Netflixが従業員の多様性について最新の統計を発表、公式レポートとしては初

Netflix(ネットフリックス)は米国時間1月13日、同社初のダイバーシテ&インクルージョンレポートを発表した。しかし、Netflixがこの種のデータを公表するのは初めてではない。同社は2013年から従業員の統計を公表してきたが、それをレポートとして認識するのはこれが初めてとなる。

世界的に見ると、Netflixの全従業員の47.1%を女性が占めている。2017年以降、白人とアジア系社員の割合は緩やかに減少をたどっており、ヒスパニック系、ラテン系、黒人、複合人種、先住民族系の割合は増加している。米国では、Netflixの全従業員のうち8.1%はヒスパニック系・ラテン系、8%は黒人、5.1%は複合人種で、従業員の1.3%がネイティブアメリカン、アラスカネイティブ、ネイティブハワイアン、パシフィックアイランダーおよび / または中東・北アフリカ出身者のいずれかである。

Netflixの管理職レベルにおける有色人種の割合は完璧ではないが、テック業界全体で有色人種が占める割合よりも高いことは間違いない。Netflixのリーダー層はアジア系15.7%、黒人9.5%、ヒスパニック系4.9%となっており、同社の上層部の4.1%が複合人種だという。

Netflixは具体的な目標を明らかにしていないが、概して、よりインクルーシブな雇用を行い、採用ネットワークを構築することでマイノリティーの比率を高めたいと考えていると、同社のインクルージョン&ダイバーシティ担当副社長であるVernā Myers(バーナー・マイヤーズ)氏は報告書の中で述べている。さらに、Netflixは、また、同社が「インクルージョンヘルス」と呼ぶものを測定する方法を見つけ、米国外の人々のインクルージョンと雇用の向上にもっと力を入れたいと述べている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

パーソナライズされたプロテインシェイクやスポーツドリンクを届けるGainfulが7.8億円調達

パーソナライズされたプロテインパウダーと水分補給ドリンクの定期購入サービスを提供するスタートアップGainfulは、シリーズAのラウンドで資金750万ドル(約7億8000万円)を調達したと発表した。

CTOのJahaan Ansari(ジャハーン・アンサリ)氏とともに同社を設立したCOOのEric Wu(エリック・ウー)氏はTechCrunchに取材に対し、Gainfulは自身の経験から様々なプロテインパウダーを試してみて、試行錯誤の末やっと、自分の目標や食事のニーズに最適な組み合わせを見つけたことから始まったと語った。

「私の個人的な経験では、(自分に合った)プロテインパウダーを見つけようとすると、圧倒されてしまいます」とウー氏はいう。「成分は無数にありますが、溢れる情報のノイズをカットしてくれる誰かに相談したいと思うものです」。

ユーザーはGainfulに申し込むと身長、体重、運動パターン、フィットネスの目標、プロテイン製品を摂取する頻度などを聞くクイズに答える。それに合わせ、ニーズに合ったプロテインパウダーを推薦してくれるだけでなく、その他の質問にも答えてくれる管理栄養士にも継続的にアクセスすることができる仕組みだ。

ウー氏は、舞台裏でGainfulは「何百種類もの異なる(プロテイン)ブレンドを」開発し、その後、(NBAバスケットボールチームのGolden State Warriorsや Sacramento Kingsで働いてきた栄養の専門家を含む)科学諮問委員会と協力して、「限られた数のブレンドに絞りました」と語った。会社が実際に何種類の製品を販売しているのか詳細を尋ねると、ウー氏はその数を「かなり」とし、「常に検討され続けている」と述べた。

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Gainfulの製品はすべて人工着色料、香料、甘味料を使わずに作られており、グルテンフリー、大豆フリーにも対応している。新しい電解質ドリンクミックス(これは著者が試して楽しんだもの)で、同社はプロテインを超える範囲に動き出しており、ウー氏は今後も新製品や新フレーバーを追加していくと述べている。同時に、追加製品にアクセスするには、プロテインパウダーのサブスクリプション(価格は39ドル、約4000円から)が必要なことに変わりはない。

この比較的高いコミットメントのアプローチを説明するために、ウー氏はこう語る。「私たちは、すべての製品が補完的な利点を持っており、本当に相乗的に機能するシステムを作成したと信じています。適切な水分補給をしていれば、運動時により多くの力を発揮することができますし、パーソナライズされたプロテインパウダーがより一層の効果を発揮してくれます。これらはすべて、簡単な特効薬としてではなく、手っ取り早い減量のためのソリューションとしてではなく、健康であるための方法として提供されています。一時的な成功のためではありません」。

シリーズAラウンドはBrandProjectとCourtside Venturesが共同で主導し、AF Ventures、Round13 Capital、Barrel Ventures、そしてPolaris Sportsの創業者が参加した。

GainfulはY Combinatorの2018年冬のバッチの一部だった。また、2020年初めにはリーダーシップの移行も行われ、ウー氏はCEOからCOO(製品開発にもっと集中できるとのこと)に移行し、Dean Kelly(ディーン・ケリー)氏がCEOに就任した。

ウー氏は、eコマースへの一般的なシフトに加え「本当に困難だった時に、人々が充実した健康的で幸せな人生を送るというのはどういうことかよく考えた」ことから、パンデミックの間に同社は大きな成長を遂げたと付け加えた。

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タグ:Gainful資金調達

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(翻訳:Nakazato)

台湾Winnozが指先の採血でも幅広い検査を可能にする真空アシスト採血装置「Haiim」を開発

Winnoz(ウィノーズ)のHaiim(ハイム)は、指先からの採血をより簡単にするために設計されており、採血量を増やすことで、より多くの種類の検査に使用できるという。台湾の新北市を拠点とする同社の真空アシスト採血装置は、人にもよるが指先から最大150~500マイクロリットルの血液を約2分で採取することができる。

Winnozは現在、CESのTaiwan Tech Arena(台湾科技新創基地)パビリオンで、Haiimと等温DNA / RNA増幅法に対応した分子検出装置eGGiを展示しており、新たなパートナーや投資家の発見を目指している。

Haiimは、創業者兼CEOのJoses Hsiung(ジョゼス・シュン)氏が幼い頃、母親が血液検査のためにクリニックに通うのを見ていた思い出にインスピレーションを得て開発された。彼の母親の血管は見えにくいため、十分な血液を採血するためには何度も針を刺す必要があったという。そして、彼女の血管は破れてしまうことも。そこでシュン氏は、指を刺すだけで採血できる血液の量を最大化する装置の開発に取り組み始めた。

指からの採血は、通常、血糖モニタリングやコレステロールパネルのように10マイクロリットル未満の血液を必要とする検査に使用されるが、Haiimはより多量の血液を必要とする検査に十分な量を採血することができ、患者が静脈穿刺採血を回避するのに役立つ可能性がある。

この装置は、本体と検査されるまで血液を保存するシングルユースカートリッジの2つの部分で構成されている。多くの診療所や病院では人員が不足しているため、従来の採血方法よりも少ないトレーニングで使い始められるように設計されている。Haiimは2019年に台湾食品薬物管理署の認可を受けており、医療機関やクリニック、病院での使用を想定している。

カテゴリー:ヘルステック
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(翻訳:Nakazato)

サムスンの新型家庭用ロボット群のうち少なくとも1つは2021年中にデビュー予定

ここ数年のSamsung(サムスン)のCESプレスカンファレンスではいつも、未来的な家庭用ロボットのパレードが繰り広げられた。彼らはスマートで、器用で、印象的だ(そして、まあまあかわいらしい)。しかし、家庭用ロボットは難しい。本当に、本当に、本当に難しい。ルンバが登場してから20年近く経った今でも、ロボット掃除機が家庭用ロボットの中で唯一現実的な存在であり続けているのには理由がある。

それと同じ理由で、イベントに出展されたSamsungの家庭用ロボットの中で実用可能なものが1つあるとすれば、ロボット掃除機の「JetBot 90 AI+ Vacuum」だと思われる。同社はまた、2020年のショーで紹介したBot Handyのアップデートも披露した。これは新しいBot Careと合わせて、昔のSFでは今後数年で手に入ると信じられていたような人型ロボットのデザインに、さらに沿ったものとなっている。

そして、ここでもまだSFが有効な描写になっているようだ。2020年のショーでは、ロボットたちはChuck E. Cheese風のプレゼンテーション(訳注:子供が好むChuck E. Cheeseレストランでは、昔の遊園地のようなロボットバンドがステージで演奏する)を行い、ステージ上で限られた人間との対話の中で、振りつけられたタスクをこなしていた。この種のことには多くの要素が関わっているが、今のところ、この技術は何よりもコンセプトの証明のように感じる。

画像クレジット:Samsung

同社はこの技術について「あまり遠くない未来」と言及しているが、画面の隅にある小さな印刷には「このロボットは研究開発中であり、まだ販売には至っていません」と書かれている。それは控え目な表現に思える。この車輪つきBot Careは、オーナーにミーティングのリマインドをし、リモート会議のための画面をポップアップさせるものだ。

現在のパンデミックの間で、誰もこの技術を実際に目にするとは思っていないと思うが、これが同社が準備している「ニューノーマル」であるという議論もあるだろう。シンクから食器洗い機まで食器を移動させるBot Handyは、おおよそ現実的なもののようだ。

画像クレジット:Samsung

間違っていたらうれしいが、我々のうち誰も近いうちにこれらの技術の実用可能なバージョンが発売されるとは思っていない。しかし、ロボット掃除機のJetBot 90 AI+ Vacuumは評価できる。それに関しては、2021年前半に米国で発売されるという大まかな日程があるからだ。

このロボット掃除機は、自動運転車と同様のLiDARセンサーを備えており、オブジェクト検出アルゴリズムと相まって、ユーザーの家をナビゲートするのに理想的なパスを構築するのに役立つという。興味深いことに、カメラの映像はユーザーによってリモートで表示することができるため、セキュリティカム(ただし、Samsungはその単語を使用することを避けているようだ)やペットモニターのように使用することも可能だ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:SamsungCES 2021

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(翻訳:Nakazato)

Snapがマッピング・位置情報スタートアップのStreetCredを買収、Snap Map関連機能強化か

Snapchatの親会社であるSnapが、位置情報プラットフォームを構築するニューヨークのスタートアップであるStreetCredを買収した。

TechCrunchの取材に対してSnapはこのニュースを確認するとともに、今回の買収により、共同創業者のRandy Meech(ランディ・ミーチ)氏とDiana Shkolnikov(ダイアナ・シュコリニコフ)氏を含む4人のStreetCredチームメンバーがSnapに入社し、マッピング・位置情報関連の製品に携わることになると述べている。

その戦略の大きな要素となるのがSnap Mapで、ユーザーは指定したエリアの公開スナップを閲覧したり、自分の位置情報を友達と共有したりすることができる。2020年夏、SnapchatのメインナビゲーションバーにSnap Mapが追加され、同社はこの機能が毎月2億人のユーザーにリーチしていると発表した。

同時にSnapchatはユーザーの位置情報と連動する他の機能も追加しており、その中にはたとえばデベロッパーが実際の場所と連動する、地域に特化したAR(拡張現実)レンズを作成することができるLocal Lensesなどがある。

ミーチ氏とシュコリニコフ氏は、豊富なマッピングの経験をSnapにもたらしてくれるはずだ。ミーチ氏は以前、サムスンのオープンマッピング子会社MapzenでCEOを務め、それ以前はTechCrunchの親会社であるAOL(後にVerizon Mediaにリブランド)でローカルおよびマッピング製品のシニアバイスプレジデントを務めていた人物だ。一方、シュコリニコフ氏はMapzenの元エンジニアリングディレクターである。

StreetCredは、Bowery CapitalとNotation Capitalから100万ドル(約1億400万円)のシード資金を調達していた。2018年にミーチ氏に取材をした際、彼の目標はユーザーがそのデータ収集に協力したことで報酬を得るブロックチェーンベースのマーケットプレイスを構築することで、位置情報データを「開放し、分散化」することだと語っていた。

買収の金銭的条件は明らかにされていないが、既存のStreetCredプラットフォームは今回の買収の一環として閉鎖されることになるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapSnapchat買収

画像クレジット:Snap

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(翻訳:Nakazato)

従業員の死や過酷な労働時間への批判をよそに中国のeコマースPinduoduoの株価・ダウンロード数に揺るぎなし

急成長している中国のeコマースプラットフォームのPinduoduo(拼多多、ピンドゥオドゥオ)は、1人の従業員の死が会社の過酷な労働時間に対する批判に火をつけた後、そのPRの嵐を乗り切っている。

話題になっている21歳の従業員は2020年末の深夜、会社からの帰宅途中に倒れた。死因は明らかにされていないが、ネットユーザーは彼女が過労死したのではないかと推測している。

ハッシュタグ「#PinduoduoEmployeeSuddenDeath」の付いた投稿は、中国のSNS微博(ウェイボー)で3億の投稿数に達した。これとは別に、中国時間1月9日には別のPinduoduoの従業員が27階のアパートから飛び降り自殺した。現地の労働当局は、上海に拠点を置くPinduoduoの労働条件を精査していると報じられている

中国時間1月10日には、元Pinduoduoの従業員が、動画で同社のストレスの多い労働文化に抗議の声を上げ、Alibaba(アリババ)最大のライバルに対する世間の非難に油を注いだ。彼は、Pinduoduo本社の従業員は月に最低300時間(週に約75時間)の勤務を要求されるのに対し、新しく設立された食料品デリバリー部門の従業員は最低380時間の労働時間を要求されていると主張した。帰宅途中に倒れた従業員は、新疆ウイグル自治区西部にあるPinduoduoの食料品事業に従事していた。

事情に詳しい筋がTechCrunchに語ったところによると、Pinduoduoの特定のプロジェクトで働く従業員は月に300時間以上働く可能性があるものの、強制ではないという。会社全体では、スタッフは午前11時から午後8時まで勤務することが義務付けられているとのこと。

Pinduoduoからのコメントは得られなかった。

中国での長時間労働はPinduoduoに限ったことではない。一連の事件は、週6日午前9時から午後9時まで働く従業員を指す用語である「996」をめぐる議論を再燃させている(この言葉は中国の熾烈なインターネット業界で見られる、他の形態の過酷な労働体制を指すこともある)。

大衆の反発やPinduoduoに対するボイコットを求める声にもかかわらず、同社の市場での地位は揺るがないようだ。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)によると、同社のアプリのダウンロード数は2週間前の最初の従業員の事件以来、安定しており、インストール数がわずかに増加している日もあるという。2021年1月8日現在、Pinduoduoのインストール数は約6億5000万件に達している。

ニューヨークで取引されている同社の株式は、米国時間2020年12月28日の144ドル(約1万5000円)から2021年1月5日には187ドル(約19000円)まで上昇し、1月11日には174ドル(約18000円)までわずかに下落した。TechCrunchがコンタクトを取ったPinduoduoのVC投資家数名は、この記事へのコメントを差し控えた。

これらの数字は多くを物語っているかもしれない。中国の富裕層が住む都市部でより多くのユーザーを引き付ける努力をしているにもかかわらず、相当な数のPinduoduoユーザーは中国の内陸部や農村部の町に住んでいる。大都市を拠点とするテック大手の「996」文化は彼らにとっては遠い存在かもしれないが、「バカ安い」商品で有名なeコマースアプリ「Pinduoduo」のお買い得品は、目に見えて触れられるものなのだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinduoduoeコマース中国

画像クレジット:Jack Ma via Weibo

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(翻訳:Nakazato)

地域の話題に注目してDAU1200万人、人気ニュースアプリ「News Break」が120億円調達

人気ニュースアプリ「News Break」が、新たに1億1500万ドル(約119億5000万円)の資金調達を行ったと発表した。

プレスリリースでは、このラウンドによってNews Breakは「2021年の最初の新しいユニコーンの1つ」になると主張しているが、同社は実際の評価額を公表することを辞退している。

創業者でCEOのJeff Zheng(ジェフ・ジェン)氏は、2015年に同社を立ち上げた際には、地域ニュースに特化することで他のニュースアグリゲーションアプリとの差別化を図り、「これらのローカルコンテンツのクリエイターを支援、あるいは彼らに力を与える」ことが目標だったと語っていた。

誤解のないようにいうと、News Breakでは他のニュースアプリで見られる似たような記事を見つけることもできる(たとえば新型コロナウイルスのニュースのためのセクションがあり、米国議会議事堂での暴動の翌日には、事件について多くの見出しが表示された)が、ユーザーのいる場所に基づいて特別に強調された記事もたくさんある。

「テクノロジーは当社のあらゆる側面に編み込まれています。地方の出版業者やローカルジャーナリストがより効果的にコンテンツを生成し、より効果的にオンラインのオーディエンスにリーチできるように、彼らに力を与える方法においても」とジェン氏は語る。「我々のAIツールは、ユーザーにとって関連性のある記事を提供するのに役立ちます【略】あなたが最も興味を持っている話題と位置情報のプロファイルをもとに、基本的にコンテンツとマッチするからです」。

ジェフ・ジェン氏(画像クレジット:News Break)

ジェン氏がいうには、地域ニュースに対する「強いユーザーの需要」はあるが、「供給は弱い」とのこと。地方ニュースビジネスが直面しているより広範な経済的課題(未訳記事)を考えると、そこに焦点を当てることの価値はますます高まっているかもしれない。そして、News Breakにとってこの戦略は成果を上げているようで、同アプリはAppleの米国App Storeのニュースカテゴリで複数回トップの座を獲得しており(現在は4位)、Google Playでも同様にランキングされている。同社によると、現在、デイリーアクティブユーザー数は1200万人に達しているという。

ジェン氏は、News Breakはすでに出版社と広告収入を共有しているが、同社とのパートナーシップがそれらの出版社に提供する価値は、時間の経過とともに成長するのみであることを期待している、と語った。「我々はできるだけ多くのお金をクリエイターに還元したいと考えています」。

出版社やジャーナリストは、読者にリーチするためにサードパーティのプラットフォームに頼りすぎることに警戒心を抱いているのではないかと指摘すると、ジェン氏は、News Breakのインセンティブは大手のインターネットやソーシャルメディアのプラットフォームとは大きく異なる、と主張した。

「私たちはローカル中心です」と彼はいう。「地方の出版社が苦戦し、新聞が毎年減少していたら遅かれ早かれ廃業に追いやられます」。

ジェン氏は以前、北京のYahoo Labsを率いていたが、中国のニューススタートアップ「Yidian Zixun」の創業者兼CEOでもあった。それに加え、同社は北京と上海にチームメンバーがいる。しかし彼は「デラウェア州で法人化された、マウンテンビューに本社を置く米国のハイテク企業」で、従業員の大半は米国におり、米国市場に焦点を当てていると強調した。米国政府が現在、一部の中国企業を禁止しようとしていることを考えると、News Breakが今後も成長を続けるならば、この区別は重要になるかもしれない。

News Breakは以前、3600万ドル(約37億4000万)の資金調達を行っていた。今回の新規ラウンドは、News Breakの取締役会に加わったFrancisco Partnersが主導した。IDG Capitalも参加している。

Francisco Partners代表のAlan Ni(アラン・ニー)氏は声明で次のように述べている。

当社が最初にNews Break社に注目した理由は、彼らの地域ニュース分野での数年にわたる躍進的な成功です。我々は彼らの使命に鼓舞され、最先端の機械学習とメディアの知識を駆使することにより地域ニュースの配信を21世紀に持ち込むために彼らが行った仕事に非常に感銘を受けています。彼らが地域ニュースのイノベーションを推進する一方で、ニュース以外の隣接するローカル分野にも急速に事業を拡大していく中で、News Breakの才能あるリーダーシップチームとパートナーを組むことができ、大変喜ばしく思います。

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画像クレジット:News Break

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(翻訳:Nakazato)

パンデミックを追い風にブラジル版IKEAのMadeiraMadeiraが197億円調達、評価額1039億円超に

IKEA(イケア)やWayfair(ウェイフェア)のブラジル版ともいえるMadeiraMadeiraは、ソフトバンクのラテンアメリカ投資ファンドとブラジルの公共・民間投資会社Dynamoが主導したレイターステージラウンドで1億9000万ドル(約197億4000万円)の資金調達を終え、今や評価額約10億ドル(約1038億9000万円)の企業となった。

家具や生活雑貨に特化したオンラインマーケットプレイスであるMadeiraMadeiraは、顧客が家を建てたり、家具を整えたり、リフォームしたり、インテリアデコレーションしたりする際に利用できるよう、約30万点の製品を提供している。

Daniel Scandian(ダニエル・スカンディアン)氏、Marcelo Scandian(マルセロ・スカンディアン)氏、Robson Privado(ロブソン・プリバド)氏によって2009年に設立された同社は、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの結果、ブラジルでも起こったオンラインショッピングへの移行が大きな追い風となった。

店舗が閉鎖されたことで、ブラジルでのオンラインショッピングは急増した。ダニエル・スカンディアン氏が指摘するように、ブラジルでのeコマースの普及率はパンデミック前は約7%だったが、パンデミックの最盛期には17%にまで膨れ上がり、現在は約10%で安定している。

スカンディアン氏によると、サードパーティのプライベートブランド商品の販売と、自社の配送・物流施設を組み合わせることで、MadeiraMadeiraは、複数のオンライン小売業者や家具インテリア量販店のベストプラクティスを活用することができるという。

MadeiraMadeiraのプラットフォームには1万以上の売り手が存在し、約250万ユニットの在庫を保管している。ここ数年、同社は顧客がオンラインで注文を済ませ、実店舗で商品をチェックアウトできる小売施設の中にショールームを加えた。

「こうすることで、デジタルマインドセットを持ちつつオフライン市場に取り組めます」とスカンディアン氏は述べている。

最新の資金調達で得た資金は、既存の10カ所の拠点に新たな倉庫施設を追加して物流能力を拡大するための投資に充てられる予定だ。同社はまた、同日配送やプライベートラベルサービスの拡大も視野に入れている。

今回の資金調達はおそらく株式公開前の最後のラウンドと見られており、FlybridgeやMonasheesといった以前からの投資家に加え、公開に焦点を当てた投資会社であるVelt、Brasil Capital 、Lakewoodなどが参加している。

Monashees、Kaszek、Fundo Avila、Endeavour Catalystなどの初期投資家や、Wayfairの創設者Niraj Shah(ニラージ・シャー)氏、Build.comの創設者Christian Friedland(クリスチャン・フリードランド)氏などのエンジェルバッカーがMadeiraMadeiraの初期の成功に貢献した、とスカンディアン氏は述べている。

ブラジル南部の主要都市クリチバに拠点を置くMadeiraMadeiraは、1300人以上の従業員を擁し、その大部分はテクノロジー、ロジスティック、製品開発に集中している。

「今回の新たな投資により、MadeiraMadeiraがラテンアメリカのホームプロダクツのリーダーとしての地位を固めていく中で、MadeiraMadeiraの長期的な価値創造のビジョンへのコミットメントを高めていきます。最初の投資以来、MadeiraMadeiraの経営陣は約束したことをすべて実現しており、彼らへの信頼はますます高まっています」とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドのマネージング・パートナーであるPaulo Passoni(パウロ・パッソーニ)氏は述べた。

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タグ:MadeiraMadeira資金調達eコマースブラジル

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(翻訳:Nakazato)

多様性・インクルージョンを評価するデータ駆動型プラットフォームKanarysが3.1億円調達

Mandy Price(マンディ・プライス)氏は、1年少し前にKanarys(カナリス)を立ち上げるために2人の共同創業者と一緒に起業家精神を身につけるまでは、すでに弁護士として個人事務所で大きな成功を収めていた。

ハーバード・ロー・スクールの卒業生である彼女にとって、企業のダイバーシティとインクルージョンへの取り組みの成果をハードデータを使って測定するための支援を行う会社を起業する必要はなかったが、立ち上げる必要があると感じたという。

会社を立ち上げてから1年が経過した現在、ファストフードのYum Brands(ヤム・ブランズ)、バスケットチームのDallas Mavericks(ダラス・マーベリックス)、百貨店のNeiman Marcus(ニーマン・マーカス)といった十数の企業がサービスを利用しており、その拡大を支援するため同社は300万ドル(約3億1000万円)のシードファンディングを調達した。

プライス氏にとって、Kanarysを立ち上げようと思ったきっかけは、彼女自身が法律の世界で働いていた経験にある。きっかけとなったのは彼女自身の成功に対する同僚からの些細な嫌がらせや賃金の格差、さりげなく見下した態度ではなく、彼女の経験はユニークなものではなく、何千人もの他の女性やマイノリティが毎日同じ経験に直面していることを知っていたからだった。

「私は職場で、他の多くの女性や有色人種の女性が経験してきたことと同じようなことをたくさん経験してきましたが、自分の子供たちにも同じような経験をさせたくなかったのです」とプライス氏は語る。

そこで、自身もダラス地域の連続起業家である夫のBennie King(ベニー・キング)氏と、テキサス大学オースティン校とハーバード大学の同級生であるStar Carter(スター・カーター)氏とともに、プライスは2019年後半にKanarysを立ち上げた。

同社は、雇用機会均等委員会に提出されるレポートや昇進、採用、福利厚生を含む様々なポリシーの評価を利用して、同業他社との比較でその企業のパフォーマンスを追跡調査している。

「我々が目にする不公平の多くは、構造的・体系的な観点からのものです。Kanarysは、企業がどのように不公平を持続させているかを見極めることができます」とプライス氏は述べている。

Kanarysはまず企業の方針や慣行の独立した評価から始め、四半期ごとに顧客の従業員を対象に調査を実施して、企業が掲げた達成目標をどの程度クリアしているかを確認する。また、既存の人事システムと統合して、給与の公平性や昇進などを追跡する。

このサービスは、同社の300万ドルのシードラウンドを主導したZeal Capital Partners、Rise of the Rest Seed Fund、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)、Jigsaw VC、Segal Venturesから支援を得た。

「組織は通常、個別の介入によってこの問題に対処しようとしてきました」とプライス氏は述べる。「我々が主張しているのは、両方の面から対処しなければならないということです。見られる不公平の多くは、組織的・体系的なポリシーや慣習に基づいています」。

Kanarysは顧客のためにダイバーシティとインクルージョンの取り組みに関する情報を追跡するだけでなく、求職者のためにGlassdoorのような約1000社を含むデータベースを提供している。その焦点は労働者の満足度だけでなく、従業員が勤務先のダイバーシティへの取り組みをどのように見ているかにある。

特筆すべきは、Kanarysの創業者たちは事業を立ち上げ、ベンチャーキャピタルを調達する(あまりにも少ない)黒人起業家の仲間入りをすることだ。同社が提供するデータによれば、2017年の調査では、米国で調達されたベンチャーキャピタルの98%は男性が占めていた。一般的に黒人起業家が受けるVC出資の割合は1%未満で、黒人女性創業者は、ベンチャーキャピタルの資金調達のわずか0.6%(CNN記事)を占めている。

「ビジネスにおけるDEI(Diversity・Equity・Inclusion、多様性・平等・インクルージョン)に焦点を当てることは、従業員のために正しいことであるだけでなく、ビジネス的にも良い意味を持つことがわかっています」とKanarysの創業者兼CEOであるプライス氏は声明で述べた。「KanarysのDEI データは、ダイバーシティ目標とインクルージョンプログラムに関連した実際の横断的なメトリクスを使用して、正確かつ即時に情報に基づいた意思決定を行うことを初めて可能にし、最終的にはビジネス目標の底上げにつながります」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Kanarys資金調達DEI

画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(翻訳:Nakazato)

メルセデス・ベンツが高級EVセダンEQSの湾曲56インチ「ハイパースクリーン」発表

3年前、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、従来の自動車業界を躍進させるインフォテインメントシステム「MBUX(メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」を発表した。

このシステムは鮮明なグラフィック、直感的なUIと音声アシスタントを備えており、スマートフォンの使用感に近く、ピクセル化された画面や、現代のインフォテインメントシステムの多くに見られる乱雑なデザインからようやく脱却したものだった。

メルセデスは米国時間1月7日、MBUXの次のイテレーションである56インチの湾曲したスクリーンを発表した。MBUX Hyperscreen(MBUXハイパースクリーン)は、メルセデスの電気自動車ブランドEQのフラッグシップセダンである2022年モデルのMercedes EQS(メルセデスEQS)にオプション設定される。オンライン開催のCES展示会に先駆けて発表されたハイパースクリーンは、8CPUコア、24GB RAM、46.4GB/秒のRAMメモリ帯域幅を備えており、1台の多機能カメラと光センサーを利用して、画面の明るさを周囲の照明条件に適合させることができるという。

これらの技術はすべて、最大7人まで個別に対応できる直感的なインフォテインメントシステムを提供することを目的としている。メルセデス・ベンツのCTOであるSajjad Khan(サジャド・カーン)氏によると、ハイパースクリーンの背後にあるソフトウェアにより、システムは継続的に顧客をよりよく知っていくことができ、車の乗員がどこかをクリックしたり、スクロールしたりする必要がないように設計されているという。

「MBUXハイパースクリーンは、クルマの脳と神経系の両方です」とカーンは声明で述べている。

Mercedes-Benz EQSのMBUXハイパースクリーン(画像クレジット:Mercedes-Benz)

湾曲したスクリーンは、ガラスのハウジングの下に複数の個別のディスプレイが配置されているが、カバープレートは、反射を低減し、清掃を容易にするために傷に強いケイ酸アルミニウムの2層コーティングで保護されている。メルセデスはまた、万が一の衝突に備えて、スクリーンの破損ポイントをあらかじめ設定して設計したとのこと。

湾曲したスクリーンの両側には、スクリーンに組み込まれた2つの物理的な通気口がある。

画面の見た目や大きさはさておき、際立つのはUIや操作方法だ(といっても、明確にしておくとまだ本当にテストしたわけではないが)。メルセデスは充電、エンターテインメント、電話、ナビゲーション、ソーシャルメディア、コネクティビティさらにはマッサージ(タイプミスではない)に関する情報をスクリーンのフロントに配置することを選択した 。これは、メニューをスクロールしたり、これらのオプションを見つけるために音声アシスタントを使用する必要がないことを意味している。

ドライバーのパターンを学習したシステムのソフトウェアがユーザーを促すので、サブメニューに入っていく必要がなくなる。ナビゲーションマップは常に中央に表示されており、そのすぐ下には電話やエンターテイメントのためのコントロール、または状況に応じた機能が配置される。

メルセデスは7日の発表中に、システムのソフトウェアと、そのスマートな機能を強調した。たとえばドライバーがいつも特定の曜日に帰宅途中に特定の人に電話をかけている場合、システムはその行動を予測し始める。タイミングを合わせ、その相手の名刺が連絡先とともに出てきて、保存されていればその人の写真も表示される。その日の夕方に他の誰かがEQSを運転していた場合は、このような提案は行われない。

Mercedes-Benz EQSのMBUXハイパースクリーン(画像クレジット:Mercedes-Benz)

ドライバーはシステムのより深いレベルで設定を変更したり、他の機能にアクセスしたりすることができる。助手席の乗員は「co-driver display」(コドライバー・ディスプレイ)と呼ばれる専用の画面セクションを持ち、ドライブ中に画面を操作することができる。一部の市場では、Bluetoothヘッドフォンを使用して移動中にビデオを視聴することも可能だ。カメラに制御されるインテリジェントロックコンセプトにより、ドライバーが助手席のディスプレイを見て気が散るのを防ぐことができるという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Mercedes-BenzCES 2021

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(翻訳:Nakazato)

ホログラフィックディスプレイのEnvisicsがパナソニックと提携、車内AR技術実現を加速

Envisics(エンヴィシクス)の創業者兼CEOであるJamieson Christmas(ジェイミソン・クリスマス)博士は、ホログラフィック技術を使って車内体験に「革命を起こす」ために3年前にスタートアップを立ち上げた。そしてこの度、その使命を達成するためのパートナーを得た。

英国を拠点とするホログラフィック技術のスタートアップである同社は、米国時間1月8日、Panasonic Automotive Systems of America(PASA)と、自動車・トラック・SUV向けの新世代ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display、HUD)を共同開発し、商品化することで合意に達したと発表した。PASAはPanasonic Corporation of North America(パナソニック ノースアメリカ株式会社、PNA)の一部門であり、Tier1(ティア1)自動車サプライヤーだ。ヘッドアップディスプレイは車両のダッシュに組み込まれたユニットで、フロントガラスに映像を投影し、ナビゲーションやその他の警告をドライバーに提供する。「パナソニックHUD」と呼ばれるHUDは、Envisics社のホログラフィック技術を採用することになる。

今回の契約は、2021年にオンライン開催されるCES展示会に先立ち発表されたもので、Envisics社の5000万ドル(約52億円)のシリーズB資金調達ラウンドと、その技術がキャデラックの電気自動車Lyriqに搭載されるというニュースに続く。この資金調達ラウンドでは韓国のHyundai Mobis(現代モービス)、米国のGeneral Motors Ventures(ジェネラル・モーターズ・ベンチャーズ)、中国のSAIC Ventures(上海汽車集団のベンチャー部門)、米国Van Tuyl Companies(バン・タイル・カンパニー)からの投資を含め、Envisicsの評価額は2億5000万ドル(約260億円)以上となった。

Envisicsの技術の基盤は、15年以上前にクリスマス博士が、光の速度を電子的に操作することにより、ケンブリッジ大学で博士号を取得した際に開発されたものだ。このプロセスにより画像を立体的に見せることができると、博士は最近のインタビューで説明している。同社は250件以上の特許を取得しており、さらに160件を申請中だという。

クリスマス博士は、同社はもっぱらホログラフィーの自動車アプリケーションに焦点を当てていること、そしてその第一世代はすでに15万台以上のJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)車に搭載されていることを付け加えて語った。

クリスマス博士は、今回の契約は、パナソニックの光学設計の専門知識と、Tier1サプライヤーとしてのグローバルなリーチをEnvisicsの技術と組み合わせることで、ホログラフィを広く普及させることを目的としていると述べた。両社によると、Envisics社の技術を用いた自動車の量産は2023年を予定しているという。

「これは当社の事業計画の一環でした。シリーズBの資金調達ラウンドは、事業を拡大し、市場への参入に向けて前進できるようにすることを目的としていましたから」とクリスマス博士は語る。「その一環として、市場に製品を提供するために協力できるティア1とのパートナーシップを約束していました」。

「これはそれらの契約の最初のものです」と彼は付け加え、Envisicsがさらに大きな目標を持っていることを示唆した。

クリスマス博士によると、それが意味するものは、高解像度で広色域のヘッドアップディスプレイであり、現実に重ね合わせて表示できる大きな画像であるという。この技術は、同時に複数の距離の情報を投影することもできる。

「これにより、非常に興味深いアプリケーションへの道が開きます」とクリスマス博士はいう。”短期的には、ナビゲーションや車線の強調表示、安全アプリケーションなど、比較的単純な拡張現実アプリケーションになるでしょう。しかし、自律運転のようなものに目を向けると、エンターテインメントやビデオ会議のような他の可能性の領域が開けてきます」。

彼は、暗い道に拡張された情報を重ね合わせて、道がどこに向かっているのか、どんな障害物がそこにあるかもしれないのかを明確にするような暗視アプリケーションにも利用できると付け加えた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Envisics資金調達ヘッドアップディスプレイ / HUDARCES 2021ホログラム

画像クレジット:Envisics

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(翻訳:Nakazato)

Twitterがトランプ氏に対してついに永久停止処分を下した理由を説明

Twitter(ツイッター)は、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏のフォロワーとのコミュニケーション能力を制限するために劇的な一歩を踏み出し、米国時間1月8日に米国大統領を永久追放した。この決定は、米国時間1月6日の米議会議事堂への暴力的な侵入を奨励したことを考慮して下されたもので、彼のTwitter上の存在に特に精通していない人にとっては突然のことのように思えるかもしれない。

実際のところTwitterは、世界のリーダーたちによる言論は、たとえそれがルールを破ったとしても公共の利益になるという会社の信念に基づき、大統領としての任期4年間にトランプ氏に何度も何度も(未訳記事)繰り返しセカンドチャンスを与え、彼のアカウントを維持していた。

トランプ氏がついに追放された今、Twitterが8日に最終的なポリシー決定に至った様子が、非常に興味深いかたちで垣間見えてきた。同社は当初、@TwitterSafetyアカウントからの一連のツイートでトランプ氏の追放を発表したが、その考え方を詳細に説明するブログ記事もリンクしている。

その掘り下げた説明の中で、同社は6日に行われた違反行為を理由にアカウントを一時停止した後、トランプ氏に最後のチャンスを与えたと説明している。しかし翌7日、大統領が投稿した2つのツイートは、限度を超えたと述べている。Twitterは、下のスクリーンショットから見られるこれらのツイートについて、独立して検討されたわけではなく、彼の最近の行動と今週起きた(暴動)事件と併せ、文脈を詳しく検討した、と説明している。

「… 我々は、これらのツイートが暴力賛美に関するポリシーに違反していることから、ユーザー@realDonaldTrumpは直ちに、永久にアクセス凍結されるべきであると判断しました」とTwitterは述べている。

Twitterのスクリーンショット

「自分のために投票してくれた7500万人の偉大な米国の愛国者たち、『米国第一』、『米国をまた偉大にしよう』に投票した人たちは、今後も長いこと巨大な声を持つ。決して不当な扱いを受けたり、見下されたりはしない。どのような形でも!!!」

「尋ねていた人たちへ、自分は1月20日の就任式に行かない」

同社はこのように、その理由をポイントごとに説明している

  • トランプ大統領が就任式に出席しないという声明を出したことは、多くの支持者の間で選挙が正当なものではなかったことをさらに確認するものとして受け止められており、1月20日には『秩序ある政権移行』が行われるという彼の副参謀長Dan Scavino(ダン・スカヴィーノ)氏の2つのツイート(1、2)での以前の主張を否定していると見られている
  • 2つ目のツイートは、暴力行為を考えている人々に、彼は就任式に参加しないため、『安全な』攻撃標的になるだろうとの励ましにもなるかもしれない
  • 彼の支持者の一部を表現するために「米国の愛国者」という表現を使っていることも、米議会議事堂で暴力行為を行う人々を支持していると解釈されている
  • 彼の支持者たちが「未来に向かって長い間、巨大な声」を持っているという言及と、「彼らは決して不当な扱いを受けたり、見下されたりはしない!!!」という言及は、トランプ大統領が「秩序ある政権移行」を促進することを計画しておらず、その代わりに彼が選挙に勝ったと信じている人々を支持し、力を与え、かばい続けようとしていることをさらに示していると解釈されている
  • 今後の武装抗議の計画はさらに始まっており、2021年1月17日に米国会議事堂や州議事堂への二次攻撃の提案を含め、すでにTwitter内外で急増している

これらの点はすべて直感的に理解できるが、彼の熱烈な支持者はそうは思わないだろう。最終的には、これらの決定は、定められたポリシーに倣うのはもちろんだが、多くの主観的な分析と解釈をともなう。ソーシャルメディア企業は、いくらアルゴリズムに難しい決断を任せようとしても、最終的には最善の策を見出そうとする人間のグループが責任を取ることになる。

今回のTwitterの説明は、ソーシャルネットワークが何を残して何を拒むかを決定するプロセスについて、まれに見る率直さで垣間見るチャンスだった。このTwitterの動きは大きい。多くの人々が、当然数カ月前に、もしくは数年前に行われるべきだったと信じている措置だ。だからこそ、往々にして謎に包まれているハイレベルの意思決定プロセスを、誰もが見られるように明白に、公に説明しておくのは有益なことだといえる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディアTwitter

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Nakazato)

50歳以上に多い肺疾患IPFと闘うEndeavor BioMedicinesがシリーズAで64.5億円調達

新しい医療スタートアップが、6200万ドル(約64億5000万円)のシリーズA資金調達ラウンドで正式にステルスから脱し姿を現した。Endeavor BioMedicinesは、以前にImpact Biomedicinesを率いていた共同創業者兼CEOのJohn Hood(ジョン・フッド)博士が率いる会社で、新たな資金調達はOmega FundsとLongitude Capitalだけでなく、同社自身の経営陣も参加している。Endeavor社は、以前はRift BiotherapeuticsのCEOを務めていたMiguel de los Rios(ミゲル・デ・ロス・リオス)博士がチーフサイエンスオフィサー(CSO)となり、共同で設立された。

Endeavor社の目標は肺疾患に特化した治療法を開発することであり、同社は、特発性肺線維症(IPF)という非常に一般的なタイプの肺線維症で、長期にわたり肺胞組織の瘢痕化を引き起こし、患者の呼吸困難を引き起こす特発性肺線維症の進行を逆転させることができるか、または遅らせることができるかを調べる2つの第二相臨床試験に資金を投入している。

同社のプレスリリースによると、IPFの死亡率は非常に高く、憂慮すべきものとなっている。Endeavor社の新しい治療薬候補である「taladegib」は、IPFの「ヘッジホッグ」経路として知られているものに呼びかける阻害剤だ。この経路は、主に胚発生時の細胞分化に関与しており、成人においても、成熟組織の再生を調節している際に機能不全に陥ると、有害な疾患の発生に役割を果たすことがあるという。

フッド博士の以前の会社Impact Biomedicinesは、買収条件の中で設定されたパフォーマンスマイルストーンに応じ特定の規制・販売条件をクリアするかにもよるが、Celgene Corpに70億ドル(約7277億円)相当で売却された。この会社は、特定のタイプのタンパク質キナーゼ(PK)の阻害剤を使用して、血液がんの一種である骨髄線維症に特化した治療法の開発に重点を置いていた。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Endeavor BioMedicines資金調達

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(翻訳:Nakazato)

クラウドセキュリティのLaceworkが2年連続収益300%増で約545.7億円のシリーズD投資調達

2020年にパンデミックが発生したことで、企業は軒並みクラウドサービスへの移行を加速させた。クラウドセキュリティのスタートアップであるLaceworkは、顧客がクラウドネイティブのワークロードを安全に保護する方法を探していたため、適切な場所に適切なタイミングでいたといえる。同社は、収益が2年連続で前年比300%増となったことを報告した。

このようなパフォーマンスが評価され、同社は米国時間1月7日、5億2500万ドル(約545億7000万円)をシリーズDで調達した。正確な評価額は明らかにされていないが、10億ドル(約1039億円)を超えたということなので、多額の投資を得ただけある。Sutter HillとAltimeter CapitalがD1 Capital Management、Coatue、Dragoneer Investment Group、Liberty Global Ventures、Snowflake Ventures、Tiger Global Managementの協力を得て、このラウンドをリードした。同社はこれまで、6億ドル(約623億6000万円)近くを調達している。

Lacework社のCEOであるDan Hubbard(ダン・ハバード)氏は、投資家からの関心がこれほどまでに広まった理由の1つは、同社のセキュリティソリューションの幅広さにあると述べている。「当社は企業がクラウドで安全に構築するのを可能にしており、市場の複数の異なるカテゴリーにまたがっているため、顧客にそれが役立っています」。

構成(コンフィギュレーション)やコンプライアンス、コードとしてのインフラストラクチャのセキュリティ、ビルド時やランタイムの脆弱性スキャン、Kubernetesやコンテナなどのクラウドネイティブ環境のランタイムセキュリティなど、さまざまなサービスを網羅しているとハバード氏はいう。

同社は収益の伸びにともない、従業員を急速に増やしてきた。2020年は92人の従業員でスタートし、200人以上の従業員で年を終えたが、2021年末までにはその数を倍増させる計画だという。ハバード氏は、採用を検討するにあたり、多様な人材を含む組織を築いていく必要性を認識しているが、一般的にテック業界はその側面で、これまでのところ良い仕事ができていないとも認めている。

ハバード氏は、社内の様々なチームと協力してこの状況を変えようと努力しているという。また、過小評価グループが必要なスキルを身につけるための教育を支援している外部の組織をサポートし、そこから人材を発展させることにも力を入れている、とも。「早い段階で問題解決の手助けができれば、そこには(人材を養成する)より大きな機会があると思います」。

この企業はもともとSutter Hillの内部で育まれたもので、Snowflakeのプラットフォームの上に構築された。同社によると、今回の総額のうち2000万ドル(約20億8000万円)はSnowflakeの新しいベンチャー部門から出ており、初期のパートナーとして資金を投入しているという。

「我々はSnowflakeのアルファ顧客であり、彼らは我々のアルファ顧客でした。当社のプラットフォームはSnowflakeのデータクラウドの上に構築されており、彼らの新しいベンチャー部門も投資をしてラウンドに参加し、パートナーシップをさらに強化しています」とハバード氏は述べている。

Sutter Hillはどうかというと、投資家のMike Speiser(マイク・スパイザー)氏は、Laceworkを同社の重要な投資の1つと見ているという。「Snowflakeが進化を遂げたときと似て、Laceworkは年間300%以上の収益成長を遂げていることからも、Sutter Hill Venturesの最も重要で有望なポートフォリオ企業の1つです」とスパイザー氏は声明で述べている。

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(翻訳:Nakazato)

インドのスタートアップは2020年に合計9660億円を調達、記録更新ならずも後半回復

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックやその他いくつかの要因により、2020年はインドのスタートアップの投資契約がスローダウンした。

2019年の記録的な145億ドル(約1兆6000億円)の資金調達と比較して、インドのスタートアップは合計調達約93億ドル(約9660億円)で2020年を終えようとしている。コンサルティング会社Tracxnによると、世界最大級のスタートアップコミュニティであるインドのスタートアップが1年間に100億ドル(約1兆400万円)未満の資金調達を行ったのは、2016年以来初めてのことだという。

案件数は2019年の1185件から2020年には1088件に減少した。より大きなサイズの資金調達ラウンドも減った。1億ドル(約104億円)以上のサイズの資金調達ラウンドは2019年の26件から20件に減少し(これらのラウンドは昨年の75億ドル(約7800億円)に対し、今年は36億ドル(約3700億円)を調達した)、同様に5000万ドル〜1億ドル(約52億円〜104億円)のディールサイズのラウンドは27件から13件に減少した。この数字には、今年だけで200億ドル(約2兆770億円)以上を調達した通信大手のJio Platformsへの投資は含まれていない。

景気減速にもかかわらず、インドのスタートアップは2020年の下半期に大幅な回復を経験した。Tracxn社によると、世界第2位のインターネット市場であるインドのスタートアップは、上半期に約461件の契約からわずか42億ドル(約4362億円)の資金調達を行ったという。

世界中のスタートアップに影響を与えた新型コロナウイルス以外にも、投資に影響を与えたもう1つの要因は、大手投資家の一部が参加していなかったこと、または参加が減ったことだ。

中国の巨大企業Alibaba(アリババ)や、その関連会社Ant Group、そしてTencent(テンセント)などは、中印間の緊張中で、今年はインドのスタートアップへ小切手を切ることが減った。そしてソフトバンクも、Paytm、Oyo Rooms、Olaなどの知名度が高いポートフォリオ企業の多くが資金調達をしなかったため、出資が少なくなった。

しかし、ウイルスは一部のスタートアップの成長を加速もさせた。EdTech企業Byju’sの評価額は、2020年1月の80億ドル(約8310億円)から(未訳記事)増え110億ドル(約1兆1425億)を超えた。オンライン学習分野で注目を集めているもう1つのスタートアップUnacademyは、パンデミックが最も激しかった時期に2回の資金調達を行い(未訳記事)、今年2月には約5億ドル(約519億円)だった評価額を20億ドル(約2077億円)以上に引き上げた

Mary Meeker(メアリー・ミーカー)氏ら注目度の高い投資家が立ち上げたベンチャーキャピタルファンドのBondは2020年、Byju’sに投資している(未訳記事)。Bond社の概要を把握している人物がTechCrunchに語ったところによると、同社は3年後には、Byju’sの評価額は300億ドル(約3兆1000億円)を超えると考えているという。インドではSaaSモデルで運営され(未訳記事)、世界中の顧客にサービスを提供しているいくつかのスタートアップも2020年は勢いを増している(未訳記事)。

RazorPay、Unacademy、DailyHunt、Glanceなど11社のインドのスタートアップが今年はユニコーン企業になった(余談だが、GoogleとFacebookは2020年、インド企業にいくつか小切手を書いている。Googleは先にGlanceとDailyHuntを支援し、FacebookはUnacademyに投資した。両社とも今年はJio Platformsにも投資している)。

Better Capitalの創業者兼専務理事であるVaibhav Domkundwar(ヴァイブ・ドムクンドワール)氏はこう語る。「私は(残念ながら!)2001年と2008年の不況を見てきた年齢なので、新型コロナウイルスが押し寄せて来て、あちこちで破滅的で陰気な話ばかりだったとき、過去の不況の際に何が起きていたかを思い出しました。それは次世代の企業を構築する、新世代のチームの始まりでした」。インドでアーリーステージのスタートアップを支援するBetter Capitalは、2020年に43件の投資とフォローオン投資をしている。

今年はM&Aも加速した。Byju’sはWhiteHat Jrを3億ドル(約311億4000万円)で買収し(未訳記事)、Unacademyは7月に医学生向けの講座を提供するPrepLadderを5000万ドル(約51億9000万円)で買収した(未訳記事)。また、同社は500万ドル(約5億2000万円)の投資ラウンドを主導してMastreeの過半数の株式を取得した。

Reliance Industriesは、オンライン薬局のNedmedsを買収したほか、破格の値段でUrban Ladderを買収した

インドのスタートアップはここにきて、異なる種類の出口も見えてきた。2021年の株式公開を計画しているスタートアップの中にはZomatoFlipkart、Policybazaarなどが含まれている。Bernsteinのアナリストは2022年までに株式を公開する可能性のある企業の中にPaytm、Byju’s、PhonePe、Delhiveryを挙げている。

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GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力
インド独禁監視当局がGoogleによるJio Platformsへの4740億円出資を承認
インドでフードデリバリー事業を展開するZomatoが100億円超を調達しIPOに向けて準備

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タグ:インド資金調達

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(翻訳:Nakazato)

eコマース小売業者にコスト平均28%削減で物流を提供する香港発のPickupp

ロジスティクスのスタートアップPickuppの共同創業者でCEOのCrystal Pang(クリスタルパン)氏(画像クレジット:Pickupp)

小規模ビジネスにとってロジスティクスは、eコマースにおける最大の課題の1つだ。Pickuppは、柔軟でカスタマイズ可能な配送サービスを提供することで、オンデマンド経済での競争を支援する会社だ。香港を拠点とするPickuppは、マレーシア、シンガポール、台湾でも事業を展開しており、同社によれば顧客の物流コストを平均約28%削減できるという。

Pickuppは、アセットライトなビジネスモデルでこれを実現している。倉庫や自社のフリートを運営するのではなく、物流会社と提携し、独自のソフトウェアを利用することにより、注文の一括配送をより効率的にするのだ。

現在約1万社のeコマース業者にサービスを提供している同社は2020年11月、Vision Plus Capital、Alibaba Entrepreneurs Fund(阿里巴巴創業者基金)、Cyperport Macro Fund、Swire Properties New Ventures、そしてSparkLabs TaipeiからシリーズAラウンドで非公開額の資金を調達したと発表した。

Pickuppは現在、4時間以内に配達するオンデマンドクーリエ便、当日配達、1~3日配達の3種類のドア・ツー・ドア配達サービスを提供している。また、企業向けにロジスティクスや土壇場での配送ソリューションをカスタマイズすることもできる。

シンガポールでは、Pickuppは独自のeコマースプラットフォームを運営している。「Shop On Pickupp」と呼ばれるこのプラットフォームは、小売業者がその業務をよりオンラインで行うことを可能にし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの際には、士林夜市Singaporeのようなマーケットプレイスのデジタル化に使用された。

Pickuppを始める前、共同設立者兼 CEOであるCrystal Pang(クリスタル・パン)氏は、ソフトウェアエンジニアとして訓練を受けており、2014年に香港でUberを立ち上げたチームの一員だった。

「その頃、多くの業者がUberの車を使って、人以外のものを配達しようとしていることに気づき、物流について調べ始めました」と彼女は語っている。

しかし、配送サービスとは異なり、業者はUberのドライバーと価格交渉することができなかった。たとえば車両をより長時間待つことが可能な場合、割引料金を交渉するなど。「そこがロジスティクスの要点です。誰もが、どうにかしてコストを削減したいと思っていますから」とパン氏はいう。市場機会を感じとったパン氏は、ソフトウェアエンジニアリングの経験を活かしてソリューションを考え始めた。

Pickuppは2016年12月に設立され、翌年から運営を開始した。立ち上げ時、PickuppにはすでにGogovanやLalamoveのような手ごわいライバルがいた。しかし、それらの企業は主にオンデマンド、ポイント・ツー・ポイントでの配送に焦点を当てていたため、パン氏はサプライチェーンの他の部分に取り組む機会を見出した。

「他の物流会社と比較して、どのように自分たちを位置付けるかというと、様々なeコマースのニーズを満たすと同時に、当社は物流会社のように振る舞いますが、何も所有する必要はありません。この分野を代表するSF Express(順豊エクスプレス)やNinja Vanなどのような、倉庫をリースして自社フリートを運営する従来の物流会社の機能を果たしていますが、Pickuppはそれを実現するためにアセットライトなアプローチを選択しています」と彼女は述べている。

Pickuppは、データと技術の会社として自らを位置づけているとパン氏は付け加えた。

「当社をモニタリングシステムのような存在と考えていただくこともできます」と彼女はいう。Pickuppは、仕分け施設、国境を越えた貨物輸送業者、配送車両と提携し、サプライチェーンに沿って注文がどこにあるかを顧客に可視化している。

このシステムは、利用可能な配達員がいつどこで応対できるかを予測することでコストを抑え、注文バッチに合わせて配達員を配置することができる。また、需要が急増した際のボトルネックを防ぎ、可能な限り最大のキャパシティで配送業者を利用できるようにする。これはダブルイレブンやブラックフライデーのような、休日や大きなショッピングイベントでは特に重要だ。

Pickuppの利点の1つは、システムが柔軟に設計されているため、アジアの新しい市場に迅速に進出できることだ。パン氏はTechCrunchの取材に対し、今回のラウンドはサービスの追加や機械学習、予測分析、顧客の購買行動の理解に投資するために使われると語った。また、今後3年間で最大5つのアジア新市場への進出を計画しているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pickupp香港物流資金調達

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(翻訳:TechCrunch Japan)

EUがグーグルのFitbit買収を承認、健康データの広告利用を10年間禁止することで合意

EUは米国時間12月17日、Google(グーグル)がウェアラブルメーカー、Fitbit(フィットビット)を21億ドル(約2173億7000万円)で買収するプランを承認した数カ月間にわたる規制上の審査(未訳記事)続いて、膨大な量のユーザー健康データをグーグルがむさぼり食うことに関する競争上の懸念を縮小させることを意図した、いくつかの条件を適用する。

グーグルがFitbitを買収するプランを発表したのは1年以上前のことだが、欧州委員会に取引を通知したのは2020年6月15日になってからだった。これはEUから、暫定的にゴーサインが出るまで半年かかったことを意味する。同社はまた現在、本拠地である米国で複数の角度(未訳記事)から、公的な独占禁止法違反容疑に直面している(これらはFitbitには関連していない)。

「Gitbit」誕生にあたりEUの承認を得る条件の下、グーグルは10年間、欧州経済地域内ユーザーのFitbitデータを広告ターゲティング目的のために使用しないことを約束した。

同社は、Fitbitウェアラブルを介して収集された健康データは、グーグルの他のデータから技術的に分離し、別のデータサイロに維持すると述べている。

また、EU地域のユーザーが、GoogleアカウントまたはFitbitアカウントに保存された健康データの使用をグーグルが提供する他のサービスに許可するか否か「実行選択肢(effective choice)」を持っていることを保証する、と同社は約束している。その中にはGoogle検索、Googleマップ、Googleアシスタント、YouTubeなどが含まれる。しかしそれが実施されるにあたり、どれだけ腹黒いパターン設計が適用されるのか、興味深いところだ。

興味深いことに、EUはそのような延長を正当化できる場合、10年の広告誓約をさらに10年、期間延長を決定するかもしれないとしている。

さらに同委員会は、取引が完了する前に任命されなければならない監視トラスティによって、措置の実施状況が監視されることが承認の条件であることにも言及している。

このまだ任命されていない人物は、「グーグルの記録、人材、施設、技術情報」へのアクセスを含む、欧州委員会が「広範な権限」と見なしているものを持つことになる。

EU規制当局は、このビッグテック合併の強圧に対し、「信用するが検証はする」という姿勢で臨んでいるといえるだろう。

さらに、競合に焦点を当てた誓約もある。

グーグルは、サードパーティ開発者がWeb APIを介してFitbitユーザーのデータに無料でアクセスできる機能を維持することに合意した(もちろん、ユーザーの同意を条件としている)。

また同社は、ウェアラブルメーカー競合相手のAndroid APIへのアクセスに関する誓約の数々にも合意している。スマートフォンの中で支配的なOSであるAndroidに競合するデバイスが接続する必要がある場合、すべてのコア機能において無料ライセンスを継続するという。

委員会によると、この合意は、デバイスの機能性改善を配慮したものだ。競合ウェアラブルメーカーがより良い、より有能なデバイスを開発する際、それらがAndroidエコシステムからシャットアウトされるリスクなしに技術革新を行えるようにすることを意図している。

また、グーグルは、Androidオープンソースプロジェクト(AOSP)版のモバイルプラットフォームのAPIサポートを維持しなければならない。

ここ半年間の審査と交渉の間に、欧州委員会がグーグルから引き出したもう1つの譲歩は、ユーザーエクスペリエンスの低下(警告やエラーメッセージの表示など)によって、APIを介してAndroidにアクセスするライバルのキットをサポートするための要求を回避しようとしないということだ。

率直にいって、規制当局が認可のためにそのような警告を送らなければならないとすれば、かなりの機能不全と見てとれる。そしてそれは、グーグルのビジネスがどのように運営されているかについて、蓄積された不信感のレベルを明らかにしている。

そしてこれは、グーグル・Fitbitに屈服し、合併が先に進むことを許したEU規制当局の存在に関する疑問を引き起こす。案の定、欧州委員会のPRは多少守りに入っているように聞こえる。EUの議員は、決定が「最近提案されたデジタル市場法(Digital Markets Act、DMA)を通じて、デジタル分野における公正で競争力のある市場を確保するための欧州委員会の努力を損なうものではない」としている。

また、前述の監視トラスティは同委員会に提供する報告書を、グーグルのデータ保護監督機関であるIrish Data Protection Commission(IDPC、アイルランドデータ保護委員会)と共有する権利があることにも言及している(とはいえ、グーグルの事業の他の要素に関する多数の調査を含む、膨大なビッグテック関連の案件が委員会のデスクに山積みになっていることを考えれば、グーグル側が眠れない夜を過ごす原因にはならないだろう)。

欧州委員会はまた、グーグルとの誓約には「サードパーティが行使できる迅速な紛争解決メカニズム」が含まれているとも述べている。つまり、グーグルがすでに大幅に支配している消費者向けデジタルサービス分野でのさらなる統合を正当化するために、明らかに余計なことをしようとしているのだ。しかも、米国の議員らが正反対の方向に向かっている時に、である。

ヨーロッパの市民社会(とそれ以上)は発表以来、グーグルのFitbit買収について激しく抗議の声を上げていた(未訳記事)。人権の保護を保証できない限り(未訳記事)、ビッグテックがFitbitの所有する健康データをむさぼるのを止めるよう、規制当局に働きかけてきたのだ。

12月17日、委員会はこれらのより広範な権利に関する懸念を回避した。

ひいき目に見て10年後、長くても20年後に議論を先送りしただけだろう。そして2030年(または2040年)までには、グーグルのようなデジタルゲートキーパーに制約を加えるために提案したばかりの規則が、将来の悪用を抑制できる立場にあること(未訳記事)を期待しているのだ。

よくいわれるEUの優先傾向は、巨大テクノロジー企業を規制することで、その帝国を分割することではないというが、さらなる帝国の拡大を邪魔するのも好みではないらしい。

欧州委員会の上級副委員長であるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、次のように述べている。「合意した誓約により、ウェアラブルと新興のデジタルヘルス分野の市場がオープンで競争力のあるままであることを保証できるため、グーグルによるFitbitの買収案を承認できます。これらの誓約は、グーグルが収集したデータを広告目的でどのように使用できるか、競合するウェアラブルとAndroid間の相互運用性をどのように保護するか、そしてユーザーが選択した場合には、健康データを共有し続けることができるかを定めています。」

先に(未訳記事)欧州議会の委員会で質問を受けたベステアー氏は、Gitbitの承認が間近に迫っていることを示唆し、市場を支配するテック企業に対処するためのアプローチが米国と欧州では異なると述べた。「ヨーロッパでは独占を禁止していません」とベステアー氏は欧州議員たちに語った。「米国では法的根拠が違います。我々の場合、成功することは大歓迎だが、成功には責任がともなう、という見方です。そのために、連合条約の第102条があるのです」(条約第102条は、市場で支配的な地位を占める事業者がその地位を悪用することを防ぐことが目的)。

欧州委員会が、デジタル市場における競争法施行を強化するための新しい規制を提案する必要性を感じているのもこのためだ。しかし、DMAが施行されるまでには何年もかかるだろう。

そして、その間にEU規制当局は、グーグルがFitbitの宝庫から人々の健康データをわしづかみにし、個人情報の支配を拡大するのを許すことになる。後でやってくる完全な搾取のために。

いずれにしても、ハーバード大学のShoshana Zuboff(ショシャナ・ズボフ)教授が先に警告した(未訳記事)ように、監視資本主義のビジネスの野望は今や単なるターゲット広告をはるかに超えた規模になっている。目標は「確実性に近づくにつれてより儲かる予測のために」データを使用することだ、と彼女は警鐘を鳴らす。社会は、巨大テック企業の「認識論的クーデター」に歯止めをかけるために、公共の利益のために介入しなければならない、とも。

健康データから生成された正確な予測が、グーグルにとって非常に有益になる可能性があるのは確かだ(同社は近年、健康部門への投資を拡大している)。

それが最終的に人類にとって、善になるか悪になるかは今のところわからない。しかし、規制当局が簡単にサイコロを振って良い類のギャンブルではない。欧州委員会は競争法施行のために便利なバイパスをビッグテックに与えている一方で、道端をいじくり回しているだけだという向きも多い。

この戦いに参加してくれたすべての人に感謝しています。正当で誠実な戦いだと思いました。

個人的には大きな敗北です。大局的な見地から言えば、世界的に禁止されたビッグテックの合併は今のところ0(ゼロ)のままです(合併の総数は1000、増え続けています)。

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画像クレジット:Fitbit

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(翻訳:Nakazato)