動画制作のために既存の楽曲を映像に合わせて自在に調整する「Dynascore」をYext共同創業者の新スタートアップが発表

Yext(イエクスト)の共同創業者でCEOを務めるHoward Lerman(ハワード・ラーマン)氏は、Wonder Inventions(ワンダー・インベンションズ)という新しいスタートアップを起ち上げ、米国時間4月8日にその最初のプロダクト「Dynascore(ダイナスコア)」を正式に発表した。

まずはDynascoreに注目してみよう。ラーマン氏によると、彼と彼のチームは、ますます需要の増えているビデオコンテンツが、しばしばストックミュージックに依存しているという問題を解決するために、このプロダクトを作り上げたという。ストックミュージックは、その性質上、特定のビデオや長さに合わせて作られていないため、映像にうまくフィットしなかったり、プロデューサーが音楽に合わせてビデオを編集しなければならなくなることがある。「曲を3秒だけ切り詰めて映像と組み合わせることなんてできない」からだ。

しかし、Dynascoreは、既存の音楽をどんな長さの映像にも対応させることが可能だ。また、音楽を調整して、トランジション、ポーズ、エンディングを好きな場所に配置することもできる。

ラーマン氏と彼のチームは、フィットネスのCMにさまざまな音楽を合わせ、CMの長さやトランジションの位置を調整して、その効果を実証してみせた。その度にDynascoreは、CMに適した新しいバージョンの楽曲を生成していく(ただし、映像に適していない楽曲を選んでしまった場合は、いくら調整しても無駄になってしまうという印象を受けた)。

そのために、Dynascoreはまず、曲を吟味して「音楽的に意味のある最小単位」にまで分解する。この単位は「morphone(モーフォン)」と呼ばれる。そして仕様に応じて、同社が「musicoherence(ミュージコヒーレンス:音楽的整合性)」と呼ぶものが最大化するように、これらのモーフォンを組み立てる。つまり、基本的に1つの実際の曲として聞こえるようにするのだ。

画像クレジット:Dynascore

ラーマン氏は、Dynascoreの技術はゼロから音楽を作ろうとするものではないと強調する。代わりにDynascoreは、人間が作曲した曲を用いる。そのために、パブリックドメインの名曲を集めたMasterworks(マスターワークス)と、約1000曲のオリジナル曲が用意されている。

「世の中には、AIを使って作曲する会社がたくさんあります」と、ラーマン氏は語る。「彼らはバッハやモーツァルト、ベートーヴェンの曲を使ってAIに学習させますが、そこから出てくる曲はゴミみたいなものです【略】。私たちが気づいた決定的なブレークスルーは、AIが映画の脚本や物語を書けないのと同じように、コンピューターは音楽を書けないということです。しかし、AIは、人間の耳が反応するように音楽を再構築することはできます」。

Dynascoreの価格は、無料トライアルの後、月額19ドル(約2080円)からとなっている。MacおよびWindows用のデスクトップアプリの他、映像編集ソフト「Adobe Premiere Pro(アドビ・プレミアプロ)」の機能拡張としても提供されている。Developer APIも構築されており、ビデオビルダーのBiteable(バイタブル)やマーケティング制作ツールのRocketium(ロケッティアム)など、他のアプリケーションとの統合も進められている。

Dynascoreは、Wonder Inventionsの最初の製品に過ぎず、同社では今後もさまざまな製品を開発していくと、ラーマン氏は語っている。

画像クレジット:Dynascore

「私たちは、たった1つのアイデアのためにWonder Inventionsを始めたわけではありません」と、ラーマン氏はいう。「Wonder Inventionsは、私たちがこれまでに出会った中でも最もクリエイティブで優秀な20人の熟練した発明家であり、彼らが相乗効果を発揮して多くの製品を開発していくことになるでしょう」。

ラーマン氏自身は、YextのCEOを続けながらWonder Inventionsの会長を務めており、これをフルタイムの仕事と表現している。クールなものを作るというその先に、会社としての統一されたビジョンがあるのかという質問には「30年前に人々がビジネスを始めるといえば、それは会社のことでした。今は会社を始めるといえば、それは製品のことです」と答え、ベンチャーキャピタルが単一のスケーラブルなアイデアを重視する傾向にあることを指摘した。

「Dynascoreに出資するベンチャーキャピタルはいないと思います。あまりにも風変わりなものですし、TAM(獲得可能な最大市場規模)を見て、『これが数十億ドル(数千億円)規模のカテゴリーになるとは思えない』という人もいるでしょう」と、ラーマン氏は続けた。彼自身はこの評価に必ずしも異論があるわけではないとしつつ「最初の製品としてはすばらしいものになるでしょうし、さらにヒットする製品が出てくるでしょう」と付け加えた。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バーチャルミュージシャンが曲をその場で作っていくコンサートを4月14日にAuthentic ArtistsがTwitchで開催

Facebook(フェイスブック)のOculus(オキュラス)でミュージックインテグレーションを担当していたChris McGarry(クリス・マクギャリー)氏は、自身のスタートアップ企業であるAuthentic Artists(オーセンティック・アーティスツ)で、バーチャルな世界に音楽を導入するための新しいアプローチを展開している。

マクギャリー氏は、Lil Miquela(リル・ミケーラ)のようなバーチャル・セレブリティや、Travis Scott(トラヴィス・スコット)氏がFortnite(フォートナイト)で行った巨大イベントのようなバーチャルコンサートを、Authentic Artistsの舞台として挙げている。ある意味では、このスタートアップはこれらのアイデアを組み合わせたものであり、バーチャルミュージシャンを生み出して、それ自身がコンサートを行い、観客のリクエストに応えることを目指している。

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「私たちは意図的に、すでに存在するもののデジタルな複製を作ろうとはしていません」と、マクギャリー氏はいう。「新しいツールを使って新しいアート、新しい体験、新しい文化を創造したいのです。アーティストが観客とのコラボレーションを行うための手段となり、それによって観客はライブショーを選択的に形作ることが可能になる。それが魅力です」。

実際、Authentic ArtistsはすでにTwitch(ツイッチ)でいくつかの試験的なコンサートを行っており、平均視聴時間は35分だった。チームは「率直に言って、その反応に驚かされました」と、マクギャリー氏は言っている。

米国時間4月14日にTwitchで行われるコンサートでは、次世代のバーチャルアーティストが公開される予定だ。このコンサートでは、(人間の)Twitchストリーマーが共同で司会を務め、観客にこのコンセプトを紹介する。マクギャリー氏によると、将来的にはバーチャルと人間のスターによるさらなるコラボレーションの可能性もあるという。

Authentic Artistsのプラットフォームにはさまざまな要素が含まれている。アニメーションによるバーチャルミュージシャンが、音楽を生成し、さらに観客からのフィードバックに応えて、曲の強弱やテンポを変えたり、次の曲に早送りすることなどが可能だ。

「音楽は我々のビジョンの生命線であり、そのためにコアとなるオーディオエンジンに多大な投資をしてきました」と、マクギャリー氏はいう。このプラットフォームは人間が作曲した音楽ループを単純に組み替えるのではなく、それ自体が音楽を生み出すことを、マクギャリー氏は強調している。「私たちは、バーチャルアーティストに自律性を持たせ、リアルな存在にしたいと考えています」。

新しいアーティストについては、まだチームが最終調整を行っている段階のようで、筆者が実際にコンサートを体験することはできなかった。その代わりにマクギャリー氏と彼のチームは、これらのアーティスト(半分人間のサイボーグや巨大なイグアナなど)とバーチャルな会場のレンダリングを行い、さまざまなパラメーターを調整することによってその場で新しい曲を作り出す音楽エンジンのデモンストレーションを披露してくれた。「これらはすべてオリジナルの楽曲であり、人の手を加えることなく、私たちがここに座っている間に生成・制作されたものです」と、マクギャリー氏は語る。

Authentic Artistsは、OVO Fund(オーブイオー・ファンド)、James Murdoch(ジェームズ・マードック)氏のLupa Systems(ルパ・システム)、Mixi Group(ミクシー・グループ)、Linkin Park(リンキン・パーク)のMike Shinoda(マイク・シノダ)氏などの投資家から支援を受けている。マクギャリー氏は、今のところビジネスモデルよりもプロダクトマーケットフィットを見つけることに注力しているが、将来的にはブランド音楽や分散型金融 / NFT(非代替性トークン)などの手段で収益を上げる機会があると考えているという。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ザ・ウィークエンドがNFTオークションで未発表曲とアート作品販売を予告

2021年のスーパーボウルでヘッドライナーを務めたミュージシャンのThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)ことAbel Tesfaye(エイベル・テスファイ)氏は、NFT(非代替性トークン)に注目している最新のアーティストの1人だ。

その具体的な行動として、Nifty Gatewayとの提携を発表した。Nifty Gatewayは、2021年2月にアーティストのBeeple(ビープル)と協力してデジタルアート作品を競売にかけ、660万ドル(約7億3000万円で販売したNFTのマーケットプレイスだ(これは非常に印象的な数字だったが、Christie’sでBeepleの別の作品が6900万ドル、約76億円で落札されると、すぐに影が薄くなってしまった)。

The WeekndとNifty Gatewayが4月3日土曜日(日本時間4月4日)に開催するセールは、主に2つの要素で構成されている。1つは今後も他のプラットフォームでは入手できない未発表の楽曲で、もう1つはStrange Loop Studios(ストレンジ・ループ・スタジオ)がThe Weekndと協力して開発したビジュアルアートだ。

今回のセールでは、3種類のアート作品にそれぞれ異なるフィルターをかけた楽曲のクリップを添えて販売される。これらの作品は、期間限定だが、販売数は限定されない。また、24時間限定のオークションでは、世界に1つだけの作品が、フィルターを通さないフルバージョンの楽曲とともに出品されるという。

「ブロックチェーンは、歴史的に門番たちによって閉ざされてきた産業を民主化しています」とThe Weekndは声明で述べている。「私はファンのために革新を起こし、この古臭い音楽業界を変える方法を常に探してきましたが、NFTによってクリエイターが自分の言葉でこれまで以上に見られ、聞かれるようになる状況を見て、心から興奮しています。私もこの動向に貢献したいと考えており、近い将来、これが音楽業界の仕組みに組み込まれていくことを期待しています」。

NFTは基本的に、画像や音声、動画などのデジタルアートと結びついたブロックチェーン上の資産だ。デジタルアート自体は通常、複製することが可能だが、NFTはその真の所有権を証明する。

NFTに対する関心は、この数カ月で爆発的に膨れ上がった。オークションで目を見張るような価格がつけられたり、デジタルの世界でアーティストに経済的な利益をもたらす技術として期待が高まっているためだ。その一方で、大量のエネルギーを使用することや、それによる気候変動への影響などから、批判の声も上がっている。

The WeekndとNifty Gatewayによるオークションは、4月3日土曜日の太平洋時間午前11時(日本時間4月4日午前3時)に開始される。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Appleが独立系アーティストを支援する音楽配信プラットフォームUnitedMastersに出資

独立した音楽配信プラットフォームでツールファクトリーのUnitedMasters(ユナイテッドマスターズ)は、AppleがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約55億3600万円)を調達した。A16z(アンドリーセン・ホロイッツ)とAlphabet(アルファベット)もUnitedMastersのラウンドに再び参加した。UnitedMastersはまた、Appleと戦略的パートナーシップも結ぶ。

UnitedMastersについて説明すると、同社はInterscopeとSony Musicの元幹部Steve Stoute(スティーブ・スタウト)氏が2017年に立ち上げた配信会社だ。UnitedMastersは、ファンがコンテンツやコミュニティと関わっている方法に関するデータに直接つながるパイプラインをアーティストに提供することで、アーティストがチケット販売や宣伝、その他の販促活動を直接行えるようにしている。

こうした内容はいずれも音楽業界では一般的ではない。典型的なアーティストとの契約では、レコーディング会社がオーディエンスやターゲティングのすべてのデータ、そして所有権を持つ。これはコミュニティを育むために新しいテクノロジーを利用するなど、アーティストが機敏に動く能力を制限している。

Appleはさまざまな企業に投資しているが、通常は米国の製造を促進するため、あるいはシリコン鋳造ガラス製造など自社のハードウェア製品にとって重要な部品を作っているパートナー企業との戦略のために Advanced Manufacturing Fundを通じて行う。Appleは投資よりも買収を多く行っていて、自社の製品に関する取り組みを補うためにほぼ数週間おきに企業を買収している。そのためUnitedMastersへの出資は、特に音楽部門において比較的ユニークな提携となる。

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筆者はUnitedMastersのCEOであるスタウト氏に今回の資金調達について、そして現在と未来のアーティスト100万人のビジネスにとってそれが何を意味するのか話を聞いた。スタウト氏は、Appleの役員Eddy Cue(エディ・キュー)氏がUnitedMastersのビジョンと一致する哲学を持っていることが今回の取引につながったと考えている。

「我々は、すべてのアーティストに同じ機会を手にして欲しいと思っています」とスタウト氏は話す。「現在、独立しているアーティストが手にしている成功のための機会は少なく、そうした恥ずかしい点を取り除こうとしています」。

今回調達した資金は、UnitedMastersをグローバルな存在にするというミッションに燃える人材を雇用するのに使われる、とスタウト氏は説明する。UnitedMastersは世界中でプラットフォームを構築するためにローカルのテック人材とアーティスト人材を探している。

「どのアーティストもCTOにアクセスする必要があります。アーティストにとってのマネジャーの価値の一部は今日、CTOの役割に移行する必要があります」とスタウト氏は話す。

UnitedMastersは、アーティストがコミュニティレベルでファンベースを構築できるようにする先端技術を広範に提供したいと考えている。

画像クレジット:Steve Stoute

UnitedMastersは目下、通常はレーベルやマネジャーによって仲介される大きなブランドとの取引をアーティストが行えるようにする契約をNBA、ESPN、TikTok、Twitchなどと結んでいる。UnitedMastersはまた、すべての主要ストリーミングサービスに公開できるようにする直接配信アプリも展開している。さらに重要なことに、アーティストはストリームやファン、収益のデータをひと目でチェックできる。

「スティーブ・スタウト氏とUnitedMastersは、キャリアを積み、自身の音楽を世界に届けるための多くの機会をクリエイターに提供しています」とAppleのキュー氏はニュースリリースで述べた。「独立したアーティストの寄与は音楽産業のさらに発展させるという点で大きな役割を果たしています。Appleと同様、UnitedMastersはクリエイターに力を与えることに取り組んでいます」。

「UnitedMastersはアーティストがクリエイトし、作品の主有権を保持し、そしてファンとつながる方法を一新しました」とAndreessen Horowitzの共同創業者でゼネラルパートナーのBen Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はリリースで述べた。「より良い、そしてさらに大きな、そしてより収益性の高い世界を音楽アーティストのために構築すべく、スティーブやUnitedMastersのチームに協力できることをうれしく思います」。

アーティストとファンが互いにつながるという点で、我々は現在ターニングポイントにいる。アーティストがソーシャルメディアや他のプラットフォームを使ってメッセージを出したり、ファンに話しかけたりする方法は無数にあるが、作品をコミュニティに配信し、そこから利益を得るという実際の業務は、レコーディング産業が始まって以来、完全にアーティストの手を離れてしまっている。NFT、DAO、ソーシャルトークンなどの最近の開発は、DTCフレームワークの爆発的な増加と同様に、そうした取引に変化をもたらしつつある。しかし大手は、この「アーティスト中心」の新世界を手にするために必要な、真にアグレッシブな姿勢にまだ転じていない。

配信のメカニクスは何十年もの間、DRMとDMCAによって定義されたフレームワークに基づいてきた。このフレームワークは常にアーティストのために価値を守る方法と宣伝されてきたが、実際のところ、配信業者のために価値を守るように設計されていた。我々は配信の仕組み全体を再考する必要がある。

筆者がUnitedMastersとTikTok(ティクトック)の取引を報じたときに言及したように、それはアーティストのためのより公平な未来において役立つ

カルチャーのクリエイターがそのカルチャーの恩恵を受けることは時間以上の意味があります。だからこそこのUnitedMastersのディールはかなり興味深いと考えています。レコーディング業界のヴァルチャーイズム(ハゲタカのように獲物を狙って自分のものにする風潮)の付き添いなしにオーディエンスに直接つながるパイプラインの提供は、本当にTikTokのようなプラットフォームとよく調和します。TikTokは「バイラルサウンド」をコラボレイティブなパフォーマンスにしています。従来の取引の構造は、数週間で変動させられるヴァイラルな誇大宣伝をとらえるのに適していません。

音楽業界では、Spotify(スポティファイ)のようないくつかの大手とともにAppleは激動の中心にいる。筆者の意見では、Apple Musicに近年欠けている最大のもの1つは、アーティストがファンと広くつながることができ、直接配信し、チケットを販売し、宣伝することができる、そして最も重要なことに自身のコミュニティを育てて保持することができる業界基準ポータルにApple Music Connectを変えなかったことだった。

UnitedMastersとのタイアップはその目標に直接つながらないが、材料を何かしら得ることができるはずだ。タイアップがどんなものを生み出すのか、楽しみにしている。

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タグ:AppleUnitedMasters音楽音楽ストリーミング資金調達Apple Music

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Nariko Mizoguchi

動画、ポッドキャスト用BGMのマーケットプレイスEpidemic Soundが約490億円調達

動画やポッドキャストなどのストリーミングサービスの人気が猛烈な勢いで高まり続けている。米国時間3月12日、そういったサービスへのBGMの提供元となるマーケットプレイスを運営するEpidemic Sound(エピデミック・サウンド)というスタートアップが、需要の高まりに合わせて規模を拡大すべく大規模な資金調達を発表した。ストックホルムを拠点とするこのスタートアップは、同社の評価額を14億ドル(約1500億円)とするエクイティラウンドでBlackstone Group(ブラックストーン・グループ)とEQT Growth(EQTグロース)から4億5000万ドル(約490億円)を調達した。

同社は現在、約3万2000の楽曲と約6万の効果音を備えている。今回の資金により、プラットフォーム上のテクノロジーを強化し、コンテンツとサウンドの調和をより容易にするツールのクリエイターへの提供、カタログの拡充や顧客基盤の拡大、そしてよりローカライズされたサービスとそのグローバルな展開を目指している。

4億5000万ドル(約490億円)というと、そのコンテンツとは裏腹に静かに事業を進めてきた企業にしては、大金のように思えるかもしれない。しかし、この資金調達は、高い意欲と有意な評価基準によって裏打ちされている。

共同創業者兼CEOのOscar Höglund(オスカー・ホグランド)氏は、インタビューに対し「ビジョンの大きさの問題だ。当社は、インターネットのサウンドトラックになろうとしている。それに尽きる」と語る。

このスタートアップが、いかに成長しているかについては、前回、同社が資金調達を行った(評価額3億7000万ドル(約403億円)に対して2000万ドル(約22億円)と今回よりも控えめだった)2019年と比べるといいだろう。当時同社の楽曲は、YouTube(ユーチューブ)だけでも毎月平均2億5000万時間もの再生があった。

その後、再生時間は400%以上の伸びを記録し、現在では毎月10億時間を大きく上回っている。ホグランド氏によると、エピデミック・サウンドのアーティストの音楽を使用したYouTube動画は、ストリーミングについては、1日に15億回再生されているという。これは、TikTok(ティックトック)、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)などのプラットフォームで使用される同社の音楽のアクセス量を考慮する前の話だ。

「マクロトレンドは爆発的な延びを示している」とホグランド氏はいう。作曲家やコンテンツクリエイターを含め、現在同社のプラットフォームのユーザーは500万人を超える。

しかも、YouTubeのチャンネル数が約3700万であることや、Twitch(ツイッチ)、TikTok、Instagram、Snapchatなど、他にもユーザーを取り込めるサービスが数多くあることを考えると、成長の余地はまだ十分にありそうだ。

「私たちは需要が尽きることのない広大な市場を探しているが、エピデミックは[その業界]のリーダーに成長しつつある」と、Blackstone Growth(ブラックストーン・グロース)のグローバル責任者として投資を主導したJon Korngold(ジョン・コーンゴールド)氏はインタビューに答えている。

双方向の音楽マーケットプレイス

エピデミック・サウンドは、自らをマーケットプレイスと位置づけている。ミュージシャンは録音した楽曲をアップロードし、それを利用したい人は、ジャンル、ムード、楽器、テンポ、トラックの長さ、人気度などで検索をかけ、自分のイメージにあった音楽を見つけることができる。その上で、聞く頻度ではなく、利用する用途に応じた価格で購入する。

また、個人利用を前提とした月額15ドル(約1600円)の使い放題のサブスクリプションや、ほとんどの人が利用する月額49ドル(約5300円)で無制限の商用利用も可能なサブスクリプションが用意されている。この方式により、同社は黒字に転じたが、現時点では成長に軸足を移しており、再び赤字になっている。

エピデミック・サウンドは、市場のある特定のギャップに目をつけたホグランド氏とJan Zachrisson(ヤン・ザクリソン)氏によって、2009年に設立された。両氏の目的は、デジタルメディアへの音楽の追加を、より簡単にし、法的リスクをより少なくすることだった。言われて見ればおもしろいことに、11年前のデジタル音楽市場はまだダウンロードが中心で、そのほとんど(95%)が違法だった。当時のIFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)のこのレポートは、ストリーミングという概念にさえ触れていなかったようだ。

また、同社にとって好機となったのは、音楽を公開したり、簡単なライセンス条件で購入したりするための、明確で使いやすいマーケットプレイスが存在しなかったことだ。

「設立当時からエピデミックの中核を成すものは、クリエイターにとって制限のない環境を提供することだ」とEQT Partners(EQTパートナーズ)のパートナーであり、投資アドバイザーでもあるVictor Englesson(ビクター・エングレソン)氏は話し「これは、ユーザー生成コンテンツの大きな問題点の1つであり、今も昔も変わらない。エピデミック・サウンドは、そのライブラリの権利を100%コントロールしている」と続ける。

今となっては、常識となっている簡単なライセンシングを提供することよりも、巨大な需要に直接対応することの方がチャンスは大きい。

動画が消費者の間で大きな人気を博している状況の中、Cisco(シスコ)は、2020年にはインターネットトラフィックの約80%を動画が占めるようになると予測していた。これはパンデミック前の数字であるため、現在ではそれ以上になっていても不思議ではない。動画はクリエイターの表現の手段としても急増している。当然のことながら、クリエイターが動画コンテンツを制作し配信するためのツールを提供する企業が数多く登場しており、その中には音楽の提供も含まれている。

そのため、サウンドトラックプラットフォームの市場はかなり混雑している。同分野では、Artlist(アートリスト、静止画や動画のカタログも提供しており、2020年資金調達も行っている)、Upbeat(アップビート)、Comma(コンマ)、Shutterstock(シャッターストック)などがある。

プラットフォーム自体も、クリエーターに音楽ツールを提供しており、それはカジュアルなものからそうでないものまで、またYouTubeに留まらないものとなっている。

TikTokでは、楽曲そのものがバイラル化し、一夜にして耳から離れなくなる。また、Snap(スナップ、Snapchatの開発元)が2020年、音楽の制作・配信市場で同社が持つ優位性の活用に向けた動きを見せたことは興味深い。2020年11月、スナップはVoisy(ボイシー)というアプリを人知れず買収した。このアプリは、選択したビートの上に自分の曲やボーカルを重ねて編集し、それらの作品を共有することができる。

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しかし、こういった状況の中、エピデミック・サウンドは単なる交換のためのプラットフォームには留まらない。

同社は、独自のプラットフォームを運営するだけでなく、Adobe(アドビ)、Canva(キャンバ)、Getty(ゲッティー)、Lightricks(ライトリックス)など、人々がコンテンツを作成する他のプラットフォームと提携し、そういった企業はエピデミックの音楽ストリーミングを提供するワンストップショップの一部として機能している。

また、同社が構築してきたものを支える「頭脳」もある。どの音楽が最も使われているか、そしてその音楽が視聴者にどのように受け入れられているかを追跡し、世界市場の音楽の嗜好を徐々に把握してきた。いわば音楽の統計グラフだ。そういった情報をもとに音楽を分類し、より的確な検索結果につなげたり、作曲家が需要に応じた楽曲を作れるように支援したりしている。

ホグランド氏は「データを収集し音楽が残した履歴を解析すれば需要がわかる」と言い「例えば、メタル子守唄を求める声が大きいことがわかれば、そういった曲をもっと依頼することができ、それが採用されるだろう」と続ける。

Spotify(スポティファイ)の成長や、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Facebookなどによる音楽ストリーミングへの大規模な投資は、物理的な音楽ビジネスが衰退しても、音楽を聴くこと自体の衰退を意味するものではないことを物語っている。この傾向は、コンサートが中止され、オンラインストリーミングがそれに取って代わった2020年、ますます強まった。

エピデミックは、これらの大手が、レーベルや世界的に有名なBillie(ビリー)やBeyonce(ビヨンセ)と契約するのとは対象的に、そういった契約を結んでいないロングテール効果が期待できるクリエイターたちに焦点を当てている点が興味深い。

Spotifyのような企業は、アーティストの収益化プラットフォームとしてのブランドの確立に重点を置いているが、エピデミックのスタート時には、それは諸要素の一部でしかなかった。

音楽クリエイターは、エピデミックが購入した楽曲ごとに前受金を受け取るが、支払い額は楽曲によって異なる。加えて、その楽曲が後に再生される可能性のあるストリーミングプラットフォームからの収益も分配される。

同社によると、クリエイターは平均して年間数万ドル(約数百万円)、一部のトップクリエイターは年間数十万ドル(約数千万円)の収入を得ることができるという。「大規模な配信と認知度による」とはホグランド氏の言葉だ。

また、動画クリエイターに楽曲を提供する匿名のパートナーとしてだけでなく、自分自身の能力で成長する者もいる。Ooyy(オゥイ)、Cospe(コスペ)、Loving Caliber(ラヴィン・キャリバー)の3人は、自身のブランドでスターダムに駆け上がった。そういう意味では、エピデミック・サウンドがミュージシャンのために行っていることは、SpotifyやYouTubeのようなプラットフォームと、思っているほど大きな違いはないのかもしれない(それは同時に、いくつかの名高い強力な競合企業、あるいは買収者やパートナーの傾向も示している)。

市場の大きさと拡大のおかげで、エピデミック・サウンドは、その非常に混雑した市場で成長することができた。

「結局のところ、これはデータビジネスなんだ」と、ブラックストーン・グロースのコーンゴールド氏は語った。

ユーザー数を更新し、ミュージシャンの1人のスペルを訂正した。

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タグ:Epidemic Sound資金調達音楽

画像クレジット:alengo / Getty Images under a RF license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ライセンスされた音楽をソーシャルメディアで使えるようにするSongclipが約12億円を調達

Songclipのチームは、ソーシャルメディアではもっと音楽が使われるようになるだろうと考えている。

確かに、TikTokやTrillerなど一部のアプリでは音楽はエクスペリエンスの重要な一部だ。しかしSongclipの共同創業者でCOOのJohn vanSuchtelen(ジョン・ヴァンサッテレン)氏は筆者に対し「それは音楽が目玉になることの最終形ではなく、始まったばかりです」と語った。

さらに同氏は「今後9〜12カ月のうちに、カメラが付いていない携帯電話を決して使わないのと同じように、ビデオを作る際に目玉としてミュージッククリップを追加する機能がないアプリは使われなくなるでしょう」とも述べた。

それが、ヴァンサッテレン氏と共同創業者でCEOのAndy Blacker(アンディ・ブラッカー)氏がSongclipで実現したいことだ。米国時間3月9日、同社は新たに1100万ドル(約12億円)を調達したと発表した。

Songclipは、アプリと統合してユーザーが音楽を探し共有できるようにするAPIを開発している(現時点では写真とビデオ編集アプリのPicsArtと統合されている)。ヴァンサッテレン氏は、Giphyで動画クリップを検索して共有できるのと同様に、Songclipは新しいメディアのフォーマットであるショートオーディオクリップを普及させて幅広いサービスで利用できるようにする構想であると述べた。

同氏はこう語る。「もし私があなたに4分間の曲を送るよといっても、それはできないでしょう。それではコミュニケーションをとることができません。音楽を選んでソーシャルの場面で使えるようにするにはどうすればいいでしょうか」。

ブラッカー氏は、これを実現するためにSongclipは音楽のライセンスを扱うことに加え、独自のタグづけとクリッピングをする他、音楽レーベル向けには知的財産を保護するツールと音楽の利用者に関するデータを提供すると説明した。そしてGiphyとは異なり、Songclipはコンシューマ向けブランドにするつもりはないという。

こうしたことはすべて人間のエディターとテクノロジーを組み合わせて実行する。ブラッカー氏は、曲のニュアンスや関連性を理解するには人間が重要だという。例えばサイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)」は橋や水の歌ではないし、カトリーナ&ザ・ウェイブスの「Walking on Sunshine」は歌詞に「happy」という言葉は使われていなくてもハッピーな曲だというようなことだ。

Songclipはこれまでに2300万ドル(約25億円)を調達した。今回のラウンドはEvolution VC PartnersのGregg Smith(グレッグ・スミス)氏が主導した。他にThe Kraft Group、Michael Rubin(マイケル・ルービン)氏、Raised in Space、Gaingels、Forefront Venture Partnersや、音楽業界の有力者であるJason Flom(ジェイソン・フロム)氏、Steve Greenberg(スティーブ・グリーンバーグ)氏、そしてバンドのAJRも参加した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Songclip資金調達ソーシャルメディア音楽

画像クレジット:Songclip

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

アップルがiOS 14.5で「デフォルト」の音楽サービスは設定できないと明言

Apple(アップル)は、iOS 14.5 betaが一部で言われているようなデフォルトのミュージックサービスを選ぶことを許しているわけではないことを明言した。2021年2月にこのベータ版が公開されて以来、Siriに音楽の再生を依頼した時、どのミュージックサービスを使うかをSiriが尋ねることに多くのベータテスターが気づいた。しかしAppleは、この機能を「デフォルトの設定」とは考えていない。メールとブラウザーのアプリについては最近デフォルトの選択ができるようになった。

実際には、学習機能のあるSiriが、ユーザーの音楽を聞く習慣をより深く理解するためだという。

例えばSiriに楽曲やアルバムやアーティストを演奏するよう依頼すると、Siriはこの種のコンテンツを聴くのにどのサービスを使いたいかを尋ねる。しかし、ユーザーのSiriに対する返答によってそのサービスが「デフォルト」になるわけではない、とAppleは言っている。事実、Siriは後で同じ質問をすることがある。自分の好みがすでに設定されていると思っていたユーザーにとっては混乱を招く要求だ。

画像クレジット:iOS 14.5のスクリーンショット

さらにAppleは、iOSの設定の中にはメールやブラウザーのような「デフォルト」のミュージックサービスを指定する部分がないことも指摘した。これまでにも多くの報道がこの違いを記載していたが、それでもこの機能を「デフォルトの設定」と書いており、それは厳密には誤りである。

もう少し具体的にいうと、これはユーザーが異なるタイプのオーディオコンテンツ(音楽に限らない)を利用する際に使いたいアプリをSiriが学習するのを手助けする仕組みだ。音楽を聴くときにSpotify(スポティファイ)を使う人でも、ポッドキャストはApple Podcastsやサードパーティーのポッドキャストアプリを使いたいかもしれない。さらにオーディオブックはまた別のアプリで聴きたいかもしれない。

このようなオーディオに関するリクエストにどのサービスを使いたいかをユーザーに尋ねる時、Siriはインストールされているオーディオアプリのリストを提示してそこから選ばせる。

画像クレジット:iOS 14.5のスクリーンショット

Siriがユーザーの習慣を(ユーザーの返答や選択に基づいて)理解することに加えて、アプリ開発者は自分のアプリでユーザーが何をなぜ聴いているかについての情報を、APIを通じてSiriに伝えることができる。これによってSiriはユーザーのリクエストに対してより正確に答えることができる。なお、一連の処理はすべてデバイス上で行われる。

このオーディオ選択機能は、普段の好みとは違う特定のサービスを使うようユーザーがリクエストすることを妨げるものではもちろんない。

たとえばユーザーは「スムーズジャズのラジオをPandora(パンドラ)で流して」と言って希望のアプリを使うことができる。ただし、もしその後も音楽のリクエストにPandoraの名前を出し続けると、Siriが最初に尋ねた時にApple MusicやSpotifyなどのサービスを指定していた場合でも、次にサービスを指定せずに音楽再生をリクエストすると、Siriは再度サービスを選ぶようにと尋ねることがある。

画像クレジット:iOS 14.5のスクリーンショット

この明確化は些細なことのように思えるかもしれないが、App Storeとアプリエコシステムを巡ってこのところAppleに向けられている規制当局の監視を踏まえると、大きな意味を持っている。中でもSpotifyは、Appleが反競争的な行動をとっていると告発しており、たとえばAppleが競合する音楽サービスを運営していながらSpotifyのアプリ内購入に手数料を要求しているのは不当な先行者利益だと指摘している。

このオーディオ選択機能が最初登場したのはiOS 14.5 beta 1だったが、beta 2で削除された。それがbeta 3で復活して注目を集め見出しを賑わせ、さらにAppleの反応を呼び起こした。

厳密には「デフォルト」の設定を可能にするものではないとしても、Siriのこの新機能は、一貫したリスニング傾向を持つユーザーにとって、いずれは同じ意味になるかもしれない。こうしてiPhoneは、使いたくないときにはApple自身のアプリを使うことを強制されることなく、あなたの聴きたいものをどうやってプレイするかについてさらに賢くなっていくだろう。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

音楽ストリーミングが2020年の米レコード業界収益の83%を占める、CDは衰退しアナログ盤好調

音楽ストリーミングが2020年の米レコード業界収益の83%を占める、CDは衰退しアナログ盤好調

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音楽市場はここ数年でほぼ物理メディアからストリーミングへと移行した感があります。米RIAAが発表した2020年末のレコーディングされた音楽による収益は、新型コロナ禍もあり自宅で音楽を聴く人が増えたのか、前年比9.2%増の122億ドルになりました。そのうちSpotifyやApple Musicといった定額音楽ストリーミングからの収益が14.6%増の70億ドルとなっており、CDなどの物理メディアによる販売やダウンロード販売などもあるなかで2018年以来連続でトップを走っています。

年間のサブスクリプション加入者数は2019年の6040万人から2020年は7550万人となり加入者の増加も過去最大の上げ幅を記録しました。また新たに包括的ライセンス契約を行ったFacebookやPerotonも収益増を後押ししたとみられます。

ストリーミングとは対照的に、物理メディアでは例年、CDの衰退が伝えられるようになっていますが、2020年の収益も23%減の4億8300万ドルになりました。一方でアナログレコードが約29%の伸びを示して6億2600万ドルに達し、CDよりも収益の多いメディアになっています。またアナログレコードの好調のおかげで、物理メディア合計の収益は0.5%の減少で踏みとどまりました。

音楽ストリーミングの収益増は音楽業界全体にとっては良いことのはずですが、その反面、お金の行き先が不透明です。物理メディアやダウンロード販売の場合は売り上げに対し一定の割合の収入がアーティストに分配されますが、ストリーミングの場合はいわゆる大物アーティストには収益が発生しやすく、再生回数の少ないアーティストにはなかなか分配が行き渡りません。

物理メディア時代も構造そのものは大きく変わらなかったものの、プロモーションなども収益が見込める大物に集中するようになっており、音楽ファンも自ら積極的に新譜情報を仕入れるようにしなければ、ストリーミングだけでは常に似通った音楽ばかりがレコメンドされるため、偏りが顕著になっているとも考えられます。偏りの改善のためには、もっと公平なビジネスモデルを模索し転換していく必要があるかもしれません。

(Source:RIAA(PDF)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:音楽(用語)音楽ストリーミング(用語)全米レコード協会 / RIAA(組織)

Facebookがラップを制作・公開できるTikTok風アプリ「BARS」を発表

米国時間2月26日、Facebook(フェイスブック)の社内R&DグループであるNPEチームが、新たな実験的アプリ「BARS」を発表した。このアプリは、プロが作成したビートを使って、ラップを創作・公開できるもので、NPEチームが音楽分野で起ち上げたアプリとしては、最近一般に正式公開されたミュージックビデオアプリ「Collab」(コラブ)に続いて2つ目となる。

関連記事:Facebookが音楽動画をコラボ制作できるアプリCollabを正式リリース、まずは米App Storeで

Collabがオンラインで他の人と一緒に音楽を作ることに焦点を当てているのに対し、BARSは自分の動画を作成して公開したいと思っているラッパーを対象としている。このアプリでは、ユーザーは何百ものプロが作成したビートの中から好きなものを選択し、自分のリリックを書いて、動画を録画する。BARSはまた、ユーザーがリリックを考えている時に自動的に韻を提案する機能もある。さらに、映像に適用できるさまざまな視覚効果フィルターや、オートチューン機能などのオーディオ用フィルターも使用できる。

「チャレンジモード」も用意されており、これは自動提案された言葉でフリースタイルのラップを行うというもので、ゲーム的な要素を備えている。Smule(スミュール)の「AutoRap(オートラップ)」のように、単にラップを楽しみたい人にも受け入れられるようにデザインされており、おそらくユーザーが自分で作成したビートも使用できるようになるだろう。

画像クレジット:Facebook

BARSは最長60秒までの動画を作成可能で、カメラロールに保存したり、他のソーシャルメディアプラットフォームでシェアしたりすることができる。

Collabと同様に、新型コロナウイルスの流行がBARSの制作にひと役買ったようだ。ウイルスの影響で、ラッパーが自分の作品をライブで試すことができる場所や機会が得られなくなってしまったと、NPEチームのメンバーであるDJ Iyler(DJアイラー)氏は説明する。同氏は自身も「D-Lucks」という名前でヒップホップソングを制作している。

「ラッパーを目指す人々にとって、高価なレコーディングスタジオや制作機材を利用できる機会は限られていることを、私はよく知っています。それに加えて、世界的な新型コロナウイルス感染流行の影響で、私たちが作品を制作し、公開することが多いライブパフォーマンスをできる場所が閉鎖されてしまいました」と、彼はいう。

意欲的なラッパーたちのチームによって作られたBARSは、米国で2月26日よりクローズドベータ版の配布が開始された。

画像クレジット:Facebook

この新しいアプリは音楽、特にラップに焦点を当てているものの、FacebookがTikTok(ティックトック)の競合(少なくともこのカテゴリにおける)を開発しようとする試みの1つと見ることもできる。

TikTokは、すでにラッパーを含む新進気鋭のミュージシャンにとって、自分の作品を公開するための発射台となっているラッパーは自分のリリックを試すことができ、多くのビートメーカーに支持されているだけでなく、どのような音楽が作られるかということにも影響を与えているディストラックもまた、TikTokで非常に人気のあるフォーマットになっており、主にインフルエンサーが事件を煽ったり、意見を追求したりする手段として使われている。つまりTikTokにおけるラップの界隈にはすでに大規模なソーシャルコミュニティができ上がっており、Facebookはその一部の注目を奪いたいと考えているということだ。

BARSは、ユーザーインターフェイスの点でもTikTokと似ている。それは2つのタブで構成された縦長の動画インターフェースで、TikTokの「フォロー中」と「おすすめ」の代わりに「Featured」と「New」のフィードが表示される。そしてこのアプリは、やはりTikTokのように、画面の右下にエンゲージメントボタンを配置し、左下にクリエイター名を配置している。

しかし、BARSで動画を「お気に入り」にするには、ハートをタップするのではなく、動画をタップすると「火」がつく(動画が再生されている間は、火の絵文字が表示される)ようになっている。「火」は何度でもタップできる。しかし、BARSには(厄介なことに)タップして一時停止する機能がないので、動画の再生を停止する方法を探している時に、誤って「火をつけて」しまうことがある。進めるには垂直方向にスワイプするのだが、インターフェイスにはお気に入りのクリエイターを「フォロー」するための明確なボタンが見当たらない。それは右上の3ドットメニューの下に隠されている。

アプリには、意欲的なラッパーや元音楽プロデューサー、パブリッシャーを含むNPEチームのメンバーからのコンテンツが組み込まれている。

現在、BARSのベータ版は米国のiOS App Storeで配信されており、招待希望者のウェイティングリストが開放されている。Facebookによると、BARSの招待は米国で開始され、数回に分けて行われるという。招待に関するアップデートやニュースはInstagram(インスタグラム)で発表される。

Facebookの実験的アプリ部門から最近発表されたアプリには、Collabの他、コラージュメーカーの「E.gg」(エッグ)などがあるが、すべてのアプリが定着するわけではない。市場を牽引することができなければ、Facebookはそれらのアプリを廃止する。実際に同社が2020年、Pinterest(ピンタレスト)風の動画アプリ「Hobbi」でそうしたように。

関連記事:Facebookが写真日記&ショートムービ作成アプリ「Hobbi」を半年足らずで終了

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タグ:Facebook音楽

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EDM制作をサポートする「音楽プロデューサーのためのGitHub」Spliceが57.8億円調達

ニューヨークのSpliceは、グループメッセージングGroupMeの創業者が音楽プロデューサーたちのために作った、AIを利用するビート作成ソフトウェアサービスだ。同社は新たに5500万ドル(約57億8000万円)の資金を調達した。

音楽プロデューサーのためのGitHubとも呼べるこのソフトウェアサービスは現在、Hook N SlingMr Hudson、SLY、Steve Solomon、そしてTechCrunchのMegan Rose Dickeyらも利用している。ユーザーが一気に増えた理由は、Spliceがエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の作者による音楽の保存や共有、共作、リミックスなどの作業をサポートしてくれるためだ。

同社の人気の高まりとともにSpliceは、ベッドルームDJのツールからGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)役員会議室まで広がった。金融サービスの巨人がMUSICに参加した。MUSICは音楽のエグゼクティブであるMatt Pincus(マット・ピンカス)氏とブティック金融サービス企業Liontreeのジョイントベンチャーで、同社の最新の5500万ドルのラウンドを主導している。同社のこれまでの投資家にはUSV、True Ventures、DFJ Growth、Flybridgeが含まれる。

Goldman Sachsのグロース担当副社長であるStephen Kerns(スティーブン・カーンズ)氏は「音楽制作プロセスはデジタル化されつつある。アーティストたちは、使いやすく、共同作業が可能で、手頃な価格の音楽制作プラットフォームを提供するソリューションに群がっているユーザー数400万人のSpliceは、この変革の最前線に立ち、クリエイターコミュニティに愛されている。Spliceでスティーブン・カーンズ氏と彼のチームとパートナーシップになることができてとてもうれしい」と声明で述べている。

今回のSpliceの資金調達は、2020年に同社が音楽テクノロジー企業であるAudiaireとSuperpoweredを買収したという驚くべき買収劇に続くものだ。

さらにSpliceは、Adobe Creative Cloud Experience and EngagementのバイスプレジデントであるKakul Srivastava(カクル・スリバスタヴァ)氏を取締役に迎えている。

上記のように今回の資金調達の直前には、同社は音楽テクノロジー企業のAudiaireとSuperpoweredを買収し、オーディオと音楽制作のプロセスを改善し活気づけた。またそれと並行して、上記のカクル・スリバスタヴァ氏の招聘も行われている。

2016年のTechCrunch Disruptにおけるスティーブ・マルトッチ氏(画像クレジット:Getty Images)

Spliceのバランスシートの強化は、新規参入者がSpliceの音楽制作市場の一部を奪い合い始めていることを受けてのものだ。2020年にSounds.comマーケットプレイスをローンチしたハードウェアメーカーのNative Instrumentsや、Arcade by Outputも同様のサービスを提供している。

一方、Spliceはプロデューサーの生活をより楽にするための新技術に対する投資を続けている。2019年11月には、異なるジャンルのサンプルを機械学習を使ってマッチさせる人工知能プロダクトを発表した。

Spliceの創業者でCEOのSteve Martocci(スティーブ・マルトッチ)氏は「私の仕事は、できるだけ多くの人の創造力をインスパイアしづけることです」とTechCrunchに語っている。

ローンチからわずか1年で、TechCrunch DisruptハッカソンのチャットアプリGroupMeをSkypeに8500万ドル(約89億4000万円)で売ったことで知られる連続起業家にとって、また1つの勝利だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Splice音楽

画像クレジット:(写真:Jeffrey Greenberg/Universal Images Group via Getty Images)/Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トッド・ラングレンがバーチャルだが「地域限定」のツアーを間もなくスタート

バーチャルコンサートツアーというアイデアは、新型コロナウイルス感染症のために考えられたように思えるが、ミュージシャンのTodd Rundgren(トッド・ラングレン)氏は、実は何年も前からこのようなことを考えていたという。

ラングレン氏は、ハリケーンや気候変動によって悪化した「崩壊しつつある」空の旅というシステムに不満を感じていたと筆者に語った。「どこかに座わったまま、次のコンサート会場に行けない」ことが増え、オーディエンスにリーチするためには「他の方法を想像し始める」必要があると、彼はすでに確信していたのだ。

だが、新型コロナウイルス感染流行がきっかけとなり、ラングレン氏は米国時間2月14日から始まるClearly Human Tour(クリアリー・ヒューマン・ツアー)で、ついにこれを実現させることに決めた。彼は従来のようなツアーを計画していたが、コロナ禍の影響で日程の延期が続いていた。そしてついに彼は主催者に言った。「やらせてくれ。2年間もツアーをしないでいるわけにはいかないんだ」と。

ラングレン氏と彼のバンドは、実際にはすべてシカゴで演奏する。そこで彼のキャリアの中からこれまで発表してきた曲と、アルバム 「Nearly Human(ニアリー・ヒューマン)」の全収録曲を演奏する予定だ。しかし、バーチャルなツアーは2月14日のバッファローから始まり、3月22日のシアトルで終了するまで、全米25都市で行われる。

「1回のショーを行って、それをすべての人々に披露する」よりも、その方が魅力的だと思った、とラングレン氏は語る。

「人々はこの特定のイベントのために何週間も何カ月も前から計画を立て、ショーはそれぞれの都市または特定の地域にいる人々だけを楽しませる」と、彼は語る。「これは何よりも社交的なイベントであり、我々はそれを地域を限定して行おうとしているのです」。

ライブはすべて現地のタイムゾーンに合わせて午後8時に始まる。また、バンドもそれに気分を合わせるために「自己催眠」を試みるつもりだと、ラングレン氏はいう。「ライブ会場のすべての壁は、その街のポスターやスポーツチームの記念品で飾りつけ、我々はその地域で馴染み深い食べ物を取り寄せて食べるのです」。

その他にも、地元のファンとバーチャルで挨拶や交流を交わしたり、ライブ会場内にはビデオスクリーンを設置してバーチャルオーディエンスを映すなどの工夫が施されるという(そのための限られた枚数のチケットが販売される。ただし、もちろん参加者はその時、シカゴにいる必要がある)。

このコンサートには、ジオフェンス(地理的な境界線)が設定されることになる。このアプローチは進化してきたとラングレン氏は語っているが、それはバッファローのコンサートをバッファローの参加者に限定するというよりも、ラングレン氏の契約上の義務に基づいて地理的な制限を強いるということだ。または彼がいうように「観客を囲い込むというよりも、入れないようにするためのもの」ということになる。

画像クレジット:Todd Rundgren

ラングレン氏は、ミュージシャンのCisco Adler(シスコ・アドラー)氏とDonavon Frankenreiter(ドノヴァン・フランケンレイター)氏によって設立されたライブストリーミングコンサートのスタートアップ、NoCapのサポートを受けてこのツアーを開催する。NoCapは設立されてまだ1年も経っていないものの、アドラー氏によれば、最初のショーで販売したチケットは700枚だったが、「今では3万、4万、5万枚のチケット」を販売しているという。そして同氏は、このコロナ禍が終息した後も、バーチャルコンサートがなくなることはないだろうと予測している。

「5年に1度しかミュージシャンが来られないような、十分なサービスを受けていない市場があるはずです」と、彼はいう。「将来的には現実のコンサートとバーチャルのハイブリッドになるでしょう」。

結局のところ、スポーツのテレビ中継は、スポーツを「より大きく、よりグローバルに」するだけだったと彼は指摘する。同様に、アドラー氏がコンサートのライブストリーミングについて考えていたとき、「私が思ったのは、どうやってBand Aid(バンドエイド)を作り、このギャップを埋めてみんなを助けようか?ということではありませんでした。それよりも、今、音楽にできることの向こう側へ続く架け橋を作るためにはどうすればいいか?ということでした」。

関連記事:Spotifyにアーティストのバーチャルイベントの予定がわかるリストが登場

カテゴリー:ネットサービス
タグ:音楽動画配信

画像クレジット:Lynn Goldsmith

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ユーチューバー向け高品質フリーミアム音楽プラットフォームUppbeatがサービス提供開始

新しい音楽プラットフォームUppbeat(アップビート)は、YouTuber(ユーチューバー)やその他のコンテンツ制作者たちが、制作する動画に使用できる高品質の無料音楽を、簡単に見つけられるようにすることを狙っている。このシステムは、アーティストに公平な補償を行いながら、複雑な著作権処理を行えるようにデザインされている。既存の無料音楽プラットフォーム、たとえばYouTube(ユーチューブ)のオーディオ ライブラリやクリエイティブコモンズから提供される動画用音楽などに代わるものを提供することが目的だ。

このスタートアップのアイデアは、約6年前から運営されているまた別の音楽ライセンス企業である英Music Vine(ミュージックヴァイン)の共同創業者であるLewis Foster (ルイス・フォスター)氏とMatt Russell(マット・ラッセル)氏によるものだ。

2020年、2人の創業者たちは、これまでとは毛色の少し違うクリエイタースペース製品に取り組む機会が増えていることに気づいた。

「私たちはYouTuber、ストリーマー、ポッドキャスターといったクリエイタースペースが巨大化していることに気がついたのですが、こうしたタイプのユーザーのために、良い仕事をしている音楽プラットフォームがなかったのです」とフォスター氏はいう。「そこで私たちは、クリエイターにとって完璧な音楽リソースとはどのようなものかをじっくり考えてみたのです。それがUppbeatを作るきっかけになりました」。

彼らは2020年9月からUppbeatのウェブサイトの開発に着手し、英国時間1月11日に公開した。

クリエイター側の視点でみた場合、Uppbeatが重視しているのは、特にYouTubeを中心とした著作権処理に対する面倒を取り除くことだ。

現在は、もしあるYouTuberが動画の中の音楽に対して著作権を主張されると、収入が失われる原因となり得る。YouTubeは、この問題に対処するために、何年にもわたってコンテンツIDマッチシステムへの新機能追加や変更を行ってきたが、依然として問題は残されている。

「もしあるYouTuberが著作権の主張を受けたら、(YouTubeは)そのYouTuberの動画の収益を停止することが可能です。そして、YouTubeの問題処理システムを通して解決を行った場合には、最長で30日もかかることがあるのです。これがYouTuberにとって、かなり大きな不満なのです」とフォスター氏はいう。

だがUppbeatの音楽を使えば、ほぼ瞬時に著作権処理が行われる。

画像クレジット:Uppbeat

Spotify(スポティファイ)と同様に、Uppbeatのウェブサイトはフリーミアムモデルを活用している。クリエイターは、まず無料アカウントを手に入れることができる。このアカウントでは、およそ1000曲ほどのカタログの約半分にアクセスが可能で、毎月10回までダウンロードを行うことができる。一方、有料プランでは、カタログへのフルアクセスが可能で、ダウンロード制限もない。

無料ユーザーはYouTube動画の概要説明にクレジットを追加するだけで、著作権処理主張をクリアすることができる、一方、有料ユーザーは承認済みリスト(ホワイトリスト)に追加されるので、この余計なステップを省くことが可能だ。

無許諾使用を撃退するために、音楽トラックはフィンガープリントを取られているため、著作権の主張は継続して可能だ。しかし同社によれば、その解決は何日も何週間もかかるものではなく、5分程度で処理が行えるものだという。Uppbeatシステムは、動画の説明文をチェックして必要なクレジットを確認したり、その有料ユーザーのリストと照合することで、権利請求をクリアする。これはすべて自動化されていて、それもスピードアップにつながっている。

画像クレジット:Uppbeat

一方、アーティストに対しては、彼らの音楽が利用された場合には、たとえそれが無料ユーザーによる利用でもUppbeatが支払いを行う。

有料サブスクリプションや、もうすぐ始まる広告からの収入は、個別のダウンロード数に比例して、毎月アーティスト間で分配される。

「アーティスト側の視点から見ると、平均的には、有料側のトラックから無料側のトラックと同じ金額を稼ぐことになります」とルイス氏はいう。「つまり無料で利用されていても、お金がもらえるということです」と付け加えた。

また、トラックを閲覧したり、音楽を聴いたりする際に再生される音声広告で収益化も行う(とはいえ、これは有料プランを推進するための時限的な措置だ)。

Uppbeatのカタログも見やすい構成だ。音楽がジャンル別、テーマ別、スタイル別に整理されていて、YouTuberが必要とする音楽やビートの種類を示すカラフルな列の中に配置されている。たとえばバックグラウンドで使用するためにカスタマイズされた音楽や、inspiring(インスピレーションを与える)、calm(穏やかな)、happy(楽しい)、dramatic(ドラマチック)といった、さまざまな雰囲気に対応するトラックが用意されている。数カ月後にはSFX(効果音)のカタログも追加される予定だ。

UppbeatはMusic Vineを通じたプロデューサー、作曲家、ソングライターといった既存の音楽業界のつながりが、他の無料音楽サービスよりも高品質の音楽トラックを入手するのに役立つと考えている。

現在のところ、このスタートアップはMusic Vineからの収入での運営を行っているが、フォスター氏によればVCからの打診もあったという。創業者たちは、当面はほとんどの部分の所有権を、社内で維持したいと考えている。

Uppbeatは、紹介プログラムと利益分配スキームの両方を実験している。後者は、Uppbeatへ新規顧客を連れてきたYouTuberに対して、2年間はその顧客からの収益を完全に手渡すようにするというものだ。

「私たちは多大な犠牲を払っています」とフォスター氏は認めている。「しかし私たちは、Uppbeatを早くリリースしてYouTuberの間で有名になればなるほど、(その収益を)共有できてハッピーになることができると考えています。大きな民間投資を行うのではなく、YouTuberコミュニティ内でそうした収益共有を行うことはクールなアイデアだと思っているのです」と彼は指摘する。

同社はまた、何人かの大規模YouTuber向けの収益共有も検討している、とフォスター氏は付け加えた。

現在Uppbeatは、英国のリーズを拠点に、従業員8名とフリーランサー12名で構成されるチームだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Uppbeat音楽YouTuber著作権

画像クレジット:Uppbeat

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(翻訳:sako)

電子チケット販売のZAIKOが1.8億円調達しシリーズBをクローズ、海外も視野に市場開拓

電子チケット販売のZAIKOが1.8億円調達しシリーズBをクローズ、海外も視野に市場開拓

電子チケット販売プラットフォーム「ZAIKO」を提供するZAIKOは12月23日、第三者割当増資として1.8億円の資金調達を実施し、シリーズBラウンドをクローズしたと発表した。引受先は、Infinity Ventures。

また、今回の出資を受けたことにより、Infinity Venturesの田中章雄氏とNorth Base MediaのSasa Vucinic 氏が新たにZAIKOボードメンバーとなったと明らかにした。

調達した資金により、コロナ禍によって急激に需要が増えたライブ配信事業をはじめ、電子チケットプラットフォームサービスを中心としたアーティスト・イベント主催者の新たなマネタイズ方法を促進するD2F(Direct to Fan)モデルのサービス展開をより多角的に行う。また同時に、海外を視野に入れたマーケットの開拓を目指す。

ZAIKO CEOのMalek Nasser(マレック ナサー)氏は、海外を視野に入れた新たなマーケットの開拓や、現在開発中のサブスクリプションサービス、アーティスト・イベント主催者への支援プロジェクト「ZAIKO Seed」のさらなる発展、リソースの拡充を行うとしている。

ZAIKOは、「電子チケットを通じてアーティストとファンが直接繋がることができるプラットフォーム」(D2Fモデル)をコンセプトととする、リアルイベント/ライブ配信両対応のイベント主催者・デジタルメディア企業向けのホワイトレーベル電子チケット販売プラットフォーム。

2020年3月よりライブ配信付き電子チケットサービスを導入し、今までに5000本を超えるライブ配信イベントの開催に貢献。エンターテイメント業界のニューノーマルを牽引するとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:音楽(用語)ZAIKO資金調達(用語)日本(国・地域)

音楽配信サービスのBandcampが手数料免除の「バンドキャンプフライデー」を2020年5月まで延長

この8カ月あまり、ミュージシャンは非常に困難な時期を過ごしている。ツアーは中止になりストリーミングサービスからはごくわずかな報酬しか得られず、多くのアーティストの生活が完全に崩壊している。しかし、2020年3月以降、Bandcamp(バンドキャンプ)は多くのミュージシャンにとって貴重な道しるべとなっている。

毎月第1金曜日、同サービスは手数料を免除してアーティストやレコード会社が利益を増やす機会を提供している。これまで9回の金曜日で、このサービスから4000万ドル(約41億4000万円)が生まれ、80万人近くがその日に楽曲を購入した。アーティストは平均して売上の93%を受け取る(残りは支払手数料)。通常は82%だ。

ワクチンの登場は希望の理由の1つであるものの、困難を脱していないことは明らかだ。これを踏まえ、同サービスはBandcamp Fridayを少なくとも2021年5月まで延長することを発表した。具体的には2月5日、3月5日、4月2日、5月7日があてはまる。

他のオンラインサービスはあまり積極的ではない。2020年7月にSpotify(スポティファイ)のCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は「以前活躍していたアーティストが今後の状況下で活躍するとは限りません。3〜4年に1度レコードを出せば十分という時代ではありませんから」とメディアに語っている。

音楽印税支払いをめぐる批判をよそに、Spotifyは数億ドル(数百億円)を費やしてポッドキャスティングの独占コンテンツのライブラリーを増強した。

関連記事:Bandcampのリモート音楽ライブはチケット収入の大半がミュージシャンのものに

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bandcamp音楽

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

レディー・ガガの元マネージャーらがテクノロジーでアーチストを支える「Q&A」を創業

Q&A」は、音楽産業のためのテクノロジーを開発するスタートアップで、共同創業者は業界のインサイダーでレディー・ガガの最初のマネージャーだったTroy Carter(トロイ・カーター)氏と、彼の長年の協力者であるSuzy Ryoo(スージー・リュウ)氏だ。米国時間12月14日、同社はその「Venice Innovation Labs」という部門を通して、一連の新しいソフトウェアプロダクトをローンチした。

レコード会社は、それらの新しいツールを使って新曲をベータテストし、アーチストを管理し、楽曲を容易にかつ効率的に配布できる、と同社の声明で述べている。

新部門からの最初のリリースはStreamRateで、新曲がリリースされる前に感情分析を行う。Venice For Labelsは、複数のアーティストやマネージャー、モニターなどの間でのギャラなどの分配を管理し、レーベルがその一覧リストを調べられるようにする。

同社はまた、アドバイザーチーム「Premium Services」による戦略的マーケティングにより、宣伝などに人間的なタッチを加える。北米ではRay Kurzeka(レイ・クルゼカ)氏、英国ではMatt Ott(
マット・オット)氏がチームのリーダーとなる。

「テクノロジーは音楽の消費方法を急速に変えつつあるが、私たちの業界のインフラはまだ十分に整備されていない。私たちはレーベルが喜ぶ、美しくて直感的なツールや、彼らを変えるようなサービスを密かに開発してきた。私たちのビジョンは、才能あるアーティストと彼らを日々サポートするレーベルを強化するための本物のコミュニティを作ることだ」とQ&Aの社長であるスージー・リュウ氏はいう。

カテゴリー:その他
タグ:Q&A音楽

画像クレジット:Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

約1万円のガジェットで音楽を作る

去る1月のCESで、筆者は楽器製作のためのクラウドファンディングをしていた/している何人かの創設者に会った。これは魅力的な分野であり、音楽やテクノロジーに差し当たりの興味を持っている人の注目を集めている。大多数のハードウェアスタートアップと同様、この分野の大部分の企業は、運が良ければ1つ製品を生み出すが、それさえも見込みがないと感じられがちだ。

Hail Maryのハードウェア開発と、楽器を再発明しようとする真剣な試みを組み合わせることは、無益な行為のように感じられるし、正直なところ、その通りである。しかし、ときおり刺激的なかたちで何かが起こる。ROLIは近年の現象の最も良い例の1つであろう。同社のSeaboardはシンセサイザーを巧みに利用したもので、このイギリスの会社は巧妙な音楽関連製品をリリースし続けている。

ナッシュビルを拠点とするArtiphonも、Instrument1というシンプルな名前の製品でオンライン音楽愛好家の想像力をかきたてることに成功した。ギターとピアノのハイブリッドスタイルのデバイスは、2015年にKickstarterで130万ドル(約1億3600万円)という途方もない額を集めた。今年のCESでこのプロジェクトについて同社の創設者と話をしたが、筆者が真に興味を持ったのは同社の2つ目のデバイスだ。

画像クレジット:Brian Heater

昨年行われたOrbaのKickstarterキャンペーンでは、140万ドル(約1億4600万円)の資金を調達した。理由は容易に理解できる。同社はキャンペーンページで次のように説明している。

Orbaという新しい楽器を体験してください。シンセサイザー、ルーパー、MIDIコントローラーで、誰でもすぐに音楽を作ることができます。Orbaのシンプルなデザインは、ゲームコントローラーとグレープフルーツの半切れを掛け合わせたような形で、指や手からのジェスチャーが軽やかな感度で音に生まれ変わります。これまで楽器を演奏したことがなくても、Orbaなら、どこでも音楽を作ることができる新しくて楽しい方法をご提供できます。

特に最後の言及が気になった。1月に私が見たほとんどのデバイスにはある種の基本レベルの音楽スキル要件があり、それは理解できるのだが、限られた能力しか持たない熱心な音楽愛好家としては、能力を超えて音楽を楽しめる何かを探していた。正直、ROLIのBlocksにかなり期待していたが、最終的にはその初心者向けのアピールが誇張されていることに気づいた。

筆者は1月からOrbaの発売時期をチェックしていた。COVID-19のシャットダウンがここニューヨークで本格的に始まったのを機にOrbaへの関心が一気に高まったのは、Tiger Kingの再視聴に頼らずに時間を過ごすには良い方法だと思ったからだ。当初は4月に発売予定であったが、創設者兼CEOのMike Butera(マイク・ブテーラ)氏によると、COVID-19や現在進行中の貿易戦争が計画の足を引っ張っているという。

「そうした状況でも、私たちは1万2000人以上のKickstarter支援者への出荷を今年の夏に開始し、今や全世界で95%出荷済みです。販売を開始した国では100%に達しています」と同氏は語る。「残りもすべて出荷準備に入っています」。

画像クレジット:Brian Heater

 

デバイスが届くまでしばらくかかったが、ついに手に入れ、今夢中になっているところだ。筆者の興味の持続が1〜2週間を超えるとは断言できないが、今それを深掘りしている。音楽のスキルは役に立つが必須条件ではない。学習曲線は驚くほど小さく、文字通り箱から出してすぐに使える。パソコン(USB-C経由)やスマートフォン(Bluetooth)に接続すれば、もちろんエクスペリエンスは向上するが、それも必須ではない。

この特徴的で小さなオブジェクトを簡単に言い表すとすれば、プログラム済みの小型MIDIコントローラーのようなもので、その場でループを重ねて曲を作ることができる。「グレープフルーツ」の例えはかなり適切で(特に柑橘系のシリコンカバーがあれば)、各「スライス」は楽器の異なる要素を表している。「リード」または「コード」モードでは、これらは概して異なる音符を表す。「ドラム」とは、キットやその他の打楽器に含まれるさまざまな部分のことだ。

大きな「A」を押すと、楽器の切り替え、BPM(テンポ)の調整、トラックの録音または再生が可能。一番簡単なアプローチは、ドラムでリズムトラックを作り(内蔵メトロノームにする)、その上にコードを重ねることだ。これが1日目にしてできる。BachやWendy Carlosとまではいかないが、全体像は掴むことができる。

このソフトウェアは現在曲の保存/エクスポートをサポートしておらず、これはとても残念だ。上記の録音は、再生中に楽器をマイクにかざすという非常にローファイで簡易的な形で行われる。他にもヘッドフォンジャックをオーディオアウトにするなどの方法はあるが、これが一番簡単な方法であった。この機能は説明書に記載されているが、アプリには備わっていない。ブテーラ氏によると、録音/共有機能はまもなく追加されるとのことである。

今のところ、このアプリは音を切り替えるのに適している。楽器ごとに約10のサウンドパックが存在し(かなりの重なりがある)、これはなかなか良いスタートではあるがほとんど電子的な印象から脱することなく、ドラムサウンドはアナログドラムキットというより808に近い。理にかなってはいる。繰り返しになるが、これはMIDIコントローラーであって、チェンバーオーケストラとは異なるものだ。

画像クレジット:Brian Heater

 

コード/リードは音階があるため、間違った音を出すことはない(少なくとも難しい)。Artiphonは、サウンドライブラリの拡張に取り組んでいる。ユーザーがライブラリに投稿できるようにする予定はないが、MIDIコントローラーとしてシステムを使用することで、ユーザー自身がサウンドを変更できるようになる。

現在のレベルのカスタマイズに若干不十分な点はある。しかし、これは小規模スタートアップの第1世代製品にはありがちなことだ。そして、正直なところ、最初は比較的シンプルにしておくべきである。プラスチックの小さな塊は、物理的な相互作用に関しては驚くほど万能であることも指摘しておく必要がある。「キー」はないが、同社は入力を変えるための巧妙な方法をいくつか追加した。慣れるまでには多少時間がかかり、時折意図しない結果が出ることもあるが、全体的に見て良い機能だ。

画像クレジット:Artiphon / Kickstarterからの画像引用

現時点では、Orbaを本格的な楽器として分類することは難しい。とはいえ、それが重要だとも思わない。次のFlying LotusやDan Deaconになるという幻想は持っていないが、99ドル(約1万円)のガジェットが、横になって息抜きをしたり、時間をつぶしたり、退屈な電話会議をしている間(もちろんミュートにして)に自分を満たしてくれることに楽しさを感じずにはいられない。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:音楽 レビュー ガジェット

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(翻訳:Dragonfly)

Spotifyがループ再生されるアートワーク「Canvas」のマーケットプレイスを開設

米国時間11月19日、Spotify2019年に買収したSoundBetterをベースに、アーティスト向けとしてCanvasのマーケットプレイスを開設すると発表した。Canvasはループ再生される短いビジュアルで、2019年に広く導入が開始された。通常のアルバムアートワークの代わりに、もっと注目を集めるビジュアルとしてテクノロジーを活用する試みだ。

2019年10月の記事で指摘したように(未訳記事)、この機能に対する当初の反応はさまざまだったが、Spotifyはユーザーのエンゲージメントに関する新しい数字をいくつか公表した。同社によれば、リスナーに以下の結果が見られるという。

  • 曲を共有する可能性が145%高い
  • ストリーミングを継続する可能性が5%高い
  • 曲を自分のプレイリストに追加する可能性が20%高い
  • そのミュージシャンのプロフィールページにアクセスする可能性が9%高い

マーケットプレイスの開設は、このテクノロジーを広く使ってもらうための施策の一環だ。マーケットプレイスでは、Kanye West(カニエ・ウェスト)からBillie Eillish(ビリー・アイリッシュ)といった人気ミュージシャンのビジュアルを制作してきたトップクラスのデザイナーにアクセスできる。また、世界中のさらに多くのミュージシャンにCanvasを提供していく予定だ。

同社は「CanvasはSpotifyだけのフォーマットなので、できるだけ簡単にミュージシャンがビジュアルデザイナーを見つけて、目を引くビジュアルを制作できるようにしたいと考えています。ミュージシャンはデザイナーを選んだら、曲調とクリエイティブのビジョンを詳しく共有します。するとデザイナーはそれを考慮して、ミュージシャンのニーズに合ううオリジナルのCanvasを作ります」と説明している。

一般にアーティストが報酬を得るのは、トータルで見ればおそらく良いことだ。しかし1曲あたり何百ドル(何万円)もかかるのでは高すぎる。ミュージシャンは、ストリーミングから得る報酬に関して直面している問題のバランスを考えなくてはならないだろう。ミュージシャンの実態やストリーミング数によっては、投資しても元がとれるかもしれない。

この種のコストはこれまではレコードレーベルが負担してきた(レーベルのスタッフに良いデザイナーがいなければ)。しかし最近の音楽業界はそのようにはなっていない。

関連記事:Spotifyが音楽制作マーケットプレイスのSoundBetterを買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽

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(翻訳:Kaori Koyama)

Bandcampのリモート音楽ライブはチケット収入の大半がミュージシャンのものに

ミュージシャンの人生も楽じゃない。ここ半年ほどは特に厳しい。スターと呼ばれるような人たち以外は、ライブやコンサートが主な収入源だが、いまではそれもできない。当分、できそうもない。

Bandcampは、ストリーミングの売上からわずかな金額を得ているような多くのアーティストにとって救世主のような存在だ。中でも人気の高いBandcamp Fridaysでは、毎月1週間の料金を設定している。​ミュージシャンがファンに遠隔演奏を提供する方法を模索している現在、​Bandcampはライブストリーミングをスタートさせる(Bandcampリリース)。

​Bandcampによるストリーミングサービスの提供は、十分に条件が整っている。まず1つには、同社はそのための好意を得ていること。もう1つは既存サービスとの統合により、ファンはコンサートの予定を通知を受けることができること。そしてライブの間、ミュージシャンのグッズが紹介され、演奏を楽しみながら購入することもできる。

セットアップの手順も非常に簡単で、ステージの上でアーティストがちょっとトークをしたくなったらオプションでチャットも用意されている。正直なところ最も魅力的なのは、経費が安上がりなことだろう。​ミュージシャンは自分たちで料金を設定するため、よくあるびっくりするような料金になることもない。Bandcampが受け取るのは10%だけで、しかも2021年3月まで無料だ。

​BandcampにはすでにClap Your Hands Say Yeah、Pedro the Lion、Cloud Nothingsといった有名インディーズバンドを起用している。​ストリーミング機能は米国時間11月17日から一般ユーザーに提供されている。

関連記事:Bandcampがアーティストを支援するイベントを継続開催

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bandcamp音楽

画像クレジット:Bandcamp

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

Sonosが月840円のストリーミングラジオサービスを米国と英国で開始

世界には音楽ストリーミングサービスが溢れている。しかしSonos(ソノス)はもう1つ登場させることを決めた。広告が入るSonos Radioの2020年4月の立ち上げに続き、同社はSonos Radio HDという講読料月7.99ドル(約840円)のプレミアム版を発表した。名称から察せられるように、これはSpotify(スポティファイ)やApple Music(アップルミュージック)のような本格的な音楽サービスというよりストリーミングラジオサービスだ。

また名称からもう1つわかることは、ビットレートが高いことだ。通常のラジオが128kbpsなのに対し、Sonos Radio HDは16bitでCDと同等の音質となる。広告が入らないプレミアム版ではまた、Sonos Radioではできない曲送りやリプレイに対応する。

Radio HDでのみ提供されるステーションもわずかながらある。Sonos RadioのThom Yorke(トム・ヨーク)、Brittany Howard(ブリタニー・ハワード)、Jack White(ジャック・ホワイト)、Ludwig Göransson(ルドウィグ・ゴランソン)のステーションに加え、Radio HDではDolly Parton(ドリー・パートン)のSongteller Radioが提供される。筆者が知る限り、みなドリー・パートンが好きなので、Radio HDで聞けるのはいいことだ。そしてアーティストがキュレートする別のステーションも今後投入されることになっている。

他にもいくつかのキュレートされたジャンルステーションや、リラックス、生産性、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ、雨、熱帯雨林、ピアノサウンドといった異なるムードに合わせたたくさんの「サウンドトラック」もある。

Sonosによると、オリジナルのSonos RadioはいまSonosスピーカーで利用されているストリーミングサービスの中で第4位という。これには無料であることが貢献しているのはまぎれもない事実だろう。さまざまな選択肢があるなかで、月8ドルというプレミアムサービスは苦戦するのではないと筆者は考えている。

同サービスは11月12日から米国と英国で利用でき、最初の1カ月は無料で試せる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Sonos音楽音楽ストリーミング

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(翻訳:Mizoguchi

アップルがミュージックビデオステーションサービス「Apple Music TV」を米国で開始

Apple(アップル)が音楽への投資を拡大している。米国時間10月19日、同社は「Apple Music TV」のサービスを米国で開始した。この新しいミュージックビデオステーションでは人気のミュージックビデオのほか、独占のビデオプレミア、厳選したミュージックビデオ特集、ライブ番組、ファンイベント、カウントダウンチャート、ゲスト出演などの音楽コンテンツが24時間ライブ配信され、無料で視聴できる。

このサービス専用のアプリはなく、2つの既存エンターテインメントアプリの新機能として提供される。リリース時点では、アップルのミュージックアプリとTVアプリの「ブラウズ」タブでApple Music TVを見ることができる。apple.co/AppleMusicTVからもアクセスできる。

Apple Musicは有料のサブスクリプションサービスだが、Apple Music TVは米国内のユーザーに無料で提供するとアップルは述べている。

サービス開始の10月19日には、米国のデータに基づいてApple Musicの全曲からこれまでにストリーミングされた回数の多い曲、トップ100のカウントダウンがApple Music TVで配信された。

この新しいサービスをざっと試してみたところ、検閲はかかっていなくて広告もないが、かなり簡素なエクスペリエンスだった。ビデオストリームでは曲の開始時にアーティストと曲の情報が表示され、曲の再生中ずっと表示されるわけではなかった。Apple Musicとの統合もなく、曲をお気に入りにしたりプレイリストに追加したりといった有料サブスクリプション利用者向けの機能はなかった。

ミュージックアプリを閉じると再生は停止した。バックグラウンド再生には対応していなかった。

画像クレジット:Apple

自分が見ているコンテンツをソーシャルメディアに投稿するツールも画面に表示されていない。3点アイコンのメニューから共有ボタンを見つける必要がある。ここからリンクをツイートできるが、アーティスト名や曲名などのテキストやハッシュタグがあらかじめ入力されているわけではない。

ライブストリームの再生を停止した直後は続きを再生できる。しかし少し経つとストリームが切断され、一時停止したミュージックビデオのサムネイルはApple Music TVの画像のプレースホルダに戻る。ライブ再生中はテキストとアイコンが赤色で表示される。切断されるとその目印として白色に戻る。

シンプルではあるが、Apple Music TVは何年分にもわたる独占インタビューやコンサート映像などの音楽関連のオリジナルコンテンツをアップルが配信する新たな場だ。アップルにとっては、ファンにリーチする新たなプラットフォームとしてプレミア配信をアーティストと交渉できるという利点もある。プレミアそのものだけではなく、新譜のプロモーションに備えて次のリリースまでの間に配信時間を提供すると交渉することもできる。

この新しいステーションではApple Music 1(以前のBeats 1)ラジオステーションで制作されたコンテンツも、こうしたプロモーションの一環として活用される。

例えば米国時間10月22日(木)に、Apple Music TVはBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)の新曲「Letter to You」のプロモーションとして、ヒット曲のミュージックビデオ特集に加え、Zane Lowe(ゼイン・ロウ)による独占インタビューやファンイベントのスペシャルライブストリームを配信する。

アップルによれば、Apple Music 1では今後ライブストリームステーションの専用コンテンツは制作しない。その代わりにApple Music 1は、Apple Music 1、Apple Music Country、Apple Music Hitsのラジオステーションですでに制作したビデオコンテンツをApple Music TVのインタースティシャルコンテンツとして配信するという。

金曜日は新しい音楽を取り上げる日だ。米国太平洋時間10月23日午前9時から、Apple Music TVで独占ビデオプレミアが2本紹介される。Joji(ジョージ)の「777」とSAINt JHN(セイント・ジョン)の「Gorgeous」だ。

Apple Music TVの最大の強みはもちろん、膨大な数のアップル製デバイスオーナーに思いのままにアクセスできることだ。

しかし、グループチャットやクリエイターとの直接のやりとりなど、他のライブストリームのファンイベントやプレミアにある魅力的な機能が欠けているため、人気集めには苦労するかもしれない。

今どきのアーティストはYouTubeやVEVO、最近では2020年にミュージックビデオのサービスを開始したFacebook(未訳記事)などのオンラインサービスでファンとつながりアルバムのプロモーションをしているが、Apple Music TVはむしろMTVのような従来型のテレビ放送に似ている。

アップルは米国以外でのApple Music TVの展開について明らかにしていない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApple Music TV音楽

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Kaori Koyama)