2機種目の5Gスマホ「OnePlus 7T Pro McLaren Edition」はT-Mobile専用に

OnePlus(ワンプラス)の5G戦略は、徐々に新機能を採用する傾向にあった同社とって変化の兆しとなる。今夏のOnePlus 7 Pro 5Gの登場に続いて、OnePlusは米国市場向けに2機種目の5Gデバイスを発表した。

今回は、長年のパートナーキャリアであるT-Mobile(Tモバイル)を選んだ。なお、この米国第3位の携帯キャリアは、第4位と入れ替わるかもしれない。しかし現在のところ、OnePlus 7T Pro McLaren Edition(マクラーレン・エディション)は米国ではT-Mobileの独占販売となる。

なお、OnePlus 7T Proと新しいマクラーレン・エディションは非常によく似ているが、後者はより派手なカラーデザインを採用し、12GBの大容量メモリーなど豪華なスペックだ。

マクラーレン・エディションに加えてT-Mobileにはすでに発表された(まだ発売されていないが)、5GをサポートするGalaxy Note10 Plus 5Gも存在する。T-Mobileの5Gの展開状況については、同社は「年内に米国内の2億人をカバーする」と約束している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Nvidiaが5Gの波に乗るべく新たな提携とソフトウェア開発ツールキットを発表

Nvidiaは米国ロサンゼルスで行われている今年のMobile World Congress(モバイルワールドコングレス)で、将来のソフトウェアベースの5Gネットワークは同社のチップセットが主役になると売り込んだ。

一連の新しいソフトウェア開発ツールの提供したほか、米国時間10月21日に発表されたネットワーキングのためのEricsson(エリクソン)、クラウドコンピューティングのためのMicrosoft(マイクロソフト)、Kubernetesの専門知識のためのRed Hat(レッドハット)と提携した。Nividiaは通信会社に対して、同社のチップセットは5Gネットワークで可能になるさまざまな新サービスを実現するための最適な基盤になると語った。

5Gアンテナを効果的に使うためにはかなりの数を遍在させる必要があるので、先陣を切ることはチップメーカーにとって非常に重要だ。それを支えるのが、5Gネットワークの「ネットスライシング」(通信会社がセッション毎に容量を増減できる機能)を通信会社が効果的に活用するためのソフトウェア開発ツールキットを提供することがだ。

NvidiaのCEO Jensen Huang(ジェンセン・ファン)氏はコンベンション前の機長講演で、同社のチップセットと新しいソフトウェアを5Gネットワークに組み込むことで、通信会社は新たなサービスを動的に追加することができるようになると語った。同社はCUDA Virtual Network FunctionとCUDA Basebandという2種類のソフトウェア開発キットを開発した。

また、Nvidiaが以前発表したEGXスタックの上で実行されるAerialソフトウェア開発キットは、Kubernetesの新しいコンテナ化ソフトウェア開発パラダイムとともに動作する。

NvidiaのEriccsonとの「協業」はもうひとつの新たな試みだ。Ericssonと組むことによって、Nvidiaは無線エリアネットワークアーキテクチャーをバーチャル化して、低価格、スケーラブルでエネルギー効率のよいネットワークング技術を構築しようとしている。

「Nvidiaとの提携によって、我々は無線アクセスネットワーク全体をバーチャル化する代替ツールを提供するつもりだ」とEricssonの執行副社長でネットワーク責任者のFredrik Jejdling(フレドリク・ジェドリング)氏が語った。

もう1社のパートナーはマイクロソフトで、クラウドサービスのAzureと、Nvidiaのハードウェア、EGZXやビデオ分析ツールのMetropolisとこれまで以上に密に統合する。

「コンピューティングがあらゆる場所に組み込まれている世界では、クラウドからエッジまでカバーする分散コンピューティング基盤が必要になる」とMicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ラデラ)氏が声明で語った。Nvidiaはエッジコンピューティングをマイクロソフトはクラウドサービスを提供する。

クラウドサービスとの密な連携は、自社ネットワーキングサービスを補完するハードウェア会社を探している通信会社に、Nvidiaのハードウェアとソフトウェアツールをアピールするひとつの方法だ。Nividiaのチップセットがデベロッパード相性がいいことを強調することも必要だ。

それを遂行するために、同社はさらにRedHatと組み、新しく発表したNvidia Aerialソフトウェア開発キットを通じて、データセンターや通信基盤のKubernetes採用が加速されることを期待している。

「業界は益々5Gを推進し『スマート・エブリシング』の革命は始まっている。何十億というセンサーとデバイスが世界中に散らばり、新しいアプリケーションとサービスの可能性を生み出している」とファン氏は言った。「我々ばRed Hatと共同で、クラウドネイティブでスケーラビリティーに優れた高性能なGPUコンピューティング・インフラストラクチャーを構築している。NVIDIA EGX Edge Supercomputing Platformを使うことで、スマートフォン革命と同じく、新時代のアプリケーションが次々と出てくるだろう」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HTCの新しいCEOはスマートフォンの革新を怠っていたことを認めた

数カ月前のことだが、私たちはHTCの共同設立者でCEOのCher Wang(シェール・ワン、王雪紅)氏をTechCrunch Disruptのステージに招待した。しかし、人生がどうなるかはわからない。2週間前、同社はワン氏がその役職を辞任することを発表した。なお、その役職は、通信業界で長い経験を持つYves Maitres(イヴ・メイタース)氏によってすぐに引き継がれる。ありがたいことに、元Orangeの幹部だったメイタース氏も、先週のイベントのステージへの登壇を承諾してくれた。

メイタース氏は、OnePlusの共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ、裴宇)氏の直後に登壇した。両社のコントラストはこれ以上ないほどに際立っていた。創業6年という短い期間で、OnePlusは幅広い業界のスマートフォンのトレンドに逆らいながらも、安定した成長を遂げることに成功した。

一方HTCは、何年も苦しみ続けてきた。第2四半期には、この台湾のハードウェアメーカーは5期連続の四半期損失を計上した。7月には、スタッフの約4分の1を解雇している。それは急速な落ち込みだった。アナリストの数字によれば、2011年には同社は世界のスマートフォン販売の約11%を占めていた。だが現在、その数字は通常そうしたレポートの中で「その他」に分類されるようになっている。

このようなイベントでメイタース氏に話を聞くことは、外部から何年も新しい会社を観察してきた新任幹部としての洞察を知ることができる、貴重な機会である。このようなことから、彼はHTCの苦労についてさっぱりとした率直さで語った。

「HTCはスマートフォンのハードウェアの革新を中断していました」と彼は聴衆に語りかけた。「そして、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)、そして最近ではHuawei(ファーウェイ)が、そのハードウェアへの投資に信じられないほどの労力をつぎ込んできました。だが私たちはそうしませんでした。なぜなら、私たちは仮想現実の革新に投資してきたからです。

私が若かったとき、誰かがこう言いました「間違っているときに正しいことをしてもそれは間違っているし、正しいときに間違えることは正しいことなのだ」と。私は、私たちが間違っているときに正しいことをしていたと思っています。なので私たちはそれを巻き返さなければなりません。タイミングを間違えたのです。タイミングを予測することは非常に難しいことです。HTCはタイミングという点でミスを犯しました。それは重大な間違いで、私たちはその代償をいま払っています。それでも私たちは革新、人材、そして貸借対照表という意味ではまだ多くの資産を抱えています。そして私は、タイミングの間違いから回復している途中だと思っています」。

ここで「タイミングの間違い」と言及されているのは主に、R&D資金の大部分をXR、主にVive部門を通じてVRに投じるとした同社の決定だ。メイタース氏は、HTCのXR製品がモバイルを追い越すのには、およそ5年かかると予測していると語った。

「それをより短くするために最善を尽くしますが、そのためにはお客様による採用がカギとなります」と彼は説明した。「人びとがどのようにテクノロジーをどのように採用していくのか。私たちは、それが絶対的に重要であることを知っています。そして最終的に私たちは、まったく新しくて珍しい、仮想的なものを扱う、目の前の人間たちを相手にすることになるのです」。

モバイル側では、メイタース氏は5Gが成長の主なボトルネックだと考えている。同社が最高に活躍できるのは発展途上国であるという意見に反して、彼はこの先のHTCの活動は「GDPの高い国」に焦点を当てた、より高級な携帯電話に向けたものになると述べた。

「競争は変化しています」と彼は言う。「私たちは皆、世界的な市場シェアが低下している状況に直面していて、顧客の方々はこの先最新のファーウェイの電話を持てないことに失望しています。HTCが今後数カ月で解決していくクラス最高のハードウェアと写真という観点から、どのようにお客様が望むものをご提供できるかが私たちの課題です」。

この先の数字はHTCの取締役会による決定に大きく依存するものの、メイタース氏自身は会社の収益性の回復に関しては楽観的な予測を続けている。

「私は本当に、キャリアが5Gを展開するやり方に、この先が左右されるだろうと考えています」と彼は言う。「ご存知のように、2020年が5Gの出発点になるでしょう。通常ネットワークの展開には2年かかります。なので2023年には広い範囲がカバーされることになるでしょう。これが、2025年が、おそらくはもっと早い時期が、転換点になるだろうと私が信じている理由です。キャリアの展開速度に依存しているのです」。

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(翻訳:sako)

Verizonがニューヨーク市の一部で5Gを提供開始

今秋Verizon(ベライゾン)は、ニューヨーク市の一部とパナマシティーとボイシで同社の5Gネットワークの稼働を開始すると発表した。これで、TechCrunchの親会社でもあるキャリアの次世代ネットワークを経験できる都市は13都市になった。

ここニューヨーク市では、5つの区のうち3つで5Gが使えることになった。ぼくが住んでるクイーンズ区はまだだが、マンハッタンとブルックリンのダウンタウン部分は当然ながら最初にやってきた。以下は、Verizonが発表している内訳だ、

  • マンハッタン:ミッドタウン、金融街、ハーレム、イーストハーレム、ヘルズキッチン、ワシントンハイツ
  • ブルックリン:ダウンタウン・ブルックリン
  • ブロンクス:ペラム湾、フォーダムハイツ、ハンツ・ポイント
  • ランドマーク周辺:ブライアント公園、セントパトリック大聖堂、マディソンスクエアガーデン、トリニティーパーク(ブルックリン)、リンカントンネル(マンハッタン側入り口)、ジャヴィッツ・センター(11番街〜36/37番街)、ブロードウェイ49-52番街の劇場地区

パナマシティーもボイシも特定地区のみだ。8月にAT&Tはニューヨークで限定的な5Gサービスを開始した。そのとき数日5G機を持ち歩いたが、LTEの最初のころを思い出した。5Gのマーカーが、すごく意外な場所で一瞬画面に現れるのだ。

もちろんもっと供用域が広くないと料金を払う価値はないだろう。Verizonは年内に米国30の都市で部分的にサービスを提供することを表明している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ベライゾンが5Gの屋内到達対策としてBoingoのWi-Fiネットワークを利用

5Gの普及には時間がかかることは、みんなが前から知っている。でも、キャリアたちの実装着手が始まった今では、もっと具体的な問題が彼らを悩ましている。最大の問題の1つが、屋内における性能劣化だ。そう、それは、私たちの多く一番多くの時間を過ごす場所だ。

Verizon(ベライゾン)はこの問題を、Boingo(ボインゴ)とのパートナーシップで解決しようとしている。空港でWi-Fiを使おうとしたことのある人なら、この社名をご存知だろう。キャリアのVerizonはたまたまTechCrunchの親会社だが、このワイヤレスプロバイダーと組むことによって、スタジアムやオフィス、ホテル、そしてさっき挙げた空港など、5Gが届きにくい場所をカバーできるとしている。

同社は「VerizonはBoingoと協力して、大小さまざまな屋内スペースを5Gの到達圏域にできるための超高密度なネットワークを構築していく」とコメントしている。

しかし、いつ正式運用になるのかなど疑問は数多くある。Verizonがすでに5Gの提供を始めている都市から始まるのかもしれない。それはすでに10都市あり、大都市圏のフェニックスも入っている。実際には5G特有の制約があり、当初の供用地域は以下に限られている。

当初Verizon 5G Ultra Widebandサービスの供用地域は、フェニックス市中心部のいくつかのよく知られたランドマーク、すなわちPhoenix Convention Center(フェニックスコンベンションセンター)、Talking Stick Resort Arena(トーキング・スティック・リゾート・アリーナ)、The Orpheum Theatre(オルフェルム劇場)、CityScape(フェニックスシティスケープ)、およびChase Field(チェイスフィールド)球場の周辺に限定される。今後は、テンペ市のアリゾナ州立大学キャンパスでも利用できる。

米国時間8月23日、VerizonはGalaxy Note 10+ 5Gを期間限定で5Gデバイスの仲間に加える。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AT&Tが限定的5Gサービスをニューヨーク市の一部で提供

Verizon(ベライゾン)とSprint(スプリント)は、米国最大の都市での5Gサービスを提供すると約束している。しかしAT&Tは今朝、ちょうどそれを始めたと発表した。加入者数で米国最大となる同キャリアは、ニューヨーク市での限定的な5Gサービスを開始したのである。

このサービスはローンチ時点ではビジネスユーザーに限定されており、さらに地域を限定したものとなる。もしあなたがニューヨークの五区に住んでいなければ、5Gスマートフォンを購入してはいけない。

ポジティブな面として、5G+は本物のサービスで、その前に登場した5GEとは異なる。そしてAT&Tは、サービス展開の制限に関する性質について、それなりの透明性を維持している。

AT&Tのニューヨーク担当社長のAmy Kramer(アーミー・カラマー)氏はプレスリリースにて、「ニューヨーク市は人口密度が高く、世界的ビジネスとエンターテイメントのハブで、5Gへのアクセスを持つことで大きな利益を得ることになり、サービス開始を長らく待っていた」と述べている。「当初のニューヨークでのサービスは限定的なものだが、今後はニューヨーク市と密接に連携して5区のより多くの市民にサービスを拡大していく」

CNETによると、このサービスは当面はマンハッタンの小さな一部地域に限定され、「イーストビレッジ、グリニッジビレッジ、グラマシーパーク」が含まれる。ビジネスユーザーはSamsung(サムスン)のGalaxy S10 5GとAT&TのBusiness Unlimited Preferredプランで5Gサービスを利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iPhoneの四半期売上が鈍るもウェアラブルは順調に伸びる


予想どおり、米国時間7月30日に発表されたApple(アップル)の第3四半期決算で、ハードウェアの売上に関する数字は悲喜こもごものものとなった。Appleは、引き続き、そのリソースの多くをサービスとコンテンツにシフトし続けている。

現にApple TV+には10億ドル(約1085億円)も注ぎ込んでいる。とはいえ、iPhoneの販売台数は減っているものの、ハードウェア面ですべての状況が芳しくないというわけではない。

ウェアラブルが顕著に大きく伸びているのだ。この部門の当四半期の売上は、前年同期の37億ドル(約4016億円)から55億ドル(約5970億円)に増進している。これには、新しいAirPodsの登場が少なからず貢献している。ワイヤレスの充電機能を備えながら、AirPowerという充電用のパッドが発売前にキャンセルされてしまったモデルだ。

「ウェアラブル部門は非常に好調です」と、ティム・クック氏は今回の発表で語った。「他の人が、おそらくあきらめかけたときでも、私たちはそれに注力し続けてきました」。

AppleのCFOであるLuca Maestri(ルカ・マエストリ)氏は、ウェアラブル部門の収益だけでも、フォーチュン200社に含まれる企業1社分の収益に相当するだろうと指摘している。

一方、iPadの売上は前年同期に比べて8%増えている。Macの売上も11%増加した。そして同社が最も注力しているサービス部門は、13%の増加だった。

「これは、第3四半期としては、これまでで最高の結果です。サービス部門の過去最高の記録的な収益と、ウェアラブル部門のさらに加速しつつある伸び、iPadとMacの力強い売上、さらにはiPhoneを取り巻く動向の改善によるものです」と、クック氏は今回の発表を含むプレスリリースで述べている。「こうした結果は、当社のすべての地理的なセグメントにわたって有望なものであり、今後の展望についても自信を持っています。カレンダー年での2019年の収支は、当社のすべてのプラットフォームにおいて、新しいサービス、いくつかの新製品が登場することにより、ワクワクするようなものとなるはずです」。

現時点では、iPhoneに関する楽観的な見方は、一般的なものとは言えない。iPhoneの売上高は、この四半期には前年同期に比べて減少しているからだ。具体的には、2018年の第3期には295億ドル(約3兆2022億円)だったものが、2019年第3期には259億ドル(約2兆8114億円)になっている。この結果iPhoneは、カテゴリーとしてAppleの全収益の50%を切ることになってしまった。過去何期かの四半期は、世界市場の全体的な停滞に、中国での予想よりも低い売上が追い打ちをかけ、iPhoneの売上は減少傾向にある。

これはつまるところ、中国の経済成長の鈍化の結果なのだ。実際のところ、Huawei(ファーウェイ)を除いて、中国での動向に抵抗できるようなメーカーはほとんどなかった。ところが、この難問を抱えたスマホ最大手のAppleも、米国内での売上は上昇している。それは、果敢な価格戦略が功奏したのと、海外で政治的な逆風にさらされてる同社に対して、愛国心からの購入の機運が高まったからだろう。

関連記事:アップル4〜6月期決算はサービス部門が前年同期比13%増の1.24兆円、予想は下回る

今回の発表で、クック氏は中国に関しては、楽観的になるだけの兆候がいくつか見られると述べた。「私たちの大中華圏での業績については、少し補足させていただきたいと思います。会計年度で2019年の上半期と比べて、大幅な改善が見られています。為替変動分を除けば、成長路線に戻っているのです。私たちは、中国でのiPhoneのビジネスに関して、過去2期の四半期と比較して、明らかに良い前年比の数字を得ています。そして、すべてのカテゴリーにおいて、パフォーマンスは継続的に向上しているのです」。

もちろんAppleは、今年後半には新しいiPhoneを発表する予定だ。ただし、それらの新製品が、売り上げを伸ばすのに十分な効果を発揮するかどうかはまだわからない。5Gは今後1年間で、スマートフォンの売上を増進するための重要なファクターとなることが予想されている。しかしAppleは、2020年まで、5Gを提供することはないとされている。

同社は最近、Intelのモデム部門を買収することも明らかにした。より多くのコンポーネントを自前で製造するためだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ファーウェイ初の5Gスマホが来月中国でリリース

Huawei(ファーウェイ)は米国時間7月26日、初の5Gスマートフォンを中国市場で発売することを発表した。英国でのデビューに続き、Huawei Mate 20 Xは現在予約を受付中で、中国での発売は8月16日を予定している。

2月に開催されたMWC(モバイル・ワールド・コングレス)でデビューした折り畳みスマートフォン「Mate X」よりも、Mate 20 Xは早く発売されている。ようやく先週におおよその発売日が決定したSamsung(サムスン)のGalaxy Foldの混乱をみれば、企業が折りたたみスマートフォンのリリースについて慎重になるのは当然だ。

China Mobileは先月末、ファーウェイの機器を利用した5G通信ネットワークを稼働させ、10月には商業サービスを展開する予定だ。また6月には、China TelecomとChina Unicomも商用5Gネットワークのライセンスをいくらかの遅れの後に取得した。先週には、ZTEのAxon 10 Pro 5Gも中国で先行販売された。

ただしサービスが展開されるまでは、5Gスマートフォンの購入者は古いネットワークに頼らざるを得ず、米国と中国の貿易戦争の影響をうける。安全保障上の懸念からファーウェイとZTEの両方が国際的に、特に北米において標的となっている。

報道によれば、ファーウェイは米国における排除を受けて、ハードウェアとソフトウェアの内製率を大きく向上させようとしている。注目すべきは、ARMベースのKunpengサーバーチップを中心としたエコシステムの構築に、4億3600億ドル(約470億円)を投資したことだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

2020年のiPhoneは3モデルすべて5Gサポートか

アップル関連の噂に強いMing-Chi Kuo(ミン・チー・クオ)氏が「2020年に発売される3種類のiPhoneはすべて5Gをサポートする」と予測するレポートを発表した。郭氏はTF International(天風国際証券)のアナリストで、これまで数々の予測を的中させた実績がある。これ以前にクオ氏は「2020年のiPhone各モデルはサイズが新しくなり、OLEDディスプレイの5.4インチ、 6.7インチのハイエンドモデル、同じく OLED採用の6.1インチ標準モデルの3種類が準備されている」とするレポートを書いている。

クオ氏は以前のレポートでは3モデルのiPhoneのうち「2種類のみが5Gをサポートする」と予測していた。しかし今回のレポートでは高機能のAndroidが市場に氾濫しつつあることにより、Appleはすべての新モデルで5Gをサポートすることで対抗することにしたと述べている。また同氏はApple(アップル)がIntel(インテル)のモバイルモデムチップ事業を買収したことにより、5G化を助ける大きなリソースを手にしたことを認めている。

MacRumorsにリークされたクオ氏の投資家向けレポートにはこう述べられている。

2020年のiPhoneは3機種すべてが5Gをサポートするものと考えている。その理由は以下のとおりだ。

  1. Intelのモバイル通信の基盤技術を買収したことにより、Appleは今や5G化のために以前よりはるかに豊富なリソースを得た。
  2. 我々は2020年に5GをサポートするAndroidスマートフォンの価格が249ドから349ドル程度に下落するものと予測している。この価格帯もAndroidはSub-6GHz(6GHz未満の帯域)のみサポートすると考えられる。しかし重要なポイントは2020年には消費者がスマートフォンに5G機能を必須と考えるようになることだ。そうであればはるかに高価格なiPhoneはどうしても5Gをサポートして消費者だけでなく、キャリアの関心を引きつける必要がある。
  3. 5G化はAppleのARエコシステムの拡大にプラスに働く。

クオ氏のレポートは、2020年のiPhoneはすべての米国向けモデルがmmWave(ミリ波)とSub-6GHzの周波数帯域をサポートすると述べている。これらは5Gを実現する2つの異なった規格だ。AppleがSub-6GHzのみサポートする(従って価格が安い)5G iPhoneを中国市場向けに投入するかどうかは今のところ不明だ。

mmWaveは最速の5Gと期待されており、電波が輻輳する都市エリアには向いている。しかし、ミリ波は直進性が高く光に近い特性のため、モバイル接続に用いるには高度なテクノロジーが必要だ。都市部以外の地域ではsub-6GHzと呼ばれる周波数がもっと低い帯域が用いられるものと考えられる。いずれの規格も現在の4G接続より高速だが、ミリ波帯が最速だ。

Appleは2020年の5G iPhone各モデルではQualcomm(クアルコム)のモデムチップを利用する。ただしIntelのモデムチップ事業を買収したことにより2021年モデルでは独自の製品を採用することになると予想されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

全米のブロードバンド普及率の低さを5Gで解消できるか

ここ数年、ブロードバンドのインターネットは、水道や都市ガスのような社会インフラと見なされるべきものであると、多くの人が指摘してきた。ネットにつながっていることは、生活のほとんどあらゆる面で不可欠なこととなっている。ところが、最近の報告によると、米国内では、高速接続が、一般に考えられているほど普及していないようだ。

最新のRural America and Technology(アメリカの田舎とテクノロジー)という調査では、NPDは米国の家庭の31%がブロードバンド(ダウンロード速度が25Mbps以上)のインターネット接続を備えていないと指摘している。調査対象となったのは約1億世帯だ。当然ながら、ブロードバンドを備えていない世帯は田舎に集中している。そこでは、ブロードバンド接続があるのは人口の5分の1未満に過ぎない。

ブロードバンド接続は、ほんの少し前まで贅沢なものと見なされていた。それが急速に仕事から健康、そして娯楽まで、現代の生活には不可欠なものとなってきた。このように都市と田舎で、テクノロジーへのアクセスが偏ることは、アナリストが言う「デジタルデバイド」の最たるものとなっている。そして、ここで言う「田舎」は、米国の国土の面積のほぼ97%を占めているのだ。

この報告の明るい側面は、5Gの普及が、こうした数字に根本的な変化をもたらす可能性を指摘していること。「5Gが展開されてくれば、米国の田舎に大きな影響を及ぼすでしょう。ブロードバンドのキャリア市場の限界を打破し、これまではアクセスできなかった世帯にも、ブロードバンドを届けることができるようになるはずです」と、NPDのEddie Hold氏は、報告に添えられた声明の中で述べている。「製造業者や小売業者にとっては、最新のデバイスを導入することで、新たな消費者を獲得する機会を得ることになるはずです」。

ただし、これまでの5Gの普及の速度と、カバーエリアの狭さ、さらには第1世代の5Gデバイスの価格の高さを考えると、こうしたことが実現するまでには、まだ数年はかかりそうな気がする。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルがインテルのモバイル向けモデムチップ事業を約1000億円超で買収

TechCrunchはApple(アップル)がIntel(インテル)のモデム事業部の支配権を握る契約を結んだことを確認した。価格は10億ドル(約1087億円)前後で、知的所有権、製造設備、リース物件、社員の全てを含む。特に社員は 2200人全員がAppleに加わる。この契約により、Intelが保有していた分を加わることができたためAppleが保有するワイヤレステクノロジー関係の特許は1万7000件以上になる。

Appleのシニア・バイス・プレジデントであるJohny Srouji(ジョニー・スロージ)氏はプレスリリースで以下のようにコメントしている。

我々は長年にわたってIntelと協力関係にあった。消費者に世界で最高の体験を届けようとするAppleの情熱をチームは分かち合い、チームは一丸となってテクノロジーの進展に努めてきた。我々のセルラーテクノロジーグループは、買収より多数の優秀なエンジニアを迎え入れ、大きく成長する。Appleのクリエイティブかつダイナミックな企業文化は元Intelのエンジニアが活躍するのにふさわしいものと確信する。今回の買収により、我々はイノベーションの基礎となるべき重要な知的所有権を多数入手した。これは今後のApple製品の開発に大きく寄与するだろう。Appleの製品の差別化はさらに進む。

契約の締結発表はTechCrunchでも報じたとおり、しばらく前から流れていた情報が事実だったことを確認するものとなった。AppleがIntelのワイヤレスモデム事業を入手しようとした背景としてQualcomm(クアルコム)との関係がここ数年緊張したものになっていたことを考える必要がある。AppleはQualcommが設定したライセンス料金が高すぎるとして訴訟を起こした。両社はこの4月に和解し訴訟を終結させたものの、AppleはスマートフォンのモデムチップでQualcommに縛られることを強く嫌った。

この買収は Appleは2020年中にもスタートするはずのモバイルネットワークの5G化に向けた準備の一環だと見られている。5GテクノロジーはIntelとQualcommが二分しているが、Intelはこの10年間のスマートフォンブームに出遅れた感があり、5GソリューションではQualcommにやや劣るものと見られている。

Appleは最近デバイスのパーツをすべて内製しようとする攻勢を強めているが、今回買収もこの動きと整合する。CEOのティム・クック氏は10年前に内製化の方向を打ち出していた。クック氏は声明で「我々はプロダクトに使用される主要なテクノロジーを所有し、あるいはコントロールを握っておく必要があると考える。我々は自ら大きな貢献ができる分野にのみ進出すべきだ」と述べている。

今回の契約ではスマートフォン向け以外のモデム・テクノロジーを独自に開発しり権利をIntelは引き続き保持する。つまり各種のパソコン、IoTといったハードウェアだ。これには自動運転車も含まれる。IntelのCEOであるRobert Holmes Swan(ボブ・スワン)氏はプレスリリースで次のようにコメントしている。

今回の合意により、我々はさらに効果的に5Gネットワークの開発に注力することができるようになった。Intelが長年にわたって開発してきたモデムテクノロジーと知的財産を利用する権利は引き続き保持される。我々は以前からApple深い敬意を払ってきた。移籍するエンジニアにとってAppleは最良の舞台を提供するものと信じる。ネットワークのキャリア、接続プロバイダ、クラウド事業者などが必要とするテレコム機器の開発、製造に用いられるモデムチップを始め、Intelは引き続き消費者がもっとも必要とするワイヤレステクノロジーを提供し、5Gネットワークの実現に向けて全力を挙げていく。

この後、司法省の反トラスト法に基づくものなど規制当局の審査が行われるが、Appleでは第4四半期中にこの買収手続きを完了できると考えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

5Gスマホ世界出荷台数の4G超えは2023年に、アナリストが予測

数年間の構築の後、次世代通信こと5Gがついに登場した。もちろん、その普及には時間がかかる。また通信事業者は、年末までの数十都市へのエリア展開を予定している。ハードウェアに関しては、キャリアにもよるが1〜3台ほどのスマートフォンの選択肢がある。

5Gは世界的に次の重要なモバイルトレンドだとみなされているが、一夜にして実現するわけではない。Canalysのレポートによれば、2023年が重要な転換時期となり、5Gスマートフォンの出荷台数が4Gスマートフォンのそれを超えるという。これは、2019年の出荷台数をくわえて5年分の計算になる。もちろん、これは世界での出荷台数の話で、地域によって状況は異なるはずだ。

 

 

予測によれば、5Gスマートフォンの出荷台数は2023年に8億台に到達し、世界の年間スマートフォン出荷台数の51.4%に相当する。これにより、最初の5Gスマートフォンが今年発売されて以来の合計出荷台数は19億台に到達する。なおその割合は、北米が18.8%で中華圏が34%となる。

中国は2011年にアメリカを追い越して以来、最大のスマートフォン市場へと成長した。中国経済はハイエンドスマートフォン市場とともに減速しているが、5Gレースにおいても重要な役割を果たすだろう。

Canalysのモバイル部門のVPを務めるNicole Peng氏は、「5Gスマートフォンは政府の技術的な後押しと事業者の財政能力のおかげで、中国において急速に普及するだろう」と伝えている。「中国には5G機器のサプライヤーとスマートフォンベンダーも数多く存在し、今後数年にわたって積極的なマーケティングの後押しを担当するはずだ」

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ファーウェイ苦境の最中に中国が初の5Gライセンスを認可

以前から予測されていたように、中国は米国時間6月6日に初めて商業向け5Gライセンスが認可される企業を指名した。

2018年には世界の通信機器の売り上げの30%近くを占めた中国企業のHuawei(ファーウェイ)が、セキュリティ上の潜在的な懸念により西側諸国で監視の目が厳しくなる中、中国の通信当局となる中華人民共和国工業情報化部(MIIT)からこのニュースは発表された。

この認可は、2019年後半になると予測されていた中国の5Gライセンスのスケジュールを数カ月前倒ししたものだ。この加速は、すでに商業サービスを開始しているアメリカ韓国との5G産業競争に向けた、中国の野心を明確に示している。

MIITは、China Telecom(チャイナテレコム)、China Mobile(チャイナモバイル)、China Unicom(チャイナ・ユニコム)とケーブルテレビ局のChina Broadcasting Networkに、次世代の携帯ネットワーク事業を認めた。

なお、ネットーワーク機器メーカーやスマートフォンメーカー、チップメーカーやアプリ開発者を含む、5G業界のプレーヤーも準備を進めている。ここ数ヶ月、Samsung(サムスン)やOPPO(オッポ)、Xiaomi(シャオミ)、ファーウェイは5G対応スマートフォンの計画を発表している。

一方、ネット業界大手のTencent(テンセント)はIntel(インテル)とともにクラウドベースのゲームサービスを密かにテストしており、Netflix(ネットフリックス)にも似たiQiyiはチャイナテレコムとVR(仮想現実)プロダクトに取り組んでいる。これらは、5Gに対応し低レイテンシかつ広帯域なネットワークを利用する数多くのアプリケーションのうちの2つに過ぎない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国で商用5Gライセンスが近日認可へ

今日では広く知られている方法だが、中国の公式声明は短いものほど重要だ。米国時間6月3日、中国の電気通信当局となる中華人民共和国工業情報化部は短い声明にて、「近日中に商用5Gライセンスを認める」と発表した。

これは、中国共産党の機関紙こと人民日報が伝えたものだ。4カ月前にTechCrunchは、中国が商用次世代モバイル通信の導入を急いでいることを伝えた。これは、同国の5G開発で重要な役割を果たすファーウェイ(Huawei)が、米国による西側諸国へとその技術を使わないようにと圧力をかけていた最中のことであった。

トランプ政権が米企業との取引を禁止した数週間後、ファーウェイは海底ケーブル会社の株式の過半数を売却している。

そしてファーウェイは、他の同盟国を見つけようとしている。ちょうど先週、同社は5G研究室を韓国に開設したが、そのイベントは控えめなものだった。ロイターによれば、これは韓国がアメリカの同盟国だからだ。

Counterpoint Researchでリサーチディレクターを務めるNeil Shah氏が以前TechCrunchに伝えたところによれば、中国における5Gライセンスの認可は国内経済を加速させ、「5G技術を利用してデバイスや自動車、製造業の技術や経験をアップグレードするための需要を歓喜する」としている。

中国信通院(China Academy of Information and Communications Technology)の白書によれば、5G技術は中国経済に6兆3000億元(約99兆円)の経済効果と800万人の雇用を生み出すことが予測されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

クアルコムとレノボが初のSnapdragon搭載5Gラップトップを披露

Qualcomm(クアルコム)は米国時間5月27日に開催されたComputexのプレスカンファレンスにて、Snapdragonベースの5G対応PCをLenovo(レノボ)と協力してローンチすると発表した。両社はこのPC「Project Limitless」を「5G接続をもたらすPC専用の世界初となる7nmプラットフォームだ」と説明している。

このラップトップは5Gと4G接続をサポートするクアルコムの「Snapdragon 8cx」プラットフォームで動作しており、Adreno 680 GPUとKryo 495 CPU、そして満充電状態で数日間持つバッテリーを搭載している。またクアルコムの「X55 5G」モデムを搭載し、2.5Gbpsのダウンロード速度を実現している。

Project Limitlessの発売日や価格はまだ発表されていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ファーウェイ排除で米国は貿易戦争には勝ったがネットワーク戦争に負ける

米国政府関係者は、低価格で高性能なネットワークを提供するファーウェイと、中国のその他のハードウェアメーカーとの戦争に勝利したことを祝っているに違いないが、より大きな世界規模の電気通信技術と顧客の獲得競争において、米国は大幅に遅れをとるリスクを背負ってしまった。

それは米国が敗北を認めたがっているレースかも知れないが、米国内での事業活動能力を完全に奪ったところで 、ファーウェイの影響範囲はますます広がっていることには注意しなければならない。

実際、ファーウェイのエグゼクティブディレクターであり、同社の投資審査委員会議長でもあるDavid Wang(デイビッド・ワン)氏はBloomberg(ブルームバーグ)にこう話している。「私たちの米国での事業はそれほど大きなものではありません。私たちはグローバルな事業を展開しています。今後も安定的に事業が行えるでしょう」。

ワン氏は正しい。ただし、ある1点においてはだ。年始に発表された2018年の会計報告によれば、ファーウェイの売り上げは、そのほとんどが国際市場からのものだが、同社の機器は、技術的に米国の半導体メーカーに大きく依存している。その供給が止まれば、ファーウェイはかなり厳しい状況に追い込まれるのは確かだ。

ファーウェイの年末会計報告によれば、現在の収益の柱は消費者向けデバイス事業であるが、その収益の大半は米国市場以外で上げられている。

そして米国には、ファーウェイが同社のネットワーク技術を普及させようとする努力を妨害しなければならない理由がある。それを投資家のAdam Townsend氏が、Twitterのスレッドで説得力をもって見事に言い表している。

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中国のファーウェイに関するスレッド。諜報活動と第5(g)世界大戦
あなたは中国諜報機関の長になる。権力者となり、あらゆる喧嘩に勝利するようになる。
では始めよう……

そもそも中国は、次世代の無線通信技術への支援として、基本的に無限の資本を投入し、次世代スタートアップやイノベーターを買収している。そのすべてが、米国が初期段階のリスクを背負って生み出したものだ。同時に、抵抗する恐れのある規制当局者や業界の専門家を、無限の資金を使って懐柔している。

ファーウェイは、中南米、東ヨーロッパ、東南アジア、アフリカといったネット接続の需要が高まる新興市場の国々への侵入を続けている。それらは、米国が多大な戦略的利害を持つ地域でありながら、強い動機や選択肢を提供できずにいるために、中国のネットワーク企業に対抗するよう世論を動かしたり政府を説得する力が大幅に制約されている。

米国の海外援助や投資を600億ドル(約6兆6000万円)のパッケージで活性化させるBUILD法が2018年10月に成立しているが、2018年に欧州だけで470億ドル(約5兆1700億円)近くを投資した中国の支出額の前では影が薄い。中国によるその他の直接投資の総額は、American Enterprise InstituteのデータをForeign Policy誌がまとめたところによると、アフリカと中東に494億5000万ドル(約5兆5400億円)、南米に180億ドル(1兆9800億円)となっている。

こうした投資により、本来強力な政治同盟で結ばれていたはずの国々は、米国の立場への支持を渋ったり、建前上いい顔を見せるだけになっている。たとえば、米国とブラジルの関係を見てみよう。長年にわたり強力な同盟関係にあるブラジルと米国は、どちらも超保守派リーダーの主導のもとで、ますます関係が深まるように見えていた。

しかし、Foreign Affairs誌によれば、米国と歩調を合わせて中国の経済的拡大阻止に協力して欲しいというトランプ大統領の要請に、ブラジルは難色を示しているという。

「ブラジルの経済団体は、すでに中国との密接な貿易関係を擁護する態勢に入っており、中国を封じ込め、米国を再びブラジルの最も重要な貿易相手にしようという望みは、もはや非現実的な郷愁に過ぎない」と、Foreign Affairs誌の特派員であるOliver Stuenkel(オリバー・スタンキル)氏は書いている。「強力な軍部同士が手をつないだこの事業連合は、この地域からファーウェイを追い払うことで生じる5G稼働の遅延を一切許さない方向に動いている」。

この記事は一読の価値があるが、要は、ファーウェイと中国経済の浸入は経済発展途上国にとって国家安全保障上の脅威だと吹聴する米国政府高官の声は耳に届いていないという内容だ。

これは単にネットワーク技術だけの問題ではない。中南米諸国と米国で投資を行っているあるベンチャー投資家は、TechCrunchに匿名でこう話した。「米国と中国の関係が中南米の今後にもたらす影響には興味があります。中国はすでに、金融面で非常に積極的になっています」。

中国の巨大ハイテク企業は、事業者として、また投資家として、南米大陸にも興味を示している。CrunchBaseの記事の中で、南米と中国に特化したベンチャー投資家Nathan Lustig(ネイサン・ラスティグ)氏は、その傾向を強調していた。実際には、こう書いている。

民間分野と公的分野の両方で、中国は中南米への支援を急速に増やしている。金融技術の専門知識を有する中国は、世界の発展途上市場への影響力と相まって、中南米のスタートアップや起業家の戦略的パートナーになりつつある。これまで、中国の対中南米投資の大半はブラジルに向けられていたが、にも関わらず、中国は投資家として中南米で手を広げ、地方の技術エコシステムとの親密さを増してゆく傾向にある。その可能性がもっとも高いのがメキシコだ。

1月にDidi Chuxingがブラジルの99を買収したのに続いて、中国企業はブラジルのフィンテック系スタートアップに対する巨額の投資を開始した。今年、特に目立つのがNubankStoneCoだ。

実際、中国には、安価なテクノロジーと、国有と民間の投資会社による経済支援策の総合カタログがあり、受け入れ国を援助すると同時に、新興市場での多方面にわたる技術的リーダーとしての中国の地位を固めようとしている。

米国がそれに対抗するならば、内向きな保護主義を脱して、より大きな海外の経済発展に真剣に寄与する覚悟が必要だ。税収は減少傾向にあり、見上げるほどの巨大な赤字の山が築かれると予測されるなかでは、ファーウェイに取って代わるものを世界に提供する余裕はない。それにより米国はますます孤立を深める。取り残されることで、さらに大きな問題が生じることになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

ベライゾンにサムスンの5Gスマホが登場、スプリントでも5Gデバイスが今月2機種登場へ

いよいよ5G時代が始まろうとしている。米キャリアのVerizon(ベライゾン)がSamsung(サムスン)の「Galaxy S10 5G」の販売を始めた数時間後、Sprint(スプリント)は2機種の5Gデバイスを今月末までに提供すると発表した。

今の所、製造メーカーは本末転倒な状態だ。5Gが数年後にユビキタス(どこにでも存在する)になることは疑う余地がないが、その技術にアクセスする実際の機会はまだまだ少ない。

米キャリアにおいては、ベライゾンが最も積極的だ。同社はGalaxy S10 5Gを市場に最初に投入した。もちろん端末が5Gを見つけられなければ4Gで通信することになるし、しばらくはそのような状況が続くだろう。

ベライゾンの5Gはシカゴとミネアポリスを含む特定の地域にて提供されている。年末までには、アトランタ、ボストン、シャーロット、シンシナティ、クリーブランド、コロンバス、ダラス、デモイン、デンバー、デトロイト、ヒューストン、インディアナポリス、カンザスシティ、リトルロック、メンフィス、フェニックス、プロビデンス、サンディエゴ、ソルトレイクシティ、ワシントンDCにて、サービスが提供される。

一方、スプリントは「数週間中にも」9カ所のマーケットにて5Gを提供するとしている。具体的にはアトランタやダラス、ヒューストン、カンザスシティ、ロサンゼルス、ニューヨーク市、フェニックスとワシントンDCだ。

さらに、スプリントの5Gネットワークでは2機種の5Gデバイスが今月提供される。LGの「V50 ThinQ」とHTCの5G Hubが、同社のストアで5月31日から販売される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

5月31日にEngadgetと共同開催「5G時代のガジェットとIoT」を語るイベント

TechCrunch Japanは5月31日、姉妹メディアEngadgetと合同で次世代通信技術5Gをテーマとしたイベントを開催する。それぞれの編集部が5Gにまつわるゲストとのトークセッションを繰り広げる。

5Gといえば、安定した高速通信で低遅延、それでいて多人数の同時接続を可能にする通信技術。米国では大手キャリアのVerizonが、韓国では大手3キャリアであるSKテレコム、KT、LGユープラスがそれぞれサービスを開始(TechCrunch JapanはVerizonグループに属している)。日本では2020年春にNTTドコモやKDDI(au)がサービスを開始する見込みだ。

スマホやGPSが普及したことで、さまざまなスタートアップがさまざまなサービスや製品を世に送り出してきた。前述のように、これまでとは次元の違う特徴を備える5G通信のサービスが始まることで、さらに新しいサービスやプロダクトが登場しそうだ。

TechCrunchでは、バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターで代表取締役を務める加藤直人氏を招き、ファイヤーサイドチャットを開催予定。5G通信によってバーチャルアーティストの活動がどのような広がりを見せるのかを、加藤代表にじっくりと聞いていく。

Engadget meetup Special featuring.TechCrunch開催概要

開催日時:5月31日(金)19:15~21:45(予定)
開催場所:都内某所(選定中)
参加費用:無料
応募条件:参加者のみなさまのSNSやイベント記事などでの顔出しがOKな方。未成年の方も参加いただけますが、必ず保護者の方が最後まで同伴されることが条件となります。

また、TwitterやFacebookなどでイベントの模様をどしどし発信できる方だとうれしいです。

※会場に限りがありますので応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。当選結果は5月23日から順次ご連絡いたします。
※未成年の方が参加される場合は必ず保護者の方が最後まで同伴いただきますようお願いします。保護者の方がいらっしゃらない場合は入場をお断りさせていただきますので予めご了承ください。

【タイムスケジュール(予定)】
19時00分:受付開始
19時15分:イベント開始(トークセッションなど)
21時00分:懇親会開始
21時45分:懇親会終了、閉場


申し込みはこちらから

世界的なスマホ不況の中でiPhoneの落ち込みが激しい

スマートフォン業界にとって厳しい状況となっている。Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、「逆風」という言葉を使って、Pixel 3の売上を伸ばすことの難しさを語った。しかし、最新のCanalysのレポートは、もっと率直に、この状況は「急降下」だと表現している。

スマートフォンの出荷台数は、すでに6四半期連続で減少していたが、この第1四半期の報告も、やはりかなりひどい状況となった。Canalysによれば、全世界の総計では3億1390万台を達成したものの、それでも約5年ぶりに低い数字だった。

スマホ大手の中では、特にApple(アップル」の落ち込みが激しく、前年比で23.2%減となっている。やはりここでも、中国市場の影響が大きい。ただし、全体的な状況はそれほど単純なものでもない。

「これはiPhoneの歴史上、四半期間の減少として最大のものです」と、アナリストのBen Stanton氏は、今回のニュースについて述べている。「Appleにとって2番目に大きな市場である中国は、やはり厳しい状況だったというわけです。

しかし、問題はそれだけというわけではまったくないのです。下取りという手法を使っても、長くなっている消費者の買い替え期間を短縮させることができなかっため、米国でも出荷が落ち込みました。

ヨーロッパなどの市場では、Appleは需要を刺激するために値引きすることが多くなっています。しかし販売業者にとっては、これがある種のジレンマとなっています。というのも、消費者の目から見たiPhoneという高額なデバイスのプレミア感がぼやけてしまうことになるからです」。

理由はいくらでも挙げることができるが、結局行き着くのは、この業界がかかえる大きな問題ということになる。つまり世界的な経済の停滞と、長くなるユーザーの買い替えサイクルだ。iPhone XSは、前任機と比べても、かなり控えめなアップグレードだった。とはいえ、Stanton氏によれば、iPhoneは「第1四半期の終盤に回復の兆しを見せている」ということで、第2四半期には期待が持てる。

iPhoneのアップグレードに関しては、今年中に何が起こるのか、まだまだ予断を許さない状況にある。ただ、いろいろな状況から判断して、Appleが5Gに舵を切るのは2020年になると見られている。ティム・クック氏は、米国時間月30日の業績発表の際にも、これについては何も言及しなかった。明らかにしたのは、iPadの業績が好調であることと、Appleとしては今後もサービスに力を入れていくということだけだった。

アナリストたちは、5Gのようなイノベーションが切り開く可能性や、折り畳み式のスマホが低迷する市場を活気づけるのではないかという期待を強調しがちだ。しかし、業界最大手のAppleは、そうした面では明らかに消極的に見える。ハードウェアの急降下は、まだ続くのだろうか。

一方、Huawei(ファーウエイ)の業績は相変わらず頼もしい。同社によれば、前年比50.2%の伸びで、世界市場でのシェアは18.8%に達したという。しかし今後もその勢いが続くかどうかは分からない。Samsung(サムスン)や、Xiaomi(シャオミ)やOppo(オッポ)といった他の中国勢の携帯電話メーカーとの競争が激化しているからだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Verizonが5G通信サービスを米国20都市で年内開始、Galaxy S10 5Gも予約スタート

2019年は「5G通信イヤー」になるとされているが、その実現にはネットワークと端末の両方が必要だ。そんな中、米キャリアのVerizon(ベライゾン)は5G通信サービスを20都市で2019年中に開始し、さらにGalaxy S10 5Gの予約スタートも発表した。

5G通信サービスが提供されるのはアトランタ、ボストン、シャーロット、シンシナティ、クリーブランド、コロンブス、ダラス、デモイン、デンバー、デトロイト、ヒューストン、インディアナポリス、カンザスシティ、リトルロック、メンフィス、フェニックス、プロビンス、サンディアゴ、ソルトレイクシティ、ワシントンDCなど、全米の幅広い地域におよぶ。これらの都市は、今月から一部地域で5G通信サービスが開始されたミネアポリスとシカゴに続くことになる。

そしてGalaxy S10 5Gは、Samsung(サムスン)によって今年発表された2機種の5G対応スマートフォンのうちの1つだ。もう1つは折り畳みスマートフォン「Galaxy Fold」の5Gバージョンだが、こちらはベースモデルのディスプレイ問題を解決する必要があるだろう。さらに、5Gバージョンの次期Galaxy Noteに関する噂もある。

Galaxy S10 5Gは256GBモデルが1300ドル(約14万5000円)、512GBモデルが1400ドル(約15万6000円)にて販売される。これは、Galaxy Foldの1980ドル(約22万円)に比べればだいぶ安い。5Gモデルは、しばらくの間は1000ドル(約11万1000円)を超えるだろうが、キャリアとの契約による割引もあるだろう。なおプレミアムバージョンとなるGalaxy S10 5Gは、5G通信の電力を賄うために、より大容量のバッテリーを搭載している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter