“歩きデスク”の生産性向上効果を研究が実証

【抄訳】

人類はデスクワークにゆっくりと殺されつつある。でも、早く死んじまった方がましかもしれない。われわれオフィスに詰め込まれたイモたちは、関節痛慢性疲労や疾病に苦しめられながら一生を送る。デスクワーク病という現代病と戦うためにぼくは、トレッドミルデスクを使って、運動をしながら仕事をしている。でもトレッドミルデスク(左図)は高い。Amazonで買うと、1400ドルぐらいする。

しかし、最近の研究によると、たしかにトレッドミルデスクは職場の生産性向上に大きく貢献するので、会社が経費で購入して全社員に与えてもよいほどの、価値があるのだそうだ。

研究者たちはある金融企業で、コントロールの行き届いた実験を1年間行った。そして管理者の評価によると、社員の生産性は平均で10%向上し、一日のエネルギー消費量が70カロリー増加した。この結果を裏付ける過去の研究結果として、歩行を伴う作業環境で仕事をすると医師による病名病状の診断の精度が10%上がる(平均88%からほぼ完璧の99%に向上)というデータもある。

“前から仕事場でルームランナーを使うことの有効性は仮説として言われていたが、実際に体の動きの改善と仕事のパフォーマンスの両方に大きな効果があるようだ”、と研究者たちは結論している。“企業は坐業社員にトレッドミル作業台(デスクなど)を提供することを検討すべき、と思われる”。

【中略】

なお、ぼくの場合はトレッドミルデスクを一日に約5時間使用し、あとの時間はほかの人が使っている。企業が費用対効果を計算するとき、このような共用のケースでは一人当たりの機器単価が安くなることに、留意すべきだ。また、効果という点では、活気のある職場の方が、そうでない職場よりも効果が高いと思われる。

そして、健康や仕事の効率に影響するのは長時間の坐業であり、単純な運動不足ではないので、会社がジムの会費を補助するぐらいでは、オフィスワーカーの心臓病を防ぐことはできない。トレッドミルデスクの効果には、生産性向上プラス、医療費軽減もあることを、お忘れなく。

関連ビデオ。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Twitterのツイートを調べるとHIVの大量発生地域がわかる

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究者チームが、HIV発生の激甚地域を見つけるのにTwitterが役に立つ、という意外な事実を見つけた。彼ら曰く:

“この研究によって、ソーシャルメディアのリアルタイムデータを遠隔地域の保健衛生状況をモニタし検知するために利用できることが、始めて明らかになった。ソーシャルネットワークのリアルタイムデータを見ると、HIVのリスクに関連したコミュニケーションと、そのような会話の多い地域を同定できるのである。”。

研究チームは性や薬物に関連した約1万近いツイートの位置情報を地図上に落とし、それらの地域におけるその後のHIVの流行を、正しく予想できることを発見した:

“ソーシャルメディアのデータは今後も増加していくので、研究者や保健衛生行政の担当者たちはこの方法を応用することによって、地域の保健衛生状況や疫病の発生などをより正確に同定できるようになると思われる”。

この研究には、いくつかの重要な限界がある。まず、ツイートなどのデータはあくまでも“明示的な”情報であるため、まだ人に知られていないHIVなどの発生をとらえることはできない。第二に、ソーシャルメディアの普及率は全国均質ではないので、普及率の低いところが研究者にとって盲点になる。

実は、2008年にも、Googleの検索を利用してインフルエンザの大量発生地域を研究者たちが発見した例がある。また最近では、ソーシャルメディアを利用して暴動の発生を予測する、という研究もある。また大物VC Ron Conwayが主宰している非営利の銃規制運動団体は、警察がギャングの暴力の予兆をソーシャルメディア上に発見して銃撃を未然に防止する方法をテーマに、ハッカソンを行ったことがある。

ソーシャルメディア上の共有過剰には負の側面があると同時に、このような役に立つ側面もあるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


科学への貢献を求めるクラウドファンディング?! DNAの損傷具合を数値化して健康対策を行うExogen Bioが、Indiegogoにて血液データの提供を要請

自己データを数値化することによる健康管理(quantified health)の動きはますます発展していきそうな様子だ。さまざまなフィットネスバンドがライフスタイルに応じた形で利用され始めており、いろいろな場面で測定、記録、分析、健康状態分析などに利用されている。適用範囲はほぼ無限というほどに広く、大いに稼げる商品分野として成長を続けている。

そのような中、アメリカからExogen Bioという新しいスタートアップが登場してきた。自分でDNAの損傷具合をチェックして、データに基づく健康管理の一助としようとするものだ。

DNAの損傷というと、ずいぶん恐ろしく聞こえるが、しかし実のところすべての人の持つDNAは頻繁に損傷しているのだ。細胞レベルでの自然な劣化というものもある。もちろん損傷の度合いというのは人それぞれによって異なる。食習慣や運動レベル、環境有害物質と接する頻度などによっても違いが出てくる。

つまり、個人的なDNAの損傷具合をチェックしたい場合、同年齢で、生活環境も近い人と比較した方が、状況をわかりやすく把握できるようになる。こうした「近しい」人とのデータ比較を大規模に行うことで、他の人と違うライフスタイルがDNAの損傷に有意な影響を及ぼしているのかどうかを確認できるようになる(とくに何か身体に悪いことをしていなくても、年を取ることでDNAは損傷していく)。そうしたデータを把握することで、DNAに悪い行動を控えることができる可能性もある。

Exogen Bioの主な狙いは、DNAの損傷具合を数値化することで、損傷をもたらす原因を突き止めるサポートをしようというものだ。

Exogen Bioは調査方法を進化させ、一度に大量の試料からすばやくDNAの損傷具合を数値化するためのシステムを作り上げた。従来は研究機関にてひとつずつ検査を行っており、非常に時間も人手もかかり、また広い範囲での比較などが難しいものとなっていた。

さらに、Exogen Bioの技術では、採取する血液の量を従来より減らし、採血後、直ちに処理をしなくてもよくなった。これにより血液採取キットを各個人に送って、そして研究機関に送り返してもらってから分析を行うということが可能になっている。

「今回の実験は、科学実験のクラウドソース化ともいうべきものです」とExogen Bioの共同ファウンダーであるJon Tangは言っている。「科学調査の予算が減らされる傾向にある中、研究者自身も効率的な研究を行うための方法をいろいろと考え始めているのです」とのこと。

必要となる大量のデータをクラウドソーシングを活用して集める今回のような仕組みを、Exogen Bioでは「Citizen Science Project」(市民サイエンスプロジェクト)と命名したそうだ。価値ある調査を行うために、多くの人を巻き込んだ分析が必要となる中で考え出された手法だ。多くの人に「市民研究者」という立場で研究に参加してもらおうとするものだ。滅菌した道具を用いて家庭で血液を採取し、それを保存容器に入れてExogenに送り返して分析を行う。

クラウドソーシングを活用したこのアプローチにより、Exogenとしては有益でかつ商用にも利用できるDNAの損傷調査データベースを構築したい考えだ。そしてやがてはDNA損傷のホットスポットマップなども作ろうとするわけだろう。またDNA損傷の様子と、特定の病気との関連性などが明らかになってくることも考えられる。

「今回のクラウドファンディング・キャンペーンを通して、DNA損傷と特定の病気との関連性を明らかにすることができれば、病院での検査に活用してもらうきっかけになると思いますし、また病の診療に用いるためのFDA認可を得ることに繋がると思うのです」とTangは発言している。「コレステロールテストと同じくらいの気軽さでDNA検査ができるようにし、検査のために頻繁に利用してもらえるようなツールとして育てていきたいと思っているのです」。

「また、CTスキャンやレントゲン撮影などの際に、何らかのミスによって放射線を多く浴びてしまうことのないようにチェックするためのツールとしても利用できるのではないかと考えています。ローレンス・バークレー国立研究所での研究成果を受けて、そうした目的でも使えるようにしているのです」。

ところで、Exogen Bioに血液サンプルを提供する利用者(市民研究者)が、見返りとして得ることのできるものはなんだろうか。Exogen Bioが利用者に提供するのはDNAの損傷具合についてのデータだ。利用者としては、自らがExogen Bioがビジネスに利用するためのデータを提供しつつ、かつ追加料理金を支払って分析データをみせてもらうということになる(Exogen Bioの各種設備を使って、優秀なスタッフにデータを分析してもらい、それをわかりやすく提示してもらうことに料金を支払うということになる)。

血液サンプルをExogen Bioに送れば、セキュアな接続環境を通じてDNAの損傷具合を示すデータを閲覧することができる。かかる費用は送付する血液データ1単位毎に99ドルということになっている(3日間にわって3度採取した血液を送る)。アメリカ国外からの利用の場合は124ドルだ。但し、この99ドルの検査によってわかるのは「現時点での損傷率」であり、食事やエクササイズの影響を確認するということはできない。

比較データを入手したい場合、費用は179ドル(アメリカ国外からは204ドル)となる。これにより血液サンプルを採取するためのキットが2セット送られてくるので、負荷の高い運動前後の比較のため、あるいはカーボバックローディング・ダイエットの身体への影響などを確認することができる。

ファミリーパックも用意されているので、数百ドルで家族の健康をチェックしてみたいという人は、そちらを使ってみると良いだろう。

Exogen Bioは、現在Indiegogoにてクラウドファンディング・キャンペーンを行っているところだ。既に5万ドル分の参加者目標は達成している。健康を意識する人々の興味をひいているのは間違えのないところだ。

本記事(英文)が執筆された時点では、370人以上から63,700ドルの資金が集まっているが、同時にExogen Bioはシード資金の出資者も探しているところだ。Indiegogoでの成功も、出資者の興味をひくのに役立つことだろう。

クラウドファンディングを科学分野に用いるというのは確かに面白い試みだ。但し、利用者側は試料と金銭を提供し、それによりExogen Bioはビジネスで活用できるデータを蓄積していくという仕組みに、メリット面でのアンバランスを感じるという人はいるかもしれない(ちなみにIndiegogoのページには「血液サンプル提供者のデータは、個人が特定できない形にして研究用途での利用を行います。研究成果は商取引に活用される場合もあります」と記されている)。この仕組みがどのように発展していくのかは興味深いところだ。

また、DNAの損傷に繋がる原因にはさまざまのものが考えられる。したがって、1度限りの検査では、誤って特定の生活習慣について有害であるという評価をしてしまうこともあり得る。

「私たちの提供する分析結果が、最初から完璧なものであるわけではない点についてはよくわかっています」とTangは言う。同社のキットは提供され始めたばかりで、まだ他の利用者との比較検討などが十分に行えない。「しかしこれまでに100人以上の人のデータを採取しています。そしてデータベースは成長し続けています。データベースが大きくなれば、他のデータと比較することにより、より正確な分析を行うことができるようになるのです」。

「コレステロールテストの場合、分析で得られるデータ自体に大きな価値が認められるようになっています。それはこれまでに蓄えられた知見により、コレステロール値と循環器系の疾患に相関関係が認められているからです。DNAの損傷具合の検査についても、そのレベルにまで到達することがひとつの目的です」とも述べている。

「但し、まずはDNAテストで得られる各データがそれぞれどのような意味を持つことになるのかをきちんと定義していくことが最初のステップとなります。そのために、より広く人々からのデータを集めることを目的としてクラウドソーシングの活用を行っているのです。どのような状態であれば損傷具合が高く、あるいは低く、はたまたノーマルであるのかというところからデータを蓄積していく必要があるのです。そして、損傷具合が高いケースについて、それがどのような病気に結びつく可能性があり、あるいはまたどういった環境要因ないし生活習慣から生じるのかを分析していく必要があるのです」とのこと。

「ちなみにコレステロール検査についても、繰り返し調査をすることで得られるデータには深みが増していきます。ライフスタイルの変遷などを踏まえてでたーの分析をしていくことで、循環器系疾患に備えるために最適なコレステロールレベルを知ることができるようになるのです。私たちの検査についても、幅広いライフスタイルの人々のデータを集めることで、真に役立つ知見を得ていきたいと考えています」。

「最終的には個人で自分のデータを分析し、分析結果に応じた対応ができるようにすることが目的です。DNAの健康を保つことで、加齢による身体の不調を減じることができると考えています」。

尚、Tangは、Exogenについて「直ちに」何らかの成果を生み出すものとは考えないで欲しいとも述べている。今回のクラウドソーシングの活用から、すぐにも「適切な行動パターン」のようなものが提示されるわけではないとのことだ。

「DNAに影響を及ぼす要因というのは非常に多くのものがあります」とTangは説明している。「個々のデータの分析を行い、それを多くの人と照らし合わせることで正確な分析を行うことができるようになります。科学技術顧問として動いてくれるチームと連携しつつ、効果的な分析を行うのに必要なデータを集めようとしているところなのです」。

「Indiegogoを通じた試み以外にも、広い範囲からデータを集めようとする活動を行っています。とにかく有意なデータを見つけるためには多くのデータを集めて分析する必要があるのです」。

昨年には、ベイエリア周辺で試験的な調査も行っている。100人少々の人からデータを集めて、そこで得られたデータを分類整理して、今後のデータ集積の方法を探ったのだ。

「小さな規模での実験でしたが、この規模のデータセットでもDNA損壊に繋がる要因を見て取ることができます。たとえば予測していた通り、加齢により損壊の程度はあがっていきます(もちろんこれは従来から言われていたことではあります)。そしてこうした損壊が老化や、その他の老齢による病に結びついているのです」。

「また、4名の人は癌を患っていました。彼らは同年代の人と比べて、DNA損壊の程度がかなり大きくなっていました。ここに挙げた例は小規模の試験的調査から予見通りの結果が得られたということを示すものです。これはすなわち、Exogen Bioのテストにより、DNA損壊の程度をきちんと把握することができ、そしてそれにより病気に対応する手段を探ることのできる可能性があるということを示すものです」とも述べている。

Exogen Bio – How Damaged is Your DNA? from Exogen Biotechnology on Vimeo.

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(翻訳:Maeda, H


植物原料の”卵”を作るHampton Creekが早くもシリーズB, $23Mを調達

美味しくてお値段も手頃な純菜食系の食品を作る、というHampton Creek Foodsのミッションに、投資家たちは投資機会としての魅力を感じているようだ。同社はこのほど、シリーズBで2300万ドルを調達した。

このラウンドを率いたのは香港の実業家Li Ka-shingの投資企業Horizons Venturesで、これにJerry YangとAME Cloud Ventures、Ali/Hadi Partovi、GoogleのJessica Powell、Scott Banister、Ash Patelらが参加した。シリーズAで投資したKhosla VenturesとCollaborative Fund、Kat Taylor、そしてTom SteyersのEagle Cliffも、このラウンドに加わった。

Liは、この投資の発表声明の中で、次のように述べている: “テクノロジは、より良き未来を築くために誰もが共有できるオプションを増やしてくれる。増加する世界の人口を支えるためには、これまでよりも効率の良い、環境親和性に富む、そして良質で安価な選択肢を選ぶ必要がある”。

この言葉が意味しているように、Hampton Creekが自らの製品で置換しようとしている重要な食品の一つが卵だ。ぼくは1年ほど前に同社を訪ねて、植物を使った代替食品の開発とテストを行うラボを見せてもらったことがある。そして、下のビデオでお分かりのように、ぼくの舌は、本物の卵を使ったクッキーと、同社の代替卵を使ったクッキーを、正しく見分ける…味わい分ける…ことができなかった。というか両者は、味も風味も食感もほとんど同じだった。

同社で広報を担当しているMorgan Oliveiraは、年商などの数字は明かさなかったが、彼女によると同社は今、6社のFortune 500企業に製品を収める交渉を進めている。たとえばThe Hampton Creek社のWebサイトによると、Whole Foodsはすでに、同社のマヨネーズJust Mayoを扱っている。また来月は新製品としてEat the Dough(生地を食べよう)シリーズを発売、秋にはJust Scramble(スクランブルしよう)製品を発売する予定だ。

本誌はHampton Creekを、今スタートアップとVCの世界に食生活の革命に対する関心が育ちつつあることの例として取り上げた。Beyond Meatなども、その例の一つだ。Oliveiraは、そういう動向が今ある理由について、こう述べた:

今多くの人たちが、自分たちが追求している価値と、自分たちの毎日の食生活とのあいだに、ミスマッチがあることに気づきつつある。今人びとは、多くの食品が、環境と人間と動物を害する方法で作られていることを、知り始めている。また、そのやり方が、持続可能なモデルではないことにも、感づき始めている。また弊社Hampton Creekは、健康的な食品がつねに高価で入手の不便な選択肢であることを問題と見なし、この状況を変えることを会社のミッションとしている。

同社はこれまでに、合計3000万ドルの資金を調達した。

この記事には新たに、Li Ka-shingの声明文からの引用を加えた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


NY発ダイエット支援アプリ「Noom」、リクルートなどから700万ドル調達、日本展開強化

世界で累計2000万ダウンロードを誇るダイエット支援アプリを手がける米Noom(ヌーム)は4日、ニューヨークに拠点を置くRRE Venturesをリードインベスターとして第三者割当増資を実施し、総額700万ドルを調達した。割当先はリクルートホールディングス投資子会社のRecruit Strategic Partnersも入っていて、日本を含むアジア展開を加速するという。

Android版Noomダイエットコーチのイメージ画像

Noomはニューヨークに本社、東京と韓国、ドイツに拠点を構える企業。ダイエットに有効なスマホ向けアプリを開発している。Google Playの健康&フィットネスカテゴリーで「Best Apps of 2013」に選ばれた「Noomダイエットコーチ」と歩数計アプリ「Noomウォーク」を主力アプリとして提供していて、どちらも日本語版がリリースされている。

Noomダイエットコーチは現在の体重と目標体重、減量ペースを設定すると、その日に摂取可能なカロリー数を表示してくれる。食事の記録を付けると摂取できるカロリーが減り、歩いたり走った時間や距離を入力すると摂取できるカロリーが増える仕組み。食事の内容は吉野家やデニーズなど一部店舗名を入力すると、メニューとカロリーが自動で表示されるなど、日本向けのカスタマイズも進んでいるようだ。

iOS版Noomダイエットコーチのイメージ画像

Noomは今回の資金調達を通じて、Noomダイエットコーチの開発・運営・マーケティングを強化する。リクルートはマーケットの拡大が見込まれるモバイルヘルスケア領域での知見獲得を目指す。割当先にはこのほか、アジア市場を強みとするTranslink CapitalやScrum Venturesも入っている。


iOS 8とiWatchでは健康チェックが最大の機能に, Appleの役員とFDAが会談

震源地が自分である噂に関しては以前から確度の高い9to5Macによると、Appleは来(きた)るべきiOS 8で、モバイルデバイスによる健康チェックに革命をもたらす。そのiOS 8でやってくるマーキーアプリケーションは”Healthbook”と呼ばれ、健康とフィットネスとトレーニングに関するすべての情報をモニタし、iWatchがモニタする生命徴候信号も読み取る。9to5Macの筋によれば、大量のセンサを搭載したiWatchは目下、“順調に開発が進められている”そうだ。

そのヘルスモニタリングアプリ”Healthbook”は、最初からiOS 8にインストールされており、Fitbit、Nike、Runkeeper、Withingsなどなど、この分野の既成勢力にとっては大打撃になる。それは、歩いた(走った)歩数や距離、燃焼カロリー、体重の変化、血圧、体や皮膚の含水率、脈拍、などなどなどなどをモニタし報告する。

AppleがiOS 8でヘルスチェックに力を入れることは、今週のいくつかの報道が裏書している。たとえば今朝のThe New York Timesは、Appleの役員たちが昨年の終頃FDAと会談してモバイル機器の医療的利用について議論した、と報じている。またAppleは2013年の7月に医療機器大手Masimo Corporation(日本法人)の医学担当最高役員Michael O’Reillyを引き抜いた、とされている。とくにO’Reillyは、パルスオキシメトリー(脈波型酸素飽和度測定)の権威として知られている。この技術は、指先などにつける簡単な光学センサ装置で、人に痛みや不快感や傷を与えることなく、重要な生命徴候信号を読み取る。

9to5Macの記事は、”Healthbook”の機能の説明が詳しい。まずその名前はPassbookにあやかっているのだろう。ユーザはカードを次々とスワイプして、ひとつひとつの生命徴候データを見ていく。全部見終われば、その時点の自分の健康状態や診療関連の状態が分かる。ただし、記事に書かれている機能やインタフェイスは、今後のFDAの介入などによって変わる可能性がある。

iWatchに関してはあまり情報がないが、リリースは年内で、Healthbookにデータを供給するためのセンサ群を搭載するらしい。ただしHealthbookは、Appleの規格を満たすサードパーティ製のモニタや機器からでもデータを読み取ることができる。iWatchでもうひとつおもしろいのは、これは地図が最重要なアプリとなるスマートウォッチで、腕時計ならぬ腕ナビとして使えることが、最大の売りになるらしい。

今Appleに問い合わせ中なので、何か情報が得られ次第この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


都市部に野菜水耕栽培ハウスのネットワークを広げるBrightFarmsがシリーズBで$4.9Mを調達

都市部に温室(野菜栽培用ハウス)を作っているBrightFarmsが、シリーズBで490万ドルを調達した。投資家はNGEN Partners、Emil Capital Partners、BrightFarmsのファウンダTed Caplow、そのほかだ。

これでBrightFarmsが調達した資金総額は920万ドルになる。同社が興味深いのは、クリーンテクと最近需要が伸びている地産地消型産品の両方の性格を帯びていることだ。

従来の健康食品ではなくて、新鮮で健康的な食品を追求するスタートアップたちは、資金状況も好調だ。Good EggsSequoia CapitalからシリーズAで850万ドルを獲得し、NatureBoxGeneral Catalystから200万ドルを調達して“健康的な食品のBirchboxを目指している。そしてFarmigoは最近、800万ドルの投資を得て地産産品のボックスを消費者に届けている。

ニューヨークのBrightFarmsが作っているのは水耕栽培用の温室(ハウス)で、しかも新たに土地を占拠せず、グロサリストアやスーパーマーケットの屋上に建築するのが原則だ。土地の有効利用だけでなく、水資源の有効利用、温室ガス排出量の削減、年間を通じての産品の質の安定、などにも配慮した設計を貫いている。

店側は新鮮な農産物が得られるだけでなく、遠くの産地の作柄や値動きをいちいち心配せずにすむ。また、遠距離輸送に伴う荷傷みの心配もない。

スーパーマーケットのオーナーをその気にならせるためにBrightFarmsは、建設費を負担し、産品の価格を向こう10年間変えない、という契約を結ぶ。同社は、こんな言い方をしている: “地産地消のためのハウス農場の分散ネットワークを構築することによって財務的にも環境的にもリスク分散を図っている”。

NGENのマネージングディレクターPeter Grubsteinはこう言う: “BrightFarmsを支援することは特別にエキサイティングである。同社は地産地消型食品に対する需要の最先端に陣取っており、持続可能な実践とディスラプティブな流通モデルを併用している。BrightFarmsはそのモデルを迅速にスケールする能力を持っており、顧客の支持とチームの能力も強く大きい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、スマート・コンタクトレンズを発表

期待した方は申し訳ない。これはGoogle Glassのコンタクトレンズ版というわけではない。しかしそこに向けた第一歩のプロダクトだと考えることができるだろう。GoogleのGoogle X Labがブログ上でスマート・コンタクトレンズについての記事を掲載したのだ。糖尿病患者がこのコンタクトレンズを装着すると、血糖値を測定してくれる。

現在はプロトタイプの実験中なのだそうだ。コンタクトレンズの中に小さなワイヤレスチップとグルコースセンサーを内蔵してている。レンズは2層からなっており、その間にチップを挟み込んだ形式になっている。

先のブログ記事の中でGoogleは、体液から血糖値を測定する方法について、多くの科学者が研究を続けてきたのだと記している。そうした研究の結果、涙が有効であるとの結論にたどり着いたのだそうだ。しかし俳優でもない人が自在に涙を流すのは難しい。そのため、涙を利用する方式は一気に実現には至らず、検討課題となっていたらしい。

そうした流れの中でコンタクトレンズ型の測定装置が生まれてきたわけだが、このセンサーは1秒毎に血糖値を測定するようになっている。そして一定の値を超えると警告を送ってくる。センサーは非常に小さく、ちょっとした光の反射程度にしか見えないほどである様子。

現在、このプロトタイプをプロダクトとして世に出すべくFDAに承認申請を行っているところだとのこと。また技術的な詰めもあわせて行っているところだ。「スマート・コンタクトレンズを使って、装着者および医者に測定内容を報告するためのアプリケーションを開発しているところです」とGoogleは述べている。

[image via recode]

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(翻訳:Maeda, H


ウェアラブルの新展開?! 赤ちゃんの健康管理のためのOwlet(スマート靴下)

誰かの健康状態を気にする人といえば、赤ん坊の心配をする母親がその筆頭に立つに違いない。手首装着型のフィットネス用デバイスが一般化してきた昨今、これを改造した乳幼児用のヘルスケアデバイスが出てくるのは当然のことだったのかもしれない。

今回紹介するのはOwletで、CES会場で私たちが開催しているHardware Battlefieldでのファイナリストとなったものだ。

Owletは赤ちゃんの足首につけて利用する。データはアプリケーションに送られるようになっていて、いつでも大切なベイビーの健康状態をチェックすることができる。

取得するデータは心拍、酸素レベル、皮膚温度で、また寝返りを行った際に通知する機能もある。

測定には病院(含・小児科医)で長年にわたって使われているパルスオキシメーターも利用して行っている。赤色光と赤外光を発することで、非侵襲的に心拍や酸素レベルを測定することができる。

このOwlet(開発者は「スマートソックス」と呼んでいるそうだ)はデータをBluetooth 4.0経由でスマートフォンに送る。スマートフォンを持っていない場合、USB経由でパソコンと繋いでデータを見ることもできる。あるいはスマートソックス自体をWi-Fiに接続し、ネットワークデバイスからデータを確認することもできる。

低刺激性の素材で作られていて、もちろんワイヤレスだ。また電子パーツはすべて絶縁シリコンケースに収められている。感電の心配などはしないでも良いわけだ。

Owletのバッテリーは、丸2日間はもつようになっている。バッテリー容量が少なくなってくれば通知を行うようにもなっている。

開発者によれば、Owletは赤ん坊の健康ができるという以外に、間接的なメリットがあるのだとのこと。すなわち常に赤ん坊のことを気にかけていなければならない母親に、安心感と(多少の)休息を提供することができるのだ。

Owletは現在クラウドファンディングで資金調達を行っているところだ。Owletの価格は250ドルに設定されている。興味をもった方はこちらから予約することができる。

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(翻訳:Maeda, H


起こすタイミングを判断して、快適な睡眠を提供してくれるAura

CES 2014ではWithingsも家庭用健康管理ガジェットの最新版を発表する。名前をAuraというそうだ。外見はなんとなく潜水艦の潜望鏡のような感じ。しかしナイトスタンドとして利用でき、またマットレスの下に敷くセンサーパッドと繋いで利用するようになっている。睡眠状況を記録して、そして休息がもっとも深くなるようにスケジュールして、インテリジェントに睡眠および起床のタイミングを管理してくれるものだ。

目覚ましとして行う動作自体についてみれば、Philipsなどから提供されているプロダクトと同じようなものに見えるかもしれない。但しAuraには誘眠モード動作があり、これはすなわち光と音を組み合わせてメラトニンの分泌を促す。科学的な音声処理を行うことで実現しているものだとのこと。夜には利用者をリラックスさせ、そして朝になれば気持よく目覚めさせてくれる。異なるタイプのLEDライトを用い、誘眠デバイスとしても、そして目覚まし時計としても利用できるようになっているわけだ。

Auraとセンサーの間はケーブルで結び、これにより給電しつつセンサーからのデータ収集を行う。実はWithings自体もPulseというポケットにいれて利用する脈拍監視用グッズを提供しているのだが、そうしたセンサーと比べて遥かに細かいデータを集めることができる。枕の下や低反発マットの下からも、きちんとデータを検知してくれる。また1台で同じベッドに眠る2人のデータを管理することができるようになっている。身体の動きなどだけではなく、呼吸サイクルや心拍数などのデータを見て、睡眠の状態やクオリティなどを判断するようになっている。Auraアラームもこうしたデータを活用するもので、ちょうど良い時間に利用者を起こしてくれるようになっている。時間のみを見て強引に起こそうとする通常の目覚まし時計とは一線を画すものといえよう。

このプロダクトは、Withingsのこれまでのプロダクトとも組み合わせて活用することができるようになっている。データはスマートフォン用のアプリケーションを通じて詳細に分析することができる。Auraは2014年春に発売開始予定で、センサーパッド、アラームおよびライトを内蔵したナイトスタンドがセットとなって299ドルとなっている。たとえばPhilipsの目覚ましライトなどは99ドル程度で、そうしたものに比べると遥かに高価なものとはなっている。しかしWithingsは、ソフィスティケートされた仕方で、データ分析を行ってその結果を利用して目覚ましを実行してくれるのだ。あらゆる健康状況を数値化するということに興味を持つ人にとっては、絶対に手に入れたいガジェットではなかろうか。あるいは逆に、そうしたことに興味のない人にとっては高すぎて興味を持てないというものなのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


あなたが今呼吸している空気はきれいかな?BirdiがWebとスマホ経由で教えてくれる

中国政府の考えでは、スモッグは国民を“一体化し、中国社会をより平等にし、人びとをよりおもしろくする”そうだが、われわれみんなは、人を殺すこともあることを知っている。Birdiの真価も、その点にある。それは空気の質をはかるセンサで、壁の中に隠れて、シンプルな煙感知器みたいに世界を監視する。ただし、火災の煙のような差し迫った死の危険性を教えてくれるのではなく、徐々に人を殺すスモッグについて教える。

Birdiの発売記念価格は99ドルだ。同社はPCH Internationalのインキュベータ、サンフランシスコでBrady Forrestが率いるハードウェア専門のアクセラレータHighway 1から孵化した企業だ。同社は、そこから最初に巣立った企業の一つだ。

Birdiは気温、湿度、二酸化炭素と一酸化炭素の量、空気中の微粒子の量、そして通常の煙も感知する。スモッグに関してはとくに、湿度と微粒子量が重要だ。電源が微弱になるとユーザに通知する。スマートフォンに接続してすべての感知データをアクセス無料のWebサービスに送る。そして空気の状態に異状が認められたら、警報をくれる。データを時系列で見ることもできる。

今indiegogoでクラウドファンディングを募っているが、目標5万ドルに対し1万ドル集まっている。ファウンダはMark BelinskyとJustin Alveyで、会社はニューヨークにある。彼らは、こう主張する:

室内の空気は外に比べて2倍から8倍は悪い。家の中の汚染源は、何だろう? それを知らない人がほとんどだが、喘息患者は増えつづけているし、悪い空気はがんの原因でもある。Birdiは、緊急な対策が必要なことと、空気の質を良くする方法を教えてくれる唯一のデバイスだ。

このような空気センサは、最近いろいろ出回るようになった。具体的な汚染源がないところでも、スモッグや微粒子が検出されることがある。それに、北京や上海の現状を見れば、空気の質が全世界的な問題になりつつあることが分かる。咳をしながら若死にする前に、Birdiが助けてくれることを、期待しよう。

〔↓この画像をクリックするとindiegogoのプロジェクトページへ〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


日記アプリLifeCrumbsは好きな写真から楽しい思い出のヴィジュアルカレンダーを作る(それが”感謝日誌健康法”)

休日も、仕事のことが気になったり、お金の問題があったり、季節的な情動障害があったりすると楽しくない。そんなときはMerle Haggardの“If We Make It Through December”を何度も何度も聴くことにしているが、でも今年は、ヴィジュアルな日記アプリLifeCrumbsを日課にしようかと思っている。Tomofunというスタートアップが作ったLifeCrumbsは、どんなに憂鬱な日でも、必ず一つぐらいは、救いになるような一瞬があったはずだ、というアイデアを実装している。無料のiOSアプリだが、もうすぐAndroidバージョンも出るから、多くの人が、そんな瞬間の写真を一日に貼り付けたヴィジュアルなカレンダーを作れるようになる。

台北でVictor Changが作ったTomofunのミッションは、“ふつうの日常の中に楽しさを見つける”ことだ。LifeCrumbsは実は同社の二つめのプロダクトで、最初のはあまり良いフィードバックが得られなかったのでプロトタイプだけで終わってしまった。

がっかりしたTomofunのチームは、2012年の夏をフィリピンですごし、住宅建設現場でボランティアとして労働した。

“台風で父親を亡くした5歳の女の子に会った。その子にクッキーを一枚あげたら、それを持って走って家族のところへ行き、六つに割って全員で食べていた。ぼくのところへ走ってきたのでまたクッキーをあげたら、今度は半分に割って、笑顔でありがとうと言った”、とChangは話す。“それが、ぼくの人生観を変えた。物がたくさんなくても、人間は幸せになれるんだ。それはすばらしい教訓だと思ったから、ほかの人たちと共有したいと思った”。

台湾に帰ったTomofunは、そのとき得た鮮やかなインスピレーションをもとに、人びとが毎日の意義深い瞬間を記録できる日記アプリの開発に取り組んだ。LifeCrumbsは2012年の10月に非公開ベータでローンチし、今年の8月に一般公開した。そしてそれ以降もチームは、ユーザからのフィードバックを積極的に集めて改良に励み、なお一層ヴィジュアルな製品に育てていった。LifeCrumbsはFacebookとTwitterとInstagramを統合しているので、それらのアップデートから何かをインポートすることもできる。Tomofunは現在、自己資本のみで、LifeCrumbsについては収益化の方法を模索している。ステッカー、カレンダーを印刷して提供、などのアイデアがある。

忙しい人のための、日記を楽しく簡単につけるための優れたアプリはたくさんある。とりわけ目立つのは、Step Journal (私が5月に記事にした)、Day OneMomentoGratitude365などだ。 でもLifeCrumbsは、このアプリの中にポジティブで明るいコミュニティを作ることで、差別化を図りたいと考えている。

どんなにひどい日でも、ありがたいな、と感謝の気持ちをおぼえるような瞬間を見つけ、それをもとにコミュニティにも参加していくことには、かったるい、とか、そんなのぜったいできない、という感想をお持ちの方もおられると思う。でも、そんな習慣には、大きなごほうびが返ってくるのだ。カリフォルニア大学Davis校の研究によると、感謝日誌をつける習慣*は健康的な生活と安眠に導き、心と体の活性を増す、という。〔*: 感謝日誌, gratitude journal 〕

しかもLifeCrumbsなら、自分の中のPollyannaを引っ張り出すことに励んでも、FacebookやInstagramみたいに、ひとからひやかされたり、ばかにされたりする心配がないのよね。

LifeCrumbsのコミュニティマネージャでTomofunのソーシャルマーケティングディレクターでもあるMaggie Cheungによると、一日一日の思い出をカレンダー形式にまとめられることが、とくにユーザに受けている、という。

〔訳注: crumbは‘かけら’。bread crumbはパンくず。一日の中の、ほんのかけらのようなできごとや瞬間をだいじにしよう、という製品コンセプト。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


DNAテストの23andMe、自宅用テストキットの販売に米食品医薬品局から中止命令

米国食品医薬品局(FDA)は、遺伝子テストのスタートアップで、Anne Wojcicki、Linda Avey、Paul Cusenzaの3人が2006年に共同設立した23andMeに対し、同社の家庭用DNAテストキットの販売を11月22日付で中止するよう命じた。Bloombergの記事によると、FDAが同社に送ったレターには、同キットが医療用品に分類され、販売には規制認可が必要であると説明されている。

23andMeのミッションの一つは、人々が本人あるいは子供の遺伝子的疾患や症状のリスクを評価することにあり、FDAはその点を問題にしているようだ。医学的リスクの評価は、たとえそれが23andMeのサービス唯一の目的でなくても、キットが医療装置として分類されることを意味する、と同局は言っている(単なる好奇心や、進行中の研究を支援するためにテストを受けた人々も多い)。23andMeの合計40万件の被験者データベースは、遺伝子研究者にとってまさしく宝の山だ。しかし、もし患者が乳がんを発症する可能性が高いという結果を受け取り、予防対策として両乳房切除手術を受けた結果、実は偽陽性だったというケースを考えれば、大きなリスクであり監視の必要性は正当化される。

23andMeはGoogleの出資を受けており、2007年のシリーズAラウンドで390万ドルを調達し、最近にはシリーズDラウンドで、Google、NEA、Milner等から5000万ドルの資金を調達した。利用者は唾液のサンプルを送るだけでよいというこの自己テストサービスは、2008年にTIME誌の「年間最優秀発明」に選ばれている。同社は以前にも規制のハードルに遭遇しており、ニューヨークとカリフォルニアの州当局は、認可制度を理由にテストを禁止しようと試みたが、後に23andMeは認可を取得しサービスを継続した。

かつて23andMeは、キットの承認を得ようとFDAに申請したことがある。しかしFDAは、以前両者で確認されていた問題が解決されていなかったと語った。本件に関する既得権にまつわる不安もある。米国最大の保険会社は、2012年に23andMeのテストを強く非難した。23andMeは、巨大かつ利益を生む市場を開拓したため、金の行き先について保険会社が口を挟みたくなる理由は十分にある。

本誌は23andMeにコメントを求めており、情報が入り次第隊報続報する。

アップデート ― 23andMeから以下の声明が届いた。

当社はFDAから警告文書を受け取った。申請に関する時期と連絡について、当社がFDAの要望を満たしていなかったと認識している。FDAとの関係は当社にとって極めて重要であり、同局の指摘への取り組みに最大限の努力を投じることを約束する。

写真提供:flickr user lovemypit

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(翻訳:Nob Takahashi)


一日に一定量の水を確実に飲めるインテリジェント水筒H2O-Pal, 腎/尿結石を防げるか

合衆国の国立水飲健康研究所(実在しない)は、国民が毎日大量の水を飲むことを推奨している。そこでH2O-Pal(実在する)は、一日に飲んだ水の量が分かる水筒H2O-Palを開発した。これを使うと、生きるために必要な一日2~5ガロンの水をその日に飲んだか飲まなかったかが分かる(警告: そんなに大量に飲まなくてもよいだろう)。

この電子水筒には目盛と加速度センサがついていて、一日に飲んだ水の量が分かる。水を入れたら、電子回路のスイッチを入れ、そして会社(など)へ行く。洗うときはパックのような形をした装置部分を外す。それをBluetoothでiPhoneにつなぐと、自分の水飲み習慣が分かる。

Kickstarterでの資金募集目標は95000ドル、お値段は一つ59ドルからだ。2月の正式発売時には69ドルになる。同社はスロベニアの首都リュブリャナにあり、この夏プロトタイプを見せてもらったが、なかなかいい。われわれ人間も、ほとんど水でできている生命体だから、その水分を維持するための発明は、何であれ立派だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


フィットネスはGoogle Glassで新展開? Race YourselfのGlassFitは10万ポンドを集めてリリース準備中

Google Glassは、まだ市場に出てきたわけではない。しかし世間はいったいどういう使い道があるのだろうと大いに期待して、そして議論している。操作をハンズフリーで行える点からすると、歩行中のナビゲーションや人気スポット案内などに便利ではあろう。そういう面でも面白いアプリケーションが出てくると思うが、もうひとつ、エクササイズ方面でも大いに可能性があるのではないだろうか。

この可能性を確信しているのがロンドンのRace Yourselfで、Glass用のフィットネスアプリケーションを世に出す費用として、CrowdCubeというクラウド型株式ファンディングプラットフォームを通じて10万ポンドの資金を調達した。

Race Yourselfが世に出そうとしているアプリケーションはGlassFitという名前だ。RunKeeperや、Nike Fuel Bandのように、エクササイズの記録をとったり、あるいはモチベーションを高めるのに用いる。ランニングなどのエクササイズにゲーミフィケーションの要素を持ち込み、Glassの特性を活かして拡張現実の面も強化しようとしている。たとえば、自己ベストを記録した自分との仮想レースなどということも行える。あるいは3ヵ月前の平均記録との対戦などということもできる。もちろんソーシャル機能を使って、友人のタイムと競い合うということもできるわけだ。

自転車でも同様の仕組みを利用する。もちろん、加速中の様子を再現する心配りもある。また「勝負」に熱中するあまり、信号無視をしてしまわないような仕組みも組み込まれている。取り敢えず、Race YourselfはGlassFitにたくさんのミニゲームを実装してスタートする予定なのだそうだ。拡張現実世界に住むゾンビとの命がけのレースなどもあって面白そうだ。これは確かにGoogle Glassの魅力を一気に高めることになるかもしれない。

「エクササイズはもちろん身体に良いことです。そしてゲームというのは楽しくて、人々を夢中にするものです。私たちは、それらを拡張現実世界の中で融合して、エクササイズを本当に楽しく、熱中できるものにしたいと考えているのです。その最初のプラットフォームとなるのが、Google Glassなのです」。これはRace Yourselfの共同ファウンダーであるAlex Fosterの言葉だ。「スマートフォン環境よりもはるかにモチベーション作りにも役立ち、記録を活用する方法もいろいろと考えられ、タイムを競うのにも新しい方法を導入することができます。パーソナルベストと競争をするのなら、果たしてそれを上回っているのかどうか、ランニング中により具体的なイメージとして見ていくことができるわけです」。

Glass上のセンサーのおかげで、たとえば「爪先を触る」動きを検知することができたり、あるいはタップ操作によってすぐに記録動作を一時停止することもできる。また「怪我モード」(injury mode)も搭載している。怪我をしているときや調子のよくないとき、より多くのアクティビティを消化したことにしたりしてくれるそうだ。ちなみにフィットネスと縁遠いところにいる筆者にとって、このモードがどういうものなのかよくわからなかった。

GlassFitのビジネスモデルもまた、Clash of ClansやLeague of Legendsなどのゲームを参考にしたものだ。「数多くのゲームを提供し、また今後も追加していきます」とFosterは言う。「利用者はカロリー消費や自己ベストの更新、フィットネス活動連続記録の達成などによりポイントをゲットします。集まったポイントはゲームのアンロックに利用することができます。面白いないし機能満載のゲームということになれば、アンロックするのにより多くのポイントが必要となります。ポイントが足りない場合に“購入”することもできるようにしていて、それがひとつの収益策ということになります。またアプリケーションを利用するのに必要となる心拍計や速度計の販売も行っていきます」。

GlassFitのリリースは、Google Glassの正式リリースと同時に行いたい考えだ。但し、来月ないし再来月あたりには、プレセールスや、Kickstarterでのキャンペーン等も行う予定にしている。Glassの一般向けリリースが行われないうちは、どうしてもGoogle Glassはニッチな存在ということになる。そのような中で行うキャンペーンなどがうまくいくのかどうかは微妙なところだ。但し、いざ正式リリースとなれば、多くの人がGoogle Glassに殺到するようになると、Race Yourselfは期待しているようだ。

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(翻訳:Maeda, H


Driven Apps、NFL MVPのエイドリアン・ピーターソンと組んでフィットネスアプリケーションをリリース

Driven Appsは、NFLのランニングバックであるエイドリアン・ピーターソンがと組んで、熱心にフィットネスないしスポーツトレーニングに取り組む人々に向けて、アプリケーションをリリースした。同社がプロアスリートと組んでアプリケーションを出すのは3度めのことだ。今年初めにはNBAのスター選手であるドウェイン・ウェイドや、プロゴルファーのアーニー・エルスとタイアップしたアプリケーションもリリースしている。

Driven Appsの発端となったのは8年前のことだ。兄弟のDonおよびJoe SaladinoがマンハッタンにDrive 495というパーソナルトレーニングジムを開設した。これをスカーレット・ヨハンソンやライアン・ゴズリング等の超有名セレブも利用するようになった。もちろんセレブたちは忙しい人種であり、マンハッタンにいないことも多い。そのような中で、外出先でもきちんとワークアウトを行う方法はないかという話になり、そこでSaladino兄弟はアプリケーションを作成し、そこで各会員用のワークアウトプログラムを管理することとしたのだ。

そして1年半ほど前、アプリケーションにはより大きな可能性があることを認識するにいたった。そこでDriven Appsを設立したのだ。トップアスリートと提携することにより、一般の利用者向けにスポーツトレーニングに用いるアプリケーションを開発している。アプリケーションを使って日々のワークアウトを管理したり、またはプロフェッショナルアスリートの推奨するトレーニングメニューを試すことができる。トレーニング内容は、利用者の進捗具合によって変化するようになっている。したがって、エイドリアン・ピーターソンの提示するワークアウトは徐々に厳しいものとなっていくわけだ。

ピーターソン曰く「前十字靭帯断裂から、より強くなって復帰するまでに行ったトレーニングなども見てもらいたい」とのこと。アプリケーションの製作にはかなり真剣に取り組んだのだとのこと。多くの人に使ってもらいたいと述べている。

ピーターソンが前十字靭帯を断裂してしまったのは、2011年12月24日のゲーム中のことだった。しかし8ヵ月後には再びグラウンドに立った。そしてNFLのシーズン最多ラッシングヤード記録更新までわずか9ヤードの活躍を見せ、バイキングスのプレイオフ進出の立役者となった。このシーズンはMVPにも選ばれている。

かくも迅速に復帰出来たのは、絶対に復帰するという「確信」があったからだとピーターソンは述べる。そしてそこにむけて着実に、効果のあるトレーニングを積み上げていったのだ。そうした経験も踏まえて「各エクササイズをどのように実行して、そしてどういったことを目指していくべきなのか」を示すためにトレーニングを開発したとのこと。多くの人々に、そしてとくにフットボールでの成功を目指す学生たちに試してみて欲しいと述べている。

「個人的にはアプリケーションとのタイアップなどに興味はなかった。ただDrivenのアプリケーションは、なかなかよくできていると思ったんだ。たとえば、今のゴルフの腕前は、バンカーから抜け出せない程度のもの。もうちょっと上達したいと思ったときには、アーニー・エルスのアプリケーションを使ってみようと思っているよ」と、ピーターソンは述べている。

Driven AppsのCEOであるJake Edwardsは、メジャースポーツの全てをカバーしたいと考えているのだそうだ。また、ウェアラブルデバイスと連携して、ワークアウトのリアルタイムで正確な記録機能なども付け加えていきたいと考えているらしい。エルス、ピーターソン、そしてウェイドのアプリケーションは、それぞれ450円、250円、そして350円で販売中だ。

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(翻訳:Maeda, H)


自己運転車の次は不老不死; Google XのCalicoプロジェクトはまず癌撲滅, 人類の平均寿命100歳を目指す

【抄訳】

悲しいことに、癌やパーキンソン病の特効療法が発見されるためには、Forbes 400に載ってる人全員が同時にこれらの病気になる必要があるかもしれない。難病の治療法の開発には、天文学的な額の費用を要するからだ。

もちろん、お金だけでなく、投じられる人的リソースや時間の量も膨大だ。国の施策もからむことになり、相当複雑面倒な研究開発過程になるだろう。それらと対比すると、Googleの最新の気違い科学(mad science)プロジェクトCalicoが、とても魅力的に見える。

というよりCalicoは、早逝したGoogle Healthプロジェクト以降最大の、Googleの保健医療プロジェクトかもしれない。Google Healthがローンチされた2008年と今とでは、Googleの社容も違うし、われわれの生活も違う。今ではスマートフォンユーザの20%が少なくとも一つの健康アプリをダウンロードし、成人の60%が健康情報をインターネットに求めている。

CalicoのプロジェクトリーダーArthur D. Levinsonは、かつてGenentechのCEO、今はAppleの会長だ。Calicoは保健医療関連の壮大な、そして長期的なプランだ。これまで得ている情報によると、このプロジェクトはGoogleの大規模なクラウドとデータセンターを利用して、疾病と老化に関する研究を推進する。とりわけ、大規模なデータマイニングにより、病気と加齢現象の原因を探る。

Apple Chairman, Arthur D. Levinson

Googleは23andMeに投資しているので、今どんどんデータが増えているゲノムデータベースにアクセスできる。同社の言葉によると、“それらは健康と幸福に関する研究に寄与貢献する…中でもとりわけ老化との戦いに”。すなわち長寿と疾病の背後にある遺伝学や生物化学方面の研究を、Calicoプロジェクトは取り入れることができる。

TIME誌のインタビューでGoogleのCEO Larry Pageは、人間の寿命を大幅に延ばすことがCalicoの目標の一つだ、と言っている。当面、人間を不老不死にすることではないが、このプロジェクトに近い筋によると、今20歳の人間の寿命を100歳に延ばすという、具体的な目標がある。

“今の人たちは、本当に正しいことに目を向けているのだろうか?”、とPageはインタビューの中で真剣な口調で言っている。“ぼくが本当にすばらしいと思うのは、たとえば、癌を撲滅して人間の平均寿命を3年延ばすことだ。癌の完全な予防や治療は世界を変えるほどの大きなテーマだが、現状は癌で亡くなる悲しい例があまりにも多く、ここ数年数十年で治療法はそんなに大きく進歩していない”。

Pageが言いたいのは、癌は克服不可能な障害ではなく、これまでの取り組み方が下手だったためにそう見えるだけだ、ということのようだ。正しい考え方と方法で取り組めば、解はすぐ手が届くところにある、と彼は主張したいのだ。Larry Pageはこれまで、コンピュータのアルゴリズムで自分が思うものを何でも実現してきた人間だ。おそらく、疾病もその治療も、あるいは世界のそほかの大きな問題も、正しいアルゴリズムが見つかれば正しい解が得られる、と考えているのではないか。

Googleにとっては、眼鏡のコンピュータ化も、自動車運転の無人化も、そして癌や老化の抑止も、本気で取り組めばそのうち必ず実現するアルゴリズムとその実装の問題、と見えているのだ。TIME誌のインタビューでPageは、“保健医療はアイデアからその実現までに10年とか20年というスパンを要する分野だ”、と言っている。“でも、本当に正しい標的だけを撃ち落としていけば、10年か20年後には、ねらったもの*が実現しているだろう”。〔*: 癌やパーキンソン病などの完全治療完全予防、老化の遅延、人間の平均寿命を100歳以上にする、など。〕

なお、CalicoはGoogleのプロジェクトというより、Googleの気違い科学ラボGoogle Xの延長ともなる関連別会社になるらしい。PageはGoogle+で、“既存のインターネットビジネスと関係なさそうな不確かなプロジェクトに投資しても驚かないように”、と言っている。“このような新しい投資は弊社のコアビジネスと比較するときわめて小さいことをお忘れなく”、だそうだ。評価額3000億ドルの企業がCalicoに10億ドル投資しても、たしかに“きわめて小さい”だろうね。

自己運転車やGoogle Glassだけで満足しないPageは、これらと同じ感覚で保健医療の問題、たとえば癌の“ソリューション”に取り組もうとしている。ただし情報筋によると、現状のCalicoはまだ雲をつかむような段階のプロジェクトで、短期の利益計画もなければ、長寿化のための具体的な事業もない。しかし不老不死の実現に取り組むのはPageとLevinsonが初めてではない。それは、古代から王たちや悪党たちの野望であり、朝起きたときの万人の願いでもある。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


脳波や睡眠の状況を把握して、目覚ましをインテリジェント化する「Zizz」

TechCrunch Disrupt SF 2013にて、ワルシャワ発のIQ Intelclinicというスタートアップがプロダクトを発表していた。

発表していたのはインテリジェントな睡眠マスクだ。センサーを使ってREM睡眠とノンREM睡眠の別などを検知して利用者の睡眠サイクルを記録する。そして快適な睡眠を得るためのサポートをしようとするものだ。

マスクに搭載されている電子部品は、粘弾性発泡体と呼ばれる柔らかなクッション素材によって覆われており、それを頭部に密着させてデータを取得する。収集したデータはモバイルアプリケーションに送られ、睡眠あるいは目覚めた時の様子を確認することができる。そして、たとえば睡眠時無呼吸症候群などの兆候が見られないかどうかを確認することもできる。

「3つのデータを収集するための電極を備えています。収集するのは脳波、目の動き、そして筋肉の緊張具合です」と、ポーランドのメディカルスクールを卒業した、共同ファウンダーのKamil Adamczykは説明する。マスクで収集したデータは増幅器に送られ、そしてナレッジベースを活用した分析を行う。分析したデータはBluetooth経由で利用者のスマートフォンに送られる。IQ Intelclinicの別の共同ファウンダーであるKrzysztof Chojnowskiはエレクトロニクス分野でのPh.D.で、おかげでデバイスで用いる電子デバイスなどもすべて内製することができた。

大学で知り合った共同ファウンダーの2人が、本プロダクトの製品化に取り組み始めたのは今年の3月のことだった。Adamczykはメディカルスクール時代にあまり眠ることができず、その経験からより良い睡眠を得るためのプロダクトを作ろうと思い立ったのだそうだ。「時間的に短くても、効率的な睡眠を得ることができるようにするためのプロダクトを作ろうと思ったのです」と述べている。そうした研究やプロダクトのおかげで、今では夜に3時間、そして日中に短い昼寝をするだけで十分な睡眠を確保しているのだそうだ。

また、このプロダクトはREM睡眠とノンREM睡眠を識別できるので、スリープサイクルが完了したときにのみ朝のアラームを鳴らすということができる。これを行うには、アラームで「許容時間幅」(バッファー)を設定する。すると希望時間の前後、身体のリズムが最適となったときに目覚ましを鳴らしてくれるようになるわけだ。普通のめざましのようにセットした時間ぴったりに鳴るのではなく、身体の調子を見極めて起こしてくれるようになるのだ。

普通の朝の目覚ましとしてのみではなく、時差ボケ解消のためにも便利に利用することができるだろう。ないしはパワーナップ(短時間の睡眠)を取って多相睡眠(訳注:眠りを一度にまとめるのではなく、何度かにわけてとるようにすること)を実現するのにも便利だ。

TechCrunch DisruptのStartup Alleyにてプロトタイプを展示していた。そのプロトタイプでは電池式になっていたが、これをmicroUSB充電としてKicksterterに登録する予定だ。これまでにIQ Intelclinicは、地元のエンジェルよりアメリカドル換算で6万5000ドルの出資をうけている。プロダクトの製造販売を実現するために、クラウドファンディング経由で10万ドルを集めたいと考えているのだそうだ。プロダクトの名前は「Zizz」で各区は225ドルを予定している。KickstarterにあるEarly Backer(早期支援)に応募してくれる人には、180ドルで頒布するとしている。Adamczykは、IQ Intelclinicのプロダクトを通じて、さまざまな睡眠障害を発見するきっかけになればと語っている。但し、そうした方面に向けたデバイスを販売するにはFDAの認可が必要となるが、まだその認可は取得していないようだ。

詳細な情報を確認したい方はこちらにIQ Intelclinicのホームページがある。こちらから出資予約を行うこともできるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H)


マイシェフは3,000円から利用できる女性のための出張シェフサービス

仕事に家事に忙しい女性にとって嬉しいサービスがローンチされた。場所と日時、好みのシェフを選ぶと1あたり3,000円程度の低価格で自宅にプロのシェフが来てくれるというサービス、マイシェフがオープンした。

このサービスが特徴的なのは食材選びから、調理、食事後の後片付けまで全てを行ってくれることだ。もちろん事前に苦手な食材などを伝えるとそれを考慮したメニューを提供してくれる。現在は主に東京(関東)で利用でき、対応エリアの一覧はこちらから確認できる。

さて、実はこのサービス/会社を運営しているのはSEOツールなどを提供しているGinzametrics Japanのカントリーマネージャーを務めている清水昌浩氏なのだ。なぜ、彼は女性向けのシェフ出張サービスを始めたのか。清水氏は「女性は出産により環境が大きく変わり、お友達と会う時間や美味しいものを食べる機会は減ってしまう(お子さんのために少し我慢されている)」ことが課題だと感じ、子供持ちの女性が友達と会う場を気軽に実施できるよう、美味しくオシャレな料理を提供することで、彼女らがもっと楽しく過ごせるようにとマイシェフを立ち上げたという。

米国では似たようなサービスとしてKitchitがあるほか、シェフの料理をデリバリーするタイプとしてGobbleMuncheryといったサービスも存在している。これらのサービスはは2011年に資金を調達したり、ローンチしたりと賑わっていた。

とはいえ、これまで女性にフォーカスしたものは日本でも米国でも無かったのでマイシェフの試みは興味深い。男性が注文することは現時点では出来ないが、Webサイト上には男性向けサービス開始時にお知らせを受け取るためのフォームが用意されているので、将来的には利用できそうだ。なお、女性が注文した際に男性が同席する分には構わないとのこと。

今後は、「ちゃんとした料理を食べたいと思ったらレストランに出向くのが一般的であったが、3年後にはシェフが家庭に訪問するスタイルを一般的な選択視の1つになっている」ようにしていきたいそうだ。


入院患者の健康回復は「歩く」ことから。歩行支援機器を提供するMobilizer Inc.は順調に成長中

入院患者の多くの人にとって、退院時期をはやめ、また血栓や褥瘡性潰瘍などのリスクを低下させる最善策は、とにかく「歩きまわること」であったりもする。

しかし酸素吸入を受けていたり、静脈点滴などいろいろなものが繋がっている状態では、看護師に手伝って貰っても準備に20分ほどもかかることになる。病院全体でみると、毎週数百時間もの無駄が生じることになったりもする。

病院としてはすべての患者の面倒を見る必要があり、せっかく歩行活動準備が整っても、病室のドアまでいってすぐに引き返すことになってしまったりもする。

この問題を解決しようと考えているのがMobilizer Inc.だ。医療機器関連のスタートアップアクセラレーターであるZeroTo510の出身だ。このMobilizer Inc.は6輪の歩行トレーニング支援機器を開発した。ここには各種医療機器を搭載することができ、したがって迅速な準備を行って、これまでよりもはるかに簡単に歩きまわることができるようになる。

Mobilizerのスタートは5月で、Innova MemphisおよびMB Venture Partnersから30万ドルの資金を調達している。また、来年中には40万ドルの資金を追加調達予定でもあるとのこと。CEO兼共同ファウンダーのJames Bellによると、機材の価格は1台あたり5000ドル弱で、これまでにMass General HospitalおよびVanderbilt University Medical Centerが購入しているとのこと。

Bellの予測によるとMobilizerは、本年末にはネットキャッシュ・フローでプラスになる見込みらしい。これまでの販売台数は合計で100台程度になるそうだ。

Mobilizerなどの医療系スタートアップは、さまざまな付加価値を生み出すこともある。たとえば今回の場合は、経済的な効果もさることながら、病院という仕組みに関わるいろいろな人の負担を減らす一助となる可能性もある。Scanadu SCOUTTeddy the Guardianのような医療用携帯分析装置なども、医療分析を患者本人が行えるようにし、結果として不必要に医者にかかることを防ぐという効果も狙っている。

Mobilizerの場合、患者の血流面からの医療ケアを行うことで、患者の滞在時間を減らすことができ、そして余計な医療費支出を低く抑える効果がある。もちろん医療スタッフも、より効率的に仕事ができるようになる。

医療系テック企業はFDAの承認を得るのに苦労するケースも多いが、MobilizerはFDA 510(k)プロセス免除機器に分類されるもので、一定レベルの品質保証と登録申請を行っておくだけで市場に出すことができるものだ。

Bell曰く、Mobilizerをさまざまな診療科で用いることのできる「プラットフォーム」として育てていきたいとのこと。つまり種々の診療機器を搭載できるようにしようと試みているところなのだそうだ。また病院内に拘らずとも、家庭用の診療機器としての活用も考えられるだろう。また、他の医療系テック企業とのパートナーシップについてもいろいろと考えているところなのだそうだ。

「他企業との関係も深めていこうとしているところです。たとえばMobilizerに搭載するのに適切なサイズであるポータブル酸素吸入器などを開発している企業などと組めば、関係者全員にとってメリットのあるプロダクトを提供できるようになるでしょう」とBellは言っている。

この分野にもやはり競合はある。しかし未だに病院における標準的プロダクトは存在しない。たとえば患者の移動に際して、ある医療センターでは装置を乗せるのにRadio Flyer(訳注リンク:www.radioflyer.com)を使っていたり、あるいはテープを使って酸素吸入器を患者の身体に巻きつけたりしているそうなのだ。もちろんこうした方法は非常に危険なものではある。

未だにそうした医療機関があるという事実だけでも、Mobilizerのようなソリューションが必要とされていることを意味するのだ。

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(翻訳:Maeda, H)