TechCrunch Tokyo 2012で優勝したWhillが個人用移動デバイスのソフトウェア開発でKickstarterに登場

TechCrunch Tokyo 2012で大賞を取った移動器具を作っているWhillが、このたび、Kickstarterに登場して、製品の最終的なブラッシュアップのための資金を募集している。対象製品はWHILL Type-Aと、その付随アプリだ。

Type-Aは元々車いすに代わるものとして作られたのだが、同社を作った元Sony、Olympus、Toyotaなどの技術者たちはそれを車いすとは呼ばない。事業開発部長のAtsushi Mizushima(水島淳?)によると、その理由は、“弊社は万人向けのパーソナルモビリティ–個人の移動–に専念している”からだそうだ。

Type-AはRed Dot Design Awardのプロダクトデザイン部門で佳作賞を取った。最小旋回円は半径28インチで、いろんな地形に対応できるが、坂道は約10度までだ。

今、7月12日までの目標額3万ドルに対して1万ドル以上集まっているが、もし募金に成功したらWhillはそのお金でType-Aに搭載できるスマートフォンアプリを開発し、リモートコントロールができたり、至近の充電ステーションを見つけたり、問題発生時にはハードウェアの診断レポートとともにフィードバックを同社に送れるようにする。

資金募集に対し9500ドル以上を出すとType-Aをもらえるが、100ドルならシリコンバレーの同社本社とテクショップに招待される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))
 


温湿度のほかに紫外線も測定するスマホ用天候チェッカーCliMate、かわゆいデザインでクラウドファンディング中

私は除湿機がないと生きていけない。私が住んでる都市〔台北〕は、ほとんど年中、湿度が80%前後あり、家の中にいても、いろんなもの–カメラ、レザーバッグ、カビに弱い観葉植物など–を守るために苦労する。不運にも、空気が乾燥しすぎると私は鼻血が出る。しかしここでご紹介するCliMateは、私のような、空気中の湿度に対して異常に敏感な体質の人間にとって、嬉しい製品だ。この小さな環境チェッカーはスマートフォンのアプリにBluetoothで接続して使う。今Kickstarterで資金募集中だ

これを作ったスタートアップは、メンバーが気候条件の極端に違う二つの都市、台北とカリフォルニアのマウンテンビューに住んでいる。CliMateは上の写真のように雲の形をした小さな計器で、湿度と紫外線の量と気温を測定する。室内に置いてもよいし、人が紐で首に吊るしてもよい(体温による誤差は生じない)。

TechCrunch Disruptで決勝に残ったCubeSensorsをはじめ、Bluetoothを利用する気候センサ製品はすでにいろいろある。その中でCliMateがねらう差別化要因は、おすましでかわいいデザインと、アプリの漫画ふうの画面だ。単なる表やリストを表示するのではなく、たとえば気候条件が悪いと、植木鉢の植物が萎(しお)れた絵が表示される(下図)。またユーザが設定した条件に従ってアラートを送るので、日除けのブラインドをおろしてやらなければならないタイミングなどが、庭などにいても分かる。

またユーザのアプリからデータを受信して、同じ地域のユーザに天候の変化などについて警報することもできる。

これを開発したRootiは、前はPhyodeと呼ばれていて、呼吸や心拍数を計測するリストバンド(腕輪)W/Meを開発した(神経の状態を判定する)。これもKickstarterで資金募集して成功し、昨年発売された。

今回の目標額は5万ドルで、締め切りは7月21日だ。初期出資者には39ドルでCliMateが1台進呈される。詳しいことはKickstarterのページを見てみよう。

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曲面OLEDディスプレイを搭載し、健康情報管理などに利用できるApple製iWatchは10月に登場(日経記事より)

Appleは今年もWorldwide Developers Conferenceにて、いろいろな情報を提供してくれた。ただiWatchに関しての情報は出てこなかったようだ。しかし日本の新聞社である日経からの情報によれば、iWatchは10月リリースにむけて着々と準備を行っている最中なのだそうだ。曲面OLEDディスプレイを搭載して、OSにはiOS 8を採用していると、日経はレポートしている。

これまでにもiWatchに関する情報は流れてきていた。iWatchは着信履歴やメッセージの通知を行うのみならず、睡眠時の心拍数や、また消費カロリー、あるいは血中糖度および血中酸素濃度などを利用者に通知するようになっているとのことだった。さらに、NikeがFuelBand部門のレイオフを行っているとの情報が流れて以来、これはAppleとNikeが協業していることによるものだという噂があった。日経の報道はこの点についても肯定的な情報を流している。

これまでに流れた噂を肯定するだけの記事のようでもあるが、リリース日を予測している点で新たな情報であるということができよう。曰く、新型iPhoneと同時に、10月にリリースされるというのだ。いつか登場するはずだという話は何度も出てきていたが、これまでで最も限定的な期日を予測した記事であるといえるだろう。ちなみに日経は以前にも公式アナウンス以前にリリースデートを正確に言い当てたことがある。

WWDCではHealthおよびHealthKitがアナウンスされた。健康およびフィットネス管理を行うためのプラットフォームとなるものだ。HealthKitを通じて、Healthで収集した各種データを活用するプログラムを作成できるようになっている。健康/フィットネス関連の情報を統一的に扱う仕組みが用意されたのだ。またAppleの提供したアプリケーションだけでも、各種健康関連の情報を入手することができ、また必要なときに医療関係者などに示すための情報を集約することができるようになっている。

そうした情報を一括で管理して活用するために、Apple発のウェアラブルが出てくるという「噂」が、そろそろ現実化しそうだという話なわけだ。

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(翻訳:Maeda, H


コンドームをディスラプトするGalactic CapはBill Gatesからの援助資金をねらう

ぼくは本誌TechCrunchの正社員ライターの中で、性担当のヘンタイ男とみなされているので、Galactic Capの記事はぼくが書くべきなのだろう。それは、あなたの“かわいいピンクの身代わり”さんが、あのなつかしき“謎と不思議の館(やかた)”を訪れるとき、安心のために身に付ける、小型のコンドームだ。このプロジェクトは今日(米国時間6/1)、Indiegogoで資金募集を開始した

使い方は、一(ひと)手間ではなく二(ふた)手間を要する。まず、特性の接着剤をイタチくんの先端に塗る。それは、数時間前でも数日前でもよろしい。そしていよいよ、イタチくんがクリスマス島環礁に上陸するときが来たら、小さなチップを取り出して保護膜を剥離し、海賊旗の先端に貼り付ける。そのキャップが外れることはないので、若者と乙女は肌と肌の接触を楽しみ、しかも妊娠のおそれがない。

でも、ふつうのコンドームの、どこがだめなのか? それに、STDs(性感染症)の心配は?

発明者のCharles Powelはこう語る: “通常のコンドームは不快であり、装着が面倒であり、性の楽しさを奪う。失敗率が15〜18%と高く、利用率が低い。全世界の男性の5%しかコンドームを使っていない。先進国では17〜20%だ”。

“健康な肌には感染を防ぐ力がある。でも、男性側に腫れや擦過傷がある場合は、必ず従来のコンドームを使うべきだ。Galactic Capならセックスの満足感が十分にあるので、コンドームの(==Galactic Capの)利用が増えると思う。したがってHIVやSTDの罹患率も減少するだろう”。

Indiegogoでの資金集めは、臨床試験のためだ。出資者にはプロトタイプが100ドルで提供されるが、今のコンドームに比べるとかなり高い。でもPowelは、一度体験したらもう二度と古典的なコンドームは使う気がしなくなり、多くの人がGalactic Trainに乗り換えるはずだ、と信じている。

Bill GatesのGates Foundationが、‘未来のコンドームデザイン’に提供している助成金は、これまですべて、ソーセージの皮タイプの(==従来型の)改良コンドームへ行っている。Powellは、Galactic Capこそ、その助成金にふさわしい、と考えている。

“男性の80%以上が何も使っていないんだから、これは肥沃な未開拓市場だ。彼らの言う完璧なコンドームも、誰も使わなければ無意味だ。Galactic Capで初めて、市場に本当の選択肢が登場したのだ”、とPowellはGatesから資金を助成された先輩たちを批判する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スマホで体脂肪率を計れる–でもどうやって?

デバイスのメーカーたちは今、健康チェックの市場をさらに前進させる方法を躍起になって模索している。そして今日Jawboneが出願した特許は、市場の次の一歩に貢献するかもしれない。同社がUSPTO(合衆国特許局)に提出した特許出願書類は、体脂肪率をスマートフォンやタブレットなど既存のデバイスや、同社のリストバンドUP24などで計測する方法を記述している。その場合センサは、デバイスが標準で搭載しているものだけを使用する。

このパテントによると、計測システムはデバイスのディスプレイや加速度計、ジャイロスコープ、マイクロフォン、GPSなどなどをフル動員して、ユーザにまず、体脂肪率を測定するためにはデバイスを体のどこにどう置くのがベストかを指導する。それからシステムはデバイス内蔵の振動モーターを使って衝撃を発生させ、戻ってくる振動を測定する。戻ってくる振動の周波数は、衝撃が体脂肪を揺すった結果なので、その周波数からユーザの体脂肪率を推計できる。

そのためにデバイス上で動くアプリは、総合的な健康チェックアプリの一部、または体脂肪率測定専門のアプリとして提供される。これは、スマートフォンなどのデバイスを利用する新しい測定方法だ。これまでにあった体脂肪率測定方法は、Withingsのデジタル体重計Smart Body Analyzerのように、専用の機器を使う必要があった。

パテントのクレジットを与えられているAza Raskinは、Jawboneが2013年に、デザイン方面の人材獲得のために買収したMassive Healthのファウンダだ。

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医師にメッセージを送って相談することのできるFist Opinion、140万ドルを追加調達

First Opinionが140万ドルの資金を調達したようだ。出資したのはTrue VenturesおよびFelicis Venturesなどだ。今回の分を含め、調達額は合計で260万ドルとなった。これまでにはGreylock、Yuri Milner、および500 Startupsなども出資を行っている。

サービスはiOSアプリケーションで提供される。医者にメッセージング経由で医者に質問を投げることができるというものだ。今回の資金調達と同時に、アプリケーションも新バージョンとなった。このFirst Opinionでは、月に一度は無料で相談を投げることができる。追加で質問があるときは、同じ医師を相手に3つまでの質問権がパッケージされて12ドルよりとなっている。今回のアップデートにより、24時間制の対応が可能となっており、質問への回答はたいてい9分以内に為されているとのことだ。

昨今のヘルスケア関連サービス(RiseThriveOn、およびTalkspaceなど)と同様に、First Opinionも予防ケア系を意識したサービスだ。

ファウンダー兼CEOのMcKay Thomas曰く、もともとは妊婦を対象としたサービスをイメージしたものだそうだ。とくに陣痛が起こり始めて、医者にいくべきなのかどうかを判断したいお母さん向けを考えていたのだそうだ。そうして考えるうち、不眠症や頭痛、不安神経症などの場合にも使えるだろうと考え始めたのだそうだ。

プライバシー面に配慮して、First Opinionの利用登録についてはファーストネームとメールアドレスのみを入力するようになっている。試してみたところでは、医者にメッセージを送ることができるようになるまでに必要な時間は5分程度だった。ちなみに利用したのは深夜の時間帯だったことも申し添えておく。

テスト利用時にマッチングされた相手方のドクターはAnkitaという方だった。これまでにFirst Opinionを使って、1500以上もの質問に答えてきたのだそうだ。これを機会に、疲労感に悩まされる最近、血液中の鉄濃度検査などを行った方が良いのかどうかについて尋ねてみたりもした。30分ほどの間、メッセージ交換を行い、いろいろと疲労感を感じる原因などについて教えてもらうことができた。

結局のところ、血液検査をして見るほうが良かろうというアドバイスをもらった。実のところ、長らく検査すべきなのだろうと思いながら放置していたのだった。しかしメッセージングセッションにて、医師に確認すべき要点まで指摘されたので、病院に行ってみるしかあるまい。

調達資金は、共同ファウンダー兼CTOであるJay Marcyesの医師-患者マッチングプログラムの高性能化を行うのに利用したい意向であるらしい。彼は以前PlancastPathでも働いていた経験をもつ。迅速に、かつ有効なマッチングを行うようなアップデートを行いたいとのこと。今のところ、利用者が医師を希望してからマッチングの完了までに15分以上かかるケースもあるようだ。これを30秒にまで短縮したいという考えを持っているのだそうだ。

こうした機能改善を睨んで、First Opinionは医師であり、かつCOOでもある、フィラデルフィアで活動していて、Wharton SchoolのMBAをもつVik Bakhrと協同して、いつでも迅速かつ有効な回答を引き出すことのできるマッチングプログラムを開発しているとのことだ。

Thomas曰く「かかりつけの医者を訪問するうち85%は無用の行為なのだそうです」とのこと。たいていは「もっと体調が悪くなったらいらっしゃい」という言葉を聞くために、30ドル以上を支払っているのだとのことだ。

First Opinionを使ってメッセージのやり取りをすれば、医者に行く必要があるのかどうかを判断するのに役立つことだろう。時間に追われることの多い現代人に、それでもともかくやりくりして医者にいくべきなのかどうかという判断材料を与えてくれる。

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(翻訳:Maeda, H


オンライン・セラピーを提供するTalkspace、Spark Capitalおよびソフトバンクより250万ドルを調達

「トークセラピー」を提供するスタートアップであるTalkspaceが、セラピーのあり方を変えようとしている。通常のトークセラピーといえば、1週間毎に医院にて行われるものだが、これをセラピストと患者の双方にとって、より便利なものにしようとしている。サービスの拡充にむけてはSpark Capitalおよびソフトバンクから250万ドルの資金を調達した。

毎年、4500万人以上の人がメンタル面での問題を抱えていると診断されるが、Talkspaceはそうした人々を対象としたサービスだ。疾患を抱えていると診断された人のうち、治療を受けているのは40%にも満たないのだそうだ。なるほどこれは大問題であり、この問題を解決するための方法を提供しようと考えたわけだ。

登録を行った利用者は、資格を持つセラピストにいくつでもメッセージを送ることができるようになっている。こうした仕組みにより、必要な時に、必要なだけの治療的支援活動を提供したいと考えているわけだ。

もう少し詳しく仕組みをみておこう。Talkspaceの利用者は、1週間毎にセラピストのものとを訪問するのではなく、ウェブやiOSアプリケーションを使って(匿名で)相談することができるのだ。費用は1週間の利用で49ドル、月単位で申し込むのなら1週間換算で25ドル、年単位であればやはり1週間換算が12ドルとなる。

CEOのOren Frank曰く、カウンセリングを必要とする人が、必要なときに必要なだけ受診できるようにすることを目標としたものだ。従来のセラピー受診料と比べれば、80%も安い価格で利用できるのだとのこと。

iPhoneおよびiPad版のモバイルアプリケーションを提供しているのも、より広い層に使ってもらおうと考えてのことだ。これを利用することで、外出先から相談を投稿することもできる。ちなみにTalkspaceでは、メッセージ経由のものだけでなく、ビデオを利用したセラピーも提供している。

資金調達は、セラピストの確保および利用者層の拡大を考えてのことだ。250万ドルを調達した今回のラウンドをリードしたのはSpark Capitalとソフトバンクだ。今回の資金調達と同時に、AOLのビデオ部門のプレジデントであるRan Harnevoが、Talkspaceの取締役に就任した。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon U.S.、サイト内にウェアラブル用の専用ストアを開設

うっかり見逃してしまっている人も多いかもしれないが、Amazonがサイト内にウェアラブル・ストアを開設している。従来からあるカテゴリーに、新しく「ウェアラブル」カテゴリーを追加したのだ。扱われているのはMisfit Shine、Jawbone UP24、そしてNarrative Clipなどさまざまなウェアラブルデバイスだ。

さらにウェアラブルの中もFitness & Wellness、Healthcare、Cameras、Smart Watches、Family, Kids & Petsなどのカテゴリーが作られている。いろいろと見て回ると、TechCrunchで紹介したデバイスも多いようだ。たとえば姿勢モニターのLumoback、Fitbitシリーズ、スマートウォッチのPebble、あるいはGoProなどのアクションカメラ系については多くの方々がよくご存知だろう。「Editor’s Corner」も用意されていて、こちらはSarah Zangが担当し、Gizmodeのスポンサードコンテンツが紹介されたりもするようだ。

「購入ガイド」(Buying Guides)のページもあり、ライフスタイルやニーズによって、適切なデバイスを選ぶためのヒントが掲載されている。またビデオデモンストレーションや、製品紹介ビデオなども掲載されている。ウェアラブルがどのようなシーンで活用できるのかという記事もある。ウェアラブルプロダクトの認知度は高まりつつあるものの、まだ実際に所有している人は少ないという調査結果もある。そのような中、利用者となる可能性のある層に対して丁寧な説明を心がけるのは理に適ったことであるだろう。

個人的にはウェアラブルにも多いに興味がある。しかし今の段階から専用のトップカテゴリーを用意しておくほどのものだろうか。もちろんAmazonはそう考えたわけだ。これからはさらに商品カテゴリーが増えてくることも期待でき、今後に向けて楽しみなページではある。

訳注:訳出時現在、ページ内のリンクが正常に動作していないようです。但しこれも一時的であり、間もなく正常に機能し始めるものと思われますので訳出しておきます。

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Maeda, H


脳の機能を改良するウェアラブルHaloが$1.5Mを調達, 神経科学の新分野だが学会もすでにある

専門医でもないしろうとが、脳に直接電流を通すのは、こわいと思う人が多いだろう。しかしHalo Neuroscienceは、まさにそのために100万ドルあまりの資金を獲得した。“脳の機能を増強する”ウェアラブルをこれから作ろうとしている同社は、Andreessen HorowitzのMarc AndreessenとSoftTech VCのJeff Clavierが率いるラウンドにより、150万ドルを調達したのだ。

まずご理解いただきたいのは、これがOne Flew Over The Cuckoo’s Nestのシミュレータではないことだ。CEOのDan Chaoは、次のように書いている:

Haloの技術は一連の非侵襲的で低エネルギーの、電池駆動の刺激による神経系への物理療法により、認識能力を向上させる。Haloはneuromodulation学会応用例)と呼ばれる分野の医療技術であり、最近では電磁波や赤外線、超音波、物理的な刺激などを利用する研究が行われている。

そのお金は、何に使うのか? 同社はIPの問題や、FDAに対する安全性上の課題をクリアして、利用者がヒマラヤの雪男に追われる幻覚を見たりしないようにする必要があるのだ。

スタンフォードで神経科学を専攻したDan Chaoと、エンジニアのBrett Winger、消費者向けモバイルハードウェアのベテランSarvaの三名が作った同社は、しっかりした知的基盤があるように思える。

Sarvaはこう言う:

“Haloは、病気の人や健康な人の脳を刺激して、脳の働きを良くする技術だ。学習の加速や体の動きのコントロールなど、とても多様な効果がある。それらの中でうちが何に特化するかはまだ明確でないが、このneuromodulationという分野は将来性がとても大きい。脳の状態をセンスしたり“読み取る”だけでなく、電磁波などを使って脳への“書き込み”を行うのだ”。

まだ一般的には突拍子もない話であることは、Sarvaも認める:

“DanとAmolは長年、神経科学畑にいるから、この傍流的な技術のことは2002年ごろから知っている。でも当時は、誰も信じなかった! ぼくらもね。自分たちで試してみて、やっと信じられるようになったんだ”。

このデバイスを使うとMagnetoのような超能力を使えるようになる、と同社は言っていない。でも、同じハードウェアスタートアップでも、ドアをリモートで開ける、なんてのよりは、ずっとおもしろいし重要だ。最終製品の効能には、サイコキネシス(物体の念力移動)ぐらいは載るかもしれないね。

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LeapFrog、フィットネス+ゲーミフィケーションで子供向けウェアラブル市場に参入

子供向けに、タブレット等のデジタルデバイスを提供しているLeapFrogが、ウェアラブルにも乗り出してきた。注力するのがフィットネス分野でのウェアラブルだ。これを子供に与えることで、子供たちの運動を管理/奨励することができる。

プロダクトの名前はLeapBandという。派手な色に塗られた腕時計風のデバイスで、表示面にはアニメキャラクターが表示される。このキャラクターが、デバイスを身につけている子供に身体をひねったり、あるいはジャンプしたりする運動を促すのだ。

指示された運動を行うことで、ポイントを取得することができる。取得したポイントは、たまごっち風のバーチャルペットの面倒を見るのに使うことができる。ゲーミフィケーションの一例といえるが、そもそも子供がフィットネスを行うこと自体が「ゲーム」の範疇にある。すなわちゲーム要素を盛り込むことによってモチベーションを高められるかといえばそうでもないように思える。果たして自分の腕時計と遊び続けることを楽しいと考えるか、あるいは他に楽しいものを見つけてすぐに飽きてしまうのかは、子供たちの動向をみて結論付けることとしたい。

ちなみにこの分野は参入者の多いところでもある。子供向けウェアラブルというのは「アツイ」領域であるのだ。たとえば先日も記事に掲載したTinitellというものもある。これは子供向けの電話兼GPSデバイスだ。またGuardianというものもある。子供たちがどこに言ったのかを追跡するためのBluetoothデバイスだ。またMoffを身に付ければ、自らのいろいろな動作にサウンドエフェクトをつけて楽しむこともできるようになる。

LeapBandが狙うのは「楽しいフィットネス」の分野だ。なかなか面白そうではあるのだが、他の腕時計型デバイスがはやってしまえば、もはや身につけるべき腕がないという状況にもなり得る。

Wall Street Journalの記事によればLeapBandの価格は40ドルで、対象年齢が4歳から7歳程度なのだという。子供がどのような範囲を移動しているのかについてはウェブや専用アプリケーションからチェックすることもできる。

リモートから子供の様子を伺うという分野について、これからもさまざまなウェアラブル+アプリケーションが登場してくることになるのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


人間の腸内細菌の個体数は100兆, そのDNA配列を調べて個人的な食生活アドバイスをくれるWellBiome

人間の腸の中で100兆のバクテリアが生きているらしい。そして指紋と同じように、人の“マイクロバイオーム(microbiome, 体内微生物相)”は一人一人異なる。またそれは、体重やエネルギーレベルや全体的な健康に影響を与えているので、健康的なライフスタイルの鍵を握っているかもしれない、と言われている。

エストニアの保健医療スタートアップWellBiomeは、このような理論に立脚して、遺伝子診断の23andmeと、一般的な定量的健康サービスの中間を行こうとしている。そのサービスは腸のバクテリアのDNA配列を調べ、個人々々に合った食生活アドバイスを行う。

つまりWellBiomeが取り組もうとしているのは、人の体質等は個人によってまちまちなのに、栄養相談などでは万人向けと称する一般的なアドバイスしか与えられない、という問題の解決だ。

WellBiomeの協同ファウンダHenri Raskaは、次のように説明する: “人間は一人一人完全にユニークなのに、これまでの栄養相談は非常に一般的だったり、“平均的な人間”という存在しない人間を対象にしている。だから、自分に合った食生活を見つける方法は、試行錯誤しかない。それに対しうちの価値提案は、きわめて個人化された科学的なアプローチだ”。

その“科学的なアプローチ”とは、129ユーロでWellBiomeの検査キットを購入し、自分の便のサンプルを採取して同社に送り、分析してもらうことだ。

すると、同社に腸のバクテリアのDNA配列を調べてもらえる。そしてそれにより、あなたのマイクロバイオームの組成が分かる。通常この種の検査の料金は、目の玉が飛び出るほど高い。

それからWellBiomeは、これまでの世界中の大量の研究データや臨床データなどを基に組み立てた独自のアルゴリズムにより、個人化されたレポートと食事アドバイスを作り出す。

その一例としてWellBiomeはあなたに、もっと豆類と全粒穀類を多く食べて腸内のビフィズス菌を増やし、消化をより効率的にしなさい、とアドバイスするかもしれない。

一般化して言うと、重要なのは腸内の有益菌が増えるような食生活をすることによって、食品からより多くのエネルギーが得られるようにし、また有害菌の増殖を抑止することだ。

“われわれが解決しようとしている問題は、健康と体重とエネルギーレベルと長寿にかかわる問題だ”、とRaskaは言う。

彼ともう一人の協同ファウンダLiis Looritsはともに分子微生物学を専攻し、とくにバイオガスやミルク、パン、チーズなどの応用分野を研究してきた。その後、国内のスタートアップ育成事業Startup Garageに参加する機会があり、それを機にこれまでの2年間、自分たちが培ってきた方法を人間の腸内の研究に応用してきた。

“われわれのように、腸内のバクテリアのDNA配列を調べて、きわめて個人化された食生活指導を行うというサービスは、全世界的にもこれまでなかったと思う”、とRaskaは述べる。

たしかに彼の言うとおり、同社の競合他社を見つけようとすると難しいが、uBiomeはクラウドソーシングとクラウドファンディングを併用してマイクロバイオーム関連のデータを集め、またユーザに腸内細菌のDNAを調べるためのキットを提供している。

この記事のヒント*をくれた本誌TechCrunchの同僚ライターNatasha Lomasにありがとう。〔*: 日本語訳の不可能なダジャレ。関心のある方は、原文第二パラグラフの’stools’にご注目を。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Sprig、ランチ配送サービスを本格稼働。SpoonRocketと真っ向勝負へ

グルメな腹ペコさんはもっとたくさんいるはずだと考えたSprigが、ディナー配送に加えてランチ配送も開始した。以前の記事でもお伝えした通りだ。月曜日から金曜日まで、サンフランシスコ東部エリア限定でランチサービスのソフトローンチとなった。これにより、Sprigは、こちらもランチおよびディナーの配送サービスを行っているSpoonRocketと真っ向からぶつかるサービスを提供することとなった。この分野は、これからもいろいろな動きがあるのではないかと注目しているところだ。

ランチ配送サービスでは、たいていのレストランよりも安価でヘルシーなランチメニューを、温かくておいしいままに配達してくれる。SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、メニューを絞って大量の数を作り、そして車に積み込んでサービスエリアをあちこち巡回しているのだ。こうして、いつでも配送先の近くにいるという状況を作り出している。SprigないしSpoonRocketのサイトやアプリケーションからオーダーすると、直ちに品物を届けてくれる。

Sprigの共同ファウンダー兼CEOのGagan Biyani曰く「良い物を直ちに」というのが基本方針であるとのこと。SprigとSpoonRocketは競合関係にあるわけだが、家庭における食習慣に変革をもたらすことができるかという意味では協力しあっていく関係にあるともいえる。自炊、テイクアウト、そして通常のデリバリーに、少品種ながらも即時配達してくれるサービスを根付かせることができるかがキーとなる。Biyani曰く、消費者はこれまでの選択肢に決して満足しているわけではなかったのだとのこと。それでサービスを立ち上げたわけだ。その目論見はいまのところあたっており、Yelpでは5つ星のレーティングを受けている。

SpoonRocketとの比較でみた場合、Sprigは配送時間がやや長めで、料金も高い。ただ、その分だけハイクオリティなものを提供している。ランチの提供は月曜日から金曜日の午前11時から午後2時までで、フィナンシャル地区、SoMA、ミッションベイ、そしてドッグパッチを対象としている。郵便番号でいうと94103、94104、94105、94107、94108、94111、および94158のエリアとなる。ディナー配送エリアよりも狭い範囲でのサービス提供開始となっている。

Sprigが提供しているメニューはサンドイッチ、トルティーヤラップ、そしてサラダなどの日替わりメニューで、少なくともそのうちひとつはベジタリアンメニューで、またグルテンフリーのものも用意される。料金は9ドルほどで、ここに2ドルの配送料が加わる。今日のメニューをみてみると、ステーキとマンチェゴチーズのサンドイッチ、チキンのバルサミコソースサンドイッチ、オレンジとファッロを使ったビーツサラダとなっている。TechCrunchのライターであるRyan Lawlerはメニューを早速試してみていた。サンドイッチもサラダもおいしく、量もたっぷりだとの感想だった。

SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、この1ヵ月以内に1000万ドル程度の資金調達ラウンドを実施している。サプライチェーンを整理して、市場拡大を行って「食事版Uber」(Uber For Meals)を目指していくことになる。Biyaniによると開発、デザイン、マーケティング関連などの採用活動も積極的に行っているとのこと。そんな中、もっとも難しいのがやはり物流面なのだそうだ。「素材を選び、調理を行い、そして迅速かつ効率的な配送が必要となりますが、そのそれぞれにも、そして全体の流れにも困難さがつきまといます」と言っている。

「いつでも健康的でおいしい食事を提供しようというのがサービスの目的です」とBiyaniは述べる。「いつでも」ということは、もしかして朝食配送なども行おうと考えているのだろうか。「朝食デリバリーの良い方法が見つかれば、そちらにも手を伸ばすかもしれませんね」と、笑いながら応えていた。

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(翻訳:Maeda, H


Nike曰く、FuelBand事業の閉鎖は噂に過ぎず、新しいカラーモデルの登場も間近

Nikeがレイオフを行ったことから、FuelBand部門の閉鎖をきめたという噂が流れた。積極的な動きを見せる企業がフィットネス用ウェアラブルデバイス市場から退場することになるのかと、驚きをもって迎えられることとなった。しかしre/codeの記事によると、これは事実ではないとのことだ。

レイオフを行ったこと自体は、Nikeもこれを認めている。しかしNike+ FuelBand SEでは新しいカラーバリエーションを準備中だそうで、今のところは販売およびサポートを停止する予定はないとのことだ。

確かにNikeは、Nike+ FuelBand SEのシルバーおよびローズゴールド以外にも数量限定版のカラーモデルを出すという話をしていた。但し、撤退の噂が流れた現在でも、FuelBandの次期モデルの話は出てきていない。デバイスをリリースするのは今回のモデルまでだということもありないわけではない。

将来的に、Nikeはソフトウェアの方に軸足を移すのではないかという話もあちこちで噂されている。Apple等、他社のハードウェアに搭載する形で連携していくのではないかという話だ。AppleはiWatchに健康管理機能を付ける予定なのだと言われている。そしてAppleのCEOであるTim Cookは、Nikeの取締役でもあるのだ。

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(翻訳:Maeda, H


究極のウェアラブルはスマートフォンそのもの, と見切ったLarkがハードウェアからアプリに転向

Samsungの最新機種Galaxy S5の無料アプリの中には、このところ鳴りをひそめていた健康スタートアップLarkの新作アプリがある。

というか協同ファウンダでCEOのJulia Huによると、Larkはこのアプリの開発に没頭していたため、かなりの“ステルスモード”だったのだ。しかし、“個人化された健康指導”を提供するという同社のビジョンは前と変わっていない。その対象は、健康や体調のことは気になるけど、具体的な健康対策、たとえば一日に何歩以上歩く、といったことにあまり関心がなかった人たちだ。

しかし、そのビジョンの追求の仕方が、前とは違う。まず、Larkの助言(たとえば、長時間じっと座っていたからすこし歩きなさい、といった助言)が、これからはメッセージではなく対話形式で提供される。つまりアプリがユーザに活動について質問し、そして提案を述べる。こういう対話形式の方が、実際のコーチやアシスタントに近い、とHuは言う。

もうひとつの大きな違いは、前のようなアプリを載せた腕輪ではなく、スマートフォン上のアプリになったことだ。同社はSamsungと協力してS5の消費電力の少ないセンサを利用することにしたようだ。スマホのセンサでユーザの活動が分かるなら、専用のハードウェアは要らない。

というわけでLarkは、既存の顧客のサポートは続けるけど、ハードウェアの製造はやめるのだ。専用ハードウェアが要ることに比べると、アプリだけの方がずっとアクセス性が良い。ときどき充電してやるハードウェアの数が、自分の身の回りから減るのもありがたいだろう(私自身も腕輪のLarklifeを数か月使ったけど、結局そのあとは使わなくなった)。この変更を今やるのはなぜか? Huは曰く、スマートフォンが相当進歩したので、センサを利用するアプリを長時間使っても電池が十分保(も)つようになった。“電力消費の少ないセンサを搭載したスマートフォンは、究極のウェアラブルだ、と悟(さと)ったのよ”、とHuは言っている。

Larkの最初のローンチは、2010年のTechCrunch Disruptにおける無音目覚ましだった。その後のプレゼンテーションでは、ステージ上で突然の結婚プロポーズが行われ、審査員の一人だったSean Parkerが、その男に“お前本気か?”と問いかけた。同社はその後製品を多様化し、睡眠指導や、幅広い健康チェックとアドバイスを行うデバイスなどを売ってきた。

昨年のSECの資料などを見ると、Larkはまた新たに今度は310万ドルを調達したようだ。Huも今週、その資金調達の件を確認し、既存の投資家たちが同社の方向転換を支えてくれた、と言った。既存の投資家の中には、本誌TechCrunchの創業者Michael Arringtonが作ったVC CrunchFundもいる。

この健康指導サービスの料金は月額2ドル99セントだが、Galaxy S5のユーザは一年間無料だ。Huは、ほかのスマートフォンでもこのアプリをローンチしたいと言っているが、具体的な計画はまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


喘息対策に利用するピークフローメーターのテック化を目指すMy Spiroo

喘息を患っている人には、日常的にピークフローメーターという器具を使う人が多い。息を吸い込んでから吐き出すまでの息の速さ(ピークフロー値)を測るためのものだ。発作の予兆をチェックしたり、アレルギー物質などの外部要因が、自身の喘息症状にどのように関係しているのかを確認する用途などにも利用できる。このピークフローメーターは、ほとんどのものが機械式で動作するものとなっている。そこにテックの要素を持ち込もうとして生まれたのがMy Spirooだ。スマートフォンに繋いで使うようになっていて、データを有効に活用でき、そして持ち運びも多少楽になる。

このプロダクトを世に送り出したのはDr. Lukasz KoltowskiPeter Bajtalaだ。大きさはこれまでのピークフローメーターとあまりかわらないが、スマートフォンに繋ぐためのヘッドフォンジャックがついている。

「一度の測定にも時間がかかり、また数回ずつ繰り返して測定しなければならない手間を軽減しようと考えてMy Spirooを考案しました」とBajtalaは言う。「測定結果はスマートフォンに保存され、必要な相手と共有することができます」。従来は測定して結果を紙に書いて医師に見せるという手順を踏んでいた。My Spirooを使えば測定をしながら記録と情報共有が同時に行えるようになるわけだ。

必要最小限のデータをとることを目的とした患者用版に加えて、医師用の「プロ版」もつくっていく予定なのだとのこと。現在ポーランドの製薬会社やベンチャーキャピタリストなどと、今後の動きを話し合っているところなのだそうだ。ここまでは自己資金でやってきている。

スマートフォン経由でネットワークにつながっていることを活かして、ピークフロー値などだけでなく、位置情報や地域毎の統計情報なども蓄えていく仕組みを実装しようとも計画しているのだそうだ。花粉や空気汚染などの状況と発症具合を結びつけることで、患者たちの健康管理(吸入器の準備など)にも多いに役立てることができるだろう。「データはすべて個人情報と切り離した形で収集します。統計的データのみをシェアすることにより、いろいろな面で役立つ喘息マップのようなものを提供できるようになると思うのです」とBajtalaは言っている。

My Spirooは、先週行われたポーランドのスタートアップフェスティバルで2位を獲得したそうだ。デバイスは年内にも提供できるようにしていきたいとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


キッチンスケールは栄養価をも計測する時代に ― Prep Padに続いてSITU登場

皆、自分が何を食べているのかということくらいは知っている。しかしその食べ物にどれほどのカロリーが含まれているのかということについては、よくわからないという人も多いだろう。そんな人に役立つのが、SITUというキッチンスケールだ。但し、はかるのは重さだけではない。計量しているものの栄養価もはかってくれるのだ。Bluetooth経由でiPadと繋がり、SITUに載せたものの栄養価を次々と計測してくれる。充実した食品栄養価データベースを背景に、よく食べるものを登録しておくことで、簡単に処理していくことが出来るようになっている。

もちろん、載せれば魔法のように栄養価が示されるというわけではない。SITU製作者のMichael Grothaus(情報開示:AOL傘下のTUAWでの執筆活動も行っている)が、デモビデオの中で仕組みについて解説を行っている。スケールに載せる食品の種類は自分で指定する必要があるのだ。SITUが自分で計量中の食材が何であるかを認識するわけではないのだ。ただ、ふだん食べるものの登録がだいたい完了すれば、次からは簡単に該当する食品を呼び出して計測することができる。Grothausによれば、SITUを使い出してから、60ポンド(25kgほど)ほど体重を減らすことができたのだそうだ。食品の栄養価を測定して気にし続けることで、自分の身体に実際の成果をもたらすことができるわけだ。

SITUには競合プロダクトもある。Orange Chef(元々はChef Sleeveという名前だった)も昨年5月にBluetooth接続型のスマートスケールのプロジェクトをKickstarterで展開した。こちらの方はデバイス名をPrep Padといい、現在は一般流通チャネルで販売中。Williams-Sonomaなどからも入手することができる。SITU同様にアプリケーションと連携して利用するもので、食品を計量すると栄養価が表示される。こちらの方も利用状況を記録しておき、使うほどに簡単に使っていくことができる。

SITUの入手可能価格は70ポンドに設定されていて、ドルになおせば120ドルほどだ。参考までにPrep Padの方は150ドルで販売されている。SITUは計測に利用する表面を凹型にくぼませ、食品を載せやすくなっている。また内蔵ディスプレイもあり、簡易表示のみでOKの場合にはアプリケーションと連動させずに使うこともできる。尚、Prep Padの方はリサイクル素材をつかったアメリカ製のプロダクトとなっている。こうしたプロダクトは今後さらに増えてくるのだろう。SITUとPrep Padにもさほど大きな違いはない。どちらが使いやすそうか、まずはウェブなどでじっくり比べて見るのが良いだろう。Kickstarterでのキャンペーンがうまくいった場合、SITUの出荷開始は今年の11月頃になる見込みだ。最初のロットの出荷開始にともなって、ベータ版のアプリケーションがリリースされることとなっている。

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(翻訳:Maeda, H


車を捨ててハーフバイク(Halfbike)で健康的な通勤はいかが?

半分で足りるとき、全部を求める人はいるかな? Kickstarterに登場した、このとびきり奇妙なHalfbike〔直訳: 半分自転車〕は、軽量でスピーディー、自転車に乗ることと、ランニングをすることの合体を、ユーザに約束する。設計家のMartin AngelovとMihail Klenovが考えたこの自転車は、目標額8万ドルに対し、残り10日で5万ドル集まっている。

Klenov曰く、“Halfbikeは新しい自転車文化で、これまでの自転車に代わるものではない。都市内の移動に楽しさを取り戻し、通勤を退屈から快楽に変える”。

木製のステッキを握って坂を転がり落ちることは、ぼくの快楽の概念に当てはまらないと思うが、Klenovは自信満々だ。二人は、自転車の設計にもっと別のアプローチはないか、と考えているときに、これを思いついた。部品を減らす、そして効率を上げる、この二つの課題をともに満たすスタイルとして、三輪車に箒の柄をつけたような現在の形に落ち着いた。しかもこれは、健康に良さそうだ。

“立って乗ることは、人間にとって自然な姿勢なんだ。背筋がまっすぐになるし、胸郭を広げるから呼吸も良くなる。これに乗ると、体に負担を与えないランニング(low impact running style)と同じ形になる。つまり、膝と背中に無理な負荷がかからない、なめらかでシームレスな動きになる”、とKlenovは言う。

自転車やスクーターのクラウドファンディングは、よくある。昨年はLit MotorsのKuboがローンチしたし、CESにはスクーターの巧妙なハック、Urb-Eが登場した。でも今回のHalfbikeは、数少ない本物のイノベーションの一つだと、ぼくは感じる。でも、しかし、今あるリカンベント(recumbent)型の自転車に乗っているあなたと、これに乗っているあなたの、どっちがはたから見てよりお間抜けに見えるか、それについては何とも言えない。

二人によると、この自転車は5キロぐらいまでの軽いサイクリングに適している。今後も、アリゾナ州ツーソンのワークショップで手作りしていきたいそうだ。かなり職人芸的で、アートのようでもあり、しかもやさしさを感じる。どれも、ぼくたちが好きな性質だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


苦痛の表情がホンモノかニセモノか, コンピュータの方が正確に見分ける

このおもしろいプロジェクトで、カリフォルニア大学サンディエゴ校とトロント大学の研究者たちが、人間の顔に表れている痛みが本物か嘘かを、人間よりもコンピュータの方が正しく見分けることを見つけた。人間による判定の55%が正しかったのに対し、ロボットの正解率は85%だった。

トロント大学児童研究所のKang Lee教授は、次のように語る: “人間は社会性の強い種なので、顔も豊富な情報を伝えるように進化してきた。その情報には、感情や痛覚なども含まれる。しかし人間の脳の独特な能力により、人間は実際に経験していない感情を巧みにシミュレートして人を騙すことができる。コンピュータは人間よりもはるかに正確に、自然に生じた表情と作為的な表情の微妙な違いを見分けることができる”。

コンピュータは、人間の目が見逃すものを見逃さない。それは、嘘のしかめっ面と、本物の、足の指が縮み上がるほどの痛さとの、表情の微妙なニュアンスの違いだ。たとえばわれわれが痛みをシミュレートするときは、顔全体の均整は崩れないので、コンピュータはそのことを見分ける。一方、本物の痛みを感じたときには顔の各部が劇的に変化して、本人はそれを制御できなくなる。

この技術は、患者などの気分や健康状態を判定する機械の開発に応用できる、と考えられている。長距離バスドライバーの、疲労度の判定にも利用できるかもしれない。そして異状を検出した機械は、おだやかな声で状態を報告し、薬の服用などをすすめるだろう。

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Google Glassは医師がカルテを見るのにとても便利, Augmedixがそんなシステムで$3.2Mを調達

Google Glassは今、世の中に受け入れられるか、られないかの瀬戸際にいるようであり、こんなもの何の役に立つのかという議論があちこちで絶えない。しかし、消費者製品として大ヒットするかどうか、という話とは別のところで、とてもすばらしい用途が開拓されつつあるようだ。その一つが医療で、スタートアップのAugmedixは、Glassがお医者さんの役に立つことを証明するために、このほど320万ドルの資金を調達した。

DCMとEmergence Capital Partnersからのこの投資によりAugmedixは、新たな人材を補強すると同時に、これまで小規模なパイロット事業でしかなかった同社のユーザベースを拡大したいと考えている。ファウンダのIan ShakilとPelu TranはStanford大学でBiodesignプログラムに参加した人物だが、Google Glassに特化したプロダクトでこれだけの初期資金を獲得した企業は、現段階ではきわめてまれだ。ウェアラブル技術は、一般消費者よりもむしろ、特定の垂直市場をねらうべきなのかもしれない。

Augmedixの創業は2012年で、医師がGoogle Glass上で患者のカルテを閲覧し、音声によるコマンドで必要な情報を取り出す、というシステムを作ってきた。カルテの電子化はかなり前から進んでいるが、コンピュータ上でそれを取り出して閲覧する手間は多忙な医師にとって相当な負担になる。Shakilはそれを、“猛獣の餌やり作業”と呼ぶ。それは医師の一日の労働時間の1/3を占めることもあり、Augmedixによれば、それは本当は患者を診るために使いたいと医師が願っている時間だ。

患者の保健医療記録がGoogle Glassで簡単に見られるようになると、プライバシーの不安が生ずることもあると思われるが、Aubmedixのこれまでのフィールドテスト(オプトイン方式)では、都市部でも農村部でも、患者の受容性はきわめて良い。どうやらGlassに違和感を抱(いだ)かれないためには、日頃から信頼し、自分の健康に関して頼りにしている医師のような、専門職の人だけが使う必要がありそうだ。

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消費者に直接(病院の下請け検査屋でなく)本人の遺伝子情報を提供する23andMe, ファウンダがSXSWで語る

消費者に対して直接、その人の遺伝特質を検査してくれることでよく知られている23andMeのファウンダAnne Wojcickiが、先週末テキサス州オースチンで行われたSXSWの対話集会に出席して、一般大衆に自分の保険医療データを提供することの持つポジティブな将来性と、危険性などネガティブな側面について語った。

“消費者の立場が今よりも強くなれば、自分の健康に今よりももっと責任を持てるようになるだろう”、とWojcickiは、集会のあとで行ったインタビュー(上のビデオ)で述べた。消費者の情報アクセスが拡大すれば、肥満になりやすい遺伝子構造だとか、そのほか、事前に防げる疾病について知ることができ、早めに予防的生活に取り組み、疾病の発生を減らすことができる。Wojcickiはこの点に関してきわめて楽観的だ。

しかし、国の規制当局は、23andMeの簡略な検査が消費者を無責任な行動に導くことをおそれ、同社が消費者に具体的な健康情報を提供することを禁じた。とくに問題とされたのは、“癌になりやすいことを示す遺伝子がある”、といった情報だ*。FDAのこの要請以来同社は、昨年11月以降、それまで提供してきた保険医療情報の多くを、提供しなくなった。〔*: とくに問題とされたのは、女性の“乳房切除強迫”。〕

“規制は必要だ、と私も思う。がまの膏(あぶら)企業は、摘発しなければならない”、と彼女も認める。ただし、責任あるやり方で遺伝情報を提供している企業からのデータには、消費者はアクセスできるべきだ、という点に関しては、彼女は一歩も譲らない。

そのほか、遺伝情報の未来、理性的でない消費者の危険性、保険医療ビジネスにおけるトレンド、といった話題について彼女は上のビデオで語っている。

〔訳注: これまで23andMeは、ファウンダがGoogleの協同ファウンダSergey Brinの奥さんであるという文脈でメディアに取り上げられることが、あまりにも多かった。これからは、このビデオで語られているような、より本質的な文脈で登場する機会が多くなるだろう。一読者として、それを期待したい。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))