グーグルの気球Loonの遺産、ワイヤレス光通信でコンゴ川を挟み高速インターネットを届けるアルファベットのProject Taar

Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)は2021年初めにProject Loonを終了したが、インターネットアクセスを提供する気球から学んだことは無駄にはならなかった。Loonで開発された高速無線光リンク技術は、現在、Taaraプロジェクトという別のムーンショットに使用されている。TaaraのエンジニアリングディレクターであるBaris Erkmen(バリス・エルクメン)氏は、新しいブログ記事の中で、このプロジェクトのワイヤレス光通信(WOC、wireless optical communications)リンクがコンゴ川を越えて高速接続を実現していると明らかにした。

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Taaraの構想は、LoonチームがWOCを使って100km以上離れたLoonの気球間でのデータ転送に成功したことから始まった。チームは、この技術を地上でどのように利用できるかを検討した。WOCの応用可能性を探る一環として、彼らはコンゴ共和国の首都ブラザビルとコンゴ民主共和国の首都キンシャサの間に存在する接続性のギャップを埋めることに取り組んだ。

これら2つの場所はコンゴ川を挟んで、わずか4.8kmしか離れていない。しかし、キンシャサでは、川を囲む400kmの範囲に光ファイバーを敷設しなければならないため、インターネット接続のコストがはるかに高くなってしまう。Project Taaraは、ブラザビルからキンシャサまで、川を挟んで高速通信が可能なリンクを設置した。同プロジェクトは20日以内に、99.9%の稼働率を実現し、約700TBのデータを提供した。

Project Taaraでの光ビーミング接続の仕組み

TaaraのWOCリンクは、お互いを探し出して光のビームを結ぶことにより高速インターネット接続を実現している。霧の多い場所での使用には適していないが、Taaraプロジェクトでは、天候などのさまざまな要因に基づいてWOCの利用可能性を推定できるネットワーク計画ツールを開発した。将来的にはそれらのツールを使って、Taaraの技術が最も効果的に機能する場所を計画することができるようになる。

Taaraのエンジニアリングディレクターであるエルクメン氏はブログ記事でこう述べた。

追跡精度の向上、環境対応の自動化、計画ツールの改善により、Taaraのリンクは、ファイバーが届かない場所に信頼性の高い高速帯域幅を提供し、従来の接続方法から切り離されたコミュニティを接続するのに役立っています。我々はこれらの進歩に非常に興奮しており、Taaraの機能の開発と改良を続ける中で、これらの進歩を積み重ねていくことを楽しみにしています。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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画像クレジット:Alphabet

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

Alphabet(アルファベット)のドローン配達会社であるWing(ウイング)は、8月25日付のブログ記事で、同週末に10万件目の顧客への配達を達成する見込みであると発表した。このニュースが報じられたのは、同社がオーストラリアのブリスベン都市圏に位置する人口約30万人の都市ローガンでパイロットサービスを開始してから、間もなく2周年を迎える時期のことだ。

またそれは、Amazon(アマゾン)独自のドローン配達の取り組みが「内側で崩壊しつつある」とWiredが報じた数週間後のことでもある。Wingの広報責任者であるJonathan Bass(ジョナサン・バス)氏は、TechCrunchの取材に対し、このサービスが今後数カ月のうちに、さらに多くの市場に参入する予定であると語っている。

「私たちは、かなりの規模で拡大すると思います」と、バス氏はTechCrunchに語った。「今後6カ月以内に、オーストラリア、フィンランド、米国で新たにサービスを開始する予定です。この技術の能力はおそらく、今や規制当局の許可よりも先に進んでいます」。

画像クレジット:Wing

これまで行われた配達のうち、半分以上はこの8カ月間にローガンで完了したものだ。例えば、8月の第1週には4500件の配達が発注されており、これはWingの配送時間帯では30秒に1回の割合となる。

2020年1年間にWingのドローンがローガンで行った配達には以下のような品物が含まれている。

  • 1万杯のコーヒー
  • 1700個の子ども用スナックパック
  • 1200個のhot chooks(オーストラリアでローストチキンのこと)
  • 2700個のロール寿司
  • 1000食のパン

画像クレジット:Wing

Wingのドローンの航続距離は、バッテリー容量から6マイル(約10キロメートル)に制限される。つまり、移動時間はかなり短いため、ドローンの外部で品物が入ったパッケージを運んでいるにもかかわらず、食べ物が冷めたり温まってしまったりという問題はあまり起きない。制限されるのは主に重量で、最大3ポンド(約1.4kg)までの運搬が可能だという。卵のような非常に壊れやすいものでも問題なく運べると、同社は述べている。

ドローンは上空100〜150フィート(約30.5〜46メートル)で巡航し、目的地に到着すると約23フィート(約7メートル)の高さまで降下する。そこからロープで荷物を地上に降ろし、フックを外す。荷物を受け取るのに誰の手も必要としない。

画像クレジット:Wing

「テストと配達を合わせると、私たちは過去4〜5年の間に50万回近いフライトを行っています」と、バス氏はいう。「我々は徐々に密集した環境に移り、コミュニティに耳を傾けるようになりました」。これにはドローンの騒音レベルを下げるように求めるコミュニティからの意見も含まれる。

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画像クレジット:Wing

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックもグーグルと同様に職場復帰する従業員にワクチン接種を義務付け

Google(グーグル)のSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、米国時間7月28日、同社が従業員に対し、現場で仕事に復帰する前にワクチン接種を義務付けることを発表した

このことは、GoogleおよびAlphabet(アルファベット)のスタッフに送られた手紙に書かれており、新型コロナウイルスのデルタ変異型が世界的に流行し続けていることから、同社が在宅勤務ポリシーを10月18日まで延長することにも言及している。

また、Facebook(フェイスブック)のVPであるLori Goler(ローリー・ゴーラー)氏は、TechCrunchへ送られたメッセージの中で、このソーシャルメディアの巨大企業が同様のポリシーを採用していることを認めた。

「オフィスの再開にともない、米国内のすべてのキャンパスに出勤する人には、全員にワクチン接種をお願いする予定です」と、ゴーラー氏は書いている。「このポリシーをどのように実行するかは、地域の状況や規制によって異なります。医療上の理由やその他の理由で予防接種を受けられない人々にはプロセスを用意し、状況の進展に応じてそれ以外の地域でアプローチを評価していく予定です。当社は引き続き専門家と協力して、すべての人の健康と安全を優先したオフィス復帰計画を立てていきます」。

この声明と同様の同様の文言で、ピチャイ氏が書いた長文の手紙にも「医療上またはその他の保護された理由で」という例外を分けている。Facebookでは当初、9月に半数、10月までに全員の職場復帰が計画されていたが、ゴーラー氏のコメントには、この復帰時期の変更については示されていない。

先週、同社の広報担当者は、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙に「専門家のガイドラインでは、デルタ変異を含む新型コロナウイルスの変異種の予防にはワクチンが非常に有効であるとされています。オフィス再開までのスケジュールに変更はありません」とコメントしている。

両社の声明とも、地域や州の規制、医学的または個人的な懸念、そしておそらくは地域によって大きく異なるワクチンへのアクセスなどに基づき、会社の方針にある程度の幅を持たせている。

また、Amazon(アマゾン)もTechCrunchの問い合わせに対し「アマゾンの従業員や契約社員には、新型コロナウイルスワクチンが入手可能になり次第、ワクチンを接種することを強く勧めます」と回答している。

同社の現在のガイドラインでは、オフィスに戻るためにワクチン接種が必要というわけではないようだが、ワクチンを接種していない従業員にはマスクの着用が義務付けられている。ワクチン接種を完了したことが証明されている人は、顔を覆うことは任意となっている。

関連記事:グーグルが米社員に新型コロナワクチン接種を義務付け、オフィス勤務再開は延期

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Facebook新型コロナウイルスオフィスリモートワーク新型コロナウイルスワクチンアメリカGoogleAlphabetAmazon

画像クレジット:Kim Kulish / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Alphabetが第2四半期決算で予測超え、Google Cloudが売上54%増で損出減少

主要テクノロジー企業の決算報告が相次ぐ中、Alphabet(アルファベット)は米国時間7月28日株式市場終了後に第2四半期決算を発表した。検索・サービスの巨人は、2021年6月30日締め四半期に619億ドルの売上を計上し、純利益は185億ドル(約2兆300億円)、1株当たり利益は27.26ドルだった。売上は62%増、純利益は166%増だった。もちろんこれはパンデミックに影響された2020年第4四半期との比較だが、それでもこの成長は注目に値する。

Androidメーカーの結果は、予想を打ち砕いた。ウォール街はGoogle(グーグル)の親会社の売上を560億ドル(約6兆1500億円)、1株当り利益を19.14ドルと予測していた。しかし時間外取引でのAlphabet株の値上がりは1桁パーセント前後であり、Microsoft(マイクロソフト)の公式予想売上を上回る結果に対する市場の静かな反応と似ている。

関連記事:マイクロソフトの第2四半期は47%増益、クラウド事業が過去最高の業績

Alphabetはいくつか変動要素を持つ会社なので、もう少し数字を分解してみよう。

YouTubeの売上70億ドル(約7700億円)は対前年比84%増だ。これはYouTubeの年齢を踏まえると率直にいって好調な結果だ。それでも、ライバルサービスに食われるまでにどれほど多くの広告をYouTubeに載せられるのかは気になるところだ。別の報告でYouTubeは、YouTube Shorts(ユーチューブ・ショート)が「日間グローバルビューが150億回を超えた」ことを発表した。2021年3月に詳しく伝えられた日間ビュー65億回の131%増だ(誰もがTikTokを食べたがっているらしい)。

Google Cloud(グーグル・クラウド)の売上は46億ドル(約5050億円)、対前年比54%増だった。この成長率はMicrosoftが同社のクラウド製品であるAzure(アジュール)について報告した数字よりわずかに大きい。しかし、Microsoftの売上規模はGoogleよりも大きいと考えられているため、投資家はAlphabetの報告よりも大きい成長率を期待していたのかもしれない。Google Cloudは営業損失を1年前の第2四半期の14億ドル(約1540億円)から、今四半期の5億9100万ドル(約650億円)へと縮小した。これは素直に良い結果だ。

Other Bets(その他の投資)部門では売上が上昇した!ただし損失も。Alphabetのskunkworks(最先端技術開発)グループは売上1億9200万ドル(約210億円)を計上し、1年前の1億4800万ドル(約160億円)を上回った。しかし、さまざまな試行錯誤は四半期で14億ドルを失い、前年同期の11億ドル(約1210億円)より悪化した。

営業利益194億ドル(約2兆1300億円)には、Other Betsコストセンターが「含まれている」ため、Alphabetは将来の形ある売上につながるプロジェクトに余裕をもって投資し続けることができる。

しかし、AlphabetのGoogle主要サービス(検索、YouTubeなど)以外のすべての部分が同四半期で損を出している。

>画像クレジット:Alphabet

しかし、真実はAlphabetが報告した2020年第2四半期から2021年第2四半期にかけての壮大な営業利益増だ。営業利益の加速ぶりを見て欲しい!これは少々混乱させるわかりにくい内容だ。

その他の注目ポイント。Googleの株式再購入プログラムは一部変更されたが、一般投資家に影響を与えるものではない。というわけでAlphabetの決算報告記事は、今のところ時間外取引で株価を上げることはできていないが、1兆7500億ドル(約192兆1500億円)を超える時価総額を守るのに十分な好成績だった、としておこう。

巨大テック企業にとってすばらしい時だ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AlphabetGoogleGoogle Cloud決算発表YouTube

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アルファベット傘下のIntrinsicがステルスモードを脱し産業用ロボットの能力向上を目指す

Alphabet(アルファベット)のロボティクスに関する歴史は、これまで公にされている限りではムラのあるものだった。特にGoogle X(グーグルX、現在は単にX)の大規模な買収活動は、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)をソフトバンクに売却するという結果に終わった(ソフトバンクは最終的に同社をHyundaiに売却した)。その後のAlphabet / Googleのアプローチは、派手さはなく、より身近なロボットの用途に焦点を当てている。

米国時間7月23日、Xブログで発表されたIntrinsicは、まさにその条件に当てはまるものだ。確かに、今日のAlphabetにとっては理想的なテイクと言えるだろう。実質的に、X開発チームの最新ブランチは、産業用ロボットのソフトウェアを扱っている。それらは多くのメーカーが望むほど軽快ではない、大型で重いマシンだ。

画像クレジット:Intrinsic

この投稿は、AlphabetでMoonshots(ムーンショット)のVPを務め、現在はIntrinsicのCEOという肩書きを持つWendy Tan-White(ウェンディ・タン゠ホワイト)氏が執筆したもの。この会社の成り立ちについて、SaaS型ウェブサイトビルダーMoonfruitの共同創業者でもある同氏はこう書いている。

ここ数年、私たちのチームは、産業用ロボットがより幅広い環境や用途で活躍できるように、作業中に感知し、学習し、自動的に調整する機能を持たせる方法を研究してきました。Alphabetグループ内のチームや製造現場のパートナーと協力して、自動認知、深層学習、強化学習、動作プランニング、シミュレーション、力制御などの技術を使ったソフトウェアをテストしてきました。

Veo、Symbio、Covariantなど、大型・重型ロボットの拡張を目指すスタートアップのコミュニティは活気に満ちている。これらの企業は、Veoの人間とロボットのインタラクションにおける安全プロトコルのように、ある特定の要素に焦点を当てていることが多い。対するIntrinsicは、いわば月を目指しているようなもので(ムーンショットと同様、不可能に近い最高峰を目指している)、一度にいくつもの異なる問題に取り組む計画を持っている。

画像クレジット:Intrinsic

「私たちは、(ソーラーパネルから自動車まで、あらゆるものの製造に使用されている)産業用ロボットをより使いやすく、より低コストで、よりフレキシブルにするためのソフトウェアツールを開発することで、より多くの人がロボットを使って新しい製品、ビジネス、サービスを構築できるようにしています」とタン゠ホワイト氏は書いている。

確かにAlphabetには資本力と人材を引き寄せる力があるため、先行している競合他社がいくつかあったとしても、彼らとしのぎを削ることは可能だ。とはいえ、Intrinsicも決して新しい会社ではない。この投稿によると、同社は5年半にわたってX恒例のステルスモードで活動してきたようだ。

今回のニュースは、IntrinsicがAlphabet傘下の「独立した」企業としてデビューすることを意味している。同社はムーンショット分野を離れ、自動車、ヘルスケア、エレクトロニクス分野のパートナーを探して、自社の技術を実証していく予定だ。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:AlphabetIntrinsicMoonshot

画像クレジット:Gramazio Kohler Research, ETH Zurich

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

Alphabet傘下で2021年初めに解散したLoon元トップがロボット配達Starship TechnologiesのCEOに

自律走行ロボティクス会社Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)が、新しいCEOを迎える。同社は米国時間6月1日、ロボティクス配達サービスの拡大を追求する中でAlphabet(アルファベット)傘下のLoon(ルーン)の元CEOであるAlastair Westgarth(アラステア・ウェストガース)氏がStarship Technologiesを率いると発表した。

ウェストガース氏はこの前に、高高度の気球経由でブロードバンドを提供するというAlphabetの実験のLoonを2017年から率いていた。同社は2021年初めに解散した。解散を発表した最後のブログの中で同社は「商業化の実現可能性への道が思った以上に長く、リスクをともなうものであることがわかりました」と述べた。Loonで働く前にウェストガース氏はワイヤレスアンテナ会社Quintel Solutionsを率い、そして通信会社Nortel で副社長を、 Bell Mobilityではエンジニアリングのディレクターを務めた。

同氏はStarship Technologiesが事業を急拡大する中で同社に加わる。2020年初め、Starshipはいくつかの地域と大学のキャンパスで自律走行ロボット数百台を運用していた。同社は2021年5月、パンデミック以来、配達件数は4倍に増え、グローバルで150万回のマイルストーンを達成した、と明らかにした。

「自律走行配達は知っての通りロジスティックを変えていて、世界中の何十億という人にインパクトを与えています」とウェストガース氏は声明文で述べた。「Starshipのチームは2014年にロボット配達部門を創出して以来、何年もの間、テクノロジーとオペレーションを開発・洗練してきました。今回の機会はうれしいものであり、この業界をリードする便利で安全、そして環境に優しい配達サービスにより多くの人がアクセスできるよう、Starshipがキャンパスと地域で事業を拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Starshipの前CEOであるLex Bayer(レックス・バイエル)氏は同社を3年間率いた後、2020年12月に密かに社を去った。暫定CEOを務めた共同創業者のAhti Heinla(アーティ・ヘインラ)氏はCTOとなる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:AlphabetLoonStarship Technologies自律運転ロジスティクスロボット配達

画像クレジット:Starship Technologies under a license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Alphabet、Microsoft、Pinterestの決算報告をまとめて読む

米国時間4月27日の午後、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Pinterest(ピンタレスト)の3社が2021年最初の3カ月の四半期決算を報告した。MicrosoftとPinterestは決算報告直後から急激に値を下げたが、Alphabetは決算発表以降株価を上げている。

大量の数字で読者を圧倒しないために、それぞれの決算報告書についてTechCrunchが思うところをできるだけ少ない言葉でまとめてみた。

  • Alphabetの決算はいくつかの面で好調さを見せ、投資家を喜ばせた。YouTubeの売上は50%近く伸びて60億ドル(約6530億円)に達し、広告も好調で、不採算部門と悪名高かった「Other Bets」部門さえも2億ドル(約220億円)近い売上を計上した。しかし、テクノロジー総合企業の最も注目すべき結果はクラウド部門だ。Google Cloudは2020年同期の売上27億7700万ドル(約3020億円)、営業損失17億3000万ドル(約1880億円)から、売上40億4700万ドル(約4400億円)、営業損失わずか9億7400万ドル(約1060億円)へと成長した。カリフォルニア州マウンテンビュー拠点のテックサービス集団は、非広告プロダクトからかたちのある売上ストリームを作り出すだけでなく、かたちのある営業利益を生み出しつつある。トレンドが続くならば。
  • Microsoftの決算報告は、ウォール街の無関心を他所に、かなり良かった。Microsoftは1年前の四半期から17%成長し、営業利益を31%増の170億ドル(約1兆8510億円)へと押し上げた。売上よりも速い利益の成長は、営業レバレッジの証だ。実際同社の純利益は営業利益以上の速さで伸びており、予測を上回った。MicrosoftのGoogle CloudでAWS競合のAzureは、四半期で50%伸び、予測と一致した。CNBCによる。Microsoftは現在も驚くほど裕福であり、会社が一番将来に期待している製品群がかなり大きい数字を生み出している。悪くない!
  • Pinterestは巨大な四半期を報告した。ウォール街は喜んでいない。Pinterestの2021年第1四半期売上、4億8523万ドル(約530億円)は2020年同期から78%の増加であり、同社の純損失は同じ期間に1億4119万6000ドル(約154億円)から2167万4000ドル(約24億円)へと改善し、非GAAP純利益はマイナス5991万6000ドル(約65億円)からプラス7852万7000ドル(約85億円)へと上昇した。この著しく魅力的な四半期の結果は何をもたらしたか?株価は8%以上下落した。考えられる理由は、Pinterestの月間アクティブユーザーが予測を下回り(実績は4億7800万ドル[約520億円]、予測は4億8050万ドル[約523億円])「営業費の増加傾向が第2四半期に加速する」ことを予告したことだろう。しかし、現四半期の売上成長105%と、同四半期のミドルティーンの月間アクティブユーザー数の成長を同社が見込んでいることから、そこまで辛く当たられる筋合いはない。私たちが何か大きなことを見逃しているのでない限り、Pinterestは単にもっと多くを求めていた投資家たちにいじめられているだけだろう。

以上、大急ぎでまとめてみた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AlphabetMicrosoftPinterest決算発表

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】頻繁に耳にする「巨大テック解体論」はまちがっている

本稿の著者T. Alexander Puutio(T・アレクサンダー・プーティオ)氏はレナード・N・スターン・スクールの非常勤教授であり、トゥルク大学での研究をAI、技術、国際貿易、開発の相互作用に捧げている。本稿で表現された意見はすべて彼のものだ。

ーーー

Big Tech(ビッグテック、巨大テック企業)との蜜月時代は、表向きは終わったと言ってもよさそうだ。

疑わしいデータ処理手続き、恣意的なコンテンツ管理ポリシー、明白な反競争的慣行が長年にわたり続いてきたのだ。ここで少し立ち止まってビッグテック業界との関係を考え直すのは当然のことだろう。

残念なことに、ビッグテックの解体を求める声をはじめとする、大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

我々は、扇動的で成功の見込みが限りなく低い計画やゼロサム的解決策を追いかけるのではなく、スタートアップや競合他社独自のデジタル市場にとって公平な競争の機会を設け、ビッグテックが規模の拡大と同時により優れた企業に成長していくよう取り組むべきだ。

関連記事:EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

20世紀の議員たちが、産業の寵児から停滞をまねく破壊的勢力へと変貌した鉄道独占企業をどのように抑制したかを見れば、その取り組みのヒントが得られるだろう。

問題は変わらない

100年以上前、急速に工業化が進む米国は、テクノロジーディスラプション(創造的破壊)がもたらした想定外の事態に直面していた。どこかで聞いたことがあるような話だ。

本格的な蒸気機関車が初めて登場したのは1804年だが、より強力で貨物に適した米国式の蒸気機関車が導入されたのは1868年になってからだ。

効率性が高く貨物に適した機関車は、野火のように急速に広がり、やがて鋼と鉄が山を貫き、ほとばしる川を飛び越えて、全米各地を結び付けた。

すぐに鉄道の走行距離は3倍になり、全都市間交通の実に77%、旅客事業の98%で鉄道が利用されるようになった。これにより、コスト効率のよい大陸横断旅行の時代が到来し、国全体の景気に大きな変化が訪れた。

画期的な技術の黎明期にはよく見られることだが、成功の初期段階には大きな人的損失がともなうものだ。

鉄道業界では当初から虐待や搾取が横行し、例年、労働者の3%近くが負傷したり死亡したりしていた。

やがて鉄道信託の所有者は、世間から広く非難を浴びる実業家グループの大部分を占めるようになり、いわゆる「悪徳資本家」と呼ばれるようになった。そして、そのような企業は行く手にあるものすべてを搾取し、競合他社、特に新規参入者を困窮させた。

鉄道会社の経営者たちは、慎重に構築されたウォールドガーデン(顧客の大規模な囲い込み)を維持することで自らの利益を確保し、強要や排除といったあらゆる手段を使って競合他社を破産に追い込んでいった。

鉄道の所有者から見れば、こうした方法は大成功を収めたが、競争が阻害され、消費者重視の視点が完全に欠落した世間には停滞ムードがただよった。

歴史は繰り返す

人間は過去の経験から学ぶことが苦手なようだ。

実際、ハイテク産業に対して我々が抱く懸念のほとんどは、20世紀の米国人が鉄道信託に対して抱いていた反対感情と同じである。

当時の悪徳資本家と同じように、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などは、競合他社やスタートアップが入る余地をほとんど残さず、取引の大動脈を支配するようになった。

ビッグテックは2桁のプラットフォーム料金を導入し、決済プロトコルに厳しい制限を設け、独自のデータやAPIを専有することで、人工的な参入障壁を築き、競合他社がビッグテックの成功を事実上まねできないようにした。

ここ数年、大手テクノロジー企業はAmazonBasics(Aamzonベーシック)のようなプライベートブランドを提供することで、サードパーティーソリューションのカニバリゼーション(共食い)に取り組んできた。その結果、ビッグテックの顧客は、プラットフォーム所有者に競争力を弱められ、完全に先手を打たれていることに気づくことになった。

以上を踏まえると、米国におけるテック系スタートアップの創業ペースが何年も前から低下しているのは当然の流れだ。

実際、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏のようなVC界のベテランたちは、ビッグテック周辺にある「キルゾーン」に注意するよう呼びかけており、もし我々が大規模なハイテク複合企業の競争的周辺部を再活性化する方向に向かっているなら、早急に何らかの手を打つが必要がある、と警告している。

ビッグテック解体論を止めるべき理由

20世紀に独占的な鉄道信託を管理するために策定された戦略から、ビッグテックに対処する上で役立つ教訓を読み取ることができる。

戦略の第1段階として、議会は1887年に州際通商委員会(ICC)を設立し、合理的かつ公正な価格で専用鉄道網を利用できるように管理する任務をICCに与えた。

しかし、ICCの活動は政党主導であったため、ICCにはほとんど権限が与えられなかった。1906年に輸送機能と貨物の所有権を分離するヘボン法が議会で可決され、本当の意味での進展がようやく見られるようになった。

議会は、独自のプラットフォームで私的金融取引や二重取りを行うことを禁止し、既存の競合他社と新規参入企業の両方が同じ条件でプラットフォームを利用できるようにした。つまり、複雑に絡み合って抜け出せなかった搾取的な慣行が排除され、現在の米国の繁栄を支える根幹が形成されたのだ。

これは、鉄道信託を細かく解体するだけでは決して実現できなかったことだ。

実際のところ、プラットフォームやネットワークは大きい方が関係者全員にとって有利だ。大きい方がより高いネットワーク効果を得られるし、小規模なプラットフォームを凌駕するその他の要因もいくつかある。

最も重要なことは、アクセスと相互運用性のルールを適切に設定すれば、より大規模なプラットフォームでより幅広いスタートアップやサードパーティを支えられるようになるため、経済のパイの縮小ではなく拡大が可能になるということだ。

デジタル市場をスタートアップの味方につける

パンデミック後の経済活動では、テックプラットフォームを縮小するのではなく、規模の拡大に合わせて優れたプラットフォームに成長させることに注目すべきだ。

第1段階で必要なことは、スタートアップと競合他社が公正な条件と適正価格でこれらのプラットフォームにアクセスできるようにすることだ。

現在、政策立案者が実施できる具体的な措置は他にも多数ある。例えば、データ可搬性に関するルールの書き換え、プラットフォーム間のより広範な標準化と相互運用性の推進、ネットの中立性の再導入は、今日の業界の問題に対処するのに大いに役立つだろう。

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が最近、連邦取引委員会(FTC)の次期委員として、「アマゾンを反トラストだと主張する急先鋒」 Lina Khan(リナ・カーン)氏を指名したことで、こうした変化が実現する可能性は突如として高まった。

最終的には我々全員が、巨人の肩の上に立ち(先人たちの知恵を借りながら)、巨人が作ったプラットフォームの上で力強く成長するさまざまなスタートアップや競合他社から恩恵を享受できるようになるだろう。

カテゴリー:その他
タグ:AlphabetAmazonAppleFacebookTwitterGoogleコラム

画像クレジット:Martin Poole / Getty Images

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(文:T. Alexander Puutio、翻訳:Dragonfly)

グーグルとアルファベットの従業員が労働組合結成を模索中

Google(グーグル)とAlphabet(アルファベット)の従業員200人以上のグループが、組合を結成する取り組みを発表した。Communication Workers of America Union’s Campaign to Organize Digital Employees(CODE-CWA、アメリカ通信労働組合のデジタル従業員組織キャンペーン)のサポートを受けて、Alphabet Workers Union(Alphabet労働組合)は従業員と契約労働者の両方に門戸を開くことを模索している。

これまでに227人が労組支援に署名し、組合費として年俸の1%を払うことを約束した。署名した労働者の多くがサンフランシスコ・ベイエリアのオフィスに勤務していて、1人はケンブリッジの勤務だ。

しかし明確にしておくと、Alphabet労働組合は従来の労組と比べ少々変わっている。現在の加入者はAlphabetの従業員13万2121人のうちわずか227人。Alphabet労組が意図するところは必ずしもAlphabet傘下企業と駆け引きができるようになることではなく、共通の目的に向かって一致して取り組むことだ。

「これは歴史的なことです。主要テック企業におけるテックワーカーによる、テックワーカーのための初の労組です」とグーグルでソフトウェアエンジニアとして働くDylan Baker(ディラン・ベイカー)氏は声明で述べた。「我々は代表を選び、民主的に決定を下し、費用を払い、そして会社に自分たちの意見を反映させたいと望むグーグルの全労働者が労組に加入できるようにするためにスキルを持つ幹事を雇います」。

Alphabet労組は、Kickstarter(キックスターター)やGlitch(グリッチ)のようなテック企業での2020年初めの労組結成に続くものだ。加えて、ピッツバーグのグーグルと契約しているHCL Technologies(HCLテクノロジーズ)の労働者とベイエリアのテック企業カフェテリアワーカーも2020年に労組を結成した。

「労働者の産業があります。労働者の新世代、特にテックとゲームの業界においては若い人が急激に増えています」とCODE-CWA組合幹事のWes McEnany(ウェス・マクアナニー)氏は、なぜテック企業に労組が増えているのかについてTechCrunchにこう述べていた。「一部の人は、本当に悪いことをしている企業で働いてかなり儲けています。彼らは、もういい加減にしろ、というような社会的地位にいると思います」。

グーグルは過去数年、多くの労働問題を抱えた。グーグルでのストライキ実行、ストライキ組織者に対する報復措置の報道、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士の最近の退職などがあり、グーグルの労働者が取り組みを公式なものにすることに決めたというのは驚きではなない。

プレスリリースの中で労働者たちは、Alphabet傘下企業で働く労働者の半数以上が契約業者であり、それゆえに彼らは多くの福利厚生が受けられていない点も指摘した。加えて、ハラスメントで訴えられた幹部にかなりの額の退職金が支払われた件や、軍のドローン技術など政府との契約の一部も問題視している。

一方、全米労働関係委員会(NLRB)はちょうど先月、グーグルが労働者を調査し、広範に干渉し、そして全国労働関係法によって保障されている権利の行使を抑制することで全国労働関係法に違反したとしてグーグルを提訴した。

NLRBはまた、「従業員が労組を結成、加入、サポートしたり、他の保護された言動に従事する」ことをグーグルが思い止まらせていたとも主張している。

そうした主張は労働者が組合を結成したい理由だ。ただ、彼らは現在、労働条件について集団で話し合う法律上の権利を持っていない。

従来のプロセスでは、次のステップはAlphabetからの承認を模索することになるだろうが、これは難しい。Kickstarterの労働者が2019年にKickstarterに承認を要求したとき、労働者の大半が労組をサポートしていたにもかかわらず同社経営陣は却下した。承認するどころか経営陣はNLRBと正式な選挙を行うよう強制した。これを受けてKickstarterの労働者は職場をボイコットしたが、Kickstarter労組は発足してから承認されるまでにおおよそ10カ月かかった。

TechCrunchへの最初の声明に続いて出した2つめの声明文の中で、グーグルの人事担当ディレクターKara Silverstein(カラ・シルバーステイン)氏は次のように述べた。

「我々は、協力的でやりがいのある職場づくりに常に懸命に取り組んできました。従業員はもちろん当社が支持する労働の権利を有します。しかしこれまでそうしてきたように、今後も全従業員に会社が直接関わります」。

Alphabet労組は正式に承認されればCWA Local 1400に属する。

「この労組結成は、グーグルワーカーによる何年にもわたる果敢な取り組みの結果です」とグーグルでプログラムマネジャーとして働くNicki Anselmo(ニッキ・アンセルモ)氏は声明で述べた。「『実名』ポリシーとの戦いからProject Maven反対、セクハラをした幹部に支払われた言語道断の退職金への抗議に至るまで、我々が集団で行動したときのAlphabetの対応を目の当たりにしてきました。ニュースで騒がれた後でもAlphabet従業員が敬意を払われるよう、新しい労組は共有する価値観を確かなものにする持続可能な組織です」。

労働者たちはまた、労組結成を決めた理由を詳細につづった論説をニューヨークタイムズ紙に出している。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:GoogleAlphabet労働組合

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(翻訳:Mizoguchi

​Loonの成層圏気球はGoogle AIの力で自ら最適なナビを行い飛行する

​Alphabet(アルファベット)のLoonは、数年前からアルゴリズムを使って成層圏気球の飛行を最適化しており、その結果として上空で過ごした時間の記録を作っている。​しかし、同社は現在、はるかに優れた可能性を秘める新たなナビゲーションシステムを展開しており、真の強化学習AIを使ってナビゲーションを、人ではできなかったほど最適化する方法を自らに教えている。

同社によると、Loonが開発した新しい強化学習システムが、実際の航空宇宙分野の製品で使われるのは航空機で使われるのはこれが初めてだという。開発したのはAlphabetのモントリオールにあるGoogle AIの部門で、2年以上前のことだ。これまでのアルゴリズムによる航行ソフトウェアと違い、これは航路を完全にマシンが決定する。マシンは人が作ったシステムよりもはるかに速く、効率的に気球にとって最適な飛行経路を計算する。気球が以前よりも同じ距離、またはより長い距離を移動するために消費する電力が大幅に削減される。

どうやってLoonは、それがより良い航路であることを知るのか?実は彼らは新しいAIナビを、人間のアルゴリズムを使う前のシステムと競争させて、太平洋上で39日間テスト飛行をした。その結果、強化学習モデルは、従来のシステムよりも少ないエネルギーで、Loon気球をより長時間連続的に目標エリアの上空に浮かせ続け、チームがこれまでに見たことも考えついたこともない新しいナビゲーションの動きを考え出した。

​このテストや他のテストで目覚ましい成功が証明された後、Loonは実際にすべての成層圏気球にそれを展開し、現在、ケニアの商業顧客にサービスを提供するためにアフリカの一部に展開している。

​これは強化学習を使用して、実際の環境で使用されるより良いパフォーマンスを積極的に学習、生産能力で動作し、有料顧客にサービスを提供する実際のハードウェアのパフォーマンスを制御するAIシステムの数少ない実際の例の1つです。​これは目覚ましい成果であり、間違いなく航空宇宙やその他の分野で注目されるだろう。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:​AlphabetLoon

画像クレジット:Loon

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AlphabetのDeepMind、AIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーンを達成

Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)の傘下にあるAI技術企業DeepMind(ディープマインド)は、AIを使ったタンパク質の構造予測で大きなブレイクスルーを達成した。同社は米国時間11月30日、そのAlphaFold(アルファフォールド)システムが、50年前から科学界を悩ませてきた重要課題だったタンパク質のフォールディング(折りたたみ)問題を解決したと発表した。今回のAlphaFoldの進歩は、疾患の理解や将来の創薬、製薬の分野で、大きな飛躍につながる可能性がある。

AlphaFoldが今回合格したテストが示すものは、AIがタンパク質の構造をわずか数日のうちに、非常に高い精度で(実際、原子の幅の範囲内で正確に)把握できるということだ。これは疾病がどのように治療できるかを発見するために重要な、極めて複雑な仕事であるだけでなく、有毒廃棄物のような生態系の中で危険な物質を分解するための、最適な手法を見つけ出すような大きな課題を解決することも可能となる。おそらく「Folding@Home」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない、これは、タンパク質のフォールディング実験に個人が自分の家庭用コンピュータ(かつてはゲーム機)の処理能力を提供できるプログラムだ。こうした大規模なグローバルクラウドソーシングの取り組みが必要だった理由は、従来の方法では部分的なフォールディングの予測にも何年もかかり、直接コストや計算リソースの面で非常に高価だったからだ。

DeepMindのアプローチは「Attention-based(アテンション・ベースド)ニューラルネットワークシステム」(基本的に、効率を上げるために特定の入力に注目できるニューラルネットワーク)も利用している。システムは、タンパク質のフォールディング履歴に基づいて、可能性のあるタンパク質のフォールディング結果の予測を継続的に洗練させていくことができるため、結果として非常に正確な予測を提供することができる。

タンパク質がどのようにして折りたたまれるのか、つまり、最初に作られたときのランダムなアミノ酸の列から、どのようにして最終的に安定した複雑な形の3D構造になるのか、病気がどのようにして広がっていくのか、そしてアレルギーなどの一般的な状態が、どのように引き起こされるのかを理解するための鍵となる。折りたたみのプロセスを理解していれば、それを変える可能性も生まれ、感染症の進行を途中で止めたり、逆に、神経変性や認知障害につながるフォールディングの間違いを修正したりすることができる。

DeepMindによる技術的な飛躍は、こうしたフォールディングをはるかに短時間かつ省資源の処理で正確に予測することを可能にし、病気や治療法の理解が進むペースを劇的に変える可能性がある。この成果は、私たちが現在苦痛に直面している新型コロナウィルス感染症(COVID-19)同様の、将来起こりうるパンデミックなどの世界的に重大な脅威に対処する役に立つだろう。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のような脅威が将来新たに出現した際に、初期の段階でウイルスのタンパク質構造を高い精度で予測することで、効果的な治療法やワクチンの開発をスピードアップできるのだ。

カテゴリー:バイオテック
タグ:AlphabetDeepMindタンパク質

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(翻訳:sako)

Alphabet Xはうつ病発見のための単一バイオマーカーを探求するも達成できず、Project Amberをオープンソースとして公開

Alphabet X(Googleのいわゆる「ムーンショットファクトリー」)が、Project Amber(プロジェクト・アンバー)に関する新しいブログ記事(Alphabet Xブログ)を、米国時間11月2日投稿した。同プロジェクトは過去3年間にわたって取り組みが行われていたが、その成果が今回オープンソースとして世界のメンタルヘルスの研究コミュニティに公開された。この先その上でさらなる開発が進むことが期待されている。Xプロジェクトは、うつ病のための特定のバイオマーカーを特定しようとしたが、その目的を達成することはできなかった(現在研究者たちは、うつ病や不安症を特定できる単一のバイオマーカーは存在しない可能性が高いと考えている)、それでもXは、脳波(EEG)と機械学習を組み合わせたその研究成果が、他の研究者たちの役の立つことを期待している。

Xの研究者たちは、うつ病が他の病気や障害と同様に、医療従事者がいm以上に簡単かつ客観的にうつ病を診断するのに役立つ、明瞭なバイオマーカーを持っているのではと期待していた。それは、目的のために特別にデザインされたゲームを使用して、実験室で行われた研究の中で脳波を見た際に、いくつかの前例となるケースが発見されたからだ。そこでは、うつ病の人びとには、実質的にゲームの「勝利」に対応する脳波活動の低下が一貫して観察された。

これらの研究は、バイオマーカーの可能性への道筋を示しているように見えた。それを(クリニックや公衆衛生ラボのような)実際の診断環境で有用なものにするために、Xのチームは脳波収集やその解釈プロセスを改善して、ユーザーや技術者たちにとって使いやすいものにしようとした。

この探求についておそらく最も注目すべき点は、Alphabetがその過程を詳細に発表した米国時間11月2日の投稿は、基本的にうまくいくことがなかった長年の調査についてのストーリーであり、大規模テック企業から一般的に聞こえてくる典型的なムーンショットストーリーとは異なっている。

実際、これはおそらく、大規模テック企業の多くのアプローチを、批評家が理解し損なう例を示す最良のものの1つだ。ソフトウェアやエンジニアリングの世界でよく見られるソリューションに類似したアプローチでは解決できない問題もあるのだ。

Xのチームは、長年にわたったユーザー研究プロジェクトからの学びを、3つの要点としてまとめている。そしてそれぞれの要点が、純粋なバイオマーカー検出手段の(たとえ機能していたとしても)不十分さに何らかのかたちで触れている。それは特にメンタルの病に対する場合に顕著なものとして示されている。

1.メンタルヘルスの測定はまだ未解決の問題です。多くのメンタルヘルスの調査や評価基準が利用可能であるにもかかわらず、それらは特にプライマリケアやカウンセリングの現場では、広く使用されていません。その理由は、作業負荷(「私はこれを行うための時間がありません」)から、懐疑主義(「評価基準を使用しても、私の臨床判断よりも優れていることはない」)、信頼の欠如(「私は患者がこれに正直に答えているとは思わない」「私はカウンセラーにこれほどまでに多くを明らかにしたくない」)まで、多岐にわたっています。これらの知見は、測定に基づくメンタルヘルスケアに関する文献の中に現れているものです。いかなる新しい測定ツールであっても、生きた経験を持つ人と臨床医の両方に対して明確な価値を創出することで、こうした障壁を克服する必要があります。

2.主観的データと客観的データを組み合わせることには価値があります。生きた経験を持つ人と臨床医は、どちらも客観的な指標の導入を歓迎しましたが、主観的な評価や、相手に経験や感情について質問する行為を置き換えるものではありませんでした。主観的指標と客観的指標の組み合わせは、特に強力であると見なされていました。客観的な指標は、主観的な体験を裏付ける場合もあれば、両者の相違そのものが、会話を始めるきっかけを与えてくれる、興味深い洞察となったりする場合もあります。

3.新しい測定技法には、複数のユースケースがあります。私たちの最初の仮説は、臨床医が診断補助として「脳波検査」を使用できるかもしれないということでした。しかし、このコンセプトは熱心に歓迎はされませんでした。精神科医や臨床心理学者などのメンタルヘルスの専門家は、臨床面談を介しての診断能力に自信を感じています。プライマリケアの医師は、脳波検査が有用だろうと考えましたが、それは血圧検査などと同様に、患者との面談前に医療スタップによって実施された場合に限るのです。一方カウンセラーやソーシャルワーカーは実践の場で診断を下さないため、脳波診断とは無関係でした。生きた経験を持つ人の中には、機械によって「うつ」だとラベル付けされるというアイデアを好まない人もいました。

対照的に、テクノロジーを継続的に観察するためのツールとして使用することには、特に強い関心が示されました。面談と面談の間に何が起きたかを知るために、メンタルヘルスの状態の変化を経時的に捉えるのです。多くの臨床医が、患者や顧客が自分で検査を繰り返せるように、脳波システムを自宅に送っても良いかと尋ねてきました。また彼らは、脳波が持つ予測能力への可能性にも強い関心を示しました。例えば将来より「うつ」が深刻になるのは誰かを予測するといったことです。脳波などのツールが、臨床およびカウンセリング環境においてどのように導入されることが最適なのかを決めるためには、さらなる研究が必要です。例えば、デジタル表現型(digital phenotype、個人のデバイスから収集される行動データ)などの他の測定技術と組み合わせる方法も含まれます。

XはProject AmberのハードウェアとソフトウェアをGitHub上でオープンソース化する。そして同時に、オープンソース素材を通して使われる、Amberに関わる脳波特許の利用者に対して、いかなる法的措置も講じないことを宣言する「特許誓約」も発行する。

Amberが「うつ病」のための単一バイオマーカーを発見できたのかどうかははっきりしないが(おそらく発見できていないだろう)、専門的な試験施設以外でも脳波をより使いやすくするためにチームが行った作業の成果は、より広いコミュニティの手に渡ることで、おそらく他の興味深い発見につながることだろう。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Alphabetうつ病GitHub

画像クレジット:X, the moonshot factory

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(翻訳:sako)

グーグルの最新のムーンショットは野外を移動する植物検査ロボバギー

Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)は、同社の研究開発組織のX Labsから最新のmoonshot(ムーンショット、魔法のような、不可能と思われるアイデアを科学技術の力で実現すること)を発表した。作物の上を巡回するロボットバギーで、それぞれの植物を個別に検査し、おそらく、飢えた世界の需要に農業が対応しなければならないような「ビッグデータ」を生み出すのだろう。

プロジェクト名はMineral(ミネラル)はで、そこに隠された意味はない。チームは鉱物が農業にとって本当に重要だと考えているだけなのだ。ブログの記事やサイトで発表済みだが、Mineralはまだ実験段階だ。持続可能な食糧生産が年々重要性を増している時期に、農業のデジタル化への取り組みが期待したほどの成功を見出せていないことを見て、チームが誕生した。

「これらの新しいデータの流れは圧倒的なものであるか農業の複雑さに対応していないため、伝統や本能、習慣のようなものに頼ってしまうのです」とMineralの責任者であるElliott Grant(エリオット・グラント)氏は説明する。「必要なのは、より包括的で、よりアクセスしやすいものです」。

グーグルの検索サイトがもともとウェブ全体をインデックス化して情報を整理するというアイデアから始まったように、グラント氏とチームは、畑にあるすべての植物を個別に測定して調整することができれば何が可能になるかを想像していた。

Mineralのロボット植物検査官

これを実現する方法として、彼らは「プラントバギー」を考案。これにより、インテリジェントかつロボット由来の不屈の精神で農場をナビゲートし、退屈で反復的な検査を中断することなく実行できる。植物の信頼性の高いデータがあれば、生産者はその規模でも解決策を講じることができます。例えば、ここでは一滴の肥料が必要だとか、ここでは非常に特殊な殺虫剤を散布する

このアイデアを思いついたのはMineralが初めてではない。FarmWiseは昨年、自動雑草抜きから、フル機能を備えた植物知能(Plant Intelligence)プラットフォームへと拡大するために、多額の資金を調達した。

これまでのXプロジェクトと同様に、将来何が起こりうるのか、どのようにして現状にたどりついたのかについては多くの議論があるが「私たちのロボバギーは、大豆100エーカーの廃棄物を10%削減しました」など具体的な情報についてはほとんど語られていない。プロジェクトが進むにつれて、さらに多くの情報が得られることは間違いないだろう。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Alphabet、Google、Mineral

画像クレジット:Mineral

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(翻訳:TechCrunch Japan)

次回のテック大手企業の公聴会では米通信品位法230条が争点になる

またしてもテック企業大物CEOの公聴会が開催されるようだ。米上院商務委員会は米国時間10月1日木曜日、TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、AlphabetのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に対する議会への召喚状を出すことを決定した。ソーシャルメディアの最高経営責任者たちを召喚するという異例の決定は、現代の米国の歴史の中で最も争われている米国大統領選挙に向けて、政治的にも不安定なイベントをスケジュールに追加したことになる。

公聴会は、通信品位法の第230条に焦点を当てることになるだろう。

興味のない読者には無味乾燥に聞こえるかもしれないが、この法律は政治的にも技術業界にとってもかなり重要な話題だ。法律上の盾に小さな変更が加えられているように見えるかもしれないが、その影響は後生まで影響が残るかもしれない。

委員会のRoger Wicker(ロジャー・ウィッカー)委員長は、米国人が「コンテンツの節度を守るには、これらの企業のトップから完全な説明を受けることが必要である」ために公聴会を開催する決定を「必須」とした。

驚くべきことに最高経営責任者(CEO)を召喚する決定は全会一致でした。民主党のMaria Cantwell(マリア・キャントウェル)上院議員も、当初はこの決定に反対していたが最終的にいは賛成に回った。キャントウェル氏は以前、召喚状を発行するというアイデアを「異常な」ステップと呼んでいたが、これは「企業の誤報や嫌がらせをプラットフォームから削除するための努力を冷ます」ことを目的としたものだった。

米上院商業委員会の共和党員には、ウィッカー氏、Ted Cruz(テッド・クルーズ)氏、John Thune(ジョン・チューン)氏、Rick Scott(リック・スコット)氏が含まれる。一方で委員会の民主党員には、カントウェル氏、Amy Klobuchar(エイミー・クロブチャー)氏、Brian Schatz(ブライアン・シャッツ)氏、Kyrsten Sinema(カーステン・シネマ)氏が含まれている。

230条はどうものなのか?

230条は一般的に、Facebookのアカウントやコメント欄からYelpやAmazonのレビューまで、ソーシャルインターネットを確立にした法的インフラとみなされている。短い法律ではあるが、2020年にはますます物議を醸しており、法律家たちは大企業の力を制限するための手段として模索している。

共和党員は、第230条の法的保護を解体することは、反保守的な偏見を受けたソーシャルメディア企業を罰するための方法であると見ている。

重要なのは、トランプ大統領と司法長官のWilliam Barr(ウィリアム・バー)氏が230条を攻撃することに特に関心を示していることだ。今年の初めトランプ大統領は、自身の虚偽の主張を法を脅かす大統領命令で和らげたとして、Twitterを激しく非難した。命令はほとんど意味なさなかったが、トランプ大統領が230条に焦点を当てたことで、バー司法省と彼の指示に従うことを熱望している議会共和党にとっての課題が決まった。この命令は米連邦通信委員会(FCC)の関与をも促した。

米司法省は6月、この法案を児童虐待のような「不正内容」を排除するための取り組みだとして、同法を弱体化させる「一連の具体的な改革案」の基礎を示した。先月、バー司法長官はこれらの提案を盛り込んだ法案を議会に提出した。

民主党は最近になって、230条を追いかける考えに取りかかったが、その理由は異なっている。右派は主に政治的検閲について不満を表明しているが、民主党の議員たちは、230条の変更をソーシャルメディア上で蔓延し続ける虚偽情報やその他の有害なコンテンツについて、プラットフォームに責任を負わせる方法だと見ている。

230条を狙った法案

リンゼイ・グラハムの法案「EARN IT Act」は、おそらくこれまでのところ、230条をターゲットにした法案として最もよく知られています。この法案のトーンダウンされたバージョンは委員会を通過したが、まだ上院の全会派には提出されていない。

6月には、召喚状を発行する委員会のメンバーであるジョン・チューン上院議員とブライアン・シャッツ上院議員が、PACT法として知られる超党派の230条法案を提出したが、これは主にモデレーションの透明性に焦点を当てたものだった。

問題をさらに混乱させるために、今月初めにはトランプ大統領が「230条を直ちに廃止するように」と自身の党に呼びかけた数時間後に、230条に焦点を当てたグラハム氏が後援した別の法案が登場した。しかし、その提案は超党派の後援を得ていなかった。

次の大きなテック公聴会で何が起ころうと、そして230条法案のすべてで何が起ころうと、技術の重要な法的盾を変えるために何かをしようという超党派の意欲があることは明らかだ。

明確なのは、このような基本的な法律に手を加えることは、私たちが知っているようにインターネットに大きな波紋をもたらす可能性があり、軽々しく請け負うべきものではないということ。230条は、次のテック企業大手の公聴会では、その場しのぎにされることになるだろう。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:ドナルド・トランプ大統領、Twitter、Facebook、Alphabet、Section 230

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ミシガン州で自動運転車専用道路を建設へ、ホンダやトヨタ、GM、フォードなども協力

Alphabet(アルファベット)傘下のSidewalk Labs(サイドウォーク・ラブス)からスピンオフした次世代インフラ開発のSidewalk Infrastructure Partners(サイドウォーク・インフラストラクチャー・パートナーズ)は、最初の大きなプロジェクトとなるコネクテッド自動運転車専用の道路を開発する子会社「Cavnue」(キャブニュー)の立ち上げを発表した。

Cavnueはミシガン州を起点として、Ford、GM、Argo AI、Arrival、BMW、ホンダ、トヨタ、TuSimple、Waymoなどのパートナーと協力して、今後の標準となる物理面およびデジタル面のインフラ開発に取り組む。コネクテッド自動運転車をパイロットプロジェクトとしてではなく、米国のハイウェイ、フリーウェイ、州間道、市街地道路で走らせるために必要なインフラを検討する。

Cavnueが着手するのは、ミシガン州デトロイトのダウンタウンとアナーバーの間の40マイル(約64km)で、この区間が自動運転車専用道路の対象となる。同社の構想は、最終的に自動シャトル、バス、トラック、自家用車のために設計された道路を数多く建設することだ。

「Cavnueが40マイルの道路のマスターデベロッパーとなる」とGretchen Whitmer(グレッチェン・ホイットマー)ミシガン州知事は8月13日にSidewalk Infrastructure Partnersとの共同発表で述べた。

「我々が今取ろうとしている行動は、家庭、ビジネス、そして経済全体にとって良いことだ。世界を動かす州、ここミシガンでは、未来の自動車をテストして展開する土台となるインフラを構築する最初の一歩を踏み出した」とホイットマー氏は声明で述べた。「すべてのミシガン人が子供達を車で安全に学校へ送り迎えできるよう道路を再開発する一方、明日の道路への布石となるスマートインフラの構築にも取り組む」。

画像クレジット:Getty Images / petovarga

「デトロイト・アナーバー・コリドー(回廊)」にはミシガンアベニューと州間道94号線沿いにウェイン郡とウォッシュノー郡のコミュニティが存在し、ミシガン大学、デトロイトメトロポリタン空港、ミシガン中央駅などがある。Sidewalk Infrastructure Partnersの声明によると、この区間には最大12の「オポチュニティーゾーン」が用意され、コミュニティや中小企業がこの地域の産業、技術、学術のハブにアクセスできる予定だ。

プロジェクトの第1フェーズでCavnueは「モビリティと電化の未来室」やミシガン交通局などのミシガン州の多数の政府機関と協力し、約2年にわたり実行可能性とデザインの検討を行う。

プロジェクトの第1フェーズの最初の仕事として、道路設計の商業的、技術的な実行可能性を検討する。Cavnueの声明によると、コネクテッドバスと、バンやシャトルなどのシェアモビリティビークルが道路を最初に利用する。その後、貨物車や自家用車などのコネクテッド自動運転車に対象が拡大される。

主なパートナー

Bill Ford(ビル・フォード)氏は2018年、Cavnueが建設を提案したのと同様のコネクテッド・コリドーを構想していた。Ford(フォード)のコークタウンイノベーションハブを、アナーバーからデトロイトへの回廊沿いの経路の東端拠点として考えていた。フォードはCavnueのプロジェクトの主要なパートナーとなった。

Cavnueは他にも多数のパートナーに頼る。ミシガン大学のCAV(Connected and Automated Vehicle)研究センターとMcity Test Facility、交通研究所(UMTRI)、その他の回廊沿いの施設や米国モビリティセンターなどだ。

「ミシガン・セントラル駅(のプロジェクト)における私のビジョンは、明日の交通問題を解決し、すべての人のモビリティアクセスを改善するオープンモビリティイノベーションのための場所を作ることだった」と同氏の名を冠した自動車会社の会長を務めるフォード氏は声明で述べた。「コネクテッド・コリドーを作ることで、ミシガン州はより通信でつながり(Connected)、自律的で電化が進んだ未来を作るリーダーとしての地位を確立する。コミュニティ、経済的利益、そしてミシガン南東部全体にスマートインフラを構築することの重要性を認めてくれた州に感謝する」。

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

ハンドルを握る人間によるミスが米国における死因のトップだ。ミシガン州では過去10年間で自動車の死亡事故により1万人が亡くなった。Cavnueのパートナーでもあるフォード、GM、Argo AI、Arrival、BMW、ホンダ、トヨタ、TuSimple、Waymoのような企業は、コネクテッド自動運転車が死者を減らし、通勤に費やす時間を削減できると主張している。

Cavnueのミッションが包括的なものになっているのは、自動運転車の商業展開が業界で当初考えられていたよりはるかに遅いと認識されていることの裏返しだ。同社はGoogle(グーグル)本社でのイノベーションイベントから生まれた。レベル5の自律性(人間の介入を必要としない完全自動運転車)は、短期で達成できる機会というよりは未来志向の人達のコンセプトであると思われていた。

自律性に関する研究開発を続けるために必要な数十億ドル(数千億円)の投資を正当化するために、企業には短期的に応用できる対象が必要だ。応用には物理​​的なインフラが必要となる。

新型コロナウイルスの時代にあって、ライトレールシステム(路面電車)やその他の大量輸送ソリューションが使われなくなり渋滞が増える心配を抱える自治体にとって専用レーンは、自律型公共交通機関には新しい収入源を、企業には大規模なパイロットプロジェクトの一部として自動システムを安全にテストする機会を提供できるのかもしれない。

一部の計画担当者が考えていたことの1つに、ライトレールの代わりとしての自動シャトルの使用と、よりダイナミックなソリューションの可能性があった。需要に応じて稼動する台数を調節し、ルートを共有することで効率が向上し、目的地に到達するまでの時間を短縮できる。

資金は、技術を検証する場を得る自動システムメーカーが提供する可能性がある。最終的には、高度な運転システムを備える車を所有する個人が、レーンにアクセスして公共輸送車両の間の空きスペースを使うために対価として支払う可能性もある。

例えば、道路を使いたい人は10ドル(約1070円)を払った上で、自分の車を自律モードにすることが考えられる。公共交通機関と民間の配達車両が優先されるだろう。道路を使うには自動運転機能を備えていることを証明する必要があるかもしれない。

画像クレジット:Getty Images

新しいサービスはこれまでにない種類の官民パートナーシップによって運営されるかもしれない。新しいレーンが生み出す公共料金の金額によって結果を評価する。Cavnueのような企業は車両を調達し、インフラを構築する。道路への投資を担い、許可された自動運転対応車へアクセス権を売る権利を得る。

これがミシガン州で機能するなら、州議会のリーダーの一部は計画の全米普及を推進するつもりだ。

「ミシガンはモビリティの新しいフロンティアの最前線にいる。わが州には自動車メーカー、サプライヤー、エンジニア、大学、試験施設が密集している。彼らが我々の移動手段を一変させるような交通手段の開発を進めている 」とミシガン州選出の上院議員Gary Peters(ゲイリー・ピーターズ)氏は語る。「この発表はミシガン州が自動運転車の研究開発の中心であり続けるための大きな一歩だ。私は連邦レベルで引き続き働き、こうした革新的な(そして命を救う)技術を安全に導入する連邦レベルのフレームワークを開発する」

だが投資が理にかなっていると誰もが確信しているわけではない。

「(可能性がはっきりしない)灰色のインフラへの莫大な投資だ。これは大きなインフラプロジェクトだ」と、プロジェクトについて話す権限がないため匿名を希望したインフラの専門家は述べた。「想定が偏っている。設計が偏っており、想定する利用方法が偏っている。専用レーンは交通の専門家が提唱しているものではない。自動運転車で働いており、それが採用されることに既得権を持つ人々の声のみが反映されている」

画像クレジット:petovarga / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi