Facebookが社員半数をリモートワークに、シリコンバレー外に複数の拠点開設へ

Facebookの創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は新型コロナウイルス(COVID-19)危機が続く中で社員の生産性と安全性を両立させるため、シリコンバレー外の大都市に施設を建設することを計画している。タウンホール・ミーティングと呼ばれる社内向けビデオストリーミングで、同氏はプロジェクトの概要を明かした。

パンデミックにより社員の大部分が自宅からリモートで仕事をするようになったため、シリコンバレーはゴーストタウン化している。ハイテク大企業多数はシンボルとなってきたシリコンバレー本社の価値を見直しているところだ。

5月21日に同氏は、デンバー、ダラス、アトランタにFacebookの新しい拠点を設置すると述べた。またサンディエゴ、ポートランド、フィラデルフィア、ピッツバーグなど現在オフィスがある都市の周辺を対象にした新規採用に力を入れていくという。同氏は今後10年程度で米国カの社員の半数がフルタイムのリモートワークが可能になると考えている。

同氏はどのような職がリモートワークの対象となり得るかついても詳しく説明した。ハードウェア開発、データセンター運営、採用事業、利用約款策定、他企業との提携などの部門では、その場にいることが必要となるため、物理的なオフィスでの勤務が必要だろうという。

「大都市に住んでいる、あるいはそこに移住してもよいと考えている人々だけを採用の対象と考えていると、多様なコミュニティに属し多様な背景、多様な視点を持つ多くの人々を排除することになる」と同氏は述べた。

ただし、シリコンバレーの外により良い生活環境を探しているFacebook社員には注意すべき点がある。2021年1月1日からFacebookは社員すべての給与を地域化し、社員が住む地域の生活費にスライドさせる調整を行うという。

画像:Justin Sullivan / Staff / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

自宅軟禁のリモートワークを再定義、多拠点コリビングのADDressが職住融合施設を募集

月額4万円から住み放題・多拠点コリビング(Co-living)サービス「ADDress」(アドレス)を運営・展開するアドレスは5月20日、 新型コロナウイルスの蔓延により、企業のリモートワークが進んでいることを受け、 ホテル・旅館・ゲストハウスなどの宿泊施設との連携を強化することを発表した。

具体的には、リモートワーカーを主な利用対象者として連携宿泊施設をリモートオフィスとて活用できる環境を構築する。第1弾として、東京・赤坂にある「変なホテル東京 赤坂」、高知・高知にある「高知サンライズホテル」など全国10拠点を近日オープン予定で、 新規の宿泊施設も追加募集する。

現在、新型コロナウイルスにまつわる非常事態宣言は39県で解除されており、残る8都道府県も新規の感染者が大幅に減っていることから宣言解除は間もなくだと考えられる。しかし、諸外国の現状を考慮すると秋以降に再度のピークを迎える可能性も捨てきれない。感染力も強いためワクチンや特効薬が開発されるまでは、ソーシャルディスタンスを意識した行動が必要になる。

アドレスでも連携宿泊施設で、感染抑止・防止対策を実施しており、リビング・キッチンなど共有スペースでのソーシャルディスタンス、 各拠点ごとの個室利用制限を設けて3密(密閉・密集・密接)を避ける措置をとっている。同社は、長期化、もしくは常態化するかもしれないリモートワークの環境を見据え、リモートワークを現在の自宅軟禁状態から解放すべく、ホテル・旅館・ゲストハウスなどの宿泊施設を募集し、 職住融合型の滞在個室を提供していく狙いだ。提携に関する募集概要は以下のとおり。

  • 対象施設 :ホテル、旅館、民宿、ゲストハウス(民泊の場合は戸建1棟貸しに限る)
  • 契約期間 :最短3か月~(長期契約も可能)
  • 個 室 数 :1個室~
  • 契約形態 :賃貸借契約または定期施設・宿泊利用契約
  • 料金 :立地により応相談

利用料金についてはヒアリングのうえで決定する予定だが、 立地環境の不動産市場(1Kルーム)が相場となる。近日オープン予定の全国10拠点は以下のとおり。

  1. 変なホテル東京 赤坂(東京・港区)
  2. 高知サンライズホテル(高知・高知・)
  3. UCHI Living Stay Otaru Suitengu(北海道・小樽)
  4. FUJITAYA BnB(京都・下京区)
  5. Kyoto Kujo Inn(京都・南区)
  6. ぴー坊(長野・白馬)
  7. ゲストハウス縁(長野・白馬)
  8. STAY+CAFE ENTO(大分・日田)
  9. tu.ne.Hostel(千葉・館山)
  10. 東方旅泊糸満(沖縄・糸満)
  1. ADDress_12

    変なホテル東京赤坂(東京・港区)
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    高知サンライズホテル(高知・高知)
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    UCHI Living Stay Otaru Suitengu(北海道・小樽)
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    FUJITAYA BnB(京都・下京区)
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    Kyoto Kujo Inn(京都・南区)
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    ぴー坊(長野・白馬)
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    ゲストハウス縁(長野・白馬)
  8. ADDress_4

    STAY+CAFE ENTO(大分・日田)
  9. ADDress_3

    tu.ne.Hostel(千葉・館山)
  10. ADDress_2

    東方旅泊糸満(沖縄・糸満)

リモートワークは「自宅監禁」から柔軟性のある「どこでも勤務」に変わっていくべき

私は先週の金曜日(5月15日)、同僚とともに「在宅勤務」とリモートワークの未来に関する見解を記事にまとめたが、その分析情報を信じるならば、かなりの人たちの共感を得たようだ。

「オフィス」で知的作業に専念することが中心のハイテク業界においては、特に珍しくもないことだが、ミニキッチンに置かれているアイスクリームのサイズが小さくなったことなどの「ちょっとした頭痛の種」から、オープンオフィスで難解なMLアルゴリズムについて頭を絞っている側で、同僚たちがオモチャの銃を撃ち合って遊んでいることなどの「もっと大きな不満」までが、オフィス環境で過ごす時間が長くなるほど、過大に深刻化していく気がしてしまう。

多くの人が強要されている「在宅勤務」の状況が理想的でないことははっきりしている。学校は閉鎖され、子どもたちが家にいる。みんな家にいるからインターネットが重い。犬の世話を頼んだ人は来ないし、避難できるカフェもやってない。だから、例えTwitterのような巨大ハイテク企業が在宅勤務のオプションを恒久化するなどと宣言したところで、在宅勤務というヤツにみんなが同様の嫌悪感と反発を抱いていることは容易に想像がつく。

関連記事:Twtterが社員の在宅勤務を期限なしに認める措置を発表

だがそれは、これから現実に起きることの空売りだ。「在宅勤務」というネーミングが悪い。なぜなら、その新たな方針から得られる基本的な自由がそこに謳われていないからだ。その目的は自宅監禁ではないはずだ。みんながそれぞれ、最も生産的になれる場所で考えたり働いたりできるようにすることだろう。

もちろん、新型コロナウイルス(COVID-19)のお陰で、ほとんどの人たちが小さな家の中に隔離されていることは理解している。しかし長い目で見れば、「在宅勤務」はどこからでも仕事ができる柔軟性を提供することが最も重要だ。それは自宅かもしれないし、カフェでも、家族が入院している病院でも、ビーチでも、友だちの家でも、ホテルでも構わない。ここでいう柔軟性の要点は、スケジュールとそこから受けるストレスから解放され、好きなところで仕事ができる状態にすることだ。

家で仕事をすることを選ぶ人は多い。また私たちには自宅以外でも、毎日同じ仕事環境に行って仕事をしたがる習性がある。それは結構なことだ。柔軟性とは、常に場所を変えろという意味ではない。場所を変えたくなったときや、変える必要が出たときに変えられるのが柔軟性だ。

「在宅勤務」の方針には、ひとつ大きな疑問が浮かび上がる。オフィスが好きで、同僚と会議をするなどの社会生活が好きな人はどうするかだ。ここにまた、言葉の定義の幅を狭めてしまう問題がある。「どこでも勤務」とは、文字どおり「どこでも」だ。普段通勤しているオフィスもそこに含まれる。

柔軟性とは、スケジュールと場所を自分が行いたい知的作業に適応させることだ。いくつものプロジェクトを調整する会議に追われる日もある。社会から自らを隔絶して小説の執筆や新しいアルゴリズムの開発に没頭したり、来週の全体会議のための大きなプレゼンテーションの準備をしたい日もある。それらをまとめてやりたい日もある。家でくつろいだり、同僚に癒してほしい日もある。

端的にいえば「どこでも勤務」とは、スケジュールが許す限りの自由とダイナミズムをカプセル化したものだ。企業にとっては、本当の「どこでも勤務」の文化をどのように実現するか課題となる。それは、オフィスか家かの2択を超えるものだ。従業員が家で仕事ができるよう必要な機材(モニターや持ち帰り用のコンピューターなど)に予算を付けたり、自宅のインターネット環境を整えるための補助金を出す企業はすでに増えている。

だが「どこでも勤務」の場合、従業員がカフェで飲んだコーヒー代やWi-Fiの接続料を会社が負担するべきなのか?コワーキングスペースでのWi-Fiの利用料はどうか?従業員が気分転換のために別の街やいろいろな場所に移動する費用を企業は負うべきなのか?遠く離れた従業員に、直接会うための制度を提供するべきなのか?

残念ながら、今のところ企業幹部たちが気にしているのはコストだ(これは驚きだ!)。オフィスには金がかかる。この5年間で1人あたりのオフィス面積は、コスト削減のために小さくなっている。ドア付きの個室オフィスの代わりにオープンオフィスの使用が強要される原因はそこにもある。これなら協力体制が強化されて同時に経費も削減できる。「在宅勤務」が人気になったのは、ブロードバンドのインターネットが普及したことと、企業がさらなる経費削減の方策を模索するようになってからのことだ。

「どこでも勤務」は、企業の経費削減にはまったくつながらない。かつては大きなオフィスビルを使っていた企業は、小さなスペースで済むようになるかもしれないが、家賃で節約できた分以上の経費が、旅費や食費で消える。この新しい職場環境の柔軟化は、経費を削るためのものではない。長期にわたる社会的距離の確保のためでもない。結果的にこれは、従業員の福利と生産性、そして究極的には収益性への投資なのだ。

画像クレジット:Maskot / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Zoomのセキュリティ顧問が暗号技術開発のKeybaseを買収した狙い

Zoomはセキュリティ上の弱点を修正するために同社の創業者でCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏直属のコンサルタントとして元Facebookのセキュリティ専門家だったAlex Stamos(アレックス・スタモス)氏と契約した。Zoomに明確かつ首尾一貫したセキュリティ戦略を与えることが目的だった。

ビデオ会議をエンドツーエンドで強固に暗号化することがスタモス氏のアドバイスの1つであり、これが米国時間5月7日朝に発表されたKeybaseの買収として実現した。

【略】

スタモス氏はこの買収の背景や意図に対するTechCrunchの取材に「実はZoomが望んでいたようなレベルのエンドツーエンドの暗号化プロダクトは誰も作っていなかった。つまりZoomに導入してサービスを暗号化できるような既成のプロダクトは市場に存在しなかった。Zoomがエンタープライズ向けビデオチャットを暗号化しようとするならゼロからスタートしなければならなかった」と語った。

ZoomがKeybaseを選んだのはファイルやチャットの暗号化で同種の問題に十分経験を積んでいるからだった。このエンジニアチームならZoomの問題解決にすぐに役立つと考えたわけだ。

【略】

現在進行中のプロジェクトなのでKeybaseによる暗号化がいつ一般に利用できるようになるか、正確な期日はまだ分からない。しかしスタモス氏はZoomは5月22日に暗号化計画の概要を発表する予定だと述べた。この概要をたたき台として広く意見を求め、設計を最終決定するという。

当初の目標は、エンドツーエンドの暗号化の採用によりセキュリティを確保したZoomミーティングの新しいバージョンをリリースすることだという。 暗号化はまずZoomクライアントあるいはZoom対応ハードウェアを使用している場合のみ利用できるようになる。つまり外部からその場でミーティングに参加してきた相手とのコミュニケーションを暗号化することはできない。

KeybaseがZoomに買収されたことでKeybaseのプロダクトの今後について懸念を抱く必要はないとしてスタモス氏は「Keybaseの暗号化のセキュリティで重要なのは誰がサーバーやシステムを所有しているかによって信用度が変わることはないという点だ」と述べた。

画像:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Zoomが暗号技術開発のKeybaseを買収、セキュリティ強化で教育・公的機関の信頼を取り戻せるか

米国時間5月7日朝、Zoomは暗号技術を専門とするスタートアップであるKeybaseを買収したことを発表した。買収金額は明らかにされていない。

Keybaseはすでに数年前から安全な情報共有や共同作業のための暗号化プロダクトを開発・提供している。 この買収はパンデミックによるZoomの急激な成長にともなうセキュリティ上の欠陥を修正し、信頼性を向上させるのに寄与するかもしれない。

Zoomはニーズの急増にともない、プラットフォームの多数のセキュリティ上の弱点が露呈し、公的機関での使用禁止訴訟に直面してきた。同社はこの問題に全力で取り組んでいるが、社内に暗号専門家チームを置けるならプロダクトのセキュリティを高めるはずだ。

5月7日朝のZoomブログでCEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏は「Keybaseを買収した目的はユーザーにさらに高いレベルのセキュリティを提供するためだ」と述べている。新型コロナ危機により多くの業務がリモートワークで自宅から処理されるようになるにつれ、企業ユーザーにとってセキュリティは従来以上に重要性を増している。

ユアン氏はブログに次のように書いている。「この買収はZoomにとって非常に重要なステップだ。われわれは十分にプライバシーが確保された本物のビデオコミュニケーションのプラットフォーム実現しようと努力している。多様なユースケースに対応する柔軟性を維持しつつ、数億人規模にスケールアップできるようにすることが目標だ」。

ユアン氏は「Keybaseの暗号化機能が製品に組み込まれ次第、有料ユーザー全員が利用できるようになる。Zoomは、すべての有料アカウントにエンドツーエンドで暗号化されたミーティング・モードを提供する。ログインしたユーザーはZoomのリポジトリに保存した公開暗号鍵によるIDを利用してミーティング参加者間のコミュニケーションのセキュリティを確保することができる」と書いている。

この買収ではKeybaseはZoomの子会社となり、Keybase共同創業者のMax Krohn(マックス・クローン)氏はZoomのセキュリティチームに責任者となる。クローン氏はユアン氏の直属としてセキュリティ機能全般の開発の指揮を取る。Keybaseの24人ほどの社員はZoomに移籍する。社員の大部分はセキュリティを専門とするエンジニアだ。

現在提供されているKeybaseのプロダクトががどうなるかはまだ明らかではない。Keybaseでは「Zoomはこの問題を理解しておりKeybaseと共同で解決の方法を探っている」と述べた。

Keybaseは2014年に設立されたスタートアップでCrunchbaseのデータによれば1100万ドル(11億7000万円)弱のベンチャー資金を調達している。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトのWindows Virtual Desktopsがさらに使いやすく

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間4月30日、Microsoft 365エコシステムのさまざまな部分に対する多数のアップデートを発表した。大部分に関しては特筆すべきものでもないが(Microsoft Endpoint Managerのような製品にどの程度興味があるかは人それぞれではあるが)、このアップデートの全体的な目的は、企業のWindowsおよびMacの設定、管理を担うIT管理担当者の負担の軽減であり、新たに必要となった在宅勤務環境により早く適応できるよう努めている企業数を考えると、これは現時点において非常に重要である。

一連の発表におけるハイライトは、同社にとっては間違いなくWindows Virtual Desktopのアップデートだろう。Windows Virtual Desktopは、従業員がAzure上の仮想デスクトップ環境にアクセスできるようにするためのマイクロソフトのサービスであり、IT部門は同じハードウェアで複数のWindows 10セッションをホストできるようになるというものだ。同社はこのサービスに管理担当者がこれまでと比べて非常に簡単に取り掛かれるようにする、まったく新しい管理エクスペリエンスをローンチする。

今回の発表に先立って、同社のMicrosoft 365の企業担当事業部長であるBrad Anderson(ブラッド・アンダーソン)氏は、このサービスを開始するにはAzureに関する深い専門知識が必要であったと私に語ってくれた。それがこのアップデートにより、Azureについての多少の理解は必要なものの、開始プロセス全体は驚くほど簡単になった。アンダーソン氏が言うとおり、現在の状況下においてこれはかつてないほど重要なポイントだと言える。

「一部の組織はオンプレミスの仮想デスクトップインフラ(VDI)を使用していると言います。この場合容量を解放するための作業を行わなければなりませんでした。あるケースでは、容量を確保するために一部のサービスの災害復旧機能を廃止することもあるようです」とアンダーソン氏。「場合によっては、必要なVDIセッションを起動するための追加容量を取得するために、5月中旬または下旬までかかると聞いています。現在の世の中においてそれは受け入れ難いレベルです。クラウドの可能性を考えると、デマンドに応じてスピンアップやスピンダウンができるべきなのです。したがって、それが可能なWindows Virtual Desktopは従来のVDIと比較してユニークと言えるでしょう」。

Windos Virtual Desktop

アンダーソン氏は、いつの日か何らかのかたちで状況が正常に戻った際にも、リモートワークはより一般的になり定着すると考えている。「クラウド内のデータセンターで仮想化してアプリを実行する、というような仮想化の使用法が増えると思います。これによりクラウドベースのVDIの長期的なブームと伸びがもたらされることでしょう」。

管理が簡単になるだけでなく、ユーザーがローカルオーディオやビデオハードウェア、仮想マシンを低レイテンシーで接続できる「A/V redirection」と呼ばれる機能を使用して、これらの仮想デスクトップ環境でのビデオ会議にMicrosoft Teamsが使用できるようになる。ただし、同機能の公開までにはあと1か月ほどかかるようだ。

また、コンプライアンスや規制上の理由から、Windows Virtual Desktopの使用に関するサービスメタデータを特定のAzureリージョン内に保持する機能も新しく追加された。

Microsoft Endpoint Managerに関心のあるユーザーにとっての一大ニュースは、macOSベースマシンにおけるサポートの向上だ。macOS用の新しいIntune MDMエージェントを使用すると、管理担当者は同じツールを使用してWindows 10およびmacOSで反復的なタスクを管理できるようになる。

企業管理者のみが好む製品である、Productivity Scoreもアップデートされている。たとえばOneDriveやSharePointのコンテンツを組織内のユーザーが読んだり、オーサリングしたり、共同作業したりする様子を確認でき、十分にされていない場合はメモを書いてさらなる協働を促すことができる。

ここには従業員がデバイス間でどのように作業しているか、またどのようにコミュニケーションをとっているかを確認するための新たなダッシュボードもある。ただしこれは集計データであり、企業が個々の従業員が何をしているかを確認する手段ではない。

ネットワークの接続に問題がある場所をITが把握するのに役立つ、新しいNetwork Connectivityのカテゴリーは、特に現在の状況を考えると実際に有用な機能だろう。

関連記事:マイクロソフトの「Windows Virtual Desktop」は複数のWindows 10セッションを動かせる

Category:ソフトウェア

Tags:Microsoft Windows Virtual Desktop リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

仮想ホワイトボードで離れた場所でもリアルタイムに共同作業、グッドパッチの新サービス「Strap」

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で企業のリモートワークへの移行が加速している。今までは同じオフィス内でメンバーと直接顔を合わせながら取り組んでいたプロジェクトも、オンライン上で離れた場所から進めなければならないことも増えてきた。

グッドパッチの新サービス「Strap」はそんなリモート環境下で働くチームを支援するサービスだ。「クラウドワークスペース」を謳うこのプロダクトでは場所の制約を超えてチームメンバーが1つのオンラインスペースに集まり、全員で情報を共有しながらリアルタイムで共同作業をできるようにする。オンラインホワイトボードのようなイメージだと紹介するとわかりやすいかもしれない。

グッドパッチでは本日4月23日よりStrapのβ版の事前登録を始めた。5月中旬を目処に登録企業に対して順次提供していく予定だという。

オンラインワークスペース上でリアルタイムに共同作業

Strapの特徴は豊富なテンプレート機能を用いて簡単に作図をできることだ。

一部追加予定のものも含まれるがロードマップやプロジェクトの体制図、マインドマップ、ワイヤーフレーム、カスタマージャーニーマップ、ビジネスモデル図、KPIツリー、業務フロー図など事業立ち上げから運用フェーズに至るまでに役立つビジネスフレームワークをテンプレートとして搭載。ユーザーが情報を素早く可視化するのをサポートする。

ワークスペースの広さには制約がないためスペースを気にすることなくプロジェクトに関する様々な情報を一箇所に集約することが可能で、1クリックでメンバーに共有できる。

このように作成・共有した図や資料などを用いながらオンライン上でコミュニケーションを進めていくのがStrapの基本的な使い方だ。複数人による同時編集機能ではリアルタイムで同じ情報を見ながらコラボレーションができる。

わかりやすいユースケースは付箋を使ったオンライン上での会議やブレストだろう。付箋が簡単に作れる仕組みが備わっているので、オンラインホワイトボードとして使うのにもってこい。Zoomなどのビデオチャットツールと併用することでリモート環境における会議の質の向上も見込める。

またリアルタイムではなくてもコメント機能を使って細かいフィードバックが可能だ。どのメンバーがどの箇所に対してコメントしたのかを追えるので、その経緯まで含めて全員で把握し認識をすり合わせられるように設計されている。

Strapは幅広いユーザーが使えるサービスではあるが、メインターゲットとしてはディレクターやプランナー、プロジェクトマネージャーなどを想定しているとのこと。従来のやり方だと思考の整理をしてからメンバー間で認識を共有し意思決定をするまでに複数のツールをまたぐ必要があり、時間がかかるのが課題だった。Strapではプロジェクトに関する情報を一箇所に統合し、一連の工程を効率化する点がポイントだ。

一例としてディレクターの仕事の変化を見てみよう。これまでは思考を整理するのに紙のメモやメモアプリを使い、それをPowerPointやKeynoteなどを用いて図や資料に落とし込んでいた。情報はメールやチャットで共有し、リアルな会議でメンバーと会話しながらフィードバックをもらう。デジタル化した議事録を参考に資料をアップデートし、再度共有して合意形成をしていく。

このプロセスがStrapを使うことでどう変わるのか。思考の整理や可視化にはStrap上のマインドマップを始めとしたテンプレートが使えるだろう。見栄えも悪くないので、メンバーと認識のズレをなくすための資料としてはそのままでも十分だ。URLを共有してメンバーをワークスペースに招待し、会議前や会議中にフィードバック内容をStrapに書き込んでもらえば、後から議事録をまとめる手間も省ける。

ビジュアルを用いて「チーム間の認識のズレ」を解消できる仕組みを

グッドパッチはデザインカンパニーとしてクライアント企業のUI/UXデザインを行いつつ、自らも複数のプロダクトを手がけてきた。その代表格が2014年にローンチしたSaaS型のプロトタイピングツール「Prott」だ。実はこのProttを作ったメンバーが中心となって今回のStrapを開発したのだという。

「もともとProttを作ったのは、UIデザインのプロトタイピングフェーズにおける認識のズレを早い段階で解消できる仕組みが必要だと感じていたからだ。ズレが生じる主な原因は言葉によるコミュニケーションに頼りすぎていること。言葉だけで話すより、ものを見て会話した方がお互いの認識をすり合わせやすい。そしてこの認識のズレという課題は色々な場面で起きているのではないかと考えたことがStrapが生まれるきっかけになった」(Strap事業責任者の北村篤志氏)

Prottは現在立ち上げから7年目を迎えている。その間に同様のプロダクトもいくつか生まれる中で、今後もずっと同じ確度で成長し続けられるとは限らない。社内でもProttを引き続き運営しつつも、それに続く次の自社プロダクトを作りたいという思いは以前からあったという。

またProttにおいてはデザインのプロトタイピングツールという位置付けのため、プロトタイピングフェーズを終えた後に解約されてしまうことがあるのも1つの課題となっていた。それも踏まえて次のプロダクトを作る上では、ある程度幅広い用途で長期間に渡って使えるもので、なおかつグッドパッチとして良さが出せるものにしようと考えていたそうだ。

「デザイナーはその仕事の性質上、テキストだけでなくビジュアルや図解、映像など様々なアプローチを駆使してチーム内で共通認識を取ることが多い。チームの認識のズレをなくす方法として『デザイナーが普段やっているようなことを誰でも簡単に実現できるツールがあれば便利なのではないか』という考えに行き着いた」(北村氏)

エンジニアリングマネージャーの西山雄也氏によると、Strapはそもそも自分たち自身の課題を解決するためのプロダクトでもある。グッドパッチでもクライアントワークに取り組む際にテキスト以外のビジュアル情報も用いながらコミュニケーションを進めているが、その中で「自分たちのやり方に合うものを探していたがなかなか見つからず、結果的に複数ツールに分散していた」そう。それがペインにもなっていたという。

「ビジュアルでのコミュニケーションを簡単にすることに加えて、従来は複数の場所に散らばっていた情報を1つのワークスペースに統合することで、情報共有やコラボレーションをもっと効率よくできないか。そんな課題感から作ったプロダクトでもある」(西山氏)

機能面では「スマートデフォルト」をコンセプトに、簡単な作業でアイデアを可視化できることを重視した。Strapが目指すのはクオリティの高いデザインを作れることではなく、誰でも素早く作図ができ、それを基に効率的にコミュニケーションが取れること。複雑な機能はなくし、極力シンプルな設計を心がけたという。

「グッドパッチとして様々なクライアントワークを手がける中で、企業が抱えている課題や一緒にプロジェクトを進めていく上で必要なことも把握できているのが強み。例えばそこで培ったノウハウをテンプレート化すれば、実際の現場で使える生きたナレッジを誰でも簡単に利用できるようになる。そういった点は自分たちの特徴を活かせる」(北村氏)

オンラインホワイトボードという観点では「miro」など類似プロダクトも存在するが、日本発のサービスとして日本語のUIやサポートに対応しているだけでなく、グッドパッチがこれまで蓄積してきたノウハウが活用されている点もStrapならではの特徴だという。

Strap事業責任者の北村篤志氏(写真右)とエンジニアリングマネージャーの西山雄也氏(写真左)

今夏を目処に正式版ローンチへ

Strapでは昨年の夏頃から社内でα版をドッグフーディングしながら検証を進め、今年2月より一部の外部企業にもクローズドβ版を提供しながらアップデートを図ってきた。5月中頃を目処にβ版の提供を順次進めながら、今夏にも正式版をローンチする計画だ。

今後の展望についてはβ版の反応なども踏まえながら検討していくとのことだが、北村氏や西山氏は「ストレージ」としての可能性も感じているそう。Strap上にプロジェクトを進めきた過程での情報や意思決定の経緯が残れば、それは会社の資産になる。新メンバーが加わった際にチームの状況をキャッチアップしたり、上手くいったプロジェクトのノウハウを他のチームに共有したりする用途でも使えるかもしれない。

「リモートワークが加速する状況下に置いて、離れているメンバーとオンラインホワイトボードを介してコラボレーションをしたり、会議の質を高めたりできるツールはニーズが高いと考えている。Strapというサービス名も何かを“繋ぐ”“結ぶ”といった意味で名付けたもの。チームの中で個人と個人の思考を繋ぎ、組織内でチームとチームを繋ぐことで新しい価値を提供できるサービスを目指す」(北村氏)

リモートワークはZoomを止めてアバターチャットのPragliを使ってみよう

リモートワーク向けビジネスアプリのPragliはアバターを使ったチャットをベースにしている。ユーザーは自宅でSpotifyで音楽を聞きながら同僚と常時コミュニケーションができる。ボスや同僚がデスクにいるのか、会議中か、何か重要な仕事に集中しているのかひと目で知ることができる。しかも仕事の合間には(職場と同様、いわば)給湯室でちょっとおしゃべりもできるし、「今日の勤務は終了」を宣言することもできる。

また必要なら音声通話や画面共有もできる。時間を指定してビデオ会議を開催する機能もある。また忙しそうな相手にはメールのように後で回答すればよいテキストメッセージを送信することもできる。簡単にいえば、我々が物理的に出社して行っていたのと同じことをリモートワークに置き換えて実現させようとするサービスだ。

Pragliの共同創業者のDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏は私のインタビューに対して次のように語った。

「簡単にいえば、Pragliはメールに対してSlackが起こした画期的な改革のビデオ会議版だ。従来のビデオ会議サービスは本質的に排他的でクローズドなコミュニケーション・チャンネルだったが、Pragliはオープンかつ包括的だ。オフィスに出社して働くのと同様、誰が何をしているのか、誰と話しているのかひと目でわかる」。

PragliのセールスポイントはBuffer/AngelListの広汎な調査で明らかになったリモートワーカーが嫌うトップ3の問題を解決できるということだ。それは次の3つだ。

  1. コミュニケーションが円滑にできない
  2. 孤独感
  3. 職場と私生活が区別できない

Pragliのユーザーは「テキストではうまく表現できそうにないから電話したほうがいいだろうか」とか「相手は今来客中だったり会議中だったりしないだろうか」などと心配する必要はない。アバターが常時表示されてメンバーのアイデンティティと現在の状態がひと目でわかるし、「給湯室(Water Cooler)」機能はSlackのように仕事と入り混じった際限のない会話ではなく、はっきり区切りのある社交スペースを提供する。 しかも実際のオフィスと同様、Pragliのオフィスには「出社、退社」を明確に記録できる。これにより緊急の場合を別にすれば、すでに会社を出たメンバーには次の出社まで連絡を取るべきでないことが容易に理解できる。

【略】

Pragliの共同創業者のDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏

サフレノ氏と共同創業者のチームはリモートエンジニア100人にインタビューし、あらかじめスケジュールが設定された会議以外では同僚に対するビデオ通話は週に1度しか使われていないことを発見した。これにより、同僚をアバター表示すればバーチャルオフィスを構築してリモートワークを行うことが十分可能になると確信し、1年前にPragliを立ち上げたのだという。フルタイムの社員は他にいなかったので共同ファウンダーたちだけですべての作業を行い、2019年にベータ版のリリースにこぎつけた。その後トラフィックは3月に6倍となり、2020年1月1日以降で20倍に増加しているという。

Pragliは米国時間4月13日に正式にサービスを開始したが、6月1日までは無料だ。その後はフリーミアムモデルに移行する計画だ。基本機能は無料で利用できるが、全機能を利用するためには月極めで契約する必要がある。料金はユーザー数に応じて算定される。今回PragliはK9 Venturesがリードする小規模なプレシードの資金調達ラウンドも発表した。これはK9自身がサービスを利用して感銘を受けたためだという。

Pragiを使い始めるには、チームのメンバーはPragliのデスクトップアプリをダウンロードしGoogle、MicrosoftまたはGithubから登録する。ユーザーは自分のアバターをモンタージュ写真作成の要領でカスタマイズする。顔の輪郭、髪型、肌色、服装など豊富なオプションから選択可能だ。チャットに使うためにウェブカメラで自撮りし、表情をアバターに変換することもできる。また、マウスとキーボードを使っているだけで自分がデスクの前にいることを表示できる。

カレンダーに会議その他のスケジュールを表示(内容によっては非表示)できる。これは相手がチャット可能かどうかすぐに判断できるので非常に便利だ。音声通話、ビデオ通話も自由にできるし、部外者もデスクトップ、モバイルから随時招待可能だ。

【略】

メンバーがコミュニケーション可能な状態かどうかを自動的に示すためにこのバーチャルオフィスアプリにはさまざまな工夫が凝らされている。キーボードやマウスの利用状況の他にもヘッドフォン(着けているなら何かに没頭しているのかもしれない)やバーチャルオフィス上の場所(給湯室にいるならくつろいでひと休みしているのだろう)などさまざまなシグナルからメンバーの状態を推測する。これは相手がどんな状態にあるのかまったく見当がつかないSlackやZoomと比べてはるかに優れている。面倒なVRヘッドセットを必要とせず、限りなく本物のオフィスに近い環境が得られる。

Microsoftにはソーシャルメディアの経験が欠けており、Zoomはあまりに急速な成長によって生じたゆがみに苦しんでいる。Slackはビデオ機能をZoomに任せている、テキストによるチャット専門のサービスだ。つまりPragliには極めて広い活躍分野がある。新型コロナウイルス(COVID-19)によるソーシャルディスタンジングの要請は世界をリモートワークに向けて大きく動かした。この動きはパンデミックの後も続くはずだ。企業は以前のようには物理的オフィスを重視せず、海外を含めたリモートワークをさらに増加させるはずだ。

この環境では、あらゆるチャンネルを網羅した総合的なコミュニケーションプラットフォームを構築し、オンラインオフィスという新しい仕事の枠組みと行動を参加メンバーが容易に理解できる形で提供するところに最大のチャンスが生まれるだろう。

サフレノ氏は「Slackのように気を散らす存在になったりせずに、自然なコミュニケーションを生むという企業にとって極めて重要な課題を解決できるようなプラットフォームを作り出すことが課題だ」という。Pragliの共同創業者チームは、勤務時間外まで執拗についてまわるような不快な感じを与えずに、モバイルを活用するにはどうすべきかについても長時間議論を戦わせてきたという。

「Pragliの長期的な目標は現実のオフィスよりも快適で効率的なオンラインオフィス環境を構築することだ。バーチャルオフィスなら同僚を探してビル中を探し回る必要はないし、アバターが使えるなら仕事のためにいちいち身なりを整える必要もない。この後も一生リモートワークを続けられるよう我々は仕事を止めない」とサフレノ氏は述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

孤独感を減らすリモートワーカーための「バーチャル休憩室」をHallwayが提供

新型コロナウイルスの発生によって、数百万人の米国の従業員たちが自宅で働くことを余儀なくされている。多くの人にとってそれは初めての経験だ。しかし、対面での会話がないために、チームや同僚から切り離されていると感じることが多くなるため、リモートでの作業は孤独で孤立したものになる可能性がある。それこそが、新しいスタートアップのHallwayが、解決を支援することを目指している課題だ。このサービスは、Slackユーザー向けの新しいアプリを使って、休憩室の雰囲気や、たまたま廊下ですれ違って立ち話をするようなセレンディピティを再現する。

このアプリを使用すると、会社はSlackチャネル内で10分間のビデオチャットをスケジュールすることができ、従業員たちは仕事のためのウェブ会議の以外の場で、より気楽にやりとりを行うことができる。

このスタートアップは、Googleの元プロダクトマネージャーで、Google ChatとGoogle Goを立ち上げたParthi Loganathan(パルティ・ロガナサン)氏,、そしてプライベートエクイティ企業Insight Partnersの元アソシエイトであるKunal Jasty(クナル・ジャスティ)氏によって共同創業された。

2人はもともと、共有Slackチャネルを使って、チームがカスタマーサポートを提供するのに役立つAcrossという製品に取り組んでいた。しかし、サンフランシスコで居宅内隔離(shelter-in-place)が施行されたとき、状況は急速に変化した。

「これにより、リモートでの作業に備えることができていなかった多くの企業が、一夜にしてリモートに移行することを強いられました」とロガナサン氏は説明する。一方彼のルームメートは、狂ったように在宅勤務をしていることに不満を漏らし、チームと話せないのを残念に思っていると話していた。

「Hallwayはその問題に取り組むための、シンプルで楽しい方法のように思えたので、私たちは数日でそれを作り上げました」とロガナサン氏は言う。

彼らのチームの半分はインドを拠点としていたため、創業者の2人は、すでにリモートチームへの対処に伴う課題について、直接経験を積んでいた。またAcrossだけでなく、Hallwayと同様他のSlackアプリの構築経験も持っていた。

その結果、Hallwayはアイデアから最初のユーザーを迎えるまでに、たった4日しかかからなかったとロサナガン氏は語る。

Hallwayを使用するには、Hallwayウェブサイト、またはSlackアプリディレクトリから、Slackに追加することができる(Slackワークスペースにアプリを追加する権限がない場合には、インストールする際に管理者の承認が必要になる場合がある)。

アプリ自身のフロントエンドは存在しない、ログインプロセス、利用案内、設定用ユーザーインターフェイスなど、すべてがSlack内のインターフェイスとして提供される。インストールすると、Slack内のダイレクトメッセージを介して利用手順が示される。そして「/invite @hallway」と入力して、Hallwayボットを任意のSlackチャネルに招待することができる。これにより、ボットが開始され、@hereメッセージによって定期的に、休憩室の作成が自動案内される。

デフォルトでは、Hallwayの仮想休憩室は、月曜から金曜の午前9時から午後6時までの2時間ごとにスケジュールされているが、ユーザーはSlackチャンネルで「/hallway」と入力して設定をカスタマイズすることで、タイムゾーンを調整したり、休憩の頻度を調整したりすることがでる。

ユーザーは、自分自身で指定するZoomもしくはGoogle Meetのリンクを、Hallwayと一緒に使うことができる。しかし、その利用体験は、daily.coのビデオインフラストラクチャが提供する、Hallwayの時間制ビデオチャットルームを使うことでさらに向上する。

今回発表されたサービス自身は最大2つのSlackチャンネルまでの利用は無料だが、無料のまま時間制ビデオチャットルームが提供されるのは10回までで、以降は自前のウェブミーティングを使うようにするか、プランをアップグレードする必要がある。

大企業向けのHallway「Team」料金プランでは最大5つのチャネルがサポートされ、無制限の数のビデオチャットルームとカスタマイズオプションが、月額30ドル(約3200円)で提供される。5つ以上のチャネルを利用したい場合には、エンタープライズ向けプランも用意されている。

ほんの数週間前に開始されたばかりだが、Hallwayは急速に顧客ベースを拡大してきた。

このサービスは現在、Nextdoor、Productboard、Bank Novo、Pivotal、Courseraなどの企業の170以上のチームで使用されている。ユーザーの大半は今のところ無料プランを利用している。ただし、アップグレードが必要な企業は、ユーザーがそのサービスを友人に紹介することで、より柔軟な価格設定で利用できる。

当面の間、共同創業者たちはSlack内でのHallway体験の改善に集中したいと考えているが、彼らはすでに次に何をすべきかに思いを馳せている。

「私たちは、チームをつないだままにして、リモートで作業しながらも、職場の孤独感を減らすという課題に取り組んでいます。現在、私たちは自発的な時間制ビデオチャットのコアエクスペリエンスを改善しています。そのことでユーザーにカスタマイズするためのより多くのオプションを提供していきます」とロガナサン氏は語る。「私たちはチームビルディングやリモートチームの従業員の初期研修といった、企業を支援できる特定のユースケースを調査しているところです」と彼は述べている。

将来的にはMicrosoft Teams向けのソリューションも検討するかもしれないと彼は言う。

Hallwayはプレシード資金(金額未公開)を調達した。

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(翻訳:sako)

リモートワークの普及に取り組むキャスターが6億円調達、既存サービスの利用企業数は1300社を突破

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」をはじめ、リモートワークを軸とした人材事業を展開するキャスターは4月9日、STRIVEと山口キャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額6億円を調達したことを明らかにした。

キャスターは昨年5月に3.6億円を調達するなど過去に複数のVCから資金調達をしているほか、直近では今年1月にディップを引受先とした第三者割当増資も実施。今回を含めると累計調達額は約15億円となる。

今後はコロナウイルス(COVID-19)の影響もあり国内で急速にリモートワークが広がっていることを受け、そこで必要とされるセキュリティシステムやリモートワーカー向けの業務管理システムの開発などに投資をしていく計画だという。

オンライン秘書から領域拡張、利用企業数は1300社超え

キャスターは2014年の設立。同年に秘書や人事、経理、翻訳、Webサイト運用などの幅広い業務を遠隔にいるオンラインアシスタントに依頼できるCASTER BIZをスタートした。

代表取締役の中川祥太氏によると以前は「オンライン秘書の会社」として捉えられることも多かったが、創業6年目を迎えた現在では同社がカバーする領域はかなり広がっている。運営するサービスの数も10個を超え、会社全体の売上を見てもCASTER BIZ単体が占める割合はかなり減ってきているそうだ。

具体的には経理(CASTER BIZ accounting)、採用(CASTER BIZ recruiting)、労務(CASTER BIZ HR)など各業務領域ごとにCASTER BIZシリーズのサービスを展開すると共に、全国のリモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」やリモート・複業など新しい働き方に特化した求人メディア「Reworker」なども手がける。

キャスターが手がける事業の一部。CASTER BIZシリーズの幅もかなり広がってきている

昨年からの取り組みとしてはソーシャル募集サービス「bosyu」を分社化してサービス成長に向けて舵を切ったほか、500円から使える個人向けのオンラインアシスタント「My Assistant」など新規事業も始めた。11月にはキャスター自体が700人以上のリモートワーク組織を運営してきた知見を活用して、リモートワーク組織の構築を支援する「Caster Anywhere」もスタートしている。

「『リモートワークにおける総合人材サービス』に近い。領域や契約形態ごとでも提供できるサービスが異なるので、クライアントからのニーズを踏まえて事業を広げてきた」(中川氏)

サービスのラインナップが拡充された効果もあり、累計のサービス導入企業は累計で1300社を突破。社数だけでなく導入企業の幅も広がっていて、エンタープライズ企業の利用も増えているという。たとえば在宅派遣の場合は中小企業のバックオフィスをリモート人員でサポートするといったケースが多かったが、この半年ほどでコールセンターなど大型の取引も増えた。

クライアント企業のリモートワーク導入をハンズオンで支援するCaster Anywhereでも同様だ。これからさまざまな業界・企業で人材不足が加速すると予想される中で、場所の制約を取っ払うリモートワークを取り入れることが候補者の幅を一気に広げる有効な打ち手になり得る。

また介護離職など、家庭の事情で退職せざるをえないメンバーが継続して働けるようにもなるかもしれない。中川氏の話では、実際にそういった点を危惧してリモートワークの制度を作りたいとキャスターに問い合わせをしてくる企業もあるそう。スタートアップでは以前からリモートワークを取り入れていた企業も多いかもしれないが、近年は大企業でも少しずつ浸透し始めている。

ただしリモートワークを導入するとなると、それまでの業務内容や業務フロー、人事制度・評価制度、組織設計などを把握した上で、必要に応じてアップデートする必要がある。各メンバーが自宅で不自由なく仕事ができる環境が整っているのか、コワーキングスペースを用意した方がいいのかなど、リモートワーク特有のチェックポイントも多い。社員数や部署の数が多い大手企業はなおさらだ。

「特に大手企業がリモートワークを導入したいと思った場合、(既存の働き方から移行するための)クッションとなる準備期間が必要になる。時間をかけて洗い出しながら検討するべきことはたくさんあり、そこを一緒に整理しながら企業ごとに最適な打ち手を提案するということをやってきた」(中川氏)

リモートワークの支援に向け、社内ツールの提供も視野に

今回の資金調達も当初は既存事業の拡大に向けて必要な資金を集めることを主な目的としていた。

Caster Anywhereのニーズが高まっていることに加え、CASTER BIZシリーズや在宅派遣を中心に事業基盤が整ってきた中で、そこにもっと投資をしていこうと考えていたという。

ただ冒頭でも触れたコロナウイルスの影響でキャスターの事業にも大きな変化があり、大きく状況が変わったようだ。

中川氏によると直近で急激にリモートワークの問い合わせが増加しているそうで、多い時には1日で数百件に及ぶ場合もあった。「明日から急遽リモートワークを導入することになったのですがどうすればいいでしょうか、社員は1.5万人です」といったように急を要するものも多く、今はリモートワークの基本的なノウハウを整理したホワイトペーパーなどを提供しつつ、順次サポートを進めているという。

「既存事業への積極投資というよりは、(コロナウイルスやそれに伴う緊急事態宣言の影響などで)世の中で止まってしまうオペレーションやインフラ維持のためにどこまで貢献できるか。ノウハウの提供であれ、人材の提供であれ、必要とされるところに投資をしていくことになる」(中川氏)

現在計画しているのが、キャスター社内で使っている内製ツールの提供だ。同社では700人以上のメンバーがリモート環境で働いているため、そこに最適化したセキュリティシステムや業務管理システムなどを自分たちで開発している。

中川氏いわく「社員全員、ないし少なくとも大多数のメンバーがリモートで働く環境でしか役にたたないツール」のためあくまで社内用として作ったものだが、急遽リモートワークを取り入れる会社が増えてくる中で「社内ツールが世の中の企業にとっても、非常に役に立つことがわかってきた」。

昨年2月にローンチしたクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」も、最初は社内ツールとして開発したものだ。同じような形で、今後は社内の課題を解決するために作ったツールを外部企業にも提供していく方針。それにあたって必要となる開発にも投資をしていくという。

「『リモートワークを当たり前にすること』をミッションとして会社を立ち上げて以来、社内外でリモートワークを推進してきた。今はコロナウイルスの対応策として急激にリモートワークを導入する企業が増えている中で、導入や運用にあたって課題や悩みを抱えている企業も多い。これまで自分たちが培ってきたノウハウを基に、必要な仕組みやサービスを提供していきたい」(中川氏)

ニューヨーク市は学校でのZoom禁止、セキュリティ上の懸念からMS Teamsに移行へ

休校が続いても生徒たちは学習を続けねばならない。このほど米国ニューヨーク市の学校当局は、リモート教育にビデオ会議サービスのZoomを使用することを許可しないと発表した。セキュリティ上の懸念が理由に挙げられている。

ニューヨーク市教育庁の広報担当者、Danielle Filson(ダニエル・フィルソン)氏は「リモート学習を生徒に提供するにあたって安全性と信頼性の確保は不可欠だ。セキュリティ上の懸念をさらに検討したところ、学校はできるだけ早くZoomの使用をやめるべきだという結論となった。リモート教育に多くの新しいサービスがあり、われわれは(その採用に関しては)教職員、生徒の利益のを最優先してリアルタイムで意思決定を行っていく」と述べた。

同氏によれば、市教育庁は学校をMicrosoft Teamsに移行させているという。こちらは「適切なセキュリティ対策が講じられており、機能も同等」だとしている。

この禁止によって、市内の5つの区の1800校以上の学校の約110万人の生徒が影響を受ける。2018年に創設されたニューヨーク市のコンピュータ・セキュリティーを担当する組織であるNYC Cyber Commandはすでに学校でのZoomの使用を一部禁止している。

Zoomからはまだコメントがない。

新型コロナウイルスの流行拡大のために世界では何億人もの人々がビデオチャットのプラットフォームを利用することを余儀なくされている。このためZoomのユーザー数も急拡大していたが、同社のセキュリティとプライバシーに対する方針と行動に多数の欠陥が発見され、批判の嵐が起きていた。そこにこの禁止が発表された。

セキュリティ専門家がZoomのシステムは中国当局による傍受の危険にさらされていると強く批判した後、4月4 日に同社のCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏は、ルーティングの一部が中国を通じていたのは「設定のミスによるもの」だとして謝罪した。 同時にZoomは、このサービスがエンドツーエンドで暗号化されていなかったにもかかわらずそうしていると主張していたことについても謝罪した。

Zoomはまたデフォルト設定を「パスワードを有効する」に変更した。これはパスワードなしで行われているZoomのビデオチャットに部外者が乱入して妨害するZoombombingが多発したことによるものだ。

しかし一部の学校では他のサービスへの移行に困難を感じている。 Chalkbeatが最初に報じたが、3月16日にニューヨーク市の市立学校が休校となった後、Zoomはすぐにビデオチャットサービスの一番人気となった。ブルックリン区の校長の一人は、Microsoft Teamsの「使いにくい」を挙げて、「Zoomの禁止はリモート学習に困難さを加えるもの」とChalkbeatに答えている。

ニューヨーク市の広報担当者は、「学校に対してはすでに数週間前からMicrosoft Teamsの操作を訓練してきた」語った。同時に、将来(学校が)Zoomに戻ることを許可する可能性を除外しなかった。

ニューヨーク市は「Zoomの開発の状況をモニターし、引き続き詳しくレビューしていく。なんらかの進展があればすぐに学校にもアップデートを通知する」予定だという。

画像:ニューヨーク市の公立学校教室内部 Michael Loccisano/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナによるリモートワーク拡大化で米大都市中88地域で接続速度がダウン、一部では4割以上も

専門メディアによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴うリモートワークを要求する法令や自宅での自己隔離の影響で米国の多くの都市でインーネットの接続速度がダウンし始めているという。

インターネット接続分析メディアのBroadbandNowによれば、米国で人口トップの200都市のうち88都市で過去1週間で何らかのネットワーク接続の劣化が生じている。10週間前と比較して、リモートワークのために自宅からインターネットにアクセスするユーザーが大きく増えており、ビデオチャットだけでなく、映画やテレビのストリーミング利用も増加している。同じく10週間前と比較して、一部の都市では、先週ダウンロード速度が40%以上も低下する事態が起きている。

ネット接続の悪化は新型コロナウイルスの流行の度合いとは一致しないようだ。

記事によれば、ロサンゼルス、シカゴ、ブルックリン、サンフランシスコなどの都市では、ダウンロード速度にほとんどないしまったく影響が見られない。シアトルも持ちこたえている。

ただ、新型コロナウイルスの流行の震源地の1つと考えられているしニューヨーク市では過去10週間平均と比較して先週はダウンロード速度が24%も低下した。とはいえ、ニューヨークの家庭用ネットワークでは接続速度の中央値は52Mbps近くを維持している。大部分の都市でネットワーク速度が持ちこたえるているのいいニュースだ。

ただし接続の劣化が見られた88都市のうち、20以上の都市で20%以上の落ち込みが見られた。各都市の状況は以下のとおりだ。

  • テキサス州オースティン(-44%)
  • ノースカロライナ州シャーロット(-24%)
  • ノースカロライナ州ファイエットビル(-22%)
  • フロリダ州フォートローダーデール(-29%)
  • フロリダ州ハイアリア(-21%)
  • テキサス州ヒューストン(-24%)
  • カリフォルニア州アーバイン(-20%)
  • ニュージャージー州ジャージーシティ(-25%)
  • ミズーリ州カンザスシティ(-25%)
  • ジョージア州ローレンスビル(-24%)
  • コロラド州リトルトン(-22%)
  • マリエッタ、ジョージア州(-29%)
  • フロリダ州マイアミ(-27%)
  • テネシー州ナッシュビル(-20%)
  • ニューヨーク州ニューヨーク(-24%)
  • ネブラスカ州オマハ(-24%)
  • カンザス州オーバーランドパーク(-33%)
  • カリフォルニア州オックスナード(-42%)
  • テキサス州プラノ(-31%)
  • ノースカロライナ州ローリー(-20%)
  • ニューヨーク州ロチェスター(-33%)
  • ミズーリ州セントルイス(-21%)
  • ミネソタ州セントポール(-29%)
  • カリフォルニア州サンノゼ(-38%)
  • アリゾナ州スコッツデール(-32%)
  • ワシントンDC(-30%)
  • ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム(-41%)

中でもダメージ大きく、40%以上の低下が見られたのは次の3都市だ。

  • テキサス州オースティン(-44%)
  • ノースカロライナ州ウィンストンセーラム(-41%)
  • カリフォルニア州オックスナード(-42%)

シリコンバレーの南端のサンノゼはこの範囲に近く、38%のダウンとなっている。

赤丸が接続速度低下が大きい都市

新型コロナウイルス危機に対応して、インターネットサービスのプロバイダーは、データ量の上限の停止、基本速度のアップ、低所得世帯への無料アクセスを開放などの努力を払ってきた。しかしネット利用の爆発的な増加に処理能力を対応させるのは難事だろう。

帯域幅を大きく食うサービスの1つが動画のストリーミングだ。米国における接続需要が高まるにつれ、サービス提供者はストリーミング動画の品質を低げ。使用するネットワーク容量の減少を図っている。例えば3月25日にYouTubeは、帯域幅の消費を抑えるためにSD接続をデフォルトにすると発表した。AmazonとNetflixもヨーロッパではストリーミングの品質を低下させている。しかし米国におけるネットワークのトラフィックが記録的レベルに達している にもかかわらず、Netflixは米国では同じことを約束していない。今日、Netflixは1時間にわたるサービスの中断を引き起こし、米国とヨーロッパの一部ユーザーに影響を与えた。

現在懸念されているのは、非都市地域が新しいリモートワークや自宅隔離の要求にどれだけと対応できるかという点だ。 こうした地域ではDSLのようなレガシー・テクノロジーによってインターネット接続が提供されていることが多い。 これまでのところ、BroadbandNowの報告によると、今のところこうした接続ももちこたえている油断はできない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

注目が集まるオンラインイベントのプラットフォームを提供するRun The Wolrd

このところ毎日、イベントがキャンセルされたニュースを聞く。もちろん新型コロナウイルスに対する懸念が原因だ。Microsoftはゲーム開発者のカンファレンス、GDCへの参加を取り止めたと発表した。Facebookも5月に予定されていたF8 2020の開催をキャンセルした。

F8はFacebook最大のイベントであり、毎年大勢の参加者を集めてきただけにキャンセルの影響は極めて大きい。 Facebookはイベントのオフラインで行うものを中止したものの、他はオンラインでストリーミングする計画だ。

Facebookであれば、こうした大規模イベントのオンライン化は社内のテクノロジーを利用して行えるだろう。しかしそうしたリソースを社内にもたない場合、新しいオプションがある。社員18人、創立1年半になるRun The Worldは台湾と中国にもエンジニアのチームを持つマウンテンビューのスタートアップだ。

Run The Wolrdはオンラインイベントの組織、運営に必要な参加登録、チケット販売、ビデオカンファレンス、ソーシャルネットワークなどを含むプラットフォームを提供する。パンデミックに対する懸念からイベントのオンライン化を考えている主催者には理想的なサービスだ。

このスタートアップに対する最大の投資家はシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、a16nとして知られるAndreessen Horowitzで、すでに430万ドル(約4億6500万円)のシード資金を投じている。株主にはGSR Ventures、Pear Ventures、122 West Ventures、Unanimous Capitalに加え、エンジェル投資家でFacebookグループのCalibraのバイスプレジデントであるKevin Weil(ケビン・ワイル)氏、Patreonの共同ファウンダー、Sam Yam(サム・ヤン)氏、Jetblue Airwaysの会長であるJoel Peterson(ジョエル・ピーターソン)氏らが参加している。

写真左のRun The Worldの共同ファウンダー、CEOのXiaoyin Qu(シャオイン・ク)氏はFacebookとInstagramでエンタテインメント関係のプロダクトのリーダーを務めた。ク氏によれば「エンタテインメント分野のインフルエンサーやクリエーターに関係あるすべて」を扱ったという。

ク氏はスタンフォード大学のMBAを中退して、写真右のXuan Jiang(スアン・チアン)氏とともにこのスタートアップを始めた。チアン氏はFacebookでク氏の元同僚でジョージア工科大学のコンピュータ科学の修士だ。Facebookではイベント、広告、ストーリーの上級エンジニアだった。

Andreessen Horowitzのジェネラル・パートナーのひとりででこの投資をまとめたConnie Chan(コニー・チャン)氏にク氏について教えられ、私はク氏に2月27日にインタビューすることができた。

ク氏によれば、このスタートアップを始めたきっかけは中国で医師、医療研究者として働く母親の体験だった。2018年に髄膜炎の専門家としてシカゴのカンファレンスに参加したとき、やはり髄膜炎を研究しているドバイの医師と知り合い、貴重な知見を交換することができた。

シリコンバレーの起業家やジャーナリストのようにいつも世界を飛び歩いている人間にはさほど特別な経験には思えないが、ク氏の母親にとっては大事件だった。中国からの出国手続き、アメリカのビザ取得の煩雑さはいうまでもなく、チケットの購入や宿泊にはひと財産が必要で、旅行時間も非常に長い。しかもこの旅は35年の医師生活で初めての海外出張だったという。

ク氏は「スタンフォードだったら毎日のようにカンファレンスが開かれているので、キャンパスを歩いていれば避けるのが難しいくらいだ」とジョークを言う。

多くのファウンダーと同様、ク氏も自分自身や身近な人々が現実に遭遇した「痛点」を解決するために創業した。ク氏の場合は、母親が中国にいながらリモートワークで参加し、髄膜炎の研究に役立つ情報を得られるオンラインで行われるカンファレンスのプラットフォームを作ろうとした。

このプラットフォームの提供は図らずも絶好のタイミングとなっている。現在、多くの人々が集まるイベントを計画している主催者はRun The Worldが提供するようなオンラインイベントへの切り替えを真剣に検討しているところだ。

ク氏のスタートアップが実際にサービスの提供を始めたのは4カ月前に過ぎないが、すでに数十回のイベントをホストしており、予定されているイベントは数百にも上る。ク氏によれば、ユーザーの1社は wuhan2020という武漢のオープンソースコミュニティーで、新型コロナウイルス対策に役立つソリューションを求めて3000人以上のデベロッパーがリモートワークによるハッカソンを実施している。

このプラットフォームはラオスにおけるゾウの保護に関するカンファレンスを実施し、2週間で15カ国から3万ドル(約324万円)の寄付を集めることができた。主催者は乏しい予算しかなかったが、まったくムダのない低予算でオンラインイベントを開催し、経済的に余裕ある人をはじめとした多くの人々から寄付をつのることができた。

Run The Worldはこうした小型、低予算のイベントを効率的にホストできるのも強みだ。たとえばエンジニア向けにデートのテクニックをコーチするというイベントではわずか40人を対象にしたワークショップを開催することができた。ク氏によれば主催者は1300ドル(約14万円)の収入を得ることができた。

このスタートアップのビジネスモデルはごく単純で、カンファレンスのチケット販売額の25%を得るのと引き換えにイベントの主催に必要なサービス一切を提供する。これにはカンファレンスの紹介、告知のテンプレートから参加登録、チケットの販売と支払い(Stripeを利用)、カンファレンスのストリーミング、専用のソーシャルネットワーク、イベント終了後のフォローアップなどが含まれる。さらに現実のカンファレンスにおけるカクテルパーティーをオンライン化した参加者同志をマッチングして数分間親しく会話できる機能も含まれる。

【略】

Run The Worldが規模を拡大すれば「(副作用を取り除くための)新しい方法を考えねばならないだろう」とク氏は言う。

FacebookとInstagramにおける経験が、プラットフォームの構造や成長を勢いをづけるビジネスモデルについての洞察を与えたことは間違いない。ともあれク氏は「200万人を集めるイベントを扱いたいとは思わない。むしろ50人が集まるイベントを200万回扱いたい」と述べた。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

リモートワークを手助けするタスク・パフォーマンス管理ツール「Remonade」

働き方改革の一環として、オフィスに出社せず自宅などで仕事をする「リモートワーク」を取り入れる企業の事例を耳にする機会が多くなってきた。

リモートワークは上手く活用できればワークスタイルの幅を広げ、メンバーの満足度向上や場合によっては企業の採用力アップ(遠隔に住む優秀な仲間を採用できるチャンスがあるという意味などにおいて)にも繋がる。

ただ特に同じ空間で働くことに慣れていた人たちにとっては、実践するにあたって不安なことや解決しなければならない課題もあるだろう。スタートアップのQueueが本日発表した 「Remonade」はまさにそのうちの1つ、リモートワークにおける毎日のタスク管理やパフォーマンス管理における悩みを解決するサービスだ。

その日のタスクと進捗を登録するだけでチームの仕事を可視化

機能や使い方はシンプル。各メンバーは仕事を始める前に「今日取り組むタスク」や「見積もり時間」などを今の気分と一緒に登録し、達成したタスクにチェックをしていくだけだ。入力された各自のタスク一覧や進捗度はリアルタイムに可視化されるため、各々が今どんな仕事をやっているのかがすぐにわかる。

その上でRemonadeではタスクの内容や達成率を分析し、各メンバーやマネージャーにスタッツのレポートを自動で届ける機能を搭載。日報や進捗管理などのレポーティングを行なっている企業も多いかもしれないが、単なる業務報告の手間は一切なくなる。

マネージャー側にとっても、事ある毎に各メンバーに対してその日のタスクや進捗をこまめに聞き、パフォーマンスを分析するのに膨大な時間を取られずに済む。ダッシュボードにはチームメンバーのタスクの内容や達成率、メンタル面の変化が集約されるので、メンバー単位で状態を把握して各自のフォローやコミュニケーションにより多くの時間を使えるようになるのも特徴だ。

メンバーのアイコンをクリックすると、その日のタスクや進捗具合がわかる

タスクと進捗具合は一覧で表示することも可能

マネージャー用のダッシュボード。メンバーが進捗度合いを入力するだけで、自動で日々のパフォーマンスが可視化される

社内ツールとして運用してきたものをプロダクト化

Remonadeはもともと開発元であるQueueの社内ツールとして生まれ、現在まで約1年間に渡って運用されたきたものだ。

Queueは先月の資金調達時に紹介した通り、東京大学工学部出身の柴田直人氏らが2016年に創業した技術者中心のスタートアップ。特に当初は学業と両立しているメンバーも多く大学とオフィス間での移動に時間を取られていたこともあって、積極的にリモートワークを活用し、メンバー全員がオフィス以外の場所から働く「全員リモート週間」などにも取り組んできたという。

海外のプロダクトも含めて複数のタスク管理・プロジェクト管理ツールを試したが「誰が今どんなタスクを進めているかがわからない」という課題をピンポイントで解決してくれるものはなかった。それならば自分たちで作ってしまえ、と開発したのがRemonadeというわけだ。

「プロジェクトの全体像やその進捗を共有・可視化できるサービスはあるが、毎日のタスクやその日毎の進捗を簡単に共有できるサービスは意外にも少なく、そこだけを切り出したツールが欲しかった。それぞれスコープが異なるものなので、社内でも両方を併用している」(柴田氏)

昨年10月に大阪で開催された働き方改革関連のイベントに出展した際には一定数の企業から引き合いもあり、ニーズを感じたそう。今はそれらの企業を中心に試してもらっている。

「『今日なにをどこまでやったのか』を確認するためのチャットコミュニケーションが負担になっているという声もあり、その状況を改善するツールとして反響があった。マネージャー側が大変なだけではなく、過剰管理になるとメンバー側もストレスやプレッシャーなど心理的な負担を感じてしまう。冗長になりがちなコミュニケーションを単純化することで、双方の負担を減らしたい」(柴田氏)

まずは1ユーザーあたり月額300円のライトプランのみからのスタートとなるが、今後は機能を加えた上位プランも提供していく計画。ビデオチャットツール(Wherebyを考えているそう)を簡単に起動できる仕組みや24時間限定の消えるチャット機能のほか、PCのインカメラを活用した着席時間のトラッキング機能なども予定している。

また少し先にはなるが、同社の得意とする画像解析技術を用いて“遠隔で働くメンバーの表情を認識して、その時の感情を分析できる機能”の開発にも取り組んでいくとのことだった。

ちなみにサービス名のRemonadeは「remote」と「aid」を組み合わせてできたもの。このサービスを通じて場所にとらわれず誰もが自由に働くことができ、会社と社員が新しい信頼関係を築けるための手助けをしていきたいという。

「リモートワークと旅を同時に」Remote Yearが1200万ドルを調達

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旅への強い情熱をもつ人たちにとって、Remote Yearのアイデアはとても魅力的にうつることだろう。参加者は1年間、リモートで仕事をしながら毎月新しい街や国へと旅を続けるというアイデアだ。

しかし、Remote Yearは一時の楽しい体験を提供するだけのものなのか、それとも、大きく成長する可能性のあるビジネスの種なのだろうか。Highland Capital Partnersは後者のシナリオに賭け、Remote Yearが1200万ドルの調達に成功したシリーズAのリード投資家を務めることとなった。今回のラウンドにはHighland Capital Partnersの他にも、WeWork Labsの共同創業者であるJesse Middletonと、Airbnbの共同創業者兼CTOであるNate Blecharczykも参加している。

創業者兼CEOのGreg Caplanが最初にこのアイデアを思いついたのは2年前のことだという。そして彼が第一回目のプログラムへの参加者を募集すると、75人の枠に2万5000人の応募者が殺到したのだ。その75人は先日1年間のプログラムを終えたばかりだ。その後、同社はこれまでに6つのプログラムを実施し、合計で500人の旅するワーカーがRemote Yearに参加している。

今回の資金調達によってCaplanが目指すのはもちろん、プログラム参加者を劇的に増やすことだ。それを達成するうえで、二つの「巨大なトレンド」がRemote Yearの後押しをしているという。

「まず第一に、生産活動の場所がクラウドに移ったということです」と彼は言う。「今はどこにいても素晴らしい成果を上げることができます。周りの環境にインスパイアされることで人はよりクリエイティブに、そしてより生産的になるのです。(中略)2つ目のトレンドとは、人々は自分が所有するものではなく、周りの人とシェアできる体験を重んじるようになったことです」。

プログラムの拡大を目指し、現在85人いるチームの強化を続けていきたいとCaplanは話している。(ご推察の通り、Remote Yearの従業員たちは世界各地に散らばっている。チームの中心拠点など存在しないのだ)。

「例えば、クロアチアではエキサイティングなコワーキング体験ができる場所がありませんでした。そのため私たちは、(スプリトという町にある)ビーチのすぐそばにコワーキング・スペースをオープンすることにしたのです」とCaplanは話す。

Remote Yearの参加費は5000ドルの頭金と、最初の11カ月のあいだ月ごとに支払う2000ドルだ。これには交通費、住居費、ワーキングスペースの利用料、インターネットの利用料が含まれている。75人というグループのサイズは丁度良く、それによってプログラムを継続して運用していくことができているとCaplanは話す。しかし、旅行内容はプログラムごとに変わることもある。例えば参加者がアメリカのタイムゾーンで働く人ばかりであれば、アジアへの旅行を避けるなどの工夫がされているからだ。

仕事に悪影響を与える可能性を考えれば、時差の問題に関して参加者自身が解決策を考え、会社からの理解を得る必要がある。だが、Caplanによれば、従業員が教育や能力開発の一環としてRemote Yearに参加することに賛成する企業は多いという。それに加え、Remote Yearのチームが「参加者と一緒にもっとも良い解決策を考え、会社から理解を得るためのアドバイスをしている」という。

「グループがもつ多様性のなかでも私たちが最も嬉しく思うのは、職業の多様性です」と彼は加える。「参加者それぞれが実に様々なバックグラウンドを持っています。エンジニアやデザイナーも多いのですが、一番多いのはマーケティング分野で働く人々です。ジャーナリストやライターとして働く人もいて、なかには弁護士までいます。彼らがどこから来て、何をしている人なのかという点に関して、とても多様性が高いグループなのです」。

もちろん、リモートで働くというのは大変なことでもあり、全員がプログラムを最後までやり遂げられるわけではない。個人的な意見だが、ときには休憩して、また気が向けばまたプログラムに参加してみてもいいだろう。また、リモートワークという働き方に関してCaplanは、「問題のある社員を優秀なリモートワーカーに変えることができるとは考えていません。しかし、優秀な社員を優秀なリモートワーカーに変えることは可能だと信じています」と話している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter