ケニア政府、デジタル金融機関のデータプライバシー問題で厳重な取り締まり

2021年10月下旬、ケニアの国会で新しい法律が可決された。同法は、顧客の守秘義務に違反した事業者の許可を取り消す権限を金融規制当局に与える条項を追加している。これにともない、デジタル金融機関は、融資不履行者の個人データを第三者と共有することで、同国において免許取り消しのリスクを負うことになる。

典型的に融資アプリは、連絡先を含む借り手の電話データを収集し、メッセージへのアクセスを要求してモバイルマネー取引の履歴をチェックする。クレジットスコアリングやローン支払いの要件として参照されるものだ。悪質な金融機関はその後、借り手が債務不履行に陥った際に、実行された融資を回収する目的で、収集された連絡先情報の一部を使用する。複数の報道によると、デジタル金融機関は、友人や家族に電話をするなどして借り手に借金の返済を強要するような、デット・シェイミング(debt-shaming、債務の状態をさらしあげることによって、はずかしめたり、非難するような行為)手法に訴えているという。

今回の法改正は、高額の無担保ローンを提供する悪質なデジタル金融機関から市民を保護するためにケニアの議員が講じている多数の対策に追加されることになる。これにより、規制当局であるCentral Bank of Kenya(ケニア中央銀行)は、一定の自主規制期間の後、独立したデジタル金融機関(銀行と提携していない)の業務を監督する権限が付与される。今後は、ケニアで事業を行うにはライセンスを取得する必要が出てくる。これまでは登録するだけだったが、それが悪質なアプリの急増を招くことになった。

このケニア中央銀行に関する2021年改正法案では、規制当局に対し、金利に上限を設けたり「データ保護法または消費者保護法の条件」に違反したデジタル金融機関のライセンスを一時停止または取り消す権限も与えている。

ケニアのデータ保護法では、企業はデータを収集する理由を顧客に開示するよう義務付けられている。また、借り手の機密情報が不正な第三者によって侵害されないよう保証する。この動きの背景には、消費者向けロビー活動が、顧客情報をデータやマーケティング企業と共有しているとしてローンアプリを非難していることがある。

デジタル金融機関はまた、プロダクトに関するすべての情報を開示することが求められ、これには価格設定の詳細、債務不履行者に対する罰則、債務回復の手段などが含まれる。これは、プロダクトやサービスの購入に関するすべての条件を消費者に開示することを販売者に義務付けている消費者保護法に沿ったものだ。ほぼすべての融資アプリが、ケニアでの借金を回収するためにデット・シェイミング手法を用いていることが明らかになっている。

ケニアにはおよそ100ものモバイル融資アプリがあり、その中には中国の大手ブラウジング企業Opera(オペラ)が所有するOkashやOpesaも含まれている。両社ともケニアで略奪的な融資戦術を用いているとの主張に直面している。OkashやOpesaをはじめとする数十のローンアプリが、法外な金利と搾取的な条件を設定していたことが判明した。例えば、Google Play Storeのポリシーでは60日ローンと規定されていながら、OkashやOpesaは30日ローンとなっていた。中国の2つのローンアプリの金利は法外で、年間876%に達している。銀行の年間金利にしても20%は滅多に超えない。サンフランシスコに拠点を置くBranch International Ltd.(ブランチ・インターナショナル)やPayPal(ペイパル)が支援するTalaなどの他のアプリでも、年利がそれぞれ156~348%、84~152.4%と、恐喝的なレートが使われていることが判明した。

月額約4000万ドル(約45億円)を支出する25のデジタル金融機関を代表する金融機関ロビー団体がTechCrunchに語ったところによると、メンバーは金利の上限設定について懸念を表明したが、特に彼らのフィードバックが受け入れられたことを受けて、新しい法律には満足しているという。同団体は、最低資本金規制や預金割り当ての撤廃、新技術や新プロダクトの規制権限の委譲を求めてロビー活動を行ってきた。

Digital Lenders Association of Kenya(ケニアデジタル金融業協会)の会長であるKevin Mutiso(ケビン・ムティソ)氏は次のように述べている。「この分野が規制され、中央銀行(規制当局)へのアクセスが可能になり、紛争規制の仕組みも導入されることを喜ばしく思っています。しかし、私たちが懸念しているのは価格統制であり、これにはあまり感心していません。金利の上限を設定した瞬間に融資は行われなくなります。私たちは神経質になっていますが、それは公正なことです」。

しかしムティソ氏によると、規制が整備されれば、金融機関は規制当局をはじめとするパートナーと協力して融資をより強固なものにすることができ、同国の融資市場の拡大に役立つという。

「規制の欠如は市場を予測不能にしていました。今なら私たちに何ができ、何ができないかがわかります。また、私たちはより良い債務回収慣行を持つことになります」とムティソ氏は語る。

「この法律により、ケニアは世界でナンバーワンのフィンテック市場になると私たちは考えています。なぜなら金融機関や借入者から期待されることなど、今はすべてが明らかだからです。私たちはまた、顧客、特にMSME(零細・中小企業)にとってより良いプロダクトを目にすることになるでしょう」と同氏は続けた。

これらのアプリは無担保ローンを提供しているため、当座の現金を求めている借り手や、口座履歴などの前提条件により銀行から締め出されることが多い借り手にとって魅力的なものとなっている。

デジタルクレジットは簡単に利用できるが、保有期間が短いために高額である。また、アクセスが容易なために複数のアプリからの借り入れが発生し、債務の逼迫やクレジットスコアの低下につながり、将来的に銀行からクレジットを取得する借り手の能力に影響を与える。

Kenya Bankers Association(ケニア銀行協会)の調査によると、利便性とアクセスの容易さが、クレジットにアクセスするプラットフォームを決定する際に顧客が考慮する主な理由であることが示されている。

この調査では、自営業者は通常のクレジットよりもデジタルを好むことが明らかになった。これは、彼らが業務を行っている間に経験する流動性の変化に起因するものであり、緊急時にもローンアプリが好まれることが指摘されている。

新しい法律では、規制当局に対し、クレジットコストを設定する際にデジタル金融機関が準拠する価格パラメータを決定する権限が与えられている。

法外な金利はケニアに限ったことではない。インドでは、融資アプリに週当たり60%もの高い金利が設定されていることが判明した。南アジアの国では、融資回収業者による嫌がらせの後に自殺した人々の報告があった。

西アフリカ諸国でも、地域最大の市場の1つであるナイジェリアを含め、融資アプリが急増している。

調査と政策提言を行うConsultative Group to Assist the Poor(CGAP、貧困層支援協議グループ)の報告書でも、タンザニアの2000万人もの借り手のデジタルローンのデフォルト率と延滞率が高いことが明らかになった。ほとんどの借り手は緊急事態や投資のためではなく、日々の必要性のために融資を利用している、と同報告書には記されている。

「これらの数字を減らすために規制当局ができる最も重要なことの1つは、融資条件の透明性を向上させ、顧客が情報に基づいた意思決定をしやすくすることです」とCGAPは述べている

同組織は、融資アプリを管理するためのより厳格な規則について勧告し、金融機関に融資条件の透明性を呼びかけた。

画像クレジット:Tala

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(文:Annie Njanja、翻訳:Dragonfly)

中小ビジネス向け融資プラットフォームのAmplaがシリーズAで約45.7億円調達

Amplaの創業チーム。(左から)Jim Cummings(ジム・カミングス)氏、Anthony Santomo(アンソニー・サントモ)氏、Jie Zhou(ジー・ゾウ)氏(画像クレジット:Ampla)

中小規模の消費者向け事業者に融資を行うAmpla Technologies(アンプラ・テクノロジーズ)は米国時間12月22日、4000万ドル(約45億7000万円)のシリーズAラウンドをVMG Partners(VMGパートナーズ)とForerunner Ventures(フォアランナー・ベンチャーズ)のリードで完了したことを発表した。

既存出資者のCore Innovation Capital(コア・イノベーション・キャピタル)もラウンドに参加した。Amplaはこの少し前、今回の株式投資とは別に2億5000万ドル(約285億4000万円)の負債融資を受けて事業を強化している。今回の資本投入によって、ニューヨーク拠点スタートアップの2019年創業以来の総調達額は、株式が5000万ドル(約57億9000万億円)、負債融資が3億3000万ドル(約376億8000万円)となった。

中小事業者やeコマース事業者に融資しているスタートアップは他にも数多くあるが、Amplaは自社の差別化要因を「オムニチャンネル」収益ストリームを考慮した融資限度枠を提供していることだと説明している。目標は、ファウンダーが低コストでより多くの資本を手に入れられるようにすることだとAmplaのCEOでファウンダーのAnthony Santomo(アンソニー・サントモ)氏はいう。

たとえばAmplaの主力プロダクトは、企業に(収益を上げる前でも)運転資金を貸し出すことで、在庫確保やマーケティングなどに出費できるようにすることが目的だ。現在Amplaは、eコマースと小売店舗チャンネル両方の消費者ブランド業界にいる中小企業を扱っている。同社「独自の」のデータに基づく保証ツールは、ビジネス全体を評価し「完全に透明」な利息と高い貸し出し限度で融資を行い隠れコストはない、とサントモ氏はいう。

ベンチャー資金の調達とは異なり、運転資金の調達は非希釈的(既存株主の持分比率が減らない)だ。最近、Clearco(クリアコ)やSettle(セトル)など、代替融資を行うスタートアップがいくつもでてきている。

Amplaはその一歩先を行き「新興企業がより効率的に成長する」ための周辺金融ツールを提供しているとサントモ氏はいう。

現在同スタートアップには、Partake Foods(パーテイク・フーズ)、Bev(ベヴ)、Good Planet Foods(グッド・プラネット・フーズ)、およびSerenity Kids(セレニティ・キッズ)など200社以上の顧客がいる。Amplaの顧客企業のファウンダーは、30%近くが白人以外で、40%以上が女性だと同社幹部は語った。

同社は具体的な売上数値は明らかにしなかったが、月間取引量は直近12カ月に300%以上伸びたと言った。同じ期間に社員数は4倍の40名になった。

Amplaは新たな資金を使って、プロダクト、テクノロジー、営業、および運用各部門の追加雇用を行う計画だ。

「チームを拡大することによって、新たなプロダクトの提供と既存プロダクトの改善を迅速に行えるようになります」とサントモ氏がTechCrunchに話した。「すべてのプロダクトは顧客からのフィードバックと要望に基づいています」。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックはeコマース利用に変革を起こした。パンデミック到来時「Amplaはすぐに、顧客基盤の大部分でEコマース販売が急増していることに気づきました」とサントモ氏は言った。「こうしたeコマース販売の大幅な増加によって、商業レベルの本格的運転資金ソリューションの需要が世界中で生まれました」。

Forerunner Venturesの代表、Jason Bornstein(ジェイソン・ボーンスタイン)氏は、Bonobos(ボノボス、Walmart[ウォルマート]のeコマース主導アパレル小会社)の創成期に顧客獲得・需要計画の責任者を務め、1億ドル(約114億4000万円)以上の資金を調達した。

同氏はこう回想した「当時オンラインでブランドを構築するのは簡単でしたが、オンラインでビジネスを構築するのはとても困難でした」。

「それでもこの10年で、デジタルブランドを立ち上げる手法が確立されました。プロダクトやサービスの実施レイヤーが成熟し、今はデジタルブランドの活気あふれるエコシステムができ上がっています」と同氏がメールで言った。「しかし、こと融資となると選択肢はまったく明確ではありません。有名ブランドがVCエコシステムを通じてベンチャー資金を得ている一方で、ほとんどのブランドは規模拡大のための適切な資本を利用できません。どのブランドにも、自分たちのビジネスモデルや資金需要、そして熱意を正しく認識し理解してくれる融資プラットフォームがあるべきです」。

Forerunnerはデジタルブランドの早期からの支持者としてで知られているが、ボーンスタイン氏は、同社が「常に」、ブランドの販売戦略と市場でのプレゼンス確立において、店舗と卸(おろし)が重要な役割を果たし続けると信じてきたことを強調した。

「Amplaはこの信念を共有していて、融資引き受けにあたってオムニチャンネルによる収益を考慮してくれる稀有な存在です」と同氏は言った。

VMG CatalystのパートナーであるBrooke Kiley(ブルック・カイリー)氏は、VMGには消費者プロダクトに投資してきた長い歴史があり、新興ブランドには有効な運転資金の選択肢がないことを直に見てきたことを指摘した。

「既存の選択肢は、起業家に混乱とイライラを与えるだけです。Amplaを使えば、見た通りのものが手に入ります」とカイリー氏がメールに書いた。「隠れコストや意図的に混乱させる仕組みはありません。会社は1つの収益チャンネルだけでなくビジネス全体で評価されます。そして、顧客を念頭においた柔軟な条件で融資を受けられます」。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

住宅ローン貸付のRocket CompaniesがTruebillを約1450億円で買収、なぜこの取引は高くなかったのだろうか?

Rocket Companies(ロケット・カンパニーズ)は米国時間12月20日朝、Truebill(トゥルービル)を現金12億7500万ドル(約1450億円)で買収すると発表した。

Rocket CompaniesはRocket Mortgageという製品でよく知られている。一方のTruebillは消費者向けのアプリで、消費者のサブスクリプションの管理、貯蓄の自動化、予算編成をサポートする。今回の買収額は、Truebillの株主にとって有利なものになる。PitchBookのデータによると、Truebillの最終的な非公開評価額は、前回のラウンド後に5億3000万ドル(約600億円)だった。同ラウンドの4500万ドル(約50億円)の投資は2021年初めに行われた

関連記事:サブスクリプション管理や自動貯金に加え資産・負債の一元管理も目指す「Truebill」

つまり、Truebillの最終投資家にとっては2倍以上、初期の支援者にとってはさらに大きなリターンとなるわけだ。悪い話ではない。

さあ、倍率を推測してみよう!

Truebillが13億ドル弱で販売されるということで、このスタートアップの年間経常収益(ARR)の見積もりを出すために必要な情報を持っていることになる。大雑把に、年間売上高はどの程度になるだろう?

もしあなたが5000万ドル(約57億円)前後と予想したなら、私たちの予想と同じだ。テック会社のバリュエーションは、最近の下降傾向にもかかわらず高く、フィンテックの会社もホットだ。なので、20ドル台半ばの倍率は妥当な推測に思える。

しかし、そうではない。Rocketは次のように述べている。

この新事業は、Rocket Companiesの毎月の売上も安定させることになります。現在、住宅ローン貸付事業に顧客から支払われる毎月の支払いは、年率換算で13億ドル(約1480億円)のサービス収入を生み出しています。Rocket Companiesは、250万人の顧客を抱え、業界最高の91%の顧客維持率を誇っています。Truebillは、年間1億ドル(約114億円)の経常収益を上げる勢いです。この数字は一貫して増加しており、2021年の売上は2020年の2倍以上となる見込みです。

熱い。驚きだ。

Truebillは、我々が予想した約2倍のARRで2021年を締めくくることになる。そしてさらに、同社は毎年2倍の規模に成長している。大きな収益と速い成長。これは、まさしく企業が株式公開前に打ち出したいプロフィールだ。にもかかわらず、Truebillは株式公開する代わりに、現在のARRの13倍以下で売却している。この数字は、時間が経つにつれて圧縮され、2022年には一桁になる。ただし、新年度にTruebillが成長を維持することができればの話だが。

正直言って、かなり割安感がある。

この取引がすべて現金であることは、Rocketが一種の割引を得たかもしれないことを意味する。株式は現金よりも安く、Truebillはおそらく取引が、例えば50%の株式であれば、もう1億ドルをなんとか獲得できたかもしれない。ただし、我々が話している数字は非常におおまかなものだ。

それでも、この取引はある種の朗報であり、また前兆でもある。100%成長、ARR9桁近いフィンテック企業が、なぜかろうじてユニコーン並みの金額で売れたのか?前述の通り、この価格はTruebillの出資者にとってはかなり甘い年末の流動性を意味するが、他のフィンテック企業にとっては、年末に歓迎されない無料招待券を受けただけで、この数字は強気とは言い難い。正直なところ、少しソフトな印象を受ける。

おそらく、Nubankのやや低調なIPOの影響があるのだろう。あるいは、ここ数四半期で見られた、ソフトウェア業界の倍率の全般的な下降傾向の影響かもしれない。または、Truebillの内部に何かまずいものがあるのかもしれない。おそらく、同社は我々が予想するよりもはるかに大きな販売およびマーケティング費用を持っており、Rocketと融合することで顧客獲得コストを下げ、同社の経済状態を改善することができるのかもしれない。

いずれにせよ、RocketがTruebillを含む最初の四半期を報告する際に、より多くのデータを得ることができるはずだ。この買収は2021年中に完了する見込みだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアのMAXがアフリカ全域への展開とEVインフラ整備へ向けて約35億円を獲得

ナイジェリアのモビリティテクノロジースタートアップ企業、Metro Africa Xpress Inc.(メトロ・アフリカ・エクスプレス、MAX)は、シリーズBで3100万ドル(約35億円)の資金を獲得し、アフリカ大陸の交通セクターの一般化に向け、さらに多くの市場に参入する予定だ。

同スタートアップはTechCrunchに対し、2022年の第1四半期末までにガーナとエジプトに、同年末までにフランス語圏、東部および南部アフリカのその他の市場に進出するために、この資金を使う予定だと語った。また、この資金は、今後2年間で10万人以上のドライバーに車両融資クレジットを拡大するためにも使用される予定だという。

MAXは、2015年にオートバイを使って顧客の注文に応えるデリバリースタートアップとしてスタートし、その後ライドヘイリングに進出、さらに車両サブスクリプションや融資サービスなど、同社の当初のサービスのデータを基に考え出したソリューションを提供している。

同社は2018年に車両融資を導入し、わずか2年余りで、所属するドライバーによる解約率が「ゼロに近い」ほどに下がったとCFOのGuy-Bertrand Njoya(ギ=ベルトラン・ノジョヤ)氏はTechCrunchに語っている。

「我々はドライバーの業務を理解するのに時間をかけました。すると、彼らのほとんどが使用する車両を所有していないことが明らかになったのです」。とノジョヤ氏は述べた。

「そして、ドライバーが抱える根本的な問題は、車両への一貫したアクセスであることが明らかになりました。そこで、大陸全体のモビリティの課題を解決するためには、まず車両へのアクセスの問題を解決しなければならないと考えたのです」と語る。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている(画像クレジット:MAX)

MAXの商業銀行パートナーは現在、同社が提供するデータを信用リスク評価として利用し、ドライバーに車両購入ローンを提供している。

同社は、サービスの一部として、新市場で電気自動車のインフラを構築し、同社の顧客層に電気自動車を導入することを計画している。

「これは、高性能な技術とオペレーターを導入することで、モビリティを安全で手頃な価格で利用でき、多くの人に開けた持続可能なものにするという私たちの道のりにおける新たなマイルストーンです。この投資により、大陸の何十万人ものドライバーの生活を変え、国際展開を加速し、モビリティ分野における先駆的な取り組みを継続することができます」と、MAXの共同創業者兼CEOのAdetayo Bamiduro(アデタヨ・バミドゥーロ)氏は述べている。Chinedu Azodoh(チネドゥ・アゾド)氏は、このスタートアップのもう1人の共同創業者だ。

モビリティに関する課題へのソリューションを提供することは、常に同社の事業の中心であり、次に解決したいパズルは、運営コストを削減することでドライバーの収入を拡大することだった。

創業者たちは、電気自動車の導入が自然な次のステップであることをすぐに理解し、2019年にMAXは電気モビリティへの旅をスタートさせたのだ。同社は現在、さまざまなリースや融資オプションを通じて、2輪、3輪、4輪のEVをドライバーに提供している。

「ドライバーが最も気にかけているのは、収入を増やしてまともな生活を送ることなので、これは私たちが提供したかった追加オプションです。というのも、現在、EVはガソリン車よりも費用対効果が高いからです」とノジョヤ氏はいう。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている。ノジョヤ氏は、電動バイクを提供するために、大手二輪車メーカーのヤマハを含むエコシステム全体のパートナーと連携していると語った。

「ドライバーのためのクルマへのアクセスや、融資へのアクセスの分野でヤマハと協働しています。私たちの仕事とパートナーシップの成功の証として、ヤマハは今日、過去数年にわたり彼らと行ってきた仕事を背景に、アフリカ向けにドライバー向け車両融資の専門組織を立ち上げました」と同氏は述べている。

今回の資金調達は、グローバルなプライベートエクイティプラットフォームであるLightrock(ライトロック)が主導したもので、アフリカのモビリティ分野では初の投資となる。UAEに拠点を置く国際的なベンチャーキャピタル、Global Ventures(グローバル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加し、既存の投資家であるNovastar Ventures(ノバスター・ベンチャーズ)や、フランスの開発金融機関のProparco(プロパルコ)も、Digital Africa(デジタル・アフリカ)イニシアチブを通じてこのラウンドに参加している。

ノジョヤ氏は、このスタートアップがアフリカ大陸の何百万もの交通事業者のための、車両購入と金融サービスのプラットフォームとなることを目指している、と述べている。最近、エストニアのライドヘイリング会社Bolt(ボルト)と提携し、ナイジェリアのBoltのドライバー1万人がエネルギー効率の高い車両を購入できるよう、リース・トゥ・オウン方式を導入した。

画像クレジット:MAX

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

過去ではなく未来で判断、学生ローン制度をひっくり返すための手段を講じるStride Funding

住宅ローンや自動車ローンを組もうとすると、銀行は審査用のメガネをかけて、あなたの過去を調べ始めるだろう。当然だ。ローンを返済できるかどうか、それなりに信頼できる指標となるからだ。学生ローンはこれとは少し違う。確かに過去の経歴も関係するが、多くの教育機関では、学位を取得することで将来の収入の可能性が大きく変わり、したがって返済能力も変わってくる。Stride Funding(ストライド・ファンディング)は、現在の学生ローン制度は、金持ちが金持ちを呼ぶ仕組みを永続させるものだという理念のもと、これまでとは異なるアプローチで事業を展開しており、先に1200万ドル(約13億5900万円)を調達した。

同社の中心となっているのは、教育の平等とアクセスの問題だ。これは経済的な上昇の機会を得られるかどうかの最も重要な指標の1つだ。当然のことながら、そこには特権的な要素(親がローンの支払いに協力してくれるかどうか)や、より具体的には制度化された人種差別が存在している。Stride Fundingは、向こう見ずの勇気で、現在1兆6000億ドル(約181兆円)相当のローンが残っている1300億ドル(約14兆円)規模の学生ローン業界に挑む。

2019年にシードラウンドを終了して以来、Strideは学生にコミットした資金を5000万ドル(約56億6200万円)以上に増やし、Silicon Valley Bank(シリコン・バレー・バンク)などの資本提供者は数百億円の追加資金の融資を求めている。同社の主な目的は、特にこれまで融資の確保に苦労してきた集団に対して、教育をより利用しやすくすることだ。

Stride Capital(ストライド・キャピタル)のCEOで設立者のTess Michaels(テス・マイケルズ)は「特に学生向け融資では、資本へのアクセスという点で大きなギャップがあります。プライベートローンの92%は連帯保証人を必要としますが、実際にアクセスできる学生は4分の1以下です」。と述べている。

同社は米国時間12月3日、Firework Ventures(Brigette LauとAshley Bittnerの共同設立者)が主導する1200万ドル(約13億5900万円)のシリーズA資金調達を完了したことを発表した。その他の投資家には、GSV Ventures(GSVベンチャーズ)、Slow Ventures(スロー・ベンチャーズ)、Sinai Ventures(シナイ・ベンチャーズ)の他、Juvo Ventures(ジュボ・ベンチャーズ)Graham Holdings(グラハム・ホールディングス)などのインパクトインベスターが名を連ねている。Stride Fundingのチームは、事業の中核に個人的な使命を持っている。

「私の両親は米国に移住しましたが、教育は経済的流動性を得るための手段でした。教育はドアを開くものです。残念ながら多くの歴史的理由により、多くの人々、特に社会的弱者が市場から取り残されていると思います」とマイケルズ氏は語り、この違いが持てる者と持たざる者の間のギャップをさらに増幅させていることを強調した。「私は、このミッションと非常に密接に結びついていると感じています。私たちは、難民やDACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置)の学生、女性、社会的弱者など、本当にすばらしい、刺激的な学生たちを幅広くサポートしてきました。学生たちからはいつも励ましの言葉をもらい、これはやる価値があることだと確信しています」と同氏は述べている。

画像クレジット:Stride Funding

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Antがグループ収益の約4割占めていた小口融資事業にメス、中国の「分割」命令から約1年

2020年12月、中国政府はAnt Group(アント・グループ)に対し、史上最大の新規株式公開となる可能性があったIPOを中止した後、その事業を「是正」するためのガイドラインを示した。その中で規制当局は、Antにクレジット事業の見直しなどを求め、金融機関を監督するのと同じ一連の規制を受けるようにした。言い換えれば、Antはもはや「テック」企業と称して自由奔放に活動できないということだ。

関連記事:中国政府がジャック・マー氏のフィンテック帝国Ant Groupの「修正」計画を発表

それから約1年後、Alibaba(アリババ)系列のフィンテック企業である同社は、人気の高い消費者向けクレジット商品の再編をほぼ終えたことを示した。

2020年に提出された同社の目論見書によると、クレジットローン商品は2020年6月までの6カ月間でAntの収益の40%近くを占めていた。2つの主要商品は、仮想クレジットカードのように機能する、消費者の日常的な支出のために2014年に発売された「Huabei(花唄、ホワベイ)」と、その1年後、より大規模な消費トランザクションのためのクレジット商品として導入された「Jiebei(借唄、ジエベイ)」だ。

旧モデルでは、Antがオリジネートしたローンを、第三者である銀行などの金融機関が引き受けるという形をとっていた。同社の目論見書によると、2020年6月時点で、プラットフォームを通じて組成されたAntのクレジット残高の約98%は、パートナーの金融機関が引き受けるか証券化されている。

Jiebeiは2つのブランドに分割されたと、今週初めに複数のユーザーが報告している。Antの主力金融サービスアプリであるAlipay(アリペイ)では、サードパーティの銀行が提供するクレジットラインは「Xinyong Dai(信用贷=クレジットローン)」と呼ばれている。一方、規制当局の要請を受けて設立されたAntの消費者金融会社が提供するクレジットラインは、「Jiebei」ブランドのままである。

Huabeiも同様に再編を開始し、どのローンが銀行から独立して提供され、どのローンがAntの消費者金融会社から提供されているかをユーザーに示すようになった。Huabeiは、日常的な「少額」取引に焦点を当てていくと、Weibo(微博、ウェイボー)への投稿で述べている

「ブランドの差別化に伴い、クレジットローンサービスを申し込むユーザーは、ブランドの混同を避けるために、クレジットプロバイダーに関するより多くの情報を得ることができます」とも。

Huabeiはまた、中国人民銀行(中央銀行)が監督するデータベースに消費者の信用情報を提出していることにも言及している。同社は9月に消費者信用会社を設立した後、このルーチンを開始した。消費者信用会社は銀行と同様に、中央銀行に信用評価データを報告する必要がある。

画像クレジット:Ant Group

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

Flexbaseが建設業界初のクレジットカードを発表、最大60日間の無利子融資

Flexbase(フレックスベース)は、最大60日間の無利子融資を提供する、創業者らによると業界初のクレジットカードを発表し、建設業の資金調達の常識を覆している。

Flexbaseは、建設業者や建設業界向けの自動決済ツールを開発している会社で、中小企業を対象にするためにZaid Rahman(ザイド・ラーマン)氏とHadi Solh(ハディ・スルフ)氏によって設立された。

ラーマン氏とスルフ氏は建設業を営む家庭で育ち、食卓で資金繰りの悩みを聞かされていた。ドバイで建設会社を経営していたラーマン氏の父親は、数百万ドル(数億円)の請求書を顧客が支払ってくれなかったとき、心臓発作を起こした。ラーマン氏とスルフ氏は、企業が資金に容易にアクセスしてキャッシュフローの問題を回避できるよう、Flexbaseを設立した。

「ほとんどの建設会社は、破産するか、あと一歩のところまで来ています」とラーマン氏は話す。「その理由の1つは、ほとんどの顧客が期日通りに支払うことを好まないからです。銀行が建設会社を嫌うのも理由の1つです。これは、そのようなキャッシュフローの問題があるためであり、建設会社は短期的な資金を得ることがなかなかできません。建設会社の倒産が多いのもそのためです」。

Flexbase Cardは、建設会社であればどの会社でも申し込むことができ、ヒューストンで先行してサービスを開始している。しかし共同創業者によると、Flexbase Cardと他のFlexbaseツールを併用することで、会社の財務データをより深く理解することができ、より大きな額の融資を受けることができるようになるという。

60日間の融資は、支払いを受けるまでに通常100日以上かかる業界にとって「ゲームチェンジャー」だとスルフ氏はいう。その理由の1つは、一般的な請求書が1〜2ページであるのに対し、建設業の請求書は50〜100ページにも及ぶことがあり、その中には州や郡のコンプライアンスに関する書類も含まれている。1枚でも欠けていると、請求書全体が却下されてしまうこともある、とラーマン氏は話す。

Flexbaseは経費管理を自動化することで、売掛金と買掛金の間の時間を短縮し、支払いまでの時間を50日短くすることができる。

「資金面で建設会社を他の企業と同じように評価することはできませんが、引き受けを行うことで、当社は建設会社がビジネスを成長させるのに十分な信用を提供しています」とラーマン氏は付け加える。「我々は、建設会社がプロジェクトの種類や顧客基盤を拡大するために、2分で十分な信用を提供しています」。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

従業員の福利厚生として学生ローンの返済に力を入れるGoodlyには追い風

写真はCEOのグレゴリー・プーリン氏(左)と、共同設立者でGoodlyのCTOであるヘマント・ヴァーマ(右)(画像クレジット:Goodly)

創業3年目のサンフランシスコに拠点を置くスタートアップGoodly(グッドリー)は、5人のチームと、2019年に確保した150万ドル(約1億7000万円)という限られた資金、最近では、長年人事を担当し、Airbnb(エアービーアンドビー)で従業員体験のグローバルヘッドを務めたBeth Axelrod(ベス・アクセルロッド)氏から得た非公開の資金で着実に事業を展開している。

企業が従業員の福利厚生として学生ローンの非課税返済を提供することをとにかく簡単にすることを目指している同スタートアップは、収益性が高い。同社は、保険会社のNFPや大手のWillis Towers Watson(ウィリス・タワーズ・ワトソン)など、数多くのブローカーと独占的な関係を築いている。しかし、企業がリモートワークや従業員のメンタルヘルスを維持することに必死になっていたパンデミックの間、同社の製品は必ずしも注目されてこなかった。

2022年が近づくにつれ、この状況が変わるかもしれない。それには2つの理由がある。1つは、2021年の統合歳出法に規定されているもので、従業員1人あたり年間最大5250ドル(約59万円)まで、学生の借金返済のために雇用者が拠出できるというものだ。会社からの拠出金は、雇用主にとっては税控除の対象となるが、従業員にとっては課税所得から除外されるため、企業にとっては拠出金を支給する金銭的なインセンティブがより大きくなるようだ。

2つ目に、何百万人もの学生ローンの借り手に対して20カ月以上にわたって一時的に学生ローンの支払いを猶予してきた学生ローン救済措置が1月31日に終了するため、2月からは連邦政府のローンの支払いが通常の(そして通常よりも厳しい)金利で再開されることになる。これは、しばらく棚上げにされていた問題が急に前面に出てくることを意味しており、競争の激しい雇用市場においては、企業は注意した方がいいかもしれない。

共同設立者でCTOのHemant Verma(ヘマント・ヴァーマ)氏とともに、Parker Conrad(パーカー・コンラッド)氏の会社Rippling(リッピング)の初期の従業員の一人であった、GoodlyのCEOであるGregory Poulin(グレゴリー・プーリン)氏は、彼らがさらに掘り下げることを決めた場合、説得力のある提案を持っている。今週初めにプーリン氏が私たちに語ってくれたように、5250ドル(約59万円)は大した額ではないように思えるかもしれないが、時間が経てば驚くほどの金額になる。

「私たちが担当している平均的な企業では、加入者1人あたり月に100ドル(約1万1300円)程度の拠出が最も一般的です」と1日あたりのコーヒー1杯分のコストに例えて語ってくれた。しかし、雇用者拠出金を学生ローンの元本に直接充当することで、問題となるローン期間中の複利の問題を解決することができる。

プーリン氏によると、一般的な返済期間は約10年だが、Goodlyは従業員のローン残高に応じて、その返済期間を3〜4年短縮することができるという。これは、我々が目にしているデータと完全に一致しているわけではなく、実際には返済期間は平均して20年近くになるが、Goodlyを利用することで1年でもローンの支払いを減らすことができれば、雇用主にとっては十分使える特典だ。

参考までに、このスタートアップの技術は非常に単純だ。Goodlyのユーザーにはそれぞれアカウントが与えられ、ダッシュボードで学生ローンを管理・追跡することができる。そこから従業員は、経済的な相談や、返済を最適化するための最良の戦略などのコンテンツにアクセスすることができるというものだ。

プーリン氏は、特に人気のある機能として、従業員が友人や家族を招待して、学生ローンのための寄付を行うことができることを挙げている。この機能は、クラウドファンディングと同様の機能で、親や祖父母が1回限りの寄付や定期的な寄付を行うことができるというものだ。「もちろん、その寄付者は、支払いが他のことに使われるのではなく、その学生ローンに向けられているという安心感を持つことができます」と彼は言う。

Goodlyは、2018年の立ち上げ直後にY Combinator(Yコンビネーター)を通過した。プーリン氏は、ダートマス大学在学中に実父が急死し、その後、8万ドル(約910万円)の学生ローンを借りなければならない状況に陥ったことが、この事業を立ち上げるきっかけになったという。

それから数年経った今でも、彼の支払いは月に900ドル(約10万円)以上になるそうだ。

残念ながら、ほかにも似た問題を抱える多くの仲間がいる。昨年の時点で、米国には4500万人の債務者がいて、その合計額は1兆6000億ドル(約182兆円)近くにのぼり、そのうちの多くの人にとって、学生ローンの返済は大きな負担となっている。「学生ローンを抱えている人は、多くの意味で二流の市民であるという二層構造の職場を作っているのです。なぜなら、30歳になると、学生ローンを抱えている人の退職金の額は、学生ローンを抱えていない人の半分程度になってしまうからです。」とプーリン氏は語る。これにより住宅購入や結婚、出産を遅らせる原因になっている。

Goodlyが展開を進め、2022年に学生ローンが再び注目を浴びるようになれば、より多くの企業がこの問題を認識し、従業員がこの悪循環を緩和できるよう、より多くの支援を行うようになると考えられる。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Akihito Mizukoshi)