貸付ファンドのマーケットプレイス「Funds」、正式ローンチから約15分で総額8320万円のファンドを完売

クラウドポートは1月23日、個人が1円から貸付ファンドの取引ができるマーケットプレイス「Funds(ファンズ)」を正式ローンチ。初回の3ファンドは募集開始から約15分で、総額8320万円のファンド申し込みを完了した。

本日募集が開始されたのは、オンライン融資サービスを運営するスタートアップのLENDY子会社、不動産企画・開発や分譲事業を行うデュアルタップ、国内ノンバンク大手のアイフルの3社が貸付を行うファンド3種類だ。

LENDY子会社がLENDYへ貸付を行うファンドでは、募集金額700万円が31秒で申し込みを達成。またアイフルが連結子会社に対して貸付を行うファンドでは、予想利回りが年率1.8%の商品だが、募集金額の5000万円が15分7秒で完売となった。

平均投資申込額はLENDYのファンドで41万1765円、デュアルタップのファンドで28万7912円、アイフルのファンドで22万5225円だった。

投資家の年代では30代・40代が多く、合わせると全体の7割を超えた。20代の若い投資家も11%いたということだ。

クラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏は、2019年初のFunds発表時の取材に対し、「社債のメリットを備えつつ、デメリットを排除してモダン化された投資サービスとしてFundsを立ち上げた」と話していた。

正式リリースから短時間でのファンド完売について、藤田氏は「我々の仮説である社債的な投資にニーズがあるという裏付けを実証するようなものになったのではないか」とコメントしている。

同社は「今後もさまざまな組成企業が募集するファンドを提供していきたい」とし、「次回以降のファンド募集に向け、現在も上場企業をはじめとする複数のファンド組成企業候補となる事業者と協議を行っている」と述べている。

Digital GarageとBlockstreamが日本でブロックチェーンによる金融サービスを開発

昨年は世界の暗号通貨の市場が暴落したようだが、でも世界でもっとも暗号通貨を厚遇する国の一つである日本では著名な人びとが力を合わせて、Bitcoinとブロックチェーンによる金融サービスを開発している。

Bitcoinのコントリビューターたちが創業したブロックチェーンスタートアップBlockstreamが今週、日本でDigital Garageと金融サービス企業東京短資(Tokyo Tanshi)と共にジョイントベンチャーを立ち上げた、と発表した。Digital GarageはTwitterやSquareなどにも投資している初期段階専門の投資家およびインキュベーターだ。

そのジョイントベンチャーはCrypto Garageと呼ばれ、“日本の機関投資家向け市場のためのBitcoinとブロックチェーンソリューションに特化する”。その立ち上げは昨年発表され、Blockstreamが額面不詳の投資により加わったのは最近のことのようだ。Blockstreamによると、同社はこの取り組みに“専門家としての技術”を提供する、という。

このジョイントベンチャーに関して今分かることは以上だが、同社は最近、最初のプロダクト“SETTLENET.”をリリースした。同社の説明によるとそれは、BlockstreamのブロックチェーンLiquid Networkを使用するプラットホームで、スピードとセキュリティを重視する暗号通貨取引所およびブローカーだそうだ。

(大文字だけの名前はみんな嫌いと思うから)Settlenetはすでに、取引所や暗号通貨プロジェクトの監督官庁である金融庁の認可を得ており、その最初のローンチは日本円向けの安定通貨(ステーブルコイン)だという。最大の目標は取引所が流動性を提供でき、したがってその安定通貨がアトミックなスワップにより、LiquidサイドチェーンにpegしているBitcoinと売買(トレード)できることだ。

すでに数社がコラボレーションしている。Blockstreamに投資しているDigital Garageはこの事業にさらに1000万ドルを投じた。それは、2016年以来の三度目の投資だ、と言われる。それによりBlockstreamの調達総額は9000万ドルになった。

一方、東京短資は100年以上前に創業された仲買企業だ。同社は昨年以来Digital Garageと暗号通貨プロジェクトをやっており、昨年両社が共同でCrypto Garageを発表した。両社のもっと幅広い目標は、日本におけるブロックチェーンによる金融サービスを運営していくことだ。

注記: 筆者は少量の暗号通貨を保有している。それは勉強のためには十分な量だが、人生を変えるほどの量ではない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フリマ売上金を「楽天ペイ」残高に 累計5億円突破──ラクマ

eng-logo-2015楽天は1月21日、同社のフリマアプリ「ラクマ」において、売上金の「楽天キャッシュ」への累計チャージ額が昨年12月末で5億円を突破したと発表しました。

ラクマ売上金の楽天キャッシュへのチャージ機能は昨年7月より提供。決済インフラの「楽天ペイ」を介することで、楽天グループ以外の実店舗やオンラインショップでの決済にも売上金を利用できます。売上金は手数料無料で1円単位からチャージできます。

フリマ売上金を実店舗などで使えるようにする仕組みは、メルカリも「メルペイ」として構想していますが、ラクマが1歩先行した形。ラクマ側は『今後も、ユーザーファーストの考えに基づいたさらなる機能改善を推進してまいります』とコメントしています。

Engadget 日本版からの転載。

100億円祭り再び!?「PayPay」が本人認証サービスに対応

PayPayは1月21日、スマホ決済サービス「PayPay」で本人認証サービス(3Dセキュア)に対応した。本人認証サービス(3Dセキュア)とは、事前にクレジットカード会社に登録した「パスワード」などを入力することで本人認証を行い、不正利用やなりすましを防ぐ仕組み。

本人認証サービスに対応しているクレジットカードを登録すると、図のような画面になる

PayPayでは12月に実施した「100億あげちゃう」キャンペーンにおいて、クレジットカードのセキュリティコードを何度でも入力できる脆弱性を突いた不正利用が多発。防止策の一環としてその後、クレジットカードを利用したPayPay経由の支払いについて上限金額を設定していた。具体的には、過去24時間以内の決済金額の合計が2万円、過去30日間(720時間以内)の決済金額の合計が5万円という制限で、家電量販店や旅行会社などでの高額商品の購入には実質使えなくなっていた。

今後は本人認証サービスに対応したクレジットカードを新規登録することで、クレジットカード利用時の上限金額が25万円(過去30日間)に引き上げられる。同社によると、クレジットカード利用時の上限金額は今後変更になる可能性があるとのこと。まずは上限25万円としてユーザーの動向を見るのだろう。

認証が完了すると上限金額が25万円(30日間)にアップする

なお、登録済みのクレジットカードについてはそのまま利用できるが、過去24時間以内の決済金額の合計が2万円、過去30日間(720時間以内)の決済金額の合計が5万円の制限がかかる。従来同様、支払手段に銀行口座からチャージしたPayPay残高、またはYahoo!マネーを選択した場合には利用できる金額の上限はない。

利用できる本人認証サービスは以下の4種類だが、現在PayPayが対応しているクレジットカードブランドは、VISAとMasterCard、Yahoo!カードのみだ。

  • Visa:Verified by Visa
  • Mastercard:Mastercard SecureCode
  • JCB:J/Secure
  • American Express:American Express SafeKey

本人認証サービスの導入によって上限金額が引き上げられたことから、近い将来に「100億円あげちゃう」キャンペーンの第2弾があるかもしれない。いまのうちに本人認証サービスを設定しておきたいところだ。

株式のように自分の価値を取引できる「VALU」が5億円調達、Android版アプリも公開

まるで株式のように自分の価値を取引できる「VALU」を運営するVALUは1月21日、シリーズAラウンドでグローバル・ブレインから5億円を調達したと発表した。また、今回の資金調達を期に、グローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏がVALUの社外取締役に就任する。

VALUは、ソーシャルメディアのフォロワー数・友達数などの情報に応じて算出された価格で模擬株式(VA)を発行し、ユーザー間で取引できるサービスだ。また、株式の優待制度と同様に、各ユーザーは株主(VALUER)に向けてイベントの参加権やノベリティといった優待を設定することもできる。VALUERは将来に期待が持てる人のVALUを購入し、優待を楽しみながら、その人がさらに有名になったときに値上がったVAを売却して利益を得ることができる。その点では、VALUは文字通り「ヒトに投資」できるサービスだと言えるだろう。

2017年5月にベータ版をローンチしたVALUはこれまでに、約10万人のユーザーを獲得。ユーザーの累計支援総額(VAの取引総額)は10億円を突破したという。

そのVALUは2017年12月に個人投資家の千葉功太郎氏から数千万円規模の資金を調達。そして今回シリーズAラウンドとして5億円の資金調達に踏み切った。同社はこの資金をもとに、開発強化のための人材採用、新規事業開発に取り組むという。加えて、VALUは同時にAndroid版アプリのリリースも発表している。

今後の方針として、VALU代表取締役の小川晃平氏は「2019年の春までに、SNS機能の追加拡張と優待機能の改善を行います。また、夏までには、取引機能の大幅な刷新・改善を予定しています」とコメントしている。

iPhone優遇を解消、モバイルSuicaの年会費が2020年2月から無料に

東日本旅客鉄道(JR東日本)は1月16日、2020年2月26日からスマホなどで使える電子マネーサービス「モバイルSuica」の年会費を無料にすることを発表した。従来、ビューカード以外のクレジットカードと連携させている場合、フューチャーフォン(ガラケー)とAndroidスマホでは1030円の年会費が必要だったが、2020年2月26日以降は無料となる。ただし、2020年2月25日までに支払った年会費の払い戻しはない。

FeliCa対応のiPhone 7以降ではモバイルSuicaの年会費は最初から無料なので、Androidスマホとの不公平感が払拭される。フューチャーフォンについては、2020年2月25日から、一部の端末で新規会員登録とログイン後に利用できるサービスの提供が終了となり、同年12月22日にすべての端末で同サービスが使えなくなる。Androidでも一部の機種で、2020年12月22日以降はログイン後のサービスが使えなくなる機種がある。

フューチャーフォンや一部のAndroid端末で2020年2月以降、もしくは12月以降に利用できなくなる、ログイン後のサービスは以下のとおり。

・クレジットカードによる入金(チャージ)
・オートチャージ(申込・変更・停止)
・定期券(新規購入・継続購入・区間変更・種類変更・払戻し)
・Suicaグリーン券(購入・払戻し)
・モバイルSuica特急券(購入・変更・払戻し・受取り・預入れ・特急券情報変更)
・ビュー・エクスプレス特約(申込・解除)
・ネット決済
・Suicaポケット(JRE POINT交換分の受取り・キャンペーンなどでのプレゼント分の受取り)
・利用履歴表示
・メール配信サービス(申込・停止)
・新規会員登録
・退会(携帯情報端末の操作による場合のみ)
・会員情報の変更(携帯情報端末の電話番号・メールアドレス・クレジットカード情報)
・機種変更操作(サーバへの預入れ・サーバからの受取り)

フューチャーフォンや一部のAndroid端末で2020年12月22日以降も使えるモバイルSuicaの機能は以下のとおり。注意したいのは、チャージ自体は可能だが、オートチャージはビューカードの有効期限が切れてしまうと利用できなくなる点だ。引き続き同じアカウントでモバイルSuicaを使いたい場合はiPhone 7以降、もしくは対応するAndorid端末にアカウントを引き継ぐ必要がある。

・SF(電子マネー)による鉄道利用
・SF(電子マネー)での買い物
・店頭、JR東日本のモバイル端末対応Suicaチャージ専用機での現金チャージ
・定期券(有効期限までの鉄道利用、継続購入・新規購入は不可)
・モバイルSuica特急券(受取り済みのチケットによる新幹線利用、特急券選択情報が「使う」に設定されている場合に限る)
・オートチャージ(登録のビューカードの有効期限まで利用可能、有効期限切れ後は新しい有効期限のビューカードでも利用不可)

モバイルSuica特急券サービス(モバトク、スーパーモバトク)については、時期は未定ながら近い将来にAndroid端末やiPhoneでもサービス終了となる。これは2019年度末に予定されている新しい新幹線IC乗車サービスに置き換わることになる。この新サービスでは、「えきねっと」や「e5489」などの予約サイトで新幹線の指定席または自由席を予約すると、登録した交通系ICカードを自動改札機にタッチするだけで利用できるというもの。交通系ICカードは、SuicaだけでなくKitacaやICOCAが使えるほか、複数人のチケットを一括購入後、各自の交通系ICカードに電子チケットを振り分けることも可能だ。

フランスのフリーランサー向け銀行サービス「Shine」が有償化

フランスのスタートアップ、Shineはフリーランサーに必要な唯一の業務用銀行口座になろうとしている。これまで2万5000人がサービスに登録し、最近同社は930万ドルの調達ラウンドを完了した。

Shineはフランスのフリーランサーをあらゆる段階で支援しようとしている。登録すると、フリーランサー・ステータスを得るためのペーパーワークをアプリが手伝ってくれる。その後カードと銀行情報が手に入る。

ユーザーは請求書の作成、支払いの受付、さらにはスタッフの給料支払もできる。口座の開設と基本的取引は現在は無料だが、1月21日から、利用者のステータスに応じて月額4.90~7.90ユーロの料金が発生する。

フリーランサーで収入が7万ユーロ未満(「Auto-entrepreneur/個人事業主」と呼ばれる)の人は月額4.90ユーロ、それ以外の人はもっと高い料金を支払う。これは、ほとんどの業務用銀行口座よりもまだ安い。既存ユーザーは料金を支払う必要がない。

同社は 過去にプレミアムプランに言及したが、今回は全員に同一機能を提供する単一プランだ。インディーズのライフスタイルに真剣に取り組んで多くの収入を上げるひとは、もう少し高い料金を払うことになる。

この変更に加えて、同社はいくつか新機能を開発している。近々、会計処理用にエクスポート機能が強化される。小切手の入金、口座の管理をウェブブラウザーから実行可能で、請求書作成などの機能も改善される。

ただしShineは単に機能を増やそうとしているのではない。同社はフリーランサーにとって最高の銀行取引アシスタントを作ろうとしている。管理作業に関する通知を受け取れるほか、管理業務に関するどんなことでもサポートチームに質問できる。

これは、同社のサービスに関するカスタマーサポートではない——フランスの文書業務のサポートだ。それだけでも価値あるサービスだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動化によって私たちに馴染みの銀行の形態は終焉する

[著者:Jason C. Brown]
世界初の自動債務管理会社Tallyの共同創設者、CEO。

銀行の崩壊が始まった。

ほんの10年前、一般の消費者と金融業とのつながりは非常に希薄で、取り引きのある金融機関もひとつかふたつに限られ、人々はそこですべての金融上のニーズを満たしていた。しかし、銀行が行ってきた特定の業務に特化し、それを銀行よりもうまく行うフィンテック企業が現れると、保守的な金融機関は崩壊し始めた。その結果、今では一般消費者も、明確な目的のある個別のサービスを、数多くの金融機関で利用できるようになった。

フィンテック革命は、2008年の金融危機の後に始まり、既存の金融機関に対する不満が大きな追い風となって進行した。監視が厳しくなると、銀行はリスクを避けるために数多くの活動から手を引くようになり、市場に大きな空白が残った。フィンテック企業は、そうしたイノベーションを大きく欠いた業界に踏み入り、新しいアイデアを持ち込んだ。しかし、景気が回復した現在、銀行は失ったものを取り戻そうと、その空白に向けて猛烈な突進を試みている。

世に名の通った銀行は、フィンテックがもたらしたいちばん良い部分をコピーすることに懸命になっている。彼らの動きは遅く、丸々5年遅れているが、その目標は、顧客をつなぎとめておくために、そこそこ便利なモバイル体験を提供することだ。銀行は、フィンテック企業を超える必要はないとわかっている。規模とディストリビューション力で勝る銀行は、そこそこ便利な商品でも強固な顧客基盤を守ることができるからだ。

そうした優位性のために、フィンテック企業は銀行と真っ向勝負ができずにいる。資金コストが低く、顧客一人あたりに使える資金が多い銀行が、ある特定のサービスを開始しようと思えば、一日でフィンテック企業を打ち負かすことができる。そのため私は、銀行が行っていないサービスの市場に的を絞ったフィンテック企業に対しては悲観的だ。そんなフィンテック企業は、いずれ銀行に真似されてしまうので、あるレベル以上に長期的な成長は望めないことを知るだろう。

フィンテック企業として存続しようと思えば、唯一の防衛策、そして長期的な戦略をもたらすものは、自動化しかない。

自動化は
永続的な最適化が
可能になるため
摩擦削減の
究極の方法となる

これからの20年は、どのように自動化するかによって、一般の人々の人生の形が決まる。そう遠くない将来、インテリジェントなサービスが、個人の金融上の判斷の大部分を下すようになるだろう。そうしたサービスは、人々と協力することにより、いつ引退したいか、子どもをどの大学なら入れられるかといった、個々人の人生設計を明確にしてくれる。そして、その超人的インテリジェンスと、瞬時に物事を繰り返し実行する能力を使って、その人のために金融システム全体の力を投入できるようになる。顧客は、そのインテリジェントなサービスの仕組みを理解できないかも知れないが、それが自分の人生を良くするために、100パーセント向けられたものであることは実感できる。

個人が、自分の金融プロファイルを丸ごと、どこへでも好きなところに移せるようになった状況を考えて欲しい。ボタンをひとつ押すだけで、電話番号を移すときと同じように、自分の口座がすべて別の場所に移動できる世界だ。

たとえば携帯電話業界では、電話番号の移転を妨げてはいけない決まりになっているため、業者は移転をさせないように必死に努力している。携帯電話キャリアは、電話番号の移転に高額な料金を課すことで、利用者の移転の意欲を削いできた。しかし2003年、アメリカ政府が携帯電話業界に対して、電話番号の移転の自由を義務付けたことから、携帯電話の利用プランの料金が安くなった。摩擦が消えたことで、過剰な利益も泡と消えたのだ。

自動化は、永続的な最適化が可能になるため、摩擦削減の究極の方法となる。自動化により、限界費用ゼロで最適化が行えるようになる。自動化により、人の手を介さずに最適化ができるようになる。それが可能になれば、顧客は常に理想的な金融サービスを使えるようになる。

これは銀行にとっては悪夢のシナリオだ。金融業界の摩擦が大幅に低減されると、銀行と顧客とのつながりは弱くなる。銀行は、金を保管し、ある場所からある場所へと金を移動させる配管や電線の役割を果たす公共施設となる。そして、特定のサービスに特化したフィンテック企業がそこに参入し、専門的なデータを使って利用者に代わって判斷を行い、その判斷に基づくサービスを提供する。そして最終的には、顧客が必要とするあらゆるものを割り出し、顧客のために実行される目に見えないインテリジェントなサービスとなる。

そう考えると、自動化の力は、顧客に代わって最適な判斷を行い、それに基づいて行動するインテリジェントなサービスの能力を超えるものとなる。摩擦を低減させる自動化の能力は、市場の競争をより活性化し、顧客を市場の中の最適な商品に合致させることで、顧客に大きな富をもたらす。

したがって、インテリジェントな自動化を、いかにして製品の利便性に、製品の製造工程に、または商品開発の過程に組み込むかを考え出すことが、フィンテック企業の成長と成功に欠かせないものとなる。こうしたテクノロジーの世界の変化に気づけない者たちは、市場シェアと市場での地位を失うリスクを負うことになるだろう。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

CAMPFIREがコミュニティウォレット「Gojo」をBrainCatより事業譲受

CAMPFIREは1月10日、BrainCatが運営していたコミュニティウォレット「Gojo」(ゴジョ)の事業譲受を発表した。事業譲受自体は2018年12月に済ませており、2019年1月より運営移行を開始している。

Gojoは、スマートフォンアプリを通じてコミュニティのメンバー同士が、お金や情報を共有できるプラットフォームサービス。BrainCatが2018年6月に運営開始し、2018年12月末時点で流通金額累計は約4000万円となっていた。

Gojoという名称は、日本には昔から存在する地域自治会、無尽、マンション管理組合といった「相互扶助」から名付けられている。具体的な使用例としては、祭りの青年会、フリーランスが協業するためのオンラインスペース、シェアハウスの共益費管理などで使われてきたそうだ。

CAMPFIREが事業譲受に至ったのは、Gojoの理念である「人民間の助け合いをベースにした金融システムの構築」と同社の「小さな経済圏への支援」がマッチしたからとのこと。本事業譲受によってGojo単体で2022年度中に流通金額累計100億円到達を目指すという。

スマホで貸付ファンドに投資できるマーケットプレイス「Funds」をクラウドポートが公開

ソーシャルレンディング各社のサービス比較サイトを運営するクラウドポートが、自ら第二種金融商品取引業の登録を行い、個人向けの投資サービスをスタートする。新サービスの名前は「Funds(ファンズ)」。「資産形成したい個人」と「事業資金を借りたい企業」を結び、スマホで貸付ファンドの取引ができるマーケットプレイスだ。Fundsでは1月8日から登録受付を開始した。

Fundsではクラウドポート自体は自己募集を行わないが、代わりにクラウドポートの定める基準をクリアした企業が、自社グループの事業に必要な資金を調達する目的でファンドを組成する。

この貸付ファンドに対して、ユーザーは投資を行い、分配金を得る。1つの口座で、さまざまな企業の運用するファンドに最小投資単位1円から分散投資が可能。分配金の再投資により、複利効果も期待できる。

クラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏は、Fundsを「個人向け社債と同等の性質を備えつつ、よりインターネット的なサービスを」と構想し、1〜2年かけて試行錯誤しながらサービスとして練り上げた、と話している。

「モダンな個人向け社債」を目指して作られたFunds

藤田氏は「少子高齢化により社会保障費が拡大する一方で税収が伸び悩んでいくなか、個人の負担増が予想され、資産運用というより資産形成による自助努力がますます必要になってくる」という。だが、貯蓄から投資への流れは進んでいない。日本の個人金融資産残高のうち、現預金、保険・年金の比率は高いままで、有価証券の比率は2013年からの5年間、ずっと16〜17%近辺で変わっていないのが実情だ。

資産運用が行われない理由は、余裕資金が不足していること、知識が足りないと感じる人が多いことによるものだと藤田氏はいう。「株式投資やFX、投資信託は相場による値動きがあって、管理の手間がかかる。また勉強も必要で、片手間で投資を行うにはハードルが高い方法だ。また不動産投資は値動きは激しくないのでよいけれども、ある程度の資金が要る。もっと値動きが激しくなくて、コツコツ少額で投資できる方法が必要だ」(藤田氏)

そうしたなかで社債は、「相場に左右されず、安定的なリターンが見込めるので、初心者や忙しい一般投資家に向いている投資方法だ」と藤田氏は述べる。「社債は株式投資と比べて値動きが少なく安定しており、貸し倒れがない限り元本は戻ってくる。また、当初決められた金利以上のものは得られないが、コツコツ資産を増やすことができる」(藤田氏)

実は個人向け社債の新規発行額は年間1.4兆円と大きな市場を持つ。SBIやマネックスなど、人気の社債は数十億〜100億円規模が即日完売するという。

だが、個人向け社債市場には問題点もあると藤田氏は指摘する。「販売方法が旧態依然として、モダン化されていない。いつでも買えるわけでもなく、投資家人気を受けて利回りは1%を切るところまで下がっている。また投資単価が100万円と高額で、PCやスマホだけで売買が完結できるものはほとんどない」(藤田氏)

社債を発行する企業の側にも課題はある。日本企業の社債による調達比率は20%以下。一方米国では半数以上を社債による調達が占める。これは「米国では社債マーケットが発達しているからだ」と藤田氏は説明する。

「日本では社債を発行できる企業が少ない。というのは、既存の証券会社が事実上、JCR格付けでBB以下の社債を取り扱っていないから。BBB格付けのマネックス、SBIなどでぎりぎり証券会社での扱いがある、という状況だ」(藤田氏)

また社債の起債(発行)には、目論見書の作成や格付けの取得など、発行企業の手間やコストもかかる。

そこで、社債のメリットを備えつつ、デメリットを排除してモダン化された投資サービスとして考案されたのが、Fundsだ。

既存ソーシャルレンディングの問題点を審査やスキームで回避

クラウドポートでは、既存のソーシャルレンディングで課題となっている、不適切な貸付審査やファンド募集、運用・管理による利用者の不利益や行政処分を避けるため、Fundsで扱うファンド組成企業に対して厳しいルールを設けている。

前提となる条件は、上場企業、または監査法人の監査を受けている企業、もしくはVCから出資を受けている企業であること。いずれも第三者からのけん制が効いており、上場済み、もしくは上場を目指しているため、不正を起こす確度が低い企業である、としている。

その上で、企業のファンド運営適格性を査定。財務状況をはじめとした審査項目による厳密な審査を行う。またファンド募集時にもファンドごとに審査を徹底。運用中ファンドについても計算期間ごとのモニタリングにより監視を行い、都度ユーザーへ報告をするという。

Fundsローンチ時のファンド組成企業は3社。独立系ノンバンクで最大手のアイフルと不動産販売事業で実績とノウハウを持つデュアルタップ、そしてオンラインレンディング事業を営むスタートアップのLENDY(旧社名クレジットエンジン)だ。LENDYの参加について藤田氏は「東証1部上場企業や500 Startupsなどから出資を受けており、将来性のあるスタートアップ。そうしたスタートアップにもお金を回したい」と述べている。

Fundsでは、1月以降も東証1部上場の不動産会社や空中店舗「フィル・パーク」運営のフィル・カンパニーなどの参加を予定。「1年以内に20〜30社の企業の参加を目指したい」と藤田氏は話している。

審査の厳格さのほかに、投資家ユーザーの不利益を減らすべくFundsで採用されているのが「関係会社貸付スキーム」だ。Funds上で調達された資金は、ファンド組成会社からそのグループ企業に貸し付けられ、その後さまざまな事業に使われる。ユーザーが負う主なリスクは、ファンド運営企業の信用力、そして借り手であるグループ企業からファンド運営企業への返済が正常に行われるかという点になる。

このため、ユーザーは実質的にはファンド組成企業のグループ企業の信用に対して投資をする形となるという。借り手のグループ会社が貸し倒れた場合には連動して投資家の元本が損なわれる可能性はあるが、商品性やリスクは個人向け社債に似たものとなる。

またFundsでは、ファンドの募集はクラウドポートが、運用はファンド組成企業が行う完全分業制を採っている。クラウドポートは顧客対応や営業者審査、プロダクトのブラッシュアップやモニタリングなど「場としてのサービス」に特化。ファンド組成企業は案件開拓や案件審査など、本業のファンド運営に注力することで、より品質の高いサービス提供を可能とする。

また取り扱いとファンド運営を完全に分離したことで「利益相反が起こりにくくなる」と藤田氏は説明する。「これまでのソーシャルレンディングでは、取扱者と組成企業が実質的に同じであることで、問題が起こりやすかった。Fundsではこれを分離することで、投資家目線でサービスを提供していく」(藤田氏)

Fundsは個人向け社債とソーシャルレンディングとの間、利回り1.5〜6%程度の「ミドルリスク・ミドルリターン」の市場を対象とする。相場に左右されず、デフォルトがなければ元本は一定とあって、「マインドシェアが取られない」と藤田氏は話す。

Fundsでは、売買が成立した場合、応募額の1〜1.5%の取扱委託手数料が事業者からクラウドポートへ支払われる。「成果報酬のみで初期費用やシステム利用料は無料。企業はコストをかけずに調達が行える。また審査は厳しいが、ファンド設立にともなう第二種金融商品取引業の登録は不要。投資家集めやシステム構築も不要なので、企業にもメリットがある」(藤田氏)

Fundsにももちろん、リスクはあって、貸し倒れによる元本減少や取扱者、ファンド運営者の倒産リスク、運用期間中は解約できないことや運用期間の延長、早期償還などの可能性もあるため、「基本的には余裕資金で、分散投資を心がけてもらえれば」と藤田氏は話している。

Fundsで調達/投資の新スタンダード目指す

藤田氏は「クラウドポート設立時から、共同創業者の柴田(柴田陽氏)とも事業ブレストをするなかで、ファンド運営の構想はあった。比較サイト運営などで投資家さんたちとコミュニケーションを取っていくなかで、肌感覚を持って課題を知り、今回のサービスにつながっている」という。

写真前列中央:クラウドポート代表取締役 藤田雄一郎氏

「高利回りのソーシャルレンディングでは、企業が仕組みを使って資金調達をするためのコストが高い。そこで15%(の利率)とかで資金を貸すと、問題のある会社がどうしても入ってきちゃう。問題が起こればソーシャルレンディング業界全体が『怪しい』ということになってしまう。Fundsでは個人向け社債の性質に近いものを、ということで構想した。3〜5%の利率で、企業は資金調達ができ、投資家は『聞いたことのある企業に、手の出せる金額で投資できる』という楽しみができる」(藤田氏)

藤田氏はFundsを、インターネット経由、スマホ経由で、ファンドを通じて資金調達/投資ができる仕組みとして「新たなスタンダードとしたい」と語る。

国内には類似のサービスはないが、海外ではY Combinatorのプログラムにも参加したAlphaFlowが同種のサービスを行っており、ベンチマークとして研究したという藤田氏だが、「結果としてかなり違うサービスとなった」ということだった。「Fundsはグローバルにも展開したい。世界で使えるマーケットプレイスを作りたい」(藤田氏)

国内キャッシュレス決済の現状をまとめたカオスマップが登場

TechCrunch Japanではこれまでにも副業系サービスやRPAサービスをまとめたカオスマップを紹介してきたが、今回も新しいカオスマップが誕生したので紹介しておこう。国内キャッシュレス決済の現状をまとめた「国内キャッシュレス決済カオスマップ(2019年1月版)」だ。

このカオスマップを作成したのは、スマホ経費精算アプリ「Staple」などを手がけるクラウドキャスト代表取締役の星川高志氏。2018年12月31日にmedium上でこのカオスマップを公開した。星川氏は、国内のキャッシュレス決済サービスをクレジットやプリペイドなどの「カード」、ICカードなどを含む「電子マネー」、QRを使用する「QRコード決済」の3つに分類。それぞれの勢力図をカオスマップとしてまとめた。

電子マネーやクレジットの分類にはあまり目新しさは見受けられないものの、クレジットカードなどを通してサービス内のウォレットにお金をためておき、あとで支払う「プリペイド」の領域にはLINE、Kyash、Stapleなどのプレイヤーが参入している。

一方で、QRコード決済に分類されるサービスはここ数年で急増した。IT系企業が独自に運営する「楽天ペイ」、「LINE Pay」、「merpay(メルペイ)」などのサービスの他にも、通信キャリアが絡む「PayPay」や「d払い」、銀行系が運営するサービスもあり、群雄割拠の様相となっている。これら国内勢同士の争いだけでなく、すでに本国では圧倒的な地位を築く中国系の「Alipay」や「WeChat Pay」とどのように戦っていくかが2019年以降の注目ポイントとなりそうだ。

トランプ圧力で株式市場今度は反騰、いつか来た道の既視感、FRBもここは我慢

連邦準備制度が今後利率を上げないと言い、雇用も盛んなことからウォール街の株価が上がり、ニューヨーク証券取引所の今年の初商いの週は乱高下の‘高’の部分で終わった。

昨日のAppleが呼び込んだ下落と、世界と国内の契機減退を示す経済指標を受けて、連邦準備制度のJerome Powell理事長は、利率を上げることに関して中央銀行は“我慢する”、と言った。

そのニュースと雇用好調との報告により、株価は急騰した。ダウ・ジョーンズ工業平均は746.9ポイント、3.3%上げて、Nasdaqは275.4ポイント、4.3%上がった。

投資家が歓迎する2019年の利上げに関する見通しは、連邦準備制度理事長の単なる見方ではなく、日増しに強まるトランプ大統領からの圧力に直面しているPowellの保身策でもある。

アメリカ経済学会(American Economic Association)における、連邦準備制度の前理事長Janet L. YellenやBen BernankeとのパネルディスカッションでPowellは、大統領に辞めろと言われても辞めない、と言った。

Powellのそのコメントの直後に、株が上がり始めた。

The Washington PostによるとPowellはその席でこう言ったそうだ: “弱めのインフレ指標が目の前に迫っているが、今後の経済の動きを見るときには我慢が必要だ。しかし政策の方向を変える用意はつねにできているし、必要なら大きく変えなければならないだろう”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

インドネシアの電子商取引リーダーTokopediaが、AlibabaとSoftBankのVision Fundから11億ドルを調達

創立9年のC2Cマーケットプレイスの現在の評価額は70億ドル

インドネシアを拠点とする電子商取引会社Tokopediaは、SoftBankメガファンドとAlibabaが主導した11億ドルのシリーズGラウンドでの調達を行ったあと、Vision Fundに参加した最新のスタートアップ企業だ。

SoftBankとAlibabaは既存の投資家である。Alibabaは昨年11億ドルのラウンドを主導したが、一方SoftBankは最近保有していたTokopediaの株式をVision Fundへ移管した。後者の内容は、基本的に10月に合意された内容に従ったものだと、TechCrunchは理解している。

Tokopediaは評価額につはコメントしていないが、TechCrunchはある筋から、今回の取引では評価額は70億ドルとされているという情報を得ている。SoftBank Ventures Koreaとその他の投資家たち、例えばSequoia Indiaもこの投資に参加した。現時点までに投資家たちから24億ドルが調達されている。

今回の取引が行われたのは、韓国の有力電子商取引企業であるCoupangに、SoftBankが20億ドルの投資を行った数週間後である。Tokopediaと同様にCoupangも、SoftBankが保有する株式がVision Fundに移管されるまでは、SoftBankには投資家として向き合っていた。

9年前に創業したTokopediaは、中国で大成功を収めたAlibabaの電子商取引市場であるTaobaoとしばしば比較される。Tokopediaの取引業者は最近400万社に達した。TokopediaはGMV(取扱総額)が4倍になったとしているが、具体的な数字は発表していない。物流は、約1万7000の島々に広がるインドネシアの大きな問題である。しかし同社は現在国土の93%をカバーしていて、しかも顧客の四分の一は同日配送の対象になっているのだという。同社が物流調整がより困難な、マーケットプレイスを運営していることも注目に値する。

同社は、今回得た新しい資本金を利用して、より多くの中小企業や独立系小売業者がそのプラットフォームに乗ることを可能にする技術を開発する予定である。また消費者側では、中核となる電子商取引だけでなく、金融サービスやプロダクトの開発も行っていて、顧客を強くプラットフォームに引きつけようとしている。

インドネシアのスーパーアプリ

この新ラウンドにもかかわらず、CEOで共同創業者であるWilliam Tanuwijayaは、TechCrunchに対してインドネシアの外へ拡大する計画はないと語った。インドネシアは東南アジア最大の経済圏であり、2億6000万人以上の人口は世界で4番目に多い。

「現時点でインドネシアの外に拡大する計画はありません。インドネシアの市場を構成する、私たちの美しい1万7000以上の群島の隅々にまで手を伸ばせるように努力するつもりです」と、Tanuwijayaは質問に対して電子メールで回答した(Tokopediaは電話でのインタビュー要請は拒否した)。

Tokopediaの共同創業者兼CEOのWilliam Tanuwijayaは、2018年1月26日(金)、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)閉会式のパネルディスカッションで、身振り手振りを交えながら語った。世界的リーダーたち、影響力のあるエグゼクティブ、銀行家、そして政策立案者たちが、1月23日から26日までダボスで開催された、第48回世界経済フォーラムの年次総会に出席した。写真:Jason Alden/Bloomberg

そのインドネシア国内だけに注力するアプローチは、現在東南アジア全域に急速に拡大している、インドネシア拠点の配車企業Go-Jekのアプローチとは対照的だ。Go-Jekは既にベトナム、シンガポール、タイに進出し、2019年にもさらに計画を進めていることは間違いない。

だがGo-JekとTokopediaは、いずれも中心となっていたビジネスから拡大しているという点は類似している。

Go-Jekは、オンデマンドサービス、支払いサービスなどに取り組んでいる。最近、Tokopediaはモバイルチャージやファイナンシャルサービスを含む支払いサービスへ参入した。そしてTanuwijayaは「スーパーアプリ」になる戦略を続けていくつもりであることをほのめかした。

「私たちはサービスを深化させて、朝の目覚めの瞬間から夜眠りにつくまで、そして生まれた瞬間から年老いるまで、インドネシアの人びとによりよいサービスを提供します。私たちは、沢山の企業にオンラインとオフラインのパワーを提供するために、物流、フルフィルメント、支払い、そして金融サービスの分野のIaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)に投資をし技術開発を行います」とTanuwijayaは付け加えた。

Vision Fund論争

しかし、Vision Fundには論争が巻き起こっている。

最近出されたCIAの報告書は、サウジアラビアのモハメド・ビン・サルマン皇太子がジャーナリストであるジャマル・カショギの殺害を命じたと結論付けた。皇太子はサウジアラビアの政府系ファンドであるPIF(Public Investment Fund)を管理している。これは450億ドルという資金をVision Fundを通して投資している巨大な投資機構である。

SoftBank会長の孫正義は、この殺人を「非人道的行為」として非難したが、アナリスト向けのプレゼンテーションでは、SoftBankは資本を運用しVisionFundを続けていく「責任」を、サウジアラビアに対して負っていると付け加えた。

Tanuwijayaは私たちに対する電子メールで、最悪のケースでTokopediaが何をできる(する)のかははっきりしないものの、「私たちはこの出来事に深く関心を持ち、SoftBankと共に、全ての真相が明らかになるまで状況を注意深く見守りたい」と語った。

サウジアラビアとの関係がVision Fundの創業者たちのための資金を穢(けが)しているのではないかという沢山の議論がありながらもトランプ政権が現状の体制維持に焦点を当ててサウジアラビアを主要な同盟国として扱おうとしているように見えることを考えれば、事態は流動的なままである。

孫自身は、現在Vision Fundからの投資を拒んだスタートアップの事例は聞いていないが、将来的には「影響があるかもしれない」ことを認めた。

この投資に対する反発を予想しているか否かという私たちの質問に、Tanuwijayaは直接触れることはなかった。Vision Fundが最近行ったCoupangへの投資は、ネガティブな反応を巻き起こしているようには見えない。

また間違いなく東南アジアで最も有名な電子商取引サービスであるLazadaを、Alibabaが所有していることも、別の疑問を投げかける。

Tokopediaとは異なり、Lazadaは東南アジアで6つの市場をカバーしている。小売ブランドに重点を置いており、AlibabaのTaobaoサービスと密接な関係を保っているために、業者たちにその地区へ向けたチャネルを提供している。今年初めにTechCrunchにタレコミをした筋によれば、Tokopediaの経営陣はもともとはAlibabaのライバルのTencentからの資金調達に熱心だったが、SoftBankからの介入により、Alibabaを相手にすることが強制された。

Tanuwijayaは、そつなくその競合関係と亀裂を軽いものと述べ、ビジネスに影響はないと主張した。

「Tokopediaは、多様な資本で構成される独立企業です」と彼は電子メールで答えた。「会社の過半数を保有する単独の株主はいません。私たちは、株主のポートフォリオ企業と緊密に協力して、シナジー効果を活用しています」。

「たとえば、TokopediaはGrab(SoftBankのポートフォリオ)とGo-Jek(Sequoiaのポートフォリオ)の両社と緊密に協力しています。Lazadaは私たちとは異なるビジネスモデルを持っていると考えています。Lazadaは小売とマーケットプレイスモデルのハイブリッドですが、Tokopediaは純粋なマーケットプレイスなのです。Lazadaは地域プレーヤーですが、私たちはインドネシアの全国プレイヤーです」と彼は付け加えた。

Tokopediaは、中国で大成功しているAlibabaのTaobaoマーケットプレイスと、多くの類似点を持っている。

「これ以上わくわくできることはありませんよ?」

約10年前、Tokopediaはインドネシアに登場した最初のスタートアップの1つだった。Tanuwijayaと仲間の創業者Leontinus Alpha Edisonが、VCを口説き落として資金を調達するまでに、何十回ものプレゼンテーションを繰り返しては拒絶されたことは良く知られている。

Vision Fund入に際して「実績あるチャンピオン」と孫が形容した現在の状況に比べれば、とても大きな変化を経験してきたのだ。そしてそこにはファイナンシャル製品へと拡大したビジネスそのものは含まれていないのだ。しかしそれは、どんな創業者でもいつでも手に入れることができる、というものではない。多くの人たちは、その「最良の」日々は急速に成長していた初期段階や全員の気持ちがひとつになって力を注げていたときであることを認めるだろう。実際、インドネシアを拠点とするユニコーンであるTravelokaは、最近CTOを意欲の燃え尽きによって失っている

Tanuwijaya、Edison、および同僚の経営幹部たちに同じことが起き得るだろうか?

Tanuwijayaは彼のビジネスの旅を、近付いて来る山に喩えている。

「Leonと私は10年目に入ることにとても興奮しています。最初にTokopediaを始めたとき、それは私たちの立っている場所から、とても遠くにある山の頂上を見るようなものでした。私たちはいつかその山の頂上に登るのだということと、自分たち自身に誓ったのです」と彼はTechCrunchに語った。

「その山の頂上が私たちの会社のミッションなのです。つまり技術を通して商売が誰の手にも届くようにするということです。いま私たちは山の麓(ふもと)に到着したところです。ついに山に触れることができて、登り始めることができるのです。今回の追加投資で、私たちはミッションをより速く勧めるための手段と資源を手にすることになります。燃え尽きて家に帰るのか、あるいは山に登るべきかどうかを考えるべきかって?「これ以上わくわくできることはありませんよ?」と彼は付け加えた。

確かにTokopediaは、それ自身が1つの山になっている。このスタートアップは、GrabとGo-Jek(それぞれの評価額は110億ドルならびに(伝えられるところでは)90億ドル)に続いて、3番目に高く評価されている未公開テクノロジー企業だ。そしてその夢のある話は、インドネシア周辺の未来の創業者たちを触発し、スタートアップの道を辿らせることだろう。なおVision FundとPIFのコネクションにこの先何が起きるのかは、それほどはっきりとはしていない。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:sako)

利回り平均値5%の貸付型クラウドファンディング運営、クラウドクレジットが7.5億調達

貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)を運営するクラウドクレジットは11月30日、マネックスベンチャーズ、YJキャピタル、ソニーフィナンシャルベンチャーズ、グローバル・ブレイン、SBIインベストメントなどを引受先とする第三者割当増資により7億5000万円を調達した。同社は2018年9月にも資金調達を発表しており、それと合わせた調達金額は8億8000万円となる。

クラウドクレジットは、日本の一般ユーザーから資金を募り、その資金を海外の事業者に貸し付ける貸付型クラウドファンディングを運営するスタートアップだ。クラウドクレジットは「シンガポール広告代理店ベンチャー企業支援ファンド」、「メキシコ女性起業家支援ファンド」などのミニファンドを企画し、そこに資金を拠出する投資家を日本の個人ユーザーから募集。投資家は1口1万円からファンドに応募でき、事業者への貸付けによって得られる金利分をリターンとして受け取る。

クラウドクレジットのファンドはロシアルーブル、メキシコペソ、ブラジルレアルなどの新興国通貨で運用されることが多く(為替ヘッジ付きのコースもある)、ユーザーは比較的高い為替リスクを負う分、高い利回りを見込むことができる。クラウドクレジットが発表している統計によれば、2014年6月から2018年8月までに運用したファンドの利回りの平均値は5%程度だったという。

クラウドクレジットはこれまでに3万1000人のユーザーを獲得し、累計出資金額は148億円以上、運用残高は106億円にのぼるという。同社は今回調達した資金を利用して、マーケティング施策、システムセキュリティ、コーポレートガバナンスの強化を図り、新機能の開発にも取り組む。また、今回のラウンドに参加したマネックスグループを始めとする投資家との協業の可能性についても検討する。

フィンテックRevolut、日本とシンガポールで間もなくサービス開始

フィンテックのスタートアップRevolutがアジアマーケットでの事業拡大を吹聴して1年以上になるが、いよいよ実行に移されるようだ。Revolutはシンガポールと日本での事業許可を取得した。2019年第一四半期のサービス開始が見込まれている。

シンガポールでは通貨当局から送金の事業許可が与えられ、プリペイドカード業の承認も得たーこの2つによりRevolutユーザーは預金や送金、使用ができる。日本では金融庁から事業許可を得た。

Revolutによると、こうした許可により当該国でサービスを立ち上げることができる。しかしこれでもって日本とシンガポールで全ての機能が使えるわけではない。規制は国によって異なり、すでに展開している他の国と同じ限度額や機能を提供できないかもしれない。

事業立ち上げにあたっては、Revolutは電子財布と支払いカードにフォーカスしていて、暗号通貨の購入やビジネス口座の開設はできない。こうしたサービス制限は多かれ少なかれ当地の同業者と同じだ。

Revolutによると、日本では楽天、損保ジャパン(SJNK)、凸版とすでに契約を結んでいる。これから想像するに、新たな保険プロダクトや特別なカードデザインなどが提供されるのかもしれない。

RevolutはシンガポールにAPACオフィスを開設する計画だ。Revolutが国外駐在組にサインアップするように呼びかけて終わりとなるのか、それとも本当に欧州外のマーケットにインパクトをもたらすことができるのかみてみよう。

もしあなたが米国かカナダの居住者でRevolutを使ってみたいと思っているのなら、もう少し待つ必要がある。数週間以内に新たなニュースが届けられるとのことだ。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Upflowで請求書処理を簡単に

フランスのスタートアップUpflowを紹介しよう。未回収の請求書の処理を手助けしてくれる企業だ。同社は最初eFounders(フランスのインキュベーター)でスタートを切った。もしあなたが中小企業を経営しているなら、売掛金の処理に大量の時間か、多額のコストを消費している可能性が高い。

ほとんどの企業は、現在請求書を、Excelスプレッドシート、旧式の銀行インターフェース、そして本来不要な会話を使って管理している。誰かが取引にサインするたびに、請求書を生成し、どこかのスプレッドシートの中に記録するのだ。

素直に数日後に支払ってくれる企業もある。しかし現実を見つめよう。支払期限を過ぎた請求書の支払いについて考え始めるのでさえ、30日、40日、あるいはそれ以上かかる会社がとても多いのだ。あなたは電子メールを送信し、顧客に電話をかけ、ただ集金するためだけのために、膨大な時間を無駄にすることになる。すでに契約書にサインしていたとしても、お金を請求することに後ろめたさを感じることさえあるかもしれない。

フランスでは、ほとんどの企業が請求書に対する支払いに、銀行振り込みを利用している。しかし、ビジネスバンキングのためのAPIはまだ提供されていない。すなわち、誰かが支払いを行ったかどうかをチェックするために毎日ウェブサイトにログインしなければならないということだ。そして、Excelスプレッドシートのボックスにチェックを入れることができる。

もしここまで述べたことに心当たりがあるなら、Upflowはそんなあなたのために、代わって請求書を管理してくれる会社だ。あなたの銀行口座を置き換えるものではないし、あなたに代わって請求書を発行してくれるわけでもない。既存のワークフローとシームレスに統合されるのだ。

申し込みを行ったあと、あなたは顧客へ請求書を送ると同時に、UpflowにそのメールをCC(コピー送信)することができる。UpflowはOCRを使用して、顧客名、金額、支払期限などの関連するデータを自動的に検出する。

Upflowのインターフェースを介して、未処理の請求書をすべて閲覧し、現状を確認することができる。このサービスが提供するのは、集金するために実行可能なタスクの一覧だ。例えば、Upflowは支払い期日が過ぎているかどうかを知らせ、顧客に再度連絡するようあなたに促す。

顧客に応じて異なるルールを設定することができる。たとえば、小さな顧客がたくさんある場合、それらのメッセージの一部を自動化することができる。しかし、ほんの一握りの顧客を相手にしている場合には、Upflowがメッセージを送る前に、誰かが内容をレビューしたいかもしれない。

デフォルトでは、他のチームメンバーが何が起こっているかを知ることができるように、Upflow上で電子メールを書くことになる。顧客ごとの請求書をレビューして、未払いの請求書を複数ためている顧客がいないかどうかを調べることもできる。またUpflowを使用することで、この特定の顧客と親しいチームメンバーにアクションを割り当てることができる。

しかし、こうしたことは皆、製品の一部に過ぎない。Upflowはまた、Treezorの助けを借りて、銀行情報も生成することができる。これを使って、あなたのUpflow銀行情報を請求書に記載することができる。

顧客が支払いを行うと、Upflowは自動的に請求書と入金と照合する。この機能だけで、時間を大幅に節約することができる。スタートアップは毎日あなたの会社の銀行口座に送金を行う。

Upflowの共同創業者でCEOのAlexandre Louisyが、私たちが会った際に描いてくれたのが以下の図だ。おそらく私の説明を読んだ後に見たほうが理解しやすいだろう。

言い換えれば、Upflowは、あなたの会社のバックオフィスと顧客の間に置かれたゲートウェイを生み出したのだ。究極的には、Upflowがあなたの会社の多くのことを学ぶにつれて、このゲートウェイ上に構築されるより多くのサービスを想像することができるだろう。

Louisyによれば、中小企業には本当にこの種の製品が必要であるという。そうした企業たちは必ずしもハイテク企業である必要はない。そうした会社は、銀行口座に大金を保持しているわけではなく、スタッフの数も多くはなく、可能な限り時間を節約する必要があるのだ。

さあ、これまで何十年間も行われてきた家族経営ビジネスに、SaaS(software-as-a-service)ソリューションを簡単に売り込めるか否かに、着目することにしよう。

[原文へ]
(翻訳:sako)

フィンテックInstarem、グローバル展開へ2000万ドル調達ー日本ではライセンス待ち

銀行が海外送金を安くで行えるサービスを展開しているシンガポール拠点のスタートアップInstaremは、グローバル展開へ向けシリーズCラウンドで2000万ドルを調達した。

今回のラウンドはインドネシアの通信企業TelkomのVC部隊MDI Venturesとタイの銀行Kasikornのファンド、そして既存の投資家Vertex Ventures、GSR Ventures Rocket Internet、SBI-FMO Fundによって実施された。

今回の資金により、設立4年のInstaremはこれまでに4000万ドル近くを調達したことになる。しかしながらInstaremの創業者でCEOのPrajit NanuはTechCrunchに対し、シリーズCを4500万ドルに拡大する計画だと語った。追加の投資は来年1月までにクローズされる見込みだ。Nanuは、南米の新興マーケットと欧州でビジネスを展開するのに力を貸してくれそうな戦略投資家を引っ張ってくるのに注力している。

「我々はいま、資金の意味合いが非常に大事なときにある」とNanuはインタビューで語った。「我々のビジネスに付加価値を与えてくれるような投資家を今回のラウンドに取り込めるかどうかが、今後の鍵を握る」。

Nanuはまた、可能性のあるいくつかの投資家の中で、米国の大手ファンドと現在交渉していることも付け加えた。

Instaremは海外送金のコストを削減するために銀行と協力し、“企業向けのTransferwise”サービスのようなものを提供している。しかしTransferwiseが世界中に送金するのにグローバル銀行ネットワークを使うのに対し、Instaremは海外通貨で取引を行っている中規模の銀行を活用している。以前私が記事に書いた通り、この仕組みは、今から出港するというUPSの貨物船に荷物を置くようなものだ。これにかかる費用は、船を探して自分で荷物を送るのに伴うコストよりも安い。

Instaremは主に東南アジアにフォーカスしていて、50マーケット以上への送金に対応している。一般消費者向けにもサービスを提供してはいるが、常に需要があり、扱う平均額も大きな金融機関が主なターゲットだ。

Instaremはシンガポール、ムンバイ、リトアニアにオフィスを構えていて、提携企業の拡大を見据え、間もなくシアトルにもオープンする。すでに東南アジアの銀行上位10位のうち3行と提携している。Nanuによると、Instaremはまず南米とメキシコに関係する顧客をターゲットとしているクロスボーダーの銀行、ファイナンシャルサービスとの提携を目指す。アジアにおいては、日本とインドネシアでライセンス待ちの段階で、ライセンスを取得すればこの2国で多くのサービスを展開することになる。

TechCrunchが把握している限りでは、InstaremはVisaとの交渉で微妙な時期にある。交渉の結果次第では、顧客にプリペイドカードやファイナンシャルサービスを提供できるようになる。このVisaとの交渉について、Nanuはコメントを拒否した。

TechCrunchはまた、Instaremが今年初めに東南アジアのユニコーンの1社から買収のアプローチを受けたことも把握している。Nanuは買収を持ちかけてきた企業名を明かさなかったが、このオファーは“我々にとっていいタイミングではなかった”とコメントした。しかし、彼の考えはIPOに傾いている。

昨年、InstaremがシリーズBで1300万ドルを調達した時、Instaremが2020年までに株式を公開するかもしれない、とNanuはそれとなく語った。NanuはTechCrunchに対し、適当な時期がきたら米国で株式公開するというのが最も好ましいと言っていて、目標とするその時期は2021年と後ろ倒しになっている。

イメージクレジット: Svetlana LukienkoShutterstock

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

チャージカードスタートアップのBrexは、ユニコーン(10億ドル)ならぬデカコーン(100億ドル)の成功を目指す

【編集部注】著者のGregg SchoenbergはThe Financial Revolutionistの編集長兼共同創業者である。

企業のクレジットならびにチャージカードを再発明しようとしている若いスタートアップのBrexは、いまではシリコンバレーではよく知られた存在だ。まだ若い同社の共同創業者であるHenrique DubugrasとPedro Franceschi、著名な支援者たち、先月発表された1億2500万ドルのシリーズC,サンフランシスコでの積極的な広告宣伝、そして同社の猛烈な成長が、注目を大いに引き寄せる効果を発揮している。しかしもちろん、Brexをフィンテックユニコーンクラブに参加させたのは、リストのトップに躍り出た、最後のラウンドの評価額だった。

最近Brexは、Brexの成功に追いつくことを熱望する起業家たち専用の、新しいお得な報酬プログラムを発表したために、さまざまな発言の機会が増えている。しかし話題の中心は、DubugrasとFranceschiが、どのようにペイメントスタートアップの構築への困難な挑戦に取り組んだかの、具体的な方法である。

そうしたことに向けてのより良い理解を促すために、CEOのDubugrasが、彼とFranceschiが手がけた以前のスタートアップPagar.me(Pager.meは新しく公開されたブラジルのクレジットカード会社StoneCoによって買収された)や、すばやく成長する上での課題、Brexカードと従来の企業カード製品の違い、そしてビジネスサイクルの変動を乗り切る同社の計画、などについて打ち明けた。最後にDubugrasは、誰もが注目している、現在同社が直面するかなりのプレッシャーについて、率直かつ自信を持って語っている。

Gregg Schoenberg(以下GS):また会えて幸いです、Henrique。ご存知のように、Brexは短期間でゼロから素晴らしいものへと変化したために、多くの報道が行われています。しかし、これまでのBrexの話題をフォローしていなかった人のためにあえて質問しますが、このスタートアップで解決したかった問題とは何でしょう?

Henrique Dubugras(以下HD):FICOスコアを持っていなかったり、個人保証を提供できないために、創業者がクレジットカードを取得できない場合がその1つです。また別のケースとしては、創業者はカードを取得できるものの、個人保証を提供したくない場合です。

GS:よくわかります。

HD:そうですね、とてもスマートなアイデアだとは思っていません。Brexはこの問題を解決できるわけですが、それは個人保証なしに彼らにカードを発行することができるからです。また最後に、個人保証を気にしない創業者もいますが、クレジットカードを持っている体験に関連したもっと素晴らしいことが他にもあるのです。私たちはそれも解決しました。

GS:最初の2つは、これまでとは異なる融資引受アプローチですが、最後の課題は特に難しそうに思えます。

HD:はい。融資引受に際しては、現金残高と投資に参加しているVCを考慮に入れます。ゼロから利用可能なカードを手にするまでに、5分ほどしかかからないのが、シリコンバレー流の融資引受です。しかし、3番目のユースケースに関して言えば、沢山の人たちに「君たち、クレジットカードシステムをゼロから再構築することなんて不可能だよ。過去20年間で誰もそれをやっていないんだから」と言われました。

GS:それこそが、Pager.meについてお話を聞かせて欲しい理由なのです。なぜならそうすれば、あなたが疑念を払拭することが可能だという証拠を提供してくれると思うからです。

HD:そうですね、これまでは決済会社を構築していたので、やり方はある意味理解していました。そこで、単にすべてをゼロから再構築することにしたのです。StoneのIPOはご覧になったのですよね?

GS:はい。そして報告書に深く埋もれていましたが、2016年の残りにPager.meにどれほど費用がかかったかが指摘されていました。そのため、あなたとPedroは、成功したものを作り出してはいましたが、その収益で島を買うというわけにはいかなかったのですね。

HD:IPOに含まれない他の部分もありましたが、はい、わたしたちは今でも島を買うことはできません。

GS:そしてあなたとPedroがブラジルからここに来ることができた、この短期間のうちに驚くべき資金調達をできたという物語を、あなた方が巨額のエグジットを達成できたからだ、と説明するのは正確ではないのですね。そうではなくて、極めて官僚的な金融システムを泳ぎ渡った2人の姿が見えるのですが…。

HD:はいその通りです。

私たちは、米国の決済会社や、他のあらゆる場所のものと比べても、かなりユニークな経験を持っていました。

GS:…そして成功できるものを作り出す方法を考え出したのですね。

HD:そうです。ただ留意しておいて欲しいのですが、私たちは単なる製品以上のものを作り上げたのです。組織を作ったのです。100人以上の人たちを雇い、利益をあげ、十分な市場シェアを獲得し、そして買収されました。

GS:私の目から見た場合、大きな特徴は、あなたがたがそれをブラジルのフィンテックのブートキャンプで行ったことです。決済会社をそこで、あの規模で、あの時期に生み出すことはとても難しかったと思います。

HD:本当に難しかったです。そして、量的に見ると、Pagar.meは今日Stoneの大きな部分を占めています。

GS:規制当局とも相当交渉をする必要があったのでは?

HD:はい。中央銀行は、私たちがPagar.meを始めたころに、金融事業に対する規制を開始することを決定しました。

GS:Pagar.meはオンラインでビジネスを行っているすべての加盟店に、短期融資を提供しました。そうですよね?

HD:はい。市場では前払いが大きな部分を占めていましたので、商店に売掛金をすぐに渡すために、ブラジルの中で借金をしなければなりませんでした。私たちはまた、自分たち自身で持つのではなく、ライセンスを借りていました。そうしたことから、私たちは、米国の決済会社や、他のあらゆる場所のものと比べても、かなりユニークな経験を持っていたのです。

GS:米国のペイメントエコシステムの中から誰かが、そのような多様な挑戦に直面し、表に出てくることは非常に困難だったと思います。それこそが、Max Levchinのような早期投資家たちに「君たちが何を作ろうとも、それに投資したい。君たちの才能が大好きなんだ」と言わせて、心を掴んだ大きな理由なのですね。

HD:そうです。そしてMaxは、決済というものをとても良く理解していたので、私たちが自分たちの領域で何をしているかを知っていることを、きちんと理解できたのです。Pagar.meについて知っていたRibbit Capitalも同様です。

GS:Maxが決済会社への投資をすることは、Maxがヤワなスタートアップに投資することとは違います。決済のような世界では、彼が早い段階からあなたがたの後ろにぴったりくっついていたことが大きいと思うのですが。

HD:正しいですね。

GS:さてBrexのことに戻りましょう。発表したばかりの報酬プログラムに興味を持っています。これはパラダイムシフトですよね。このプログラムでは、報酬は蓄積されるのではなく、継続的に使用されるようにデザインされていますよね?

HD:その通りです。毎日最良の経験をしていただけるように、報酬の全てを利用していただきたいのです。そして、他のクレジットカードにはよく読むと「但し、この上限、制限、そして限度額内で使うことができます」といった脚注が書かれています。

GS:人びとが最適化しないようにしようとしていますね。

HD:はい。私たちは、とても変わったアプローチを採用しています。私たちは「ただ1つのクレジットカードを使う、優良顧客や利用者に対しては、こうした制限や限度を課すことで、不自由を強いることはしたくない」のです。

GS:Brexに特徴的なコンセプトは何ですか?

HD:コンセプトは、もしBrexがあなたの唯一のカードであれば、全ての報酬を制限なく受け取ることができるというものです。しかし、それがあなたの唯一のカードでないならば、その場合でもBrexは使うことができますが、報酬は制限されます。

GS:Amex、Chase、またはCapital Oneがそうした報酬プログラムを気にしないとは主張できないのでは?これはロボアドバイザーの初期段階に似ています。しかし、あなたがたが大きくなって、より広がり目障りになってきたときに、Chaseに多額の報酬を伴ったカードを投入させないための要素とは何でしょう。

HD:その1つは、彼らの従来の技術に及ぼす影響です。おそらく皆さんは「どうして彼らは単に、自分たちの技術を変えないの?」と言いたいですよね?実のところ、彼らに対しては「いや、全部のテクノロジーシステムを変えることはできない。なにしろ君たちが混乱したら、米国全体の金融システムが影響を受けてしまうからだ」といって止めに入る規制機関がいるのです。

GS:これがどのように展開していくかの具体例を挙げることができますか?

HD:信用限度額について考えてみましょう。こうした全ての企業は、現時点で設定される静的なカード限度額を提供するようになっています。そしてそれは2,3,6ヶ月…の間見直されることはありません。

私たちは、多額のお金を調達して、馬鹿げたことを始める、馬鹿げた企業にはなりたくありません。

GS:そうですね。しかしその話は、チャージカードとチャージカードを比較しているのですか、それともチャージカードとクレジットカードを比較しているのでしょうか?

HD:Brexはチャージカードですが、ここで説明しているコンセプトには影響しません、なぜなら私のポイントは、リアルタイムデータに基いて毎日限度額を見直す技術と、彼らが現在使っているシステムの対比だからです。リアルタイムシステムを実装することは、彼らにとって本質的な転換となります。

GS:伝統的なカードに比べて10倍のクレジット限度額を与えるというアイデアについてはどうでしょう。それは素晴らしいことですが、あなた方は多くの分析やデータにアクセスできるので、実際にそれほど大きなリスクを受けることはないと思いますが。

HD:そのとおりですね。そのおかげで今日(today)の損失はゼロです。

GS:今日(today)?

HD:これまでのところ(to date)ですね。

GS:素晴らしい。それではVisaネットワークにアクセスするために必要な、イシュア銀行であるSutton Bankについてお話ししましょう。もし他のイシュア銀行が「あなた方のしていることを気に入りました、私たちもイシュア銀行として使ってもらえませんか?」とアプローチしてきた場合はどうなさいますか?

HD:そうなれば検討することになるでしょう。しかしそれは現段階で私たちが集中したいものではありません。私たちは発行(イシュー)のために彼らのライセンスを利用していますが、基本的に全てを行っています。私たちは融資引受を行い、技術も、その他全ても行います。

GS:スタートアップの世界からさらに広い世界へと成長したいとお考えであることは、よく知られています。次はどうなさるのですか?

HD:従来型のビジネスをより多く相手にしたいと思っています。もう少し成熟していてテクノロジーの外側にある世界へ。それはおそらく来年の間には取り組むことになると思いますが、私たちの引受モデルとプロダクトを適応させなければなりません。

GS:報酬プログラムもですよね?私にはAWSのクレジット提供を気にするような、従来型のビジネスはあまり思いつかないのですが。

HD:そうした企業にとっては、関心のあるものはキャッシュバック以外にはありません。私たちがそれを適応するのは、彼らがもっと気にしているものだからです。

GS:ブリッツスケーリング(劇的成長)の精神をどう考えますか?

HD:私はその本を実際に今読んでいますが、まだ結論を下していません。この本に挙げられているすべての例は、多くのネットワーク効果と、勝者総取りの、2極化した市場のように見えます。それは私たちの目指すものではありません。

GS:モデルにかかわらず、あなた方は騒ぎは起きるに任せてそれを無視するという…私はそれが2018年のフィンテックもしくはファイナンシャルサービスの世界で通用するのかどうかはわかりません。

HD:はい、フィンテックにはまた別の側面があるのです。なぜならそれは人びとのお金を扱うからです。買い手に損をさせるわけにはいきません。しかし、私はそれには他の側面があると思っています。私たちは成功のための計画に向かうのでしょうか、それとも失敗に備えるのでしょうか?私たちは、よりはやく雇用するのでしょうか、それともよりゆっくりと雇用するのでしょうか?

GS:あなた方のように多くな資金調達を行った人たちはみな、採用モードになります。その若さ故に、採用の苦労に遭遇しましたか?

HD:米国ではありませんが、ブラジルでは感じました。とても若い人たちによって創業された、成功企業の例はたくさんあります。まあ、私たちは本当に凄いことをした他の人よりも、1歳くらい若いかもしれませんけどね。

GS:あなたの名刺のインクはある意味まだ濡れていて(まだ組織が若いという比喩)、多くの人たちを急速に雇っている最中ですが、共通の文化を構築するという考えはどうでしょう?

HD:どのような文化を作りたいかという課題については、沢山考えています。GoogleやAirbnbのような文化の企業もあります、つまり「ヘイ、私たちは家族だね」という具合。よりプロフェッショナルなスポーツチームのようにみえる、NetflixやAppleのような企業もあります。私たちは、明らかにGoogleやAirbnbよりも、NetflixやAppleのほうに向かっていますね。

100億〜200億ドルのビジネスを構築することは難しいです。本当に、本当に難しいです。

GS:「よりプロフェッショナル」とはどういう意味ですか?

HD:より仕事中心で、特権的なものを与えないということです。また、シリコンバレーの多くの人たちが株式を信じていないので、株の提供は抑えて、より高い給与を支払うことが好きです。私たちは「はい、もっと多くの現金を支払います」と言って来ました、そしてもっとも交渉上手の人ではなく、歳月を経てもっとも良い働きをした人のために株はとってあります。

GS:あなたの考えは?

HD:一般に、リスクに与えられるスーパープレミアムがありますよね?それは私たちが何者でもなく、私たちを信じる人が誰もいなかったときに、私たちに加わってくれた人たちに与えられるものです。しかしそうしたプレミアムは、この先長期にわたってこの会社で働いてくれるひとに与えられるものに比べると大きすぎると考えています。より多くのプレミアムが、この先6年、7年、8年とこの会社で成長を支えてくれる人たちに渡るべきだと思います。

GS:ではそうした人たちをどこに置くつもりなのかについてお聞きしましょう。ブラジルですか?それともアトランタの”Transaction Alley”(トランザクション通り)でしょうか?

HD:それについては考えている最中ですが、個人的にはバンクーバーが主要な候補地だと思っています。

GS:どうしてバンクーバーなのですか?

HD:ビザを本当に迅速に取得できるからです。

GS:スピードへの要求を考えれば、迅速な成長を狙いながらも支出のコントロールに不安を感じたりしませんか?

HD:正直なところ、私たちは逆の問題を抱えています。Pagar.meが30万ドルで立ち上げられたことを考えてみて下さい。調達された資金はそれだけでした。

GS:本当ですか?

HD:はい。私たちにとっては、お金を使わないことがデフォルトなのです。それなのに今、私たちにはたくさんのお金があって、速く成長するために投資する必要があるのです。そこで私たちは常に、より多くのお金を使う方法を積極的に考えています。

GS:その点では苦労しているようですね。

私たちは、多額のお金を調達して、馬鹿げたことを始める、馬鹿げた企業にはなりたくありません。しかし、私たちはまた、より速く成長するために投資する必要があるので、そのバランスを見つけることが…

GS:…顧客獲得には費用がかかる可能性があります。

HD:はい、しかし私たちにとってはあまり問題にはなりません。私たちの市場はとてもニッチなので、Googleに数十万ドルを使うことはできないのです。私たちはとてもニッチなので、単にそうできないのです。

GS:そうですね。

HS: しかし、私たちは確かに、どのように資金を投じればよいのか、そしてどのように投じないようにすればよいのかについての課題を抱えています。

GS:まあ、もっと多くの広告媒体に広告を掲載することはできると思いますよ。

HS:実際のところそれは安いんですよ!それについての記事がありましたが、私たちはサンフランシスコ全域で3ヶ月のうちに30万ドルを使いました。

GS:最後に、ベイエリアで一番ホットな若いスタートアップになることが何を意味するのかを話し合ってみたいのですが。そしていつかは、景気後退が来るという事実について。まず最初の話題ですが、最近の注目度の上昇を受けて、皆に見られているせいで、失敗を人目から隠すことができないことが気になりますか?

HD:はい。もちろんそのプレッシャーを感じています。しかし、私たちが知っている市場ですし、これをやるのは2度目ですから、ある程度の自信は持っています。それに私は幹部チームが本当に好きです。さらに、Pagar.meの経験を通して、マネジメントやカルチャー、そしてスケール問題がどのようなものかも、かなり習得しています。

景気後退にどう対処すれば良いかを知っている人がいたとしたら、それは間違いだと思っています。

GS:それでも、あなた方の会社の評価額とそれに伴う期待を考えると、それは大きなプレッシャーでしょう。

HD:そうですね。その責任の重さを考えると、本当に恐ろしくなります。そして私は投資家の皆さんに10から20倍のリターンをお返しできなければ、Brexが成功したとは思えないのです。100億〜200億ドルのビジネスを構築することは難しいことです。本当に、本当に難しいです。

GS:あなた方は次のStripeにならなければなりませんからね…ではビジネスサイクルを話すことで終わりましょう。多くのCEOの方々と話をすると、よく聞かされるのが「実際は、景気後退の中で私たちは偉大な存在になるだろう。景気後退のときのほうがむしろ良くなるのだ」という言い回しです。まあこれが真実の場合もありますが、ほとんどの場合は間違っていますよね。

HD:はい。

GS:ビジネスサイクルが変わったときには何が起きるのでしょう、VCの活動があまりなくなって、それでも成長の方法を見出さなければならないのですよ?

HD:景気後退にどう対処すれば良いかを知っている人がいたとしたら、それは間違いだと思っています。なぜならそれぞれの景気後退は、お互いに非常に異なっているからです。2008年は2001年とは完全に異なっていました。それらが互いにとても異なっているのですから、すべてに対処できる方法を知っている1人の人間はいません。

GS:そうですね。

HD:私たちにできることは、大きな構想の下に動くことだけです。1つ目は必要額以上の資金を調達すること、これはできました。そして2つ目はすぐにカットできる支出方法を持つことです。

GS:おそらくあなたのブラジルの血筋が役に立つのはこういうときでしょうね。なにしろ経済的に不安定な国で育ったのですから。

HD:全くその通りです。

GS:朝と夕方では店頭で物の値段が変わるのですよね。

HD:私たちはその時は生まれていませんでしたが、両親がそれについて話すのを聞いたことがあります。

GS:ああそうですね。うっかりしました。

HD:私たちがそこから最も学んだことは、何事も成し遂げ終わるまでは、成し遂げられたことにはならないということです。ブラジルから来て、この事実指向の文化は私たちの体に染み込みました。実際に資金が振り込まれるまで、ラウンドの終了を祝うことさえしませんでした。

GS:最後の質問です。最終的にあなた方の分野で正面からぶつかる競争相手がいるとしたら、それは第2のHenriqueとPedroなのでしょうか?それとも、もっと大きな企業が立ちふさがるのでしょうか?

HD:このプロダクトに続くとしたらフィンテック企業でしょうね。私は、それがAmexやChaseだとは思いません。おそらくPayPal、Square、Adyen、Cyber​​Sourceのような企業がやってくるのではないでしょうか。彼らはレガシー企業ではないので、銀行が抱えているような問題を持っていません。

GS:了解です。

HD:しかし正直なところ、第2のHenriqueとPedroが登場するとは思っていません。なので…

GS:そうですね、おふたりの幸運を祈りましょう。

このインタビューは、内容、長さ、および明快さのために編集されている。

(訳注:米国におけるチャージカードとは、クレジットカードの一種だが、分割支払機能がなく一括払いのみが許されるカードのこと)

[原文へ]
(翻訳:sako)

Brexはその新しい報酬プログラムで、WeWorkやAWSなどとパートナーシップを締結した

スタートアップのための法人カードを発行するBrexが、本日(米国時間10月30日)新しい報酬プログラムを発表した。

3週間前に1億2500万ドルのシリーズCを発表したこの10億ドルの企業は、Amazon Web Service、WeWork、Instacart、Google Ads、SendGrid、Salesforce Essentials、Twilio、Zendesk、Caviar、HubSpot、Orrick、Snap、Clerky、そしてDoorDashとパートナー契約を締結し、起業家たちが、定期的に利用するサービスとプロダクトから、ポイントを得たり使ったりすることができるようにする。

Brexは、スタートアップを立ち上げる際に必要となるコストをよく理解した、22歳の連続起業家ペアによって率いられている企業だ。彼らはこの1年、Brexのパートナーのリストを注意深く構築してきており、彼らのカード所持者たちは、他の競合プログラムからよりもBrexからの方が、およそ20%多い報酬を得ることができると語っている。

「他の誰もがやっていることをやりたいとは考えませんでした。そこで私たちはこれまでの零細企業とスタートアップの違いは何だろうと考えたのです」とBrexの共同創業者でCEOのHenrique DubugrasはTechCrunchに語った。「最大の違いは、彼らがお金を使う対象です。ほとんどのクレジットカードの報酬システムは、個人的な支出のためにデザインされていますが、スタートアップたちはビジネスにもっと多くを費やしているのです」。

関連記事:Brexの22歳の創業者コンビが、2年未満で10億ドルのビジネスを構築した道のり

Brexだけを法人カードとして利用している企業は、配車サービスでは7倍、レストランでは3倍、旅行では3倍、ソフトウェアの継続的利用では2倍、それ以外の出費ではそのままのポイントを、上限なしで受け取ることができる。まだ他の法人カードを使用しているBrex所有者の場合は、全ての経費に対して割増のないそのままのポイントを受け取るだけだ。

ほとんどの法人カードは、旅費やレストランの費用に対して同様の報酬を提供するが、Brexは独自のやり方で配車サービスの特典を与え、また特にソフトウェア(SalesForcemHubSpot)の継続使用に対する特典も提供している。

サンフランシスコに拠点を置くBrexは、Greenoaks Capital、DST Global、そしてIVPを含む投資家たちから、これまでに約2億ドルを調達している。その資金調達の時点で、同社はTechCrunchに対して、最新の資金は報酬プログラムを構築し、エンジニアを雇い、顧客基盤をテクノロジースタートアップ以外のビジネスにも広げる手段を探るために使われることになると語っていた。

「これで、Amex、Chase、そして大手銀行たちとの競争が可能になります」とDubugrasは語った。

[原文へ]
(翻訳:sako)

今、ブラジルのヘルステック分野が熱い

[著者:Manoel Lemos]
シリコンバレーのベンチャー企業Redpointのブラジル専門部門Redpoint eventuresの業務執行社員。

大勢の人が絡む大きな問題に取り組むことは、起業家と投資家の両方にとって絶好のチャンスとなる。たとえば近年のブラジルでは、フィンテックによる金融改革や、新しいオンデマンドのビジネスモデルに投資が集中しているが、ヘルステック関連のスタートアップも、ブラジルで爆発的な増加を見せている。全国民のうちの数千万人が、根深い不平等問題によって医療サービスが受けられず、深刻なまでに低水準な医療の質、重い負担、あらゆる面での非効率といった問題に苦しめられている。起業家の皿は、市場に届けたいヘルステックの改革案で山盛りの状態だ。

Liga Venturesの最近の調査では、現在ブラジルには健康に特化したスタートアップが250社位上あり、民間医療に年間420億ドル(約4707億円)以上を消費する世界で7番目に大きな健康市場になっているという。ただし、そのうち180億ドル(約2017億円)が効率の悪さのために浪費され、この5年間でブラジルの医療関連コストが倍に跳ね上がっているため(累積インフレ率38パーセント)、ブラジルの医療は崩壊寸前にある。ヘルステック系スタートアップは、サンパウロ南部のビラオリンピアに拠点を置く世界最大級の起業家ハブCUBOItaúでも、トップ5の業界に入っている。

昨年、中南米の民間投資を支援する非営利団体LAVCAが発表した「中南米の技術ブレークアウトの年」によると、中南米において、ヘルステックは2番目に急成長している技術分野になっている。2016年と比較して、ヘルステックの取り引きは250パーセントにまで拡大した。ブラジルに診療所を建設して安価に最高の医療を提供することを目的としたネットワークDr. Consultaへの5000万ドル(約56億円)の投資は、2017年のベンチャーキャピタルによる投資の中でも最大のものだった。

医療分野は、患者、仲介業者、診療所、代理店、サプライヤーの間で、人と仕事と製品を結びつけなければならない複雑な市場だ。そこで、技術革新を武器に、ブラジルでもっとも大きなインパクトを与え、この市場に新しいビジネスモデルをもたらす主要なカテゴリーと企業を紹介しよう。

オンデマンドの医療

公的医療機関が利用できるのは、ブラジルの人口(約1億5000万人)のうち、およそ75パーセントに限られている。しかし、そうした医療機関は運営管理が不十分で非効率だ。1回の診療や検査のために、患者が数週間から数カ月待たされることも少なくない。そこに技術力を背景にしたスタートアップが登場し、より広く、より高齢の人々にも、効率的に医療を受けやすくする機会を提供し始めた。

たとえば、低価格な診療所チェーンDr. Consaltaの施設は、この3年間で1軒から51軒にまで増えた。今では、100万人以上の患者から得た国内最大の医療データセットを持つと主張するまでになった。他の民間診療所では、診察料が少なくとも90ドル(約1万円)はするが、Dr.Consaltaは25ドルだ。同様のオンデマンド医療を提供する診療所として、ClínicaSimDr. Sem Filas、 DocwayGlobalMed.などがある。

テレヘルスとモバイル健康アプリ

医療上の助言、診断、モニタリングをより便利にするテレヘルス・サービスがブラジルで拡大している。たとえば、Brasil Telemedicinaは、医療検査、医師の診察、遠隔モニタリング、心理カウセリングなど、さまざまなサービスを24時間提供している。

患者のケアを改善するためのB2Bテレヘルス・サービスには、1日24時間年中無休で放射線画像解析を行うTelelaudo、心臓の健康状態のモニター、陰圧閉鎖療法、乳児の呼吸と健康状態のモニターのための特殊な機器を提供するVentrixなどがある。また、サンパウロに拠点を置くスタートアップNEO MEDは、心電図と脳波図の医学報告が簡単に素早く作成でき、それぞれの場所で柔軟に収入を増やしたいと考える診療所、研究所、病院、医師の協力を促すプラットフォームを開設した。

フィンテックのような急成長分野を
もうひとつ作れる重要な材料が
この国にはふんだんにある。

ブラジルでは、糖尿病と高血圧といった疾患の発生率の高さインターネットユーザーの多さから、モバイル健康アプリの人気が高まっている。たとえば、Dieta e Saude(栄養と健康)というアプリは、160万人以上のユーザーに、よりよい栄養食品を選ぶよう助言し、それを習慣づける動機を与えている。ブラジルで設立され、現在はサンフランシスコに拠点を移したYouperは、社会的不安の解消を手助けする情緒的健康のためのバーチャル・アシスタントだ。ユーザーの思考パターンを再構成して、心をより健康な状態にしてくれる。

AIとデータ解析

他の業界と同様、またブラジルに限らず、AIとデータ解析は、患者の診断のスピードアップから医療コストの管理に至るまで、医療を変革しつつある。

その中のイノベーターのひとつにGestoがある。データベースに蓄積した450万件以上の患者の情報を機械学習でふるいにかけ、有用な情報を引き出して、患者の治療を最適化すると同時にコストを管理し、企業にとって最適な保険プランの選択を助けてくれる。集中治療室の管理を専門とするブラジル最大手のIntensicareは、AIを利用して診断のための時間を短縮し、患者の滞在時間と死亡率の低減を目指している。レシフェに本拠地を置くスタートアップEpitrackは、クラウドソースのデータ、AI、予測分析を使って疫学をコンピューター化し、伝染病の大流行と戦っている。

電子カルテ

昨年、ブラジル政府は、国内4万2000箇所以上の公営診療所で扱う患者のカルテを近代化するプロジェクトを、2018年までに完了させると発表した。世界銀行によると、カルテの電子化によって、連邦政府の経費は68億ドル(約7630億円)削減できるという。昨年末の時点で、ブラジル人(2億800万人)のうち3000万人しか電子カルテを持っておらず、ブラジルの家族向け診療所の3分の2近くが、患者の電子カルテを作成する手段を持っていなかった。

SaaS電子カルテのプラットフォームであるiClinicは、医療の近代化に大きな影響を与えたブラジルでもトップクラスのスタートアップだ。医療の専門家によるカルテの分類を電子的に支援し、すべてのデータをクラウドに保管し、あらゆるデバイスで読み出せるようにする。iClinicは非常に使いやすいシステムであるため、医療の効率化、コストの削減、治療の質の向上が期待できる。現在、ブラジルの各地で利用されているが、ブラジル以外の20カ国以上にも利用者が広がっている。

処方箋のデジタル化

ブラジルでのデジタル化の遅れによるもうひとつの大きな問題として、70パーセント近くの処方箋に記述ミスの恐れがあるという点を世界保健機関(WHO)が指摘いている。そのためブラジルでは、投薬ミスの関連で年間数千人が死亡している。精査することで、かなりの人数が救えるはずだ。アメリカでは、すでに77パーセント以上の処方箋がデジタル化されている。

この生死の問題に対処するために、ブラジルの電子処方箋管理の中心的存在としてMemedが登場した。現在、ブラジルのすべての医療分野の5万5000人以上の医師がこれを利用し、アレルギーと薬物相互作用の照合を行っている。これにより、服薬コンプライアンスが容易になり、医療効果も高まる。同社は、ブラジルでもっとも充実した、信頼性の高い、最新の薬物データベースを開発している。

ブラジルのヘルステック関連のスタートアップは注視すべき分野として急成長しているのは確かだが、ヘルステック革新が解決に着手したこの国の問題は、まだまだ氷山の一角に過ぎない。フィンテックのような急成長分野をもうひとつ作れる重要な材料が、この国にはふんだんにある。ブラジルにおけるヘルステックは、今後長きにわたり、それを信じる起業家と投資家にとって、確実にホットな分野となる。

備考:Redpoint eventuresはMemedに投資しています。  

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)