Nuroがトヨタ・プリウスベースの自動運転車と自社製R2配達ロボで米大手薬局チェーンの処方薬を配達

ソフトバンク・ビジョン・ファンドやGreylock(グレイロック)などの投資企業から10億ドル(1070億円)以上を調達した自律型ロボットのスタートアップであるNuro(ニューロ)は米国時間5月28日、米国の大手薬局チェーンのCVS Pharmacy(CVSファーマシー)と提携して、処方薬の配達試験をヒューストンで実施すると発表した。この試験運用でNuroは、まずはトヨタ・プリウスをベースにした自動運転車を使い、あとで自社製R2配達ロボットに切り替えていくという。開始予定は6月となっている。

今回の提携によりNuroは、食料品を超えて医療へと範囲を拡大することになる。先月、同社はその自動配達車を使って、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック対応として建てられたカリフォルニアの仮設病院への食料品と医療用品を配達するなど、医療分野への足がかりを作っていた。

今回の試験運用は、テキサス州ベルエアーにあるCVS Pharmacyの1店舗を中心に行われ、3つの郵便番号の地域が配達の対象となる。利用者は、CVSのウェブサイトまたは薬局アプリで処方薬を注文すると、そこで自動配達のオプションが選べるようになる。このとき、処方薬以外の商品をついでに頼むことも可能だ。自動配達車が到着したときに、利用者は自分の身元証明を行うと品物が受け取れるようになる。CVSの利用者であれば配達料金は無料。

「処方薬の配達は、次第に需要が高まっています」と、CVS Health(CVSヘルス)店舗運営担当上級副社長Ryan Rumbarger(ライアン・ランバーガー)氏は、事前に用意されていた声明の中で述べている。「私どもの薬局へ足を運んでいただくことが難しい今の時期、お客様がいち早く必要なお薬を入手できる方法を増やしたいと考えています」。

Nuroは、すでにヒューストン地区での運用を開始している。Wlamart(ウォルマート)は、昨年12月にヒューストン市場でNuroの自動運転車を使った食品の自動配達を試験的に行う計画を発表した。この試験運用では、自動配達を望むヒューストンの一部の人たちを対象に、Walmartのオンラインストアで購入した商品をNuroの車両が配達する。これには、運転者やその他の人を乗せず、品物だけを運べるNuroの自社開発配達車両R2とプリウスが使われる。

Nuroはまた、2018年、自動運手化したプリウスと、R1として知られる初代の自社開発ロボットを使った試験を、スーパーマーケット大手チェーンのKroger(クロガー)とその傘下のスーパーマーケットFry’s(フライズ)との提携で進めている。R1は、アリゾナ州フェニックスの郊外スコッツデールで、安全のための運転者を乗せない無人配達サービスにも使われていた。2019年3月には、Krogerの配達サービスをヒューストンに移し、自動運転化したプリウスで開始している。

画像クレジット:Nuro

医療用品や食料を自動配達する、人と接触しないNuroのプログラムも続いている。昨年4月に始まったこのプログラムでは、NuroのR2ロボットを使って2つの施設で実施された。ひとつはサンマテオのイベントセンター、もうひとつはサクラメントのスリープ・トレイン・アリーナだ。これらは現在、新型コロナウイルス患者のための仮設病院になっている。Nuroは、毎週、双方の施設の50人以上の医療スタッフに食事と用具を配達している。

仮設病院でのプログラムがいつまで続くかは不透明だ。先週、この2つの仮設病院に入院していた患者は25人だった。スリープ・トレイン・アリーナは、カリフォルニア州機器管理局を通じて6月30日まで患者を受け入れる。この仮設病院は、今年末まで山火事の被災者のためのシェルターとして使われる可能性もある。

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾン支援のEVメーカーRivianが保険商品の提供を計画か

Rivian(リビアン)は保険代理業務のデータマネージャーを募集する求人情報を掲載しており、これは電気自動車メーカーが顧客に独自の保険を提供する計画があることを示唆している。

この求人はRivianForumsが最初に投稿したもので、TechCrunchにも情報が寄せられている。さらに、Roadshow/CNETもこの新しいポジションについて報じている。Rivianは計画の詳細については明かさなかったが、保険分野でいくつかの求人情報があることは認めた。

Rivianのウェブサイトに掲載された求人情報によると、業務内容は同社の損害保険業務(P&C)を率いることであり、採用からトレーニング、コーチング、雇用されたライセンスを持つ販売エージェントと保険カスタマーケアチームを管理することが含まれているという。また被雇用者は保険商品を販売し、パートナーに販売機会に関するフィードバックを提供するという。

10年以上の経験を持ち、複数の州でP&Cのライセンス取得者を募集しているこの投稿は、これがグローバルな製品になることを示唆している。なお求人はミシガン州のプリマス本社ではなく、イリノイ州ノーマルにある自動車メーカーの工場を指定している。State Farm Insurance(ステートファーム・インシュアランス)の本社はイリノイ州ブルーミントンにあるので、Rivianは才能ある応募者の多く集めることができるはずだ。

この動きは、Tesla(テスラ)に倣ったもののようだ。テスラは昨年8月に保険商品を発売し、同社の電気自動車の所有者に他の保険会社より20%、あるいは30%も安い保険を提供すると約束した。Tesla Insuranceとして知られるこの商品は、カリフォルニア州の居住者のみが利用できる。テスラによると、この事業は将来的に米国の他の州にも拡大する予定だという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Vaya Africaが電気自動車タクシー配車システムを開始

ジンバブエの富豪であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシーワ)氏によって創業された、配車ベンチャーのVaya Africaは、電気自動車タクシーサービスとジンバブエ国内の充電ネットワークの運営を開始した。将来的には大陸全体に広げる計画だ。

南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフEVの一群を購入し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。

運用は今週ジンバブエで開始されるが、同時にVayaはオンデマンド電気タクシーとデリバリーサービスのためのパートナーシップを締結しようとしている。対象とする市場はケニア、ナイジェリア、南アフリカ、そしてザンビアなどである。

「ジンバブエは実際実験場です。私たちは、アフリカの様々な国でパイロットを行なう準備を進めています」とTechCrunchとの電話でジンバブエの首都ハラレから答えるのは、Vaya MobilityのCEOであるDorothy Zimuto(ドロシー・ジムト)氏だ。

Vayaはストライブ・マシーワ氏のEconet Groupの子会社だ、Econet Groupは他にも、南アフリカ最大の携帯電話会社の1つと、インターネットインフラストラクチャ企業である Liquid Telecomも傘下に抱えている。

マシーワ氏は、アフリカのビル・ゲイツ氏もしくはリチャード・ブランソン氏になぞらえられる人物となった、そして世界的には、オバマ元大統領ロックフェラー財団とのつながりや関係を持つ、ビジネスリーダーおよび慈善家として認められている。

Vaya EV製品でジムト氏と協力しているのは、Liquid Telecomのイノベーションパートナーシップの責任者であるOswald Jumira(オズワルド・ジュミラ)氏だ。

この動きは、アフリカのオンデマンドモビリティ市場が、ここ数年本格化していることを受けてのものだ。スタートアップ、投資家、そしてより大規模な配車事業者が人や物の移動にデジタル製品モデルをもたらそうと競い合っている。

エチオピアには、配車ベンチャーのローカル企業であるRide(ライド)とZayride(ザイライド)がある。Uber(ウーバー)は2015年からアフリカ大陸のいくつかの市場で活躍していて、競合他社のBolt(ボルト)と同様に、2018年にはアフリカ内でのオートバイタクシー事業に参入しした。

昨年大陸では、主に二輪車を中心に利用する配車やデリバリーに向けた、EV開発の動きが見られた。

2019年には、ナイジェリアのモビリティスタートアップの MAX.ngはヤマハの支援の下に700万ドル(約7億5400万円)のシリーズA資金調達を行ったが、その資金の一部は再生可能エネルギーを用いる電動二輪車の試験運用に使われた。

昨年ルワンダ政府は、EVスタートアップAmpersandと協力して、ガソリン式の二輪タクシーを電動式に徐々に移行する国家計画を策定した。

Vaya Mobility CEOのドロシー・ジムト氏(画像クレジット:Econet Group)

アフリカのタクシー市場に対して、電気自動車へのシフトが環境的なメリットを超えて持つアピール点は、長期的にメリットがあるユニットエコノミクスである。燃料のコストが大陸の大部分のドライバーたちにとって、個人の収入に比べて概して大きいという状況があるからだ。

「アフリカはエキサイトしています。なぜなら私たちは今やグリーン革命に乗っているからです。排出ガスなし、騒音なし、そして自動車のランニングコストという点での大幅な節約が可能なのです」とジムト氏は述べている。

彼女は、配車プラットフォームのドライバーたちの燃料およびメンテナンスコストが、40%削減できると見積もっている。

Econet Groupのオズワルド・ジュミラ氏によれば、現時点では、Vayaの最初の市場であるジンバブエの燃料価格は1リットルあたり約1.20ドル(約129円)であり、平均移送距離は22キロで運賃は19ドル(約2047円)である。

Vayaの充電ネットワークで日産リーフを使用した場合、移動距離150から200 kmで、チャージにかかるコストは約5ドル(約539円)となる。

画像クレジット:Vaya Africa

「恩恵を受けるのはドライバーです。より多くの収入を得ることができます。そしてそれはまた、配車企業の手数料を引き下げて、乗客の皆さまに、より手軽な価格を提供することを可能にするのです」とジュミラ氏はTechCrunchに対して語った。

同社は、アフリカにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に対して事業を対応させた。ジムト氏によると、VayaはドライバーにPPE(個人用防護具)を提供し、車を1日4〜5回消毒する。

Vayaは、配達からオートバイやトゥクトゥクタクシーなどの、他のオンデマンド輸送アプリケーションに対するEVオプションも模索している。

アフリカにおける Uberとの競争問題については、Vayaは、EVプログラムによって提供される割引運賃を1つの利点として指摘している。

Vaya MobilityのCEOであるドロシー・ジムト氏も、地域の文化や好みを知っていることの利点を指摘している。

「私たちは『アフリカ語』を話します。それが私たちが理解している言語です。私たちは人びとが、市場全体で何を望んでいるかを理解しています。それが違いを生むのです」と彼女は言った。

アフリカ全域でUberのような他の配車サービス会社と真っ向勝負する際に、VayaのEV注力と地元の消費者に対する知識の多さが、より多くの乗客の流れと収益の創出につながるかどうかが注目される。

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(翻訳:sako)

NearMeが少人数の通勤シャトルを運行、東京駅周辺と渋谷駅周辺で東京海上や東京建物などが利用

タクシー相乗りアプリ「nearMe.」(ニアミー)を提供するNearMeは5月28日、少人数制の通勤専用シャトルを6月1日から運行することを明らかにした。サービスエリアは、東京駅周辺、渋谷駅周辺の2エリアで、東京海上日動火災保険や東京建物をはじめとする10社が利用する。今後は、利用する企業・団体の要望によって、そのほかのエリアにも拡大していく予定だ。

事前予約制のため、万が一車内でウイルスに感染しても乗員を特的でき感染経路を追えるというメリットもある。シャトルには、ハイエースやアルファードなどのバンやミニバンが使われる。ハイエースの場合は仕様上最大9人の乗車が可能だが、以下のような新型コロナウイルスの感染防止対策を採るため、一度に運べる人数は3〜4名程度になる。

新型コロナウイルスの感染防止対策として以下を徹底するとのこと。

  1. 乗車中の車内換気
  2. 全乗務員の運行前検温、マスク着用
  3. アルコール消毒液を設置、乗客に利用を促す
  4. 前日までに乗客を決定、感染者が出た場合は早急に対応
  5. 降車後の清掃の際に乗客が触れた箇所をアルコール消毒
  6. 乗客同士が隣接しないように少人数を大型車で運ぶ
  7. 乗客にマスクの着用を促す

テスラが主要製品を大幅値下げ、Model SとModel Xの無料充電は廃止に

Tesla(テスラ)は電気自動車製品ラインアップを値下げした。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの打撃を受けた売上の回復が狙いだ。

Reuters(ロイター)とElectrek(エレクトレック)が最初にこのニュースを報じた。Model 3のスタンダードレンジ・プラスのベース価格は3万7990ドル(約410万円)となり、2000ドル(約21万5000円)下がった。しかし最大の下げ幅は、同社の高額・高級車のModel SセダンとModel X SUVだ。

Model Sのロングレンジ・プラスは5000ドル(約53万9000円)下がって7万4990ドル(約81万円)になった。さらに高価なModel SパフォーマンスおよびModel Xの2車種も5000ドル値下げされた。

この値下げは、新型コロナウイルスによる長期ロックダウンの後、各自動車メーカーが購買者を引きつけようと模索する中の方策だ。新型コロナは需要を抑制し経済を一変された。Ford(フォード)、GM(ゼネラルモーターズ)、Fiat Chrysler(フィアット・クライスラー)の3大メーカーは、ゼロ金利融資や延べ払い、長期支払いなどの選択肢を提供している。

ほかの自動車メーカーでは、Hyundai Motor America(ヒュンダイ、現代自動車)、Kia Motoers America(キア・モーターズ、起亜自動車)、北米日産、米国トヨタ、Volkswagen of America(フォルクスワーゲン)も、新たな特典や支払いプランを発表し、既存オーナーのローン焦げ付きを防ぐとともに新規購入を奨励している。

またテスラは、今回の値下げに合わせて、新規販売のModel SおよびModel Xの無料無制限スーパーチャージを中止した。同社は無料スーパーチャージについて、この数年間中止と再開を繰り返すなどどっちつかずの態度を続けてきた。

当初、無料無制限スーパーチャージはテスラ車購入とセットになっていた。その後同社はスーパーチャージャー・ネットワークの無料無制限利用を段階的に廃止し始め、2017年1月1日以降の購入者には毎年400kW/h(キロワット時)、約1000マイルぶん(約1600km)の無料充電が提供された。それを使い切ると少額の充電料金が課せられる。

さらにテスラは紹介プログラムによる無料プランを縮小し、Model S、Model X、およびModel 3のパフォーマンス版の購入者に限り、スーパーチャージャーの無料無制限利用が可能になった。この無料無制限スーパーチャージャーの紹介プログラムも9月18日に終了する。

TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、この特典は「維持困難」であると発言し、それ以来販売促進のために何度か特典を復活させた。そして2019年8月、同社の高級電動車の売上増を狙って、再び特典をよみがえらせた(未訳記事)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

長距離ライドシェアのBlaBlaCarが電動キックスクーターのVoiと提携、欧州でのサービスを拡充

長距離ライドシェアのスタートアップであるBlaBlaCarが、電動キックスクーターシェアリング事業に進出すると発表(BlaBlaCarのプレスリリース)した。しかし、同社は自社で電動キックスクーターを調達するわけでなはい。かわりにBlaBlaCarは、複数のラウンドで1億3600万ドル(約150億円)を調達した欧州の電動キックスクーターサービスのVoiと提携(未訳記事)する。

Voiは、パリ、マルセイユ、リヨンなど、ヨーロッパの数十都市で事業を展開している。今後数週間の間にVoiの電動キックスクーターには、Voi、BlaBlaCar、BlaBla Rideの3つのブランドが登場する。

既存のVoiのユーザーは引き続き同じアプリを使えるが、フランスではBlaBla Rideと呼ばれるようになる。なお、既存のBlaBlaCarユーザーはBlaBlaCarアカウントでログインできる。他の国のVoiユーザーは、アプリとサービスでVoiのブランドだけを見ることになる。

「BlaBlaCarは今回の提携は金銭的な取引ではなく、両プラットフォームのユーザーに利益をもたらす可能性のある提携」(AFP通信)だとしている。

BlaBlaCarはここ数年で、いくつかの新サービスをローンチした。例えばOuibusを買収し、BlaBlaBus(未訳記事)にリブランドしたこともある。またBlaBlaLinesとよばれる、自宅と職場間の毎日の通勤のための相乗りマーケットプレイスも運営している。

興味深いことにGrabやGojek、Uberとは異なり、BlaBlaCarは複数の異なるサービスにアクセスするためのスーパーアプリを構築していない。例えば、BlaBlaLinesはまだ別のアプリだ。そのため複数のサービスに興味を持っているユーザーにとってはいささか面倒になる。

同社は、BlaBla Rideがラストワンマイルの乗車に最適なソリューションになると考えている。バスや相乗りドライバーが市内中心部で降ろしてくれれば、その後は電動キックスクーターのロックを解除して目的地に到着できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

欧州とアフリカでオンデマンド交通を提供するBoltが約120億円を調達

Bolt(ボルト)は、Uber(ウーバー)などのライバルで、オンデマンドのライドシェアリングやスクーターといった交通サービスを欧州とアフリカの150都市で提供している。同社は5月26日、困難な市場環境に直面する中、新たな資金調達について発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)により、人々はその場にとどまり、他人と接触するような交通手段を避けている。

エストニアを本拠とする同社は、コンバーチブルノート(先に資金を受け取り、後ほど算出した時価総額に見合った株を投資元に渡す資金調達方法 、会計上では借金・負債となる)で1億ユーロ(約120億円)を調達したことを発表した。現在17億ユーロ(約2000億円)のバリュエーションで評価されたことも認めた。

投資家はNaya Capital Management(ナヤキャピタルマネジメント)の1社だ。同社は、Boltが2019年7月に6700万ドル(約72億円)を調達したシリーズCでも主要な出資者だった。

新型コロナウイルスのパンデミックの中で投資会社のポートフォリオ企業は事業上の大損害に直面している。その中でも、将来が約束されていたり、すでに多額の資金を投入していたりする会社を支援する1つの方法が資金注入だ。特に、非常に資本集約的なビジネスモデルのスタートアップはかなり難しい状況に追い込まれている。

この調達の前の4月にBoltのランウェイ(継続可能が業務遂行期間)は尽きた。同社の債務引き受け先として、テック産業を強く支援しているエストニア政府とも協議中であるとの声も聞こえてくる。

Boltは今回の資金調達がすべてコンバーチブルノート、つまり負債のかたちで進められ、現時点で追加のエクイティ(株式)の発行はないと認めた。「現時点で語るべきプランはない」と広報担当は説明した。クロージングまでに時間がかかることを考えると、さらなるエクイティラウンドについては今回の調達に関係なく取り組んでいるようだ。

Boltによると、世界35カ国以上で3000万人のユーザーを抱えているという。事業の最悪期は2カ月前であり、その後徐々に回復している。広報担当によると、同社は昨年末に損益分岐点に近づき、「主にフードデリバリーとマイクロモビリティ」のためのエクイティラウンドを準備しているとのことだ。

現在は状況が多少異なり、ライドシェアと業績回復の施策により、財務的ニーズが増えている

ただ全体として、同社のオンデマンド交通サービスモデルの資金調達はまだ比較的小規模だ。Boltはこれまで負債と株式の両方で3億ユーロ(約350億円)以上を調達している。投資家には、多くの日本のリミテッドパートナーが拠出するヘルシンキの新しいファンドで、Boltの本拠地であるエストニア・タリンなど、北欧のスタートアップに投資するNordic Ninjaや、CreandumG SquaredInvenfin(投資持株会社Remgroが支援する南アフリカのファンド)、Superangel(創設当初からBoltに投資してきたエストニアのファンド)、滴滴(および関連がある先としてソフトバンクとUber)、Daimler、Korelya Capital、Spring Capitalが名を連ねる。

以前はTaxify(タクシファイ)として知られていたBoltは、個人の乗り物を超えて電動スクーターやフードデリバリーなどの他の分野にも拡大したため、昨年ブランドを変更した。今後数カ月以内に、今回の資金を使用して3つの事業分野すべてを新しい製品とともに拡大する予定だ。その中には、ビジネス向け市内同日配送サービス「Business Delivery」や、運転席と乗客席の間にプラスチックシートを設けた車によるライドシェア「Bolt Protect」が含まれる。

Boltの上場企業ライバルのUber(ウーバー)は、パンデミックがビジネスにとってどれほど痛みを伴うか明らかにした。かつて未公開のスタートアップとして数十億ドル(数千億円)を調達した同社は、ここ数週間で約7000人の従業員を解雇した。Uberのために人や食品などの輸送を請け負っている人々への影響については現状ほとんどわからないが、次の四半期決算(期間中パンデミックの影響を全て受けている)には、ビジネス全体の低調がはっきりと表れるはずだ。

Boltによると、これまでUberや他社のように人員を削減する必要はなかったという。従業員1500人を全く解雇していない。ただ、役員会メンバーの給料を20〜30%カットした。広報担当は、いま徐々に給料を新型コロナ前の水準に戻しつつある、と話した。財務の詳細には触れなかったが、ビジネスは普通とは言えないと認めた。

「新型コロナ危機が一時的に我々の移動の仕方を変えたが、車の所有が減少したりより環境に優しい交通手段シフトしたりといった長期的な傾向は今後も続く」とCEOで共同創業者のMarkus Villig(マークス・ビリグ)氏は声明で述べた。

「典型的なシリコンバレー崇拝を過去のものとし、我々の長期的視点を支持する投資家に支えらることをありがたく感じている。当社の効率性や局在化がオンデマンド業界において根本的なアドバンテージであることをこれまで以上に確信している。こうしたアドバンテージにより、新型コロナ後も引き続き安価な移動手段を多くの顧客に提供し、パートナーに良い内容の決算を示すことができる」。

現在のような状況では資金調達がはるかに複雑になった、と多くの人が口にする。創業者や投資家が直接顔を合わせたり、投資・調達機会を評価したりすることができなくなっただけでなく、マーケット需要や経済全体が今後どうなるか見通せなくなり、これまでになく投資がリスクを伴うものになっている。

目下、スタートアップはそれぞれだ。新型コロナの影響で事業を棚上げしているスタートアップもあれば、新型コロナにもかかわらずこれまで通り活発に事業を展開しているスタートアップもある。また、不調に陥らないよう投資家がさらに資金を注ぎたいと思うような、十分な体力を持つ(あるいはすでにかなりの資金を調達している)スタートアップもある。この3つのカテゴリーに収まらない、より一般的なのがBoltのように資金を確保するスタートアップだ。

「成長中のBoltにこのステージで投資できる機会を持つことができるのは喜ばしい」とNaya Capital ManagementのマネジングパートナーでCIO、創業者であるMasroor Siddiqui(マスルール・シッディーキー)氏は声明で述べた。「マークスのリーダーシップのもと、Boltは世界のモビリティ分野で最も競争力があり、かつイノベーティブなプレイヤーの1つとしての地位を確立した。消費者の地元交通インフラの活用方法の変化にBoltが貢献していると確信している。そして、同社が引き続き戦略的ビジョンを実行することを期待している」

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(翻訳:Mizoguchi

メルセデス・ベンツが新ブランドEQ第2弾となる高級全電動ワゴン車EQVの販売を開始

メルセデス・ベンツは、ヨーロッパでEQV 300という全電動の高級ワゴン車の販売を開始した。新ブランドEQとして、バッテリーパワーのモデルのシリーズを立ち上げようという取り組みから生まれた電気自動車の第2弾だ。

画像クレジット:Mercedes-Benz

このEQVのコンセプトモデルが最初に示されたのは、2019年3月だった。結局生産されることなく終わってしまうコンセプトモデルが多いなか、これは実際にシリーズとして量産されることになった。EQVは最大8人乗りで、高級車の雰囲気を求める顧客にアピールするように設計されている。基本価格が7万1388ユーロ(約847万円)であることからも、メルセデスがターゲットとしている客層がわかるというものだ。

メルセデスはこの車を家族、高所得の冒険家、シャトル用の車両を探している企業のような顧客をターゲットに売り込んでいる。座席はなん通りものパターンで構成でき、さまざまな顧客のニーズに応えられるようになっている。人ではなく貨物用にカスタマイズすることも可能だ。

EQVは前輪駆動で、コンパクトな電動の駆動系は150kW(201馬力)を発生する。バッテリーパックの容量は100kWhで、ヨーロッパのWLTP規格では、418km(260マイル)走行できる計算だ。同社の電気自動車はMBUXと呼ばれる、一種のインフォテインメントシステムを搭載している。例えばコネクティビティ機能を持った自己学習型音声コントロールシステムなど、いくつかの先進的なIT機能も備えている。

メルセデスはEQV 300に加えて、ホイールベースを拡張したAVANTGARDEと呼ばれるバージョンも販売している。どちらもVクラスやVitoと同様に、スペイン北部のビトリアにある同社の工場で生産される。

EQV 300には、最大16万kmまたは8年間のバッテリー性能をカバーする4年間の保守サービスが付属している。また購入者は、同社のナビゲーションサービスを36カ月間無料で利用できるほか、電気自動車充電ネットワークであるIonityも会員として1年間利用できる。さらに「Mercedes me Charge」にも、1年間無料でアクセスできる。この機能によってヨーロッパの充電設備のネットワークが表示され、ユーザーはMercedes meアプリまたは車載のメディアディスプレイを使って、充電の開始、停止、クレジットカードによる支払いを指示することができる。

メルセデスが「EQ」というテクノロジーブランドを発表したのは2016年だった。それ以来同社は、いくつかのEQ系のコンセプトモデルを発表し、そのシリーズとして最初の量産車となる電動のSUV、EQCを発表してきた。以前に明らかにしたところによれば、同社は120億ドル(約1兆2900億円)以上を投資して、このEQブランドで一連のバッテリー駆動モデルを生産し、さらに世界的なバッテリー生産に12億ドル(約1290億円)を費やす計画を立てていた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ハーレーダビッドソンの電動バイクに対し断定的評価を下すのが難しい理由

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)が電動化を果たして1年を迎えるにあたり、我々はまだ同社のEV転換をどう評価すべきか思案に暮れている。

ガソリン、クローム、スチールからなるアメリカンシンボルのHarley-Davidsonは、昨年秋に同社初となる量産用電動バイク「LiveWire」をリリースした。2万9799ドル(約319万円)の電動バイクは、同社が将来的に製造を計画しているモーターサイクル、自転車、スクーターなどのEVラインアップの先陣を切るものとなった。

LiveWireのディーラーへの出荷は9月27日から始まっている。同製品はHarley-Davidsonが誇る内燃式クルーザーモーターサイクルを補完するものであり、置き換えるためのものではない。

LiveWireは、デザイン、機能、パフォーマンス面においてモーターサイクルファンから主に好意的な評価を受けている。ただし、Harley-Davidson初の電動バイク製造と電動化への包括的な取り組みを採点するには2つの点が欠けている。

同社はEV個別の販売データを公開し、電圧駆動型製品のラインナップにおける次のプランを明らかにする必要があるのだ。

統計

LiveWireのデビューから7か月が経過し、同モーターサイクルが市場でどう出回ったかについて、特にそのTesla Model 3を少し下回る価格設定に関し、多くの憶測がある。

著者は、上場企業として同社が年末と2020年第1四半期の会計報告にEVデータを提供することを望んでいた。

Harley-DavidsonのSoftail Slim

Harley-DavidsonのSoftail Slim(画像クレジット:Harley-Davidson)

しかしそれが実現することはなかった。モーターサイクル販売に関するHarley-Davidsonの報告書には、電動バイク専用の項目が含まれていなかったのだ。その代わりに、販売されたLiveWireユニット数はHDのSofttailやCVOラインの約16種類のバイクモデルが含まれる「クルーザー」部門の統計の中にまとめられていた。この数値から見てHarley-Davidsonの2019年の同カテゴリーの売上高が減少したことは明らかだが、同社のEVデビューが市場でどのような役割を果たしたのかは知る由もない。

Harley-Davidsonの広報担当者にも確認したが、同社はいかなる形においてもLiveWire個別の販売データを公表していないとのことだ。

Harley-Davidsonの2019年第4四半期および通年の決算

ソース:Harley-Davidsonの2019年第4四半期および通年の決算

この情報なしには、たとえばLiveWireの売れ行きは「いまいち」だというReutersの10月の記事など、ディーラーからの不十分なフィードバックをもとに書かれた記事から推測する以外方法がない。米国内のモーターサイクル購入データの主な情報源であるモーターサイクル産業評議会(MIC)がデータを収集したりリリースしたりしていないため、信頼できる電動バイクの統計を見つけることは極めて困難である。

Harley-DavidsonはEV個別の販売数を発表するべきであり、それによって電動製品の進歩に関する基準を提示することができたはずだ。

市場

ウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点とする同社は1903年以来、大音量で強力な内燃式二輪車を作り続けており、電動モビリティラインの製造は非常に大胆な動きであった。

LiveWireのデビューにより、Harley-Davidsonは米国で初めて公道用電動モーターサイクルを製造する大手ガソリン車メーカーとなる。

米国のほとんどのモーターサイクル業界と同様に売上が数年下降しており、若年層の顧客への販売において不調が続いている同社にとって、この動きが必要不可欠なものであったということは間違いない。

前回の景気後退以来、米国の二輪車市場は不調続きである。2008年以降の新規販売数は約50%減少。特に40歳未満の購入が大幅に減少し、以来回復の兆しを見せていない。

2019年Harley-Davidsonの電動コンセプトディスプレイ

2019年Harley-Davidsonの電動コンセプトディスプレイ(画像クレジット:Jake Bright/TechCrunch)

Harley-Davidsonの幹部らは、LiveWireおよび同社が計画しているその他のEV製品ラインについて、オンデマンドのモビリティ時代を生きる若い世代に向けた同社の活性剤として期待していると話している

同社はホンダやカワサキなどの伝統的なモーターサイクルメーカーに先手を打ったが、電動二輪車業界に競合は山のようにいる。

ガソリン車ユーザーを電動製品へと転向させ、若い世代を引き付けようと試みる電動モーターサイクルのスタートアップが複数存在するEV産業へHarley-Davidsonは参入したというわけだ。

この業界を率いる企業の1社は、世界中に200のディーラーを抱えるカリフォルニアのスタートアップ、Zero Motorcyclesだ。同社は昨年LiveWireのライバルとも言えるSR/Fを発表。1万9000ドル(約200万円)で販売される同製品は161マイルの航続距離、充電時間1時間、最高速度124mphという性能を備える。イタリアのEnergicaは、米国で高性能電動モーターサイクルの販売を拡大中だ。

またカナダ発のスタートアップDamon Motorsは今年、最高速度200mphのHypersportを2万4000ドル(約260万円)でリリースした。独自の安全性とエルゴノミクス技術を用いて調整可能なライディングポジションと死角検出を実現している。

Harley-Davidson、電動モーターサイクルスタートアップ、大手メーカーのすべてが、モーターサイクル購入意欲における不透明性に直面している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経済環境を考慮すると、2020年以降もこの懸念は続くだろう。

今月Harley-Davidsonは、同社を未来に導くためJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏を新たなCEOとして任命した。先月行われた第1四半期の収益報告でツァイツ氏は、同社EV製品の販売や将来についての洞察をさほど語ることはなく、「我々は電動製品への取り組みを前進させることに専心しています」とのみ述べた。

現時点までの成績表

販売数という最終的な製品テストでLiveWireがどのような結果を残したのかは依然として不明であるが、Harley-Davidsonの電動デビューにおける評価を発表する。

マイナス評価から始めよう。同社は2万9000ドル(約310万円)という価格設定で失敗している。当初HDと著者が話し始めて以来、LiveWireの価格背景と製品の位置付けは少なからず変化している。2019年7月、同社の幹部らは、約1万ドル安く販売されているZero MotorcyclesのSR/Fなどの競合製品と比較して、同社「プレミアム製品」の約3万ドルという価格設定がいかに正当かを語っていた

ところがその後しばらくしてHarley-Davidsonの広報担当者は、LiveWireは大衆マーケット向けの価格に設定されておらず、むしろ人々の興味を引くための特別製品として企画されたものだと説明している。同EVバイクの価格設定における背景が実際に何だったのであれ、著者が話したほぼすべての人がこの価格は高すぎるという点で合意している。

称賛すべき点としては、Harley-Davidsonの電動デビューによって達成されたさまざまな重要な要素が挙げられる。少なくとも属性と世間の反応において2つの世界を橋渡しするようなものを製造するという難しいタスクに取り組んだ同社。電動モーターサイクル界のれっきとした新規参入者として、LiveWireは卓越した機能とパフォーマンスを証明する必要があった。その上、EVやTeslaファンではなく、クロームとスチールのアメリカ製クルーザーを愛する忠実なファンにも受け入れられる必要があったのだ。

画像クレジット:TechCrunch

価格設定の件と販売台数不明という点はさておき、Harley-Davidsonは前述の両方を達成したと言えるだろう。著者は丸1日かけて105馬力のLiveWireをテスト試乗し、航続距離(95〜146マイル)や充電時間(60分)など、同バイクのすべての機能について検証し、HDのエンジニアを悩ませた。結果としては、パフォーマンス、デザイン、主要なスペックすべてにおいて素晴らしい出来だと言えるだろう。バイク関連の報道者のほとんどもこれには同意している。

同社はまた、デザインおよびその独特で絶妙なサウンドにおいて、Harley-Davidsonならではの電動モーターサイクルを製造するという点で成功を収めている。50年代からの筋金入りのハーレーライダーである著者の祖父にLiveWireの写真を見せたところ、ぜひ乗ってみたいと好意的な反応が返ってきた。したがって、HDの電動デビューは然るべき群衆から喜ばしい反応を得ることができ、さらなる成長が期待される結果となった。

今後の動き

同社が電動化プロジェクトにおいて直ちにすべきことは、今後のプランを公表するということだ。また次の製品が何であれ、それはミレニアル世代を含むより幅広い顧客を魅了する必要がある。

都会でも活躍するスクーターや、幅広い市場に受け入れられる手頃な電動モーターサイクルなど、同社の次のEV製品のリリースを著者は心待ちにしている。

Harley-DavidsonのEVコンセプト

Harley-DavidsonのEVコンセプト(画像クレジット:Harley-Davidson)

著者が考える同社の次の電動モーターサイクルのスペックシートのあるべき形は、549ポンドのLiveWireよりも軽く、初心者ライダーにとっても乗りやすく、クラウドとアプリに接続可能、価格は約1万ドル(約107万円)で航続距離は少なくとも100マイル、充電時間は30〜40分と言ったところだ。いくつかオフロード機能も備えた、Harley-Davidsonのフラットトラックレーサーを思わせるトラッカースタイルのEVも良いかもしれない。ちなみに同社は昨年このコンセプトのモックアップをリリースしている。

COVID-19に影響を受けた経済環境において、モーターサイクルなどの製品に対する購入意欲は当面の間より保守的になるため、的確なスペック、スタイル、価格設定は一層重要になってくる。

LiveWireによってHarley Davidsonは電動製品への扉を開くことができた。21世紀のモビリティの世界でHDが今後どのように活躍していくかは、同社の次の2輪EVバイクとそれに対する市場の評価次第だと言えるだろう。

関連記事:ハーレーダビッドソンが電動バイクのLiveWireの製造を再開

Category:モビリティ

Tag:ハーレーダビッドソン 電気自動車 / EV

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(翻訳:Dragonfly)

Uberはインドで従業員の1/4となる600名を解雇、一部操業再開も焼け石に水

Uberは米国時間5月26日に、インドで600名を解雇すると発表した。これは同国における同社労働者の25%となる。新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックを切り抜けるためのコスト削減を目的にしている。

解雇はカスタマサポートやドライバーサポート、事業開発、法務、ポリシー、マーケティング、財務など各チームに及ぶもので、2020年5月に6700名を解雇した同社グローバルなリストラの一環でもある。

2020年始めにインドでトップのライドシェアサービスを自称した米国の大企業は、今回解雇される社員には10ないし12週分の給与と、今後6カ月間の医療保険を提供するとしている。

Uberのインドと南アジア担当プレジデントのPradeep Parameswaran(プラディープ・パラメスワラン)氏は、スポークスパーソンを介して次のように述べている。「新型コロナウイルスの影響とその回復の見通しの困難さゆえに、Uberインドには労働力の縮小以外の方法がなくなった。ドライバーとライダーのサポートを始め、他の職種にもその影響は及ぶ。この人員削減は、今月すでに発表したグローバルな雇用縮小努力の一環である。本日はUberファミリーを去る仲間と会社の全員にとってとても悲しい日だ。しかし一度決定した以上は、未来への確信を持ってともに前進して行きたい」。

さらにパラメスワラン氏は「辞めるみなさんに、お詫び申し上げたい。ライダーとドライバーパートナーへのこれまでのご貢献に、心からの感謝を申し上げたい」と付け加えている。

Uberの発表前には、地元のライバルであるOlaが同様のコスト削減を強いられている。それにより先週は、同社の総労働力の35%にあたる1400人が職を失った

インドは2020年3月の終わりごろにロックダウンを発表し、全国のすべての公共交通を閉鎖した。しかし数週間前から政府は規制をやや緩和し、OlaやUberなどが全国的に新型コロナウイルス患者の密度が高くない地域で操業を再開している。ただし、Uber Poolなどの相乗りサービスは含まれていない。

世界のほとんどの場所でそうであるように、インドでも新型コロナウイルスのアウトブレークによりフードデリバリーや病院、旅行などの産業が止まってしまった。顧客たちが閉じこもることで、フードデリバリーのSwiggyとZomatoは合わせて2600人を解雇した(Swiggが2100人)。Uberのインドのフードデリバリー事業は、2020年始めにZomatoに売却されている

旅行と病院では、MakeMyTripとOyoが大幅な売上減により、最近の数カ月で数千名を解雇または一時解雇している

画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Scale AIが自動運転車の開発向けに無料のLIDARデータセットをリリース

高品質のデータはAIアルゴリズムの原動力だ。ラベル付けされたデータの継続的な流れがないと、ボトルネックが生じ、アルゴリズムは徐々に悪化し、システムのリスクが増す。

そのためラベル付きデータは、Zoox、Cruise、Waymoのような企業にとって非常に重要だ。自動運転車の開発・導入向けの機械学習モデルのトレーニングに必要だからだ。そのニーズがScale AI(スケールAI)の創業につながった。同社はソフトウェアと人間の力をあわせて、機械学習アルゴリズムを開発する企業向けに画像、LIDAR(光を用いる距離測定方法または装置)、地図データを処理し、ラベルを付けるスタートアップだ。Scaleの顧客基盤の大半は自動運転車技術に取り組む企業が占める。同社のプラットフォームは、Airbnb、Pinterest、OpenAIなども利用している。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、データの流れが遅くなり、場合によっては止まってしまった。自動運転車開発企業が何十億もの画像を収集できる公道試験を停止したためだ。Scaleはデータの蛇口を再び開いて無料で提供するつもりだ。

同社は今週LIDARの製造元であるHesaiと協力し、自動運転の機械学習モデルのトレーニングに使えるオープンソースのデータセット「PandaSet」を発表した。学術的、商業的目的のために無償でライセンスされている。Hesaiの画像のような解像度を持つ前方向きPandarGT LIDARと、Pandar64として知られる機械的回転LIDARで収集したデータが含まれる。同社によれば、データは当局が外出禁止令を出す前にサンフランシスコとシリコンバレーの市街地を運転して収集した。

「AIと機械学習は信じられない技術であり、インパクトを与える可能性が非常に高いが、うっとうしい存在でもある」と、ScaleのCEO兼共同創業者のAlexandr Wang(アレクサンダー・ワン)氏は最近のTechCrunchとのインタビューで語った。「機械学習は間違いなく『ゴミを入れればゴミが出てくる』タイプのフレームワークだ。このアルゴリズムを強化するために本当に必要なのは高品質のデータだ。それがScaleを創業した理由であり、オープンソースの視点で業界を前進させるために今日このデータセットを使用している理由でもある」

このLIDARデータセットの狙いは、内容が豊富で密度の濃いデータセットへの無料アクセスだ。2種類のLIDARを車、バイク、信号機、歩行者であふれる複雑な都市環境で使用することでそうしたデータセットを構築できたとワン氏は述べた。

「ZooxとCruisesは、密集した都市環境でシステムがしっかりテストされているとうたっている」とワン氏は説明した。「当社はそれをコミュニティ全体に公開したかった」

画像クレジット:Scale AI

同社によれば、データセットには4万8000を超えるカメラ画像と1万6000のLIDARデータが含まれ、1つあたり8秒間で100シーンを超える。また、各シーンには28のアノテーションクラスがあり、ほとんどのシーンには37のセマンティックセグメンテーションラベルがある。たとえば、自転車や車の周りに小さな箱を配置する従来の直方体ラベルでは、LIDARデータのすべてを適切に識別することができない。Scaleは点群セグメンテーションツールを使用し、雨のような複雑なオブジェクトに正確にアノテーションする。

自動運転データをオープンソースすること自体は全く目新しいというわけではない。Aptiv(アプティブ)とScaleは昨年、自律型車両センサースイートからの大規模データセットであるnuScenesをリリースした。Argo AI、Cruise、Waymoは、研究者にもデータをリリースした数ある自動運転車開発企業の一部だ。Argo AIは精巧なデータと高解像度マップをリリースした。CruiseはWebvizと呼ばれるデータ視覚化ツールを開発した。これは、ロボットのすべてのセンサーから生データを収集し、バイナリコードを視覚化する。

Scaleの取り組みは少し異なる。たとえばワン氏は、同社のデータセットを使用するライセンスには制限がないと述べた。

「現在、高品質のラベル付きデータに対する継続的なニーズがある」とワン氏は語った。「そうしたデータへのアクセスは自動運転システムを構築する際の最大のハードルの1つだ。特に多くの自動運転開発会社がデータを収集できないときに、データへのアクセスを民主化したいと考えている」

とはいえ、Scaleが突然すべてのデータを無償で提供するわけではない。結局のところ営利企業だ。しかし今年後半には収集したデータをオープンソース化することをすでに検討している。

画像クレジット:Scale

関連記事:Uberの自動運転車ユニットがワシントンDCのマッピングを開始

Category:モビリティ

Tag:自動運転 Scale AI

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(翻訳:Mizoguchi

「テスラはCybertruckを小さくしない」とイーロン・マスク氏

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏が、世界滅亡後をイメージした冷間圧延鋼製全電動トラック「Cybertruck」(サイバートラック)を発表後、この車が市場に出る時にはもっと小さくなるのではないかという憶測が巷にあふれた。

Cybertruckは今も生産にはほど遠い。この全電動トラックをつくるための工場もまだない。しかし5月23日に同氏は、サイズについてある情報を発信した。同氏はツイートで、「昨夜Franzと設計を確認した。3%小さいだけでも小さくなりすぎる。サイズはほとんど変わらない。将来もっとタイトなトラックを作ることにはなるだろう」と語った。FranzはTeslaのデザイン責任者であるFranz von Holzhausen(フランツ・フォン・ホルツハウゼン)のことで、「タイト」(Tight)は「ライト」(Light)の間違いだと思われる。

この発言が重要なのは、CNBCで5月27日放映予定のJay Leno’s Garageの番組予告の中で、マスク氏がJay Leno(ジェイ・レノ)氏に、実はこの車は5%大きすぎると語っていたからだ。「今のプロポーションを保って5%小さくすればいい」とマスク氏は言い、後に「ふつうのガレージに収まる必要があるから」と付け加えた。

以前に同氏は、Cybertruckの車幅をおそらく1インチ(2.5 cm)縮めるだろう、「長さを6インチ(15 cm)超減らしても機能や美観を損ねることはないだろう」と語っていた。

テスラはCybertruckの大きさを公表していない。そしてTechCrunchは、発表イベントに巻き尺を持っていくのを忘れた(学んだ教訓)。

この2カ月間にマスク氏は、Cybertruckに関する新情報を何度かツイートし、オフロード性能を高めるためにダイナミック・エアサスペンションの振れ幅を広げ、「少し浮き上がるだろう」と語ったが、それ以上は言及しなかった。

関連記事:テスラの完全電動トラック「Tesla Cybertruck」の注目ポイント

テスラはCybertruckに3種類のモデルを用意することを明らかにしている。最低価格モデルは、シングルモーター、後輪駆動、牽引能力7500ポンド(3.4トン)、航続距離250マイル(402km)、価格は3万9900ドル(約430万円)と同社ウェブサイトに書かれている。中位モデルは、デュアルモーター、全輪駆動で、牽引能力1万ポンド(4.5トン)、航続距離300マイル(482 km)で、価格は4万9900ドル(約537万円)だ。

そして最上位モデルはモーター3台の全輪駆動車で、牽引能力1万4000ポンド(6.4トン)、航続距離500マイル(805km)。「tri motor」(トライ・モーター)と呼ばれるこの車の価格は6万9900ドル(約753万円)だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自家用の電動垂直離着陸機は電気自動車よりもエネルギー効率が高い

今は輸送新時代の黎明期だ。

20世紀が始まるころ、馬は自動車に置き換わった。それから100年後の今、私たちは移動の舞台が空に変わるのを待ち望んでいる。Kitty Hawk(キティー・ホーク)はこれまで、電動で、離着と着陸を垂直に行い、その間は固定翼機のように飛行できる試作機をいくつか作ってきた。これらはひとまとめにしてeVTOL(イーブイトール、電動垂直離着陸)航空機と呼ばれる。

プロジェクト「Heaviside」(ヘビサイド)のようなeVTOLは、日常の足としての大きな可能性を示しているが、それを最終的な使用事例と見なすと、ひとつの素朴な疑問が浮上する。eVTOLはグリーンなのか?具体的には「eVTOL航空機は自動車よりもエネルギー効率は高いのか」というものだ。

米国環境保護庁(EPA)の基準によるハイウェイ走行テストでは、2020年型の日産リーフe+は、平均時速50マイル(約80km)の場合の電力消費量が1マイル(約1.6km)あたり275Wh(ワットアワー)となっている。ただし、米国の平均的な乗車人数は1.6人前後なので、リーフの電力消費量は、走行距離全体の旅客マイルあたり、およそ171Whとなる。

Kitty Hawkの現在のHeaviside試作機は、旅客マイルあたりの電力消費量は120Whだ。しかも速度はリーフe+の2倍にあたる時速100マイル(160km)。もちろん、お望みならもっと速く飛べる。道路は真っ直ぐではないが、飛行機は通常真っ直ぐ飛べるので、エネルギーはさらに15%節約できる。Heavisideの場合、総合して1マイル進むのに必要なエネルギーはリーフの61%に留まる。

なぜHeavisideが高効率なのか?速く飛ぶには、それだけ多くのエネルギーを使うのではないのか?そう、そしてそこに、さらに劇的な高効率をもたらす理由がある。答えは、Heavisideが細長く空気力学的な抵抗が低い形状だ。自動車をこの形にするのは現実的ではない。

下の図に示した翼の断面図のような、滑らかな空気力学的形状と、円筒などのぶっきらぼうな形状とでは、空気抵抗の差が激しい。あまりにも違うために、その2つの形状の空気抵抗が同じになるように大きさを調整すると、下の図のような比率になってしまう

円筒は小さすぎてよく見えない、右下の点がそれだ(画像クレジット:Kitty Hawk

見た目ではわからないが、翼のような滑らかな形状は、ある角度で風を受けると必ず揚力を生じる。これは単に体験上のことではなく、数学的に実証できる現象だ。

自動車メーカーは、空気抵抗が少なく、それでいてハンドル操作に支障をきたす揚力は生まず、横風の影響も受けにくい形状の開発に大変な労力を費やしている。風の強い日に橋を渡ったり、田舎の狭い道で大型トラックとすれ違ったときの車の状態を思い出してほしい。

画像クレジット:NASA

自動車は、かなりの量の空気も一緒に引き連れて走っている。

画像クレジット:Kitty Hawk

それに対してプロジェクトHeavisideは、周囲の空気をほとんど乱すことなく、その中を通過できる。そのため、Heavisideは非常にエネルギー効率が高い。しかしHeavisideに乗った人が、もっと遠くへ行きたいと望んだ場合はどうか。私たちがこれまでに達成できた航続距離に関して、私が個人的にびっくりしたのは、エネルギー消費量が非常に少ないHeavisideは、同時間の移動において自動車よりも効率的な乗り物であることだ。

これは、eVTOLで最も大切な完全電動という要素を除いての話だ。これに対抗する乗り物は、ガソリン車かディーゼル車だ。排ガス対策という理由だけで、一般消費者に電気自動車に乗り換えるよう説得するのは至難の業だ。むしろ、時間の節約になるという理由で売り込むほうが、ずっと簡単だろう。

別の角度から見てみよう。あなたの通勤距離が、米国人の平均である16マイル(約26km)だとしたら、そしてHeaviside型の航空機を使うとしたら、家の屋根に標準的なソーラーパネルを3枚設置するだけで、往復の電力が賄えてしまう

航空機の開発を完了し、商業的に販売を展開できるようになるまでには、まだまだ長い道のりがある。最終的な製品が今の試作機と同じ効率性を保てるかどうかも確約できない。それでも私たちは、効率と個人航空移動は矛盾しないことを実証できて、とてもうれしく感じている。

【編集部注】著者のDamon Vander Lind(デーモン・バンター・リンド)は、eVTOLで世界の移動を自由にすることを目指す企業Kitty HawkのHeaviside型航空機担当ジェネラルマネージャー。

画像クレジット:Kitty Hawk

[原文へ](翻訳:金井哲夫)

アトランタ郊外の電動スクーターを2700km離れたメキシコシティーから遠隔操作する実証実験が始まる

米国南東部にあるアトランタの郊外でのシェアリング電動スクーターの確保や回収は、およそ2700km離れたメキシコシティーから遠隔操作で行われている。

アトランタ郊外の都市Peachtree Corner(ピーチツリー・コーナーズ)では、今週からサービスが開始されるアプリを使って、遠隔操作のスタートアップTortoise(トータス)の技術を搭載したGo X(ゴーエックス)の電動スクーターを呼べるようになる。Go Xが開発した「Apollo」(アポロ)アプリを使えば、電動スクーターは利用者が乗りたい場所まで自動的に走ってきてくれる。目的地に到着したら、電動スクーターは安全な駐車所まで自分で帰っていく。そこでGo Xのスタッフは、スクーターを充電・消毒し、適切に消毒されたことを証明するステッカーを貼る。

しかしこの電動スクーターは、本当の意味での自動運転車ではない。Tortoiseのオペレーターが遠隔操縦しているのだ。Tortoiseのオペレーティングシステムと、スクーターに追加された特別な装置、例えば簡単に操縦できるように取り付けられた補助輪などによって可能になる。

この取り組みは、Go XとTortoise、そして地元の技術インキュベーターのCuriosity Labs(キュリオシティー・ラブズ)が共同で実施する6カ月間の試験運用で、米国の公道を初めて走行できる遠隔操作電動スクーターとなる。

画像提供:Tortoise

公共交通機関とシェアリング・マイクロモビリティーを一掃してしまった新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、Tortoiseの共同創業者で社長のDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェビレンコ)氏は、以前にも増してスクーターの遠隔操作に確信を抱き、強気になったという。

「ユニットエコノミーに対する圧力は新型コロナウイルス前よりも強くなっています」と同氏。「車両を1日中消毒された状態にしておくという使用事例は、これまで考えてもみなかったものですが、今では非常に重要なことに思えます」。

従来のシェアリング電動スクーターのビジネスモデルは、ギグワーカーによる車両の回収に依存していた。常に人を乗せることで、スクーターの消耗が早くなる。しかも、使うたびに消毒などできない。

「私たちにとって重要なゴールは、このピーチツリー・コーナーズで世界初の効率的で組織化され高度化されたマイクロモビリティーを構築しつつ、利用者が電動スクーターの利便性を享受することでした」と、ピーチツリー・コーナーズ市政担当官を務めるBrian Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏は語る。

この試験運用で、Tortoiseはちょっとだけ得をした。ピーチツリー・コーナーズは、すべてのシェアリング・マイクロモビリティー用車両に、自動的に再配置できる機能を義務付ける条例を通過させたのだ。ほかの街のように、乗り捨てられたドックレス方式のスクーターが固まって歩道をふさいでしまわないようにするのが目的だ。「私たちから要求したわけではありません。街が独自に決めたことです」とシェビレンコ氏は言う。

こうした条例は、行政がスクーターの展開の管理を強化するにつれて一般的なものになるだろう。例えば、シアトルとベルビューがあるワシントン州のキング郡では「遠隔再配置は運営企業がそれを導入すれば、認可を与える企業を決めるための採点制度で得点が稼げる技術だ」と名指しで呼び込んでいる。

「そのため、この技術が成熟するに従い、街がこれを正しく受け入れてくれることをとても喜ばしく思っています」とシェビレンコ氏は話していた。

画像クレジット:Tortoise

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(翻訳:金井哲夫)

機種を問わない無人飛行ソフトを開発するスタートアップXwingが10億円超を調達

自律飛行のスタートアップであるXwing(エックス・ウィング)は5月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)到来前に1000万ドル(約10億8000万円)の資金を調達したことを明らかにした。サンフランシスコに拠点を置く同社は、この資金を使って今年中のFAA(連邦航空局)認可待ちの商業化を目指してソフトウェアのエンジニア強化と事業拡大を進める。

今回完了したシリーズA調達ラウンドのリードインベスターは、R7 Partners(R7パートナーズ)。ほかにアーリーステージVCのAlven、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)、Thales Corporate Ventures(タレス・コーポレート・ベンチャーズ)が参加した。Xwingはすでに新たな資金とともに複数の主要幹部を雇っている。Terrafugia(テラフージア)の共同創業者で元COOのAnna Dietrich(アナ・ディトリッチ)氏、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Aurora Flight Sciences出身のベテランで、最近ではUber(ウーバー)の自動運転車部門やZipline(ジップライン)の配達用ドローンのガイダンス・ナビゲーションと制御を指導していたEd Lim(エド・リム)氏だ。

Xwingは、最近出てきた他の自律飛行スタートアップとは少々違っている。この会社は無人のヘリコプターや飛行機を作っていない。作っているのは、小型旅客航空機のパイロットレス飛行を可能にするソフトウェア・スタックだ。

また、Xwingは航空機の種類に依存しない。同社のエンジニアは自律飛行に不可欠な機能である検知、推論、制御の技術に特化している。「さまざまな種類の航空機で動作するように作られたソフトウェア・スタックは、既存の航空機システムに組み込まれて使用される。既存の飛行機に付加するというこの戦略によって、製品展開を早めながら安全を維持しコストを抑えられる」と創業者でCEOのMarc Piette(マーク・ピエット)氏は語った。これは、規制当局の認可のためにも近道だ。

Xwingがいずれ自立型航空機をイチから作るつもりがあるかとの質問にピエット氏は「決められた機種に縛られず、テクノロジーを完成品としてではなく、成功への手段として開発することは、マーケティングの観点から見て効率的だ」と語る。

Xwingは前回の2018年夏の400万ドル(約4億3050万円)の調達ラウンド以来、技術開発を進めており無人航空機の飛行許可を得るためにFAAに働きかけてきた。ひとたび承認が得られれば、無人飛行の商業化を目指すつもりだ。

同社はまだ商業化のパートナーを明らかにしていない。またピエット氏は商業化戦略についても詳細を話していないが、今年はさらに発表があると言っていた。

XwingはヘリコプターメーカーのBell(ベル)と共同で、米国における無人飛行機の完成に必要なキー・テクノロジーの成熟を目的としてNASAが進めているプロジェクト、無人航空機システム(UAS in the NAS)プログラムに参加している。プログラムでは今年の夏にデモンストレーション飛行を行う計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラがフリーモント工場の操業再開を巡るアラメダ郡に対する訴訟を取り下げ

Tesla(テスラ)は、米国カリフォルニア州にあるフリーモント工場の再開強行を巡り、今月初めにアラメダ郡を相手に起こしていた訴訟を正式に取り下げた。

訴訟取り下げは5月20日に受理され、テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏と郡の衛生、警察当局との戦いに幕が降ろされた。5月9日、同氏が訴訟および事業の州外への移動をほのめかした数時間後に訴状が提出され、アラメダ郡に対して差止および宣言的救済を求めた。Reuters(ロイター)が最初にこのニュースを報じた。

この訴訟は、テスラのフリーモント工場での生産再開計画が、郡の新型コロナウイルス(COVID-19)感染防止策による外出禁止令延長によって阻止されたことを受けて起こされた。訴状提出の2日後にマスク氏は、郡の命令を無視して工場を再開した。

電気自動車の組み立てが行われているフリーモント工場における生産は、アラメダ郡ならびにカリフォルニア州ギャビン・ニューサム知事の発令した外出禁止令によって3月23日以来停止している。

マスク氏は操業再開の根拠として、ニューサム知事が発行した工場の再開を認める新たなガイダンスを挙げた。しかし州知事のガイダンスは、地方自治体がさらに制限の強い規則を適用する可能性があることを警告していた。アラメダ郡はほかの湾岸地区の郡や市とともに、外出禁止令を5月末まで延長した。後に命令は修正され、一部の制限が緩和されたが、製造業に対する制限は解除されなかった。

テスラと郡当局は、同社が社員を呼び戻して操業再開の準備に入ったあとも交渉を続けた。その結果、郡は同社が生産再開に備えた最小限の基本的作業を進めることを認めた。

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tierが電動キックスケーターに折り畳み式ヘルメットを配備

ヨーロッパのモビリティ事業者であるTier(ティア)は、大手の電動キックスケーター企業として初めて、ヘルメットを車両に搭載する。折り畳み式のヘルメットはハンドルバーの下の箱の中に収められる。5月中にTierはヘルメットを搭載した電動キックスケーターをパリとベルリンに200台配備する予定だ。そして夏には、同社はさらに5000台のヘルメット搭載キックスケーターを配備する。

査読付き医学雑誌「JAMA Surgery」が今年発表した研究によると、電動キックスケーターでの怪我は過去4年間で約3倍に増えているという。調査に参加した人のうち、ヘルメットをかぶっていたのは5%未満で、調査対象者の3分の1が頭部外傷を負っていた。

さらに新型コロナウイルス(COVID-19)に関する懸念から、TierはProtexusの抗菌・自己消毒ハンドルバーの技術を実験している。Tierはこのハンドルバーを、パリとボルドーでテストしている。

なお、ペダルレスの電動自転車を運営するWhiesは、これらの両方の機能と装備をすでに実装している。昨年12月にはリアフェンダーにロックされ、ライダーがヘルメットをかぶっていることを感知できるスマートヘルメットシステムを車両に導入した。同社は3月には、セルフクリーニング式のハンドルバーとブレーキレバーを備えた電動自転車を、週単位または月単位でレンタル(未訳)できるようにした。

2018年に設立されたTierは、これまでに1億3100万ドル(約140億円)の資金を調達している。2月には、シリーズBラウンドを1億ドル(約110億円)以上に拡大(未訳)した。その数日後、同社はCoupの電動スクーター事業を買収し、Tierによる電動スクーターのシェアサービスを開始すると発表(未訳)した。ベルリンを拠点とするTierは、現在11か国55都市で事業を展開している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

注文したポルシェ911の納車までを最新アプリで追跡可能に

Porsche(ポルシェ)は、顧客の細かな要求に応えるためにデジタルサービスの充実に多くのリソースを投入している。子会社のPorsche Digital(ポルシェ・デジタル)による最新の成果として、911スポーツカーを注文した米国の顧客に、生産拠点からディーラーまでの輸送状況を追跡できるアプリが登場した。

画像クレジット:Porsche

このアプリは、My Porsche(マイ・ポルシェ)のウェブポータルと統合されていて、ドイツでの生産完了、出荷、大西洋の横断、米国への入港、ディーラーへの到着など、全部で14のイベントについて最新情報を顧客に提供する。このデジタルサービスは、Porsche Track Your Dream(ポルシェ・トラック・ユア・ドリーム)と呼ばれ、それぞれのイベントについての詳しい情報も表示する。また、納車までのカウントダウンとして、残りの距離と日数も知らせてくれる。

このポルシェの追跡機能は、今のところ顧客数が少ないニッチな製品といえる。対応しているのが911のみだからだ。ポルシェ911の2019年1年間の販売台数は、米国で9265台に留まっている。しかし同社は将来、全電動式Taycanなど、他の車についてもサポートを追加する計画だ。

アプリは、ポルシェとしてデジタル世界で勝負をかけるための広範囲な戦略の一環として開発されたもの。2020年5月初め、Porsche Cars North Americaは、Porsche Finder(ポルシェ・ファインダー)と呼ばれるオンラインプラットフォームを立ち上げ、顧客がディーラーのネットワーク全体から中古車を検索できるようにした。このプラットフォームを使えば、顧客はモデルと年式を指定して車を検索できる。また価格、装備、パッケージさらには内装や車の色で、フィルタリングすることも可能だ。

この4月にポルシェは、レトロな外観ながらBluetooth、DAB+、Apple CarPlayなどの最新の接続機能を備えたコンパネのヘッドユニットも、何種類か旧車用に発表している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GMが手放し運転システムを市街地走行に拡大

GMには、手放し運転が可能な運転支援システムであるSuper Cruise(スーパー・クルーズ)を開発する「大きな組織」があるが、その機能をハイウェイから降りた市街地でも使えるように拡大すると、同社グローバル製品開発副社長のDoug Parks(ダグ・パークス)氏は米国時間5月19日に公表した。

同市はまた、CiTi主催の2020 Car of the Future Symposium(未来の車シンポジウム)で行われたウェブキャストインタビューで、GMは現在のSuper Cruise製品の改良も継続すると話していた。

「Super Cruiseの改良を継続しながら、私たちは新機能の追加を続け、ハイウェイ以外にも広げます」とパークス氏。さらに、内部でUltra Cruise(ウルトラ・クルーズ)と呼ばれている別チームが、市街地での手放し運転を可能にする製品の開発にあたっているとも述べた。

「私たちは、それと同じ能力をハイウェイから降ろそうと考えています」と彼はいう。「Ultra Cruiseは、Super Cruise全体を含みさらに自宅周辺、市街地や路地などに範囲を広げたものになります。つまりUltra Cruiseの領域は、実質的に常時、すべての道路です」

しかしパークス氏は、これは自動運転ではないと慌てて釘を刺した。先進運転支援システムの能力は向上しているが、それでも人間のドライバーによる操作や安全確認は必要だ。

「最終的にはそうなる可能性もありますが、私たちはUltra Cruiseを常時完全な自動運転とはいいません」とパークス氏。

Ultra Cruiseが実用化される時期について、パークス氏は言及していない。GMの広報担当者は、パークス氏のインタビューの後に公開した声明の中で、手放し運転支援システムの技術を他の車種に広げていくと述べている。また「この能力をより多くのシナリオに拡大させる方法を研究するチーム」があるとも話している。

GMは「今日はまだ具体的な名前などは発表できませんが、注目していてください」と話していた。

この新しいUltra Cruise機能は、現在の市場で最も高性能と広く目されているTesla(テスラ)の先進運転システムAutopilot(オートパイロット)にぶつけてくるものと思われる。Teslaの「完全自動運転」パッケージは、Autopilotの進化版だ。一時停止の標識や信号を認識でき、その手前で自動的に減速して停止できる。だがその機能はまだベータ版と見なされている。

GMのUltra CruiseはLiDARのマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーに、運転席の人間の注意力をモニターするドライバー・アテンション・システムを組み合わせたものだ。Teslaの運転支援システムAutopilotとは異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置く必要がない。ただし、視線はまっすぐ前に向けられていなければならない。

ソフトウェアを更新してオーナーに改良した機能を試してもらうというTeslaの方式と比べると、GMのアプローチはゆっくりだ。2017年にGMがSuper Cruiseの提供を開始したとき、対応車種はキャデラックのみ(しかもフルサイズのCT6セダン限定)で、ハイウェイでの使用に限られていた。変化が起きたのは、Super Cruiseの対応車種を広げるとGMが発表した2019年からだ。

GMの新しいデジタル車両プラットフォームは、電気的帯域幅が広く、データ処理能力が高くできており、Super Cruise能力を導入しやすくなっている。2020年1月にGMは、2021年型Escalate(エスカレード)を含む一部のキャデラック搭載のSuper Cruiseに、ドライバーに代わって車線変更を自動的に行う機能を追加した。

このSuper Cruiseの強化バージョンでは、ステアリングや速度調整などの機能も向上している。これは2021年型キャデラックCT4とCT5セダンに搭載され、続いて2021年型キャデラックエスカレードにも導入される。発売は2020年後半とのことだ。

画像クレジット:GM

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(翻訳:金井哲夫)

フランスのスタートアップAngellがSEBと提携してGPSとSIM内蔵の電動自転車の製造を開始

フランスのスタートアップAngellは、SEBと広範囲のパートナーシップを締結した。SEBは、All-Clad、Krups、Moulinex、Rowenta、Tefalなどのブランドを傘下に持つ調理器具・家電メーカーグループだ。この契約の一環として、フランスのディジョンに近いIs-sur-Tille(イス=シュル=ティーユ)の工場で、SEBがAngellの電動自転車を製造する。

SEBの投資部門であるSEB Allianceは、Angellに出資もしている。契約条件は明らかにされていないが、AngelではSEBを含む投資家グループから、760万〜2170万ドル(約8億1400万〜23億2500万円)の資金調達を計画しているという。

「当初私たちは、2020年中に1500台の自転車を製造する予定でした」と、Angellの創立者であるMarc Simoncini(マーク・シモンシニ)氏は語った。「気が付くと、期待していたより多くの自転車を販売していました。現在では、1万台の販売を見込んでいます」。

Angellは、この6か月間で、2000件の予約注文を受け付けた。内訳は、フランス国内が75%、その他の国が25%となっている。しかし、フランスでのロックダウンの影響で、予約注文は劇的に増加した。5月の注文数は、これまでの月間平均の3倍になるとAngellでは見込んでいる。

当初Angellでは、独自に工場を建設し、自ら自転車を組み立てる計画を立てていた。SEBでは、すでに25人の従業員を生産ラインに割り当て、5月末にも製造を開始することにしている。これによって物事がはかどり、遅れがちだった生産計画も軌道に乗るはずだ。

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AngellがスマートEバイク(電動自転車)を発表したのは、2019年の11月だった。アルミフレーム、一体型ライト、取り外し可能なバッテリーを備え、2.4インチのタッチスクリーンを装備したもの。

CowboyVanMoofなど、他の「つながる」Eバイクと同様に、AngellもBluetoothを利用してスマホとペアリングできる。それによってAngellは、ロックとアラームシステムも統合する。内蔵のGPSチップとセルラーモデムにより、自転車が盗まれた場合には追跡も可能だ。

しかしAngellは、統合ディスプレイの装備によって、他社より一歩先を行っている。パワーアシストのレベルを選択したり、速度、消費カロリー、バッテリーレベル、走行距離、といった情報を表示できる。目的地までのナビゲーション機能も備えている。ハンドルが振動して、左折や右折のタイミングを知らせる機能まで統合したものだ。

同社は先日、2番目のモデルとなるAngell/Sも発表した。ステップスルーフレームを採用した、小型軽量バージョンだ。どちらのモデルも、同じバッテリー、同じモーター、同じ電子制御機能を備えている。価格も同じで2690ユーロ(約31万円)となっている。

Angellは今のところ、7月にEバイクの最初のバッチを出荷する予定としている。夏の終わりまでには、新たに注文しても、10日以内に受け取ることができるようになる。最終的には、フェンダー、荷カゴ、ミラーなど、アクセサリーもフルラインアップで提供する予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)