運送業者の積荷共有を手配するFlock Freightが119億円調達、ソフトバンクやボルボらが出資

何千、何万台というトラックが毎日貨物を載せて米国の幹線道路を走り、消費財、電子機器、自動車、農作物を配送センターへ、最終的には家庭へと送り届けて経済を支えている。そのトラックの内側はほとんどが半分空っぽだ。カリフォルニア州サンディエゴの設立5年のスタートアップFlock Freight(フロック・フレイト)は、その場所が業界を変えると信じている。

そしていま、それを試して実行するための資金を手に入れた。

米国時間12月2日にFlock Freightは、シリーズCラウンドでSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョンファンド2)から1億1350万ドル(約118億6000万円)調達したと発表した。既存出資者のSignalFire、GLP Capital PartnersおよびGoogle Venturesも参加し、戦略パートナーであるVolvo Group Venture Capitalが新たに少額を出資した。SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーであるErvin Tu(アービン・トゥ)氏がFlock Freightの取締役に就任する。これまでに同社は総額1億8400万ドル(約192億2000万円)の資金を調達し、資金調達後の会社価値は5億ドル(約522億3000万円)になる、と本件に詳しい情報筋がBloomberg(ブルームバーグ)の速報を裏付けた。

ここ数年、テクノロジーでトラック輸送を変えようとするスタートアップが数多く出現している。トラック輸送は米国内の輸送の70%以上を受け持つ米国経済の柱であり、彼らはそれをもっと効率の良いマシンに変えようとしている。ほとんどのスタートアップは、トラック運転手と運送業者を結ぶデジタル運送ネットワークを作ることに焦点を合わせている。

しかしFlock Freightは、貨物そのものに注目した。この会社はさまざまな貨物を1つの共有積載として集約することで貨物輸送の効率を高める。Flock Freightによると、同社のソフトウェアは、多くのトラックが積載量の半分以下しか貨物を載せていない(業界でLTLと呼ばれている)伝統的な「ハブとスポーク」システムを回避する。同じ方向に行く貨物を1台のトラックにまとめることによって、運送関連の二酸化炭素排出量を40%減らせると同社はいう。

新たな資金は従業員を増やすために使われる。現在同社には129名の従業員がいる。

「テクノロジーによるワークフローの自動化によって効率を改善するデジタル貨物マッチング方式と異なり、Flock Freightはテクノロジーを使って、貨物輸送の効率を高める新しい運送モデル(共有積載)を作りました。Flock Freightのアルゴリズムによって、運送業者は長さ44フィート(13.4m)までの荷台のLTL(空きスペース)問題を心配しなくてよくなります。代わりに 「shared truckload」(共有積載)として利用できるのです」とFlock FreightのファウンダーでCEOのOren Zaslansky(オーレン・ザスランスキー)氏が声明で語った。「運送業者はFlock Freightの効率のよい共有積載ソリューションを利用して需要の増加と高まる緊急性に対応できます」。

このうたい文句には、VolvoやSoftBankをはじめとするさまざまなベンチャーキャピタルや企業投資家を引きつけるだけの説得力があった。

「Flock Freightは何十万という運送業者のサプライチェーン効率を改善します。私たちの投資は同社が事業規模を拡大し、より大きな市場シェアを獲得する能力を加速することが目的です」とSoftBank Investment Advisersのマネージング・パートナーであるトゥ氏は語った。

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BlackBerryの株価が急上昇、車両用センサーデータ統合でAWSと提携

Amazon Web Services(AWS)と提携して車両データの統合とモニターを行うプラットフォームIVY(BlackBerryリリース)の共同開発と販売を行うとのニュースで、BlackBerry(ブラックベリー)の株価が取引開始直後から急上昇した。

BlackBerryの株価は、ニューヨーク証券取引場の取引開始のベルが鳴ると同時に35%、つまり2.11ドル(約220.35円)上昇。これは、スマートビークルサービス市場の可能性と、BlackBerryが重視する事業の運勢を強める能力がAmazon(アマゾン)の事業にあることの両方を示すサインだ。

誰もが認めるスマートフォン市場の重鎮であったBlackBerryは、業務用のセキュリティと情報統合サービスのプロバイダーに転身した。そしてその転身の過程で、同社はアマゾンのウェブサービス事業を引き寄せた。

パンデミックに襲われる前の2020年1月、両社は初めて提携を発表し、BlackBerryは車載アプリケーションのためのネットワーク接続による車両の安全およびセキュリティサービスをAWSと共同で行う(BlackBerry広報資料)と話した。

5年前に初登場したBlackBerryとAWSに対応したQNXサービスは、現在すでに1億7500万台の車両で使われている(BlackBerryリリース)。

「この5年間で、当初6000万台の自動車に貢献してきたBlackBerry QNXテクノロジーは、本日の発表のとおり1億7500万台以上に採用されるまでになりました。ほぼ3倍の伸びであり、これは現代の主要自動車メーカーとその一次供給業者が、BlackBerryと開発段階の次世代車両に向けて安全で確かなソフトウェアを提供する私たちの能力を、変わりなく信頼してくれていることの証です」と、BlackBerryの会長でありCEOのJohn Chen(ジョン・チェン)氏はいう。

カナダのウォータールーに拠点を置くBlackBerryの最新の自動車用接続サービスは、自動車メーカーが、異なるメーカーの装置から送られる車載センサーのデータを読み出し、正規化し、そこから有用な情報を引き出して、リモートでも車内でも利用できるようにするというものだ。

IVYソフトウェアシステムは車載システムで走らせることができるが、道路状況、ドライバーの運転技術、電気自動車ならバッテリーの消費量などの情報をドライバーに示すようクラウドから設定することも可能だ。

またBlackBerryのツールキットを使うことで、自動車メーカーは幅広い開発者集団と協力して車の性能を最適化したり、整備費用を節約したり、ソフトウェアのアップデートをリモートで行うといった新サービスの開発ができるようにもなる。

「データと接続性は、自動車業界に新たなイノベーションの道を拓きます。BlackBerryとAWSは共通のビジョンを持ち、自動車メーカーと開発業者によりよい見識を与え、新しいサービスを顧客に提供できるようにします」とチェン氏は声明の中で述べている。「このソフトウェアプラットフォームは、車内体験に発明の時代を招き、新しいアプリケーション、セキュリティ、機会を安全性、セキュリティー、ユーザーのプライバシーを犠牲にすることなく提供することを約束するものです。私たちは、AWSとのつながりを拡大し、このビジョンを実現させ、BlackBerry IVYをお届けできることを嬉しく思っています」。

その一方で、ネットではこんなジョークも飛んでいた。

Tero Kuittinen「市場があんまり熱いのでブラックベリーが煮えてる」

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(翻訳:金井哲夫)

テスラが既存自動車メーカーの買収検討中とイーロン・マスク氏

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)の5540億ドル(約57兆8400億円)という巨大な時価総額を利用して、既存自動車メーカーの買収を検討している。ただしそれは、友好的に行える場合に限る。米国時間12月1日に行われたAxel SpringerのCEOであるMathias Döpfner(マティアス・デップフナー)氏からの広範囲にわたるインタビューの中で語った。

12月1日にこの大手メディアから賞をもらったマスク氏は、さまざまな関心とビジネスについて語ったが、彼が率いる企業であるSpaceXとTeslaも話題に上った。

デップフナー氏は、Teslaの時価総額がBMWやダイムラー、ワーゲンといった既存の大手自動車メーカーを大きく超えていることに言及。既存勢力はかつて、マスク氏に電気自動車をメインストリームにする能力はない、と彼を無視した。そんなレガシーな自動車メーカーの買収は選択肢にあるか問われたマスク氏は、それは可能だが条件があると答えた。

「敵対的な企業買収は絶対に行わない。友好的で『Teslaと合併するのも悪くないね』という感じの話なら、乗ってもいい。敵対的企業買収のような状況にはしたくはない」とマスク氏 氏はいう。

Teslaは現在、羨望の的になっているが、マスク氏は再度、同社の株価高すぎると語った。Teslaは12月21日にS&P 500 Indexに加わる予定で、年間生産台数ではるかに多い競合他社をしのぎ、世界で最も価値のある自動車メーカーとなっている。

投資家がTesla株に投資するのは、同社を自動車メーカーというよりもテクノロジー企業と見ているからだ。ただし現時点では、同社の売上の大半が自動車の販売によるものだが。

マスク氏は、初期のころTeslaはほとんどの自動車メーカーに無視されていたと指摘する。

「2007年にRoadsterを発売したとき、『おやおや、あなたたちは馬鹿者の集まりだ』というだけだった」とマスク氏はいう。そして競合他社は、以前よりもはるかに友好的になったと付け加えた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Lucid Motorsの約73億円工場が完成、最初の高級完全電動セダンAir生産へ

電気自動車メーカーのLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)は、700万ドル(約73億円)をかけた工場建設の第1段階を完成させ、来春販売予定の同社初の高級完全電動セダンAir(エアー)生産の準備を整えた。

この工場は、ツーソンとフェニックスを結ぶ州間ハイウェイ10号の中間あたりに位置し、年間3万台の自動車生産能力を誇る。Peter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏がCEOを務めるLucidがうまく人々の心を捉えることができれば、現在99万9000平方フィート(約9万3000㎡)の建設面積を500万平方フィート(約46万5000㎡)に拡張する予定だ。完成すれば、年間40万台の生産能力を有することになる。

画像クレジット:Lucid Motors

まだ1台も販売していない会社にとって、これは野心的な計画だ。しかし、ローリンソン氏は電気自動車とLucidの未来に強気を示し続けている。Lucidは、2021年早々からの工場の次期ステージの建設準備を整えているが、そこでは2023年から次の車種となる完全電動SUVの生産が行われる。

同社は、590エーカー(約239万8㎡)の敷地に、2028年までに4段階に分けて工場を整備する計画を立てている。

画像クレジット:Lucid Motors

今回の第1段階は、Lucidが電気自動車を作る意志を初めて明らかにしたときからおよそ4年後に完成された。これは、いままでなかなか踏み出せなかった記念すべき一歩だ。同社は資本金を使い果たし、新たな投資家探しに苦心していた。2018年9月、ようやくサウジアラビアの主権国家資産ファンドが歩み出て10億ドル(約1040億円)の投資を約束してくれた。

2020年9月に発表された完全電気自動車の高級セダンAirは、走行距離はタイプによって差があるものの最大517マイル(約832km)。テクノロジーと控えめな高級感がデザインの柱になっている。

4タイプあるうちの、16万9000ドル(約1760万円)のフラグシップDream(ドリーム)と、13万9000ドル(約1450万円)のGrand Touring(グランドツーリング)の2つは、ひと足早く2020年中に、この新工場で生産が始まる。この2タイプは、2021年春に出荷が予定されている。残る2つのタイプ、9万5000ドル(約990万円)のTouring(ツアリング)と、8万ドル(約830万ドル)をごくわずかに下回るベースモデルは、それぞれ2021年末と2022年の販売を目指している(これらの価格はすべて、米連邦税額控除適用前のもの)。

Airは、メルセデス・ベンツSクラスに対する電気自動車の答えだ。つまり、デザインもさることながら性能も重視されるわけだが、Airは目玉が飛び出すほどの高性能を誇る。たとえばDreamは1080馬力(約1094PS)、0−60マイル / 時加速は2.5秒。この高出力の影響で、Dreamの走行距離は465マイル(約748km)となる。一方、Grand Touringは800馬力(約811PS)、0−60マイル/ 時加速は3秒。だが走行距離は最大の517マイル(832km)だ。

またAirは32基のセンサー、ドライバーモニタリングシステム、Ethernetベースのアーキテクチャーを備え、高度な運転支援システム(未訳記事)を支えている。これは、ハイウェイでは手放しの運転も可能にする。内装では、ドライバーの正面に湾曲した34インチの5Kディスプレイがあり、ダッシュボードに浮き上がっているように見える。中央にあるもう1つのタッチスクリーンは、格納すると収納スペースが現われる。ハンドルと中央スクリーンの上には、手動で操作するコントローラーがいくつか残されており、音量調整やADAS(先進運転支援システム)、車両に組み込まれたAmazon Alexa(アマゾン・アレクサ)の起動ができる。中央のタッチスクリーンの下のコンソールには、無接触充電器、カップホルダー、USB-Cポート、もう1つの収納スペースがある。

これらすべてを製品化するために、Lucidはそのデザインアプローチとともに高度な製造方式についても宣伝してきた。Lucidでは、スポット溶接ではなくリベットと接着剤を使ったモノコックボディ構造を採用していると話している。現在の自動車は、ほとんどがユニボディデザインだ。つまり、フレームと床とシャシーが最初から一体構造で作られている。モノコックデザインはモータースポーツ用車両によく使われているもので、フレームが外殻となって張力や圧力を分散し、剛性を高める働きをする。

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(翻訳:金井哲夫)

電動バスとトラックのThe Lion Electricが量産を目指しSPACで上場へ

カナダの電動トラックとバスのメーカーThe Lion Electric Companyの米国時間11月30日、特別買収目的会社(SPAC)であるNorthern Genesis Acquisition Corpとの合併による上場計画を発表した。

合併後の同社はニューヨーク証券取引所に上場されるが、合併時の評価額は19億ドル(約1980億円)になる。両社は非公開株への投資で2億ドル(約210億円)を調達しており、約3億2000万ドル(約330億円)のキャッシュを保有する。

最近は電動車のメーカーが量産能力を獲得するためにSPAC経由で上場するケースが増えているが、今回はその最新の例となる。これまでArrival、Canoo、Fisker、Lordstown Motors、Nikola Corp.などが2020年にSPACによる合併を発表している。

Lionの場合、合併後のキャッシュは米国内の工場建設と、同社の先進的なバッテリーシステムの開発など同社の成長のために使われる。Lionは現在、カリフォルニア、イリノイ、インディアナ、ミシガン、ニューヨーク、オハイオ、オレゴン、ペンシルベニア、ワシントン、そしてウィスコンシンの9つの州の10カ所の再開発用地を検討している。同社によると、用地買収と整地は2020年内に行い、まだ名前もない工場の操業開始は2023年初頭の予定となっているという。

Lionはすでに、中型でヘビーデューティーな都市型の全電動トラックを、年産能力2500台の工場で生産している。現在、約300台が路上にあり、2021年には650台のトラックとバスを出荷する計画だ。すでにAmazon(アマゾン)との契約もあり、同社の「ミドルマイル」(中継輸送)のために10台が納車される予定だ。

この合併の完了は2021年の第1四半期を予定している。Lionの社名でニューヨーク証券取引所に上場され、ティッカーシンボルは「LEV」になる。LionのCEOで創業者のMarc Bedard(マーク・ベダード)氏は、現職に留まる。合併後の同社には、9名の取締役を擁する取締役会があり、ベダード氏の他に、会長としてPower SustainableのPierre Larochelle(ピエール・ラロシェル)氏、そしてAlgonquin Power & Utilities Corp.の創業者Ian Robertson(イアン・ロバートソン)氏とChris Jarratt(クリス・ジャラット)氏も加わる。

関連記事:電気自動車スタートアップのCanooが特別目的買収会社経由で株式公開へ

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画像クレジット:The Lion Electric Company

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MobileyeがLuminarと契約、2022年の無人タクシー実現に向けLiDARを供給

センサーの開発を手がけるスタートアップで、上場企業入りを目指すLuminarは、Intel(インテル)の子会社であるMobileyeに自律走行車用のLiDARを供給するサプライヤー契約を締結した。

米国時間11月20日に発表されたこの契約は、長い間自動車業界を支配してきた企業と組み合わされることで期待の星となりそうだ。

このサプライヤー契約は、Mobileyeの中心事業であるコンピューターによる視覚イメージ処理技術の規模とはほど遠いものの、いくつかの試験プログラムを超えて拡大が見込める重要なコラボレーションだ。LuminarとMobileyeは、約2年前から開発契約を結んでいる。今回の新たな契約は、両社にとって次の重要なステップを示すものだ。

Mobileyeのカメラを使ったセンサーは、ほとんどの自動車メーカーが先進的な運転支援システムをサポートするために使用している。現在、5400万台以上の車両がMobileyeの技術を搭載している。しかし、2017年に153億ドル(約1兆5900億円)でインテルに買収された同社は、ここ数年で手を広げ、いまや先進運転支援技術を超えて、自律走行車のシステム開発に向けて動き出している。2年前にMobileyeは視覚認識、センサー融合、REM(Road Experience Management)マッピングシステム、ソフトウェアアルゴリズムを含むキットを発売する計画を発表した。

Mobileyeはそれ以来、自動運転の野心をさらに高めており、業界の一部では、単なるサプライヤーに留まらず、無人タクシー事業に乗り出すという予期せぬ方向に発展するのではないかとみられている。

LuminarとMobileyeの現時点では小規模な契約は、まだ生産契約に過ぎない。LuminarのLiDARは、Mobileyeの第1世代の無人運転車に搭載される予定で、ドバイ、テルアビブ、パリ、中国、韓国の大邱市で試験運転が行われている。Mobileyeの最終的な目標は、無人タクシー事業を拡大し、その自動運転スタック(AVシリーズソリューション)を他の企業に販売することである。MobileyeのAmmon Shashua(アンモン・シャシュア)最高経営責任者(CEO)は、同社が2022年に商業的な無人タクシーサービスを開始することを目標にしていると述べている。

「つまり、この生産契約は基本的に、2022年のサービス開始に向けてMobileyeの車両に装備を整え、同社のカメラソリューションと併用することで、安全性と余剰性を確保する力となるわけです」と、Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は最近のインタビューで語っている。

この「AVシリーズソリューション」の最初の用途は、Mobileyeが自社で所有する車両向けだが、ラッセル氏はその後の機会に興味を持っている。

「Mobileyeは、他のどんな民間の自動運転開発会社ともまったく異なる会社で、まったく異なる戦略を取っています」とラッセル氏は語る。「彼らは何千万もの製品を量産車に搭載しています。つまり、何かを量産するために何が必要なのかを知っているわけです。その波に乗り、量産車の分野に有利な立場として関わることができるというのは、私たちにとって特別な関心事でした」。

Luminarは他にも量産レベルの案件を獲得している。VOLVO(ボルボ)は5月、LuminarのLiDARと認識システムを搭載した自動車の量産を2022年に開始すると発表した。これらを使ってボルボは、高速道路用の自動運転システムを展開する。

いまのところ、LiDARはハードウェアパッケージの一部として、XC90から始まったボルボの第2世代の「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ」をベースとする各車にオプションとして用意されている。ボルボはLuminarのLiDARをカメラ、レーダー、ソフトウェアそしてステアリングやブレーキ、バッテリー電力などの機能を制御するバックアップシステムと組み合わせ、高速道路における自動運転機能を実現する予定だ。

ダイムラーのトラック部門は2020年10月、人間が乗っていなくても高速道路をナビゲートできる自律型トラックを生産するための幅広いパートナーシップの一部として、Luminarに投資したと発表している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アリババとファーウェイが急成長の中国巨大EV市場に参入

  1. 近頃は、中国のテクノロジー大手が既存の自動車メーカーと組むというニュースがない日はない。Alibaba(アリババ)やHuawei(ファーウェイ)などさまざまな企業は数兆ドル(数百兆円)といわれる中国の自動車市場に関連しようとしている。自動車産業は、5Gが成熟するにつれ、電動化への移行とインテリジェントなアップグレードの道を探っている。

中国大手の1つ、国有の自動車製造企業SAIC Motorは今週、Alibabaと上海の政府支援企業が少数株主となっているZhijiという新しい電動車部門を発表した(SAIC Motorリリース)。今回の提携は、XpengやNioといった中国のEV新興企業とその前身であるTeslaが、ここ数カ月で自社株を急騰させていることを受けたものだ。

 

AlibabaとSAICの関係は、2015年に遡る。そのとき両社は、インターネットに接続された車への1億6000万ドル(約166億5000万円)の投資を共同発表した(Reuter記事)。その後、この協力関係はさらに前進してBanmaと呼ばれるジョイントベンチャーを作り (「Zebra」とも呼ばれる)、音声によるナビや音声によるコーヒーのオーダーまでAlibabaはBanmaのための自動車関連技術を山のように開発した。その技術はもちろん、eウォレットのAlipayを前提している。

確かにAlibabaはSAICだけのためのサプライヤーではなく、何年も前からBMW(Business Wire記事)やAudi(Business Wire記事)とも一緒に仕事をしている。

SAICの新しいEVブランドに対してAlibabaは、「テクノロジーのソリューションのプロバイダー」であり続ける、と同社の広報担当者はいう。

自動車業界で大きく動いているほかのテクノロジー大手といえば、Huawei(ファーウェイ)だ。まさに今週、この通信機器とスマートフォンのメーカーは、そのスマートカー部門をこれまで携帯電話に注力していた消費者ビジネスグループと統合すると発表した(心声社区投稿)。消費者ビジネスグループはこれまで主に、ハンドセットにフォーカスしていた。今回、拡大されたグループを仕切るのが、モバイル業界の負け犬だったファーウェイを世界有数の企業へと成長させたといわれるRichard Yu(
リチャード・ユー)氏だ。

同社の声明によると、自動車におけるファーウェイの野心は「自動車を作らないがそのICT(情報と通信技術)の開発にフォーカスして自動車メーカーによる車の生産をアシストする」というものだ。同社が伝統的自動車メーカーの領域を侵す、という噂を否定している。

ファーウェイのスマートフォン事業は、米国の制裁にサプライチェーンを妨げて以来、打撃を受けている。同社は最近、低価格機のブランドHonorを売却してファーウェイから独立させ、通商関連の拘束から逃れようとしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動自転車人気急増の中、FuroSystemsは新車発表前に初のベンチャー投資を調達

新型コロナウイルスの影響で自転車通勤が増え、都市はきれいな空気を求めている。電動自転車革命は始まったばかりだ。英国の電動自転車メーカーFuroSystems(フーローシステムズ)が初めてのベンチャー投資ラウンドをクローズさせたというニュースも、それを裏付けている。75万スターリングポンド(約1億500万円)のこのラウンドには、 TSP Venturesとヨーロッパのインパクト投資銀行ClearlySoと、数多くのエンジェル投資家が参加している。

VanMoof(バンムーフ)やCowboy(カウボーイ)といった電動自転車スタートアップと違い、ロンドンを拠点とするFuroSystemsは、電動自転車というコンセプトにおもしろい解釈を持ち込んだ。同社製自転車の売りは、大変に軽量であること。そのため、モーターを使わないときでも、普通の自転車と同じように軽くペダルが踏める。しかも、通常の自転車と争うほどの低価格だ。

数ある電動自転車メーカーとは異なり、FuroSystemsには折り畳み自転車もあり、カーボンファイバー製フレームを採用したFuro Xは、わずか15kgと、電動自転車では世界最軽量を誇る。取り外し可能な高密度リチウムイオンバッテリーの走行距離は55km。シマノのギアや油圧式ディスクブレーキなど、業界標準のパーツを使っているのもFuroSystemsの特徴であり、Gocycle(コーサイクル)やBrompton(ブロンプトン)などのメーカーと張り合える点になっている。

こうした要因から、通勤者の間で人気が高い。

その結果、電動スクーターも製造しているこの企業は、新型コロナによるロックダウン以降の需要が前年比で5倍と跳ね上がった。珍しいことに、創設当初から利益を出していたと同社は話すが、今回の投資は次期製品ラインの研究開発に投入するという。

CEOで共同創設者のEliott Wertheimer(エリオット・ワートハイマー)氏は、声明の中でこう話している。「私たちはいま、100年に一度の交通変革の時期を迎えています。それは、私たちが環境に与えている悪影響への意識の高まりと、より健全な個人的選択を求める新たな願望によるものです。電動自転車と電動スクーターは、渋滞や大気汚染といった今日私たちが直面している交通問題の解決には、欠かせない存在です」。

ワートハイマー氏は、需要を満たすために自転車製造の一部をポルトガルに移す予定についても話していた。

TSP VenturesのCEOであるChris Smith(クリス・スミス)氏は「電動自転車市場は、ここ数年間で爆発的に拡大し、2025年には売上高が100億ユーロ(約1兆2400億円)に達する勢いです。FuroSystemsは、この急成長業界の交差点に立っています」とコメントしている。

このスタートアップは電動スクーターFuze(フューズ)のデザインと製造も行っている。ピーク出力は最大800W、フロントに2つ、リアに1つのサスペンション、前後に機械式ディスクブレーキ、リモートキーロック、警報システム、強化型の10インチ空気入りタイヤを備えた高級スクーターだ。出力とスピードは、それぞれの地域の規制に応じて調整ができる。

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画像クレジット:FuroSystems

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(翻訳:金井哲夫)

GMが排ガス規制闘争でトランプ氏を捨てカリフォルニア州を支持

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、州(具体的にはカリフォルニア州)が気候変動を緩和するために連邦政府より厳しい排ガス規制などの規則を制定できるかどうかの戦いで、立場を変えた。

米国時間11月23日同社は、カリフォルニア州が独自のルールを決めるのを妨げるDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権の訴訟を支持するのを止めると語ったと Reuters(ロイター)が報じた。CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏はいくつかの環境保護団体に書簡を送り、同社が「この訴訟から直ちに手を引き」他の自動車メーカーにも同調を求めていることを伝えたとされている。

GMの決定は大きな方向転換であり、2019年に同社は競合のFiat Chrysler(FCA、フィアット・クライスラー)、Toyota(トヨタ)ともにこの問題についてトランプ政権支持を表明した。次期大統領Jor Biden(ジョー・バイデン)氏の就任を間近に控えたいま、この転換は戦略の範疇と考えられる。またこれは、今後5年間に電気自動車と自動運転技術に270億ドル(約2兆8200億円)を投入して市場参入を加速しようというGMの決定とも一致している。

「州権」の問題はトランプ氏とカリフォルニア州を巡る法的闘争の中心をなしている。Clean Air Act(クリーンエア法)の下、カリフォルニア州は独自の排ガス規制を実施する権限を持っている。州の大気汚染委員会は、トランプ政権が燃費基準に関するオバマ時代のルールを後退させたにも関わらず、前年比2.7%の燃費向上を2026年まで続けることを標榜した。

この問題で自動車業界は二分された。BMW(ビー・エム・ダブリュー)、Ford(フォード)、Honda(ホンダ)、Volkswagen of America(米国フォルクスワーゲン)の各社は、より厳格な排ガス規制を遵守することでカリフォルニア規制当局と合意(The New York Times記事)に達したが、GM、FCA、およびトヨタは業界団体のAssociation of Global Automakers(世界自動車メーカー協会)に同調した。

トランプ政権側についたメーカーは批判の的となり、それは気候・環境保護団体からだけではなかった。Fordもそこに加わり、2020年9月に「California Innovation(カリフォルニア・イノベーション)」と銘打った広告キャンペーンまで行い、GMブランドのChavy(シェビー)、FCAのJeep(ジープ)、トヨタを厳格な排ガス基準に同意していないと煽り立てた。

関連記事:GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

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画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクやGoogleが出資する中国のトラック版Uber「Manbang」が約1780億円を調達

Uber(ウーバー)のトラック版である中国のManbang(マンバン)は米国時間11月24日、新たなラウンドで17億ドル(約1780億円)を調達したと発表した。SoftBank Group(ソフトバンクグループ)や、Alphabet(アルファベット)のベンチャーキャピタルファンドCapitalGなどから19億ドル(約1990億円)を集めてから2年が経つ。

2021年にIPOを控えているManbangが10億ドル(約1046億円)の調達を模索していると、2週間前にThe Wall Street Journalが報じ、それに続くニュースだ。Manbangはこの件についてコメントは却下したが、CEOのZhang Hui(チャン・ホイ)氏は2019年5月に同社は上場を急いではいない、と述べている(新浪科技記事)。

Manbangは、2020年に黒字化を達成したと述べた。バリュエーションは100億ドル(約1兆455億円)に達すると2018年に報じられている。

トラック運転手と貨物輸送・金融サービスの業者をマッチングするアプリを提供するManbangは、2017年にライバル関係にあったYunmanmanとHuochebangが合併してできた会社だ。当時、中国は「シェアリングエコノミー」ブームで、統合と再編が始まった時期だった。

Manbangは最新のラウンドは、またもや有名な投資家を惹きつけた。ここにはSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund(ビジョンファンド)、Sequoia Capital China、Permira、Fidelityが含まれ、このコンソーシアムがラウンドをリードした。その他にはHillhouse Capita、GGV Capital、Lightspeed China Partners、Tencent、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYF Capitalなどが参加した。

ManbangはAlibaba(アリババ)とのつながりもある。Yunmanmanを創業したチャン氏はAlibabaの有名なB2B部門の出身だ。Manbangの会長Wang Gang(ワン・ガン)氏も配車サービス大手Didiのエンジェルラウンド調達に乗り出す前にAlibabaで働いていた。

Manbangは、同社のプラットフォームには認証済みドライバー1000万人超と荷主500万人がいると主張する。最新のラウンドで研究・開発にさらに投資し、マッチングシステムをアップグレードし、ドアツードアのような機能へとサービスの幅を広げることができる。

Sequoia(セコイア)はトラック配車事業に対してかなり強気で、Manbangへの投資は今回が6回目だ。欧州のプライベートエクイティファンドPermira(ペルミラ)にとって、Manbangへの投資は自社が展開するGrowth Opportunities Fund(PERMIRAリリース)の中国デビューとなった。

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タグ:Manbang資金調達

画像クレジット:Manbang

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(翻訳:Mizoguchi

シェアリング電動キックボードの利用回数が2021年までに5億回を超える5つの理由

著者紹介:Travis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は、Bird(バード)の創業者兼CEO。

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4年前、電動キックボードのシェアリングサービスは存在すらしていなかった。それが今では、2021年までに世界全体で5億回以上の利用回数を記録する勢いだ。2009年にUber創業と同時に生まれた、CO2排出量の多い車両を中心とするライドシェア業界の初期の頃をはるかに上回るペースで成長している。

電動キックボードのシェアリングサービスはどの尺度から見ても、都市交通を劇的に変化させた。こうなると、「なぜここまで爆発的に普及したのか」という、素朴だが重要な疑問の答えを知りたくなる。

ここ数年の間にマイクロモビリティ普及の追い風となった主な進展について理解すると、この業界の現在の方向性だけでなく、世界数億人にのぼる利用者の今と将来のニーズを満たせるサービスの考案に役立つ貴重なインサイトが得られる。

電動キックボードのシェアリングサービスが世界中で拡大し、より健康的で持続可能な都市生活の実現が促進された背景には、車両の設計、データ、安全性報告書、インフラ整備などに関する、次の5つの革新的な進展があった。

電動キックボードのシェアリングサービス誕生(2017年秋)

Bird(バード)の電動キックボードシェアリングサービスが最初に開始されたのは2017年9月、カリフォルニア州サンタモニカでのことだった。それまでは、ドックあり方式またはドックなし方式の自転車シェアリングサービスがマイクロモビリティ業界のほぼ全体を占めていた。当時、自転車シェアリングサービスは米国全土で毎年平均およそ3500万回利用されており、その半分以上がニューヨーク市に集中していた。

幸先のいいスタートを切った電動キックボードのシェアリングサービスは、2018年には約3900万回、2019年には8600万回も利用されるようになった。そして、大西洋の反対側でも、同じように爆発的な増加が見られた。ドイツ、フランス、イスラエル、スペイン、ポルトガル、ベルギー、デンマーク、ポーランドなど、都市交通網のニーズを満たすためにマイクロモビリティを活用する国が急速に増え、イタリア英国ウクライナなどの国々も最近、その仲間入りをした。

電動キックボードのシェアリングサービスは現在、ほぼすべての大陸に分布する200以上の都市で利用できる。

シェアリング向けに設計された電動キックボードの登場(2018年秋)

世界初の電動キックボードのシェアリングサービスが始まると、この種のマイクロモビリティに対する高い需要が存在し、その需要を満たすにはシェアリング向けに設計された電動キックボードが必要であるという、2つの点がすぐに明らかになった。

シェアリング用の電動キックボードは、自家用のものに比べて、使用頻度が高く、より多様な路面状況や天候の中で走行しなければならないのが実情だ。2018年10月にバードの車両開発チームが業界初のシェアリング向けモデルとなるBird Zero(バード・ゼロ)を発表したのはそのためだ。より長いバッテリー寿命、明るいライト、高い耐久性、一歩進んだGPS機能を備えたこのモデルを皮切りに、安全性、持続可能性、耐用期間の向上を目指す一連の包括的な車両革命が起こり、その革命は成功した。今でも使用されている当時の電動キックボードは何万台もあり、使用される期間がひと月またひと月と伸びるたびに、二酸化炭素のライフサイクル排出量はさらに少なくなる

Bird One(バード・ワン)やBird Two(バード・ツー)など、バード・ゼロに続いて発表された他のシェアリング向けモデルには、バード・ゼロが持つ性能に加えて、下記のような業界初の機能が搭載された。

  • 200種類以上の故障を検知できる車載式の診断センサー。
  • 1日あたり数百万回もの故障診断を自動的に実行・報告する車両インテリジェンスシステム
  • IP67またはIP68レベルの防水バッテリー。
  • 1万4000マイル(約2万2500キロメートル)を走行できるバッテリー寿命。平均的な使い方を毎日続けても10年以上は耐用できる。
  • 独立した機関による6万回以上の衝撃試験に耐えた機械設計

業界企業による包括的な安全性報告書の公表(2019年春)

当然のことながら、安全性は、マイクロモビリティの創始期から今に至るまで最重要課題であり、最も議論されてきた側面でもある。そのため、2018年1月にバードは業界の中でいち早く、最も大規模な「ヘルメット無料配布キャンペーン」を実施し、他にもさまざまな安全対策を導入し始めた。

2019年4月、バードはこれらの取り組みを、電動キックボードの安全性に関する包括的な報告書にまとめた。これは、現代のマイクロモビリティシステムに深く切り込んだ初めての報告書であり、電動キックボードにも自転車と同様のリスクや脆弱性があることが、事故報告書やその他のデータに基づいて説明されている。この報告書を土台として、モビリティ事業者と自治体が、電動キックボードの利用者や歩行者に限らず、道路を使うすべての人を守るために協力して安全対策を講じることができるようになった。

ここ1年半ほどの間、バードは、同報告書の内容や、それを支持する他の論文に基づき、電動キックボードの安全性に関する業界標準の策定に役立つ革新的な機能を考案、開発してきた。例えば以下のようなものだ。

  • マイクロモビリティのシェアリング業界初の「ヘルメット自撮り機能」でヘルメット着用を促す。
  • マイクロモビリティのシェアリング業界初の「ウォームアップモード機能」で新規利用者にも使いやすくする。
  • 業界初、かつ業界で最も正確なジオフェンシング機能により、電動キックボードの速度を落とせるようにし、走行禁止区域を設定する。
  • データ共有に関する信頼性の高い基準や慣行により、自治体による自転車やキックボード用のインフラ整備を後押しする。

Open Mobility Foundation(オープン・モビリティ・ファウンデーション)の設立(2019年夏)

前段落の最後の項目は特に重要である。自治体は、路上の交通量を制限し、自転車やキックボード用のインフラを最大限まで拡大するために必要不可欠な存在だ。しかし、道路を利用する人すべての安全向上に役立つこの戦略は、信頼性が高く標準化されたデータがなければ成立しない。

バードはサービス開始以来ずっと、責任ある方法で自治体とデータを共有すべきであると積極的に主張してきた。しかし、一企業としてだけでなく、複数の組織が協力してマイクロモビリティ業界共通のモビリティデータ標準策定を支援するような団体はなかった。

この状況は2019年6月に一変した。ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなどをはじめとする都市の自治体と、バード、Microsoft(マイクロソフト)、非営利団体のコンソーシアムであるOASIS(オアシス)により、オープン・モビリティ・ファウンデーション(OMF)が創設されたのだ。会長を務めるロサンゼルス市交通局長Seleta Reynolds(セレタ・レイノルズ)氏は、フォーブス誌に次のように語っている。「OMFは、安全向上、収益確保、健康促進という、自治体にとって重要な目標を、CO2排出量を減らし、渋滞を緩和しながら達成できるよう助けてくれるプラットフォームだ」。

オープンソースのコードと共有データを活用し、モビリティ事業者と自治体が協力してマイクロモビリティシステムを管理すると聞くと、いったい何のことかと少し不安に感じるかもしれないが、その効果は日常生活の中ではっきり目にすることができる。例えばアトランタでは、電動キックボードに関するデータが自治体と共有された結果、市内の自転車専用レーンが2021年までに4倍に拡張されることになった。サンタモニカでは、キックボードのデータに基づき、19マイル(約30キロメートル)分のマイクロモビリティ専用インフラを新たに整備するための修正法案が提案され、承認された。

英国とニューヨーク州における電動キックボードのシェアリング合法化(2020年春)

今年、英国ニューヨーク州で電動キックボードのシェアリングが合法化され、それぞれの場所で試験運用が始まったことは、特に革新的とは言えないかもしれない。しかし、電動キックボードのシェアリング利用回数が2021年に5億回を突破するためには欠かせない展開だ。

環境と都市交通の分野において、ロンドンとニューヨークは世界の他の都市よりも重要な意味を持つ。この2都市だけで人口は1700万人をかぞえ、1日あたりの自動車の利用回数は1000万回を超える。これだけ人口密度が高く、車両があふれている両都市に電動キックボードを導入すれば、毎日の通勤は劇的に変わるだろう。新型コロナウイルス感染症のせいで公共交通機関が苦戦を強いられている今のような状況であれば、なおさらそう言える。これは、自治体にとっても、市民や環境にとっても、うれしい進展だ。

これだけ利用者が多いマイクロモビリティから収集されるデータは、ニューヨークとロンドンのインフラ整備状況を把握するのに役立つだけではない。マイクロモビリティに関するテクノロジーの迅速な進歩につながる研究を促進し、そのテクノロジーを世界各地ですばやく活用するためにも役立つ。

今後の展望

以上のことから何がわかるだろうか。電動キックボードのシェアリングサービスが誕生してからこれまでの4年間と、利用回数5億回を目前に控える今の状況は、マイクロモビリティの将来について何を示唆しているのだろうか。

第一に、この業界の成長は今後も続いていくと考えられる。道路渋滞や都市部の空気汚染を改善できる、適応性が高くて環境に優しいソリューションに対する需要は2020年のコロナ禍以前から高かったが、今では、単に望まれているだけでなく、必要な存在とみなされている。今後、電動キックボードは娯楽の延長ではなく、都市交通網の要となる乗り物になっていくだろう。その際、自治体とモビリティ事業者には、互いに緊密な関係を築いて、協力し合うことが求められる。これには、自転車や電動キックボードのシェアリング利用者が安全に使えるインフラを、データに基づいて大々的に整備することが含まれる。

第二に、電動キックボードのテクノロジーは引き続き、安全性と持続可能性という2本の柱を中心に進歩していくだろう。これには、キックボード本体の形状や機能だけでなく、本体を管理する日々のオペレーションも関係してくる。進歩の度合いは、製品寿命の長期化、バッテリー性能の改善、耐久性の向上、診断機能の強化といった尺度で判断できる。

最後に、数億回に及ぶ利用から収集されたデータが蓄積していくにつれ、都市交通の需要をより明確かつ詳細に理解できるようになるだろう。これにより、危険が予測される地域を特定し、その対策として、効果の高い措置を低コストで講じることができるようになり、それぞれの道路や時間帯に特有のニーズに基づいて都市計画を策定することが可能になる。

現在の傾向が続いたら(というよりも、そうなることを確信できる十分な根拠があるのだが)、最初の5億回達成まで4年かかった電動キックボードのシェアリング利用回数はすぐに、1年もかからずに倍増して世界合計10億回に到達するようになるだろう。

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タグ:電動キックボード コラム

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(翻訳:Dragonfly)

EPA発表のフォードMustang Mach-Eの走行距離は340〜483kmと平凡な結果

EPA(米環境保護庁)はMustang Mach-E(マスタング・マッハ-E)に関する調査結果を発表したが、そこには良いニュースと悪いニュースが混在していた。モデルによって異なるが、EPAによれば、Mach-Eの走行距離は211マイル(約340km)から300マイル(約483km)の範囲に収まるとのこと。Mach-Eの走行距離はFord(フォード)が提示したものと一致しており、EPAがそれを認めた形になった。だがその一方で、この数値はライバルとなる他メーカーの車種をずいぶん下回るため、競争の激しい電気自動車市場では劣勢になるという問題がある。Fordは9月にMach-Eを値下げしている。

Mach-Eには、標準レンジと延長レンジの2タイプのパワートレーンがある。どちらも、オプションでデュアルモーターの全輪駆動仕様が選べる。延長レンジでは、走行距離が60〜70マイル(約70〜113km)延長される。このオプションを選択すれば、全輪駆動仕様で270マイル(約435km)、後輪駆動仕様で300マイル(約483km)走れるようになる。標準レンジでは、全輪駆動仕様が211マイル(約340km)、後輪駆動仕様が230マイル(約370km)だ。

これらの数値は、フォードがMach-Eで目標にしていたものとほぼ一致しており、同メーカーの技術力を向上が伺える。

だが、後輪駆動モデルの300マイルという最高の値ですら、Mach-EはTesla(テスラ)Model 3の走行距離を大きく下回る。Mustang Mach-Eと同等の価格でありながら、Model 3は400マイル(約644km)走ることができる。Mach-Eにより近いライバルとなるModel Yも、やはり走行距離で秀でている。デュアルモーターで全輪駆動というこのTeslaのクロスオーバーモデルは、同じ仕様のMach-Eの270マイル(約435km)に対して、最大走行距離が326マイル(約525km)と長い。

Mustang Mach-Eはフォード初となる主力電気自動車だ。予約していた人たちには12月から納車が開始される。この車両は、ますます競争が激しくなる分野に投入されようとしている。TeslaとともにMustang Mach-Eは、夢のようなPolestar(ポールスター)2やAudi(アウディ)の車種を増やしつつある電気自動車ラインアップ、Kia(起亜)やHyndai(現代)のお手頃なクロスオーバーなどと対抗して販売を伸ばさなければならない。あるものはこの同社初の電気自動車よりも走行距離が長く、あるものは価格が安い。

Mustang Mach-Eは、フォードによる電気自動車の最初の提案に過ぎない。走行距離がマーケットリーダーよりも劣ることは、同社も承知していたはずだ。目標は、楽しくて手頃な価格のフォード製電気自動車の「馬小屋」を立ち上げることのようだ。だとすれば、走行距離は短いものの、Mach-Eはその役割を果たしている。

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タグ:Ford電気自動車Mustang Mach-E

画像クレジット:Ford

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(翻訳:金井哲夫)

テスラの時価総額が約54兆円に、2020年初めの5倍

Tesla(テスラ)株の急騰により、同社の時価総額は年初から5倍の5150億ドル(約53兆7900億円)以上にまで上昇した。

伝統的に不安定なテスラの株式は、激しい値動きを続けてきている。しかし2020年3月に最安値を記録して以来、同社の株価は上昇基調にあり、8月にはそれが加速した。テスラの株価は朝の取引で4.6%上昇して545.62ドルとなり、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏をBloombergの億万長者指数の上位に押し上げた。米国時間11月25日の時点でマスク氏の純資産は72億4000万ドル(約7600億円)上昇し、1280億ドル(約13兆3700億円)以上になった。世界一の富豪になるためには、Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏だけがその道を阻んでいる。

テスラの株価は12月にS&P500指数に追加されるという先週のニュースにより、先週から上昇している。11月20日以降、テスラの時価総額は520億ドル(約5兆4300億円)以上増加しており、これはFord Motor(フォード・モーター)社の時価総額の1.5倍近くに相当する。

​S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは米国時間11月16日、テスラが12月21日の取引開始前に正式にベンチマークインデックスに加わることを発表し、同社をApple(アップル)、Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)、Microsoft(マイクロソフト)などの有力企業と同じカテゴリーに入れた。

テスラがS&P 500に加わると、ベンチマークの中で最も価値のある企業の1つとなるだろう。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは浮動株調整後の時価総額を一度に追加するか、2トランシェで追加するかを検討している。

テスラのS&P 500銘柄への追加は、単なる象徴的な意味で終わらない。S&P 500に加わることで、インデックスファンドを保持する投資家は株式の購入を余儀なくされるため、実質的な財務上のメリットがある。株価はすでに急騰しているため、投資家はテスラのために他の銘柄を売らなければならなくなる。

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タグ:Tesla
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Lunewaveが自動運転用レーダーナビシステムの商品化へ前進、約7.3億円調達

自動運転車のための画期的なレーダー技術を開発するアリゾナのスタートアップLunewave(ルーンウェーブ)は、このシステムの商品化に向けた準備を整える中、700万ドル(約7億3000万円)の資金調達を行った。

今回の資金はProeza Ventures、Blue 9 Capital、Tsingyuan Ventures、Intact Venturesからの投資であると同社は話している。

この資金を使い、Lunewaveは一次サプライヤーと協力して、同社のレーダーセンサーの戦略的パートナーシップの確立と共同生産を継続すると、同社の最高責任者であり共同創設者であるJohn Xin(ジョン・シン)氏は話す。

3Dプリントで作られるルネベルグレンズは、広帯域幅、高利得、高容量により、あらゆる方向に複数の高品質なビームを生成できるという特徴がある。同社によれば、そのセンサー2基で今日使われているレーダーセンサー20基分をカバーできるという。

Lunewaveは、すでにOEM製造業者や配車サービス企業と、いくつもの開発前プロジェクトを済ませている。「製品の商品化のための正式契約によるパートナーシップ締結まで、あと一歩です」とシン氏。「第1四半期の終わりまでには、世界各地の一次サプライヤーとの戦略的パートナーシップを発表できる予定です」。

センサーを支える大きな柱はカメラ、LiDAR、レーダーだ。その中でもレーダーは、厳しい気象条件でもうまく機能できる唯一のものだとシン氏は考えている。「近ごろ業界内では、それが哲学的な議論に発展しつつあります」とシン氏。「しかし私たちは、センサーフュージョンを信じています。安全性が何よりです。私たちの仕事は、レーダーというソリューションを業者選定の候補にすることです」。

シン氏は、今回調達した資金は、同社の製品開発チームとセールスチームの人員強化と、製品の洗練のために使われると話している。現在、同社の製品開発には2つルートがある。1つは単純に「一目散」に進めるもの。もう1つは、自動運転レベル3、4、5を目指したものだ。

同社はまた、業務用車両市場に食い込みたいとも考えている。そこが、Lunewaveに本物の引き合いが来る場所だと、シン氏は見ている。

「先進運転支援システムと自動運転システムは、これからも車両への導入が続きます。レーダーがこの2つのシステムの中核的コンポーネントになることが、力強い成長につながると私たちは信じています」とPotenza Venturesの業務執行取締役Rodolfo Elias Dieck(ロドルフォ・エリアス・ディーク)氏は話す。

同社は、水平面で180度の視野と、今日使われているシステムの6倍の解像度で車の周囲の物体を検知(遠距離でも悪天候でも)できる技術を誇っている。

今回の投資の一環として、BMWの元取締役Peter Schwarzenbacher(ピーター・シュワルツェンバッハ)氏とDelphi(デルファイ)の元幹部であるJames Zizelman(ジェームズ・ジゼルマン)氏がLunawaveの取締役会に加わることになった。ジゼルマン氏は現在Stoneridge Control Devices(ストーンリッジ・コントロール・デバイセズ)の社長を務めており、それ以前は、Aptive(アプティブ)のエンジニアリング副社長、Delphi Automotive(デルファイ・オートモティブ)の幹部を務めていた。

「Lunewaveが市場に持ち込もうとしている技術は、究極の価値提案をもたらします」とジゼルマン氏はいう。「そのイノベーションは、視野、解像度、その他の特性に真に秀でた技術的能力のみならず、複数のレーダーユニットを、より高性能で費用対効果の高い1つのLunewaveデバイスに置き換えてしまう機会をも提供します」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lunewave自動運転資金調達

画像クレジット:J. Kyle Keener / The Fosgard Group

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転トラックで食料・生活雑貨などを運ぶGatikがカナダ小売大手Loblawと提携

「中距離」専門の自動走行車両スタートアップGatik(ガティック)は、顧客がオンラインで注文したグローサリー、食料や生活雑貨、日常品などをWalmart(ウォルマート)のために輸送するのに自動運転ボックス型トラックを使用している。そして現在、GatikはシリーズAで2500万ドル(約26億円)を調達し、小売大手Loblaw(ロブロー)との提携の下、カナダに進出する。

Gatikは米国11月23日、トロントに配置する5台の自動運転ボックス型トラックが2021年1月からLoblawの商品輸送に使われると発表した。共同の試験事業として、全車両にセーフティドライバーが乗り込む。トロントエリアで10カ月にわたって走行するこのトラックは、カナダでは初の自動運転配達車両となる。

「多くのカナダ人がオンライングローサリーショッピングに目を向けるようになっていて、当社のサプライチェーンをより効率的なものにする方法を模索してきました。中距離の自動走行車両による配達は素晴らしい例です」とLoblawのデジタル担当上級副社長Lauren Steinberg(ローレン・ステインベルグ)氏は声明文で述べた。「今回の展開により、トロント内の店舗のPC Expressオンライングローサリー注文の需要に対応するために、当社の自動化された商品選別施設から1日に複数回商品を出すことができます」。

自動走行車両を使って配達する他の企業と異なり、Gatikは消費者をターゲットとはしていない。その代わり、同社は大型の配送センターから小売店舗へと商品を運搬するのに自動走行トラックを使っている。Loblawとの事業では、GatikはFord(フォード)のTransit 350ボックストラックに冷蔵設備、リフトゲート、そして自社の自動走行ソフトウェアを搭載する。

「小売事業者はロジスティック業務における最大の非効率性が中距離の商品輸送にあることを知っています。自動化された商品選別施設と小売店舗の間の距離が典型的なものです」とGatikの共同創業者でCEOのGautam Narang(ゴータマ・ナラン)氏は声明文で述べた。「それこそがGatikが取り組み、成功している分野であり、当社が顧客にすぐさま価値を提供できる理由です。Loblawのサプライチェーンの重要な問題を解決すべく提携できることをうれしく思います」。

Gatikの「中距離」B2BへのフォーカスはWalmart、そしてGatikのシリーズAラウンドを共同でリードしたWittington VenturesInnovation Endeavorsといった投資家を引きつけた。既存投資家のDynamo Ventures、Fontinalis Partners、AngelPadとともに、FM CapitalとIntact VenturesもシリーズAラウンドに参加した。同ラウンドはLoblawとの提携と一緒に発表された。Gatikの累計調達額は2950万ドル(約31億円)になる。

同社は調達した資金を北米での業務の増強、そしてカリフォルニア州パロアルトとトロントの施設での雇用に充てる計画だ。小売事業者との提携と車両配置の拡大を進めている、とナラン氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GatikLoblawグローサリー自動運転資金調達カナダ

画像クレジット:Gatik

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(翻訳:Mizoguchi

電動自転車Charge Cityレビュー、実用的で万人向けな英国製、価格約15.5万円


英Charge Bikesの創設者であるNick Larsen(ニック・ラーセン)氏と製品担当副社長のPeter Vallance(ピーター・ヴァランス)氏は、電動自転車を購入して所有することの苦痛を軽減し、日常生活で自転車を使う人々やサイクリング愛好家を惹きつたいと考えた。

同社は、週末のレジャーライドに最適な「Comfort」、通勤者向けの「City」、オフロード愛好家向けの「XC」という3つのモデルを販売している。私はしばらくの間、Cityに乗れる機会を得たので、日用品の買い物に出かけ、使い勝手を確かめてみた。

この電動自転車は、250Wを発生するギアハブモーターを搭載。最高速度20km/hまでペダルをアシストする。取り外し可能なロック式バッテリーは、1回の充電で約80kmの距離を走行可能だ。シマノ製Tourney 7段変速機や、前後のライト、折りたたみ可能なペダルとハンドルバー、パンクに強いグッドイヤー製タイヤを装備し、さらにタイヤ空気圧センサー、速度とパワーアシストセレクターを表示する見やすいディスプレイも搭載されている。フェンダー、ラック、便利でダンディなキックスタンドを含めても、重量は約20kgほどに抑えられている。

画像クレジット: Charge Bikes

開梱は簡単で、発泡スチロールの梱包が省かれているのが好ましい。私は手を動かしてモノを作るのが本当に好きなのだが、この自転車の組み立ては簡単すぎた。ハンドルとペダルを広げて前輪を取り付け、シートポストを調整するだけ。タイヤに空気を入れてバッテリーを充電したら、乗車準備完了だ。

まずは平坦な場所から乗り始めた。ほとんどの場合、電動モーターの設定は「最高」で使用した。そうしない理由があるだろうか?シート、グリップ、乗車姿勢は快適で、楽に長く乗れそうだ。

折りたたみ式のペダルには違和感があった。曲がったりしなったりするため、クランクから車輪に伝わる力を失っているのではないかと気になった。壊れてしまうのではないかと心配になる。しかし、折りたたみ式のハンドルバーはしっかりと固定されている感じがして、まったく不安はない。

画像クレジット:Charge Bikes

会社の宣伝文句の1つである「汗をかかずに、行って帰ってこれる」という言葉は、少なくとも私にはまったく当てはまらなかった。平坦な道では十分に速く、ペダルを見事にアシストしてくれるが、私が期待していたような「平地のように坂を登れる」自転車ではない。オークランドにはたくさんの丘があり、地元の食料品店に行くルートにはいくつかの変化に富んだ傾斜があった。最も急な坂道では、アシストレベル5で必死に漕いでも速度は8km/hがやっとだった。

それでも電動アシストがないより、あった方がいいことは間違いない。私が普通の自転車でこんな坂道に挑むことはまずないだろう。普段はクルマでこの食料品店に行くのだが、電動自転車を持っていればクルマを駐車場に置きっぱなしにしておける。素晴らしい。

この自転車にはクリティカルポイントが、決定的なものではないけれどいくつかある。まずフェンダー。便利な装備だが、しばしば曲がってタイヤに擦れてしまう。それから折り畳み可能なペダルは良いアイディアだが、私ならストラップが付いた普通のペダルに交換したい。

坂道を登る途中では、ギアが変速しなくなるという問題にも出くわした。そんな状況でより軽いギアに切り替えられないというのは最悪な事態である。これは親指で電動アシストのパワーを最大に発揮させているときに起こった。また、充電器がひと晩でバッテリーを100%充電できないという問題も発生した。これは何度か起こったし、原因も私にはわからない。一度すべてのプラグを抜き、また差し込むと直る。不思議なことに。

画像クレジット: Charge Bikes

総合的に見て、Cityは一般的な人々が普段の生活で使うための非常に実用的な自転車といえる。購入から保管に至るまで、電動自転車を所有する上で抵抗となる点を、Charge Bikesは本当に減らしてくれた。Cityは同社のサイトで1499ドル(約15万5000円)で購入できる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Charge Bikes電動自転車レビュー

画像クレジット:Charge

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(翻訳:TechCrunch Japan)

カリフォルニア州がロボタクシー会社Waymoなどの有料サービス提供にゴーサイン

カリフォルニア州でロボタクシーサービスを運用しようとしている企業は、ドライバーレス乗車を有料で提供できるようになる。ただしそのためには、不必要な官僚主義によって、提供が2年以上遅れると業界の一部で批判されている政府の承認プロセスを進める必要がある。

カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は米国時間11月19日、認可を受けた企業が無人自動車を使ったライドシェアリングを有料で提供することが可能になる新しいプログラムを2件承認した。

生まれたばかりの自動運転自動車テクノロジー業界は、CPUCに対する数カ月にわたるロビー活動で無人車両によるライドシェアの運用と有料サービスを可能にする規則変更を要求してきた。今回の決定はおおむね歓迎されているがいくつか気になる点もある。

「本日CPUCが商業無人ライドシェアリングに関する規制の枠組みを承認したことを喜んでいます」とWaymo(ウェイモ)のカリフォルニアポリシー責任者であるAnnabel Chang(アナベル・チャン)氏はメールによる声明で語った。「同委員会によるこの待望の決定によって、Waymoは自社の完全無人Waymo Oneライドシェアリングサービスを地元の州で提供できるようになります。CPUCの決定は当社の最新技術をサンフランシスコに持ち込む最適なタイミングで下されたものであり、私たちのWaymo Driverをカリフォルニア州民向けのサービスに使用できることを楽しみにしています」。

運用会社は有料サービスを明日から始められるわけではない。将来のロボタクシー運用会社はCPUCとカリフォルニア州運輸局(DMV)から正式な認可を受ける必要があり、何種類かの報告義務を負う。ドライバーレスサービスの申請は、ライドシェアリングの有無によらず申請できる。

さらに参加企業は、安全計画と四半期報告書をCPUCに提出し、個々の乗車の乗降場所に関する匿名集計情報、車椅子利用可能な運行回数、受難地域に対するサービスレベルなどを報告する必要がある。他にも車両で使用する燃料のタイプや電力、走行距離と賃走距離なども提供しなくてはならない。

GM傘下のCruise(クルーズ)は、CPUCに提出したコメントの中で主要な障壁を1点指摘している。プログラムへの参加を希望する企業は、「Tier 3」通知書の形式で申請書を提出しなければならない。Tier 3プロセスによって運行認可を取得することは州の他の輸送、安全性および排気量削減の目標と矛盾するとCruiseは主張している。

「CPUCとのDMV両方から認可を得るためのプロセスには2年以上かかる可能性があり、ニーズの緊急度を踏まえるとあまりにも長過ぎます」とCruiseが提出文書に書いている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Waymoロボタクシー

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、今後5年間で電気自動車と自動化テクノロジーに270億ドル(約2兆8000億円)を注入すると述べた。ガソリン・ディーゼルへの投資を超える35%増で、プロダクトのすばやいマーケット投入を狙う。

GMの設備投資と開発チームの半分以上を電気自動車・電気自動運転車のプログラムに充てる、と同社は述べた。

同社はまた、GTM戦略タイムラインを加速させ、さらに多くのEVをポートフォリオ計画に加える。米国時間11月19日、2025年までに電気自動車30モデルをグローバルマーケットで展開するという野心的な計画を明らかにした。同社は以前、2023年までに20モデルのEVの展開を約束している。同社によると、それらのモデルの3分の2以上が北米で展開されCadillac、GMC、Chevrolet、Buickを含むGMのすべてのブランドにEVが含まれる。

GMの計画の加速は、9カ月前倒しの2022年第1四半期にCadillac Lyriq SUVを立ち上げるのを含め、自動車業界でEVに関する動きが活発な中でのものだ。数多くのスタートアップが公開企業となるためにSPAC(特別買収目的会社)との合併を発表した。大規模展開するのに必要な資本を確保するのが目的だ。Ford(フォード)やVW Group(フォルクスワーゲン・グループ)といった既存の車メーカーは自前のEV計画を展開している。車業界で電気自動車メーカーとしての地位を確立したTesla(テスラ)は増産するためにオースティンとベルリンに工場を建設する。2021年末までに消費者はLucid Motors Air、Rivian R1Tピックアップトラック、FordのMustang Mach-Eなど、いま以上に多くのEV選択肢を持っているはずだ。

「ただ参加するのではなく、リードしたいのです」とGMのグローバルプロダクト開発・購入・サプライチェーン担当の上級副社長Doug Parks(ダグ・パークス)氏は発表に先立つ記者会見で述べた。「Teslaはいいスタートを切りました。そして素晴らしいことを成し遂げ、手強いライバルになっています。多くのスタートアップ、その他の企業もこの分野に進出していて、当社はリーダーシップを失うつもりはありません」。

GMの戦略は従来の手法を精算して典型的な50カ月の開発サイクルを凝縮し、官僚主義でないチームにフォーカスしたアプローチを受け入れることだ、とパークス氏は話した。例えば電動GMC Hummerのデザインからマーケットまでのタイムラインは26カ月になる、と述べた。同氏はまた、次世代EVプログラムの根底をなす、Ultiumバッテリーアーキテクチャとドライブユニットの初期の取り組みによって同社は早く動けると追加した。

その結果、GMは3モデルのGMC電気自動車の開発を進めているとパークス氏は述べている。これらのモデルはすべて、そしてピックアップやコンパクトクロスオーバーを含むChevrolet EVの4モデル、Cadillacの4モデルもUltiumを使っている。BuickのラインナップにはUltiumベースのEV2モデルが含まれる見込みだとGMは話した。

GMはまた、ペースを維持し最終的には競争を勝ち抜くために人材を探している。同社は2020年11月初め、電気システム、インフォテイメントソフトウェア、コントロールのエンジニア3000人、それからJava、Android、iOS、その他のプラットフォームのためのデベロッパーを雇用すると明らかにした。

同社はモジュラーアーキテクチャのためのバッテリー開発・供給でLG Chem(LG化学)と合弁会社も立ち上げた。Ultiumと呼ばれるこのモジュラーアーキテクチャ(バッテリーの名称と同じだ)は19種類のバッテリーとドライブユニットコンフィギュレーション、容量50kWh〜200kWhの400ボルト、800ボルトのパック、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動コンフィギュレーションに対応する。このモジュラーアーキテクチャのキモは新しい工場で製造される大きな電池だ。

2社はこれまでに、最大23億ドル(約2390億円)を合弁会社に投資すること、オハイオ州北東部のローズタウンの敷地に電池組み立て工場を設置することを約束していた。新工場では新たに1100人の雇用が生まれる見込みだ。

すでに建設中の工場は年間30GWh分を製造できる。これに対し、パナソニックと一部提携しているネバダ州スパークスにあるTeslaの工場の製造能力は35GWhだ。

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Limeが2021年にバイクとスクーターに続く第3の乗り物追加を計画

Lime(ライム)は今週、パリで第4世代のスクーターを投入する。同社がいうところの財政的な転換点と成長に向けたコミットメントを表すものだ。しかし単なる新プロダクトの展開では終わらない。

LimeのCEO、Wayne Ting(ウェイン・ティン)氏は米国時間11月19日、WSJ(ウォールストリートジャーナル紙)のFuture of Everythingイベントで、バイクとスクーター以外の「3つめのモード」と、プラットフォームへのサードパーティー企業の追加を2021年第1四半期に展開すべく取り組んでいることをほのめかした。2020年初め、Limeはいくつかの都市でWheelsブランド電動バイクのアプリでの扱いを始めた。こうした提携がさらに広がる、とティン氏は述べた。

「3つめのモード」について、同氏はスクーターよりもわずかに長い距離の走行に対応し、荷物の運搬に優れているとだけ説明し、詳細は明らかにしなかった。

「スクーターを利用しないさまざまな人に引き続きアピールしたい」と同氏は語った。

Limeは現在、寿命2年だった前世代を超える第4世代モデルの展開に注力している。2021年初めに欧州中で導入される予定だ。

第4世代モデルはバイクのハンドルのデザインと似ているスウェプトバックのハンドルバーを搭載していて、これによりより快適なグリップになっているとLimeは語る。またサスペンションも改良され、タイヤも大きくなった。そしてデュアルハンドブレーキシステムを採用し、スクーターの重力の中心を最適化するためにベースボードを下げた。2本足のキックスタンドも備えている。

おそらく最大の変化はバッテリーを交換できるようにしたことだ。これについてティン氏は「既存テクノロジーの大きな改善」と表現した。バッテリーはLimeの車両で交換可能で、オペレーションを合理化するものだと同社は話した。

同社は、営業活動によるキャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに第3四半期はプラスで、2021年は特定のコストを除き(EBIT)通年で黒字になるペースだと述べた。ティン氏によると、黒字達成により同社は引き続き商品開発に投資し、サービスエリアを拡大できる。

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ヒュンダイとAptiveの合弁会社がドライバーレス自動運転車両のテスト許可をネバダ州で取得

Aptive(アプティブ)とHyndai(ヒュンダイ)が自動運転車の商業化を目的に計40億ドル(約4165億円)を投資して設立した合弁会社Motional(モーショナル)は、完全無人の自動運転車両を公道で走らせる準備をしている。ネバダ州から走行許可を取得した。

同社の会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は米国時間11月17日、安全ドライバーが乗り込まない自動運転車両のテストをネバダ州が許可した、とブログへの投稿で発表した。

といっても、そうした車両が明日からラスベガスの通りを走るわけではない。自身のAVスタートアップであるnuTonomy(ヌートノミー)が2017年にAptivによって買収されたイアグンマ氏はその後Motionalに移ったが、Motionalが今後数カ月を同氏がいうところの「自ら課した厳しいテストと評価の期間」の完了に費やすと話した。目下進行中のテストと評価の期間には、公道・私道での自動運転車両のパフォーマンス・安全の研究が含まれる。そうしたタイムラインに基づくと、ドライバーレス車両の公道でのテストは2021年初めに始まりそうだ。

イアグンマ氏はまた、Motionalが「世界で最も尊敬されている安全評価者」の1人と協業していることも明らかにした。その人物の名前は明かさなかったが、安全と評価の進展度合いについての詳細が数週間内に発表されるとTechCrunchに語った。

Motionalはラスベガスを多少は知っている。Aptiv Autonomous Mobility GroupとしてMotionalは、バックアップドライバーが運転席に乗り込んだ自動走行車両のテストをラスベガスで数年間行った。同社は2018年1月、CES期間中にロボタクシーサービスをテストするためにLyft(リフト)と1週間のプログラムを展開した。ドライバーが乗り込んでの一時的な実験は延長され、現在も展開されている。2020年2月時点で、LyftアプリのためのAptivの自動運転車両で10万回超の有料の乗車があった。

Aptivのラスベガスでの投資は乗車数が増えるにつれ拡大した。同社は2018年12月に自動運転車両、そしてソフトウェアとハードウェアのシステムのR&Dと認証、マッピングを行うエンジニアチームを収容するため、13万平方フィート(12万平方メートル)のテクニカルセンターを同市に開所した。

イアグンマ氏によると、完全ドライバーレスのテストは、ラスベガスにおけるLyftネットワーク上での同社の自動運転車両の展開とは別となる。

Motionalと命名されたヒュンダイとの合弁会社が、ラスベガスそしてピッツバーグなど米国内の他都市、そしてシンガポールや韓国など海外でも取り組みを進めている。目的は、左側走行や右側走行、炎天下、大雨、高速道路、街中の通り、環状交差点、制御されていない交差点などさまざまな国の道路環境でナビゲートできるAVテクノロジーを構築することだ、とイアグンマ氏は話す。

不明なのは、こうしたドライバーレスの車両がどこで展開され、いつ一般利用が可能になるのかということだ。もしMotionalが、ドライバーレスのサービスをフェニックスエリアで広く展開し始めたWaymo(ウェイモ)に続くのであれば、プロセスはゆっくりしたものになり、テストは数カ月続くことになりそうだ。

もう1つわからないのは、Motionalがドライバーレスのサービスを展開するのにLyftや他の企業と提携するかどうかだ。2020年10月、MotionalとオンデマンドシャトルのVia(ヴィア)は一般向けの共有ロボタクシーサービスを2021年上半期に米国の都市で立ち上げる計画を発表した。両社はその際、オンデマンド共有ロボタクシーサービスの「青写真」を描き、こうした車両がどのように大量輸送に組み込まれるかを理解することが目的だと述べた。Viaとの提携はまずセーフティドライバーが乗り込んだ車両で始まる。

提携とサービスについての詳細は乏しい。MotionalとViaはサービス展開都市を特定せず、 サービスを展開する地理的範囲、使用される車両の台数やタイプも明らかにしなかった。ただ、サービスはMotionalがすでに展開している米国の都市の1つで立ち上げられると述べた。つまりボストン、ピッツバーグ、ラスベガス、サンタモニカのいずれかになると考えられる。

関連記事:Via、現代自動車、Aptivが米国でロボタクシーサービスを2021年上半期に展開

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