米政府がロシアのカスペルスキーを「国家安全保障上の脅威」と認定、チャイナ・モバイルやチャイナ・テレコムも追加

米政府がロシアのカスペルスキーを「国家安全保障上の脅威」と認定、チャイナ・モバイルやチャイナ・テレコムも

Sergei Karpukhin / reuters

米連邦通信委員会(FCC)は25日、ロシアの情報セキュリティ企業Kaspersky Lab(カスペルスキー)を「国家安全保障上の脅威」に認定したことを発表しました。FCCによってロシア企業が「米国の国家安全保障に受け入れがたいリスクをもたらす」リストに加えられたのは、これが初めてのことです。

カスペルスキーは、China Mobile(中国移動通信)やChina Telecom(中国電信)とともに、25日付けでリストに追加されています。このほか、中国ZTEやHuaweiもリストに含まれており、全8社の名前が並んでいるかっこうです。

このリストで名指しされた企業の製品については、米国内の企業はFCCが運営するユニバーサルサービス基金(USF)を使って購入することが禁じられます。この基金は低所得者層や農村部、離島など採算が合わない地域でも、都市部と平等に通信サービスを受けられるようにする補助金であり、今回の措置が大手企業に与える影響の範囲は限定的と見られています。

FCCのBrendan Carr委員は「FCCは、我が国の通信ネットワークの安全確保に重要な役割を果たしており、対象リストを最新の状態に保つことは、そのために自由に使える重要な手段である」と表明。さらにカスペルスキーを含めた3社をリストに加えることを「スパイ行為やアメリカの国益を損ねようとする中国やロシアの国家支援団体による脅威から、我々のネットワークを守るのに役立つだろう」と説明しています。

この決定に対してカスペルスキーは、失望したとの声明を発表。「カスペルスキー製品の技術的評価に基づいておらず、政治的な理由によるものだ」との趣旨をコメントしています。

米国内でカスペルスキー製品に規制が課されたのは今回が初めてではなく、2017年末にも米トランプ政権が政府機関全体での使用を全面的に禁止する大統領命令を出しています。それを受けてカスペルスキーは評判を毀損し、営業を妨害されたとして米政府を相手に訴訟を起こしていました

また、今回の件に先立ちドイツの情報セキュリティ当局も、ロシアによるウクライナ侵攻が続くなか、カスペルスキー製品を使うことは「相当程度」のサイバーリスクがあるとして、利用を控えるよう警告していました。日本政府も同じような対応を取るのか、注視していきたいところです。米政府がロシアのカスペルスキーを「国家安全保障上の脅威」と認定、チャイナ・モバイルやチャイナ・テレコムも

(Source:FCCBleepingComputer。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

評価が分かれる自動運転車初期のパイオニア、その最新ムーンショットは暗号資産を利用したピア・ツー・ピアの通信ネットワーク

ウェブサイト、Medium(ミディアム)の投稿、ホワイトペーパー、専用のsubreddit(サブレディット)、Discord(ディスコード)チャンネルという5つの要素を伴って、新しいモバイルデータネットワークが米国時間2月1日の夜遅くにサンフランシスコでひっそりとローンチされた。従来の通信事業者に頼らずに匿名で高速に、しかも安価にデータを交換する新しい方法が約束されている。Pollen Mobile(ポーレン・モバイル)と呼ばれるこのピアツーピアのオープンソース無線ネットワークは、サービスが最初に開始されるベイエリアで、ユーザーに暗号資産でインセンティブを与え、ミニ基地局の運営とネットワークカバレッジの構築を促していく。

Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキ)氏の自動運転車テクノロジースタートアップ、Pronto AI(プロントAI)がこのプロジェクトを立ち上げた。評価が大きく分かれる人物で、自動運転車業界の初期のパイオニアであるレヴァンドフスキ氏は、企業秘密を盗んだという罪で18カ月の禁固刑を受けた後、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領から2021年恩赦を受けた

なぜ自動運転車のスタートアップが、暗号資産によってインセンティブが与えられる分散型テレコムを作っているのであろうか?Pollen Mobileのきっかけは、Prontoの自動運転車に信頼性が高く手頃な価格のモバイル接続が必要だったことにある、とProntoのCEOであるレヴァンドフスキ氏はTechCrunchとのテキストメッセージで語った。Prontoは何カ月も前から自社のAVにPollenを採用している。

「理由はシンプルです。AVに信頼性が高く手頃な価格のモバイル接続を必要としていましたが、適切なものを見つけることができませんでした」と同氏は書いている。「そこで独自のものを構築し、それが他の人たちからも求められるものになるかもしれないと認識したのです」。その後に同氏は「必要は発明の母」と付け加えた。

数日中に最初のローンチを予定している分散型のPollen Mobileネットワークは、無線タワー、接続確認デバイス、携帯電話というデータ送信機のネットワークに依存している。それらは、やや奇妙に聞こえるが、flower(花)、bumblebee(マルハナバチ)、hummingbird(ハチドリ)といった呼称が付けられている。

Mediumへの投稿によると、2020年にFCC(米国連邦通信委員会)の規則が変更されたことで、自社の自動運転車が走行しているサイト向けに独自の基地局を建設し、小型モバイルネットワークを構築することが可能になったという。

「私たちは、人々が既存のモバイル企業に対して好ましく思っていない、他のすべてのことについて考えるようになりました。そして真に革命的な何か、つまり、私たちがモバイルネットワークの『黙示録の四騎士』と捉えている課題に立ち向かう何かを構築する機会を見出しました」とMediumのブログ投稿には記されている。ここでいう「黙示録の四騎士」とは「プライバシーと匿名性の欠如」「カバレッジの低さ」「コストの高さ」「ユーザーの声の欠落」である。

「flower」と呼ばれる小さな基地局は、ピザの箱ほどの大きさから高さ6フィート(約183cm)のものまであり、数ブロック(数百メートル)から1マイル(約1.6km)までの範囲をカバーしている。これらは「flowerのオーナー」が自宅やオフィスに設置し、インターネットに接続することで、他のPollenユーザーにカバレッジを提供する。同社がDiscordチャンネルに掲載した情報によると、flowerのオペレーターは、そのカバレッジ領域、サービス品質、送信データ量に応じて、ユーザーのコミュニティからPollenCoin(PCN、ポーレンコイン)を得る。

オペレーターは、この物理的なデータ送信ハードウェアの初期費用を負担する。最も安い(そして最も小さい)flowerで999ドル(約11万円)、最大かつ最もパワフルな送信機は1万ドル(約115万円)を超える。この高い初期費用を正当化するには、オペレーターがネットワークの成功を信じ、PCNの固定供給の価値が高まることを確信することが求められるだろう。

画像クレジット:スクリーンショット/Pollen Mobile

誕生したばかりのこの取り組みに対する多くの疑問点の1つは、ISPがどのように対応するか、あるいは対応するかどうかということだ。分散型ネットワークは、flowerのオペレーターの自宅のインターネットに乗って、それらのネットワークを通じてピアツーピアのデータを転送することになるのだろうか。

同社のネットワークトラッカーによると、同ネットワークは現在、ベイエリアで10を超える無線タワーを運用しているようだ。

Pollen Mobileは「bumblebee」と名付けられた小さなデバイスを提供しており、これによりネットワークカバレッジの強度に関するデータを収集する。これらのデバイスは「flower」のカバレッジを証明するもので、ユーザーが所有し、自身のクルマやドローン、自転車に搭載することもできる。Bumblebeeのオーナーは、毎日提供される独自のカバレッジ検証の数字に基づいて、PCNを獲得する。

最後に、Pollenネットワークを使用するモバイルデバイスである「hummingbird」が用意されている。同ネットワークに接続するにはeSIMをダウンロードする必要があり、ノートPCなどのデバイスは専用のアダプター(「Wing」と呼ばれる)を介して接続できると同社は述べている。ユーザーはPCNを使って接続料金を支払う。

最終的には、データネットワークの初期段階で料金を支払う意思のあるユーザーのネットワークを構築する上で、顧客データを販売したりログに記録したりしない、より匿名性の高いモバイルネットワークというビジョンを売り込む必要があるだろう。データ専用ネットワークでは通話もSMSメッセージもできないし、料金を支払っても電話番号はもらえない。

Pollenはこれまでのところ、Prontoの子会社として内部的に運用されている。レヴァンドフスキ氏によると、Pollenは自律分散型組織であるeDAOに移管される予定で、独立して運営されるようになるという。この組織が最終的に、ネットワークがどのように進化し、ユーザーがどのように、どこでカバレッジを構築するインセンティブを与えられるかを決定することになる。

「私たちはflowerの行き先を制御していません」とレヴァンドフスキ氏はTechCrunchに語った。「コミュニティと市場の力が報酬の流れる先を決定できるように、このネットワークを設計しました」。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Kirsten Korosec、Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

サンフランシスコ湾上での「空飛ぶタクシー」飛行テストをJoby Aviationが計画

Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)が、注目を集める「空飛ぶタクシー」の連続飛行をサンフランシスコ湾上で行う許可を求めていることが、FCC(米国連邦通信委員会)に提出された書類からわかった。

このスタートアップ企業が開発した「S4」と呼ばれる第2世代の試作機にとって、これが初めて衆人環視の中、都市環境で行う飛行テストとなる。

サンフランシスコで計画されているテストは、サンフランシスコ湾の2つの主要な観光スポットを中心に行われる。1つはゴールデンゲートブリッジとアルカトラズ島の中間地点、もう1つはベイブリッジの南側、アラメダに近い地点だ。

Jobyのマーケティングコミュニケーションブランド部門で責任者を務めるOliver Walker-Jones(オリバー・ウォーカー・ジョーンズ)氏は「私たちは現在、限られた回数のフライトを行う可能性を検討している初期段階にあります」と述べている。「確定した計画はまだなく、飛行許可を確実に得るためには、地方自治体や連邦政府のさまざまな機関と協力する必要があります。とはいえ、これは非常にエキサイティングなことです」。

Jobyは2021年、電動垂直離着陸機(eVTOL)による数々の記録を打ち立てた。最長飛行距離155マイル(約250キロメートル)、最高時速205マイル(約330キロメートル)、さらに最高度記録も更新したと、同社はTechCrunchに述べている。

「私たちは最近、海抜高度7000フィート(約2.1キロメートル)を超えるフライトを何度か行いました」と、ウォーカー・ジョーンズ氏は語る。これらの飛行はすべて、カリフォルニア州サンタクルーズ周辺の人里離れた沿岸部や私有地の上で行われた。今度の湾上飛行は、これらの記録に続くマイルストーンとなる。

最近の記録的なフライトと同様に、完全電動マルチプロペラ式で5名乗車可能なS4は、人を乗せずに今度のテストを行う予定だ。FCC、FAA(米国連邦航空局)、および市当局の許可が必要となるこのテストは、近くの地上コントロールステーションから遠隔操作で行われる。

Jobyが提出した申請書によると、飛行時間は通常1時間で、主に水上を飛行し、最大高度は海抜5000フィート(約1.5キロメートル)となる予定だという。この翼幅約40フィート(約12.2メートル)、重量4400ポンド(約2000キログラム)の航空機が、どこで離陸、着陸、充電を行うかは明らかにされていないが、それは地上で行うことになるだろうと、ウォーカー・ジョーンズ氏はTechCrunchに語った。

Volocopter(ボロコプター)はシンガポールの水上で、eHang(イーハン)は南アジアの都市の上空で、それぞれeVTOLのデモンストレーション飛行を行っているが、Jobyの飛行が承認されれば、米国の都市では初の本格的なエアタクシーの飛行となる。

今回のテスト飛行は、実物大の航空機を遠隔操作するために使う無線機器の評価が目的とされている。「飛行試験は、Jobyが開発中の新しい航空機技術が、FAAの飛行認証を取得するための継続的な取り組みに不可欠で必要な要素である」と、FCCの申請書には書かれている。

2021年夏にSPAC(特別買収目的会社)による11億ドル(約1270億円)の株式を公開を行ったものの、それから株価が50%も下落した同社にとって、このドラマチックな公開テストはメディアに大きく取り上げられることが期待できる。

「無線機のテストが、この地域で行う実証飛行の目的です」と、ウォーカー・ジョーンズ氏はいう。「もちろん、将来的にはポジティブなメリットもあります。都市部で技術を実証すれば、最終的に運用することになる場所に、これがどのように適合するかを、人々に見て理解してもらえますから」。

今回のテストは、最先端のeVTOL機を「戦略的能力ポートフォリオ」に加えたいと考えている米空軍との複数年にわたる4500万ドル(約52億円)の契約の一環でもある。

現在、Jobyが所有する2機のS4量産前試作機が、FAAと米空軍から実験的運用の認定を受けている。

2021年4月にFAAに提出された書類によると、2019年10月から飛行している最初の量産前試作機は、562回のテスト飛行を終え、約27時間の飛行時間(平均飛行時間が3分未満という意味になる)を記録しており、時速80マイル(約時速129キロメートル)を超える速度や1000フィート(約305メートル)以上の高さでは飛行していない。

ウォーカー・ジョーンズ氏によると、Jobyは航空機の可能性を徐々に追求する「限界範囲拡大活動」の一環として、これらの過去の記録を塗り替えているという。同社は先日、S4が公称最高速度の時速200マイル(約時速322キロメートル)をわずかに超え、時速205マイル(約330キロメートル)のテスト飛行を行ったと発表している。ウォーカー・ジョーンズ氏によると、試作機はこの1月だけで20分以上のミッションを17回行ったという。高度7000フィートの記録が確認されれば、一般的にエアタクシーが都市内や都市間における短距離飛行の運用で期待される高度を、はるかに上回ることになる。

Jobyが2021年4月にFAAに提出した書類によると、同社は今後2年間で最大4機のS4試作機を製作し、最大600回のテスト飛行を行うことが予定されている。その後、商業運航のために必要なFAAの型式認証要件を満たす最終設計に移行する。

Jobyは2022年中に航空会社としての認定を受け、2024年には旅客輸送サービスを開始する予定だ。この時点では、資格を持ったパイロットが搭乗することになる。同社は2021年、都市不動産会社であるReef Technology(リーフ・テクノロジー)と契約を結び、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ・ベイエリアの都市部にある駐車場の屋上に離着陸場を開発することになった。

関連記事:Joby Aviationが空飛ぶタクシー乗降場所として立体駐車場に注目

2021年9月には、NASAがJoby S4の離陸・飛行・着陸時の音響テストを行っている

SECに提出した書類によると、同社の航空機は従来のヘリコプターの100倍以上の静粛性を備え「都市の背景の騒音に溶け込みながら、密集した都市部を中心に運用できる」ことが期待されるという。NASAとJobyにTechCrunchが尋ねたところ、音響テストの結果はまだ公開されていないとのこと。

2021年1月、Jobyは配車サービス大手のUber(ウーバー)による7500万ドル(約86億4000万円)の投資の一環として、Uberの航空輸送事業であるUber Elevate(ウーバー・エレベート)を買収した。Jobyは11月のSEC提出書類で、Elevateの資産をわずか2000万ドル(約23億円)と評価しており、その価値のほとんどは自動化、マルチモーダル、シミュレーションのソフトウェアによるものと表していた。

サンフランシスコで行う飛行テストについて、JobyのFCC申請はまだ保留されている。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Mark Harris、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

集合住宅におけるインターネットプロバイダーの囲い込みを抑制する米FCCの提案

その建物で、他の人が使っているブロードバンドプロバイダーと同じものを使わなければならない。米国で新しいアパートに引っ越した人の多くが、同じ経験をしたことがあるだろう。しかし、米FCCの新しい提案が採用されれば、このようなロックインは少なくなり、プロバイダーと建物オーナーとの間の収益配分を防ぎ、競合他社に門戸が開かれる可能性がある。

アパートのプロバイダーが1社になってしまうのは、建物の配線費用の問題だ。投資が報われるのは当然としても、ISPは地域全体をおさえる方法を見つけ。

例えば、大きな集合住宅との契約では、建物の管理者がキックバックを受け取るなど、(技術的には)合法的な場合もある。また、既存のルールに抜け穴があり、競合他社がインフラを共有することが法外に高くつくようにISPが仕組んでいる場合もある。

米国時間1月21日、FCCのJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)委員長が内部的に配布し、プレスリリースにまとめた提案は、このような汚い手口のいくつかを防止し、軽減するものだ。収益分配契約を全面的に禁止し、その他の取り決め(マーケティングなど)をテナントに開示することを義務づけ、配線をリースまたは共有されたりすることを意図しているのに事実上独占できるようにしている抜け穴を塞ぐものだ。

「米国民の3分の1以上がアパート、モバイルホームパーク、コンドミニアム、公共住宅に住んでおり、ブロードバンド競争と消費者の選択肢を閉め出す行為を取り締まる時期にきています。消費者には、自分が住んでいる建物でプロバイダを選択できる権利があります。全米の何百万というテナントのために、ブロードバンドの競争的選択の障害を取り除くために、委員会のみなさんが力を貸してくれることを楽しみにしています」とローゼンウォーセル氏は述べた。

委員会は最近、本問題の調査を開始し、意見募集を開始し、証拠を調査した。当然のことながら、委員会は「委員会の目標に反して競争を阻害し、競争力のあるプロバイダーがアパート、マンション、オフィスビルのユニットテナント向けにサービスを提供する機会を制限する新しい慣行のパターン」を発見した。

ローゼンウォーセル氏の提案は、これらの過程を踏まえている。画期的な新しい規則ではないが、ちょっとした問題解決であり、ISPたちが共通して行っている不正行為を真正面から狙い撃ちしている。提案はFCCの票決の前に一般公開され、それがたとえ明日であっても、事態を修復するためのかなりの猶予期間があるだろう。すぐにプロバイダーを変えたいと思っていた人には選択肢はない。しかし来年になれば、事態は変わっているだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米連邦通信委員会がデータ漏洩に関する企業の報告義務を厳格化する規制改正案を発表

米連邦通信委員会(Federal Communications Commission、FCC)は、データ漏洩に対する企業の責任を強化しようとする次の米国の規制当局となった。Jessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)委員長は米国時間1月12日、データ漏洩の報告に関するより厳しい要件を導入するための規制改正案を発表した。最も注目すべきことは、新規制では「不注意による」データ漏洩が生じた場合も、影響を受ける顧客へ通知することが義務づけられるという点だ。データの漏洩を放置していた企業は、サイバー攻撃の被害者と同様に、顧客に伝達しなければならない。

また、データ漏洩の発覚から顧客へ通知するまでに現在設けられている1週間の待機期間も廃止される。一方、通信事業者は、FBIやシークレットサービスに加えて、FCCにもデータ漏洩に関する報告すべき情報を開示しなければならない。

ローゼンウォーセル委員長は、情報漏洩の「進化する性質」と被害者にもたらすリスクを考慮すると、より厳しい規則が必要だと主張。より大規模で頻繁に発生する事態から、人々を守るべきだと述べている。つまり、規制は現実に追いつく必要があるということだ。

FCCは、この改正案がいつ投票にかけられるかについては言及していないが、FCCの次回の公開会議は1月27日に予定されている。FCCがこの新しい改正案を承認するという保証はない。しかし、このような規則改定が進められることになっても、まったく不思議ではない。現在、企業は情報漏洩を開示する傾向にあるものの、顧客への通知に時間がかかったり、まったく通知されなかったりする事件が何度か発生して注目を集めている。この新たな規制が採択されれば、顧客に通知されるまでの時間が短縮され、人々がデータ保護や不正行為防止の対策を講じられる可能性が高まるはずだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター、

画像クレジット:JuSun / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

数十億円規模の暗号資産を盗難、SIMハイジャック事件に関与した米国ハッカーが投獄される

米国司法省は現地時間11月30日、「The Community」として知られる国際的なハッキンググループの最後のメンバーが、数千万ドル(数十億円)規模のSIMハイジャック事件に関与したとして判決を受けたことを発表した。

ミズーリ州在住のGarrett Endicott(ギャレット・エンディコット)被告(22歳)は、ハッキンググループの6人目のメンバーとして判決を受けた。同被告は、複数の被害者から数千万ドル(数十億円)相当の暗号資産を奪ったこのハッキング活動に参加したことにより、10カ月の懲役刑を受け、12万1549ドル(約1370万円)の賠償金の支払いを命じられた。

SIMハイジャックは、SIMスワップ詐欺とも呼ばれ、攻撃者がターゲットの電話番号を乗っ取ることで、テキストメッセージやその他の形式の2要素認証(2FA)コードを受信できるようにし、被害者のEメールやクラウドストレージ、最終的には暗号資産取引所のアカウントにログインできるようにする手法だ。

The CommunityのSIMハイジャックは「携帯電話会社の従業員を買収することで可能になったケースが多かった」と検察官は述べている。「他にも、SIMハイジャックは、The Communityのメンバーが被害者を装って携帯電話会社のカスタマーサービスに連絡し、被害者の電話番号をThe Communityが管理するSIMカード(ひいてはモバイル機器)に交換するように要求することで達成されました」とも。

今回の事件では、数千万ドル(数十億円)相当の暗号資産が盗まれた。カリフォルニア州、ミズーリ州、ミシガン州、ユタ州、テキサス州、ニューヨーク州、イリノイ州など、米国中の被害者が、(盗難時)2000ドル(約22万5000円)以下から500万ドル(約5億6500万円)以上の価値のある暗号資産を失ったとのこと。

司法省によると、判決を受けた被告らは、それぞれ合計約5万ドル(約565万円)から900万ドル(約10億1700万円)以上の窃盗に関与していたという。

エンディコット被告は「The Community」の他のメンバーよりも軽い刑罰を受けた。フロリダ州在住のRicky Handschumacher(リッキー・ハンシュマッカー)被告は4年の懲役と760万ドル(約8億6000万円)超の罰金、アイオワ州在住のColton Jurisic(コルトン・ジュリシック)被告は42カ月の懲役と950万ドル(約10億7300万円)超の支払いを命じられ、サウスカロライナ州在住のReyad Gafar Abbas(レイアド・ガファール・アッバス)被告は2年の懲役と31万ドル(約3500万円)超の罰金を言い渡された。

アイルランド在住のConor Freedman(コナー・フリードマン)被告は以前アイルランドの裁判所から3年の懲役刑を言い渡されており、コネチカット州在住のRyan Stevenson(ライアン・スティーブンソン)被告は執行猶予を言い渡された。両者とも、何らかの形での賠償を命じられている。

エンディコット被告の判決は、FCC(連邦通信委員会)がSIMハイジャック詐欺に対抗するための新ルールを提案してから数週間後に下されたものだ。FCCは、新しい携帯電話や他の通信事業者へのサービスの移行に同意する前に、プロバイダがより安全な方法で本人確認を行うことを求めている。また、SIMの切り替えやポートアウトの要求があった場合には、プロバイダは顧客に通知することを義務付ける規則も提案している。

関連記事:米連邦通信委員会がSIMスワップ詐欺に対抗する新規則を提案

画像クレジット:Samuel Corum / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

バイデン大統領、ファーウェイやZTEなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器に対する規制強化法案に署名

バイデン米大統領、ファーウェイやZTEなどなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府を保護する規制強化法案に署名

Barcroft Media via Getty Images

バイデン米大統領が、国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府の「機器認可プログラムおよび競争入札プログラムによる通信サプライチェーン」を保護するための「Secure Equipment Act」に署名しました。この法律によってHuaweiやZTEといった米連邦通信委員会(FCC)の「対象リスト」に掲載されている企業に対してFCCは免許の発行や審査プロセスを実施できなくなります。

FCCコミッショナーのブレンダン・カー氏は「我々はすでにこれらの企業の機器が国家安全保障に受け入れがたいリスクをもたらすと判断しており、これは私が “ファーウェイの抜け穴 “と呼んでいるものを粛々と、適切に塞いでいるということだ」と述べました。

2020年にFCCはHuaweiとZTEを国家安全保障上の脅威とみなし、中国政府(中国共産党)と緊密な関係にあると確認しました。しかし、米国の連邦予算が関与しない部分においては、それら企業は依然として通信機器としてのライセンスを申請できる状態にあり、カー氏はその”抜け穴”をなくすために今回の法制定を呼びかけていました。FCCは2021年より19億ドルの予算を投じて、米国内の通信企業がHuaweiやZTEの機器をリプレースための補助金プログラムを実施しています。

今回のSecure Equipment Actの成立に対し、2社は記事執筆時点でコメントを出していませんが、2020年にはFCCが提出した法改正案に対しHuaweiが「見当違いかつ不当に懲罰的だ」としていました。

FCCは今回成立した法律以外にも、すでに機器に付与されているライセンスを取り消し可能にする新たな法律を提案しています。また先月には、FCCが国家安全保障上の懸念を理由としてチャイナテレコムの米国子会社の米国内事業許可を取り消すことを決議しています。

(Source:ZDNetEngadget日本版より転載)

米連邦通信委員会がSIMスワップ詐欺に対抗する新規則を提案

ここ2、3年で、SIMスワップ詐欺の被害が増加している。最近はほとんどのオンラインサービスが電話番号に関連付けられているため、この手法は被害者の生活を破壊するおそれがある。現在、Federal Communications Commission(米連邦通信委員会)は、SIMスワップ詐欺やポートアウト詐欺など、電話番号や個人情報を乗っ取る手口を防止するための新たな規則を制定しようとしている

同委員会によると、これらの乗っ取り手法によって「重大な苦痛、不便、経済的被害を受けた」消費者から多数の苦情が寄せられているという。SIMスワップとは、悪質な行為者が無線通信事業者を騙して、被害者のサービスを自分が保有する携帯電話に移す手法だ。悪質な行為者が被害者のサービスと番号を別の通信事業者に移すことに成功した場合、それはポートアウト詐欺と呼ばれる。

詐欺師が標的とする被害者の電話番号の支配権を得ることを難しくするために、FCCはCPNI(Customer Proprietary Network Information、顧客に関する専属的ネットワーク情報)とLocal Number Portability(地域電話番号ポータビリティ)の規則を改正しようとしている。具体的には、顧客が新しい電話機に機種変更したり、他の通信事業者へサービス移管することに同意する前に、より安全な方法で本人確認を行うことを事業者に求めるというものだ。また、SIMカードの移行や別の通信事業者への移転の要請が、顧客のアカウントで行われた場合、プロバイダーは顧客に通知して確認を取ることを義務付ける規則も提案している。

FCCの規則制定プロセスの一環として、現在これらの提案に対して一般市民がコメントできるようになっている。連邦通信委員会は、これらの提案を読んだ上で、一般市民が声を届けることができる機会を再度提供してから、前述の規則を改正するかどうかを決定しなければならない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Luciano Belviso Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

関連記事:米FCCがネット接続支援に1.08兆円の緊急支出開始、パンデミックによる悪影響が最も深刻な人々を支援

「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXがStarship軌道試験でStarlinkインターネットを使った接続品質の実証を行う予定

SpaceX(スペースエックス)が予定しているStarship(スターシップ)軌道試験飛行は、同社の技術力を示す正真正銘の見本市になるだろう。なにしろ今回SpaceXは、連邦通信委員会(FCC)に対して、Starlik(スターリンク)端末を宇宙船に搭載し、宇宙へ往復する間に地上との「高速通信の実証」を行うための承認を申請したのだ。

SpaceXの計画は、再突入時に大気中の「イオン化したプラズマ」の存在によって通常は通信信号が失われる部分であっても、地球低軌道衛星Starlinkのネットワークが「これまでにない量のテレメトリーを提供し、大気圏再突入時の通信を可能にする」ことを示すことだ(Michael Baylor[マイケル・ベイラー]氏のツイートより)。もしこれが成功すれば、SpaceXの試験飛行中に、これまで以上に優れたライブデータを提供することが可能になり、StarshipやSuper Heavy(スーパーヘビー)ローンチシステムの開発に役立つはずだ。そして、よりよい画質でさらに壮観な光景を、ライブで私たちに見せてくれることだろう。

打ち上げ時のテレメトリーやその他の通信手段にStarlinkを利用することは、もし説明通りに機能するならばSpaceXにとっては間違いなく機能向上となるが、Starlinkの能力をアピールするという意味では、それ以上に役立つものとなる。FCCに提出した資料によると、宇宙船に搭載される端末は、基本的には既存の民生用端末に新しい外装を施したものだ、すなわちこれがうまく機能すれば、より多くの民生用ブロードバンド顧客の注目を集めることができるだろう。

さらにSpaceXは、Starlinkの機能を、旧式でより遠い距離にある静止衛星ネットワークに代わって、飛行機や船、その他の輸送手段に対する接続を可能にするシステムだと饒舌に語っている。ロケット打ち上げ時にもしっかりとした性能を発揮することを示すことで、その分野でのパートナーを増やすことになるだろう。

申請によれば、Starship上のStarlink運用の免許は米国時間8月1日から始まるとされている。これは、SpaceXのGwynne Shotwell (グウィン・ショットウェル)社長が「7月中に打ち上げたい」と発言したものの次の打ち上げを意味しているか、あるいは、その打ち上げそのものがすでに翌月にずれ込んでいる可能性があることを示唆している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX FCC / 米連邦通信委員会StarlinkStarship

画像クレジット:Starship

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(文: Darrell Etherington、翻訳:sako)

【コラム】米国の低所得者ブロードバンド支援はLifeline Programの再構築で改革せよ

本稿の著者Rick Boucher(リック・バウチャー)氏は民主党米下院議員を28年間務め、米国下院エネルギーおよび商業対策委員会の通信・インターネット小委員会の議長を務めた。Internet Innovation Alliance名誉議長。

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「If you build it, they will come(それを作れば、彼らはやってくる)」は、行動を勇気づけるために30年以上繰り返されているスローガンだ。映画「Field of Dreams(フィールド・オブ・ドリームス)」に出てくるこの一文は、強力な格言だが、私はそこに一語加えてみたい。「If you build it well, they will come.(それをうまく作れば、彼らはやってくる)」。

米国のLifeline Program(ライフライン・プログラム)は、低所得世帯が不可欠な通信サービスを利用できるようにするための月額助成制度であり、すばらしい意図の下に作られた。当初の目標は誰もが使える電話サービスの構築だったが、連邦通信委員会(FCC)がこれをブロードバンド中心のプログラムに変更しようとしたことで、達成目標を大きく下回っている。

FCCのユニバーサルサービス管理会社の推定によると、現在同プログラムを利用しているのはLifeline有資格世帯のわずか26%だ。これは、低所得消費者の4人中3人が得られるべき恩恵に預かっていないことを意味している。しかし、これはJor Biden(ジョー・バイデン政権)が最近発表したインフラストラクチャー計画が示唆している、プログラムを廃止すべきだという意味ではない。

むしろ、今こそLifeline Programのブロードバンドへの転換を完了し、支援をブロードバンド市場に見合ったレベルへと引き上げることによって、利用価値を拡大するチャンスである。しかし、この計画に関するホワイトハウスの概況報告書は、インターネット利用サービスの価格統制を推奨し、低所得世帯への女性をフェーズアウトするとしている。これは欠陥のある政策処方箋だ。

もし、米国の世界的競争力を維持し、費用のかかる郊外地域にブロードバンド基盤を築き、国による5Gワイヤレスサービスの迅速な展開を続けることが国家目標なのであれば、政府はインターネットアクセスの価格を決めるべきではない。

手頃価格なブロードバンドを追求するために人為的な低価格を強制することによって、インターネットサービスプロバイダーは、国の通信インフラストラクチャーの要求を満たすための優れたなイノベーションと十分な投資に必要な収益を上げることができなくなる。

代わりにLifeline Programに目標を定めた変更を施すことによって、登録者が増え、現代世界で雇用、教育、医療、政府情報へのアクセスなどに不可欠な電話およびブロードバンドサービスを必要としている貧しい米国の人たちを繋ぐという目標の実現に近づくことができる。

まず、Lifeline Programへの登録をもっとずっと簡単にすべきだ。現在、サービスを利用しようとする個人は、個別の登録プロセスを使う必要がある。SNAP(補助的栄養支援プログラム、旧称フードスタンプ)やMedicaid(メディケイド、医療費補助性度)などの政府支援制度の対象者が、Lifelineに自動的に登録される「coordinated enrollment(連携登録)」を実施すれば、プログラムの深刻な低利用率は解消されるはずだ。

同じ市民たちを複数の政府プログラムが対象としているため、対象プログラムすべてに適用される単一の登録プロセスを作れば、政府・自治体の効率が高まり、機会を逃している国民に手を差し伸べることができる。

2014年にアメリカン・エンタープライズ研究所で講演したFCCのMignon Clyburn(ミニヨン・クライバー)委員は次のように語った。「ほとんどの州では、消費者はすでに、州政府が管理する国の支援プログラムに登録するために所得関連書類を集めル必要があり、プログラムによっては面接もあります。他の政府支援プログラムへの申請と同時にLifelineに登録できるようにすれば、消費者の体験は向上し、私たちの作業効率も高まります」。

次に、Lifeline特典の利用は、SNAPプログラムの電子給付金送金(EBT)カードのように、助成金が電子Lifeline給付カードアカウントを通じて直接入金されるようになれば、消費者にとってずっと簡単になる。Lifeline給付金カードによって、プログラムへの登録が簡単になるだけでなく、低所得層はさまざまなプロバイダーの中から、自分のニーズにぴったり合ったキャリアを選べるようになる。消費者の選択肢が広がることで、プログラムに登録する動機づけが高まる。

そして、Lifelineの現在の助成金、月額9.25ドル(約1000円)は、ブロードバンド契約に十分ではない。助成金が真に意味のあるものになるためには、月額の給付を増やす必要がある。2020年12月、議会は一時的なEmergency Broadband Benefit(緊急ブロードバンド支援)を承認し、パンデミック中、米国の低所得者はブロードバンド接続のために月額最大50ドル(約5400円)、部族所有地では75ドル(約8100円)の減額を受けられるようになった。緊急支援終了後には、ブロードバンド契約料金負担に見合った月額給付金が必要になる。

月間9.25ドル以上の支援を行うためには、Lifelineの財源も見直す必要がある。現在同プログラムはFCCのユニバーサルサービス基金に依存しており、その財源は従来の長距離および国際通話の「税金」で賄われている。

ウェブによる音声会話の利用が増え、伝統的電話の利用が減ったことによる固定電話サービスによる収入減を補うために、税率が引き上げられている。10年前、「contribution factor(寄与因子)」と呼ばれるこの税は15.5%だったが、現在は維持不可能な33.4%へと2倍以上に増えている。変革を起こさなければ問題は悪化する一方だ。

ブロードバンド給付金の財源を滅びゆくテクノロジーと結びつけておくべきでないことは明白だ。代わりに、Lifeline Programはインターネットエコシステム全体で共有される「税」で賄うことができる。例えば顧客とつながるためにブロードバンドに依存しているウェブサイトから、あるいはLifeline Programのための議会が定めた政府歳出予算から直接支出するなどだ。

ここに挙げた改革案は実現可能かつ単純明快だ。プログラムを廃止するのではなく、今こそLifelineを「再構築」し、当初の目標を実現して米国の最貧困層に手を差し伸べる時だ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Lifeline ProgramアメリカコラムインターネットブロードバンドFCC

画像クレジット:Paul Taylor / Getty Images

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(文:Rick Boucher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米FCCが生活困窮者に対し緊急時にブロードバンド接続を提供する補助事業を起案

FCCが、パンデミックの間にブロードバンドの料金を払えない人々を経済的に支援する大きな一歩を踏み出した。Emergency Broadband Benefit Program(EBBP)と呼ばれる施策は、承認されれば数百万の世帯に月額50ドル(約5200円)を助成し、部族の所有地にはさらに多くの助成を行う。

EBBPは2021年初めに議会を通過した予算の中にあり、困窮世帯のブロードバンド費用を補うために32億ドル(約3358億6000万円)を割り当てている。

FCCの委員長代理であるJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏は、次のように声明で述べている。「この度の危機で、インターネット接続がなければ、多くの世帯が仕事や医療、教育をはじめとした現代の生活から締め出されてしまうということが明らかになりました。ブロードバンドがもはや便利なだけのものでないことは、これまで以上に明らかです。必要不可欠なものです。しかし、米国民の多くは、この重要なサービスを利用できるだけの費用を用意することができないでいます」。

EBBPの全体的なところはすでに知られているが、2020年に議会が提案して以来、実際の形状を決めるのはFCCに任されている。ローゼンウォーセル氏が米国時間2月22日に内部的に回覧した規則は、それをアイデアから現実のものにするための重要な一歩となっている。

その重要な点は、誰がその恩恵を受ける資格があるのかを正確に説明するところにある。

  • FCCの既存のライフライン接続性補助プログラムの対象
  • 給食や朝食の助成を受けている人
  • 政府の返還不要奨学金の受給者
  • インターネップロバイダーの既存の低所得者補助やパンデミック関連事業の受給資格を満たす者
  • 2020年2月29日以降、大幅な損失を計上した者

最後の項は少々曖昧であるため、FCCに詳細を確認している(提案された規則はまだ公表されていない)。失業保険の受給者や、所得の減少率を文書で示せる者が対象になるのだろうか。その定義によっては、プログラムの対象は相当な数になるだろう。その点も現在、FCCに問い合わせている。

有資格世帯の多くが月額50ドルを受給し、部族所有地の住民は月額75ドル(約7900円)を受け取る。またデバイスの購入費用補助として、特定の業者から買った者には100ドル(約1万500円)が、1回限り提供される可能性もある。

この補助制度は、ルールからも想像できるように、実際に受給できるまでの手順が面倒なことになりそうだ。何よりもまずFCCのルールを議会が承認しなければならず、それは最速で進んでも2カ月はかかるだろう。その後、プロバイダーからのリクエストの検討にさらに時間を要する。あらゆる処理が最速で行われたとしても、最低で3カ月、問題が起きればさらにそれ以上を要するだろう。

ルールができた以上は、あとは時間の問題となる。低所得者はホッとしたかもしれないが、まだ先が長い。

カテゴリー:その他
タグ:FCC新型コロナウイルス

画像クレジット:John Lamb/Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ファーウェイが米商務省による「安全保障上の脅威」指定をめぐり提訴

今週初め、Huawei(ファーウェイ)のRen Zhengfei(任正非)CEOは、同社が望む米国の新政権との会談について、やや外交的な発言をした。このハードウェアの巨人はまた、FCC(米連邦通信委員会)が同社を国家安全保障上の脅威として指定したことに異議を唱え、あまり互譲的ではない路線をとっている。

Huaweiは今週、米国第5巡回区控訴裁判所に提訴し、FCCの裁定を「恣意的、気まぐれ、裁量の乱用であり、実質的な証拠に支えられたものではない」と主張した。

このスマートフォンメーカーと中国政府との関係には長年疑惑が渦巻いていたが、米国はDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権時代にHuaweiに対する行動を大幅に硬化させていた。米国政府は、実質的に同社を狙い撃ちするための多くの路線を敷いてきた。中でも特筆すべきは、米商務省が同社を「Entity List(エンティティリスト)」に記載し、米国企業との取引を事実上禁止したことだ。

関連記事:ファーウェイCEOはバイデン新大統領との会談を歓迎

Huaweiは米国の政権移行を、権力者による再評価を受ける機会と捉えているようだ。同社は長い間、スパイ行為やその他の安全保障上の容疑を否定してきた。「私が歓迎するのは、共同開発や成功の共有を回復させる電話やメッセージです」と、今週初めに任氏はJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領との会談を熱望していることをメディアに語った。「米国は経済成長を望んでおり、中国も同様に経済成長を望んでいます」。

しかし、FCCの広報担当者は、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)における声明の中で、2020年の決定に固執し「FCCは2020年、当委員会と多数の米国の国家安全保障機関によって示された実質的な証拠に基づき、Huaweiを国家安全保障上の脅威として特定する最終的な指定を発行しました。我々はその決定を引き続き守っていくつもりです」と述べている。

関連記事:バイデン政権のジーナ・ライモンド商務長官にはファーウェイをエンティティリストから外す理由がない

これまでのところ、バイデン政権はHuaweiに対する規制を緩和する計画を示していない。共和党議員の反対に対し、商務長官に指名されたGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏は、「これらのリストに記載されている企業を、記載されるべきではないと考える理由は現在のところありません」と強調し、「もし承認されたら、これらの企業や懸念される他の企業についての説明が設けられる機会を楽しみにしています」と述べた。

バイデン政権は、トランプ政権時代に行われた中国企業に対する他の措置を見直しているようだ。なお、ホワイトハウスが安全保障上の懸念を再評価している間、計画されていたTikTok(ティックトック)の米国事業の強制売却は保留されている。

関連記事:TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:HuaweiJoe BidenアメリカエンティティリストFCC裁判

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米連邦通信委員会がZTEの「国家安全保障上の脅威」指定停止の嘆願却下

米連邦通信委員会(FCC)は、ZTEへの「国家安全保障上の脅威」という指定を解除するための、同社の請願を却下した。これは米国企業がFCCの83億ドル(約8660億ドル)のユニバーサルサービス基金を利用して、ZTEから機器やサービスを購入することが引き続き禁止されることを意味する。

ユニバーサルサービス基金には、特に低所得者層や高コスト地域、地方の遠隔医療サービス、学校や図書館など、全米の通信インフラを構築するための補助金が含まれている。FCCは6月30日、ZTEが中国共産党や軍と密接な関係を持っているとして、米国企業が同基金を利用してHuawei(ファーウェイ)やZTEから機器を購入することを禁止する命令を出した。

多くの小規模通信事業者は、世界最大の通信機器プロバイダーであるファーウェイとZTEに、コスト効率の高い技術を依存している。2020年9月にFCCが通信事業者を調査した結果、ファーウェイとZTEの機器を交換するには18億ドル(約1880億円)以上の費用(Engadget記事)がかかると見積もった。

今年議会で可決された「Secure and Trusted Communications Networks Act(安全で信頼性のある通信ネットワーク法)」の下では、その金額の大部分は「リップ&リプレース(排除と取り替え)」と呼ばれるプログラムの下で償還の対象となる。しかし超党派の支持にもかかわらず、このプログラムはまだ議会から資金提供を受けていない(Law360記事)。

米国時間11月25日のZTEに関する発表の中でAjit Pai(アジート・パイ)議長は、FCCが12月10日に予定している次回の公開会議で、償還プログラムを実施するためのルールについて投票すると述べた。

FCCは2019年11月、国家安全保障上の脅威とみなされる企業がユニバーサルサービス基金から資金を受け取ることを禁止する命令を可決したが、ファーウェイはこの禁止令をめぐってFCCを相手取り訴訟を起こし、命令はFCCの権限を超え憲法に違反していると主張していた。

TechCrunchはZTEにコメントを求めている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ZTEFCC
画像クレジット:Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter