ジャガー・ランドローバーが都市型のライドシェア用電気自動車を発表、2021年の試験運用を目指す

Jaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)は、つい目を奪われてしまういつもとはずいぶん違う形状のコンセプトカーを発表した。それはProject Vector(プロジェクト・ベクター)という名の4輪の都市型電気自動車で、一般的な乗用車というよりは、空港で走っている低床のシャトルバスのようだ。

これは、ライドシェア用電気自動運転車が主流になるであろう将来を見据えた自動車メーカーの間で流行っているスタイルだ。たとえば、Cruise(クルーズ)は、これとよく似た直方体の車両を1月に発表している。決定的な違いは、Cruiseの車両は単なるコンセプトカーではなく、量産モデルという点だ。

外観上、ジャガー・ランドローバーのVectorはCruiseとよく似ている。前と後ろはほとんど見分けがつかないし、乗り降りのスペースを最大に取れるようスライドドアが真ん中から開くのも同じだ。床も地面に近い定位置にあり、同じように乗り降りが楽にできる。床に収められたバッテリーと駆動系で走る点も同じだ。

  1. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-1

  2. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-3

  3. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-4

  4. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-5

  5. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-6

完全な無人走行用のCruiseと違うのは、ジャガー・ランドローバーのほうには正面を向いたシートがあり、人が握るためのハンドルが備わっているところだ。ただし内装は「可変式」で、ゆくゆくは無人運転走行にも対応する。また、人を運ぶだけでなく、荷物の運搬用に変更できる柔軟性もある。

ジャガー・ランドローバーのこのコンセプトカーは、興味本位で作られたような代物でもない。イングランドのコベントリー市議会とウエスト・ミッドランズ合同行政機構と共同で、Vectorを使った試験運用サービスを、早くも「2021年後半」には開始する予定だと同社は話している。それは「コベントリーの街を走る未来交通の生きた実験室」になるという。

自分の街の道路が実験台になるなんて聞くと、大抵の人は嫌がるだろうが、逆に言えば、昔ながらの配車サービスよりも公共交通機関にずっと近い電気自動車による先駆け的なライドシェアはいいものではんだろうか。

GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場(日本語訳)

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

アウディは自ら運営するライドシェアサービスを南ドイツで実験

Audi Business Innovation(アウディ・ビジネスイノベーション)は、南ドイツでBITSと呼ばれるライドシェアサービスをテストしている。ガソリン車と電気自動車の両方からなるフリート(車群)を使うもの。

アウディは、このサービスを管理するために、Fleetonomy(フリートノミー)に協力を仰いだ。ホワイトラベルの配車アプリサービスと、フリート管理テクノロジーを提供する会社だ。

同社は、車両の利用率を管理し、効率を向上させる技術を開発している。メンテナンスのタイミングを調整し、需要と供給のバランスをリアルタイムで可視化する技術によるもの。

このサービスでは、電動車と内燃機関車を組み合わせて、南ドイツ全域をカバーする長距離の運行を提供する。

「お客様に柔軟なモビリティを提供する必要性が高まっています。そこは、自動車業界にとって注力すべき領域に加えられるはずです」と、アウディ・ビジネスイノベーションのNico Gropper(ニコ・グロッパー)氏は声明で述べている。「私たちはそうした領域の開発で、常に最前線にいることを目指しています。電動車と内燃機関車の両方を含むサービスは、スムーズに運営するために、さらに高いレベルの複雑さに対処する必要があります。そうした複雑な課題を解決するためには、適切なテクノロジーパートナーと協力することが不可欠です。そうしてこそ、サービスの運用面でも、財務面でも成功することができるのです」。

アウディは、10月の初期段階のテストを成功させ、このサービスをさらに拡張することを計画している。Fleetonomyとの新しいパートナーシップにより、アウディとしては、アプリを活用したカスタムメイドの配車サービスと、電動車と内燃機関車を組み合わせた車群を管理する手法の両方を手にすることができた。

この技術を使うことで、走行距離が問題となる状況を解決できる。あらかじめ距離が分かっている走行に対して、それに適した車を配置できるからだ。そのため、バッテリー容量はそれほど問題ではなくなる。また経路も、充電時間と充電可能な場所を考慮して最適化するよう管理できる。

Fleetonomyによって、アウディは配車とスケジューリング管理用のダッシュボードが使えるようになった。また、乗客とドライバーの両方に向けたモバイルアプリも提供できる。これは自動車メーカー自身がコントロールするUberのような世界だ。

「世界中の自動車メーカーは、オンデマンドのモビリティサービスのプロバイダーとしての役割まで果たすようになっています。そして、収益性を確保するのはもちろん、素晴らしい乗車体験を提供できるサービスを作り出すため、フリートを管理する効率的な方法を探し求めています」と、Fleetonomyの創立者兼CEOであるIsrael Duanis(イスラエル・ドゥアニス)氏は声明で述べた。

「Fleetonomyの高度なモビリティプラットフォームは、アウディ・ビジネスイノベーションの新しいモビリティプロジェクト、BITSを支える技術の候補となり、この業界初のサービスを実現するためのテクノロジーパートナーに選ばれたことを非常に光栄に感じています。アウディ・ビジネスイノベーションが掲げるNew Mobility(ニュー・モビリティ)への旅をサポートし続けることを楽しみにしています」。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ライドシェアLyftがレンタカー参入、Uberは撤退済み

ライドシェアの登場により、金をかけて車を所有する必要性は減ってきた。だが、遠くまで行く際などにはライドシェア以外の選択肢が必要なこともあるだろう。米ライドシェア大手のLyftは、レンタカーでそのようなニーズを満たすことを目指す。Lyftは12月12日、サンフランシスコ、オークランドとロサンゼルスでレンタカーサービスの「Lyft Rentals」を、まずは一部ユーザーを対象に提供開始した。

Lyft Rentalsでは、ユーザーはLyftのアプリから予約などの手続きができ、同社いわく、並ぶことなく車両をピックアップすることが可能だ。それ以外の強みは、Lyftいわく、想定外の追加料金が発生しない点。走行可能な距離は無制限で、期間は最長で2週間。ガソリンを入れずに返却しても、地域の市場価格に基づいたガソリン料金が請求されるだけで済む。

車をピックアップする場所への移動、そして返却後の移動に関しては、各移動に対しLyftが最大20ドル分のライドシェア料金を負担するため、同社は「ドア・ツー・ドア」のサービスであることを売りにしている。車をピックアップする際にはLyftのコンシェルジュから鍵を受け取る必要がある。ここに関しては、スマホで車両を探し鍵を開ける個人間カーシェアリングのGetaroundが持つようなコネクテッドカー技術による利便性は今のところ見られない。車の返却時には、鍵を専用のボックスに投函する。

車種は、サンフランシスコとオークランドではVolkswagen PassatとVolkswagen Atlas、ロサンゼルスではMazda3とMazda CX-5が利用可能となっており、今後はハイブリッド車も追加される予定だ。ペットの乗車も可となっている。Lyftは、Lyft Rentalsで提供する車両をライドシェア目的でドライバーが利用することは今のところは不可としている。

Quartzいわく、Uberは前述のGetaroundと共にレンタカー事業の「Uber Rent」を展開していたものの、提供を開始した2018年内に、わずか6ヵ月ほどでサービスを終了している。ローンチ時にGetaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏が、ライドシェアによる短距離移動、そしてカーシェアリングによる長距離移動のコンビネーションにより、ほぼ全ての人たちの移動のニーズを満たすことができる、と綴っていたのにも関わらずだ。同氏は「車の所有を所有しないことを洗濯した人たちにとって完璧なコンビネーションになる」ともコメントしていた。

Quartz記者のAlison Griswold氏によると、Uberの担当者、Kaitlin Durkosh氏は「Uberアプリを通じてレンタカーを提供する上での最適な手段を模索したい」とメールでコメントするのみで、詳細を説明しなかった。Griswold氏は、Uber Rentがあまり使われていなかったため、電動キックボードや電動自転車のようなマイクロモビリティ領域に注力した可能性、そしてUberの出資先である電動キックボードのLimeがレンタカーを開始する予定であったことを指摘している。なお、TechCrunchによると、2018年11月にシアトルで開始したLimeのレンタカー事業「LimePod」は今年中に終了する予定だ。

ライドシェアのCREW、新潟県の⼭古志地域で“住民による利用”を想定した実証実験を開始

MaaSプラットフォーム「CREW」を提供するAzitは11月20日、特定⾮営利活動法⼈の中越防災フロンティアと共同で、新潟県⻑岡市の⼭古志地域におけるCREWの実証実験を開始した。

CREWは”乗りたい”と”乗せたい”を繋げるモビリティのプラットフォーム。アプリで出発点と到着点を設定すると、「CREWパートナー」と呼ばれるドライバーとマッチングされ、指定した場所まで送ってもらう ことが可能。⽬的地に到着すると、ライダーとドライバーそれぞれが相互評価をする。ここ日本において自家用車を使った営業目的のいわゆるライドシェアは白タク行為となり法律で禁止されている。だが、CREWは利用者がガソリン代、システム利用料、そして任意で謝礼を支払うという仕組みのため、法律に抵触しない配車サービスとなっている。

この実証実験を通して「⾼齢者を中⼼とした⼭古志地域の住⺠の移動をサポート」することを目指すというAzitと中越防災フロンティア。Azitのこれまでの地方での取組は全て観光客による利用を想定するものだったが、今回は初の「住民向けのサービス提供」に向けての実証実験となる。

新潟県の中央に位置する⼭古志地域の⼈⼝は2019年9⽉1⽇現在、約1000⼈。Azitいわく、⼭古志地域では、2004年の新潟県中越地震をきっかけに路線バスが運休や減便され、2007年には廃⽌の決定がなされた。現在は中越防災フロンティアが主体となりコミュニティバスの「クローバーバス」を運行させているが、実態としては住⺠の移動需要を賄いきれていない。

Azitの取締役CCO、須藤信一朗氏は「これまでも日本各地では、住民同士の移動の助け合いは行われてきており、それぞれの地域で重要な移動手段の一つとなっています。山古志でも『クローバーバス』というコミュニティバスが、この度一緒に取り組みを行うNPO法人の中越防災フロンティアにより運営されており、地域に欠かせない交通機関となっています。しかし、ダイヤがない時間帯や、停留所がない場所への移動需要に対応する移動手段が足りていない現状もあります」と話す。

「CREWはそんな、これまで地域を支えてこられた交通機関と共存し、補完する存在としてサービスを提供してまいりたいと考えています。また、山古志は特に高齢化が進んでいる地域でもあるので、免許返納後のあたらしい移動手段として住民の方々にCREWを使っていただけるよう、サービスの運営と改善につとめてまいります」(須藤氏)。

中越防災フロンティアの理事で事務局⻑の⽥中康雄氏いわく、⼤きな費⽤がかかってしまうため、すぐにはバスの増便には対応できない。加えて、Azitの説明によると⾼齢者の“⾃家⽤⾞以外”を利用した移動に対する需要も⾼まっている。そのため、田中氏は「地域に今ある⾞を活⽤して新たな移動⼿段を確保できる」CREWに目をつけた。

田中氏は「CREWで住⺠が快適に移動できるようになることはもちろんですが、CREWの利⽤を通して⼭古志の⾼齢者がスマートフォンの利⽤に慣れ、より快適な⾒守りサービスや配⾷サービスの提供にも繋げることができればと考えています」とコメントしている。

  1. 77335016_2457859084425744_8272594662682787840_n

    Azit提供
  2. 75435892_2163799583923498_4090936566820634624_n

    Azit提供
  3. 76190049_587893052014399_5988802247494991872_n

    Azit提供

日本版ライドシェア実現へ、ロイヤルリムジン運営のアイビーアイが4億円調達

モビリティーや不動産に関する事業を展開するアイビーアイは9月18日、グロースポイント・エクイティとXTech Venturesが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資により、総額4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

アイビーアイは2001年2月の設立。現在の主力は設立時から手がける不動産事業と、2008年に立ち上げたグループ企業「ロイヤルリムジングループ」を通じて展開するモビリティー事業の2つだ。同社では今回の調達を踏まえ両事業においてITの活用を推進し、数年以内のIPOも視野に入れながらさらなる成長を目指すという。

不動産関連では中古マンションのリノベーションを軸に「iReno」ブランドでアフターサービス保証付き物件を提供。近年はITの導入により業務効率の改善を推し進め、年間100件超の物件を提供するまでに成長中だ。

アイビーアイ代表取締役の金子健作氏によると「特に都心の中古マンションに関してはかなり細かいデータベースが蓄積できてきている」状態なのだそう。これまで社内で蓄積・活用してきたノウハウやデータを今後仲介事業者などにも一部有料で提供しながら、物件をリフォームして販売するまでの期間の短縮を狙う。

もう1つの核となるモビリティ事業ではタクシーベンチャーのロイヤルリムジンを通じて「ロイヤルリムジン」や「ジャパンプレミアム」、「東京シティエスコート」など複数のタクシーブランドを保有。東京および神戸にてグループ企業7社で約350台の車両を抱える。

これらのタクシーインフラのほか、配車アプリ「RoyalTaxi配車」を自社で開発。海外ライドシェア企業の「DiDi」や「Uber」との提携も積極的に進めてきた。

金子氏の話ではVCなどからの本格的な外部調達は2001年の設立以来初めてとのこと。すでにグループ全体では2017年12月期、2018年12月期と売上100億円を超えている中での増資は「レバレッジをかけながら、IPOを見据えてもう一段階事業の成長スピードを加速させたい」という思いからだという。

「特に力を入れていきたいのがモビリティ領域数年前から国内外でライドシェアが注目され日本にも一部の事業者が参入してきているが、(規制などの影響もあり)消費者視点で大きくプラスになったプロダクトはまだ生まれていない。決済において使いやすくなった側面はあるものの、基本的に料金や利便性の面における質はそこまで上がっていないと考えている。だからこそ、そこを何とか変えていきたいという思いが強い」(金子氏)

日本のタクシー業界は歴史のある業界であり、近年なかなかベンチャー企業が生まれてこなかった。アイビーアイは2008年にこの業界に参入しタクシー10台からスタート。直後に規制が厳しくなるなど逆風に直面しながらも、M&Aなどを通じて事業を拡大してきた。

金子氏の構想はこの自社インフラ、つまり自社で保有するタクシーブランドも活かした「日本版ライドシェアの実現」だ。

「現在日本で事業を展開する場合、基本的に(白タクではなく)緑ナンバーの車を配車することになるが、料金が顧客の希望する価格帯まで下がっていかないと最終的に支持を集められない。当社で今考えているのは旅行業の免許を取得して、法に沿った形でダイナミックプライシングを実現すること。配車アプリを通じて従来のタクシーよりも安い価格帯で利用できるモビリティの提供をゴールに、プロダクトの開発に投資をしていく」(金子氏)

現在も配車アプリ「RoyalTaxi配車」を運営しているが、これを大幅に拡張したライドシェアアプリを計画しているという

金子氏が考えるプロダクトを成立させるためには、当然需要に応えられるだけの供給(タクシー)が必要になる。アイビーアイでは今回調達した4億円とは別に追加の調達も予定しているそうだが、その資金を活用してテクノロジーへの投資だけでなく、タクシー事業者のM&Aによるインフラの拡充も進めていく方針だ。

「顧客視点では良質なサービスの車が配車されるということ、そして料金が需給に応じて最適な価格へきちんと変動することがポイント。インフラを持つ会社が高い志の下、法規制に沿った方法で業界の中からチャレンジをすれば、現状を変えられる可能性もある」(金子氏)

タクシーのインフラを保有するベンチャーとしては日本交通のグループ会社であるJapanTaxi累計で100億円以上の資金を調達済み。またモビリティ領域では過去に紹介したNearMeAzit(CREW)電脳交通など独自のアプローチで事業を拡大するスタートアップも出てきているだけに、アイビーアイを含めた各社の今後にも注目だ。

テスラが2020年に自動運転のロボタクシー展開を計画

Tesla(テスラ)は、2020年に自動運転車によるライドシェアサービスネットワークを展開するという大きなビジョンの一環として、初のロボタクシーを投入する見込みだ。CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が、同社開催の自動運転に関するイベントで明らかにした。

「来年、Teslaの自動運転ロボタクシーが走行するようになると自信を持っている。各地で規制の承認は得ないので、全エリアでの展開ではない」とマスク氏は語り、ここでいう規制が何のことなのかには言及しなかった。同氏はまた、Teslaが来年には当局の承認を得ることに自信を持っているとも付け加えた。

Teslaは、Tesla車オーナーが適切な装置を取り付けたマイカーをTeslaのライドシェアアプリに加えることができるようにする予定だ。このビジネスモデルはUberAirbnbのものと似ている。そしてTeslaはそうしたライドシェアによる売上の25〜30%をとるとマスク氏は語った。車をシェアする人が十分にいないところではTeslaが専用のロボタクシー車両を展開するかもしれない。

マスク氏はTeslaネットワークと、Tesla車オーナーが自分の車両を配車アプリで稼働させることができるようにすることについて2016年から言及していた。

新しいTesla車両はすべてカスタムの完全自動運転コンピューターチップが搭載される、とマスク氏は4月22日のイベントで詳細を語った。マスク氏によると、このチップは完全自動運転のためのハードウェア必須要件を満たすもので世界最高のものだと豪語(Tesla車両は前向きレーダーやカメラなど、センサーの一式を備えている)。ライダーや光感知、測量レーダー、そしてほとんどのAV開発業者が必須と言っているセンサーも搭載していない。しかし同氏は、それらは無駄でいずれなくなる運命にあると主張している。

残りのステップはソフトウェアだ。これはマスク氏いわく、来年の半ばまでに機能は完成し、誰も注意を払う必要がないというレベルに達するとのことだ。

「我々の考えでは、1年後、いやおそらく1年3カ月後、来年には確実に100万台超のロボタクシーが走っている」とマスク氏は語った。「車両はソフトウェアのアップデートで対応可能になる。それで準備完了だ」。

同氏はまた幾度となく、完全自動運転とロボタクシー車両は当局の承認を要すると述べた。しかしながら彼は、どのような種の当局の承認が必要なのかは説明しなかった。連邦政府には自動運転車両を規制する法律はない。任意のガイドラインがあるだけだ。例えばハンドルやペダルをなくすなど車両がハードウェア的に変更されなければ、連邦政府がどのようにTeslaを規制するのかは不明だ。

もしかするとマスク氏は、配車ネットワークを規制する地方自治体や州の法律のことを言っているのかもしれない。繰り返しになるが詳細は不明で、もしTeslaが新たな情報を出したらアップデートする。

Teslaロボタクシーの充電は、展開準備を進めるにあたって同社が直面する数少ない課題の1つとなる。

マスク氏は、将来はロボタクシーが自分で家に帰り、自動で駐車・充電するようになると述べた。Teslaが2015年に発表したスネーク・チャージャーの生産バージョンにも少し言及し、似たようなバージョンがロボタクシーネットワークとともにマーケットに投入されることを明らかにうかがわせた。

イメージクレジット: Screenshot of Tesla presentation

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ライドシェアのLyftが上場により2300億円超の調達狙う、銘柄コードはLYFT

ライドシェアサービスを提供するスタートアップのLyftは米国時間3月18日の朝、IPOに向けたロードショーを発表した。上場は2週間以内に行われる見通しだ。またNASDAQでの銘柄コードはLYFTで、仮条件は1株62〜68ドルを設定し3077万株の株式公開を予定。これにより、19億ドル〜21億ドル(約2100億円〜2300億円)の調達を目指すことになる。

資金調達に成功すれば、Lyftの時価総額は185億ドル(約2兆1000億円)に達する。なお、以前の報道では時価総額が230億ドル(約2兆6000億円)に達すると見積もられていた。これは、以前の資金調達時の評価額となる151億ドル(約1兆7000億円)からさらに上昇している。

またLyftは証券登録届出書にて、3538万5500株のすべてのクラスA株式を考慮した場合には、調達額は最大で24億621万4000ドル(約2700億円)に達するとしている。これは3077万株のクラスA通常株に、JPモルガンなどの引受人の461万5500株を足したものだ。

同じくライドシェアリングを提供するUberの時価総額は約1000億ドル(約11兆円)に達すると見積もられており、その株式公開も近いことが予測されている。ライドシェアリング企業が成長のために、どのようにして次のステージへと進むのかについて注目が集まっている。

Lyftの売上は急上昇しており、2018年には81億ドル(約9000億円)の予約および21億ドル(約2300億円)の売上を記録している。また利用者は3070万人で、ドライバー数は190万人だった。しかし利益は出ておらず、2018年の損失は9億1130万ドル(約1000億円)だった。損失額は売上の上昇とともに拡大しているが、その割合は大幅に縮小している。

Lyftによれば、IPO完了時にはCEOかつ創業者のLogan Green氏が29.31%の議決権を保持し、創業者かつ社長のJohn Zimmer氏は19.45%を握ることになる。

[原文へ]

(文/塚本直樹 Twitter

交通の非正常化の未来へようこそ

[著者:Bill Goodwin, Tyler Finn]
Bill GoodwinAirMapのリーガルポリシー責任者。
Tyler FinnFactualのポリシー管理者。

ロサンゼルスでは奇妙なことが起きている。先日、オフィスでは同僚たちが、トンネルの中を浮上して走る台車でドジャーズ・スタジアム周辺の交通渋滞を緩和するというBoring Companyの提案のメリットについて話し合っていた。その日の午後、コーヒーを飲みに外に出たところ、ドックレス式のレンタル・スクーターでよろよろと危なかしく走ってきた高齢の男性に轢かれそうになった。そしてその夜、州間高速道路10号線の渋滞にはまっていたとき、期限が切迫しているUberのEVTOL(電動垂直離着陸車両)のことをラジオのコメンテーターが話していた。そのころ、ベンチャー投資家の友人は、サンタモニカからシリコンバレーに帰るCabinバスの寝台個室の中で頭を枕に沈めていた。

これぞ非正常な交通の世界。

浮遊するソリや空飛ぶ自動車はないが、巨大都市ロサンゼルスは、今まさに移動手段の変革の只中にある。ダウンタウンの界隈からシリコンビーチに至るまで、レンタル・スクーターやレンタル自転車で埋め尽くされている。UberとLyftが起こした革命は、ドックレス二輪車を巡る競争に直面している。そして、Viaのライドシェアのサービスが間もなくロサンゼルスで始まる。Flixbusは、ヨーロッパの独占市場から手を広げ、都市間プライベートバス・サービス展開の拠点としてロサンゼルスに狙いを定めている。Cabinの高級寝台バスは、サンフランシスコ湾岸地区との往復でMegabusに代わるプレミアムな足となってから、すでに数カ月が経っている。

Cabinバスの車内。

ロサンゼルスが例外なのではない。アリゾナでは子どもたちの通学に、フロリダでは老人ホーム周辺の高齢者の移動に、北カリフォルニアの無限ループと呼ばれるかの環状道路では、ジャーナリストの一団を運ぶために自律走行車両が使われている。Starshipの配達ロボットは100以上のコミュニティーに展開され、スコッツデールのKrogerの利用者には、今日もNuroが牛乳を届けている。世界中のドローン企業は、バンや自転車に代わる即時配達サービスにドローンを使う認可を請求している。さらに、30近くの街が、空飛ぶ車の実用化を目指すUrban Air Mobility Initiative(都市航空移動イニシアチブ)に加盟した。

こうしたテクノロジーのほんの一部でも実現に漕ぎ着けたなら、街の中の物や人の移動は、近い将来、奇抜にして美しいものとなるだろう。

それでもまだ、善意ある規制当局がスタートアップに赤信号を出して、この未来の到来が阻まれる恐れはある。世界の都市交通が、地下鉄以来の大革命を経験しつつある今、私たちは、政策立案者たちに、公平で、効率的で、環境に優しい運送システムのための3つの提案をしたい。それは、「こんなにワイルドな未来をどうやって計画すればいいのか?」という根本的な疑問に答えるものだ。

ルール1:石を彫る前に砂場で試す

これらの斬新な複合輸送の技術をうまく組み合わせる方法は、まったく見えていない。このパズルをコントロールできる適切な枠組みも、また決まっていない。規制的な考え方には、よちよち歩きのイノベーションを潰してしまう恐れがある。解決策は、規制サンドボックス(砂場)を奨励することにある。規制サンドボックスとは、新しく生まれたテクノロジーを通常の規制による制限の外で運用し、未来の規則の策定に役立てるためのメカニズムだ。このような保護された空間は、フィンテックや暗号通貨などの分野では一般的になりつつあり、政策立案者が法律を制定する前に、Adam Thiererが「ソフト・ロー」と呼ぶ非法的規範を進化させる機能がある。

規制サンドボックスをもっともよく示している実例は、偶然にも、砂漠で知られる土地にある。アリゾナは、実社会での実験を事実上不可能にしている規制を積極的に緩和する動きを見せている。テンペやチャンドラーを含むアリゾナ州の街々では、自律走行車両の企業がサービスを展開しようと競争を重ねてきたが、これが数多くの問題点を表面化させた。たとえば、自律走行車両は利用者以外の人々にとってどれほど不快な存在であるか、自動車を運転している人は自律走行の食料品配達車両にどう対応すればよいのか、車両が一部自律走行しているときの安全を行政当局どう確保すればよいか、といった事柄だ。

米連邦運輸省は、そうしたエコシステムと、そこからもたらされる教訓の価値を認識している。昨年、米運輸省はドローンのIntegration Pilot Program(統合パイロットプログラム)を立ち上げ、数多くの州、地方、部族政府が企業と協力して、高度なドローンの運用をテストできるようにした。これには、ドローン運用に関する規則の最適なバランスを探るという目的もある。このプログラムが早期に成功したことから、米運輸省は、同様のプログラムを自律走行車両にも実施すると発表した。このような柔軟な環境が、最先端テクノロジーを生み出す企業と規制当局との大変に重要な協力関係を促進する。新しい規制は、密室で立てられる仮説にではなく、実社会での実験に基づいて構築されるのだ。

ルール2:勝者と敗者を決めない

規制当局は慎重になり過ぎるところがあるため、既存の企業を贔屓することがままある。イノベーションを受け入れたとしても、どの企業、またはどの技術に運営の許可を与えるかを当局が決めてしまうことが多い。

たとえば、スクーターの事業を全面的に禁止した街もいくつかある。数年前にライドシェアを禁止したときと同じようにだ。ビバリーヒルズは、ドックレスのスクーターを禁止し、1000台以上のスクーターを没収した。これには、Birdに対する警告の意味が含まれていた。Birdはこれを受けて、スクーターの禁止はカリフォルニア州の複数の法律に違反するとして市を訴えた

そのほかの街で、そこまであからさまにスクーターを禁止するところはないものの、企業との旧態然とした癒着関係を、新しい技術系既存企業に移し替えるという罠にはまりかけている。サンタモニカでは、地元住民の間でもっとも人気の高かった2つのレンタルスクーター・サービスであるLimeとBirdを禁止する直前まで行ったが、海岸に住む一般住民からの激しい非難が寄せられて初めて、市議会は4つの業者に事業を許可した。それでもまだ、その他の業者のスクーター・サービスは、市内で営業できないことになっている。

どのテクノロジーが成功して、どの企業がそれを運用すべきかは、市場に決めさせるべきだ。自治体は、審判を下すのではなく、新しいテクノロジーと既存の輸送インフラとのつながりを作る調整役に徹しなければいけない。そうでなければ、イノベーションはベビーベッドの上で死んでしまう。

PickPalを憶えておいでだろうか? UberやLyftの前に流行っていたのだが、今はもうPickPalは呼べない。スマートフォンが登場してすぐのころに現れた、カナダ生まれのライドシェアの先駆者だが、既存企業による妨害により、料金を取って人を乗せるサービスが禁止されてしまった。ライドシェアの利便性を理解せず、当局はそれを潰してしまったわけだ(もうひとつの人気が高かったライドシェア企業Allo Stopも道連れになった)。新技術によって実現しかけた新しい生活の足は、規制によって亡き者にされたのだ。

それとは対照的に、Uberは、市場に参入させまいとする力に対抗することができた。いろいろな局面で、彼らは敵対的なアプローチを使い、ライドシェアを存続できるように法律を変えさせてきた。だが、これによりライドシェア産業は生き残れたものの、ライドシェアと既存の交通ネットワークとを連携させる機会は遠のいてしまった。規制当局とライドシェア企業は衝突を繰り返しているため、街が必要としている交通問題の体系的な解決は、ずっと先送りにされている。

ルール3:チャレンジと、その手助けとなるツールを受け入れる

本来、交通は地元のためのものであり、移動革命の未来も、地元のためのものであることに変わりはない。ずっと都市環境という問題の上を漂っていた航空業界ですら、大都会との関係を考え直す必要に迫られている。電動垂直離着陸車両は、1970年代にヘリコプターが学んだ教訓を再び体験することになる。また、ドローン企業は、Eazeの空飛ぶ芝刈り機を使った配達の時間は午前3時がいちばん都合がよいと考えたときに発生するであろう、極めて身近な超地域的問題に直面することになる。

しかしそこには、未来の街のための最高にエキサイティングな機会が横たわっている。私たちが歩む道の上、下、上空に起きる変化に伴う負の外部性は、新たな頭痛の種となったその同じテクノロジーを使って調整できる。街は、自律走行車両のスムーズな運行にRideOSなどのプラトフォームを、輸送計画にスクーターを取り込むためにRemixを、公共サービスとしてのライドシェアを提供するためにViaを、また、私たちのAirMapを利用して、今はドローンを統合し、将来は空飛ぶ自動車を統合できるはずだ。

結論として、これらの奇抜で新しい交通の未来を都市が喜んで迎え入れるために必要なものは、制裁ではなく、問題の解決方法だ。既成概念に当てはまらない交通手段は、自治体の役人、計画立案者、議員たちに途方もない課題を突きつける。だがそれは、進む価値のある道だ。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

NearMeが「100万円あげちゃう!」キャンペーンを実施、タクシー料金が20%お得に

どこかで聞いたことのあるようなタイトルだけれど、タクシー相乗りアプリ「NearMe.」運営のNearMeは12月25日、「100万円あげちゃう」キャンペーンを開始したと発表。忘年会シーズン、終電を逃したら試してみるのもアリでは?

この「バーチャル相乗りキャンペーン」では、たとえ相乗り相手が見つからない場合でも、NearMe.を使いバーチャルな相乗り体験することで予想タクシー料金の20%がお得になる。

利用ステップを説明しよう。まずNearMe.で目的地を入力して相乗り相手を検索(見つからない場合、 バーチャル相乗り相手「ニア美」さんがマッチされる。ニア美さんと実際に相乗りすることはないのであしからず)。タクシーに乗車後、メッセージ画面にて「合流」ボタンを押しバーチャル相乗り開始。目的地に到着後、24時間以内に領収書を撮影し、アップロード。すると翌日、 お得になる金額がメニューの「残高」に計上される。

キャンペーン期間は2018年12月31日23:59まで。なお、支払い金額の総額が100万円に到達した時点でこのキャンペーンは終了する。

利用エリアは出発地が東京都、 神奈川県、 埼玉の一部エリアだが、今後随時拡大予定だ。

  1. sub1

  2. sub3

  3. sub4

  4. sub5

  5. sub2

なお参加条件・注意事項は以下のとおり。

  • リアル相乗りが3回以下の利用者
  • お得になる金額は、 検索時の予想タクシー料金を元に計算
  • お得になる金額は、 最大2000円/1回
  • タクシーの領収書を24時間以内に送付しなかった場合、 支払いは不可
  • 端末情報と領収書の位置情報が矛盾している場合、 不正利用と判断し、 支払い不可となる場合も

NearMeは2017年7月に設立されたスタートアップで、2018年6月25日にnearMe.を東京エリアで先行リリースした。タクシーという日本の既存資産を利用し、ライドシェアとは異なる方法で新しい移動方法の実現を目指しているスタートアップだ。

UberのパートナーFairはソフトバンクから3億8500万ドルの投資を受け世界の自家用車に変革を起こす

カリフォルニア州のスタートアップFair.comは、車を購入するものから、安価で勘弁なリースするものへと自動車産業の舵を切ることを目的に、本日(現地時間12月20日)、野心的な、新しい大きな一歩を踏み出す。

Fairは、ソフトバンク率いる3億8500万ドル(約428億円)という巨額のシリーズB投資ラウンドによる資金を調達した。この投資には、Exponential Ventures、Munich Re VentureのERGO Fund、G Squared、CreditEaseも参加し、このビジネスの世界展開を目指す。Fairは、運転免許証とクレジットカード(または銀行口座を証明するもの)があれば、日常的な個人使用でも業務用でも、誰にでも柔軟なリースのオプションを提示してくれる。昨年、密接な協力関係にあったUberは、そのリース部門を今年の初め、Fairに4億ドル(約444億7500万円)で売却した。これによりUberは、ドライバーに車両を用意することができる。この方式を、他のライドシェア企業にも広めたいと考えているのだ。

「計画では、ビジネスを10倍にすることです」とCEOで共同創設者のScott Painterはインタビューに答えて話している。Fairはすでに、アメリカの15の州(25の市場)で事業を展開し、毎週、新しい街に進出している。今日までに、2万件以上のリース契約を行ったと彼は語っている。「去年は劇的な成長を遂げました」

今回の投資は、ソフトバンクがビジョンファンドを通じて行った、技術業界全体からしても、このシリーズの最新にして最大のものであり、とても戦略的な意味を持つ。

ソフトバンクは、ライドシェア業界では世界最大の投資企業であり、Uberだけでなく、中国のDidi、東南アジアのGrab、インドのOla、アメリカのGetaroundも支援している(その他、食料品配達スタートアップDoordash、ドイツの自動車販売プラットフォームAuto1、自律運転車両の企業Cruise、マッピングのスタートアップMapboxなどといった、自動車、運送関係の数多くの企業にも投資している)。

その長期計画の中には、Fairを使って、より多くのドライバーに車両を与えることでライドシェア産業を拡大するというものがある。すでにUberで行っているように、ドライバー志望者に車両を素早く提供できるようにするのだ。

「Fairなら、ライドシェアを世界規模で展開できると思っています」とソフトバンク・ビジョンファンドの投資家Lydia Jettは、TechCrunchとのインタビューで話していた。「これがソフトバンクのポートフォリオに何を加えるのか、またその逆を見るのが、大変に楽しみです」

Painterによれば、Fairは昨年から今日まで、ソフトバンクと話を続けてきたという。ソフトバンクが投資を決めた理由には、FairがUberの事業を好転させた実績があった。

「Uberは、私たちを納得させるケースとなりました」とJettは言う。「投資家としては、2つの異なるチームによって運営されるひとつの資産に注目することは滅多にありませんが、Fairのチームは、Uberがうまくできなかったことを解決しようとしていました。彼らは資産を好転させ、それが多大な付加価値を与えることを証明して見せたのです」

Painterは、自社の評価額について、直接的に述べることは決してしなかったが、今回のラウンドによってFair.comが調達した投資総額は、現在のまでにおよそ5億ドル(約556億円)になった話している。また、私は推測するところでは、Fairの現在の企業価値は、株式投資家が集団で事業を支配していない状態で、10億ドル(約1112億円)は下らない。

株式投資の他に、Fairは車両を揃える目的で最大10億ドル(約1112億円)の借入資本を確保した。Painterが私に話したところによると、今回の投資により、同社は必要なときに必要に応じて大きくなる借金の壺ができたという。「平たく言えば、株1ドルにつき10ドルの借金ができます。その現金を使って車を買うのです」

データを使ってスケールを拡大する

Painterは、株式投資はおもに、より多くの市場に事業を広げるために使われると話しているが、それはライドシェア業界に留まらず、「ギグエコノミーの中にいるあらゆる労働者」も含まれる。とは言え、一部の投資は同社の技術プラットフォームにも引き続き割り当てられる。

このプラットフォームには、近年成長してきた金融サービスに共通するものがある。ビッグデータの解析と人工知能を利用するというものだ。Fairは、手続きをできる限り簡便化して、ちょっと興味を持った人を、本物の顧客に変えることを目指している。

この場合は、同社の新車または新車に近い車(こちらが主だが)を借りたい人は、たった2つの書類を提出すればよい。自動車運転免許証と、クレジットカードか銀行口座を証明するものだ。

これを元に、Fairは申請者の資産概要をバックエンドで組み立て、リースが可能かどうかを即座に判断する(それだけでも大きな成果だ。車のリースや購入には、多くの人の手と時間を要する手続きが付き物だからだ。そうした手間を省くことができる)。利用者は車を「サブスクライブ」(定額利用)することになる。契約は5日前の通知で解約できる。プランは130ドル(約1万4500円)からとなっている。

車両の側でも、Fairは計算を行っている。どの車種に需要があるかを見極め交渉を行う。自動車販売業者(すでに3000社と契約している)との間で価格を決め、車を入手するための、確かなビジネスの流れを作る。

そのビジネスのデータの流れには、無駄な側面はないようだ。

「私たちのアプリは、およそ200万本インストールされていて、中古車を探している人のための大変に便利な場になっています」とPainterは言う。「それを通じて、私たちは利用者とその購買行動の情報を手に入れ、それをもとに、どの車種や製品が適しているかを考えることができます。データ駆動形の深層学習の実践です」

Painterの事業は、車を所有せず、すべての人がリースする自動車産業を前提としている。好都合なことに、それは、自動車産業はすでに変化し始めていると信じる大勢の人々の考えと一致している。

変化はこのように起こる。自動車がより高性能になる。そしてより高価になり、人々の手が届きにくいものとなる。または、自分で運転するのを嫌うようになる(まさに、自動車メーカーはそんな未来のための準備を始めている)。

人々が移動サービスを好むようになるか、まだ自分で運転したいと思うかに関わらず、自分で車を買うことはなくなる。こうした傾向を、オンデマンドサービスで見てきた大きな経済の変化と合体させると、効率的で、納得価格のリースというビジネスモデルとなり、人々は一度試してみようと思うようになる。

長期的には、個人に車を提供する以外に挑戦したいドライビング・シナリオがあるとPainterは言っている。

「今、私たちは乗用車と個人の移動にフォーカスしていますが、小型の運搬車という商用利用も考えられます。たとえば、小さな運送会社やパン屋、花屋など、輸送が必要なすべての業種が対象です」とPainter。「しかし、2019年はUberや同業の企業を助けることが先決です。そこには明確な要請があります。彼らを成長させるために、私たちはオフバランスシートでやっていきます」。Uberも同業の企業も、いずれは株式を公開する。それが来年である可能性もある。まさに、成長という名のゲームの始まりだ。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

NY発ライドシェア 「Via」街や交通機関との“パートナーシップ”を重視した日本戦略とは

海外と比較すると、ここ日本においてライドシェアは圧倒的に盛り上がりが足りていない。タクシー業界による猛反対や、第二種運転免許を持たないドライバーが運賃を取って自家用車に乗せる“白タク”と呼ばれる行為が禁止されていることがその背景にある。だがそんな状況にも関わらず、2012年にニューヨークで設立されたライドシェア・スタートアップのViaは2018年8月に日本での実証実験を開始した。

写真左がTechCrunch Japan編集部の菊池大介、右がViaのDavid Adelman氏

同社でVice President of Global Partnershipsを務めるDavid Adelman氏によると、Viaのミッションは「世界で最も効率の良いオンデマンドでダイナミックなシャトルサービスOSを街、タクシーやバス会社、交通機関などに提供する」こと。他社とは違い既存の業界などとのパートナーシップを重要と考え、争うことなく「共に成長すること」がViaの戦略であるため、日本での定着・成長も大いに期待できると話す。加えて、日本の社会的課題を解決することに関しても同社はとても意欲的だ。

Adelman氏は10月17日、幕張メッセで開催されたCEATEC Japan 2018にて「米国テクノロジー最前線 – Society5.0に向けたMobilityの可能性」と題されたアメリカ大使館主催のキーノートセッションに登壇し、僕がモデレーターを務めた。当日のセッションの内容も踏まえた上でViaの日本での戦略を紹介したいと思う。

これまでに420億円もの資金を調達しているViaのライドシェア数は2013年から累計で4000万以上、月間ライドシェア数も200万以上あるという。ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴでの会員数はおよそ100万人。アメリカとヨーロッパ以外でもオーストラリアやニュージーランドで同社のシステムが使われている。

前置きが長くなったが、ここでViaのサービスが一体どのようなものなのか、説明したい。まず乗客はアプリを使い乗車を予約。アルゴリズムは1、2秒ほどで乗客とドライバーをマッチングし、乗客には「バーチャル・バスストップ」と呼ばれる乗車位置に移動するように指示が来る。乗客は最寄りの交差点などまで歩く必要があるが、これはViaの特徴の一つだ。車両に同じ方向に向かう乗客5、6人ほどを乗せるSUVを使うので、家の前まで迎えに行くなどの“寄り道”を省くことで目的地までなるべく短いルートで進むことができる。

ニューヨーク、ワシントンDC、アムステルダム、ロンドン、そしてシカゴで提供しているのは自社が直接Cに向けて提供するサービスで、アメリカでは「Via」、ヨーロッパではメルセデス・ベンツとのジョイントベンチャー「ViaVan」として展開。他の地域ではパートナーと共にサービスを展開する形を取っている。

水色のエリアでは「Via」もしくは「ViaVan」、青色のエリアではパートナーと連携したサービスを展開している。

パートナーには乗客・ドライバー向けアプリだけでなく、アルゴリズムやノウハウも提供する。アルゴリズムやブランディングはパートナーに合わせてカスタマイズさせるのだという。その一例が8月1日より森ビルと共同で実証実験を行なっている「オンデマンド型シャトルサービス」の「HillsVia」。実証実験は2019年7月末までの1年間実施される予定だ。

森ビルが料金を負担し、社員が無料で乗れるようにすることで、禁止とされている“一般車両への相乗り”の実験を可能とした。ドライバーは一般人ではなく、運転手派遣会社のプロたちだ。

HillsViaを通じ、森ビルは「Via社独自開発のアルゴリズムを採用することで、交通渋滞や環境負荷など都市交通が抱える課題の解決に寄与すると共に、都市における移動手段の選択肢を増やすことで、より豊かな都市生活を実現すること」を目指す。

メルセデス・ベンツがこの実証実験の趣旨に賛同し、最新の車両を提供。言うまでもなく、ダイムラーはViaに出資している。ドライバーを含め7人が乗れる最新の車両が4台用意されており、東京都港区を中心とした所定エリア内で平日の午前8時から午後7時半の間で走らせている。僕も都内で何回か走行中のHillsViaバンを目撃したが、見るからに“高級”なので是非乗ってみたいと思ったほどだ。

この実証実験では森ビル社員約1300名を実証実験の対象者とし、出勤時、外出時、帰宅時などの利用を通じて様々なデータを取得することでサービスの有用性と発展性を検証する。社員はViaが森ビルのために用意したスマホアプリを使い、現在地と目的地を設定。同じ方向へ向かう同僚などと共に乗車する。

Adelman氏いわく、森ビルとの実証実験の開始以降、同様のシステムの導入について「数々の企業」から声がかかっており、すでに導入に向けて動き始めているという。だが、Viaの日本でのミッションは従業員用のシャトルを提供するだけに止まらない、と同氏は付け加えた。「日本では規制が厳しいため、他の国々で行なっているようなサービスを展開するのは安易ではない」ものの、将来的には同社のサービスをこの国でも「誰もが利用できるようにしたい」(Adelman氏)

ここ日本においてライドシェアは僕たち若者や働く世代だけでなく、高齢者にとっても便利なサービスとなるだろう。田舎だとバス停まで遠かったりするので、家の近くまで来てくれるライドシェア ・サービスは重宝されるのではないだろうか。上で説明した通り、Viaのサービスはパートナーに合わせてカスタマイズが可能なので、スマホが使えない高齢者に合わせて電話予約ができるようにしたりできる。

パートナーによっては、たとえばテキサス州の都市アーリントンと共に展開し、乗客を商業施設や病院などへと運ぶサービスでは、車椅子に乗る人でも乗車が可能な車両も用意がある。レガシーなタクシーやバスにViaの持つテクノロジー、アルゴリズムやビッグデータなどを組み合わせることで、より効率的・効果的なオペレーションが可能となるなるわけだ。「モビリティーの課題をテクノロジーで解決するのがViaのミッションだ」とAdelman氏は話していた。

ソフトバンクと中国の滴滴出行が7月に設立した合弁会社DiDiモビリティジャパンは、日本においてはタクシー会社にプラットフォームを提供する形で動いている。Uberでさえ都市部では配車アプリとして使われているケースが大半だ。一方、新たに日本エントリーを果たしたViaは街、タクシーやバス会社、交通機関などにプラットフォームを提供する経験が豊富。すでに日本のタクシー会社や自治体などとの協議も進めているみたいなので、今後の展開に期待したい。

日本でも数々のライドシェア系サービスが誕生してきているし、Lyftの日本参入も噂されている。規制が厳しいこの国でライドシェアの文化がどのように定着・発展していくのか、今後も目が離せない。

Lyftの月定額プラン試験、ウェイトリスト登録の受け付け開始

ライドシェアのLyftは、月定額プランのテストを拡大する。この記事掲載から数時間以内に一部のユーザーのアプリに、月定額プラン招待申し込みのウェイトリスト登録ボタンが表示される。

Lyftの広報担当者はTechCrunchに対し次のようにコメントしている。「今回の新テストは、車の所有をベースとしたライドシェアから、定額制ベースのものへと移行するためのステップ。今後数週間以内により多くの人に、この手頃で便利、そして安心して利用できるサービスを提供できることを嬉しく思っている」。

もしあなたがウェイトリストに申し込んで選ばれたら、15ドル分の乗車が1カ月以内に30回利用できるパスを200ドルで購入できる。割引なしで15ドル分乗車を30回利用するときに比べて250ドルもお得になる。Lyftはこのテストの規模を明らかにしていないが、全米での実施になるとみられる。

今回のテストは、3月に開始したプラン、15ドル分の乗車60回分を399ドルで、15ドル分の乗車30回分を199ドルで提供するのに続くものだ。3月初旬にLyftのCEO、Logan Greenは「エンターテインメント分野でNetflixが成し遂げたことを、我々は交通分野で達成すべく取り組んでいる」と語り、「全産業で、所有ベースから定額制ベースに変わりつつある時代」とも明言した。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Elon MuskがTeslaのライドシェアネットワークについて語った

本日(米国時間5月2日)行われたTeslaの2018年第1四半期業績報告会で、TeslaのCEOであるElon Muskが、同社が計画する自動運転車によるライドシェアネットワーク(ridesharing network)について、いくつかの点を明らかにした。簡単に言えば、技術的な観点からはTeslaは来年末には準備が整うと、Muskが語ったということだ。しかしTeskaが、いつ実際にネットワークを立ち上げるかは、まだ明確ではない。

とはいえ実際には、規制と完全自動運転に関わる議論を行わなければならない。すなわち、人間の介入を必要としないレベル4またはレベル5の自動運転である。

報告会では、Muskは人びとが自分の車を共有し、それらをLyftあるいはUber、またはLyft/Uber-Airbnbの組み合わせのようなものに提供する世界について説明した。そこでは「自分の所有する車を100%活用することができる」とMuskは語った。そしてオーナーが必要としていないときには、誰でもその車を活用することができるということを指摘した。

「こういうことが実現することは明らかです」とMuskは語った。

しかし、それを実現するためには、Teslaは自動運転の課題を解決しなければならないと彼は語った。テスラは、ライドシェアネットワークを管理するためのソフトウェアプラットフォームも必要としている。Muskによれば、テスラが現在生産している車には完全な自律性があるが、処理能力やその他のものに関連するコンピュータの更新をいくつか加える必要があるという。

「最終的には数百万台の自動運転電気自動車を所有するという目標を考えると、私たちは本当に有利なボジションにいると思う」とMuskは語る。

3月にはアナリストのGene Munsterが、Teslaが2023年までにライドシェア群の運用を開始する可能性は50%以上だと語った。Munsterによれば、これによりテスラの収益は20億ドルから60億ドルへと増加する可能性があるという。

以下に挙げるのは報告会で語られたその他のトピックである:

  • Teslaは2020年初頭にモデルYの生産を開始する予定。Muskはこれを「製造革命」になるだろうと述べている。
  • Teslaは自動運転の安全統計を四半期ごとに公開する。
  • Teslaは、4月にIntelへ去った自動運転担当副社長のJim Kellerを、呼び戻すつもりはない。

関連記事:Tesla earnings show record revenues with record losses

[原文へ]
(翻訳:sako)

画像クレジット:Sullivan/Getty Images

中国配車サービス大手Didi、中東進出へ向けCareemに出資――さらに広がるUber包囲網

中国の配車サービス大手Didi Chuxingは、ヨーロッパ企業への初めての投資から1週間も経たないうちに、さらに勢力を拡大すべく、中東でUberと競合関係にあるユニコーン企業Careemへの出資を発表した。なお具体的な出資額は明らかになっていない。

そう、Didiはまた新たな市場でUberのライバルへの出資を決めたのだ。

今月に入ってから同社は、ヨーロッパ・アフリカでUberと競合関係にあるTaxifyへ投資しており、その他にもアメリカではLyft、インドではOla、南米では99東南アジアではGrabの株主を務めている。さらに昨年中国事業を買い取ったときの契約にもとづき、DidiはUberの株式も保有している。

世界中のいかなる配車サービスにも投資しようという彼らの戦略には納得がいく。将来的に投資先とパートナーシップを結んだり、買収したりしやすくなるだけでなく、Didi(Uberに続きテック企業としては世界第2位の評価額を誇る)は影響力を世界中に広げることでUberにプレッシャーをかけられるのだ。また、これまで中国で4億人ものユーザーを相手にする中で構築してきた専門性やシステムを活用し、Didiは世界中の投資先企業に資金面以外の手助けをすることもできる。

つまり「敵の敵は味方」ということだ。

「私たちが次の段階へと成長しようとする中、Didi Chuxingが最先端のAIテクノロジーや業界の洞察、ノウハウと共に私たちのことをサポートしてくれることになる」とCareem CEOのMudassir Sheikhaは声明の中で語った。「これまでにも長い付き合いのあったDidiとの関係深化によって、Careemはイノベーションと持続可能性を意識しながら、より効率的に成長のチャンスを掴めるようになるだろう」

5年前にドバイで設立された当時のCareemは、Uberの競合としては取るに足らないような存在だったが、そこから強固なビジネスを構築し、今年の6月には自動車大手のダイムラーらから12億ドルの評価額で5億ドルを調達した(2016年12月に同ラウンドの一部の調達を終えたときの評価額は10億ドルだった)。これまでの累計調達額は5億7000万ドル弱におよび、先述の企業以外にも楽天やSaudi Telecom Comapny(STC)などが株主に名を連ねている。

Careemは現在中東・北アフリカ地域の13か国80都市で営業しており、登録ユーザー数は1200万人、ドライバー数は25万人強にのぼると言われている。さらに同社はDidiファミリーの兄のような役割まで担っており、7月にはエジプトのSwvlへ出資した(出資額は不明)

このSwvlへの投資を受けて、Didiは「世界中に広がるコラボレーションの輪が」今では1000都市に広がり、世界の人口の60%をカバーしていると話していた。昨年中国でUberを撤退に追いやったことを考えると、Didiが次にどんな野望を抱いているかは容易に想像できる。

ここでもし、Didiと並んで世界中の配車サービス企業の株式を取得しているソフトバンクがUberに出資するとなると、話は少しややこしくなってくる。先日の報道を受け、昨日ソフトバンクCEOの孫正義氏はUberの株式取得に興味を持っていると認めたが、同時にLyftへの出資も検討していると語った。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

イメージ戦略の一環?―、Uberが財務情報の一部を公開

人気配車スタートアップのUberは、この度Bloombergに財務情報の一部を公開した。その後Bloombergが報じた数字からは、同社が未だに凄まじい勢いで成長を続ける様子や、巨額の赤字を記録しながらも現金の流出を抑えつつある様子がうかがえる。

これまでにもUberの財務状況がリークしたことは何度かあったが、今回発表された内容は同社にとってポジティブなものだった。また、Uberがこのタイミングで情報を公開したというのにも納得がいく。というのも、4月に入って2017年Q1の結果が出揃ったということもあるが、崩壊しきった企業文化や短気なCEO、相次ぐ幹部の離脱を背景に同社には批判が集中している。さらにアメリカのライバルLyftが最近6億ドルを調達し、評価額がさらに上昇したことも関係しているかもしれない。

どうやらUberは、売上が増加している様子を伝えることで、同社に対する論調を変えようとしているようだ。一連のスキャンダルが起きる以前のUberは、売上記録を次々と破るディスラプティブな企業として評価されていたため、同社の経営陣がポジティブな財務情報を公開することで、当時のような評価を取り戻そうとしているのかもしれない。

この記事では、公開された数字をもとに、まずは事実としての数字を並べ、その後にそれぞれが何を意味するのかについて考えていきたい。

事実、数字、調整後損失

Bloombergが公開した情報によれば、2016年度のUberの総取引額は200億ドルだった。そして、その3分の1以下にあたる65億ドルが純売上(GAAPベース)とされている。

さらに、2016年Q4の純損失はQ3よりも5%増大したと報じられている。Q4の純損失が9億9100万ドルだったとするBloombergの報道内容を考慮すると、Q3の損失は約9億4300万ドルだったとわかる。

また、2016年度の純損失額(調整済み)は28億ドルだった。ここに中国事業関連の損失を加えると、トータルの純損失額は38億ドルに達するとBloombergは試算している(なお、以前の報道では、2015年度の純損失額が”少なくとも20億ドル以上”とされていた)。しかしどちらの数字も、「従業員向けの株式報酬や不動産投資、車両購入費などの経費」を考慮していないと記されている。

そのため、”調整後”の2016年度の純損失が38億ドルだったとしても、厳密なGAAPベースの数字はもっと悪かったと考えられる。仮に38億ドルという数字を使うと、2016年度のUberの純利益率は-58.5%だった。

この膨大な赤字額は、急激な売上額の伸びで一部正当化されている。

2016年Q4の総取引額がQ3と比較して28%伸びた結果、Q4の純売上額は29億ドルに到達したとBloombergは報じているが、29億ドルという純売上額は、Q3に比べて74%も伸びている。

なぜだろうか?この差には純売上の計上の仕方が関係しているようだ。

純売上はユーザーが支払う料金のうち、Uberの取り分のみをカウントしている。しかしカープーリングサービス(UberPOOL)に関しては、料金全体が純売上として捉えられている。つまり、複数人のユーザーが1台の車を共有するカープーリングサービスにUberの売上がシフトするにつれて、同社の売上の増加率も高まっていくのだ。

上記を考慮すると、2016年のUberの売上額は、そこまで驚くようなものではないと言えるだろう。さらに、これによってQ4の成績の見方も変わってくるばかりか、総取引額と純売上額の伸び率の差分も一考に値する。

最後に、現在Uberは70億ドル分の現金を保有しており、さらに数十億ドル分の借入ができる状態にあるようだ。ここから、同社がすぐに現金不足の状態に陥る可能性は低いと言える。

赤字は問題なのか?

Uberが赤字を計上すること自体は想定の範囲内だ。会社の規模もあって、同社の赤字は長いあいだ見逃されてきた。

しかし、各四半期の調整後損失額が10億ドル弱というのは注目に値する。特にUberのコスト構造を考えると、圧倒的なバーンレートだ。

以前までのUberであれば、オペレーションや成長を支えるために新たな資金を調達するのにも、何の心配もいらなかった。しかし、数々のスキャンダルや、設立からの年数・評価額・市場の成熟度と見合わない継続的な赤字を考慮すると、投資家はそこまでUberへの投資に意欲的ではないかもしれない。

これまでUberに投資したことがない、もしくは今後同社への継続的な投資を考えている投資家は、きっと「UberPOOLの売上の考え方がUberXの売上とは違うのであれば、GAAPよりもNon-GAAPの数字を信用したほうがいいということですか?」という質問を投げかけたくなるだろう。そうなるとUberは難しい立場に立たされる。というのも、Uberは売上に関してはGAAPベース、損失に関してはNon-GAAPベースの数字を見てもらいたい一方で、投資家は保守的にNon-GAAPベースの(小さな)売上とGAAPベースの(大きな)損失に注目するかもしれないからだ。

以上をまとめると、なかなか答えが見えづらい問いにたどり着く。Uberはどのように黒字化しようとしているのだろうか?

黒字化への道

修正や注意書きを無視すれば、Q4の調整済み営業利益はQ3と比較して大幅に改善している。GAAPベースの純売上額は74%も増加している一方で、調整後の赤字幅は5%しか拡大していない。つまり、売上に対する損失の割合は改善しているのだ。

急速に成長しながらも未だ赤字続きのUberは、このような改善点を投資家に見せ、同社の将来に投資家の目を向けようとしている。永遠に赤字を出し続けようと考えている企業は存在せず、もちろんUberも例外ではない。長期的な利益のために短期的な損失を背負うというのは、資金豊富で成長志向な企業が目指す姿でもある。

そうすると、黒字化はむしろタイミングの問題だと言える。では、Uberはいつ頃黒字化を果たせるのだろうか?

この問いには、オペレーション上のコストを含むさまざまな要因が関わってくる。例えば、特定の時間内の走行距離に応じて、Uberは一定数のドライバーにインセンティブを支払っている。

なぜUberは情報公開に踏み切ったのか?

これまでのリークと違い、今回Uberは自らBloombergに財務情報を手渡すと決めた。その様子からは、同社に対する世間の厳しい風当たりをどうにかしようという、Uberの裏の狙いが垣間見える。

多くの私企業がそうであるように、Uberも基本的には事業に関する情報をできるだけ公開しないようにしている。しかしCEOのTravis Kalanickはそこから一歩踏み出して、繰り返しIPOに対する関心のなさを表明しており、昨年にはIPOを”できるだけ後ろ倒しにしたい”とさえ語っていた。

その一方で、Bloombergの記事からも分かる通り、Uberは赤字を垂れ流し続けているため、資金面では投資家に頼るしかない状態にある。

これまでUberは、さまざま投資家から資金を引き出すことに成功しており、680億ドルという膨大な評価額で、VCからの投資を受けたスタートアップとしては、他社を大きく引き離す最大規模の企業へと成長した。

しかし、その結果株価も急上昇したため、投資家は段々とUberの将来的な成長度合いに疑問を抱きだしているかもしれない。通常ベンチャー投資家は10年間で3倍のリターンを求めているものの、厳しい競争にさらされ、スキャンダル騒ぎで企業文化が疑われているUberの株価が、今後3倍になるというのは想像しづらい。

つまり、Uberが引き続き資金を調達するためには、株式上場以外の道はないのだ。上場を果たせば、Uberの従業員もストックオプションのメリットを享受することができる。

もしかしたら、今回の情報公開は市場の反応をうかがうための作戦だったのかもしれないが、それよりはむしろ、Uberに対して否定的な意見を持っている人を黙らせるための動きであったように見える。

まだわかっていないこと

これまでにも断続的にUberの財務情報がリークされてきたが、四半期ごとや年度ごとの売上成長率に関してはまだハッキリしていない。

さらに、UberPOOLに関する売上の計上の仕方にも疑問が残る。ドライバーの取り分がわかれば、もっと全体像が見えてくるだろう。

また、先日公開された”貢献利益(contribution margins)”に関する記事では、Uberのメイン事業における売上やコストの詳細が明らかになったが、他事業の詳細については未だわかっていない。

例えばフードデリバリー事業のUberEATSは、これまでに世界中の数十都市への進出を果たしている。The Informationの昨年のレポートによれば、2017年度の純売上額におけるUberEATS関連の金額は1億ドルくらいになると予測されている一方、この新規サービスのドライバーに対するインセンティブがかさみ、関連赤字額は1億ドル以上になるだろうと推測されている。

Uberは確かに成長しているが、赤字幅も(売上成長率よりは低いものの)拡大し続けている。同社は明らかに、Amazon式の成長への再投資を見逃してもらおうとしているようだが、いつかはUberも投資家に対して黒字化への戦略を(大々的に発表するかどうかは別にして)示さなければいけなくなるだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

乗合いタクシーの最適ルートをAIで自動計算、NTTドコモと未来シェアが共同開発へ

タクシードライバーは、長年の経験と勘を頼りに乗客を探しているだろう。しかしそう遠くない未来には、人工知能が乗客のいる場所を予測し、最適な運行ルートを提案するようになるようだ。本日NTTドコモは未来シェアと「AI運行バス」の実現にむけた共同開発を行うと発表した。交通事業者が運行する「AI運行バス」では、AIが事前に移動需要、時間、乗車人数を予測し、それに応じて最適な走行ルートや配車数を決定するという。

未来シェアは公共交通や移動をスマート化するSAV(Smart Access Vehicle)技術の実用化を目指し、公立はこだて未来大学から2016年7月に発足した大学発ベンチャーだ。彼らが手がけるSAVは、同じ方角に向かう乗客をバスのように複数人乗せ、それぞれを目的地まで送り届けるためのシステムだ。乗客が専用アプリで乗車位置と降車位置を指定すると、ドライバーはアプリで迎車と行き先、運行ルートなどの指令を受け取る。この仕組みは、タクシー配車サービスUberが提供するuberPOOLのライドシェアと似ている。

一方、NTTドコモでは以前よりタクシーの移動需要予測技術の開発に着手している。2016年5月には、東京無線協同組合、富士通、富士通テンと協力して、リアルタイムでの「移動需要予測技術」の商用化を目指した実証実験を開始すると発表した。この技術では、ドコモの携帯電話ネットワークから得られるエリア毎、属性毎の集団の人数といった人口統計と東京無線が持つタクシーの運行データ、時間や季節での変動傾向、エリア特性を組み合わせて解析することで、30分後のタクシー需要を予測する。

今回NTTドコモと未来シェアが協力し、互いの持つノウハウを組み合わせることで、2018年度中にも「AI運行バス」によるモビリティサービスプラットフォームの実現を目指すという。2016年12月には、NTTドコモが主催したデマンド乗合い車両の実証実験に未来シェアも参加し、東京お台場での実証実験を行っている。

お台場での実証実験:SAVドライバーの走行ルート

NTTドコモは今回の共同開発について以下のようにリリースでコメントしている。

「AI運行バス」の提供を通じ、交通事業者利用者の更なる利便性の向上や交通サービス事業者の高効率な経営の一助となる「技術」「ノウハウ」を確立することにより、社会課題である「少子高齢化」「人口減少」から生じる交通課題の解決に貢献してまいります。

今のところ、この「AI運行バス」は人間のドライバーに対して最適な運行データを提供することを想定しているようだ。けれど、グーグルやテスラをはじめ、各自動車会社が研究を進めている自動運転車にも組み込まれる日が来るのもそう遠くないかもしれない。

中長距離ライドシェアサービス「notteco」が北海道天塩町と協力、住民の新たな移動手段に

notteco

地方では利用できる交通機関が少なく、買い物や病院に行くために都市に出るだけで数時間かかってしまうことも珍しくないだろう。北海道稚内から70km離れた天塩町もそんな課題を抱えている地域だ。本日、長距離ライドシェアサービスnotteco(ノッテコ)は北海道天塩町と相乗りサービスの実証実験を行うと発表した。3月12日から実証実験を開始し、今年の夏頃を目処に本格始動するという。

まずnottecoについて説明すると、これは中長距離移動するドライバーと相乗りしたい同乗者とつなぐプラットフォームだ。ドライバーはドライブの日時、出発地と目的地、相乗り料金、車種といった情報をnottecoに登録して、同乗者を募ることができる。同乗希望者は、それを見て条件にあったドライブに相乗り依頼を出し、ドライバーが承認すればドライブが確定する。ドライブの詳細ページではドライバーのプロフィールや活動履歴なども確認することができる。

nottecoの登録人数は現在約3万3000人だ。ドライバーは、長期休暇で帰省する人や単身赴任していて週末に自宅に帰る時に同乗者を募っているケースが多く、同乗者は帰省の他に夏フェスやイベントなどに出かける際に利用していると広報担当者は説明する。

現状nottecoはカード決済に対応していないため、同乗者は当日料金をドライバーに現金で支払う形だ。今後、決済手段を実装し、決済手数料でマネタイズする予定なのだそうだ。

notteco-drive

北海道天塩町でのライドシェア

北海道天塩町との実証実験では、天塩町から稚内への移動を便利にすることを目標としている。天塩町は、稚内から70km離れた場所に位置する町で、多くの住民は買い物や通院のために行き来している。しかし、公共交通機関で行こうとすると乗り継ぎによっては2、3時間かかってしまうこともあり、それでは車を持っていない住民や高齢者は日帰りで行き来するのが難しい。そこで、稚内に向かう車に他の住民が相乗りできるよう仕組みを作り、交通の便を改善しようというのが狙いだ。

nottecoは、3月12日より天塩町の住民向けのライドシェア専用ページを立ち上げる。稚内に行く予定の住民は、このサイトにドライブ予定を登録して、同乗したい住民を募ることができる。同乗者は移動の実費分のみをドライバーに支払う仕組みだ。nottecoは、スマホやPCが使えない住民のために電話で乗車依頼を受け付けるサポート体制を整えるが、同時に天塩町の役場でも住民が快適に相乗りできるようサポートしていくという。

teshio

この取り組みは天塩町の副町長から直接nottecoに声がかかって実現したと担当者は説明する。ただ交通手段がなくて困っているのは天塩町の住民だけではないそうだ。「天塩町の近隣の町でも同じように交通手段に困っている人が多くいます。ゆくゆくは天塩町に限らず、天塩町を通って稚内に向かっている町の住民に対してもサービスを使えるようにしていきたいと考えています」と担当者は話す。

ライドシェアサービスと自治体の連携の事例としては、2016年5月にタクシー配車サービスUberが発表した京都府京丹後市との取り組みが記憶に新しい。Uberの取り組みとの違いは、nottecoでは地域内の移動ではなく、中長距離の都市間の移動であること、そして同乗者はドライバーに実費のみを払うためタクシーとして営業しているわけではないことと担当者は説明している。この取り組みでも現時点でマネタイズは行っていないが、自治体からサービス利用料を得る形などを検討しているそうだ。この実証実験がうまく行けば、天塩町と同じ課題を抱える国内の自治体と協力していくことも考えているという。

nottecoのサービスは2007年にローンチしている。その後、ガイアックスが2015年にCostyle(コスタイル)からnottecoの事業を譲り受けた。現在はガイアックスグループの子会社として2015年9月に設立した株式会社nottecoがサービスの運営を担っている。

Uberがインドで貸切サービスをスタートへ

BEIJING, CHINA - 2016/10/08: UBER art station in Beijing CBD.  There are 8 UBER art stations in Beijing, each with a sculpture made by some of China's promising modern designers, provided especially for the carpooling riders and drivers to gather and find each other easily. (Photo by Zhang Peng/LightRocket via Getty Images)

Uberがインドで貸切サービスのパイロットプログラムをスタートさせようとしている。ここでの貸切とはドライバー込みの車を意味し、これはレンタカーとは全く異なるコンセプトだ。

8都市でテスト予定の「Uber Hire」と呼ばれるこの新サービスは、複数のミーティングをこなすためやショッピング・探索目的などで、一日中特定のUberドライバーを予約したいというユーザーのリクエストから生まれたものだと同社は説明する。

このサービスでは、ユーザーは移動ごとに別々の車を呼ぶのではなく、同じ車とドライバーをずっと利用し続け、最後に料金を支払うことになる。料金は通常通り「距離と時間」の組合せで算出されるが、支払は現金でしかできないとUberは話す。

Uberは他の地域でこのようなサービスを提供していないので、貸切のコンセプト自体は同社にとっては新しいものだが、インドでは既に似たようなサービスが存在する。200都市以上で営業しているUberのライバルOlaが、昨年の夏に貸切サービスをローンチしていたのだ。80都市以上で同時にスタートしたOla Rentalsとよばれるこのサービスは、1時間ごとの料金が設定されており、初乗りは2時間もしくは30kmで449ルピー(約750円)となっている。

Olaは声明の中で、同社が「モビリティ業界のイノベーションを先導し、昨年初めてRentalsサービスを導入した」と述べた。

さらにOlaは、これまでに「何十万件」もの予約があったというRentalsサービスを、「近日中に」合計100都市以上に展開予定だと付け加えた。

実はUberは以前、貸切に近いサービスを人気リゾート地のバリ島でスタートし、旅行者や観光客をターゲットに5〜10時間のチャーターサービスを提供している。

Uberは、Didi Chuxingへの事業売却と共に中国から撤退後、インドや東南アジアといった勝機の見込める地域へとフォーカスを移した。そして以前まで中国につぎ込んでいた年間10億ドルもの資金を、Uberは現在この2地域(特にインド)に向けていると言われてる。

また、Uberがインド国内に設立したR&D部門は、Uber Hireの他にも、ウェブ予約や代理予約機能、さらに以前には現金精算SOSボタンといったインドだけのプロジェクトを行ってきた。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Olaが車内エンターテイメントプラットフォームのOla Playをローンチ

ola-play-1

インドにおけるUberの主要ライバル企業であるOlaが、インターネットに繋がったカーエンターテイメントプラットフォームをローンチし、優雅な車内環境を提供しようとしている。

誰もタクシーの中で長くて退屈な時間を過ごしたいとは思わないだろうが、特に混雑したインドの都市部では、乗車時間が長くなりがちだ。そんな状況を改善するかもしれない「Ola Play」は、以前UberがSpotifyPandoraとの連携を通して提供を開始した、車内エンターテイメントをアップグレードしたようなサービスだ。

ドライバー用と乗客用のふたつのタッチ式デバイスを利用するこのサービスには、エンターテイメントのほかにも、行程に関する情報やインターネットブラウザなどが含まれている。さらに、乗客は自分の携帯電話とデバイスを同期させて、Apple Music、Sony LIV、Audio Compass、Fyndなどのサービスを利用することもできる。

Appleのような企業との提携に加え、ハードウェア面では、インドを拠点とする自動車メーカーのMahindra and Mahindraや、通信機器・半導体の開発を行うQualcommと協力し、Olaは同サービスを提供している。

Olaは以前も、車内エンターテイメントの必要性について話していた。去年、Uberと時を同じくして、Olaは無料の車内Wi-Fiサービスの提供をスタートし、このサービスが乗客のエクスペリエンスを向上させるとともに、インド国内の携帯電話のサービスエリアにある穴を埋めるのに一役買うことになると同社は主張していた。今年に入ってからOlaは、このWi-Fiサービスを、ゆくゆくはOlaの顧客がアクセスできるような、公衆Wi-Fiネットワークへと展開していきたいという野心的なプランを発表した。

そしてOla Playの導入で、同社は再度エクスペリエンスの向上に注力しようとしているのだ。はじめは、ベンガルール、ムンバイ、デリーで高級ラインのOla Primeを利用している”一部の”顧客に対してのみOla Playが提供される予定だが、2017年3月にはインド中を走る5万台以上のOlaカーで同サービスが利用できるようになる計画だ。

ola-play-2

Olaの車内プラットフォームに、今後どのような機能が追加されていくのか楽しみだ。というのも、同社は前述のWi-Fiパッケージを含むメンバーシッププログラムである「Ola Select」向けに、ファッション系EC企業のMyntraなど、複数のブランドと既に議論を進めているのだ。乗客とサービスプロバイダーの両方が得をするように、あるブランドの商品を車内で販売するというのは、そこまで難しい話ではない。

また、Didi Chuxingへの中国事業の(近々実行予定の)売却に合意して以来、Uberは余ったリソースをインド市場にまわしており、インド市場でのOlaとUberの競争は激化している。現状、カバーしている都市数ではOlaがUberを上回っており、主要都市におけるサービス利用数でもOlaが勝っているというデータも存在する。一方でUberは、インド向け新機能の開発やマーケット拡大に力を入れていることもあり、Olaは、Uberのサービスに慣れているような富裕層を獲得するため、エンターテイメント機能の拡充に努めているのだ。

「Ola Playで、エンターテイメントを含む車内メディアを乗客がコントロールできるようになれば、彼らのエクスペリエンスが根本から変わり、ライドシェアリング業界は新たな時代に突入することになると私は信じています」とOlaの共同ファウンダー兼CEOのBhavish Aggarwalは、声明の中で語った。

「私たちの顧客は、毎日合計で6000万分もの時間をOlaカーの中で過ごしているため、彼らにとっての快適さや便利さ、生産性にOla Playが与える影響は甚大です。このサービスによって、ライドシェアを交通手段の第1候補と考える人の数が、さらに何百万人も増えることでしょう」とAggarwalは付け加える。

さらにOla Playは、Olaが近々資金調達を計画しているという噂が立つ中でローンチされた。一年前に同社は5億ドルを調達していたものの、東南アジアを拠点とする同盟企業のGrabが、インドよりも小さな市場で営業を行っているにも関わらず7億5000万ドルを調達したことから、Olaも棚ぼたを狙っているのかもしれない。今月に入ってからBloombergは、Olaがもうじき6億ドルの調達を完了すると報じており、今回の派手で華やかな発表の目的のひとつは、恐らく現在行っている投資話を前進させることなのだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

中国のタクシー配車サービス大手Didi、今度は自転車シェアリングに出資

didi_ofo

中国最大の自動車配車サービス会社Didi Chuxing(滴滴出行)が、自転車分野にも進出するかもしれない。正確にいえば、自転車シェアリングだ。Uberの中国ビジネス部門を買収締結中の同社は、米国時間9月26日、自転車の貸出サービスを提供する新手のスタートアップOfoに出資したと発表した。

今回の出資規模は何億ドル規模ともいわれているが、Didiの持分がどれだけかは不明だ。Ofoは今月すでに400万ドルの出資を受けたと伝えられているが、Didiの資金がそのラウンドの一部であったのか、あるいはその追加分であったのかは定かではない。

実際のところ、両社とも多くは語っておらず、Didiによる発表も1段落のみにとどまった。しかしどちらも今回の出資を「多層的なパートナーシップ」の一部であると呼んでいる。我々はこの言葉の真意について、またOfoとの提携プランについて追加情報の提供を依頼したが、Didiからの回答はなかった。

しかし行間を読むならば、Didiはこのタイアップによって、Ofoを自社アプリのオプションとして提供することで自転車業界へ進出する機会を得られる可能性がある。Didiの提供サービスは認可済みドライバーによるプライベートなタクシーサービスにとどまらず、運転代行、テストドライブ、コミュニティーバスサービスなどにも対応している。Uberなどの同業他社がすでに提供しているサービスにも同様に着手することになれば、学生軍団が漕ぐ自転車によるフードデリバリーや荷物の宅配のようなサービスが街中に広がるかもしれない。

Ofoは2年前に、北京大学のスタートアッププログラムの一環として設立された。中国の20都市に自転車7万台を保有し、150万人の登録ユーザーによって毎日50万回の利用があるという。中国における自転車の人気は絶大だ。北京のみでも900万台あるといわれ、それに着想を得たポップソングすら存在している。自転車の利用者は特に学生層が多い。

Didiによるその他の投資先をたどれば、さらに明確な戦略が「線」となって浮かび上がってくる。同社にはUberのライバルであるLyft(米国)Ola(インド)Grab (東南アジア) に、「成功事例」の共有や、各国を旅行するユーザーに各サービスの利用を促進するなどの連帯的連携の一部として出資した過去がある。しかし、DidiによるUberの中国部門の買収は、この提携関係を不確実性へと投げ入れた。 今回の取引によってこの中国企業はUberの投資者となり、代わりにUberがDidiの株主となるからだ。

原文へ

(翻訳:Ayako Teranishi / website