グーグルが3D広告フォーマットのSwirlを世界展開

Google(グーグル)は1年ほど前にベータ版を公開(グーグルブログ投稿)した広告フォーマット「Swirl」が、全世界で利用可能になったと発表した。Swirl形式には、インタラクティブな3D製品モデルを含むバナー広告が含まれる。同社はブログ記事で以下のように述べている。

「Swirlでは消費者が広告の中のプロダクトを回転させたり、ズームしたり、拡大したりできるようにすることで、目前の商品へとエンゲージできるようにする。同技術による広告ではブランドが行動の変化、新しいテクノロジーのパフォーマンス、ユニークな製品機能などを説明できるようになる」。

投稿ではSwirlのフォーマットを使用してすでに作成されたさまざまなキャンペーンについて説明しており、その中には日産スペインのSUV「Qashaqai」の新機能をアピールする広告や、アディダス・ラテンアメリカによる「Ultra Boost 2019」の広告などが含まれる。

広告は純粋に製品に焦点を当てる必要はない。ドッグフードのPurinaはSwirlを使って潜在的な顧客に3D犬のモデルを表示し、これは標準的な2D広告の6倍のエンゲージメントを得たという。

Swirlのキャンペーンを作成するために、広告主は3DアセットをGoogle Web Designerにアップロードするか、Polyを使用してモデルを編集できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NVIDIAのAmpere GPUがGoogle Cloudで提供開始、大手クラウドサービスとしては初

Nvidiaが今日、同社のAmpereベースのデータセンター用新型GPU「A100 Tensor Core GPU」を、Google Cloud上でアルファ版として公開したと発表した。その名か示すようにこれらのGPUはAIのワークロード、データの分析やハイパフォーマンスコンピューティングソリューション向けに設計されている。

A100は、前世代機に比べて大幅なパフォーマンスの向上を約束している。NVIDIAによると、A100はトレーニングと推論のパフォーマンスを前世代機の20倍以上アップする。実際のベンチマークの成績では6〜7倍ぐらいだろう。単精度のパフォーマンスでは19.5 TFLOPs、Tensor Float 32のワークロードでは156 TFLOPsに達する。

画像クレジット:NVIDIA

Google Cloudのプロダクト管理のディレクターであるManish Sainani(マニッシュ・サイニ)氏は、本日の声明で「Google Cloudのお客様は、AIや科学的コンピューティングのワークロードでイノベーションを推進するために、最新のハードウェアとソフトウェアのサービスを提供する当社を利用することが多い。新しいVM系列のA2では、私たちがNVIDIA A100 GPUsを市場に提供する初めての大手クラウドプロバイダーになることを誇りに思う。NVIDIAのT4 GPUsでも、私たちが最初だった。新しい機能でお客様がどのようなことをするのか、今から楽しみだ」と述べている。

Google Cloudのユーザーは最大16までのA100 GPUsのインスタンスにアクセスできる。合計640GBのGPUメモリと1.3TBのシステムメモリを利用可能だ。

画像クレジット: NVIDIA

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

インド政府の禁止命令を受けアップルとグーグルが数十の中国企業のアプリを削除

インド政府が中国企業開発の59のアプリを禁止した2日後、Google(グーグル)とApple(アップル)はインド政府の命令に従い、世界第2位のインターネット市場のユーザーがそうしたアプリを利用できないようにし始めた。

インド政府が禁止したUC BrowserやShareit、Club FactoryといったアプリはアップルのApp StoreとGoogle Play Storeから姿を消した。グーグルの広報担当は、同社がインド政府の暫定命令をレビューし、Google Play Storeで「(対象となる)アプリへのアクセスを一時的にブロックした」と声明文で述べた。

アップルもインド政府の命令に対しグーグルと同様の措置を取ったが、コメントの求めに応じなかった。

この件に詳しい人物は「ByteDance(バイトダンス)を含むいくつかのデバロッパーは自発的にアプリをインドでアクセス不可にした」とTechCrunchに語った。

インドの通信省は今週初め、通信ネットワークやインターネットサービスプロバイダーに「すぐさま」59のアプリへのアクセスをブロックするよう命じた。こうしたアプリの多くのウェブサイトがインドでアクセス不能になった。

両社のソフトウェアは地球上のほぼ全部のスマートフォンを動かしているが、これら2社の6月2日の動きは、このところ中国とインドの間でこれまでになく緊張が高まっている中でのものだ。

論争が展開されているヒマラヤ国境地帯で、国境を接する2国の間で先月あった小競り合いではインド兵20人が殺害され、緊張が一気に高まった。今週初め、インドは国家のセキュリティの懸念を理由にByteDanceのTikTokを含む59本のアプリを禁止した。一部の人は報復とみている。

禁止命令の中でインドの電子情報技術大臣は「これらのアプリがユーザーのデータを収集してマイニング・プロファイリングしていて『インドの安全保障と国防』にとって脅威となる」と主張した。

インド政府は一部の企業の役員を招いて懸念に応える機会を提供した。TikTokのCEOであるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏は7月1日「TikTokがインドのプライバシーやセキュリティに関する必要条件を満たしていて、今後さまざまな利害関係者と会うことを楽しみにしている」と述べた。

7月2日、中国のソーシャルネットワークWeiboは、インド大使館の要望でインドのNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相のアカウントを削除したと明らかにした。アカウントが削除される前、モディ首相は20万人超のフォロワーを抱えていた。

インドは近年、シリコンバレーと中国の企業にとって最大の「戦場」となっていた。グーグルやFacebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)といった米国のテックグループのように、Tencent(テンセント)やByteDance、Alibaba Group(アリババ・グループ)を含むいくつかの中国企業も過去10年、アグレッシブにインドで存在感を高めてきた。インドにユーザー2億人を抱えるTikTok(未訳記事)は、アジア第3位の経済であるインドを中国外における最大のマーケットとしてとらえている。

アプリ調査会社App Annieの幹部がTechCrunchと共有したデータによると、LikeeやXiaomi(シャオミ)のMi Community、TencentのWeChatなどが含まれる59本のアプリの先月の月間アクティブユーザーベースは合計で5億人超だった(インドのスマホユーザーのかなりの割合がこうしたアプリのいくつかを使用していて、オーバーラップも多数ある)。

画像クレジット: PRAKASH SINGH / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルがAI利用のスマート返信をYouTubeに導入、今後多国語展開も

Google(グーグル)のSmartReplyは、4年前にリリースされたAIテクノロジーを利用した省力化ツールで、GmailをはじめAndroidのMessagesPlay Storeのデベロッパーコンソールその他の場所で受信した内容を解析し、ふさわしい返信案の候補を表示する。 この機能をYouTubeのクリエーターも利用できるようになった。

同社の発表によれば、最新版のYouTube向けSmartReplyはビデオのクリエーターがファンのコメントに対して素早く効率的に返信できるようにすることを狙っているという

この機能はYouTubeのオンラインダッシュボードであるYouTube Studioに導入された。これは、クリエーターがビデオを管理し、統計をチェックすることなどによりチャンネルをプロモーションし、ファンとの交流を図るために設けられたツールだ。クリエイターはYouTube Studioのコメント欄からチャンネルのコメント全体を表示し、返信処理ができる。

YouTubeで多数のフォロワーを持つクリエイターにとってコメントへの返信は非常に時間のかかる作業だ。SmartReplyはこの問題の軽減を狙っている。

クリエイターは視聴者からのコメントをいちいち読んで返信を手入力せず、提案された返信案の1つをクリックして返信できる。たとえばファンが「次のビデオのテーマは何?」と尋ねている場合、SmartReply機能は「ありがとう!」や「どんどん続くよ!」といった返信を提案する。

GmailのSmarReplyは単語と短いフレーズを解析できるが、YouTube向けにの新バージョンはさらに幅広い子コンテンツ解析能力が必要だった。グーグルによればYouTubeコメントでは「絵文字、アスキーアート、言語種類の認識などを必要とした」ということだ。YouTubeのコメント投稿には略語、スラング、つづりの揺れなどが頻繁にみられる。このためYouTubeへのSmartReply実装には大きな困難があった。

Google AI Blogの記事に、こうした課題(やその他の課題)をどのように解決したがが詳しく説明されている。

SmartReplyはクリエーターが返信したいと考える可能性が高いコメントを選び、しかも適切な返信内容をを提案する必要があった。コメント内容を正しく認識するために機械学習をトレーニングするシステムが必要だったと同社は述べている。

スタートの時点はSmartReplyは英語とスペイン語のコメントで利用可能となっている。これはSmartReplyとして初のシステム言語の自動切り替えを含む複数言語サポートとなる。言語の種類や絵文字を認識するため文字符号を利用するシステムだという。

「SmartReplyはこうしたアプローチを利用しているため、この機能を今後さらに多数の言語に拡張することが可能となっている」と同社は説明する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルが新型コロナ禍で米国オフィスの閉鎖を少なくとも9月まで延長

数カ月前Google(グーグル)は、7月4日独立記念日の休暇後に米国オフィスの一部を再開する計画を発表した。よく練られた計画だが、それだけだった。米国の新型コロナウイルとの戦いの中、物事がうまくいかないのは明らかであり、グーグルは安全側に舵を取り直した。

Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたように、グーグルは事業の再開を9月7日以降に延期した。米国ではレイバーデー休日の後だ。Facebookなどのテック巨人と同じく、同社は社員に対して、今年いっぱい在宅勤務を続ける選択肢が与えられていることを伝えた。

関連記事:グーグルが一部の従業員をオフィスに戻す計画を発表

多くの人たちが今の状態のオフィスに戻ることを安心できない今、これは賢明な選択であり、通勤のための公共交通機関のこともある。ちなみにTwitterは5月に、社員が永久にリモートワークすることを認めると発表して話題を呼んだ。

米国時間6月30日、米国では4万7000人の新型コロナウイルス感染者が報告され、パンデミックが始まって以来最大の1日あたりの感染者数を記録した。

アリゾナ州、フロリダ州、テキサス州は感染の中心地となり、他の多くの州でもここ数週間感染者の増加を見ている。ウイルス蔓延への懸念がふたたび高まる中、多くの地域で事業再開が中止あるいは延期された。他の大手テック企業も再開計画を遅らせる可能性が高い。ほとんど場合、オフィスに戻るという選択肢にはリスクを冒す価値がない。

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルがスマートグラスのNorthを買収、Focals 2.0は出荷中止

Google(グーグル)は6月30日のブログ投稿で、カナダのスマートグラス企業であるNorth(ノース)の買収を発表した。Northは2012年にヒューマンインターフェイスハードウェアのスタートアップであるThalmic Labs(サルミックラボ)として誕生した。グーグルは買収の詳細を明らかにしていないが、先週The Globe and Mail紙が買収観測を最初に報じた。グーグルのデバイス&サービス担当副社長であるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏がブログを執筆した。同氏は、買収の主な動機としてNorthの「強力な技術基盤」を挙げた。

同氏はまた、グーグルの「アンビエントコンピューティング」開発に関するこれまでの取り組みについて強調した。アンビエントコンピューティングとはユーザーの日常生活に溶け込みバックグラウンドで行われるコンピューティングであり、今回の買収の背景にある戦略的な理由だ。オスターロー氏によると、Northはキッチナー・ウォータールー地域に拠点を構えるグーグルのチームに加わり、グーグルの「ハードウェアに関する取り組みとアンビエントコンピューティングの未来」を支援する。

別のブログ投稿で、Northの共同創業者であるStephen Lakeスティーブン・レイク)氏、Matthew Bailey(マシュー・ベイリー)氏、Aaron Grant(アーロン・グラント)氏は、買収について彼らの見解を述べている。今回の買収は「共有するビジョンを大きく前進させる」ため理にかなっていると語っている。また続けて、買収により、Northが昨年リリースした第1世代スマートグラス製品であるFocals 1.0のサポートを終了し、この数カ月にわたりリリースに向け苦しみながら準備してきた第2世代バージョンのFocals 2.0の出荷を中止することになるとも述べている。

Focalsはリリース後にメディアの注目を集め、これまでに発売された中で最も消費者に優しいウェアラブルグラスコンピューティングインターフェイスとなった。通常の眼鏡に非常によく似ており、アクティブコンピューティングコンポーネントを大きなアーム(つる)に収容しているが、メッセージやナビゲーションの方向などを示す透明なディスプレイ層はフレーム内に収めた。

Focals 1.0のデビューに関してNorthの共同創設者兼CEOのレイク氏は、同社は最初に開発したのはMyo(ミオ)ジェスチャーコントロールアームバンドで、それにより未来のアンビエントスマートコンピューティングプラットフォームと自然に関わる方法を作り出したと語った。腕を動かすとMyoは体が生成する電気信号を読み取り、コンピューターへの入力情報に変換する。MyoはGoogle GlassのようなウェアラブルコンピューターやVRヘッドセットなどと連携するよう設計されたが、連携相手となる機器が制御という点で全く物足りないものだとの認識に至り、Focalsを開発して根本的な問題に取り組むことにした。

だがFocalsにはいくつか大きな制約があった。購入したい人は最初にフィッティングのために物理的に出かけて行き、準備ができたらもう一度調整に行く必要があった。また非常に高価であり、通常の眼鏡をかける者の多くが必要とする処方箋をすべてサポートしているわけではなかった。Apple(アップル)のiMessageプラットフォームへのアクセス制限を含むソフトウェアの制約も、アップルのモバイル機器ユーザーの利用を妨げた。

North(およびその前のMyo)は、近くにあるウォータールー大学から才能ある優れたメカニカルエレクトロニクスのエンジニアを採用してきたが、同社のアイデアはだいたい消費者の関心を引き付けることに失敗してきた。経営を独立して持続するにはそうした消費者からの関心が必要だ。同社は創業以来、約2億ドル(約210億円)の資金を調達した。上述したように、グーグルが支払った総額は明らかではないが、大ヒットといえるようなイグジットではなかったようだ。

Northはユーザーへのメールで、Focalsの購入代金をすべて払い戻すと述べた。おそらくソフトウェアサポート終了についての苦情を一掃するためだ。サポートは比較的すぐ、2020年7月31日に終了する。

画像クレジット:North

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(翻訳:Mizoguchi

Googleスプレッドシートがデータのオートコンプリート機能を追加へ

米国時間6月30日、Google(グーグル)は、Googleスプレッドシートを改訂し、表の作成とデータ分析をちょっと便利にした。

中でも興味深い新機能がSmart Fill(スマートフィル)だ。Gメールで文章を自動的に補完してくれるSmart Compose(スマート・コンポーズ)のスプレッドシート版と思えばよい。Smart Fillは2020年中に公開される。

「例えばフルネームが入った列があり、ファーストネームとラストネームの2列に分けたいとする」とグーグルは発表で話し「新しい列にファーストネームをタイプすると、Googleスプレッドシートが自動的にパターンを検出し、列内の残りのセルをオートコンプリートする」と説明した(下の画像参照)。

なかなか気の利いた機能だが、Microsoft(マイクロソフト)はすでにML(機械学習)ベースの機能をExcelに多数導入しており、例えばスプレッドシートの内容に応じて新しい列の作成まで自動でしてくれる。先日開催されたデベロッパーカンファレンスのMicrosoft Buildでは、こうしたAIに基づくデータタイプを100種類以上に増やしたことを発表した。使う場面は少々異なるが、両社とも似たような技術を使ってスプレッドシートの作成を簡単にしようとしている。

グーグルの新機能で優れているのは、単に魔法のように列を埋めるのではなく、数式を作って埋め込むことで、必要に応じてデータを修正できる柔軟性があるところだ。

もう1つ、近々加わる新機能がSmart Cleanup(スマートクリーンアップ)で、重複データや書式の問題を見つけて、名前の通りデータをクリーンアップしてくれる。スプレッドシートが修正を提案するので、ユーザーは採用するかどうかを決めればよい。

グーグルは同時に、Connected Sheets(コネクテッドシート)の一般公開も発表した。BigQuery(ビッグクエリ)とスプレッドシートをつなぎ、シート内のペタバイト単位の大量データをSQLやプログラミング言語を知らなくても分析することができる。この機能はスプレッドシートの使い方さえ知っていれば、会社内の誰でもビッグデータを分析してグラフを作れるようになる、というデータの民主化を目的としている。

現在Connected Sheetsは、G Suite Entereprise、G Suite Enterprise for EducationおよびG Suite Enterprise Essentialsのユーザー向けに公開されている。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Aclimaとグーグルが研究者にカリフォルニアの大気汚染の新データセットを公開

Collision from Homeカンファレンスの一環として、AclimaでCEOを務めるDavida Herzl(ダビダ・ヘルツル)氏は、Google(グーグル)と協力して作成した新しいデータセットを発表した(Collisionリリース)。

科学コミュニティに無料で提供される今回のデータは、4年間のデータ収集と集計の集大成であり、カリフォルニア州全体で4200万回の大気質測定が行われた。

Aclimaのセンシングと分析ツールはGoogleストリートビューの撮影車両に統合され、ジョイントベンチャーでサンフランシスコのベイエリア、ロサンゼルス、カリフォルニアのセントラル・バレーの大気汚染物質と温室効果ガスレベルを測定した。

撮影車両は二酸化炭素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、メタン、ブラックカーボン、微粒子汚染物質のデータを収集した。両社は今回のデータセットの公開で、大気汚染や温室効果ガスのデータ測定によって前進する分野の研究を支援できるはずだと述べている。

一連のデータはテキサス大学オースティン校と環境防衛基金(EDF)の研究者たちによって2017年に発表された論文で使われている。それによると汚染の度合いは、都市ブロック間で5倍から8倍にもなるという。2018年にEDFとKaiser Permanenteは、オークランドの路上における汚染と心臓病の発生率の上昇とを結びつける研究を発表した。2020年には、Aclimaのデータのサブセットを用いて渋滞課金による環境利益を推定した。

カリフォルニア州の大気に関する完全なデータセットを研究者が利用できるようになったことで、健康に悪影響を及ぼし、気候を変化させる排気ガスの量を明らかにし削減するためには、街頭レベルの大気の質を測定して分析することが不可欠であると、Aclimaとグーグルは主張している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleがスマートスクリーンのNest Hub Maxでグループビデオ通話をサポート

ビデオチャットは、Amazon Echo ShowやGoogle Nest Hub Maxなどのスマートスクリーンの大きなセールスポイントだ(MaxでないNest Hubには今だにカメラがない)。しかしMaxもこれまでビデオ通話は1対1でしかサポートされていなかった。 たいていの場合これで構わなかったが、パンデミックでソーシャルディスタンスが義務化され、多くの人が友人や家族から離れて過ごしているため、グループビデオチャットは生活に必須なサービスとなっている。

これが企業がZoomのようなビデオ会議アプリに殺到した理由だ。Zoomなどはこれまでビジネス専用だったが、そうした事情で一般ユーザーにも人気が高まっている。Googleももちろんここに可能性があることに気づいており、Nest Hub MaxのDuoにグループビデオを導入することを発表した。

今回、ビデオチャットは最大32人までサポートされた。スマートスクリーンの自動フレーミング機能(Facebookの同種のディスプレイにあるものと似ている)を利用して通話相手全員を表示することが可能だ。グループ機能はLG、JBL、LenovoなどサードパーティのGoogle対応スマートスクリーンにも搭載される予定だ。グループチャット機能を利用するにはモバイルアプリを介してDuoでグループを作成する必要がある。グループを作成した後は音声で起動できる。

グループのサポートはビジネス利用にも有利となる要素だ。スマートスクリーンのビジネスユースはこれまで可能性に留まっていた。しかし自宅が多くの人々のオフィスとなってきた現在、スマートスクリーンで会議やミーティングができれば大いに役立つ。G SuiteでGoogleアシスタントのベータに登録しているユーザーはGoogle Meetからビジネス会議に参加できる。

グループビデオは今後数週間かけて順次利用可能となる。

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滑川海彦@Facebook

グーグルが「新しいニュース体験」 のコンテンツ提供に向け出版社にライセンス料支払いへ

Google(グーグル)は米国時間6月25日、現在取り組んでいる「新しいニュース体験」サービスを今年中に開始し、パブリッシャーにコンテンツのライセンス料を支払うと発表した。

Axiosがこのニュースを最初に報じ、グーグルのBrad Bender(ブラッド・ベンダー)氏がブログ記事で詳細を明らかにしたところによると、同プロジェクトはまずGoogle News and Discoverとしてローンチされ、「参加する出版社は、人々がより複雑なストーリーに深く入り込み、情報を得て、さまざまな問題や興味のある世界に触れることができる強化されたストーリーテリング体験を通じて、コンテンツの収益化を支援する」述べている。

大手インターネットプラットフォーム(特にグーグル)がどの程度パブリッシャーに報酬を支払うかは、しばしば議論の的となってきた。Facebook(フェイスブック)グーグルはともに、ジャーナリズムへの直接の資金提供と新製品、研究、パートナーシップを組み合わせた、大規模なニュースイニシアチブに資金を提供している。しかし、一部のパブリッシャーや規制当局はグーグルに対し、検索結果にニュースコンテンツの一部を表示することに対して料金を支払うよう求めている

「我々はこれまで高品質のコンテンツに資金を提供してきたが、今回のプログラムはこの種のジャーナリズムの創造を支援という点で重要な一歩だ」とベンダー氏は語る。「手始めにドイツ、オーストラリア、ブラジルの出版社とパートナーシップを結んでいる」。

ブログ記事ではドイツのSpiegel Group、オーストラリアのInQueenslandとInDaily、ブラジルのDiarios Associadosなどが、参加パブリッシャーとしてあげられている。どうやらグーグルは、有料コンテンツへの無料アクセスを提供するために出版社に支払うことを提供しているようだ。

「我々は常に、質の高いコンテンツに読者を引き付ける革新的な方法を模索している」と、Spiegel Groupでマネージングディレクターを務めるStefan Ottlitz(ステファン・オットリッツ)氏は声明で述べている。「グーグルとのこの興味深い新たなパートナーシップにより、名声高い編集者の声を反映し、当社のアウトリーチを広げ、信頼できるニュースを魅力的な方法でグーグル製品全体に提供する体験を提供できるようになる」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ニュース媒体向けGoogleアナリティクスツールに読者を増やすためのリコメンデーション機能などが加わる

Google(グーグル)が、ネット上の読者をもっとよく理解し、なんとか自分のビジネスに組み入れたいと思っているニュース制作部門のための新しいツールを発表(Google News Initiative Training Centerリリース)した。

これらは、2018年に始まったGoogle News Initiativeに含まれるもので、上質なジャーナリズムを育て、ニュースを産業として支援するためのものだ。同社はGoogle Analyticsを利用するジャーナリズムにフォーカスした2つのプロダクトを導入。1つはパブリッシャーが読者を増やして利益を上げるためのツール「News Consumer Insights」、もう1つはニュースルームのユーザーがさまざま時点のトレンドを知るための「Realtime Content Insights」ツールだ。

グーグルでニュースと出版のためのアナリティクスと収益最適化部門を担当しているディレクターを務めるAmy Adams Harding(エイミー・アダムス・ハーディング)氏によると、「『ニュースの世界の人たちは膨大な量のデータに溺れそうになっている』という話を何度も聞いている。彼らは数の津波の中で具体的なアクションに結びつく情報を選り分けることが困難と感じている」とのこと。

同氏は「Google Analyticsを使っている人なら誰でもアクセスできることが、チームにとって 『重要』だった」と付け加えた。

米国時間6月24日に同社は、News Consumer InsightsとRealtime Content Insightsのバージョン2をリリースし、さらに、News Tagging Guide(NTG)と呼ばれる新たな機能を加えた。

画像クレジット: Google

NTGは、パブリッシャーが必要なデータを容易に集められるようにする。そのためにまず、データを3つのカテゴリー、ビデオのアナリティクスとユーザーのエンゲージメント、そして購読売上に分類する。パブリッシャーがカテゴリーと必要なデータタイプを指定すると、グーグルがJavaScriptのコードを発行する。パブリッシャーがそのコードを自分のウェブサイトにコピーすると、Google Analyticsに関連のデータが入ってくるという流れだ。

一方のNews Consumer Insights(NCI)は、パブリッシャーのためのパーソナライズされたリコメンデーションが加わった。例えば、パブリッシャーのニュースレターの申し込みが増えてないと指摘し、読者を増やすさまざまな方法を提案する。ハーディング氏は「NCIのリコメンデーション機能は前からあったが、パブリッシャーがたえず一般的なプレーブックに戻らないと見つからないし、単純にデータを見ているときにもっとも適切なリコメンデーションが高輝度表示されるのではなかった」と語る。。

そしてRealtime Content Insightsは、ビデオコンテンツの場合と同じようなデータが含まれるようになるほか、パフォーマンスの履歴も見られるので各記事の一定期間の人気、そしてその順位がわかる。基になるデータはページビューだけでなく、ソーシャルな共有とエンゲージメントなども含まれ、記事の人気を通りすがりの読者と定着読者(1カ月に複数回訪問)、および愛着読者(月に15回以上)に分けて判断できる。

グーグルでNews Consumer InsightsとRealtime Content InsightsとGoogle Surveys for Publishersを担当しているAnntao Diaz(アンタオ・ディアス)氏は「記事に優劣をつける気はない」と語る。同氏によると「むしろ重要なのは、どの記事がどんな読者を引き付け、どんな目的に役立っているかだ。そういった記事は全体的な読者増に貢献し、今後のサブスクリプションにもつながる固定客(定着読者や愛着読者)を増やすだろう」と語る。

グーグルはすでに、TIME誌や、地方紙を発行しているLee Enterprisesなどとともに、これらの機能をテストしてきた。Lee Enterprisesのアナリティクス担当ディレクターであるKyle Rickhoff(カイル・リッホフ)氏は、声明で「Lee Enterprisesは新聞業界の中でも読者層が増え続けているほうだ。そんな中でGoogle News Initiativeとのパートナーシップは、我々の成績を定量化して判断するための優れたインサイトを提供してくれる。News Tagging Guide機能が加わったNews Consumer Insightsのニューバージョンは、読者のエンゲージメントに関する理解をより正しくし、ビデオやエンゲージメントのコンバージョン、よりよいデータによるオンサイトのサブスクリプションなど、さまざまなビジネス機会の優先順位をより正しく付けられるようにしてくれた」と語る。

関連記事:Googleはジャーナリスト向けの新たなリアルタイムデータ製品を発表

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがプライバシーポリシーを一部変更、ユーザーがデータを自動削除可能に

Google(グーグル)は米国時間6月24日の水曜日、ユーザーのプライバシーに関していくつかの変更を加えたと発表した。

グーグルはブログ記事で、ユーザーが同社のモバイルアプリを使っている時のデータ収集を一時停止できるようにし、より簡単に「匿名」になれると伝えている。また同社のSecurity Checkupツールには、積極的なプロアクティブなアカウントセキュリティ推奨機能が追加されている。

さらに同社は、ユーザーが18カ月後にデータを自動削除できるようになると伝えている。詳細は以下のとおりだ。

本日から、初めて位置履歴をオンにすると(デフォルトではオフ)、自動削除オプションがデフォルトで18カ月に設定されます。Web & App Activityの自動削除も、新規アカウントの場合はデフォルトで18カ月になります。つまり、アクティビティデータは削除を選択するまで保持されるのではなく、18カ月後に自動的かつ継続的に削除されます。これらの設定はいつでもオフにしたり、あるいは自動削除オプションを変更したりできます。

今回のプライバシーの変更は、欧州の規制当局が同地域におけるグーグルの位置データの処理について調査を開始してから、数カ月後に実施された。

一方で米国では、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の殺害事件後の警察の残虐行為に対する抗議行動の最中、グーグルもユーザーのプライバシー保護と法執行機関への技術提供の両立という新たな問題に直面しているシリコンバレーのテック大手の1社である。

1000人以上のグーグルの従業員が、米全土の警察へ同社の技術の販売をやめるように要請している。Amazon(アマゾン)、IBM、Microsoft(マイクロソフト)はすでに警察への顔認証技術の販売を中止しているが、それでも連邦法執行機関に販売する余地は残している

グーグルはまた、ブラウザーの 「匿名」モード でユーザーのインターネット利用を広く追跡していたとして、カリフォルニアで50億ドル(約5400億円)の集団訴訟にも直面している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleドキュメントの文法チェック機能が英語に続いてスペイン語もサポート

スペイン語を書くことの多い人に朗報だ。米国時間6月23日にGoogle(グーグル)は、オンラインテキストエディターであるGoogleドキュメントのニューラルネットワークを使った文法チェック機能がスペイン語にも対応した。ただし英語の場合と同じく、この機能は目下G Suiteの利用者でないと使えない。G Suiteユーザーなら、今すぐ使うことができる。グーグルによると、この機能は今後一般ユーザーや教育機関にも提供される予定だ。

さらにグーグルは、ユーザーに代わってセンテンスを完成させるSmart Composeと自動スペルチェック機能のスペイン語版が2020年の終わり頃にGoogleドキュメントに追加されると発表した。。また、スペイン語の文法チェック機能は近くGmailにも搭載される。英語の文法チェック機能はGmailにすでに搭載されている。

グーグルが英語の文法チェックを導入したのは2019年2月のことで、Google Cloud Nextで発表されたのは2018年半ばのことだ(未訳記事)。Googleドキュメントには文法チェッカーが以前から搭載されていたが、新ツールではグーグルが翻訳サービスで培った機械学習の技術を利用している。ということは、グーグルは新しい言語をサポートするたびに新しいニューラルネットワークを訓練していることになる。

近い将来、他の言語もサポートして欲しいが、なにしろ現在、Googleドキュメントでサポートしているのは英語とスペイン語だけだ。

なおグーグルのツールは、ユーザーが書いている言語を自動的に認識するため、Googleドキュメントでは入力する言語を切り替える必要はない。

 

グーグルとMicrosoft(マイクロソフト)、Grammarlyが次世代型のスペルチェックと文法チェックを提供するようになり、数カ月前と比べてその競争が激しくなってきている。マイクロソフトとGrammarlyのまた違うアプローチをとっており、複数のアプリケーションで使えるエクステンション(拡張機能)を提供している。Microsoft Editorは一部のウェブアプリケーションでテキストフィールドをサポートしている。ただしMicrosoft Editorでは、Microsoft Wordが20以上の言語をサポートしているが、いずれも最先端のツールはしばらくの間、有料のユーザーだけが利用できるようになっている。それは、ニューラルネットワークはそれ自体だけでは動かないためだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleがカメラ46台を使って実現する「ライトフィールドビデオ」は物の裏側も見られる

Googleが、ふつうの写真やビデオをもっと没入的にしてしまう、とても感動的な方法を披露している。それは、見る人が遠近や視野角を変えられ、フレームの中の物の回りをぐるりと見ることもできる。ただし、46台のカメラを同期させて動かす技術と環境のない人は、この「ライトフィールドビデオ」今すぐ作ることはできない。

SIGGRAPHで発表される予定のこの新しいテクニックは、数十台のカメラが同時に撮った映像を利用して、巨大な複眼のようなものを作る。その多くの視野角や奥行き感を一つの映像にまとめると、見る人が視点を移動するとリアルタイムで情景も変わる。

研究論文に載ってるこの画像はカメラによる視界の捉え方と分割の仕方を示している。

HD以上の高精細度と移動の自由があれば、このライトフィールドビデオは本物のような現実感を見る人に与える。これまでのVR化ビデオは、以前からよくある立体眼鏡のような3Dを使うから、視点の変化に追随しない。写真の中の奥行きを理解して遠近感を加えるFacebookの方法は巧妙だが、制限がありすぎて、遠近感のほんのわずかな変化しか作り出せない。

Googleのビデオでは、見る人が頭を1フィート横へ動かすと角(かど)をぐるりと回ったり、物の向こう側を見れたりする。その像は本物そっくりに精細で動きもなめらかだが、3Dの映像なのでほんのちょっと視点を変えただけでも、それが正確に反映される。

画像クレジット: Google

そして相当巨大な装備を使うので、ひとつのシーンの、ひとつの視野角から隠れている部分も、別の視野角から見られる。見る人が右端から左端へ動いてズームインすると、まったく別の光景が見える。映画「ブレードランナー」の、あの悪名高い「拡張シーン」を思い出して、ちょっと気味が悪い。

これの最高の体験が得られるのはVRだと思うが、プロジェクトのWebサイトにはこのシステムのスチルバージョンがある。そしてChromeブラウザーを持ってる人なら、このブラウザーの実験的機能をインストラクションを読んで有効にすると、ライトフィールドビデオのデモをいろいろ見られる。

この実験は、昨年の終わりごろに見た、人間の動作を3D的に捉えるLEDの卵に似ている。明らかにGoogleのAI部門はメディアをよりリッチにすることに関心があるようだけど、車のように大きなカメラをたくさん並べて実現する技術を、Pixelスマートフォンでどうやって再現するか、それはまだ、誰にもわからない。

関連記事: Google AIのチームが開発した卵型LEDルームが人間の3Dモデルを見事に捉える

画像クレジット: Google

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

グーグル社員が警察への同社技術の提供に抗議

TechCrunchの情報筋によると、テクノロジーを警察に売るなと要求するGoogle(グーグル)社員グループの人数が、1666名を超えてまだ増え続けている。

社員は、Alphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に宛てた書簡で次のように主張している。「グーグルが警察への販売をまだ続けていること、そして警察との結びつきを何か進歩的なことのように広告して、警察との関係を断ってその力を弱めることを願っている多くの人びとの側につくことなく、むしろ販売の拡大を求めていることに失望している。George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の首をヒザで抑えつけた者のいる機関がさらに強力な組織になることを、なぜ支援しなければならないのか?それだけではなく、グーグルがサクセスストーリーとして広告しているその同じクラークスタウンの警察は、Black Lives Matterの組織者たちを不法に監視して何度も訴えられている」。

例えばグーグルは、クラークスタウンの警察がG Suiteを使って情報とデジタルの証拠を共有していることをリリースで採り上げている。一方でグーグルはシアトルの警察財団に寄付をしたり(The Guardian記事)、同社のベンチャーキャピタル部門GVが警察が使用する人工知能技術を開発しているスタートアップに投資したりしている(The Intercept記事)。

一方、グーグルのスポークスパーソンはTechCrunchに次のように語っている。「私たちは、構造的な人種差別との戦いに変化をもたらす事業に力を入れており、弊社の社員は最近数週間だけでも500あまりのプロダクトの提案を行なっており、それを検討している。今回の件に関して、弊社は何年も前に大企業として初めて顔認識を商用利用には提供しないと決めている。また弊社のAI原則は、技術の監視への利用と販売を明確に禁止している。GmailやG Suite、そしてGoogle Cloud Platformのような一般的なコンピューティングプラットフォームに関しては長年の利用規約があり、今でも国や地方の行政機関に提供されており、その中には警察も含まれている」。

書簡で社員たちは、自分たちが働いている会社に誇りを持ちたいと語っている。そしてその気持ちにグーグルが応えることを望んでいる。

「米国全土に浸透している警察の人種差別主義の伝統は、奴隷制とジェノサイドから得られた富を守るために警察力が必要とされたことにその起源がある。人種差別の遺産を一掃する努力はまだ先が長いが、まずその第一歩として、私たちは人種差別的な取り締まりで利益を得ているビジネスをすべきではありません。私たちは、Black Lives Matterを唱和しながら黒人を犯罪者扱いするビジネスをすべきではありません。私たちは、私たちはグーグル社員は、私たちの技術の警察への提供を止めるよう呼びかける」と書簡にある。

グーグルが社員たちの圧力で契約を取り下げた例が過去にある。国防総省の軍用ドローン計画Project Mavenは、社員たちの請願によりグーグルが契約の更新を行わないことになった。そして2018年10月にグーグルは、国防総省の大規模なクラウドコンピューティング契約であるJEDIの入札から下りた(未訳記事)。

警察などの法執行機関と契約しているテクノロジー企業は、グーグルだけではない。例えば、Salesforce(セールスフォース)は社員などからの抗議にもかかわらず長年、税関・国境取締局と契約している(未訳記事)。

最近では、ポジティブな変化もある。2020年6月初めには、IBMが警察と監視社会のツールになっている顔認識技術を販売しないと発表したMicrosoft(マイクロソフト)も最近、国の規制がない現状では顔認識技術を警察に売らないと発表し、Amazon(アマゾン)は同社の顔認識技術の警察による利用を1年間停止した。これらは、警察が丸腰の黒人であるジョージ・フロイド氏を殺害したことへの、直接的な反応だった。

フロイド氏の死に関してピチャイ氏は、社員宛てのメール(Googleブログ)で「米国の黒人コミュニティが傷ついている。私たちの多くが、自分たちの信念のために立ち上がり、愛する人びとに連帯を示す方法を探している」と述べている。

彼はまた、グーグルが反人種差別団体に1200万ドル(約13億円)を寄付するやり方を述べている。その後ピチャイ氏は、社内的には、2025年までに管理職レベルのダイバーシティを30%アップするなど反人種差別に対する同社の取り組みを詳しく述べた(Googleブログ)。

「私たちは、グーグルに人種差別をなくすための実効的な手段を講じて欲しいと願っています。私たちの社会は、Black Lives Matterを唱えてれば十分だった時代を、過去のものにしてしまった。黒人の命が他と同等に重要であることを、私たちの思想と言葉と行動で示していく必要がある」と同社社員は記している。

関連記事:テック業界はジョージ・フロイドの死をどう受け止めたのか

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグル社員が警察への同社技術の提供に抗議

TechCrunchの情報筋によると、テクノロジーを警察に売るなと要求するGoogle(グーグル)社員グループの人数が、1666名を超えてまだ増え続けている。

社員は、Alphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に宛てた書簡で次のように主張している。「グーグルが警察への販売をまだ続けていること、そして警察との結びつきを何か進歩的なことのように広告して、警察との関係を断ってその力を弱めることを願っている多くの人びとの側につくことなく、むしろ販売の拡大を求めていることに失望している。George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の首をヒザで抑えつけた者のいる機関がさらに強力な組織になることを、なぜ支援しなければならないのか?それだけではなく、グーグルがサクセスストーリーとして広告しているその同じクラークスタウンの警察は、Black Lives Matterの組織者たちを不法に監視して何度も訴えられている」。

例えばグーグルは、クラークスタウンの警察がG Suiteを使って情報とデジタルの証拠を共有していることをリリースで採り上げている。一方でグーグルはシアトルの警察財団に寄付をしたり(The Guardian記事)、同社のベンチャーキャピタル部門GVが警察が使用する人工知能技術を開発しているスタートアップに投資したりしている(The Intercept記事)。

一方、グーグルのスポークスパーソンはTechCrunchに次のように語っている。「私たちは、構造的な人種差別との戦いに変化をもたらす事業に力を入れており、弊社の社員は最近数週間だけでも500あまりのプロダクトの提案を行なっており、それを検討している。今回の件に関して、弊社は何年も前に大企業として初めて顔認識を商用利用には提供しないと決めている。また弊社のAI原則は、技術の監視への利用と販売を明確に禁止している。GmailやG Suite、そしてGoogle Cloud Platformのような一般的なコンピューティングプラットフォームに関しては長年の利用規約があり、今でも国や地方の行政機関に提供されており、その中には警察も含まれている」。

書簡で社員たちは、自分たちが働いている会社に誇りを持ちたいと語っている。そしてその気持ちにグーグルが応えることを望んでいる。

「米国全土に浸透している警察の人種差別主義の伝統は、奴隷制とジェノサイドから得られた富を守るために警察力が必要とされたことにその起源がある。人種差別の遺産を一掃する努力はまだ先が長いが、まずその第一歩として、私たちは人種差別的な取り締まりで利益を得ているビジネスをすべきではありません。私たちは、Black Lives Matterを唱和しながら黒人を犯罪者扱いするビジネスをすべきではありません。私たちは、私たちはグーグル社員は、私たちの技術の警察への提供を止めるよう呼びかける」と書簡にある。

グーグルが社員たちの圧力で契約を取り下げた例が過去にある。国防総省の軍用ドローン計画Project Mavenは、社員たちの請願によりグーグルが契約の更新を行わないことになった。そして2018年10月にグーグルは、国防総省の大規模なクラウドコンピューティング契約であるJEDIの入札から下りた(未訳記事)。

警察などの法執行機関と契約しているテクノロジー企業は、グーグルだけではない。例えば、Salesforce(セールスフォース)は社員などからの抗議にもかかわらず長年、税関・国境取締局と契約している(未訳記事)。

最近では、ポジティブな変化もある。2020年6月初めには、IBMが警察と監視社会のツールになっている顔認識技術を販売しないと発表したMicrosoft(マイクロソフト)も最近、国の規制がない現状では顔認識技術を警察に売らないと発表し、Amazon(アマゾン)は同社の顔認識技術の警察による利用を1年間停止した。これらは、警察が丸腰の黒人であるジョージ・フロイド氏を殺害したことへの、直接的な反応だった。

フロイド氏の死に関してピチャイ氏は、社員宛てのメール(Googleブログ)で「米国の黒人コミュニティが傷ついている。私たちの多くが、自分たちの信念のために立ち上がり、愛する人びとに連帯を示す方法を探している」と述べている。

彼はまた、グーグルが反人種差別団体に1200万ドル(約13億円)を寄付するやり方を述べている。その後ピチャイ氏は、社内的には、2025年までに管理職レベルのダイバーシティを30%アップするなど反人種差別に対する同社の取り組みを詳しく述べた(Googleブログ)。

「私たちは、グーグルに人種差別をなくすための実効的な手段を講じて欲しいと願っています。私たちの社会は、Black Lives Matterを唱えてれば十分だった時代を、過去のものにしてしまった。黒人の命が他と同等に重要であることを、私たちの思想と言葉と行動で示していく必要がある」と同社社員は記している。

関連記事:テック業界はジョージ・フロイドの死をどう受け止めたのか

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのKeenは機械学習版のPinterest

Area 120というGoogle(グーグル)の社内インキュベータからKeenという「AIが関心あるトピックをクラウドから集めてくれる」サービスが登場した。いわばGoogleアラートの改良版だ。ただしGoogleアラートがGoogle検索の結果をメールで通知するだけなのに対して、Keenは機械学習と人間の判断を組み合わせ、トピックをキュレーションする専用ページを作ってくれる。

ユーザー興味を抱いている個々のトピックはKeenと呼ばれる(頭の回転が速いことを指す形容詞から取ったのだろう)。

共同創業者のC.J. Adams(C.J. アダムズ)氏によれば、ヒマな時間にぼんやりスマホを眺めて画像や記事を延々とブラウズしていることに気づいたことがこのプロジェクトのアイデアのきっかけだったという。アダムズ氏は同じ時間を使うなら自分が興味を持つトピックについて学ぶほうがずっとよいと考えた。つまり深く知りたいと思っていたテーマや学びたかった技能などだ。

このアイデアを発展させるためにアダムズ氏はGoogleの同僚4人を誘った。またPeople and AI Research(PAIR、人間とAI検索)チームの協力を得て作ったのがKeenだという。「人間とAI検索」は人間の活動を中心としてそれを助ける機械学習に焦点を当てたテクノロジーを開発しているチームだ。

KeenはウェブとAndroidで公開されており、利用するにはGoogleアカウントでログインして調べたいトピックを入力すればよい。アダムズ氏はリリースノートでパン焼きバードウォッチングタイポグラフィなどの例を挙げている。

キーワードを入力するとKeenは関連するトピックを提案してくれる。「犬の訓練」と入力すると、「犬の訓練教室」「犬の訓練本」「犬の訓練のコツ」「犬の訓練ビデオ」などが提案されるので適当なものがあればクリックするとそのテーマでKeenが作成される。

後でKeenを開くと興味に合致したコンテンツの画像がピンボードとして表示される。「犬の訓練」の例では、下の画像のように各種記事、YouTube動画、キュレーションされた役に立つソースのリストから、犬の訓練用おやつ製品のAmazonリンクなどが収集されている。

作成されたトピックについてサービスはGoogle検索と機械学習で新たなコンテンツを発見、収集する。ユーザーがKeenにコンテンツを追加、内容を整理すればKeen側からのレコメンデーションも精度もアップする。

使用感はPinterestのAI自動化版といったところだ。

Keenでトピックが作成されたらコンテンツを追加、削除できるのはもちろん、他のユーザーがコレクションを閲覧、編集できるよう共有するオプションもある。コレクションは公開することも、非公開にすることもできる。また新しいコンテンツが追加されたときメールで通知を受け取ることもできる。

実はGoogleアプリのニュースフィードは似たようなテクノロジーを使っている(The Verge記事)。ニュースフィードの場合、ユーザーの検索履歴とユーザーが興味も持っていると入力したテーマを組み合わせて収集された最新ニュースその他の情報がGoogleアプリのホーム画面に配信される。ただしKeenは検索履歴にはタッチせず、ユーザーが直接入力したトピックだけに基づいてコンテンツを収集するという。

またニュースフィードがそのタイトルどおり最新の情報に焦点を当てているのとは異なり、Keenはトピックに関する有用な情報を発表時期によらずに収集する。これは記事だけでなく、イベント、ビデオ、製品カタログなどの関連情報も含まる。

しかしGoogleログインで認証される同社のサービスである以上、収集されたデータは同社と共有される。もちろんKeenも他のGoogleサービスと同様に、同社のプライバシー約款が適用される。

現在のKeenはグーグルという大企業のインキュベータから生まれたばかりのプロジェクトではあるが、インターネットのパーソナル化の一つの方向を示して示しているといえる。テクノロジー企業は、以前から  ユーザーが興味を持つコンテンツを供給することがサービスに対してポジティブなイメージを与え、エンゲージメントを高め、セッションの長さやリテンション率をアップすることに以前から気づいていた。

しかし十分に注意を払わないと、パーソナル化はユーザーにいつも似たような情報を提供、有力な反対意見が出てもそれを伝えることができないといった弊害も起こしやすい。これはユーザーの世界観を狭くするだけでなく、バイアスを強化するフィルターバブル (The Wall Street Journal記事)や同意見だけを集めてくるエコーチェンバー(Cambridge Core記事)などの好ましくない副作用をもたらす。 アルゴリズムに基づいた記事推薦は奇矯なコンテンツを検索しているユーザーを危険な迷路に送り込みいっそう過激化させてしまう(The NewYork Times記事)リスクがある。極端な場合、過激化したユーザーがテロリストになるYahoo News記事)ことさえある。

Keenの場合も機械学習と人間の専門家をペアにするほうが賢明だろう。 しかしKeenではユーザー本人と(もし招待した場合は)友人や家族を以外に人間によるレイヤーは存在せず、AIテクノロジーが情報を集めてくる仕組みだ。

このことは現在のAIシステムに充分な知識を持った人間の専門家のキュレーションが必須であることを示しているが、Keenについていえば野心の範囲を今少し狭くして特定のトピックの情報収集に特化したほうがいいのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleが違反コンテンツで「ZeroHedge」の広告収益化を停止、「The Federalist」 には警告

Google(グーグル)は、極右ウェブサイトのThe Federalistを広告プラットフォームから追放した。警察の暴力に対する現在進行中の抗議活動に関するコンテンツが、ヘイトスピーチを禁止する同社のポリシーに違反したためだ。

NBC Newsによると、グーグルはThe Federalistおよび右翼ウェブサイト ZeroHedgeのいずれもが「憎悪、不寛容、暴力、人種差別を助長する」コンテンツによる収益化を禁止する同社ポリシーに違反したと判断した。

「ページやサイトが当社のポリシーに違反した場合、我々は措置を講じる。今回のケースでは、両サイトがグーグルで収益化する機能を削除した」とグーグルの広報担当者がNBCへの声明で語った。

アップデート:グーグルは自身の声明を撤回したか、あるいはNBC Newsの報道に異議を唱えているかのどちらかのようだ。同社広報のChrista Muldoon(クリスタ・マルドゥーン)氏はTechCrunch宛の声明で次のように語った。
「誤解のないよう言うと、The Federalistは現在収益化を禁止されていない。当社には広告を掲載できるコンテンツやコメントを規定する厳格な出稿ポリシーが確かにある。これは長年続いているポリシーだ」。

さらにグーグルは、両サイトの問題はコメントセクション内のコメントが、「危険または中傷的」なコンテンツに関するポリシーに違反したことによるものだと語った。

どうやらThe Federalistは、問題のコンテンツを削除しなければ収益化禁止の措置を受けるという警告を受け、一方ZeroHedgeは、以前警告を受けたがポリシー違反を修正しなかったために、収益化を禁止されたようだ。

英国の監視団体であるThe Center for Countering Digital Hate(デジタルヘイト反対センター)は、最近グーグルに通知を送り、進行中の抗議活動を対象とした人種差別コンテンツを複数の米国サイトについて報告し、The FederalistとZeroHedgeもその中に入っていた。その報告には、問題のサイトがグーグルの広告プラットフォームを通じて大金を稼いでいることも指摘されていた。

NBC Newsの報道によると、ZeroHedgeは抗議運動が実際にはフェイクであると主張する記事を公開し、一方The Federalisは、デモの現場で起きていることについてメディアは嘘をついているという説を広めようとした。The Federalistは自社サイトで「The Federalistは、新たな仕事への忠誠心の欠如から解雇された人の数を記録している」と、現在の人種間平等運動からの脱落者を引き合いに出した。本誌はグーグルに対して、具体的にどの記事がきっけかで行動を起こしたのかについて追加情報を求めている。

両サイトととも、他のソーシャルメディアからの監視対象にもなっていた。2020年3月にTwitter(ツイッター)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の解決策として「管理された自主的感染」を推奨したThe Federalistのツイートを削除した(未訳記事)。人々がウイルスを拡散するリスクを高める恐れのあるコンテンツを禁止する同社のルールに違反したためだ。

2020年2月にツイッターは、コロナウイルス陰謀論に関わっているとされた中国人科学者の個人情報を公開したZeroHedgeのアカウントを停止(CBS NEWS記事)した。しかし調査の結果、先週末ツイッターはZeroHedgeを復活(THE VERGE記事)させ、アカウントの停止は執行上の誤りであったと説明した。

関連記事:With the coronavirus, usually distinct conspiracy groups turn to a shared interest (未訳記事)

画像クレジット:Beata Zawrzel/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GmailアプリでGoogle Meetへ直接参加可能に、近くMeet専用タブも登場

米国時間6月16日、Googleはモバイル版Gmailと同社のビデオ会議サービスであるGoogle Meetとの連携を深めたと発表した。Android版、iOS版のGmailにMeetのリンクが送られてきた場合、受信トレイ内からすぐに参加することができるようになる。

機能そのものからすれば根本的なアップデートというわけではない。現在でもGmailからMeetアプリを開くことは可能だ。しかし大きな違いはGmailで招待されたユーザーがビデオ会議に参加するためにMeetアプリをインストールする必要がなくなった点だ。

もうひとつは、こちらのほうが大きなアップデートだが、モバイル版のGmailアプリの画面下部にMeetタブが新設されるというものだ。こちらは公開まで数週間待つ必要がある。新しいタブには、Googleカレンダーに登録されたMeetを使ったビデオ会議の予定が表示される。ここからビデオ会議を開始し、会議のリンクを取得することができる。このリンクは他のユーザーを会議に招待したりGoogleカレンダーにスケジュールを書き込むために使える。

もしMeetを使う予定がないならこのタブを設定でオフにすることもできる。モバイル版Gmailの表示は小さいのでMeetタブで占領されることを嫌ってそうするユーザーも多いだろう。

とはいえGoogleがGmailとMeetをここまで密接に統合してきたことは興味深い。 メールやビデオ会議アプリの往復はそれほど大きな負担ではないが、GoogleはMeetの存在をさらに多くのユーザーに認識させたいようだ。無料プランを用意してMeetの普及を図っている現在、Googleは利用にあたってのフリクションをできる限り取り除こうとしているようだ。

ウェブブラウザのGmailからMeetを開けるということは、Gmailが昔からHangouts(あれは作り主の元へ旅立ったのか?)をサポートしていたことを考えれば不思議ではない。ただしモバイル版でもできるようになったのはかなりの努力が必要だったかもしれない。Hangoutsはモバイル版Gmailに組み込まれたことは一度もなかった。

関連記事:ビデオ会議システム「Google Meet」が近日中に一般無料開放、カレンダー連携の会議招待が便利

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Android 11向け純正開発環境がアップデート、ADBにWi-Fi、Kotlinサポート強化など多数

先週Google(グーグル)は次世代Androidの発表イベントを「お祝いをする時期ではない」として延期していたが、やっとAndroid 11のベータ版が公開されたのを機に開発環境も強化された。

TechCrunchでも報じたとおり、このアップデートでは消費者向けの多数の機能が追加された。同時にAndroidアプリ開発を助けるためのデベロッパー向けツールの改良も行われている。ファンファーレとともにキーノートがライブ配信されるといった派手な登場の仕方ではなかったが、Googleは機能を紹介する記事とビデオ多数を公開している。

同社はブログ記事で「グーグルは公衆が米国における人種的正義という重要な問題に集中できるよう、ライブ発表イベントトを延期した。今回我々はAndroid 11ベータ版の発表に関する計画を変更し、短いビデオクリップ多数とウェブページで開発者が必要と考える情報にじっくり接することができるようにした」と述べた。

これまでどおり、Androidアプリ開発のコアとなるIDEはAndroid Studioだ。これは各種のアップデートのハブであり、同社はAndroid Studio 4.1ベータとAndroid Studio 4.2 Canary Release(カナリア版)の両バージョンをリリースした。

私はAndroidの責任者であるStephanie Cuthbertson(ステファニー・カスバートソン)氏にインタビューしたが、同氏はアンドロイドのデバッグ環境、ADB(Android Debug Bridge)のリニューアル、中でもワイヤレスデバッグ機能が追加されたことを強調した。デベロッパーはADBを通じてWi-Fi経由でAndroid 11アプリをデバッグすることができる。マシンのUSBポートは限られており、それでなくても複雑な接続となっている現在の開発環境ではWiFi接続が利用できることは時間と労力を大幅に節約できるし、デベロッパーから長年強く望まれていた機能でもある。

ADBに加えてもうひとつの大型アップデートはAndroid Emulatorだ。このエミュレータはこれまでも着実にパフォーマンスが強化されてきたが、今回はデザインそのものが変更され、Android Studioに統合された。IDE内から利用できるようになったことでデベロッパーは多数のデバイスのテストを並行して実行できる。これも時間の節約効果が大きい。

またAndroidチームは、全般的にビルドからデプロイメントまでのプロセスを高速化するためにシステムを改良した。具体的には、Android StudioのビルドツールであるGradleでの巧妙なキャッシュ利用、Kotlin言語におけるアノテーション機能のネイティブ化などが大きい。Androidアプリ開発において、Javaは引き続きサポートしているものの、Kotlinが事実上の最優先言語となっているため、同社はKotlin関係に多くのリソースを投入していることは注意すべきだろう。

機械学習を抜きにしては最近の開発者向けの発表は終わらない。同社は、開発者がML KitとTensorFlow Liteを利用して作ったモデルをAndroid Studioに直接インポートできるようになったことを発表した。

ゲーム開発者向けには、パフォーマンスプロファイラーに新しいユーザーインターフェイスを導入するなどの改良が加えられた。

同社はしばらく前にAndroid向けUIツールキット、Jetpack Composeを予告している。このプロダクトはまだアプリ制作に商業的に利用できるレベルになっていないが、今回のアップデートではデベロッパープレビューのバージョン2が発表された。これにはアニメーションやウィジェットのレイアウトを保つConstraintlLayoutのサポートなどが含まれる。 ただし Jetpack Composeのアルファ版がリリースされるのは今年夏、 1.0のリリースは来年になる予定だという。息を詰めて待つには少し早いようだ。

現在、Google Playストアの上位アプリ、1000タイトルの約70%はKotlin言語を使用している。今回のアップデート(プラス、Kotlin 1.4)で同社は非同期処理を実装するためのKotlin Coroutinesをサポートした。これにより並列処理を書くことが非常に簡単になる。同社は現在、Coroutines利用を正式に勧告しており、Jetpackライブラリではすでにこのテクノロジーを利用したものがある。

Google Play関連では新しいGoogle Play Consoleがリリースされた。このコンソールを利用すれば「クリアでわかりやすいデザインを簡単に作れると同社は約束している。またゲームのパフォーマンスを測定するPerformance Insightsの統計も理解しやすくなり、利用約款の変更についてのガイダンスなども新たに提供されることになった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook