-IFNreal(PR Times)ドコモauEngadget日本版より転載)

顕微鏡開発の歴史を塗り替える成果、原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を利用し磁力の起源となる原子磁場の直接観察に成功

顕微鏡開発の歴史を塗り替える成果、原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を利用し磁力の起源となる原子磁場の直接観察に成功

新開発の超高感度・高速分割型検出器。写真左:原子分解能磁場フリー電子顕微鏡の外観。写真中央:電子顕微鏡下部に装着した新型検出器。写真右:40個の検出領域に分割した検出面

東京大学と日本電子は2月10日、新開発の原子分解能磁場フリー電子顕微鏡により、世界で初めて、原子磁場の直接観察に成功したことを発表した。原子が持つ微小な磁場を直接観測できる技術は、磁石、鉄鋼、半導体デバイス、量子技術などの最先端マテリアル研究を大きく推進させるものであり、顕微鏡開発の歴史を塗り替える画期的な成果だとしている。

これは、科学技術振興機構(JST) 先端計測分析技術・機器開発プログラムのもとで行われている、東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構(柴田直哉教授)と日本電子(河野祐二氏)らによる共同研究。原子の周辺に発生している磁場は、磁石(磁力)の起源ともいわれているが、従来の電子顕微鏡では観測が不可能だった。従来方式の電子顕微鏡は、原子を直接観察できる分解能を有しているが、非常に強力なレンズ磁場の中に試料を入れる必要があるため、レンズの磁場と試料の磁場が強く相互作用し、構造が変化したり破壊されたりしてしまうためだ。影響を与えない程度に磁力を落とせば、分解能が低下して観察ができなくなる。

そこで、同研究グループは2019年、試料室を磁場のない環境に保つことができる、まったく新しい対物レンズを開発し、磁性体の原子観察を世界で初めて実現した。そして今回、超高感度、高速検出器を搭載した原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を新しく開発し、鉄鉱石の一種であるヘマタイト(α-Fe2O3)結晶の中の鉄原子周囲の磁場観測を成功させた。

ヘマタイト結晶の磁場観察には、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)と、原子分解能微分位相コントラスト法(DPC)が用いられた。まず、STEMで観察を行ったところ、鉄(Fe)原子位置が明るい輝点として観察できたが、磁気の作用を示す磁気モーメントの情報は得られなかった。次にDPCを用いたが、すべてのFe原子が同じコントラストを示し、磁気モーメントに対応する磁場は観察できなかった。だがこれは、原子核と電子雲との間に強い電場が存在しているためで、この電場による影響を差し引けば、磁場のみを取り出すことができる。そこで、特殊な画像処理を行った結果、Fe原子層ごとに互い違いに反平行にコントラストが変化する様子が観察できた。これは、磁気モーメントの並びを仮定したシミュレーションと一致した。つまりこれが、「反強磁性的なスピン配列に伴う原子磁場を直接観察できた」ことを意味するという。

顕微鏡開発の歴史を塗り替える成果、原子分解能磁場フリー電子顕微鏡を利用し磁力の起源となる原子磁場の直接観察に成功

ヘマタイト(α-Fe2O3)結晶の室温における原子構造像と磁場像。(a)STEM像、(b)DPC像、(c)DPC像を画像処理したもの、(d)像シミュレーション結果

今後は、「磁石、鉄鋼材料、磁気デバイス、磁気メモリー、磁性半導体、スピントロニクス、トポロジカル材料など、さまざまなマテリアルやデバイスの研究開発を先導する新計測手法となることが期待されます」とのこと。「今まで見えなかった原子の磁場観察という大きな一歩を記す成果です」と研究グループは話している。

3DプリンティングのCarbonが主力ラインをアップデート、M3とM3 Maxの新モデルが登場

3Dプリンティングの大手Carbon(カーボン)は米国時間1月27日、同社の次世代3Dプリンティング主力製品である「Carbon M3」と「Carbon M3 Max」を発表した。ハイエンドのプロトタイピングと製造プロセスを対象としたこのプリンターは、サブスクリプションベースのパッケージで提供され、前世代のプリンターに比べて多くのアップグレードや改良が施されている。

新シリーズのハイライトの1つとして、簡素化されたプリンター体験が挙げられ、プリントプロセスの制御性が向上し、障害モードの低減が図られている。同プリンターはデザインスペースが広いため、旧世代のプリンターでは作れなかったパーツを作成でき、新しい形状や高強度のパーツをさらに開放する。熱管理(加熱と熱拡散の両方)が改善されたことで、プリンターのプリント速度が上がり、解像度が高くなってより滑らかなパーツの造形が可能になり、3Dプリントによる表面仕上げの精度が向上している。また、より再現性の高いプリントが可能なため、各パーツのばらつきを抑えることができる。

M3 Maxプリンターはビルド領域も拡大し、ピクセルサイズと密度はM3と同じでありながら、ビルド領域は事実上M3の2倍を実現。大型パーツの成型や小型パーツの量産に適している。

同社はこの新しいプリンターの価格について奇妙なことに堅く口を閉ざしている。市場が持ちこたえる分だけ顧客に課金するというエンタープライズの駆け引きを進めているためであろう。

「Carbonは工業用プリンターを製造しており、M1は月額約2100ドル(約24万円)からで、36カ月間の保証付きです」とCarbonのプロダクトマーケティング責任者であるRob L’Heureux(ロブ・ホイルー)氏は説明する。「価格について話す前に(私たちの顧客が)何を求めているのかを知り、彼らのために適切なデバイスを推奨していることを確認したいと思っています。一般的に、システムの規模と性能が向上するにつれて、パーツあたりの価格は下がっていきます」。

読者が今自宅で電卓を操作しているなら、旧世代のプリンターの3年間の価格は7万5000ドル(約863万円)になることがわかるであろう。つまりこれは、いとこのために風変わりなポケモンのフィギュアをプリントするのに時折使うような戸棚にあるプリンターではなく、本格的な産業用の仕事道具だということである。

