Baiduの電気自動車ブランドJiduが約460億円調達、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」発表

かつては長い開発サイクルを要する産業だった自動車産業は、中国のハイテク企業によって大きく変貌しつつある。現在、中国から生まれる新しい電気自動車ブランドには、とてもついていけない。Baidu(バイドゥ、百度)と中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利)がわずか1年前に設立した電気自動車メーカーJiduは現地時間1月26日、シリーズAラウンドで4億ドル(約460億円)近くを調達したと発表した

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Baiduと、Volvo(ボルボ)を傘下に持つGeelyの出資によるこの新たな資金注入は、Jiduが2021年3月にクローズした3億ドル(約340億円)の創業資本を後押しするものだ。今回の資金により、Jiduは研究開発と量産を加速させ、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」(同社は自動車ではなく、自動車用ロボットと分類)を発表できるようになる。ロボカーの量産モデルは2023年に発売される予定だ。

JiduのCEOである Xia Yiping(シャ・イーピン)氏は以前、APAC(アジア太平洋)地域におけるFiat Chryslerのコネクテッドカー部門を率い、2018年にMeituanが買収した中国の自転車シェアリングのパイオニアであるMobikeを共同創業した。

Jiduの前進速度は注目に値するが、その技術の実行可能性を疑問視する懐疑論者を容易に引きつける可能性がある。このスピーディーなサイクルは、量産車で個々のハードウェア部品をテストするのではなく、模擬プロトタイプを使ってスマートコックピットと自律走行システムを開発するという戦略のおかげだと、Jiduは説明している

同社は、わずか9カ月という短期間で、都市部や高速道路でのレベル4(ほとんどの状況で人間の手を介さない自律走行)機能の安全性と信頼性を「テストし、証明した」と述べた。

このEVスタートアップは、競合するNio(ニオ)が得意とするブランディングとファンコミュニティにもかなり注力している。12月には、オンラインやオフラインのイベントでクルマについてオタクになる「Jidu Union」への参加者を募集し始めた

今後、Jiduは自律走行、スマートコックピット、スマート製造などの関連技術に特化した人材を採用・育成していく予定だ。

画像クレジット:Teaser of Jidu’s concept robocar

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年に急成長した中国のロボタクシー(専門用語と美辞麗句が溢れるリリースから実際のところを解析)

自動運転車を手がける中国のスタートアップは、自社の自律走行車両への乗客を獲得するため、軍拡競争を繰り広げている。数週間ごとに、また1つの大手企業が新しいパイロットプログラムや小規模サービスを開始するための認可を得たというニュースが届く。

これらのプレスリリースは、規制に関する専門用語や、企業の発展を誇示するための美辞麗句が多く、わかりにくい。そこで、中国の主要なロボタクシー事業者であるAutoX(オートX、裹動智駕)、Baidu(バイドゥ、百度)、Deeproute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)、DiDi(ディディ、滴滴出行)、Momenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーAI、小馬智行)、WeRide(ウィーライド、文遠知行)の2021年の進捗状況をこの投稿にまとめ、それぞれの発表から実際にどのようなことがわかるのかを解析した。

中国では多くの大手企業が以前から有人車両(保安運転手が乗車する自動運転車)や無人車両の試験運行を行っているため、この投稿では、定期的に行なわれている一般向けサービスに焦点を当てる。これらの企業は、ロボタクシーに関わるコスト、安全性、規制を調整しながら、自動運転トラック、貨物運搬車、市バスなど、より早く規模を拡大できる分野にも乗り出している。とはいえ、やはり長期的にはロボタクシー分野に重点を置いていくことに変わりはない。

中国の自動運転区域について留意すべき点

本題に入る前に、中国の自動運転車事業に特有の状況をいくつか取り上げる。

  • 中国国内の道路事情は場所により大きく異なる可能性がある。例えば、深圳郊外の工業団地で自動運転車の試験走行を行う場合、都市部にある繁華街の蛇行する道路で行うよりも道路状況はずっと楽である。
  • 自動運転車に関する規制は、それぞれの省で異なる可能性に加え、同じ都市であっても地区によって異なる場合がある。ある都市において完全無人の自動運転走行試験を行う承認を得た企業が、必ずしも他の企業より技術的に進んでいるとは限らない。単に、連携する地元の規制当局が自動運転に対して進歩的な姿勢を有しているからだという場合もある。
  • スマート交通を成長戦略として掲げている地方行政もある。当然、自動運転車を手がけるスタートアップの支援にも熱心だ。国や都市レベルの規制が制定されるよりずっと前に、当局がその管轄区域内で無人運転の試験を行うことを非公式に承認する場合もある。
  • 行政支援は、税制優遇措置、有利な土地利用の機会や安価なオフィススペースの提供などの形で現れることもある。これが、中国の主要な自動運転車のスタートアップが、深圳、広州、上海、蘇州などの十分な資金力のある都市に集中している理由の1つだ。
  • 中国の地方行政は、自動運転のような新技術の開発に拍車をかけるため、たびたび実証区を設置する。こうした取り組みにより、企業は成熟産業を規制する通常の制約を受けることなく、試験を行うことができる。
  • 今日現在、中国のどの都市も無人ロボタクシーの許可を出していない。この許可が下りればサンフランシスコで Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)が行っているように、自動運転車が保安運転手なしで一般市民を輸送することが可能になる。

AutoX

深圳に本社を置き、カリフォルニアに研究開発センターを持つAutoXは、プリンストン大学の元教授、肖健雄氏により、2016年に設立された。出資者には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴集团)、MediaTek(メディアテック、聯發科技)、中国国営自動車メーカーSAIC(サイク、上海汽車集団)などが名を連ねる。

深圳のAutoXのロボタクシー(画像クレジット:AutoX、2021年)

事業状況

2020年8月、AutoXは上海の嘉定区で、有人運転ロボタクシーの一般向けサービスを開始した。利用者はAlibabaのナビゲーションマップ「Amap(エーマップ、高徳地図)」を通じて配車予約ができる。AutoXによると、中国の大手配車サービスプラットフォームでロボタクシーのサービスが利用可能になったのはこれが「初めて」だという。

上海郊外の嘉定区には、上海汽車集団、Volkswagon(フォルクスワーゲン)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)、トヨタ自動車、Baidu、DiDi、Delphi(デルファイ)といった大手自動車メーカーやOEMがオフィスを構えている。2020年の発表によると、AutoXは100台の「自動運転車」を市内の公道で走らせる契約を上海政府と結んだ。

2021年1月、AutoXは「スマートシティ」として生まれ変わりつつある深圳の工業地帯、坪山区で無人ロボタクシーのサービスを開始した。11月には、同社はこのプログラムが168平方キロメートルの坪山区全域をカバーしたと発表した。これはマンハッタンの約3倍の広さに相当する。

ちょうど1カ月前、AutoXは深圳の公道に25台の無人自動運転車を配備し「試験走行」を実施した。中国の自動車ニュースブログは、AutoXが地元の交通規制当局の許可を得ずにこれを進めたと報じている。一方、同社はTechCrunchに対し「政府の支援」を得たと語った。当時、我々は関連部門と連絡を取ることはできなかった。

AutoXによると、同社は合わせて「数百台」のロボタクシーを路上で走行させているという。

関連記事:自動運転ユニコーンAutoXが中国初のロボタクシーのテストを深センでスタート

米国での試験走行

2021年11月現在、AutoXはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

AutoXは、ホンダFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)と共同で、中国でのロボタクシーの開発を進めている。

Baidu Apollo Go

「Apollo Go(アポロ・ゴー)」は、2000年に設立された北京のインターネット企業である検索エンジン大手Baiduの自動運転車プロジェクトである。Baiduは  2015年末、多くの競合するスタートアップが誕生したのとほぼ同時期に、自動運転車部門を始動させた。

Baidu「Apollo Go」のロボタクシーサービス(画像クレジット:Baidu、2021年)

事業状況

2021年11月、Apollo Goは北京の中国における「初の商用自動運転車実証区」で、有料でのロボタクシーサービスの提供が認められた。

Apollo Goにとって公道での「初の商用展開」となった67台の車両では、乗車した保安運転手が監視を行った。このサービスはApollo Goのアプリから配車が可能で、毎日午前7時から午後10時まで運行が実施された。

Apollo Goは、中国の「初の商用ロボタクシー実証区」に参加できたが、対価を目的とした乗車提供はBaiduのこのサービスが初めてではなかった(ネタバレ:以下のWeRide.aiの項を参照)。とはいえ、このイベントにはかなりの象徴的な重要性があった。60平方キロメートルに及ぶこの実証区は、亦荘郊外における国家レベルの経済プロジェクトである北京経済技術開発区の区域内に位置している。このイベントで、ロボタクシー事業者が乗客のデータを活用し、サービス価格を設定する方法について規定する規制の枠組みが導入されたのだ。首都におけるこのような動きは、中国全土のモデルとなる可能性がある。

亦荘が推進しているのは、ロボタクシーだけでない。「コネクテッドカー実証区」はその他のタイプの自動運転車にも対応している。2021年、JD.com(JDドットコム、京東商城)やMeituan(メイトゥアン、美団)を含む多くの大手テック企業が、実証区での無人配送用ミニバンの試験走行を開始した。

Apollo Goの無料版は、広州、長沙、滄州の一部地域で一般公開されており、現在は上海で早期テスターを募集している

米国での試験走行

2021年11月現在、Apollo Goはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

Apollo Goのロボタクシー車両は、国営メーカーFAW(第一汽車集団)のHongqi(ホンチー、紅旗)電気自動車(EV)スタートアップのWM Motor(WMモーター、威馬汽車)、国営メーカーGAC(広州汽車集団)のEVブランド「Aion(アイオン)」、国営メーカーBAIC(北京汽車集団)のEV新ブランド「ARCFOX(アークフォックス)」から提供されている。

Deeproute.ai

深圳に拠点を置くディープルートは、設立からわずか2年の企業としてはかなりの進展を遂げている。2019年、創業者の周光氏は、自動運転車ベンチャーのRoadstar.ai(ロードスター・エーアイ、星行科技)を会社の内紛により辞したのち、ディープルートを設立した。この若い起業家は、すぐに新しい試みへの支持を集めた。2021年9月、ディープルートはAlibabaや中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)などの出資者から、シリーズBラウンドで3億ドル(約340億円)もの資金を調達した

Deeprouteのロボタクシーサービス(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

事業状況

7月、ディープルートは本社に近い深圳の繁華街、福田区の公道に、20台の有人ロボタクシーを配備した。同本社は香港、深圳両行政が設立した  技術協力区の区域内にある。

同社が4月に深圳の交通規制当局から許可を得て開始したロボタクシーサービスは、現在のところ無料で一般利用できる。TechCrunchに語ったところによると、将来的には有料化する予定だという。

2021年3月、中国国営メーカーの東風汽車集団と共同開発したディープルートのロボタクシーが、武漢で一般向けに無料乗車の提供を開始した。中国中部の都市武漢も、中国の自動運転車分野のパイオニアを目指す候補地の1つだ。

米国での試験走行

2021年11月現在、ディープルートはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

ディープルートと東風汽車は、2022年までに200台以上のロボタクシーを配備することを予定している。

DiDi

配車サービス大手のDiDiは、2019年に自動運転車の子会社を設立し、新会社のために5億ドル(約570億円)を迅速に調達している(当時業界で唯一最大の資金調達ラウンドだった)。これにもかかわらず、ロボタクシー開発の動きは予想より静かだった。

DiDiが他の問題に気を取られていたとしても、無理はない。2021年、米国で上場した直後、同社は中国の規制当局から徹底的なデータ調査を受けている。この中国配車サービス大手は12月、ニューヨーク証券取引所から上場廃止となることを発表した

DiDiのロボタクシーサービス(画像クレジット:DiDi、2020年)

事業状況

DiDiのロボタクシーは、2020年6月に上海の一部地域で乗車サービスを開始した。同社は、2020年末までにロボタクシーサービスを北京と深圳に拡大し、2021年には中国国外にもこの事業を展開すると述べていたが、その進捗状況はいまだ更新されていない。同社はまた、2030年までに配車サービスプラットフォームを通じて100万台以上の「自動運転車」を運用するという野心的な目標も掲げている

米国での試験走行

2021年11月現在、DiDiはカリフォルニア州で有人自動運転車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

2021年4月、DiDiはジーリー傘下のVolvo(ボルボ)から同社の海外向けロボタクシー車両の提供を受けると発表した

Momenta

レベル4の完全自動走行技術にのみ注力するロボタクシー事業者が多いなか、創業5年のMomentaは、自動車メーカー向けに先進運転支援システム(ADAS)の売り込みも行っている。このアプローチにより短期的な収入が得られる他、手頃なコストでアルゴリズムの学習用データを蓄積することができる。一方、同社が実際の無人運転技術に十分なリソースを投入しているかどうかについては、業界関係者から疑問の声が上がっている。

Momentaと上海汽車集団が共同開発したロボタクシー(画像クレジット:Deeproute.ai、2021年)

それでも、蘇州に拠点を置くMomentaは、中国で最も資金提供を受けている自動運転車のスタートアップの1つとなっている。General Motors(ゼネラルモーターズ)、Daimler(ダイムラー)、Bosch(ボッシュ)、トヨタ自動車、中国国営自動車メーカー上海汽車集団から、二―オの創業者ウィリアム・リー氏が監督するファンド、Nio Capital(二―オキャピタル)まで、名だたる出資者から合わせて12億ドル(約1370億円)を調達しているのだ。

同業他社の多くが、研究開発部隊の設置や試験走行を米国で行っている一方、Momentaは国際展開の拠点としてドイツを選んだ。2021年、同社は出資者であるダイムラーの本拠地、シュトゥットガルトにオフィスを開設した。

事業状況

2021年12月、Momentaと上海汽車集団は、上海の一部地域で無料のロボタクシーサービスを開始した。利用者は毎日午前8時から午後10時まで、上海汽車集団のアプリを通じて有人運転のロボタクシーを呼び出すことができる。このプログラムでは「20台の車両を用いて将来的な商用利用のための試験と検証を行っている」とMomentaは述べている。同プログラムは、今後数カ月のうちに蘇州と深圳で展開される予定だ。

Momentaは、上海に隣接する豊かな都市、蘇州の政府から多大な支援を得ている。国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)蘇州支部と合弁事業を実施し、同市でのロボタクシー展開を「スケールアップ」させる。SASACは、100社あまりの大規模国有企業を監督する、中国の強力な政府機関である。

OEMパートナー

Momentaはロボタクシーの車両に関して上海汽車集団と協業している。両社は2022年までに中国全土に200台の車両を配備することを目標に掲げた

Pony.ai

Pony.aiは、中国で最も評判の高い自動運転車の専門家たちを輩出してきた、Baiduの自動運転車部門のベテラン2人により、2016年に設立された。広州とカリフォルニアにオフィスを構える同社は、トヨタ自動車の支援を受け、これまでに10億ドル(約1140億円)以上を調達している。

PonyのLexusのロボタクシー(画像クレジット:Pony.ai、2021年)

事業状況

Baiduと同様に、Pony.aiも2021年11月、北京のスマートカー実証区で有料のロボタクシーサービス事業を実施するための承認を得た。「PonyPilot+」と呼ばれるこのサービスは、これまで同エリア内で無料の乗車サービスを行っていた。

「PonyPilot+」は、2021年7月、上海の自動車産業の中心地である嘉定区で始動した。6月には、広州で既存のロボタクシーに加え、完全無人の自動運転車を配備している

米国での試験走行

11月、カリフォルニア州車両管理局は、フリーモントで起きた衝突事故の報告を受け、無人自動運転の試験許可を一時停止にするとPony.aiに通知した。Pony.aiが規制当局から許可を得てから6カ月後の決定だった。カリフォルニア州での同社の有人自動運転の試験許可には影響がなかった。

OEMパートナー

トヨタ自動車の「Lexus(レクサス)」、Hyundai(ヒュンダイ)の他、中国のBYD(ビーワイディー、比亚迪汽车)や「アイオン」など、複数のメーカーの車両をPony.aiのロボタクシーとして利用している。

WeRide.ai

WeRide.aiとPony.aiは多くのルーツを共有している。どちらも広州とカリフォルニアに拠点があり、創業者はBaiduの自動運転車チーム出身者だ。WeRide.aiは2017年に設立され、2021年だけで6億ドル(約686億円)以上を調達した。国営メーカーの広州汽車集団やルノー・日産・三菱アライアンスなどが出資者に名を連ねる。

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー(画像クレジット:WeRide、2021年)

東風汽車が提供するWeRideのロボタクシー/写真:WeRide2021年)

事業状況

2019年11月、WeRide.aiの有人運転ロボタクシーは、広州の144平方キロメートルのエリアで一般乗車を開始した。このサービスは、中国南部で最大のタクシー会社である国営の白雲タクシー会社(白雲出租汽車公司)と連携して実施している。

北京でのBaiduやポニーの有料サービスに先駆けて、WeRide.aiはサービス開始当初から、広州のタクシー料金に相当する金額を乗車料として受け取ってきた。

これは、競合同士が自社プログラムに中国で「初」という称号を得るため躍起になるという、よくある状況の例だ。このような主張そのものは有効だが、よく見極める必要がある。ある業界関係者によると「北京の方が政策を先導する上での影響力はある」が、企業にとっては有料ロボタクシーサービスを実施する場所が北京であろうと広州であろうと、その差は「それほど大きくない」という。

「北京でも広州でも、その都市が友好的な政策をとっていれば、それは良いニュースです。つまりは、ロボタクシー企業は実運用のための試験ができればいいのです」と、同関係者は語った。

WeRide.aiは、武漢でも有人運転のロボタクシーサービスを実施している。

米国での試験走行

2021年11月現在、WeRide.aiはカリフォルニア州で無人および有人車両の試験走行を許可されている。

OEMパートナー

WeRide.aiとその戦略的投資家である広州汽車集団が12月に発表したところによると、今後数年で「数万台」のロボタクシーを配備する予定であるという。

画像クレジット:Traffic jam during sunset / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

中国当局が2021年7月から新作ゲームを1本も承認せず―約1万4000もの関連企業が登記抹消

中国当局が2021年7月から新作ゲームを1本も承認せず、約1万4000もの関連企業が登記抹消

Andrea Verdelli/Getty Images

中国ではビデオゲームの新規ライセンス発行が2021年7月から凍結されており、現在(2022年1月3日時点)までに約1万4000もの小規模なゲーム関連会社が登記を抹消されたと報じられています。

香港メディアThe South China Morning Post(SCMP)によると、中国でゲームのライセンスを担当している国家新聞出版署(NPPA)は7月末以降、新規タイトルの承認リストを発表していないとのこと。これは2018年3月~12月にかけての休止以来(当時も中国ゲーム市場の成長が大幅に鈍化)、中国内で最も長い新規ゲームライセンスの停止となります。

すでに昨年(2021年)9月、中国当局がテンセントやネットイースといった大手ゲーム開発企業を呼び出し、新作ゲームのライセンス発行を停止すると申し渡したことが報じられていました。さらに言えば、中国で18才未満が週に3時間以上ゲームをプレイするのを禁じられた直後のことでもあります。

そのため小規模なゲーム関連企業の多くが事業を閉鎖し、ゲーム業界最大手のパブリッシャーらは海外展開を進めているとのこと。その結果マーチャンダイジングや広告・出版に関わる企業を含む何千ものゲーム関連企業がこの数カ月で廃業し、約1万4000社が登記を抹消される事態となっています。この数字は2020年中に閉鎖された1万8000社から、かなりの加速を示しています。

かたやTikTokを運営するByteDance、オンライン検索大手のBaidu、Tanwan Gamesなどの大手企業は、ゲーム事業に関わる多くの従業員を解雇して損失を縮小。その一方、業界トップのテンセント・ホールディングスとネットイースは海外市場に経営資源を投入していると伝えられています。

たとえばテンセントは子会社のTiMi Studio Groupのもと、シンガポールに新たなビデオゲーム開発スタジオを開設する予定とのことです。TiMi社はモバイルゲームの大ヒット作「王者栄耀」(「Honour of Kings」)や「Call of Duty: Mobile」、「ポケモンユナイト」などの開発元として知られています。

NPPAは今回の停止についての公式な説明も、新規ゲーム承認のプロセスがいつ再開されるかの手がかりも提供していません。

もともと中国でのゲーム規制強化は、習近平主席がゲームを問題視したことから始まっており、さらに最近の国営メディアがオンラインゲームを「精神的アヘンが数十億ドル規模の産業に成長した」と非難したことで加速した経緯があります。中国の国策であり、最高指導者の意向である以上、ゲームへの締め付けを撤回することは困難かもしれません。

(Source:SCMPEngadget日本版より転載)

Baiduのロボットタクシーサービス、2030年までに100都市での展開を目指す

Baidu(バイドゥ)は、自律運転の実現に向けた取り組みを強化している。中国のテック企業Baiduは、検索エンジンでその名を知られ、現在も収益を検索広告に大きく依存している。しかし、同社は自律運転への大きな賭けが将来的に報われることを期待している。

BaiduのロボットタクシーサービスであるApollo Goは、2025年までに65都市、2030年までに100都市での展開を目指していると、Baiduの共同創業者でCEOのRobin Li(ロビン・リー氏)は現地時間11月18日のアナリスト向け電話会議で語った。

これは、Baiduが大量のライセンスを現地の規制当局から取得しなければならないことを意味する。そして最終的には、これらの許可のうちどれだけがApollo Goに商業活動を許可し、サービスが実際にどれだけの乗車数を集めることができるかが、このビジネスの持続可能性を左右することになる。

今のところ、リー氏はBaiduが「おそらく乗車数では世界最大のロボットタクシーサービスプロバイダーである」と見積もっている。第3四半期だけで、Baiduは11万5000回の乗車を提供しており、同氏は第4四半期の乗車数を「みなさんが世界のどこかで耳にする報告数よりもはるかに多い」と予想している。

運転技術の向上という点では、Baiduはこれまでに1600万キロメートル以上のL4(自走式)走行距離を達成している。これは、第1四半期の報告書に記載された620万マイル(約997万キロ)から増加している。

しかし、これらの膨大な数字は、閉鎖された地域の指定ルートではなく、交通量の多い都市部の道路で実際にどのくらいの走行が行われているのかがわからなければ、意味がない。

中国の多くの自律運転車企業と同様に、Baiduもロボットタクシー事業を展開する一方で、先進的な運転支援技術を自動車メーカーやOEMメーカーに提供している。

Baiduは2017年から、オープンソースのApolloプラットフォームを通じて自動車会社に運転ソリューションを提供している。同プラットフォームは数百の企業ユーザーを蓄積しているが、同社は特定のパートナーとの緊密な関係を育んできた。例えば、中国のGeely(ジーリー)と合弁会社を設立して電気自動車メーカーのJidu Auto(ジドゥ・オート)を設立し、パートナー企業が500億元(77億ドル/約8940億円)を出資している。

画像クレジット:Baidu

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

中国の検索エンジン大手Baiduが上海でApollo Goロボタクシーのテストを開始

中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は、上海でApollo Go(アポロ・ゴー)ロボタクシーモバイルプラットフォームの公的なテストを開始し、中国における勢力の継続的な拡大を続ける。

Baiduは、そのロボタクシーがレベル4の能力を達成したと述べているが、地域の規制に準拠するために、現地時間9月12日の時点で一般公開されたすべての運行に人間の安全オペレーターが同乗する。米国自動車技術者協会(SAE)は、レベル4の自動運転車の定義を、ほとんどの場合人間の相互作用を必要とせず、限られた地域だけで運用することができるものとしている。Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Pony.AI(ポニーAI)、Yandex(ヤンデックス)などの企業はすべて、レベル4の自律性を備えた車両の頭脳を構築するために、LiDAR(ライダー)、レーダー、カメラ、GPSの同様の組み合わせを使用している。

上海で展開する車両群は、中国第一汽车(FAW)によって生産されるBaiduの第4世代自動運転車「紅旗EV」で編成される。同社は最初に稼働する車両の数を明らかにしなかったが、Baiduの広報担当者はTechCrunchに対して、目標は上海で約200台の車両を展開することだと語った。Baiduによれば、30の都市で約500台の自動運転車をテストまたは公に運用しているという。

Baiduはカリフォルニアで無人運転技術をテストする認可を得ているが、まだカリフォルニアでは何のサービスも展開しておらず、代わりにそのリソースのほとんどを中国でのスケールアップに振り向けている。同社の広報担当者によれば、中国でのロボタクシーサービスの需要が大幅に増大しているために、Baiduはテクノロジーの改善、多数の車両の製造、優れたユーザーエクスペリエンスの確保に注力しているのだ。上海は長沙、滄州、北京、広州にならび、Apollo Go ロボットタクシーサービスが一般に公開される5番目の都市だ。

ほんの数週間前に、Baiduは北京の通州区にApollo Goサービスを拡大した。通州区は、北京の東の玄関口と見なされており、31マイル(約49.9km)以上にわたって22の新しい駅が追加されている。2021年4月には、同社は北京の首鋼公園で10台の完全自動運転ロボタクシーを運行した。首鋼公園は1.2平方マイル(3.11平方km)のエリアであり、今回中国で最初の商業化されたロボタクシー運用の試験場となった。これらのクルマのハンドルの後ろには人間の安全オペレーターは座っておらず、乗客に安心感を与えるために同乗しているのは助手席の安全スタッフだけだ。1回の乗車料金は30元(約512.5円)で、18〜60歳の乗客が利用できる。サービスはまだ試験段階にあるため、上海を含む他のすべての場所では、乗車は無料だ。

上海の乗客は、Apollo Goアプリを使用して、午前9時30分から午後11時までの間にロボタクシーを呼んで、上海大学、上海インターナショナルサーキットや多くの観光アトラクションが集まる江京地区の150の駅の1つで乗降することができる。

上海はまた、自動運転車のための運用、テスト、研究開発施設が置かれたBaiduのApollo Park(アポロパーク)のある場所だ。1万平方メートルのスペースは、Baiduが市内に持ち込むことを計画する200台の自動運転車が収容される、中国東部で最大の自動運転車両群のサイトとなる。

Baiduの長期的計画は、中国の30の都市に今後2〜3年で3000台の自動運転車を展開することだ。同社は2013年から自動運転技術の研究開発に投資しており、2017年からApolloプロジェクトを推進していることを考えると、Baiduはまさにそれを実行する準備ができているのだろう。6月、BaiduとBAIC Group(北汽集団)は、Apollo Moon(アポロ・ムーン)の計画を発表した。Apollo Moonは、1台あたりの製造価格が48万元(約819万円)で大量生産される設定になっている。さまざまなことを考慮するとこれは本当に安いといえるだろう。Baiduは、成長する車両群に追加を行うために、今後2、3年のうちに1000台のApollo Moobと、まだ発表されていないさまざまなモデルも生産すると述べている。

インフラストラクチャは、ApolloGoを拡張するというBaiduの目標の中の、大きな部分を占めている。Baiduの広報担当者は、同社は中国の主要都市のたくさんの交差点での、5Gを利用したV2X(車対何か)インフラストラクチャの構築にも投資していると語った。Baiduは、交通渋滞を軽減するために道路情報を自動運転システム転送できるエッジコンピューティングシステムを、カメラやLiDARなどのセンサーと組み合わせてすでにインストールしている。同社によれば、長期的には、スマートインフラストラクチャは、自動運転車のパフォーマンスを向上させ、車載センサーとコンピューティングパワーに必要な莫大なコストの一部を相殺するのに役立つという。

Baiduは、現在ロボタクシーはレベル4の自律性を実現するために車載機能に依存しているものの、大規模な展開を行うためにはV2Xが鍵だと考えている。

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クラウド市場の成長を脅かす中国によるテック巨人への弾圧、BATHの中での位置づけは
画像クレジット:Baidu

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

クラウド市場の成長を脅かす中国によるテック巨人への弾圧、BATHの中での位置づけは

中国のテック企業が国内の規制当局の監視下に置かれる中、投資家や中国の4大クラウド企業であるBATH(Baidu AI、Alibaba Cloud[アリババクラウド、阿里雲]、Tencent Cloud[テンセントクラウド]、Huawei Cloud[ファーウェイ・クラウド])を含む国内のハイテク企業の間で、懸念やプレッシャーが高まっているとアナリストが報告している。

一連の独占禁止法やインターネット関連規制の取り締まりにもかかわらず、大手クラウド企業4社は着実に成長している。現在の精査は特にクラウド分野に集中しているわけではなく、デジタルトランスフォーメーション、人工知能、スマートインダストリーへの需要が堅調に推移していることから、中国のクラウドインフラ市場規模は、2021年第2四半期に前年比54%増の66億ドル(約7261億円)となった。

それでもなお、Baidu(バイドゥ、百度)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)の3社の株価はこの半年間で18%から30%下落しており、投資家は中国のテック企業に賭けることに慎重になる可能性がある。

「中国のテック企業は、有利な欧米市場へのアクセスが妨げられていたときには特に、常に国内市場に頼ることができました。しかし、過去9カ月間に国内の規制圧力が高まったことで、過去数年間にクラウド事業を大きく成長させてきた企業にとっては、苛立たしい逆風となっています」とCanalysのバイスプレジデント、Alex Smith(アレックス・スミス)氏は語る。

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中国のクラウド市場では、4大クラウド企業がクラウド支出総額の80%を占め、圧倒的な強さを誇っている。Alibaba Cloudは、2021年の第2四半期に33.8%の市場シェアを獲得し、トップランナーの地位を維持している。同じ第2四半期に中国の市場規模の19.3%を占めていたHuaweiは、これまで規制措置を回避してきた存在だ。

CanalysのチーフアナリストであるMatthew Ball(マシュー・ボール)氏はこう語る。「Huaweiはたまたま強力なクラウドビジネスも展開している、インフラとデバイスの会社です。クラウドインフラに関しては、BATだけでなく、BATH企業に注目しています。Huaweiは、特に同社が政府との良好で長期的な関係を持つ公共セクターにおいて、成長を促進するのに強い立場にあります」。

中国の規制当局が自国のテック企業への監視を強化する一方で、弾圧は中国の市場や同国に拠点を置く企業の株式に大打撃を与えている。

中国では、国家安全保障に関わる重要データの保護を目的としたデータセキュリティ法が6月に成立し、9月上旬から施行されている。また、8月下旬には、ByteDance(バイトダンス)、Alibaba Group(アリババグループ)、Tencent、DiDi(ディディ、滴滴出行)などを対象としたアルゴリズム企業の規制に関するガイドライン案が発表された。

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画像クレジット:Alex Tai / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

AI革命を掲げ、多くの中国ハイテク企業に投資しているソフトバンクグループの孫正義社長は8月10日の決算会見で、中国当局のIT大手締め付けについて『長い目でみれば、どこかでもう一度バランスを取り直すと私は信じている』とコメントしました。

孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Alibaba / アリババ(企業)Ant Group(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)ソフトバンク・ビジョン・ファンド / SoftBank Vision Fund(企業)Tencent / テンセント(企業)Didi Chuxing / 滴滴出行(企業)Baidu / 百度(企業)Meituan / メイトゥアン(企業)中国(国・地域)日本(国・地域)

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孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

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また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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三人三様、中国のテック巨人CEOが国会の年次総会で提案すること

中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代、NPC)とその国政助言機関、人民政治協商会議(政協、CPPCC)の年次総会が今週、北京で開催されている。数千人の代表が出席し意見を述べる中には、中国のビッグテックの経営トップも含まれている。ここでは、中国のデジタル経済のためにテック大手のボスたちが何を提案しているか、垣間見ることができる。

Tencent、Pony Ma(ポニー・マー、馬化騰)

中国国営の人民郵電報の報道によると、Tencent(テンセント)の創業者兼CEOである馬氏は、軌道に乗り始めた同国のインターネット経済の発展のためには、規制当局による精査がさらに必要であると述べ、ガバナンス強化を訴えた。全人代の代表として、馬氏は9年連続で出席した国会の会議中に合わせて50以上の提案を提出している、と同ニュースは報じた。

具体的には、P2P金融、バイクシェア、長期賃貸アパート、オンライン食料品のグループ購入など、資金流出の激しい競争の中でビジネスが破綻している新興分野の厳格なガバナンスを求めている。

馬氏の意見は、規制当局が国内の巨大テック企業への監視を強めている中でのことだ。ここ数カ月の間に、中国政府は反競争的な慣行をめぐってAlibaba(アリババ)や他のテック企業への調査を開始し、プラットフォームがユーザー情報を収集する方法を制限する包括的なデータ法を策定している。

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中国のインターネット規制当局は強制的なユーザーデータの収集を標的に

Xiaomi、Lei Jun(レイ・ジュン、雷軍)

製造業のバリューチェーンで地位向上を目指す中国の壮大な計画の中で、スマートフォンや他のハードウェアデバイスを多数製造しているXiaomi(シャオミ、小米科技)は、工場のアップグレードを支援することに熱心に取り組んでいる。

XiaomiのCEOである雷氏は、全人代の代表の1人だ。同氏は中国はスマートマニュファクチャリングで遅れをとっており、自国のイノベーションに欠け、外国の技術に過度に依存していると認識している、と提案書の中で述べている。研究開発の努力は、最先端のセンサーや産業用ロボット用の精密減速機などの重要部品に向けられるべきだ、とも。

また、中国には工場のイノベーションを推進する人材が不足しており、政府の政策は企業が外国人の技術者を誘致し、産学連携を促進することを支援すべきであると雷氏は指摘している。

Baidu、Robin Li(ロビン・リー、李彦宏)

中国最大の検索エンジンを提供するBaidu(百度)は、AIへのピボットの一環として、スマートドライビング技術に多額の投資を行っている。アルゴリズムを訓練するために大量のデータを必要とするBaiduのような自律運転企業にとって、規制は大きなハードルとなっており、試験許可証の発行率は地域によって大きく異なる。

BaiduのCEOで政協のメンバーでもある李氏は、規制当局に対し、より革新的になり、自律走行の合法的かつ大規模な商用化への道を切り開くよう促している。自律走行の商用化を一丸となって推進するために、さまざまな政府機関、業界関係者、学界が連携した仕組みを作るべきであると同氏は述べた。

さらに李氏は、中国では、よりシニアに優しい技術、政府のデータへの一般アクセスの拡大、未成年ユーザーのオンライン保護の改善も呼びかけた。

関連記事:従業員の3割が女性の中国ゲーム大手NetEaseのトップが男女共同育児休暇の拡大を呼びかける

カテゴリー:その他
タグ:中国TencentXiaomiBaidu

画像クレジット:VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

BlackberryとBaiduは中国における自動運転車開発で仲を深める

Blackberryと中国の検索エンジン大手Baiduは、自動車メーカーが中国におけるインターネット接続された次世代の自動運転車を発売するために必要なツールを提供することを目的とした提携関係を拡大することで合意した。

この契約の下、Baiduの高解像度マップはBlackberryのQNX Neutrino Real-Time Operating Systemに統合される。この組み込みシステムは、年間200万台以上を生産する米国三大自動車メーカーの1つGACグループの電気自動車部門から発売予定のGAC New Energy Aionモデルで量産される。

BaiduのIntelligent Driving Groupの技術部門シニアディレクターであるWang Yunpeng(ワン・ユンペン)の声明によると、新たなパートナーシップ拡大の目的は「安全・安心を最優先に、自動車メーカーに自動走行車の生産における明確かつ迅速な道筋を提供する」ことだという。

BaiduとBlackberryの提携が注目に値するのは、中国政府が国産技術を奨励しているにもかかわらず、Baiduは中国製車両に外国製のOSを搭載しているためだ。

BlackberryのQNXソフトウェアは機能安全、ネットワークセキュリティ、信頼性の側面を担い、Baiduは人工知能とディープラーニングの開発に投資している。

「両社が力を合わせて優れた技術を提供すれば、自動車メーカーは迅速に安全な自動運転車を生産できるようになり、インテリジェントネットワーク化された自動車産業を共同開発を促進を支援することができます」とユンペン氏はいう。

かつてはスマートフォン業界を支配していたBlackberryは、自社のQNX技術を自動車に搭載することに成功した。今日、そのソフトウェアは1億7500万台以上の車両への高度な運転支援、デジタル計器のクラスターおよびインフォテインメントシステムで使用されている。

この契約は、BlackBerryのQNXオペレーティングシステムをBaiduの自動運転オープンプラットフォーム「Apollo」の基盤にするという両社が2018年1月に交わした契約に基づいている。

Baiduとの提携は、Blackberryが最近参入した中国でマーケットシェアを拡大し続ける助けにもなる。2020年にBlackberryは、QNXがTesla(テスラ)のライバルXpengの電気自動車に中国で統合されると発表した。

BlackBerry Technology Solutionsのチャネル、パートナーおよびアジア太平洋地区担当副社長であるDhiraj Handa(ディラジ・ハンダ)氏は、声明で次のように述べている。「Blackberryの組み込みソフトウェアQNXを基盤としてBaiduは、同社のApolloプラットフォームで重要な進歩を達成し、革新的技術の商用エコシステムを確立しました。OEMではそれを、彼らの次世代車に利用できます」。

Baiduの自動運転プログラムはApolloと呼ばれ、「スマートドライビングのためのAndroid」とも言われた。Aplloプログラムは、100あまりの製造およびサプライヤーのパートナーに行き渡った。Baiduは自動運転のテストも精力的に行い、2020年9月にはロボタクシーの車隊を立ち上げている

この契約は、Baiduが自動車のソフトウェアだけでなく自動車の生産も始めるという発表の直後に交わされた。Baiduは2021年1月の初めに、中国の自動車メーカーGeelyと共同で、電気自動車を作る新会社を立ち上げると発表した。Baiduがいわゆるスマートドライビングテクノロジーを提供し、Geelyが設計とエンジニアリングと車両の製造を担当する。

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中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

カテゴリー:モビリティ
タグ:BaiduBlackberry自動運転中国

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

中国の検索大手のBaidu(バイドゥ、百度)が、その自動車への野望を、単なるソフトウェア提供から生産へと広げている。同社は中国時間1月11日、中国の自動車メーカーGeely(ギーリー、吉利)の協力を得て、電気自動車(EV)製造会社を設立することを発表した。過去10年ほど中国のインターネット検索市場を席巻してきた百度がスマートドライブ技術を提供し、一方スウェーデンのVolvo(ボルボ)との合併(ロイター記事)が間近に迫っているGeelyが自動車の設計と製造を担当する。

新たなEV製造会社の設立は、中国のインターネット業界の先端企業がEVスペースに参入することを意味している。2020年11月には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴)と中国の国営自動車メーカーSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで、電気自動車を生産するというニュースが流れた。ライドシェア企業のDidi(ディディ)とEVメーカーのBYD(比亜迪汽車)が共同開発した配車サービス用モデルは、すでにIdeanomics(PR Newswire記事)のような顧客を獲得している。一方、中国におけるTesla(テスラ)への挑戦者であるXpeng(シャオペン、小鵬)、Li Auto(リ・オート)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)などの株は、この1年順調に上昇傾向にある。

Baiduの自動車への注力は、検索広告収入に依存するビジネスを多様化するための試みの一環である。ByteDance(バイトダンス、北京字節跳動科技)のニュースアグリゲーターToutiao(トウティァオ、今日頭条)や短編動画アプリDouyin(ドウイン、抖音)などの新しいメディアプラットフォームには独自の検索機能が搭載されており、Baiduのような伝統的検索エンジンのシェアを徐々に侵食している。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)が示したところによれば(WeChat記事)、中国ではショートビデオサービスが、インターネット検索ではウェブ検索エンジンに次いで2番目に人気のあるチャンネルとして浮上しており、ソーシャルネットワークや電子商取引よりも先を行っている。

Baiduは2017年から自動運転に積極的に取り組んでいる。「スマートドライブのためのアンドロイド」と呼ばれるそのApollo(アポロ)エコシステムは、100社以上の製造業やサプライヤーのパートナーを集めてきた。Baiduはまた、自動運転のテストに熱心で(未訳記事)、最近ではロボタクシーの一群をロールアウトした(South China Morning Post記事)。

新会社はBaiduの子会社として運営され、Geelyが戦略的パートナーとなり、ApolloやBaidu Maps(バイドゥマップ)などのBaiduの各部門が機能を提供する。新会社は車両設計、研究開発、製造、販売、サービスなどの自動車産業チェーン全体をカバーする。

BaiduとGeelyの提携がApolloの運営にどのような影響を与えるかは不明だが、Baiduは発表の中で「AI技術業界全体でのオープンなコラボレーションの精神を堅持し、エコシステムのパートナーと緊密に協力してインテリジェントトランスフォーメーションの新しい波を押し進めるよう努力します」と約束している。

Baiduの共同創業者であり最高経営責任者であるRobin Li(ロビン・リー、李彦宏)氏は「Baiduは、インテリジェントドライブの未来をずっと信じており、過去10年間でAIに多額の投資を行い、世界クラスの自動運転サービスのポートフォリオを構築してきました」と述べている。

「私たちは、スマートトランスポーテーション、コネクテッドカー、自動運転に関するBaiduの専門知識と、大手自動車メーカーでありEVメーカーでもあるGeelyの専門知識を組み合わせることで、新しいパートナーシップが将来の乗用車への道を切り拓くものと確信しています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:BaiduGeelyEV自動運転

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:sako)

中国の検索エンジンBaiduがJoyyのライブストリーミング中国事業を買収

Baidu(バイドゥ、百度)は米国時間11月16日、Joyy(ジョイ)が中国で提供しているライブストリーミングサービスYY Live(ワイワイライブ)を全額現金払いの36億ドル(約3800億円)で買収すると発表した。主力の検索以外の事業拡大が目的だ。

Baiduは四半期決算発表時に、成長しているビデオストリーミングマーケットへの同社最大の進出について情報を共有した。ByteDance(バイトダンス)のような新規参入者との競争で苦戦している中での動きだ。

YY Liveはインフルエンサーのコンテンツを視聴する400万人超の有料会員を抱え、ビデオアプリ内でさまざまな種類のアイテムを販売している。同社は2019年、中国国外を開拓しようと、ストリーミングアプリのBigo LiveとLikeを展開しているシンガポール拠点のスタートアップBigoの株式14億5000万ドル(約1515億円)分を取得した。

YY Liveは現在、中国事業のみをBaiduに売却しようとしている。売却のクロージングは条件次第だが、いまのところ2021年上半期を見込んでいる、とBaiduは話している。

「今回の取引はBaiduをライブストリーミングでトップのプラットフォームに押し出し、収入源の多角化が図れます」とBaiduの創業者でCEOのRobin Li(ロビン・リ)氏は声明文で述べた。

「YY LiveはBaiduの大量のトラフィックと素晴らしいモバイルエコシステムの恩恵を受け、一方でBaiduはビデオベースの大規模なソーシャルメディア開発のための運営経験と知識、Baiduの巨大なコンテンツプロバイダーネットワークをさらに強化する妬ましいほどのクリエイターネットワークを手にすることになります。YY Liveのチームとともに、Baiduは次世代のライブストリーミングと、エンターテイメントの枠を超えて多様なバーティカルへと拡大できるビデオベースのソーシャルメディアを開拓したいと考えています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BaiduJoyyYY Live買収

画像クレジット:Tomohiro Ohsumi/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi