FacebookとInstagramユーザーはコンテンツを削除しない決定の見直しを「監督」委員会に要求可能に

Facebook(フェイスブック)の自称「監督委員会」(FOB)が運用の変更を発表した。この自主規制コンテンツ管理決定審査機関の限界に対する批判に答えることが目的と思われる。同委員会は、FacebookとInstagramにコンテンツを残す決定を見直す申し立てをユーザーから受け付けることにした。

この動きはFOBの権限を、コンテンツ削除の見直し(ほとんどが撤回)以上に拡大するものだ。これまで同委員会の判断は、Facebookの経済的誘因に沿ったものであるという批判を受けてきた。同社のビジネスがコンテンツへのユーザーアクセスの増加から利益を受ける(悪意あるコンテンツはクリックを誘発しユーザーを引き止める)からだ。

「これまでユーザーは、FacebookまたはInstagramに『復活』させるべきだと考えるコンテンツを委員会に申し立てることができました。これからは、FacebookまたはInstagramから『削除』されるべきだと考えるコンテンツについても委員会に申し立てることができます」とFOBは言い「何を残し何を取り除くかは独自の判断に基づく」ことを付け加えた。

さらに「我々の決定はFacebookを拘束します」ことも付け加えた。

Facebookにコンテンツの削除撤回を依頼する機能は、全世界に適用されるとFacebookは述べている。しかしテック巨人は、新しい体験の安定性を確認するために段階的に展開するため、全ユーザーが利用できるようになるまでには「数週間」かかるという。

これでFOBは、(コンテンツを削除「しない」という会社の以前の決定を覆す正当な理由があると委員会が信じた場合)FacebookとInstagramから個々のコンテンツを削除できるようになったが、委員会はFacebookに対して同社のコンテンツ管理ポリシー全般に対して関連する提案を受け入れるよう強制することはできない。

それはFacebookが、FOBのポリシー提案に拘束されるとは言っておらず、審査ごとの最終判断にのみ拘束されるからだ。

結果的にテック巨人の言論取締り方法にFOBが影響を与える能力は限定される。実際、すべての行動はFacebookと一体不可分であり、FOBを設立、構成したのは同社である(委員会の設立趣意書と規約を書き、第一次メンバーを自分で選んだ)。つまり同社は今後も、その自主規制の道具と、人のプロファイリングとターゲット広告による裕福な帝国とを繋ぐ切れない糸を操り続けることになる。

FOBがコンテンツの「存続」(と呼ぶことができるなら)を見直す能力を得ることは、管理に関して委員会が何も「言わない」とFacebookが確認していいる山のようなコンテンツのことを考えると、事実上意味はない。資源と人手の限界から、審査の対象となるのは途方もなくわずかな事例だけだからだ。

監視機関がFacebookの権力に対して意味のある制約を加えるためには、今よりもはるかに骨のある(つまり法的な)権力が必要だ。Facebookビジネスのあらゆる面(ユーザー生成コンテンツの審査だけでなく)を自由に探索することが可能で、広告テックの母艦から真に独立した存在であること。そして、執行と制裁の有意な力を持つことだ。

つまり、公的機関として公益のために機能する必要がある。

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しかし、Facebookは社内弁護士を大挙動員して、「真の」民主的な規制監視と規則遵守と戦い、同社の言論趣旨に沿った特注の官僚主義を金に飽かして作ろうとしている。都合のよい外部専門家を雇い、金を払って自作の危機PRドラマでコンテンツ審査に顔見せ出演させる。

そして予想されたとおり、現在のところFOBは概ね言論自由化の方向に舵を切っている。しかし、一方でFacebookの配ったカードの制約に不満も漏らしている

最も注目すべきなのは、委員会がドナルド・トランプ前米国大統領に対するFacebook永久追放を撤回するかどうかの決定を未だに保留していることだ。もし決定を覆せば、Facebookユーザーはトランプ氏のアカウント復活に異議申立てをする道がなくなる。

おそらく唯一の可能性は、ユーザーがトランプ氏の将来のコンテンツに対してFacebookにポリシー違反を訴えることだろう。そしてもしFacebookがそれを却下したら、今度はFOBに審査を要求できる。しかし、ここでも、FOBがそのような審査要求を受け付ける保証はない(実際、もし委員会がトランプ氏の復権を決定を選んだとすれば、トランプ氏のコンテンツの審査要求を受け作る可能性は、少なくとも短期的には難しくなるかもしれない(事件簿の多様性維持のために)。

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削除されていないコンテンツの審査を要求する方法

掲載され続けているコンテンツの審査をFOBに要請するために、FacebookとInstagramのユーザーは、まずFacebookとInstagramにコンテンツを報告する必要がある。

もし会社がそのコンテンツを存続させると決定した場合、報告者は監督委員会参照ID(FBで始まる10文字の文字列)をサポート受信箱で受け取る。報告者はこれを使って会社の「削除せず」決定を監督委員会に申し立てることができる。

異議申し立てにはいくつか超えなければならないハードルがある。ユーザーは画面の指示に従って、監督委員会ウェブサイトへ誘導され、参照IDが発行されたアカウントでログインする。

次にコンテンツを報告した理由に関していくつかの質問に答えるよう求められる(「Facebookが誤った判断をしたとあなたが思う理由を委員会が理解するため」に)。

異議申し立てが送信されると、監督委員会は審査を行うかとをかを判断する。委員会は一定数の「適格な異議申し立て」のみを選んで審査を行う。そしてFacebookは、委員会が審査を行う数と提出数の比率を、事例毎でも全体としても公表していない。つまり、あるコンテンツに関して提出が成功する確率は未知(かつ不可知)数である。

存続しているコンテンツに対して異議申し立てを提出したユーザーは、自分の異議申し立ての状況を監督委員会のウェブサイトで確認できる。ここでもログインと参照IDが必要。

もう1つの制限は時間であり、FacebookはFOBへの異議申し立てには申請期限があると注意している。

「監督委員会に異議を申し立てることができる期間には期限があります。異議を申し立てることができる期間を過ぎると、異議申し立てを送信できなくなります」とヘルプセンターに書かれているが、申立てできる期間が何日あるのかは書かれていない(本誌がFacebookに尋ねたところ15日間であることを確認した。日本語版注:現在、英語版には15日間と明記されている)

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国のプライバシー保護団体が「監視広告」の禁止を米議会に強く要請

米国時間3月25日に、ビッグテックと議会による「映画のような」激しい応酬が行われた。米国議会は、虚偽情報という不快なトピックについて今回もFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)のCEOに聴聞する予定だ。それに先立ち、プライバシー、反トラスト、消費者保護、公民権の各分野の組織で構成される連合体が「監視広告」の禁止を要求し「ビッグテックの有害なビジネスモデルが民主主義を弱体化させている」という論調を強めている。

「不快な広告」の禁止を要求しているのは、40あまりの組織で構成される強力な連合体だ。このような広告には、行動広告のターゲティングを目的としたウェブユーザーの大規模追跡とプロファイリングが利用されている。この連合体には、American Economic Liberties Project(アメリカ経済的自由プロジェクト)、Campaign for a Commercial Free Childhood(広告のない子ども時代を目指すキャンペーン)、Center for Digital Democracy(デジタル民主主義センター)、Center for Humane Technology(人道的技術センター)、Epic.org(電子プライバシー情報センター)、Fair Vote(フェア・ボート)、Media Matters for America(メディア・マターズ・フォー・アメリカ)、Tech Transparency Project(技術透明性プロジェクト)、The Real Facebook Oversight Board(リアルフェイスブック監視委員会)などの組織が参加している。

同連合体は公開書簡の中で「我々はさまざまな問題や業種を代表しており、コミュニティの安全性と民主主義の健全性に対する懸念を共有している。ソーシャルメディア大手は、情報を吸い取る有害なビジネスモデルのサービスにおいて、合意された現実を侵食し、公共の安全を脅かしている。監視広告の禁止に向けた取り組みで我々が協力しているのはそのためだ」と述べている。

この連合体はまた、より安全な非追跡型の代替手段(コンテキスト広告など)が存在することを指摘している。一方で、アドテックのインフラストラクチャのさらなる透明性とそれに対する監督が、関連するさまざまな問題(ジャンクコンテンツ、陰謀論の増加、広告詐欺、デジタルイノベーションの荒廃など)の解決に役立つ可能性があると主張している。

前述の公開書簡の中には「この危機に対処するための特効薬はない。この連合体のメンバーは、包括的なプライバシー関連の立法、反トラスト法の改正、責任基準の変更など、引き続きさまざまな政策的アプローチを追求していく。しかし全員が同意できることが1つある。それは、今こそ監視広告を禁止すべきときだということだ」と書かれている。

さらに、同連合体は「ビッグテックのプラットフォームは、憎悪、不法行為、陰謀論を増幅している。また、ユーザーにますます極端なコンテンツを提供するようになっている。それによってエンゲージメントと利益を最大化できるためだ」と警告する。

「ビッグテック自身のアルゴリズムツールによって、白人至上主義者のグループ、ホロコースト否認主義、新型コロナウイルス感染症関連のデマ、偽造オピオイド、虚偽の癌治療情報など、あらゆる情報の拡散が促進されてきた。エコーチェンバー現象、急進化、嘘の拡散はこのようなプラットフォームの特徴である。これはバグではなく、ビジネスモデルの中心なのだ」。

また、この連合体は監視広告による従来型ニュースビジネスへの影響についても警告している。プロのジャーナリズムにおける収益が減ってきており、それにより民主主義で取り組むべき(真の)情報エコシステムへの危害が大きくなっていると述べている。

これらの批判にもそれなりの根拠はあるのが、従来型ニュースの終焉をテクノロジー大手のせいにするのは単純化しすぎである。巨大テック企業の存在そのもの、つまりインターネットによってもたらされた産業のディスラプション(創造的破壊)を批判しているのと同じだ。とはいえ、一部のプラットフォーム大手による、プログラムを使用したアドテックパイプラインの支配は、明らかによいことではない(オーストラリアの立法はこの問題に対して判決を下したが、つい最近のことであるため、まだその影響を評価することはできない。しかし、ニュースメディアへの対価の支払いを義務付ける法律の恩恵を受けるのは大手メディアビッグテックだけで、声を上げた両業界全体に利益がもたらされることにはならない、というリスクがある)。

同連合体は次のように警告する。「フェイスブックとグーグルの独占的な力と、データを『収穫』する行為は、両社に不公平なほど大きなメリットを与えてきた。それにより両社はデジタル広告市場を支配し、以前は各地域の新聞が得ていた収益を吸い上げるようになった。そのため、ビッグテックのCEOがさらに裕福になる一方で、ジャーナリストは解雇されている。ビッグテックは現在も差別、分断、迷いを煽っている。標的型の暴力を助長し、暴動の土台を用意することになる場合でも、金銭面でのメリットがある限りこれを行う」。

連合体は、具体的な被害をまとめたリストの中で、フェイスブックとグーグルなどのテクノロジー大手による圧倒的に有利なオンラインビジネスモデルが「医療関連のデマ、陰謀論、過激なコンテンツ、外国のプロパガンダを促進する狡猾な虚偽情報のサイト」の資金源になっていると指摘している。

「監視広告を禁止することで、デジタル広告の表示に対する透明性と説明責任を以前のように戻せる可能性がある。また、虚偽情報のパイプラインにおいて重要なインフラストラクチャとして機能しているジャンクサイトの資金を大きく減らせる可能性がある」と同連合体は主張し、さらに「このようなサイトでは、拡散目的で作られた陰謀論がいつまでも続くことになる。この陰謀論は、ソーシャルメディア上の悪意のあるインフルエンサーや、エンゲージメントに飢えたプラットフォームのアルゴリズムによって拡散が促進される。つまり、監視広告が有害なフィードバックループを加速し、資金源にもなっている」と述べている。

同連合体が指摘する被害には他にも、プラットフォームによるジャンクコンテンツや虚偽コンテンツ(新型コロナウイルス感染症に関する陰謀論やワクチンに関する誤った情報など)の拡散による公衆衛生に対するリスク、不公平に選ばれた、またはバイアスがかかった広告ターゲティング(女性や民族的マイノリティなどを違法に排除する求人広告など)を通じた差別のリスク、コンテンツや広告におけるユーザーエンゲージメントを増加させるために過激なコンテンツや悪意のあるコンテンツを増やす、広告プラットフォームによる道義に反する経済的インセンティブ(これは社会の分断を促進する。また、コンテンツが多く拡散されるほどプラットフォームが財務的に利益を得るという事実の副産物として党派性を促進する)、等がある。

同連合体はまた、監視広告システムが「小規模ビジネスに対して不正な試合を持ちかけている」とも主張している。プラットフォームの独占的状態が監視広告システムに組み込まれるためだ。これは「不快な広告は何らかのかたちで中小企業と大規模ブランドの勝負を公平にする」というテクノロジー大手の自衛的主張に対する妥当な反論である。

「フェイスブックとグーグルは自らを小規模ビジネスのライフラインであるかのように装っている。しかし真実は、単に独占企業としてデジタルエコノミーへのアクセスに対して課金しているだけだ」と同連合体は述べており、独占的状態にある両社による「広告市場に対する監視に基づく拘束により、小規模企業はレバレッジや選択肢を利用できない」と主張している。これはビッグテックによる搾取の余地を生む。

そのため、同連合体は、フェイスブックとグーグルが米国の広告市場の60%近くをコントロールしている現在の市場構造ではイノベーションと競争が抑制される、と断言している。

「監視広告はオンラインパブリッシャーに恩恵をもたらすのではなく、ビッグテックのプラットフォームに対して偏ったメリットをもたらす」と同連合体は述べ、フェイスブックは2020年に842億ドル(約9兆3214億円)の広告収入を、グーグルは1348億ドル(約14兆9231億円)の広告収入を得て「一方で監視広告の業界では詐欺の申し立てが多数あった」と指摘する。

行動ターゲティング広告の禁止を要求するキャンペーンは、今回が初めてではない。しかし、支持している署名者の数を考えると、これは、今の時代を形作り数社のスタートアップが社会と民主主義を弱体化させる巨人に姿を変えたデータ収穫型ビジネスモデルに反対する勢いの大きさを示している。

米国議会がビッグテックの影響に細かい注意を払うようになってきたため、この点は重要だと思われる。また、複数のビッグテックに対する反トラスト法関連の訴訟が進行中である。とはいえ、マイクロターゲティングの悪用の影響と民主的社会へのリスクについて早い段階で警鐘を鳴らしたのは、欧州のプライバシー規制当局だ。

話は2018年にさかのぼる。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が関与していたフェイスブックデータの不正使用と投票者をターゲットにしたスキャンダルが発生すると、英国のICOは、倫理的な理由から政治キャンペーン目的でのオンライン広告ツールの使用停止を要求した。また「Democracy Disrupted? Personal information and political influence(民主主義は崩壊したのか?個人情報と政治的影響)」というタイトルの報告書を作成した。

その同じ規制当局が、行動ターゲティング広告が制御不能になっているという警告を2019年に受けていながら、アドテック業界によるユーザーデータの違法使用に対してこれまでアクションを起こしてこなかったことは、ちょっとした皮肉では済まされない事態だ。

ICOが行動を起こさないのを見た英国政府は、ビッグテックを監督する専門の部門が必要だと判断した。

英国政府は近年、オンライン広告の分野を独占禁止法関連の懸念事項として挙げており、2019年に競争・市場庁が実施したデジタル広告セクターの市場調査に従い、競争重視の規制機関を作ってビッグテックの支配に対応していくと述べている。この調査では、アドテックによる独占的状況に対する大きな懸念が報告された

一方で、欧州連合のデータ保護監督機関のトップは先月、インターネットユーザーのデジタルアクティビティに基づくターゲティング広告を、停止ではなく禁止することを主張し、各加盟国の議員に対して、デジタルサービスルールの大規模な改正にそのための手段を組み入れるよう求めた。このルールは、運用者の説明責任などの目標達成を促進することを目的としたものである。

欧州委員会の提案がここまで踏み込んだのは今回が初めてだ。しかし、デジタルサービス法とデジタル市場法に関する交渉は現在も継続中である。

2020年、欧州議会でも、不快な広告に対してより厳しい姿勢で臨むことが支持された。ただし、ここでもオンラインの政治広告対応に取り組む委員会のフレームワークでは、あまり過激な内容は提案されていない。そのため、EUの議員はさらなる透明性を求めている。

米国議会が今回のキャンペーンにどう反応するかはまだわからないが、米国では市民社会組織は協力してターゲティング広告に反対するメッセージを広めようとしており、有害なアドテックを一掃すべきだ、という圧力が米国内でも高まっている。

同連合体のウェブサイトに記載されているコメントの中で、フォーダム大学ロースクールの法律学准教授であるZephyr Teachout(ゼファー・ティーチアウト)氏は「フェイスブックとグーグルは、権威主義国家における監視体制とタバコのような依存症ビジネスモデルを組み合わせた、巨大で独占的な力を持っている。議会には両社のビジネスモデルを規制する広範な権威があり、監視広告への取り組みを禁止するためにそれを使用するべきである」と述べている。

Ruby on Rails(ルビー・オン・レイルズ)のクリエイターであるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏は、今回の活動を支持する別の声明の中で次のように述べている。「監視広告は、新聞、雑誌、独立したライターから、生活およびコモディティ化された仕事を奪ってきた。代わりに我々が得たものは、数社の腐敗した独占的企業だった。これは社会にとってよい取引ではない。このやり方を禁止することで、我々は文章、音声、動画の独自の価値を、それを集める者ではなく、それを作る者の手に取り戻すことができる」。

興味深いことに、米国の政策立案者がアドテックにさらに細かく注意を払うようになっている状況を受けて、グーグルは個人レベルの追跡サポートを「プライバシー保護」型の代替策として認知されている方法(FLoC)で置き換える努力を加速させている。

それでも、Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)でグーグルが提案したテクノロジーでは、ウェブユーザーのグループ(コホート)が引き続き広告主のターゲットになる。ここには引き続き、差別が発生するリスクや、社会的弱者のグループが何らかの標的にされ、社会的規模で操作が行われるリスクが存在する。そのため、議員はグーグルのブランディングではなく「プライバシーサンドボックス」の詳細に注意を払う必要がある。

「要するに、これはプライバシー保護の点では有害なことだ」とEFF(電子フロンティア財団)は2019年の提案について触れながら警告した。「集団の名称は基本的には行動の信用スコアだ。デジタル版の額にタトゥーが刻まれているようなもので、あなたが誰か、何が好きか、どこに行くのか、何を買うのか、誰と関係があるのか、といった情報を提供している」と述べている。

EFFはまた「FLoCはプライバシー保護テクノロジーとは逆のものだ」と付け加え「今日も追跡者はウェブ上であなたを追いかけている。あなたがどのような人間かを推測するためにデジタル環境でコソコソ動いている。グーグルによってもたらされる未来では、追跡者は椅子に座って何もせず、自分の代わりにあなたのブラウザに働かせるだろう」と述べている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが偽レビューを売買する1万6000のグループを削除、英当局の調査を受けて

英国の競争・市場庁(CMA)の新たな介入を受けて、Facebook(フェイスブック)は同社のプラットフォームで偽のレビューを売買していた1万6000のグループを削除した、とCMAが現地時間4月9日明らかにした。

CMAは2018年にこの問題の調査を開始して以来、偽レビューを売るマーケットプレイスを拡大する場所として同プラットフォームが使われるのを防ぐようFacebookに求めてきた。2019年には偽レビューのセラーに対して行動を取るようeBayとFacebookに圧力をかけている

Facebookが所有するInstagramもまた偽レビュー売買のハブとなっていたことが判明し、当局からさらに圧力をかけられた両社は2020年、狡猾な取引に一層取り組むことを約束した。

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CMAによる直近の介入は2020年のものよりもかなりのものだったようだ。Facebookは前回、188のグループを削除し、ユーザー24人のアカウントを使えないようにした。ただし、Facebookが桁違いの数のグループを削除した今回、いくつのアカウントを禁止そして(あるいは)一時停止としたのかは明らかではない(TechCrunchは問い合わせている)。

【更新】規制当局はミスリードするレビュー、あるいは偽のレビューを取引する個人よりグループの除外に注力しているとTechCrunchは理解している。禁止あるいは一時停止となったユーザーは新しいプロフィールを作成できるが、偽レビューを扱うグループの排除はそうした活動の抑制により効果的な方法だとみられているためだ。

FacebookにはTechCrunchから質問を送ったが、同社は質問にまともに答えず、以下のような声明を送ってきた。

当社はこの問題を解決するために広範囲にわたってCMAと取り組んできました。偽レビューの提供や取引を含め、詐欺や不正行為は当社のプラットフォームでは許されません。当社の安全・セキュリティのチームはこうした行為の防止に引き続き取り組んでいます。

CMAが偽レビュー取引の問題を提起して以来、Facebookはプラットフォーム上で展開されているそうした行為の一掃に十分に取り組んでいないと繰り返し批判されてきた

規制当局は本日、Facebookが「以前の約束を果たすためにプラットフォーム上の偽レビューあるいはミスリードレビューの取引を特定、排除、そして予防する」のに使っているシステムにさらに変更を加えたと述べた。

Facebookが偽レビューの取引に対する取り組みを強化するのになぜ1年以上も、そして注目を浴びる介入を何回も要したのかは不明だ。しかし同社は、新型コロナウイルスパンデミックとそれによる影響(在宅勤務など)でこの問題に取り組むのに利用できるリソースに負荷がかかっていていた、と示唆した(Facebookの年間売上高は2020年に増加したが、経費も同様だった)。

CMAによると、Facebookが偽レビュー対策でシステムに加えた変更には以下のものが含まれる。

  • 偽レビューあるいはミスリードレビューを宣伝、促進、保持するFacebookグループやInstagramプロフィールを繰り返し作るユーザーの使用を一時停止あるいは禁止する
  • 偽レビューのコンテンツの検知・削除を向上させる新たな自動プロセスを導入する
  • FacebookとInstagram上の偽レビューやミスリードレビューのグループやプロフィールを探すための検索ツールを使用しづらくする
  • こうした変更が継続して効果を上げ、再発を防いでいることを確認する専用のプロセスを設ける

そしてまたもや、Facebookがなぜ繰り返し不正行為を行っているユーザーを一時停止にしたり禁止したりしてこなかったのかは不明だ。少なくとも、最低限のことで逃げ切るということでなければ、本当に問題を解決するために実際に誠実な行動を取っていなかったかのようだ。

声明文でのコメントで、CMAのCEOであるAndrea Coscelli(アンドリア・コシェリ)氏は次のように述べて本質的な問題を指摘した。「Facebookはプラットフォーム上のそうしたコンテンツの取引を停止するためにできるあらゆることを行う義務があります、我々が再度調査した後、同社は大きな変更を加えました。しかしこうした問題を解決するために1年以上も要したのは残念です」。

「我々は今後もInstagramも含め、Facebookを注視し続けます。同社が約束を果たしていないことが認められた場合、躊躇せずさらなる行動を取ります」とコシェリ氏は付け加えた。

偽レビューを取引している英国のグループをFacebookのプラットフォームで検索すると、2019年2020年にTechCrunchが同様にチェックしたときよりも明らかに疑わしい検索結果は減っているようだ。ただし検索結果には数多くのプライベートグループが含まれていて、どのコンテンツがメンバーからの勧誘なのか、すぐには確かめられなかった。

TechCrunchはまた、フランスやスペインのような他の欧州マーケット向けのAmazonレビューを提供している数多くのFacebookグループも発見した(とあるグループはAmazon Spainをターゲットとし、レビューに対しPayPalで「料金」を提供する人物をTechCrunchは発見した)。こうしたことからするに、Facebookは英国よりも当局からの介入が少ないマーケットのユーザーによって取引されている偽レビューの対策には英国と同じレベルの注意を払っていないようだ。

スクリーンショット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】頻繁に耳にする「巨大テック解体論」はまちがっている

本稿の著者T. Alexander Puutio(T・アレクサンダー・プーティオ)氏はレナード・N・スターン・スクールの非常勤教授であり、トゥルク大学での研究をAI、技術、国際貿易、開発の相互作用に捧げている。本稿で表現された意見はすべて彼のものだ。

ーーー

Big Tech(ビッグテック、巨大テック企業)との蜜月時代は、表向きは終わったと言ってもよさそうだ。

疑わしいデータ処理手続き、恣意的なコンテンツ管理ポリシー、明白な反競争的慣行が長年にわたり続いてきたのだ。ここで少し立ち止まってビッグテック業界との関係を考え直すのは当然のことだろう。

残念なことに、ビッグテックの解体を求める声をはじめとする、大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

我々は、扇動的で成功の見込みが限りなく低い計画やゼロサム的解決策を追いかけるのではなく、スタートアップや競合他社独自のデジタル市場にとって公平な競争の機会を設け、ビッグテックが規模の拡大と同時により優れた企業に成長していくよう取り組むべきだ。

関連記事:EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

20世紀の議員たちが、産業の寵児から停滞をまねく破壊的勢力へと変貌した鉄道独占企業をどのように抑制したかを見れば、その取り組みのヒントが得られるだろう。

問題は変わらない

100年以上前、急速に工業化が進む米国は、テクノロジーディスラプション(創造的破壊)がもたらした想定外の事態に直面していた。どこかで聞いたことがあるような話だ。

本格的な蒸気機関車が初めて登場したのは1804年だが、より強力で貨物に適した米国式の蒸気機関車が導入されたのは1868年になってからだ。

効率性が高く貨物に適した機関車は、野火のように急速に広がり、やがて鋼と鉄が山を貫き、ほとばしる川を飛び越えて、全米各地を結び付けた。

すぐに鉄道の走行距離は3倍になり、全都市間交通の実に77%、旅客事業の98%で鉄道が利用されるようになった。これにより、コスト効率のよい大陸横断旅行の時代が到来し、国全体の景気に大きな変化が訪れた。

画期的な技術の黎明期にはよく見られることだが、成功の初期段階には大きな人的損失がともなうものだ。

鉄道業界では当初から虐待や搾取が横行し、例年、労働者の3%近くが負傷したり死亡したりしていた。

やがて鉄道信託の所有者は、世間から広く非難を浴びる実業家グループの大部分を占めるようになり、いわゆる「悪徳資本家」と呼ばれるようになった。そして、そのような企業は行く手にあるものすべてを搾取し、競合他社、特に新規参入者を困窮させた。

鉄道会社の経営者たちは、慎重に構築されたウォールドガーデン(顧客の大規模な囲い込み)を維持することで自らの利益を確保し、強要や排除といったあらゆる手段を使って競合他社を破産に追い込んでいった。

鉄道の所有者から見れば、こうした方法は大成功を収めたが、競争が阻害され、消費者重視の視点が完全に欠落した世間には停滞ムードがただよった。

歴史は繰り返す

人間は過去の経験から学ぶことが苦手なようだ。

実際、ハイテク産業に対して我々が抱く懸念のほとんどは、20世紀の米国人が鉄道信託に対して抱いていた反対感情と同じである。

当時の悪徳資本家と同じように、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などは、競合他社やスタートアップが入る余地をほとんど残さず、取引の大動脈を支配するようになった。

ビッグテックは2桁のプラットフォーム料金を導入し、決済プロトコルに厳しい制限を設け、独自のデータやAPIを専有することで、人工的な参入障壁を築き、競合他社がビッグテックの成功を事実上まねできないようにした。

ここ数年、大手テクノロジー企業はAmazonBasics(Aamzonベーシック)のようなプライベートブランドを提供することで、サードパーティーソリューションのカニバリゼーション(共食い)に取り組んできた。その結果、ビッグテックの顧客は、プラットフォーム所有者に競争力を弱められ、完全に先手を打たれていることに気づくことになった。

以上を踏まえると、米国におけるテック系スタートアップの創業ペースが何年も前から低下しているのは当然の流れだ。

実際、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏のようなVC界のベテランたちは、ビッグテック周辺にある「キルゾーン」に注意するよう呼びかけており、もし我々が大規模なハイテク複合企業の競争的周辺部を再活性化する方向に向かっているなら、早急に何らかの手を打つが必要がある、と警告している。

ビッグテック解体論を止めるべき理由

20世紀に独占的な鉄道信託を管理するために策定された戦略から、ビッグテックに対処する上で役立つ教訓を読み取ることができる。

戦略の第1段階として、議会は1887年に州際通商委員会(ICC)を設立し、合理的かつ公正な価格で専用鉄道網を利用できるように管理する任務をICCに与えた。

しかし、ICCの活動は政党主導であったため、ICCにはほとんど権限が与えられなかった。1906年に輸送機能と貨物の所有権を分離するヘボン法が議会で可決され、本当の意味での進展がようやく見られるようになった。

議会は、独自のプラットフォームで私的金融取引や二重取りを行うことを禁止し、既存の競合他社と新規参入企業の両方が同じ条件でプラットフォームを利用できるようにした。つまり、複雑に絡み合って抜け出せなかった搾取的な慣行が排除され、現在の米国の繁栄を支える根幹が形成されたのだ。

これは、鉄道信託を細かく解体するだけでは決して実現できなかったことだ。

実際のところ、プラットフォームやネットワークは大きい方が関係者全員にとって有利だ。大きい方がより高いネットワーク効果を得られるし、小規模なプラットフォームを凌駕するその他の要因もいくつかある。

最も重要なことは、アクセスと相互運用性のルールを適切に設定すれば、より大規模なプラットフォームでより幅広いスタートアップやサードパーティを支えられるようになるため、経済のパイの縮小ではなく拡大が可能になるということだ。

デジタル市場をスタートアップの味方につける

パンデミック後の経済活動では、テックプラットフォームを縮小するのではなく、規模の拡大に合わせて優れたプラットフォームに成長させることに注目すべきだ。

第1段階で必要なことは、スタートアップと競合他社が公正な条件と適正価格でこれらのプラットフォームにアクセスできるようにすることだ。

現在、政策立案者が実施できる具体的な措置は他にも多数ある。例えば、データ可搬性に関するルールの書き換え、プラットフォーム間のより広範な標準化と相互運用性の推進、ネットの中立性の再導入は、今日の業界の問題に対処するのに大いに役立つだろう。

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が最近、連邦取引委員会(FTC)の次期委員として、「アマゾンを反トラストだと主張する急先鋒」 Lina Khan(リナ・カーン)氏を指名したことで、こうした変化が実現する可能性は突如として高まった。

最終的には我々全員が、巨人の肩の上に立ち(先人たちの知恵を借りながら)、巨人が作ったプラットフォームの上で力強く成長するさまざまなスタートアップや競合他社から恩恵を享受できるようになるだろう。

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画像クレジット:Martin Poole / Getty Images

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(文:T. Alexander Puutio、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックがマルウェアが仕込まれた偽「PC版Clubhouse」アプリの広告を掲載

TechCrunchが入手した情報によると、サイバー犯罪者らは、PCユーザー向けのClubhouseアプリを装ったFacebookの広告多数掲載し、無防備な被害者を狙ってマルウェアを仕込んでいるという。

TechCrunchが米国時間4月7日に得た警告によると、いくつかのFacebookページに結びついている複数の広告がClubhouseになりすましているという。ClubhouseはiPhoneでしか利用できないオーディオチャットアプリだ。広告をクリックすると偽Clubhouseのウェブサイトが開き、そこには存在しないPCアプリがどのように表示されるかという偽のスクリーンショットと、悪意あるアプリのダウンロードリンクが表示される。

悪意のあるアプリを開くと、コマンド&コントロールサーバーと通信して、次に何をすべきかの指示を得ようとする。このマルウェアをサンドボックス解析したところ、隔離されたマシンにランサムウェアに感染させようとしていたことがわかった。

しかしひと晩経つと、ロシアでホストされていたClubhouseの偽サイトはオフラインになっており、それにともないマルウェアも動作を停止していた。4月8日にサンドボックスでこのマルウェアをテストしたGuardicoreのAmit Serper(アミット・サーパー)氏によると、このマルウェアはサーバーからエラーを受け取り、それ以上は何もしなかったという。

偽ウェブサイトはClubhouseの本物のウェブサイトのように見せるよう設定されていたが、悪意あるPCアプリを搭載していた(画像クレジット:TechCrunch)

サイバー犯罪者たちが人気の高いアプリの成功に便乗して、自分たちのマルウェアで犯行を行うことは珍しくない。Clubhouseは招待制であるも関わらず、世界で800万回以上ダウンロードされたと報じられている。その需要の高まりを受けて、アプリをリバースエンジニアリングして海賊版を開発し、Clubhouseのゲートウォールだけでなく、アプリがブロックされている政府の検閲も逃れようとする動きが活発になっている。

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Clubhouseを装ったFacebookの各ページは、わずかに「いいね!」されているだけだが、本稿執筆時にはまだアクティブだった。Facebookは、Clubhouseの偽ウェブサイトを示す広告をクリックしたアカウント数は発表していない。

米国時間4月6日から6日にかけて、少なくも9つの広告が設置された。一部の広告は「これからはClubhouseをPCで使えます」と述べている。また、共同創業者のPaul Davidson(ポール・デヴィッドソン)氏とRohan Seth(ローハン・セス)氏の写真を載せているページもある。Clubhouseは、コメントの求めに応じなかった。

広告はFacebook’s Ad Libraryから削除されたが、コピーがこれだ。そもそも広告がFacebookのプロセスをどのように通過したのかも不明だ。

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画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックがClubhouseとInstagram Liveを合わせたようなQ&A製品Hotlineのテストを開始

Facebookの国際的研究開発グループであるNPEチームは、米国時間4月7日、Hotline(ホットライン)の最新テスト版をローンチし、公開ベータテストを開始した。これは、Instagram Live(インスタグラム・ライブ)とClubhouse(クラブハウス)を足して二で割ったようなウェブアプリだ。クリエイターがオーディエンスに話しかけることができ、オーディエンスはテキストか音声でクリエイターに質問できる。しかし、Clubhouseと違い音声のみに限定されることはなく、クリエイターが望めばカメラをオンにできる。

不動産投資家Nick Huber(ニック・フューバー)氏が、4月7日、米国東部標準時間午前10時から初めて公にこれを使ったライブ配信を行った。Facebookは、プロのスキルを広めたいクリエイターを後押してくれる人をHotlineの協力者として求めており、ヒューバー氏はその代表だ。同氏は、そのプロのスキル、副収入源としての工業不動産投資の話をした。

Facebookでは、HotlineはEric Hazzard(エリック・ハザード)氏が率いている。ハザード氏は、自ら開発したアプリtbhがFacebookに買収されると同時に同社に加わった。tbhは、わかりやすさを重視したQ&Aアプリで、エグジット前の9週間でアクティブユーザー数を250万人に伸ばし、質問への回答の投稿は10億件を上回った。Hotlineで、ハザード氏は再びQ&Aスペースで製品開発を行うこととなった。

だが今回の新開発アプリは、新進気鋭のソーシャルネットワークClubhouseの影響を受ている。実際、Hotlineのユーザーインターフェイスは、ClubhouseやTwitterのSpaces(スペース)といった音声のみのソーシャルネットワークを使ったことのある人なら、モバイル機器で開いたときに、どこかで見た感じがするはずだ。モバイルの画面のトップ(デスクトップ版は左側)には、イベントのホストが丸いプロフィールのアイコンやライブ配信映像が表示されるスピーカーセクションがある。画面下部(デスクトップ版は脇)には、イベントのリスナーが現れる。

しかしHotlineには、Clubhouseなどの既存アプリとの相違点がいくつもある。

画像クレジット:Facebook

たとえばリスナーのセクションでは、見ているだけの人(プロフィールアイコンで表示される)と、質問をする人とが分けられている。このセクションの上部には、ユーザーからの質問の一覧が示され、見ている人はそれぞれに支持票、不支持票を投じることができる。クリエイターはそれを見て、次に対応すべき質問を選べる。また、質問者をステージに引っ張り上げて会話することもできる。

現段階では、ユーザーは質問を打ち込んで、自分の番になったら「ステージ」でホストと合流できるようになっている。今のところ、ゲストはプロフィールアイコンで表示され、ステージでは音声のみ。設定にはリスナーが映像を有効にできるオプションがあるが、今回のテストでは機能していない。

質問が入ると、ユーザーは拍手、炎、ハート、笑い、驚き、親指サインの絵文字でリアクションできる。

画像クレジット:Hotline

ホストは、イベントの全管理権を握る。質問の順番待ちリストから不適切なものを削除したり、イベントから人を追放したりが許される。初回のテストにあたっては、Facebookの従業員がモデレーターを務め、Facebookのコミュニティ規定利用規約データに関するポリシーNPEチームの補足条項に違反する人間を排除することになっている。

もう1つ、HotlineとClubhouseの注目すべき違いに、Hotlineではイベントが記録されるという点がある。

現在、Clubhouseでは、ユーザーは会話の記録や録音はされないとた知っているため、気楽なおしゃべりが楽しめている(ホストがルームのタイトルに記録の旨を示していない場合に限る)。こうすることで、参加者は安心して自由な会話ができるというのが、Clubhouseの方針だ。しかしHotlineでは、自動的に録音録画が行われる。イベント修了時、ホストにはMP3とMP4の2つの形式で記録ファイルが送られる。クリエイターは、これをYouTubeやFacebookなど他のネットワークで公開したり、編集で短く詰めてTikTokなどのアプリに使ったりできる。音声はポッドキャストなどに利用することも可能だ。

ローンチ時点では、Hotlineには誰でも無料で参加できる。オーディエンスの人数に制限はないが、実験が進むにつれて変更される可能性もある。

Clubhouseとの類似性はあるものの、Hotlineには、映像、テキストベースの質問、投票方式を導入したことで、また記録がされることで、雰囲気は異なる。気楽な溜まり場というよりは、専門家が進行し、オーディエンスの質問を受けるというプロフェッショナルなイベントの雰囲気だ。

Hotlineは、NPEチームがクリエイターの世界に向けて、音声と映像を使ったさまざまなアイデアの実験としてローンチしたアプリの1つに過ぎない。同チームでは、Cameo(カメオ)に似たSuper(スーパー)のテストを続行する。これはクリエイター向けの完全な映像ウェブアプリだ。音声のみのアプリCatchUp(キャッチアップ)のテストも以前に行っていたが、2020年中止した。Venue(ベニュー)とい名で知られていた別のQ&A製品もあった。これは、ライブイベント用のTwitterによく似たコンパニオンアプリだ。最近では、TikTok風の動画アプリCollab(コラブ)とBARS(バーズ)もローンチしている。前者は音楽、後者はラップのコラボを行うものだ。

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NPEチームのプロジェクトは、時間とともに、必ずしも独自の独立したアプリを作り出すことではなくなってきたが、十分な人気を獲得できたなら、その可能性は残る。だが、これらのテストと実験から学んだことには、Facebookの今後の製品開発に活かされ、Messenger RoomsやFacebook Liveといった既存の製品の新機能の構築に役立てられるという、もっと大きな意味がある。

Facebookは、Hotlineのローンチに関して公式な発表は行っていないが、今回のテストに関する声明を出している。

「Hotlineでは、専門家が自分で事業を構築してきたときと同様に、人々が専門家からプロのスキルなどの知識を学べるよう、インタラクティブなライブのマルチメディアQ&Aをどう役立てたらよいかを見極めたいと思っています」と広報担当者はいう。「New Product Experimentation(NPE、新製品実験)では、CatchUp、Venue、Collab、BARSといったマルチメディア製品をテストしてきましたが、これらのフォーマットが今後も人と人をつなぎ、コミュニティを構築する一助になれることを知り、勇気づけられました」。

Hotlineは、Clubhouseに対抗するFacebookの唯一の策ではない。Messenger Room内で使えるClubhouseのライバルも開発中だと、Facebookは認めている。

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タグ:FacebookClubhouse音声ソーシャルネットワークNPE

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)

米議員がInstagramの子ども向けサービスの詳細についてザッカーバーグ氏に質問状

米民主党の議員たちが今週、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に書簡を送り、子供向けバージョンのInstagramを管理する計画について同CEOに圧力をかけた。2021年3月の議会による聴聞でザッカーバーグ氏は、BuzzFeedの記事を確認して、同社が低年齢ユーザー向けにデザインされた年齢制限バージョンを検討していることを認めている。

書簡に署名している民主党の上院議員Ed Markey(エド・マーキィー)氏(マサチューセッツ州)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏(コネチカット州)、下院議員のLori Trahan(ロリー・トレーハン)氏(マサチューセッツ州)とKathy Castor(キャシー・カスター)氏(フロリダ州)は、幼いユーザーたちのプライバシーとウェルビーイングを保護する同社の能力について「深刻な懸念」を表明している。

「子どもを対象とする新しいプラットフォームやプロジェクトが、それらのユーザーの福利を最優先していることを確証する義務がFacebookにはある。そして私たちは、Facebookにこの義務を満たす用意があることを疑っている」と議員たちは述べている。

彼らは、子どもたちが自らのプライバシー制限を越えてチャットできる欠陥があったMessenger Kidsといったこれまでの失敗を挙げている。

議員たちはその書簡「ソフトウェアにはバグがつきものだが、この話はオンラインの子どもたちへのプライバシーの脅威が存在することを証明し、同社のプラットフォームへ熱心に招いている子どもたちを保護する能力がFacebookにはないことを実証している」と記している。

「Facebookのプラットフォームにおけるこれらおよびその他のプライバシーとセキュリティに関する問題に鑑み、Instagramの低年齢ユーザー向けバージョンでFacebookが子どもたちのプライバシーを適切に保護できるという確信が、私たちにはない」。

この書簡は、同社が将来の子供向け製品に関する包括的で具体的な質問に解答する期限を4月26日と定めている。

書簡で議員たちは、Facebookの低年齢ユーザーのプライベートデータの扱い方について多くの質問を投げかけ、さらにアカウントが終了したときそのデータは削除されるのか、とも尋ねている。また同社は、子どもたちに広告のターゲティングをしないことと、アプリをより中毒的にするプッシュ通知や特定の行為誘導機能を採用しないことを厳守しているか、とも尋ねている。

2021年3月の下院における大手テクノロジー企業の聴聞会では、両党の議員からなる委員会のメンバーがザッカーバーグ氏を質問攻めにした。下院議員のカスター氏は、現在のInstagramにある年齢ガイドラインをうまくごまかして、大量のアダルト向けポストやビデオ、広告などでいっぱいのプラットフォームを使っている低年齢ユーザーについても、彼に質問をした。

「もちろん、13歳未満の子どもがInstagramにいることを、どの親も知っています。問題は、あなたがそれを知っていることです」とザッカーバーグと述べた。

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タグ:FacebookInstagram子どもマーク・ザッカーバーグ米民主党

画像クレジット:Alexander Koerner/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックによる顧客サービスプラットフォーム「Kustomer」買収にEU介入の可能性

欧州連合(EU)は、Facebook(フェイスブック)による顧客サービスプラットフォームKustomer(カスタマー)の10億ドル(約1100億円)の買収に関して、EUの合併規則による付託を受けて捜査に入る可能性がある。

欧州委員会の広報担当者は、EU会社合併規則第22項に基づき、オーストリアから本買収提案の付託申請を受けたことを確認した。これはEU加盟国が国の届出義務条件に満たない取引(正式な届出義務を課すためには当該企業の売上が低すぎる場合)に対して警告を与えることのできる仕組みだ。

関連記事:Facebookが過去最大1000億円でスタートアップのKustomerを買収、カスタマーサービス事業の強化を目指す

委員会広報担当者は、本案件がオーストリアで現地時間3月31日に提出されたと語った。

「第22項の付託請求を受理した後、委員会はその付託請求をただちに他の加盟国に通知しなくてはなりません。加盟国は委員会から最初の通知を受けてから15就業日以内に元の付託請求に加わることができます」と広報担当者は本誌に伝え、次のように付け加えた「他の加盟国の付託請求参加期限が満了した後、委員会は請求を受け入れるか却下するかを10就業日以内に決定します」。

欧州委員会がこの買収案件を捜査するかどうかは数週間のうちにわかる。捜査は数カ月にわたる可能性があり、そうなればFacebookが自らの帝国にKustomerのプラットフォームを引き入れる計画は遅れることになる。

FacebookとKustomerには、進展状況についてのコメントを求めている。

ソーシャルネットワークの巨人による顧客関係管理プラットフォーム買収計画が2020年11月に発表されるやいなや、FacebookがKustomerの所有する個人データで何をするのかという懸念が直ちに浮上した。Kustomerのサービス分野が、健康医療、政府、金融サービスなどに及ぶことから、データにはセンシティブな情報が含まれている可能性がある。

2021年2月、アイルランド人権委員会(ICCL)は欧州委員会および国とEUのデータ保護機関に、提案された買収に関する懸念を提起し「データ処理に起因する結果」の監視を要請するとともに、Kustomerの利用規約がユーザーデータを広い範囲の目的に利用を許していることを強調した。

「Facebookはこの会社を買収しようとしている。『当社のサービスの改善』(Kustomerの規約にそう書かれている)の範囲がそもそも曖昧だが、Kustomerが買収されればさらに広がる可能性が高い」とICCLは警告する。『当社のサービス』は、例えばFacebookのあらゆるサービスやシステムやプロジェクトを意味すると取られかねない」。

「欧州司法裁判所の判例法および欧州データ保護委員会は、『当社のサービスの改善』および同様に曖昧な記述を『処理目的』として認めていない」と付け加えた。

またICCLは、買収後使用されるユーザーデータの処理目的を確認する質問をFacebookに送ったと語った。

ICCLのJohnny Ryan(ジョニー・ライアン)上級フェローは、一連の質問に対してFacebookから何ら回答を受け取っていないとTechCrunchに伝えた。

本誌もFacebookに対し、Kustomerを買収した後同社の所有する個人データをどう扱うかについて質問している。

ちなみに、最近のGoogle(グーグル)によるウェアブルメーカーのFitbit(フィットビット)の買収は、EUの数カ月にわたる競争に関する監視を受け、テック巨人がさまざまな譲歩、たとえばFitbitのデータを10年間広告に使用しないことなどに同意することで、ようや当局に承認された

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これまでFacebookによる買収は、概して規制当局のレーダーにかかることなく進められてきた。約10年前、同社はライバルのInstagramとWhatsAppを買収してソーシャル世界を支配した。

しかしその数年後、同社は「誤解を招く」書類提出について、EUに罰金を払うはめになった。Facebookは、WhatsAppとFacebookのデータを結合させたが、当局にはそれは不可能だと伝えていた。

あまりにも多くのデータスキャンダルがFacebookと密接に繋がっている中で、巨人は顧客の不信を背負い、運営に対するはるかに厳しい監視を受けている。そして今度はCRM会社を買収してB2Bサービスを拡大する計画にも横槍を入れると脅されている。こうしてFacebookは「move fast and break things(すばやく動いて破壊)」した結果、モノを破壊するという評判のためにゆっくり動かなくてはならなくなった。

【更新】Facebookはその後広報担当者の名前で以下の声明を送ってきた。

「この契約はダイナミックで競争の激しい分野において、ビジネスと消費者にさらなるイノベーションをもたらします。より早く、質の高い顧客サービスをいつでも必要な時に提供することで、多くの人々が利益を受けます。FacebookとKustomerがこの競争促進的契約を通じて、より多くの選択肢とよりよいサービスを提供することを規制当局に明示できると期待しています」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookKustomer買収欧州連合

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックが米国でQRコードによる個人間送金を「テスト」中と認める

Facebook(フェイスブック)は、米国のユーザーが互いに送金したり支払いをリクエストしやすくするために、Facebook Payで使用できる新しいQRコード機能と支払いリンクをテストしていることを認めた。Venmo(ベンモ)のQRコードなどと同様のQRコード機能は、ユーザーがスマートフォンのカメラで友人のコードをスキャンすることで送金や支払いリクエストができるようになり、共有可能な支払いリンクは、Facebookの外で支払いアドレスを公開することを可能にする。

最初に報じた米メディアMacRumors(マックルーマーズ)によると、ユーザーによってはFacebook Pay画面上部のカルーセルに新しい「スキャン(Scan)」ボタンが表示されているとのこと。このボタンをタップすると、相手のQRコードを読み取り送金することができるツールが立ち上がる。また、QRコードを表示する画面では「https://m.me/pay/UserName」という形式でパーソナライズされた支払いURLが新しく出ており、支払いやリクエストを送信する際にリンクを相手に送ることも可能だ。

FB Pay QRコードのスクリーンショット(プライバシーのためぼかしあり)

Facebookの広報担当者はこの機能の開始を認めたが、これは現在米国で行われている「テスト」であると説明している。

「Messenger(メッセンジャー)での支払いをより簡単にするために、人々がお金を送ったりリクエストしたりする際に使えるQRコードや支払いリンク機能のテストを開始しました」と広報担当者は述べている。

現在、Messengerを通じて支払いを行えるのは米国のユーザーのみであるとも同社は付け加えた。

Messengerでの送金・受け取りを希望するユーザーは、18歳以上で、決済機能を利用するためには、VisaまたはMastercardのデビットカードPayPalアカウント、またはサポートされているプリペイドカードや政府発行のカードのいずれかを持っていなければならない。また、アプリ内で希望通貨を米ドルに設定する必要がある。

Facebookは2019年11月に、同社のアプリにまたがって拡張できる単一の決済システムを確立する方法として、Facebook Payサービスを初めて開始した。しかしFacebookは現在、対応する決済手段の1つとしてPayPalと提携しているため、現状の同サービスは必ずしもPayPalなどの他のアプリのライバルにはなっていない。

現在、Facebook PayはFacebookマーケットプレイス、Facebookショップ、Buy on Instagramなど、コマース、寄付、そしてチップに重点を置いたFacebookの数多くのエリアでの決済に加え、ゲームクリエイターを支援するためのスターの購入、ライブイベントのチケット購入、慈善団体への寄付など、さまざまな活動に利用されている。また、ユーザーは組み込まれたボタンを使ってMessenger上の友人にお金を送ることもできる。

現時点ではこの決済機能は、Facebookの暗号資産ウォレットである「Novi」とは別個のものだが、いずれはこの2つがより統合されていくことが想像される。

Facebookは、新しいQRコードやリンクが表示されるユーザーの数や割合、テストの開始時期や終了時期など、テストの詳細に関してはコメントを差し控えた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookモバイル決済QRコード決済Facebook PayVenmoアメリカ

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

英国の独禁監視当局がフェイスブックのGIPHY買収を調査中

GIFの流動性に対する潜在的な脅威が英国の競争監視当局を悩ませ続けている。

2020年発表された、Facebook(フェイスブック)の4億ドル(約443億円)でのGIPHY(ジフィー)買収は現在、デジタル広告に関連する競争上の懸念があるとしてCMA(英国競争・市場庁)の徹底的な調査を受けている。CMAは調査して9月15日までに報告書をまとめる。

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当局は2020年夏この買収案件について調査に乗り出し、2021年になってもその調査は続いた。そして先週、CMAは(すでに完了した)FacebookとGIPHYの買収は、Facebookがすでに主要プレイヤーであるデジタル広告マーケットにおける競争をさらに抑制しうると述べ、懸念を示した(Facebookはディスプレイ広告マーケットで50%超のシェアを握っている)。

関連記事:英国の競争監視当局はフェイスブックのGIPHY買収を未だ検討中、2021年3月末に進展か

当局は、買収の前にGIPHYが自社のデジタル広告提携を英国を含め他国に拡大する計画だったという証拠を見つけた、と述べた。

「もしGIPHYとFacebookが合併したままだったら、GIPHYはデジタル広告を拡大するインセンティブをさほど持たず、ひいてはこのマーケットにおける潜在的な競争の逸失につながる」との考えを文書で示した。

CMAはまた、ソーシャルメディアのライバルに害をもたらし得るFacebook所有のGIPHYが、他社へのアニメーションピクセルの供給を搾る、あるいはライバルにそれまでよりも悪条件でのサインアップ(ライバルにユーザーデータの提出を求めてそれらを広告ターゲティングエンジンに使い、さらにマーケットパワーを得るなど)を求めるテック大企業になることが懸念されると述べた。

現実感3月25日にGIPHYとFacebookは懸念を解消するため5日の猶予が当局から与えられた。懸念を和らげるための法的拘束力のある提案の提出だ。

綿密な調査を行う「第2段階」は、当局に受け入れられる譲歩がなされていたら回避できていただろう。しかし明らかにそうではなく、CMAは4月1日、第2段階の委託を発表した。最後の通知から作業日5日経って発表されたことから、譲歩はなかったようだ。

TechCrunchはFacebookとCMAにコメントを求めた。

Facebookの広報担当は次のように述べた。「当社は引き続きCMAの調査に全面的に協力します。この合併は競争にとって良いものであり、デベロッパーからサービスプロバイダー、コンテンツクリエイターに至るまで、GIPHYや当社のサービスを使う英国のすべての人の利益にかなうものです」。

FacebookはすでにGIPHYの買収を完了した一方で、CMAの調査によってFacebookが自社のビジネスにGIPHYを深く統合する作業は凍結が続いている。

とはいえ、Facebookのデジタル広告分野における独占的な立場を考えると、プロダクトイノベーションを通じてすばやく動くビジネスの必要性は過去数年よりもはるかに差し迫っている。過去においては、当局の干渉なしに市場での優位性を構築していた。

近年、CMAはデジタル広告マーケットに細心の注意を払ってきた。2019年には広告テックを独占しているGoogle(グーグル)とFacebookのパワーに関して重大な懸念を報告した。だが最終レポートの中でCMAは、マーケットパワーの不均衡そのものを解決するために介入するより、政府の法律制定を待つと述べた。

英国は現在、デジタルマーケットでみられる「勝者がすべてを得る」の力学に対する懸念への対応として、テック大企業に的を絞った競争促進の規制を専門とする機関を立ち上げる過程にある。設置されるDigital Market Unitは「数年内に新たなコンプライアンス要件を課されるインターネットプラットフォームのための「競争促進」体制を監督する。

一方、CMAは引き続きテック企業の取引や戦略の変更などを精査する。ここには、他の業者からの苦情を受けてこのほど調査を開始したGoogleのChromeでのサードパーティのCookieに対するサポート打ち切り計画も含まれる。

またCMAは2021年1月にUber(ウーバー)のAutocab(オートキャブ)買収計画も調査していると発表した。しかし3月29日に、両社の間にあるのは「限定間接」の競争だけで、Autocabが将来Uberにとってかなりの、そしてより直接的な競合相手になる可能性が高いことを示す証拠は見つからなかったとして買収取引を認めた。

関連記事:UberのAutocab買収を英国の競争監視当局が調査

CMAはまた、AutocabとUberがタクシー会社に販売する予約と配車のソフトウェアの質を下げることで、Autocabの顧客であるタクシー会社を不利な状況に置こうとしているかどうかも考慮した。しかし第1段階の調査で、もしUberがそうした措置を取っても、タクシー企業は他の信頼できるソフトウェアサプライヤーと委託ネットワークに切り替えられることが明らかになり、これが買収取引を認めることにつながった。

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タグ:FacebookGIPHYイギリス買収独占禁止法CMA

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images(Image has been modified

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Facebookが取り締まりを拡大、ルール違反のグループとそのメンバーに対する罰則を強化

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月17日朝、ルールに違反するFacebookグループとそのメンバーに対する罰則の強化や、グループの有害なコンテンツの可視性を減らすための変更を行うことを発表した。同社は今後、米国外の市場における市民団体や政治団体を推奨から除外し、規則に違反し続ける団体やメンバーのリーチをさらに制限すると述べている。

同社はこれまでにも有害で偏向した、あるいは危険なコンテンツを作成し共有するグループに対する取り締まりを継続的に行ってきたものの、遅々として進まず、さほど効果がないものが多くあった。

先の米国の選挙に先立ち、Facebookは、コミュニティ規定に違反したユーザーやFacebookグループを通じて偽情報を拡散したユーザーに罰則を科すことを目的とする一連の新しいルールを導入した。これらのルールは、グループ自体に大きな責任を割り当て、ルールを破った個人を罰するものとなっている。Facebookはまた、新型コロナウイルス感染症に関する情報を含む健康情報の公式情報源にユーザーを誘導するために行っていた医療団体への推奨も停止した。

2021年1月、Facebookは潜在的に危険なグループに対してさらに重要な措置を講じている。2021年1月6日の米連邦議会での暴動を受け、米国内の市民団体、政治団体、新たに創設された団体を推奨から除外することを発表した。同社は以前にも、米国の選挙を前にしてこれらの団体を一時的に制限していた

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このポリシーが恒久化したときにWSJの記事が伝えているように、Facebookの内部調査により、米国のFacebookグループはユーザーを両極化させ、選挙後に広がる暴力の声を煽っていることが明らかになった。米国で最も活動的な市民向けFacebookグループトップ100のうち約70%に、ヘイト、誤情報、いじめ、嫌がらせの問題があり、これらは推奨されるべきではないと研究者たちが指摘しており、2021年1月の取り締まりにつながったとみられる。

そして3月17日、同じポリシーが米国のFacebookユーザーだけでなく、グローバルユーザーにも適用されることになった。

すなわち、世界中のユーザーがFacebookを閲覧する際にも、ヘルス関連グループに加えて市民団体や政治団体が「おすすめ」に表示されなくなるということだ。しかし、おすすめ機能はユーザーがFacebookグループを見つける多くの方法のうちの1つにすぎないことに注意して欲しい。ユーザーは、検索、ユーザーが投稿したリンク、招待状、友人のプライベートメッセージなどからそれらを見つけることができるのだ。

Facebookはさらに、グループでFacebookルールへの違反が発生した場合、おすすめでの表示頻度を減らすことを表明している。これはFacebookがニュースフィードのコンテンツの表示を減らすためによく使う、ランクダウンのペナルティだ。

また、規則に違反したグループやその個々のメンバーに対する罰則を、さまざまな強制措置を通じて強化する。

画像クレジット:Facebook

例えばFacebookのコミュニティ規定に違反したことのあるグループに参加しようとすると、警告メッセージ(上図参照)によってそのグループの違反が警告されるため、ユーザーは参加を再考することになるかもしれない。

ルールに違反するグループは招待通知を制限され、現在のメンバーはグループのコンテンツをニュースフィードで見ることが少なくなり、コンテンツはさらに下に表示される。これらのグループはFacebookのおすすめでも降格される。

あるグループがFacebookのポリシーに違反したメンバーや、Facebookコミュニティ規定に違反したために閉鎖された他のグループに参加したメンバーを大量に受け入れた場合、そのグループ自体に、すべてのメンバーの新しい投稿を一時的に承認する必要が生じる。そして、管理者やモデレーターが規則に違反するコンテンツを繰り返し承認する場合、Facebookがグループ全体を削除する。

このルールの目的は、禁止された後にグループが再結成し、不正行為が繰り返されることを防ぐためのものだ。

本日発表された最後の変更は、グループメンバーに適用される。

Facebookグループ内で何度も違反行為を繰り返した人は、一時的にグループ内での投稿やコメントを停止され、他の人をグループに招待することも、新しいグループを作ることもできなくなる。Facebookによると、この措置は悪者のリーチを減らすことを目的としている。

新しいポリシーは、最終的な閉鎖につながったグループの悪い行動をより透明に記録する方法をFacebookに与えるものだ。この一種の「ペーパートレイル」は、Facebookが強制措置を講じた際に生じることのある偏見の告発をかわすのにも役立つ。ソーシャルネットワークは保守派に対して偏見を持っていると信じている右派のFacebook批判者たちによってしばしば提起される非難だ。

しかし、これらのポリシーの問題は、最終的にはFacebookのルールを破った人たちを容赦なく叩くことにつながることだ。今日のユーザーたちが冗談まじりに「Facebookの牢獄」と呼んでいるものとそれほど変わらない。個人やFacebookページがFacebookのコミュニティ基準に違反すると、一時的にサイト上でのやり取りや特定の機能の使用が禁止される。Facebookは今まさに、Facebookグループとそのメンバーのために、修正を加えてこの公式を再現しようとしているのだ。

他にも問題がある。1つには、これらのルールはFacebookに依存しており、それがどの程度効果的かは不明な点だ。もう1つは、グループを見つける際の重要な手段である検索を無視しているという点だ。Facebookは、質の低いグループの検索結果の表示順を下げることで解決すると主張しているが、その取り組みの結果は明らかに混沌としている。

Facebookは2020年秋の誤情報取り締まりで、プラットフォーム全体でのQAnonコンテンツの禁止について抜本的な声明を出しているが、QAnonに関連するコンテンツ(QAnonという名前ではないが、QAnon風の「愛国者」や陰謀に迎合するグループなど)を検索することは依然として可能だ。

関連記事:Facebookは全プラットフォームで米国の陰謀論グループQAnonを締め出しへ

似たようなケースでは「antivax(反ワクチン)」や「covid hoax(コロナウイルスのデマ)」などの用語を検索すると「一般的な反ワクチン派」ではなく「RNAのみ反対派」と自称するグループの他「ワクチンに反対する親たち」というグループや「ワクチンを嫌う人たち」のグループで「『真』のワクチン情報」を広めるていると提唱するグループなど、問題のあるグループに誘導される(Facebookが発表する前の3月16日、我々はこの件を確認している)。

明らかに、これらは公式の医療情報源ではなく、Facebookのポリシーに基づいて推奨されるものでもないが、Facebookの検索で簡単に見つけることができる。しかし同社は、新型コロナウイルスやワクチンに関する誤った情報に対してより強力対策講じている。同社によると、虚偽の申し立てを繰り返し共有していたページ、グループ、アカウントを削除し、それ以外の場合はランクを下げるという。

念のために言っておくと、Facebookはコンテンツへのアクセスをブロックする強力な技術的手段を完全に備えている。

例えば同社は米国の選挙後の「stop the steal(選挙泥棒を止めろ)」などの陰謀を禁止した。そして今でも「stop the steal」というキーワードでグループを検索すると、検索結果が見つからなかったことを示す空白のページが返ってくる。

Facebookは「stop the steal(選挙泥棒を止めろ)」を完全にブロック

では「QAnon」のような禁止されているトピックがなぜ検索結果に出てくるのか。

なぜ「covid hoax」なら出てくるのだろう。(以下参照)

Facebookグループにおける「covid hoax」の検索結果

Facebookが、問題のある検索語のリストを拡大し、他の種類の有害なコンテンツについて空白のページを返そうと思えば、それは可能なのだ。実際、偽の情報を拡散することが分かっているURLのブロックリストを維持したいのであれば、それも可能だ。これにより、ユーザーはそれらのリンクを含む投稿を再共有できなくなる。これらの投稿をデフォルトで非公開にすることもできる他、規則に繰り返し違反したユーザーや、規則の一部に違反したユーザーには、投稿を公開できなくなったユーザーとしてフラグを付けることもできるのである。

言い換えれば、Facebookがプラットフォーム上で拡散される偽情報、悪影響、偏向などの有害なコンテンツに本当に大きな影響を与えたいのであれば、非常に多くのことができるのだ。にもかかわらず、一時的な刑罰や、今日発表されたような「繰り返される」違反のみを目的とした刑罰を淡々と進めている。おそらく以前よりも罰則が強化されてはいるが、十分とは言えないのではないだろうか。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook米国大統領選挙QAnon新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

Facebookがワクチン接種呼びかけに使えるプロフィールフレームを立ち上げ

米国の多くの人が新型コロナウイルスのワクチンをただちに接種できるようになり、Facebook(フェイスブック)は米保健福祉省(HHS)、疾病管理予防センター(CDC)とタイアップして新たなFacebookプロフィールフレームが用意された。ユーザーが家族や友人とワクチン接種支持を共有することができるものだ。この取り組みは、英国で国民保健サービス(NHS)との提携を通じて実施されたものと似ている。英国ではこの取り組みの結果、すでに英国Facebookユーザーの4分の1がワクチン支持のプロフィールフレームを使っている。

立ち上げにあたって米国のユーザーは、英語あるいはスペイン語で書かれている「ワクチンを接種しよう」「私は新型コロナのワクチンを接種しました」のいずれかのバナーを含むフレームから選ぶことができる。バナーはプロフィール写真の端、そして「私たちにはこれができる」と書かれた青い円の横にくる。

Facebook上ではすでにワクチンを推進するさまざまな種類のプロフィールフレームがあるが、それらはすべてサードパーティのものだった。新しいフレームはフェイスブックが制作していて、同社は使用状況をしっかり追跡できる。

今後数週間内に、ユーザーがフォローしている家族や友人で新しい新型コロナプロフィールフレームを使っている人全員をニュースフィードでまとめて表示するようになる、とFacebookは話す。この理由は、もしあなたが他人のフィードに表示されるリストに入りたければ、Facebook製のフレームを受け入れることが重要だからだ。

Facebookは、社会通念がいかに人々の健康に関する態度や行動に大きな影響をもたらすかが研究で示されているため、フレームを立ち上げると指摘した。Facebookが誤情報反ワクチン感情の拡散になるとネットワークのパワーを軽視しようとすることを考えると、これは注目すべき指摘だ。

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今回の取り組みではFacebookは、知り合い、あるいは信用している人がワクチンを接種することを知ると、同様に自身も接種しようと促される、と信じていて研究もその考えを支持している。そうでもなければワクチン接種を迷っていた人たちに接種を促すとき、これは特に効果的だろう。

ワクチン接種を促進するのにソーシャルメディアを活用するというのは、CDCのツールキットの一部でもあった。だからこそヘルスケアワーカーやエッセンシャルワーカーが自身のワクチン接種の写真や体験談を披露するのを目にしてきた。CDCはまた、FacebookやTwitter、LinkedInでワクチン接種を促進したい組織が使えるソーシャルメディア用のグラフィックスとメッセージのサンプルセットを提供した。

新しいプロフィールフレームは米国のFacebookユーザーに米国時間4月1日から提供されている。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが義理の娘のアカウントでもトランプ前大統領は利用禁止と警告

トランプ氏の義理の娘であるLara Trump(ララ・トランプ)氏は米国時間3月30日、前大統領の新たなインタビューをFacebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)で宣伝した。しかし世界で最も人気のこの2つのソーシャルネットワーク上でのトランプ大統領に対する禁止措置を回避する策は長くはもたなかった。

ララ・トランプ氏はどうやらFacebookから「トランプ大統領の声」は現在FacebookならびにInstagram上では禁止されており、削除の対象となるとすぐさま警告を受けたようだ。トランプ前大統領自身は、最もやっかいなプラットフォームの政策決定に取り組むためにFacebookが設けた外部の運営組織Oversight Boardの判断によりフェイスブックの使用が禁止されている。

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そうしたルールは、トランプ陣営に関係している、ならびに選挙運動の元代理人に属している、あらゆるアカウントやページにも適用され、ララ・トランプ氏のアカウントはこのどちらにも当てはまる。Facebookは、同社からの電子メールをとらえたスクリーンショットが正当なものであることをTechCrunchに認めた。

Facebookはトランプ前大統領に対し、ニュースの例外を設けている。おそらく「60分」(米CBSの番組)のインタビューに似ているものだろう。しかし今回の場合、トランプ前大統領は、選挙運動に関わり、ビデオを選挙運動に関連するアカウントで宣伝しようと計画していた人物にインタビューされている。

Facebookがビデオそのものをホストしているわけではなく、ララ・トランプ氏はビデオシェアリングウェブサイトRumble上でのインタビューにリンクさせて回避策に次ぐ回避策を取ることを選んだ。Rumbleでは2020年後半、トランプ支持者の流入がみられた。

ララ・トランプ氏はまた、トランプ陣営が以前制作したウェブベースの番組The Right Viewに動画を投稿した。この番組については、ワシントンポスト紙は「ABCの『The View』へのトランプ賛成派の答えのようなもの」と描写している。

フォックスニュースは今週、同社がトランプ一族のララ・トランプ氏を有料のコメンテーターとして雇うことを発表した。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがアルゴリズム問題を否定しつつもニュースフィードの非アルゴリズム表示切り替えツールを公開

そのアルゴリズムと人々を過激なコンテンツへと誘う能力について数年にわたり批判を浴びながらもFacebook(フェイスブック)は否定し続けてきた。米国時間3月31日、同社はユーザーがニュースフィードを非アルゴリズム表示へと容易に切り替えるツール群を発表した。最大30人の友達とFacebookページをお気に入りに追加する機能、投稿を時系列に表示する「最近の投稿」表示、さらには自分の投稿にコメントできる人を指定できる機能などが追加される。

これらの機能そのものはまったく新しいわけではないものもあるが、モバイルアプリに追加されるFeed Filter Bar(フィードフィルターバー)によって、ニュースフィードの表示を変えたり、投稿のオプションメニューから誰がコメントできるかを設定できるなど、操作が簡単になる。

ニュースフィードの「最近の投稿」表示はかなり前から存在しているが、Facebookモバイルアプリのその他メニュー(三本線のハンバーガーアイコン)の奥深くに隠されていた。これは思ったほど便利ではない。なぜなら友達とFacebookページの投稿が同じ時間軸に表示されるからだ。何年も前からFacebookを使っている人なら、かなりの数のブランドや企業や有名人のFacebookページに「いいね!」しているだろう。この手のページは概してあなたの友達よりも頻繁に投稿するので、フィードは延々と続くFacebookページの最新情報で埋め尽くされることになる。


しかし、それでも「最近の投稿」表示を使いたい人は、フィードフィルターバーを使ってこれと別の表示を簡単に切り替えられる。この機能はまずAndroidで公開され、後日iOSにもやってくる。

ちなみにFacebookは、ニュースフィードに表示される人の優先順位を決める See First(最初に表示)機能を以前から提供しているが、新しい「お気に入り」機能 ではこれを 改定して「設定とプライバシー」>「ニュースフィードの設定」>「お気に入りを管理」で設定できるようになった。お気に入りのFacebookページも追加できる。

改定されたコメント管理は多くのFacebookユーザーが採用している行動を取り入れたもので、かつては投稿を家族や友達など特定の対象者のみとシェアして、仕事仲間やときには特定の人を排除してきた。これからは、投稿はみんなとシェアするが、会話できる相手を制限できるようになる。例えば著名人が自分がタグづけした特定のブランドや人物だけのコメントを受けつけるために使うこともできる。


またFacebookは、ニュースフィードに表示する「Why am I seeing this?(この投稿が表示される理由)」機能でアルゴリズムによる推奨の仕組みを説明する際に、今よりも詳しい情報を提供することも発表した。何が、なぜ表示されるか、場所、自分あるいは自分に似た人が関連する話題やグループ、Facebookページなどを見ているかなど、いくつかの要素が関係するという。


一連の変更は、Facebookや他のテック巨人が誤情報を拡散する役割を果たした結果、議会議事堂への襲撃のような死者を出す出来事や、パンデミック下のワクチン忌避のような深刻な公衆衛生危機を招いたとして、非難の的になったあと後に起きた。FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は先週下院通信小委員会で、同社が危険な誤情報の削除に失敗し、過激派の増長とオンラインでの組織化を促したことについて証言した。

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しかしFacebookの公式見解はこうだ。同社は人々を問題あるコンテンツに誘導する役割を果たしていない、人々が探し出したのである。そして、人々のニュースフィードは、彼ら自身のそうした選択を反映している。

こうした見解や意図について、Facebookの世界情勢担当副社長であるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が説明している。同氏はパーソナル化アルゴリズムはテック企業では一般的であり、Amazon(アマゾン)やNetflix(ネットフリックス)も使っていると主張する。また、ランキングはユーザーにとって最も関係の深いものを最初に表示しているだけだといい、実質的にこの問題の責任をユーザーに押しつけた。さらに同氏は、Facebookの誤情報拡散をめぐる決断を立法者に転嫁し、もしコンテンツに関わる一連の決定が、民主的に責任のある立法者たちが合意した枠組みに従ってなされていれば、その方がよかったことは明らかである、と付け加えた。

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タグ:Facebook

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルメディアCEO3人が米下院公聴会で反ワクチン誤情報アカウントを削除するか聞かれ言葉を濁す

米国12州の検事総長からなる連合は米国時間3月24日、Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)に対し、両社のプラットフォーム上での新型コロナワクチンに関する誤情報の拡散を減らすため、コミュニティガイドラインの施行を強化するよう求めた。検事総長らは今回の書簡の中で、Facebookと同社の傘下にあるInstagram(インスタグラム)、そしてTwitter上で公開されている反ワクチン情報の65%を占める12の「反ワクチン派」アカウントを特定している。25日に行われた偽情報と過激主義に関する下院公聴会では、TwitterとFacebookのCEO、そしてGoogle(グーグル)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が、これら12のアカウントを削除する意思があるかどうかを直接問われた。

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彼らの答えはまちまちだったが、パンデミックを終息させるために予防接種を受けるか否かという米国人の意思決定に大きな影響を与えかねない、ほんのひと握りの意図的誤報のソースを排除するというシンプルな行動を、ソーシャルメディアの経営者たちは取る意思がないことを示していた。

公聴会の中で、ペンシルベニア州選出のMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党)は、55万人近くの米国人が新型コロナウイルスによって命を落としていること、また、独立した調査によると、米国を含む5カ国のFacebookユーザーが新型コロナウイルスの偽情報に38億回さらされていることを指摘した。現在、米国政府はこの致命的なウイルスの蔓延を抑えるためにワクチン接種を急ピッチで進めているが、ソーシャルメディアサイトが人々にワクチン接種を躊躇させるようなコンテンツを宣伝・推奨し続けていることにも続けて対処しなければならない。

「私のスタッフは、YouTube(ユーチューブ)でワクチンを打たないように伝えるコンテンツを見つけ、そのあと似たような動画を勧められました。Instagramでも同じことがいえます。ワクチンに関する偽情報を簡単に見つけられるだけでなく、プラットフォームが似たような投稿を推奨していました」とドイル氏は述べた。「Facebookでも同じことが起こりましたが、そこではさらに反ワクチングループも推奨されていました。ツイッターも同様でした」。

ドイル氏はCEOたちにこう語りかけた。「あなた方は、こうしたコンテンツを削除することができます。(偽情報の)ビジョンを減らすことができます。あなた方はこの問題を解決できるのに、そうしないことを選んでいるのです」。

同氏はその後、検事総長らが書簡の中で偽情報の「super-spreaders(スーパー・スプレッダー)」と呼んだ12のアカウントを削除する意思があるかどうか、CEOたちに直接尋ねた。

連合からの書簡には、FacebookとTwitterの両社が、利用規約に繰り返し違反している12人の著名なワクチン反対派ユーザーのアカウントをまだ削除していないと書かれている。これらのユーザーのアカウント、関連する組織、グループ、そしてウェブサイトは、2021年3月10日の時点で、Facebook、Twitter、Instagram全体で公開されている反ワクチンコンテンツの65%を占めていると、書簡は指摘した。

これらの12のアカウントを削除するかどうかという質問に対して、ザッカーバーグ氏は言葉を濁した。同氏は、まずFacebookのチームが参照されている正確な例を見なければならないと述べ、ドイル氏は彼の答えを遮ることになった。

一方のピチャイ氏は、YouTubeが誤解を招くような新型コロナウイルス情報を含む85万本以上の動画を削除したことを指摘して回答を始めようとしたが、ドイル氏が「YouTubeが12人のスーパー・スプレッダーのアカウントを削除するかどうか」という質問をし直したため、回答がそれによって遮られた。

「当社にはコンテンツを削除するポリシーがあります」とピチャイ氏は述べたが「人々の個人的な体験談であれば、コンテンツの一部は許可されています」と付け加えた。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、同じ質問を受けた際「はい、ポリシーに反するものはすべて削除しています」と答えた。より前向きな答えではあるが、Twitterが実際に特定された12のアカウントを削除することを確認するものではない。

ドーシー氏は公聴会の冒頭で、誤情報に対処するためのTwitterの長期的なビジョン「Bluesky」と呼ばれる分散型の未来像についても幅広く語った。同氏は「Bluesky」では、共有されるオープンソースのプロトコルをベースに活用することで「ビジネスモデル、推薦アルゴリズム、モデレーションコントロールなど、私企業ではなく個人の手に委ねられることで、イノベーションが促進される」と説明した。この回答はTwitterのモデレーションに関するビジョンが、最終的には他者に責任を委ねることであると示している。これはFacebookがここ数カ月の間に、最も困難なモデレーションの決定の際に意見を述べる外部機関であるOversight Committee(監督委員会)で行っていることと同じだ。

これらの動きは、ソーシャルネットワークが自分たちだけではコンテンツモデレーションの責任を果たせないと判断したことを示している。しかしその結果、米国政府が実際に規制に乗り出すかどうかは、さらに見ていく必要がある。

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タグ:FacebookGoogleTwitter新型コロナウイルスワクチン偽情報

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

FacebookはFTCの反トラスト法違反訴訟にビッグテックの荒削りな戦略で反論

Facebook(フェイスブック)は、独占の定義に対するFTC(連邦取引委員会)の広範なアプローチに疑問を投げかける標準的なプレイブックを通じて、FTCの反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟に異議を唱えている。しかし、これまで信頼されてきた「私たちは価格を上げていないので独占ではない」「競争を許していない場合、どうやって反競争的になり得るのか」という考え方自体が、まもなく新しい原則や新政権に揺さぶられるかもしれない。

関連記事:Facebookの独占禁止法違反を米連邦取引委員会が主張、買収した企業を切り離すよう要求

Facebookはこの件に関して、米国時間3月10日に提出された文書(この記事の末尾に掲載)の中で、憤慨したような調子で次のように述べている。

反トラスト法上の懸念とはまったく関係のない事柄についてFacebookを容赦なく批判するという厳しい状況の中で、FTCは1票差で、Facebook自身の事前決定、前例の管理、法的権限の制限を無視した訴訟を起こすことを決定した。

そう、ここではFacebookが犠牲になっている。(ちなみに、連邦通信委員会と同様に、FTCも党の方針に沿って3対2に分割するように設計されているため、多くの重要な措置で「1票の差」が見られる。)

しかし、その必然的な批判に続き、FTCは自身の業務を把握していないとする消極的な説明がなされている。Facebookに対する訴訟は、3つの観点から問題があり、判事の判断を仰ぐべきだと同社は主張している。

第1に、FTCは「妥当な関連市場を提示」していない。結局のところ、独占をするにはその独占力を行使する市場がなければならないが、FTCはこれを示していないとFacebookは指摘し「漠然とした『パーソナルソーシャルネットワーク』市場であり『このような自由商品市場が独占禁止目的のために存在すると裁判所が判断したことはない』。FTCはまた、実際に会社に利益をもたらす『競争の激しい』広告市場を黙殺している」とFacebookは主張している。

つまるところ、Facebookの「シェア」が大きいと主張できる無料サービスに理解しがたい「利用」 市場を構築しようとするFTCの取り組みは、作為的で一貫性がないということだ。

このことは、FTCがソーシャルメディア市場を定義しなかった (そしてFacebook自身もそうしなかった) ということだけでなく、ソーシャルメディアは無料であり、収益は別の市場で作られているので、ソーシャルメディア市場自体が存在しないかもしれないということを意味している。これはビッグテックの典型的な議論のバリエーションで「私たちは既存のどのカテゴリーにも該当しないため、事実上規制されていない」というものだ。いずれにせよ、ソーシャルメディア企業を広告慣行によって規制することはできないし、その逆もできない(ある点では結びついているかもしれないが、概して異なるビジネスである)。

このようにFacebookは、これまでの多くの企業と同様、規制の枠組みの隙間を埋める努力をしている。

これは同社の2番目の主張に続くもので、FTCは「Facebookの製品が無料で無制限に提供されていることを認めているため、Facebookが価格を引き上げたり、生産量を制限していることを証明することはできない」。

製品が消費者に無料で提供されるのであれば、当然のことながら、プロバイダーが独占権を持つことや独占権を乱用することは不可能だというのが、この考え方だ。FTCが、Facebookがソーシャルメディア市場の60%を支配している(もちろんそもそも存在しない)と主張したとき、それは何を意味するのだろうか。ゼロはその60%あるいは100%あるいは20%であっても、ゼロのままである。

第3の主張は、FTCが指摘した行動、すなわち将来有望な競合他社を巨額で買収し、Facebookのプラットフォームとデータへのアクセスを制限することで他社の芽を摘む行為は、完全に合法であるだけでなく、FTCには彼らに対抗する資格はないというものだ。過去には是認しており、現在に至っても指摘すべき特定の違法行為は存在しない。

もちろん、FTCは合併や買収については常に再調査を行っており、たとえば審査の過程で得られなかった新しい情報が明らかになった場合には、ずっと後になってこれらを解消するという前例もある。

「Facebookは2012年に小規模写真共有サービス、Instagramを買収したが [中略]、その後買収はFTCによってレビューされ、全会一致の5対0で承認された」と文書には書かれている。10億ドル規模の買収を「小規模」とする不合理な説明はさておき、買収と同時期に行われた社内での会話のリークや暴露は、この買収をまったく新しい観点からとらえている。当時は今ほど安全性が高くなかったFacebookは、Instagramが自社のシェアを奪うのではないかと驚き、心配していた。

FTCはこの点と、Facebookが最初の申請時に掲載したFAQの中で指摘したその他の多くの点に対処している。

これらの議論のいくつかは少し奇妙に思われたかもしれない。例えば市場が消費者間で交換されるマネーを持っていなくても、それらのユーザーのサービスへのエンゲージメントに応じて他の場所で交換される価値があるとすれば、なぜそれが問題になるのだろうか。そして、プライバシーを侵害する(そしてそのために莫大な罰金を科された)無料製品という文脈での企業の略奪行為が、広告のような隣接市場での行動によってどう判断されるのだろうか。

単純な真実は、反トラスト法と慣行は何十年間にもわたってマンネリ化しており、市場は消費財によって定義され、製品の価格と企業がそれを恣意的に引き上げることができるかどうかによって定義されるという原則によって圧迫されてきたということだ。競合他社を出し抜くことで相手を吸収し、後に唯一の供給者であるときに価格を上げる鉄鋼メーカーはその典型的な例であり、反トラスト法が対抗するために作られた類のものである。

それが不必要に単純化されているように思えるとしても、実際にはもっと複雑であり、多くの状況で効果を発揮している。しかし過去30年の間に、MicrosoftやGoogle、Facebookなどの複雑な複数ビジネスドメインに対応するには不十分であることが示されてきた(もちろん、TechCrunchの親会社であるVerizonは別問題だ)。

Amazonの支配は、反トラストの原則の失敗における最たる例の1つであり「Amazon’s Antitrust Paradox」と呼ばれる画期的な論文に結実した。この論文は、これらの時代遅れのアイデアを嘲笑し、ネットワーク効果がいかに巧妙で効果の低い反競争的慣行につながったかを示した。体制派の声はそれをナイーブかつ過剰なものだと非難し、進歩派の声はそれを反トラスト哲学の次の波だと賞賛した。

この物議を醸した論文の著者であるLina Khan(リナ・カーン)氏が、間もなくFTCの空席となっている5人目のコミッショナー職に指名されると報道されていることから、後者の陣営が勝つ可能性もありそうだ(このパラグラフで最初に述べたように、同氏はまだ指名はされていない)。

同氏が承認されるかどうか (明らかに現状に反対する部外者としての激しい反対に直面することは間違いない) はともかく、同氏の指名は、その見解が重要視されていることを裏付けるものだと言える。カーン氏とその支持者たちがFTCのような機関で責任を担うことになれば、FacebookがFTCの訴訟を形式上拒否するために何十年も前から頼りにしてきた仮定が脅かされる可能性がある。

今回の訴訟はどちらかといえば回顧的な性質を持っているため、前述の見解が適用される可能性は低いものの、次のラウンドではその議論が幕を開け、間違いなく新たな展開が始まりはおよそ間違いないだろう。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

ザッカーバーグ氏は「議会議事堂襲撃の責任はフェイスブックではなくトランプ元大統領にある」という

米議会議事堂襲撃の6日後にReuters(ロイター)が行ったインタビューで、Facebook(フェイスブック)最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は5人の命が失われたこの日の悲惨な出来事における自らの会社の役割を軽視したことで不評を呼んだ。

「一連の行動が組織化された主な場所は、私たちの嫌悪行動を阻止する力が及ばず、私たちの基準が通用せず、私たちの透明性のないプラットフォームだったと思います」と当時サンドバーグ氏は語り、陰謀と暴力の民兵組織QAnon(キューアノン)の排除を試みたFacebookのごく最近の完全とはほぼ遠かった努力を自画自賛した。

米国時間3月25日の下院エネルギー・商業委員会の公聴会で、議員らは再びサンドバーグ氏の発言を追求したが、Facebookから満足のいく回答は得られなかった。

冒頭陳述でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国の選挙を守るためにFacebookは「自分の役割を果たした」と述べ、一連の行動の責任をDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に負わせた。

「前大統領は自分の発言に責任を持つべきであり、法を犯した人々は自分の行動に責任を持つべきだと私は信じています」とザッカーバーグ氏は述べた。

選挙の誤情報とStop the Steal(選挙を盗むな)行動の拡散は、Faceboookに「一定の責任がある」のではないかという質問に対し、ザッカーバーグ氏は話をそらし、直接回答することを拒んだ。

「議事堂襲撃の召集、計画、実行に関してFacebookが主要な役割を果たしたことを認めることすらしない、というのはどういうことですか」とMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党・ペンシルベニア州)が尋ねた。

再び詰め寄られたザッカーバーグ氏は、責任を転嫁した。

「責任は法を犯して暴動を犯す行動を起こした人々にあると私は思います」と彼はいう。「そのコンテンツを拡散した人々にも。大統領をはじめとするその人たちは繰り返し弁舌を弄し、選挙は操作されたといい、人々に参加を呼びかけました。彼らにも一義的な責任があると私は思います」。

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ドイル氏は納得せず、1月6日の攻撃の前にFacebook上で猛威を振るっていた危険なレトリックをFacebookが「増長した」と主張していた。ドイル氏によると、FBI(連邦捜査局)は、襲撃者がFacebookを襲撃の「勧誘、計画、実行」の各段階で使っていたことを示したことを指摘している。

Jan Schakowsky(ジャン・シャコウスキー)下院議員(民主党、イリノイ州)はサンドバーグ氏のインタビューを取り上げた。

「あなたに聞きたいのは、あの議会議事堂襲撃に至った過激な行動の扇動に関して、Facebookグループが具体的な役割を果たしたことをこの場で認める意志があるかどうかです」とシャコウスキー氏は迫った。

「シェリル(・サンドバーグ)の発言は、私たちの言おうとしていたことだと今も信じており、当時広く報じられたことについて私は責任をもちます」とザッカーバーグ氏が話し始めると、早く要点に入るようにとシャコウスキー氏は遮った。

「当社のサービスにコンテンツがあったことは間違いありません」とザッカーバーグ氏が曖昧に言った。「その意味で、私たちのサービスと会話の管理をもっと効果的にするために、まだやるべき仕事があると思っています」。

「選挙を盗むな」運動は膨大な数のFacebookグループに広がり、暴徒のリーダーたちは連絡や攻撃当日に議員を探す手段をFacebookに頼っていた。

これはFacebookにとって驚くことではないはずだが、2020年ミシガン州のGretchen Whitmer(グレッチェン・ホイットマー)知事を誘拐あるいは殺害する計画を企てた民兵組織メンバーも組織化と連絡にFacebookを使っていたことがFBIの宣誓供述書に書かれている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

ビッグテックが議会に戻ってきた。

テクノロジー業界で最も著名な3人のCEOが米国時間3月25日午前9時(日本時間3月25日午後11時)、米国下院のエネルギー・商業委員会に出席し、偽情報や過激主義の抑制に失敗した企業の責任を議員たちが追及した。

公聴会の前に公開された冒頭陳述ではFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、Google(グーグル)のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏がそれぞれ、望む会話を展開している。

ザッッカーバーグ氏は通信品位法第230条の改正を主張した。これは問題の解決にはつながらないものの、Facebookが小規模な競合他社よりも有利になる可能性がある。Googleは230条を擁護し、選挙に関する誤った情報を封じ込めようとする自社の取り組みが不十分だったり遅れたりすしたことから、最終的には米国連邦議会議事堂への攻撃に発展したと指摘。一方、Twitterは自社のアルゴリズムを透明化し、コミュニティレベルでのモデレーション活動を促進するための取り組みを示し、後ろ向きではなく前向きな姿勢を示した。

今回の議題は大きく、議員たちが公聴会で取り上げる可能性がある方向性はたくさんある。ここ数カ月の間、合同審問を主導した2つの小委員会は、過激派の専門家の間で頻繁に懸念されているアルゴリズムによるグループの推奨についてフェイスブックに質問してきたし、同社が連邦議会の暴動を宣伝する投稿の隣に戦闘装備の広告を出していたと報告している。もっと広くいえばこの委員会は、危険な偽情報を広める上でのソーシャルメディアの役割を探求するだろうが、その過程で我々は反トラスト法や第230条の改革など、規制面での解決策を回り道してしまう可能性がある。

公聴会の模様は上の動画から閲覧できる。

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画像クレジット:Win McNamee / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

フェイスブックが中国ハッカーによる偽アカウントでの海外ウイグル人標的の不正行為を摘発

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月24日水曜日、中国を拠点とするハッカー集団がFacebookを利用してウイグル人コミュニティを標的とした不正行為を行っていたことを明らかにし、その対策を発表した。

セキュリティ研究者の間で「Earth Empusa」「Evil Eye」「Poison Carp」などと呼ばれているこのグループは米国、トルコ、シリア、オーストラリア、カナダなどの海外在住者を含む約500人のウイグル人をFacebook上で標的にしていた。このハッカーたちはFacebook上の偽アカウントを使って、活動家やジャーナリストなどの共感を得られる人物を装い、ターゲットをFacebook外の危険なウェブサイトに誘導した。

Facebookのセキュリティチームとサイバー犯罪対策チームは2020年にこの活動を確認し、ハッカー集団への影響を最大化するために脅威を公開することを選択した。

Facebookは、同プラットフォームでのソーシャルエンジニアリングの取り組みは 「パズルの一部」 だとしているが、ハッキンググループの活動のほとんどはオンライン上で行われている。彼らは標的のデバイスにアクセスしようとする試みに焦点を当てており、その中には水飲み場型攻撃、祈り用アプリを提供する偽Androidアプリストア、ウイグル語のキーボードアプリのダウンロードが含まれる。

ダウンロードされたこれらの偽アプリはActionSpyとPluginPhantomという2種類のトロイの木馬型マルウェアを使用して、デバイスに感染した。iOSデバイスでは、Insomniaとして知られるマルウェアを利用した。

Facebookによれば、今回のハッカーがターゲットとしたユーザーの数は比較的少ないものだったが、少数のターゲットをうまく選択することで大きな影響を与えることができると強調している。Facebookのセキュリティポリシー責任者であるNathaniel Gleicher(ナサニエル・グレイチャー)氏は「監視やさまざまな二次的影響を想定することができます」と述べている。

ウイグル人はイスラム教徒が多数を占める少数民族で、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働収容所に入れられるなど、中国政府による残虐な弾圧に直面し続けている。

Facebookは、自社で判断する技術的指標がない場合はより広範なセキュリティコミュニティに判断を委ねると述べ、今回の調査結果を中国政府にリンクすることを避けた。研究者たちは、隣接するハッキングキャンペーンは中国政府がすでに国内で支配下に置いているコミュニティの監視を拡大しようとする取り組みだと考えている。

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タグ:Facebook中国ウイグルハッキング

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ドイツ裁判所がフェイスブックに対する「スーパープロファイリング」訴訟を欧州司法裁判所に付託

ドイツ裁判所は、了解なくユーザーデータを組み合わせることを禁止する現地競争当局の先駆的プライバシー保護命令に対するFacebookの上訴を検討していたが、同裁判所はヨーロッパの最高裁判所に付託することを決定した。

現地時間3月24日のプレスリリースでデュッセルドルフ裁判所は次のように書いた。「Facebookの上訴は、欧州司法裁判所(ECJ)に付託した後にのみ裁決できるという結論に達した」。

「Facebookがドイツ市場におけるソーシャルネットワーク提供者としての独占的立場を乱用し、EU一般データ保護規則(GDPR)に反してユーザーのデータを収集、利用していたかどうかは、ECJに付託することなく結論を下すことはできません。なぜなら、欧州法の解釈についてはECJが責任を負っているからです」。

ドイツ・連邦カルテル庁(Bundeskartellamt)の「搾取的不正使用」の告訴は、Facebookが自社製品のユーザーに関わるデータを、ウェブ全般、サードパーティーサイト(同社がプラグインや追跡ピクセルを提供している)、および一連の自社製品(Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculus)を通じて収集する能力を、同社の市場支配力と結びつけている。すなわち、このデータ収集はユーザーに選択権が与えられていないため、EUプライバシー法の下で違法であると主張している。

したがって関連する争点は、不適切な契約条項によってFacebookが個々のユーザー毎に専用データベースを作ることが可能になり、ユーザーの個人データをそこまで広く深く集められないライバル他社に対し、不公正な市場支配力を得ているかどうかにある。

カルテル庁のFacebookに対する訴えは、(通常は)別々であり(かつ矛盾すらある)競争法とプライバシー法の論理を組み合わせている点で、極めて革新的だとみられている。実際にこの命令が執行されれば、Facebookのビジネス帝国の構造分離を,さまざまなビジネスユニットの分割命令を下すことなく実現できるという興味深い可能性をもっている。

ただし、現時点(カルテル庁がFacebookのデータ慣行の捜査を開始した2016年3月から早5年)での執行には、まだ大きな疑問符がつく。

ユーザーデータ照合を禁止する2019年2月のカルテル庁による命令からほどなくして、Facebookは2019年8月の控訴によって命令を停止させることに成功した。

しかし2020年の夏、ドイツ連邦裁判所はこの「スーパープロファイリング」禁止命令の停止を解除し、テック巨人による無断データ収集に対するカルテル庁の挑戦を復活させた。

この最近の展開が意味しているのは、これまでEUのプライバシー規制当局が失敗してきたことが競争法の革新によって遂行されるのかどうかは、当分待たなくてはわからない、ということだ。Facebookに対する一般データ保護規則を巡る複数の訴訟が、アイルランドデータ保護委員会のデスクの上に未決のまま置かれている。

どちらの道筋をとるにせよ、現時点でプラットフォームの支配力を「迅速に動いて破壊する」ことが可能になるとは思えない。

陳述の中でデュッセルドルフ裁判所は、Facebookのデータ収集のレベルについて問題を提起しており、ユーザーに選択肢を与え、幅広いデータソースではなく、自分でアップロードしたデータのみをプロファイリングに使い、InstagramやOculusのデータ利用方法について問い合わせることで、Facebookは反トラストの問題を回避できることを示唆した。

しかし、同裁判所はカルテル庁のアプローチの欠陥も見つけている。Facebookの米国およびアイルランドにおける事業体が、ドイツのFacebookに対する命令が発行される前には公正な発言機会を与えられなかったことなどいくつかの手続きの不備を指摘した。

欧州司法裁判所への付託は、最終結果が得られるまで数年かかることがある。

今回のケースで欧州司法裁判所は、カルテル庁が権限を逸脱していないかの検討を依頼されている可能性が高いが、実際に付託されている内容は確認できない。プレスリリースによると、今後数週間のうちに書面で公表される見込みだ。

Facebook広報担当者は、裁判所のこの日の発表に対する声明で次のように述べた。

本日デュッセルドルフ裁判所は、カルテル庁の命令の正当性に疑問を呈し、欧州司法裁判所に付託することを決定しました。当社はカルテル庁の命令が欧州法にも違反していると確信しています」

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook