京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学パナソニックは3月24日、京都大学生存圏研究所の篠原真毅教授とパナソニックが共同開発してきたマイクロ波を使った長距離のワイヤレス電力伝送システムについて、プロトタイプ開発が完了し、試験用サンプルの提供を開始すると発表した。この技術が実用化されたなら、IoTセンサーやウェアラブル機器などの電源ケーブルや電池交換が不要になる。

これは、920MHz帯のマイクロ波を利用したワイヤレス電力伝送システム。2022年に電波法施行規則等に関する省令の改正が予定されており、それを見据えてサンプルが提供される。免許を取得すれば、屋内の一般環境で利用が可能となるのだが、規制によって送電できる電力は1ワット以下に制限される。そのため、この範囲内で電力を効率的に伝送し、広範囲に設置された受電機へ電力を送ることが開発のポイントとなった。京都大学とパナソニックは、高効率な送電方法、受電用の小型アンテナ、受電したマイクロ波電力を高効率に安定して直流に変換する回路の開発に取り組んだ。

ワイヤレス送電は、特に人の見守りや健康管理用のバイタルセンサーのためのウェアラブル端末への応用が期待される。しかし既存のアンテナでは、人に近づけると電波が人体に吸収されてしまうという課題があった。そこで、人体に装着しても受電効率が低下しないアンテナを開発した。またこのシステムでは、1つの送電機から複数の充電器に一括で送電が行える。そのため、工場やオフィスに多数設置されるIoTセンサーの電源としても利用できる。

パナソニックは、このシステム「Enesphere」(エネスフィア)としてサンプル化し提供を行う。システムには、1ワット以下の送電機と、カードタイプ、人体装着タイプ、液晶表示タイプ、基板タイプなどさまざまな形態の充電器で構成される。提供開始は「準備が整い次第」ということだ。京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功

東京理科大学は3月24日、太陽光発電と電気自動車(EV)の走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムを開発し、世界で初めて実車を用いた実験を成功させたと発表した。EVの普及と太陽光発電の大量導入を後押しする技術に発展することが期待されるという。

2020年、EVの停車中のワイヤレス充電の国際規格(SAE J2954)が制定され、走行中ワイヤレス給電(DWPT。Dynamic wireless Power Transfer)はその次の技術として期待されている。現在のEVは、大量のバッテリーを搭載しているために価格が高く、充電に時間がかかることが普及の足かせになっているが、DWPTが実現すれば、バッテリーは小さくて済み、走行距離を飛躍的に延ばすことが可能となる。すでに、DWPTが経済的に成り立つという試算が出されていて、高速道路だけでなく一般道にも導入が可能だとされている。しかし、太陽光発電とDWPTを組み合わせる技術的な研究は、世界的にもまだ進んでいない。

そこで、東京理科大学理工学部電気電子情報工学科の居村岳広准教授を中心とする研究グループは、太陽光発電とDWPTを組み合わせる際に必要となる回路と制御方法を開発し、実際に実験用道路に給電装置を埋め込んだ実車実験を行った。研究グループは、カーボンニュートラルの実現を目指す観点から電力網に接続しないオフグリッドでの太陽光発電を用いたシステムと、オングリッドのシステムの両面から研究を行っているが、今回実車実験を行ったのは、オフグリッドを想定したシステムだ。

コイルと太陽光発電と実車

コイルと太陽光発電と実車

オフグリッドのシステムは、道路脇に設置した太陽光パネルによる直流電力送電路「DCバス」に接続することが想定されている。オングリッドならば常に一定の電力を供給できるのだが、オフグリッドの場合、発電状況やEVの走行台数の変化によってシステムにかかる電圧が変動する。そこで、太陽光発電の出力を最大化する最大電力点追従制御(MPPT。Maximum Power Point Tracking)とDWPTのそれぞれに想定される負荷変動の周期のずれを吸収する電気二重層キャパシター(EDLC。Electrical Double Layer Capacitor)を、発電部分と給電部分との間に挟んだ。さらに、ワイヤレス給電のために直流電圧を高周波の交流に変換するインバーターの出力電圧波形を位相シフト制御して電圧調整を行った。これにより、発電電圧を最大に保ちながら、供給電力を一定に保つことができた。

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功―世界初の実車を用いたシステム開発

コイルと回路

研究グループは、屋内の基礎実験でこのシステムの動作が検証できたところで、キャンパス内にDWPT実験用道路を作り、実際のEVの床下に受電回路を取り付けて走行試験を行った。その結果、車のボディーやアスファルトの影響が心配されていたが、大きな影響はなく、屋内基礎実験と同様に動作が可能であることが示された。これにより、電気二重層キャパシターとインバーター出力の位相シフト制御を使うことで、オングリッドの場合と同じように供給電力を一定に保てることがわかった。

日本では、2050年には300GW(ギガワット)の太陽光発電施設の導入を目指している。そうなると、昼間の電力量は需要を上回り、余剰電力が生まれるようになる。DWPTは、停車中充電に比べて電力吸収量が10倍以上と多いため、太陽光発電の大量導入時の余剰電力消費先として親和性が高く、余剰電力の負荷平準化に貢献できる可能性もあるという。

今回は動作原理の実証のため電力は抑えて行ったが、今後は、埋設したコイルの大電力伝送実験、雨水や海水の有無による影響の評価などを通して、社会実装に向けた研究を進めるとしている。

ボルボがEVタクシーを使ってワイヤレス充電のテストを開始

Volvo Cars(ボルボ)は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したKris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

豊橋技術科学大学発のスタートアップ企業としてワイヤレス電力伝送技術の社会実装を進めるパワーウェーブは、1月15日から30日までの土曜日・日曜日に、福岡県のマリノアシティ福岡で開催中の「モビリティサーキット in マリノア」において、電動キックボードのワイヤレス給電の有用性に関する実証実験を行っている。

写真左は停車中給電の様子。写真右は受電ユニットを外に出した模型

写真左は停車中給電の様子。写真右は受電ユニットを外に出した模型

この実証実験は、大成建設と共同で実施しているもの。会場には、大成建設が開発したワイヤレス充電システムと路面太陽光発電ユニットを掛け合わせた「グリーン充電ポート」を設置。そこで、mobby rideから提供された電動キックボード「mobby」(モビー)のワイヤレス充電が行われている。

ここで使われているワイヤレス充電は、グリーン充電ポートの床に設置された送電板を介して高周波電源がキックボードの受電ユニットに送られ、非接触でバッテリーに充電するというもの。パワーウェーブは、その送受電の開発を行った。大成建設によれば、この実験の目的は、同社の技術による発電と、車体の受電装置の安定性を明らかにすることだという。

「モビリティサーキット in マリノア」では、特設コースにてmobbyの試乗体験ができる。パワーウェーブと大成建設、マリノアシティ福岡で電動キックボードmobbyのワイヤレス充電を実証実験中

大林組と古河電気工業がLuup協力のもと電動キックボードのワイヤレス充電ポートを開発・実証実験、2025年の製品化目指す

古河電気工業は12月7日、大林組と共同で電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを開発し、実証実験を開始したことを発表した。このシステムは、電動キックボードのシェアリングサービスにおいて、機体コストの低減と人件費の削減につながるという。2025年の製品化を目指している。

電動キックボードのシェアリングサービスでは、充電の管理が重要になる。現在は、人が巡回してキックボードの電池を交換しているが、これには多くの電池を用意し、回収した電池を充電するといった労力と人件費がかかる。電池を大容量化して手間を省こうとすれば、機体が重くなり、価格も上がってしまう。ワイヤレス充電システムなら、送電装置の上にキックボードを置くだけで充電が始まるため、そうした問題が解決される。

このシステムは、古川電気工業の再生プラスチックを利用した樹脂製ケーブルトラフ(ケーブル敷設用のU字溝)「グリーントラフ」に収めた送電装置、受電機を搭載したキックボード、電源ボックスで構成されている。ワイヤレス給電には、2枚の電極を近づけて電力を伝える電界結合方式が使われている。磁界を発生させる方式と異なり、近くにある導電体が熱を持ったりしないため、安全性が高い。

実証実験は、2022年3月まで、大林組技術研究所で行われる。また、東京・大阪・横浜・京都で電動マイクロモビリティーのシェアリングサービスを展開しているLuup(ループ)が技術協力している。

ベルキンの新3in1ワイヤレス充電器は最新Apple WatchとiPhoneをすばやく充電

Belkin(ベルキン)の新しい3in1ワイヤレス充電器は、iPhoneとApple Watchユーザーにカスタマイズされており、iPhone 12と13のMagSafe 15Wの充電速度を実現し、最新のApple Watch Series 7の急速充電にも対応している。またベルキンは、USB-Cケーブルを内蔵し、Series 7に高速充電の互換性を提供するApple Watch用の新たなスタンドアロンポータブル高速充電器も発表している。

ベルキンのBOOST↑CHARGE PRO MagSafe 3-in-1 ワイヤレス充電パット(長いので以降「3in1充電器」)は、先に触れたとおりiPhone用のMagSafe 15Wワイヤレス充電器を搭載している。また、AirPodsへの給電に使える標準的なQi対応のワイヤレス充電パッドも搭載、さらに急速充電に対応した調整可能なApple Watch充電パックもある。スタンドの下にはスイッチがあり、新旧のApple WatchモデルやさまざまなApple Watchケースに合わせてスタンドの高さを調整することができる。

スタンドはゴム製のシリコンで覆われているので、夜中にぶつけてもガジェットが傷がつく心配もない。電源は付属の40W電源アダプターに差し込むコード1本だけだ。私はこの製品を1週間ほど使っているが、Appleファンのための、コード1本で最大速度を実現したベッドサイド充電ソリューションとして最高の選択肢だと自信を持ってオススメできる。

価格は149.95ドル(日本では税込1万7800円)で、Appleのウェブサイトなどで本日から販売されている。

ベルキンのBOOST↑CHARGE PRO Apple Watch用ポータブル急速充電器(これも長いので「Watch充電器」と呼ぶ)は、純正のApple Watch用の小さな充電器に代わるすばらしいプロダクトだ。ケーブルが内蔵されているため、持ち運びに便利で、さまざまなApple Watchのモデルやケースに合わせて調整でき、平置きと立て置きの両方で充電可能だ。さらに、Series 7を急速充電することもできる。Apple Watch専用の充電器としては、間違いなく最高の製品だ。

このWatch充電器は59.95ドル(日本では税込7400円)と、Appleの専用マグネット式充電ドックより安価で、Appleのウェブサイトなどで注文を受け付けている。

画像クレジット:Belkin

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【レビュー】Kindle Paperwhiteシグニチャーエディション、充実した読書のためのすてきな機能を追加

筆者はiPhoneをワイヤレス充電器から外し、新しいKindleを載せた。正直なところ、こんな一文を書くことになるとは思っていなかった。心が躍らないことはわかっているし、2021年時点では間違いなくそうだ。だが、冷静に考えてみれば、電子書籍リーダーのイノベーションのペースは、他の業界に比べるとまさに氷河の動きなのだ。


理由の1つは、競争相手が減少していることだ。Sony(ソニー)のようなかつての大企業はとうの昔に撤退し、Barnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)は表向きにはまだNook(ヌーク)事業を続けているが、かつての栄光の日々はとっくに終わっている。ビッグプレイヤーといえば、まだ健在のKobo(コボ)と、そしてもちろんAmazon(アマゾン)だ。

現実的に考えて、米国での規模と存在感という点ではAmazonに軍配が上がる。他の分野でもいえることだが、この巨大小売企業がこの分野を支配している。出版業界での圧倒的な存在感と、同社のホームページに持つ世界有数の、オンラインの広告塔が寄与している。そして見逃せないのは、同社が総じて優れた電子書籍端末を製造しているという事実だ。

この分野で競争が少ないということは、メーカー同士の激しい競争は二度と起こらないということでもある。つまり、スマートフォンのような競争、あるいは10年前のような競争は起こらないと思われる。

だからこそ、新しいKindleが登場すると、純粋にワクワクする。このカテゴリーにはまだ生命力があるように感じられる。Kindleは、EchoやFire TVの陰に回って久しいが、良い年には1年に1台のペースで新しいKindleが発表される。

2021年9月末に発表された新しいPaperwhiteは、ハイエンドのOasisとの違いを曖昧にするいくつかの機能、そしていくつかの純粋な驚きをもたらした。その中でも、ワイヤレス充電とUSB-Cは、後者のカテゴリーだ(ただし、いずれも「シグニチャーエディションのみで利用可能な機能。同モデルはスタンダードモデルより50ドル[日本では5000円]高い)。これまで何世代にもわたってmicroUSBを採用してきたこのデバイスの底部に、新たなポートが搭載されているのは、正直なところ、単純に不思議な感じだ。

USB-Cの採用により、充電時間が短縮され、約2.5時間(ワイヤレスの場合は約3.5時間)で本体を充電できる。とはいえ、筆者にとっての最大のメリットは、旅先で持ち歩くケーブルが1本減ることだ。Kindleは、私が普段使っている中で、microUSBを使う最後のデバイスの1つだった。もちろん、バッテリー駆動時間を考えると、その点はもう意味を持たない。新しいPaperwhiteは現在、10週間のバッテリー駆動が可能とされているからだ(ワイヤレスをオフにし、1日30分の読書をした場合)。

従来の6週間からさらに長くなったわけだが、ガジェット用のバッテリーとしては、6週間でも非常に良い。数日や数時間ではなく、数週間使える数少ない消費者向けデバイスの1つだ。このことは、一般的な、ある奇妙な点に光を当てる。こうしたデバイスでアップデートされる機能の多くが、バッテリーと充電に集中しているという事実だ。確かに、Bluetoothオーディオを使ったオーディオブックなどは、通常の読書よりもバッテリーに負担がかかる。

新しいPaperwhiteは、一見すると前世代とほぼ同じように見える。Oasisと同様、平らになったベゼル(ディスプレイを囲む縁の部分)とディスプレイが、すでに強固な躯体に加わる。しかし、250ドル(日本では8GB広告付きで税込2万9980円)のOasisのような高級感はない。Oasisには背面が金属製で物理的なページボタンがついているが、Paperwhiteにはそのような贅沢な部品はない。

興味深いことに、スクリーンに大きな違いはない。どちらも解像度は300ppi(前世代と同じ)で、標準的なKindleの167を大幅に上回った。サイズは6.6インチから新モデルの6.8インチへとわずかに大きくなった。Oasisの7インチよりわずかに小さい。また、両モデルともにIPX8規格の防水機能を備え、プールやバスタブなど水のあるところで読書をしたい人にはうれしい仕様となっている。

フロントライトは、Paperwhiteの17個に対してOasisは25個と、Oasisが勝っている(Paperwhiteの方が画面が小さいということはある)。ライトは均一で、暗いところで読むときにもいい仕事をしてくれる。システムは、2019年のOasisで導入された色調調節機能を備える。睡眠パターンに悪影響を及ぼす可能性のある青い光をスケジュールに沿って減らすものだ。明るさを調整するアンビエントライトセンサーは、シグニチャー・エディションにのみ搭載されている。

搭載されているストレージも標準版のPaperwhiteとシグニチャーエディションの大きな違いで、前者の8GBに対し、後者は32GBと大きい。ワイヤレス充電は、ほとんどの人が電子書籍リーダーを使用する際には不要なものであり、140ドル(日本では1万4980円)と190ドル(日本では1万9980円)の価格差を正当化するほどのものではないと思う。30ドル(日本では3480円)のワイヤレス充電スタンドが別売りであることを考えれば、なおさらだ(筆者のAnkerの充電器は問題なく動作しているため遠慮する)。

概して、歓迎すべき追加機能がたくさんある。2018年版のPaperwhiteを持っている人には、アップグレードする価値がないかもしれないが、充実した電子書籍端末を探している人にはお勧めだ。新機能は、上位モデルのOasisとの境界線を曖昧にした。250ドル(日本では8GB広告付きで2万9980円)のOasisはより高級な外観だが、大多数の読者にとっては新しいPaperwhiteの方がずっと理に適っている。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】EVの充電ソリューションは電力網の資産になる

編集部注:本稿の執筆者Oren Ezer(オレン・イーザー)氏は、電気自動車にワイヤレス充電を提供する共有エネルギープラットフォーム「ElectReon」のCEO兼共同設立者。

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2030年までに米国の販売台数の約半分を電気自動車(EV)にするというJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領の計画は、現在、米国の総排出量の約半分を占める交通システムの脱炭素化を進めようとしていることを意味している。

電気自動車の大量導入を促進するためには米国政府の支援が不可欠だが、一方で、何百万、何千万もの人々が頼りにしている劣化した電気インフラ、すなわち電力網を修復する必要にも迫られている。

社会がオール電化に移行し、EVの需要が高まる中、現代社会が直面する課題は、どうすれば電力網に負荷をかけ過ぎずに、増え続けるEVに充電できるかということである。EVは電力網に対して過負荷となるという予測がある一方で、ワイヤレス充電、V2G(Vehicle to Grid、自動車と地域電力網の間で電力を相互供給する技術やシステム)、再生可能エネルギーのより効率的な利用など、エネルギーインフラをバックアップする方法も研究されている。

不安定な電力網に対して信頼性の懸念が高まる現在、この重要なインフラを強化し、電力網の限界を超えないようにするためのソリューションを見つけることは急務となっている。

現在、電力網が直面している課題

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動報告書は、地球温暖化や人類が排出した二酸化炭素の影響により、以前は50年に1度だった激しい熱波が、今後は10年に1度あるいはそれ以上の頻度で起こると予想している。このことは、すでに2020年も太平洋岸北西部における記録的な熱波や大火災で確認されているが、電力会社や事業者、業界の専門家たちは、現在のエネルギーシステムが気候変動による温度上昇に耐えられるか懸念を示している。

熱波だけではない。2月にテキサス州で発生した寒波は、エネルギーインフラを麻痺させ、何百万もの住宅で停電が発生した。温暖化が進み、電力需要を満たすために電力網が過負荷になればなるほど、このようなことは増加し続けるだろう。

気温の変動に加え、今後数年のうちに市場に出回ると予想されるEVの増加をサポートできるかどうかについても多くの人が懸念している。交通機関の電化にともない、2050年までに米国の発電容量を2倍にする必要があるとの報告もあり、充電のピーク時に柔軟性を向上させ、稼働率を上げられるEV充電の技術が求められている。しかし、現状では、米国の電力網の能力は2028年までに2400万台のEVをサポートできるにとどまり、道路輸送による二酸化炭素排出量を抑制するために必要なEVの数を大幅に下回っている。

このような課題にもかかわらず、業界の専門家は、EVが電力需要管理に大きな役割を果たし、必要に応じて電力網の安定化に貢献する潜在能力があることを指摘している。しかし、全米でEVの普及が進めば、電力会社は、人々がいつEVを充電するのか、何人のユーザーがいつEVを充電し、どのような種類の充電器が使用されてどのような車両(乗用車や中型・大型トラックなど)が充電されているのかといった重要な問題を調査し、電力需要の増加と電力網のアップグレードを決定する必要がある。

EV充電ソリューションは負債ではなく資産になる

電力網インフラのアップグレードには長い時間がかかる上、自動車の電動化を希望する個人や企業が増加しているので、全米の自治体は、EVの増加に先んじて、電力網の安定性を確保しながら必要な充電インフラを展開する方法を必死に模索している。しかし、国際クリーン交通委員会(ICCT)の最近の分析では、米国のEV充電器の数は現在21万6000台で、EVの普及目標を達成するためには2030年までに240万台の公的および民間の充電システムが必要になると推定されている。

各都市は充電インフラの不足を解消するために、必要な充電インフラの導入を早め、電力網を保護するための従来の据え置き型充電器以外の充電オプションを検討し始めている。その1つがワイヤレス充電や走行中充電といったダイナミックチャージング(大電力充電)である。

ワイヤレスのEV充電は、充電レーンの配置や交通量によって充電時間が断片化され、需要の変動が大きくなり、既存の電力網インフラにさらなる負担をかけるという意見がある一方、ワイヤレス充電では、14~19時に多く発生するエネルギー需要をまかなうためにEVを固定式充電器に接続しておく必要がなく、24時間さまざまな場所に分散して充電できるため、実際には電力網の需要を減少させ、グリッド接続の増設やアップグレードの必要性を減らすことができるという主張も多くある。

また、ワイヤレス充電は、道路、商業施設の搬入口の真下、施設の出入り口、タクシーの行列、バスの駅やターミナルなど、導電式(プラグイン)充電ソリューションでは対応できない場所にも設置することができるので、1日のうちに一定の間隔でEVに「上乗せ」充電を行うことができる。

導電式のEV充電ステーションは主に夕方や夜間にのみ使用され、蓄電装置が必要だが、ワイヤレス充電では、主に日中に生産・利用される再生可能な太陽エネルギーをより効率的に利用することができるので、必要な蓄電装置の台数を減らすことができる。

これには、都市や電力会社がワイヤレス充電のような効率的なエネルギー利用戦略を活用することで、エネルギー需要を時間的・空間的に分散させ、電力網に柔軟性をもたせて保護することができるというメリットがある。このエネルギー利用戦略を、自家用車やタクシーだけでなく、中型・大型トラックに適用すれば、EV化が難しいトラック分野でもEVへの移行をより迅速化できるようになる。

電気自動車の普及を支える電力網にプラスとなるワイヤレス充電

電力網にとっては乗用EVだけでも課題を抱えているが、大規模なトラック充電は、電力会社が積極的に移行を準備しなければ、非常に困難な課題となる。2030年には商用や乗用の全車両の10〜15%をEVにすることが計画されている現在、EVへの移行で二酸化炭素排出量の削減目標を達成しようとしている事業者にとって、ワイヤレス充電は費用対効果の高いソリューションになる。大型車のプラグイン充電とワイヤレス充電の比較と、両者が電力網に与える影響は次のようになる。

  • プラグインの導電式充電:240kWhのバッテリーを搭載した100台のEVバスをバス停留所で夜間導電充電する場合、全車両が毎日の運行終了時に同時に充電するために、最低でも6メガワット(MW)のグリッド接続が必要となる。
  • 電磁誘導方式のワイヤレス充電:都心部のバスターミナル、駐車場、ステーションに設置したワイヤレス充電の定置充電技術を使用して、100台のEVバスを、1日を通して運行の合間に「上乗せ」充電することができる。この充電戦略では、蓄電容量を大幅に削減でき(正確な削減量は車両と車両のエネルギー需要によって異なる)、1日を通して充電が行われるので、必要なグリッド接続は(プラグイン充電と比べて)66%減の2MWになる。

道路に隣接するソーラーパネルフェンスを備えたワイヤレス電気道路システムは、発電を分散させ、電力網への負荷を減らすための究極のソリューションになるかもしれない。業界が行った計算によると、約1kmの電気フェンスは、1.3〜3.3MWの電力を供給することができる。太陽光発電と道路に埋め込まれたワイヤレス充電インフラを組み合わせることで、1日あたり1300台から3300台のバスを電力網に接続せずに走らせることができる(平均時速80km、日射量の季節変動を考慮)。

さらに、ワイヤレス電気道路システムはすべてのEVに共通で使用できる。同じ電気道路でトラックやバン、乗用車に充電でき、電力網に新たな負荷をかけることもない。

電力網の近代化に向けて重要な役割をもつ革新的な充電技術

ワイヤレス充電はまだ市場に出てきて間もない技術だが、そのメリットは次第に明らかになっている。交通機関の電化の促進、気温の上昇、異常気象などに直面する電力網の老朽化が懸念される中、革新的な充電技術は最適なソリューションだ。

1日を通してEVの充電を分散させて過負荷を回避し、乗用車と大規模なトラック輸送両方のエネルギー需要を同時にサポートするワイヤレス充電などの技術は、将来の全電化脱炭素社会に向かうための重要なリソースとなる。

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画像クレジット:Bloomberg Creative / Getty Images

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(文:Oren Ezer、翻訳:Dragonfly)

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:充電(用語)大日本印刷 / DNP(企業)電気自動車 / EV(用語)ハイブリッドカー / HV(用語)無人搬送車 / AGV(用語)ワイヤレス充電 / 無接点充電(用語)日本(国・地域)

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

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大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:充電(用語)大日本印刷 / DNP(企業)電気自動車 / EV(用語)ハイブリッドカー / HV(用語)無人搬送車 / AGV(用語)ワイヤレス充電 / 無接点充電(用語)日本(国・地域)

車載充電パッドも期待されるワイヤレス充電のAiraが約13.1億円を調達

2017年に創業しアリゾナに拠点を置くAiraは、そのテクノロジーを証明する時間を無駄にしなかった。TechCrunchでは同社のワイヤレス充電について何度か記事にした。例えば同社の「FreePower」テクノロジーはNomadの充電パッドに搭載され、Appleが開発を中止したAirPowerをさらに使いやすくした製品になった。このテクノロジーのおかげでユーザーは最大3つのデバイスを同時に充電できる。しかも時間をかけてパッド上の正確な位置にデバイスを置く必要はない。

米国時間8月3日、Airaはシードラウンドで1200万ドル(約13億1000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、主にJawad Ashan(ジャワド・アシャン)氏、Lori Greiner(ロリー・グライナー)氏、Robert Herjavec(ロバート・ハージャベック)氏などの個人投資家がリードした。同社はこの資金で、コンシューマー向けデバイス充電を拡大し、企業や自動車、宿泊業などへも進出する他、充電テクノロジーのバージョン2.0も登場させる予定だ。

Airaの共同創業者でCEOのJake Slatnick(ジェイク・スラトニック)氏は発表の中で「この新しい資金調達ラウンドはイノベーションに向けて我々の力を加速させるゲームチェンジャーです。我々のパイプラインには多くのパートナーシップがあり、FreePowerのバージョン2.0はもう目前で、ジャワドが経営陣に加わった状況であることから、これはAiraにとっての転換点です」と述べた。

画像クレジット:Aira

2020年12月の記事でお伝えしたように、Airaはすでに自動車には進出している。このとき同社は、車両パーツサプライヤー大手で今回のラウンドにも参加しているMothersonからの投資を発表した。2020年12月の投資は、Airaが同社のワイヤレスモジュールを自動車に統合しようとする方向性を明確に示すものだった。多くの自動車メーカーはコンシューマー向け機器に対応した装置を備えていないため、これは歓迎すべきことだった。

AiraもMothersonもその時点で、そして現在も、自動車に関して具体的なパートナーを発表していない。しかしAiraは、同社とMothersonが協力して自動車向けFreePowerモジュールを開発していると述べている。

画像クレジット:Aira

米国時間8月3日の発表の中でAiraは「現在のワイヤレス充電テクノロジーは移動する環境で使うようには作られていないため、消費者も自動車メーカーも関心を持っていません。これに対してFreePowerを使った車内用充電パッドは、運転中のデバイスのずれ、複数デバイスの充電、あらゆるサイズのパッド、ファームウェアのアップデートによる将来的な機能の拡張や互換性の確保に対応します。安全性と規制の厳しい基準を守りつつハイパワー充電も可能です」と述べた。

今回の発表で、AxonのCFOであるジャワド・アシャン氏がAiraの経営陣に加わったことも判明した。

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タグ:Airaワイヤレス充電自動車資金調達Motherson充電器

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

米インディアナ州とパデュー大学が走行中の電気自動車にワイヤレス充電可能なコンクリートの試験実施を発表

米インディアナ州とパデュー大学が走行中の電気自動車にワイヤレス充電可能なコンクリートの試験実施を発表

Kalocsai Tamás / EyeEm via Getty Images

米インディアナ州交通局(INDOT)とパデュー大学が、これまでにない新しいコンクリートの試験を実施すると発表しました。このコンクリートは全米科学財団(NSF)の資金提供により、パデュー大学およびドイツのMagment社が共同で研究開発する、電気自動車を走行中に充電するコンクリートです。

この試験で使われる材料が普通のコンクリートと異なるのは、磁化されたセメントを練りこんで作られるコンクリートだということ。具体的なメカニズムは説明されていませんが、Magment社の説明には、この磁性を持つ粒子を充填したコンクリート媒体は「最大95%の記録的な無線伝送効率」「標準的な道路建設コスト」「全天候型」「高い熱伝導率」「高い耐破壊性」をもつなど、夢のような表現が並びます。

試験はいくつかの段階で行われる予定で、最初のいくつかの段階は実験室内で行われます。そして、これらの段階で有望な結果が出たならば、INDOTは非公開の場所にこのコンクリートで舗装したテストコースを作り、モーター容量200kW以上の大型トラックによる実装テストを行います。これが成功すれば、次は州内の公道にこのコンクリートを使った区間を作ります。

走行中のEVを充電できる道路は今回のプロジェクトの他にも、少なくとも20年程前からいろんな国や企業、機関で研究されてきました。米国内ならカリフォルニア州やスタンフォード大、コーネル大、欧州や中東ならドイツ、スウェーデンやイスラエルでもやはり走行しながら電気自動車を充電するためのプロジェクトがあります。

いずれのプロジェクトも、もし実用化に成功すれば、長距離走行時のバッテリー残量管理のストレスからドライバーは解放されることでしょう。ただ、国のすべてのハイウェイを舗装し直し充電ハイウェイに変えるには、かなりの予算と時間がかかりそうです。

ただ、むしろ物理的な体積はそのままにバッテリーの大容量化を実現する技術を開発する方が、将来的にEVだけでなく家庭用蓄電設備や宇宙探査など、いまより大容量のバッテリーを求める分野への応用も効きそうな気はします。

(Source:Indiana Department of Transportation。Via AutoblogEngadget日本版より転載)

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タグ:充電(用語)電気自動車 / EV(用語)パデュー大学(組織)Magment(企業)ワイヤレス充電 / 無接点充電(用語)

Xiaomiが遠距離ワイヤレス充電技術を披露、対応製品は2021に登場せず

世界第3位のスマートフォンメーカーであるXiaomi(シャオミ)は米国時間1月29日、遠距離ワイヤレス充電技術「Mi Air Charge Technology」を発表した。同社によると、5Wの電力を「半径数メートル以内」の複数デバイスに供給できるという。同社はこれにより、顧客を「真のワイヤレス充電時代に導く」としている。

Xiaomiによると、同社はfive phase interference antennas(五相干渉アンテナ)を内蔵した独立充電パイルを開発し、これにより「スマートフォンの位置を正確に検出する」ことができるという。

144本のアンテナで構成されたフェーズコントロールアレイはビームフォーミングを介してミリ波を直接スマホに送信するとシャオミは述べており、「近い将来」にスマートウォッチやブレスレットなどのウェアラブルデバイスにも対応できるようになるだろうと付け加えている。

シャオミは以前に80Wと120Wのワイヤレス充電技術を発表しているが、同社の広報担当者によるとこの新しいシステムは年内には消費者向け製品に導入されないだろうと述べた。

シャオミは新技術の仕組みについて、次のように説明している。

スマートフォン側では、Xiaomiは「ビーコンアンテナ」と「受信アンテナアレイ」を内蔵した小型アンテナアレイも開発しました。ビーコンアンテナは、低消費電力で位置情報を送信します。そして14本のアンテナで構成された受信アンテナアレイは、充電パイルが発するミリ波信号を整流回路を介して電気エネルギーに変換し、SF的な充電体験を実現するのです。

現在、Xiaomiのリモート充電技術は半径数メートル以内の1台のデバイスに対して、5ワットのリモート充電が可能です。それとは別に、複数のデバイスを同時に充電することも可能(各デバイスは5W充電に対応)で、物理的な障害物があっても充電効率は低下しません。

ニュースサイトのXDA-Developersが報じたところによると、Motorola(モトローラ)の幹部も遠距離で電力を提供するように見えるリモート充電システムのプロトタイプを披露したという。この技術がいつ消費者向けデバイスに採用されるのかは不明だ。

関連記事:レノボが天板にE Inkディスプレイを搭載するPCをアップデート、専用のワイヤレス充電マットも発表

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タグ:Xiaomiワイヤレス充電

画像クレジット:Xiaomi

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(文:Manish Singh、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ワイヤレス充電技術のPowermatが太陽光発電設備を自律ロボで掃除するJetsons Roboticsと提携、産業用アプリ進出を目指す

設立して2年になるインドのJetsons Roboticsが、屋上に設置された太陽光発電設備の自律型清掃ロボットのために充電ステーションの設計を手助けしてくれるパートナーを探し始めたとき、イスラエルのPowermatを選んだのは自然なことだった。

Powermatは家電製品のワイヤレス充電技術の設計で名を成したが、2年ほど前から、より多くの産業用アプリケーションに焦点を移していたのだ。そのため、同社の充電技術の新しいフォームファクターとアプリケーションについて、Jetsons Roboticsと協力することは理に適っていた。

実際、当初Powermatが獲得したいと考えていた消費者市場は、その時点で広くコモディティ化していたため、同社は新たな方向性を求めていた。

Jetsons RoboticsのCEOであるJatin Sharma(ジャチン・シャーマ)氏によると、企業が屋上に設置する太陽光発電設備の清掃には高いコストがともない、年間10万ドル(約1035万円)から50万ドル(約5175万円)かかるという。人間の労働力の代わりにロボットを使用することでコストを節約できるが、同社が構築しようとしている自律的なソリューションには、ワイヤレス充電ドックのようなものが必要だとシャーマ氏は述べている。

接触充電システムでは、屋外環境では不確定要素が多すぎたが、インダクティブ充電器ではコストがかかりすぎた。同社がPowermatと協力してソリューションを開発するまでは、このような問題を解決することはできなかったとシャーマ氏は語った。

ムンバイを拠点とする100X.VCの支援を受けたシャーマ氏のロボットは、すでに毎日約1.7メガワットに値する太陽光発電設備の清掃を行っている。

Powermatにとって、このソーラー清掃ロボットは、同社の新しい産業分野への注力を示す良いテストになるとCTOのItay Sherman(イタイ・シャーマン)氏はいう。

「これを市場の成熟化として見ることができます」とシャーマン氏は語る。「Powermatはワイヤレス技術を推進するパイオニアでした。その市場は成熟しつつあり、技術とイノベーションが重要な市場へと移行しています。私たちは、これらの新興市場に努力をシフトすることにしました。ロボティクスはその1つ、そして医療機器、IoT、自動車市場にも注力していきます」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:PowermatJetsons Roboticsワイヤレス充電太陽光発電

画像クレジット:Powermat

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(翻訳:Nakazato)