コロナ禍で落ち込んだPCの売上は第2四半期にやや回復基調、リモートワークが影響か

本年第1四半期のPCの売れ行きは、除菌ウェットティッシュやN95マスク以外のすべてのものに共通する同じ理由で厳しかった。そもそも人々は、新しいデバイスに大金を投じるという気分ではなかった。企業のIT部門や個人がリモートワークという新しい現実に適応したため、新型コロナウイルスの影響はやや落ち着いたが、ウイルス蔓延の影響で中国やアジアのその他の部分でサプライチェーンが回復しないため、理想的な数字には戻らなかった。

しかし調査会社のGartner(ガートナー)の数字によると、Q2は回復の始まりと見ることができる。大きな揺り戻しではないが、前年同期比2.8%増は厳しい第1四半期に比べると注目すべき増加だ。それには理由が2つある。第一は、家庭の環境を仕事や勉強用に整えたこと。第二は、一部の店舗が再開店し、サプライチェーンの不具合の中で店頭在庫をなんとか充実させたことだ。

出典: Gartner

トップは依然としてLenovo(レノボ)で、僅差でHPが2位だ。各社の売上増加率は4.2%から17.1%までの範囲でばらついている。Dell(デル)とApple(アップル)、Acer(エイサー)が5位以上に入る。以上により、米国市場のQ2の売上も3.5%アップした。特に大きく伸びたのがモバイルコンピューターでデスクトップの減少を補っている。

しかしガートナーは、成長は一時的と見ているから、PCメーカーにとってこのニュースは貴重だ。ガートナーのアナリストである北川美佳子氏は 「モバイルPCの需要の改善は2020年に限定される。売上の増加は主に新型コロナウイルスのパンデミックの影響による短期的なビジネス用途によるものだ」と説明している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ」のソースコードが公開

東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ ソースコード オープンソースソフトウェア OSS

アスコエパートナーズは7月9日、東京都の委託を受け構築した「東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ」について、デジタル・ガバメントやスマートシティなど新しい取り組みにチャレンジしたい自治体職員が活用できるよう、ソースコードの一部が公開されたと発表した。

東京都とアスコエは、各自治体が同様のサイトを構築できるよう支援することを目的に、ソースコードの一部をMITライセンスとして公開。MITライセンスは、オープンソースソフトウェア関連ライセンスのひとつ。ソースコードは同サイトの「このサイトについて」ページより入手できる(ソースコードは、同サイトのすべての機能を実装するものではない)。

またこのソースコードは、特別なプログラミング技術や知識を有していない方でも、支援制度情報のデータを追加することでサイトを構築可能。必要なツールはテキストエディターとWebブラウザーのみで、データをWebサーバーにアップロードするだけで公開できる。

合わせて、ナビに掲載する支援制度情報のデータ構造についても、一般社団法人ユニバーサルメニュー普及協会が作成を支援。一般社団法人コード・フォー・ジャパンが公開した「新型コロナウイルス感染症対策に関する支援制度情報標準フォーマット」との互換性を高めたオープンデータフォーマットとして再公開した。両方ともに、「CC-BY 4.0 東京都およびアスコエ」として利用できる。配布は、東京都オープンデータカタログサイト東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報で行っている。

東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により問題を抱えている住民や事業者が、東京都および一部省庁が提供する支援制度情報を一元的に検索でき、またそれぞれの状況に応じて利用できる支援を絞り込めるナビゲーションシステム。

東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ ソースコード オープンソースソフトウェア OSS

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ハーバード大発スタートアップがコロナを除去する鼻孔スプレーの市販を計画

ハーバード大学のバイオメディカル・エンジニアリングのDavid A. Edwards(デビッド・A・エドワーズ)教授が開発し、今秋に市販が予定されているデバイスは、呼気中に存在するウイルスをほぼ100%除去できるという。つまり新型コロナウイルスを他人に感染させるリスクとともに、感染させられるリスクをも大幅に減らせることになる。第一線で患者のケアにあたる医療関係者にとって、フェイスシールドのようなPPE(個人用防護具)ともに用いることで大きな助けになるはずだ。

FENDと名付けられたこの製品は、エドワーズ教授が創業したスタートアップであるSensory Cloudが製造し、9月に市場に投下される予定だ。 このシステムが噴霧するのは、簡単にいえば「塩水の霧」。薬物を含まない生理食塩水の一種であり、ほぼ海水と同様の天然塩が成分となる。

Sensory Cloudが医学専門誌のQRB Discoveryに発表した査読済み論文によれば、この霧は鼻吸入器を使って深鼻腔に噴霧されると、従来のマスクではフィルターできなかった1nm(ナノメートル)未満の上気道のウィルス性微粒子を除去できることが確認されたという。

ただし同社が実施した試験は 65歳以上の5人と未満の5人の10人のボランティアに対するものだったので、サンプルの母集団がきわめて小さいという点については留意が必要だ。それでもサンプルグループ全体で、空気1Lあたりの微粒子の約99%を除去することに成功している。ブロックされた微粒子の大部分は従来のマスクで防御するには小さすぎるサイズだった。

Sensory Cloudは、FENDが「新型コロナウイルスの危険にさらされているすべての人」に有効な追加的保護を提供できるとしている。つまり新型コロナウイルスに感染してない場合、上気道を塩水のミストで拭うことにウィルス微粒子を除去して感染を防げる。またすでに感染している場合も呼気中にウィルス微粒子が含まれることを防止する。

同社では世界中の第一線の医療従事者を含む、高い感染リスクに直面している人々がまず利用できるようにする。その後一般向けにオンライン・ショップで市販し利用範囲を拡大していく計画だ。また同社はこの夏にさらに臨床試験を予定している。これが初期の小規模なテスト結果を裏付けるものであれば、製品の実用化に向けて大きな前進が得られるだろう。

Sensory Cloudでは吸入器を含むFENDを2セット49ドル(520円)で発売する予定だ。詰め替えの食塩水ボトルは6ドル(640円)を予定している。各ボトルは250回程度の噴霧が可能で、同社のテストによれば1回の噴霧で6時間程度効果が持続するという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ給与保護プログラムの融資を受けた米テック企業のリストを中小企業庁が公開

米国時間7月6日、米国財務省は給与保護プログラム(PPP)で15万ドル(約1600万円)以上の融資を受けた企業を列挙したリストを公表した。この中にはBolt Mobility、Getaround、Luminar、Stackin、TuSimple、Velodyneといった話題のテック系スタートアップの名前も入っている。

15万ドル以上の融資を受けた中小企業の社名を掲載したこのリストは、同プログラムの透明性を求める圧力の結果生まれた。リストには、会社が受け取った資金で維持する予定の従業員数も載っている。

PPP融資は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、政府や自治体が発令した自宅待機と不要不急ビジネスの閉鎖指示の影響を受けた企業を支えるために提供された。議会を通過しトランプ大統領が署名した2兆ドル(約215兆円)のCARES Act(コロナウイルス救済法)には、中小企業が社員の給与を維持するための直接的インセンティブを与えるPPP融資が盛り込まれた。申請受付を担当した米国中小企業庁は、社員維持の条件を満たしていれば融資を認めた。

今回発表されたデータからわかるように、情報には不正確なものが含まれていた。BirdとIndex Venturesの2社は当局が提供した情報に反論する声明を発表した。

「BirdはPPP融資を申請した企業として誤ってリストに掲載された」とBirdが提供したメールの声明に書かれている。「当社は申請もしていないしPPP融資を受けてもいない。我々は中小企業や地域ビジネスから大切な資金を奪いたくなかったので、会社として申請しないことを決めた」。

6日にBirdのCEOでファウンダーのTravis VanderZanden(トラビス・ヴァンダーザンデン)氏は、Citi(シティ銀行)は同社が正式に申請するかどうかを検討している間に手続きを開始した。Birdは申請しないと決定したことをCitiに伝え、同行は仮申請を取り消したと同社に伝えた。

Index Venturesは、融資を申請も受け取ってもいないことを確認した。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)もPPPデータに掲載されたが、申請も受取もしていないことをTecnCrunch宛の声明で確認した。

以下のスタートアップと企業のリストには、プログラムの資金を自社のため、あるいは投資先企業のために受け取ったベンチャー企業も掲載されている。本稿は今後融資を受けた企業を確認でき次第追記する予定だ。

融資額15万~35万ドル(約1600万〜約3800万円)

  • Stackin(スタッキン)はミレニアル世代とフィンテックスタートアップを結びつける企業であり、融資を申請した。注目すべきなのは、このフィンテック企業が1260万ドル(約13億5000万円)のシリーズBラウンドを2020年5月に完了していながら、リストに載っていることだ。CEOのScott Grimes(スコット・グライムス)氏はコメント要求にまだ応じていない。
  • OpenResearchは、かつての社名をY Combinator Researchといい、維持する予定の社員数はゼロだった。非営利の同組織は2020年5月に再ブランドを果たし、Y Combinatorから独立して運用し、財政的に関連がなくなることを発表した。社名変更の発表は、同社がPPP融資に申請した後だった。

融資額35万~100万ドル(約3800万〜約1億700万円)

  • Bolt Mobilityは都市内マイクロモビリティーの先進的スタートアップ。18人の社員を維持予定。

融資額100万~200万ドル(約1億700万〜約2億1500万円)

  • SquareFootはニューヨーク拠点の不動産スタートアップで、融資を受けた。The Informationによると、CEOのJonathan Wasserstrum(ジョナサン・ヴァッサーストラム)氏は、新型コロナウイルスによって不動産売買が減速する中、社員の解雇を避けるために100万ドル(約1億700万円)を受け取った。

融資額200万~500万ドル(約2億1500万〜約5億3700万円)

融資額500万~1000万ドル(約5億3700万〜約10億7400万円)

  • Getaroundは、ピアツーピアのカーシェアリングサービスで、448人の社員を維持する予定。TechCrunch宛の声明でGetaroundは融資を受けたことを認め、同プログラムのおかげでロックダウンと新型コロナウイルスによる制限のために「会社が受けた深刻な影響を軽減するために役立った」という。
  • LuminarはLiDARセンサーの企業で341人の社員を維持する予定。
  • Turoはピアツーピアカーシェアリングサービスで、維持する予定の社員数は未公表。
  • Velodyneは、ライダーセンサーの企業で450人の社員を維持する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カリフォルニア大学バークレー校が唾液によるPCR検査の試行を開始

カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、同校のInnovative Genomics Institute(イノベーティブ・ジェノミクス・インスティチュート/ IGI)が開発したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)唾液検査の試行を開始した。

米国内で最初にこの疾病が確認されて以来、IGIではCRSPR研究の先駆者であるJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)氏の下で、ウイルス検査と治療方法の開発に励んできた。

同校が試行している新たな唾液ベースの検査は、被験者の感染を調べる検査を実施するために、訓練を受け個人防護具を着用した医療従事者を必要としない。

この方法が鼻腔拭い液方式と同じように有効であることが証明されれば、バークレー校の学生、教職員を8月末の秋学期開始前に検査するための能力を高められると同大学は声明で語った。

Jennifer Doudna, wearing mask, outside kiosk

COVID-19唾液検査の試行に協力している大学院生のAlex Ehrenberg氏と話すJennifer Doudna 氏(UC Berkeley photo by Irene Yi)

「本校では、学生の少なくとも一部が秋学期に安全にキャンパスに戻れることを望んでおり、そのための方法のひとつが無症状者の検査を行うことだ。そうすることでみんなの健康を観察し、ウイルスの感染を防ぐことができる」と、仮設検査場と唾液検査を陣頭指揮するJennifer Doudna氏が声明で語った。

検査は最短5~6分で実施できるとDoudna氏は考えている。同研究は学内にはすでに公開されており、同キャンパスに所属する学生と教職員は施設のウェブ・サイトで、Free Asymptomatic Saliva Testing(無料無症状唾液検査)研究に参加できる。

「鼻腔拭い液検査と異なり、唾液検査はずっと容易であり、試験管の中に唾を吐くだけでよい」とDoudna氏は言った。「検査場を出るまでに5~6分しかかからないと考えているので、手間がかからず、簡単に検査を受けることができる」

この検査は、すでに食品医薬品局(FDA)による家庭内検査の緊急使用許可を得ているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いている。

Doudna氏らが先駆けて遺伝子工学に応用したCURSPR-Casプロテインを使用することで、同研究所は安価で実験室分析が不要で数分間で結果のでる家庭で使える検査方法の開発を進めている。

Innovative Genomics Instituteは、2014年にDoudna氏がカリフォルニア大学のバークレー校とサンフランシスコ校と共同でに、CRISPRベースのゲノム編集を推進するために設立した。

大学の声明によると、同研究所は6月初めに新たなロボティックハンドリングシステムを導入し、検査能力を1日当たり1000件に増加させた。

「パンデミックが起きた時、われわれ自らに問いかけた、『COVID-19による健康危機に対しわれわれは科学者として何をすべきか』、とDoudna氏が声明で言った。「そして目標を検査に絞った。現在われわれは、臨床検査室を設置してバークレー校キャンパス内で無症状唾液検査を行おうとしている。成功したらこの戦略を他の場所へも広げていけることを望んでいる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビッグデータ解析のPalantirが約590億円を調達、最終調達額は1000億円超に

ときおり議論の的になるが常に秘密主義のビッグデータ・アナリティクス企業であるPalantirは政府機関や大企業を顧客として、安全保障情報(未訳記事)、ヘルス情報(未訳記事)、そのほか機密性の高い情報処理を事業としている。ビジネスとしてはこの秋にも株式上場を目指していると報じられている(Bloomberg記事)。しかし当面は非公開企業としての資金調達にも力を入れているようだ。

Palatirはこのほど4年ぶりとにSEC(米証券取引委員会)にフォームD(登録義務の免除規定のための書類)を提出した。この報告書によれば、同社は10億ドル(約1075億円)近く、正確には9億6109万9010ドル(約1030億円)を調達中であり、このうち5億4972万7437ドル(約590億円)をすでに調達したという。つまり今後4億1137万1573ドル(約442億円)を集める計画だという。

6月のReuters(ロイター)の記事によれば、Palantirは提携先2社からの戦略的投資を受けている。ひとつは日本の保険会社であるSOMPOホールディングスからの5億ドル(約537億円)、もう1件は日本のテクノロジー企業である富士通からの5000万ドル(約53億円)だ。これは合計5億5000万ドル(約591億円)となるため、フォームDで調達済みとされている5.5億ドルがこれに当たるようだ。

フォームDによれば投資家からすでに58件のオファーを受けており、Palantirは調達予定の10億ドルのうちすでに調達した5.5億ドル以外の部分に対しても投資コミットメントを確保しているわけだ。ただし資金調達ラウンドはまだ締め切られていない。

Palantirに今回のフォームDに関してコメントを求めたが「これは当社が直接売却する予定の株式であり、既発行株の二次的取引ではない」と述べるに留まった。今回の資金調達ラウンドはフォームDの説明では上場計画に遅延が生じているためなのか単に上場を補完するだけなのか明らかではない。

また報告書はPalantirが4年ぶりに10億ドル以上30億ドル以下の資金調達を図っているというCNBCの2019年9月の報道を裏付けるものらしい。その報道ではPalantirは会社評価額として4年前の200億ドルを260億ドルにアップすることを目標としていると指摘していた。 6月のロイターの報道では二次市場の取引に基づく会社評価は100億ドルから140億ドルの間だとしていた。

PitchBook調べでは、Palantirは現在までに108以上の投資家から少なくとも33億ドルの資金を調達している。PitchBookのデータ(一部は有料記事)ではPalantirはこれ以前に金額は不明だが非公開で何度か資金調達ラウンドを実行しているという。

Palantirの評価額は4年前の200億ドルが最後だが、その後、さらに高い評価額に向かうことを示唆するいくつかのポイントがあった。新型コロナウイルスによるパンデミックで株式の新規上場はほぼ停止したものの、再び動きが見られるようになっている。またPalantir自身の事業活動も活発化の兆候を示している。

Bloombergによれば、同社は4月に投資家向けブリーフィングを発表し「今年の収入予想は10億ドルに達し、2019年から38%増加して損益分岐点に達する」と予想している。これはPeter Thiel(ピーター・ティール)氏などが16年前に同社を設立して以来初めてのことだ。他の共同創業者には Nathan Gettings(ネイサン・ゲッティングス)氏、Joe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏、Stephen Cohen(スティーブン・コーエン)氏、現在のCEOを務めるAlex Karp(アレックス・カープ)氏だ。

なお、Bloombergの記事にはPalantirがなぜ投資家にブリーフィングを行ったかは説明されていないので、上場を控えての広報だったのか、今回の資金調達あるいは別の理由だったのか不明だ。またPalantirはは新型コロナウイルスによるパンデミックに関するニュースにもたびたび登場している。

具体的には、英国ではコンソーシアムの一部としてNHSと共同(未訳記事)で新型コロナウイルスデータベースの開発)、米国では連邦政府の新型コロナウイル追跡システム(Daily Beast記事)やCDCとの共同プロジェクト(Forbes記事)など、主要市場で大規模なビジネスを獲得していることが報じられている。こうしたプロジェクトはPalantirのほかのビジネス(未訳記事)同様、準備と実施に多額の先行投資を必要とすることが予想される。 こうした事情が現在資金を調達している理由の1つかもしれない。

画像:Jason Alden/Bloomberg / Getty Images 画像編集済

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルが新型コロナ禍で米国オフィスの閉鎖を少なくとも9月まで延長

数カ月前Google(グーグル)は、7月4日独立記念日の休暇後に米国オフィスの一部を再開する計画を発表した。よく練られた計画だが、それだけだった。米国の新型コロナウイルとの戦いの中、物事がうまくいかないのは明らかであり、グーグルは安全側に舵を取り直した。

Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたように、グーグルは事業の再開を9月7日以降に延期した。米国ではレイバーデー休日の後だ。Facebookなどのテック巨人と同じく、同社は社員に対して、今年いっぱい在宅勤務を続ける選択肢が与えられていることを伝えた。

関連記事:グーグルが一部の従業員をオフィスに戻す計画を発表

多くの人たちが今の状態のオフィスに戻ることを安心できない今、これは賢明な選択であり、通勤のための公共交通機関のこともある。ちなみにTwitterは5月に、社員が永久にリモートワークすることを認めると発表して話題を呼んだ。

米国時間6月30日、米国では4万7000人の新型コロナウイルス感染者が報告され、パンデミックが始まって以来最大の1日あたりの感染者数を記録した。

アリゾナ州、フロリダ州、テキサス州は感染の中心地となり、他の多くの州でもここ数週間感染者の増加を見ている。ウイルス蔓延への懸念がふたたび高まる中、多くの地域で事業再開が中止あるいは延期された。他の大手テック企業も再開計画を遅らせる可能性が高い。ほとんど場合、オフィスに戻るという選択肢にはリスクを冒す価値がない。

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

国が支援するコロナウイルスの偽情報がまともなニュース媒体の記事よりも速く広く拡散

オックスフォード大学のアナリストたちの調査によると、ロシアと中国とトルコとイランの国が支援している媒体からの、新型コロナウイルスに関するいかがわしい記事が世界中で、メジャーなニュース媒体の記事よりも広く共有されている。フランス語とドイツ語とスペイン語と英語の普通のニュースサイトは、ソーシャルなエンゲージメントが、これら外国起源の記事よりも少ない。

この調査は、Computational Propaganda Project(コンピューターによるプロパガンダ研究)というプロジェクトが今行なっているCOVID-19偽情報キャンペーンのモニタリングの一部だ。この調査グループは、Le Monde、Der Spiegel、El Paisのようなメジャーなニュース媒体に比べて、Russia TodayやChina Radio Internationalなどの、国が背後にいる媒体のコンテンツが、いくつかの測度で4〜5倍多く共有されていることを発見した。

彼らの初期の報告書は、このタイプのメディアの英語による共有を主に取り上げていて、それらは一般的に、「特定の記述を強調している事実もどき」、と呼ばれている。

彼らが繰り返し何度も発見したのは、主流的なニュース媒体は全体的なプレゼンスでは勝(まさ)っているが、国が支えるジャンクニュースは、一つのポストや記事あたりのエンゲージメントがはるかに多いことだ。最近の報告では、メインストリームの記事が一本あたりで平均25のエンゲージメントを集めているのに対し、国支援の記事は125だった。ユーザーやフォロワーの数は数百万もいるから、全体ではとても大きな差になる。

そのデータにはもっと細かいニュアンスがいろいろあるけど、一般的な傾向としては上のようなことが言える。偽情報はボットや通常の共有などによって広く拡散しているが、普通のニュースソースはアウトプットを増やし、初期のリーチを大きくすることで数を稼いでいる。どちらも、最初の到達数ではそれほど変わらない。しかしまだ分からないのは、英語以外のメディアでもそうか、ということだ。

さまざまなニュースソースから3週間にわたって集めたデータからは、確かに上記のようなことが言える。メインストリームのメディアは全体的なリーチは大きいが、国支援のメディアは一つの記事あたりのエンゲージメントが非常に高いことが多い。それは、国支援の媒体が論争的なネタや対立を煽るような記述を多用するからだろう。調査は次のように述べている:

  • ロシアの、フランス語とドイツ語の媒体は、ヨーロッパにおける弱い民主主義と市民の動乱を一貫して強調しているが、パンデミックに関してはさまざまな陰謀説を提供していた。
  • 中国とトルコのスペイン語の媒体は、自国のグローバルな指導性とパンデミックとの戦いを宣伝しているが、ロシアとイランの媒体はラテンアメリカとアメリカのスペイン語ソーシャルメディアのユーザーを狙った、二極分化を煽るようなコンテンツを生成していた。

もちろん、この種のクリックベイトはソーシャルメディア上で野火のように広がるが、軽率にシェアボタンを押してしまう人たちは、それがどこかの政府が支援するニュース機関が世界に不和の種を播くためにやっていることだとは、夢にも思わない。

しかし一方ではこれを、相手がやるからこっちもやる、という一種のフェアプレーと見る見方もある。

たとえば、中国の国が支援するニュースは、ウイルスが中国の生物兵器だとする、アメリカで盛んな陰謀説に対抗して、それはアメリカの生物兵器を中国でばらまいて中国に罪を着せようとしているのだ、という説を流している。

オックスフォードのKatarian Rebello氏が、ニューズリリースで次のように述べている。「これらの国支援の媒体の多くが、コロナウイルスに関する事実に基づいた信頼できる記事と、誤解を招く、あるいは偽の情報をブレンドしている。それらにより、COVID-19パンデミックを理解しようとしている一般大衆のオーディエンスの間に、大きな不安を植え付けてしまうこともある」。

ここで挙げた国が支えている媒体は、アラビア語の市場にも大きなプレゼンスがあり、研究者たちは今後の調査でそれらを含めたいとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Elektra Labsがバイオセンサー評価ツールを無料提供、新型コロナによる医療崩壊防止を目指す

 

米国の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックが拡大を続ける中、医療関係者、研究者はあらゆるリソースとテクノロジーを使って患者をケアし、疾病の本質を解明して対抗しようと全力を挙げている。医療機器のテクノロジーをモニターし評価するスタートアップが、同社のサービスを医師に無料で提供することにした(Elektra Labsリリース)のもそうした努力の1つだ。

サンフランシスコを本拠とすメディカルテクノロジーのスタートアップであるElektra LabsについてはTechCrunchも何度か報じてきた。ファウンダーは米国食品医薬品安全庁(FDA)の元幹部でハーバードで学びマサチューセッツ総合病院に勤務した経験のある医師だ。Electraの目的は市場に次々に登場している医療用センサーのセキュリティ、正確性、実用性などの評価を提供することにある。

Electraは、新型コロナウイルスの症状をモニターできるとしている医療用デバイスについての同社の評価を臨床医や研究者に対して無料で提供すると発表した。

米国における感染者数は250万人に達し、医療専門家が以前から警告してきた患者数の急増によって医療が崩壊するという最悪のシナリオが現実になりつつある。医療はデジタルテクノロジーを利用した遠隔医療に大きくシフトしているが、これは医療関係者がそれを望んでいるというより、他に方法がないからだ。

マサチューセッツ総合病院の最前線で新型コロナウイルス患者を治療してきたElektra Labsの共同ファウンダーであるSofia Warner(ソフィア・ワーナー)医師は、声明で「遠隔医療が有用なものであるためにはを患者のバイタルサインを確実に把握できるなければならない。患者を測定しているセンサーの信頼性を把握することは医療プロバイダーにとって非常に重要だ」と述べている。

デジタルモニターをはじめとすると各種のリモート医療テクノロジーが重要なのは臨床分野だけではない。新型コロナウイルスの流行が始まり、ボランティアと直接対面して治験をすることが不可能になってから新薬の研究、開発でも極めて重要な役割を担うようになっている。

ハーバードとMIT共同の設置によるレギュラトリーサイエンスセンター(Center for Regulatory Sciences)のAriel Stern(アリエル・スターン)博士は声明で「パンデミック下で大規模かつ多額の費用を要する臨床試験を実施している製薬会社は患者、被験者の安全を確保しながら研究を進めるために急速にリモート医療テクノロジーを採用しつつある。多くの製薬会社が安全で効果的であると同時に治験参加者が自宅で簡単に利用できるデバイスを発見することを急いでいる」と述べた。レギュラトリーサイエンスは日常接する物質や現象についてその効果や安全性を評価し、行政的規制を通じて公衆の健康維持を図る科学だ。

2019年秋にElektra Labsはウェラブル端末を利用したデジタル医療ツールを発表し、インターネットに接続されたセンサーによるバイオメトリクスの正確性、有効性、実用性、プライバシー保護能力などを検証した。また2020年に入ってこうした研究を支えるノウハウや手法をフレームワーク化し、Nature Digital Medicineの論文として公開している。

Electraは Founder Collective Boost VC、Maverick Ventures、Village Global、Arkitekt Venturesなど初期段階のスタートアップへの投資を専門とするベンチャーキャピタルの支援を受けている。またすでに製薬会社や研究機関での採用も相次いでいる。

Elektra LabsのCEOであるAndy Coravos(アンディー・コラヴォス)氏は「テクノロジーの進歩は人々が身をを守る能力よりずっと速く進歩してきた。Elektraの共同ファウンダーとなったのは在宅で人々のケアを簡単かつ安全に行えるようにしたいからだった。新型コロナウイルス危機に際してこれがかつてないほど重要な課題になっている。パンデミック下で患者の治療とヘルスケア全般のイノベーションのために努力している人々に我々のAtlasプラットフォームを無料で提供できることを嬉しく思っている」と述べた。

App Storeにおける利用データを使ってアプリをランクづけするApple(アップル)の手法とは異なり、Elektra Labsによる医療用センサーの評価スコアやランキングは一般公開はされない。

評価を利用できるのはリモートケアを実施する臨床医、リモートで臨床試験を行う研究者、健康モニタリングツールを比較検討している公衆衛生当局者などの専門家のみだという。

医師や研究者が、ビデオによるリモートケアの補完に利用するバイオメトリックセンサーとして患者が自宅で使用するのに安全であり効果的なデバイスであるかどうかを判断できるようにしようというのがElectra Labsの目標だ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Apple Watchの手洗い機能は新型コロナの流行前から準備されていた

先週末のWWDC基調講演では、新型コロナウイルス(COVID-19)関連としてマスクをしたミー文字とともに、Apple Watch(アップルウォッチ)の手洗い機能が追加されるという嬉しい発表があった。手洗いは、誰もが1日何度か行う当たり前の行動だ。しかしこの5カ月の間に、それは私たちの日常生活において非常に重要な位置を占めるようになった。精神を集中して、取り憑かれたように励む行為となっている。

私たちはみな、WHOや米疾病管理予防センター(CDC)のガイドラインを読んだり、ウイルス感染を防ぐための適切な手洗いの時間の目安となる無数の替え歌(ときには自作曲)をシェアしたりしてきた。また、洗面所の蛇口の前に立ったとき、20秒という長さを痛いほど身に染みてわかるようにもなった。

間もなく登場するApple Watch用の手洗いアプリは、新型コロナウイルス禍に見舞われて以降、Apple(アップル)が慌てて実行したその他の即席の取り組みとは違う。テクノロジー担当副社長であるKevin Lynch(ケビン・リンチ)氏がTechCrunchに話したところによると、その機能は「長年の仕事」の成果だという。アップルならではの流儀に従い、数年間の試行錯誤の末に生み出された製品なのだと同氏は話す。

画像クレジット:Apple

このありふれた行動に取り組んだスマートウォッチは、Apple Watchが初めてではない。Samsung(サムスン)は、所定の時間、ユーザーが手を洗えるようにするGalaxy Watch(ギャラクシーウォッチ)用アプリをすぐさま市場投入した。アップルのアプリは、Noise(ノイズ)アプリなどのヘルスケア機能に属し、ウォッチの内蔵センサー類を駆使して利用者の全体的な健康状態の管理に貢献するスマートなものとなっている。

watchOSの次期バージョンに直接組み込まれるこの機能は、いろいろな仕組みでフィットネス用のトラッキング的な働きをする。まずは、有効にしておくと手洗い動作を検知したときに自動的にアプリが起動し、20秒のカウントダウンタイマーがスタートする。ハードウェアの鍵となるのが加速度センサーだ。これが手洗い特有の動作パターンを監視する。もちろん実際に手をゴシゴシする人に合わせて、他にもいろいろな手法が併用される。

関連記事:Apple’s software updates give a glimpse of software in a COVID-19 era(未訳記事)

このシステムでは、複数の方式の管理に機械学習モデルが使われているが、ウォッチのマイクからの信号も追加的に利用される。動きの感知に加えて、アプリは水が流れる音も聞き分ける。だがそれでも十分ではない。近ごろでは水の音が静かで聞き取りにくいエコ洗面台が増えているからだ。最後の頼みは、石けんを握る音だ。石けんは独特な音を発するため、手を洗っていることを確認できるという。

この機能は、石けんの泡の画像を点滅させたり、振動を伝えたりして最後までしっかり洗うよう促してくれる。手を止めると「丁寧な励まし」が示される。フィットネスのトラッキングのように、その情報はアップルのヘルスケアアプリに記録される。つくづく思うが、今回のことさえなければ少しふざけたようなこのささやかな機能は、私たちがにわかにウイルスや細菌感染対策を真剣に考えるようになったことで、突然、非常に重要な意味を持つようになったわけだ。

これはアップルがこの数カ月間に発表した新型コロナ関連の他の取り組みに、思いかけず加えられる形になった。同社はマスクやフェイスシールドを寄付したり、接触追跡の取り組みでは主導的な立場を取ってきた。

画像クレジット:Apple

特にApple Watchに限って見てみると、医師がウォッチ装着者の心電図を、双方にウイルス感染のリスクを与えないよう、遠隔で監視できる機能が解禁された。だが、新型コロナウイルス感染を診断する可能性については、今のところアップルは何も語っていない。「Apple Watchで新型コロナを追跡する方法は、まだ特別に研究はしていませんが、医療分野での研究は喜んでお手伝いしたいと考えています。アップルの人材を医療分野に派遣できるようにして、彼らの取り組みを強力に支援します。そこで何が得られるか、とても楽しみです」と同社のヘルス担当副社長であるSumbul Ahmad Desai(サンブル・アーマド・デサイ)氏はTechCrunchに話した。

現時点ではまだ、アップルはその点に関して具体的な動きは見せていないが、研究者たちがこの広く普及したウェアラブルの応用に興味を示すであろうことは容易に想像できる。2020年5月にFitbit(フィットビット)は、まさにその方面で研究者たちとの取り組みの初期段階にあると発表している。

画像クレジット:Apple

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(翻訳:金井哲夫)

ドイツのアマゾン倉庫作業員が新型コロナをめぐってストライキを実施

ドイツのAmazon(アマゾン)の倉庫労働者は今週、従業員の間で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を起こしている状況に抗議するため、48時間のストライキを実施する(Reuters記事)。ストライキは米国時間6月29日月曜日に6カ所の倉庫で始まり、火曜日の終わりまで続く予定だ。

労働者の新型コロナウイルスの感染率を公表しなかったことで、アマゾンは国際的な批判を浴びているが、ベルリンを拠点とする労働組合Verdi(Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft/German United Services Trade Union)の代表は、中央ドイツのBad Hersfeld倉庫の「少なくとも30から40人」の労働者が新型コロナウイルスに感染したと認識していると語った。

他にもコブレンツ、ライプツィヒ、ラインベルク、ヴェルネなどの工場でストライキが行われる。ドイツはアマゾンにとって最大の非米国市場であり、労働者の抗議行動でもかなりの割合を占めている。ストライキは2018年と2019年のPrime Daysに計画されたが、新型コロナウイルスの大流行は同社にとって新たな課題となっている。

関連記事:アマゾンの社員が新型コロナ下における労働条件でさらなる抗議活動を計画

最近の他の批判と同様に、アマゾンは労働条件が安全ではないという指摘を否定し、新型コロナウイルス関連の様々な取り組みを表明した。

「当社の従業員の大多数は参加しておらず、顧客の注文に影響はない。ドイツにいる1万3000人以上の正社員のうち8000人以上が5年以上在籍しているという事実は、当社が公正な雇用者であることを証明している」と、広報担当者はTechCrunchへの声明で述べた。「労働組合が要求するすべての条件は、すでに実施されている。同等の仕事に支払われる賃金の上限、キャリアに関する機会、安全な労働環境などだ。実際には2020年6月末までに、新型コロナウイルス関連の取り組みに世界で約40億ドル(約4300億円)を投資し、顧客に製品を届け、従業員の安全を確保している」。

米国ではアマゾンは新型コロナウイルスへの対応でメディアや政治家から批判を受けており、その中には同社の政策に批判的な複数の従業員の解雇も含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

MIT製のルンバ似ロボットがボストンの食料倉庫で新型コロナを紫外線で消毒

MIT(マサチューセッツ工科大学)のCSAIL(コンピュータ科学とAIラボ)は研究プロジェクトの1つを利用してグレーターボストンフードバンク(GBFB)の倉庫の消毒サービスを提供し始めた。GBFBは食料配給のチャリティ団体で、MITは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を抑制することにより同団体が活動を継続できるよう支援する。

CSAILがデザインし、Ava Roboticsと共同製作したロボットシステムは、新型コロナウイルスが付着した可能性がある物体表面を消毒するのと同時に、空気中に感染性のあるウイルスのエアロゾルが浮遊している場合にも一掃する効果があるという。

CSAILが提供するのは高度な消毒殺菌システムだが、家庭用掃除ロボットのルンバにやや似ている。強力な紫外線を利用して完全自動で施設の消毒を行う。人間の操作者を必要としないロボットであることがキーポイントだという。物体の表面や空気中のエアロゾルのウイルスを消毒できるレベルの紫外線は人体に有害なので人間が操作することができないからだ。

設計チームはAvaのテレプレゼンスロボットを利用し、遠隔地にいるロボットの操作者を表示するディスプレイ部分を取り外し、上の写真のように紫外線ランプのアレイに置き換えた。カメラとセンサーによってロボットは置かれた空間をマッピングする。ロボットは指定されたポイントをナビゲートしながらエリア内を消毒していくが、どの部分の消毒を済ませたかを記憶できるという。このシステムでは人間のスタッフが通常作業する場所を指定することで、優先的に消毒するゾーンを設定できる。

このシステムは移動経路の再設定にも柔軟に対応できる。GBFB倉庫で消毒が必要なエリアは食品の在庫状態によって常に変化するためロボットの巡回ルートは頻繁に変更が必要だ。開発チームは、将来はさらに高機能なテレプレゼンスロボットを利用し、多様なセンサーによって人間の作業員の動作や在庫状況を把握してどの部分が消毒が必要であるか優先度を自動的に判断して動作できるようにしていきたいと考えている。しかし当面はそのような調整は人間が行う。

食料供給を必要とする人々に食品を届けるGBFBは、新型コロナウイルスのパンデミックに際して極めて優先度の高い活動であるため、CSAILはまずここでの利用に焦点を当てている。ただしCSAILの研究者は今後この種のロボットシステムが食品企業、学校、航空機など清潔を保ち頻繁な消毒を必要とする複雑な空間で広く利用されるようになると考えている。

画像:Alyssa Pierson – MIT CSAIL

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クリストファー・ノーラン監督のアクション映画「TENET テネット」の公開が8月12日に再延期、米国での新型コロナ感染者再拡大で

アクション映画「TENET テネット」はハリウッドの重要な指標と見られている。クリストファー・ノーラン監督は長年の確実なヒットメーカーであり、「ダークナイト・トリロジー」「インセプション」「インターステラー」などの作品を成功させてきた。今回のミステリアススリラーは、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で拡大を続けるなか、観衆に屋内の劇場に来場する勇気があるかどうかの明確なテストになるはずだ。

今週にワーナー・ブラザーズは、同作品の公開日を8月12日に延期すると発表した。一部の州で感染者の拡大が続いていることを受けたものだ。これはこの映画にとって2度目になる2週間の遅延であり、当初の公開予定日は7月17日だった。

「ワーナー・ブラザーズは、TENETの劇場の大画面での公開を、劇場の準備が整い、衛生当局の了解を得られた時に行うことを約束する」と同社が報道機関向けの声明で語った。「この時期に必要なのは柔軟な行動であり、通常の映画公開と同じには考えていない。自由時間に見てもらうために公開は週の半ばとし、通常よりずっと長い期間上映することで、これまでと大きく異なりかつ成功する上映戦略をつくっていく」。

ためらいを見せている映画会社は同社だけではない。ディズニーも「Mulan」(ムーラン)の公開日を延期し 、TENETの1週間前に設定した。感染拡大のためにフロリダ州、テキサス州などの再開が遅れている中の出来事だ。ニューヨーク州も再開フェーズ4からスポーツジムやショッピングモールとともに映画館を除外した。

これは規模の大小にかかわらず映画館に課せされた大きな問題だ。TechCurnchは7月15日に数百カ所の映画館を再開予定(マスクの着用を義務付けている)のAMCに話を聞いた。映画館はVOD(ビデオ・オン・デマンド)で公開済みの短編や、「ジュラシックパーク」などの旧作に頼ることになるだろう。30年近く前の同作は、この週末に51万7000ドル(約5545万円)という北米トップの興行成績を上げた。

AMCには、今回の公開延期が劇場再開に与える影響について質問している。

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7月15日に再開する大型映画チェーンで任意だったマスク着用が猛反対により義務に

画像クレジット:Warner Bros.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

手が顔に触れないようにする新型コロナ警告ペンダントがオープンソースに

いまや世界中でいろんなウェアラブルが、新型コロナウイルスを検出できる、予防できる、感染していないことを証明できるなどと主張している。しかし、NASAのJet Propulsion Laboratory(ジェット推進研究所、JPL)のウェアラブルデバイスは、新型コロナウイルスの拡散を本当に防げるかもしれないが、複雑で高度な技術とは無縁の製品だ。

JPLのウェアラブルデバイスであるPULSEは、3Dプリントで作った部品と安価で入手しやすい部品を使って作られており、あるたった1つのことだけをする。それは、自分の顔を手で触らないように警告することだ。JPLの設計者は「簡単だから技術のない人でも作れる」と主張し、実際に多くの人々や企業が作れるように、すべての部品のリストと3Dモデルのファイル、そして組み立て方の詳しいインストラクションをオープンソースのライセンスで提供している。

PULSEは一種のペンダントで、首にかけて顔から15〜30cmの位置に長さを調節する。人の手が着用者の顔に近づくと、赤外線を使った近接センサーが感知する。すると振動モーターが震えて警告を発する。手がさらに顔に近くなると、振動はもっと強くなるという仕組みだ。

ハードウェアそのものはシンプルだが、狙いはそこにある。どこにでも売ってる3V(ボルト)のコイン形電池で動き、ケースを作るための3DプリンターがあってGitHubにアクセスできる人なら、自宅で短時間で組み立てられるだろう。

もちろんPULSEは、単独で新型コロナウイルスを排除できるとは考えていない。汚染されている手が人の口や鼻や目に触れることは伝染の1つの経路にすぎないからだ。例えば、呼吸飛沫がウイルスの空気伝染を起こすこともあるだろう。しかし、通常のマスクを着けるだけでも感染のリスクは相当減るのだから、手が顔に触れる機会を減らすことも、ほかの方法と組み合わさって拡散の防止に役立つだろう。

ウェアラブルの中には、症状が出たり検査で陽性になる前にウイルス保有の有無を教えてくれるものもある。でもそれらは未実証の製品が多く、また人体のウイルスへの露出を制限することはできない。JPLのPULSEには、日常生活の中で新型コロナウイルスなどの感染症の拡散を抑えるポジティブな習慣を身につけるというメリットがある。

画像クレジット: NASA JPL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAとESA、JAXAが新型コロナ監視用の地球観測ダッシュボードを開発

NASAは、欧州宇宙機関(ESA)および日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を監視するために衛星からの地球観測データを収集し、ダッシュボードを介して提供することに取り組んでいる。このダッシュボードは各機関が運用する地球観測衛星によって収集された写真、大気の質、温度、気候などの指標データを統合したものだ。

新型コロナウイルスに関する地球観測データは、水質、気候変動、経済活動、農業における世界的な変化を把握できる。これは政治家、保健当局、都市計画者などに重要な情報を提供し、都市に住み働く人々の暮らし方を大きく変えている、現在進行中の世界的な新型コロナウイルスの短期的、あるいは長期的な影響を調査するための重要な情報を提供することを目的としている。

プロジェクトに関わっている各宇宙機関は、4月にプロジェクトを立ち上げ、機関を超えた国際的なコラボレーションをあっという間にまとめた。これまでのデータでは、活動の減少による大気や水質などの環境の改善といった大きな変化だけでなく、港湾での荷揚げ作業やショッピングモールの駐車場の車の台数など、主要な経済活動が大きく減速していることも示している。

このプロジェクトは特に新型コロナウイルスとその影響に関するデータを提供することを目的としており、現在の計画では同ウイルスによるパンデミックのみを対象としているが、ESAの地球観測プログラム担当ディレクターであるJosef Aschbacher(ジョセフ・アシュバッハ)氏は電話会議の中で、ダッシュボードを新型コロナウイルスの範囲を超えて拡張するかどうかをすでに検討していると述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ワイヤレス充電が可能なUVスマホ除菌器、Mophieが約8600円で販売

UV(紫外線)によるスマートフォン除菌器を発売するのに最適な時期は、約5カ月前だった。しかし、いまが遅すぎるというわけではない。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが本格的に世界へと広がり始めたとき、PhoneSoapのような企業によるかつてはかなりニッチだったUV除菌器が、大ヒットした。

実際、スマートフォンがどれだけ病気の媒介者になりうるかを多くの人々が初めて認識し始めたときには、製品はあちこちで完売していた。以上のことから、このカテゴリーは多くのアクセサリーブランドにとってかなり論理的な次のステップだ。

米国時間6月25日、Mophie(モーフィー)とInvisibleShield(インビジブルシールド)が除菌分野に参入した。価格はそれぞれ80ドル(約8600円)と60ドル(約6400円)で、主な違いは10Wのワイヤレス充電パッドが搭載されているかいないかだ。これは製品のフタ部分に搭載されている。つまり、消毒しながらの充電はできない。

どちらも6.9インチまでのスマートフォンを波長が280nm未満のUV-Cライトで消毒し、細菌の99.9%までを死滅させられるとうたっている。ただしPhoneSoapの製品と同じく、両ブランドとも自社の製品が新型コロナウイルスを殺すことができるとは主張していないことは注目に値する。この点についてはまだ結論は出ておらず、プレスリリースにも言及は見当たらない。このような製品を所有していても抗菌シートを持ち歩くことを強くお勧めする。

なお、どちらの製品もそれぞれの公式サイトで購入可能だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

7月15日に再開する大型映画チェーンで任意だったマスク着用が猛反対により義務に

アップデート:AMCはマスクに関する方針を変更した(Hollywood Repoter記事)。マスク着用を義務化しないという最初の声明に追記された部分は、以下のとおりとなる。

この発表を受けてお客様から激しい抗議が寄せられたが、これまで私たちがマスクの着用について十分に考えていなかったことは明らかです。AMC Theatresにおいては、お客様の声に耳を傾けるlことは何よりも大切なことだと考えています。従って科学アドバイザーの全面的な支援を受けて私たちは方針を改め、観客のみなさんのマスクに関するポリシーを変更します。

劇場を再開するにあたって全国のAMCのお客様が入館されて映画をお楽しみになるときは、マスクの着用を義務とさせていただきます。マスクに関するポリシーをAMCが急に改訂したことは、お客様の安全と健康に対する私たちに強い責任感によるものです。

閉館決定からまだ1カ月も経っていないが、ついにAMCは全米における劇場再開の具体的な日程を明らかにした(Variety記事)。映画館チェーンであるAMCは、600あまりの映画館のうち450カ所で2020年7月15日にサービスを再開する。7月半ばという時期は以前からの約束していたとおりだ。しかし映画ファンたちは、私たちが書いた記事で述べた理由(未訳記事)により、劇場に戻ることをためらうだろう。CEOのAdam Aron氏(アダム・アロン)による最近のコメントも、来場者を安心させるとは思えない。

Variety誌のインタビューでCEOは、劇場で観客はマスクを着ける必要がないと述べた。彼はその決定というより不決定を、マスク着用の要請は本質的に政治的なものだ、というおかしな理由で正当化した。

彼は「政治的な議論に巻き込まれたくない。必要ないと思っている人にマスクの着用を強制することは反生産的だ。AMCの観客の大半は、マスクを着けているだろう。私もAMCに映画を観に行くときにマスクを着けて、模範を示す」と言っている。

いつごろ映画館で映画を観ようと思うか?

今夏21%

秋 / 冬14%

2021年23%

ワクチンを待つ42%(3429名のアンケート結果)

これまでAMCはCinemarkやRegalなどの映画館チェーンと同じ決定(マスク着けなくてもよい)をしていたが、カリフォルニアのように屋内でのマスク着用が義務化されている州では、映画を観に行く人もマスクを着けなければならない。劇場でどうやってそれを強制するのか疑問は残るが、AMCによると社員は全員マスクの着用が義務で、また来場者にはマスクを1ドル(約107円)で販売する。

社員は検温も受けるが、来場者は受けない。このようなチェックや防御は新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散下において重要な対策だが、無症な者の感染の有無はは検温ではわからない。その他の対策として、静電噴霧装置や微粒子を吸い取れる掃除機などによるウイルスの拡散防止策がある。

大手映画会社のほとんどがメジャーな作品を2021年の後ろ倒しにしている。ただしChristopher Nolan(クリストファー・ノーラン)監督の「Tenet(テネット)」やディズニーの「Mulan(ムーラン)」などは、来月7月に封切られる予定となっている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ感染者の増加でオープンしたアリゾナ、フロリダなどのアップルストアがまたも閉鎖に

Apple(アップル)は米国時間6月19日、4つの州で再オープンした店舗をまた閉鎖するという噂を確認した。その対象となるのはアリゾナの6店舗、フロリダの2店舗、ノースカロライナの2店舗そしてサウスカロライナの1店舗だ。

同社はTechCrunch宛ての声明で「私たちがサービスを提供しているコミュニティの一部における、現在の新型コロナウイルス(COVID-19)の状況により、一時的に店舗を閉鎖する。これは状況を仔細に監視し、チームと顧客が可及的速やかに戻ってこれることを期待している」と述べている。

同社が州の再開努力に呼応して一部の店舗を再オープンさせてから、まだ1カ月強しか経っていない。再オープンにあたり同社は、マスク着用の義務化や検温、社会的距離の強制といったいくつかの安全策を採っており、清掃の強化も行っている。

関連記事:アップル直営店が米国で一部店舗の営業再開、マスク着用義務や体温チェックなどの安全対策も

当時、小売担当の上級副社長Deirdre O’Brien(ディアドラ・オブライエン)氏は「これらは拙速で決めたわけではない。そして再オープンは、今後2度と閉鎖しないという意味ではない。地域の状況によっては、予防策として再度、閉鎖することもある」と記している。

同社は、そのときと同じ方法で店舗を再々オープンさせるかもしれない。しかし、いくつかの州では州政府が再開の手続きを開始して以降、新型コロナウイルスの患者が増加している(CNBC記事)。先週、アリゾナ、フロリダ、オクラホマ、ネバダ、オレゴン、テキサスの各州は感染の記録的な増加を報告した。ウイルスの拡散には不確実性があるため、アップルAppleなどの小売店が方針を転換するのはこれが最後ではないだろう。

米国時間6月21日から、以下の店舗が再度閉鎖される。

フロリダ州
  • Waterside Shops
  • Coconut Point
ノースカロライナ州
  • Southpark
  • Northlake Mall
サウスカロライナ州
  • Haywood Mall
アリゾナ州
  • Chandler Fashion Center
  • Scottsdale Fashion Square
  • Arrowhead
  • SanTan Village
  • Scottsdale Quarter
  • La Encantada

それぞれの店舗に関する詳しい情報はアップルのウェブサイトにある

画像クレジット:Apple

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

厚生労働省が新型コロナ濃厚接触通知アプリ「COCOA」の配布開始、通知は1日1回

厚生労働省が開発を進めていた、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触したかどうかを確認するアプリ「COCOA」の配信が始まった(iOS版、Android版)。COCOAは、COVID-19 Contact-Confirming Applicationの略とのことだが、日本語では「ココア」と読める。飲み物やペットの名前としても有名な名称なので、この愛称には残念ながらセンスを感じない。

COCOAは、iPhoneやAndroidで動作するスマートフォン専用アプリで、アップルとグーグルが共同開発した「Exposure Notification Framework」を利用している。アップルのApp Store、もしくはGoogleのPlay Storeから無償でダウンロード可能だ。対応するOSのバージョンは、iOS 13.5以上、Android 6.0以上。日本語のほか、英語、中国語に対応している。なお、アプリを削除して再度インストールした場合、それまでの接触履歴も削除されるので注意。現在のバージョンは1.0.0で、同省によると公開から1カ月間は、試行版(プレビュー版)とのこと。

各スマートフォンが内蔵する無線通信機能であるBluetoothを利用して、オフィスや飲食店、街中などで接触した可能性のある人を検知する。ただし、接触と判別されるのは約1m以内の距離で15分以上近接した状態なので、街中ですれ違う程度では濃厚接触とはならない。

このアプリを使っているユーザーが新型コロナウイルスの陽性となった場合、同様にアプリをスマートフォンにインストールしているユーザーは過去14日以内に該当者に接触した可能性があるかどうかを通知してくれる。

陽性者が通知を許可しない限り同機能は有効にならないが、氏名や電話番号、メールアドレスといった個人を特定する情報の入力や登録は不要で、陽性者との接触の照合も各自の端末内で実行されるためクラウドには残らない。個人情報が漏洩する確率は低いので、陽性になってしまった場合は積極的に情報を共有したいところだ。

ホテル・旅館内の混雑情報をリアルタイム配信、バカンの技術を盛り込んだ「VACAN for Hotel」を提供開始

VACAN for Hotel

AIとIoTを活用し空き情報を配信するバカンは6月19日、ホテル・旅館向けに館内施設の混雑情報をリアルタイム配信するサービス「VACAN for Hotel」を発表した。ホテル・旅館向けに提供開始済みで、利用には初期費用と月額費用がかかる。金額は設置する機器の種類や台数によって異なる。

VACAN for Hotelは、大浴場や食事会場(レストラン)などの混雑情報を宿泊客にリアルタイムで伝えるサービス。館内施設の入口に入退出を検知するセンサーを設置し、環境に応じた混雑検知方法を提供する。取得した混雑情報は、そのホテル・旅館専用のスマホ用ページで宿泊客が確認できるほか、館内に設置したデジタルサイネージに表示するなど、新型コロナウイルス(COVID-19)対策として「3密」(密閉・密集・密接)防止に役立てられるようさまざまな方法で配信できる。

バカンは、これまでもホテル・旅館向けに混雑状況可視化サービスを提供しているが、新型コロナ対策向けサービスの要望を受け、VACAN for Hotelというパッケージとしてサービス提供を決定した。またVACAN for Hotelでは、ホテル・旅館向けだけでなく、飲食店向けに提供しているサービスも一部盛り込んでおり、複数領域で空き・混雑情報の配信に取り組んできた同社技術やノウハウを多数活用している。

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