半導体製造大手の台湾TSMC、インテル、AMDがロシアへの半導体販売を停止―ウクライナ侵攻をめぐる制裁として実施

半導体製造大手の台湾TSMC、インテル、AMDがロシアへの半導体販売を停止―ウクライナ侵攻をめぐる制裁として実施

Eason Lam / Reuters

ウクライナ侵攻をめぐる米バイデン政権の制裁実施を受けて、半導体製造大手のTSMCとインテルおよびAMDの3社がロシアへの販売を停止したと報じられています。

すでにApple PayやGoogle Payといった米国拠点のデジタルウォレットは、現地の主要銀行口座と紐付けられているものに関しては機能を停止しています。今回の措置は、米国の対ロシア制裁が半導体メーカー、とりわけTSMCにまで広げられたかっこうです。

米The Washington Postによると、TSMCはロシアへの直接販売と、ロシアに製品を供給しているサードパーティへの販売を両方とも停止したとのことです。TSMCが制裁条件を完全に遵守するために調査している間、販売を止めたとの匿名情報筋の話も伝えられています。

またTSMC公式にも「発表された新しい輸出管理規則を遵守することに全力で取り組んでいる」との声明が出されています。

TSMCはiPhone用のAシリーズチップやiPad/Mac用のMシリーズチップ製造で知られています。その一方でロシアで設計され、ロシア軍や治安機関で使われている ELBRUSブランドのチップも製造しているため、その販売停止はとても重要といえます。

TSMCのほか、インテルやAMDなどもロシアに半導体の販売を停止しているとのことです。SIA(米国半導体協会/インテルやAMDも参加)はWashington Post紙に「ウクライナで展開されている深く憂慮すべき出来事を受けて」すべての会員が規則を「完全に遵守することを約束する」と述べています。

またSIA会長のジョン・ニューファー氏は「ロシアへの新ルール(輸出管理規則)の影響は大きいかもしれない」ものの「ロシアは半導体の重要な直接消費者ではなく、世界のチップ購入の0.1%未満にすぎない」とも指摘しています。半導体製造メーカーにとっては大した痛手にならない一方で、ロシア軍の動きや兵站を制約するものとして、しっかりと守られることになりそうです。

(Source:The Washington Post。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

Windows 11でAndroidアプリを動かせる最小要件が公開―第8世代Core i3・Ryzen 3000以上、8GBメモリー以上

Windows 11でAndroidアプリを動かせる最小要件が公開―第8世代Core i3・Ryzen 3000以上、8GBメモリー以上

Microsoft

米マイクロソフトは今週、Windows 11の最新アップデートを配信し、米国にてAndroidアプリサポートをプレビュー版として一般提供を開始しました。それに続いて、Androidアプリを動かせるWindows 11 PCの最小要件が公式に明らかにされました。

本機能はAmazon Appstoreを通じて、Windows 11ユーザーがAndroidアプリダウンロードや利用できるようにするもの。2022年2月現在ではKindleやAudibleのほか、ロードモバイルやKhan Academy Kidsなど約1000本のアプリが提供されています。とはいえ、Windows 11が動くすべてのPCでAndroidアプリ動作がサポートされるわけではありません。

そこでMSは新たなサポートページを公開し、Androidアプリを使うため必要なPCの最小要件を以下の通り詳しく説明しています。

  • RAM(メモリー):8GB(最小) 16 GB(推奨)
  • ストレージ:ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)
  • プロセッサ:Intel Core i3 第8世代(最小)以上、AMD Ryzen 3000(最小)以上
  • Qualcomm Snapdragon 8c(最小)以上
  • プロセッサアーキテクチャ:x64またはARM64
  • 仮想マシンプラットフォーム:この設定を有効にする必要あり。詳しくはこちら

これらは過去3年のうちに10~15万円程度のPCを購入していれば、さほど厳しい条件とは思われません。

注意すべき点があるとすれば、インテルとAMDプロセッサでの「どれだけ古くても許容されるか」という違いでしょう。インテル製の場合は第8世代Core i、つまり5年前(2017年)の製品がサポートされているのに対して、AMD製は3年前(2019年)のRyzen 3000で線引きされています。

もっともRAMは8GB、ストレージはSSDであればいいという緩さであり、排除されるユーザーはあまり多くはなさそうです。あとはプレビュー版であれ、速やかに日本向けの一般提供を望みたいところです。

(Source:Microsoft。Via WindowsLatest9to5GoogleEngadget日本版より転載)

AMDがZen 4および3D V-Cache搭載Ryzen 7 5800X3D公開、2022年後半発売へ

AMDがZen 4および3D V-Cache搭載Ryzen 7 5800X3D公開、2022年後半発売へ
AMDがオンライン発表会「AMD 2022 Product Premiere」を行い、3D V-Cache技術を搭載するRyzen 7 5800X3Dを発表しました。また今年(2022年)後半には、Zen 4アーキテクチャーを採用するRyzen 7000プロセッサーシリーズを市場投入することも明らかにしています。

まず3D V-Cache技術に関してですが、Ryzen 7 5800Xの搭載する36MB L2 / L3キャッシュが、今年の春以降に出荷されるというRyzen 7 5800X3Dでは合計で約100MBに大容量化。これにより1080p解像度のゲームプレイではRyzen 9 5900Xに対して約15%パフォーマンスを向上します。さらに、またインテルのCore i9-12900Kに対しても5%上回る性能を示すとAMDは主張しました。

AMDがZen 4および3D V-Cache搭載Ryzen 7 5800X3D公開、2022年後半発売へ

AMD

5%の差は、体感的にはほとんど変わりないかもしれません。しかしAMDには、まずはこの技術が実用レベルに仕上がっていることを示し、将来登場する新しい世代のCPUへの期待値を上げる意図もあるかもしれません。

そして、その将来登場するCPU製品に採用されるのが、次世代Zen 4アーキテクチャー。2022年後半とアナウンスされたRyzen 7000番台は5nmプロセスで製造され、DDR5、PCIE5に対応するとのこと。またRyzen 7000以降ではマザーボードへの搭載ソケットがSocket AM5になり、その形状がインテルと同様のLGA方式(LGA1718)に変わります。

発表ではZen 4を採用したチップでマイクロソフトのマルチプレイヤーFPSゲーム「Halo:Infinite」をデモンストレーションし、短時間ながら非常にスムーズなプレイが可能であることをアピールしていました。このデモではCPUの全てのコアが5GHzで動作していると説明していました。

(Source:AMD(YouTube)Engadget日本版より転載)

AMDベースPCで発生するWIndows 11性能低下について2つの修正パッチがリリース

AMDベースPCで発生するWIndows 11性能低下について2つの修正パッチがリリース

AMD

先週、AMDはWindows 11に、AMD製プロセッサーを搭載したPCにインストールすると本来の性能を発揮できなくなる問題があることを確認しました。この問題はAMD製CPU、特にRyzenユーザーから最適なパフォーマンスが得られないとの報告が多くあがっています。その性能低下は一般的なアプリケーションで3~5%、一部のゲームでは最大15%もの性能低下がみられたとされています。

最近のRyzenは特に最高のパフォーマンスが求められるeSportsプレイヤーに人気があり、ゲームのパフォーマンス低下は大きな痛手になります。AMDとマイクロソフトはこれらの問題に対応するため、2つの修正パッチを用意しました。

修正のひとつはAMDチップセットドライバー アップデートv3.10.08.506として提供され、アプリケーションが使用するCPUコア選択システムの問題を修正します。この問題はRyzenが搭載するCollaborative Power and Performance Control(UEFI CPPC2)機能において、もっともパフォーマンスの高いコアにワークロードが割り当てられない症状を発していました。

一方、もうひとつの性能低下要因は、L3キャッシュのレイテンシーが通常時に比べ最大3倍も大きくなるというものでした。こちらには、Windows 11 アップデート22000.282(KB5006746)が提供されます。

今回のアップデートは、Windows 11に対応したAMDのすべてのCPU、Ryzen 2000、3000、4000、および5000シリーズ、さらには最新のEpycおよびAthlonに対応しています。

AMDとマイクロソフトはこれらの問題を解決するため、影響を受けているWindows 11ユーザーは直ちにこのアップデートを適用するよう推奨しています。また、Windows 11の要件を満たさないものの手動でアップグレードをしたユーザーに対しては、これらのアップデートを手動でインストールする必要があると述べています。ただ、一部にはWindows Updateで今回のパッチが表示されインストールできたとの報告もある模様。いずれにせよ、問題を経験したAMD製CPUユーザーは、修正プログラムの適用状況を確認しておくことをおすすめします。

(Source:AMDMicrosoftEngadget日本版より転載)

AMDがRyzenプロセッサーとWindows 11による性能低下に関する情報公開、修正プログラムを10月中公開へ

AMDがRyzenプロセッサーとWindows 11による性能低下に関する情報公開、修正プログラムを10月中公開へ

米AMDは自社製プロセッサ「Ryzen」を搭載したパソコンに「Windows 11」をインストールすると、アプリケーションなどの性能が低下する可能性があると発表。米マイクロソフトと協力し、問題を修正すると発表しました。

AMDのサポートページによれば、現在確認されている問題は2点。1つはプロセッサに搭載されたL3キャッシュのレイテンシが増大するというもので、これによりアプリケーションによっては3〜5%の性能低下があるとしています。また、特にゲームなどで影響が顕著になるとのこと。

これに関する修正プログラムはWindowsアップデートとして、10月中に配布予定です。

もう1つは、プロセッサの最速コアへとスレッドを優先的に割り当てる機能が、うまく動作しない問題です。これにより、1〜数コアのCPUを利用するアプリケーションが影響を受ける可能性があります。また8コアかつTDP 65W以上のプロセッサにて、影響が顕著です。

この問題はソフトウェアアップデートとして、同じく10月中に公開予定となっています。

Windows 11のパフォーマンスに関する問題としては、仮想化を利用したセキュリティ技術「VBS(Virtualization-based Security)」により、ゲームのパフォーマ寸が低下する問題が報告されています。やはりリリースされたばかりのOSということで、いくつかの問題の発生は仕方ないのかもしれません。

(Source:AMD。Via Ars TechnicaEngadget日本版より転載)

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

大手IT関連機器メーカーのレノボが2021年9月8日開催のプライベートショー『Lenovo Tech World 2021』に合わせて、Windows 11搭載ノートPCの第一陣となる製品を海外向けに発表しました。

その中でも最大の注目モデルが、14インチ/2880×1800解像度/16:10仕様の有機EL(OLED)画面を搭載し、本体重量1.1kgからのモバイルノートPC『Yoga Slim 7 Carbon』。

日本では“白いカーボン”などのキャッチコピーで知られる13.3インチ機『Yoga Slim 750i Carbon』の大画面+AMD CPU版モデルとも呼べる位置づけです。

発売はWindows 11のリリースとほぼ同時となる2021年10月から、米国での価格は1289.99ドルから。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

有機EL搭載だけあり、液晶パネルとのコントラストや色域比較イメージも。仕様は後述しますが、いよいよ高級モバイルノートPCも“世代交代”が本格化しそうな仕様です

「世界最軽量の14インチ有機EL画面搭載ノートPC」を謳うこのモデルの特徴は、ノートPC用としては新世代となるアスペクト比16:10の有機ELパネル(これまでは、PC用としては16:9のみでした)をはじめ、CPUには8コア16スレッド対応のAMD『Ryzen 7 5800U』を、単体GPUとしてNVIDIA『GeForce MX 450』を搭載可能など、2021年末のモバイルノートPCとしてヘビーユーザーが欲しい機能を満載した“欲張りセット”的な仕様という点。

本体重量は現行13.3インチ版の約966gから140gほど増し1kgをオーバーしてしまいますが、仕様の充実度は間違いなくそれ以上と呼べるレベルです。

・参考記事:レノボ「白いカーボン」は966g高級モバイル。2560×1600液晶のYoga Slim 750i Carbon発表(2020年12月)

本体色は、13.3インチ版のホワイトとは一転し、シルバーとグレーの中間的な『クラウドグレー』。本体外装は現行モデルに引き続き、カーボンファイバーとマグネシウム合金を採用。本体重量は公称1.1kg、薄さは14.9mmからとなります。レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

第一の注目点は、搭載される有機ELパネルです。上述したように、ノートPC用としてはアスペクト比16:10の有機EL、という時点で目新しいもの。

さらに解像度はQHD+(2880×1800)、最高リフレッシュレートはモバイルノートでありながら90Hz、さらに総合的な画質ではVESAの『DisplayHDR TrueBlack 500』認証をパスするなど、モバイルノートPCとしては驚異的な数値が並びます。

HDR映像ソースではドルビービジョンに対応し、最高輝度はHDR映像ソースによって上げられるタイプ(iPhone 12系などと似た仕様です)となっており、通常時は400nitながら、HDR映像ソースなどでのピーク値は600nitとなる仕様に。

色域はデジタルシネマ仕様であるDCI-P3を100%カバー、出荷時カラーキャリブレーション(色較正)済みで色差(ΔE)は2以下、さらに4辺ナローベゼル設計……など、最新世代だけあり、モバイルノートPCとしては(現行の有機ELパネルを含めてさえも)ちょっと驚くような仕様です

なお隠れた特徴として、レノボのプレスリリースではパネルメーカーに関してSamsung Display製を明示しています。

加えて視力保護の観点では、第三者認証機関であるTUV Rheinland(テュフ ラインランド)のEye Comfort認証を得ている点も特徴。これは同社のディスプレイ認証で一般的なブルーライトカットに関してのみならず、反射防止処理やフリッカーフリーの効果についても規定された、より上位的な認証となっています。

さらにタッチ対応もオプションで選択可能。その場合の表面ガラスは、おなじみコーニングのゴリラガラスを採用します(ただし世代は非公開)。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

キーボードは現行のYoga 7シリーズとほぼ共通。Enterキー周りの“複数配列を兼用するための変形レイアウト”も引き継がれます

この超強力な液晶パネルに応じて、基幹パーツも現状のモバイルノートとしては最も強力、と言っても過言ではない布陣が敷かれます。

CPUはAMDのノートPC用Ryzen 5000Uシリーズ。モバイルノートだけありTDP(性能と発熱、消費電力の目安となる数値)は15W版となりますが、最上位には“Zen 3”世代のCPUを8コア搭載し、16スレッドの同時実行が可能な『Ryzen 7 5800U』を搭載可能です。

さらにグラフィックス部オプションとして、単体GPUのNVIDIA『GeForceMX 450』も搭載可能。Ryzen 5000Uシリーズは内蔵GPUも比較的強力ですが、これをさらに強化できる仕様。昨今のモバイルノートで単体GPUが搭載可能という時点で、非常に珍しい仕様です。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

天板は現行Yogaシリーズに共通したシンプルな仕上げ。右側面には電源ボタンとカメラオフ用スライドスイッチ、USB Type-C端子を備えます

RAMはノートPC用Ryzenでは最速となるLPDDR4Xタイプで、最大16GB。ここまで充実の仕様で32GBオプションがないのは残念ですが、おそらく価格バランスも考慮されたものと想定されます。

ストレージは、最大1TBのNVMe(PCI Express接続)のM.2 SSDと、イマドキとしては標準的な仕様です。

これだけ強力な心臓部となるとバッテリー駆動時間が心配、という方もいるでしょうが、そちらもしっかりと強化。容量は61Whと、13.3インチ版の50Whより大幅増になりました。

これにより公称バッテリー駆動時間は最大14.5時間をキープ。強力な有機ELパネルやCPU、GPUを搭載しつつも、昨今のモバイルノートとしての水準を満たす仕様。また急速充電も「15分で約3時間分」とアピールする、かなりの速度です。

隠れた特徴はスピーカー。現行モデルと同じくドルビーアトモス対応ですが、搭載位置は大きく変更され、キーボード左右になりました。現行モデルでは底面側だったため、実際の音質や定位は改善が期待できます。

またこのスピーカーグリルは冷却孔も兼ねるシステム。強力な基幹パーツから発生する熱対策の手助けともなっています。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

左側面にはUSB Type-C×2基とヘッドセットジャックが配置。ACアダプタはType-C経由となる仕様です

拡張端子は、USB Type-C×3基(速度は全て10Gbps、ただし電源入力とDisplayPort Alt Mode対応は内2基のみ)と、3.5mmヘッドホン/マイク兼用オーディオ入出力。さすがにCPUがRyzen系だけあってかThunderboltには非対応ですが、現行世代の水準と呼べそうです。

本体の堅牢性に関しても、現行モデルに引き続き9種の『MIL-STD 810H』テスト(米軍調達仕様)をパス。厳しい動作環境や物理的な衝撃にも強い点をアピールします。

使い勝手の面では、現行モデルから引き続き、のぞき見警告機能『プライバシー・アラート』機能を継承。Webカメラ部に搭載された赤外線カメラとTOFセンサーにより、離席時の自動画面ロックや復帰なども行えます。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

プレスリリースでの仕様一覧。有機ELパネルに関する仕様は、改めて見ても壮観と呼べるレベルでしょう(なお、「AAR」とはいわゆる「画面占有率」です)

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800このようにYoga Slim 7 Carbonは、モバイルノートPCのヘビーユーザーが欲しくなるようなディスプレイと基本性能をジャストで備えてきたかのような、非常に魅力あふれる意欲作。

重量こそ1kgの大台を上回るものの、高解像度かつ広色域な有機EL画面と快速処理という特徴を思い切り追求したかのような仕様に魅力を感じるEngadget読者も少なくないはずです。

昨今のレノボのYogaシリーズの製品展開から予想するに、日本での発売も期待できそうなモデルだけに、可能であれば早め、かつ内外価格差少なめでの発売を期待したいところでしょう。

(Source:レノボ ニュースリリース(英語版)Engadget日本版より転載)

Windows 11の「PC 正常性チェック」アプリが刷新され「Windows Insider」向けにプレビュー版が公開

Windows 11の互換性チェックアプリが刷新され「Windows Insider」向けに再公開、対応プロセッサも拡大米マイクロソフトは米国時間8月27日、以前に取り下げていた「PC 正常性チェックアプリ」(PC Health Check)をアップデートし、「Windows Insider」向けに再度公開しました(プレビュー版をダウンロード可能)。また、同OSの動作要件も一部変更されています。

今年後半にリリースされる予定のWindows 11はすでにプレビュー版が公開されており、同時に互換性をチェックするアプリ「PC Health Check」も提供されました。しかしマイクロソフトは公開直後、最初のバージョンのチェックアプリでは「ユーザーに正確な情報を提供できなかった」として、配布を中止していたのです。Windows 11の「PC 正常性チェック」アプリが刷新され「Windows Insider」向けにプレビュー版が公開

今回新たに公開されたPC 正常性チェックアプリアプリでは、以前のバージョンで問題となっていた「どの点が動作要件を満たしていないかがわかりにくい」という点を改善。上画像のように、「TPM 2.0(PCのセキュリティ管理機能)」をサポートしていない、あるいはプロセッサが対応モデルでない、などの詳細情報を提供してくれます。

また今回、Windows 11の動作要件も変更されました。以前から対応していた第8世代Intel CoreプロセッサやAMD Zen 2プロセッサだけでなく、第7世代のCore Xシリーズ、Xeon Wシリーズ、Core 7820HQが対応プロセッサとして追加。なお、以前対応がテストされていた「初代Zenプロセッサ」については、対応が見送られています。

一方でマイクロソフトは、Windows 11に非対応のシステムでもISOファイルによる手動インストールが可能だと説明しています。ただしそのようにインストールされたWindows 11にはアップデートが提供されず、セキュティやドライバの更新も保留される可能性がある、とのこと。ISOファイルでのインストールは、あくまでも自己責任での対応となります。

先述のTPM 2.0の要求や互換性チェックアプリの一時取り下げなど、若干の混乱もみられたWindows 11のアップデート準備作業。しかしチェックアプリを更新し、対応プロセッサも拡大するなど、幅広いシステムをWindows 11へとアップグレードしてもらおうというマイクロソフトの努力もいたるところで見受けられるといえそうです。

(Source:Windows BlogEngadget日本版より転載)

スイスの大学が円周率計算の世界新記録62.8兆桁達成と報告、AMD Epyc 7542×2・1TBメモリー・16TB HDD×38など利用

スイスの大学が円周率計算の世界新記録62.8兆桁達成と報告、AMD Epyc 7542×2・1TBメモリー・16TB HDD×38など利用

Olivier Le Moal via Getty Images

スイス・グラウビュンデン応用科学大学の研究チームが、円周率計算の世界記録に挑戦し、これまでの記録である50兆桁を12.8兆桁更新する、62.8兆桁まで計算したと主張しています。

50兆桁というこれまでの記録は2020年に米国のティモシー・マリカン氏が更新したもので、その計算時間は303日もかかりました。これに対し62.8兆桁まで計算した今回の記録はもしかしたら1年超えか…とおもいきや、意外にも108日と9時間ということなので、ほぼ1/3に短縮されています。

ではその計算を行った機材はと言えば、2.9GHz(最大3.4GHz)の32コアAMD Epyc 7542を2つ搭載し、1TB RAM、ディスクアレイとして16TB HDDを38台搭載したマシンとのこと。特徴的なのは、38台あるHDDのうち34台はメモリスワップデータ格納用に使用されているところ。これはメモリーが非常に高価でであるためコストダウン策として構成されています。またSSDではなくHDDを使用している理由としては、膨大な回数の計算を繰り返して行い、データの上書きを繰り返すことを考慮した結果とのことです。なお、OSはSSDにインストールされたUbuntu 20.04で、円周率計算には「y-Cruncher」と呼ばれるソフトウェアを使用しました。

ちなみに、62.8兆桁まで計算されたという円周率ですが、チームはまだギネスに正式に記録として認められていないとして、その最後の10桁が「7817924264」だったとだけ述べています。どうやって確認するのかはわかりませんが、ギネスがその数値を正しいと認め、記録として認定すれば、62.8兆桁すべてを公表するとしています。

(Source:FH Graubünden。Via The RegisterEngadget日本版より転載)

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Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valve

Valve社が発売予定の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindows 10がインストール可能だと判明していますが、次期Windows 11も問題なくインストールできるよう作業中との公式見解が発表されました。

現世代のWindows 10が最新の携帯ゲームPCで動くことには不思議はありませんが、次期Windows 11についてはTPM 2.0必須とされています。実際にマイクロソフトが最初に提供したPC正常性チェックアプリでは多くのPCが互換性がないと表示され、サードパーティ製のTPM 2.0対応ボード購入に走るユーザーも相次ぎました。

その後に配布されたプレビュー版では要件が緩和されていますが、あくまで「幅広くテストする」に留まる可能性もあり、製品版で同じ仕様が引き継がれるかどうかは記事執筆時点では不明です。

この点につきValve社のSteam DeckデザイナーであるGreg Coomer氏は、海外テックメディアPCGamerに「いまTPMに注目が集まっています」「これまではWindows 10に集中していたため、そこまでは手が回らなかったのです。私たちが期待しているのは、それに応えられることです」と語っています。

これは心臓部分となるAPUを開発したAMDとも協議してきたことであり、Coomer氏いわく「BIOS(UEFI)レベルでの対応を確認するために、AMDとの話し合いも行っています」とのこと。そのため「Windows 11で何か問題が発生したということは、今のところ一切ありません」と語られています。

標準のSteamOS 3.0をWindows 11に置き換えたいと考えている人にとっては、Coomer氏の発言は朗報と言えます。8月時点ではSteamで販売されているゲームの内、LinuxおよびSteamOSが正式サポートされているのは全体の15%に過ぎず、最もプレイされている10本のゲームのうち半分が動かないことも明らかにされています

Valve社はProton(Linux上でWindowsアプリを動かすしくみ)を改善することで「Steam Deckを出荷するまでに、すべてのゲームが動作するようにする」という目標をめざすと述べていました。

それが達成できれば出荷状態のSteam Deckで、何の手間もかけずに豊富なゲームライブラリが楽しめるはず。ですが、もし実現しなくとも、Windows 11をインストールして「携帯Xbox」として活用できる可能性が高まったとは言えそうです。

Valveが約4.4万円の「Zen 2+RDNA 2」携帯ゲームPC「Steam Deck」でWindows 11が動作するよう作業中と明かす

Valve。別売の公式ドックを利用することで、外部ディスプレイ、有線ネットワーク、USB周辺機器、電源に接続可能となる。公式ドックの詳細は近日公開予定

(Source:PCGmaerEngadget日本版より転載)

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約4.4万円の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valveの携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valve

先日Valveが「Steamが動くハンドヘルドゲーミングPC」ことSteam Deckを正式発表しましたが、Arch LinuxをベースとしたSteam OSゲーム専用機という他は未知の部分が多く残されていました。

その続報として、Windowsをインストールできることや「どれだけSteamで販売中のゲームが動くのか」といった続報が伝えられています。

まずWindowsやサードパーティ製コンテンツについては、Valveの開発者向け公式FAQにて「Steam DeckはPCなので、プレイヤーは他社のOSを含めて何でもインストールできます」と述べられています。

この件になぜ注目が集まっていたかといえば、Steam OSつまりLinux上でSteam用ゲームがすべて動くわけではないからです。Steamで販売されているゲームのうち、LinuxおよびSteam OSが正式にサポートされているのは全体の15%に過ぎません。

そうした事態を緩和しているのが、数年にわたるValveの「Linux上で多くのWindows用ゲームを遊べるようにする」ことへの取組みです。それでもProtonDB(Linux上でWindowsアプリを動かす「Proton」の対応状況をまとめたサイト)によると、Steamで最もプレイされているトップ10のうち半分が動かないとのこと。

この原因はProtonとチート対策ソフトを搭載したタイトルとの相性の悪さとされており、Valve社はEACやBattllEye(どちらもチート対策ソフトウェア)と協力していると述べています。つまり、これらを採用しているApex Legends, Destiny 2, PUBG, Fortnite, and Gears 5がまもなくSteam DeckとProton上で動くかもしれないーーテックメディアThe Vergeはそう指摘しています。

しかしWindowsそのものをインストールすれば、そうした問題は一挙に解消されるはず。The Vergeによれば、Steam Deckのハードウェアは「AMDのカスタムGPUを搭載し、8つのRDNA 2 CUを備え、最大1.6TFLOPSの性能を発揮する。これはXbox One S(1.4TFLOPS)よりもわずかに上で、PS4(1.8TFLOPS)をわずかに下回る性能だ。最新のRDNA 2アーキテクチャを採用しているため、TFLOPSだけで比較するのは難しいが、携帯型PCゲームに十分な性能を発揮することは間違いなそうだ」とのこと。そうした強力なデバイスにWindowsを積めば、ポータブルXboxに近くなるというわけです。

とはいえ、Windowsをインストールする場合は完全なドライバーのサポートがある保証もなく、ハンドヘルド機器用に最適化されていないUIも苦労するかもしれない。さらに(Windows 10 PCだからといって全ゲームが動くわけではないように)Steam DeckのWindowsでゲームがどれだけ上手く機能するかも明らかではないとも指摘されています。

ともあれ、これほど高性能のハンドヘルドPCが399ドル(約4万3800円)からの低価格で入手できることは、先行している他社の「Steamゲームが遊べる超小型ゲーミングPC」の相場感覚からすれば驚異にも思えます。実際、Valveの共同創設者であるゲイブ・ニューウェル氏は米IGNの取材に対して、「消費者に魅力を感じてもらえる価格帯にすることが非常に重要であること」は分かっていたので大変な努力をしており、価格設定は「二次的に痛みを伴うものだった」とも語っています。

記事執筆時点ではSteam OS上でのSteamゲーム互換性は十分とは言えませんが、今後しだいに改善されていくはず。日本上陸は欧米よりも遅れる見通しですが、その頃にはWindowsをインストールする必要がないほど大半のゲームが完全に遊べることを期待したいところです。

(Source:SteamworksProtonDB。Via The VergeEngadget日本版より転載)

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インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

Apple

アップルがMacのプロセッサをインテル製から自社開発のAppleシリコンに2年かけて移行すると発表してから、1年以上が経過しました。その影響により、今後インテルのノートPC向けCPU市場シェアが大きく落ち込むとの予測が報じられています。

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、M1チップを搭載した4台のMacとそれに続く(Appleシリコン搭載Mac)リリースにより、今年(2021年)のインテルはアップルからの受注のうち50%を失うとのこと。さらに、最終的にはアップルからの受注がゼロになることで、2023年にはインテルのノートPC向けプロセッサの市場シェアは80%を下回るとの見通しが述べられています。

そればかりか、アップルが自社開発した一連のArmベースプロセッサ(Appleシリコン)は、2022年にはインテルのシェアから大きな割合を奪う重要な役割を果たすとの情報筋の予想も伝えられています。

2023年にインテルのシェアが80%を下回るという概算は、具体的にはアップルに供給していた10%のシェアを失う一方で、AMDは10%のシェアを堅持するとの予想から。インテルはWindows PCやサーバー向けのCPU市場ではAMDとの熾烈なシェア争いを繰り広げる一方で、Macは一種の聖域ともなっていましたが、それが消え失せることは手痛い打撃となりそうです。

インテルはそうしたAppleシリコンが自社のビジネスに与える影響を認識しているようで、「Macにできないことがインテル製チップを搭載したPCにはできる」など複数のキャンペーンを展開しています。それに対しては結果的にインテル製CPUを採用した16インチMacBook Proを貶めていることや、MacがPCよりゲーム体験が劣るのはインテルと関係ない他社製GPUによるものではないかとの指摘もありました

現在のM1搭載Macは「低消費電力のわりに高性能かつ低価格」にこそ強みがあり、お金にも消費電力にも糸目を付けないインテル製チップ搭載のハイエンドPCにはピーク性能で及びません。が、32個もの高性能コアや128個ものGPUコアを搭載すると噂される次世代Appleシリコンが登場すれば、プロセッサ市場を一変させるゲームチェンジャーとなる可能性もありそうです。

(Source:DigiTimes。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

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AMDがテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用とCOMPUTEX 2021基調講演で発表

AMDがCOMPUTEX 2021基調講演でテスラの新しいModel SとModel XがRDNA 2採用と発表

AMD

テスラのアップデートされたModel SおよびModel Xはまるで飛行機の操縦桿のようになったハンドルやレバーを使わないシフト操作など、一般的な市販車の既成概念を打ち破る改変が盛り込まれています。

テスラ車の特徴でもある巨大なタッチスクリーンを採用したインフォテインメントシステムも新モデルではその性能を大幅に向上しており、1月の発表時にはその性能が10TFLOPSにものぼると宣伝されました。10TFLOPSといえば、PS5やXbox Series Xなどが搭載するGPUとほぼ同等の性能。もしやテスラはこの最新ゲーム機と同等のGPU機能を自動車に詰め込んだのでは…という憶測が流れていました。

そしてこのたび開催されたComputexの基調講演で、AMDのリサ・スーCEOは新しいModel S / Xについて語り、それらがAMDのAPU(Radeonグラフィックス機能を統合したCPU)を搭載していることを認めました。さらにそのGPUは憶測どおりRDNA 2を採用しているとのこと。

ただし、車載インフォテインメントシステムという用途上、そのGPU性能は常に利用するのではなく、なにか高負荷な処理が必要とされるときだけ作動するようになっているとのこと。おそらくそれは車内でゲームをプレイするとき…というのがまっさきに思い浮かぶところですが、それ以外にも17インチの巨大なタッチスクリーンに加え、新しいテスラが搭載する後部座席用ディスプレイを同時に使う際などにも活躍しそうです。

ちなみに、ゲーム好きな著名人の中には、移動用の車両の後部座席にモニターとゲーム機を持ち込んでプレイする人もいるそうですが、そのような方々なら経済的な心配はいらなそうなので、多少値が張ってもModel SやModel Xを次に購入する愛車に検討してみても良いかもしれません。

(Source: AMD(Youtube)Engadget日本版より転載)

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8コアRyzenノートならコレ、1.5kg切りの14型「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」

ファーウェイ・ジャパンは、8コア16スレッドの「Ryzen 7 4800H」を搭載したハイパフォーマンス14型モバイルノートPC「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」を11月17日に発表、11月20日より販売を開始した。市場想定価格は税抜10万9800円。同時発表された「MateBook X」(市場想定価格税抜15万4800円)より低価格ながら、ハイパフォーマンスなAMDプロセッサーを搭載することで、現在日本向けに販売されている同社ノートPCの中で最も高い性能を備えている。

ファーウェイ・ジャパンの14型ノート「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」。市場想定価格は税抜10万9800円。マルチタッチ対応液晶ディスプレーの解像度は2160×1440ドット。指紋認証センサー(電源ボタン一体型)搭載

ファーウェイ・ジャパンの14型ノート「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」。市場想定価格は税抜10万9800円。マルチタッチ対応液晶ディスプレーの解像度は2160×1440ドット。指紋認証センサー(電源ボタン一体型)搭載

8コア16スレッド、7nmプロセスのRyzen 7 4800H搭載による圧倒的パワー

MateBook 14は、CPUに7nmプロセスの第3世代「Ryzen 7 4800H」(8コア16スレッド、2.9~4.2GHz)を採用。メモリー(RAM)は16GB、ストレージは512GB SSD(PCIe接続)を搭載している。

ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は「10009pts」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)だった。

ファーウェイのフラッグシップであるMateBook X(Core i5-10210U搭載)では、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)の数値は「2869 pts」。あくまでも同社ラインナップ内の比較ではあるが、MateBook 14はMateBook Xの約3.49倍の処理性能を備えていることになる。RAW画像の現像、4K動画の書き出しなどにも活躍してくれるはずだ。

TDP45W、7nmプロセスの「Ryzen 7 4800H」を搭載

TDP45W、7nmプロセスの「Ryzen 7 4800H」を搭載

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は10009 pts、CPU(Single Core)は「1253pts」

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は「10009 pts」、CPU(Single Core)は「1253pts」

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は「3569.98MB/s」、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は「2978.55MB/s」

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は「3569.98MB/s」、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は「2978.55MB/s」

新旧インターフェースを装備、SDメモリーカードスロット非搭載は残念

インターフェースはUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI 1.4b、3.5mmヘッドセット端子を用意。通信機能はWi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0をサポートしている。

無線LANがWi-Fi 6(11ax)に対応していない点、SDメモリーカードスロットが用意されていない点は残念だが、新旧インターフェースを揃えているところは使い勝手がよさそうだ。

ボディーはアルミニウム合金製で、カラーはスペースグレーを用意

ボディーはアルミニウム合金製で、カラーはスペースグレーを用意

ディスプレイには14型IPS液晶(2160×1440ドット、185ppi、輝度300cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

ディスプレイには14型IPS液晶(2160×1440ドット、185ppi、輝度300cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

色域を計測したところ、sRGBカバー率は99.3%、sRGB比は101.1%と表示された

色域を計測したところ、sRGBカバー率は99.3%、sRGB比は101.1%と表示された

8コア16スレッドのRyzen 7 4800Hを効率的に冷やすために、大きめの冷却口が設けられている

8コア16スレッドのRyzen 7 4800Hを効率的に冷やすために、大きめの冷却口が設けられている

キーボードはバックライト付きのフルサイズ日本語キーボード

キーボードはバックライト付きのフルサイズ日本語キーボード

フラッグシップのMateBook Xと同様に、ポップアップ式のウェブカメラ(720p)がキーボード奥に内蔵されている

フラッグシップのMateBook Xと同様に、ポップアップ式のウェブカメラ(720p)がキーボード奥に内蔵されている

本体前面と本体背面

本体前面と本体背面

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-A×2、左側面にUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、3.5mmヘッドフォン端子、HDMI 1.4bを用意

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-A×2、左側面にUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、3.5mmヘッドフォン端子、HDMI 1.4bを用意

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱。本体がUSB Type-A、HDMI端子を備えているのでUSBハブは同梱されていない

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱。本体がUSB Type-A、HDMI端子を備えているのでUSBハブは同梱されていない

コストパフォーマンス抜群、モバイル用途にも活用できる携帯性

本体サイズは308×224×15.9mm、重量は約1.49kg。設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており(Battery reportコマンドで確認)、バッテリー駆動時間は約11.2時間(JEITA2.0)とされている。ディスプレイ輝度100%、バッテリー残量2%までという条件でバッテリーベンチマーク「BBench」を実施したところ、5時間36分12秒動作した。最大輝度でもモバイル用途に十分活用できるバッテリー駆動時間を備えている。

本体の実測重量は1457g

本体の実測重量は1457g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測193.6g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測193.6g

設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載

設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載

14インチで1.5kg切り、モバイルできる8コアRyzen搭載ノート

Ryzen 7 4800Hを搭載しているノートPCはASUS、Dell、HP、MSI、ドスパラなどから発売されているものの、その多くが1.9~2.6kgとかなり重めで、1.5kgを下回るMateBook 14はめずらしい部類に入る。また、実売価格が11万円を切るなど、同CPUを搭載するマシンの中でも特にリーズナブルだ。コストパフォーマンスが魅力のRyzen 7 4800H搭載モデルの中でも、特にお買い得のマシンであることは間違いない。

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Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

携帯性もパフォーマンスも妥協しないというコンセプトで人気があるレノボ・ジャパンの「ThinkPad X」シリーズ。そのラインナップにAMD製CPU「Ryzen Pro 4000」シリーズを搭載した「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」が加わった。13.3インチの液晶ディスプレイを搭載しながら質量が約1.28kgに抑えられており、自宅でのテレワークはもちろん、出先にも気軽に持ち運んで使用できる。今回は、その実機を試用できたので、使用感や実力を紹介していこう。

レノボ・ジャパンの13.3型ノート「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

レノボ・ジャパンの13.3型ノート「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

ThinkPadシリーズの伝統的なデザインを踏襲

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)は、13.3インチの液晶ディスプレイを搭載したクラムシェル型のノートPCだ。マットブラックを基調にしたシンプルな筐体や天板にあしらわれた斜めのロゴ、赤いアクセントカラーなど、パッと見で「ThinkPad」と分かる伝統的なデザインを踏襲している。

本体サイズは幅311.9mm、奥行き217.2mm、高さ16.9mmで質量は約1.28kg(質量は構成により異なる)。13.3インチのノートPCとしては比較的コンパクトなほうだ。天面も底面もフラットで凹凸(おうとつ)が少ないため、細身のバッグにもスムーズに収納できるのがありがたい。

ThinkPadといえば頑強さも特徴のひとつだが、ThinkPad X13 Gen 1(AMD)も12項目の米軍調達基準に準拠した品質テストをクリアしており、過酷な環境でも安心して使用することが可能だ。

天板の左上にはThinkPadのロゴが配置されている。「i」のドットが赤く光るのも従来通り

天板の左上にはThinkPadのロゴが配置されている。「i」のドットが赤く光るのも従来通り

フットプリントは幅311.9mm、奥行き217.2mmと比較的コンパクト

フットプリントは幅311.9mm、奥行き217.2mmと比較的コンパクト

底面も凹凸の少ないフラットなデザインになっている

底面も凹凸の少ないフラットなデザインになっている

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)のディスプレイは4種類が用意されており、予算や用途に合わせて選択可能だ。

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)のディスプレイは4種類が用意されており、予算や用途に合わせて選択可能

このうち、ThinkPad Privacy Guardは視野角を狭めて覗き見を防ぐ機能。電車のホームや座席、カフェなど、人の目が気になる環境で使用する機会が多い場合に役に立つ。

今回はPrivacy Guardもタッチパネルも搭載していないノーマルなフルHD液晶ディスプレイを採用したモデルを試したが、色再現性や階調表現力はかなり高い。IPS方式のパネルということもあって視野角が広く、斜めから見ても色や明るさの変化が少ないのも好印象だった。

ちなみに液晶ディスプレイは180度まで開くことができ、打ち合わせなどで相手に画面を見せながら説明したいときなどに便利だ。

試用機は、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを搭載していた。発色がよく、一般的なノートPCの液晶だとくすみがちな原色の赤や青、緑もあざやかに再現された

試用機は、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを搭載していた。発色がよく、一般的なノートPCの液晶だとくすみがちな原色の赤や青、緑もあざやかに再現された

液晶ディスプレイは180度まで開くことができる。視野角が広いため、開ききった状態でも画面が見やすい

液晶ディスプレイは180度まで開くことができる。視野角が広いため、開ききった状態でも画面が見やすい

ThinkPadならでは、タイピングしやすいキーボード

キーボードはキーピッチが約19mmで、モバイルノートPCとしてはキーストロークも深め。また、キーの下辺がゆるいカーブになっていて押さえやすいなど、タイピングのしやすさを考慮した作りになっている。キーは高級感はあまりないものの打鍵音が小さめで、静かな場所でも作業しやすく感じた。

キーボードは標準的な配列でキーピッチ、キーストロークともに余裕があってタイピングしやすい

キーボードは標準的な配列でキーピッチ、キーストロークともに余裕があってタイピングしやすい

キーボードの中心付近に赤いTrackPointが搭載されているのもThinkPadならでは。個人的にはあまり使用しないのだが、文章を書いている途中でカーソルを移動する場合など、手の位置をあまり動かしたくないときには重宝する。

キーボードの中央に赤いTrackPointが、その手前にクリックボタンが搭載されている

キーボードの中央に赤いTrackPointが、その手前にクリックボタンが搭載されている

タッチパッドはクリックボタン一体型で指の滑りがよく、カーソルの移動やジェスチャーがスムーズ。その右横のパームレストには指紋認証センサーも搭載可能。試用機は指紋認証センサーも搭載していたが、指を当てるだけでパスワード入力なしにログインできるのはやはり便利だ。

タッチパッドはクリックボタン一体型。操作スペースはそれほど大きくないが、ジェスチャーはやりやすい

タッチパッドはクリックボタン一体型。操作スペースはそれほど大きくないが、ジェスチャーはやりやすい

オーダー時のカスタマイズでは、指紋認証センサーを選択することも可能。タッチパッド右横に搭載される

オーダー時のカスタマイズでは、指紋認証センサーを選択することも可能。タッチパッド右横に搭載される

USB 3.1 Gen2 Type-C、USB 3.1 Gen1、HDMIとインターフェースは充実

ビジネス向けノートPCということもあり、インターフェースは充実している。本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが、本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている。イーサネット拡張コネクターには、オプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつなぐことで有線LANを利用することが可能だ。

本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが搭載されている

本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが搭載されている

本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている

本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている

イーサネット拡張コネクターにはオプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつないで有線LANを使用することができる

イーサネット拡張コネクターにはオプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつないで有線LANを使用することができる

また、本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーも内蔵されている。トレイに装着するタイプで抜き差しがめんどうなので、スマホとデータをやり取りする用途にはあまり向かないが、セカンドストレージ代わりに使うには便利そうだ。

本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーを搭載

本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーを搭載

microSDメディアカードリーダーはトレイ式。少々脱着がめんどうなので、頻繁にカードを抜き差しするような用途にはあまり向かない

microSDメディアカードリーダーはトレイ式。少々脱着がめんどうなので、頻繁にカードを抜き差しするような用途にはあまり向かない

なお、カスタマイズでワイヤレスWANを選んだ場合はここにSIMカードも装着できる(2020年11月21日時点、直販サイトでは「WWANは現在販売休止中です」となり選択できない)。

このほか、ディスプレイの上部には720pで撮影できるウェブカメラも搭載している。カメラには、レンズ部分を物理的に隠して撮影できなくするThinkShutterも装備されており、盗撮などの心配が少ないのはうれしいポイントだ。

ディスプレイ上部のウェブカメラ。物理的なシャッターを備えており、盗撮などの被害を防ぐことができる。直販サイトでは、カメラなしや、IRカメラ付きも選択できる

ディスプレイ上部のウェブカメラ。物理的なシャッターを備えており、盗撮などの被害を防ぐことができる。直販サイトでは、カメラなしや、IRカメラ付きも選択できる

Ryzen Pro 4000シリーズの実力は?

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)は、プロセッサーにAMDのRyzen Pro 4000シリーズを採用しているのが大きな特徴になっている。直販サイトでは、AMD Ryzen 7 PRO 4750U、AMD Ryzen 5 PRO 4650U、AMD Ryzen 3 PRO 4450Uの3種類から選択することが可能だ。

今回の試用機には、そのうちミドルモデルのAMD Ryzen 5 PRO 4650Uが搭載されていた。そのほか、主な仕様は次の通り。

試用機の主なスペック

  • プロセッサー:AMD Ryzen 5 PRO 4650U (6コア12スレッド/最大4.0GHz)
  • グラフィックス:AMD Radeon グラフィックス(CPU内蔵)
  • メモリー:8GB(PC4-25600 DDR4 SDRAM)
  • ストレージ:256GB SSD(M.2、PCIe-NVMe)

Ryzen Pro 4000シリーズは7nmプロセスのZen 2コアを採用しており、前世代に比べてマルチスレッド性能が大幅にアップしている。また、インテル製CPUに比べてCPU内蔵グラフィックス機能のパフォーマンスが高いのも特徴だ。

実際、CPU性能やPCの総合力をチェックするベンチマークテストでは、普段使いはもちろんのこと、負荷の高いクリエイティブ系アプリも十分快適に利用できる結果になった。グラフィックス系のベンチマークも好スコアで、軽~中程度の重さのゲームなら十分快適にプレイすることが可能だ。

CINEBENCH R20では、マルチコアが2386pts、シングルコアが454ptsという結果に。マルチスレッド性能が非常に高いことが分かる

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PCの総合力をテストするPCMARK 10では、基本性能を示すEssentials、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivity、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationのいずれもが快適さの目安となる3000を上回った

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グラフィックス性能を測る3DMARKでは、ゲーミングPC向けのDirectX 12ベンチマークテスト「Time Spy」が960、同DirectX 11テストの「Fire Strike」が2676、統合型グラフィックス向けDirectX 12テストの「Night Raid」が11054、ミッドレンジPC向けテストの「Sky Diver」が9849という結果に。インテルUHDグラフィックスに比べると倍近いパフォーマンスになっている

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ドラゴンクエストX ベンチマークソフトはフルHD、標準品質で「とても快適」という評価に

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ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、フルHD、標準品質で「快適」という評価になった

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ストレージの性能をCrystalDiskMarkでチェックしてみたところ、PCIe接続のSSDを採用しているだけあって、シーケンシャルリード(1MiB Q8T1)が3500MB/s超と高速。実際、OSの起動やアプリの起動なども非常にスムーズだった。

SSDは4レーンのPCIe 3.0で接続されており、シーケンシャルリードが3500MB/s超と非常に高速

SSDは4レーンのPCIe 3.0で接続されており、シーケンシャルリードが3500MB/s超と非常に高速

バッテリー駆動時間は最大13.9時間(公称、JEITA2.0)となっているが、バッテリーベンチマークソフト「BBench」での計測では7時間42分という結果になった(電源モードは「より良いバッテリー」に、明るさは40%に設定し、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態から自動休止するまでの時間を計測)。

公称値にはおよばなかったものの、これだけ動作するなら、電源につながず使う場合も比較的安心して作業に集中できそうだ。

付属のACアダプターは45W出力のもの。比較的コンパクトで本体と一緒に持ち歩いてもあまり邪魔にはならない

付属のACアダプターは45W出力のもの。比較的コンパクトで本体と一緒に持ち歩いてもあまり邪魔にはならない

コストパフォーマンスに優れるビジネスモバイルノートPC

ThinkPadらしい質実剛健なボディにAMD Ryzen Pro 4000シリーズを搭載し、携帯性とパフォーマンスを両立させたThinkPad X13 Gen 1(AMD)。直販サイトでは最小構成のスタンダードモデルが10万1838円(税込、通常販売価格18万3810円にeクーポン適用後の価格)となっており、コストパフォーマンスの高さも大きな魅力になっている。

キーボードやインターフェース、液晶ディスプレイなど、細部の作りも丁寧なので、実用性重視で長く使いたいというユーザーにはオススメしやすい。高品質なビジネスノートPCを探している人や、テレワークを機に買い替えを考えている人には、ぜひ注目してほしい製品だ。

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価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビュー

価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビューASUS JAPANの「VivoBook Flip 14 TM420IA」は14インチのフルHDディスプレイを搭載する2in1ノートPCだ。最大の特徴は、AMDの第3世代Ryzenモバイルプロセッサーを搭載している点。Ryzen 3 4300U搭載の最安モデル「TM420IA-EC163T」は実売8~9万円程度と手頃な値段でありながら、APU性能は1世代前のCore i7 Uシリーズに相当する。上位のRyzen 7 4700Uであれば、さらに高い性能を期待していいだろう。コストパフォーマンスに優れるミドルレンジクラスの2in1だ。

ASUS JAPANの14インチ2in1ノートPC「VivoBook Flip 14 TM420IA」。AMDの第3世代Ryzenモバイルプロセッサーを搭載

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下位のRyzen 3と上位Ryzen 7のみに対応。Ryzen 5モデルが存在しないのはなぜか?

VivoBook Flip 14 TM420IAのラインナップは、Ryzen 3 4300U搭載の下位モデル(TM420IA-EC163T)、Ryzen 7 4700U搭載+WPS Office Standard Editionのモデル(TM420IA-EC147T)、そしてRyzen 7 4700U搭載でMicrosoft Office Home & Business 2019が付属するオフィス付きモデル(TM420IA-EC147TS)の3種類だ。

Ryzen 3モデルはOSがWindows 10 Home SモードでUWPアプリ(ストアアプリ)しか利用できないが、Sモードを解除すれば一般的なデスクトップアプリも利用できる。Sモードの解除は無料で行なえるので、利用用途に応じて対応していただきたい。

  • Microsoft Office H&B搭載モデル:AMD Ryzen 7 4700U+Radeon Graphics、8GBメモリー、512GB SSD。Microsoft Office Home and Business 2019。型番TM420IA-EC147TS。直販価格税抜11万8000円
  • Ryzen 7+WPS Office 搭載モデル:AMD Ryzen 7 4700U+Radeon Graphics、8GBメモリー、512GB SSD。WPS Office Standard Edition。型番TM420IA-EC147T。直販価格税抜9万9819円
  • Ryzen 3搭載モデル:AMD Ryzen 3 4300U+Radeon Graphics、8GBメモリー、256GB SSD。型番TM420IA-EC163T。直販価格税抜8万728円
今回試用したRyzen 3 4300U搭載の下位モデルは、OSがWindows 10 Home Sモード。そのままではUWPアプリしか利用できないが、Sモードを解除すれば一般的なデスクトップアプリを利用できる

今回試用したRyzen 3 4300U搭載の下位モデルは、OSがWindows 10 Home Sモード。そのままではUWPアプリしか利用できないが、Sモードを解除すれば一般的なデスクトップアプリを利用できる

個人的に興味深いのは、第3世代Ryzenモバイルの中でも特に人気の高いRyzen 5 4500Uが使われていない点だ。単にAPUの供給不足から採用を見送った可能性もあるものの、筆者としては他社製品との兼ね合いによるものではないかと考えている。

あくまでも憶測に過ぎないが、同じRyzen搭載の14インチ2in1で異様に安い某社製品とのバッティングを避けたのではないだろうか。VivoBook Flip 14 TM420IAは、競合しないRyzen 3+8GBメモリーの組み合わせを選び、マイクロソフトへのライセンス料金が安いSモードを採用することで、他社製品にはないコスパの高さを実現している。下位モデルとはいえ、パフォーマンス的には十分高性能なので、まずはこのモデルから検討するといいだろう。

コンパクトかつ落ち着きのあるデザイン

VivoBook Flip 14 TM420IAの外観は、落ち着きのあるスマートな印象だ。ディスプレイの開閉が多く高い強度が必要な2in1タイプであるため多少厚みを設ける一方、野暮ったさをなくしスッキリとまとめている。仕上がり部分ではハイエンドクラスほどの高級感はないものの、この辺りは値段の手頃さとのバランスをどうとらえるかだろう。

ミドルレンジクラスの2in1としては標準的な仕上がりで、ビジネスシーンやプライベートでも違和感なく使えるに違いない。本体のフットプリントは幅324×奥行き220mmで、A4サイズ(幅297×奥行き210mm)よりコンパクトなため、取り回しやすい点もうれしい。

本体カラーはビスポークブラック。「ビスポーク」(bespoke)とは「あつらえた」や「特製の」というニュアンスのファッション用語。実際の色合いは濃いメタリックな紺色という印象だ

本体カラーはビスポークブラック。「ビスポーク」(bespoke)とは「あつらえた」や「特製の」というニュアンスのファッション用語。実際の色合いは濃いメタリックな紺色という印象だ

高い強度が求められる天板は、剛性に優れるアルミ素材製。質感は高いが指紋が目立つ

高い強度が求められる天板は、剛性に優れるアルミ素材製。質感は高いが指紋が目立つ

パームレストと底面カバーは樹脂製。Enterキーのみサイドが蛍光イエローで塗られている

パームレストと底面カバーは樹脂製。Enterキーのみサイドが蛍光イエローで塗られている

ベゼル幅は左右7.5mmで上部12.3mm、下部22.5mm。上下がやや太いのはディスプレイフレームの強度を確保するため

ベゼル幅は左右7.5mmで上部12.3mm、下部22.5mm。上下がやや太いのはディスプレイフレームの強度を確保するため

フットプリントは幅324×奥行き220mm。A4サイズ(幅297×奥行き210mm)よりもひと回り強大きい程度で、14型としてはコンパクトだ

フットプリントは幅324×奥行き220mm。A4サイズ(幅297×奥行き210mm)よりもひと回り強大きい程度で、14型としてはコンパクト

高さは公称値で18.2mm、実測で17.9mm。ゴム足を含めた設置時の高さは19.6mm。フットプリントが小さいぶん、設置時にはそれなりの厚みを感じる

高さは公称値で18.2mm、実測で17.9mm。ゴム足を含めた設置時の高さは19.6mm。フットプリントが小さいぶん、設置時にはそれなりの厚みを感じる

重量は公称値で1.55kg、実測で1.568kg。電源アダプターを含めると実測1.714kg。14型としてはやや重いが2in1なのである程度の重さは仕方がない

重量は公称値で1.55kg、実測で1.568kg。電源アダプターを含めると実測1.714kg。14型としてはやや重いが2in1なのである程度の重さは仕方がない

14インチのフルHDディスプレイはやや暗いながらも自然な色合い

ディスプレイは14インチで、解像度は1920×1080ピクセルのフルHD。タッチ操作と別売りの「ASUSPen」によるペン入力に対応している。安いIPSパネルでは赤みが弱いのだが、VivoBook Flip 14 TM420IAでは色のバランスに違和感がない。ただしコントラストがやや低く、画面が暗い印象を受けた。とはいえ、普通に作業するぶんには問題なく使えるだろう。

画面サイズは14インチで解像度は1920×1080ピクセル。スケーリングは150%で、デスクトップの文字がやや大きく表示される

画面サイズは14インチで解像度は1920×1080ピクセル。スケーリングは150%で、デスクトップの文字がやや大きく表示される

映像は自然な色合い。エントリー~ミドルレンジノートPCで見られる赤みの弱さが感じられない一方、ややコントラストが低い

映像は自然な色合い。エントリー~ミドルレンジノートPCで見られる赤みの弱さが感じられない一方、ややコントラストが低い

画面がやや暗く感じるものの、作業や映像の視聴には支障のないレベルだ

画面がやや暗く感じられるものの、作業や映像の視聴には支障のないレベル

キーボードはストロークが浅く、軽いタッチで入力する人向き

キーボードはバックライトなしの日本語配列で、テンキーは搭載していない。キーピッチは実測18.6~18.8mmで、一般的なキーボードの標準値である19mmよりもわずかに狭いが違和感はなかった。配列はいい意味で標準的。強いていうなら左のCtrlキーがやや小さく感じる程度だ。

キーストロークは平均1.2mmと若干浅い。普段から軽いタッチで入力する人なら違和感なく使える反面、押し込むようにしてタイプする人には物足りなく感じるだろう。打ち下ろすように入力するとタイプ音がパチパチと響くので、軽い力でのタイピングを心がけたい。

キーボードはテンキーなしの日本語配列。バックライトには非対応

キーボードはテンキーなしの日本語配列。バックライトには非対応

蛍光イエローで縁取られたEnterキーがやや大きめ

蛍光イエローで縁取られたEnterキーがやや大きめ

ディスプレイを開くとキーボードが傾くリフトアップ機構を採用。手首を自然な角度にキープしたまま作業できる

ディスプレイを開くとキーボードが傾くリフトアップ機構を採用。手首を自然な角度にキープしたまま作業できる

キーを押した瞬間に固めのクリック感があり、軽いタッチでもタイプ音がカクカクと聞こえる。ストロークも浅いので、軽いタッチで入力する人向きだ

キーを押した瞬間に固めのクリック感があり、軽いタッチでもタイプ音がカクカクと聞こえる。ストロークも浅いので、軽いタッチで入力する人向きだ

据え置き利用でもしっかり使えるインターフェース構成と各種機能

USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがType-Cだ。Type-CはUSB PDによる給電や映像出力には非対応で、データ通信のみにしか利用できないのは残念。映像出力はHDMI端子のみで、メモリーカードスロットはmicroSDに対応。あとはヘッドホン端子や盗難防止用のセキュリティースロットなどに対応している。端子類の数と種類は多くないものの、PCとして普通に使える構成だ。

生体認証機能は指紋センサーのみ。スピーカーは比較的高音質で、ビデオ会議には問題なく利用できる。PCとしてしっかり使える機能を備えているといっていいだろう。

左側面は盗難防止用のセキュリティスロットとUSB 2.0

左側面は盗難防止用のセキュリティスロットとUSB 2.0

右側面は電源ボタン、microSDカードスロット、ヘッドホン端子、USB 3.1 Gen2 Type-C、USB 3.1 Gen2、HDMI、電源コネクター

右側面は電源ボタン、microSDカードスロット、ヘッドホン端子、USB 3.1 Gen2 Type-C、USB 3.1 Gen2、HDMI、電源コネクター

タッチパッド右上に指紋センサー

タッチパッド右上に指紋センサー

ディスプレイ上部には92万画素ウェブカメラ

ディスプレイ上部には92万画素ウェブカメラ

スピーカーはサウンドの解像感が高く、シャカシャカとした高音域のノイズが少ない。ノートPCとしては高音質で、ビデオ会議は音声通話はもちろんライトな音楽鑑賞にも向いている

スピーカーはサウンドの解像感が高く、シャカシャカとした高音域のノイズが少ない。ノートPCとしては高音質で、ビデオ会議は音声通話はもちろんライトな音楽鑑賞にも向いている

Ryzen 3 4300U搭載モデルながら、ハイエンドクラスのパフォーマンス

ここからはVivoBook Flip 14 TM420IA Ryzen 3モデルのベンチマーク結果を交えながらパフォーマンスを解説しよう。なおOSがUWPアプリのみ利用可能なWindows 10 Home Sモードであるため、通常のレビューとは一部評価方法が異なる点をあらかじめご了承いただきたい。

CPU性能を計測するCINEBENCH R20では、第10世代Core i5/i7を上回るスコア

CPU性能を計測するCINEBENCH R20では、ノートPC向けCPUとしては優秀な結果となった。試用機で使われているRyzen 3 4300Uは、第3世代Ryzenモバイル4000シリーズにおいてエントリー向けの位置づけながら、第10世代のCore i5やCore i7を上回るスコアが出ている。第11世代のCore i7-1165G7には及ばなかったものの、Ryzen 7 4700U搭載の上位モデルであれば易々と上回るだろう。

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

ゲームやプロクリエイター向けソフトは厳しい

グラフィックス機能としては、APU内蔵のRadeon Graphicsが使われる。内蔵タイプのため外付けGPU(ディスクリートGPU)ほどではないものの、インテル系CPU内蔵のUHD / Iris Plusよりも高性能だ。ゲーム内のベンチマーク機能を試したところ、解像度と画質をグッと下げればなんとかプレーできるレベルだった。上位のRyzen 7 4700U搭載モデルであれば多少は改善されるはずだが、それでもゲームやプロクリエイター向けソフトを快適に扱えるほどではないだろう。

レースゲーム「Forza Horizon 4」のベンチマーク結果。1280×720ピクセル最低画質で平均67.2FPSであれば、そこそこ快適にプレーできる

レースゲーム「Forza Horizon 4」のベンチマーク結果。1280×720ピクセル最低画質で平均67.2FPSであれば、そこそこ快適にプレーできる

1920×1080ピクセルの最低画質では平均41.4FPSという結果に。シーンによっては多少のカクつきがあるが、プレーできないレベルではない

1920×1080ピクセルの最低画質では平均41.4FPSという結果に。シーンによっては多少のカクつきがあるが、プレーできないレベルではない

256GB SSDのアクセス速度計測は、公称値に近い結果

VivoBook Flip 14 TM420IA Ryzen 3モデルのストレージは、256GBもしくは512GBのNVMe SSDだ。試用機で使われていた256GB SSDはSK hynixのBC501で、公称スペックではシーケンシャルリードが1600MB/秒、シーケンシャルライトが780MB/秒。アクセス速度計測では公称値に近い結果が出ているので、サーマルスロットリングは発生していないと考えていいはずだ。

256GB SSDのアクセス速度

256GB SSDのアクセス速度

YouTubeの1080p動画を連続再生し、バッテリー駆動時間を計測

バッテリー駆動時間についてはYouTubeの1080p動画を電源オプション「最も高いパフォーマンス」で連続再生し続けたときの駆動時間を計測したところ、6時間ちょうどでバッテリー切れとなった。ネットにアクセスし続ける重めのテストなので駆動時間はやや短めだが、実際の作業では丸1日使うは十分持つと思われる。

コストパフォーマンスの高い2in1ノートPC

2in1ノートPCは利用シーンに合わせてさまざまなスタイルに変形できるという点で便利だ。プライベートでの利用はもちろんのこと、最近は相手に画面を見せながらプレゼンできるPCとしてビジネスシーンでも人気が高い。

性能が高いモデルは価格もそこそこ高めだが、コスパに優れるRyzenを搭載したVivoBook Flip 14 TM420IAならインテル製CPU搭載機種よりも安価な上に高性能だ。2in1ノートPCの導入を検討している方は、ぜひこの機会にVivoBook Flip 14 TM420IAを検討していただきたい。

価格はミドルレンジでも性能はハイエンドクラスのVivoBook Flip 14 TM420IA

価格はミドルレンジでも性能はハイエンドクラスのVivoBook Flip 14 TM420IA

ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA

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タグ: ASUS(企業)AMD(企業)ガジェット(用語)Ryzen Mobile 4000(製品・サービス)レビュー(用語)

Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー

Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」

いま、AMDがアツイ。

いや、AMD製プロセッサーが物理的に熱いのは今に始まったことではない。ここで指摘しているのは、ユーザーからの視線が熱いということだ。デスクトップPC向けのRyzenシリーズはいうに及ばず、ノートPC向けのRyzenモバイルシリーズは今や搭載機種が入手困難な状況にまで陥っている。メーカーの中にはすでに9月の時点で、出荷は2021年明け以降と公表しているケースもあるほど。欲しくても手に入りにくい状況なのだ。

人気の理由は、高いコストパフォーマンスにある。以下のグラフは、現行世代CPUのベンチマークスコアをまとめたもの(データは筆者計測の平均値)。TDP 45WのグループではRyzen 7 4800HがインテルのCore i7/9 Hシリーズを大きく上回っており、TDP 15WのグループでもRyzenシリーズがCore iプロセッサーUシリーズを上回っている。それでいてPC本体の値段はCore iプロセッサー搭載機種よりも安いとなれば、Ryzen搭載機を選ばない理由がない。

ノートPC向けCPUのベンチマーク結果。Ryzen 5 4600Hについては筆者未計測のためグラフには含めていない

ノートPC向けCPUのベンチマーク結果。Ryzen 5 4600Hについては筆者未計測のためグラフには含めていない

ハイパワーな据え置きノートPCとしてオススメしたい15.6型ノート「Bravo-15」

今回取り上げるエムエスアイコンピュータージャパン(MSI)の「Bravo 15」は、Ryzen 5 4600H/Ryzen 7 4800Hを搭載する15.6型ゲーミングノートPCだ。店頭想定価格はRyzen 5+Radeon RX 5300M搭載の下位モデルで税込13万2800円、Ryzen 7+Radeon RX 5500M搭載の上位モデルで税込15万9800円。ゲーミングノートPCとしては標準的な値段だといっていい。

だがCPU性能で見ると、30万円クラスの機種で使われているCore i9-10885Hを大きく上回っている。もっともBravo 15はGPUがエントリークラスなので、単純に価格だけでハイエンドクラスの機種と比較すべきではない。しかしGPUの性能差やそのほか諸々の要素を差し引いたとしても、なかなか魅力的なモデルに見えるのではないだろうか。

スタンダードノートPC向けのRyzenモバイルUシリーズが入手困難な現在、比較的入手しやすいRyzenモバイルHシリーズを選ぶのはアリだ。ゲーミングノートPCとしてはもちろん、ハイパワーな据え置きノートPCの候補としてもオススメしたい。

今回試用した製品は、エムエスアイコンピュータージャパン(MSI)の15.6型ノートPC「Bravo-15-A4DDR-056JP」。Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載の上位モデルだ。メモリーは最大64GBを搭載可能

今回試用した製品は、エムエスアイコンピュータージャパン(MSI)の15.6型ノートPC「Bravo-15-A4DDR-056JP」。Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載の上位モデルだ。メモリーは最大64GBを搭載可能

重厚感のある外観デザインを採用

ゲーミングPCというと、LEDイルミネーションによる派手な外観をイメージする人は多いだろう。確かにデスクトップPCではいまだにその傾向は強いが、最近のノートPCは以前ほど光らなくなっている。コスト削減のためかLEDイルミネーションが受け入れられなかったのかは分からないものの、筆者個人としては落ち着いてゲームをプレーしたいためこの傾向はありがたい。

Bravo 15も、比較的落ち着いた外観デザインを採用している。本体カラーは深みのあるブラックで、表面にはうっすらとしたヘアライン加工。ボディは樹脂製であるものの、重厚感のあるルックスだ。唯一ゲーミングノートPCらしいのは天板のエンブレムと、赤く光るキーボードバックライト程度だろう。この程度の装飾であれば、普通のノートPCとあまり変わらない。

本体カラーはブラック

本体カラーはブラック

天板はヘアライン仕上げ。MSIのエンブレムは鏡面仕上げながらも派手さは控えめだ

天板はヘアライン仕上げ。MSIのエンブレムは鏡面仕上げながらも派手さは控えめだ

パームレストはアルミ製のブラック。キーの側面が赤く塗られている

パームレストはアルミ製のブラック。キーの側面が赤く塗られている

バックライトは赤一色のみで、明るさの調整が可能

バックライトは赤一色のみで、明るさの調整が可能

フットプリントは幅359×奥行き254mm。B4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりもわずかに小さい程度

フットプリントは幅359×奥行き254mm。B4サイズ(幅364×奥行き257mm)よりもわずかに小さい程度

公称値では高さは21.7mm、実測では22mm。ゴム足を含めた設置時の高さは26.5mm。やや厚めの印象だ

公称値では高さは21.7mm、実測では22mm。ゴム足を含めた設置時の高さは26.5mm。やや厚めの印象だ

ベゼル幅は左右7.2mm、上部18.6mm、下部25.8mm。左右は細いが上下がやや太い

ベゼル幅は左右7.2mm、上部18.6mm、下部25.8mm。左右は細いが上下がやや太い

重量は公称値で1.96kg、実測で1.949kg。ゲーミングノートPCとしては軽い

重量は公称値で1.96kg、実測で1.949kg。ゲーミングノートPCとしては軽い

付属の電源アダプターは702g。かなり大きい

付属の電源アダプターは702g。かなり大きい

Ryzen 7搭載上位モデルは、144Hzの高リフレッシュレート対応液晶ディスプレイを採用

液晶ディスプレイのサイズは15.6インチで、解像度は1920×1080ピクセル。ゲーミングノートPCとしては、スタンダードなスペックだ。リフレッシュレートはRyzen 7モデルが144Hzで、Ryzen 5モデルが60Hz。リフレッシュレート60Hzというと、テレビや据え置きゲーム機でも使われているので違和感はないが、144Hzでは画面のなめらかさがまったく違う。ゲームで遊ぶ機会が多そうなら、ぜひRyzen 7搭載の上位モデルを選んでいただきたい。144Hzの画面を見たあとで60Hzの画面を見ると、自分が今までカクカクの画面を見ていたことに気が付き、必ず驚くはずだ。

ゲームをプレーしない人にとっても、高リフレッシュレートの画面は効果があるだろう。あくまで筆者の体感と断っておくが、スクロールやウィンドウのドラッグ時に画面がカクカクしないぶん、眼が疲れにくく感じるのだ。普段の作業を快適にこなせるに違いない。

画面サイズは15.6インチで解像度は1920×1080ピクセル

画面サイズは15.6インチで解像度は1920×1080ピクセル

ディスプレイは光沢なしのノングレア。映像は自然な色合いで視野角も広い

ディスプレイは光沢なしのノングレア。映像は自然な色合いで視野角も広い

上位のRyzen 7モデルは144Hzの高リフレッシュレートとAMD FreeSyncに対応。画面の見やすさは上位モデルのほうが格段に上だ

上位のRyzen 7モデルは144Hzの高リフレッシュレートとAMD FreeSyncに対応。画面の見やすさは上位モデルのほうが格段に上だ

標準的なキーボードながら、ややクセがある配列やキーストロークを確認しておきたい

キーボードはテンキーなしの日本語配列だ。配列にややクセがあるものの、ゲームへの影響はほとんど感じられなかった。しかしEnterキー周辺がやや窮屈で、特に右上の「¥」キーと右下の「_(アンダーバー)」キーがかなり小さい。プログラミングなどで多用する人には、少し使いにくい可能性がある。

Bravo 15のキーボード

Bravo 15のキーボード

Enterキー周りがやや窮屈。右端に特殊キーが縦に並んでいるのも特徴的だ

Enterキー周りがやや窮屈。右端に特殊キーが縦に並んでいるのも特徴的だ

キーピッチは19mmで標準的なサイズ、キーストロークは平均1.08mmだった。押した瞬間に固めのクリック感があるものの、ストロークが浅くて若干の物足りなさを感じる。ただしゲームにおいてはアクチュエーションポイント(スイッチの認識点)にまで短時間で達するので、キーの反応に優れる効果があるかもしれない。

手応えは感じられるもののストロークが浅く、わずかに物足りなさを感じる。タイプ音はカタカタと聞こえるがうるさくはなかった

手応えは感じられるもののストロークが浅く、わずかに物足りなさを感じる。タイプ音はカタカタと聞こえるがうるさくはなかった

インターフェースとして、USB 3.2 Gen1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×2採用

周辺機器接続用の端子類はUSB端子が4ポートでうち2ポートがType-C、そのほかは映像出力用のHDMIと1000BASE-T対応の有線LAN、ヘッドホン端子など。種類は多くはないものの、構成としては標準的だといえる。ただしUSB端子が右側面にしかないため、USB接続のゲーミングデバイスを複数使う際はケーブルの取り回しが面倒かもしれない。ひとつもで左側にあれば取り回しが楽になるだけに、この点は少々残念だ。

左側面は電源コネクターとHDMI

左側面は電源コネクターとHDMI

右側面はヘッドホン端子、USB 3.2 Gen1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、有線LAN、セキュリティースロット。TypeC端子はデータ通信のみで充電と映像出力は非対応

右側面はヘッドホン端子、USB 3.2 Gen1×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×2、有線LAN、セキュリティースロット。TypeC端子はデータ通信のみで充電と映像出力は非対応

ゲーミング性能自体はエントリークラス

ここからはBravo 15のRyzen 7モデルについて、ベンチマーク結果を交えながらパフォーマンスを解説しよう。

CPU性能を軽装するCINEBENCH R20では、ノートPC向けCPUとしては最高クラスの結果となった。同じRyzen 7 4800Hの平均値をやや下回ったものの、大きな影響のない範囲だ。ゲームはもちろん、動画編集やRAW現像、高度なデータ処理などでも活用できるだろう。

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

ゲーミングノートPC向けCPUとの性能比較

ゲーミングノートPC向けCPUとの性能比較

グラフィックス機能としては、外付けGPU(dGPU)のRadeon RX 5300MまたはRadeon RX 5500Mが使われている。いわゆる「オールAMD」な構成だ。Radeon RX 5500M搭載の試用機で3D性能を計測するベンチマークテストを行なったところ、エントリー(入門)クラス相当の結果となった。ただし同じエントリークラスであるNVIDIAのGeForce GTX 1650よりもパフォーマンスは上で、GeForceシリーズでいえばエントリーとミドルレンジの中間相当をイメージするといいだろう。値段もエントリークラスなので、そのぶんコスパに優れているわけだ。

DirectX 12の処理性能を計測する「3DMark Time Spy」の結果

DirectX 12の処理性能を計測する「3DMark Time Spy」の結果

ゲーミングノートPC向けGPUとの性能比較

ゲーミングノートPC向けGPUとの性能比較

DirectX 11(フルHD)の処理性能を計測する「3DMark Fire Strike」の結果

DirectX 11(フルHD)の処理性能を計測する「3DMark Fire Strike」の結果

ゲーミングノートPC向けGPUとの性能比較

ゲーミングノートPC向けGPUとの性能比較

ゲーム系ベンチマークテストでは、やや重い程度のタイトルであれば問題なくプレー可能という評価が出ている。ただし処理の重いタイトルについては解像度や画質をガッツリ落とさなければ厳しいようだ。

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」はフルHDの最高画質で平均72.5FPS。処理の重いレイド時には多少カクつくかもしれないので、画質を少し下げれば快適に楽しめるだろう

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」はフルHDの最高画質で平均72.5FPS。処理の重いレイド時には多少カクつくかもしれないので、画質を少し下げれば快適に楽しめるだろう

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」は最高画質で「普通」の評価。画質をかなり落とせば、なめらかな動きで楽しめるはずだ

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」は最高画質で「普通」の評価。画質をかなり落とせば、なめらかな動きで楽しめるはずだ

512GB SSDのアクセス速度計測結果。速度も容量も十分だ

512GB SSDのアクセス速度計測結果。速度も容量も十分だ

夜間にゲームで遊ぶなら、排気音の大きさを意識したい

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」実行中における本体の熱を計測したところ、ゲームでよく使うWASDキー周りは42度前後だった。温度としてはそれほど高くはないものの、指先にやや熱を感じる。キーボード以外の部分、例えばキーボード上部のスペースや電源アダプターは意外と高温になるため、不用意に触れないほうがいい。

キーボード面の温度

キーボード面の温度

電源アダプターはかなりの高温になるので注意

電源アダプターはかなりの高温になるので注意

簡易騒音計で駆動音を計測したところ、53.4dB(デシベル)とかなりうるさく感じた。「50dB」は「家庭用エアコンの室外機(直近)」、「60dB」は「走行中の自動車内」などと例えられる。ヘッドセットなどを付ければ気にならないものの、深夜は周囲への配慮を意識したほうがいい。

背面側の排気口

背面側の排気口

左側面にも排気口が用意されている

左側面にも排気口が用意されている

なお、標準収録の設定ユーティリティ「MSI Dragon Center」の「Cooler Boost」機能を有効にすると、空冷ファンを最大出力にした状態で利用できる。本体内部は効果的に冷却されるものの、駆動音は59.8dBと非常にうるさい。ここまでになると、部屋の外に音が漏れている可能性が高いので、利用する際は注意が必要だ。

標準収録の設定ユーティリティ「MSI Dragon Center」

標準収録の設定ユーティリティ「MSI Dragon Center」

ゲーム以外でも活用できるハイパワーノートPC

ベンチマーク結果をご覧いただくとお分かりの通り、MSIのBravo 15のCPUパフォーマンスはとにかく素晴らしい。インテルの第10世代Core iプロセッサーは陳腐化してしまったといっていいだろう。これで価格が13~15万円台とは驚きだ。インテルは第11世代で巻き返しを図ると思われるものの、Ryzenシリーズと同等の価格に抑えられるかという点に疑問が残る。あくまでも筆者の予想だが、コストパフォーマンスの面では、しばらくRyzenシリーズが優位なのではないだろうか。

これだけ高性能であれば、ゲーム以外の用途でも活用できる。動画編集はGPU性能が影響するものの、CPU依存が高いRAW現像や高度なデータ処理/数値演算などでは大いに役立つはずだ。CPUパフォーマンスを重視する人は、まずBravo 15からチェックしていただきたい。

Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」: © 2010 – 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」: © 2016-2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. LOGO ILLUSTRATION:©2016 YOSHITAKA AMANO

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タグ:Bravo 15AMDRadeon RX 5000MRyzen Mobile 4000レビューMSI

モバイルdGPUの最高峰NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」とコスパに優れるAMD「Radeon RX 5500M」を試す

モバイルdGPU最高峰「GeForce RTX 2080 SUPER」とコスパに優れる「Radeon RX 5500M」を試す

ノートPCで最新ゲームを快適にプレイしたい場合、あるいは何らかのクリエイティブ作業に欠かせない存在が、外付けGPUなどとも呼ばれるdGPU(discrete GPU、ディスクリートGPU)だ。

今回は、モバイル向けのdGPUとしては最高峰に位置するNVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」を搭載するハイエンドゲーミングノートPCと、AMDエントリーdGPUの「Radeon RX 5500M」を搭載したエントリー向けゲーミングノートPCを借り受けて、話題のゲームにおけるパフォーマンスをdGPUの独自機能とともに紹介していこう。

モバイル向けの最高峰dGPU、NVIDIA「GeForce RTX 2080 SUPER」

まずはハイエンドノートPCから見ていこう。使用したのは、MSI製15.6型ノート「GS66 Stealth(GS66-10SGS-020JP)」で、GeForce RTX 2080 SUPER Max Q Designに加え、8コア/16スレッドCPUのIntel「Core i9-10980HK」や、リフレッシュレート300Hz駆動に対応するフルHD液晶などを備えたeスポーツにベストな1台になっている。

価格38万円前後のMSI「GS66 Stealth(GS66-10SGS-020JP)」

価格38万円前後のMSI製15.6型ノート「GS66 Stealth(GS66-10SGS-020JP)」。GeForce RTX 2080 SUPER Max Q Design採用

モバイル向けの最高峰dGPUだけあって、「DEATH STRANDING」や「モンスターハンター:ワールド」といった重量級のゲームをフルHD解像度、最高描画品質でプレイ可能。「DEATH STRANDING」では平均フレームレート112fps、「モンスターハンター:ワールド」では平均85.7fpsと快適なゲーミングの指標となる60fpsを余裕でクリアーしている。

なおGS66 Stealthの場合、リフレッシュレート300Hz駆動の15.6インチ液晶ディスプレイを搭載している点にも注目したい。

リフレッシュレート60Hz以上で駆動し滑らかな表示を実現する、いわゆる「ゲーミング液晶ディスプレイ」は、今やプロゲーマーの多くが愛用しeスポーツ大会にも採用されている。最近は10万円台のエントリーゲーミングノートPCの数多くにも採用されつつある。

GeForce RTX 2080 SUPERなら、リフレッシュレート300Hz駆動という、非常に高い性能を備える液晶ディスプレイを活かしやすいのだ。例えば、今最も話題となっている軽量級FPS系ゲーム「VALORANR」の最高品質設定で平均229.1fpsとなった。さらにGPU負荷の高めな「FORTNITE」でも、高品質設定で163.1fpsという平均フレームレートとなり、滑らかな動きでのプレイが可能だ。

NVIDIA DLSSでフレームレート向上

光の表現のリアリティを向上させるレイトレーシングとともに注目されているのが、「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)だ。

これは、GeForce RTXシリーズで利用できるAI(Tensor Core)を利用することで、画質のクオリティをなるべく維持したままフレームレートの向上を可能にするというものだ。従来は縦の解像度が1440ピクセル以上、例えば2560×1440ピクセルより上の解像度でないと使えなかったが、最新バージョンの「DLSS 2.0」ではフルHD(1920×1080ピクセル)でも利用可能になった。

NVIDIA DLSSを有効にすることで、表現がシャープになっている

NVIDIA DLSSを有効にすることで、表現がシャープになっている

実際に、DLSS 2.0対応の「DEATH STRANDING」を利用しDLSS有効時と無効時を切り替えてみると、有効時はフレームレートが20fps程度アップした。背景の滝の表現や、水面の表現がシンプルになっているものの、キャラはジャギーの減ったシャープな画になっている。

DLSS 2.0対応ゲームとGeForce RTX 2×00シリーズなら、クオリティを保ちつつ、快適なフレームレートでプレイすることを狙える。

DLSS 2.0に対応する「DEATH STRANDING」のワンシーン

DLSS 2.0に対応する「DEATH STRANDING」のワンシーン(有効化前)

同じシーンでDLSS 2.0を有効にした状態

同じシーンでDLSS 2.0を有効にした状態。背景の滝の表現、水面の表現などがシンプルになっているが、キャラはジャギーの減ったシャープな画になった印象だ

コストパフォーマンス良好なAMD「Radeon RX 5500M」

続いては、実売価格14万円前後の17.3型ノートPC、MSI製「Bravo-17(Bravo-17-A4DDR-010JP)」のパフォーマンスを見ていこう。エントリー向けながら、CPUに8コア/16スレッドのAMD「Ryzen Mobile 4800H」、dGPUにAMD「Radeon RX 5500M」を搭載しており、パフォーマンスの高さを期待できる。

優秀なコストパフォーマンスを発揮する、MSIの17.3型ノートPC「Bravo-17(Bravo-17-A4DDR-010JP)」。実売価格15万円前後

優秀なコストパフォーマンスを発揮するMSI「Bravo-17(Bravo-17-A4DDR-010JP)」。実売価格15万円前後。CPUがAMD「Ryzen Mobile 4800H」、dGPUはAMD「Radeon RX 5500M」というAMDづくしの製品だ

実際に試してみたところ、Radeon RX 5500Mはエントリークラスという位置付けながら、重量級の「DEATH STRANDING」でも「フルHD解像度・最高品質」で70.6fpsと、快適なゲーミングの指標となる60fpsを超えた。

また、人気MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」の公式ベンチマークでは、「非常に快適」を示す数値(7000)を超えるスコア10764(フルHD解像度、最高品質)を記録し、平均フレームレートも73.73fpsだった。これだけの数値であれば、不満を持つ方は少ないはずだ。

最高品質では最重量級ゲームとなる「モンスターハンター:ワールド」では、平均53.3fpsと60fpsを切ったものの、人気FPS系ゲーム「Rainbow Six Siege」は中品質で平均66.5fpsとなった。「FORTNITE」では中品質で151.3fpsというフレームレートだ。リフレッシュレート144Hzの高駆動プレイを実現しようとすると、ゲームや描画品質を選ぶことになるはずだが、多くのゲームを快適にプレイできるだろう。

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコア

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコア。フルHD解像度・最高品質で、スコアは10764を記録

AMDのフレームレート向上のキーワードは「FidelityFX」

NVIDIA DLSSと同様、画質のクオリティをなるべく落とさずにフレームレートを向上させる機能としてAMDが推しているものが「FidelityFX」だ。

ゲーム開発者向けライブラリーとして公開されているFidelityFXは、GPU選ばず、DLSS非対応のGeForce GTX 1×00シリーズなどでも使える。ゲーム側での対応は必要になるがミドルクラスやエントリークラスのdGPUで快適なゲームプレイを実現できるので注目といえる。

実際、「DEATH STRANDING」と「モンスターハンター:ワールド」でFidelityFXを有効にしてみると、フレームレートはそれぞれ20fps程度向上した。エントリークラスやミドルクラスのdGPUを搭載したゲーミングノートPCでは、FidelityFXへ対応しているかどうかが、快適なゲームがキーワードになるだろう。

「DEATH STRANDING」は、FidelityFXに対応

「DEATH STRANDING」は、FidelityFXに対応

DLSSと同じシーンで、FidelityFXを有効にした状態。高画質のまま、フレームレートがアップしていた

DLSSと同じシーンで、FidelityFXを有効にした状態。高画質のまま、フレームレートがアップしていた

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」: © 2010 – 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
「DEATH STRANDING」: ©2019-2020 Sony Interactive Entertainment Inc. DEATH STRANDING is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS. All trademarks are the property of their respective owners.
PC version published by 505 Games. 505 Games and the 505 Games logo are registered trademarks of 505 Games S.P.A. Appearance in this game does not imply sponsorship or endorsement.
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RDNAアーキテクチャのモバイル向けGPU「Radeon RX 5000M」でライバルを追撃するAMD

モバイル向けGPU「Radeon RX 5000M」でライバルを追撃するAMD

高いパフォーマンスで注目を集めるCPU「Ryzen Mobile 4000」シリーズ同様、AMDはモバイル向けGPUにも力を入れており、「Radeon RX 5000」シリーズを投入している。

Radeon RX 5000は、開発コードネーム「Navi」で呼ばれていたGPUで、製造プロセス7nmの「Radeon DNA」(RDNA)アーキテクチャを採用している。RDNAと聞いて気がつく人もいるはずだが、年末商戦期発売予定のPlayStation 5が採用しているGPUは、このRDNAの第2世代「RDNA 2」をカスタムしたGPUとなっている。第1世代とはいえ、同系統のRadeon RX 5000シリーズもそのパフォーマンスに関し十分期待できるというものだろう。

具体的な製品としては、2020年1月に開催された「CES2020」プレスカンファレンスにおいて「Radeon RX 5000M」シリーズが発表されており、「AMDづくし」といえるスペック(CPUとしてRyzen Mobile 4000シリーズを採用)のノートPCの発売が始まっている。

Ryzen Mobile 4000とRadeon RX 5000Mを搭載したノートPCが登場している

Ryzen Mobile 4000とRadeon RX 5000Mを搭載したノートPCが登場している

Radeon RX 5000MのSKUは、Radeon RX 5700M、RX 5600M、RX 5500M、RX 5300Mの4GPUとシンプルになっている。型番から察せられるように、現状最上位はRadeon RX 5700Mになるが、RX 5600MとはGPUコアクロックや、最大メモリー容量、帯域幅が異なるだけで、演算ユニット数とストリーミングプロセッサー数は同じとなっている。ただし、ピーク時の単精度浮動小数点演算性能はRX 5700Mが7.93TFLOPsのところ、RX 5600Mは5.83TFLOPsと差が開いている。

また、7.93TFLOPsという演算性能(FP32)は、デスクトップ向けミドルクラスGPUのRadeon RX 5700と同等(7.95TFLOPs)だ。

Radeon RX 5500Mのスペック(GPU-Z)

Radeon RX 5500Mのスペック(GPU-Z)

SKUで多少異なるが、Radeon RX 5000Mシリーズのスペックは、デスクトップ向けの同シリーズと同等または近くなっている。「フルHD解像度、60fps」というゲームプレイがターゲットとなる、エントリークラスのゲーミングノートPCに採用されているRadeon RX 5500Mでも、ピーク単精度浮動小数点演算性能はデスクトップ向けGPUのRadeon RX 5500 XTの5.2TFLOPsから、若干パワーダウンした4.63TFLOPsの性能が備わっている。

あくまでも数値上になるものの、NVIDIAのモバイル向けGPUのGeForce GTX 1660 Ti Max-Q Designの4.101TFLOPsを上回っている点もポイントだろう。

なお、モバイルCPU「Ryzen Mobile 4700U」が内蔵するiGPU「AMD Radeon Graphics(Vega 7)」では、演算ユニット7基、ストリーミングプロセッサー448基となっている。エントリーdGPUのRadeon RX 5500MやRX 5300Mでも、その3倍以上のスペックになっているため、そのぶんゲーミングパフォーマンスには期待できるというものだ。

Radoen RX 5000Mシリーズ スペック

デスクトップ向けおよびモバイル向けGPUの比較

CPUとGPUを手がけるAMDならではの技術に注目

モバイル向けのCPU・GPUを手がけるAMDならではとして注目したい技術が、「AMD Smart Shift」だ。クリエイティブ系ソフトウェアやゲームなどアプリケーションの負荷に状況に応じて、CPUのRyzen Mobile 4000と、GPUのRadeon RX 5000Mの間で動的に電力を割り振ることで、パフォーマンスが最大14%向上するとうたっている。

基本的な考え方は、NVIDIAが最新のMax-Q Designに盛り込んだ「Dynamic Boost」と同じで、CPUとGPUの両方を開発しているAMDだけに、そのパフォーマンスアップに期待が持てるだろう。

CPUとdGPUの消費電力をアプリケーションに合わせて最適化し、最大限の性能を引き出すAMD Smart Shift

CPUとdGPUの消費電力をアプリケーションに合わせて最適化し、最大限の性能を引き出すAMD Smart Shift

AMD RadeonとMacBook Pro

Appleは、自社開発のCPU「Apple Silicon」の発表により、長らく続いたIntelとの関係に終わりを告げた。GPUに関しては、(今のところ)AMDとの関係が続いており、MacBook Pro向けには「Radeon Pro 5000M」シリーズが投入されている。

Radeon Pro 5000MシリーズのGPUイメージ

Radeon Pro 5000Mは、製造プロセス7nmのRDNAアーキテクチャを採用する点はRadeon RX 5000Mシリーズと同じだが、演算ユニット数やストリーミングプロセッサ数などが増加。16インチモデルのMacBook Proで選択できるRadeon Pro 5600Mでは、帯域幅が高速なHBM2(High Bandwidth Memory 2)の8GBメモリーを搭載している。

Radoen Pro 5000Mシリーズ スペック

圧倒的な性能アップで注目されるAMDのモバイルCPU「Ryzen Mobile」とは?

圧倒的な性能アップで注目されるモバイルCPU「AMD Ryzen Mobile」とは?

2017年に投入され、Intel一択だったCPU市場にクサビを打ち込んだのが、AMD Ryzenプロセッサーだ。第1世代Ryzenでは、Intelの強固な地盤にひびを入れた程度だったが、2019年7月に投入されたZen 2アーキテクチャを採用した第3世代Ryzenでは、確実に地盤を砕き、自作PC市場のCPU単体販売数シェア(BCNランキング調べ)がIntelを上回ったほどだ。

  • 第1世代Ryzen: Zenアーキテクチャ(Ryzen 1000シリーズ)
  • 第2世代Ryzen: Zen+アーキテクチャ(Ryzen 2000シリーズ)
  • 第3世代Ryzen: Zen 2アーキテクチャ(Ryzen 3000シリーズ)

プロセッサーを手がけて半世紀のAMD

Ryzenとともにその名を知らしめたAMDだが、まだまだ「AMDって?」と首を傾げてしまう人も、かなりの数になるはずだ。そこで、駆け足になるが、軽くその歴史に触れておこう。

AMDこと、Advanced Micro Devices(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の歴史は約半世紀と長く、1969年に半導体メーカーとして設立された。当初はIntelプロセッサーと同じ仕様の製品を提供するセカンドソースメーカーだったが、Intel互換プロセッサーの開発を経て、1999年にIntelと互換性のない独自プロセッサー「Athlon」を投入、すでにIntel独占状態だったCPU市場に一石を投じた。

その後も独自CPUの開発し、2006年にはNVIDIA GeForceのライバルとなるRadeonを手がけていたATI Technologiesを買収。dGPUのRadeonシリーズに加え、CPUにGPUを統合したAPUを開発している。

Zen 2アーキテクチャ採用の「Ryzen Mobile 4000」シリーズ

しばらくの間パッとしなかったAMDは、Ryzenの高いコストパフォーマンスに加え、PlayStation 5や次世代Xboxはじめ据置型家庭用ゲーム機にもAMDプロセッサーやグラフィックス機能が採用され続けるなどで改めて知られるようになった。今や自作PCだけでなく、メーカー、BTO PCに第3世代AMD Ryzenシリーズを採用するデスクトップPCが増えている。

そんなAMD Ryzenのモバイル向けは、デスクトップ向けに遅れること約1年、Zen2アーキテクチャを採用するRyzen Mobile 4000シリーズを投入している。

大幅性能アップで注目を集める第3世代Ryzen Mobile。GPUにはRadeon Vegaを内蔵する

大幅性能アップで注目を集める第3世代Ryzen Mobile。GPUにはRadeon Vegaを内蔵する

Ryzen Mobile 4000シリーズは、同社デスクトップ向けAPU(CPUとGPUを統合したAMDの製品名)と同じく、GPU「Radeon Vega」を内蔵する開発コードネーム「Renoir」(ルノアール)として噂されていた新世代のAPUになる。

  • 第1世代Ryzen Mobile APU: Zenアーキテクチャ+Radeon Vega(Ryzen Mobile 2000シリーズ)
  • 第2世代Ryzen Mobile APU: Zen+アーキテクチャ+Radeon Vega(Ryzen Mobile 3000シリーズ)
  • 第3世代Ryzen Mobile APU: Zen 2アーキテクチャ+Radeon Vega(Ryzen Mobile 4000シリーズ)

製造プロセスとして、7nmプロセスを採用

メインストリームCPUの製造プロセスが14nmで滞っているIntelと異なり、7nmプロセスを採用しており、Zenアーキテクチャ、12nmプロセス採用の第2世代Ryzen Mobileから大幅に性能を引き上げられている。

7nmプロセス製造とZen2アーキテクチャの採用は大きく、第2世代Ryzen Mobileからはメモリーコントローラーが強化され、メモリークロックは第2世代Ryzen MobileのDDR4-2666から、DDR4-3200に向上ししている。

さらに、IntelがIce LakeでサポートするLPDDR4-3733を上回るLPDDR4x-4266にも対応している。このメモリーの高クロック化により、iGPUの性能アップに期待が持てる。

 

開発コードネーム「Renoir」の第3世代Ryzen Mobile 4000シリーズ

開発コードネーム「Renoir」の第3世代Ryzen Mobile 4000シリーズ

Ryzen Mobile 4000シリーズのラインナップ

2つのスキームで展開するIntelのモバイル向け第10世代Coreプロセッサーと比較すると、Ryzen Mobile 4000のSKUは少ない。8コア/16スレッド、ベース稼働クロック3.3GHz、最大稼働クロック4.4GHzとなる「Ryzen 9 4900H」を最上位に、4コア/4スレッドでベース稼働クロック2.7GHz、最大稼働クロック3.7GHzの「Ryzen 3 4300U」まで、9SKUを用意している。

TDP(熱設計電力)は、15W、35W、45W、35-54Wの4種類。TDP15WのSKUを含め、ベース稼働クロックが高くなっている点にも注目といえる。なお、TDPはプロセッサナンバー末尾のアルファベットで分かり、TDP15Wは「U」、35Wは「HS」、45W、35~54Wは「H」となっている。

Ryzen Mobile 4000シリーズのラインナップ

GPUコアは第2世代同様Radeon Vegaベース

GPUコアは第2世代と同じRadeon Vegaをベースに7nmプロセスに移行しており、各SKUでGPUコア数や、GPU稼働クロックが異なるAMD Radeon Graphicsが搭載されている。

GPUはAMD Radeon Graphicsを搭載

GPUはAMD Radeon Graphicsを搭載

そこで、GPUコア数7基、稼働クロック1600MHzのAMD Radeon Graphics(Vega 7)を搭載しているRyzen 7 4700Uでその性能を確認してみた。

「Intel Iris Plus Graphics」採用のモバイル向け第10世代Coreプロセッサー搭載ノートPC同様に、Ryzen 7 4700U搭載ノートPCにおいて、Epic Gamesの「フォートナイト」をフルHD解像度、画質(プリセット)「中」という条件でプレイしたところ、フレームレートは80fps台と、快適ゲーミングの指標となる60fpsを余裕でオーバーしていた。CPUスペックが異なるため横並びの比較にはならないので、あくまで参考程度としてほしい。

さらに、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV」の公式ベンチマークでは、フルHD解像度、標準品質(ノートPC)で「とても快適」指標を記録していた。フレームレートは30fps台だったので、実際にレイド戦などをプレイするのは厳しいが、iGPUとしては非常に高い性能を持っているのは確実といえる。

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコア

「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」のスコア (C)2010 – 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

圧倒的な性能アップで注目されるモバイルCPU「AMD Ryzen Mobile」とは?

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