新型コロナ対策として空港の混雑などを監視するZensorsのコンピュータビジョン

新型コロナウイルスの感染が広がる中、商用のコンピュータビジョン技術が人々の行動を観測する有益なツールになりつつある。機械学習でレストランの空き状況や行列などを追跡するスタートアップのZensorsは、感染拡大防止のために測定のシステム化を必要としている空港などで、このプラットフォームを無料で利用できるようにする。

Zensorsが創業したのは2年前の2018年だが、TechCrunchは2016年に防犯カメラの映像などから有用なデータを抽出するコンピュータビジョンのアーリーアダプターの1つとして同社を紹介した。レストランを映すカメラでテーブルの空きを数え、時間の経過に伴うデータの変化を追跡するのは可能で当然のことのように思えるかもしれないが、数年前にはなかなか思いつかないことで、実現も簡単ではなかった。

それ以来Zensorsは、空港、オフィス、小売店などそれぞれの環境に合わせたツールを作ってきた。座席の埋まり具合やゴミ、行列の見込みなどを調べることができる。偶然ではあるが、人と人との距離を注意深く監視する必要がある現在の状況において、このようなデータは空港などの管理者にとってまさに必要なものだ。

Zensorsはカーネギーメロン大学から生まれた企業だ。Zensorsの共同創業者であるAnuraag Jain(アヌラーグ・ジェイン)氏は同大学に対し、Zensorsの技術を公衆衛生に生かしたいと考える空港などから多くの問い合わせを受けたと語っている

例えば、何人が行列に並んでいるかを数えるソフトウェアを応用すれば、簡単に人々の密集具合を推計し、人が集まり過ぎていたり狭い場所に集中したりしているときにアラートを送信できる。

「これで利益を得るのではなく、無償で支援しようと考えた」とジェイン氏は言う。そこで最短でも今後2カ月間、Zensorsは同社のプラットフォームを「我々のクライアントである空港など、現在の危機に最前線で対応している一部の組織」に対して無償で提供する。

特定のエリアにいる人が多すぎないか、ある場所が最後にいつ清掃されたか、急いで清掃する必要があるか、ある集団の中で何人がマスクをつけているかなど、新型コロナウイルスに関連して知りたい情報を提供する機能がすでに強化されている。

空港ではおそらくこうした情報をすでに追跡しているが、あまり体系化されてはいないだろう。このようなシステムは、清潔な環境を維持しリスクを減らすのに役立つはずだ。Zensorsとしては無償で試用した組織の一部が料金を支払うクライアントになることを期待していると思われる。関心を持った組織は、Zensorsの通常の問い合わせフォームから相談できる。

トップ画像クレジット:Zensors

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

脳でコントロールするロボットやコンピューターが手術不要で実現する

カーネギーメロン大学とミネソタ大学の共同研究グループが、ブレインコンピュータインタフェース(Brain-Computer Interface、BCI、脳とコンピューターのインタフェイス)およびロボット工学における大きな突破口を開いた。彼らが開発したのは、人間が自分の心でロボットアームをコントロールする方法だ。手術のような侵襲的な手続きは要らない。

この実験のマインドコントロールロボットは、高度な運動制御能力も示した。画面の上で動くコンピューターのカーソルを、追うことができたのだ。これは言うまでもなくロボット工学の分野における大きな前進であり、個別ケースではなく一般的に、コンピューターを脳で制御できる可能性を実証している。それにはありとあらゆる用途がありえるが、麻痺などで運動能力に制約のある人でも、コンピューター化されたデバイスを操作できるようになるだろう。

これまで成功した高精度のBCI技術は、脳の信号をピックアップするインプラントを必要とした。インプラントを埋め込むのは危険であるだけでなく、高価であり、人間への長期的な影響も解明されていない。そのため広く普及することはなく、少数の人たちだけが恩恵に与っていた。

研究グループが開発した画期的な技術では、体内に装着するのではなく皮膚に貼ったセンサーからの低品質な信号を利用する。彼らは皮膚感覚と機械学習を結びつけて、ユーザーからの信号を捉える。その信号の起源は脳の内奥だが、捉えた信号には非侵襲的なテクニックにありがちなノイズがない。

この画期的な発見は、医療現場での実用化に向けてそう遠くないかもしれない。チームは、近く臨床試験を始めたい意向だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

本人を特定できない安全なネットアクセスを提供するTorに記録的な額の寄付が集まる

【抄訳】
インターネットに安全にアクセスできる方法を提供しているオープンソースの自主事業Torが、これまでの長期にわたる政府補助金への依存から脱却するために、資金源の多様化努力を続けている。

Torは“The Onion Router”(玉ねぎルーター)の頭字語で、剥いても剥いても芯(発信者本人)に辿りつけないことを意味している。そのサービスを提供している団体Tor Foundationは今週(米国時間1/6-12)、2018年に個人からの寄付が46万ドルという記録的な額に達したことを発表した。また最近の財務報告によると、同団体は、2017年には非政府系寄付者の増加により、これまた記録的な、総額413万ドルの資金を調達した。

大きく増加した個人からの寄付は2017年には40万ドルだった。その大きな部分を占めるのがTorの支持者であるMozillaで、昨年後半にはTorのためのマッチングファンドの寄付を今後も続ける、と約束した。また、そのほかの支援者個人からのマッチングファンドへの寄付は、最高額が2万ドルだった。

同団体によると、全体として2018年には115か国から寄付が集まり、アメリカ以外におけるTorの重要性を物語っている。

【中略】〔資金源詳細〕

TorはNSAの内部告発者Edward Snowdenが使ったことでよく知られているが、世界のいろんな国でインターネットの弾圧が厳しくなっているから、Torは自由なインターネットを護り安全に利用するためのますます重要なツールになりつつある。

そのためTorは近年、その‘利用しやすさ’を増す努力を続けている。

昨年9月には初めての同団体のAndroid用公式モバイルブラウザーをローンチし、同じ月に前からあるデスクトップブラウザーTorBrowserの8.0をリリースした。後者はFirefoxの2017年のQuantumリリースをベースとし、またMozillaとの協働を深めてFirefox本体にTorを搭載しようとしている。Torのデスクトップブラウザーへの統合は、Mozillaの前CEO Brendan Eichが作ったブラウザーBraveがすでに実現している

同団体にはそのほかのプロジェクトもいろいろあり、ユーザー総数は、公表データによると200万を超えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

この腕輪は麻薬の過剰摂取を検出して死を未然に防ぐ

カーネギーメロン大学の学生たちのプロジェクトが、人命を救うかもしれない。HopeBandと名付けられた腕輪が、血中の酸素濃度が低いことを感知して、それが急を要するレベルならテキストメッセージとアラーム音を送る。

学生のRashmi Kalkunteが、IEEEにこう語っている: “友だちの誰かがいつも過量摂取を心配していたら、その使い方パターンを理解し、どんなときには誰に助けを求めるべきか知ってる人が近くにいるといいよね。HopeBandは、そんな人の代わりになることを目指して、設計したんだ”。

9月に行われたHealth 2.0カンファレンスでチームは、Robert Wood Johnson財団主催のOpioid Challengeコンペに応募して三位になった。彼らはその腕輪を、ピッツバーグの針交換事業*に送るつもりだ。売価は20ドル未満をねらっている。〔*: 注射針を新品の針に交換することでエイズなどの伝染を防ぐ。多くは地方自治体の公衆衛生事業の一環。〕

今年アメリカで過量摂取で死んだ人は72000人を超えている。こんなデバイスがあれば、人びとを少しは安全にできるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボットの皮膚に触覚能力があり柔らかいフルーツでもつぶさない…CMUのFingervisionシステム

Fingervisionは、見ておもしろいものではない。最初ちょっと見るとそれは、誰かが食べ物のラップとわずかなプラスチックから取り出したアクションカメラGoProのケースをマクガイバーして、その作品を25000ドルもする産業用ロボットに取り付けたものに見える。しかも実は、それは真実からそれほど遠くない。そのシステムは安っぽいデザインで、だからかえって、それにできることがすごいと思える。ありあわせの一般市販のパーツを組み合わせてカーネギーメロン大学(CMU)で作られたその装置は、ロボットに触覚らしきものを与えるのだ。

ロボット工学で博士課程を終了したAkihiko Yamaguchiが投稿した一連のビデオには、産業ロボットBaxterが、二本の腕の先端にこのFingervisionシステムを装着して、さまざまな仕事を上手にこなす様子が映っている。その産業用ロボットは、(ちょっとぎごちないが)バナナの皮を剥き、ピンク色の羽毛で触られるたびに反応する

CMUの研究室でYamaguchiは、Baxterの手が慎重に花に接近して、それをCoronaビールの瓶から持ち上げる様子や、折り紙で作った脆(もろ)い箱を持ち上げるところを見せてくれた。いずれもこのシステムの、ソフトタッチ能力のデモだ。(ふむ、彼は大学の研究室でビールを飲んでいるのか)。

このシステムは昨年発行されたペーパーに概要が書かれている。3Dプリントで作られたロボットの握り部分に透明なシリコンのラップをかぶせて、黒い斑点で装飾している。その中に50ドルで買った小さなカメラがある。Yamaguchiによると、スマートフォンのカメラが一般化したおかげで、ここ数年、小型カメラは超安いパーツになったのだそうだ。そして黒い斑点は実は装飾ではなくて、そのカメラを使った視覚系が、点の動きを見て、ロボットの安物の透明な皮膚が物に触ったときの“歪(ゆが)み”を検出する。

ロボット工学の相当な難問なのに、その解は超簡単だ。Fingervisionを使うと、重さ300ポンド(140キログラム)のロボットが、バナナや折り紙のような脆弱な物を扱えるようになり、手の中で何かが滑ったらそのことが分かり、物をしっかり握り直すこともできる。今後はこのような皮膚的能力を、ロボットの手以外のものに応用したい、とチームは考えている。

Yamaguchiは説明する: “本当は全身をこのようなセンサーで覆いたいんだけど、もうちょっとパーツが安くならないとね”。彼によると、全身を触覚能力のある皮膚でおおわれたロボットは、もっと安全に人間との共同作業ができるだろう、と。

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CMUはいずれこのFingervisionをオープンソースにするつもりだ。だから、あなたが自宅の地下室で自作するロボットも、皮膚感覚を持てるようになるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ディズニー・リサーチ、RFIDタグを使って電池不要の低価格対話型コントローラーを開発

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Disney Researchは、古くて楽しいしかけを生かすのが得意だが、今回は市販のRFIDタグの新しい用途を見つけた。カーネギーメロン大学の研究者の協力を得て、 Disneyの研究部門はRFID信号を低遅延処理する方法を発見し、タグを使って安価な材料から電池不要の簡単なワイヤレス対話型制御システムを作れるようにした。

RapID(”rapid”と発音する)システムは、あらゆる種類の低価格な対話型玩具に利用できる。同様の機能は、スマートブックにも比較的安く組み込めるだろう。

このシステムは、受動的で外部リーダーの電源を利用するRFIDシステムの、興味深い利用方法を可能にする。RFIDは遅延が大きく追跡精度も低い。RapIDのフレームワークは、2秒の遅延時間を、200ミリ秒というはるかに実用的なレベルまで減少させる。

「われわれのアプローチでは、確率的フィルタリングレイヤーに、モンテカルロサンプリングに基づく対話レイヤーを組み合わせることによって、タグ読み取りの不確定性を、対話のコンテキスト内で解決されるまで保持する。こうすることで、設計者は入力を高いレベルで推測するコードを書くことができる」とDisneyは説明した。

このシステムが、複雑なゲーミングシナリオでも同じ効果を発揮できるかどうかはわからないが、ビデオのデモを見る限り、三目並べや、Pongゲームでは、確実にうまくいっているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

CMUでは負けると悪態をつくスクラブル・ロボットでヒューマン・インターフェイスを研究中

近くロボットがわれわれの生活に入ってくるのは間違いない。介護の必要な人々の世話をしたり、病人をモニターしたり、その他無数の有用な仕事をしてくれるだろう。最近、ちょっと毛色の変わったロボットを見つけた。スクラブルの相手をしてくれるロボットだ。この「ビクター」と名付けられたロボットはカーネギー・メロン大学のクオリティー・オブ・ライフ・テクノロジー・センターで、ロボットが人間の生活に入り込んできたときの心理的な相互作用を研究するために開発された。

このロボットはスクラブル〔アルファベットのコマをクロスワードのように並べて単語を作るゲーム〕を下手くそにプレイする。そして自分が負けるとだんだん機嫌が悪くなり、「ゴルフじゃないんだからな。点の少ない方が勝ちじゃないぞ」などと悪態をつく。

ロボットといえばわれわれは排水管の中を這い進んだり昆虫的マシンとか兵士と共に野山を駆けまわるBig Dogとかを思い浮かべる。しかしビクターはお年寄りやハンディキャップのある人々の遊び相手となるのが目的だ。ビクターにはひとひねりが加えてあって、負けが込んでくると機嫌を悪くして相手を罵倒したりする。しかし勝っているときは自分が並べた単語についてウンチクを傾けたり、無駄話をしたりする。ビクターの開発者は、ダイエットモニターロボットのAutomと同様、ユーザーがロボットと心理的に深くつながりを持てるように性格づけている。ロボットが相手であっても感情的な交流は人々に良い効果を与えるということだ。

それにしても仲間のプレイヤーに悪態をつくスクラブル・ロボットとは未来的だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+