テック業界を支配するスマホの「次」に何が起こっているのか?

テクノロジー業界において、この10年はスマートフォンの時代だった。2009年時点では、Symbian OSがまだ支配的な「スマートフォン」のOSだったが、2010年にはiPhone 4、Samsung Galaxy S、Nexus Oneが発売され、現在、AndroidとiOSがアクティブなデバイス数で合計40億台を誇る。スマートフォンとアプリは、もはや破壊的な新しいプラットフォームではなく成熟した市場だ。次は何がくるのだろうか。

その問いは、次に必ず何かがくることが自然の法則であることを前提としている。この前提が正しそうに見える理由は簡単だ。過去30年以上にわたり、それぞれの分野が重なっている、世界を変える3つの大きなテクノロジープラットフォームへのシフトを我々は経験してきた。3つの分野とはコンピューター、インターネット、スマートフォンのこと。いずれ4つめが地平線のかなたに現れることは避けられないように思える。

AR/VR、ブロックチェーン、チャットボット、IoT、ドローン、自動運転車(自動運転車はプラットフォームだ。まったく新しい周辺産業が爆発的に生まれる)と、過去数年間、次の候補に事欠くはなかった。しかし、いずれも楽観的な予測をはるかに下回っていることに気づくだろう。何が起こっているのだろうか。

PC、インターネット、スマートフォンの成長の勢いが、これまで揺らいだりつまづくようなことはなかったように思える。ここに、インターネットのユーザー数の推移がある。1995年の1600万人から1998年には1億4700万人に増えた。2009年以降のスマートフォンの販売推移はこのとおりだ。Androidはわずか3年で100万台未満から8000万台以上になった。これが、主要なプラットフォームへのシフトだ。

PC、インターネット、スマートフォンの成長をAR/VR、ブロックチェーンといった候補のそれを比べてみよう。不公平な比較だとは思わない。それぞれの分野が「大きな何か」になると主張する事情通がいる。もっと手堅い予測をする人々でさえ、ピークの水準は小さいかもしれないが、少なくともスマートフォンやインターネットと同じ成長の軌道を描くといういう。だが実際のところ、どうだろうか。

AR / VR:2015年にさかのぼるが、筆者は非常に有名なVCと話をした。そのVCは自信満々に、2020年までに最低でも年間1000万台のデバイスが出回ると予想した。実際どうなったか。2017年から2019年までにかけて370万台、470万台、600万台と推移し、Oculusは再編中だ。年間27%の成長率は確かに悪くない。だが「一貫して27%」という成長率は、次の大きな何かになると主張するには、少し心配になるといったどころではない。「3年で10倍」からはさらに遠い。2020年までにMagic Leapが深刻な状況になると予想した人はほとんどいなかった。やれやれ。他のAR / VRスタートアップは「残念な」状況だというのが最も的確な説明だ。

ブロックチェーン:ビットコインは正常に機能していて、2010年代にテクノロジーに起こった最も奇妙で興味深いことだと思う。しかし残りのブロックチェーンはどうだろうか。筆者は広い意味で仮想通貨の信奉者だ。だが、2017年半ばに仮想通貨の敬虔な信者に対して、2019年末までに企業向けブロックチェーンが実質的に死んでしまうとか、分散型アプリケーションの使用が依然として数千台に留まっているとか、スモールビジネスへの担保付き貸し付け以外に本当の新しい利用事例は発生しなかったなどと言おうものなら、彼らを怒らせることになったはずだ。そして、まだその段階にとどまっている。

チャットボット:真面目な話、チャットボットはついこの間まで未来のプラットフォームとしてもてはやされていた(Alexaは、端的に言うとチャットボットではない)。「世界は書き直されようとしており、ボットは将来大きな存在になる」。これは実際の発言からの引用だ。Facebook Mは未来のものだったが、もはや存在しない。マイクロソフトのTayも未来のものだったが、もはや存在しない。Zoに取って代わられた。ご存知でしたか。筆者は知らなかった。そして今やそのZoも存在しない。

IoT:最近の記事のタイトルをいくつか見てみたい。「なぜIoTが一貫して予測を下回っているのか」「IoTは死んだのか」「IoT:昨日の予測と今日の現実」。ネタバラしをすると、最後のタイトルは、現実が予測を超えて成長したことについての記事ではない。むしろ「現実は予想を超えてバラ色ではないことが判明した」といったものだ。

ドローン:現在、ドローンの領域では本当にクールなことがたくさん起こっている。筆者は何でも最初に試したい人間だ。しかし、ドローンによる物理的な荷物配送ネットワークを形成の実現には程遠い。Amazonは2015年にPrime Airの計画をもったいぶってチラ見せし、2016年最初のドローンによる配送を開発した。世の中はすばらしい出来事が起こることを期待していた。そしてまだすばらしい出来事を期待しているが、少し期待しすぎている部分はあると思う。

自動運転車:我々にはもっと多くのことが約束されていた。Elon Musk(イーロン・マスク)氏の誇張についてだけ言っているのではない。2016年からこういうタイトルの記事が出始めた。「2020年までに1000万台の自動運転車が路上に」「5年後に真の自動運転車が登場、フォードが発表」。一応、Waymoの好意で、フェニックスでクローズドパイロットプロジェクトが実施されているが、それはフォードが話していたものではない。フォードは「ハンドル、ブレーキ、アクセルペダルがない自動運転フォード車が、5年以内に大量生産される予定だ」と言っていた。それは、今から18カ月後のことになる。「1000万台」の予測に至っては12カ月しかない。筆者が多少の懐疑論を展開しても許してもらえると思う。

もちろん、これらは成功していないようだということを意味しているのではない。AirPods、Apple Watch、Amazon Echoファミリーなど、多くの新製品がヒットした。ただし、これら3つはすべて、新しいプラットフォームというよりも新しいインターフェイスだ。ゴールドラッシュなどではなく、1つの銀の鉱脈にすぎない。

機械学習やAIをリストから外したことに気づいているかもしれない。実際には定性的な飛躍が確かにあったが、a) 急成長が続くというよりは、Sカーブの平坦部分に突入してしまったという一般的な懸念がある  b)いずれにしろ、AIはプラットフォームではない。さらに、ドローンと自動運転車はいずれも汎用自動化という名の壁に直面している。つまりAIの壁だ。AIは多くの驚くべきことが行えるが、2020年に1000万台の自動運転車が走る、というかつての予想は、AIがあれば自動運転は十分に可能だと予測したことを意味しているが、実際のところ予想よりもずっと遅れている。

いずれのテクノロジーも、次の10年を決定づける存在になり得る。ただし、考慮しておくべきもう1つの点として、いずれもそうはならないかもしれないという可能性があることだ。あるテクノロジープラットフォームが成熟し始めると同時に、別のプラットフォームが必然的に台頭し始めるというのは、反論の余地がない法則ではない。「次の大きな何か」の前に、長い空白があるのではないか。その後、2、3つのことが同時に発生するかもしれない。もしあなたが、今度こそその店に入ろうとしていると公言しているなら、筆者は警告したい。店の前で長い間待つかもしれないということを。

画像クレジット:Robert Basic / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi)

AWSのマネージドブロックチェーンサービスが一般に公開

昨年マネージドブロックチェーンサービスの立ち上げを発表したAmazon Web Servicesが今日(米国時間4/30)、そのサービスの一般供用を開始した

AWSのCEO Andy Jassy氏が、これまでの同社の、ブロックチェーンの技術を無視する姿勢を改め、Hyperledger FabricやEthereumのようなオープンソースのフレームワークをベースに新しいサービスを展開する、と述べたのはわずか5か月前だ。

関連記事: AWS launches a managed blockchain service…AWSがマネージドブロックチェーンサービスを立ち上げる(未訳)

AWSでAmazon Managed Blockchainを担当することになったゼネラルマネージャーRahul Pathak氏は、声明でこう述べている。「顧客はHyperledger FabricやEthereumなどのブロックチェーンフレームワークを使ってブロックチェーンネットワークを作り、トランザクションのイミュータブルな記録を作りながら事業を迅速に運びたい、ただし管理権限は一点に集中したい、と考えている。しかしながら彼らにとっては、そういうフレームワークのインストールも構成も管理も難しい。Amazon Managed Blockchainは、ノードのプロビジョニングや証明の管理とセキュリティ、そしてネットワークのスケーリングのお世話をする。顧客はすぐ使えるブロックチェーンネットワークを迅速かつ容易にセットアップでき、ブロックチェーンネットワークの運用に時間を取られずにアプリケーション開発に専念できる」。

すでにAT&T BusinessやNestlé、シンガポール証券取引所などが同社のサービスの登録ユーザーになっている。

この発表でAWSは、マイクロソフトのAzureやIBMなどのエンタープライズ大手と共に、BaaS(Blockchain as a Service)のゲーム仲間になる。

関連記事: Microsoft wants to make blockchain networks enterprise-ready with its new Coco Framework…マイクロソフトのエンタープライズ向けブロックチェーンネットワークを作るCoco Framework(未訳)

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世界銀行がオーストラリアの銀行とパートナーして初のブロックチェーン上の債券を立ち上げ

世界銀行がオーストラリアのCommonwealth Bank of Australia(CBA)と共に、初のブロックチェーン上の債券を発行することになった。

この1億1000万オーストラリアドル(8700万USドル)のbond-i(ブロックチェーンによって運用される新しい債務証券)は、分散台帳技術を使って作られ、割り当てられ、送金(振替)され、そして管理される、初めての債券だ。なお、bond-iという名前は、オーストラリアの有名なビーチ、Bondi Beachから取られたに違いない!(銀行家は意外とジョークが好きである)。

この投資は、オーストラリアの金融にとっては小さな一歩だが、世界中のブロックチェーンにとっては大きな跳躍だ(でもないか)。

このブロックチェーンボンドの投資家は、CBA, First State Super, NSW Treasury Corporation, Northern Trust, QBE, SAFA, Treasury Corporation of Victoriaなどだ。それはまるで、オーストラリアの公的金融機関のごった煮のようだが、その意味は大きい。オーストラリアのフィンテックコミュニティはかねてから強力だし、そしてブロックチェーンは、これらの金融機関が探究に向けて関心を持っていたテーマだからだ。

世界銀行の声明によると、これは同行がブロックチェーンに関して行っていくであろう多くの実験の、ひとつである。6月に世界銀行はBlockchain Innovation Labを立ち上げて、その技術を検討してきた。

世界銀行の財務部長Arunma Otehはこう言っている: “公的機関やファンドマネージャー、政府機関、および銀行から寄せられた幅広い関心にとりわけ感銘を受けている。私たちは疑いもなく、コンセプトの現実化に成功した。なぜならば、これらの質の高い投資家たちが、テクノロジーを資本市場のイノベーションに利用することの意義を、理解されたからである”。

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社名に “blockchain” を入れたアイスティー会社がビットコイン採掘を断念

社名を”Long Blockchain” に変更した途端に株価を500%上げたアイスティー会社を覚えているだろうか? どうやらこの会社はブロックチェーン事業に参入できないようだ。

同社は、Bitcoin採掘マシンを1000台買うという約束を取り下げる決定を下した。発表からわずか6週間しかたっていない。

もちろん6週間前、Bitcoinは今よりずっと価値が高かった。現在Bitcoinは年初より1万ドル安く取引きされている。これは、再び上昇することがないという意味ではないが、投資家たちが弱気になっているのも無理はない。

この落ち込みはLong Blockchainの株価にも影響を与え、驚きの高値から50%下落し、時価総額はNASDAQの上場に必要な最低基準である3500万ドルを下回っている。

「われわれは今でも採掘装置がブロックチェーンエコシステムに与える価値を信じているが、機器の購入は当社で検討している複数の戦略の一つにすぎない」と同社のブロックチェーン戦略責任者のShamyl Malikが声明で語った。当初採掘装置の購入はリスクのない選択肢であると説明されていた。

代わりに同社は、「今後もBitcoinを始めとするデジタル通貨の採掘装置購入の評価」を継続し、これは英国企業、Stater Blockchainとの合併に向けたブロックチェーンへの取組みの一環であると、ウェブサイトで説明している。Stater Blockchainは、金融市場向けに国際的にスケーラブルなブロックチェーン技術ソリューションの開発、展開を行っている会社だ。

ただしLong Blockchainは、社名に “blockchain” と付けるる前から苦境に立たされていたことに注意されたい。株価は過去12カ月で24%下落し、昨年10月にはNasdaqから警告レターを受け取り、これが社名を時代精神的バズワードに変えるという異様な行動の引き金になった。

結果的に、一時のトレンドに乗って会社の価値を高めようとした効果も長くは続かなかった。合併が完了する日程についての情報はないが、ひとつはっきりしていることがある。Long Blockchainが、かつて社名を変えただけで手に入れたような上昇を見ることは二度とないだろう。

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アイスティーの会社が社名を “Long Blockchain”に変えたら株価急騰

公開市場で会社の価値を高めたい人へ。社名に “blockchain” をつければいい。少なくともLong Island Iced Tea CorpがLong Blockchain Corpに名前を変えたケースではうまくいった。

これぞ2017年というべき出来事だ。今日午前に社名変更を発表したの後、同社の株価は時間外取引きで最大500パーセント上昇し、約275%高で落ち着いている。

この日の午前まで、Long Blockchainは殆ど無名のノンアルコール・レモネードとアイスティーの会社だった。水曜日(米国時間12/20)時点で同社の時価総額は2380万ドルにすぎなかったが、時間外取引きのある時点では1億3800万ドル近くまではね上がった。これはウォール街基準から見れば小さいかもしれないが、要因が社名変更だけと考えるとかなりの出来事だ。

値上がり理由の大部分はbitcoinブームによる。今やこの暗号化通貨の価格に関する新たな話題を聞かない日はない。

NVIDIAやAMDといったbitcoin関連株がこの狂乱に乗じているのはもちろん、たとえば不振のバイオテクノロジー会社で数度の社名変更(直前はBioptix)を経たRiot Blockchainは殆ど無名だったが、暗号化通貨に焦点を切り換え社名に “blockchain” をつけてから、少ないながらも驚くべき値上がりをみせた。

Long Blockchainも似たような道をたどろうとしている。今後もノンアルコールのアイスティーとレモネードの販売は続けるが、ブロックチェーン技術にかかわる企業への投資あるいは提携を主要業務にすると言っている。NASDAQには新しい事業を反映した新しい取引きシンボルへの変更を申請するつもりだ。

同社はドメインをhttp://www.longblockchain.comに切り換え、新しいサイトには、Long Blockchainは「新しい機会を評価する準備段階にある」と書かれている。

Long Blockchainは、無名の極小価値株がブロックチェーンに乗じて価値を上げようとする数ある事例のひとつにすぎない。しかし一部の投資家は偽装や不相応な評価額の可能性を心配している

米国証券取引委員会(SEC)はこれまでに、暗号化通貨がらみの社名変更で利益を得た小規模株式会社を取り締まってきた。たとえば、暗号化通貨取引き事業を開始すると発表して過去3カ月で最大1万7000%も値上がりしたThe Crypto Co.の取引きを中止した。SECは同社株の取引きを1月まで停止し、「情報の正確性と妥当性に関する問題がある」としている。

しかしLong Blockchainに対してSECがどんな行動を起こすかは不明だ。現時点で同社に連絡はついておらず、SECにはコメントを依頼しているがまだ返答はない。

一つはっきり言えるのは、一連の出来事は、非常に奇妙で狂気でみた今年の暗号化騒動を反映しているということだ。

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IBM、ブロックチェーンを利用して海外支払いを高速化

ブロックチェーンは海外送金を速く(かつ安く)する方法としてかねてから注目されてきたが、そうした動き ―― いくつかのスタートアップによる個別の活動を含む ―― の中きわめて注目度の高い支持者が現れた。IBMは銀行向けに独自の支払いソリューションを発表した。

コンピューターの巨人は、ブロックチェーンのスタートアップStellarおよび支払いサービスのKickexと組んで、ブロックチェーンを利用した銀行向け海外支払いシステムを提供する。「決済時間を短縮し企業と消費者の海外支払いコストを低減する」ことが目的だ。

現在国際取引は完了までに数日、時には数週間かかることもある。こうした不満を解消すべくTransferWiseなどのサービスが登場したが、よくできてはいるものの、先進的な消費者やスモールビジネス向けのソリューションであり万人向けとは言い難い。

銀行向けのブロックチェーンによるソリューションは根本的問題に取り組み、台帳ベースのシステムによってエラーの可能性を最小限にするとともに透明性と柔軟性を銀行に提供する。

一例としてIBMはこのサービスでサモアの農民とインドネシアのバイヤーを繋ぎ、支払い以外にも利用するケースを紹介した。

「ブロックチェーンは契約条項の記録、取引書類の管理などにも利用可能で、農民は担保の設定、信用状の取得に利用することで即払いで契約を完了し、国際貿易を透明かつ比較的容易に実行できるようになる」とIBMは言う。

それは長期的目標だが、すでにシステムは太平洋諸島、オーストラリア、ニュージーランド、および英国で12種類の通貨に利用されている。来年中に南太平洋小売業界で海外支払いの60%を取り扱うと予想されており、その後も拡大していく計画だ。

同プログラムの初期グループには10を超える銀行が参加しており、南米中東アジア、その他の地域には来年初めに拡張する計画だ。

「世界有数の金融機関数社から助言を受け、IBMは支払いネットワークの効率と透明性を高め、世界で最もへんぴな場所でもリアルタイムでバンキングができる新しい方法を探究している」とIBM産業プラットフォーム担当上級副社長のBridget van Kralingeが声明で語った。

システムはIBM Blockchain Platform上で動作する。昨年発表されたIBMの“Blockchain as a service”[サービスとしてのブロックチェーン]を動かしているオープンソースのHyperledger Fabricをベースにしたプラットフォームだ。またこのシステムは公開ブロックチェーン(IBM)とプライベートブロックチェーン(Stellar)が連携する事例としても注目に値する。実際の決済手続きはStellarが取り扱うとCoinDeskは書いている

最近IBMはWalmartらとの提携により、ブロックチェーンを利用した透明性とトレーサビリティ向上による食物安全性の改善に取り組んでいる。

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暗号化通貨のイーサリアム、「数年」以内にVisaの規模になるとファウンダーが発言

Ethereumの共同ファウンダー、Vitalik Buterinの頭の中は、暗号化でいっぱいだ。つまるところ彼は、インタビュアーのNavl Ravikantが「脳ウィルス」と呼ぶものが、セキュリティーと経済の真の未来出ある信じている。そして適切なインセンティブがあれば、Ethereumはクレジットカード・ネットワークや、ゲームサーバーまでも置き換えることができるという。

Buteriは世界を2種類の人々に分けている。

「bitconのことを聞いたことのある普通の人と、聞いたことのないふつうの人」だと彼は言う。Buteriのプロジェクトもそれを基本に、ブロックチェーンに実用性を付加することで、誰もが知りたがるものを作ろうとしている。

「Ethereumの基本的な考え方は、暗号化経済のアイデアと、bitcoinのように多くのアプリケーションのためのメモリーをもつ分散ネットワークを支える経済インセンティブとを組み合わせたものだ。優れたブロックチェーン・アプリケーションは、分散化と何らかの共有メモリーを必要としている」とButeriは言う。

それが彼の作ろうとしているものであり、Ethereumネットワーク上に他者が作ってくれることも願っている。

Vitalik Buterin (Ethereum Foundation) とNaval Ravikant/TechCrunch Disrupt SF 2017にて

たった今のネットワークは、多くの主流アプリケーションにとって、少々遅すぎる。

「bitcoinは1秒間に3件をほんの少し下回る数の取引を処理している。Ethereumは1秒間に5件だ。Uberは1秒間に12回利用されている。ブロックチェーンがVisaに取って代わるまでには数年かかるだろう」

Buterinは、何もかもがブロックチェーン上で動く必要はないが、多くの物が利用できるはずだと考えている。テクノロジーが進歩すれば、並列化(同時に多くのプログラムが走る)を必要とする多くのサービスを置き換えるまでに成長するだろう

「StarCraftをブロックチェーンの上で動かすこともできる。その種のことが可能だ。高いレベルのセキュリティーとスケーラビリティーによって、ほかにもさまざまなものをブロックチェーン上に構築することができる。Ethereumは、あまり多くの機能をもたない安全な基本レイヤーだ」。

「暗号化通貨の鍵は、さまざまなレベルのインセンティブにある。ブロックチェーンの合意プロトコルのセキュリティーは、インセンティブ抜きには説明できない」

アップデート:Buteriが自身の意図を明らかにした:

[念のため:私はEthereum(+plasma等)が〈Visa並みの取引規模をもつ〉と言ったのであって、「Visaに取って代わる」とは言っていない]

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複数のブロックチェーン間の通信を支えるNucoのAionネットワーク、最終的スタンダードになるか?

ブロックチェーンの普及と並行して、複数のブロックチェーンが互いに通信できる仕組みの必要性が顕在化している。トロントのNucoは、今日(米国時間8/30)リリースしたブロックチェーンネットワークAionで、そんな通信のために必要なネットワーキングインフラストラクチャを提供しようとしている。

NucoのCEO Matthew Spokeによると、個々のブロックチェーンの中での、それにふさわしいレベルの信頼性を築くのは各ネットワークの究極の責任だが、いったん、プライベートなブロックチェーンの外の領域に出るようになると、全体的な信頼性を確保するためのシステムが必要になる。銀行でも、政府機関でも、ヘルスケアのプロバイダーでも、必然的にそういう、外にも行く性質のデータを扱っている。NucoがAionを作ったのは、そのための仕組みを提供するためだ。

彼によると、Aionの中核的機能は、データをあちこち移送するための配管系になることだ。Aionが提供するミドルウェアにより、ブロックチェーンは互いに通信し、メッセージを渡しあうことができる。

Spokeと彼の協同ファウンダーたちはDeloitteのブロックチェーンチームにいたが、昨年Nucoを創ってエンタープライズのためのブロックチェーンインフラストラクチャを作り始めた。が、しかし、彼らは気が付き始めた: 多くの大企業がプライベートなブロックチェーンを構築しているが、それとともに、パブリックなメカニズムのニーズも拡大している。ブロックチェーンというコンセプトがスケールし始め、経済システムの不可欠な部分になっていくに伴い、情報を移送するためのジェネリックな〔nonプロプライエタリな〕方法が必要になる。

このようなシステムの構築と利用に対しては、大きなハードルが二つある。ひとつは、情報を複数のブロックチェーン間でパブリックに移送することを、企業が承知することだ。第二は、情報の移送にはネットワーキングプロトコルのような単一の方法が必要なこと。前者に合意が得られたら、その次は後者が、避けて通れない要件になる。

Aionのトークンを一種のデジタル通貨と見なして課金し、ある種のデータをチェーン間ブリッジにまたがって移送するようにすれば、企業のNucoのネットワークへの参加を収益源にすることもできる〔Aionの利用を課金する〕。それにより、Aionのネットワークをサポートする企業も増えるだろう、とSpokeは説明する。

とは言え、彼によるとAionのようなものは、市場がどうしても必要とするインフラの一部だから、直接的に商用化を目指すべきではない。将来、ブロックチェーンがメインストリームになれば、成熟したインフラストラクチャが必要になり、同社や他社はそれを成功の源泉にすればよい。Spokeによると、同社の現状は、市場の成長を助けるためのコントリビューションが主体だ、という。

この問題に取り組んでいるのはNucoだけではないが、Spokeはこのようなプロセスが必要であることを確信しており、他の技術の場合と同様に、スタンダードになる勝者を決めるのは市場だ、と考えている。

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Bitcoin、3000ドル超えで史上最高値を更新

Bitcoinの価値が過去最高の1 coin当たり3000ドルに達し、待望の分裂に始まった激動の一週間を終えた。

CoinbaseKrakenといった人気の取引所の何か所かで1 bitcoinの価値が3000ドルを超え、一カ月前より485ドルの高値となった。今年5月、Bitcoinは急騰して初めて2000ドルを超え、6月には3000ドル近くまで上がったが、後に暴落した

過去12時間、分裂によって30%下げていたbitcoinの価値は10%以上跳ね上がった。中国のOkCoinなどいくつかの取引所は、1 bitcoin当たり3200ドル以上の値を付けている。

結局、この急騰によってbitcoinの時価総額は500億ドルを超えた ―― Coinmarketcap.comによると本稿執筆時点で $51,737,289,581。

bitcoinの価値が1 coin当たり3000ドルを超えた時のグラフ

この通貨の主たる不安要素は、分裂の可能性を巡る不確定さだ。bitcoinコミュニティーの一部が、bitcoinの処理速度低下を防止するための変更を要請した。その結果がBitcoin Cash(BCH)と呼ばれる分裂で、8月1日に起きた。

BCHは従来のbitcoinブロックチェーンを踏襲する、すなわちBTCを持っている人は誰でもBCHを利用できる。しかし、当初は分裂後の通貨に対応していない取引所もあり、 Coinbaseもその一つだ。顧客らはCoinbaseからcoinを引き出し、法的行動をとるという脅しもあったため、Coinbaseは方針を変更し、1月1日までにBCHの引き出しを可能にすると約束した。ただし現時点で取引きが可能になるかどうかは不明だ。

BCHは最初の一週間、bitcoin基準からみてもかなり激しく変動した。

新通貨は555ドル前後で誕生し、水曜日には727ドルでピークを迎えた。その後現行価格の220ドルへと下落し、対照的にbitcoinは3000ドルの大台を超えた。

Bitcoin Cash、一週目の取引状況(via Coinmarketcap.com)

専門家はBCHの長期的未来に対して懐疑的だ。それは現時点では不安定な価値をつける以外に何もできることがないからだ。将来十分な数の企業やデベロッパーを引き寄せることができれば変わる可能性もあるが、BCHの採掘がbitcoinと比べて困難であることは多くのマイナー(採掘者)にとって理にかなっていない。それも将来調整される可能性はあるとCoindeskの最新記事が示唆しているが、現時点ではまだbitcoinの方が実入りの良い選択だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

明日のBitcoin分裂を前に、やるべきことはこれだ

8月1日を目前に控え、あのBitocoin「ハードフォーク」が、暗号化通貨のカジュアルユーザーの間にちょっとした混乱を呼んでいる。知っておくべきことはこれだ。

簡単に言って、Bitcoinキャッシュ対応を明確に表明している取引所を使っている人や、自身のプライベートキーを管理できている人は問題ない。Coinbaseのような、Bitcoin Cashに対応していない取引所にbitcoinを預けている人は、Bitcoin Cashで取引きするつもりがないのでない限り、今すぐbitcoinを移動すべきだ。いずれにせよプライベートキーを自分で管理しておくのは良い考えで、そうすれば過去に利用したことのあるどの取引所からでもbitcoinを引き出すことができる。

もっと詳しく知りたい人は、Coindeskに行けば、最新情報がある。

ウォレットはどれを使う?

どんな場合も要点は単純:キーは自分で管理しなければならない。

私が使っているのはTrezor hardware walletElectrumで、持っているわずかばかりのBTCをそこで管理している。人によって結果は違うので特定の製品をを積極的に推すことはしない。私の心に潜む皮肉屋はどのツールも取引所も信用していない。

以下に、パソコン上にElectrumウォレットを作り、そこに手持ちのBTCを入れるやり方を示す。十分注意してほしい。全額を送り込む前に必ず少額でテストすること。

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それでも私は怖い

無理もない。それは、難解で、不安・疑念・不信(FUD)につけこむ積極的キャンペーンを特徴とするテクノロジーに対する、健全な態度と言える。もしあなたが、老後の蓄えをBitcoinにつぎ込んでいるのなら、フォーク前日の一本の記事以上にこの件を調べていることと願っている。いくらかでも持っているひとは、手持ちのBitcoinをパソコン上のローカルウォレットに移して、なりゆきを見守っていてほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブロックチェーンは政治も変える…未来本ベストセラーのDon Tapscottにインタビュー

[筆者: Andrew Keen](著書(3冊): Cult of the Amateur, Digital Vertigo, The Internet Is Not The Answer。 Futurecastをプロデュース。本誌インタビューシリーズKeen Onのホスト。)

テクノロジーの未来を語るカナダの評論家でライターのDon Tapscottはいつも、「次の大物」を嗅ぎ当てようとしている。たとえば彼が書いたベストセラーWikinomicsは、wiki(オープンな共同執筆)というラジカルな考え方を、多くの人びとに紹介した。

そして今回、Donと彼の息子のAlexは、ブロックチェーンを“新しいインターネット”として紹介する大著、Blockchain Revolutionを出版する。ブロックチェーンこそ、再びすべてを変える新しい技術だ、と言うのだ。

Tapscott親子の主張によると、ブロックチェーンは基本的に透明な技術なので、その変更不可能な公開台帳と併せて、政治家たちをこれまでのように曖昧な嘘つきであれないようにする。これからはすべての政治家が、自分と自分の意図に関して正直であることを強制される。ブロックチェーンは究極的に、アメリカの政治システムを消毒する。不誠実をあばき、政治的会話の説明責任を強化する。

ただし2016年の選挙については、それは間に合わない、とTapscott親子は述べる。2020年か2024年には変わるだろう、と。今年に関しては、ブロックチェーン革命はほとんど関与できないだろう。

いつものように、このインタビューの制作もCALinnovatesにしっかり助けていただいた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))