「パーツあたりのコストを削減し始めると、対応可能な市場が拡大します」とCarbonの最高プロダクト責任者兼最高ビジネス開発責任者のPhilip DeSimone(フィリップ・デシモン)氏は説明した後、価格が下がっても、製造ミックスに射出成形向けの余地があることを強調した。「価格設定の観点で(3Dプリンティングが)射出成形と競合する時期については、さまざまな議論があります。プラスチック製のフォークやスプーン、Kカップなどに関しては、価格面で射出成形と競合することは決してないでしょう」。

高額な値札が付けられたプリンターは、製造を迅速に実施する必要がある場合や、小さな変更を継続的に行う必要がある場合、あるいはカスタマイズが重要となるプロダクトの場合に特に有用である。現在市販されているカスタマイズプロダクトの例としては、座面がライダーの体型にフィットするようにカスタマイズされた450ドル(約5万円)のSpecialized(スペシャライズド)のバイクサドルや、アディダスのカスタム3Dプリント製「4D」シリーズなどがある。

「製造におけるボトルネックは、多くの場合、従来の製造技術にあります。自動運転センサーに必要な電気コネクターを作るとしたら、その射出成形ツールに50万ドル(約5750万円)かかり、自分の仕事の物理的な部分を見るまでに6カ月から8カ月を要するでしょう」とデシモン氏は嘆き、3Dプリンティング技術について説得力のある主張を展開した。「私たちにとって、そのボトルネックのあらゆる小さな断片を切り詰めることに意義があります。人々がより早く生産ツールを手に入れることに私たちが貢献できたなら、それは私の考えでは勝利を意味します。革新的なプロダクトをいち早く市場に投入することを支援するという当社の目標は達成されたことになります」。

製造スペースでCarbonの技術を活用する上での主な推進力は、プリンターを使用することにある。何もしないで無為に時を過ごすプリンターはお金の無駄使いとなる。

「3Dプリント技術を採用した施設の多くで、設置されているプリンターが使用されていないのを目にします。私たちにとってそれは望ましいことではありません。こうしたプリンターが確実に使用されるようにしたいという思いがあります。その思いが主軸になって、あらゆる業界にまたがるインストールベース全体で、業界をリードする週40時間以上のプリント時間を確保しています」とデシモン氏は語っている。「当社の『Design Engine』ソフトウェアと『Carbon DLS』素材を組み合わせた、業界をリードするこの次世代プリンターを使用することで、さまざまな業種の設計チームはこれまで以上に迅速かつ効率的に、エンドユースのパフォーマンスを備えた極めて高品質なプロトタイプを作成することができます」。

2016年にM1が発売されて以来、Mシリーズのプリンターはしばらく存在している。これらのプリンターは現在も生産が続けられていて、今でも同社から入手可能である。だが真新しいM3にはさらに多くの付加機能が追加されており、特定のプロトタイピングや生産要件により適している。

1つには、M3の方がはるかに優れたユーザー体験を提供することが挙げられる。タッチスクリーンは、消費者向けプロダクトに期待されるユーザーフレンドリーさを加えている。同社によると、M3 Maxは4K DLPライトエンジンを採用した初めての3Dプリンターで、これまでのマシンと比べてほぼ2倍の解像度を維持しながら、プリント速度を犠牲にしないという。

「従来の3Dプリントでは、プリントサイズが大きいことが問題でした。ビルド領域が大きくなるにつれて、精度、プリント速度、一貫性が低下します」とデシモン氏は説明する。「そのため、新しいプリンターのローンチを心から喜ばしく思っています。ユーザーにとって既知のことや愛着のあることをすべて維持しながら、より大きなビルド領域を実現できるのは今回が初めてです。それを可能にするために、膨大な数のエンジニアリングが行われました」。

プリント速度はCarbonチームが特に誇りにしている領域の1つであり、M3シリーズはそこで顕著な改善を見せている。それはユーザーが必ずしも予期していないかもしれない角度からの速度増加である。

「このプリンターは2つの要因で高速になっています。1つはフォースフィードバックと呼ばれる技術です。従来のプリンターでは、マニュアルスクリプトと呼ばれるものを使って最適化していました。生産を最適化する方法に基づいて、さまざまな領域でパーツのプリント速度を変化させることも可能です。私たちがそうしたことを排除しようと考えたのは、それがプリントプロセスのダークアートのようなものであったからです。フォースフィードバックは、そのすべてをリアルタイムで行います。ビルドプラットフォーム上には、z方向への上昇に対応する高感度センサーが装備されています」とデシモン氏は説明する。プリンターが追加の吸引力を感知すると、プリンターは自動的に減速する。「閉ループのフィードバックシステムを採用しているため、可能な限り高速にプリントすることができます」。

「2つ目の主要なプロダクト機能は、完全に再設計されたウィンドウテクノロジーです。ご想像の通り、材料のプリント方法は熱によって大きく左右されます。材料によっては、発熱反応が非常に高いために冷却して熱を逃がした方が効果的なものもあります。また、樹脂によっては、加熱して粘度を下げた方がより良い結果が得られます」とデシモン氏は述べ、加熱と冷却によってプリントプロセスの制御性がさらに向上することを説明した。「これは、従来のテクノロジーでは実現できなかった方法でプリントプロセスを最適化することを意味します。必要に応じて熱を逃がすだけではなく、熱を加えることができるため、非常に効果的です。これらの技術革新が一体となって、速度の向上を実現しています」。

画像クレジット:Carbon

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

iFixit

アップル製品向けにNANDフラッシュメモリを供給する主要サプライヤーの1つが生産工程の一部を停止したため、今後NANDフラッシュの価格が最大10%上昇するかもしれないとの予想が報じられています。

今月10日、半導体メーカー大手のキオクシア(旧東芝)は四日市工場と北上工場で生産工程の一部を停止したと発表しました。3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の部材に不純物が混入していたとされており、少なくとも6.5EB(65億GB)分の製造が減少すると述べています。

今回の件につき市場調査会社のTrendForce社は、SSDの主要構成要素であるNANDの価格が最大で10%高騰する可能性があると警告しているしだいです。

アップルはiPhone 13やM1 Pro/Max MacBook Pro、iPad Proなど、多くの製品にキオクシアのNANDフラッシュを使っていることで知られています。たとえば修理業者iFixitがiPhone 13 Proを分解した際にはキオクシア製のNANDフラッシュが1つ、16インチのM1 Pro搭載MacBook Pro(SSD 256GB)ではキオクシアのKICM225UZ0460 128GB NANDフラッシュが2つ確認されました。

世界的な半導体不足のなか、2021年のPC出荷台数は前年比15%増との調査結果もあり、2022年にはさらに伸びるとの予想もありました。そこにNANDフラッシュの不足や価格が高騰する可能性が生じたことは、今後数カ月にわたって影を落とすかもしれません。

TrendForceによれば、米ウェスタンデジタルとキオクシアの提携はNANDフラッシュ市場の約30%に相当するとのことです。両社は主にPC用のSSDとeMMcストレージを供給しており、それだけPCの生産量に深く関わっているといえます。

混入の原因は明らかになっておらず、市場に出回っている製品を回収する必要があるかどうか、また生産をいつ再開するかも不明です。

米9to5Macは、もしもNANDフラッシュが値上がりしても、アップルが自社製品の価格を引き上げる可能性は低いと推測しています。

なぜならアップルは部品の調達交渉をかなり前から行う傾向があり、今後の契約ではコストが上がる可能性はあるものの、直近の製品に影響するとは考えにくい。その後も影響があるのは数カ月だけで、そのコストはアップルが負担して価格に上乗せしないと思われる、というわけです。

ただし該当する工場で作られたNANDフラッシュを使ったアップル製品が、今後リコールされる懸念はあるとの趣旨も述べられています。アップルで何か動きがありしだい、本誌でもお伝えする予定です。

(Source:キオクシア。Via the VergeEngadget日本版より転載)

九州大学ら研究チーム、水素による破壊を防止し高強度アルミニウム合金をさらに高性能化する方法を確立

九州大学ら研究チーム、水素による破壊を防止し高強度アルミニウム合金をさらに高性能化する方法を確立

九州大学(戸田裕之主幹教授、王亜飛特任助教)は2月7日、岩手大学京都大学高輝度光科学研究センターと共同で、高強度アルミニウム合金に脆弱化をもたらす水素に対処し、さらなる高性能化をもたらす手法を確立したと発表した。これにより、20世紀初頭からあまり進んでこなかったアルミニウム合金の高強度化が大きく発展することになる。

金属に水素が入り込むと、「水素脆化」という現象により強度が低下するという。アルミニウムも水素脆化の影響を受ける。水素を取り除くことができれば強度は増すが、水素はもっとも小さな元素であるため、その存在の可視化や解析は極めて困難であり研究は進まず、1900年代初頭から飛躍的に強度を増した鉄鋼に対して、アルミニウムの進化は鈍かった。

九州大学ら研究チーム、水素による破壊を防止し高強度アルミニウム合金をさらに高性能化する方法を確立

金属材料の強度向上の歴史

そんな中、同研究グループは2020年、大型放射光施設SPring-8で3D画像を連続的に撮影する4D観察と、スーパーコンピューターによる原子シミュレーションにより、水素脆化を引き起こしているのがナノ粒子であることを突き止めた。このナノ粒子には、アルミニウム内のほとんどの水素が集まっていた。その水素の集中によりナノ粒子は自発的に崩壊し、アルミニウムが破壊される。アルミニウムから水素自体を取り除くことはきわめて難しい。そこで研究グループは、ナノ粒子よりも水素を引く付けやすいものを添加することを考え、研究を進めた。その結果、意外にもアルミニウム、鉄、銅という平凡な元素を含むミクロ粒子に、水素を強力に引きつける力があることがわかった。

この「水素脆化防止剤」を導入すると、ナノ粒子に引きつけられた水素は、94.5%から34.6%に減少した。しかし、今度は大量の水素を引きつけたミクロ粒子が水素脆化を引き起こすのではないかと疑問を抱いた研究グループは、再び4D観察によりミクロ粒子の破壊挙動を確かめたところ、水素脆化防止剤による破壊は見られなかった。

九州大学ら研究チーム、水素による破壊を防止し高強度アルミニウム合金をさらに高性能化する方法を確立

特に航空産業では、アルミニウムに代わって炭素繊維複合材料が使われるようになっているが、製造・加工・修理のコストと信頼性の面から、軽量で高強度なアルミニウム合金への期待は高い。この手法を用いることで、アルミニウム合金はより強くなり、より薄く延ばすことも可能となり、利用価値は高まる。

また、リサイクルされたアルミニウムの場合、どうしても鉄が混入しアルミニウムの性能を落とすという課題がある。そのためにアルミニウムのリサイクルが拡大しない要因になっているという。しかしこの研究成果を応用して、「リサイクル時に増える有害な鉄を有益な水素脆化防止剤として活用することで、高強度なアルミニウムのリサイクルを促進する効果も期待されます」と研究グループは話す。

現在は、アルミニウムの水素脆化を防ぐさらに有効なミクロ粒子を探すべく、原子レベルの大規模シミュレーションによる探索を進めているとのことだ。

【レビュー】Galaxy S22 Ultra、サムスンのファブレットNoteは永遠の眠りにつき「Ultra」として生まれ変わる

Noteは死んだ。10年以上経て、Samsung(サムスン)は正式に革新的なファブレットに幕を下ろした。ブランドは今後も存続するが、それは限定的なマーケティングに止まるだろう。「私たちはNoteをもっと体験してもらうという考え方が強くなっています」と先の説明会で担当者は言っていたが。

Noteが眠りにつくとき、Unpackedイベントの影から見慣れた人物が姿を現した。まるでよくあるメロドラマのように、登場人物は悲劇的な死を迎えるが、デウス・エクス・マキナ、その俳優(まだ契約中)は以前のシーズンでは設定さえなかった一卵性双生児として再び登場する。これがGalaxy S22 Ultraだ。

Galaxy Sシリーズのハイエンドモデルは、悲劇的な死を遂げた兄弟と一緒に、Lucille Ball(ルシル・ボール)とHarpo Marx(ハーポ・マルクス)の鏡があるかのような芸を簡単に実現することができる。今回のイベントまで、私は新しいデバイスに触れる(そして写真を撮る)機会があった。初期の画像ではよくわからなかったが、製品を少し使ってみたことで、Galaxy S 22 Ultraは、あらゆる意味でNoteだと確信を持っていうことができる。

画像クレジット:Brian Heater

確かに同社はここ数世代、境界線を曖昧にすることに費やしてきた。Galaxy Sのラインナップはサイズアップを続け、2021年のUltraでSペン機能を追加された。もちろん、Sペン用スロットがない状態でのSペン対応は、まぁ控えめにいっても不便なものだ。しかし、そこでスマートフォンににスタイラススロットを追加すると、別のNoteになってします。2つのモデルはDNAを共有しており、そのルック&フィールは、丸みを帯びたエッジに至るまで、100%Noteのものである。

私なら、その名称を「Samsung Galaxy S 22 Note」にしただろう、いや「Galaxy Note 22」だ。私は「Galaxy Note」は「Galaxy S」よりもブランド認知度が高いのではないかと思うが、マーケティングの専門家ではない。残念なことに、Samsungの誰かがGalaxy SシリーズはNoteブランドを静かに忘れてしまうほど十分に強力だと判断したのだ。

画像クレジット:Brian Heater

ブランドは複雑で、サムスンは多くのスマートフォンを製造している。そのフォルダブルがフラッグシップモデルの地位を獲得したことで、同社は物事を少し統合することを選択し、最終的にGalaxy SシリーズにNoteを吸収することは、その逆よりも理に適っている。しかし、これはSシリーズによる完全なNoteの乗っ取りではない。スタイラス機能はまだUltra専用で、モデル間の境界線を維持するために、このままだろうと同社は述べている。

Noteシリーズは、ポストiPhoneの世界でスタイラスを再普及させるのに非常に効果的だった、私たちの多くが予想していた以上に。しかし、結局のところスマートフォン全体のパズルの中では、まだ比較的ニッチな存在であることには変わりがない。また、ワコムのデジタイザーをディスプレイパネルに追加し、スタイラスを統合することで、製品のコストが増加している。

  1. CMC_0794

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  2. CMC_0795

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  3. CMC_0799

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  4. CMC_0800

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  5. CMC_0803

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  6. CMC_0810

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  7. CMC_0812

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  8. CMC_0813

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  9. CMC_0814

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  10. CMC_0816

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  11. CMC_0820

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  12. CMC_0823

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  13. CMC_0825

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  14. CMC_0827

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  15. CMC_0828

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  16. CMC_0829

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  17. CMC_0840

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  18. CMC_0849

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  19. CMC_0864

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  20. CMC_0868

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  21. CMC_0869

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  22. CMC_0871

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  23. CMC_0882

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  24. CMC_0883

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  25. CMC_0894

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  26. CMC_0896

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  27. CMC_0899

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  28. CMC_0904

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  29. CMC_0916

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  30. CMC_0919

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)

S22 Ultraの価格は1199ドル(約13万8700円)で、Note 20とNote 20 Ultraの中間になる(前者に100ドル[約1万1600円]近い)。そのため、6.8インチのディスプレイも同様だ。QHD+は120Hzのリフレッシュレートで、S22シリーズ(S22+は6.1インチ、S22は6.6インチ)に共通する優れた機能だ。スペック的には、1000ドル+αを支払って期待されるほど堅牢なものだ。

米国では、新しいSnapdragon 8 Gen1プロセッサを搭載している。これは市場によって異なるが、5000mAhの大容量バッテリーも同様だ。8GBのRAMでストレージは128GBまたは256GBだ。背面のカメラはあなたのトライポフォビア(集合体恐怖症)を引き起こすのに十分すぎるほどの性能を持つ。

画像クレジット:Brian Heater

12メガピクセルの超広角カメラ、100倍のスペースズームの10メガピクセルの望遠レンズ(3倍光学ズーム、10倍光学ズーム)、そして108メガピクセルの広角カメラでノンビニングを採用して9つのピクセルを1つに統合している。8K動画は24コマ/秒、4K動画は60コマ/秒での撮影が可能だ。低照度での撮影や動画が改善された他、新しい深度マップによりポートレートモードの撮影が向上している。一方、標準のS22とS22+は、背面カメラシステムを3つ(超広角、広角、30倍スペースズームのシングルテレ)に減らしています。フロントのセルフィーカメラは3モデルとも40メガピクセルのカメラを搭載している。

これらのモデルはCorning Gorilla Glass Victus+を採用し、アーマーアルミフレームと相まって保護性能が向上している。また、より持続可能なハードウェアの生産に向けた同社の幅広い取り組みの一環として、漁網を再利用して「部分的」に作られたプラスチックが利用されている。Samsungは次のように述べている。

これらのデバイスは、使い捨てプラスチックを排除し、リサイクルされたポストコンシューマー材料(PCM)や再生紙など、他の環境配慮材料の使用を拡大するための継続的な取り組みを反映するものです。このような変革により、Galaxyテクノロジーの未来は、最先端の製品設計をもたらし、より良い環境への影響をもたらすでしょう。

画像クレジット:Brian Heater

新モデル「S22」は米国では本日より予約受付を開始し、2月22日より発売を開始する。1119ドルのUltraに加え、S22は799ドル(約9万2400円)から、S22+は999ドル(約11万5500円)からとなっている。今回のイベントでさらに、新しいタブレットも3モデル発表された。Galaxy Tab S8、S8+、S8+も本日予約開始で、それぞれ1099ドル(約12万7100円)、899ドル(約10万4000円)、699ドル(約8万800円)となる予定だ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra

Galaxy Unpacked 2022イベントで、サムスンが Androidタブレットの新製品 Galaxy Tab S8 シリーズを発表しました。

Galaxy Tab S8シリーズは、同時発表のスマートフォン Galaxy S22シリーズと同じ4nmプロセスの最新世代8コア プロセッサを採用したハイエンド製品。

11インチ液晶ディスプレイのGalaxy Tab S8、12.4インチ有機ELのGalaxy Tab S8+ に加えて、Galaxy Tabで初めて「ウルトラ」を冠する14.6インチ版 Galaxy Tab S8 Ultra を含む大中小3サイズ展開です。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
Galaxy Tab シリーズ伝統のS-Penスタイラスにも対応しており、前モデルよりさらに30%短縮した応答速度による滑らかな書き心地と、Bluetooth接続でペンがカメラやプレゼン用リモコンになる機能を備えます。

Galaxy Tab Sはスマホの Galaxy S と並ぶシリーズですが、前世代のGalaxy Tab S7 / S7+ が発売されたのは2020年。2021年には廉価版の Galaxy Tab S7 FE (Fan Edition)のみが登場したため、Galaxy Tab S8 / S8+ /S8 Ultraはタブレットのフラッグシップとして2年ぶりの新世代モデルです。

このTab S8シリーズの特徴は、スマホのGalaxy Sシリーズと同じ「無印・プラス・ウルトラ」の3サイズ天界になったこと。Galaxy Tab S8 Ultra は14.6インチ 2960 x 1848 (16:10)で120Hz駆動のSuper AMOLEDパネルを採用。縦横比が違うため対角インチ数でそのまま比較はできませんが、iPad Pro 12.9インチよりもさらに20%ほど広い画面です。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
大画面ながら、周囲のベゼルは Galaxy Tab Sシリーズ歴代でもっとも細い約6.3mm。厚さは iPad Pro 12.9インチの6.4mmよりもさらに薄い5.5mm。一方で素材に「アーマーアルミニウム」を採用したことで、Tab S7より折れ曲がり耐性が40%向上しています。

サムスンいわく、大画面の「Ultra」タブレットを投入した理由はテレワークやビデオ通話の一般化と、ストリーミング動画サービスなどエンタメアプリの普及で、高性能な大型タブレットへの需要が高まっていること。

このうちテレワークやビデオ通話向け仕様としては、前面カメラに12MPと超広角12MPのデュアル構成を採用しました。120度の超広角カメラとAIによるオートリフレーム機能を備え、被写体が部屋のなかを動き回っても、二人目がフレームに入ってきても賢くズームイン・アウトして追従します。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
筐体の三か所に別々の方向を向いて設置されたマイクによるノイズキャンセルもビデオ通話のための機能。面白いところでは画面収録と同時にフロントカメラ自撮りを重ねて、教材など「画面を操作しながら顔を見せて話すコンテンツ」をかんたんに収録できる機能も搭載します。

テレワークを含め大画面を活かす機能としては、サムスン自慢のマルチタスク機能も進化。標準で画面を三分割して、3つのアプリを同時に利用できます。

Androidは早い時期から画面分割マルチウィンドウに対応していたものの、OS側の扱いも半端な状態が続きアプリの対応もまちまちでした。しかしGoogleがマルチタスクを強化したタブレット向けOSの Android 12Lをベータ配布し開発者に対応ガイドラインを配布するなど、折りたたみスマホ向けを含めてマルチタスク・マルチウィンドウへの対応は強化されており、いよいよ時代が Galaxy に追いついてきた感があります。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
マルチタスクといえば、Galaxy Tab SをPCの追加ディスプレイとして使う機能も強化。Windows PCと並べて、手書きが必要なアプリを Galaxy Tab Sに表示する使い方もできます。

デバイス連携としては、標準搭載のペイントソフトの CLIP STUDIO PAINT で、タブレット側を全画面で使いつつスマートフォンにツールパレットを表示して使う機能も備えます。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
そのほか主な仕様は、RAMが構成により8GB / 12GB / 16GB、ストレージは最大512GB + microSDスロット最大1TB。45W急速充電対応の11200mAhバッテリー。モデルにより5G / LTE および Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.2など。重量は726g (Wi-Fi) / 728g (セルラー)。

サムスンがハイエンドAndroidタブGalaxy Tab S8発表、11型液晶S8・12.4型有機ELのS8+・14.6型S8 Ultra
Galaxy Tab S8 と Galaxy Tab S8+ については、

  • 最小11インチの無印 Galaxy Tab S8 のみが液晶ディスプレイ、プラスとウルトラは Super AMOLED 有機EL
  • 無印 Galaxy Tab S8 のみサイドボタン指紋センサ、プラスとウルトラはディスプレイ内指紋センサ
  • 無印とプラスはフロントカメラがシングル12MP超広角のみ、ウルトラは広角12MPと超広角12MPデュアル

といった細々とした差があります。ディスプレイパネルは異なるものの、全機種120Hz駆動に対応します。

価格は Galaxy Tab S8 が700ドル、Tab S8+が900ドル、Tab S8 Ultra が1100ドルから。ペンを標準で含む価格です。キーボードカバーは別売り。

Engadget日本版より転載)

EUが半導体生産強化に約56兆円投じる「欧州半導体法」を加盟国に提案、2030年までに世界半導体市場シェア20%が目標

EUが半導体生産強化に約56兆円投じる「欧州半導体法」を各国に提案、2030年までに世界半導体市場シェア20%が目標

Thierry Monasse via Getty Images

EUが、半導体不足を解消するために430億ユーロ(約56兆円)を投じて、欧州における半導体生産を強化するEuropean Chips Act(欧州半導体法)制定をEU各国に提案しました。これは半導体研究や製造といった分野で欧州の強みを生かしつつ、生産面でアジアに強く依存している状況を軽減するための方策です。

ただし、この計画はEU加盟国と欧州議会の承認が必要であり、国および民間企業からの投資によって将来的に今日のようなチップのサプライチェーンの混乱が発生しにくくすることが期待されます。EUは2030年までに世界の半導体市場において20%のシェアを握ることを目標とするとのこと。

また「短期的にはサプライチェーンの途絶を予測、回避ができるよう市場の動きを監視し、供給不足のへの耐性を高め、中期的には欧州がこの分野で業界のリーダーになる」と、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はしました。

この動きは、ジョー・バイデン大統領が米国での半導体生産量を増やすために、520億ドルを投じて半導体部門への投資を推進したことに続くものであり、とある専門家は、EUの半導体法はパンデミックが世界経済をいかに再構築しつつあるかを浮き彫りにしていると述べています。

パンデミックの影響はいまも特に中国に現れており、世界最大の貨物港である寧波・舟山港がある浙江省では、当局が数万人の住民を隔離して港を閉鎖。多くの船舶が航路変更を余儀なくされたと伝えられています。

物流業界は台風や火災の発生といった、自然災害でもこれまでによくある類のものなら対処方法も用意していたものの、パンデミックの長期におよぶ影響はとても予測できるものではありませんでした。新型コロナの影響により地政学面の変化や、ナショナリズムの台頭、気候変動も絡み合い、政府の対応のしかただけでなく民間企業もビジネスのあり方を見直さざるをえなくなっています。

欧米でそれぞれ半導体に関する法案が成立すれば、こんどは欧州、米国、アジアそれぞれで半導体製造企業の呼び込み合戦が展開されるようになるかもしれません。それでも、この計画は最終的に世界の半導体生産を押し上げ、医療機器、電気自動車、PCパーツ、ゲーム機などの入手性を改善することになるはずです。

(Source:European Commission。Via The GuardianEngadget日本版より転載)

NVIDIAがArmの買収を断念、Armはリーダーが交代し株式公開を模索

NVIDIA(エヌビディア)によるArm(アーム)の買収案件は見送られると、両社とArmのオーナーであるSoftBank(ソフトバンク)米国時間2月8日に発表した(PDF)。SoftBankとNVIDIAは、Armの買収に向けた取り組みを止めることで合意したのだ。

これにともない、Armでは大きなリーダーシップの交代も行われる。同社の現CEOであるSimon Segars(サイモン・シーガーズ)氏が同日付けで退任し、ArmのIPグループ社長であるRene Haas(レネ・ハース)氏(元NVIDIA VP兼コンピューティング製品事業本部長)がその任につくことになった。

買収が見送られたため、Armは買収の代わりに株式公開を模索しているという。現在の計画では、今後12カ月以内にIPOが実現する予定だ。

Financial Timesは、米国時間2月8日未明、この買収が破綻したと最初に報じた

今日の発表の直前にハース氏が私とのインタビューで語ってくれたように、シーガーズ氏が会社を去るという決断は、非常に個人的な選択であった。「彼は会社を上場させることと、その他諸々のために必要な時間とエネルギーが、自分のキャリアのこの段階において、自分が手を挙げたいと思えるものではないと判断したのです」とハース氏は語った。「だから、彼は退任することになりました。私が彼の後を継ぐことになります」と語った。

「レネは、上場再挑戦を目指すArmの成長を加速させるために最適なリーダーです。過去30年にわたるサイモンのリーダーシップ、貢献、そしてArmへの献身に感謝します」とSoftBank Group(ソフトバンクグループ株式会社)の代表取締役社長兼執行役員会長兼CEOの孫正義氏は述べている。

ハース氏は、今日のArmのビジネスがかつてないほど強力であることを指摘した。

「私たちは、この会社の次の章にとても熱意と興奮を感じています。というのも、この会社の業績は絶好調だからです。【略】Armのビジネスはかつてないほど好調で、収益性も高く、SoftBankに参加する前では見たことがないレベルです。しかし、おそらくもっと重要なことは、SoftBankに入る前と比較して、事業の多様化が進んだことです。クラウドやデータセンターのような分野でより強力な企業になり、自動車のような市場でもより強力な企業になり、IoTやメタバースといった将来の市場にも大きな機会があります」と彼は語った。

ハース氏は、NVIDIAとSoftBankの決断についてこれ以上コメントしない一方で、ついに取引が破綻したが、リーダー交代の話し合いはもっと前から始まっていたことを認めた。

「買収が成立しなかったことは残念ですが、同時に、今後の展望に非常に期待しており、次の章の開始が待ち遠しい」と述べている。それが具体的にどのようなものになるのか、ハース氏はまだ明言していないが、CPUやGPU市場への進出や、AI分野での取り組みを継続することに言及した。「これまでやってきたことを継続し、それを実行することが本当に重要になります。というのは、我々はビジネスを成長させる方法に関するレシピを提示し、それをぜひ継続したいからです」と語っている。

NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ホァン)氏も、これとほぼ同じことを言っている。「Armには明るい未来があり、我々は今後数十年間、誇りあるライセンシーとして彼らをサポートし続けるでしょう」と彼は声明で述べている。「Armは、コンピューティングにおける重要な変遷の中心にいます。私たちは1つの会社にはなりませんが、Armと密接に連携していきます。マサが行った多大な投資により、Arm CPUがクライアントコンピューティングだけでなく、スーパーコンピューティング、クラウド、AI、ロボティクスにまでその領域を拡大できるよう、Armを位置づけています。Armが次の10年で最も重要なCPUアーキテクチャになることを期待しています」と語った。

ある意味、今日の発表はサプライズではない。米連邦取引委員会が、合併後の企業が「NVIDIAのライバルを不当に弱体化させる」ことができるとして、合併を阻止するために提訴すると発表した後、BloombergはNVIDIAが計画を断念する準備をしていると報じていた。Armの本社がある英国でも、EUの反トラスト法規制当局と同様に、ここ数カ月で合併の障害にぶつかっていた。

結局、GPUとAIアクセラレーター市場を支配し、事実上すべてのスマートフォンやIoTデバイスを動かすチップのIPも所有するNVIDIAは、あらゆる警鐘を鳴らすことになったのだ。両社はおそらく、規制当局のプロセスを通過させるために、取引内容を大幅に変更するか、あるいは断念せざるを得なかっただろう。

NVIDIAがこの巨大買収計画を最初に発表したのは、2020年9月のことだった。当時、NVIDIAのCEOであるジェンスン・ホァン氏は、これによって自社が「AIの時代に向けて素晴らしく位置づけられた企業」を作ることができると主張していた。

この間、NVIDIAとArmの首脳陣は公の場で、この取引が最終的に規制当局の審査を通過する、と楽観的な姿勢を崩さなかった。何らかの反発があることは承知の上で、両社は常にこの取引の完了に多くの時間を費やし、発表から18カ月後の2022年3月を完了予定日としていたのである。しかし、ここ数カ月、両社はこの期日を逃すことになると認めていた。彼らはまた、2022年9月というちょっとした期限もあり、それを過ぎるとSoftBankは12億5000万ドル(約1443億円)の解消手数料を保持することになっていた、取引がなくなった今、SoftBankはいずれにしてもそれを保持することになったのである。

画像クレジット:SAM YEH/AFP via Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

NVIDIAへのArm売却断念、そして2022年度中にArmの再上場を目指すと発表したソフトバンクグループの孫正義社長は決算会見で、売却断念に至った経緯などを説明しました。

孫社長のコメントは下記の通りです。

「1年半前、コロナがこれからどのくらい地球上に災難をもたらすかわからないような状況で、我々は4.5兆円の資金化プログラムを発表しました」

「その一環として、Armを手放すことを意思決定したわけですけども、まあ泣く泣く意思決定したわけですね」

「でも、単純に手放したくはないので、売ったような買ったようなということで、Armを急成長しているNVIDIAと合体させて、我々がNVIDIAの筆頭株主になれれば、ArmとNVIDIAがくっつけばまさに鬼に金棒という状況になりますので、チップの世界で、圧倒的世界最強の会社ができると。その筆頭株主に我々はなるんだという願いで、ArmのNVIDIAへの売却を契約したわけです」

「しかしその後ですね、なんとGAFAに代表される主要なIT業界の企業が、こぞって猛反対。そしてアメリカ政府もイギリス政府もEUの国々もこれに猛反対という状況になりました」

「通常は独禁法で合併を阻止しようとする際、同じ業界、たとえば車のエンジンを作ってるA社とエンジンを作っているB社が合併しようとすると、マーケットシェアが大きくなりすぎるということで、独禁法で止められるということなんですが、NVIDIAとArmは全く違ったものを作っている。言ってみればエンジンとタイヤくらい違うわけですね」

「この違う事業をやっている2社の合併を独禁法で阻止するというのは、独禁法が始まって以来初めてのケースで、我々も驚いたわけですけども、なぜそれほど止めなければいけなかったのかというと、それは各国政府やGAFAに代表されるような企業が、それほど止めなければいけないというくらい、ArmがIT業界、シリコンバレーの殆どの企業がArmを直接あるいは間接的に活用している、欠かす事のできない最重要カンパニーの1つということなんですね」

「そして今日、さきほど、Armの売却を中止するということでNVIDIAと合意に至りました」

「NVIDIA側からしても、合併は今でもしたいという気持ちはたいへん強く、最後までその気持ちは大変強いという状況でしたが、これほど各国政府が合併を阻止する強い動きに出ましたので、これ以上は承認を得る努力をしても認められないだろうということで、合併を諦めるということで、NVIDIAと我々が合意にいたったわけでございます」

2022年度内に再上場めざす

「まあ我々としては、(Armの再上場は)プランBということになりますが、もともと我々がArmを買収したのが2018年で、そして5年後くらいの2023年ぐらいに再上場するということを、買収当時から実はコメントしておりました」

「我々はArmを買収して一旦非上場会社にしたわけですが、そこからもう一度新しいArmの製品群に先行投資をし、(新しい製品群の)準備が整ったところでもう一度再上場する、その期限はだいたい2023年くらいだと買収した当日から言っておったわけですが、ちょうどその時期に達したと。2022年度という2023年3月末までですから、ちょうど2023年になります」

「当初から思っていた期限で、再上場させるということで、もともとのプランに戻ろうということであります。NVIDIAとの合併という意味ではプランBになりますが、もともとオリジナルの案なのですから、むしろこちらがプランAなのかもしれない」

Armの黄金期がやってくる

孫社長はその後、2021年度にAWSがArmアーキテクチャを採用するなど、スマートフォンだけでなくクラウドにもArmの採用が進んだことを強調。

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す
そして今後はEV、メタバースで爆発的にArmの需要が増えるとしたうえで「第2のソフトバンクの成長の鍵になるのがArmだ。Armが戻ってきた。これから黄金期を迎える」とし「NVIDIAとのディールも成功した欲しかったが、むしろこっちも悪くない。振り返ってみたらこっちのほうが良かったと思うようになるんじゃないか」「Armは半導体市場最大のIPOになる」とコメントしました。ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指すソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

──なぜArmの急成長を見込んでいるのに再上場させるのか

孫社長:Arm株の25%はビジョンファンド1が持っています。ここには外部の投資家がいます。彼らのためにも上場株としての価値を作るのは我々の使命の1つ。2つ目の理由は、社員に十分なインセンティブを与えるため。エンジニア中心の会社ですから、彼らの労に報いるために、上場株のさまざまなストックオプションを提供していきたい。また、これから社会のインフラを担うようになるために、できるだけ透明性のある経営とするためにも上場するのが適切だろうと考えた。

──Armはどこで再上場させる?

孫社長:米国のNASDAQを目指している。

──Armはもともと英国の会社だが、なぜロンドンではなく米国での再上場を考えているのか

孫社長:Armの利用者は大半がシリコンバレー。また投資家もArmについて非常に高い関心を持っていると聞いている。そういう意味では、ハイテクの中心である米国のNASDAQが一番適しているのではないか。おそらくハイテクの中心のNASDAQに再上場すると思っているが決定ではない。

Engadget日本版より転載)

米議会下院、対中競争力維持に向け半導体不足対策に約6兆円織り込んだ法案を可決―上院との妥協案を模索へ

米議会下院が対中競争力維持に向け半導体不足対策に約6兆円織り込んだ法案を可決、上院との妥協案を模索へ

Lim Huey Teng / Reuters

米議会下院は2022年度アメリカ競争法を可決しました。この法案には世界的な不足が続く自動車やコンピューター向けの半導体不足を脱するため、また中国に対する半導体製造面での優位性を維持するため520億ドルにのぼる補助金を計上し、さらに研究開発のために3000億ドルという巨額の予算を設定しています。

ナンシー・ペロシ下院議長は「サプライチェーンの面で米国の自給自足を実現し他国への依存をなくすことが法案の目的」だと述べました。最終的に法案が成立すれば、技術的・産業的優位に立ちつつある中国に米国が対抗するための包括的な試みになるはずです。

下院での可決により、この法案は上院との間で妥協案を模索する交渉に入ることになっています。ただ、このままでは予算が最終的に承認されるかどうかはわかりません。下院は民主党がやや優勢だったため法案が通ったものの、共和党はたとえばこの法案でに織り込まれた、発展途上国を支援するためにパリ協定で設立された緑の気候基金(Green Climate Fund)への拠出金80億ドルをはじめとして気候変動への対処に余分な条項が多すぎると主張しています。またこの法案では中国の責任を追及するのに不十分とも述べています。

交渉は早くて数週間、時間がかかれば数か月になると予想され、ジーナ・ライモンド商務長官は「数日の遅れが寄り大きな遅れになり、それは国内国家安全保障上のリスクを増加させるだろう」として交渉の迅速な決着を求めました。またバイデン大統領もこの法案が「重要なものである」と述べ「米国には待っている余裕はない」ています。大統領が法案に署名して法律として成立させるには、上下院の摺り合わせによって両院を通過しなければなりません。

今回の法案に対する投票は、北京冬季オリンピックの開会式の数時間後、議会で中国でのオリンピック開催を決めた国際オリンピック委員会に対する批判が出ているなか行われました。人権団体は以前から中国の人権に対する姿勢を批判していますが、中国はその主張を否定しています。

また今回の可決に対する自動車業界の反応としては、たとえばフォードの最高政策責任者兼法務顧問のスティーブン・クローリー氏はこの法案が成立すれば「フォードが世界的な半導体不足による生産の制約を緩和し、製造ラインの稼働を維持し、顧客が求めるエキサイティングな機能を備えたコネクテッドカーや電気自動車を提供するために役立つ」とコメント、フォード、GM、ステランティスを代表する米自動車政策協議会も上下院の「意見の相違を迅速に解決」することを議会に求めました。

一方、IT産業ではインテルが先月、オハイオ州に200億ドルを投じて半導体製造工場を建設すると発表しており、その際にこの法案から業界に追加支援があれば、今後10年間で新工場に1000億ドル規模の投資を行う可能性があるとしていました。またこの法案では、ほかにアップルや台湾TSMCのアリゾナ工場など、半導体製造施設の新設(すでに着工したものを含む)のために390億ドル(約4兆5000億円)の補助金を盛り込んでいます。

(Source:New York Times。Coverage:Automotive NewsEngadget日本版より転載)

Circular、約3万円のスマートリングで人気のOuraに挑戦

Ouraは、最初に市場に出たスマートリングではないが。その製品寿命が尽きるまで、驚くほどライバルは少なかった。これは、一般に消費者向けハードウェア企業が手首以外の場所にその足場を築くことは難しいという証明だ。しかし、同ブランドが比較的成功したことで、フィットネスバンドやスマートウォッチが必ずしもこのカテゴリーのすべてではないという希望が生まれたのは間違いないだろう。

CESはこれまでウェアラブルデバイスの展示会ではなかったが、初めてスマートリングを見ることができたこのイベントでは、2022年、さらに2つのスマートリングが発表された。2021年末に紹介したMovanoは、下半期に発売予定だという。また、Circularも注目すべき製品だ。しかしこのフランスのスタートアップは、展示会でスニークプレビューを行ったがそれ以上のことは行わなかった。

関連記事:CES 2022大注目カテゴリーのフィットネスリング、医療機器Movanoが女性向けを発表

米国時間2月4日、そんなCircularは、社名と同じ名前のリングを2月27日から259ドル(約2万9800円)で予約販売すると発表した。それは最新のOura Ring(第3世代)と比べて50ドル(約5800円)も安く、Circularは「単なる生のデータだけでなく、個人的なインサイト」を約束する月間サブスクリプションプランについてはまだ何も述べていないが、率直にいって最近はどの企業もその方向性にあるようだ。

実際の発売日は、4月から6月にかけてと相当な幅がある。しかしそれは、若くて小さな企業ではようくあることだし、しかも現在は半導体のサプライチェーンに問題がある。

このリングには、心拍数や呼吸数、体温など、さまざまなセンサーが搭載されている。この点では、少なくとも一般的なOuraのテリトリーで動作しており、マーケティング資料によると、「パーソナルヘルスの民主化」を目指して、多くのバイタルに基づいた実用的なインサイトを生み出している。また、アプリには「パーソナルアシスタント」がある。バッテリーは最大4日間持ち、充電は45分程度で完了する。

聞くところによると、まだ小さなハードウェアのスタートアップにとって、「消費者向け」は最初のステップだ保険やヘルスケアの企業と組んでB2Cへの進出を視野に入れている。このような製品でお金を稼ぐには、その方が良いと思うが、しかし規制も厳しくなるだろう。

このリングはヨーロッパ(フランス、ドイツ、イタリア、英国)と米国、香港、シンガポール、オーストラリアで販売される予定だ。。

画像クレジット:Circular/Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)