アップル、次期macOS Montereyを10月26日にリリース

Apple(アップル)は、本日開催されたバーチャルイベントで、MacBook Proの新モデルを発表した。また、この新型ノートブック発売のタイミング合わせて、macOSの次期メジャーリリースが行われる。Macユーザーは、米国時間10月25日(日本時間10月26日)からmacOS Monterey(モントレー)へのアップデートが可能になる。この新しいmacOSのメジャーリリースは、App Storeから無料で提供される。

macOS MontereyにはSafari(サファリ)12がプリインストールされるが、macOS Big Sur(ビッグサー)ですでに利用している人もいるだろう。新しいSafariはタブグループを作成してデバイス間で同期することができ、デザインも一新されている。新しいタブのデザインには賛否両論があるものの、Appleはまだ調整を続けているようだ。

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FaceTimeにも新機能が追加される。SharePlay機能は今回のアップデートには含まれないが、画面の共有、ポートレートモード利用、通話相手のグリッド表示、リンクの作成などが可能になり、他のデバイスを使う人も(そう、たとえWindows PCからでも)会話に参加できるようになる。

iOS 15で導入された新しいフォーカスモードは、Macにも搭載される。仕事モード、ゲームモードなど、好きなモードを作ることができる。1台のAppleデバイス上でモードを変更すると、同じユーザーが使っている他のすべてのAppleデバイスでもモードが変更される。

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macOS Montereyを使うことで、MacがAirPlayデバイスになる。つまりスマートフォンから音楽や動画をMacのディスプレイに送ることができるようになるのだ。要するに、Apple TVのAirPlayと同じように動作するようになる。

自動化といえば、Macに「ショートカット」アプリが登場する。これは徐々にAutomatorを置き換えていることになるだろうが、当面Automatorも存続していく。

また「メモ」「メッセージ」「マップ」などをはじめとする数多くのアプリも、大なり小なりアップデートを受けている。また、長時間の移動中にMacBookを使いたいときには、コンピューターの「低電力モード」をオンにすることができる。

なお、AppleはmacOS Montereyへのアップデートを強く推薦していない。もし、現在使っているMacの動作に満足している場合は、これまでのメジャーリリースのmacOSをそのまま使い続けることもできる。

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画像クレジット:Apple

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

アップルのMacBook Proがデザイン一新、新M1チップとMagSafeを採用した14・16インチモデル登場

Appleシリコンが搭載された初代MacBook Proが発売されてから1年も経たないうちに、Appleが早くも次のモデルを発表した。ご存知のように、2020年版のMacBook Proは、M1版のProとAirの境界線が完全には明瞭ではなかったために、少々売るのが難しい代物だった。

それを正そうとするべく、本日Appleが発表したのは、MacBook Proの新バージョンだ。この新バージョンでは、長年にわたって人気を博してきた薄型軽量の兄弟機(Air)との間に、より明確な線引きが行われている。

画像クレジット:Apple

この新しいシステムには、本日のイベントで発表された改良版チップである新しいM1 ProまたはM1 Maxが搭載される。この10コアのチップは、16コアのGPU(Proの場合)と相まって、M1チップの最大3倍のメモリ帯域幅を可能にするという。一方、MaxではGPUのコア数が一気に32に増える。明らかなのは、同社の主力ユーザーであるクリエイティブのプロたちを、2020年モデルとは違うやり方でターゲットにしていることだ。

2020年モデルとは異なり、今回のモデルでは14インチと16インチの2種類が用意されており、デザインも一新されている。高性能なアプリケーションのためにファンも内蔵されているものの、Appleによればそれが回ることはほとんどないという。また、今回のシステムでは、あまり好評ではなかったTouch Barが廃止され、代わりに物理的なフルファンクションキーが採用されている。

こうして1つのフィーチャーが去り、昔の人気者が戻って来た。Magsafeが復活したのだ(解き放たれたというべきだろうか)。この第3世代の充電機構は独自のポートを採用しているものの、ユーザーはこれまで通りにThunderbolt / USB-Cポートを使って充電を行うこともできる。そして、もちろんこのマシンにはたくさんのポートが用意されている。具体的には、3つのThunderbolt 4 / USB-Cと、HDMI、そしてSDXCカードスロットだ。

ベゼルを薄くする代わりに、iPhoneスタイルのノッチをディスプレイ上部に設けることでウェブカメラを収納している。うれしいことに、ウエブカメラはいまや日常となったリモート会議用に1080pへとアップグレードされており、より大きなセンサーと広い開口部を備えている(残念ながら4Kではないが、従来のモデルより改善されている)。

16インチ(正確には16.2インチ)ディスプレイの解像度は3456×2234、14インチ(同じく14.2インチ)ディスプレイの解像度は3024×1964だ。ピーク輝度は1600ニトで、リフレッシュレートは120Hz。さらに音声も大幅に改善されている。表面の多くを占めるグリル部の下には、4つのウーファーと2つのツイーターから構成される6つのスピーカーシステムが隠されている。

Appleによれば、これらのシステムはより高速な充電に対応しており、かつビデオ再生で最大21時間のバッテリー駆動時間を実現している。このノートパソコンの「野獣」は軽くはない。それぞれの重量は、4.7ポンド(2.1kgと2.2kg)と3.5ポンド(1.6kg)だ。14インチは税込23万9800円から、16インチは税込29万9800円からとなっている。またいずれのモデルでもM1 Max版へのアップグレードが可能で、24コアGPU版へは税込2万2000円、32コアGPU版へは14インチは税込4万4000円、16インチは税込5万4000円の追加料金がかかる。

本日より予約受付を開始し、来週、10月26日に発売される。また、13インチのProも当面は継続され、標準的なMacBookが担っていた役割を実質的に果たすことになる。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

アップル、MagSafeコネクタを新MacBook Proで復活

Appleは「接続性のジェットコースター」に私たちを乗せるのが大好きなようだ。新しいMacBook Proは、MacBookシリーズがこれまで頼りにしてきたUSB-Cコネクタでは対応できないほど電力を消費する。これまでどおりThunderboltポートを使って充電することもできるが、新しいM1 ProM1 Maxプロセッサーを1ミクロンでも長く使いたいなら、MagSafeを使うべきだ。

これは実にクレバーな設計だ。MagSafe 3の充電器は、メインのワークステーションに置いておきそこでヘビーな作業を行う。一方、外出先でテキストをまとめたり、ウェブを閲覧するときには、性能は低いが小型の充電器を使うことができる。もちろん、USB-Cケーブルにはすぐ外れるというMagSafeのメリットはないが、これは両方の長所を活かす最良の組み合わせだ。ちょっと馬鹿げているが、もし誰かがケーブルにつまずくようなことがあれば、それは自宅や職場のデスクで安全に過ごしているときではなく、外出中であることが多いものだ。

新開発のMagSafe 3コネクタと、MacBook Proの新しいポート

新しいMagSafeポートには、2006年にアップルが開発したおなじみのマグネット式クイックリリースが搭載されており、誰かが電源コードにつまずいてもノートパソコンが床に落ちることはない。当時Appleは、このマグネット式クイックリリースを「コンピュータの転倒によるトラブルをすべて解決する」と謳っていた。

Macbook Pro 2021のMagSafeポート。新しいMagSafe 3コネクタはマグネットを採用

その10年後、Appleは方針転換し全面的にUSB-Cを採用したが、結局のところ、パソコンの落下問題は大したことではないのだろうか?AppleのノートパソコンにMagSafeが戻ってくるのは喜ばしいことだが、この変更にはどのような意味があるのだろうか。

Appleは単に、USB-Cが確実に供給できる以上の電力を必要としていたのではないだろうか(ご存知のとおり、多くの人がW数が小さいスマートフォン用充電器でノートパソコンに接続していた)。

MagSafe 3は、本日発売されたAppleの新しいMacBook Proシリーズに搭載されている。

画像クレジット:Apple

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルがフラッグシッププロセッサ「M1 Pro」を発表

Apple(アップル)は、新しい「M1 Pro」と「M1 Max」チップで、PCに全面戦争を挑み、パフォーマンスを大幅に向上させると同時に、バッテリー消費量を大幅に削減した。M1 Maxは、グラフィックスのプロをターゲットにしていることは明らかだが、Macにさらなるゲーム機能をもたらすことになるかもしれない。

関連記事:アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

M1 Maxは、M1 Proのアーキテクチャをベースに、さらに強力な機能を追加している。このアーキテクチャでは、メモリ帯域幅を最大400GB/sへと大幅に向上させている。これは、すでに非常に高速なM1チップの約6倍、発表されたばかりのM1 Proチップの2倍に相当する。

新チップは570億個のトランジスタを搭載し、64GBのユニファイドメモリー(GPUとCPUの共有メモリー)をサポートしている。M1 Proと同じ10コアのCPUアーキテクチャを採用し、GPUを32コアに増強した他、ハードウェアアクセラレーションによるH.264やHEVCの映像処理のための新しいメディアエンジンを搭載している。また、2つの並列ビデオエンコーディングエンジンを搭載しており、ビデオエディターなどの重いグラフィックス処理を行うユーザーを喜ばせることだろう。

最も印象的な主張は、M1 Maxが1Wあたりの消費電力カーブを同じに保つとしていることだ。言い換えれば、数分でバッテリーを使い切ることなく、より重いグラフィックスを扱えるということだ。

Appleはイベントの中で「では、我々が見つけた最速のPCノートパソコンに搭載されているチップと比較してみましょう」とジョークを飛ばし、ライバルたちと比較しながら、そのパフォーマンス対消費電力スーパーパワーを見せつけた。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

Apple(アップル)は米国時間10月18日、予想どおり新しいチップを発表したが、その名前はほとんどの人が予想していなかったものだった。2020年11月に発表され、様々なApple製品に搭載されてきたM1チップをさらに強化した「M1 Pro」だ。Appleは、M1 ProがオリジナルのM1よりも最大70%高速であることを約束している。

これに加えて、同社はProのさらに強力なバージョンである「M1 Max」も発表した。その詳細はこちらでご覧いただける。

M1 Proは、M1の後継とまではいかないが、基本的には既存のチップをよりパワフルにしたものだ。AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、この製品を「M1ファミリーの次のチップであり、ゲームチェンジャー」と呼んでいる。

同社によると、チップの再設計を行い、チップが利用できる帯域幅を200GB/sに大幅にアップしたという。そして最大32GBのユニファイドメモリーに対応している(一部のプロユーザーにはちょっと残念かもしれない)。

この5nmチップの特徴は、より多くの、合計10個のコアを備えていることだ。そのうち8つは高性能コア、2つは高効率コアで、さらに16個のGPUコアを搭載している(初代M1の8個から増加)。このSoCには、初代M1の2倍となる合計337億個のトランジスタが搭載されている。チップにはもちろん、AIアプリのためのAppleのNeural Engineも搭載されている。

このチップは、最大2台の外部ディスプレイに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが新デザインのAirPods(第3世代)発表、空間オーディオ対応

AirPodsが発売されてから5年が経とうとしている。この間、ラインナップにはいくつか大きな追加があったが、エントリーレベルの製品ではほぼ同じような状況が続いてきた。

Apple(アップル)は米国時間10月18日、第3世代のAirPodsを発表した。このワイヤレスイヤフォンは、上位機種であるAirPods Proの機能とデザインに近いものになっている。新しいデザインでは、マイクのステムが短くなった他、硬いエッジを排除し、より輪郭のはっきりしたデザインになっている。

価格は179ドル(日本では税込2万3800円)で、前世代の159ドルよりも高い。本日より予約受付を開始し、10月26日に出荷が始まる(日本でも10月26日発売)。

新AirPodsは見た目が美しくなっただけではない。バッテリー駆動時間が6時間に伸び、新しいAirPods ProのようにMagSafe充電ケースを採用している。音響面では、新たに設計された「低歪み」ドライバーが搭載され、リスニング体験を強化している。また、これまでAirPods ProとAirPods Maxでしか利用できなかった空間オーディオも聴くことができるようになった。

その他のアップデートとしては、耐汗・耐水性が(ついに!)加わり、ワークアウトのお供として活躍する。また、AirPods Proで採用されているフォースセンサーによる入力を搭載しており、操作はタップではなくAirPodsのステムをつまんで行う。

またAppleは、AirPods第2世代も引き続き129ドル(日本では税込1万6800円)で販売する。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのHomePod miniに新色イエロー、オレンジ、ブルー登場

おそらく誰もHomePodの登場は、期待していなかっただろう。現在、Appleの主要なスマートホームデバイスとなったこのminiに新色が登場する。

今回イベントで、Appleはこの小型スマートスピーカーにイエロー、オレンジ、ブルーのバージョンを追加。この新色は、従来のブラックとホワイトに加えて、それぞれのバージョンと同様に99ドルで販売される。miniの新バージョンは、ホリデーシーズンに間に合うよう、11月に発売される予定だ。

もちろん、Apple MusicのSiriに特化した月額5ドルのボイスプランとの連携も可能だ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

10月19日午前2時からのAppleイベント「Unleashed」をライブで観よう!

Appleは日本時間10月19日午前2時から、新しいハードウェアを発表する予定だ。バーチャルで行われる基調講演はライブストリーミングで配信され、以下でご覧いただける。

ウワサによると、いくつかの新しいMacが発表されるという。ここ1年間、Appleはエントリーレベルのコンピュータに新たなカスタムデザインのM1チップを搭載してきた。そして今回、14インチと16インチのMacBook Pro、新たなMac Mini、27インチのiMacなど、ハイエンドのコンピュータに独自チップを搭載する可能性があるという。

またAppleは同時に新しいディスプレイ技術、新しいポート配列、そして全般的に新しいフォームファクターで、ノートパソコンをイチから設計し直すかもしれない。しかも、それだけではない。Appleは、エントリーモデルのAirPodsのアップデートにも取り組んでいるという。

AppleはYouTubeでもカンファレンスを配信しているので、本ページでライブストリームを直接観ることができる。

Apple TVを持っている人はTVアプリを開いて「Apple Special Event」の項目を探して欲しい。これからのイベントをストリーミングしたり、以前のイベントを再視聴したりできる。

また、Apple TVをお持ちでない方やYouTubeを利用したくない方は、ウェブサイト「Appleのイベント」セクションからイベントのライブストリーミングを観ることもできる。この動画配信はSafari、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Google Chromeなどすべての主要ブラウザで動作するようになっている。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

10月のアップル、グーグル、サムスンのビッグイベントに期待すること

ハードウェアの季節が来週、劇的なフィナーレを迎えようとしている。Apple(アップル)、Google(グーグル)、Samsung(サムソン)の順に、来週は大きなイベントが開催され、来るべきホリデーシーズンに向けて、最後の(望むらくは)大きな発表が行われる。

これは、あなたの身近なハードウェアエディターやTechCrunchのスタッフの多くが、これから数週間、あらゆる種類のガジェットについて記事を書いたり、レビューしたりして忙しくなるということだ。その前に、噂、リーク、消去法を組み合わせ、来週何が出てくるのかについてある程度の情報を得た。

特に、AppleとSamsungについては、消去法が使える。両社とも、最近大きな製品を発表しており、新しい製品ラインがない限り、次に来るものを三角法で予測できる。一方、Googleは、米国時間10月19日に何を予定しているかを概ね発表済みだ。

以下、時系列に沿って説明する。

Apple MacBook Proのシルバーキーボード。ブルーを背景にしたMacのクローズアップ

Appleは、米国時間太平洋時間10月18日午前10時(日本時間10月19日午前2時)に発表を行う。iPhone、Apple Watch、iPadの新製品を発表した同社の直近のイベントから1カ月ほど。だが、そこにはある大きな製品群が欠落していた。Macの新製品が見当たらないのだ。macOS Montereyのリリースが間近に迫っていることに加え、同社はすでにすべての製品を自社製シリコンにアップグレードする計画を発表しており、直近のイベントではその不在を実感した。

プレスリリースのような形で発表するのではないかと思われたが、そうではなく、AppleはMacにスポットライトを当てることを選んだようだ。以前も指摘したが、企業は一般的に、1つのイベントに必ずしもすべてを詰め込む義務はない。今や、世界中から飛行機を使って参加してもらうようなことはしていないからだ。この考え方を自社の都合のいいように解釈している企業もあるが、今回は当てはまらないと思う。少なくとも、私たちはMacに関する以下のようなビッグニュースを期待している

  • 新しいMacBook Pro(13インチと16インチ)
  • 新しいMac Mini
  • 27インチのiMac

画像クレジット:Brian Heater

最初の2つのモデルは、実質的には2020年のM1モデルに置き換わるもので、中身はほぼ同じだ。ただし、高速なM1Xチップが搭載される予定で、それに伴いハードウェアも一新される可能性がある。一方、27インチのiMacは、24インチのモデルを強化し、よりプロ向けのシステムとして提供される。

また、エントリーモデルのAirPodsも、音質とデザインの改善が図られるといわれているが、アクティブノイズキャンセリング機能は搭載されない。

画像クレジット:Google

新しいチップといえば、Googleグーグルはすでに自社製のTensorチップについて明かす計画を発表しており、Qualcomm(クアルコム)に代え自社製シリコンを採用する最新の企業となった。このチップは、新しいPixel 6とProモデルに搭載される。これらの端末はデザインを一新し、スマートフォンの競争の中での製品ラインの生き残りを図る。

Googleはイベントに先立ち、Pixel 6とProの製品ページを公開した。最初の発表については、Gregの記事を参照して欲しい。

  • ベースとなる6はマットなアルミニウム仕上げで6.4インチのディスプレイが、Proは光沢のあるアルミ光沢仕上げで6.7インチのディスプレイが搭載される。
  • Pixel 6には2つのカメラ(ワイドとウルトラワイド)が搭載され、6 Proには望遠ズームレンズが加わる。
  • 流行りの「カメラバンプ」がなくなることを期待する向きがあったかもしれないが、そうはならない。GoogleのRick Osterloh(リック・オステロー)氏は、優れたセンサーやレンズは小さなパッケージには収まらないと指摘する。

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Google Pixel 6の相次ぐリークでカメラ・セキュリティ戦争が激化

最近のリーク情報から、カメラシステムの詳細が明らかになった。6では背面に2つ、Proでは3つのカメラが搭載される。どちらも50メガピクセルの広角レンズと12メガピクセルの超広角レンズを搭載し、Proには48メガピクセルの望遠レンズが加わる。このイベントは、10月19日火曜日の米国太平洋時間午前10時(日本時間10月20日午前2時)に開催される。

画像クレジット:Brian Heater

10月20日水曜日に開催されるSamsungのイベントは、3つのイベントの中で最も予想がつかないが、これまでの同社製品に関するリークの傾向を考えると、あまりいうべきことはない。先日、新しいフォルダブルが発表されたが、2022年2月から3月のMWCあたりまでは、もうGalaxy Sのデバイスは出てこないと思われる。PCやタブレットが妥当なところだろうか。しかし、今回の招待状の鮮やかな色がヒントになるかもしれない。このイベントは、10月20日水曜日の太平洋時間午前7時(日本時間10月20日午後23時)に始まる。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images:

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

チップ不足の影響が出始めたスマートフォン売上は6%減

Canalysが米国時間10月15日に発表した新しいレポートによると、今四半期の世界のスマートフォン販売台数は6%減少した。世界的なチップ不足が原因だ。

パンデミックはサプライチェーン全体に深刻な悪影響を及ぼしており、特にチップが大きな打撃を受けている。Canalysの主席アナリストであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏によると、メーカーはできる限りの対応をしようとしているが、チップ不足は今のところ正真正銘の障害となっている。

「供給面では、チップセットメーカーが需要と供給のギャップを埋めるために、過剰注文を抑制するために価格を引き上げています」とスタントン氏は述べている。「しかし、それにもかかわらず、2022年に入っても不足はまだまだ解消されないでしょう」とも。

こうしたサプライチェーンの問題の結果、この四半期の市場はどうなったのだろうか?上位の常連メンバーは同じポジションを保ち、Samsung(サムスン)は前年と変わらぬ23%と安定したシェアを維持している。一方、Apple(アップル)は3ポイント増の15%となった。Xiaomi(シャオミ、小米科技)は、前年同期比横ばいの14%で3位を維持している。

画像クレジット:Canalys

特に年末商戦に向けて、メーカーはこのような事態を憂慮しているに違いない。Appleは9月末に新型iPhone 13を発売しており、今回の四半期報告には間に合わなかったが、ホリデーショッピングシーズンに合わせて発売したことは間違いない。チップ不足の問題は、その計画に水を差す可能性がある。SamsungもAppleも、モバイル機器用のチップセットを自社で製造しているとはいえ、各社ともチップ部品不足の影響を受けている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくカメラ機能も向上、税込9万8800円から

その結果、製造コストが上昇し続けている2021年、消費者がコストダウンを実感することはないだろうとスタントン氏はいう。その代わりに、購入インセンティブとして、携帯電話と他の機器をセットにして販売するケースが増えるのではないかと予想している。

「ユーザー側は、2021年のスマートフォンの値引きはそれほど積極的ではないと覚悟しておくべきです。しかし顧客の失望を避けるために、利益率に制約のあるスマートフォンブランドは、ウェアラブルやIoTなどの他のデバイスをバンドルして顧客に良いインセンティブを与えることを検討するでしょう」。

CNBCは14日、家電製品や消費財を製造するHisense(ハイセンスグループ)のJia Shaoqian(賈少謙)社長によると、コンシューマーチップの不足はスタントン氏の予測よりもさらに長く、おそらく2~3年は続く可能性があると報じていた。

画像クレジット:Tim Robberts / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが中国で人気のイスラム教コーランアプリをApp Storeから削除

BBCの報道によるとApple(アップル)は、中国政府の要請に応じて、イスラム教の聖典やその他の祈りに関連する情報を読むための人気アプリ「Quran Majeed」を中国のApp Storeから削除した。この動きは、外国のコンテンツを取り締まる、あるいは単にグレートファイアウォール内にそれらのコンテンツが存在することを困難にするという、中国における大きな規制変化の一環として行われている。ちょうど昨日(10月14日)、LinkedIn(リンクトイン)は、国家によるコンプライアンス要件の高まりを受けて、年内に中国版サイトを終了すると発表した。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

中国で最も人気のある宗教アプリの1つであるQuran Majeedは、全世界で利用可能で、約3500万人のユーザーがいる。

Quran Majeedアプリは、他の国のApp StoreやGoogle Playでは引き続き提供されているが、Google Playも厳密には中国では利用できない(ただし、VPNを介してアクセスすることは可能だ)。

Quran Majeedが最近削除されたことに最初に気づいたのは、AppleのApp Store上のアプリをモニタリングしているApple Censorship(アップル検閲)というサイトだった。

中国は公式にはイスラム教を宗教として認めているが、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒が多数を占めるウイグル人の人口に対する人権侵害や虐殺などで批判を浴びている。

この件に関してTechCrunchは、Appleにコメントを求めている。さらに詳しい情報が得られた場合、記事を更新する。

Appleはこれまで、現地のルールをどのように遵守するかについて、多くの論争に直面してきた。批評家たちは、特定の国におけるコンテンツに焦点を当てた規制の多くは検閲に相当し、Appleはそれに簡単に従いすぎると考えている。Appleは、規制に同意するかどうかにかかわらず、事業を展開する国の法律を尊重することが最優先事項であると主張している。

Appleの人権方針にはこうある。「当社は現地の法律を遵守する必要がありますが、時には政府と意見が合わない複雑な問題もあります」。

Appleが行うことには一貫性があるようだ。5月にニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、同社は中国において、天安門広場、中国の精神運動である法輪功、ダライ・ラマ、チベットや台湾の独立など、禁止されている話題を扱っているアプリを削除する予定だという。

Appleのビジネスにはさらに複雑な要素があり、それは同社が国家の規則に従い続けることを意味している。中国はAppleにとって最大の市場の1つであり、また、同社ハードウェアのサプライチェーンを維持するために、この国に大きく依存している。

Quran Majeedは、中国のApple App Storeから削除された唯一のアプリではない。Olive TreeのBible(聖書)アプリも今週、中国で削除された。Olive Treeは、Appleが積極的に削除したと主張している。

画像クレジット:Quran Majeed App

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】Apple Watch Series 7、アップルがトップを走り続ける要素がすべて揃う

スマートウォッチカテゴリー全体の第2四半期の業績は好調で、前年同期比で27%の増加となった。 新型コロナウイルス流行の懸念にもかかわらず、あるいはその懸念があったからこそか、前年同期比で20%の増加となっている。これらのデバイスの人気は、まさに潮の満ち引きのようなもので、大手企業のほとんどが全体的な普及率の上昇から恩恵を受けている。

しかし、かなり成熟したカテゴリーでは滅多に見られないあり方で、1つのモデルが引き続き大きくクローズアップされている。Counterpoint Researchによると、前四半期、Apple Watchのアクティブユーザー数は1億人を超えたそうだ。Apple Watchは「Series 6」「SE」「Series 3」で世界のスマートウォッチ市場のトップ4のうち3つを占めており、Samsungは最新の「Galaxy Watch Active」でなんとか3位に食い込んでいる。

ローエンド市場では、100ドル(約1万1300円)以下のデバイスが続々と登場し、競争が激化しているが、プレミアムおよびミッドレンジ市場では、SamsungやGoogleなどの競合他社が手を組んで対抗するほど、Appleは圧倒的な強さを維持している。Appleはどうしているか?ただ多少の手を加えるだけでいい。画面を少しだけ大きくしたり、充電器の機能を上げたり、そして何よりすでに良いものにはあまり手を加えないようにしている。

画像クレジット:Brian Heater

ヘルス面でのアップデートなど、変わった噂情報が飛び交っていたが、それは間違いで、Appleはデバイスの外観を変えることに注力する道を選んだ。Series 7は、過去数世代の中で最も大きなデザイン変更の1つとなるが、それも急激な変化とはいえない。むしろ、つけて歩いていても誰にも気づかれないかもしれないレベルのものだ。

一方、日常的にApple Watchを使用している方であれば、腕につけた瞬間にその違いに気づくはずだ。Series 6からSeries 7へのアップグレード。大型モデル(今回のレビュー記事ではこちらを中心に扱う)の画面サイズは、1.78インチ(スマートフォンと同様に対角線上の測定)から1.9インチにアップデートされている。これは、Series 6に比べて20%、なぜかいまだに販売されているSeries 3に比べて50%の増加となる。

世代を超えた急激な変化というわけではない。また、電卓のボタンが12%大きくなったからといって、誰もがアップグレードを希望するわけでもないだろう。実は、ウェアラブルという製品の性質上、デザイナーはあまり過激なデザイン変更をすることができない。なぜなら、製品は身体にフィットしなければならないからだ。初期のスマートウォッチは、装着性を阻害してしまう大きなデザインで苦戦した。

画像クレジット:Brian Heater

画面サイズが大きくなっても、周囲のハードウェアが小さくなれば、それに見合うだけの効果が得られるはずだ。それが、ベゼルを1.7mmまで薄くしたことで一部成功することになった。黒いベゼルが完全になくなったわけではないが、Series 6と比較しても、明らかにスリムになっている。にもかかわらず、ケース全体のサイズを40 / 44mmから41 / 45mmへと拡大せざるを得なかった。これまで、スマートウォッチのケースサイズが大きくなることに問題を感じていた者としても(Samsungのことを指している)、この1mmの増加による違いはあまり感じられなかった。手首に装着しても、寝るときに装着しても同じ感覚だ。私は、スマートウォッチを寝るときに着用することが完全に快適だとは思わないが、ヘルス計測結果は変わってくるかもしれない。

2インチ以下の画面では、ミリ単位での調整が必要になるが、このような調整によりUIも調整され、驚くほど多くのコンテンツを追加できるようになった。同社によると、メッセージなどのアプリケーションでは、Series 6に比べてテキストを50%以上追加で表示できるようになったとのことだ。また、文字数が少なくて済む場合には、文字サイズが2倍になり、たとえばパスコード画面のボタンが大きくなるなどの効果がある。

しかし、日常生活での最大の変化は、フルQWERTYキーボードが追加されたことだ。テキスト入力は、タップするか、QuickPathで文字をスライドさせて行う。小さな画面で、どちらもうまく機能していることに驚いた。アプリケーションを開くとすぐに、接続しているiPhoneに「Apple Watchキーボード入力」の通知が表示され、iOSでテキストを入力するかどうかを尋ねてくる。ほとんどの場合、答えはおそらく「イエス」だろう。しかし、もし少しの間携帯電話から離れることになった場合、その選択肢があるのはすばらしいことだ。

画像クレジット:Brian Heater

今回のモデルでは、ディスプレイのクリスタルに厚みを持たせることで、強度を高めている。腕時計は携帯電話ほど砕けて割れるようなことはないだろうが、私にはちょっとしたことで時計をドアにぶつけてしまう悪い癖がある。まだ割れるようなことにはなっていないが、すでに何度か危ない目にあっている。また、この時計は、従来のWR50の防水に加えて、防塵機能を追加した初めてのモデルだ。IP6Xで、完全な防塵性能を実現している。

ディスプレイのエッジが少しだけカーブしてケースと同じ高さになり、横から見たときでもディスプレイが少しだけ見えるようになっている。新しいカウンターウォッチフェイスは、数字を縁に沿って伸ばし、この利点を活かしているといえる。他の2つの新しいフェイス(モジュール式デュオとワールドタイム)は、追加されたスペースを利用して、さらに多くのコンプリケーションを詰め込んでいる。

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ケースが大きくなったことで、実質より大きなバッテリーも搭載できるようになったことになる。実際に容量を増やしたかどうかについては、Appleが明らかにしていないので、必ず行われるであろう分解の検証結果を待つしかない。しかし、これまでと同じバッテリー駆動時間を維持するために、電池容量を少し増やした可能性は高いと思われる。Appleは18時間を約束しているが、確かに、ディスプレイが大きくなり、常時点灯でもかなり明るくなった(内側では70%、同社調べ)にもかかわらず、問題なく1日を過ごすことができるはずだ。

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    画像クレジット:Brian Heater

競合他社の中には、1回の充電で何日も使えることを謳っているものもあるので、純正の睡眠トラッキング機能が追加されたことで、バッテリー駆動時間に対してもより積極的なアプローチができるのではないかと期待していた。少なくとも新たに得たものは、Series 6に搭載されているものよりも33%高速で、約45分で80%の充電が可能な新しいUSB-Cマグネット式充電器だ。実際には、10分以内にひと晩分の充電ができることを意味する。つまり、計画的に充電すれば、快適に昼夜を問わず装着できるというわけだ。

新しい充電器は、旧モデルの時計との互換性があり、それらを通常速度で充電することができる。しかし、廃棄物を減らすというAppleの方針に基づき、Series 7には電源アダプターは付属していない。しかし、みんなが(願わくば)持っているUSB-Cのものを使って充電することができる。また、新しいバンドもいくつか用意されているが、Series 7は、ありがたいことに、Appleのサイトにある既存のバンドすべてと互換性がある。

画像クレジット:Brian Heater

センサー類はほぼそのままで、Series 7にはこれまでと同じプロセッサとLTEチップが搭載されている。Series 8では5Gになるのだろうか?新色もいい。Appleから送られてきた「グリーンアルミニウム」は、予想以上に繊細な色合いだった。濃いオリーブ色で、光の加減によってはダークグレーやブラックと見間違うほどだ。もうちょっとポップな感じにしたいなら、赤や青がいいかもしれない。

Series 7の価格は、41mmが399ドル(日本では税込4万8800円)から、45mmが429ドル(日本では税込5万2800円)から。バンドの種類や仕上げによって、価格も上がる。もしすでにSeries 6を持っている人にとっては、それほど大きなアップグレードにはならないだろう。まだ使えるのであれば、1年か2年待って、ヘルス機能やその他の機能について、Appleが今後どのような展開を見せてくれるのか見てみてはどうだろうか。今のところ、Appleがトップを走り続けるには十分な要素が揃っている。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Apple Watchでau PAY(コード支払い)が可能に、支払履歴も確認可能

Apple Watchでau PAY支払いが可能に、支払履歴も確認可能

Apple Watchでau PAY (コード支払い) の支払いが可能になりました。au PAYアプリの最新バージョン(iOS 9.14.1以上)をダウンロードすることで利用できます。

これにより、店舗等でスマートフォンを出さずに、Apple Watchに表示したバーコードやQRコードを提示して決済できるようになります。

Apple Watchの画面上では、残高表示・非表示の設定、設定しているau ID、支払いの詳細情報、もらえるポイント数、支払履歴も確認できます。

Apple Watchでau PAY支払いが可能に、支払履歴も確認可能

(Source:KDDIEngadget日本版より転載)

アップルがイベント「Unleashed」を日本時間10月19日午前2時開催、新MacやAirPods登場の噂

ハードウェアのシーズンは、まだ終わっていない。GoogleによるPixelイベントの前日、Apple(アップル)は米国時間10月18日(日本時間10月19日午前2時)にイベント「Unleashed」を開催する(おそらく)。Appleはこのイベントの招待状を送付した。イベントは再びクパチーノの本社からライブストリーミングされる。

午前10時(日本時間午前2時)に開始されるこのイベントは、新型iPhoneやApple Watchなどを発表した前回のビッグイベントからわずか1カ月ほどでの開催となる。どのようなものになるだろうか?前回は、新型Macが最大の注目を集めた。同社は現在、すべてのデスクトップとノートパソコンを自社製シリコンにアップグレードする2年計画の真っ最中にあるからだ。おそらく、2020年のM1チップをアップグレードした、新しいMacBook Proが登場するのではないだろうか。また、2020年に発売されたArmベースiMacの大型化や、新しいMac Miniの登場も噂されている。

また、AirPodsのようなアクセサリーも、可能性としては十分に考えられる。では、いったい何が「解き放たれる」のだろうか。上の図が示すように、Appleはある種のワープスピードでの宇宙旅行を発明したのかもしれない。乞うご期待。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルが「大勝利」と呼んだ対Epicの判決に不服申し立て、App Store変更の延期を要求

米連邦判事は9月、カリフォルニア州のEpic Games(エピックゲームズ)対Apple(アップル)の訴訟について裁判所の決定を出す際に、Appleは独占企業ではないと判断した。しかし、Appleが地歩を失ったのは、自社のApp Storeでどのようなルールを作れるかという点だった。この点については、判事はEpic Gamesを支持し、Appleはもはや開発者がApple独自の決済システム以外の決済手段へリンクするのを禁止することはできないとした。現在、Appleはこの判決を不服とし、裁判官が下した差し止め命令の延期を求めている。この動きにより、控訴審の判決後に最終決定が下されるまで、App Storeのルールに何らかの変更を加えることが遅れる可能性がある。

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Appleは、App Storeのポリシーを更新し、開発者がアプリ内に外部リンクやその他のコールトゥアクション(CTA)を含め、顧客をアプリ内課金(IAP)以外の購入方法に誘導することを禁止することをやめるよう命じられていた。また、開発者がアプリの登録を通じて顧客から自主的に入手した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることも、Appleは止めることができないと差し止め命令は述べている。

これは、日本の規制当局が「リーダーアプリ」に対する方針を変更したのを受け、アプリ内にウェブサイトへのリンクを追加できるようにしたことなど、Appleが最近行った米国内外での和解と軌を一にするものだ。韓国でも、AppleとGoogle(グーグル)が開発者に自社のアプリ内課金システムの使用を強制することを防ぐ法案が可決された。また、米国で行われた開発者との集団訴訟の和解において、Appleは、開発者がEメールなどの通信手段を利用して、iOSの顧客に代替決済手段に関する情報を共有できることを明確にした。

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しかし、Epic Gamesの判決では、Appleは2021年9月10日の裁判所の判決から90日以内に新しいルールを導入することが求められた。市場の一部では、この変化に対応するための動きがすでに始まっていた。例えば、サブスクリプションビジネス向けのソリューションプロバイダーであるPaddleは、差し止め命令の発効と同時に、Apple独自のIAPに取って代わるものとして、iOS開発者を対象とした新しい代替アプリ内課金システムを提供開始すると、やや早まった形で発表した。

もしAppleが停止を勝ち取った場合、差し止め命令に従うべき12月初旬の期限は、控訴審が法廷で争われている間に破棄されることになる。つまり、App Storeの開発者にとっては今後何カ月も変化がない可能性があるということだ。

AppleはEpic Gamesとの戦いにおいて「アンチステアリング」ルールに関するこの1つの些細な点を除いて、ほぼすべてのポイントで勝利した。しかし、Epicの控訴により、Appleはいずれにしても法廷に戻ることを余儀なくされる予定だった。

Epic Gamesは、代替決済システムへのリンクを追加する権利を獲得したものの、Appleの成功は「違法ではない」とした裁判所の最初の判決には満足していなかった。Epic側も、Appleが独占的な行為を行っていると控訴裁判所に納得させることを目指し、9月中旬に控訴していた。

この2つのテック巨人の戦いは、法廷外でも続けられている。先週、Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、Twitter(ツイッター)への投稿を通じ、Appleが自社のプラットフォームを利用して、iPhoneの設定画面内で自社アプリをユーザーに売り込んでいると指摘した。これは、サードパーティの競合他社がアクセスできない、事実上の広告枠であると同氏は述べた。ただし、この点を後の裁判で提起するかどうかについては、明言を避けた。

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画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiOS 15.0.2リリース、「活発に悪用されている」バグのセキュリティを修正

Apple(アップル)は米国時間10月11日、活発に悪用されているゼロデイバグに対する「重要なセキュリティアップデート」を含む、iOS 15およびiPadOS 15の2回目のマイナーアップデートを公開した。

現在、サポート対象デバイスでダウンロード可能なiOS 15.0.2およびiPadOS 15.0.2には、アプリケーションがデバイスの最高レベルのアクセス権を持って任意のコードを実行できるメモリ破壊の脆弱性に対する修正が含まれていると、Appleはセキュリティサポートページで述べている。

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この脆弱性の詳細は今のところ明らかにされていないが、Appleは「活発に悪用されている可能性がある」と警告している。したがって、すぐにでもデバイスをアップデートすることをお勧めする。

今回のアップデートでは、MagSafe対応のiPhoneレザーウォレットが「探す(Find My)」サービスに接続できない問題「持ち物を探す(Find My‌ Items)」タブにAirTagsが表示されないことがあるバグ、CarPlay(カープレイ)でオーディオアプリが開けなかったり、再生中に接続が切断される問題など、iOS 15およびiPadOS 15の他の多くの不具合にも対応している。また、メッセージアプリからライブラリに保存した画像が、関連するスレッドやメッセージを削除すると削除されてしまう不具合も修正された。

Appleは現在、最初のメジャーアップデートとなるiOS 15.1のテストを行っている。このアップデートでは、FaceTime(フェイスタイム)のSharePlayが再び有効になり、iPhone 13 ProおよびPro Maxのカメラの新機能が追加され、Apple Walletに新型コロナウイルスの予防接種証明カードを追加できるようになる。おそらく、いくつかのバグ修正も含まれるだろう。

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画像クレジット:Apple

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

44億円を調達した紛失物探索デバイスのTile、新製品でAppleのAirTagに対抗

Bluetoothを利用した紛失物探索デバイスのメーカーTile。最近ではApple(アップル)を激しく非難している同社は、現地時間9月16日、Capital IP(キャピタルアイピー)から4000万ドル(約43億8000万円)の希薄化をともなわない融資を獲得したことを発表した。今回の資金調達は技術開発への投資に充てられる。また、同社はAppleのAirTagsに対抗し、新製品や機能を発表して市場の拡大を図る。

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Tileは、ハンドバッグやスーツケース、自転車、財布、鍵などのアイテムに取り付けられる小型紛失物探索デバイスの分野で長年にわたり業界をリードしてきた。ユーザーはiOS、Androidのスマートフォンアプリ「Tile」を使ってそのアイテムを追跡することができる。アイテムを紛失した場合、Tileアプリを使って、Bluetooth経由でアイテムを探索し、アイテムに取り付けられたデバイスで音を鳴らしてアイテムを見つける。アイテムが近くにない場合は、アプリをインストールしている他のユーザーやその他のアクセスポイントで構成される、より広範な探索ネットワークを利用する。Tileはこのネットワークを介して、自動的かつ匿名でアイテムの位置を持ち主のTileアプリに伝える。

画像クレジット:Tile

同社は、オーディオ、トラベル、ウェアラブル、PCなど40以上の企業について、その企業のデバイスとTileの検索ネットワークを統合するパートナーシップを締結している。代表的なブランドパートナーとしては、HP(ヒューレットパッカード)、Dell(デル)、Fitbit(フィットビット)、Skullcandy(スカルキャンディー)、Away(アウェー)、Xfinity(エクスフィニティ)、Plantronics(プラントロニクス)、Sennheiser(ゼンハイザー)、Bose(ボーズ)、Intel(インテル)などが挙げられる。Tileによると、同社のサービスが組み込まれたデバイス上のアクティベーションは、前年比で200%の伸びを示しているという。

これまでにTileは4000万台以上の探索デバイスを販売し、42万5000人以上の有料顧客を獲得している。これらの数字は今回初めて公表されたが、同社は無料と有料を合わせた総ユーザー数は公表していない。同社は2021年上半期に収益が50%以上増加したとしているが、これについても正確な数字は公表されていない。

Tileは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、一部の市場の回復が遅れ、海外展開に影響があったことを認めているが、海外での業績は好調であり、今後も注力していく予定だという。

しかし、Tileにとっての唯一の障害がパンデミックという訳ではない。

AppleがAirTagsを発売してTileに対抗する計画を発表した際、Tileはそれを「不公正な競争」として批判した。Tileの製品とは異なり、AppleのAirTagsでは、iPhoneの新モデルに搭載されたU1チップが実現するウルトラワイドバンド(超広帯域)技術を利用して、より正確な探索が可能だ。一方、Tileは独自のウルトラワイドバンドを利用したデバイスを計画していたが、iPhoneでウルトラワイドバンドを利用することができなかった。つまり、Appleは自社の紛失物探索デバイスに、競合他社との差別化を図るための機能をいち早く、独占的に利用したのだ(Appleはその後、ウルトラワイドバンドのAPIをサードパーティ開発者に提供することを発表したが、APIが利用できるようになったのはAirTagが発売された後のことである)。

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Tileのコンセプト図(社内資料)

Tileは、Appleの反競争的行為を問題視し、Spotify(スポティファイ)やMatch(マッチ)といった他のAppleに批判的な企業とともに複数の議会公聴会で証言してきた。規制当局からの圧力が強まった結果、Appleは後になってFind Myネットワークをサードパーティ製デバイスに開放し、AirTagsによって不利益を被るTileや他の競合他社を懐柔しようとしている。

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しかし、Tileは、顧客をAppleのファーストパーティアプリに誘導するのではなく、独自のアプリを使用して、独自の機能やサービスで勝負するつもりだ。Tileのサブスクリプションにその姿勢が良く表れている。基本となるTile Premiumプランは年額29.99ドル(日本では3600円)で、無料のバッテリー交換(日本では延長保証)、スマートアラート、ロケーション履歴などの機能を提供する。また、年間99.99ドル(約1万1000円、日本未対応)のPremium Protectプランでは、発見できなかったアイテムに対して年間1000ドル(約11万円)までの保険が適用される(AirTagには同様のサービスは存在しない)。

多くの差別化要因があるにもかかわらず、TileはウルトラワイドバンドのAirTagとの激しい競争に直面している。なぜなら(Appleの製品である)AirTagには、潜在的に数億人のiPhone所有者から成るAppleのネットワークを利用できるという利点があるからだ。

それでも、2018年にTileに参入したCEOのCharles “CJ” Prober(チャールズ・プローバー)氏は、AirTagは同社の収益やデバイスの販売に影響を与えていないと主張する。

同氏はAppleについて次のように話す。「……しかしそれは、Appleが私たちのビジネスを難しくしているという事実を取り除くものではありません」「私たちのビジネスは成長を続け、ユーザーに支持されています。Appleは不公平な競争をしています」。

「プラットフォームを所有している以上、参入したいカテゴリを決めて、そのカテゴリの既存企業を不利にすることで自分たちが有利になるようにすることは許されません。彼らが私たちにしたようにね」。

TileはAirTagに対抗するために、製品のリニューアルを発表する準備をしている。詳細は来週発表されるとのことだが、おそらく、これにはすでに発表されたウルトラワイドバンドバージョンのTileが含まれると思われる。より競争力を高めるために、デザイン、サイズ、形状、機能などの面でラインナップを拡大する可能性もある。

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資金調達については、Tileは2019年にグロースキャピタル(未上場株投資の一種)で4500万ドル(約49億円)を調達した。現在は融資にシフトし、今回の資金調達で、新たな融資に加えて、既存の融資の一部を借り換えているという。

「私は、融資と株式を混在させるのが良いと考えています。ですから、バランスシートにある程度の負債があることは良いことです。株主に希薄化をもたらすものでもありませんから」「私たちは、この資本選択の組み合わせが適切だと思っています」とプローバー氏。

Capital IPは、Tileが過去3年関係を築いてきたグループであり、Tileは同グループを投資家として迎えることを検討していた。「Capital IPグループは、Tileに関心を持ち続け、Tileの将来に期待を寄せている」とプローバー氏は指摘する。

Capital IPのマネージングパートナー、Riyad Shahjahan(リヤド・シャージャハン)氏は、声明の中で次のように述べる。「私たちは、Tileのチームと提携できることをうれしく思います。Tileはハードウェアおよびソフトウェアベースの革新的な技術によって探索システムのカテゴリを定義し、リードし続けています」「収益成長は素晴らしく、急速に上昇する加入者数の傾向は、Tileがプラットフォームに依存せずに提供できる価値提案を裏付けるものであり、当社が投資を決定する上での重要なポイントとなりました。Tileのチームは意欲的なロードマップを持っています。私たちは、Tileのチームが新しい市場やアプリケーションに参入し、市場でのリーダーシップをさらに強固なものにすることを楽しみにしています」。

画像クレジット:Tile

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

Epic GamesのCEOがアップルはiPhoneの「設定」で自社サービスを宣伝していると非難

Apple(アップル)を相手取った反トラスト訴訟(現在控訴中)で大きな注目を集めているEpic Games(エピック・ゲームズ)CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は米国時間10月7日、iPhoneメーカーは他社が利用できない広告枠を自身に与えていると非難した。その場所はiPhoneの設定画面だ。一部のiOS 15ユーザーが、Appleが設定画面のトップ、Apple IDのすぐ下で自社サービスを広告していることを報告している。提示されるサービスは、端末オーナー向けにカスタマイズされていて、すでにサブスクライブしているサービスに基づいていると見られる。

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例えばApple Musicをサブスクライブしていないユーザーには、6カ月の無料トライアルをすすめる広告が表示される。一方現在のApple Musicサブスクライバーには、AppleCareなどのまだ利用していないサービスの追加が促される。

スウィーニー氏は、この種のファーストパーティー広告はAppleによる反競争的行為の可能性があることを指摘している。推奨されているサービスの中にはApp Store(アップストア)で提供されているサードパーティー・アプリと直接競合するものがあるためから。しかしそれらのサードパーティー製アプリは、もちろんiPhoneの設定画面に近づくことができない。できるのはApp Store上の広告スロットに入札することだけだ。

「Fortnite(フォートナイト)を締め出した連中の新しいやり口。自社の音楽サービスのための設定画面広告は実際の設定画面より早く現れ、他の広告主、Spotify(スポティファイ)やSound Cloud(サウンド・クラウド)は利用できません」とスウィーニー氏はいう。

スウィーニー氏は、Mobile Dev Memo(モバイル・デブ・メモ)のアナリストであるEric Seufert(エリック・スーファート)氏の別の投稿をリツイートしており、スーファート氏はGlassfy(グラスファイ)の共同ファウンダーFrancesco Zucchetta(フランセスコ・ズチェッタ)氏の作成した画像をシェアしている。

ズチェッタ氏はTechCrunchに、その広告は自身が所有するiOS 15が動くiPhone 8で見つけたと語った。しかしもっと新しいデバイスで広告を見た人もいる。中には、Appleの宣伝をプッシュ通知でも受け取ったと指摘するコメントもあった。

この問題が微妙なのは、こうした広告は、Appleが自身の利益のために他社を不利な立場においているとは必ずしも言えないことだ。

例えば私たちのiOS 15.1が動作しているiPhone 13 Pro Maxでは、その掲示がAppleCare+(アップルケア・プラス)の保証を追加できる期限までまだ一定の日数があることを知らせるために使用されていた(我々はすでにAppleの他のサブスクリプションをほとんど利用している)。この場合、SpotifyがApple Musicと直接競合するのと同じようなAppleCareと直接競合するサードパーティーアプリは存在しない。Asurion(アシュリオン)などの保証会社はAT&T(エー・ティー・アンド・ティー)やVerizon(ベライゾン)などの 携帯キャリアと提携して、iPhoneの保険プランを販売し、App Storeを通じた消費者への直接販売は行っていない。

保証追加の喚起は有益な情報であり、望まない侵入ではないと指摘する向きさえある。

スウィーニー氏のツイートは、設定アプリ内のファーストパーティー広告の認知度を高めたが、実際これは新しいことではない。

AppleはこれまでにもiPhoneの設定画面を使ってユーザーに自社サービスを売り込むことがよくあり、今回と概ね同じやり方だった。

たとえば2020年、AppleはApple ArcadeAppleCare、およびApple TV+のプロモーションを設定アプリ内で展開しているところを見つけられた。設定画面以外にも、Appleは別の変わった方法で自社サービスを宣伝しており、プッシュ通知を使ったものもあった。さらに同社は、何年も前から自社アプリの中で別のアプリのクロスプロモーションを行っている。例えばApple Musicのサブスクリプションのおすすめが、iTunesを使っている時に表示されるといったものだ。

しかし現在規制当局は、プラットフォームが自らのマーケティングパワーを利用あるいは濫用する様子を綿密に監視している。現在Google(グーグル)は、端末製造メーカーが自社のスマートフォンを販売する際に一連のGoogleアプリをプリインストールすることを必須としていることに対するEUの記録的な罰金命令を控訴している。一方Samsung(サムスン)は、Galaxy(ギャラクシー)端末上で自社アプリの広告を掲載することを中止すると発表した(これまで同社は、他の企業が自社製品を宣伝する広告を時々掲載していた)。

Epic Gamesのスウィーニー氏のツイートについて補足コメントを出しておらず、同社がこのちょっとした最新情報を次の控訴審で使用するかどうかも明らかにしていない。Appleにはコメントを要求しているがまだ応答はない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

App Storeの変化を期待してPaddleが「アップル税」回避する代替アプリ内課金システムを開発中

サブスクリプション型ビジネスのソリューションプロバイダーであるPaddleは、App Storeのデベロッパーがサードパーティの決済システムを利用できるようになる未来に賭けている。そして、そのようなシステムが認められた暁には、いち早く代替手段を提供したいと考えている。同社は米国時間10月7日、iOSデベロッパー向けの新しいアプリ内課金(IAP)システムを発表した。このシステムは、Apple(アップル)が提供するIAPに代わるものとして設計されている。このシステムにより、デベロッパーは獲得した収益のより多くをキープできるとPaddleは述べている。

これは大きな賭けであり、報われるかどうかはわからない。

Paddleによると、同社のシステムは、デベロッパーが顧客のライフサイクル全体を通して顧客データにアクセスできるようにし、直接サブスクリプションを管理したり一時停止するツールを組み合わせて提供するとともに、PayPal(ペイパル)などの他の支払いメカニズムにも対応するという。また、多くのデベロッパーが以前から望んでいた、デベロッパー自身による返金の管理も可能になる。手数料は、10ドル(約1110円)未満の取引では10%、10ドル以上の取引では5%となっている。これは、Appleの手数料30%よりも低い水準だ(サブスクリプションベースのアプリの2年目、およびスモールビジネスプログラムとApple News Partnerプログラムの参加者は15%に下がる)。

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しかし、Paddleの製品は、Epic Games対Appleの訴訟における裁判所の判決が控訴審でも支持され、Appleがその判決をうまい具合に解釈し、Paddleのような代替決済システムの利用が可能になるという信念に基づいている。これは、現時点でPaddleが明確に知り得ないことだ。

9月、米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ)判事は、App Storeでのサードパーティによる決済の問題について、Appleは反トラスト行為を行っていないと判断したものの、Fortnite(フォートナイト)の開発元であるEpic Gamesを支持する画期的な判決を下した。Epicは、独自の決済システムを使用することに加えて、iOSユーザーに直接ゲームを配信することもできるようにしたいと考えており、裁判所の判決を不服として控訴すると述べている

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一方、今回の判決では、Appleはデベロッパーがアプリ内にボタンや外部リンク、その他のコールトゥアクション(CTA)を含め、ユーザーを別の決済メカニズムに誘導することを禁止することはできないとされた。

控訴後に判決のこの部分が調整されなかったとしても、サードパーティによる支払いの問題に関する判事の表現は、Appleにとって解釈の余地がある。現在のところ、この判決は、Appleがストア外の他の決済手段にリンクされたアプリをリジェクトすることを阻止するだけであり、アプリ自体に組み込まれた競争力のある支払いシステムをサポートするまでには至らないだろうと考えられている。このPaddleシステムがApp Reviewを通過する可能性については、すでに専門家が反論している

しかし、Paddleはその可能性があると考えている。

Paddleは声明でこう述べた。「当社および当社の法律顧問の理解では、Paddleのアプリ内課金システムはApple対Epicの法的判決の範囲内で許容されます。iOSデベロッパーや市場に大きな影響を与えるこの問題をより明確にするために、Appleがこの点について同社の解釈を示すことを歓迎します」。

Paddleは、裁判所の判決に合わせて、2021年12月7日から同社のシステム提供開始する予定だ。

現在、3000社以上のソフトウェアクライアント(販売者)がPaddleのプラットフォームを他のサービスに利用しており、同社は年間数十億ドル(数千億円)の決済量を処理している。このAppleのIAPの代替サービスを実際に導入するデベロッパーが出てくるかどうかは興味深いところだが、その場合、アプリがApp Storeからリジェクトされるリスクがある。これまでのところ、Paddleによると、MacPawを含む何社かのデベロッパーがこの試みに同意しているとのことだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがApp Storeの「問題を報告」リンク復活、不正行為対策への協力を呼びかけ

Apple(アップル)がApp Storeに変更を加える。iOS 15、iPadOS 15、およびmacOS MontereyデバイスのApp Store製品ページに「問題を報告」リンクを復活させる。ユーザーがアプリに関する問題を簡単に報告する方法を提供する。アプリに不快なコンテンツや違法なコンテンツが含まれていないか、あるいは消費者からお金を騙し取ろうとしていないかなどを報告することができる。Appleは数年前、App Storeからユーザーフレンドリーな「問題を報告」ボタンを削除したが、それはあだとなったのかもしれない。新たな報告によると、上位アプリの多くが詐欺であり、消費者に数百万ドル(数億円)の損害を与えている。Appleはこの状況について議会から質問を受けたこともある。

このボタンの復活は今週初めに発見の報告があったものの、Appleは米国時間10月6日まで正式に発表していなかった。

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Appleによると、この新機能は現在、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで提供されており、時間をかけて他の市場でも提供していくとのことだ(ただし、厳密にはこの機能は新しいものではなく、このようなボタンはApp Storeの初期の頃には重要な機能だった)。

「Report a Problem(問題を報告)」ボタンのある古いApp Storeの例(画像クレジット:Dummies.com)

このボタンは、ユーザーがインストールしたアプリにのみ表示される。

ボタンをクリックすると、ユーザーはreportaproblem.apple.comで「詐欺または不正行為を報告」や「有害な、乱用的な、または違法なコンテンツを報告」などのオプションを選択することができる。また、アプリ内課金を含まない無料アプリの問題も報告できるようになる。

App Storeのスクリーンショット、2021年10月

Appleによると、AppleのApp Review、Discovery Fraud and Live Moderation、Financial Fraudの各チームは、報告された問題について、不正、人為的操作、乱用、その他のApp Store Review Guidelines違反の兆候がないか調査する。そして、発見した問題を解決するために開発者に連絡を取る。ただし、消費者に対する直接的な金銭的救済措置については言及していない。消費者はこれまで通り、このページから別の手続きで返金を要求しなければならない。

Appleが数年前にサブスクリプションモデルに移行して以来、App Storeでの詐欺行為は明白で悪質なものとなり、多くの場合、収益性が高い。悪質な業者らは同モデルに移行してすぐに、ビルトインされたツールを利用して消費者を騙し、サブスクリプション購入に誘導しようとした。Appleは、定額制アプリに「ダークパターン」やその他の不正な手段を使おうとする開発者を捕まえることを目的とした新しいガイドラインを発表した

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ある開発者、特定して言えば、詐欺師によって失われた収益をめぐってAppleを提訴したKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeにおける最悪の詐欺行為に焦点を当てることを自らの使命としている。

同氏自身のビジネスに影響を与えたその詐欺では、Apple Watchアプリの偽物が消費者から数百万ドル(数億円)を騙し取ったと言われている。同氏はまた、エンドユーザーにとっていかに大胆で悲惨な行為であるかという理由で見出しを飾った詐欺も発見した。その中には、ユーザーの生活費(約60万ドル=約6600万円)をビットコインで騙し取った暗号資産ウォレットアプリや、実はオンラインカジノが隠れている子ども向けゲーム、年間500万ドル(約5億5000万円)を騙し取っていたVPNアプリなどがある。

エレフテリオ氏は現在、App Storeの詐欺事件をもう1件調査しており、近日中に公開する予定だと話している。この事件では、数百万件ダウンロードされたアプリの開発者が、数千万ドル(数十億円)の収益を上げていた。

同氏の仕事は、AppleがApp Storeの不正行為対策にどれだけ投資しているかについて疑問を投げかけた。結局のところ、1人の開発者が空いた時間に次から次へと詐欺を暴くことができるなら、世界で最も価値のある企業にもできるのではないだろうか。

実際、同氏は、より簡単に詐欺を発見するためのシステムさえ開発した。「Bunco Squad」というこのツールは、アプリの評価、レビュー、ダウンロード数、収益などの指標をダッシュボードに表示し、アプリに信頼度のスコアを付与する。詐欺師の多くは偽の評価を購入しているため、アプリの総合的な星評価とレビューの記載があるもののみから算出した評価を比較し、詐欺の可能性を見つけるというのは非常に簡明だ。

同氏は「Bunco Squad」をApp Storeで公開しようとしたが、当然のことながら却下された。Appleからは、アプリが提供する情報の一部が不正確である可能性があると言われたそうだ。

App Storeの不正に関する問題は、2021年になって議会にまで持ち込まれた。

Appleは、4月に行われた上院の反トラスト法に関する公聴会で、App Storeの詐欺師を止める能力がないように見えることについて質問を受けた。同社は、安全で信頼できるアプリ市場を維持するため、開発者に代わって詐欺行為に対処していることから、開発者に課す手数料を正当化していた。上院議員たちは、このようなApp Storeの詐欺行為を発見するために、なぜジャーナリストやその他の「オープンソースの報告」(エレフテリオ氏のような公の取り組みを指していると思われる)に頼らなければならないのかについて情報を求めた。

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そのときのAppleの回答は、セキュリティや不正行為との戦いは「いたちごっこ」であり、改善に努めているというものだった。

Appleは、10月6日の発表で、不正行為への効果的な対策には一般の人々からの協力が必要であることを認めたようだ。

同社は、App Storeの変更に関するお知らせという形ではあるが、一種の声明を発表した。その中で、同社が詐欺対策に十分な努力をしていないのは、おそらく詐欺アプリの収益がApp Storeの利益に貢献しているからだ、という噂を打ち消そうとしたようだ。

「問題のあるアプリは、ユーザーと開発者のApp Store体験を低下させます。私たちは、削除すべき問題のあるコンテンツの種類を特定する技術を常に拡げています。問題のあるアプリは削除され、その開発者はApple Developer Programのメンバーシップを失う可能性があります」と述べている。

「Appleは、App Storeがすべての開発者にすばらしい機会を提供し続けるために、問題のあるアプリからユーザーを保護することに深くコミットしています」と付け加えている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi