KDDI∞Labo 4th Demo Day 100社から選ばれた全5社を紹介

 

本日、渋谷ヒカリエにて、KDDIが運営するインキュベーションであるKDDI∞Laboの4th Demo Dayが開催された。∞Laboの第4期は今年3月末からプログラムを開始し、各々のサービスを作り上げてきた。今期からは新たにHTML5の特徴を活かしたサービスを支援するための「HTML5枠」設けている。

それでは、100社以上の応募の中から選ばれたKDDI∞Labo第4期採択チーム5社をご紹介しよう。

リディラバ — TRAPRO(学生枠):ソーシャルアントレプレナー賞

社会問題は常に存在する。ホームレス、少子化、地球温暖化など様々な問題が身の回りにはあるはずだ。しかし、これらの問題が解決されることは少ない。なぜ解決されないのかというと、「問題が可視化されておらず、身近に感じることができないからだ。」とリディラバ代表の安倍敏樹氏はいう。

そこで、TRAPROは問題だと感じたことをユーザーが投稿し、それに関連する「スタディツアー」と呼ばれる社会問題が発生している現場へ行き、見学するためのサービスを提供する。ツアーに行ったユーザーは感想や現場の写真などをTRAPROへ投稿し、次のツアーに繋げていく。

TRAPROはこうして問題を身近に感じさせることだけではなく、問題解決までを目標としていて、ツアーからの売上のうち70パーセントを現場へ還元することで資金を送りこんでいる。

すでにTRAPROは利用可能で、いくつものツアーが成立している。

ヒトクセ — Smart Canvas(HTML5枠):ベストエンジニア賞

スマートフォンが一般化し、市場が大きくなるにつれ、アプリ開発者は増えてきた。プログラミングは無料のWebサービスを使ったり、勉強会に行けば習得できるようになっているから、アプリをリリースするまでの障壁は低くなったように感じる。

しかし、Smart Canvasはそれでもプログラミングは障壁が高いと感じ、もっと簡単にアプリを作れるようにした。こうしたサービスはすでにいくつか存在するし、∞Labo第1期の採択チームであるReargeもAndoridアプリを簡単に開発できるサービスを提供している。だが、Smart Canvasが特徴的なのはHTML5にこだわっている点だ。

HTML5のCanvas機能を活用し、多様なデバイスで利用可能な(Web)アプリを数分で作ることができる。画像やテキスト、アニメーションを設定できる他、if(もし◯したら△)、for(繰り返し)といった簡単なロジックも組める。

Smart Canvasで公開されたアプリには広告が挿入され、ここからの売上はアプリ作成者とSmart Canvasで分け合うことになっている。

現在はβ版として提供されており、9月中旬に正式版をリリース予定だ。なお、サンプルのアプリはこちらから確認できる。

ライフイズテック — mygrow:Create the Future賞

ライフイズテックは中高生向けのITキャンプを開催しているスタートアップで、開催回数を重ねるごとに参加者は倍々的に増えている。今年開催されたキャンプには総勢1,100名が参加したそうだ。

このキャンプを運営してきた経験などから、同社代表取締役社長の水野雄介氏は「学ぶことで一番難しいのは継続」であると感じたことからmygrowを開発したという。

mygrowは一緒に学ぶ仲間を作り、仲間と励まし合い、学んだ記録を残しながら個人の成長を手助けする。例えば、プログラミングを頑張っている人ならば、その様子や学んだことをmygrow内に記録する。その記録に対して仲間や友達が励ましのアクションを行う。

学習記録を残し、共有するという点ではミクシィから7,200万円を調達したクラウドスタディが運営するStudyplusに似ている。

水野氏によると、頑張ったことに対しての褒めてもらえ、それが記録として残り、さらに一緒に頑張る仲間が居ることが学びの継続にとって重要なのだそうだ。

mygrowはiOSアプリで提供される予定で、今年秋以降にリリースされる。

Euno–Kawaii Museum:Japanese pop culture賞

Tokyo Otaku Modeのように日本のポップカルチャーを紹介するFacebookページを運用し、現在390万いいね!を獲得しているのがKawaii Museum JPNだ。これまではFacebookページ上で”Kawaii”写真などを中心に投稿し、人気を得てきたが、独自のサービス「Kawaii Museum」を開始した。

Facebookでは写真を見るだけで、趣味の合う友達を見つけたり、そこでコミュニケーションを取ることが難しかった。そのため、新たにキャラクターコンテンツに特化したソーシャルサービスを作ったとEuno代表取締役社長の田中丈登氏はいう。

このサービスではキャラクターごとにコンテンツを閲覧・共有したり、そのコンテンツを連携しているECサイトで購入する機能などが備わっている。

6月21日のリリース後、約1カ月でユーザー数は3万人とのこと。とにかく、”Kawaii”キャラクター好きな人々が満足できる場所を今後も作り上げていくそうだ。

we-b — Class:Cool デザイン賞

名前の通り、Classは学生時代のクラスを体験するサービスだ。社会人になると、仕事で会う人は多くても、仲良くなる友達との出会いは学生時代に比べると減ってしまう人が多いという(ファウンダーの2人はサービスのアイデアを出している時に、自分たちに友達が居ないことに気付き、同サービスを思いついたそうだ)。

we-b代表取締役社長の真子就有氏はこの悩みを解決すべく、簡単にクラスを体験するためのClassを開発した。サービスに登録し、生年月日などの基本情報を入力すると居住地が近く、同い年のユーザーが集められたクラスが作られる。

このクラスにはバーチャルの担任の先生が付き、話題の提供をしてくれる。1日目は新学期の始まりと題して自己紹介から始まり、2日目は朝の挨拶やランチ時間に食べたものの写真をアップロードするなどしてコミュニケーションを取る。このようにして、ネット上ではあるが、学生時代のような感覚を味わえるSNSとなっている。

クラスは2週間限定で、最終日には卒業しなければいけないのだが、Classの目標は「リアルで仲の良い友達を作る」なので、この期間の間に気が合う友達を見つけてもらいたちとのこと。

テストユーザーの中には実際に皆で飲み会に行くこともあるそうで、クラスの全員が同い年という点が他のSNSとの差別化になっているようだ。

Classは9月初旬にまずはiOSアプリをリリース予定。

なお、Classは会場のオーディエンスがリアルタイムにお気に入りのサービスに投票し、No.1を決める「オーディエンス賞」にも選ばれている。

以上がKDDI∞Labo第4期採択チームだ。

今期を含め、これで19社が∞Laboのプログラムを卒業したことになるが、その内訳を見ると第1期のソーシャルランチ、giftee、animetalk、Qlippyを始め、スキコレ、Close、LogTown他、今期の5社中4社がソーシャル系のサービスであるのは興味深い。

今後もそのようなサービスを中心に採択するかは不明だが、第5期に興味のある方は一度採択チームをチェックしてみると良いだろう。∞Labo第5期の募集はすでに開始されており、応募期間は8月14日までとなっている。


「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「Stores.jp」のブラケットを完全子会社化 – 時価総額は約6億5000万円

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは「Stores.jp」などを運営するブラケットを簡易株式交換により完全子会社化したことを発表した。

スタートトゥデイはブラケットの1株に対し、350株を割当て、合計31万5000株を割当て交付している。スタートトゥデイの株価は現在(7月16日13時30分)2,071円なので、ブラケットの時価総額は約6億5,000万円となる。

プレスリリースによると、Stores.jpの店舗数は約4万を越え、その内70%以上はアパレルカテゴリー関連のストアだという。ストア開設者からの販売支援や物流サービスに対する需要が高まっていることなどを考慮し、両社のシステム基盤やサービス耐性を連携させ、さらに拡大成長を実現させたいとのこと。

ブラケットというと、最近はStores.jpが話題になることが多かった。昨年8月末にリリースされた同サービスはフリーミアムモデルで、4カ月後には黒字化、黒字化後は無料ロゴデザイン、ストアカード作成、段ボールの提供など、ストア開設者の満足度を向上させるべく、様々な取組みを行ってきた。

また、ブラケットは他にも様々なファッションサービスを展開していて、オンライン上で靴をデザインし、購入できる「Shoes of Prey」、モデルのマッチングサービス「ModelTown」、オンライン上でワンピースをデザインし、購入できる「PrivateRobe+」などがある(一覧はこちら)。

Stores.jp以外にもこうしたファッション系のサービスを多く展開していることから、スタートトゥデイとのシナジー効果は大きいだろう。

後ほど、今後の展開については取材してアップデートする予定だ。


日本のイベント切符販売のスタートアップ、PeatixがシリーズAのラウンドで300万ドル調達―アメリカとシンガポールに進出

東京に本拠を置くオンライン・チケット販売のスタートアップ、Peatixはフィデリティ・ジャパンがリードするシリーズAのラウンドを完了し、300万ドルを調達した。

PeatixはアジアのEventbriteを目指しており、各種イベントの主催者にチケットはんbプラットフォームを提供している。2011年5月のサービスのスタート以来すでに1万件のイベントを処理してきたという。

同社はちょうど1年前に100万ドルのシード資金を調達している。投資家は500 Startups、DG Incubation伊藤忠テクノロジー・ベンチャーズ、SurveyMonkeyのCEO、Dave Goldberg〔FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグの夫〕などだった。

500 Startupsと伊藤忠テクノロジーは今回のシリーズAのラウンドにも参加している。またフィデリティ・ジャパンのDavid MilsteinがPeatixの取締役に就任した。

今回の増資を機に、Peatixは海外への進出を行う。共同ファウンダー、竹村詠美取締役は家族ぐるみでシンガポールに移住するという。また今日からサービスをアメリカにも拡大する。日本、シンガポール、アメリカで社員を採用する計画だ。現在Peatixの社員は日本に20人、シンガポールに3人、ニューヨークに6人いる。

竹村氏はわれわれの取材に対し、来年には3万から5万のイベントを取り扱うべく計画していると語った。

シンガポールにはSisticという現地のチケット販売で圧倒的なシェアを誇る手強いライバルが存在する。Sisticは主要なイベント会場やイベント・プロモーターとの間で独占的な販売だり契約を結んでおり、 The Business Timesによれば、2010年にはシンガポール市場の60%から70%を押さえていたという。

竹村氏は「PeatixはSisticに正面から競争を挑むつもりはない。日本でもアメリカでも既存の支配的なチケット販売プラットフォームが存在する。Peatixは日本でこの2年間、そうした大手チケット販売会社と直接競争することなく成長を続けてくることができた。伝統的なイベントに適した既存のチケット販売ルートに乗りにくい、オンライン登録に適した非伝統的なイベントが膨大に存在するからだ」と述べた。

ここでいう非伝統的なイベントとは、インディーの主催者によって小規模な会場で行われる各種イベント、勉強会、パーティーなどだ。竹村氏によれば、こうしたイベントの数は急速に拡大しているという。

〔日本版〕シリーズA資金調達についてのPeatixのブログ記事はこちら。こちらはTechCrunch Japanによる紹介記事[jp]PeaTiXはクレジットカード課金でチケットを発行できるイベント作成・管理ツール。 

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


TechCrunch Japan編集長交代のお知らせ

2010年5月以来、TechCrunch Japanの編集長としてその職を務めてきたが、個人的な理由でこの職を退くことになったのでお知らせしたい。代わりに、新たな編集長を迎えることになった。

読者の方々には西村賢(@knsmr)という名前に聞き覚えがあるかもしれない。彼は直近の6年半ほどは@ITの編集記者としてニュース記事執筆や技術系連載の編集担当をしてきていて、副編集長を務めていた人物だ。@ITでは技術向けやいわゆる企業向けのエンタープライズ関連の話題についての動向を取材していたので、インターネットのビジネスを追いかけていた私とは趣が異なるかもしれない。本人曰くソフトウェア技術を追いかけていた記者なのだそうだから、よりテクノロジー向きな内容もTechCrunch Japanで取り上げられることになるだろう。

@IT以前もテクノロジー媒体の編集者として活躍してきたこの業界のベテランなので、TechCrunch Japanの新しい編集長として私以上にふさわしい人物であると考えている。今後は西村氏の手によって新しいTechCrunch Japanが作られていくことになるが、これまでとは違った新しい媒体の価値が形成されるに違いないと確信している。

なお、私ごとではあるが、これまでTechCrunch Japanでお世話になった方々にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。テクノロジー業界でもっとも影響力のある媒体の日本のローカルの小さな部分を担ってきたが、個人的には非常に刺激的な仕事であり、楽しい時間だったが、やり尽くしていないこともあって実際には心残りも多い。

ただ、もう何年もテクノロジーメディアの仕事をしてきていてそろそろ新しいチャレンジをしたいと考え続けていた。このタイミングが適切だったかどうかはわからないが、今回、編集長の座を降りることとさせていただいた。

今後はベンチャーキャピタリスととして日本のインターネットの産業の中やスタートアップとの関わりで活躍の場を作っていきたいと考えているが、引き続きTechCrunch Japanでの執筆活動は続けていく予定である。

いままで支えてくだった方々には心からお礼を申し上げるとともにこれからもTechCrunch Japanの応援をお願いしたく思っている。本当にどうもありがとうございました。


オンラインショップサービスのBASEがキュレーションモール型のiOSアプリをリリース

手軽にオンラインショップを開設できるBASEStores.jpは共に昨年のリリース直後から店舗を増やし、両者ともに現在は約3万店舗が登録されている。今年4月にStores.jpが段ボール、名刺、ロゴを無料でストア開設者に対して提供すると発表した際には本誌でも取り上げたが、その直後にBASEも同様のサービスを提供するなど、スタートアップ界隈ではこの2つのサービスの競争は話題になることが多い。

そしてBASEは今日、モバイルのユーザービリティの向上のため、iOSアプリをリリースした。アプリはここからダウンロードできる。BASEはデスクトップ版ではストアをまとめて掲載するようなモールはこれまで提供してこなかったが、アプリではカテゴリーごとにいくつかのストアをピックアップして掲載し、買い手側を主に対象ユーザーとしているようだ。

「ファッション」、「ハンドメイド」、「リーズナブル」など7つのカテゴリーを用意し、それぞれ約30店舗がまとめられており、アプリ内からそのまま商品を購入できる。また、ストア開設者の管理画面や出品機能も付いており、ストアの運営もこのアプリから可能だ(アドオン機能のいくつかはアプリからは設定不可)。

BASE代表取締役社長の鶴岡裕太氏によると、今でもトラフィックの約6割がモバイルからで、とりわけソーシャルメディア経由のアクセスが多いそうだ。だから、今まで良いモノを売っていながらソーシャルメディアでアクセスを上手く集めることができなかったストア運営者には嬉しい場となるだろう。

BASEはiPhoneユーザーが多いため、iOSアプリを先行してリリースしたようだが、Androidアプリも近いうちに提供予定だそうだ。

気になる直近のデータだが、店舗数は既述の通り3万以上、月間100万UU(ユニークユーザー)、流通額は月間数千万円で、店舗は1日に約500ほど増えているそうだ。人気のあるストアでは1カ月の売上が400万円から500万円ほどまで成長してきており、この規模のストアは少しずつ増えてきていると鶴岡氏はいう。

プレミアムアカウントでの課金により、すでに黒字化しているStores.jpに対し、BASEは今のところ積極的に収益化には動いていない。将来的には手数料やテーマのプレミアムテンプレートの販売などを考えているようだが、今年はあまり大きくマネタイズはしない方針なのだそうだ。


Canonの新デジイチ、EOS 70DはライブビューのAFが画期的に改善―インディーの映画製作者に理想的

キヤノンは長らく待たれて中級デジタル一眼レフの新機種EOS 70Dを発表した。これは60Dの後継機種で、スペック、価格の両面で入門デジイチのRebel(Kiss)シリーズの上位に位置する。60Dと比較して今回発表された70Dは動画撮影に大幅な機能向上が図られている。

キヤノンは70DにデュアルピクセルCMOS撮像素子によるオートフォーカスを導入した。このテクノロジーでは1画素に2個のセンサーを搭載することによって焦点合わせの高速化を実現している。AFはスムーズで正確になり、ライブビューで動画撮影を行う際に特に威力を発揮する。モニタは自由に回転させることができるバリアングル方式だ。静止画撮影のAF能力も改善されている。AF測距点は上位機種の7Dと同じ19点(すべてクロスタイプ)に改良された。しかしなんといっても、機能強化の中心は動画だ。

量産前のモデルだが、実機をテストしたEngadgetによれば、新AFは広告どおりの高性能ぶりを示したという。デジタル・ビデオの撮影にはキヤノンのSTMシリーズのレンズとの相性が特に良いらしい。その結果は驚くべきレベルだという。Kickstarterで資金集めをしているインディーの映画製作者にとっては70Dの出現は大きな朗報だ。

ISOレンジも拡大され、3インチの高精細度バリアングル・モニタにはタッチ・パネルが採用された。連射は毎秒7コマにスピードアップした。また上位モデルの6Dに採用されているWi-Fi接続機能も装備され、スマートフォンやタブレットからカメラを操作したり、ファイルを転送したりできる。

価格も度外れに高価ではない。ボディのみが1199ドル、 18-55mm IS STMレンズキットが1349ドル、EF-S 18-135 ISSTMレンズキットが1549ドルだ。キヤノンによれば発売は9月になるという。それ以後に製作が始まる Kickstarter映画の画質は大いに向上すると期待できそうだ。〔日本版:日本では8月29日発売予定で、ボディーのみの実勢価格は13万円前後と予想されている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


山田進太郎氏が新たに立ち上げたのはフリマアプリのメルカリ

山田進太郎氏がウノウをZyngaに売却したのはもう3年近く前のことになる。この間、ご存知のとおり、Zyngaの失墜により日本からZynga Japanが撤退するなど、ゲームやソーシャル周辺のビジネスはめまぐるしく状況は変わっている。だから、彼が新しく始めるビジネスがC2Cのコマースサービスであってもまったく驚きはしなかった。むしろ、流行のビジネスに取り組むのは彼らしいとさえ思っている。

彼はZynga Japanを去ったのち、少しブランクを開けて今年に入って新たなスタートアップKouzohを立ち上げている。そして満を持してリリースしたサービスは、C2Cのコマース、いわゆるフリマ(フリーマーケット)のサービスを提供するスマートフォンアプリのメルカリだ。すでにこのアプリはGoogle Playからダウンロードできるようになっている。

フリマアプリといえば、FabricのFrilが先行しているし、フィーチャーフォン時代にはショッピーズがその市場を確立し、いまではサイバーエージェントの毎日フリマLISTORなどいくつかのサービスが参入している状況だ。Frilは少し前の数字になるが、2013年3月27日付の日経新聞朝刊の報道によれば3月下旬で1日3300の売買が成立し、1品あたり平均約3,000円で取引されているというから、1日でおおよそ1,000万円の取引があると想像できる(これがホントならFrilは1日100万円の収入があることになる)。現在はこれよりももっと成長しているだろうから、スタートアップにとっては魅力的な市場であることはわかる。

これらのサービスの多くは若い女性をターゲットにしたファッション中心のサービスのようにも思える。メルカリももちろんこの分野をなぞるが、山田氏によれば、この市場に参入を決めたのは先行するサービスの成功ぶりだけを見ていたわけではないようだ。

たとえば、ヤフーオークションはその取扱高はおおよそ年間6,800億円弱程度と、ここ数年は変化していない。成長が止まった状態だ。それは、入札による値決めや煩雑なやり取り、月額の会員費、C2Cならではのトラブルなど、スピードや手軽さを求めているスマートフォン世代には敷居が高く、敬遠されがちな状況だと山田氏は考えている。ケータイ世代の台頭を背景に成長したDeNAのモバオクも同じくスマートフォンの台頭によって利用が減少している。既存C2Cのサービスが停滞しているからこそ、この市場に参入の余地がある。だから、扱うアイテムはファッションだけでなくオールジャンルにしたいと言う。

それだけでなく行き過ぎた経済発展によって、リソースが逼迫する中で、個人間取引が伸びるだろうとも語っている。そもそも山田氏は楽天の内定時に学生インターンとして楽天フリマの立ち上げに関わっていた。そんな経験も今回のサービスに乗り出したきっかけになっているようだ。


メルカリでは売り手はスマートフォンで商品の写真を撮影して、値段を決めてその説明を加えて投稿するだけで出品が完了する。買い手もクレジットカードなどの手段で商品を買えるようになっている。ただ、そこにはエスクローのような仕組みが入っていて、買い手は実際はメルカリ側に商品代金を支払い、商品が売り手から買い手に届いた時点でお互いにユーザーを評価し終えた時点で始めて、メルカリから売り手に入金されるようになっている。

手数料は出品した商品価格の10パーセントを売買成立時に売り手が支払うことを考えているが、スタート時の1、2カ月の間は無料にしている。決済にかかる手数料(クレジットカード手数料やコンビニ決済手数料など)もメルカリ側が支払うとしているので、現在のところ売り手も買い手も、いまのところ余計な費用はかからない。

メルカリは現在はAndroidアプリしかないが、数週間以内にiPhoneアプリもリリースされるという。山田氏はこのビジネスを日本で立ち上げた後に、早い段階で米国で展開したいと考えている。渡米経験のある彼は北米で使われるようなサービスを作りたかったと常々考えていた。Zyngaではそれはなし得ることができなかったが、北米で類似のサービスが大成功を納めていないことを考えると、もしかしたらメルカリにはチャンスがあるのかもしれない。


習い事の先生が見つかるcyta.jpの利用者はスマホがPCを抜く、今後の開発はスマホ一極集中へ

習い事の先生を探すサイトcyta.jpを紹介したのはもう2年前のことになる。順調にcyta.jpは成長し続けていて、彼らはこの8月には実際にcyta.jpでレッスンを体験する受講生の数は2万人になると見込んでいる。この間にサイトに大きな変化があったという。それは体験レッスンを申し込むユーザーのデバイスが、PCを超えてスマートフォンになったということだ。しかもスマートフォン版が用意されていなかったのにも関わらずである。

ビジネスをスタートさせた際にはわずか全体の11パーセントでしかなかったスマートフォンの割合が、いまでは45パーセントまで成長している。逆に70パーセント程度あったPCは45パーセントまでになっている。もちろん、これは相対的な値なので、全体としては数字は伸びているのだが、インターネットのビジネスと向きあう身としてはスマートフォンが台頭しているとはいえ、この数字は大きく感じる。

前置きが長くなったが、この特殊な事情を鑑みて今日からcyta.jpはスマートフォン版を公開して、スマートフォン版の開発に一極集中させるのだと、cyta.jpを運営しているコーチ・ユナイテッド代表取締役の有安伸宏氏は語っている。

そもそもここまでに行き着いたのには、彼が考える「サービスEC」というコンセプトがある。いわゆるECはモノを買うために最適に進化してきた。しかし、cyta.jpのように習い事の先生を探すといったいわゆるリアルの対面「サービス」を予約から決済できて成功しているものはいまだ数少ない。これをサービスECと位置付けて、今後は特定の場所で空いた時間にすぐに習い事ができるようなものへと進化させていたきたいと有安氏は考えている。

サービスECはたしかに目新しいものではない。彼がこのコンセプトを思いついたのは、グルーポンであったし、食べログのレストラン予約のcenaなどからヒントを得ている。とはいえ、集客から予約、決済、サービスの品質管理、ユーザーの書き込みによるCGMというサイクルを実現できているサイトは少ない。メディアとしての価値は高く集客はできるが、予約や決済ができなかったり、あるいは予約や決済は用意されているがメディアとしての価値が低かったりというケースはよく見かける。cyta.jpは結果的にこれを一気通貫して開発してきた。だからこのサービスECのコンセプトを推し進めて行こうということだった。

最近では既存のECサイトもモバイル向けの開発に熱心だが、サービスECではサービスを受けられる場所や時間がより重要になる。このためにモバイル向きのサービスということになるのだろう。

いまだ手付かずの状態にあるO2Oの市場にはサービスECのようなものは参入の余地が大きく残されている。ただ、一方で使う側はこういったテクノロジーに不なれな場合もある。cyta.jpはユーザーに向き合うだけでなく、先生(彼らはプライベートコーチと呼んでいるが)たちへの指導や彼らをモチベートする仕組みも秀逸だ。ユーザー側には見えないバックエンドへの開発も惜しみなく行われていることがこのビジネスの成功の鍵なのかもしれない。


東京のConyac(コニャック)は速くて安いソーシャル翻訳サービス–多層的リビューが売り

ソーシャル翻訳サービスは、お金のあまりない企業にとっても世界を小さくし、より対応しやすい場所にする。というわけで東京のConyacには、目標が二つある: 1)従来の翻訳代理店に代わる速くて安いサービスを提供し、2)日本のスタートアップの海外進出を助けること。

2009年にローンチしたConyac、今では翻訳者数が全世界から60言語1万名に成長している。料金は、単品が3ドルから、月額契約が100ドルからとなり、実質納期はたいていの場合、発注確定後1時間以内だ。

Naoki Yamadaが創業したConyac(cognacと同じ発音)の社名は、日本の人気漫画“Doraemon”に出てくる特殊なこんにゃくゼリーに由来している。それを食べると、世界のどんな言葉でも話せるし理解できるのだ。

クラウドソースで翻訳をサービスするサイトは、同じく東京のGengoOneHourTranslationをはじめ、いくつかあるが、Conyacはコミュニティによる多層的なリビュー過程に特長がある、とYamadaは言う。多層的というのは、結果がクライアントの手に渡る前にほかの翻訳者による評価が複数回行われる、という意味だ。また同社の翻訳者になるためには、最初に試験に合格しなければならない。


評価の良い翻訳者は、評価点が高くなり、翻訳の注文も多く舞い込むようになる。Yamadaによると、翻訳者が自分の仕事を評価される総回数は30回ぐらいである。また、特定の業界や分野が得意な翻訳者もいる。たとえば、Webサイトのローカライゼーションが上手、とか。

Conyac自身も、主に海外進出をねらう日本のスタートアップのためにWebサイトのローカライゼーションサービスを提供している。このサービスのユーザ企業の例としては、リアルタイムコラボレーションプラットホーム Nulabや、ニュース記事を多国語化するSD Japanなどがある。Conyacの翻訳者は、Webサイトだけでなくアプリケーションやソーシャルゲームなどもほかの言語へとローカライズし、またSEOのためのローカライズも行う。

今日までConyacは50万ドルの資金を、Skylight Consulting、Samurai Incubate、United、ANRIなどから調達している。社員は、20名が東京とサンフランシスコにいるが、もうすぐシンガポールとルクセンブルグにもオフィスを持つ予定だ。

Yamadaは、同社の今後の成長機会についてきわめて前向きだ。最初の2年間は売上ゼロだったが、昨年から月商5万ドルのレベルに達した。顧客の多くは日本の企業で、また翻訳者は日本在住がほとんど、一部、インドネシアやタイや中国などのアジア諸国にもいる。

“うちの翻訳のクォリティがもっと上がれば、今の翻訳代理店たちを完全にリプレースできる。それは、とっても巨大な市場だよ”、とYamadaは言う。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


SonyのSmartWatch 2はなかなか有望―PebbleやMetaWatch Strataと比較してみた

Sonyが出した最初のスマートウォッチはあまり評判にならなかった。私にしてもPebbleがKickstarterで資金調達に大成功して話題になったときにようやく思い出したくらいだ。しかしSonyは今日(米国時間6/25)、改良を施した後継のSmartWatch 2を発表した。

SmartWatch 2はPebbleや同じくKickstarterで資金を調達したMetaWatch Strataのライバルとなる。そこでこの両者と比較しながらSmartWatch2を検討してみよう。

プラットフォームのサポート

PebbleとMetaWatchはiOSとAndroidの両方をサポートしているが、SmartWatch 2は今のところAndroid携帯としか接続できない。Smartwatchの前のバージョンは自社のXperiaしかサポートしていなかったが、今回のアップデートで対象Androidデバイス一般に拡大された。これで実用性は少なくとも1000倍は向上した。なるほどiPhoneはサポートされていないが、実はiOSの課する制限のせいで、ライバル製品のiPhone用アプリはAndroid版より機能が限定されていた(iOS 7では改善された)。

バッテリー

バッテリー駆動時間はスマートウォッチ全般にとってもっとも重要な要素の一つだ。PebbleとMetaWatchは数日間もつことを当初からセールスポイントにしている。1回の充電でPebbleは「1週間以上」、MetaWatchでは「Strataが5日から7日」もつとしている。私の体験では、どちらも実際にはその下限だった。Pebbleの場合には下限(1週間)をやや下回ることあった。

.Sonyは「SmartWatch 2のバッテリー駆動時間はスマートウォッチの中で最長」と大胆な主張をしている。「Strategy Analyticsによって2013年6月13日に実証された」というのだが、節約して5日から6日という長さが本当に世界最長なのか疑問なしとしない。しかしライバルと同レベルのバッテリー駆動時間を確保していることは確かなようだ。

接続性

MetaWatch StrataはBluetooth 4.0のみだが、PebbleはBluetooth 2.1+EDR、4.0 Low Energy (LE) で接続する。これによってiOSとの接続では通知機能が拡張される。SonyのSmartWatch 2はBluetooth 3.0を使う。SmartWatch 2にはNFC機能があるがライバル2種にはない。NFC機能の有無はやはり軽視できない差だろう。

ディスプレイ

SmartWatch 2のみカラー・モニタを装備している。サイズは1.6インチ、220 x 176ピクセルだ。Pebbleはモノクロ、1.26インチ、144x 168ピクセル、MetaWatch Strataは一番小さく、モノクロ、1.16インチ、96×96ピクセルだ。StrataもPebbleも夜間用照明はあるもののバックライトはない。SmartWatch2はバックライト・モニタなので暗い環境でもはっきり見える。

しかもMetaWatch Strataは照明の具合によっては反射で画面がまった判読jできなくなることがある。Pebbleはおおむね場合、画面がはっきり見える。Sonyは「日光が当たっていても読める」としているが、直射日光が当たるような環境ではeインク以外の画面の視認性は悪いはずだ。

防水性

SmartWatch 2は「防滴性」がある。つまり小雨の中を歩いたり、顔を洗ったりしても大丈夫だという程度の防水性だ。Sonyでは水泳、入浴、魚釣りなどはしないよう求めている。また付属の時計バンドは防滴でも防水でもない。

Pebbleは海水、真水とも5気圧の防水仕様だ。水泳程度なら問題ない。Strataも同様に5気圧防水だ。この点では両者ともSmartwatchに明らかに勝っている。

アプリ

Pebbleはデベロッパー向けにAPIを公開しているが、実際のアプリの数はまだ少ないし、機能も限定されている。現在のところPebbleは時計機能以外には通知、デバイスでの音楽の再生コントロールくらいしかできない。MetaWatchではメール、カレンダー、Facebook、Twitterのアップデートが通知される計画だが、まだ実装されていない。サードパーティ・アプリについてはまったく情報がない。その他音楽再生、株価、カレンダーなど若干のウィジェットが用意されている。

SmartWatch 2は音声通話のコントロール(Pebbleにもあり)、通話ログ、メール、Gmail、Facebook、Twitter、その他の通知機能に加えて音楽再生のリモコン、カレンダー、天気、その他のアプリがデフォールトでインストールされている。スマートフォンのカメラのリモコン機能も面白い。Sonyはデベロッパーをアプリ開発に誘い込むためにも、さまざまなアプリをサンプルとして用意したのだろう。

充電

小さなことだが、SmartWatch 2はmicro USBで充電できる。PebbleとMetaWatch Strataが独自の規格のケーブルを使っているのに比べて優れた点だ。

結論

これらのスマートウォッチのどれかがすぐにも大ブレークすることはなさそうだ。しかしSonyの新製品は改良の努力が十分に見てとれる。またPebbleとMetaWatchという先行のライバルの欠点をよく研究している。現時点での購入者はアーリーアダプター層に限られるだろうが、Smartwatch2は少なくとも納得のいくプロダクトになっている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


パーソナルニュースリーダーのVingowが「自動ニュース要約」機能を開始

Vingowは好みのタグを登録(SNSアカウントから分析してリコメンドも可)しておくと、それに関連したニュース記事を配信してくれるサービスだ。2011年末にβ版をリリースして以降、順調に成長しており、現在は約7万人がこのアプリを利用している。

このVingowが新たにニュース記事の自動要約機能の提供を開始した。自動要約といえば、今年3月にYahoo!が買収したSummlyや4月にGoogleが買収したWaviiが有名どころだろう。だが、これらのサービスは日本語には対応していなかったため、アプリ上で日本語のニュース記事を自動要約することは初となる。

Vingowの要約文は3つの文で構成され、本文中から重要な内容を抽出し、合計200字程度で表示してくれる。どのように要約文を構成しているのかは詳しく教えてもらうことは出来なかったが、元々Vingowが使用している本文抽出エンジンを利用し、文章の特徴的な箇所をスコア付けすることで、どの部分が重要かを判断しているようだ。

日本語は英語と違い、単語と単語に区切りがないため言語処理は難しいが、今のところ全体の記事に対して約70パーセントは上手く要約できているとVingowを運営するJX通信社代表取締役社長の米重克洋氏はいう。※記事下部に実際の要約文を掲載した。

米重氏は今回の要約機能によって、モバイルでの情報収集を効率化したいという。モバイル環境からのインターネット・トラフィックは、世界全体で15パーセントを占めるほどに成長してきており、大画面のPCに比べ小さな画面で情報量の少ないモバイルでは、今後ますます効率化が求められている。

モバイルだけではなく、単純にニュース記事の要約・短縮は重要視されているようで、英紙ファイナンシャルタイムズも先日、ニュースを短文で発信する「FastFT」をローンチするなど、ここ最近はこうしたトレンドが目立つように思える。

Vingowのユーザー数は直近2カ月で250パーセント成長しており、今回のアップデートにより、さらに成長を加速させていきたいと米重氏はいう。テストユーザーの利用実績では要約機能を追加後、アプリで読む記事本数が数倍に増えているそうだ。

今後は本文抽出エンジンの改善をするとともに、いくつか新しいアップデートを予定しているとのこと。

※実際の要約文

「FacebookがとうとうTwitter式ハッシュタグを導入する–さらに新機能を準備中」

“私が「友だち限定」の投稿にハッシュタグを含めたとすると、そのハッシュタグ検索で記事を読めるのは私の友だちに限定される”

“ハッシュタグ検索結果やハッシュタグ・フィードから直接あらたな投稿ができる”

“「ハッシュタグをクリックするとそのハッシュタグを含むニュースフィード中のコンテンツを読むことができるようになる」と述べている”


会計事務所向けクラウドシステムのA-SaaSが総額6億円超の資金調達を実施

アカウンティング・サース・ジャパン(以下、A-SaaS)は会計事務所向けのクラウドSaaSシステムを提供している。会計事務所業界は40年程前からコンピュータ化に先駆的に取り組んできた業種であるが、クラウド化に関しては遅れている点を同社は解決しようとしている。

このA-SaaSがセールスフォース・ドットコムグリーベンチャーズモバイル・インターネットキャピタル、既存株主(個人株主)から第三者割当増資で総額6億2500万円を調達した。

A-SaaSは今までは事務所内のPCサーバーや専用機サーバーにあった財務、税務の業務ソフトや顧問先のデータを全てクラウド上で管理する。冒頭でも述べたが、会計事務所業界はクラウド化が遅れているそうで、既存のソリューションではハード・ソフト双方のコストが高くついてしまうし、クライアントと顧問先でデータを共有することにも手間がかかるなど、不満な点が多いとA-SaaS代表取締役社長の森崎利直氏はいう。

そこで、A-SaaSでは会社設立から4年間クラウドによるSaaSシステムの構築に取り組んできた。クラウド上でリアルタイムにやり取りでき、コストも削減できる。現在では会員登録ベースでは1,350件、アクティブに利用しているユーザー(会計事務所)は550件となっている。他のBtoB向けサービスと比べると4年で550件と聞くと、少なく感じてしまうかもしれないが、サービスの特性上、会計事務所がシステムを移行することに時間がかかることに加え、買い替え時期の関係もあることは考慮しておきたい。なお、営業活動をした会計事務所は1万3,200件だというから、そのうちの10パーセント以上が会員になっている。

今後の展開で気になるのは競合との差別化だ。会計事務所向けのサービスを提供している競合としては上場企業であるTKC、JDL(日本デジタル研究所)、MJS(ミクロ情報サービス)などが主である。

だが、森崎氏はこれらの企業がA-SaaSのようなクラウド型のシステムを構築できるか疑問であるという。というのも、彼らがすでに数十年にわたり積み上げてきたものに加えて新たにシステムを構築するとなると二重投資しなくてはならないし、既存の顧客と価格帯の隔たりがあり、この状況で今の収益が成り立っている。そのため、その5分の1ほどの料金で利用できるA-SaaSのような仕組みにすると収益構造がガラっと変わるため、難しいのではないかと森崎氏は予測する。

とはいえ、現状のマーケットでは上記の大手3社が全体の7割から8割ほどのシェアを占めている業界だから、A-SaaS側としてもこれまで慣れ親しんだものから乗換えてもらうには大変だろう。

ユーザーにとって、スタートアップが提供するクラウド上で企業内情報を取り扱うサービスに乗換える際の大きな懸念点の1つはセキュリティだろう。この問題に関して、今回のセールスフォースとの資本業務提携は大きな意味をもつという。セールスフォースはクラウド領域のパイオニアであり社会的な信頼も厚い。そして、A-SaaSは独自に開発していたプラットフォームからセールスフォースのクラウドプラットフォームであるForce.comへの移管をすることで、セキュリティという懸念点は大幅に改善されることになるだろう。

今回調達した資金をA-SaaSのシステム完成に向けての開発費や、プロモーション、Force.comへの移行に伴いカスタマーサポートの人員などに充てるという


中国から初めてYCに採択されたStrikinglyはシンプルなモバイルサイト作成ツール

少し前の話なるがInfinity Ventures Summit(IVS)で、この春にY combinatorを卒業したウェブサイト制作ツールのStrikinglyのCEOのDavid Chen氏と話をする機会を得た。Strikinglyはローチン後6カ月経つサービスだが、すでに数万のユーザーがいて、日本でも多くのユーザーを獲得しているのだという。IVSが開催された日にはちょうど日本語版がベータ版としてリリースされている。

ウェブサイト制作ツールなんて何度も登場してきているから今さら何をという気もするかもしれない。実際、彼らはY combinatorに採択されるために挑戦はしては見るものの一度は落とされている。だが、彼らのウェブサイト制作に対する取り組みはこれまでのものとは一線を画している。Strikinglyはとにかく目指しているのはシンプルさ、だ。これはスマートフォンやスマートデバイスでのウェブサイトに焦点を当てているためだ。シンプルだからStrikinglyで作れるサイトのページ数はたった1ページだ。でも驚かないで欲しい。これで十分にウェブサイトの機能を果たしているのだ。

ユーザーになってみればすぐわかるのだが、シンプルではあるがテンプレートは十分用意されていて、画像や見出しや文章などは直感的に編集できるようになっている(下画面参照)。なにせ1ページを編集するだけだから構造は簡単で、複雑な操作は必要ない。Chen氏いわく10分から15分でひと通りのサイト作成ができるようにしているという。できたページはPCやマックのブラウザーでは当然のようにきれいに表示される。ただ、本領を発揮するのはスマートフォンやタブレットでのブラウザー表示だろう。タッチデバイスでの操作は1ページで構成されているサイトのほうが扱いやすいのがよくわかる。


Chen氏はデスクトップとモバイルウェブサイトは違うものだという。だから、スクロールさせるようなスライド形式のサイトとして、モバイルに特化したユーザーインターフェイスにしたのだそうだ。いまのところはモバイルにフォーカスしていて、PCのデザインは今後考えていくという。

Strikinglyは中国本土から応募して初めてY combinatorに採択されたチームなのだそうだ。現在は北京に拠点を置いてサービスを開発している。目下のところ人材獲得に勤しんでいるようだが、中国初のY combinatorチームだから採用には事欠かないだろういうことだった。

現在のところ、Strikinglyでサイトを作るにはPCのブラウザーでの操作が必要になる。スマートフォンからのページ作成はできないようで、対応は考えているとのことだったが、すぐには実装される気配はなかったが、フィーチャーフォン時代のときの日本のモバイルサイトの隆盛を振り返って考えてみると、モバイルサイトを多くのユーザーに作成させたいならスマートフォンだけでサイト作りを完結できるほうがいいのだろう。


日本の楽天、ロジスティックスのWebgistixを買収―アメリカでAmazon Primeなみのサービス提供へ

日本の巨大eコマース企業、楽天はアメリカの有力なロジスティクス・サービス、Webgistixを買収する。同社はeコマース業者に対して商品の保管、受注、発送などを代行するいわゆるフルフィルメント・サービスを提供している。楽天にとってWebgistixは日本国外でのロジスティクス関連の買収としては2件目になる。買収金額等の詳細は明らかになっていない。

Webgistixは2001年に創立された。提供するサービスは受注処理から在庫管理、配送の最適化までeコマースのロジスティックス全般に及ぶ。同社はアメリカ国内に戦略的に配置された独自のフルフィルメント・センターのネットワークを構築しており、アメリカのeコマースの顧客の98%に対して1-2日で配送を実行することができる。

一言でいえば、WebgistixはアメリカにおけるAmazon Primeに対する楽天の回答だ。Webgistixは利益をあげており、過去に1度だけ外部資金を調達している(金額は不明)。

楽天はウェブとモバイルでさまざまなサービスを提供しているが、メインとなるのは日本最大のオンライン通販サービス、楽天市場だ。楽天は売上高で世界最大のeコマース企業の一つであり、アメリカを含む20カ国で活動している。

ここ数年、同社はいくつかの興味あるM&Aと投資を実施してきた。イギリスのPlay.com、Buy.com(現在Rakuten.com)、Kobo、そして今年はGrommetを買収している。昨年、楽天はPinterestの1億ドルの資金調達ラウンドのリーダーを務めた。

ロジスティクスとフルフィルメントのインフラを構築するのはeコマース企業にとってきわめて優先度が高い。2012年8月、楽天物流は楽天市場の出店者向けに「楽天スーパーロジスティクス」の提供を開始した。これは受注処理、商品仕入れ、在庫管理、梱包、出荷、顧客サポート、さらには販促活動まで提供する総合的なフルフィルメント・サービスだ。2012年11月に楽天は倉庫のオートメーション・システムを提供するフランスの企業、Alpha Direct Servicesを買収し、ヨーロッパと日本でのロジスティクスの機能強化を図った。

楽天の三木谷浩史会長は「アメリカのRakuten.comの出店企業に対し、今後はWebgistixが倉庫の管理とフルフィルメント・サービス全般を提供していく。われわれの目標は出店者が世界のどこにでも商品を配送できるようなネットワークの構築だ。出店者に最大限の能力を与えることを楽天は重視している。だから楽天市場では出店企業が自社のページを自由にカスタマイズできる。次に強化を必要とする部分はロジスティクスだと考えている」と語った。

Webgistixのファウンダー、CEOのJoseph DiSorboは「われわれはアメリカ全土に2日以内に配送を実施できる。このサービスはAmazon Primeの直接のライバルだ。われわれが参加することによってRakutenのプラットフォームはAmazon Primeに匹敵する能力を獲得することになる。Amazonが強力な競争相手であることは確かだが、世界市場を考えた場合、まだ勝敗は決まっていない。楽天はAmazonとは異るアプローチで出店企業にメリットを与える」と述べた。

三木谷浩史率いる楽天がAmazonと互角に戦えるかどうか、今後に注目だ。しかし楽天がアメリカでの市場シェアとテクノロジーを獲得することにアグレッシブであるのは確かだ。昨年の楽天の売上は50億ドルでモバイル分野での成長も目覚ましい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ユーザー行動分析ツールを提供するpLuckyがCAVから資金調達を実施

Webサービスやアプリを運営する上で、ユーザーの行動を分析することは重要だ。ログイン後にある特定のアクションをしたユーザーの継続率が上がるとわかるのであれば、そのアクションへ誘導した方が良いだろう。ゲームであれば、登録3日後の利用率が激減してしまっているのであれば、その前に継続的に利用してもらうためのボーナスを与えるのも良いかもしれない。

このようにデータを取得し、サービスの改善に繋げることは現代では当たり前になっているが、自前でツールを作成することは時間がかかるし、難しい。だから米国ではmixpanelのようなツールが人気だし、その需要を見込んでSequoia Capitalなどが出資をしている。そして、日本でも同様にユーザー行動分析ツール「SLASH-7 」を提供するpLuckyがサイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施したことを発表している。額面は非公開だ。

SLASH-7はクローズドβで運営されているので、まだ知らない方も多いだろう。このサービスはユーザーの属性と行動を紐づけて、詳細に分析してくれるものだ。特徴的なのはユーザー1人1人を区別し、彼らの行動を細かく追って分析する点だ。

Google Analyticsでは全体的なユーザーのフローや、DAU、MAU、PVといった基本的な指標は分析できるものの、ユーザーのアクションを分析することに関しては適していない。一方SLASH-7では個々のユーザーに焦点を当てている。

例えば、ゲームの場合、レベルごとにユーザーの行動を分析することもできる。レベルが10と50のユーザーがログイン後にどのような行動をするのか、レベル10のユーザーはレベルアップのためにすぐにミッションを行い、レベル50のユーザーはミッションにはもう興味がなく、仲間とコミュニケーションを取りたがっているかもしれない。

こうした行動を分析した上で、最終的にどのタイミングでユーザーが課金しているのか、どのくらいの頻度・期間で利用してもらえれば課金へ繋がるのかといった最重要指標のコンバージョンを向上させるための施策を考えることが重要だという。

また、SLASH-7では流入経路ごとの分析も可能だ。Facebook上でのキャンペーンやゲーム情報サイトに広告を打ったりなど、様々なプロモーション方法があるが、どの媒体から獲得したユーザーが一番継続的に使ってくれるのかを知ることでその後の戦略に役立てることができる。

こうした機能の多くは前述のmixpanelでも提供されているが、差別化の要因としてはSLASH-7は料金が安いことがあげられるとpLucky代表取締役社長の林宜宏氏はいう。SLASH-7はGoogleの「Google BigQuery」というビックデータの分析テクノロジーを導入することで、ソーシャルゲームのように大量のデータを取扱うサービスでも低価格で利用できるようにしているという。

料金体系は月額9,800円、29,800円、128,000円とデータ量応じて変わるが、多くのサービスは9,800円のプランで足りるそうだ。

今後は一般公開に向け、人材を強化し、サービスの開発を進めていく。


和製githubなどエンジニア向けのコラボレーションサービスcodebreak;がオープン

高所得者層向けの転職サイトを運営するビズリーチが、新たにエンジニア向けのコラボレーションサービス「codebreak;(コードブレイク)」をオープンした。codebreak;にはGitホスティングサービスのgitBREAKや招待制のミートアップ・交流会を開催できるcafeTERIAといったサービスが用意されている。

codebreak;には今後もエンジニアに役立つサービスを追加していく予定だが、第一弾として上記の2つのサービスがリリースされた。

gitBREAKはgithubbitbucketのようなgitレポジトリを提供する。特徴的なのは、サービスの利用は全て無料という点だ。githubはプライベートレポジトリ数に制限をかけているし、bitbucketはオープンなレポジトリの人数に制限をかけ、制限を越えると有料としているが、gitBREAKでは利用料を払う必要は無い。また、このサービスに関しては今のところマネタイズする予定はないそうだ。

ビズリーチは今までに高所得者層向けの転職サイトBIZREACH、昨年ジャフコから5億円を調達した高所得者層向けECサイトのLUXA*といったサービスを提供してきたが、なぜ今回エンジニア向けのサービスを提供することになったのか。(*LUXAはビズリーチから分社化された)

ビズリーチ代表取締役社長の南壮一郎氏は「自分がインターネット企業を作る上で一番苦労したのは良いエンジニアと出会うことだ。ITが普及してきているのに、良いエンジニアの数はあまり増えていなことは問題だと感じ、解決したいと思った。」と語る。

南氏はエンジニアがもっと情報共有をして、コラボレーションすることで、さらに良いITエンジニアが増えるのではないかという。

エンジニア向けのサービスではQiitaのような知識を共有するものもあるが、gitレポジトリを始めに選んだのは「自分たちが一番困っていることは他のエンジニアも困っていると思ったからだ。」とビズリーチCTOの竹内真氏はいう。既述の通り、世界のサービスを見ても成果物を無料で保存できる場所がないため、自分たちで作ったのだそうだ。

またcafeTERIAは企業等の主催者がエンジニアを招待してミートアップを開催するためのサービスだ。オープンな勉強会は参加者の中で一番スキルの低い人に合わせることが多く、スキルの高い人にとって有益な情報というのはあまり無いことがある。だから、招待制にすることでエンジニアのレベルに合ったミートアップを開催し、価値の高い情報を提供してもらいたいという。

今後はgitBREAKやcafeTERIAの他にも、エンジニアを支援するサービスを提供し、エンジニアが集まりコラボレーションできる場を作り上げていく予定だ。


音声素材のクラウドソーシングVoip!を提供するGroodがEast Venturesから資金調達を実施

ソーシャルゲームを中心に、スマートフォンアプリのリッチ化が進む中、差別化要因として音声が重要視されてきている。しかし、声優業界は年功序列で若い人達が仕事を受注できないことが多く、トップ層ばかりに仕事が舞い込み、単価が高くなってしまうことに加え、1人の声優がこなせる案件数が限られているので、良い声優を見つけることも難しい。

このようなニーズに応えるべく今年1月にリリースされた音声素材のクラウドソーシングVoip!を運営するGroodがEast Venturesから資金調達を実施したことを発表している。額面は公表されていないが、小額の調達のようだ。

Voip!は発注者が欲しいセリフとキャラクターイメージなどを伝え、声優が自分で収録しファイルをアップロードする。リリースから約4カ月が経過し、1500人以上の声優が登録しているのだが、驚くのはその応募状況だ。

ある案件では220個の音声を募集したところ、約250人の声優が合計6,000個もの音声が提出されたそうだ。平均して1人あたり20個以上もの音声を提出していることになるが、本当にこれだけ提出するのかと疑問に思ったが、声優志望の方が多いことに加え、案件の報酬額も妥当なのでこれだけ応募があってもおかしくないそうだ。

では、実際に応募されている音声の質はどうなのだろうか。以前の記事でもお伝えしたが、私の感覚では普段ゲーム内で聞いている音声と比較しても劣るとは感じなかった(今回は特別にGrood代表取締役社長の原口悠哉氏がサンプル音声を提供してくれた:女性キャラクター、告白フレーズ)。

また、実際に稼働している案件はやはりソーシャルゲームが多いそうだが、サービスを開始してから意外なニーズが見えてきたと原口氏はいう。それは教育系のサービスだ。原口氏によると、教育系のコンテンツ、特に子供向けは注意を引いて興味を持ってもらうことが大事で、音声がよく使われるそうだ。

音声素材が重要視されて来ていると冒頭で述べたが、その根拠としてはサイバーエージェントが提供している「ガールフレンド(仮)」は”きみの声が、僕を強くする”、”声が出る♪学園カードゲーム”というキャッチで宣伝しており、決算資料によるとこのゲーム単体で月商8.6億円分のゲーム内通貨が利用(無料配布分も含む)されていることがあげられる。他にもMobage上で展開されているCygamesの「神劇のバハムート」も今月1日に音声を実装しているし、自分が選んだ本をキャラクターが朗読してくれる「朗読少女」というアプリが100万ダウンロードを突破している。

原口氏は音声を入れることで、よりアプリの世界観を伝えられるようになるため、需要が増してきていると分析している。

今後は今回の資金を主に人材に充て、ディレクションの効率とサービスの質を高めていくそうだ。


Squareが日本で供用開始: Dorsey曰く, 日本の美をSquareは元々共有

特殊なクレジットカード読み取り器(“カードリーダー”)を使って携帯からの支払サービスを提供するSquareが、日本でのサービス提供開始発表した。北米以外の国としては初めての海外進出である。日本ではiPhoneの人気が高いので、Squareの進出がふさわしいとも言える。同サービスは最初iOS上でローンチし、その後Androidでも使えるようになった経緯を持つ。

ただし日本はモバイルの支払サービスがNTT docomoKDDIなどの手により、すでに広く厚く普及している市場なので、Squareが楽勝とは行かない。Squareの最大のライバルであるPayPalも、モバイル事業者のSoftbankなどをパートナーとしてすでに日本に定着している。この市場でSquareに商機があるとすればそれは、Jack Dorseyの言うSquare美学だろう。Dorseyは、日本をアジアで最初の国として選んだのは、Squareのデザイン重視の姿勢がそうさせたのだ、と言っている。

“Squareをデザインとイノベーションと伝統の歴史のきわめて厚い国にご紹介できることを、誇りに思う。Squareは日本の歴史が持つ価値と同じ価値を共有し、製品のあらゆる細部にこだわっている”、とSquareのCEOで協同ファウンダのJack Dorseyは言っている。

SquareのiPhoneとのご縁も、日本では力になる。日本のスマートフォン市場では、Apple製品がいまだにAndroid製品に勝っているのだ。Kantarのデータによると、iPhoneのマーケットシェアは66%、対してAndroidは32%だ。

Squareはこれまで、海外進出に関しては慎重だった。同社はつねに、海外進出の具体的なスケジュールはない、と言っていた。これまでで唯一の“外国”といえば、昨年10月にローンチしたカナダだ。しかしそのときには、次はアジア進出だろうという憶測が各所でささやかれた。

グローバル化に関してはマイペースのSquareも、PayPalに対抗するための技術革新や新機能の導入には積極的だった。たとえば今週の初めには、支払をメールで送れるSquare Cash機能をベータでローンチした。また最近では、Googleの中小企業担当営業部長Francoise Brougherをスカウトして、彼女を企業顧客開拓部門のトップに据えた。彼女はSquareで、カスタマサポート、パートナーシップ、国際展開などを担当することになる。

Squareは日本進出に際して、Sumitomo Mitsui Card Corporation(SMCC)とパートナーした。同社は、日本にVisaを導入した企業だ。

Square Readerによって企業はモバイルデバイスからのクレジットカードによる支払を受け取ることができる。その使用料は、ユーザの支払額の3.25%である。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モバイル決済のSquareが日本でもサービス開始–三井住友カードと提携、1000万ドルの資金調達も実施

北米でモバイル決済サービスのパイオニアとして成長を続けているSquareが日本でのサービス提供を開始した。Squareはスマートフォンやタブレットのイヤホンジャックに小さなカードリーダーを挿入し、アプリをダウンロードするだけでクレジット決済を可能にするサービスだ。利用は決済手数料3.25パーセントを除き、全て無料となっている。

すでにアメリカとカナダを合わせると420万の加盟店が利用しており、年間の取扱い金額は150億ドルだという。ユーザー層は幅広く、飲食店はもちろん、そのシンプルさゆえに医師やゴルフクラブなど様々な事業に利用されているそうだ。

同社が北米意外に進出するのは日本が初めてである。SquareのCEOジャック・ドーシー(Twitterの共同創業者でもある)は日本の事業の99パーセントは中小企業や個人事業主であり、彼らの商取引をシンプルにし、事業の成長を後押ししたいと語った。

Squareの利用方法は簡単で、専用のアプリをダウンロードし、利用申請をすればカードリーダーが送られてくる。これですぐにクレジット決済に対応できるようになる。支払いをするユーザーはカードリーダーにクレジットカードを通し、デバイス上でサインをする。レシートや領収証が欲しいユーザーにも応えてSMSやメールで送信してもらうことも可能だ。

また、単にクレジットの決済に対応するだけではなく、SquareはPOSレジの機能も提供しており、売上データを詳しく管理できる。ジャック・ドーシーによると、例えば雨の日の売上はどのくらい減少するのかといったことも簡単にわかるそうだ。

Squareはこの他、”Square Wallet”というサービスも提供している。これは事前にアプリをダウンロードし、クレジットカードと顔写真の情報を入力しておくと、加盟店での支払い時に名前を伝えるだけで支払いが終る優れものだ(お店側は専用アプリで顔写真をチェックし、本人か確認する)。Square Walletはまだ日本で提供されていないが、今後提供予定だ。

今回Squareの日本進出にあたり三井住友カードが提携したのだが、それと同時にSquareに1000万ドルを出資したと三井住友カード代表取締役社長の島田秀男氏は発表した。

島田氏によると、3.25パーセントという決済手数料のレートはかなり低いのだが、この数字を実現できたのはICTを駆使してトランザクションコストを下げられたからだという。他のモバイル決済サービスを見てみるとソフトバンクと提携したPaypal Hereが5%、クレディセゾンと提携した国産のCoineyが4%となっており、Squareが手数料に関してはリードしている。


ミクシィが学習管理サービスStudyplusのクラウドスタディに7200万円を出資

ミクシィが本日、クラウドスタディへ7,200万出資したことを発表した。また、ミクシィは同時に、クローズドSNSのCloseなどを運営するREVENTIVEへの出資も発表している。

クラウドスタディは学習管理サービスのStudyplusを運営している。このサービスは講師と生徒、サービスとユーザーといった学習サービスではなく、学習を管理するためのものだ。

サービスに登録後、勉強に使っている教材やアプリを入力する。その後はその教材をどれだけ勉強したかユーザーが記録をつけ、可視化されにくい勉強の成果をグラフで表示する仕組みとなっている。

StudyplusにはSNSとしての側面もあり、ユーザー同士で勉強の成果に対してコメントを残したり、「いいね!」といったアクションを起こせる。お互いに励まし合える点が良い。

クラウドスタディ代表取締役社長の廣瀬高志氏はStudyplusが他のサービスと違うのは匿名性だという。

Studyplusは高校生や大学生のユーザーが多く、大抵のユーザーは自分が何を勉強しているか友人に知られたくないそうだ。そのため、匿名性にして、このサービス内だけの関係(勉強仲間)を作ってもらうことで友人を気にすることなく勉強記録を投稿してもらえるという。

現在Studyplusのユーザー数は約13万人で、サービス上に投稿される勉強記録の数は月間100万件ほどだ。DAU(デイリーアクティブユーザー)が1万2,000人だというから、毎日3件から4件ほどの勉強記録が投稿されていることなる。

こうして蓄積された勉強記録は有益なデータベースになると廣瀬氏は語る。例えば東大に合格したユーザーが使っていたテキストは何で、毎日どれくらい勉強していたのかといった情報や、どのくらいのペースでテキストを勉強し終えれば良いのかの参考にもなる。これは高校や大学受験だけではなく、社会人の資格取得にも使える。

Studyplusのように学習の管理面にフォーカスしたものは珍しいが、廣瀬氏は「ジョギングなどは継続するためのツールが存在するが、勉強に関してはない。勉強はマラソンに似ているので、記録を可視化してあげることで継続に繋がると思った」と語った。

今後は他の学習系サービス/アプリにAPIを提供し、それらを使って勉強すると自動的にStudyplusにログを残すことや、外部と連携しながら学習コンテンツの提供も検討しているという。