今晩午前3時からのアップルイベントで期待される新製品、iPhone SE、MacBook、iPad Airそして新チップ

一連のバーチャルイベントについていえることは、メーカーが我々に近づく確かな方法を手に入れたということだ。古き良き出張の時代、大きなショーの数週間前には、Palo Alto Travelodge(パロ・アルト・トラベロッジ)(良好のWi-Fiと、そうでもない朝食)の宿泊を予約したものだ。バーチャルへの移行は、企業が社員にパソコンの前で1時間過ごさせるために、スターの登場を約束する必要がなくなったことも意味している。

最近のニュースに流れる絶え間ないリークからは、Appleにとってかなり控えめなイベントが予想される。その予想は、会社の標準的リリース間隔によっていっそう増強される。Appleは2021年秋のイベントに、それはそれはたくさんの商品を詰め込んだ。そこにはiPhone 13、Apple Watch 7、iOS、そしてショーの人気をさらったいくつかのiPadがあった。半導体の遅れとホリデーシーズンが完璧に重なり合って、最近の記憶の中で最大のAppleイベントになった。

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というわけで今週はiPhone 14もApple Watch 8もない。それでも新しいiPhoneは見られそうだ。Appleが新しいiPhone SEを出す期限を過ぎているというわけではない。なぜならこのお手頃端末のリリース間隔は、よくいって不定期だから。今回は、2016年と2020年に続くSE第3世代になる。お手頃iPhone(前世代は399ドル、日本では4万9800円からだった)は過去数年にわたって多くのファンを獲得し、その1人でもあるTechCrunchのDevin Coldewey(デビン・コールドウェイ)記者は、かつて同製品の「死」を悼んだこともあった。

このラインは、Appleの歴史的工業デザインの最後の痕跡を残す商品としてよく知られている。iPhoneがフルスクリーンになって切り欠きが付く前のデザインだ。長年のApple予言者であるMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏は、2年の空白の後にこの端末が戻ってくることをいち早く指摘した1人だ。同氏は、ほとんど変わらないデザイン、A15チップ、ストレージは64~256 GBと伝えている。しかし、ショウの呼び物は、入門レベル機種への5Gの追加だ。

iPadが再び話題をさらうかもしれない。第5世代のAir(エア)が予想されており、2021年のmini(ミニ)から多くの特徴を引き継ぐだろう。iPhone SEと同じく、この機種も2020年以来改定されていない。オプションの5G、A15チップ、カメラハードウェアとソフトウェアのアップグレードなどが噂されている。

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2021年は2020年版M1チップのスーパーチャージ版が2種類登場したが、2022年のどこかの時点でM2がやってくる可能性が高い(イベントのタイトル、Peek Performanceにあるパフォーマンスのチラ見せはこれのこと?)。Appleが新しいチップを発表するとすれば、まず間違いなく新しいMacハードウェアと一緒だ。2022年、噂の先頭を切っているのは、薄くて軽い長年の人気機種、MacBook Airの新バージョンだ。Mac Miniも、そして大きくてよりPro(プロ)ライクなiMacも期待されている。

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噂の最後を飾るのは27インチのAppleディスプレイだ。現在同社が販売している32インチPro Display XDRのハードルを下げるものだ。ここ数年で世界の大部分がリモートワークに移行していることから、この種の製品の需要が高まっていることをAppleは間違いなく知っている。しかし5000ドル(日本では58万2780円)という価格はどうみてもほとんどの人の手には届かない。

最後に、この種のハードウェア・イベントには、いくつかのOSアップデートが必ずついてくる。macOS、iOS、およびiPadOSのアップデートが予想される。

イベントは米国時間3月8日太平洋時刻午前10時、東海岸時刻午後1時(日本時間3月9日午前3時)に始まる。それでは現地でお会いしましょう。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple TV+が米ComcastのXfinityプラットフォームでロールアウト開始

Comcastは米国時間3月7日、Apple TV+が同社のXfinityプラットフォームで利用可能になったことを発表した。Apple TV+は本日よりXfinity X1、Xfinity Flex、XClass TVで展開され、今後数日ですべての対象デバイスで利用可能になる予定だ。

Xfinityの音声リモコンに「Apple TV+」と話しかけるか、ストリーミングサービスから観たい映画やテレビ番組の名前、例えば「Ted Lasso(テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく)」や「The Morning Show(ザ・モーニングショー)」などと話しかけることで、これからApple TV+にアクセスできる。

このロールアウトの一環として、Xfinityユーザーは3月15日から21日まで、トム・ハンクス主演の新作映画「Greyhound(グレイハウンド)」やいくつかのシリーズのファーストシーズンなど、同ストリーミングサービスのコンテンツの一部をサインアップやサインイン不要で試聴できるようになる。また、Comcastによると、現在Apple TV+に加入していないXfinityの顧客は、4月25日までにXfinityのデバイスからサインアップすると、Apple TV+の3カ月間の無料トライアルが受けられるという。

Appleのサービス担当副社長であるPeter Stern(ピーター・スターン)氏は、今回の発表についての声明の中でこう述べている。「Apple TV+は、世界中の優れたクリエイターによる最高品質の番組を提供しており、リビングルームの大きなテレビで観るのはそれを楽しむベストな方法の1つです。当社とComcastの提携により、何千万台もの新しいデバイスでこの体験が可能になり、多くのComcastのお客様がApple TV+で新しいお気に入り番組を楽しめるようになり、とてもうれしく思っています」。

ComcastがAppleのストリーミングサービスに対応する計画を最初に明らかにしたのは、2021年10月、ComcastのBrian Roberts(ブライアン・ロバーツ)CEOがApple TVアプリをComcastのプラットフォームで利用できるようにすると約束したときだった。

Apple TV+は、2019年11月にAppleの顧客向けにデビューし、その後、同年、Roku(ロク)デバイスAmazon(アマゾン)のFire TVプラットフォームなど、Apple以外のプラットフォームにも展開された。現在では、Samsung(サムスン)、LG、VIZIO(ビジオ)、Sony(ソニー)のさまざまなスマートテレビ、PlayStation(PS4およびPS5)、Xbox(One、Series X、Series S)などのゲームコンソール、およびウェブ経由でも利用できるようになっている。12月には、英国および欧州のSkyデバイス(Sky QおよびSky Glass)でもサービスを開始した。

今回のサービス拡充は、太平洋時間3月8日午前10時(日本時間3月9日午前3時)に予定されているAppleの次のビッグイベントの前日というタイミングで行われた。同社はこのイベントで、5G接続対応のリフレッシュされたiPhone SE、全体的にスペックが向上したiPad Airアップデート版、Appleシリコンを搭載した新しいMacモデルなどを発表する可能性がある。

画像クレジット:Comcast

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

macOSのChromeがSafariより高速に、グーグルが発表

Google Chrome(グーグル・クローム)のバージョン100が数週間以内にローンチされるが、いまだにブラウザを高速化する余地はまだ残されている。Google(グーグル)が米国時間3月7日に発表したように、macOS上のChromeのバージョン99は、Apple(アップル)のWebKitチームが独自に開発したSpeedometerベンチマークで300点を獲得することに成功した。これは、これまでのブラウザの中で最速のパフォーマンスだと、Googleは指摘している。

Speedometer 2.0は応答性をテストするため、ユーザーエクスペリエンスの良い尺度となる。Mozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)とAppleのWebKitベースのSafari(サファリ)を例外として、ほとんどのベンダーが同じChromiumコードベースでブラウザを構築している現在、ブラウザ市場の競争が速度に焦点を当ててからしばらく経つ。しかし、だからといって、さまざまな開発チームがユーザーエクスペリエンスを高速化する方法を考えるのをやめたわけではない。多くの成熟したテクノロジーと同様に、最近は大きなブレークスルーが見られないだけだ。Interop 2022の一環として、各社のブラウザをウェブ標準により適合させるために集まっていても、各ベンダーの競争がなくなったわけではない。

新しいチップが登場すれば、常に最適化の余地がある。元々、AppleのM1チップ上のChromeのパフォーマンスは合格点だったが、このArmベースのチップの発売から15カ月後、Chromeはこのチップ上で43%速く動作するようになったとGoogleは指摘し、さらにこの分野でのいくつかの新しい技術のおかげで、ブラウザのグラフィックパフォーマンスがSafariを15%上回ったと強調している。これは、Googleが2021年すでに発表した数多くの一般的なJavaScriptの最適化に加えて行われたものだ。

Windowsユーザーのためのニュースはないが、GoogleはAndroid上のChromeもまた、いくつかの改善がみられると述べている。同社は「ブラウザのユーザーインターフェイスのスレッドで重要なナビゲーションの瞬間」を優先するいくつかのナビゲーション最適化のおかげで、ページの読み込みが15%速くなるはずだと述べている。

このような変化に気づくだろうか?高速接続の最新ブラウザは、事実上どんなページでも瞬きする間にレンダリングする。しかし、ソフトウェアの応答性を感じるには、それほど多くの時間は必要ない。M1 Macの43%は、TikTok(ティックトック)の閲覧(あるいはJiraチケットの管理など、さまざまな場面)において、より生産的な感覚を覚えるだろう。

画像クレジット:Halil Sagirkaya / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

Appleマップ、ロシア以外のユーザーにはクリミアをウクライナの一部として表示するように

Appleマップは、新しい静かなアップデートと思われる変更で、ロシア国外から見たときにクリミアがウクライナの一部であると表示するようになった。この変更は、ロシアがウクライナへの侵攻を続けている中で、Mashableが最初に報じている。現在、クリミアを検索したりクリックすると、ウクライナ領として表示されるようになっている。Apple(アップル)は、この変更に関するTechCrunchのコメント要請に応じておらず、この件に関して公には触れていない。

ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島に侵攻して併合し、国際的な非難を浴びた。この侵攻を受け、ロシアはG8からの参加停止と制裁を受けた。

Appleマップのスクリーンショット

過去にAppleは、ほとんどの地域で閲覧される際にクリミアをどの国の一部としても表示しないことで、中立的な立場を取ろうとした。しかし、2019年、Appleはマップアプリをアップデートし、ロシア国内の閲覧者に対してはクリミアをロシア領とマークするようにした。当時、ロシア当局は、Appleがアプリをロシアの法律の要件に適合させることで「義務を果たした」と述べていた。この決定は、ウクライナ当局から大きく批判された。

Appleは現在、米国を含む他の国から地図を見たときに、クリミアはウクライナの一部であると表示することで、異なる姿勢をとっている。新しいマップの変更は、同社がロシアでの製品販売を停止したことを確認した数日後に行われた。ハードウェアの巨人はまた、App StoreからSputnik(スプートニク)とRT Newsアプリを排除し、同国でのApple Payサービスの一部を停止した。

「ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮しており、暴力の結果として苦しんでいるすべての人と共に歩む」と、Appleの広報担当者はその際、TechCrunchに語っていた。「侵攻に対してさまざまな行動を起こしています。状況を評価し続け、当社が取っている行動について関係各国政府と連絡を取り合っています。我々は、世界中の人々と共に平和を求めます」。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰

ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰

DIMITAR DILKOFF via Getty Images

アップルはウクライナ侵攻を受けてロシアでの製品販売を停止しましたが、それによりロシア国内の小売業者が経済制裁とインフレに備えてか、iPhoneやMacの価格を大幅に引き上げていると報じられています。

ロシアのテック系サイトiPhones.ruによると、アップルがロシアでの一時的な販売停止を発表した後に、同社の製品は「ほぼ全ての場所で」価格が急上昇していると伝えられています。

最たる製品は16インチMacBook Pro(2021)のM1 Max/RAM 64GB/1TBモデルで、2日時点での価格は113万8070ルーブル、およそ110万円以上と見積もられます。ちなみに、ここ数日ルーブルは暴落しているので、全ての円換算は「およそ」となります。

ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰
またiPhone 13 Pro Max(1TB)は30万ルーブル以上で、ほぼ29万円ほど。iPhone 13系で最も安いiPhone 13 mini(128GB)でも約9万円以上となっています。またApple Watch Series 7の最も高価なモデルは約19万円、12.9インチのM1 iPad Pro(2TB)は35万円ほどという高騰ぶりです。

またロシア国内では、欧米がロシアの大手銀行5行への経済制裁を実施したことから、それらの口座に紐付けられたApple Payも利用停止となっています

ウクライナの人々はもちろん、物価の高騰や物資不足に苦しめられているロシアの方々、原油や天然ガスなどが途絶する危機に晒されている全世界を救うためにも、ロシア軍の侵攻が一刻も早く中止されることを祈りたいところです。

(Source:iPhones.ru。Via iMoreEngadget日本版より転載)

Mac版OneDrive同期アプリがついにAppleシリコンにネイティブ対応、一般公開開始

Mac版OneDrive同期アプリがついにAppleシリコンにネイティブ対応、一般公開開始

Microsoft

マイクロソフトは昨年末、macOS版クラウドストレージOneDrive同期アプリがM1 Mac向けにパブリックプレビューとして利用可能になったと発表していました。それから約3ヶ月を経て、ついにM1、M1 ProおよびM1 MaxといったAppleシリコン(アップル独自開発プロセッサ)上でネイティブ動作する一般公開版がリリースしたと明らかにされています。

説明では、Appleシリコン用のOneDrive同期アプリが「GA(Generally Available)」版として利用できるようになったとのこと。MS的に「GA」とは、ベータテスター以外の誰でも利用できる一般公開版のこと。具体的にはバージョン22.022であり、最新版がインストールされているかどうかはアプリの環境設定で確認できます。

MSいわく、ネイティブ対応版は「OneDriveがAppleシリコンのパフォーマンス向上をフルに活用できる」とのことです。これまでも非ネイティブ対応版、すなわちインテル製チップ向けアプリもAppleシリコンMac上で動かせましたが、あくまでRosetta2経由であり、電力やRAM消費が最適化されていませんでした。

一般にM1ほかAppleシリコンは「消費電力が控えめのわりに高パフォーマンス」の傾向があることが好評です。ネイティブ対応したOneDriveアプリ最新版では、その恩恵が十分に受けられることになりそうです。

最初のM1チップ搭載Macが2020年末に登場してから、はや1年以上も経ちました。OneDriveアプリのネイティブ対応はようやくの感もありますが、他のクラウドストレージアプリも対応が遅れぎみです。Googleドライブの正式対応も昨年10月のことであり、Dropboxも今年はじめにベータテストを始めたものの、まだ一般公開には至っていません。

ともあれ各社クラウドストレージアプリのネイティブ対応が進めば、Appleシリコン搭載のMacBook各種が内蔵バッテリーだけで稼働できる時間も長くなるはず。今月のイベントで登場すると噂の「M2」搭載13インチMacBook Proは現行モデルよりバッテリー持ちが良くなるとの予想もあり、出先での作業がいっそうはかどるかもしれません。

(Source:Microsoft OneDrive Blog。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

アップルが日本時間3月9日午前3時から製品発表イベント開催

太平洋時間3月8日午前10時(日本時間3月9日午前3時)に開催されるApple(アップル)の次のビッグイベントの招待状が配られた。Apple Parkから中継されるオンラインイベントとなる予定だ。誰でもAppleのウェブサイトで視聴することができる。

招待状には、ネオンカラーをしたトンネルの入り口のようなAppleのロゴが描かれている。「Peek performance」と書かれていて、Appleは2022年、発表するハードウェアをたくさん準備しているという噂がある。

Appleが3月8日にイベントを開催する予定だとBloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じた。ウクライナで悲惨な事件が起きているが、それでも同社はオンラインイベントを進めたいようだ。

同社はこのイベントで、5G接続対応のリフレッシュされたiPhone SE、全体的にスペックが向上したiPad Airアップデート版、Appleシリコンを搭載した新しいMacモデルなどを発表する可能性がある。

同社は、インテル製CPUを自社製チップに置き換えるため、Macの全ラインナップを刷新している。エントリーレベルの新MacBook Pro、よりパワフルなMac Mini、デザインを一新したMacBook Air、あるいはMac ProやiMac Proの新モデルなど、新しいコンピュータに関してはさまざまな可能性がある。しかし、一度にすべてのMac新モデルを発表するつもりはないようで、詳細はもう数日待たなければならない。

TechCrunchはこのイベントをカバーする。乞うご期待。

画像クレジット:Apple

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、ウクライナ侵攻にともないロシアでの製品販売を中止

Apple(アップル)は米国時間3月1日、先に隣国ウクライナに侵攻したロシアで同社製品の販売を停止すると発表した。このニュースの前日にAppleはSputnikとRT NewsをApp Storeから排除し、またロシアでのApple Payのサービスの一部を無効にしている。本日のニュースでは、Googleに倣ってAppleの「マップ」の一部の機能を無効にしたことも判明した。

アップルの広報は次のようなコメントをくれた。

私たちは、ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮し、暴力の結果、苦しんでいるすべての人々とともにあります。私たちは、人道的活動を支援し、進行中の難民危機に援助を提供し、この地域にいる私たちのチームを支援するためにできる限りのことを行っています。

今回の侵攻を受け、さまざまな行動をとりました。ロシアでの製品販売をすべて停止しました。先週、私たちは同国の販売チャネルへの輸出をすべて停止しました。Apple Payやその他のサービスも制限されています。RT NewsとSputnik Newsは、ロシア国外のApp Storeからのダウンロードができなくなっています。そして、ウクライナ国民の安全と予防措置として、ウクライナの「マップ」で交通情報とライブインシデントの両方を無効化しています。

私たちは引き続き状況を評価し、行っている措置について関連政府と連絡を取り合っています。私たちは、平和を求める世界中のすべての人々とともに行動します。

先週、ウクライナの副首相Mykhailo Fedorov(ミハイロ・フョードロフ)氏が、AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOに公開書簡を記した。「私はあなたにお願いします。そして、あなたがそれを聞くだけでなく、ウクライナ、ヨーロッパそして最終的には、流血の独裁主義の侵略から民主主義の世界全体を保護するために可能なすべてのことを行うことを確信しています。App Storeへのアクセスを含めて、Appleのサービスと製品をロシア連邦に供給することをやめることも含めて」とデジタル変革大臣も務めるフョードロフ氏は述べている。

本日のニュースは世界最大の企業の最大の一歩であり、その他の指導的テクノロジー企業と並んでアップルもついに非難の言葉を発した。

今日のニュースは、世界最大の企業の1つであるAppleが、他のリーダー的なテック企業ととも、ここ数週間のロシアの行動に対して非難してきたことを示すものだ。

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがロシア国内で全製品の販売を停止、ウクライナ侵攻を憂慮のため

アップルがロシア国内で全製品の販売を停止、ウクライナ侵攻を憂慮のため

Artyom GeodakyanTASS via Getty Images

ウクライナ侵攻が激しさを増しているなか、アップルはロシア国内で全製品の販売を停止したことを発表しました。先日ウクライナ副首相が同社のティム・クックCEOに製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請したあと、しばらく沈黙が守られていましたが、ようやく動きがあったかっこうです。

アップルはThe Wall Street Journalほかメディア向け声明にて、「ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮しており、暴力の結果として苦しんでいるすべての人と共に歩む」と述べています。また「人道的な活動を支援し、明らかになりつつある難民危機のために援助を提供し、域内にいる当社チームのサポートに全力を注いでいる」とも付け加えています。

ほかロシア以外の地域のApp Storeで、ロシア国営メディアのRTとスプートニクをダウンロードできなくしたとのことです。

またGoogleはウクライナでGoogleマップのライブ交通データへのアクセスを停止していましたが、アップルも自社のマップで同様の措置を取ったと報告しています。これらのデータはロシア軍のウクライナ侵攻を事前に察知する働きもありましたが、逆にロシア軍がウクライナ市民を追跡することにも使えるとの指摘もありました。

さらにアップルは声明で、状況を注視しつつ関連政府とコミュニケーションを取っており、平和を求める世界中の全ての人々に加わるとの姿勢を打ち出しています。

ウクライナ副首相がクックCEOに要請したことが、すべて実現したたわけではありません。記事執筆時点ではロシア国内のApp Storeは稼働しており、RTとスプートニクのアプリはロシアでは引き続きダウンロードできます。もっとも、これまでアップルがロシア政府の要請や圧力にもかなり従順だったことを振り返ると、大きな方針転換とはいえそうです。

(Source:The Wall Street JournalEngadget日本版より転載)

アップル、ロシア国営メディアアプリを世界のApp Storeで入手不可能に

ウクライナへの侵攻を受けたロシアに対し、さらなる措置を取るようテック企業に対する圧力が高まっているが、Apple(アップル)は米国時間3月1日、ロシア以外のすべての市場において、クレムリンに拠点を置くメディア、RT News(ロシア・トゥデイ)とSputnik NewsをApp Storeから削除することを確認した。この変更は、EUや世界各地でこの2つの国営メディアに対して取られた他の措置に続くものだ。

Microsoft(マイクロソフト)はここ数日、WindowsのアプリストアでRT Newsを禁止し、検索エンジンBingの両ニュースソースのランクを下げた。Google(グーグル)は、キエフの政府による要請により、ウクライナでRT Newsアプリを禁止した。Rokuは同社のストリーミングプラットフォームでRT Newsを禁止。Twitterは、両メディアのツイートに警告のフラグを立て、ランク付けを解除した。Facebookは、TikTokと同様に、EU圏内ではサイトへのアクセスを制限し、利用できないようにしている。そしてGoogleもYouTubeからそれらを削除した。

AppleがRT NewsとSputnik NewsをグローバルのApp Storeから引き上げたのは、ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フョードロフ)副首相からの要請を受けたもので、同副首相はAppleのTim Cook(ティム・クック)CEOにロシアでのデバイス販売の停止とApp Storeへのアクセスの完全遮断を求める書簡を書いている

アプリ情報企業Sensor TowerとApptopiaのデータによると、ロシアの2つのメディアアプリは昨日の時点で、全世界において数百万回もダウンロードされていた。

Sensor Towerによると、米国のApp Storeでは、2月28日の時点で、RT NewsはNewsカテゴリで42位、Sputnikは85位にランクインしていたとのこと。また、iOS向けRT Newsの全世界でのインストール数は、直近の7日間で7日前と比較して241%増加した。そして、iOS向けSputnikのインストールは同期間に163%増加したと同社は指摘している。

しかし、2つのアプリストアの情報会社は、ロシアのアプリの足跡について異なる推定値を報告している。

Sensor Towerは、RT Newsが2013年5月の発売以来、世界中で570万回インストールされ、そのうち170万回はiOSのApp Storeでインストールされたと報告している。Sputnikは2015年3月のリリース以来、全世界で200万インストールされ、そのうち約47万がiOSでのものとなる。

一方、Apptopiaのデータでは、アプリがより広い範囲に及んでいたことを示しています。RT Newsは全世界で総インストール数1000万、そのうちiOSは250万だった。また、Sputnik Newsは385万ダウンロードされ、そのうち96万ダウンロードがiOSだった。

両社ともApp Storeのデータに直接アクセスできないため、正確な数字は不明だ(本当のインストール数はAppleとアプリのパブリッシャーだけが知っている)。その代わり、両社は統計モデルを用いて推定値を算出している。

ロシア・ウクライナ戦争に関連するアプリで影響を受けたのは、ニュースサイトだけではない。Googleの同様の措置を受けて、Appleはウクライナ国民に対する安全対策および予防措置として、ウクライナの「マップ」でのトラフィックとライブインシデントの両方を無効にしたとのこと。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、ロシア政府がアップルやGoogle、Twitterなどハイテク大手に現地オフィスを開設するよう義務づける法律を遵守するよう迫り、検閲キャンペーンを強化していると報じられています。

米The New York Timesによると、ロシア当局は「アップルをはじめとした企業に対し、国内に法人を設立することを義務付ける法律を遵守するよう警告した」とのことです。この通称「上陸法( landing law/現地に拠点を作らせるため)」により、企業や従業員がロシアの法制度や政府の検閲官の要求に対してより脆弱になる、との法律の専門家や市民団体のコメントも紹介されています。

この「上陸法」は2021年7月に、プーチン大統領が署名して成立したものです。それに基づき11月には対象となる企業のリストと、ロシアの要件を満たすため具体的に何をすべきかが明らかにされていました

ちなみにロシア当局は7月に、野党指導者ナワリヌイ氏が構想した選挙支援アプリにつき、アップルとGoogleにアプリストアから削除するように要請。さらに両社に対してアプリを削除しないと罰金を科すと脅したとの報道もありました

さてNYTによれば、今回の動きは「海外ハイテク企業に対するロシアの圧力キャンペーンの一部」とのことです。ロシア当局は罰金や(従業員の)逮捕、インターネット・サービスの遮断や速度制限の可能性をちらつかせ、クレムリン派(プーチン支持派)のメディアはそのままにして、ネット上の好ましくない素材を検閲するように企業に働きかけている、と伝えられています。

アップルはどう対応したかと言えば、すでに今月初めにモスクワにオフィスを開設して「上陸法」を遵守しているとの報道もあります。またウクライナ副首相がティム・クックCEOに対してロシア国内におけるアップル製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請しましたが、記事執筆時点ではクックCEOからの反応は確認されていません。

その一方で、Facebookの親会社であるMetaはウクライナ侵攻に際して、ロシア国営メディアが広告収入を得ることを禁止し、ファクトチェックを厳格にしていくとの対応を発表。これをロシア側は違法と主張し、同社のSNSへのアクセスを制限したことを明らかにしています。

ふだんアップルはプライバシーを基本的な人権の1つと呼び、ユーザー行動の追跡に基づくターゲティング広告が収益源のMetaおよびFacebookはその反対勢力と見られている印象があります。が、今回に限っては立場が逆転している感もあり、アップルに対して欧米の世論からの批判が高まるのかもしれません。

(Source:The New York Times。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

ウクライナ副首相がアップルのクックCEO宛て公開書簡、ロシアでの製品販売停止とApp Store遮断を要請

ウクライナ副首相がアップルのクックCEO宛て公開書簡、ロシアでの製品販売停止とApp Store遮断を要請

JIM WATSON via Getty Images

ロシア軍の侵攻が続くウクライナの副首相兼デジタル・トランスフォーメーション担当大臣ムィハーイロ・フョードロフ氏が、アップルのティム・クックCEOに対してロシア国内におけるアップル製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請しました。しかし記事執筆時点では、クックCEOはこの要請に対する反応を示していません。

フョードロフ氏は「私はあなたに要請します。あなたはこれを聴くだけでなく、ウクライナ、欧州さらには民主世界全体を血まみれの権威主義の侵略から守るべく、可能な限りのことをするものと確信しています。どうかApp Storeのアクセス遮断や、ロシア連邦へのアップルのサービスや製品の供給を停止してください」と記した書簡をTwitterで公開しました。ロシアからアップル製品の供給を引き揚げることで、ロシア国内、特に若者たちの間で反戦の機運が高まることが期待されるとの主張です。

アップルは現在、ロシアでオンラインストアを運営しており、iPhone、iPad、Mac、AirPodsといった各種製品をユーザーにダイレクト販売しています。またロシアのApp Storeは最近、ロシア国内産アプリのユーザーへの推奨を手厚くするよう変更が施されていました。

ロシアは昨年、アップル、Google、Metaなどのハイテク企業が国境内に物理的な拠点を持つことを義務付ける法律を施行しており、アップルもここ数か月の間にロシアに事業所を設置し、モスクワで求人情報を出していたとBloombergは伝えています。

ティム・クックCEOは木曜日にTwitterで「ウクライナの状況を深く懸念しています。我々は現地チームのためにできる限りのことをしており、現地の人道的支援活動にも協力していくつもりです。我々は今まさに危険にさらされている人々のことを思い、平和を求めるすべての人々とともに行動します」とコメントしてはいました。しかし今回のウクライナ副首相の要請に対する回答はまだ確認できません。

(Source:BloombergEngadget日本版より転載)

アップル、Siriに「性別の区別が明確につかない声」を追加

Apple(アップル)が、男性とも女性とも明らかな区別がつかない新しいSiri(シリ)の音声を開発した。このSiriの声は、iOS 15.4のベータ版で、言語を「英語(アメリカ合衆国)にすると利用可能になる。アップルは歴史的に、同社のデジタルアシスタントが不当な性差の固定観念を強化してきたという批判を受けてきた。今回のジェンダーニュートラルな音声を導入するという決定は、この大手テクノロジー企業がその批判から、また一歩距離を取るためのものと見ることができる。

長年にわたり、業界のオブザーバーや専門家は、Alexa(アレクサ)、Siri、Cortana(コルタナ)といった女性っぽい名前の音声アシスタントが作られ、それも女性っぽい声で話すことは、女性がいつでも言いなりになり、虐待さえ甘んじて受けるべきという考え方を暗示するものだと主張してきた国連の研究では、女性の声のアシスタントが従順で、時には媚びるようにさえ感じられることを指摘している。

さらに問題なのは、多くのバーチャルアシスタントをデフォルトで女性に設定するという決定は、私たちの日常的なテクノロジーの構築を担うチームに多様性が欠けているために行われている可能性が高いということだ。この問題は、AI音声の軽率な選択につながるだけでなく、女性にとって便利なツールの進化を遅らせる原因にもなってきた。例えば、人類の約半数に関連する健康指標であるにもかかわらず、アップルが「ヘルスケア」アプリに生理日追跡機能を搭載すべきだと気づくまでに何年もかかったのだ。

アップルは2021年、その信用を得るために、Siriの声に関する懸念に対処し、より多様な声を追加したアップデートを配信した際に、Siriの声がデフォルトで女性に設定されないようにした。

関連記事:アップルが英語圏のSiriに2つの新たな声を追加、「女性」の声のデフォルト設定は廃止に

しかし、AIの音声アシスタントの性別について、まったく考えなくて済むとしたらどうだろう?

それは明らかに、今回Siriに5番目の声を追加した意図である。アップルはまだそうはっきりと明言しているわけではないが。

しかし、iOSソフトウェアのコードを見れば、アップルの考え方を知るためのいくつかのヒントを得ることができる。

開発者のSteve Mosser(スティーブ・モッサー)氏は、iOS 15.4ベータ版の初期のバージョンで、性的区別のないSiriの声への参照を見つけ、今週には米国向けに用意された5番目のSiriの声が「Quinn(クイン)」というファイル名でベータ4に追加されたことを指摘した

Quinnはアイルランドを起源とする名前で、性別にとらわれない名前として知られ、長年にわたって男の子にも女の子にも使われてきた。これが新しいSiriの声にもなっているのは、偶然ではないだろう(ただし、アップルは音声ファイル名をエンドユーザーには表示しておらず、ユーザーインターフェース上では「声 1」「声 2」「声 3」等と表示される)。

Quinnの声は聞く人によって、少し女性っぽく、あるいは男性っぽく聞こえるかもしれない。だが、男性か女性かどちらかに決めて聞くようにすれば、その通りに解釈されるようになるだろう。

しかも、この新しい声は、ひと昔前のようなロボット的な調子に戻ることなく、性別を超えて聞こえるのだ。以前から他のSiriの声で聞かれるような自然な抑揚と滑らかな移行があり、人間らしい声であることに変わりはない。

アップルはTechCrunchに、新しい声はLGBTQ+コミュニティのメンバーによって録音されたと述べている。その自然な音声には、Neutral Text to Speech(ニューラル・テキスト・トゥ・スピーチ、Neural TTS)技術が活用されている。英語圏の音声はすべてNeural TTSを使用しており、他の6言語(フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語)の音声も同様だ。ユーザーは、デバイスの設定とSiriの音声を選択する際に、合計16の言語から選択することができる。

インクルージョンに関してアップルは、Siriの音声だけでなく、デジタルアシスタントの発言にも力を注いできたた。過去数年の間に、アップルは「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)」や「Stop Asian Hate(ストップ・アジアン・ヘイト)」に関するSiriの応答を追加し、ジェンダーやセクシュアリティに基づく暴言に対する強い応答を導入してきた。同社はまた、Speak Screen(スピークスクリーン、画面を読み上げ)、Dictation(ディクテーション、音声によるテキスト入力)、Voice Control(ボイスコントロール、音声コントロール)といった、数々の音声アクセシビリティ機能も導入してきた。

「私たちは、英語を話す人向けに新しいSiriの声を導入し、ユーザーが自分に話しかける声を、より多くの選択肢の中から選べるようにできることを大変うれしく思います」と、アップルの広報担当者は、新しいSiriの声について問い合わせた我々に答えた。「私たちが住む世界の多様性をより良く反映した製品とサービスを開発するというアップルの長年のコミットメントの一環として、私たちは2021年、2つの新しい音声を導入し、音声のデフォルト設定を廃止しました。世界中の何百万人もの人々が、毎日何かをするためにSiriを頼りにしています。そのため、私たちはできるだけパーソナライズされた体験が感じられるようにしようと力を入れています」と、アップルの広報では述べている。

新しい音のオプションは、3月中に配信が予想されるiOS 15.4で、英語話者向けに導入される予定だ。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EUのデジタル政策責任者、オランダの反トラスト命令を無視するAppleに苦言

欧州連合(EU)のデジタル政策責任者Margrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)氏は、Apple(アップル)が、出会い系アプリがアプリ内コンテンツを販売する際にサードパーティの決済技術を利用することを認めるよう求めたオランダの反トラスト命令の遵守を回避するために、意図的に罰金を支払うことを選択していると指摘し、同社を非難した。

Appleは現地時間2月21日、オランダで5回目の罰金500万ユーロ(約6億5000万円)を支払った。この問題に関して同社がオランダの競争当局からこれまでに科された罰金総額は2500万ユーロ(約32億円)に達したが、依然として命令は遵守されていない。

米国で2月22日に行われた講演で、EUの競争部門を率いるヴェスタガー氏は、デジタル政策の重要な柱である今後導入されるデジタル市場法(DMA)に言及した。この法律は、最も強力で中間的な技術プラットフォーム(別名「ゲートキーパー」)に事前ルールを適用する。同氏はまた、支配的プラットフォームによる不正行為と積極的に戦い、デジタル市場の公正性を回復するために、EU議員が課す予定の「すべきこととしてはならないこと」のリストを効果的に執行することが喫緊の課題であることも示唆した。

「一部のゲートキーパーは、時間稼ぎをしたり、規則を回避しようという誘惑に駆られるかもしれません」と同氏は警告した。「オランダにおけるAppleのこのところの行為は、その一例と言えるかもしれません。私たちの理解では、Appleは、サードパーティが同社のアプリストアにアクセスするための条件に関するオランダ競争当局の決定に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを基本的に望んでいるようです。そしてそれは、DMAに含まれる義務の1つにもなります」。

ヴェスタガー氏の発言について、TechCrunchはAppleに問い合わせている。

また、デジタル領域で市場規制が成功する可能性を最大限に高めるために、テック大企業に対して事前の競争ルールを適用するというEUのアプローチと足並みを揃えるか、少なくとも支持するよう米国の議員に訴える前に「コンプライアンスを確保するためには、欧州委員会が十分なリソースを有することを含め、効果的な法執行が鍵となります」とヴェスタガー氏は述べた。

「ゲートキーパーに関する私たちの取り組みが、他の地域にも同じように刺激を与えればと思っています」と同氏は語った。「例えば日本、英国、オーストラリアでは現在そうなっています。米国では、いくつかの法案が議会と上院で進行中ですが、それらは私たちの提案と多くの特徴を共有しています。これは、世界的なコンセンサスが得られていることを意味し、非常に心強いことです」。

往々にして法案は議会や上院を通過しない。しかし、EUは、米国の議員たちが団結してデジタル競争改革を実現させることを望んでいると明確にしている。

ヴェスタガー氏はまた、貿易・技術評議会や「これらの問題に対する共通のアプローチを見つけるために再構築された大西洋横断パートナーシップ」と同氏が呼ぶものについて言及し「私たちのデジタル法案の影響は、EU域内と同様に域外で起こることに左右されます」とも述べた。

「特に競争政策に関しては、新しいTechnology Competition Policy Dialogue(技術競争政策対話)を立ち上げましたが、これは私たちの長年の協力の伝統に基づくものです」とも指摘し、次のように付け加えた。「EUと米国は、最終的にまったく同じ法律を制定することはないかもしれないが、市民を保護し、市場を公正かつオープンに保つためのデジタル政策の策定に関しては、同じ基本的ビジョンを共有していることがますます明らかになってきています」。

つまりここではっきりとしているのは、DMAがデジタル市場の不均衡を是正する有効な手段になるとEUは確信していないということだ。そして、世界で最も強力なテック企業を規制するためには、米国を含むグローバルな対応が必要であり、実際にこれらの企業の多くは米国に本社を置いていているため、米国も含まれなければならない。

そのためヴェスタガー氏は、米国の聴衆を前に、DMAが「客観的かつ非差別的」であることを強調し、欧州が米国のテック企業のみを罰するような規則を考案して保護主義的であるという非難に対抗しようとしている。

「執行機関としての信頼性と自由で開かれた貿易へのコミットメントの両方が、関係する企業がどこの国に本社を置いているかに関係なく、平等に取り組むことを求めています」とヴェスタガーは訴えた。「ゲートキーパーは、欧州市場における規模やリーチに基づいて指定されることになります」。

欧州連合がテック企業に対してデータ保護規則を強力かつ統一的に執行することに失敗し続けていることも、ここで示唆されているようだ。米国はもちろん、包括的な連邦プライバシー法をまだ整備していない。

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、アムステルダムでの店舗人質事件で従業員と顧客の安全を確認

アムステルダムのAppleの店舗で発生した人質事件で、同社は「この恐ろしい経験の後、すべての従業員と顧客は安全である」と述べている。同社は、まだ調査が進行中であることを付け加えた。

「我々は彼らの例外的な仕事と継続的な調査のための地元の法執行機関に感謝したい。私たちのチームと顧客は、本日、迅速な行動を取り、信じられないほどの強さと決意を示しました。私たちは、このような困難な状況下で、彼らがお互いに示したサポートとケアにとても感謝しています」とAppleの広報担当者は声明で述べている。

ロイターの報道によると、男が少なくとも1人を数時間にわたって人質にしていた旗艦店内の人質事件を警察が解決した数時間後に声明は出されている。地元アムステルダム警察のツイートによれば、膠着状態の際、住民は屋内にとどまり、人気エリアから離れるよう促されたという。

AP通信によると、数時間後、銃を持った犯人が店内から逃亡し、警察がクルマなどを使い阻止したとのこと。

警察はオランダ語のツイートで「人質犯がApple Storeから出ていることを確認できた。その男は路上に横たわっており、ロボットが爆発物がないかを確認している。武装した警察官が遠くから彼を制圧している。人質は無事だ」と述べている。

警察は、銃撃犯の潜在的な動機について公にコメントしていない。AP通信によると、地元放送局AT5は、人質を取った犯人は武装強盗をしようとしていたのではないかとの見方を示している。

世界中に500以上の店舗あるApple Storeが犯罪の現場になるのは今回は初めてではない。2021年夏には、アトランタでの10代の若者の2人が、店の警備員を銃撃した疑いで逮捕された。その数カ月後には、マンハッタンのApple Storeの警備員が、入店時のマスク着用を客に伝えた後に刺されるという事件も起きている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルに5回目の罰金、出会い系アプリの決済めぐりオランダ独禁当局との対立続く

オランダの競争当局は、決済技術および同国の出会い系アプリに関する独占禁止命令に遵守しなかったとして、Apple(アップル)に科した罰金を再び引き上げた。

5回目の罰金として500万ユーロ(約6億4900万円)が科せられたことにより、Appleは2500万ユーロ(約32億3700万円)の支払い義務を負うことになり、命令に従っていないとみなされ続ければ、最大で5000万ユーロ(約64億7200万円)に達する可能性がある。このような状況の中、同社は、解決策を提示するどころか障壁を作り続けていると、いら立ちを隠せない様子の規制当局から非難された。

消費者市場庁(ACM)は、声明で次のように述べている。

過去1週間の間に、AppleからACMの要求を満たすような新たな提案は得られませんでした。そのため、Appleは5回目の罰金を支払う必要があります。つまり、すべての罰金の総額は現在2500万ユーロ(約32億3700万円)となります。

「当庁はAppleに対し、どのようにすればACMの要求事項を満たすことができるかを明確に説明しました。ですがこれまでのところ、Appleは真剣な提案をすることを拒否しています。特に、12月24日にACMの要求が裁判所で支持されたことを考えると、Appleの態度は遺憾です。Appleのいわゆる「ソリューション」は、独自の決済システムを利用したいと考えている出会い系アプリ業者にとって、あまりにも多くの障壁を設けています。

「Appleが支配的地位にある企業であることはすでに確立されました。それには、同社サービスの購入者、さらには社会全体に対する責任が伴います。Appleは、自社のサービスを利用すのに妥当な条件を設定しなければなりません。その文脈において、Appleは同社の支配的地位を濫用してはなりません。Appleの規約は購入者の利益を考慮したものでなければなりません。

規制当局の広報担当者は、先週の提案が「不合理」であると判断されて以来、Appleが新たな提案を行っていないことを確認した。

「Appleがこの命令に従うことを期待しています」と同担当者は付け加えた。「それができなければ、定期的な罰金支払いの対象となる、別の命令を下す機会となります」。

ACMからの最新の罰金に対するコメントをAppleに求めているが、同社の広報部門はここ数週間、罰金や告発の件数が増えていることから、これからの問題に備え静かにしているようだ。

Appleに収益の大部分を渡さずにデジタルコンテンツを販売したいと考えている一部のアプリからの苦情を取り締まろうとする、欧州の(小さな)一国の競争規制当局と、自らのエコシステムのコントロールを維持しようとする巨大プラットフォーム企業との間での争い。これは、EU(およびその他の区域)がデジタル巨人に対して、厳しい事前規制とそれに見合った罰則を採用(および施行)した場合にどうなるか、今後のはるかに大きな戦いを予見させるという点で有益だ。

例えば、導入が急がれているEUのデジタル市場法(DMA)案では「ゲートキーパー」と判断されたプラットフォームが、事前に設定された運用上の義務のリストに違反していた場合、全世界売上高の10%を上限とする罰金などの制裁措置が講じられる可能性がある。

そうなればAppleの場合は、2500万ユーロ(約32億3700万円)ではなく、2500億ユーロ(約32兆3700億円)に近い罰金が科せられることになる(クパチーノにとって、軽く見ることがより難しくなるのは確かだ)。

それでも、規制当局が、リソース豊富なテック巨人を自分たちの思うように踊らせようとするのは至難の業であることは明らかだ。

ACMの苦情に対するAppleの対応は、規制当局が不公平だと判断したからといって、儲かる収入源を簡単に放棄する気はないことを示しており、同社は代わりに事業を再構成して、ほぼ同じ手数料を取るための新しい方法を見つけることで、それに対抗しようとしている(Appleは、サードパーティの決済技術を利用するオランダの出会い系アプリに対して、App Storeの標準的な手数料30%に対して、売上の27%の手数料を請求すると述べている)。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

収益に影響を与えるような規制上の制限を回避することに大きなインセンティブを持っている、高速なイテレーションを武器とするテック巨人を取り仕切ることは、我々がこれまで見てきたように、果てしない遅延に負けてしまいがちなゲームだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

弁護士・ジャーナリストを標的に使われたスパイウェアPegasus、誤動作で残した偽画像ファイルから暴き出される

弁護士・ジャーナリストを標的に使われたスパイウェアPegasus、誤動作でiPhone内に残した偽画像ファイルから暴き出される

Nir Elias / reuters

昨年(2021年)7月、iPhoneやAndroid端末のユーザーを攻撃・監視するスパイウェア「Pegasus」が、世界中の人権活動家や弁護士、ジャーナリストを標的に使われたことが判明しました。その後アップルが本格的な対策に乗り出し、ついにはPegasusを開発・販売したイスラエル企業NSOグループを提訴するに至っています。

本来Pegasusは標的としたユーザーのデータを抜き出して政府などに送信したあと、自らが存在した痕跡をすべて消し去るものです。そのため被害者が監視されていたと気づくことや、スパイウェアがどのような挙動をしているか知ることが困難でした。

では、どうやって手がかりがつかめたのか。それは2021年初め、攻撃対象とされたiPhone内から見つかった偽の画像ファイルがきっかけだったと報じられています。

米Reuters報道によると、2021年2月にサウジアラビアの刑務所から釈放された女性活動家のルージャイ・ハスルール(Loujain al-Hathloul)氏は、Googleから国家支援型のハッカーが彼女のGmailアカウントに侵入しようとしたとの警告メールを受け取ったとのこと。iPhoneもハッキングされたことを恐れたハスルール氏は証拠になりそうなものがないか、カナダのセキュリティ研究機関Citizen Labに調査を頼んだそうです。

その半年後、Pegasusの誤動作により、iPhone内に悪意ある画像ファイル(本体のコードが含まれていた)が残されていたと判明。そのファイルが後に、スパイウェアがNSOグループにより作られたことを示す直接的な証拠となりました。Citizen Labの研究員は「これはゲームチェンジャー(流れを大きく変える出来事)でした」「あの会社が捕まえられないと思っていたものを捕まえたのですから」と語っています。

このファイルがPegasusを使ったハッキングを特定するために使われ、それによりアップルは国家支援型攻撃の標的になったと考えられるユーザーに通知できたとのことです。またアップルがPegasusが利用した脆弱性を修正するためにiOSを更新し、さらにはNSOグループへの訴訟を起こすことにも役立ったそうです。

1月には、イスラエルの警察がPegasusを使って裁判所の令状なしに自国民を監視していたことが明らかとなりました。また米FBIが2019年にPegasusを購入して使用を検討していたとも報じられており、調査が進めば波紋がさらに広がることになりそうです。

(Source:Reuters。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

パンデミック後の世界で折りたたみスマホは成功するか?アナリストはその継続的な成長を予測する

先週Samsung(サムスン)はNoteを永遠に葬ってしまった。それは象徴的な行為だった。なんと言ってもスマートフォンは、同社のGalaxy S系列の最先端であり続けるだろう。でもそれは、10年続いたブランドの終わりを表している。それはまた、フォルダブルへの自信を示す機会の1つでもあり、Noteからモバイルのフラグシップの王座を奪うことでもあった。

出だしでさまざまなつまずきを経験したにもかかわらず、Samsungは折りたたみ式スマートフォンという技術の先導者だ。同じぐらい長い企業は他にもいるが、先鞭をつけたのはこの韓国のハードウェア大手であり、同社はモバイルの未来と信ずるこのカテゴリーに他社よりずっと多い投資をしているらしい。

Samsungは少し前に、フォルダブルの市場はニッチより大きいと宣言した。私がSamsungの経営者だったら、やはりそう言っただろう。市場全体の一部として考えても、答はやはり「イエス」だ。まず、それは依然として、大企業とはいえ1つの企業の領域であり、しかもその企業の全台数の小さなパーセンテージにすぎない。

いろいろなアナリスト企業が過去数年間、このカテゴリーの成長を予測しているが、最近のCanalysの予想は、過去にあまり見たことも聞いたこともない、おもしろい視点を提供している。すなわちそれは「パンデミックはこのカテゴリーの成長に貢献するか」という問いだ。

確かにそれは、ちょっとわかりづらい視点だ。そもそも、パンデミックはこれまでも、スマートフォンに負の影響を与えているではないか。理由はいくつかある。まず、誰にとっても明らかなのは、人びとがあまり出かけなくなっているので、新しいスマートフォンなんかいらない。休業で職を失い、可処分所得が減り、しかも前からスマートフォンは更新サイクルが遅くなり価格が高くなっている。もっと最近では、半導体の不足とサプライチェーンの問題が業界を押さえつけている。

人びとが電子製品にお金を投じる機会といえば、家で仕事をするためのPCの購入ぐらいだ。でもこの曇り空が晴れ渡ったら、これらの反対を見ることになるのだろうか?

CanalysのRunar Bjørhovde(ルナー・ビョーロフデ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「フォルダブルの今後の成長の契機は、パンデミックの間に、多くの人びとが画面の大きいデバイスを使い始めていることだ。消費者は、自分が日常使うモバイルデバイスに、絶えずもっと良いユーザー体験を求め続けている。特に生産性とエンタープライズの方面では、欲求のバーがさらに高くなり、大きな画面を求めている。だからパンデミックの回復とともに、消費者のニーズと欲求を満たすフォルダブルスマートフォンのような製品を提供する新たな機会が、スマートフォンのベンダーに訪れる」。

これはおもしろい理屈だが、はたして人びとは、パンデミックの前に比べて大型画面のデバイスにもっとなじんでいるのだろうか?この疑問に対し、人びとは家を出なくなっているのに、スマートフォンを使う機会は増えている、と反論できるかもしれない。

1月に公表されたオーストラリアの研究者たちの報告によると「この悪質なウイルスの地域社会への伝染を防ぐために多くの国がロックダウンを課し、それにより私たちの日常生活が変わっている。ステイ・ホームやワーク・アト・ホームが、もっとも有効な感染予防措置として、個人のレベルとコミュニティのレベルの両方で、世界中で推奨されている。この自己隔離が人びとをますますスマートフォンに向かわせ、それにより互いの接続を維持しようとしている」という。

現時点では、フォルダブルの台数が増え続けていることに疑問の余地はない。Canalysは具体的な数字を挙げて、2021年には890万台のフォルダブルが出荷され、2024年には3000万台を超えると予想している。これまでの需要の停滞への反作用として、パンデミックがこれらの数字に寄与するのではないか。パンデミックでアップグレードが2年遅れ、サプライチェーンの問題もあり、新しいハンドセットを買う気になっている消費者が増えていて、しかも少々高い機種を買うのではないか。

Canalysのもう1人のアナリストによると、高級機の売上減少がメーカーを刺激してハイエンドのイノベーションを推し進めた、という。Toby Zhu(トビー・ズー)氏は次のように主張する。「Androidのベンダーは高級機の分野で大きなプレッシャーに圧されている。800ドル(約9万2000円)以上のスマートフォンが2019年には18%下落し、その間にiOSは68%伸びたからです。Googleと主なAndroidデバイスのベンダーは、製品の差別化と最先端のユーザー体験に重点投資して、ハイエンドの顧客へのアピールを続ける必要があります」。

そんな中でSamsungがある程度成功していることが、一気にフォルダブルのダムの水門を開いた。最も顕著な例であるOppoは、Find Nが初期から好評で「フォルダブルの正しい姿」という褒め言葉を、あちこちからもらった。それは、Motorolaなどによる初期のフォルダブルとは極端に違う設計だ。私の場合は、2021年のGalaxy Z Flipが、フォルダブルを本気で検討する気になった最初の機種だ。そのフォームファクタはGalaxy Foldより扱いやすく、お値段も安い。

Googleなどがもっと投資をして、フォームファクタの選択肢の幅を広げれば、関心を持つ人が増えるだろう。デバイスの生産量が増えれば、コストも下がる。ただし上記2024年の予測である3000万台は、Counterpoint Researchによると2021年に13億9000万台と言われる、スマートフォン全体の出荷量の中ではバケツの中の水一滴だ。

こんな話でいつも大きな疑問符になるのが、Apple(アップル)だ。何年も前から、折りたたみ式iPhoneの噂はあるし、発売は早くて2023年とも言われている。それらの噂によると、今は生産の問題を解決中であり、市販されるのかどうかも未定だそうだ。しかし初期のフォルダブルたちが辿った道を見れば、慎重になるのも当然だ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

iFixit

アップル製品向けにNANDフラッシュメモリを供給する主要サプライヤーの1つが生産工程の一部を停止したため、今後NANDフラッシュの価格が最大10%上昇するかもしれないとの予想が報じられています。

今月10日、半導体メーカー大手のキオクシア(旧東芝)は四日市工場と北上工場で生産工程の一部を停止したと発表しました。3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の部材に不純物が混入していたとされており、少なくとも6.5EB(65億GB)分の製造が減少すると述べています。

今回の件につき市場調査会社のTrendForce社は、SSDの主要構成要素であるNANDの価格が最大で10%高騰する可能性があると警告しているしだいです。

アップルはiPhone 13やM1 Pro/Max MacBook Pro、iPad Proなど、多くの製品にキオクシアのNANDフラッシュを使っていることで知られています。たとえば修理業者iFixitがiPhone 13 Proを分解した際にはキオクシア製のNANDフラッシュが1つ、16インチのM1 Pro搭載MacBook Pro(SSD 256GB)ではキオクシアのKICM225UZ0460 128GB NANDフラッシュが2つ確認されました。

世界的な半導体不足のなか、2021年のPC出荷台数は前年比15%増との調査結果もあり、2022年にはさらに伸びるとの予想もありました。そこにNANDフラッシュの不足や価格が高騰する可能性が生じたことは、今後数カ月にわたって影を落とすかもしれません。

TrendForceによれば、米ウェスタンデジタルとキオクシアの提携はNANDフラッシュ市場の約30%に相当するとのことです。両社は主にPC用のSSDとeMMcストレージを供給しており、それだけPCの生産量に深く関わっているといえます。

混入の原因は明らかになっておらず、市場に出回っている製品を回収する必要があるかどうか、また生産をいつ再開するかも不明です。

米9to5Macは、もしもNANDフラッシュが値上がりしても、アップルが自社製品の価格を引き上げる可能性は低いと推測しています。

なぜならアップルは部品の調達交渉をかなり前から行う傾向があり、今後の契約ではコストが上がる可能性はあるものの、直近の製品に影響するとは考えにくい。その後も影響があるのは数カ月だけで、そのコストはアップルが負担して価格に上乗せしないと思われる、というわけです。

ただし該当する工場で作られたNANDフラッシュを使ったアップル製品が、今後リコールされる懸念はあるとの趣旨も述べられています。アップルで何か動きがありしだい、本誌でもお伝えする予定です。

(Source:キオクシア。Via the VergeEngadget日本版より転載)

アップル、AirTagを悪用したストーカー問題に次期アップデートで対応

Apple(アップル)は米国2月10日、AirTagアクセサリが個人または人の所有物を密かに、あるいは同意なしにストーキングするために使用されているという問題に対処すべく、AirTagおよびFind Myネットワークに関する一連の今後のアップデートを発表した。2021年春のAirTagリリース後、多くのメディア報道や地元警察からの最新情報で、AirTagが人や貴重品(例えば泥棒が盗むつもりのクルマ)などの不要な追跡に使用されている事例が警告された。その結果、消費者のプライバシーを重視する企業として自らを位置づけていたAppleにとって、PR上の悪夢が広がることになった。

Appleは米国時間2月10日、AirTagの仕組みを変更する計画で消費者、安全の専門家、法執行機関からのフィードバックに応えた。

同社は、AirTagsとFind My(探す)ネットワークの両方で、一連のアップデートを間もなく実施すると発表した。まず、新しいプライバシー警告、アラート、文書の提示から始める。また、新しい精密な発見ツールやAirTagのアラートと音の調整など、他の機能の導入についても今後のリリースに向けて「調査中」だ。

まず、Appleのデバイスは、今後のソフトウェアアップデートにより、AirTagの設定プロセスにおいて、新しいプライバシーに関する警告を表示するようになる。この警告は、本来の目的である持ち物の追跡以外の用途でのAirTag使用を抑止することを目的としている。この警告は、同意なしに人を追跡することは犯罪であり、警察当局はAirTagの所有者の識別情報を要求できることをユーザーに知らせる。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、受け取ったすべてのAirTag関連の要請について法執行機関と積極的に協業していると述べ、召喚状やその他の有効な法執行機関の要請に応えて、アカウントの詳細を提供することができると指摘した。これが可能なのは、すべてのAirTagがApple IDに関連付けられた固有のシリアル番号を持っているためだ。同社は、この情報を提供することで、多くの場合、警察当局はAirTagの所有者を突き止めることができ、そうした所有者は捕まり、起訴されている、と述べた。しかしAppleは何件のケースに関与したのかについては言及を避けた。

さらにAppleは、ストーカー被害に遭っているのではないかという人々の不安を和らげるために、紛らわしい警告の1つを変更する予定だ。同社はユーザーから、見知らぬAirTagが自分を追跡していると思わせた「持ち主不明のアクセサリが検出された」というアラートをどのように受け取ったか、話を聞いた。しかし、Appleはこのアラートが近くにある持ち主不明のAirTagには表示されず、AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Maxまたはサードパーティ製のFind Myネットワークアクセサリのみであることを確認した。Appleは今後、このアラートを更新し「持ち主不明のアクセサリ」ではなく「AirPods」がユーザーと一緒に移動していることを示すようにする。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、不要な追跡に関するサポートドキュメントを更新し、Find Myアクセサリとその追跡アラートに関するより詳しい情報を掲載する予定だ。アラートの具体例を示す画像が提供され、ドキュメントでは、ストーカー行為の被害者になった場合にどうすればよいか、さらなる説明が示される。

しかし、AirTagとFind Myの大きな変更はまだ取り組んでいる最中だ。

その中には、アラートを受信した後、近くにいる持ち主不明のAirTagの位置を特定することができる新しい精密検索機能が含まれている。AirTagを使ったストーカー被害では、AirTagが一緒に移動しているという警告を受けたとき、検索しても見つからないという苦情が多く寄せられた。そのため、被害者はAirTagがまだ近くにあるのかどうかわからず、無防備な状態だと感じた。

画像クレジット:Apple

iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13のユーザーは、精密検索機能を活用することで、自分のAirTagデバイスと同じように、持ち主不明のAirTagが範囲内にあるときに、方向と距離の両方を確認することができるようになる。この機能は、カメラ、ARKit、加速度計、ジャイロスコープからのインプットを使って、音、触覚、視覚フィードバックとともにAirTagに誘導する。

AirTagストーカー事例から出てきた別の不満は、ストーキング目的で持ち主不明のAirTagが仕組まれてから、被害者のデバイスが実際に警告を出すまでにどれだけの遅延があるかということだ。ソフトウェアによって警告される前に、AirTagは何時間も街中を一緒に移動していたと指摘した人もいた。

Appleは、持ち主不明のAirTagやFind Myネットワークアクセサリ(ChipoloなどのAirTag代替品を含む)が一緒に移動している可能性があることを「より早くユーザーに通知する」ように警告ロジックを更新する予定だと述べた。しかし、同社は、ユーザーがこれらの警告をどの程度早く受け取れるかについては示さなかった。

Appleはまた、警告の仕組みを後で調整する予定だ。持ち主不明のAirTagが検出された場合、iPhone、iPad、iPod touchにビジュアルアラートを表示し、同時にサウンドを出すようにする。このアラートは、精密検索ツールを使ってAirTagの位置を特定するためのさらなる支援にユーザーを誘導するか、または、AirTagから音が出るようにする予定だ。この機能は、アラートが聞き取りにくいところにAirTagがある場合に役立つ。また、ストーカー事例で問題となっている、AirTagのスピーカーに細工が施された場合にも、発見ツールが役立つ。実際、スピーカーが無効化されたAirTagがeBayやEtsyで売られているのがここ数週間で発見されてもいる

Appleは、持ち主不明のAirTagをより簡単に見つけられるよう、トーンシーケンスを調整してより大きなトーンを使用すると述べた。

このニュースを発表するにあたり、Appleはテクノロジーを使ってストーカー行為をすることは社会問題であり、そしてAirTagsは良い方向にも使われている、という主張を展開した。この件は、他のデバイスメーカーもAppleに続いて自社の製品にこのような積極的な機能を追加するよう働きかけた。例えば、AirTagのライバルであるTileは、安全機能に取り組んでいると述べたが、まだ提供していない。同社は最近、家族追跡・コミュニケーションアプリのLife360に買収された

National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワーク)やNational Center for Victims of Crime(全米犯罪被害者センター)など安全問題に取り組む団体は、Appleの取り組みを称賛した。National Network to End Domestic Violenceは、ディレクターのErica Olsen(エリカ・オルセン)氏を通じて「Appleが被害者の安全についての会話に関与している」ことを喜び、同社が「セーフガードの改善を続けている」と述べた。National Center for Victims of Crimeは、エグゼクティブディレクターのRenee Williams(レニー・ウィリアムズ)氏を通じて、もう少し冷静な声明を発表した。

「これらの不要な追跡の警告が私たちに示していることは、Appleのシステムが動作しているということです。同時に、この問題を啓発しています」とウィリアムズ氏は述べた。「テクノロジーによる虐待、ストーカー行為、または嫌がらせを経験している場合、我々は、法執行機関に加えて、被害者のためのリソースになることができます」と同氏は付け加えた。

望まない追跡の問題に対処するために、Appleがこの分野の他の企業よりもはるかに多くのことを行っているというのは正しいかもしれないが、より高い基準が要求されるのも事実だ。同社はより徹底した製品開発に投資する資金とリソースを持っているだけでなく、アプリのアンチトラッキング機能のような最近の発表も含め、消費者のプライバシーに配慮する企業として自社を位置づけてきた。

AirTagがどのように悪用されるかを考慮する先見性をAppleがなぜ持たなかったのかは不明だ。そして、多くの女性を雇用することにテック業界が苦戦していることが、ここで問題になった可能性があるのではという疑問が生じる。ストーカー被害者の大半を占める女性は、AirTagの機能に関する問題を容易に認識できたかもしれない。

Appleにコメントを求めたところ、アップデートがいつ実施されるのか、どのソフトウェアのバージョンにこの変更が含まれるのか、同社は言及を避けたが、これは新機能で保護されるかどうか、いつ保護されるのかを知りたい消費者にとっては有益な情報だろう。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi