楽天は9月30日、同社のモバイル回線サービス「Rakuten UN-LIMIT」の5G回線対応の料金プランを発表した。
「Rakuten UN-LIMIT V」は提供中のRakuten UN-LIMITと同額の税別月額2980円で、4Gに加えて5Gの回線を使える。300万名までは1年間の月額料金が無料のキャンペーンも継続する。
Rakuten UN-LIMIT Vは、本日15時30分からウェブサイトもしくは楽天モバイルの店舗で受け付け開始となる。詳細は追ってアップデートする。
楽天は9月30日、同社のモバイル回線サービス「Rakuten UN-LIMIT」の5G回線対応の料金プランを発表した。
「Rakuten UN-LIMIT V」は提供中のRakuten UN-LIMITと同額の税別月額2980円で、4Gに加えて5Gの回線を使える。300万名までは1年間の月額料金が無料のキャンペーンも継続する。
Rakuten UN-LIMIT Vは、本日15時30分からウェブサイトもしくは楽天モバイルの店舗で受け付け開始となる。詳細は追ってアップデートする。
The Japan Timesの報道によると、日本の大手Eコマース企業である楽天は、来月の契約満了時にWeWorkとの契約を更新しないことを決定したという。楽天は東京都内で約700のデスクをリースしていたが、現在はフィンテック部門の従業員を自社の新しいオフィスに移す計画を立てている。
WeWorkと楽天はこの件に関するコメントを拒否している。
東京にはWeWorkの最大の出資者であるソフトバンクの本社がある。同社は昨年10月、WeWorkの財務上の安定性と共同創業者で前CEOのAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏の行動への懸念がIPOの延期につながった後、救済措置の一環としてWeWorkの所有権を取得した。
ソフトバンクとの密接な関係もあって、WeWorkは日本での顧客数が多いが、Japan Timesの報道によると新型コロナウイルスのパンデミックにより、稼働率が約60%減少したという。
こうした問題にもかかわらず、ニューマン氏の辞任後にWeWorkの会長に就任したソフトバンクグループの最高執行責任者(COO)であるMarcelo Claure(マルセロ・クローレ)氏は今月にFinancial Timesに対し、積極的なコスト削減策により同社は来年末までに営業黒字化を達成する目標に向かっていると述べた。
多くのテナントがリースを解約したり、家賃の支払いを止めたりしたため、WeWorkの第2四半期の収益は横ばいだった。しかし、従業員が自宅で仕事を続けているために、その居住地に近いサテライトオフィスとしてWeWorkのスペースをリースし始めた企業もあるという。
[原文へ]
(翻訳:塚本直樹 Twitter)
楽天は8月2日、片付けコンサルタント「こんまり」こと近藤麻理恵氏のプロデュースを手掛けるKonMari Mediaの株式過半数を取得。パートナーシップ契約を締結したことを発表した。
関連記事:Netflixスターの片づけエキスパート「こんまり」が40億円超の資金調達へ
楽天によると、片付けを通じて自分の内面を見つめ直すという本質を追求する姿勢「こんまりメソッド」に共感(ときめく、Sparkle Joy)し、過半数の株式取得に至ったとのこと。今後近藤氏は、楽天社内の片付け習慣を監修・推進する「Joy Ambassador」に就任する。
近藤氏は、2014年に拠点を米国に移したあと、2018年には「数百万ドル台の低いほう」の調達ラウンドを米名門VCであるSequoia Capitalのリードで完了。今年3月には4000万ドル(約42.8億円)の資金を調達すべく、ベンチャーキャピタルと交渉中であることが明らかになっていた。2019年1月からは、Netflixの番組「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」で米国での人気が沸騰。著書「人生がときめく片付けの魔法」シリーズは世界40か国で累計1100万部突破のベストセラーになっている。なお著書は、2011年にサンマーク出版から刊行されたが、2019年2月から河出書房新社に変わり改訂版が販売されている。
楽天は1月21日、同社のフリマアプリ「ラクマ」において、売上金の「楽天キャッシュ」への累計チャージ額が昨年12月末で5億円を突破したと発表しました。
ラクマ売上金の楽天キャッシュへのチャージ機能は昨年7月より提供。決済インフラの「楽天ペイ」を介することで、楽天グループ以外の実店舗やオンラインショップでの決済にも売上金を利用できます。売上金は手数料無料で1円単位からチャージできます。
フリマ売上金を実店舗などで使えるようにする仕組みは、メルカリも「メルペイ」として構想していますが、ラクマが1歩先行した形。ラクマ側は『今後も、ユーザーファーストの考えに基づいたさらなる機能改善を推進してまいります』とコメントしています。
Engadget 日本版からの転載。
11月15日(木)と16日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。
現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業の皆さんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)の3種類のチケットを販売中だ。なお、前売りチケットは10月31日までの販売、スタートアップデモブース券は残りわずかとなっている。
今回は、登壇が決定している皆さんをご紹介したい(アルファベット、五十音順)。
それぞれのセッションの詳細やTechCrunch Tokyo 2018のスケジュールについては追って記事を公開する予定なので、楽しみに待っていてほしい。
楽天は8月31日、連結子会社である楽天カードを通じて、仮想通貨交換業を営むみんなのビットコインの全株式を2億6500万円で取得することを明らかにした。
本株式取得は楽天カードと、みんなのビットコインの親会社であるトレイダーズインベストメントとの間で締結された株式譲渡契約に基づくもの。10月1日を株式譲渡実行予定日としている。
Eコマースを中心にトラベルやデジタルコンテンツ、金融など70を超えるサービスを運営する楽天。これらのサービスを楽天会員を中心としたメンバーシップによって結びつけ、独自の「楽天エコシステム」を拡大させてきた。
そのような環境において同社では2016年に「楽天ブロックチェーン・ラボ」を英国に設立し、ブロックチェーン技術の研究を推進。将来的にEコマースや実店舗での決済、個人間での決済手段として、仮想通貨による決済機能の役割が大きくなっていくと見込んでいるようだ。
仮想通貨の決済手段を円滑に提供していくためには仮想通貨交換所機能の提供が必要であること、 また楽天証券において、FX顧客を中心に仮想通貨による運用機会の提供を期待する顧客の声が大きくなっていることもあり、仮想通貨交換業への参入を検討してきたという。
今回買収したみんなのビットコインは、2017年3月30日に仮想通貨交換所のサービスを開始。2017年9月7日に仮想通貨交換業者の登録申請書を提出し、現在はみなし仮想通貨交換業者として営業している。2018年4月25日には関東財務局より業務改善命令を受け、現在は指摘事項の課題について改善を図っている段階だ。
楽天ではみんなのビットコインが仮想通貨交換業者の登録を目指すには、楽天グループの傘下で事業を強化することで、事業の安定や拡大の実現とともにユーザーへ価値を提供できると判断。株式譲渡に関する協議に入ったという。
株式取得の決定に至った理由として「これまでのみんなのビットコインによる仮想通貨交換業のノウハウと楽天グループの広範な金融事業におけるノウハウを合わせ、事業体制の確立を行うことで、早期の仮想通貨交換業者としての登録と今後の仮想通貨に関するサービス発展に向けた事業展開が期待できると判断し、今回の株式取得の決定に至りました」としている。
Bloombergによると、配車サービス大手のUberは中東でのライバルCareemと合併の可能性について協議しているようだ。この件に詳しい3人の話を引用して報道している。
記事では、これまで協議されたいくつかのバージョンを示唆しているが、そのどれもまだ合意には至っていない、としている。どれかが合意に至るかもしれないが協議はまだ続いていて、結局どれも合意に至らなかった、ということもあり得る。
Bloombergの情報筋は、もしUberがすぐさまCareemを買収するという形をとらずに合併会社という形式をとる場合には、Uberは半分以上の株式を取得する必要があると主張している、と伝えている。
これまで協議され、今後合意に至る可能性のある選択肢の一つは、Careemの現在の経営陣が合弁会社を運営するというものだが、状況は流動的で、この2つのブランドが中東で現在の形態でビジネスを展開するというのもあり得る。
別の選択肢は、UberがすぐさまCareemを買収するというものだ。
Bloombergはまた、このドバイ拠点のCareemが5億ドルの資金調達を検討しているとも報じている。この資金調達が実現すればCareemの企業価値は約15億ドルになるという。Careemは1月にもIPOをする可能性があり、すでに銀行と話し合いの場を持ったとされている。
これまでのところ、Uber、Careem共にこの件については何も公表していない。
Careemと話し合いをしているかどうかUberの広報に尋ねたが、コメントを拒否された。
一方、Careemの広報Maha AboueleneinはTechCrunchに次のように語った。「我々は噂に対してコメントはしない。我々の目指すところはそれぞれの地域で一番のインターネットプラットフォームを構築することにある。それは、新マーケットを開拓し、プラットフォームに新商品やサービスを投入して既存マーケットを倍に広げていくことを意味する。その取り組みは始まったばかりだ」。
Uberは近年、グローバル事業展開の再構築を図っている。今年初めには東南アジア事業を現地でライバル関係にあったGrabに売却して東南アジアから撤退し、その一方でGrabの少数株式を取得しようとしている。
加えて、Uberは2016年に中国で同様の事業売却をもう一つのライバル企業Digiに行なった。
また、Uberは昨年、ロシアのタクシー配車Yandexとジョイントベンチャーという形で業務提携をするという賭けに出たーYandexに株式の大部分を譲ってのことだ。
しかしこのところUberは中東での展開と可能性に関心があるようだ。CEOのDara Khosrowshahi は5月にあった会議で、中東、そしてアジアとインドで“勝者”になれる、このマーケットでの成否が我々の運命を握っている、と述べている。
公にはUberは、他の地域でもそうだが中東で弱小な存在でいるつもりはないとしている。しかしこれは必ずしもUberとCareemの交渉を除外することを意味するわけではない。
4月、CNBCからCareemを買収するのかと尋ねられ、それに対しCOOのBarney Harfordは過半数以下の株式取引を否定し、次のように述べた。「急成長中の我が社にとってポテンシャルのあるパートナーシップを検討しないというのはありえない。しかし確かなのは、現在我々が展開しているマーケットというのは我が社にとって中核マーケットであるということだ」。
Harfordはまた、他のマーケットで収益をあげているおかげで、Uberは選んだ成長著しいマーケットで“不特定ベース”で投資を行うことができるとも語っている。加えて、Uberは2019年のIPOを目指している。
3月にFinancial TimesはUberがインドでのライバルであるOlaと合併について交渉していると報じた。そしてそのニュースのソースは、Uberがその合併で少数株式を取得しようとしているとケチをつけた。
当然のことながら、Uberはすでに縮小したグローバル展開をさらに小さいものにしようとは思っていないだろう。しかし、見込みがあると選んだマーケットですでに劣勢にあるなら、縮小もやむなしということになるかもしれない。
このように、始まったばかりのCareemとの胸膨らむような話し合いは、Uberの投資家にとって引き続き投資を行うという勇気をつなぎとめるものになるはずだ。
Careemは昨年、シリーズEラウンドで5億ドルを調達し、時価総額は10億円超となったが、その投資家にはサウジ拠点のベンチャーキャピタルKingdom Holding、ドイツ車メーカーDaimler、そして日本のテック大企業の楽天が含まれる。伝えられているところによれば、楽天がシリーズEを主導したようだ。
楽天の携帯電話業界への投資をリードし、またCareemの役員も務める楽天キャピタルの業務執行社員Oskar Mielczarek de la Mielは、我々が彼に話しかけた時、UberとCareemの合併の噂についてコメントするのは避けた。
しかし、ライドシェアリング事業に出資する人がさらに予想されるという、機会の拡大については喜んで話した。そして我々にこう述べた。「この業界を見渡せば、誰もが誰かと話し合いをしている。統合が明らかにトレンドなりつつあるが、これはライドシェアリング事業者に限定されるのではなく、いくつか挙げるとテック企業や、OEM、支払い会社などの参画を引き出している」。
Careemのウェブサイトには、Careemが事業展開するマーケットは15カ国とある。そのほとんどが(しかしそれだけではないが)中東で、合計80都市でサービスを提供している。
一方、Uberのウェブサイトにあるサービス展開リストは、中東15都市、アフリカも15都市となっている。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)
楽天が運営し、フリマアプリで国内シェア第2位の「ラクマ」が、売上金を「楽天キャッシュ」にチャージできる新機能を発表しました。
この連携により、楽天ペイを通じて「ローソン」「AOKI」などの実店舗で、ラクマの売上金を使った支払いが可能に。また「楽天市場」や「楽天トラベル」「楽天ブックス」など、楽天グループサービスの支払いにも利用できます。チャージの手数料は0円で、売上金を銀行口座に振り込む場合(手数料216円・楽天銀行以外)に比べてお得に利用できます。
フリマアプリとウォレットサービスの連携は同社だけでなく、フリマ国内1位のメルカリも、売上金を他のサービスや実店舗で使えるようにする「メルペイ」構想を推進。コンビニなどの日常生活の決済に適用することで、日々の買い物に使う売上金を稼ぐために、ユーザーがより多くの不用品を出品する好循環、ひいては経済圏の確立が期待できます。
この「ラクマ」と「楽天キャッシュ」との連携は、本日7月3日よりラクマのウェブ版で利用可能。アプリ版でも7月9日から利用できます。
Engadget 日本版からの転載。
楽天本体が運営する「ラクマ」と、2016年9月、楽天に買収されたFablicが運営する「フリル」——楽天グループで並行して存在していた2つのフリマアプリが、2月26日にサービス統合されることになった。
統合は、現在のラクマから、フリルにユーザーとデータを集約してフリルへ移行する形で行われる。統合後のサービス名称は、「ラクマ」となる。新ラクマの運営はFablicが行う。
現ラクマは3月以降、段階的に機能制限が行われ、2019年中にサービスを終了する予定。現ラクマのユーザーには、現フリルに登録して楽天IDと連携することで、ラクマの出品物や評価データをフリル(新ラクマ)に反映できる「ラクラクお引っ越しツール」が提供されている。
Fablicは2012年4月の設立で、シードアクセラレーターOpen Network Lab 4期生としてフリルを開発、2012年7月からサービスをスタートした。2016年9月の楽天による買収を経て、楽天傘下へ参入。以降、楽天では、ファッションやコスメなどの取引を中心に、10代から20代の女性に強いフリルと、30代男女を中心とした層に利用されてきたラクマが共存して運営されてきた。
フリマアプリでは、フリルより後発のメルカリが昨年12月に世界累計ダウンロード数1億を突破。日本のダウンロード数6000万超、1日の出品数100万品以上と順調に推移し、事実上、独走状態となっている。
楽天とFablicでは、サービス統合により、経営資源を集中させて運営やマーケティングの効率化を図る。また、「楽天市場」をはじめとするグループの他サービスとの連携強化も行い、メルカリを追う構えだ。
楽天は1月26日、ウォルマートと日米における戦略的提携を締結したことを発表した。両社の強みを活かしたユーザーへのリーチ拡大とサービス向上が目的で、「日本でのネットスーパー事業展開」と「米国での電子書籍サービス展開」に取り組む。
日本におけるネットスーパー事業については、楽天とウォルマートの日本子会社である西友が「楽天西友ネットスーパー」を協働で運営する。新会社を設立する方針で2018年度第3四半期(7〜9月)にサービスの提供を開始する予定だ。
配送は西友の実店舗からだけでなく、2018年内にネットスーパー専用の配送センターを設けることで件数を拡大。生鮮食品や日用品に加えて、ミールキットや楽天ならではのお取り寄せグルメも扱うという。ビッグデータやAIを活用した最適な商品の提案、楽天スーパーポイントの導入にも取り組む。
また今回発表されたもうひとつの施策が、米国での電子書籍サービス「楽天Kobo」の展開だ。具体的には年内に楽天Koboの提供する電子書籍やオーディオブック、電子書籍リーダーなどを、米国内のウォルマート実店舗や「Walmart.com」にて独占販売する。
今回の提携について、楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史は「楽天とウォルマートは、世界有数のEコマースおよび小売りのリーディングカンパニーとして、革新的なサービスの提供を通じて、世界中のお客様の生活をより豊かにするために独自のマーケットを築いてきました。ウォルマート社との提携により、お客様により満足いただけるようなお得なサービスをお届けできるようになることを、心より嬉しく思います」とコメントしている。
楽天は12月14日、携帯キャリア事業へ新規参入を目指すことを表明した。同社では第4世代携帯電話システム(4G)用周波数について、総務省に割当の申請を行うことを決議。認められた場合には新会社を設立し、2019年中のサービス開始を計画する。
楽天ではこれまでコマースを始め旅行予約サイトやクレジットカード、オンライン銀行、決済サービスなど様々な事業を展開してきた。世界で12億人を超える会員基盤を持ち、日本国内においても楽天ID数は約1億、楽天スーパーポイントの累計発行額も1兆円を超える。
近年は楽天市場でモバイル端末経由の取扱高が6割を超えるなど、各サービスにおいてユーザーがモバイルシフトが進んでいる。同社でも2014年10月よりMVNO事業「楽天モバイル」を展開。2016年11月にはプラスワン・マーケティングからMVNO事業を買収するなど力を入れており、現在は140万人のユーザーを抱える。
今後は総務省が公表している予定に従って申請を進める方針で、承認された場合サービスの開始は2019年中を予定している。携帯電話基地局の設置工事など設備投資のために2019年に約2000億円、2025年に最大6000億円の資金調達を計画。1500万人以上のユーザー獲得を目指すという。
空港の管制官は、航空機が他の機体などに接近、衝突しないようパイロットに指示を出し、空の安全を守っている。楽天AirMapでは、ドローンの飛行においても空港の管制官と同じように空の安全を守るためのシステムを提供したい考えだ。本日楽天AirMapは、ドローンが安全に飛行するためのUTM(無人航空機管制)プラットフォームの提供を開始した。
AirMapは2014年12月にカルフォルニアで設立した会社で、ドローンの空域管理ソリューションを提供している。2017年3月、AirMapは楽天と合弁で楽天AirMapを設立し、今回日本でのサービス提供に至った。
AirMapは米国でドローン操縦者や関連事業者、開発者向けにいくつかサービスを展開している。ドローン操縦者には空域の飛行要件を確認し、安全な飛行ルートを計画するためのアプリを提供している。
土地を所有・管理する自治体や大学、空港などの空域管理者向けには、管轄内のドローンの飛行状況を把握できるダッシュボードを開発している。空域管理者はこのダッシュボードからドローンの飛行を承認したり、ドローンの運行者にSMSや電話で直接連絡することが可能だという。現在125カ所以上の空港および空域管理者が、AirMapの空域管理者向けツールを利用していると楽天AirMapは説明している。
また、ドローンメーカーやアプリ開発者向けにはUTMプラットフォームのAPIやSDKを用意している。
今回楽天AirMapでは、まずドローンメーカーやアプリ開発者向けの機能を提供していくという。ドローン開発者はこれらのAPIで飛行禁止や制限エリアといった情報の取得やフライトプランの作成、フライト中のアラートの受信、フライトログの生成の機能を活用できるようになる。今後、ドローン操縦者や空域管理者向けにサービスを広げていく計画、と楽天AirMapは説明している。
2014年12月に設立したAirMapは、2015年7月のシードラウンドで260万ドル、2016年4月のシリーズAで1500万ドルを調達した。2017年2月、2600万ドルを調達したシリーズBラウンドではMicrosoft Venturesをリードインベスターを務め、楽天やソニーなども参加している。
遺伝子検査サービスなどを提供するジェネシスヘルスケアは8月21日、楽天を引受先とした第三者割当増資を実施し、総額14億円を調達したと発表した。これにより楽天CEOの三木谷浩史が同社の社外取締役に就任する。
ジェネシスヘルスケアは今回調達した資金をシステム・研究開発、広告活動、人材開発・育成の強化などに充当するとしている。
ジェネシアヘルスケアは、個人向けの遺伝子検査キットを販売するほか、法人向けの遺伝子検査サービス、医療機関向けの生活習慣リスク判定サービス、「Genebank」というDNA保存サービス(万一の際の身元確認などに利用)などを展開している。
同社が2017年8月1日にリリースしたばかりのプロダクトが、遺伝子検査キットの「GeneLife Genesis2.0」だ。価格は2万9800円。360の検査項目でユーザーがもつ疾患リスクや身体的特徴を判定する。
具体的には、生活習慣病や心筋梗塞などの疾患リスク、シミやシワが出来やすいなど肌のタイプ、自分の体質に適したダイエット方法などを知ることが可能だ。
検査結果はGenesis2.0の専用アプリ(iOS/Android)で見ることができる。
ジェネシスヘルスケアによる遺伝子の累計解析回数はこれまでに50万回以上。同社は遺伝子解析サービスの提供を通じて約52万人分の遺伝情報データを保有している(2017年8月現在)。
今回の出資に際し、楽天CEOの三木谷氏はプレスリリースのなかで、「日本が抱える医療費削減や健康意識向上などに向けた課題解決には、ジェネシスヘルスケアの遺伝子解析のような未来技術を活用し、社会にセルフメディケーションの概念を浸透させていくことが必要」だとコメントしている。
ジェネシスヘルスケアは2004年の設立。外資系投資銀行に勤務していた佐藤バラン伊里氏が、夫のデビット・バラン氏とともに共同創業した。
ジェネシスヘルスケアと同様に遺伝子検査サービスを行う企業として、国内ではDeNAライフサイエンス、先日ユーグレナの完全子会社となることを発表したGenequestなどがある。
ジェネシスヘルスケアは2015年7月にも資金調達を実施。同ラウンドに参加した投資家は三井物産とFounders Fundで、総額6億2000万円を調達している。
楽天の2017年Q2連結業績によれば、売上収益は前年同期比20.9%増の2280億円、営業利益は同8.6%増の282億円だった(国際会計基準)。
そのほか、今回の決算から読み取れるサマリーは以下の通りだ:
本決算のサマリーをお伝えしたところで、楽天傘下のコミュニケーションアプリ「Rakuten Viber」について取り上げて見たいと思う。
TechCrunch Japanの読者のなかには、紫色のアイコンが特徴のViberを利用したことがある人もいるだろう。実はこのアプリ、日本で普及する「LINE」よりも早くサービスを開始したアプリだ。(Viberのリリースは2010年10月で、LINEは2011年6月)。
ここで少し個人的な話しをすると、Viberが登場した当初、僕は大学生だった。当時、交際相手との長電話による通話料に悩んでいて、無料で電話できる(通話のクオリティは驚くほど低かったけど)Viberに感動したのを覚えている。
でも、そのうちに周りがみんなLINEを使い始め、僕もそれに合わせるかたちでLINEに移行した。
ぼくの中では完全にViberが「過去のアプリ」になっていた2014年、楽天はこのアプリを約900億円で買収している。それを受けて、「ECの楽天がなぜコミュニケーションアプリを買収したのか?」というトピックでメディアが取り上げたりもした。
でも、楽天はこのViberと主軸のEC事業とを結びつける使い道を見つけたようだ。
楽天の傘下となったViberは、つい先月の2017年7月にシリコンバレー出身のスタートアップChatterCommerceを買収している。ChatterCommerceが手がけるのは、「ShopChat」と呼ばれるショッピング機能が付いたキーボードアプリだ。
ShopChatは、WhatsApp、iMessage、Facebook Messengerなどのメッセージングアプリ上で利用できるキーボードアプリ。メッセージングアプリのなかに埋め込まれたこのキーボード上で、直接買い物ができることが最大の特徴だ。
この買収により、楽天はViberを単なるコミュニケーションアプリではなく、ショッピング・プラットフォームに進化させようとしている。
すでにViberにはShopChatのキーボードが搭載されていて、そこから楽天市場での買い物もできる。また、同社は2017年9月から楽天とViberのIDを統合することも発表した。
ショッピングプラットフォーム化を進めるときに問題になるのは、Viberが利用される地域では楽天市場の知名度が低いということだった。
そこで、楽天は世界的に有名なサッカーチーム「FCバルセロナ」とのパートナーシップを提携する。ViberをFCバルセロナ公式のコミュニケーションツールとすることで、Viber、ひいては楽天市場の知名度を上げることが狙いだ。
買収時に2億8000万人と発表されていたViberのユニークID数は、現在9億2000万人にまで拡大した。Viberが生み出した収益も、前年同期比で90.6%増と成長している。そのうち、コンテンツ売上は27%だ。
2014年の買収時点で、楽天がコミュニケーションアプリでショッピングするという構想をもっていたのかどうかは分からない。でも、チャットを様々なサービスのUIとして利用するという流れの中が誕生したおかげで、ViberとEC事業が上手くつながったと言えるのではないだろうか。
HTML5のゲーム開発者向けディベロッパーツールを提供するBlackstorm Labsは本日、楽天との共同出資により設立した楽天ゲームズから「R Games」と呼ばれるプラットフォームを正式リリースすると発表した。日本とアジアにおけるゲームのハブとなることを目指す。
昨年の11月にBlackstormと楽天がこのプロジェクトに取り組んでいると噂されていたが、それが今日正式に発表される運びとなった。Blackstorm共同創業者のErnestine Fu氏は、楽天と手を結むことでアジアのユーザーとの接点をもつことができ、アプリのディストリビューションを強化できると話している。Blackstorm Labsの技術を利用して開発されたアプリは、立ち上げまでの時間が短く、大きなファイルをダウンロードすることなしで通常のアプリと同じクオリティを発揮できる。
「新しい配信プラットフォームをつくりたければ、まずはそこに良質なコンテンツを用意しなければなりません」とFu氏は語る。「初期のコンテンツを用意するのは私たちですが、将来のどこかの時点では、より広範なディベロッパーにも参加してもらう予定です」。
楽天ゲームズのことを「ジョイント・スピンアウト」と呼んでもいいかもしれない。Blackstormが技術開発と社員教育を担い、そのあとに楽天にバトンタッチするかたちだ。楽天ゲームズには既に十数人のゲーム開発者が所属しており、Blackstorm LabsのHTML5関連技術を利用してゲームをリリースしていく。また、同社はタイトーなどと手を組んで「バブルボブル」や「パックマン」などのゲームタイトルを配信する予定だ。
Blackstormから楽天ゲームズに移籍した従業員はいない。もし同社が追加的なパートナーシップなどを望んでいたのならば、これはスケーラブルなシチュエーションだとは言えないだろう。しかし、Fu氏によれば、昨年後半に同社はHTML5ゲームのエコシステムというチャンスが存在すると確信したようだ。
「2日足らずでバブルシューティングゲームを開発しました ― 洗練されたものとは言いがたい出来でしたが」とFu氏は話す。「私たちはそのゲームを楽天に持ち込み、彼らとの対話をはじめました。すべてが『ラフ』なものでしたが、同時に新しい配信プラットフォームの可能性を見出した決定的瞬間でした。当時、HTML5は急速に変化していて、GoogleやAppleもその動きに加わっていました」。
今でもゲームはHTML5の主要な適用分野の1つだ。忠実度が高いゲームを開発することができ、Facebook Messengerなどのソーシャル・プラットフォームにも入り込むことができる。しかし、理論上はBlackstorm Labsがもつ技術をゲーム以外の分野にも適用することは可能だ。ダウンロードされたアプリと同程度のクオリティをブラウザ上で再現するという技術は他のユースケースにも応用できるだろう。
もしそうなれば ― それこそがBlackstorm Labsの主張なのだが ―、 アプリを配信するために雑然としたApp Storeを利用する必要はなくなる。アプリ本体がNews FeedやMessengerに貼り付けたリンクの中に埋め込まれ、しかもそのアプリは通常のものと同じように動作する。
ただ、この技術を広く普及させるまでの道のりはまだ始まったばかりだ。しかも、HTML5でゲームを動作させるのはどんなアプリよりも難しい。しかし、だからこそ同社は「ゲーム」をスタート地点として選んだのだ。
[原文]
2016年も残すところあと少しだが、ライドシェアリング業界に誕生したもう1つのユニコーン企業を紹介する時間はまだ残されている。エマージング市場におけるUberのライバル企業Careemは、楽天とSaudi Telecom Company(STC)がリードするラウンドで3億5000万ドルを調達したことを発表し、世界中の脚光をあびることとなった。
今回の資金調達により、ドバイを拠点とするCareemのバリュエーションは10億ドルとなる。STCが発表したところによれば、同社はCareemの発行済株式数の10%を1億ドルで取得するという。
4年前に創業したCareemは現在、11カ国47都市でビジネスを展開しており、そのほとんどがトルコ、パキスタン、北アフリカ諸国など中東の国々だ。同社が「Captains」と呼ぶドライバーの数は15万人にものぼり、すでに600万人のユーザーを獲得している。Crunchbaseによれば、Careemがこれまでに調達した合計金額は7200万ドルであり、今回の調達ラウンド(シーリズD)は同社にとって大きなステップアップだったと言えるだろう。
今回調達した資金は、主にマーケット拡大のための費用に充てられるようだ。先日Careemはトルコへの進出を発表したばかりであるが、その他にも、12月中にパキスタン、サウジアラビア、エジプトの15都市にもビジネスを拡大すると発表している。これにより100万人の雇用を創出することを目指すだけでなく、R&Dにも一定の資金を投下していくとのこと。今年の夏、Careemは中東地域における「交通関連のテクノロジー・インフラストラクチャーを加速する」ための1億ドル規模の研究計画を発表している。
Careemの共同創業者兼CEOであるMudassir Sheikhaは、プレスリリースのなかで「楽天やSTCのような世界クラスの戦略的パートナーをもつことができ、身の引き締まる思いです」とコメントしている。「彼らとのパートナーシップは新しいCareemを支える大きな力となるだけでなく、彼らがもつグローバル・テクノロジー業界におけるリーダーシップとローカルマーケットにおける豊かな経験によって、この地域に住むすべての人々の生活を改善するという私たちの目標にさらに一歩近づくことができました」。
Careemに投下される資金はこの3億5000万ドルだけではない。同社によれば、今回の調達金額はCareemが現在交渉中の5億ドル規模の資金調達の一部でしかない。この資金調達が完了するまでの具体的なタイムフレームは公表されていない。
本調達ラウンドには、UberのライバルであるLyftと南アフリカのCabifyにも出資する楽天と、中東最大の通信企業であるSTCの他にも、Abraaj Group、Al Tayyar Group、Beco Capital、El Sewedy Investments、Endure Capital、Lumia Capital、SQM Frontier、Wamda Capitalなどが参加している。
STCはこれまでにも、STC Ventures(同ファンドはSTCとは独立して運営されており、STCも主要LPの1つとして参加している)を通してCareemの株式をすでに取得している。しかし今回の調達ラウンドは、STC本体が「イノベーティブなデジタル企業への投資戦略」の一環として直接Careemの株式を取得するというものだ。
Uberがビジネスを展開する都市には中東諸国の都市も含まれているが、それだけではなく、同社とこの地域には財政的なつながりもある。Uberは今年6月、サウジアラビア政府が出資するPublic Investment Fund(PIF)から約620億ドルのバリュエーションで35億ドルを調達したと発表している。その当時、中東地域におけるUberドライバーは39万5000人だった。女性による運転が禁止されているサウジアラビアでは、Uberを利用する乗客の約8割が女性だという。
[原文]
ビッグデータによる審査を行うレンディングサービスを展開し、これまでにPeter Thiel、Blumberg、世界銀行のIFCなどからの資金調達を完了しているKreditechは現地時間15日、新しい戦略的パートナーの発表と資金調達を発表した。本調達ラウンドで同社に1040万ドルを出資したのは、日本のEコマース巨大企業、楽天だ。この出資は楽天が昨年にローンチしたRakuten Fintech Fundを通して行なわれた。この調達ラウンドは同ファンドによる出資の中では最大のもので、ドイツ企業に出資が行なわれたのは今回が初めてだ。
Kreditechはバリュエーションを公表していないが、私が理解するところでは、同社のバリュエーションは上昇中であり、現在は約3億ユーロ(約3億1300万ドル)といったところだろう。
Kreditechは今年初めに1億500万ドルの資金調達を完了しており、さらに、それと同規模の資金調達を近々予定していることを考えれば、今回の調達規模は比較的小さいものだと言えるだろう。しかし、この戦略的パートナーシップによってKreditechは、同社のビジネスをさらに強化することができる。
具体的には、それは2段階に分けられる。
Kreditech CFOのRene Griemensが話してくれたところによれば、楽天はルクセンブルクで金融業の営業ライセンスを取得済みであり、同社はその地域の顧客に提供するサービスの範囲を拡大したいと願っている。現在、楽天はフランスでPriceMinisterを、そしてドイツではRakuten.deを展開中であり、これらのサービスのユーザーがクレジットで大きな買い物ができるような仕組みを作ろうとしているのだ。
Rakuten Fintech FundのマネージングパートナーであるOskar Mielczarek de la Mielは、「楽天が掲げるグローバル・イノベーションのビジョンとは、最先端のテクノロジーとアントレプレナーシップによって社会に貢献することです。インターナショナルな市場で、信用供与を通して個人がもつ力を高めるというKreditechのユニークなビジネスモデルを見て、私たちはワクワクする思いでした」と語る。「ビッグデータを利用したユニークな審査モデルとテクノロジーの専門知識をもつKreditechは、すでに市場から広く認められる存在となっています。彼らに楽天が資本参加することで、Kreditechのサービスをさらに拡大することができます」。
この業務提携は、Kreditechが展開中のサービスの1つである「POSローンサービス」の強化にもつながる。これにより、ユーザーは同サービスを通して高額な商品を購入することが可能になる(ポーランドではすでに、Nasper傘下のPayUと共同して同様のサービスを開始している)。
Eコマースのマーケットプレイスとは別に、すでに楽天は静かに銀行業を開始している ― だからこそ、楽天はFintechスタートアップ専用のファンドを設立し、新しいパートナーシップの機会を探しているのだ。また、楽天がKreditechのレンディングサービスを同社のプラットフォームに統合する可能性もある。オンラインショップにおける商品の支払いでKreditechのサービスを利用できるようにするのだ。
Griemensによれば、同社は今後、ヨーロッパだけではなくアジア各国にビジネスを拡大することも視野に入れている。特にアジアの新興国がターゲットだ。今のところ、Kreditechはアジアにおけるプレゼンスをもっておらず、楽天とのパートナーシップがアジア進出の助けになるだろうと同社は考えている。
Kreditechの創業者兼CEOであるAlexander Graubner-Müllerは、「伝統的な金融サービスを利用できない層の経済的自由をテクノロジーを利用して改善するという、私たちのビジョンに楽天は投資してくれました」と語る。さらにCFOのRene Griemensは、「Kreditechと楽天は単に資本的な協力関係にあるだけでなく、私たちはこのパートナーシップがもつ将来的なチャンスを共に描いています。アジアで強力なマーケットポジションをもつ楽天は、私たちのアジア進出の助けとなってくれることでしょう」と加えた。
これまでにも、楽天はRakuten Fintech Fundを通して様々なスタートアップに出資をしている。送金サービスのAzimoへの出資、ラテンアメリカのUberと呼ばれるCabifyが1200万ドルを調達したシリーズBへの参加、英国のCurrency CloudのシリーズCへの参加、そして、ビットコインのBitnetへの出資(その後、楽天はBitnetを買収している)などがその例だ。
Kreditechはこれまでに合計で1億5200万ユーロを調達済みだ。
[原文]
フリマアプリ「フリル(FRIL)」を運営するFablic。同社の楽天による買収が9月5日、正式に発表された。楽天では8月末にFablicの発行済み全株式を取得。買収額は非公開だが、数十億円規模だと見られる。
楽天はすでにフリマアプリ「ラクマ」を展開しているが、それぞれサービスを補完しつつも、独立した運営を続ける。Fablicの創業者であり、代表取締役CEOの堀井翔太氏は今後も同社のトップとして指揮を執る。同社のこれからについて堀井氏に聞いた。
Fablicは2014年にクックパッド、コロプラ、ジャフコを引受先とした第三者割当増資を実施。アプリは500万ダウンロードを達成。10代から20代の女性を中心にサービスを拡大してきた。そんな中で発表された今回の楽天の買収。堀井氏は次のように語る。
「7月から次の資金調達を目指して動いている中で三木谷さん(楽天代表取締役会長兼社長 最高執行役員の三木谷浩史氏)と話した。(買収額は)正当な評価。2016年にあった買収の発表としてはかなりの金額ではないか。これからプロモーションなども含めてサービスを育てていく、資金調達的な側面も大きい」「サービスの成長は順調。だがそれ以上のところに引き上げるには大きな資本が必要だった」(堀井氏)
国内フリマ市場を見ると、後発サービスである「メルカリ」が月間流通総額100億円以上という数字を発表しており、事実上の独走状態が続いている。これに対して楽天では、若い女性に強いフリル、そして30〜40代男性や主婦層中心で、家電やガジェットなど高単価商品が多い(手数料無料であることが影響しているようだ)ラクマという2つの特化型のサービスをぶつけていく(日経新聞などの報道では2サービス合計での月間流通総額は30億円程度とのこと)。
すでにフリルの楽天ID対応や、楽天スーパーポイントを利用したキャンペーンの実施などが発表されているが、これに加えて、楽天の各種サービスからの送客なども検討中だという。また、テレビCMをはじめとしたマーケティングを実施するほか、フリルの手数料無料化も間もなく開始する。
楽天は海外事業を見直している状況だ。これまで積極的に海外に進出してきた同社だが、2016年に入ってシンガポールやインドネシアなどでのマーケットプレイス事業を終了。その他の地域でも一部の拠点を閉鎖した。一方でリソースをラクマに集中。3月には台湾でサービスを開始したほか今後の東南アジア展開も控える。ここに今後フリルが関わる可能性もある。米国での躍進が聞こえてくるメルカリをはた目に、アジア圏でのサービス拡大を狙っているようにも見える。(ただしCarousellやShopeeといった現地のサービスが先行している)。
堀江氏は今後の展開について、「日本で一番長い間フリマアプリをやっているからこそ思うが、フリマアプリは(機能的に)コモディティ化してきている。お金で殴り合うだけでなく(大量の資金を投下してマーケティングなどで競合と戦うという意味)、その次を作らないといけない」とも語る。ではその次とは何か?堀井氏と話す中で浮かび上がってきたキーワードは決済だ。
今、決済まわりのサービスが非常に活気づいている。例えばBASEがの「PAY.JP」を立ち上げ、コイニーが「coineyペイジ」、AnyPayが「AnyPay」といったスタートアップ発の決済サービスが多く登場しているし、LINEも「LINE Pay」をヤフーも「Yahoo!マネー」を提供している。
僕がこれらの決済サービスの話を聞いて思ったは、これらのサービスは「モノを買う」処理を自前で行うということだけを狙っているのではないということだ。当たり前のことながら決済をすれば売り手と買い手のお金が動くわけだが、今度はその動いたお金(=売上)を同じ決済プラットフォームで流通させる、要は「財布がなくても決済プラットフォームだけを使ってお金を電子的にやり取りする」ということを目指しているのではないか。
例えばBASE代表取締役の鶴岡裕太氏はPAY.JPでID決済を提供する際に「現金をリプレイスするプラットフォームを作る」と語っていたし、AnyPay代表取締役の木村新司氏は「デビットカードをリプレイスする」ということを語っていた。すでに中国ではAlipayやWeChat Paymentといったモバイル決済の利用が拡大している。日本では資金決済法の絡みもあってスタートアップが簡単にチャレンジできる領域ではないが、魅力的な市場があることは間違いない。Fablicも楽天と組んでこの領域にチャレンジするのではないか、ということだ。
堀井氏にそんな話をしたところ、具体的な回答こそ得られなかったものの次のように語ってくれた。「楽天はECの会社であると同時にFinTechの会社。資金移動業者であり、銀行も証券も持っている。ECはこの先、物流や決済と繋がっていく。そのとき(楽天は)強力な後ろ盾になってくれる」(堀井氏)
楽天がフリマアプリ「Fril」を手がけるFablicを買収する。日経新聞が9月3日に報じた。関係者に確認したところによると、週明けにも正式な発表がなされる予定だという。
楽天はファブリックの全株を経営陣などから取得。取得額は数十億円になるという。また今後も楽天の完全子会社として存続させる。
Fablicは2012年4月の設立。OpenNetworkLabの第4期に参加している。2012年7月にはフリマアプリの元祖とも言えるFrilをスタートした。当初は女性に限定してサービスを提供してきたこともあり(現在はその制限はない)、若い世代の女性を中心にサービスを展開している。また最近ではバイクに特化したフリマアプリ「RIDE」の提供も開始した。楽天もフリマアプリ「ラクマ」を2014年11月から提供しているが今後Frilとラクマのユーザーを補完していくことで、月間流通総額を30億円程度を目指すという。
現在国内のフリマアプリ市場を牽引しているのは、Frilより後発、2013年2月にローンチした「メルカリ」だ。2016年3月に84億円の大型調達を発表した際の取材でも「国内月間流通総額100億円を超えた」と語っている。メルカリのようなサービスが現れる一方で2013年頃立ち上がったフリマアプリの中にはすでに終了しているものも少なくない。2013年12月にスタートした「LINE MALL」も、2016年5月にサービスを終了している。TechCrunch Japanでは現在、Fablicに本件に関するコメントを求めている。コメントが得られ次第、情報をアップデートする予定だ。