ポータブルで超低コストなMRIシステムを開発するベルリン発のDeepSpinがシード資金を調達

「次世代AI搭載MRIイメージングマシン」と自らが呼ぶシステムを開発するベルリンを拠点とするスタートアップのDeepSpin(ディープスピン)が、シード資金として60万ユーロ(約7300万円)を調達した。

ラウンドを後押しするのはAPEX Digital Healthで、既存の投資家であるEntrepreneur First(EF)とSOSVが参加し、多くの無名のエンジェル投資家も参加している。助成金と以前の投資を含めると、ローンチ前の総調達額は100万ユーロ(約1億2000万円)となった。

DeepSpinはEFの企業ビルダープログラムを卒業した企業で、そこで出会った2人の創業者、元マッキンゼーのコンサルタントであるClemens Tepel(クレメンス・テペル)氏とカールスルーエ工科大学(KIT)のPhD研究者であるPedro Freire Silva(ペドロ・フレイレ・シルバ)氏が2019年9月にパートナーを組んで始まった会社だ。フレイレ・シルバ氏は、彼の研究を小規模で大量生産可能なMRIシステムへと活用するアイデアを、未来の共同創業者に対してプレゼンした。

「当初から、このアイデアは非常に興味深かったので、その実現可能性の証明作業に飛び込みました」とテペル氏は言う。「4週間以内に私たちはシミュレーションで実現可能性を証明することができ、業界をリードするアドバイザーを迎え、関心を示した臨床医たちから最初のLOI(契約基本合意書)を得ることができました」。

まだリリースされておらず開発段階にあるDeepSpinは、既存システムを「コスト、重量、サイズ」の点ではるかに下げた新しいタイプのMRIシステムを構築することを目指している。これを可能にするためにスタートアップはAI制御と組み合わせた新しいアンテナ技術を開発したが、これは現在特許申請中だ。

「私たちが解決しようとしているのは、最先端の医用画像診断法であるMRIが非常に高価で、専門のオペレーターが必要であり、そして特別にシールドされた部屋が必要であるために、現在は簡単に利用できないという問題です」とテペル氏は説明する。「私達は独自技術に基いて、これらすべての制約を取り除き、MRIを世界中のどこにいてもあらゆる患者が普通に利用できるようにします」。

フレイレ・シルバ氏がこれに付け足す。「従来のMRIスキャナーで行われているように、非常に高価なハードウェアに標準的なソフトウェアと組み合わせる代わりに、単純化されたハードウェアに非常に洗練されたアルゴリズムを適用することによって、同じ臨床情報を得ることができます。このことによって、私たちのシステムのコストを桁違いに削減することができました」。

テペル氏は私に対して、2つの主要な実現技術(高度なAIアルゴリズムと特定のアンテナデザイン)が利用可能になったのはごく最近なので、このアプローチはこれまでとられて来なかったのだと語った。

シミュレーションを使ってDeepSpinのメソッドを証明した後、次のステップとチームの現在の焦点は、完全にAI駆動する最初のプロトタイプを開発することだ。「それに基づいて医療機器認定に進む前に、試験臨床適用を目的とした初期製品バージョンを開発します。これにより幅広い医療分野にわたる臨床用途の製品を販売できるようになり、従来のシステムを購入する余裕のなかった新たな場所を開拓できます」とテペル氏は言う。

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(翻訳:sako)

1訪問30ドルのペット向け遠隔医療プラットフォーム開発のAirvetが15億円調達

このところ、遠隔医療が広く受け入れられるようになってきた。人間だけの話ではない。米国のおよそ65%の世帯がペットを飼っているが、獣医がそのむくむくの患者を遠隔診療できる手段を提供している企業は、いまでは目がくらむほど多く存在する。Petriage(ペティグリー)、Anipanion(アニパニオン)、TeleVet(テレベット)、Linkyvet(リンクベット)、TeleTails(テレテールズ)、VetNOW(ベットナウ)、PawSquad(ポウスクアッド)、Vetoclock(ベトクロック)、Petpro Connect(ペットプロ・コネクト)などなどだ。

その中に、創設2年目で従業員数13人というロサンゼルスのスタートアップであるAirvet(エアーベット)がある。同社が最高とされ、その評判により投資家の期待も同等に得ているのには、相応の理由がある。米国時間6月26日、同社は1400万ドル(約15億円)のシリーズA投資を獲得したと発表した。主導したのはCanvas Venturesで、e.ventures、Burst Capital、Starting Line、TrueSight Ventures、Hawke Ventures、Bracket Capital、および個人投資家たちが参加している。

そのスマートなモデルもさることながら、新型コロナウイルスのパンデミックがCanvas Venturesの決断を後押ししたと、ジェネラル・パートナーのRebecca Lynn(レベッカ・リン)氏は指摘する。彼女は11年間、数多くの遠隔医療スタートアップを見てきたが、自身が所有する小さな農園で暮らす動物たちのためにAirvetのサービスを利用したところ、同社に惚れ込んでしまった。しかも、「新型コロナウイルスが選択の大きな決め手となりました」と彼女は言い足している。

我々はAirvetの創設者でCEOのBrandon Werber(ブランドン・ワーバー)氏に連絡をとり、独自に詳細を聞いた。

TechCrunch:この企業を創設した動機は?

ブランドン・ワーバー氏:私の父は、米国で最もよく知られた獣医の一人、テレビでおなじみのDr. Jeff Werber(ドクター・ジェフ・ワーバー)です。人間の世界で遠隔治療が果たす役割の大きさを目の当たりにして、私たちも、自分で自分のペットの世話をするときのように簡単に、しかも同等レベルのケアを提供したいと考えました。ペットの世界で育った私は、医療の提供がどれほど非効率であるか、そして変化する飼い主の期待に獣医が応えられない状況を、身をもって感じ、認識していました。

TechCrunch:獣医と患者であるペットとを、どのように結び付けるのですか?

ワーバー氏:Airvetには2つのアプリがあります。ひとつはペットの飼い主がダウンロードして獣医と話ができるようにするもの。もうひとつは、獣医がダウンロードして、ワークフローの管理とクライアントとの対話を可能にするためのものです。私たちは、今ある獣医との関係を奪おうとするものではありません。むしろ、私たちは動物病院と契約し、遠隔医療を可能にして、週7日、24時間、動物病院から遠く離れた飼い主でも、必要なとき即座に獣医に相談できる環境を提供します。

米国でペットを飼っている人の大多数は、かかりつけの獣医を決めていません。手術を要するような深刻な健康問題が生じたときは、どうしても直接獣医に診てもらわなければなりませんが、そのときも私たちの獣医のネットワークから病院を紹介します。カーブサイド・チェックイン(ドライブスルー)のような使い方をする事例も見られます。病院の駐車場からビデオチャットで獣医と話し、その場で直接診療の予約を取るといった形です。

TechCrunch:1回の訪問が30ドルと聞いています。このモデルで、どのようにして獣医に経済的な利益が出せるのでしょうか?

ワーバー氏:獣医は、基本収入の上に載っかった付加的な収入源として私たちを見ています。私たちが獣医を雇うのではありません。2600件を越す私たちの獣医ネットワークでは、大半の獣医が自身の動物病院でAirvetを利用しています。彼らは、Uber(ウーバー)のドライバーと同じように、自分の意志でオンデマンド・ネットワークに接続して全国の飼い主からの相談を受けるかどうかを判断し、副収入を得ることができます。

TechCrunch:以前にこのモデルを試したスタートアップから、学ぶことはありましたか?

ワーバー氏:私たち以前のスタートアップは、すべてが消費者第一ではなく、獣医のためのツールの構築に重点を置いていました。そのため彼らのプラットフォームは、あらゆる飼い主が利用できるというものではありませんでした。かかりつけ医がその特定のプラットフォームに対応している場合にのみ、飼い主が使えるというものです。そうした獣医は非常に少なく、利用できる飼い主もごく限られます。

TechCrunch:別の事業は行っていますか?獣医の遠隔診療以外に、何かを販売するとか。

ワーバー氏:今は遠隔診療だけです。獣医とその専門性に応じて、最低料金30ドルから利用できます。ゆくゆくは、ペットの健康に関連するバーティカルな事業へと拡大し、それに見合った提携なども進めてゆく計画です。2020年は、米国だけで990億ドル(約10兆6000万円)がペットに消費されると予測されています。私たちにとって、遠隔医療は始まりに過ぎません。

TechCrunch:Airvetは特定の実務管理ソフトウェアを使っていますか?

ワーバー氏:いいえ。私たちは、獣医にバーチャル予約のスケジュールが行えるワークフロー・レイヤーを提供していますが、間もなく、各獣医が使っている既存システムやワークフローに完全に統合できるようになる予定です。

TechCrunch:30ドルのプランで獣医に相談する場合、時間制限はありますか?

ワーバー氏:時間制限はありません。通常、相談枠の期間は丸々3日間とられているため、飼い主はその後もチャットで追加質問をしたり不安なことを相談したりできます。

TechCrunch:価格で競争するのですか?

ワーバー氏:私たちの目標は、病院とともに事業を進めることであって、病院と張り合ったり、仕事を奪ったりすることではありません。バーチャルでは採血も、腫瘍の触診も、歯の検診もできません。どうしても、動物病院に行く必要性は消えないのです。

私たちは、(飼い主がいつ病院に行くかの)判断を助けたいと考えています。平均的な飼い主は、1年に1.5回しか獣医にかかっていません。Airvet利用者のセグメントの大部分は、その6倍、獣医と関わっていますが、それが時間の削減とストレスの低減に役立っています。

これは競争ではありません。私たちは、次に動物病院に行くまでの間のケアを提供する企業です。また、私たちのサービスを利用することで、結果的に、不必要な救急外来受診をなくすことができればとも考えています。

画像クレジット:Michael Seeley Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:金井哲夫)

医師が睡眠障害を診断するためのデータを自宅で収集するパッチ開発のTatchが約4.5億円を調達

睡眠時の無呼吸は大きな問題だが、きちんと診断されていないことが多い。たくさんの機械につながれ、医師の監督の下で眠った状態で診断されるからだ。自宅で行う方法はあるが、そのほとんどは重要な数値を集めるために多数のケーブルやストラップ、チューブを使うやっかいなものだ。

Tatchは、無呼吸などの睡眠障害を診断するために必要なデータの収集に役立つ柔らかくて軽いパッチを開発するニューヨークのスタートアップだ。

TatchはTechCrunchに対して、Spark Capitalが主導するシードラウンドで425万ドル(約4億5600万円)を調達したと伝えた。この資金調達にはAbstract VenturesとCorrelation Venturesも参加した。これまでの調達金額の合計は560万ドル(約6億円)となった。同社は新たに得た資金でエンジニアリングとビジネスのチームを拡張し、2020年末までに全体の人数を2倍にしたい考えだ。

米国時間6月22日に、Apple(アップル)はApple Watch用の睡眠トラッカーを発表した。またFitbitsやOura Ringなどの家電製品は、以前から睡眠分析機能を提供している。Tatchが開発しているのは毎晩の睡眠を追跡するためのものではなく、睡眠の問題をいち早く診断し、データを理解できる専門家に相談するためのデバイスだ。

同社CEOのAmir Reuveny(アミール・ルーベニー)氏はTechCrunchに対して、「これは自分で解読する必要のある睡眠トラッカーではない。我々は次のステップにいるユーザーをターゲットにしている。次のステップとは、何かがおかしいとわかっていて、どうなっているかを理解したいと本気で思っている段階ということだ」と述べた。

ユーザーは柔らかいパッチをひと晩中、体につけておく。自発呼吸、呼吸量、酸素レベル、姿勢などのさまざまな信号をセンサーが測定し、睡眠の状態が良くない夜間に身体がどう機能しているかを明確に把握することを目指す。何日かデータを収集したら、データを解釈して問題を診断し今後どうするかを提示できる専門家に相談する。

Tatchによれば、同社のセンサーで睡眠時無呼吸のほか、むずむず脚症候群、不眠、一部の呼吸器疾患などの問題も診断できるようになる予定だという。Tatchは睡眠の健康に関わる企業として、診断を受けるユーザーが自分の症状を改善する方法を延々探し続けることをなくしたいと考えている。ルーベニー氏は、ユーザーを治療に結びつけたり、睡眠の改善を相談できる専門家とのつながりを促進したりする企業にしたいという。

Tatchは2021年前半の販売開始を目指しているため、まだ購入することはできない。同社によれば、デバイスの認可を受けるためにFDA(アメリカ食品医薬品局)との協議を始めたところだという。現在は、数カ月後に開始するパイロットプログラムを準備中だ。

画像クレジット:Tatch

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(翻訳:Kaori Koyama)

レシカがブロックチェーン活用の医療データ共有サービス開発、千葉大医学部附属病院と共同研究

レシカ ブロックチェーン 分散型医療データ共有サービス

ブロックチェーン(分散型台帳技術)基盤のソリューションを提供するレシカは6月26日、千葉大学医学部附属病院検査部遺伝子診療部研究チームとの共同研究により、医療従事者間または医療従事者と患者間において、患者の診療データを所有・共有する仕組みを開発した。研究内容は、文部科学省基盤研究事業・研究課題の「中央集約型と分散型の併用による医療情報共有のためのトラスト(信頼関係)の評価法」(研究代表者:松下一之)。また今回の検証では、千葉大学医学部発のゲノム・DNA解析ベンチャーのゲノムクリニックが遺伝子データを提供した。

同研究では、将来的に医療業界において医療従事者同士や医療従事者と患者間での医療データの情報共有が進んでいくこと、さらに診療情報のデータ化に伴う患者自身による診療データの保持が進められていくとしている。今回の取り組みの初期段階において、レシカは、秘匿性の高い診療情報が改ざんされることなく、限定された者のみが情報にアクセスできること、また誰がアクセスしたかという履歴について透明性を持って検証できる仕組みとして、ブロックチェーン技術を活用したPoC(概念実証)アプリケーションラットフォームを開発した。

ブロックチェーン技術について、患者自身による医療データの安全な管理、かつ第三者との共有を両立可能にするインフラと位置付けており、医療情報へのアクセス権限に関して、医療従事者などへの信頼度(トラスト)を患者本人が設定することを特徴として挙げている。

今後レシカは、同プラットフォームをベースとした医療現場への実サービス活用、医療に限らず患者のクオリティオブライフ(QOL)を高めるユースケースを検討していく。外部の医療機関および企業の関係者と新たなアプリケーションを開発し、患者の幅広い診療データの有効活用と安全な共有を目指していく。

手が顔に触れないようにする新型コロナ警告ペンダントがオープンソースに

いまや世界中でいろんなウェアラブルが、新型コロナウイルスを検出できる、予防できる、感染していないことを証明できるなどと主張している。しかし、NASAのJet Propulsion Laboratory(ジェット推進研究所、JPL)のウェアラブルデバイスは、新型コロナウイルスの拡散を本当に防げるかもしれないが、複雑で高度な技術とは無縁の製品だ。

JPLのウェアラブルデバイスであるPULSEは、3Dプリントで作った部品と安価で入手しやすい部品を使って作られており、あるたった1つのことだけをする。それは、自分の顔を手で触らないように警告することだ。JPLの設計者は「簡単だから技術のない人でも作れる」と主張し、実際に多くの人々や企業が作れるように、すべての部品のリストと3Dモデルのファイル、そして組み立て方の詳しいインストラクションをオープンソースのライセンスで提供している。

PULSEは一種のペンダントで、首にかけて顔から15〜30cmの位置に長さを調節する。人の手が着用者の顔に近づくと、赤外線を使った近接センサーが感知する。すると振動モーターが震えて警告を発する。手がさらに顔に近くなると、振動はもっと強くなるという仕組みだ。

ハードウェアそのものはシンプルだが、狙いはそこにある。どこにでも売ってる3V(ボルト)のコイン形電池で動き、ケースを作るための3DプリンターがあってGitHubにアクセスできる人なら、自宅で短時間で組み立てられるだろう。

もちろんPULSEは、単独で新型コロナウイルスを排除できるとは考えていない。汚染されている手が人の口や鼻や目に触れることは伝染の1つの経路にすぎないからだ。例えば、呼吸飛沫がウイルスの空気伝染を起こすこともあるだろう。しかし、通常のマスクを着けるだけでも感染のリスクは相当減るのだから、手が顔に触れる機会を減らすことも、ほかの方法と組み合わさって拡散の防止に役立つだろう。

ウェアラブルの中には、症状が出たり検査で陽性になる前にウイルス保有の有無を教えてくれるものもある。でもそれらは未実証の製品が多く、また人体のウイルスへの露出を制限することはできない。JPLのPULSEには、日常生活の中で新型コロナウイルスなどの感染症の拡散を抑えるポジティブな習慣を身につけるというメリットがある。

画像クレジット: NASA JPL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

筑波大学発のAI運動解析スタートアップSportipがオンラインフィットネスサービス「Sportip Meet」の事前登録を開始

整体師やトレーナー向けのAI解析アプリ「Sportip Pro」(スポーティッププロ)を開発・提供しているSportipは6月25日、同年5月にマネックスベンチャーズ(MV1号投資事業有限責任組合)、DEEPCORE、Deportare Partnersを引受先とする第三者割当増資により、数千万の資金調達を実施していたことを明らかにした。

写真に向かって左から、Sportip高久侑也氏、Deportare Partners為末 大氏、マネックスベンチャーズ和田誠一郎氏、DEEPCORE渡邊 拓氏

マネックスベンチャーズは、証券会社などを傘下にもつ金融持株会社であるマネックスグループのCVC(コーポーレート・ベンチャー・キャピタル)。DEEPCOREは、ソフトバンクグループ傘下でAI関連のベンチャー、スタートアップへの投資を進めているVC。Deportare Partnersは、アスリートである為末大氏が代表を務めるVCで、同VCとしてはSportipが投資第1号案件となる。資金調達に併せて同社は、オンライン上の総合型フィットネスジムサービス「Sportip Meet」をリリースし、利用者先行登録(LINEアカウントが必要)とトレーナー・フィットネスジムの先行登録を開始した。Sportip Meetは、Sportip Proで培った解析技術を応用して、個人の身体や姿勢の状態をチェックし、AIが最適なトレーニングメニューを提案してくれるサービス。フォームを点数化して友人などとの競争を可能にする機能もある。

トレーニングの内容は、トレーニング、ストレッチ。ヨガなどを予定しており、大手フィットネスジム、個人のパーソナルトレーナー、整体師、理学療法士、健康経営に関心のある企業などへの提供を計画している。Sportip Proと併用することで、オンラインとオフラインの指導をより効率的に実施可能になるとのこと。

同社の既存サービスであるSportip Proは、セラピストやトレーナー、コーチなどの指導者をコーチングするアシスタントAI。具体的には、受講者それぞれの筋力トレーニング、立位やトレーニング時の姿勢の解析、可動域の測定などが可能で、受講者各自に最適なトレーニングメニューを自動生成してくれる。なおSportip Proについては、以前から実施していた期間限定の無償利用を継続。利用登録から2週間は無償で利用できる。

同社は今回調達した資金を、Sportip Meetの開発強化と人材採用に投下するほか、サービスのUI/UX、サービスオペレーションの改善を進めていくという。

 

台湾のスタートアップDeep 01がAI医療画像診断ソフトウェアで約3億円を調達

医師が脳のCTスキャンをより迅速に解釈するためのソフトウェアを開発する台湾のスタートアップであるDeep01は、米国時間6月22日に270万ドル(約2億9000万円)の資金調達を行ったと発表した。資金調達を主導したのはPCメーカーのASUSTek(エイスーステック)だ。

Deep01の製品は台湾と米国食品医薬品局(FDA)の両方から認可を得ており、同社は2月に約70万ドル(約7500万円)相当の最初の注文を受けていた。

他の投資家には、台湾の研究機関である工業技術研究院(ITRI)と情報産業研究所(III)が共同出資するデジタル・エコノミー・ファンドと、BEキャピタルが含まれる。

Deep01のソフトウェアは現在、台湾の2つの医療センターと4つの病院で使用されており、すでに2000件以上の脳スキャンに役立っている。

Deep01は救急科向けに開発されたソフトウェアで、急性脳内出血を93%〜95%の精度で30秒以内に検出できるという。

Deep01は創業者かつCEOのDavid Chou(ダビッド・チョウ)氏によって、2016年に設立された。チョウ氏はカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得し、2018年から2019年の間にハーバード大学のマサチューセッツ総合病院の研究員として勤務していた。

ASUSのコーポレートバイスプレジデントかつAIoTビジネスグループの共同責任者を務めるAlbert Chang(アルバート・チャン)氏は声明にて「Deep 01はAI医療分野のリーディングスタートアップだ。今回のコラボレーションはヘルステック分野において有望である」と述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Apple Watchに睡眠トラッカー機能が近日追加、WWDC20で発表

Apple(アップル)は長らく要望の多かった睡眠トラッキング機能を、Apple Watchに搭載すると発表した。これにより、ユーザーは睡眠状態を追跡できるだけでなく、アップルによると睡眠を改善するための総合的なアプローチを作成することもできる。

睡眠トラッキング機能はiPhoneと連動して、より良い睡眠習慣を習得するのに役立つ。この機能は「Wind Down」と呼ばれ、iPhoneやApple Watchによる邪魔を減らすためのものだ。機能を有効にすると、電話はロック画面に就寝までの残り時間(ユーザーがあらかじめ設定した時間)などの追加情報を表示し、おやすみモードがオンになる。そして画面では、ユーザーにウェブブラウジングではなくリラックスして瞑想するように促す。 そして目覚める時間になるとアラーム画面が復帰し、Shortcutsへのリンクが表示され、日常的なアプリの起動が簡単になった。

Apple WatchでWind Downを有効にすると、ユーザーのデフォルトのコンプリケーションがシンプルな文字盤に置き換えられる。

睡眠を追跡するために、Apple Watchはユーザーの細かな動きや呼吸を追跡する。この情報は、Apple WatchまたはiPhoneで表示できる。

アップルが睡眠トラッキング機能に参入するのは、これが初めてではない。2017年に同社は、マットレスで寝起きを記録するデバイスを開発していたBedditを買収した。会社はまだ営業しており、購入も可能だ。現時点では、アップルの内部でなんらかの技術や戦略が共有されているかどうかは不明だ。

睡眠トラッキング機能は今年後半にiOS 14とwatchOS 7でリリースされる。iPhoneとはApple Watchは独立して動作し、Apple Watchを持っていないユーザーでもベッドタイム・起床機能を利用できるようになる。

関連記事:WWDC20関連記事まとめ

カテゴリー:ヘルステック

タグ:Apple WWDC Apple Watch

蚊が媒介するマラリアなどの伝染病を不妊化したオス蚊をドローンで撒いて予防

繁殖力をなくしたオスの蚊をドローンで散布し、蚊の個体数の削減や蚊が媒介する伝染病の蔓延を抑える取り組みを大きく前進させられることが、複数の研究機関からなる研究者チームの実証実験で明らかになった。改善されたこの手法を使えば、多くの命を救うことができる。

蚊は世界中の人たちにマラリアの感染を広げ、数え切れないほどの死者や健康被害をもたらす公衆衛生上の敵だ。蚊を罠で捕獲するのも予防の一助になるが、積極的に虫の数を減らすアプローチも有効であることが証明されている。それは、オスの蚊を不妊化して自然に放つという方法だ。放たれた蚊は、他のオスの蚊と餌や交配相手を求めて競うことになるが、子孫は残さない。

問題は現場での作業が多いことだ。蚊による被害が多い地域に人が足を運び、不妊化した蚊を定期的に放たなければならない。空中散布やその他の散布方法も試されているがフランス、スイス、英国、ブラジル、セネガル、その他の国々の研究者からなるこのプロジェクトの方法が、今のところもっとも効果的で実用的なようだ。

大量に飼育され、放射線で不妊化したオスの蚊は、低温でカートリッジに詰められる(「チルド」蚊は飛んだり刺したりしない)。このカートリッジは、目標地域に運ばれるまで冷蔵保存される。その輸送はドローンが行う。

マーカーを付けてチルド保存され、散布準備が整った数千匹の蚊。画像クレジット:Bouyer et al

ドローンは規定の高度に上昇し、目標地点まで移動して、飛行しながら数千匹の不妊化したオスの蚊を満遍なく散布する。街の中心地に拠点を置けば、ドローンのオペレーターは、ドローンのカートリッジを新しいものに交換して、さらに別の場所に飛ばすことができるため広い地域をカバーでき、人が直接行う方法と比べて行きにくい場所へも即座かつ簡単に散布できる。

実験では、マーカーとして蛍光色に染められた蚊を使い、空から撒いたときの効果を追跡したところ、人の手で散布する場合と比較して、時間と労力が削減できたにも関わらず、大幅な効果の改善が見られた(改善率は50パーセント以上)。不妊化、パッキング、蚊の駆除における新方式が、この結果にさらなる上げている。

もちろん、この手法には平常時においても様々な応用が考えられるが、現在のパンデミックのような特別な状況では新たな危険をもたらす恐れがあると、研究者たちは指摘している。新型コロナウイルス(COVID-19)と蚊がもたらす疾患との併存疾患に関しては、特に研究がされておらず、サプライチェーンと普段の害虫駆除の取り組みが停滞している間は、マラリアやデング熱といった伝染病の激増を招きかねない。

こうした研究は、数十億人の健康に改善をもたらす可能性がある。研究チームの研究結果は、Science Roboticsで詳しく解説されている(Science Robotics記事)。

画像クレジット:Bouyer et al
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(翻訳:金井哲夫)

MITがカメラを使わずに個人のバイタルサインを遠隔監視する技術を開発、介護施設での活用に期待

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームは、対象者のバイタルサイン(生命兆候)を、接触型センサーやウェアラブル機器を使うことなく、周囲にすでに存在する無線信号を使用して観察するシステムを開発している。MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)を拠点とするそのチームは、システムをさらに改善し以前観察した個人を特定し、時間の経過とともに記録するしくみを開発した(CSAILリリース)。個人情報とは一切関連付けないためプライバシーは守られている。

「RF-ReID」と呼ばれる新技術の特徴は、老人ホームや長期介護施設などで共同生活している高齢者を、個人単位で経時観察できる点だ。個人の状態を経時的に観察できることは、基準となる健康状態からの変化を観察、検知する上で極めて重要だ。

医療施設では患者の生命兆候を経時的に観察するためにさまざまな方法を用いているが、深刻な限界に遭遇することがある。カメラはプライバシーへの配慮が十分とはいえず、個人を時間とともに識別する上でも、衣服の違いといった外見のわずかな変化に依存するため限界がある。従来の遠隔監視装置が利用する個人の記憶と一貫性に頼っているのに対して、MIT CSAILのシステムは使用する個人によらず動作する。

開発者によると、RF-ReIDシステムは新た加わった個人の身体的動作を10秒弱見るだけで識別する。体の大きさ、歩く速さと足取りなどを、周囲に存在する無線信号を使って推測する。

システムは個人を特定する情報や履歴を必要としないため、プライバシーが保護された監視システムの基礎となりうるものであり、介護施設で新型コロナウイルス(COVID-19)感染者が出た場合に、介護福祉士が隔離や検査を行うのにも役立つことが期待できると研究チームは言っている。

画像クレジット:MIT CSAIL

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

25分で結果が出るCue Healthの新型コロナ検査技術に緊急時使用認可が下りる

シリーズCで1億ドル(約107億円)を調達したばかり(未訳記事)の、分子診断のスタートアップであるCue Healthに、さらに良いニュースが届いた。同社の迅速なポイントオブケア用の新型コロナウイルス(COVID-19)検査に、FDAの緊急時使用認可(EUA)が下りた。Cue Healthは2020年3月にBARDAから、迅速診断の開発と展開を拡大するための補助金1300万ドル(約14億円)を受けており、現状のパンデミック下において同社の新型コロナ検査は重要な案件になっている。

Cueの検査は持ち運ぶことが可能であり、RNA検出法を使って、患者の鼻から綿棒で得た検体からウイルスの実際の存在を確認する。同社によると、結果はわずか25分間で得ることができ、管理も比較的容易だ。現在のパンデミックと今後の世界的な健康危機が続く中で、新型コロナ検査の規模を容易に拡大していく上で非常に有用な可能性を秘めているという。

Cue Healthの検査キットには、検体収集ワンドや検査カートリッジが含まれる。カートリッジをスマートフォンのアプリに接続して、検査結果をデバイスに送信する。FDAのEUAの認可条件としては、検査がプロフェッショナルのヘルスケア有資格者の監督の下で行われる限り、その検査はどこでもできるものでなければならない。Cueによると現在同社は、使用認可拡張の申請を検討している。すなわちその検査を、職場や学校、家庭などでもできるようにしたいと考えている。

同社によると、Cue Healthの新型コロナ検査は当初、大手医療機関とのパートナーシップにより展開され、そこからさらにさまざまな医療機関に拡大していく計画だという。同社の最終的な目標は、必要とされるあらゆる環境で柔軟に展開、実施できる分子診断による検査をインフルエンザといった新型コロナ以外のウイルスにも広げることだ。

画像クレジット:Cue Health

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

透明な外科手術用マスクに投資家が殺到、スイス拠点のHMCAREが約1.1億円を調達

スイスのÉcole polytechnique fédérale de Lausanne(スイス連邦工科大学ローザンヌ校、EPFL)から生まれたHMCAREが、透明で環境にも優しい透明な外科手術用マスク(EPFLリリース)を開発し、100万スイスフラン(約1億1300万円)の資金を調達した。

創業者は、2015年のエボラ出血熱のアウトブレーク時における医療関係者たちの仕事ぶりや、患者と緊密に働きながらも顔を見せることができない世界中の小児病院の職員に触発された。また、免疫が弱い患者の親や家族たちも、顔の2/3を隠して彼らと人としてのつながり作らなければならないことにも触発されている。

これまでにも透明なマスクは存在していたが、それらは一般的なマスクに透明な窓を付けたもので、その窓はすぐに曇り、通気性がなかった。同社のCEOであるThierry Pelet(ティエリー・ペレ)氏は、医療現場の厳しい要求を満たす透明マスク素材のプロトタイプをEPFLの同僚たちに提案した。それらは空気は通すものの、ウイルスや細菌は通さないというものだった。

チームは、スイスの素材センターであるEmpaと協力して、新しいタイプの繊維を開発した。バイオマス由来の透明繊維を100nm(ナノメートル)間隔でシート状に配置し、それを3層にすることで、柔軟性と通気性がある素材を作った。ほぼ透明に近い、すりガラスのような素材だ。それはHelloMaskと呼ばれている。

この素材は大量生産が可能で、通常の布のようにマスクを作ることができる。コストは高いが、世界は現在マスクを求めており、透明なマスクというアイデアは投資家の目にも止まる。HMCAREはあっさりと100万フラン(約1億1300万円)のシードラウンドを完了し、それまでの研究開発は寄付や補助金でまかなうことができた。

マスクの発売は2021年初頭を予定している。一般消費者向けに販売される可能性もあるが、当初は医療コミュニティ向けとなるだろう。

画像クレジット:EPFL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Fitbit開発の低コスト人工呼吸器に米食品医薬品局が緊急使用認可

Fitbit(フィットビット)は、米食品医薬品局(FDA)からFitbit Flow緊急人工呼吸器の緊急使用認可を取得した。この人工呼吸器は低コストで、使用にはトレーニングや専門的な技術をさほど必要としない。そのため、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでヘルスケアシステムがリソース不足で圧迫された場合のソリューションとなる。

Fitbit人工呼吸器はMITのE-Ventシステムと、英国政府が新型コロナ感染拡大中に同国の病院で使用される人工呼吸器のために提供したスペックをベースとしている。自動蘇生器スタイルの人工呼吸器で、救急隊員や救急救命士が使う手動の蘇生バッグ機能を真似ている。

緊急人工呼吸器はパンデミックで脚光を浴びることになった。というのも、医療機関が通常使用するスタンダードの人工呼吸器よりも比較的安価で実際に入手可能な部品で作られているからだ。Fitbitは同社の人工呼吸器のデザインがかなり効果的だと確信している、と話す。センサーの正しい組み合わせ、自動アラーム、蘇生バッグポンプのオートメーションを補助する患者モニター機能などだ。

緊急使用のための人工呼吸器の需要に向けられていたかなりの注意はここ数週間落ち着いてきているが、需要はまだある。そして数カ月内にやってくる新たな新型コロナ感染の波に伴って需要が再度高まることが予想される。Fitbit Flowのようなプロジェクトは、必要となった場合に選択肢として提供できることを目的としている。そしてFDAの緊急使用許可は、企業がその需要に応えるべく大量生産するために既存の製造パートナーと協業できることを意味する。

Flowのような人工呼吸器は従来使用されてきたものの代替ではない。あくまでも間に合わせであり、患者の処置に必要な呼吸器が入手できなくなった時にのみ使用される。

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(翻訳:Mizoguchi

Androidに睡眠の質を上げる「ベッドタイム」機能が登場、最新アップデートで

Google(グーグル)は、開発者向け会議Google I/O 2018で、新しいスイート「デジタルウェルビーイング」を発表した。これによりAndroidユーザーはスクリーンタイムが管理しやすくなった。2019年度のイベントでは、機能の向上と関連するペアレンタル・コントロールの改善が発表された。今年は新型コロナの世界的流行のためGoogle I/Oは開催されないが、同社はウェルビーイングツールセットを今一度刷新する。ユーザーの睡眠を促す新しい就寝ツールを導入するというグーグルの今年の焦点は、まさに時機を得ていると言える。

同社は、4月と5月に「不眠」や「眠れない」など睡眠に関する検索が急増したと報告している。コロナ禍でストレスや不安が増し、睡眠に支障が出ているためだ。

かつては「ワインドダウン」と呼ばれていたAndroidの「ベッドタイム」モードは「Do Not Disturb(おやすみ)」機能で電話やメール、通知の着信音を鳴らないようにし、画面の色もグレースケールで白黒表示になる。この機能の最新アップデートでは、ベッドタイムモードをいつどのように使うかといったカスタマイズが簡単にできるようになったのだ。

ユーザーの睡眠スケジュールに合わせて、スマホを充電するときにベッドタイムモードを自動的にオンにできるようになった。またAndroidのクイック設定にベッドタイムモードを追加して、1回のタップ操作で簡単に切り替えることができるようになった。さらに、もう少しだけ時間が必要なときは、スケジュールを調整することなくベッドタイムモードを一時停止できる。

スマホ充電時にベッドタイムモードが自動的にオンになる機能、クイック設定への追加などが含まれるデジタルウェルビーイングのアップデートは5月初旬にすでに発表されているのだが、グーグルはこの機能をベッドタイムモードの他の変更の一環として今日発表した。

Androidの時計アプリも、新しいベッドタイムタブのアップデートがあった。

このタブで毎日の就寝時間と起床時間が設定できる。またアプリでは、翌日のカレンダーをプレビューし、睡眠時間の合計が計算できるようになっている。こうすることで、通常の睡眠スケジュールを変えることになっても、必要に応じて翌日のスケジュールに合わせて就寝時間を調整できるのだ。

また就寝前のリマインダーや、Calm(カーム)、Spotify(スポティファイ)、YouTube Music(ユーチューブミュージック)などから癒しのサウンドを再生できるオプションが利用できるようになった。デジタルウェルビーイングがインストールされている場合は、ベッドタイムモードとペアリングして、就寝中の障害を制限できる。

またアプリには、設定した就寝時間後に使用したアプリと費やした時間が表示される。

グーグルでは、より良い睡眠を求めるユーザーに「サンライズアラーム」オプションを試すことを勧めている。画面が徐々に明るくなるこのオプションは、目覚めを優しく助けてくれる。この視覚的なアラームはオーディオアラームが鳴る15分前に始まる。またユーザーは、耳障りなアラーム音の代わりに、お気に入りの曲をアラームに設定できる。

サンライズアラームは2018年にPixel 3とPixel Standで最初に導入された。だが今回のアップデートではスタンドが不要になり、時計アプリの新しいベッドタイムタブの一部として機能が使用できるようになった。

また本日発表の新しいベッドタイム機能に関連して、YouTubeに最近追加されたお休み時間の通知機能も紹介された。この機能は、Androidのペアレンタル・コントロール機能ファミリーリンクの毎日の就寝時間スケジュールもサポートする。

アップデートされたベッドタイムモードは、今日からPixel機種に導入され、夏の終わりには時計アプリや別のAndroid機種に導入される予定だ。Pixel機種には他にも、自動調整バッテリーなどを含むアップデートが含まれる。

Pixel 2以降の機種では、バッテリーが切れる時期を知らせてくれ、バックグラウンドでの使用を抑制してバッテリー持続時間を延ばせるようになる。また優秀なレコーダーアプリは、「Hey Google(ヘイグーグル)」と呼びかけるとトリガーされるようになり、書き起こしたものは Googleドキュメントに直接保存できる。

Pixel 4で導入されたパーソナルセーフティアプリがすべての機種で利用可能になり、Pixel 3には自動車衝突検知機能が搭載される。さらに、危険な状況にある場合にアラートを送信する、セーフティチェック機能も新しく搭載される。グーグルは次のように説明している:

たとえば、一人でジョギングやハイキングをする場合、セーフティチェック機能では家に安全に戻ってきたことを確認します。予定されたチェックインに応答しない場合は、緊急時連絡先にアラートが送られます。すぐに助けが必要な場合や、危険な状況にある場合は、緊急時の情報共有機能により、すべての緊急時連絡先に通知され、グーグルマップを通じて現在の位置がリアルタイムで共有されるので、助けを呼んだり、救出に向かったりできます。

パーソナルセーフティアプリでは、自然災害や他の治安問題などの危険についての通知も設定できる。

関連記事:子供向け睡眠・マインドフルネスアプリのMoshiが約13億円を調達

Category:ソフトウェア ヘルステック

Tag:Android 睡眠 スマートフォン

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(翻訳:Dragonfly)

レントゲンに代わる低コストのスキャン装置を開発、富士フイルムなどが出資するイスラエル拠点のNanox

医療テクノロジー分野においてはいま、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックとの戦いに役立つツールやイノベーションに多くの注意が注がれている。そして米国6月4日、とあるスタートアップが新型コロナウイルスとその他の病気の臨床評価をよりアクセスしやすいものにする革新的イノベーションのために資金調達したというニュースが入ってきた。

イスラエルのスタートアップNanox(ナノックス)は小型で低コストのスキャンシステムと「サービスとしての医療スクリーニング」を開発した。これは、高価で大型の装置、それらに対応するレントゲンやCAT、PETなど身体画像サービスに使われるソフトウェアに置き換わるものだ。同社は戦略的投資家の韓国通信会社SK Telecomから2000万ドル(約22億円)を調達したと発表した。

出資に伴いSK TelecomはNanoxの技術を搭載したスキャナーと、スキャンした分だけ課金される画像サービスNanox.Cloudの展開、それらを運用するための5Gワイヤレスネットワーク容量をサポートする。Nanoxは現在、自社技術のライセンスを富士フィルムのような画像業界のビッグネームに許可している。Foxconnはまた、ドーナッツ型のNanox.Arcスキャナーを製造している。

今回の資金調達は厳密には、前回シリーズBラウンドの延長だ。2600万ドル(約28億円)をFoxconn(フォックスコン)や富士フイルムなどから調達すると今年初めに発表した。そしていま同ラウンドは5100万ドル(約55億円)でクローズされ、Nanoxによると約10年前の2011年の創業以来の累計調達額は8000万ドル(約87億円)だ。

Nanoxのバリュエーションは公開されていないが、イスラエルのメディアは12月に、Nanoxが考えているオプションの1つがバリュエーション5億ドル(約545億円)でのIPO(GLOBES記事)だと報じた。我々の情報筋によると、バリュエーションはいま1億ドル(約109億円)超だ。

Nanoxのシステムはデジタルレントゲン検査に関連する専用テクノロジーに基づいている。デジタル放射線撮影法は画像の世界では比較的まだ新しいエリアで、画像をとらえて処理するのにX線プレートではなくデジタルスキャンに頼っている。

Nanoxによると、放射線量は70Bq/kgで、これに対し平均的なCTスキャナーの放射線量は2000Bq/kgだ。製作コストはCTスキャナーが100〜300万ドル(約1〜3億円)するのに対し、Nanoxのものは1万ドル(約100万円)ほどだ。

CEOで創業者のRan Poliakine(ラン・ポリアキン)氏によると、小型の装置で安く、画像の処理のほとんどをクラウドで行えるのに加え、Nanoxシステムは1秒の何分の1かのうちに画像を作ることができ、これにより放射線被曝という点において従来の手法よりかなり安全だ。

画像はこのところかなりニュースで取り上げられている。というのも、新型コロナウイルス患者の症状の進行状態や、新型コロナウイルスに罹っているかもしれない人の肺やその他の器官にCOVID-19がどのくらい影響を及ぼしているのかを確認するために画像が今のところ最も正確な手段の1つだからだ。Nanoxの装置の普及はそうしたケースの対応で役割を果たすが、その一方でNanoxの最終目標はそれよりも大きなものだ。

究極的には、同社はかなり多くの人に病気の早期発見や予防のスキャンを行えるよう、装置とクラウドベースのスキャンサービスをユビキタスのものにしたいと考えている。

「現在、癌と闘うベストな方法は何だろうか。早期発見だ。しかし世界の3分の2が画像へのアクセスがなく、スキャンを受けるために数週間、あるいは数カ月も待たなくてはならない」とポリアキン氏は話した。

Nanoxのミッションはこのギャップを埋めるべく、今後数年間で同社の装置1万5000台を届けることだが、パートナーシップを通じてこのミッション達成に近づいている。SK Telecomとの提携に加え、Nanoxは3月にGateway Groupという企業とのパートナーシップでオーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーに装置1000台を配置するための1億7400万ドル(約190億円)の契約書にサイン(Radiology Business記事)したことも明らかにした。

SK Telecomの投資は、通信企業が企業や個人にどのような種類のサービスを再び販売し、提供するかに立ち戻る機会として5Gをいかにとらえているかを強調する興味深いものだ。そしてSK Telecomは中でもヘルスケアを重要な機会として選んだ。

「通信会社は5Gの販売方法をめぐり、機会を模索している」とSK Telecomの会長Ilung Kim(イルウン・キム)氏はインタビューで述べた。「そしていま、5Gデータを使いながら救急車の中で使用されるほどのサイズのスキャナーを思い描くことができる。業界にとってゲームチェンジャーだ」

今後の展望として、Nanoxは同社のハードウェアの納入と、スキャン処理用のクラウドベースのサービスを販売するために提携パートナーを引き続き増やす。しかし、生データから洞察を得るためのテクノロジーの開発は予定していない、とポリアキン氏は述べた。そのため、同社はサードパーティ、現在はAI企業3社と協業していて、今後はこのエコシステムをさらに増やす予定だ。

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(翻訳:Mizoguchi

歯のレントゲン分析にAIを活用するOverjetが8.5億円調達

歯科医や保険会社が歯のレントゲン写真を理解するのをAIを使ってサポートするOverjetは米国時間6月2日、シードラウンドで785万ドル(約8億5000万円)を調達したと発表した。

MITで電気工学とコンピューターサイエンスの博士号を取得した同社CEOのWardah Inam(ワルダー・イナム)氏によると、本ラウンドをリードしたCrosslink Capital(クロスリンク・キャピタル)と、MIT発のスタートアップのみに投資するE14 Fundから資金を調達した。

Overjetが2つの異なるMITグループの支援を受けてきたことを考えると、E14とのつながりは驚くことではない。ボストンエリアの教育機関とのつながりを維持しながら、OverjetはHarvard Innovation Lab(ハーバード・イノベーション・ラボ)によって育てられた。活動場所に関しては、Overjetは同ラボを「卒業」するとイナム氏はTechCrunchに語った。

リード投資家としてCrosslinkを選んだのは偶然ではない。「デンタル業界でよく使用されているソフトウェアを手掛けるスタートアップのWeaveにCrosslinkが出資していたことから、OverjetはCrosslinkに関心を持った」とイナム氏は述べた。なお、Weaveは2019年にユニコーンに近いバリュエーションで7000万ドル(約76億円)のシリーズDを完了した。

お金の話しはこれくらいにして、Overjetが何をしているのかに移ろう。

AIを活用

歯科医の診察を受ける時、往々にして歯のレントゲン写真を撮る。そして歯科医が写真を見てアドバイスをする。「いい状態を保っている。数カ月以内にクリーニングに来て」と言うかもしれないし、「治療が必要だ」と言うかもしれない。後者の場合、Overjetの出番だ。

イナム氏は「Overjetのメーンとなるテクノロジーはどんな治療が必要かを決めるのをサポートする」と語る。同氏はTechCrunchとのインタビューの中で、腫瘍検知の例を筆者に示しながら「ほとんどの医療画像AIサービスは何か良くないものを発見するのにフォーカスしている」と述べ、「Overjetは例えば虫歯があるという問題を指摘するだけでなく、虫歯の広がりをも示すことで『1歩先』を行くことができる」と語った。「臨床データを広範に分析」して「どんな治療が必要かを決める」ことができ、「歯科医と保険会社を引きつけるだろう」とイナム氏は電話ごしに説明した。

歯科医にとっては、診断を確認するのに、あるいは検知が難しい問題を見逃さないようにするのにAIテクノロジーに頼ることができる。また、保険会社が大量のデンタル画像を迅速に処理するのにOverjetが役立つかもしれない。現在、主要保険会社に送られるすべてのクラウンが人の手によってレビューされていて「それはなかなりコストがかかる」とイナム氏は指摘した。

もし保険請求が正当なもので詐欺でなければ、AIはより正確にそして迅速に判断できるかもしれない。

もちろん、患者にもメリットがある。デンタルクリニックでの体験を思い返してほしい。歯の治療や処置に関して、あなたはどれくらいコントロールできるだろうか。正直なところ、さほどコントロールできない。このため、歯科医が収入を増やそうと必要でない治療をするチャンスが生まれる。もしOverjetがシステム詐欺を根絶できれば、患者にとって良い治療につながる。

成長について

スタートアップとの話では、そのテックがどれくらい良いものなのかをとらえるのは難しい。Overjetの場合、ほぼ不可能だ。しかしもし同社のテックが考えているように機能すれば、狙っているマーケットで急成長することができるだろう。当面は、事業成長というレンズを通して同社のテクノロジーの質を調べる必要がある。

「Overjetはレントゲン写真が複数枚あっても、分析した請求ごとに保険会社に課金する。歯科医はSaaSモデルに基づいて支払う」とイナム氏は話した。

同氏によると、Overjetは現在20人ほどのスタッフ抱え、今年さらに増やす。今年同社がどれくらいの新規顧客を獲得できるのか、そしてどれくらい早く売上高を増やせるのか、筆者はかなり関心を持っている。次回Overjetに話を聞く時に明らかになるだろう。

画像クレジット: Michael Browning / Unsplash under a license. (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

瞑想とマインドフルネスのアプリは新型コロナ禍で急成長中

新型コロナウイルスのパンデミックによって、メンタルヘルス、特に不安や不眠に対処する瞑想に重点を置いたアプリのダウンロード数が急増している。アプリストアの調査会社であるSensor Tower(センサー・タワー)の最新の報告によると、英語をベースとする世界で最も人気の高いメンタルウェルネスアプリの上位10作は、2020年4月の合計ダウンロード数が同年1月も200万件増加し、その月の合計ダウンロード数は1000万件近くに達したという。

チャートは市場のリーダーで埋め尽くされている。人気第1位のCalm(カーム)の4月のダウンロード数は390万件。続いてHeadspace(ヘッドスペース)が150万件。それをMeditopia(メディトピア)が140万件で追っている。新規ダウンロード数はCalmが最も多かったが、全体で91万1000件を超える4月のダウンロード数は、1月から31%の伸びを示している。他にも、Relax: Master Your Destiny(リラックス:マスタ−・ユア・デスティニー)は年初から218%伸び、4月には39万1000件のダウンロードがあった。

さらにトップ10のアプリのうち8つが、1月と比較して4月にインストール数を増やしている。また「ほとんどのアプリで、3月から4月の前月比で新規ダウンロード数が増えている」とSensor Towerは伝えている。

2020年4月、ダウンロード数順の英語ベースのメンタルウェルネスアプリ。左から、世界全体、米国内、英国内

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって、モバイル瞑想アプリへの関心の高まりを詳細に報告したものは、これが初めてではない。市場分析企業のApp Annie(アップ・アニー)は、2020年3月29日の週のマインドフルネス・アプリのダウンロード数が75万件に達し(ワシントンポスト記事)、1月と2月の週平均を25%上回ったことを早々に伝えていた。

どのアプリも、このパンデミックの最中にそれぞれ異なるアプローチで事業を拡大してきた。その中のひとつであるHeadspaceは、最前線で働く医療従事者と警察や消防などの初動要員が無料で利用できるようにした最初のアプリだ。その後、無料入会の対象は失業者にも拡大され、さらにニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事の協力により、ニューヨークに住む人には、大量の無料コンテンツが提供された。

Breethe(ブリーズ)やSimple Habit(シンプル・ハビット)などのその他のアプリも、Headspaceに続いて医療従事者は利用料を無料とした。

この戦略は、新型コロナウイルスと最前線で戦う人たちを支援しつつ、アプリが好意的に報道がされるという短期的な成果を上げることができた。しかし同時に、アプリを提供する企業はパンデミックを、とりわけ医療従事者の苦労を利用してダウンロード数を伸ばしているといった、便乗商法的な印象も与える。もしそれらの企業が、ユーザーのストレスや不安を招いた新型コロナウイルスの影響を本気で心配するなら「すべての人たちに、すべてのサービス、特に新型コロナウイルスに由来するストレスや不安に対処するコンテンツを完全無料で提供する」というよりよい戦略もあったのではないか。

それに対して、Calmは別のアプローチを取った。無料リソースのページを新設したのだ。しかし、より多くのユーザーに無料アクセスを広げるためのパートナーシップ注力したことで、同時に売り上げを伸ばすこともできた。たとえば今月初め、健康保険関連の非営利団体Kaiser Permanente(カイザー・パーマネンテ)は、メンバーにCalmのプレミアムサブスクリプションを無料で提供すると発表した。保健システムとしては初だ。

できるだけ多く無料でサービスを提供する戦略を採らなかったCalmの判断は当初、メディアの注目を簡単に集めるチャンスを逃したかも知れない。しかしそれは、目の前の新型コロナウイルス危機が終息した後も継続可能な販売パートナーシップを数多く築くという、長期戦略をCalmにもたらしている。

Sensor Towerの報告書では、米国と英国の人気アプリの違いやその他のデータも詳細に示されている。

“新型コロナウイルス

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:金井哲夫)

スマートリングが取得する生体情報で無症状コロナ感染者を早期発見、ウエストバージニア大学が開発

ウエストバージニア大学(WVU)ロックフェラー神経科学研究所(RNI)と同大医学部の研究者はOura(オーラ)の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をいち早く警告するシステムを開発した。

このプラットフォームは、健康な人が新型コロナウイルスに感染した場合に、Ouraのスマートリング「Oura Ring」を装着していれば、このリングが取得する生体情報を利用して自覚症状が出る3日前からウイルス感染を警告できるという。無症状の人々がいち早く検査を受けることが可能となるだけでなく、医療関係など第一線のスタッフの感染リスクの低減に役立つことを開発チームは期待している。

Oura Ringは通常の金属製の指輪のように見えるが、本体にセンサーを内蔵しており、体温、睡眠パターン、活動量、心拍数など多数のバイオメトリクスデータをモニタする。研究者チームは、このバイオメトリクスと約600人の医療、救急関係者から得た感染者の身体、認知、行動上の変化に関する情報を組み合わせた。

ボランティアがこのスマートリングを指にはめてサンプルデータを提供。研究チームはこのデータを利用して自覚症状が現れる前に発症を予測するAIモデルを開発した。開発はまだ初期段階であり、専門家によってレビューされていないとはいえ、発症予測の精度はすでに90%以上に達しているという。

発熱、咳、呼吸困難、倦怠感などはすべて新型コロナウイルスに感染していることを示す可能性がある。もちろん新型コロナウイルス以外の原因でもありえる。しかしこうしたデータを総合した判定によって、ユーザーはもっとはっきりした自覚症状が現れる3日前に検査を受けられる可能性がある。つまり自覚症状がないままに周囲に感染を拡大する危険な期間を最大3日短縮することになる。

次の段階として、他の大学などの研究機関の協力を得て複数の州の1万人にリングを着用してもらうという。 研究資金はRNI(および同組織への寄付者)から全額提供されており、Ouraはハードウェアの提供者という資格で研究を支援している。既報のとおり、同社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の同種の研究にも協力している。

無症状の時点で新型コロナウイルス感染、発症のリスクを予測できるモデルを確立するために多数のプロジェクトが進行中だ。これまでの知見によれば、感染者の大部分は感染者初期にはほとんど、あるいはまったく自覚症状がない。RNIの研究は初期の段階とはいえ、そのような予測が可能であることを示すものだ。市販され誰でも利用可能なハードウェアでこれが可能になるというのは特に重要なポイントだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

糖尿病患者の足の切断を防ぐスマートソックス開発のSirenが約12.7億円を調達

靴下を履くだけで、糖尿病の人が足を切断せずに済むだろうか?

Sirenは、そう考えている。布製で洗える文字どおりのスマートウェアラブル製品を開発している同社は、最初の製品として靴下をリリースした。これは糖尿病患者の足の健康をモニタして危険な状態を早期に発見する。なお製品開発のために同社は、シリーズBで1180万ドル(約12億7000万円)を調達した。

このラウンドはAnathem Venturesがリードし、KhoslaとDCMおよびFounders Fundが参加した。DCMのJason Krikorian(ジェイソン・クリコリアン)氏が、Sirenの取締役会に入る。彼はSlingboxを作っているSling Mediaの共同創業者だ。

Sirenの共同創業者Ran Ma(ラン・マー)氏によると、糖尿病患者が足などを切断する原因のほとんどは、傷があってそれに長期間気づかなかったことによって起きる。長期の糖尿病は神経を傷め、神経の損傷が足に影響して患者自分が気づかないうちに傷や潰瘍をできる。治療しないと傷は悪化し、細菌に侵され、最悪の場合は切断が必要になる。そのような切断は米国だけ(AJMCのニュースリリース)でも1年に数万件ある。

Sirenのソックスは足の6カ所で体温を測り、気づかなかった傷を見つける。周りよりも相当温度の高い場所が見つかったら、そこは傷による炎症があるかもしれない。ソックスはBluetoothでスマートフォンと接続可能で、専用アプリで患者自身が足の状態をチェックできる。そして最も重要なのは、その情報が医師にも届いて患者の状態をモニターできる点だ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、感染を恐れて医者や病院へ行かない人が多い。また病院側は、緊急性の低い外来を制限している。足の定期検査も緊急性は低いだろう。しかしSirenのソックスなら、患者の医師が遠くからでも足の健康をモニタできる。

初めてSirenを見かけたのは、2017年にCESで行われたTechCrunch Hardware Battlefieldで同社が優勝したときだ。その後同社は約2200万ドル(約23億7000万円)を調達した。今回の1180万ドル(約12億7000万円)のシリーズBと、その前の非公開だったシリーズAの650万ドル(約7億円)、そして340万ドル(約3億6600万円)のシードラウンド(未訳記事)だ。

マー氏によると、現在Siren Socksは米国の10州で買えるが年内には全米展開になるとのこと。

関連記事:糖尿病患者の健康状態を常時チェックして警報をスマホに送るSiren Careのスマートソックス

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーズのラボ出身開発者が作る雰囲気を変えるサングラス、カールツァイスの技術を応用

新しいサングラスのブランドFuturemood(フューチャームード)の共同創設者であるAustin Soldner(オースティン・ソルドナー)氏とMichael Schaecher(マイケル・シェカー)氏は、ハイエンドのオーディオ技術企業のBose(ボーズ)が新たに設立したサンフランシスコの研究開発ラボで出会った。

2人はBoseのサングラス型ウェアラブルの開発を任されていたが、スニーカーやファッションなど共通の趣味で仲良くなった。いろいろな話を交わすうちに、テクノロジーを使えばサングラスのあり方を変えられる可能性があることに気づき、サングラス業界ではOakley(オークリー)以来となる新ブランドを立ち上げて、市場に参入した。

さらにそこには、何十年間も本当の意味での技術革新がなかった業界にスニーカーメーカーがもたらしたものと同じ、素材科学と技術重視の戦略を持ち込む余地があった。

そうして登場したのがFuturemoodの「Auras」(オーラス)だ。同社はこれを、科学的な検査を経て実証された、気分を変えられる初めてのメガネと言っている。

レンズメーカーのCarl Zeiss(カールツァイス)が開発した技術を応用したFuturemoodの最初の製品には、リラックスできるグリーン、リフレッシュできるブルー、元気が出るレッド、集中力が出るイエローの4色がある。同社はこれを、四角い太めのフレームと、一般的な丸みを帯びたフレームの2つのスタイルで販売する。

画像クレジット:Futuremood

気分を変える効果は、Zeissがずっと取り組んできたハロークローム・レンズ技術(論文も発表されている)によってもたらされる。フィルターを通した光で人の気分が変えられるという説に、Zeissは科学的は裏付けを求めてきた。

Zeissはそれ以前にもいくつかの研究を行っているが、科学的に証明されていない部分も多い(ヨーロッパの大学で2つの研究を主導してきた)。

シェカー氏とソルドナー氏は、その説の信奉者だ。長年、技術責任者を務めてきた2人は、そのレンズを、素材科学の実験と、Futuremoodから市場投入を目指す製品の開発という大きな世界への窓として見ている。

「スニーカーの世界では、Nike(ナイキ)やAdidas(アディダス)がすでにそこに到達しています。それは、製品デザイン、素材、ブランディング、マーケティングのイノベーションによって実現しました。そのすべてが、サングラスの世界には欠けていたのです」とシェカー氏は言う。

Airbnb(エアービーアンドビー)でマーケティング責任者として働き、それ以前は、すでに廃業したMuchery(マンチェリー)で最初にマーケティングを担当した経験を持つシェカー氏は、ブランディングには詳しい。一方、Playground.fm(プレイグラウンド・エフエム)の創設者であり、Jawbone(ジョウボーン)ではプロダクトデザイナーを務めていたソルドナー氏は技術の専門家であり、Futuremoodのすべてのフレームの主任デザイナーでもある。

「私たちは、技術的なイノベーションと製品のイノベーションの枠を押し広げるチャンスがあると確信しました」とシェカー氏。「サングラスの概念を広げるものを、私たちは在庫として準備しています」

サングラスは、じつに大きなビジネスでもある。市場調査会社 Grand View Research(グランド・ビュー・リサーチ)によれば、2018年には、消費者はサングラスに145億ドル(約1兆6000億円)を費やしている。Futuremoodは、そのユニークな捻りを加えたサングラスで、市場のほんの一部でも獲得できれば御の字だ。

優れた直販製品すべてに言えることだが、Futuremoodの製品は、まずパッケージからして違う。気分を変えてくれるこの「ウェアラブル・ドラッグ」の美観を踏襲する同社の製品は、サングラスと同じ鮮やかな色合いのパッケージに入ってくる。中にはサングラスを拭くための布、サングラスを入れるベルベットのポーチ、サングラスに合った香りの匂い袋、サングラスの説明が書かれたなんとなくタロット風のカード、そしてそのサングラスが呼び起こすことになっている感覚(それに合ったSpotifyのプレイリスト付き)が入っている。

シェカー氏はその感覚について、電子メールで「カンナビジオールほど曖昧ではなく、テキーラやロゼの1杯ほど強烈ではない」と説明してくれた。

「オースティンと私は、いろいろなセルフケアや時間の過ごし方を試すのが大好きなんです。そこで、(パッケージで)喜びや楽しい気持ちを届けることができると考えたのです」とシェカー氏。「サングラスを掛けるたびに、みんながSpotifyのプレイリストを聞いたり匂い袋を嗅いだりするとは期待していませんが」。

Futuremoodは、これまでほとんど自費で活動してきた。キリスト生誕から2020年目の今年、ご多分に漏れず、彼らの計画も新型コロナウイルスのパンデミックのお陰で後退せざるを得なくなった。

「私たちのレンズはZeissのイタリアの工場で製造しています。メガネは深圳の郊外で作っています」とシェカー氏。「私たちは最初の注文を2週間保留しました。Zeissは、イタリアでもっとも被害の大きかった地域にあります。そこから予定が遅れています。18カ月、必死に頑張ってきて、その挙げ句に発売を延期しなければならないなんて、言葉になりません」。

パンデミックの最中でも、彼らは次の製品のデザインに向けて動き出している。そこから、シェカー氏とソルドナー氏が事業を広げたい方向が見えてくる。「2つめの製品ラインがありますが、それは気分を変えるメガネではありません」とシェカー氏は言う。「昔ながらの普通のサングラスで、アイウェアでよりも航空機で一般的なチタン合金を使います」。

デザインは、より贅沢な美観を反映している。シェカー氏が冗談めいて話したところによれば、デジタル店舗で販売される一般消費者向けの直販ブランドというよりは、カルティエのショールームで寛ぐような感じだそうだ。

現在は、同社のウェブサイトを通して消費者に直販する予定だが、ビジネス活動が解禁されたなら、小売り業者とのコラボやフィールドマーケティングの可能性を探りたいと考えている。

気分を変える効果に関して、また「ウェアラブル・ドラッグ」が市場のシェアを勝ち取れるか否かについては、シェカー氏はきわめて楽観的だ。「かならず反響があります」と彼は言う。「これまで存在していなかった、楽しくて新しいものですからね」。

画像クレジット:Futuremood

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(翻訳:金井哲夫)