F3はZ世代のティーンを対象とした匿名Q&Aアプリであり、Tinder(ティンダー)のようなスワイプして友達を追加するゲーミフィケーションの仕組み、ストーリー風のリッチメディアでの回答、そして誰があなたと友達になりたいかを実際に知らせる「Plus」バージョン(驚くほど高価なサブスクリプション)を組み合わせている。このF3が、米国市場への計画的な進出も視野に入れて、シードラウンドで390万ドル(約4億663万円)の資金調達を行った。
F3をサポートするこのラトビアのスタートアップにとって、ティーン向けのバイラルアプリゲームは真新しいものではない。ティーン向けの匿名Q&Aアプリ、Ask.fmを開発したのはこのチームだからだ。Ask.fmは、攻撃的なメッセージを受け取ったユーザーの多くが自殺したことから、2013年にいじめや安全上の問題をめぐる物議を醸しだした。しかしこのことで同社がティーン向けのバイラルアプリの世界から遠ざかったわけではないことは明らかだ。
F3のシードラウンドに参加した投資家は、ロシアの出会い系ネットワークMamba(マンバ)(マンバの投資家であるMail.ru Groupを含む)とマーケティングに特化した共同投資を行うベンチャーキャピタルAdFirst(アドファースト)である。
musical.lyの前社長であるAlex Hofmann (アレックス・ホフマン)氏とBitfury Capital(ビットフューリー・キャピタル)のGPであるMarat Kichikov(マラット・キチコフ)氏も、エンジェル投資家としてこのラウンドに参加したメンバーに名を連ねている。
F3は2018年にこのアプリをローンチし、現時点で登録ユーザー数は2500万人にのぼり、その85%が25歳未満である。
典型的なユーザーは(飽きっぽい)ティーンエイジャーであり、ユーザーベースは現時点で女性65%、ヨーロッパ60%/ラテンアメリカ20%/その他の地域20%と報告されている(F3はアクティブユーザーの数を公表していないが、現時点で80%のユーザーが3か月以上アプリを利用していると主張している)。
安全面では、F3は自動化されたツールと人の両方を使ってコンテンツモデレーションを行っている。創設者たちはAsk.fmでの過去の経験から学んだという(Ask.fmは2014年にIACのAsk.comによって買収され、それにより現在までのF3の開発につぎ込む資金を得た)。
「前身の会社(Ask.fm)ではコンテンツ違反の問題を解決してきましたが、F3の開発においては、スタート時点からこの問題を解決するためのあらゆる知識を活用できました。自動化ツールには、継続的に改善されている25万以上のパターンからなるデータベースを使用したあらゆる主要言語のテキスト分析、写真や動画の違反コンテンツを検出するAIベースの画像認識アルゴリズムが含まれています」と語るのは、同社の資金調達チームである。CEOのIlja Terebin(イルヤ・テレビン)氏もこのチームのメンバーの一員だ。
「当社のコンテンツモデレーションチーム(社内の8名の安全専門家と社外委託者30名以上)が24時間体制で、ユーザーレポートと自動化ツールでフラグ付けされた項目を手動でレビューしています」とチームは付け加えた。
ところが私たちが見たアプリのレビューには、ヌードを求める「小児性愛者」に悩まされているというユーザーからの苦情もあった。そのため、安全上のリスクが「解決される」と主張するには、リスクが大きすぎるように思われる。
ティーンエイジャーたちが新たなソーシャルディスカバリー/メッセージングアプリを求めるのはなぜか。テレビン氏とそのチームによると、アプリは最初からZ世代に合わせて作られている。つまりアプリで重視されているのは、オンラインで交流して新しい友達を作るという同世代のニーズと、実際のプライベートな写真や短い動画を使用した「クイック」コンテンツである。
「生でリアル」であることも、ティーン向け製品を市場で受け入れてもらうためには欠かせない宣伝文句だ。
F3ユーザーはパーソナライズされたURLを取得し、他のソーシャルネットワークと共有して、友達からの質問を受け付けることができる。質問は匿名と記名のどちらでもかまわない(F3ユーザーは匿名の質問を受け付けないようにすることもできる)。
ユーザーはプレーンテキストで回答する代わりに、スナップ写真を撮ったり、短い動画を取り込んだり、フィルター、装飾的なフォント、背景などを追加したりして、リッチメディアでのストーリー形式の回答を行うことができる。この方法は、あらゆるソーシャルネットワークアプリに浸透している(最近ではTwitterが影響を受け、フリートと呼ばれる機能をリリースした)。
このようなリッチメディアでの回答はフィード上で公開される。そのためF3ユーザーが質問に答えると、デフォルトでより広範囲のコミュニティにも参加することになる(ただし質問は回答されなければ公開されることはないため、回答しないという選択肢もある)。
非常に多くのアプリがリリースされ、競争の激しいソーシャルメディア環境の中で、F3を際立たせている要因は何かとたずねたところ、アプリの「独自性」だという答えが返ってきた。Q&Aは写真と動画をベースにしているため、フォーマットはなじみがあり、他のソーシャルネットワーク(「ストーリー」や「スナップ」)と似ている。しかしチームが説明するように、「時代遅れのテキストベースのQ&Aにうんざりしすぎた」Z世代をターゲットにして、このQ&Aスタイルのやりとりに写真と動画が取り入れられた。
「私たちは、Z世代の訪問者数をSnapchat(スナップチャット)、TikTok(ティックトック)、Instagram(インスタグラム)と競っています。当社の最大の強みは、ユーザーがQ&A形式を使用し、このような競合プラットフォームでは重視されていない「生のリアルな」コンテンツを通じて、新しい友達を作り、個人レベルで実際に知り合える点です」ともチームは述べている。
最も類似する競合他社に関して、チームはYoloが「ある程度の牽引力」を示していることに注目し、他にもQ&Aアプリを提供している企業がたくさんあることを認めているが、そうしたライバルよりもF3の機能は充実していると主張する。Q&A機能は、ユーザーをより広いコミュニティネットワークに引き込むためのバイラルの仕掛けに過ぎないということだ。
「[F3]は、ビジュアルコミュニケーションを中心に構築されたフル機能のソーシャルプラットフォームです。ユーザーはフォローしている相手の投稿を閲覧できるコンテンツフィードを使用できます。アプリに付属している編集ツールを使用すれば、写真/動画コンテンツを作成できます。またダイレクトチャット、フォローシップ、コンテンツとユーザーを見つけるためのメッセンジャー機能も用意されています。私たちにとって匿名のメッセージ/Q&Aは、当社が急速に成長し、自社のプラットフォームでユーザーを獲得するための入口にすぎません。一方、ユーザーは新たにつながって、F3でしか味わえない独自のソーシャルサークルと関わり続けることができます。このようにしてF3は持続可能なスタンドアロンのソーシャルネットワークとなっています」。
繰り返しになるが、ユーザーのレビューは生に近い(リアルな?)ものである。無料版のアプリ(F3 Plusは7日間で3.99ドル(約400円)、1か月で8.99ドル(約900円)、3か月で19.99ドル(約2000円))はほとんど価値がないという苦情や、匿名での質問の信ぴょう性に関する質問、会えるユーザーが近くにいない/話す言語が違うという苦情などが多く寄せられている。同様のQ&A形式と変わらずがっかりしたというレビューもある。データを取り込むだけのアプリのようだ、といった不満を示したユーザーもいる(F3の「プライバシーポリシー」には、プライバシーポリシーをじっくり読むのが面倒だというユーザーのために、ユーザーが同意しているトラッキングに関する詳細な説明が明確に記載されている)。
「このアプリ全体は、まさに他のアプリと同じである。既存のアプリをまねた、単なるコピーキャットに過ぎないうえに有料である。ダウンロードしないことだ」と2020年7月に投稿されたあるレビューは伝えている。
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(翻訳:Dragonfly)