クラウド型建設プロジェクト管理のアンドパッドが約40億円の資金調達、アライアンスも開始

ANDPADアライアンス アンドパッド

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」運営のアンドパッド(旧社名オクト)は7月20日、第三者割当増資として約40億円の資金調達を発表した。引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家とする、DNX Ventures、Salesforce Ventures、BEENEXTの既存投資家。今後2020年9月をめどに、総額約60億円(今回の調達額を含む)の資金調達を完了する予定。また建築業界のDX化に貢献する「ANDPADアライアンス」の開始を明らかにした。

アンドパッドは、「幸せを築く人を、幸せに。」というミッションを掲げ、業界の人手不足解決、働き方改革を加速させる建設・建築業に特化したクラウド型建設プロジェクト管理サービスANDPADを提供。2016年のサービスリリース以来、2020年7月現在で2000社の企業に導入されているという。ANDPADは、国土交通省のNETIS (新技術情報提供システム) にも登録されており、14万人以上の建設・建築関係者が利用しているクラウド型建設プロジェクト管理サービスとなっている。

今回の調達資金によって、プロダクト開発体制の増強による顧客体験の圧倒的な向上、そしてR&Dとして、業界全体のDX化に貢献するテクノロジーを追求し、社会実装の検証を進めるとしている。

また、現場仕事が多い建設・建築業界の働き方も、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にテレワーク化が進行などデジタル化への動きが加速、また建設業就業者の約3割が55歳以上と高齢化しているなどの社会背景により、今後さらなるDX化・IT化への投資拡大が予想されるという。

そこでアンドパッドは、建築会社の業務DX化に貢献するべく、ANDPADと併用できるサービスとのシステム連携を進めるという。業界に精通したERPや原価管理パッケージ、見積作成、B2Cマッチング、瑕疵保険、教育サービスといった建築業界特化のソリューション・サービスとの連携、電子契約、営業管理、マーケティングツール、IoT、産業用ドローンなど建築業界に今後貢献するテクノロジーとの連携・共同研究を行うことを明らかにした。

ANDPADアライアンス アンドパッド

関連記事
建設プロジェクト管理アプリ「ANDPAD」開発のオクトが14億円を調達
設プロジェクトSaaS「ANDPAD」開発のオクトが4億円を資金調達、経営プラットフォームへの進化目指す

ロボティクスプラットフォームのRapyuta RoboticsがBizTech ファンドから資金調達

Rapyuta Robotics rapyuta.io マーキュリア

ロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」提供のRapyuta Roboticsは7月20日、マーキュリアインベストメントおよび伊藤忠商事が共同組成したBizTech ファンド(マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合)からの資金調達を発表した。調達額は非公開。

調達した資金は、複数・異種ロボットの協調連携を実現する、同社独自の群制御AIおよびソフトウェアの開発に投資する予定。同分野は、まだ世界的にも黎明期にあり、rapyuta.ioの技術を発揮できる分野であること、様々な商品を扱う倉庫物流を自動化する上で不可欠な技術となることから、戦略的な注力分野と位置づけているという。

Rapyuta Roboticsは、チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)からスピンオフした大学発スタートアップ。2014年7月設立の同社はEU出資の研究プロジェクト「RoboEarth」出身チームにより日本で創業した。

「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、世界でも最先端の制御技術および人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発。

複数および複数種類のロボットの協調制御を得意としており、特に倉庫物流の自動化に注力している。自律移動ロボットや自動フォークリフト、ロボットアームなど、多種多様、かつ複数のロボットを、クラウドから一括管理し、協調制御や、ロボットナビゲーションなどが可能となる。

また、rapyuta.ioにより、システム構成要素を一から作り上げる必要がなくなり、ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中できるとしている。

2020年5月には、このプラットフォーム構想の第1歩として、物流倉庫用協働型ピッキングアシスタントロボット(自律走行型のAMR、Autonomous Mobile Robot)の商用化を実現した。

マーキュリアインベストメントは、日本政策投資銀⾏が中心となり設⽴された、東証一部上場のプライベート・エクイティ投資の運⽤企業。BizTech ファンドは、マーキュリアの戦略株主である伊藤忠商事を中心に、不動産・物流業界の事業会社をパートナーに迎え、当業界の変革に挑戦する企業の⽀援を目的としている。

関連記事
クラウドロボティクスプラットフォーム開発のRapyuta Roboticsは“物流ロボのサブスク化”を目指す

店舗比較サイトのオトコロドットコムが1.5億円の資金調達

オトコロドットコム

店舗比較サイト「オトコロドットコム」運営のオトコロドットコムは7月20日、プレシリーズ Aラウンドにおいて、第三者割当増資として1.5億円の資金調達を実施した。引受先はニッセイ・キャピタル。設立から約1年3ヵ月での累計調達額は2億円。

今回の調達した資金は、オトコロドットコムのサービス拡充と開発強化を行う。店舗などを検索するユーザーのニーズがより細分化されてきており、住所・電話番号に加えてサービスの特徴・料金など、より細かな目的に沿った具体的な情報について、既存の業種分類ではなく「ニーズ別にわかりやすい」表示が求められているという。

同社では、それら需要に応えるため「ITシステム、機械学習、人力での情報収集」を組み合わせることで、良質なコンテンツを素早く生み出す仕組みを構築していくとしている。

オトコロドットコムは、2019年3月に会社設立。店舗・施設の比較サイト「オトコロドットコム」を2019年6月にローンチし、2020年5月には掲載店舗数が約5万5000店となった。消費者の「検索疲れ」軽減を目的に、消費者が求めている店舗・施設をデータベース化し比較一覧を提供している。

また、昨今オンライン対応のニーズが高まる中、ヨガ、パーソナルトレーニング、動物病院、料理教室、占いなどのジャンルでオンライン対応ラベルを表示。その店舗でどのようなオンラインサービスを提供しているかなどの情報も掲示している。

オトコロドットコム

関連記事
Spotifyがヨガやランニングなどユーザーのワークアウトに合わせたプレイリストの提供を開始
犬の飼い主向けアプリ「parnovi」が企業・店舗がプレゼント企画を実施できる「キャンペーン機能」を追加
ウォルマートが打倒アマゾン、オンラインマーケットプレイス拡大でShopifyと提携
スキルマッチングのZehitomoが総額8.2億円を調達、中小企業や個人事業主の集客支援を強化
Googleが実店舗のネット活用を支援するスタートアップPointyを買収へ

カテゴリー:ネットサービス

タグ:オトコロドットコム 資金調達 日本

インフラ自動化のPuppetがブラックロックからの約43億円のデットラウンドを発表

オレゴン州ポートランドに拠点を置くインフラ自動化企業であるPuppet(パペット)は米国時間7月16日、BlackRock Investments(ブラックロック・インベストメンツ)からの4000万ドル(約43億円)のデットラウンドを発表した。

Yvonne Wassenaar(イボンヌ・ワッセナー)CEOは「PuppetはこのデットラウンドをBlackRockとの長期的な関係の一部だと考えている」と語った。「当社がBlackRockとともに歩もうと決めた理由でもあり、興味深い点でもあるのは、彼らの投資はいつも長期的な関係の最初のステップになってきたことだ」と同氏はTechCrunchに語った。

スキームとしては、BlackRockが同社に出資するのではなく、Puppetによる借り入れが選択された。「当社は、時間が経てば返済義務が生じる借り入れを選んだ。BlackRockは当社の取締役会にオブザーバーの席を確保した。彼らは当社のビジネスの成長・発展のための協働に意欲的だからだ」とワッセナー氏は述べた。

Puppetは約18カ月前にワッセナー氏が加わり、経営陣の刷新を進めている。同氏は2019年に、業界のベテランであるErik Frieberg(エリック・フリーバーグ)氏をCMOとして、Paul Heywood(ポール・ヘイウッド)氏をCROとしてそれぞれ招いた。2020年になってCloud Foundry Foundationのディレクターを務めたAbby Kearns(アビー・カーンズ)氏をCTOに迎えている(未訳記事)。

こうした動きはすべて、将来のIPOを視野に入れているとワッセナー氏はいう。「当社は理想的には、最終的にIPOへの道を進みたい。どう進むべきなのか、その過程で何が必要なのかを考えている」と述べた。

ワッセナー氏は「いくつかの点で企業は、パンデミックによりPuppetが提供するような自動化ソリューションを詳細に検討する必要に迫られた」と指摘する。「パンデミックによって当社の帆に風が当たり始めたことは本当に興味深い。企業には自動化の必要性が生じ、テクノロジーの観点から自動化をどう活用し、拡張するか考えなければならなくなった」。

Puppetが成長を続ける中、ワッセナー氏によると「多様性が組織の中心的な価値であり、当社はジェンダーの観点では進歩を遂げた」(経営幹部に同氏とカーンズ氏がいる)が、人種的多様性については現在取り組みんでいるところだ。

「今注目されており、もっとやるべきことがあると私が思うのは、ジェンダーの多様性を人種的観点から補完することだ。それは私が個人的に行ってきたことであり、私は当社が人種的多様性を進められるよう会社を変革することに真剣に取り組む」と同氏は述べた。

Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで1億5000万ドル(約160億円)近くを調達した。直近のラウンドは2018年のシリーズFで、4200万ドル(約45億円)を調達した。同社はワッセナー氏が来る前の2016年に2200万ドル(約24億円)の債務融資を受けていた。

関連記事:Puppet names former Cloud Foundry Foundation executive director Abby Kearns as CTO(未訳記事)

画像クレジット:kanawatvector / Getty Images

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

ロボティック外科手術を目指すActiv Surgicalが約16億円調達

ボストン拠点のスタートアップであるActiv Surgical(アクティブ・サージカル)は、ARTIS Venturesがリードしたベンチャー投資ラウンドで1500万ドル(約16億円)を調達した。本ラウンドにはLRVHealth、DNS Capital、GreatPoint Ventures、Tao Capital Partners、Rising Tide VCも参加した。この調達によりActiv Surgicalは5月にマーケット投入したソフトウェアプラットフォームを引き続き開発を続けて性能アップを図る。

Activ SurgicalのActivEdgeプラットフォームは、実際の手術中にリアルタイムでデータを集めるために同社が開発したセンサーを搭載した外科用手術具から収集されるデータを使っている。データはさらに、機械学習やAIベースの視覚化の開発に使われる。これらは術中ミスの発生を防ぎ、最終的に患者の術後を改善するのに役立つ。

同社の主な目的は、サージカルビジョンにテクノロジー的なイノベーションをもたらすことだ。サージカルビジョンはまだ、70年以上前から使用されている蛍光染料のような手法に主に頼っている。Activは外科医が自分の目では見ることができないものについてリアルタイムにビジュアルな知見を提供するためにコンピュータービジョンを活用したいと考えている。そして最終的にはそうしたビジュアル知見を、次世代のコラボレーティブな手術ロボットや、ゆくゆくは完全自動のロボ手術を可能にするために活用するという青写真を描いている。

ActivSightはActivEdgeプラットフォームが提供する同社初のプロダクトとなる。既存の腹腔鏡と関節鏡の手術器具に取り付けることができる、小型で接続している画像用器具だ。同社は現在、このハードウェアに関し今年第4四半期までにFDA(米食品医薬品局)から使用許可を取得することを目指して取り組んでいる。また、米国でのパイロット事業で8つの病院と協業している。

同社はこれまでに3200万ドル(約34億円)を調達した。

画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

行政サービスのDXを手がけるグラファーが約2.5億円の資金調達、凸版印刷との業務提携も発表

グラファー 凸版印刷 資金調達

行政サービスのデジタル化を手がけるグラファーは7月16日、第三者割当増資として総額約2.5億円の資金調達を実施した。引受先は既存株主および凸版印刷。また凸版印刷との資本業務提携を発表した。グラファーと凸版印刷のリソースを融合した新たな自治体向け事業を共同で推進し、2021年度中の新サービス開発を目指す。

今回の提携により、グラファーが持つ行政手続きのデジタル化を支援する非対面型SaaSおよびGovTechスタートアップとしての知見と、凸版印刷が持つ窓口申請業務電子化サービス、凸版印刷のデータセンターなどのセキュアビジネスソリューションやBPOソリューションを融合。住民と自治体をシームレスにつなぎ、双方にとって利便性の高い行政手続きの実現を支援する。

グラファー 凸版印刷

グラファーは、スマホなどで質問に答えるだけで自分に必要な手続きが分かる「Graffer 手続きガイド」、行政手続きをスマホで完結できる「Graffer スマート申請」を展開。また凸版印刷は、自治体窓口の業務効率化を支援システム「SpeedEntry Goverment」(スピードエントリーガバメント)を提供している。

行政手続きのデジタル化支援サービスとしては、これらグラファーによる住民向けの行政手続き事前確認・申請サービスと、凸版印刷の窓口業務効率化システムの連携などを視野に、庁内外の行政手続きのデジタル化・シームレス化を共同で推進する。

さらに、グラファーが展開する自治体と住民をつなぐ非対面ソリューションと、凸版印刷が自治体向けに展開するBPOソリューションを連携。住民への通知、申請受付け、審査、給付・発行までをワンストップで対応する、自治体向けの新たな行政事務代行BPOソリューションの提供を目指す。

グラファーは、スマホなどを使用してオンライン上で様々な行政手続きを行えるサービスを自治体向けに展開。これまで神戸市・横浜市などの政令指定都市はじめ、全国19の自治体・政府機関との案件実績がある。全国の自治体で使えるシステムを汎用的に開発しクラウドを通じ提供することで、各自治体の多様な手続きに対応できるサービスを提供。デジタル化による非対面での行政手続きの実現により、住民の利便性向上や行政の業務効率化を推進している。

凸版印刷は、セキュア事業のノウハウを活かし、住宅ローンやクレジットカード、自治体の窓口申請業務の手続きをタブレット上で可能にする窓口申請業務電子化サービス「Speed Entry」(スピードエントリー)シリーズを展開。対面サービスのデジタル化・業務効率化を推進するほか、デジタルを活用したBPOソリューションにより、全国の自治体業務を支援している。

グーグルがインドの通信大手Reliance Jio Platformsに約4800億円出資

Google(グーグル)はインドのReliance Jio Platforms(リライアンス・ジオ・プラットフォームズ)に投資する最新の有名投資家となった。同社は45億ドル(約4800億円)を出資してインド最大の通信ネットワークの7.73%の持ち分を取得する。Reliance Industriesの最高責任者であるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が7月15日明らかにした。

今回のグーグルの投資は、グローバルでライバルのFacebook(フェイスブック)が支援している企業に出資するという稀なケースだ。Facebookは4月にReliance Jio Platformsに57億ドル(約6100億円)を出資し、9.99%の持ち分を取得した。Reliance Jio Platformsは創業4年弱で、購読者は4億人を超える。同社にとってFacebookは最大の少数株主だ。

インドで最も価値の高い企業Reliance Industriesの子会社であるJio Platformsは過去4カ月で13の投資家に株式の33%を売って202億ドル(約2兆1600億円)を調達した。参考までに、インドのスタートアップエコシステム全体で昨年145億ドル(約1兆5500億円)を調達している。

グーグルの投資でJio Platformsの株式価値は580億ドル(約6兆2000億円)になった。General Atlantic(ジェネラルアトランティック)、Silver Lake(シルバーレイク)、Qualcomm(クアルコム)、Intel(インテル)、Vista(ビスタ)などの他の投資家は持ち分取得に12.5%のプレミアムを払った。

7月15日の戦略的発表の一環として「グーグルとReliance Jio Platformsは次なる何億ものユーザーのための低コストでローエンドのスマホを開発すべく、カスタマイズされたAndroid(アンドロイド)OSに取り組む」とアンバニ氏は述べた。「そうしたスマートフォンはGoogle Playや未来の無線スタンダード5Gに対応する」とも話した。

「さらに多くの人へのテクノロジー提供はグーグルのミッションの大きな部分を占める」と同社CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は同日のビデオチャットで述べた。「インドの何百万というユーザーがどうやってスマホを所有できるようになるかをゼロから考え直すことに興奮している。この取り組みは新たな機会を拓き、活気のあるエコシステムにさらに力を与え、新たなインド経済のための成長を生み出すイノベーションを推進する」と同氏。

今回のディールはさらに、音声通話やモバイルデータの料金値引きでインドの通信マーケットに変革をもたらしたJio Platformsに海外投資家がチャンスを見出していることを物語っている。Jio PlatformsがモバイルOSや端末に関心を示したのはこれが初めてではない。同社はKaiOSで作動するJioPhoneを少なくとも4000万台出荷してきた。こうした「スマート機能」電話はFacebookのWhatsAppを含むいくつかのアプリに対応している。GoogleはKaiOSの名称がそのまま社名になっているデベロッパーの投資家だ。

Bernsteinのアナリストは先月、Bharti AirtelそしてVodafone Ideaと競合するJio Platformsの顧客が2023年までに5億人に達し、2025年までにマーケットの半分を手中に収めると予想している、と述べた。Vodafone Ideaは英国大手企業Vodafone(ボーダフォン)0とインドの億万長者Kumar Mangalam Birla(クマール・マンガラム・ビルラ)氏のAditya Birla Group(アディティア・ビルラ・グループ)の合弁会社だ。

インドの全ネットユーザーにリーチしているFacebookと同じように、グーグルも7月13日に今後5〜7年でアジア第3位の経済大国であるインドに100億ドル(約1兆700億円)を投資するための新たなファンドを発表した。本日のJio Platformsへの投資はGoogle For India Digitization Fundの初の案件となる。

Jio Platformsはまた、音楽ストリーミングプレイヤーやビデオ会議アプリなど、さまざまなデジタルサービスを提供している。そして同社は7月15日、最新の商品Jio Glassを発表した。

Jio Platformsの幹部は、Jio Glass装着者はビデオ電話をしたり、24以上のアプリにアクセスしたりできるようになると話した。この新しいガジェットをいつ消費者に販売するのか、いくらになるのかは明らかにしなかった。同社は過去に、デバイスを発表してから消費者の手に渡るまで数年かかったり、静かに葬ったりしたこともある。Jioは昨年似たようなメガネを発表した。

画像クレジット: Jio Platforms via YouTube

一部の投資家らはTechCrunchに対しこの数カ月、Reliance Jio Platformsのオーナーであるインドで最も裕福な人物であるアンバニ氏がインドの与党に近いことも、Reliance Industriesのデジタル部門が多くの投資家を引きつけてきた重要な理由だと語った。

投資家らはJio Platformsの株式を購入すれば、彼らが現在インドで直面している規制上の負担が軽くなると考えている。彼らは政治的な関わりについて公に語ることを望まないため匿名を希望した。

Reliance Jio Platformsに投資した13社のうち1社の情報筋は同社の魅力について「グローバル企業にとって中国への依存や接点を減らす手段となることだ」と語った。

インドと米国はこの数カ月、中国企業への依存を制限するための措置を講じている。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発したTiktokを含む59のアプリとサービスを禁止した。Reliance Jio Platformsは興味深いことに、これまで中国の投資家から資金を調達していない。

「Jioは10年以上にわたってインドのテクノロジー面での発展に大きく貢献してきた。通信インフラ、低価格スマホ、手ごろな価格のインターネットを拡大するための同社の投資は、何億もの購読者がニュースや情報を得たり、互いに連絡をとったり、サービスを使ったり、事業を経営したりする方法を変えた。Jioは、インドがいま歴史的に厳しい時期にある中で、経済成長や社会的インクルージョンをサポートする、デジタルサービス、教育、ヘルスケア、エンターテイメントのような分野の発展にますますフォーカスしている」とピチャイ氏は述べた。

石油化学製品が主幹事業であるReliance Industriesは、Jio Platformsともう1つの子会社Reliance Retailを5年以内に上場させる計画(未訳記事)を明らかにしている。今週はインドの企業にとって大きなニュースが続いている。7月14日にWalmart (ウォルマート)は創業13年のインドのeコマース企業Flipkartの12億ドル(約1280億円)の投資ラウンドをリード(未訳記事)した。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

位置情報データ分析のクロスロケーションズが2.2億円の資金調達、顧客の推定居住エリアにSNS広告配信

位置情報 ロケーションテック クロスロケーションズ Location AI Platform

位置情報ビッグデータ活用のクロスロケーションズは7月14日、第三者割当増資により2億2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は東京理科大学ベンチャーファンド。合わせて、位置情報ビッグデータ活用クラウド型プラットフォーム「Location AI Platform」(LAP。ロケーション エーアイ プラットフォーム)の大幅刷新を明らかにした。

クロスロケーションズは、「多種多様な位置情報や空間情報を意味のある形で結合・解析・可視化し、誰でも活用できるようにすること」をミッションとする、2017年11月設立のスタートアップ企業。位置情報ビッグデータの収集・集計、AIによる分析・視覚化、また活用法開発などにより、新しい情報と価値の創出を可能とする技術「ロケーションテック」の開発・推進に注力している。

今回調達した資金は、 LAPのバージョンアップ開発をはじめ、同社独自技術である位置情報データ解析技術「Location Engine」の高度化や市場導入の推進に対応する資金として活用する。

LAPは、AIが位置情報ビッグデータから消費者行動の分析・見える化を行った上で、エリアマーケティングの実施と効果測定を一気通貫で実行できるプラットフォーム。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた消費者行動など、毎日更新される位置情報ビッグデータから読み取れる市場変化および消費者行動変化を捉え、部門ごと・業務ごとに把握・確認でき、即座にマーケティング活動に利用できるようLAPの大幅なバージョンアップを行った。

LAPの位置情報ビッグデータ解析機能である「人流モニタリング」や「商圏分析」などの各機能のウィジェット化と、ウィジェットを自由に組み合わせて1つのユーザーインターフェースとして把握・確認できる「LAP ダッシュボード」機能をリリース。LAPの解析結果をマーケティング活動につなぎ、商圏が変わった場所・ユーザーに消費者調査を行える「XL ロケーションベースアンケート」、サイネージ広告やSNS広告が出稿可能な「XL ロケーションベース広告」も提供を開始している。

位置情報 ロケーションテック クロスロケーションズ Location AI Platform

XL ロケーションベース広告では、SNSで保有するユーザープロファイルでのターゲティングに加え、LAPから抽出した位置情報ビッグデータの解析結果により、消費者のリアルな行動変化を組み合わせたターゲティングユーザーの設定が可能。特にLAPによる解析では、任意の店舗利用者の居住エリア(推定)だけでなく、前日に来店したと推測される人々も広告配信のターゲットに選定できるという。

また、スマホアプリへのオンライン広告、サイネージ広告に加え、LINE、Facebook、InstagramといったSNSへの広告配信も可能としている。

関連記事
米国でケンタやマックが活用する位置情報データスタートアップのBluedotが約9.8億円を調達
位置情報データ分析のPlacer.aiがシリーズAで約13億円を調達
位置情報アプリ「Family Locator」からリアルタイムで情報が流出していた
位置情報からライフスタイルを推測して広告を配信するジオロジックが1億円を資金調達

大阪大学発スタートアップPGVが1.5億円の調達、小型軽量な脳波センサー・脳波AIモデルを開発

大阪大学 PGV 脳波センサー 脳波AIモデル ニューロマーケティング

大阪大学発のスタートアップ企業PGVは7月14日、第三者割当増資として総額約1.5億円の資金調達を発表した。引受先は大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)。

2016年9月設立のPGVは、大阪大学産業科学研究所・関谷教授の研究成果を基に「小型で軽量な脳波センサー」を開発し、脳波AIモデル開発・サービス事業に取り組んでいる。同社脳波センサーは、額に貼れるほど小型で装着感を感じさせない形状でありながら医療機器と同程度の高い計測精度を実現できているなど、優れた技術性を有しているという。

また、同社では得られた脳波データから脳波モデルを生成する解析アルゴリズムの開発も進行。様々な状況下での脳波を計測・析を通した多くの脳波モデルのカタログ集積を行い、「PGV=脳波モデルの総合図書館」としての位置づけを目指すという。取得した脳波データを利用したニューロマーケティングビジネスをはじめ、疾患の早期検知、睡眠ステージの判定といったヘルスケア分野への展開など、脳波データを活用した様々な分野でのビジネス展開を進めている。

大阪大学 PGV 脳波センサー 脳波AIモデル ニューロマーケティング
OUVCを無限責任組合員とするOUVC1号投資事業有限責任組合(OUVC1号ファンド)は、PGV対して2016年11月に5000万円、2017年8月に2億円、2020年1月に5000万円の投資を実行しており、今回は4回目の投資実行にあたる。OUVCとしては、PGVが2020年1月に調達した資金を活用し、一定の事業開発が進んだことが確認できたため、追加投資を決定した。

自律型ドローンのスタートアップSkydioが約107億円を調達、初の商用ドローン「X2」を発売

SkydioがシリーズCのラウンドで1億ドル(約107億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはNext47で、新たな投資家としてLevitate CapitalとNTTドコモ・ベンチャーズが参加、また既存の投資家であるa16z、IVP、およびPlaygroundらも参加した。新たな資金は、製品開発の迅速化と消費者向けアプリケーションだけでなく企業や公共部門向けドローン技術に市場開拓に充当される。またSkydioは、米国時間7月13日に商用利用向けに設計されたドローンであるX2ファミリーを発表した。

2014年に創業されたSkydioは、これまでに総額1億7000万ドル(約182億円)を調達し、消費者向けドローンを2機種発売している。どちらも人工知能技術による自律的なナビゲーション機能を有している。これはドローンが人や物体を追跡するだけでなく、木や送電線といった障害物などを回避できるというものだ。それにより、プロの撮影クルーがヘリコプターから撮ったような映像を、一般消費者市場で1000ドル(約10万7000円)足らずで提供している。

2018年に登場した初代ドローンであるR1(未訳記事)は、2499ドル(約27万円)だった。そのインテリジェンスと追跡能力は印象的で、その後のソフトウェアのアップデートや2019年に発売された現在でも注文可能な第2世代のハードウェアによって改良は進んでいる。

Skydioの新しいドローンプラットフォーム「X2」は企業向けで、2020年の第4四半期に出荷される予定とのこと。X2ドローンは360度のスーパーズームカメラとFLIR 320×256解像度の赤外線サーマルカメラを搭載し、バッテリー駆動時間は35分、最大航続距離約10kmとなっている。またドローン用のSkydio Enterprise Controllerもありタッチスクリーン、ハードウェアコントロール、そしてまぶしさを防ぐ保護フードを避けるための日よけフードがある。

コンシューマーからエンタープライズへの移行は、Skydioにとってとても理に適ったものだ。まず、コンシューマーの世界で賞賛を受けてきた衝突回避や容易な操縦性は、エンタープライズでもそのまま使える。同社によると、その衝突回避機能は精度が高く、相当な近接撮影が可能なので、リモートでのインフラや機器装置類の点検に適しているという。人が乗ったヘリでは、危険すぎてそれだけの近接撮影はできないだろう。

X2は、自身の真上180度を撮影できるので、橋の下部のような頭上にある構造物をさまざまな角度から調べるのに適している。これは従来のドローンでは難しかった。また赤外線撮影を利用すれば昼夜連続の観察も可能であり、目的物のヒートマップを記録することもできる。

Skydioは今後もコンシューマー市場にもサービスを提供していくだろうが、同社の短い歴史の中での変化進歩は、投資家にとってとても魅力的なようだ。最初は高価だが高機能で、限られた人しか手を出せないコンシューマー製品から、その後、高度な機能のまま買いやすい価格の製品を出し、そして今度は同社がその技術で実現した経済性を、はるかに利益を生む可能性があるエンタープライズ向けハードウェアとソフトウェアへ転換しているようだ。

画像クレジット: Skydio

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

評価額35億ドルのDiscord、ビデオゲーム縮小の方針でさらに1億ドルを調達

Discordは今後単なるゲーマーのための場としてだけでなく、Slackのソーシャルライフ版として大成するべく取り組んでいる。

新たな1億ドル(約107億円)の資金調達ラウンドが完了し、35億ドル(約3760億円)の評価額となった同社は、新しい売り込み内容と共にゲーマーのための場所(および白人ナショナリストのためのバーチャルな集いの場)としての過去を払拭しようとしている。

現在同社はユーザーベースを監視したり、同社のサービスがゲーマーのためだけのものではないというイメージを促進したりするための自由な資金を手に入れた。「多くのユーザーにとって、弊社のサービスはもはやビデオゲームのためだけのものではないことがわかりました」と、共同創設者のJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はブログにて述べている

二人の創設者は同社を「自分のコミュニティや友達と共に遊び、話し合うためにデザインされた場所」であり、かつ「何かを学んだりアイデアを共有するなど、人々と共に誠実な会話を交わし質の高い時間を過ごせる場所」だと説明している。

同社のサービスはこれまでもずっとこのような場であったわけではない。3年前、同社は多くの人種差別主義ユーザーを追放しようと試みたのだが、ヘイトスピーチを広めるためにプラットフォームを使用するユーザーは依然として根深く残り続けた。2019年半ばまで白人ナショナリストたちは、極右ネオナチサイトDaily Stormerの創設者、Andrew Anglin(アンドリュー・アングリン)氏のメッセージを正当化するためにこのサービスを存分に利用しており、アングリン氏が彼のフォロワーに向けて同社のサービス使用を止めるよう促したほどである

Data & Society Research Instituteのメディア操作主任研究員であるJoan Donovan(ジョアン・ドノヴァン)氏はオンラインマガジンSlateにて「Discordは常に極右グループの中に存在しています。彼らがドクシングや嫌がらせのキャンペーンの組織化を行う場所となっているのです」と述べている。

Discordによると、これらのユーザーは同社のユーザーベースの中でもごく一部であり、次第に人数も減少していると言う。今ではゲーマーの他、Black Lives Matterの主催者、ソーシャルメディアのインフルエンサーも含まれるようになったとのことだ。

同社によると、今ではこのサービスを利用するアクティブユーザーは1億人を超え、670万台のアクティブサーバーで40億分が会話に費やされていると言う。

Discordの成功は、ソーシャルゲームとソーシャルメディアの急速な成長がもたらしたものである。同社のサーバーはゲームプラットフォーム間でのリアルタイムのコミュニケーションを可能にし、世代を超えたプレーヤーにとっての主要なソーシャルエクスペリエンスの場となった。また、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームのインフルエンサーが、ファンとより直接的な関係を持つことができるようにしたのだ。

Taylor Lorenz(テイラー・ローレンツ)氏が、ソーシャルメディアの起業家や有名人の間でDiscordが新たに獲得したファン層について次のような記事を書いている

昨年3月、世界で最も人気のあるビデオゲームライブストリーマーの1人であるNinja(ニンジャ)が、フォートナイトをプレイしながらDiscordの使い方をラッパーのDrake(ドレイク)に教えました。Philip DeFranco(フィリップ・デフランコ)氏、Grace Helbig(グレース・ヘルビッヒ)氏、Try Guys(トライガイズ)などのYouTubeの大物は皆独自のサーバーを持っており、「The Bachelor」や「The Real Housewives」についての話し合いに特化されたサブレディットにも独自のDiscordグループがあります。2億人以上がこのサービスを利用しているのです。

「我々は単に話しをするためにDiscordをデザインしたのです。延々とスクロールしたり、ニュースフィードを見たり、いいねを集めたりするためのものはありません。表示すべきものを算出するアルゴリズムもありません。コミュニティや友人と一緒に過ごす、という感覚や経験を再現するためにDiscordを設計したのです。自分のサーバーに自分が招待した人を集め、個人的な空間を作り出し、自分が設定したトピックについて話し合うのです」と創設者らは言う。

より親切でフレンドリーになったDiscordは、同社の社名とルーツを良い意味で裏切るものとなった。これは投資家の認識をシフトし、潜在的な新ユーザーをサービスに呼び込むための努力の証である。

新たな資金に加え、同社は新しいユーザーエクスペリエンスを強化し、ユーザーがより簡単にコミュニケーションできるようにするためサーバービデオを追加した。ユーザーがサーバーを作成する際に役立つテンプレートを揃え、また音声と動画の容量を200%増やしている。

Discordは製品における新たなフォーカスの一環として、同社の規則や規制を明確に定義し、ヘイトスピーチやスペースの乱用が生じた際にサービスの使用を監視、管理するためにユーザーが実行できるアクションを明確にした「Safety Center」と呼ばれる取り組みを開始した。

「私たちは白人至上主義者、人種差別主義者、そして悪のためにDiscordを使用しようとする人々に対して断固たる行動をとります」と創設者らは述べている。

Discordへの最新の1億ドル(約107億円)の資金注入のため投資家グループを率いたIndex Ventures(インデックスベンチャーズ)の共同創設者であるDanny Rimer(ダニー・ライマー)氏は、Discordがビジョンを広げたことに対し賛同の意を表明している

「Discordはしっかりと責任を持って管理されたサイトなら、共通の関心を持つ人々に安全なスペースを提供できるということを示しており、これこそがプラットフォームの未来であると感じています。Facebookのように単に生のコンテンツを投ずるのではなく、自分と友人が共に体験できるものを同社は提供しています。Slackがプロフェッショナルな会話のために作り出されたものなら、Discordはソーシャルな会話のために生み出されたものだと認識しています」とライマー氏は声明を出している。

Slackと同社の類似点は興味深いもので、両社は共に通信サービスに転換する以前にゲームスタジオとして事業を開始したという背景がある。

ライマー氏はIndex Venturesの最新の投資について説明した文中で、「今年フランスでは、政府公式の試みが失敗した後にDiscordが遠隔学習の主要なアプリとして採用されました。その結果、同社はフランスで3月にアプリダウンロード数のトップ10に達し、現在でもアメリカとイギリスではトップ50に入っています。Discordは次の成長段階に向けた計画を立案中です。今後同社は新たなユーザーやコミュニティにとってさらに包括的で快適なものとなり、また当初から発展に寄与してきたユーザーによって引き続き導かれていくことでしょう」と言及している。

関連記事:隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリ

カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:Discord 資金調達

Qualcommがインド通信大手Reliance Jio Platformsに約100億円出資へ

Qualcomm(クアルコム)は、創業4年目になるReliance Jio Platforms(リアイアンス・ジオ・プラットフォームズ)の最新の著名な投資家となった(未訳記事)。同社は多数の投資家から過去12週間で157億ドル(約1兆6800億円)以上を調達した

Qualcomm Ventures(クアルコムベンチャーズ)は米国時間7月12日の夕方、インドの大手通信事業者であるReliance Jio Platformsに9700万ドル(約100億円)を出資し「完全希薄化ベース」で0.15%の持ち分を取得すると発表した。Qualcommは、Jio Platformsによる「インドユーザー向けの高度な5Gインフラストラクチャとサービスの展開」を支援すると述べた。

インドのBharti Airtel(バーティ・エアテル)およびVodafone Idea(ボーダフォンイデア)と競合しているReliance Jio Platformsは、通話およびデータプランの料金割引でインドの通信市場に新風を吹き込んだ。約4億人の加入者を集め、4年足らずで世界第2位のインターネット市場でトップのキャリアになった。

Reliance Jio Platformsはインドで最も価値の高い企業であるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社だ。競合他社のARPU(ユーザーあたり平均収益)と同水準を維持しつつインドの通信事業者として優位性を確立し、名だたる投資家から注目を集めた。Facebook(フェイスブック)、Silver Lake(シルバーレイク)、General Atlantic(ジェネラルアトランティック)、Intel(インテル)などが、世界的なパンデミックの中でJio Platformsに投資した。Jio Platformsは、過去12週間で25.24%に相当する株式を発行した。

Reliance Industriesのデジタルユニットは、音楽、ライブTVチャンネル、映画、テレビ番組のストリーミングサービスなど多くのデジタルサービスを運営している。2020年7月初めにはそのラインナップに新しいサービスを追加した。ビデオ会議サービスだ。

Qualcommの最高経営責任者であるSteve Mollenkopf(スティーブ・モレンコフ)氏は、Reliance Jio Platformsが将来的に「インドの消費者に新しいサービスとエクスペリエンスをセットで提供する」と確信していると語った。

「5Gは比類のない速度と新たな利用方法により、今後数年間であらゆる業界を変革することが期待されている。Jio Platformsは広範なデジタルとテクノロジーの能力を通じてインドのデジタル革命をリードしてきた。当社はインドで長年の存在感を持つ投資家および支援者として、インドのデジタル経済にさらに革命を起こすJioのビジョンに貢献できることを楽しみにしている」とモレンコフ氏は声明で述べた。

関連記事:India’s richest man built a telecom operator everyone wants a piece of(未訳記事)

一部の投資家らはTechCrunchに対しこの数カ月間、Reliance Jio Platformsのオーナーであるインドで最も裕福な人物のMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏がインドの与党に近いことも、多くの投資家がReliance Industriesのデジタルユニットに魅せられる重要な理由だと語った。

投資家らはJio Platformsの株式を購入すれば、彼らが現在インドで直面している規制上の負担が軽くなると考えている。彼らは政治的な関わりについて公に語ることを望まないため匿名を希望した。

Reliance Jio Platformsに投資した12社のうち1社の情報筋は同社の魅力について、グローバル企業にとって中国への依存や接点を減らす手段となることだと語った。

インドと米国はこの数カ月、中国企業への依存を制限するための措置を講じている。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発したTikTokを含む59のアプリとサービスを禁止した。Reliance Jio Platformsは興味深いことに、これまで中国の投資家から資金を調達していない。

「Qualcommは数年にわたる重要なパートナーであり、堅牢で安全なワイヤレスおよびデジタルネットワークを構築することと、デジタルコネクティビティの利点をインドの全国民へ広げることにより、すべてを繋げるという共通のビジョンを持っている」とアンバニ氏は声明で述べた。

画像クレジット:PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

“普通”のショップの越境ECを支援するジグザグが3億円調達、米欧のAmazon Payにも対応

日本のECサイトを対象に、越境ECの支援サービス「WorldShopping BIZ(ワールドショッピングビズ)」を提供するジグザグは7月13日、モバイル・インターネットキャピタルを引受先とした第三者割当増資および、みずほ銀行、日本政策金融公庫からの借入により、総額約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達は同社にとってシリーズAラウンドに当たる。

カートから決済・配送まで越境ECを支援

ジグザグの越境EC支援サービスWorldShopping BIZは、国内ECサイトに専用タグを1行挿入するだけで、多言語対応・海外決済・海外配送が可能になる、というものだ。

実は日本で運営されているECサイトのアクセスは、2〜8%が海外からのものだという。ジグザグ代表取締役の仲里一義氏はこれを「ウェブインバウンド」と呼び、「リアルではインバウンド客をもてなしているのに、ネットのインバウンド客に対しては日本は冷たい」と語る。

「課題は、サイトの翻訳ではない。海外からアクセスしたユーザーも、Google翻訳などを使って翻訳はできるので、商品ページの翻訳はそれほど重要ではない。問題はカートから先。カートで、かな入力欄や住所の都道府県プルダウン、形式や桁の違う郵便番号欄などによって海外ユーザーは弾かれて、買い物ができないのがこれまでの状況だった」(仲里氏)

そこで、ジグザグでは「日本のサイトで買いたい」というユーザーに、サイトの「海外にも売りたい」を届ける仕組みとしてWorldShopping BIZを開発。カートだけでなく、購入者からの問い合わせ対応や、海外配送のための書類作成、便の手配、梱包など、物流・言語・決済の一連の対応をすべて、ショップに代わって担う。

WorldShopping BIZを利用するショップがサイトにJavascriptタグを設置すると、海外からのアクセスに対しては、自動で購入代行サービス「WorldShopping」の案内がポップアップで表示される。表示は国の判別だけでなく、ブラウザの使用言語に合わせて言語を判定。例えばアメリカから中国語設定のブラウザでアクセスすれば、中国語が表示される。

商品ページでは、海外ユーザー専用のカートをフロート表示。ユーザーが多言語対応の入力フォームにより住所入力を行い、購入を確定すると、WorldShoppingにリダイレクト遷移して決済が完了できる。

決済はクレジットカード、PaypalやAlipay、銀聯カードなどに対応。7月13日からは、米国と欧州のAmazonアカウントを持つユーザーがAmazon Payを利用することも可能になったばかりだ。ユーザーは購入代金と配送料のほか、購入代行の手数料として10%をWorldShopping(ジグザグ)に支払う。

ジグザグが決済を確認してサイトでの購入を代行するので、ショップ側はジグザグが持つ国内の物流センターへ商品を発送するだけ。商品の検品や海外向けの再梱包、配送などはすべてジグザグが行う。ショップ側から見れば、国内販売と同じ手続きをすればよい。タグを設置するだけで、手早く海外販売ができ、後の対応も不要。初期費用3万円、月額5000円の固定額でサービスを利用することができる。

海外からの購入データでマーケティング支援も視野に

ジグザグ代表取締役 仲里一義氏

ジグザグは2015年6月の設立。仲里氏はもともと広告畑を歩んできたが、2004年に入社したオプトで新規事業を担当することになり、2010年には韓国groowbits(グロービッツ)の日本法人設立に参画。国際物流を軸とした越境EC事業に携わった。「国際物流については対応できるようになった。あとは言語と決済でイノベーションが必要」として、起業したジグザグではWorldShopping BIZを中心とした越境EC事業を手がける。

WorldShopping BIZは現在、国内約480のショップが利用。「コロナ禍で店舗営業が壊滅的打撃を受けており、導入が増えている」と仲里氏は話している。オーダーは90カ国以上から入っているとのこと。クレジットカードも使えなかったローカルな釣具屋サイトにロシアを含めた世界36カ国からオーダーが来たり、326万円もするサプリのECサイトに香港、中国からオーダーが入ったりという例もあるそうだ。

「一度WorldShoppingのカートを見たことがあるユーザーは、別のサイトでも同じカートが表示されるので、ショップが増えれば増えるほど安心感が生まれる。また僕らがロジスティクスを担っているので、違うショップで買ったものを1つにまとめて配送することもできる。ネットワーク効果が出てくれば、ついで買いによる利用も増える」(仲里氏)

ジグザグとしては海外からのEC購買のビッグデータを蓄積することで、今後ショップをまたいだ関連商品の紹介とショップへの送客など、マーケティングへの活用も計画しているそうだ。

ジグザグは、ショップの獲得やユーザー獲得を図ったうえで、プロダクトの強化やマーケティング強化に乗り出す予定。特にプロダクトについてはインターフェイス改善や対応言語追加のほか、「1年以内でEC事業者向けのマーケティングダッシュボードを提供したい」と仲里氏は述べている。

「これから、ショップはこれまで気づいていなかったウェブインバウンドを意識し始める。僕らが代行購入していることで海外からのニーズがあることは分かるが、どの地域からの購入かは分からないので、海外マーケティングを意識し始めると、データを欲しがるはず。そのデータをダッシュボードで提供しようとしている」(仲里氏)

ジグザグは「Amazon Pay」との協業も7月13日に発表。米国と欧州のAmazonアカウントで決済できるAmazon PayをWorldShopping BIZに実装した。これまで日本のアカウントのAmazon Payしか使えなかったショップでも、これにより、米欧アカウントでの買い物ができるようになった。

3月から25サイトで実施したクローズドβテストでは、北米・ヨーロッパだけでなく、南米やオセアニア、アジアなど20カ国から、Amazon Payでの利用があったそうだ。ジグザグでは今回のAmazon Pay協業をはじめ、決済パートナーやそのほかの提携パートナーも増やしていくとしている。

「言語や情報のハードルは下がっているが、ECの場合、モノが存在する点でハードルが残っていて、売り手の課題になっている。将来的には日本から世界各国への越境ECだけでなく、海外から別の海外の各国への越境EC支援も実現して行きたい」(仲里氏)

海外対応では、これまでの購入代行、配送対応といったサービスに加え、季節物アパレルで、在庫が余っているものを南北逆半球の顧客へプッシュするなど、マーケティング支援も充実させたいと仲里氏は話している。

「2年前の統計で、BtoCのEコマース市場が9.3兆円と言われていて、仮にそのうちの4%が『買えていない』体験だとすると、4000億円弱がロスしている計算になる。これはもったいないことだ。コロナ禍で巣ごもり消費が海外からもあるようだが、インバウンド消費のニーズがこの市場にさらに加わり、今後ユーザーが『日本のものが簡単に買えるようになった』と分かれば、さらに増えていくはず。僕らは、そこを加速させようと思っている。真っ当に正しい情報をユーザーに伝えてあげて、正しいショップでオーダーできるようにすることが僕らの使命だ」(仲里氏)

EVピックアップトラック開発のRivianが2670億円調達

世界初のEVピックアップトラック販売を目指しているEVメーカーのRivian(リビアン)は、投資管理会社であるT. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドなどがリードするラウンドで25億ドル(約2670億円)を調達した。

新規投資家のSoros Fund Management LLC(ソロス・ファンド・マネジメント)、Coatue(コーチュー)、Fidelity Management and Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチカンパニー)、Baron Capital Group(バロン・キャピタルグループ)そして既存株主のAmazon(アマゾン)とBlackRock(ブラックロック)が管理するファンドも参加した。新たに役員は加わらなかった。

Rivianと同社の創業者でCEOのR.J. Scaringe(R.J. スカーリンジ)氏は上場を避け、代わりに戦略的ファンドとプライベート投資家から資金を調達してきたが、今回の調達は同社にとってこれまでで最大のラウンドだ。一連の投資を通じて28億5000万ドル(約3050億円)を集めた活発な2019年に続く動きだ。今回、Rivianは2019年に相当する額を一度に集めた。

同社は2019年2月に、Amazonがリードした7億ドル(約750億円)の資金調達を発表した。その後、Ford(フォード)による5億ドル(約530億円)の投資を含め、将来のEVプログラムでコラボする約束とともにさらに多くのディールや投資が続いた。Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)も9月に3億5000万ドル(約370億円)を投資した。RivianはT. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドなどがリードし、AmazonやFord、BlackRockが管理するファンドが参加した13億ドル(約1390億円)の資金調達ラウンドを発表して2019年を締め括った。

Rivianはまた2019年に、スケートボードプラットフォームを活用してAmazon向けの配達EVバンを開発していることも発表した。AmazonはEVバン10万台を発注し、2021年から納車が始まる。

Rivianは集中的に資金調達を行っており、これは2021年まで続きそうだ。同社はR1T電動ピックアップトラックとR1S SUVを組み立て、AmazonにEVバン納車するための工場をイリノイ州ノーマルに準備している。

これら3つのプロダクトは(EVバンに限っては直接Amazonへの納車になるが)2021年に販売開始となる見込みだ。R1TとR1Sは2020年に生産が開始される予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで後ろ倒しになっている、と同社は以前述べていた。

「我々はR1TとR1S、そしてAmazonの配達EVバンの立ち上げにフォーカスしている。これらはすべて2021年にローンチされる予定で、当社のチームは生産を増強できるように車両やサプライチェーン、生産システムの準備に注力している。生産にフォーカスできるようにしてくれている強力な投資家に感謝する」とスカーリンジ氏は声明で述べた。

Rivianは困難も抱えていた。Fordとのコラボは棚上げされ、新型コロナで余儀なくされた工場停止はRT1とRS1のプロジェクトの遅延につながった。 2020年初め、Ford傘下のラグジュアリーブランドであるLincoln Motor(リンカーン・モーター)はRivianのスケートボードプラットフォームを活用した新電動車両を生産する計画をキャンセルした。RivianとFordは当時、現状に基づく共同の決断だと述べた。現状とは、主に新型コロナパンデミックを指す。両社はまだ将来共同で車両を開発することを計画している。

画像クレジット: Rivian

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

Webシステムにリアルタイムで操作ガイドを表示する「テックタッチ」が5億円を調達

企業向けにWebシステム活用支援SaaS「テックタッチ」を提供するテックタッチは7月10日、DNX Ventures、Archetype Ventures、DBJキャピタルなどを引受先とした第三者割り上げ増資により、総額5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回は、2019年9月発表の1.2億円の資金調達に続く調達でシリーズAラウンドに当たり、DBJキャピタルは新規株主、DNX Ventures、Archetype Venturesはフォローオン投資となる。また、今後追加でベンチャーデットによる数億円の調達も予定しているという。

プログラミング不要でWebシステムに操作ガイドをアドオン

テックタッチは、Webシステムの画面上にリアルタイムで操作ガイドを表示できる、操作支援ツールだ。Webシステムであれば、SFAやCRM、経費精算、ワークフロー系といった社内システム、あるいは社外の顧客向けシステムなど、どんなものにも適用できる。

ガイドは実際の操作画面上に現れるので、操作内容は実データとしてシステムに即反映される。「マニュアルをと操作画面を開いて、両方の画面を首っ引きで追いかけながら入力する」あるいは「チュートリアルが流れた後、内容を思い出しながら操作する」といったこともない。

またガイドの作成にはプログラミングスキルは不要。システムの画面上で「どこで、どんなアクションをするか」吹き出しやポップアップなどを使いながら、説明文をテキストで入力すれば操作ガイドが作成できる。これまでなら画面キャプチャーをWordやExcelに貼って、吹き出しなどで注釈を入れてマニュアル作りをしていたところが、テックタッチを使えば画面に直接書き入れたものがリアルタイム表示されるガイドになる、といったイメージだ。

テックタッチ ガイド作成イメージ

スクラッチで開発されるシステムのチュートリアルなどは従来、開発会社のエンジニアが作成してユーザー企業にプロダクトとあわせて引き渡されることがほとんどだったが、テックタッチは既存の他社製システムにも適用することができる。このため、エンドユーザー企業が自分たちでナビゲーションを作ることが可能だ。

プロダクトリリースから1年強で、テックタッチの利用ユーザーは8万を突破。利用企業は大手が多く、数十社に導入されているという。

「日本独自のSaaSやスクラッチで開発されたシステムなど、カバレッジが広い点が競合との差別化になっている」テックタッチ代表取締役の井無田仲氏はプロダクトの強みについて、こう話す。「日本では新しいマーケットなので、競合はグローバル企業になるのだが、彼らはグローバルSaaSには対応していても、日本のSaaSには対応できていない」(井無田氏)

中にはInternet Explorer 5でオペレーションしているシステムでも動くように、開発に投資して対応したケースもあるそうで、そうした点が「日本企業に評価してもらえている」と井無田氏は言う。

「マーケットも広がって、この半年で一気に伸長し、認知も高まった。次世代基幹システムへの導入などの話も来るようになっている」(井無田氏)というテックタッチ。今後、販売代理店やSIer、ITコンサルティングなど、複数の提携先とのパートナーシップも検討しており、「大企業向けのB2Bエコシステムに参入すべく、秋から取り組みを開始する」と井無田氏は述べている。

「ユーザー企業でもナビが作れる点がテックタッチの特色だが、一方で、大企業が顧客に納入するシステムへナビを組み込む場合でも、そこに開発リソースが割けないケースがしばしばある。こうした場合、テックタッチを利用してもらえば、その分の工数を分離することができる。またエンジニアが工数を割かなくても、より顧客に近いカスタマーサクセスマネジャーやカスタマーサポート部門が作成できるのは大きなメリットとなる」(井無田氏)

利用可能なケースは社内システム、企業向けシステムに限らない。例えば金融機関の口座開設画面や、ECサイトの初回登録画面など、コンシューマー向けのWebシステムで表示するガイドとしても、テックタッチは機能すると井無田氏は話している。

現在は複数システムでの導入を前提に、プライシングやUI、導入プロセスを作り込んでいると井無田氏。「1つのシステムを使いこなすためのシステム教育だけでなく、複数システムを利活用することによる組織のデジタル化を支援する、というのが根本的な製品の思想になっている」(井無田氏)

複数システムでの利用を見込み、価格体系は前回調達時から少し変更したとのこと。以前は1ユーザーごとの月額定額制だったのだが、現在は、ユーザー数の段階(1000ユーザー未満/以上などの区分)に応じた1システム当たり課金とするエントリープランと、複数システムに対応し、5システムまでは月額いくら、といったシステム数の段階に応じた課金のプランとを用意している。

「時間削減などの投資対効果が確実に出るのがテックタッチの特徴。まずは1つのシステムでの導入で効果を体験していただくと実感しやすいので、そこからほかの複数システムでの導入を提案している」(井無田氏)

業務プロセス自動化やシステム利用状況分析機能の開発に投資


写真後列左端:テックタッチ代表取締役 井無田仲氏

「現在テックタッチは、システムの使い方習熟の支援までは対応できたところ。調達資金の投資により、今後は、より日常的に使う機能を増やしていきたい」と井無田氏は話す。

強化したい機能のひとつは「自動入力、自動クリック」の機能。「世の中のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、全プロセスを完全に自動化することを前提にしているが、それが適用できる業務範囲は全体のほんの少し。人の判断や入力が必要な業務が大半で、僕らはそこを『早く・正確に・効率的に』カバーすることを前提としている」(井無田氏)

「人の判断や入力が必要なプロセスといっても、20ステップに分解したら、本当に人の判断が必要な部分はそのうちの2〜3ステップ。それ以外は全部自動化できるはずなので、そこを自動化する機能を提供していきたい」と井無田氏は言う。

もうひとつは「システムの利用状況の分析」機能。システムが使われているのか使われていないのかの分析や、使われていない機能はなぜ使われていないのか、課題を洗い出して、テックタッチのナビゲーションでフォローするといった対応を検討しているということだった。

また先に挙げた自動化と利用状況分析の組み合わせも考えていると井無田氏は話している。「RPA導入時に一番つまずく点は『どういう業務プロセスを自動化すればいいのかが分からない』というところ。そこでプロセスを可視化するような、プロセスマイニング機能も入れていきたい。これは統計的にシステムがどう使われているのかを解析することで、業務プロセス自動化のレコメンドができるというようなもの。業務の内容によって『ここはRPA』『ここは人の手が必要なのでテックタッチのガイド』といった形で切り分けることで、業務効率化に貢献できればいいなと思っている」(井無田氏)

経営管理特化クラウド「Loglass」正式リリース、8000万円の資金調達実施も

写真中央:ログラス代表取締役CEO布川友也氏

経営企画部門の経営管理業務に特化したクラウドサービスを開発・提供するログラスは7月8日、プロダクト「Loglass」の正式リリースを発表した。同社は同時に、前田ヒロ氏がマネージングパートナーを務めるALL STAR SAAS FUNDからの出資と日本政策金融公庫からの借入により、総額8000万円の資金調達を実施したことを明らかにしている。

経営管理に特化したクラウドツール「Loglass」

企業の情報処理ツールのクラウド化はさまざまな領域で進んできた。経理部門向けの会計クラウドや営業向けのCRM・SFA、人事・労務管理ツールに経営分析のためのBIツール。多くの領域で経営情報がデータベース化されているが、「実は経営管理領域では、いまだにみんなExcelを使っている」とログラス代表取締役CEOの布川友也氏は指摘する。

布川氏は新卒でSMBC日興証券に入社し、投資銀行部門に在籍。その後ゲームメディアなどを運営するGameWithで上場直後に経営戦略を担当し、2019年5月にログラスを設立した。新卒から起業までの間、働き方改革の波を実感してきた布川氏は、「労働人口減でバックオフィスに人を割かない傾向にある今、システム化が特に大企業で進んでいる。新型コロナ感染拡大でさらにその傾向は強まり、問い合わせも増えていて、経営管理クラウドは時代の流れにマッチしている」と述べている。

自身が経営企画部門に属していた布川氏は、CFOや経営企画の担当業務について、こう話している。「経営企画の業務には定型のものと非定型のものがある。このうち経営管理は定型化しきれず、工数が大きい業務となっていて、投資や経営分析といった付加価値の高い業務に割くべき時間を奪っている」(布川氏)

その理由に「みんながExcelを使わざるを得ない、構造的・技術的な問題がある」と布川氏はいう。まず構造的には、関係者が多いこと、データフォーマットが多岐に及ぶことが挙げられる。「経営管理業務の工数の多くは、各拠点や部門から形が違うデータを収集し、加工してExcelに落とし込むことに充てられる。そうしてやっと分析を行い、経営陣にデータを提出することができる」(布川氏)

例えば、ある総合商社では末端部門をスタート地点に、5段階の組織を経由し、Excelで数値を提出・承認を行っている。また塾を運営するある企業では、全国2000教室からExcelで数値を集めているという。

「それぞれが提出するデータを統合するサービスはなく、経営企画の担当者はこれまでみんな『Excelでやらざるを得ない』と諦めてきた」(布川氏)

技術的な問題としては「ノウハウが秘匿化され、ベストプラクティスが得られない」ことが挙げられた。エンジニアではよくベストプラクティスの共有が行われており、営業、経理、PRなどの部門でも他社との情報交感が見られるが、「経営管理業務は秘匿化される」と布川氏はいう。「このためベストプラクティスが得られず、毎年仕組みを属人的に変えていったり、表計算ソフトの動作が重くなるといったことは経営企画では“あるある”のパターン。複雑化したExcelが属人化して業務が引き継げない、という課題が広く一般にある」(布川氏)

ログラスはこうした経営管理業務の課題をどのように解決しようとしているのか。布川氏は「分散バージョン管理システムのGitを応用して、履歴をSaaSで一元管理し、多人数での編集も行えるようにする。また、複数のデータフォーマットも自動集計できるようにし、編集・閲覧の権限設定も簡単に行えるようにする」と語っている。

業務の属人化・たこつぼ化については、SaaSでサービスを提供することで、解決を図ると布川氏。「SaaSは常に進化し続け、最適化することができる。個別企業の数値などはもちろん出さない形で、さまざまな企業の経営管理業務の集合知を最適化して、システムとして提供する」(布川氏)

布川氏はリリースしたLoglassを、コーポレートインテリジェンス(Corporate Intelligence、CI)プロダクトと位置付ける。ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence、BI)が幅広い部門にわたる可視化分析の取り組みだとすれば、CIは経営管理に特化して、データ収集プロセスの支援やパフォーマンス測定、全社へのデータ閲覧環境の提供などを行う。

「BIツールの市場は伸びている。Microsoftの『Power BI』普及や、Salesforceによる157億ドルでの『Tableau(タブロー)』買収、Googleによる『Looker』買収など、巨大IT企業がみんなBIツールに力を入れている状況だ。私たちは、これらのBIツールを使いたい経営管理の担当者が困っているポイントを全部解決して、連携できるようなシステムを作っている」(布川氏)

2020年2月にMicrosoftによるスタートアップ支援プログラム、Microsoft for Startupsに採択されているログラス。中長期的にはMicrosoftとの連携により、大企業のデジタル化推進を図ると布川氏は話している。4月にクローズドリリースで公開されたLoglassは「すでにいろいろな企業に売れている」とのこと。リリースから1.5カ月で売上1500万円に到達したそうだ。

「企業内データの断絶をなくす」ことを目指して

ログラス代表取締役CEO 布川友也氏

布川氏はログラスの強みを「経営企画出身の3人が創業メンバーとして参画し、ドメインに詳しい人間がプロダクトをイチから設計しているので、ユーザーが使いやすく、他社にはマネできないものが作れている」と話す。

またCFO・経営企画が集まるコミュニティをSNS上で1年かけてつくってきた布川氏。現在550名が参加するこのコミュニティでは、ログラスの顧客であるかないかに関わらず、経営企画、経営管理に関するコンテンツを提供し、コミュニティ内で情報を相互に発信できる環境を用意した。コミュニティで得た知見はプロダクトにも反映されているという。

布川氏は経営管理における予算策定の業務を「予算のロジックづくり、KPI設計」「各部門の予算収集」「会計ソフトとのデータ比較」「比較に基づく予算の見込み更新」の4つのフェイズに分類。「Loglassはこの全フェイズをカバーしている。またクラウドネイティブでモダンなUI/UXを初めから採用し、価格も安く提供しているため、既存の大手ERP製品やスタートアップ他社の予実管理ツールと比べても、優位性を持っている」と説明する。

「Excelをリプレイスするつもりはない。エンジニアが手元で書いたコードをGitHubに提出し、更新リクエストが送れるのと同様、Loglassでは入力フォーマットをExcelなどの表計算ソフト用に自動で発行でき、中のデータを更新してクラウド上に提出すると、そこで差分管理やデータの統合ができる仕組み。システムにすべてビルドインしてしまうと、KPI設定などで組みたい計算式が組めず、細かい部分でニーズが満たせない。クラウド上では統合・データ分析に特化することで、価値を感じてもらい、受け入れられているのではないか」(布川氏)

目指すのは「企業内データの断絶をなくすこと」。中期的には、経営管理SaaSに加えて、経営分析AI・BIの開発も検討している。また、SFAなど別のサービスとの連携も行いたいという。長期的にはIR・資金調達領域やPOSレジ連携による小売分野の開拓、グローバル進出や官公庁予算のGovTech領域への進出も視野にあると布川氏は述べている。直近で1500万円の売上を、1年以内に1億円突破させるところまでは見込んでいるとのこと。10年以内に時価総額2000億〜2500億円の企業価値を目指すと布川氏は語っていた。

コロナ禍でオンライン化が一気に進んだ英会話カフェのLanCulが1.2億円を調達

英会話カフェサービスを展開するLanCul(ランカル)は7月8日、京都に拠点を持つ栖峰投資ワークスが運用するイノベーションディスカバリー1号ファンドとエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資、および三井住友銀行からの借入により、総額約1.2億円の資金調達を完了したことを明らかにした。今回の調達は、2018年9月に発表した約5600万円の調達に続くものとなる。

コロナ禍でオンライン化が進んだLanCul

LanCulは2013年2月創業。カフェやバーと英会話を組み合わせた、いわゆる「英会話カフェ」サービスを展開する。直営店の下北沢以外では、現在、東京近郊で20店舗のカフェ・バーと提携し、空席をシェアする形で“英会話を楽しむ空間・コミュティ”を提供している。

サービスは、グループトークの「CONNECT」、マンツーマンの「MY CONNECT」とイベント参加型の「HANGOUT」の3種類。中核サービスのCONNECTでは、「メイト」と呼ばれる海外出身のスタッフとの会話を少人数グループで、各店舗またはオンラインで楽しめる。

CONNECTの料金体系は、いつでも通い放題のプランで月額1万9980円、平日夕方のみ通い放題のプランが月額1万2980円、平日午後のみ、または土日祝日のみ通い放題のプランでは、それぞれ月額9980円(いずれも税抜価格)。このほかに月4回・月2回利用可能なプランと、単発で1セッション(50分)だけ利用できるプランがある。月額制の通い放題各プランでは、規定の日時の範囲内であれば、何回でも、何時間でも利用が可能だ。

オンラインでのセッション機能は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて4月1日から始まったものだ。LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏は「オンラインとオフラインの両方を、シームレスに体験できるようにした。通い放題も、オンラインとオフラインのどちらでも実現できるようになっている」と話している。

LanCulでは専用アプリまたはブラウザのマイページで、話したいメイトと場所・時間からセッションを選択して予約するのだが、オンラインセッションについても、店舗のセッションと同じ感覚でワンタップで予約が可能。この機能は、ビデオ通話の部分にはZoomを利用し、2週間で開発したという。来月からは、現在空いているセッション・メイトをリアルタイムで選択して、すぐに参加できるアップデートも予定しているそうだ。

今回、オンラインセッションを加えるために、アプリ・マイページのインターフェイスを改善したことで、「これまでLanCulが課題としていたことも、あわせて解決できた」と阪野氏はいう。「ユーザーは、全21店舗プラス、オンラインまで選べるとなると、何を選べばいいか選択肢が多すぎて迷ってしまう。そこで選択の流れをサジェストできるように、各ユーザーがフォローしているメイトや、よく行く場所を優先して表示できるようにした」(阪野氏)

以前から阪野氏は「コミュニティの濃さによる安心感がLanCulの特長」と話しているのだが、今回のUI/UX改善のメリットについても「よく知ったメイトやメンバーがいることで、ホーム感が生まれて、通うのがおっくうにならない」ことだと語っている。

調達でコミュニティの強化をさらに重視

コミュニティ重視という面では、2018年11月から提供されている、国際交流イベントの「HANGOUT」がある。カフェを飛び出して、メイトとアクティビティや文化を体験できる少人数のイベントだ。以前はカラオケやピクニックなどのイベントが行われていたが、外出自粛や緊急事態宣言の発令を受けて、現在はメイトが企画する異文化体験をオンラインで楽しむ形式で提供されるようになっている。

HANGOUTイベントのオンライン化を試みたLanCulでは、オンライン飲み会などを開催。これも「評判が良かった」と阪野氏はいう。

「コロナの影響もあるが、情緒的なつながりが僕らのサービスには求められている。利便性だけでなく、コミュニティ、居場所としてLanCulを使ってもらいたい。以前から、カフェには営業時間があるので、終了後にメンバーが『もうちょっと話したいね』ということでラーメンを食べに行くとか、自然発生的に場所を変えて話を続けることはあった」(阪野氏)

資金調達によって、こうしたコミュニティの機能を強化したいと話す阪野氏。そこで、これまで月額2980円の追加料金が必要だったHANGOUTを、CONNECTなどで月額通い放題プランを利用するマンスリーメンバーには、8月から無償で開放する予定だという。「当初はオプションサービスとしてHANGOUTを立ち上げたけれども、お金を取るものとしてではなく付加価値としてアドオンすることで、コミュニティとしての英語サービス、英会話が実現できるのではないかと思っている」(阪野氏)

前回調達時の取材で、中国出身の阪野氏は自身の経験から「カルチャーを受け入れて好きになること、知りたいと思う気持ちができたことで、友人もできるようになり、言葉もわかるようになった」「コミュニケーションの濃さ、モチベーションの高さが外国語を身に付けるには重要」と話している。

今回も「英会話で継続が大事というのはみんな分かっている。ただ、それをどう達成するかの方法論や環境がないだけ。そこで僕らが自然とモチベーションが上がるような環境を作れば、結果的に普通に勉強していたときよりも上達する、というのがLanCulのコンセプトのひとつ」と阪野氏は語る。

調達資金の使途として、阪野氏はさらに「データサイエンス、リコメンドのアルゴリズムの強化も図る」と話している。

阪野氏はLanCulがユーザーに喜ばれている点を次のように説明する。「英会話スクールで1人の講師に10回教わるとなると、新しい発見がなく、飽きてしまう。一方、講師と都度マッチングする英会話サービスは、10人の講師に1回ずつ、5人の講師に2回ずつといった形で当たることで、新たな発見はあるが、毎回はじめから自己紹介するようなもので、コミュニケーションが積み上がらない。LanCulでは、3人に3回ずつ当たるような位置づけで、複数のメイトやメンバーと複数回のコミュニケーションができるところが特徴になっている」(阪野氏)

その裏側で蓄積しているのがユーザーの行動データだと阪野氏は言う。「今までも、コミュニティに溶け込んだ人ほど、上達のハシゴを急速に登れていた。データとアルゴリズムで、この人ならこのメイト、この場所、このメンバーがおすすめという、リコメンドを強化していきたい」(阪野氏)

またエリア拡大にも投資していくと阪野氏。「オンライン化は進めたが、オフラインだからできることもある。対面の臨場感や、飲み物などを飲みながらリラックスして話せる環境はオフラインならではのもの」(阪野氏)

現在は東京・神奈川の21店舗でサービスを展開するLanCul。アパレルブランドJOURNAL STANDARDなどを展開するベイクルーズ運営のJ.S. BURGERS CAFEなどとも提携しており、「提携により関東のネットワークはこれからも広げていく」と阪野氏はいう。

「新型コロナの影響で、緊急事態宣言が解除された後も、飲食店は苦しい状況が続いている。純飲食の危うさは今回浮き彫りになり、店舗はコンテンツを求めているところ。LanCulはお店にコミュニティを根付かせるコンテンツになる。提携によって、店舗も我々もメリットを得ることができる」(阪野氏)

英会話以外でも好奇心を満たすサービスの展開図る

写真前列左端:LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏

「LanCulは『Language(言語)』と『Culture(文化)』を軸にしている」として、阪野氏は今後のLanCulの展開について、こう述べている。

「英語だけでなく、ほかの言語、さらには習い事や自己実現もサポートし、言語もそれ以外の領域もカバーしていきたい。データは蓄積しているので、次にユーザーが何をしたいかも分かってくるはず。コミュニティから生まれるつながりから、チャレンジを支援することで、自分らしさ、生き方を見つけるサポートをしたい」(阪野氏)

これは教育のトレンドでもある、と阪野氏。「IQからEQヘ、知能から感情へという教育の動きは、生産性から生き方の豊かさへの変化でもある。これからのデータ時代はさらに好奇心を尺度にした、CQになるだろう。好奇心が満たされるサービスを英会話の切り口からほかへも展開していきたい」(阪野氏)

また、これまでアプローチがあまりできていなかった無料登録ユーザーに対しても、アプローチしていくと阪野氏は言う。「ロイヤルティの高いユーザー中心に施策を打ってきたけれども、1.5万人いる無料ユーザーにもオウンドメディアやYouTubeなどのメディアを使って、新しい価値観を発信していきたい。ゴリゴリにサービスを利用していない人の生活にも変化を起こせたら」(阪野氏)

前回調達時から、マネジメントチームも成長し、組織も強くなったと語る阪野氏。エンジニアもチームの3分の1を占めるまでに人数を増やしているという。新型コロナの影響で、オンライン化が進んだことについてはポジティブに捉えている阪野氏は、「もともとオンラインの構想はあったけれども、コロナで踏み切れた。ほかに手がけることもなかったので、リソースをかえって集中でき、数週間でオンライン機能の追加もできた」と話している。

「今回は東日本大震災のときと違い、メイトは帰りたくても帰れない状況だが、一方でオンライン化が進んだことで、これまでにワーキングホリデーの期限やビザの関係で帰国したメイトともつながれるようになった。仲良くなったメイトとは、オンラインでの対話のハードルも低いし、今後、海外へユーザーが出かけられるようになった時には、現地でつながることもできる。これは我々が目指す世界に近い」(阪野氏)

秘密のデータを扱うスタートアップPalantirが秘密裏にIPOを申請

Peter Thiel(ピーター・ティエル)氏が共同設立した秘密のビッグデータとアナリティクスのスタートアップであるPalantirは、米国時間7月6日午後にこれまた秘密裏に上場申請の書類を米国証券取引委員会に提出した。

同社の発表声明は「上場はSECの審査が終わった後、市場などの状況次第で行われるものと思われる」と簡潔なものだった。

Palantirは上場予定日や発行株数、IPOの株価幅といった情報は何も提供していない。IPOを秘密申請することで企業は、財務数値や潜在的なリスクなどの内情がわかってしまう従来のIPO申請の仕組みを回避することができる。さらに上場のための初期段階でマスコミなどに詮索されることなく探究できる。この戦略はSpotifyやSlack、Uberなどでも採用されているが、秘密書類は必ずしもIPOにはつながるわけではない。

Palantirのスポークスパーソンは、上記以上のコメントを拒否している。

Palantirはシリコンバレーで最も秘密性の強い企業の1つで、主に米国政府と諜報関連部門にビッグデータとアナリティクスを提供している。その業務の多くは、プライバシーや人権関連の活動家からの物議を醸し出してきた。例えばいくつかの調査によると、同社のデータマイニングソフトウェアが移民のプロフィール作成に利用され(未訳記事)、その結果としてICE(移民税関捜査局)が国外退去の取り組みを支援した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行にともないPalantirは、同社のビッグデータ技術でウイルスや感染者の追跡ができると売り込んでいる。

先週Palantirは4年間で初めてのフォームDを申請し、9億6100万ドル(約1030億円)を調達していることを発表した。その提出文書によると5億5000万ドル(約590億円)は調達済みで、残りの割当に対する資本のコミットメントも確保されているという。

本日のニュースによれば、キャッシュの調達は同社の上場意思にとって補完的なもののようだ。ある記事では、同社の評価額を260億ドル(約2兆8000億円)と推計している(CNBC記事)。

Palantirの申請は、多くの企業の申請が新型コロナウイルスで凍結しているにもかかわらず、IPOの市場が再び熱を帯び始めていることの例の1つだ。先週は保険プロバイダーのLemonadeが好成績で公開市場にデビューした(未訳記事)。ヘルスケアのAccoladeも同様に予想より多くの株を売った(PR Newswireリリース)。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg / Getty Images

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インテルがインドの通信大手Reliance Jio Platformsに約273億円出資へ

Intel(インテル)は7月3日、Jio Platformsに2億5350万ドル(約273億円)を出資すると明らかにした。インドの大手通信会社Jio Platformsにはここ数カ月、Facebook(フェイスブック)やGeneral Atlantic(ゼネラル・アトランティック)、Silver Lake(シルバー・レイク)などそうそうたる投資家が出資していて、インテルもそのリストの仲間入りを果たす。

米国のチップメーカーであるインテルの投資部門はJio Platformsの株式の0.39%を取得し、これによりJio Platformsのバリュエーションは650億ドル(約7兆円)となる。Jio Platformsの株式を取得する投資家としてはIntel Capitalは12番目だ。Jio Platformsは今年4月以降、株式の25%を売ることで155億ドル(約1兆7000億円)超を調達した。

「素晴らしいエンジニアリング能力を活用して低コストのデジタルサービスのパワーをインドにもたらそうというJio Platformsの目的は、暮らしを豊かなものにする斬新なテクノロジーを届けるというIntelの目的と合致する。デジタルアクセスとデータが事業や社会をより良いものに変えることができると我々は確信している」とIntel Capitalの会長Wendell Brooks(ウェンデル・ブルックス)氏は声明で述べた。

今回の発表の前に、Jio Platformsの親会社であるReliance Industriesを采配するMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏は、彼のデジタル部門への6月18日のサウジアラビアのPFI(パブリック・インベストメント・ファンド)による15億ドル(約1600億円)の投資でもって「Jio Platformsによる資金面での当面のパートナー勧誘は終了となる」と述べていた。

インド最大の資産家であるアンバニ氏は7月3日、「『インド経済の全部門に活力を与え、13億人ものインド国民の生活の質を改善する最先端のテクノロジーにおけるインドの能力を高めるためにインテルとともに取り組む』ことに興奮している」と述べた。

新たな契約は、インドで最も価値の大きな企業であるReliance Industriesの創業4年の子会社Jioに、海外の投資家がさらに機会を見出すことを意味する。Reliance Industriesは通話やモバイルデータの料金割引でインドの通信マーケットに新風を吹き込んだ。Jioの利用者は4億人だ。

調査会社のBernstein(バーンスタイン)のアナリストは先月、Jio Platformsの顧客が2023年までに5億人に達し、マーケットの半分を2025年までに手中に収めると予想している、と述べた。Jio PlatformsはBharti Airtel、そしてVodafone Ideaと競合している。Vodafone Ideaは英国の大企業Vodafoneとインドの億万長者Kumar Mangalam Birla(クマール・マンガラム・ビルラ)氏のAditya Birla Group(アディティア・ビルラ・グループ)との合弁会社だ。

Jio Platformsはまた、音楽ストリーミングサービスJioSaavnやオンデマンドのライブTVサービスJioTV、決済アプリJioMoneyなど一連のデジタルアプリやサービス、そしてスマートフォンやブロードバンドの事業も運営している。Jio利用者はこれらのサービスを追加料金なしで利用できる。

7月2日夜、Jio Platformsは1回のセッションが「最大24時間」で無制限で利用できるビデオ会議サービスとしてJioMeetを立ち上げた。現在有料プランはないこのサービスはZoomにかなりそっくりだ。

先月、アンバニ氏はJio Platformsが調達した資金は、石油と小売の大手企業Reliance Industriesの正味の借入金210億ドル(約2兆3000億円)の返済にあてたと話した。アンバニ氏はRelianceの負債を2021年初めまでに返済すると約束していた。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ビッグデータ解析のPalantirが約590億円を調達、最終調達額は1000億円超に

ときおり議論の的になるが常に秘密主義のビッグデータ・アナリティクス企業であるPalantirは政府機関や大企業を顧客として、安全保障情報(未訳記事)、ヘルス情報(未訳記事)、そのほか機密性の高い情報処理を事業としている。ビジネスとしてはこの秋にも株式上場を目指していると報じられている(Bloomberg記事)。しかし当面は非公開企業としての資金調達にも力を入れているようだ。

Palatirはこのほど4年ぶりとにSEC(米証券取引委員会)にフォームD(登録義務の免除規定のための書類)を提出した。この報告書によれば、同社は10億ドル(約1075億円)近く、正確には9億6109万9010ドル(約1030億円)を調達中であり、このうち5億4972万7437ドル(約590億円)をすでに調達したという。つまり今後4億1137万1573ドル(約442億円)を集める計画だという。

6月のReuters(ロイター)の記事によれば、Palantirは提携先2社からの戦略的投資を受けている。ひとつは日本の保険会社であるSOMPOホールディングスからの5億ドル(約537億円)、もう1件は日本のテクノロジー企業である富士通からの5000万ドル(約53億円)だ。これは合計5億5000万ドル(約591億円)となるため、フォームDで調達済みとされている5.5億ドルがこれに当たるようだ。

フォームDによれば投資家からすでに58件のオファーを受けており、Palantirは調達予定の10億ドルのうちすでに調達した5.5億ドル以外の部分に対しても投資コミットメントを確保しているわけだ。ただし資金調達ラウンドはまだ締め切られていない。

Palantirに今回のフォームDに関してコメントを求めたが「これは当社が直接売却する予定の株式であり、既発行株の二次的取引ではない」と述べるに留まった。今回の資金調達ラウンドはフォームDの説明では上場計画に遅延が生じているためなのか単に上場を補完するだけなのか明らかではない。

また報告書はPalantirが4年ぶりに10億ドル以上30億ドル以下の資金調達を図っているというCNBCの2019年9月の報道を裏付けるものらしい。その報道ではPalantirは会社評価額として4年前の200億ドルを260億ドルにアップすることを目標としていると指摘していた。 6月のロイターの報道では二次市場の取引に基づく会社評価は100億ドルから140億ドルの間だとしていた。

PitchBook調べでは、Palantirは現在までに108以上の投資家から少なくとも33億ドルの資金を調達している。PitchBookのデータ(一部は有料記事)ではPalantirはこれ以前に金額は不明だが非公開で何度か資金調達ラウンドを実行しているという。

Palantirの評価額は4年前の200億ドルが最後だが、その後、さらに高い評価額に向かうことを示唆するいくつかのポイントがあった。新型コロナウイルスによるパンデミックで株式の新規上場はほぼ停止したものの、再び動きが見られるようになっている。またPalantir自身の事業活動も活発化の兆候を示している。

Bloombergによれば、同社は4月に投資家向けブリーフィングを発表し「今年の収入予想は10億ドルに達し、2019年から38%増加して損益分岐点に達する」と予想している。これはPeter Thiel(ピーター・ティール)氏などが16年前に同社を設立して以来初めてのことだ。他の共同創業者には Nathan Gettings(ネイサン・ゲッティングス)氏、Joe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏、Stephen Cohen(スティーブン・コーエン)氏、現在のCEOを務めるAlex Karp(アレックス・カープ)氏だ。

なお、Bloombergの記事にはPalantirがなぜ投資家にブリーフィングを行ったかは説明されていないので、上場を控えての広報だったのか、今回の資金調達あるいは別の理由だったのか不明だ。またPalantirはは新型コロナウイルスによるパンデミックに関するニュースにもたびたび登場している。

具体的には、英国ではコンソーシアムの一部としてNHSと共同(未訳記事)で新型コロナウイルスデータベースの開発)、米国では連邦政府の新型コロナウイル追跡システム(Daily Beast記事)やCDCとの共同プロジェクト(Forbes記事)など、主要市場で大規模なビジネスを獲得していることが報じられている。こうしたプロジェクトはPalantirのほかのビジネス(未訳記事)同様、準備と実施に多額の先行投資を必要とすることが予想される。 こうした事情が現在資金を調達している理由の1つかもしれない。

画像:Jason Alden/Bloomberg / Getty Images 画像編集済

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook