​VRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」開発のThirdverseが20億円調達、國光宏尚氏が代表取締役就任

​VRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」開発のThirdverseが約20億円調達、國光宏尚氏が代表取締役就任

​VRゲーム「Swords of Gargantua」(ソード・オブ・ガルガンチュア)を手がけるThirdverseは8月10日、第三者割当増資(シリーズA、シリーズB)により、累計調達額20億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジャフコグループ、インキュベイトファンド、KDDI Open Innovation Fund、Presence Capital、Animoca Brands。今後は、ゲームクリエイターを中心に採用強化を行い、新作VRタイトルの開発に注力する。日米のスタジオにおいて2本の新作VRタイトル開発を開始するという。

また、代表取締役CEO・創業者にgumi創業者の國光宏尚が就任したと明らかにした。新たに米国子会社において北米ゲームスタジオを設立し、Microsoftのゲーム開発統括組織Xbox Game Studiosに所属する、inXile Entertainment創業者ブライアン・ファーゴ氏が、Thirdverseのアドバイザーに就任した。

國光氏は、「6年前にTokyo VR Startupsを立ち上げた日から、この日を夢みてきました。VR×メタバースは間違いなく『Next Big thing!』 心強い仲間と、頼もしい投資家の皆さんと共に、Thirdverse構想の実現に向けて全力で挑戦し続けたいと思います。 VR is Now!」とコメントしている。

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タグ:Xbox / エックスボックス(製品・サービス)仮想現実 / VR(用語)gumiThirdverse(企業)5G(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)メタバース(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

キズナアイが参加するVTuber支援プロジェクト「upd8」運営のActiv8が6億円調達

バーチャルYouTuber(VTuber)など、バーチャルタレントを企画・運営・プロデュースするActiv8(アクティベート)は8月28日、Makers Fundgumiを引受先とした総額6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

8月にユーザーローカルとCyberVが「VTuberが直近半年間で4000人以上増えた」と発表しているとおり、バーチャルタレント業界は今年に入り、急激に盛り上がっている。VTuber自体も増え、関連するサービスや取り組みも続々と現れている。4月にはグリーが総額40億円の「VTuberファンド」を開始、6月にはVTuber向け配信サービス「ホロライブ」運営のカバーが2億円を調達するなど、投資も活発だ。

4000体のVTuberが存在するといわれるこの業界で、Activ8ではバーチャルタレントによるUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)文化や関連産業の振興を目指し、個人・企業を問わずタレントを支援するプロジェクト「upd8(アップデート)」を運営する。upd8はバーチャルYouTuber人気ランキングでも上位常連のキズナアイも参加するプロジェクトだ。

upd8では、企業とのタイアップといった仕事をバーチャルタレントに紹介するエージェント機能の提供、コミュニティーの創出を行う。コミュニティーについては、リアル、バーチャルに関わらず、イベント実施など、タレントの活動する場を提供している。また、キャラクターの撮影環境についても、スクラッチで開発。サービスとして提供する。

Activ8代表取締役の大坂武史氏は同社の事業を「VTuber業界を活性化することを目的としている」と説明。つまり、UUUMなどのプロダクションがリアルなYouTuberの活動をさまざまな形で支援するのと同じようなことを、バーチャルタレントについて行うということのようだ。

「我々には“生きる世界の選択肢を増やす”という目標があって、その選択肢のひとつがVRの世界だと考えている。バーチャルタレントがVRシステムの上で活動できる舞台をつくり出すため、サイバースペースでのスタジオ事業も行っている」(大坂氏)

Activ8は2016年9月の設立。キズナアイをはじめとするVTuberたちを支援してきた。今年5月31日には、upd8をバーチャルタレントのサポート事業として公式にローンチ。支援プロジェクト、タレント募集を本格化した。

同社はこれまで資金調達については公表してこなかったが、Tokyo XR Startupsなどが既に投資をしており、今回の資金調達は3度目、シリーズBラウンドにあたる。

今回の調達では、VRに造詣の深いgumiと、世界規模でクリエイティブ産業への投資を行うMakers Fundが参加。大坂氏は「バーチャルタレントがVRシステム上で動けること、VR空間で価値創造を行うことにフォーカスしていきたい。人がVR空間で生産を行い、生きていくための仕組みづくりを目指す。また世界×エンタメ市場にも踏み出していくつもりだ」と資金調達の意図について説明する。

具体的には大きく3つの分野に投資する、と大坂氏は話している。1つめはバーチャルタレント支援のための人材確保だ。「トップVTuberのキズナアイの支援を通して、バーチャルタレントの価値の最大化を図りたい。リアルイベント開催やテレビ出演などに加えて、海外でもボーダーレスにチャレンジを応援することで、バーチャルタレントが活躍する場を広げる」という大坂氏。「バーチャルタレントもリアルのタレントと同様、タレントを中心とした360度ビジネス。そのためには、さまざまな場面に対応する人材が必要だ」と話す。

2つめは、upd8を通して、既存のバーチャルタレントとは違ったセグメントからタレントを発掘し、支援すること。大坂氏は「キズナアイ以外でも、バーチャルタレントが必要とされるセグメントはいろいろある」という。「男性タレントや教育コンテンツ向けのキャラクター、音楽などの芸能に特化したタレントなどは、まだ着手されていない領域。こうした分野のタレントも自社でプロデュースしていこうと考えている」(大坂氏)

3つめは、VRシステム自体の拡張だ。「“生きる世界の選択肢を増やす”という目標を掲げているので、VR世界で活動できることを増やしたい。VR内で撮影が完結するような仕組み、システムの開発も進めていく」と大坂氏。「バーチャルタレント支援の範囲の拡大とシステムの深掘りの両方向に投資していくつもりだ」と話していた。

「僕には必勝パターンがある」、gumiがブロックチェーン特化の30億円ファンド設立

スマホゲームの開発などを行うgumiは5月30日、仮想通貨およびブロックチェーン技術に特化した投資ファンド「gumi Cryptos」を設立すると発表した。ファンド規模は3000万ドル、日本円にして約30億円だ。

「投資には、僕なりの必勝パターンがある」ーー gumi代表取締役の国光宏尚氏は、TechCrunch Japanの取材でこう語った。

gumiはこれまで、モバイル動画とVRの領域においてスタートアップ投資とインキュベーションを行ってきた。モバイル動画ではCandeedelyなどに出資を行い、VR領域ではインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」からInstaVRよむネコなどを輩出した。

モバイル動画とVR。それぞれ領域は違えど、gumiによるスタートアップ支援はきれいにパターン化されている。スタートアップにシード・アーリー期から深く関わることでコミュニティを作り、そのメンバー全員で、ある問いに対する答えを見つけるというものだ。

「まず、3〜5年後にくるであろう領域を見つける。それから、その領域で有望なスタートアップのインキュベーションやシード・アーリー期の投資を行う。僕は何についても“〇〇ファースト”なプロダクトやサービスが最後に勝つと思っている。だから、出資先の起業家たちとお互いの成功体験、失敗体験を共有しながら、『何がスマホファーストなのか、何がVRファーストなのか』というのを検証していくんです」(国光氏)

そして、このインキュベーションと投資によって得た知見を自社プロダクトの開発に活かす、というのが国光流必勝パターンの最終形態なのだという。VR領域で言えば、2017年3月に発表されたよむネコのグループ会社化などがその例だ。

そのgumiが、次の“3〜5年後にくる”と読んだのが仮想通貨とブロックチェーンの領域だ。gumiは米国の仮想通貨取引所「Evercoin」の創業者であるMiko Matsumura氏を共同事業者に迎え、2018年2月にgumi Cryptosを設立。3000万ドル(約30億円)規模のファンドを立ち上げた。合同会社であるgumi Cryptosの業務執行社員には、gumi Ventures(グループ傘下のVC)とMiko Matsumura氏が就任する。

同ファンドはすでに、ゲームの配信プラットフォームを開発するRobot Casheや動画配信プラットフォームのTheta(いずれも米国)など5社に出資を実施済みだ。1社への出資額は25万ドル〜100万ドルだという。

「この領域でも同じく、ブロックチェーンならではのモノとは何かを検証していく。その仮説の1つが、ブロックチェーン上ではデータがトレーダブルであり、かつコピー不可という特徴をもつという点だ。これまで、インターネット上のデータはコピーされてしまうものなので、価値を持たなかった。だから、Spotifyも音楽データを販売するのではなく、“音楽に囲まれた日常”というサービスを売ってきた。でも、これからは、ゲーム内のデータがコピー不可でユニークなものとなり、資産性を持つという世界になるかもしれない」(国光氏)

ちなみに、詳細はまだ不明ではあるものの、これまでのパターン通り、gumiはすでにブロックチェーン技術を活用した自社プロダクトの開発に着手しているようだ。

空間に落書きできるAR時代のSNSアプリ「Graffity」正式公開、総額3000万円の資金調達も

位置情報に写真・動画の投稿、SNSを組み合わせたアプリやサービスはいろいろリリースされているが、さらにAR(拡張現実)の要素が加わったアプリが登場した。11月3日に正式公開された「Graffity」は、スマホで空間に絵やテキストを落書きしたり、スタンプや写真を置いたりすることができ、置かれたオブジェクトと周りの風景を一緒に撮影して動画でシェアできる、AR動画のSNSアプリだ。

Graffityで撮影した動画はGraffity内のフォロワーと共有できるほか、TwitterやFacebookへの投稿も可能。また、動画をカメラロールに保存することもできるので、LINEやInstagramなど既存のSNSでも共有できる。

投稿するときに位置情報の共有をオンにすると、地図上に24時間、投稿をピン留めすることが可能。自分の周りで投稿された動画をチェックしたり、誰かが海外のどこかで投稿していればそれを見ることもできる。

Graffityを提供するGraffity代表取締役社長の森本俊亨氏は、ディープラーニング(深層学習)技術に詳しいエンジニアでもある。ABEJAPKSHA Technologyといった、AIを活用した事業を行う企業でのインターン経験、ドワンゴ人工知能研究所におけるディープラーニング関連の研究を経て、2017年8月にGraffityを設立した。

同社は、2017年初夏に公募されたTokyo VR Startups(TVS)のインキュベーションプログラム第3期に採択されている。“人工知能を利用してAR時代の第三の眼を提供する”という同社がAppleのARKitを利用し、ファーストプロダクトとしてリリースしたのが、ARアプリのGraffityだ。

森本氏は、アプリ正式公開に先立つプレローンチの段階で「女子中高生を中心に、数千人規模のユーザーにアクティブに使ってもらっている」という。現在開発を進めている新機能は、落書きを“その場所に保存”する機能。落書きが保存された場所に近づいてアプリをかざすと、別のユーザーもその場で落書きを見ることができる。「セカイカメラと似たような機能だが、アプローチが違っている。ディープラーニングを使った画像処理により、撮影場所を画像から認識することができる」と森本氏は新機能について説明する。新機能の追加は11月中旬の予定だそうだ。またGoogleのフレームワーク、ARCoreを使ったAndroid版の開発も来年予定しているという。

アプリの収益化については、森本氏はこう話している。「ひとつはInstagramのストーリーズと同様のインフィード広告の導入、それからタイアップ広告として(投稿のデコレーションに使える)3Dアニメーションを提供するというLINEスタンプに似たモデルの導入、また『どういった人がどの場所をよく見ているのか』というデータを収集することによって、AR広告も提供できると考えている」(森本氏)

Graffity社はアプリの正式公開と同時に、TVS親会社であるgumi代表取締役社長の國光宏尚氏、TVS、ほかエンジェル投資家を引受先とする、総額3000万円の第三者割当増資による資金調達も発表している。

「いよいよ方向性が見えてきた」gumiがVRゲーム開発のよむネコをグループ会社化したワケ

    gumi代表取締役社長の國光宏尚氏(左)とよむネコ代表取締役の新清士氏(右)

3月に発表した2016年度第3四半期決算で、営業利益が12億4000万円(前年同期は16億2300万円の赤字)、経常利益が13億5100万円(同16億6600万円の赤字)という黒字転換の業績を発表したgumi。2016年6月には代表取締役副社長の川本寛之氏が主力となるゲーム事業を担当し、創業者で代表取締役社長の國光宏尚氏が新規事業(VRなど)を担当する両代表制に移行したが、ゲーム事業が好調に推移した結果で黒字化を達成したことになる。

そして今度はVR領域でも大きな発表があった。gumiは3月23日、VRゲームの企画、開発を行うよむネコの株式を取得。gumiの持分法適用会社としたことを明らかにした。またこれに合わせて國光氏はよむネコの取締役会長(非常勤)に就任した。

国内外で投資やインキュベーションを展開

gumiはゲーム事業でのマネタイズを進める一方で、これまで投資やインキュベーションを通じてVR領域への進出を進めてきた。LP出資する5000万ドル規模のVR特化ファンドであるThe Venture Reality Fund(VR Fund)は、日本、米国、韓国での投資を実施している。

投資の中心はVR向けのオーサリングツールが中心で、そのほかに広告やゲーム制作のスタートアップが続く。「VRで流行るのに必要なのは、『VRならでは』のハイエンドな体験を作ること。今ある2DのコンテンツをVRで見ても仕方ない。かといってただ立体視ができるという3Dテレビとは体験が違う。例えば空を見上げれば鳥が飛んでいて、周囲を見渡せば味方と敵が戦っている中にいる、そういうことがVRならではの体験。だがそんなコンテンツを1から生むのは大変」(國光氏)。そんな状況だからこそ、コンテンツを制作するようなツールが重要になるのだという。「モバイルゲームの時もUnityやアナリティクスツールが登場して状況が変わったように、ゴールドラッシュで金を掘るでのはなく、つるはしを売り、鉄道を作っている」(國光氏)

また一方で韓国では、VR FundのLPでもあるゲーム大手のYJM Gamesと組んで2016年11月よりインキュベーションプログラムを展開している。またこれに先駆けるかたちで2015年11月には、VR特化のインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」を日本ではよむネコの代表取締役であり、デジタルハリウッド大学大学院准教授、ゲームジャーナリストの新清士氏とともに立ち上げた。第1期プログラムの参加企業5社中4社が次の資金調達を実施するに至っている。3月末には第2期のプログラムのデモデイも控えているところだ。

VR Fundのポートフォリオ

売上1億円超えタイトルも登場、「いよいよ方向性が見えてきた」

「1年半の(VR関連の)活動を通して、いよいよ方向性が見えてきた」——國光氏はこう語る。前述の通り、VRの市場自体が黎明期ということもあり、開発ツールのニーズは高まっている。一方でOculus RiftやHTC Viveといった端末は、PCと繋ぐケーブルや、位置を計測するセンサーといった物理的な制約、そして何より本体価格の高さもあって販売台数はさほど伸びていない状況だ。だが両社ともにPCとの接続を必要としないスタンドアロン型端末をリリースすると明言している。またゲームプラットフォームを見てみると、売上1億円以上になるVRゲームコンテンツも合計10本以上になっているという。

「トップゲームで4、5億円取れるとなると、もう『市場が来るかどうか』という話ではない。今はViveが(販売台数)40万台程度というが、スタンドアロン版も登場し、スマートフォンVRも本格的にやってくれば、市場が立ち上がることになる」(國光氏)——そんなVRコンテンツ市場への期待を込めたgumiとしての(コンテンツ面で)最初のチャレンジがよむネコでのゲームの提供ということだろう。

よむネコの設立は2013年4月。Tokyo VR Startupsのインキュベーションプログラム第1期に採択されているVRスタートアップだ。2016年12月には、米Oculusのコントローラー「Oculus Touch」のローンチタイトルとして、VR脱出ゲーム「エニグマスフィア〜透明球の謎〜」をリリースしている。エニグマスフィアはVR空間上でプレイできる脱出ゲームで、2人数プレイも可能なのが特長だ。フィールドテストを経て、大阪・梅田にある梅田ジョイポリスでアーケード版の稼働もスタートしている。

「1カ月間のテストで1000人にプレイしてもらい、1回800円という価格設定ながら(アンケートで)5点満点中4点以上という結果を得た。実はこれが刺さったのは、ITのヘビーユーザーでなくいわゆる『リア充』。VRは興味あって体験したいけど買えないという層の評判が良かった」(新氏)

一方でビジネス面での課題も見つかった。日本のVR市場が形成されることは見越しているが、立ち上がりは新氏が想定するよりも遅いという。また、米国へアプローチするにしても、よむネコ単体のリソースには限界があった。それであればgumiのグループに入って勝負するべきだと考えたのだという。

今後よむネコは、gumiのエンジニアとも人材交流をしつつ、エニグマスフィアのアップデートを進める。3月中にはHTC Vive版もリリースする予定だ。将来的には新タイトルの提供も検討する。

「米国では、VRゲームは家庭用ゲーム系とゲームセンター・ロケーションベース系の2つのビジネスモデルが見えてきた。今までの家庭用ゲームといえば2年で制作して60ドルで販売するというモデルが中心だったが、今は1時間程度のコンテンツを15ドルとか安い値段でリリースして、それ以後はユーザーの声を聞きながらアップデートを繰り返す、いわば『疑似Free to Play』のモデル」(國光氏)

「一方でロケーションベース系は、1回やったら800円といったもの。だから今のままであれば回転率をあげる必要が出てくる。だが多分この形にはならなくて、ネットカフェのようにルームごとに『1時間いくら』というかたちでチャージすることになる。実は韓国のネットカフェは、収益の半分が飲食。日本でもカラオケみたいにワイワイ騒ぐのであれば、(エニグマスフィアのように)みんなで楽しめるゲームが必要になる」(國光氏)

gumi、LINE LIVEなどの動画制作スタートアップCandeeに出資か? 国光氏が回答

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東京証券取引所一部市場への直接上場、そしてその2カ月半後の下方修正、30億円の銀行借入の“後出し”、韓国子会社での横領事件——昨年1年の動きを「gumiショック」と揶揄されたゲーム開発会社gumiだが、その周囲がまた騒がしいようだ。

1月16日号の週刊ダイヤモンドが報じたところによると、2015年2月設立のスタートアップCandeeとその子会社であるMacaron、Biscotti、コンペイトウ(いずれもお菓子から名前を取った動画制作関連のスタートアップだ)がgumiとが深く関わっているというのだ。同誌によると、gumi代表取締役社長の国光宏尚氏は、自身の父親を代表に据えてCandeeを設立。1億円超の資金調達を実施した後に父親は不可解な理由で辞任しているという。

インタビューやイベント登壇時など、ことあるごとに「時価総額8兆円企業を目指す」と語っていた国光氏だが、gumiの現状はそこから遠い状況(現在の時価総額は約210億円)。そんな中で新事業にリソースを割いているとなれば、市場の投資家は「本業がままならないままに新会社を設立して出資、新事業に挑戦するのはどういうことだ」とでも言いたくなる話だ。記事はgumiの例をもとに、ここ最近のIPO企業は玉石混交だと論じている。

gumiに限らず、株価が上場時の公開価格や初値を大きく下回る、いわゆる「上場ゴール」と批判を受けるIPO、数度に渡る下方修正の発表、果ては個人資金を用いて売上を作るようなケースもあり、玉石混交という表現はまさにその通りだ。だがここで気になったのは、やり玉に挙げられたgumiとCandeeの関係だ。その詳細についてgumi代表の国光氏に聞いた。

CandeeはLINE LIVEの番組制作などを担当

実はこのCandeeという会社、スタートアップ起業家などの間で昨年秋頃に「gumiと関係性があるのではないか」と話題になったことがある。ダイヤモンドが報じたとおりだが、当時同社について調べたところ、会社は東京・青山にあるが、代表者の名字は「国光」、住所も国光氏の出身である「兵庫県」となっていた。そこから同氏の親類であろう人物が代表を務めている可能性が高いと考えられたが、当時は事業の実態がなかったこともあり、それ以上の話題にならなかったのだ。

同社の名前を再び聞いたのは2015年12月、LINEがライブ配信サービス「LINE LIVE」をローンチしたタイミングだった。LINE LIVEでは、スタート当初から芸能人や著名人によるオリジナル番組を配信しているが、その制作パートナーとしてLINE主催の発表会で同社の名前が挙がったのだ。Candeeは現在、芸能人を起用したLINE LIVEの番組を複数制作している。

gumi国光氏「あくまで個人としての投資」

ではこのCandeeとgumi、実際にはどういった関係なのか? 国光氏は「gumiとは関係のない会社だ」と説明する。

gumi設立前は映像制作にも携わっていた国光氏、個人として動画事業には興味があるものの、まずは本業に集中しなければならない状況。そのため、もともと現在のCandee経営陣らとビジネスアイデアなどを話し合ってはいたが、自身が関わる予定はないと語る。

ではなぜ父親名義でCandeeを設立したのか? これについては「(自身の名前を出さないためではなく)とりあえず『ハコ』を作る、という目的だった」と語る。この説明には正直少し苦しいものも感じたのだが、経営チームがまとまった時点で代表を交代したのだという。なお現経営陣はエイベックス・エンタテインメントやよしもと、電通出身のエンタメに強いメンバーだという。

ちなみにCandeeの資本金は現在1億5100万円(設立時は100万円)。国光氏が個人で出資している金額については「非公開」としている。またCandeeに対してgumiや同社グループのVCであるgumi venturesは出資していないという。

「あくまでCandeeには投資家として関わっており、個人として起業家を応援している。また投資についてはgumiの役員にも合意を得た上で行っている。何よりgumiについては株価の(現状について)責任は感じているので、1日でも早く業績を回復させたいと考えている」(国光氏)

イグジット後にこそ本業に注力を

国光氏に限らず、上場やM&Aでキャッシュを得た起業家が、自分たちより若いスタートアップにエンジェルとして投資することはよくある話だ。僕たちのイベント「TechCrunch Tokyo 2015」でもコーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏、スマートフォン向けゲームなどを手がけるコロプラ取締役 Co-Founderの千葉功太郎氏がそれぞれのエンジェル投資の姿勢について語ってくれた

その他にも2015年にマザーズに上場したピクスタ代表取締役社長の古俣大介氏が縫製特化のクラウドソーシングサービス「nutte」を運営するステート・オブ・マインドに出資していたり、KDDIに買収されたnanapi代表取締役の古川健介氏(nanapiは同じくKDDI傘下のスケールアウト、ビットセラーと合併してSupershipとなり、古川氏は同社の取締役となっている)もAndroidアプリ解析などを手がけるFULLERに出資していたりする。これはあくまでプレスリリースやイベントなどを通じて正式に発表されている話の一部に過ぎず、実際は非常に多くの起業家がスタートアップへの出資を行っている。本業が赤字であっても上場益をもとに個人投資を行っている起業家だっている。

もちろん若い起業家からすれば、イグジット経験があり、(イグジットして間もないため)現場の空気を知る起業家から支援を受けられることが、資金以上の価値になることは多いだろう。スタートアップのエコシステムという観点で考えても、成功者のお金と知識が次の挑戦者に流れるという意味は非常に大きい。

だからこそ、本業に注力し、同時に市場の投資家からどう見られているかも忘れないで欲しい。冒頭の記事にあるように、スタートアップへの風当たりはまだまだ厳しい。業績のもそうだし、施策に対する不備、脇の甘さなど、外部から指摘される可能性のあることは少なくないはずだ。一度イグジットした起業家ならば、若い挑戦者への支援だけでなく、市場に、世の中に認められるような成長を続けてもらいたい。その成長の軌跡は、必ずや後に続く人たちの道になると思うからだ。

gumiがVR特化のインキュベーションを開始へ——子会社「Tokyo VR Startups」を設立

国内ゲーム会社のVR(バーチャルリアリティ)領域への進出が積極的だ。

2014年に初めてVR対応ゲームをリリースしたコロプラは、VRの中でも非ゲーム領域、360度動画に特化事業を展開する「360Channel」を11月2日に設立。また9月に開催された「東京ゲームショウ」でもVRコンテンツを出展していたグリーは11月6日、新スタジオ「GREE VR Studio」を設立したことを発表した。すでにiOSおよびAndroid向けに第1弾タイトル「シドニーとあやつり王の墓」を発表している。

そんなVRの領域への進出にgumiも名乗りを上げた。同社は11月16日、子会社「Tokyo VR Startups」を設立すると発表した。設立は12月1日。資本金は1750万円、代表取締役にはgumi代表の国光宏尚氏が就任する。同社ではVR領域のスタートアップに対し、資金提供やワーキングスペースの貸与、バックオフィスサポート等で支援を行う。VR特化のインキュベーションというのは国内では僕が知る限りこれが初。米国では、Rothenberg VenturesがVR特化のインキュベーションプログラム「River」を展開している。

なお、11月17-18日開催のTechCrunch Tokyo 2015には、国光氏も登壇する予定。セッションではTokyo VR Startupsの詳細についても同氏に直接尋ねる予定だ。

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「gumiショック」からの復活は? TechCrunch Tokyoでgumi代表の国光氏に聞く

いよいよ開催まで2週間を切ったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」。また新たな登壇者について紹介したい。今回登壇が決まったのはgumi代表取締役社長の国光宏尚氏だ。

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

国光氏率いるgumiは2007年の創業(当時の社名はアットムービー・パイレーツ)。当初は自社でSNS「gumi」を提供していた。

実はこのgumi、mixiやDeNA、GREEなどよりも早くオープン化を実施した先進的なSNSだったりするのだが、早すぎるオープン化は当時ユーザーに受け入れられなかった。その後同社はSNSからソーシャルゲームの開発へと事業をシフトするが、これまでに資金繰りに苦戦し、3度倒産の危機を迎えたのだという。

そんな苦労の末に2014年12月、見事東証マザーズ市場に上場するが、今度は上場から2カ月半で業績予想の下方修正を発表。2015年4月期の業績が営業利益13億円の黒字から4億円の赤字になると発表。追い打ちをかけるように無担保での30億円の銀行借入や韓国子会社での横領事件などがあきらかになったこともあって「gumiショック」なんて揶揄され、市場の投資家から厳しい批判を受けた。

今日時点の株価を見てもまだ上場時の価格には遠い状況だが、10月に完全子会社化したエイリムの新作タイトル「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は好調のようだし、以前決算説明会などで発表していた新作タイトルなども続々リリースの予定。さらにはこれまで立ち上げてきた海外拠点での展開も加速するとしている。復活の準備は整ってきたようだ。

TechCrunch Tokyoではそんな国光氏に、上場後の振り返り、そしてgumiの今後の展開について語ってもらう予定だ。取材や講演の場ではことあるごとに「(総合エンターテインメント企業として)ディズニーを目指す」と語っていた国光氏。そのディズニーへの道に向けた新しい話もあるかもしれない。興味がある人は是非とも同氏のセッションを見に来て欲しい。

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gumi、100人規模の希望退職者募集へ、ブラウザゲーム2タイトルはマイネットに移管

業績の下方修正、韓国子会社での横領など厳しいニュースの続くgumi。同社は3月27日開催の取締役会で希望退職者の募集について決議したと発表した。

gumiの発表によると、同社はブラウザゲームからネイティブアプリへと主軸のサービスを転換(2015年4月期第3四半期累計でブラウザゲーム売上が連結売上高全体の9.3%にまで低下)しているが、一部でスキルセットの転換や配置換えが遅れているケースもあったため、これを機に他社への転進等を求める社員に対する選択肢として、希望退職を募集することを決定したという。

対象とするのはgumiおよびgumi Westの全社員で、募集する人員は100人程度。2015年4月期第3四半期決算で発表されたグループ従業員(正社員)数は901人だった。募集期間は3月30日から4月17日までで、退職日は4月30日を予定する。また今回の希望退職制度に応じて退職する従業員については会社都合の退職として扱い、特別退職金を支給する。希望者には再就職支援会社を通じた再就職支援を行うとしている。

gumiでは、今回の退職者募集に伴い発生する費用や業績への影響等について、確定次第速やかに開示するとしている。

あわせてgumiでは、ブラウザゲームタイトルの「ドラゴンジェネシス」および「幻獣姫」について、マイネットへの運営移管を行う旨の発表もしている。


gumi、韓国子会社で数千万円規模の横領か–社内調査で事実を確認中

gumiは3月19日、韓国の一部メディアにて、「同社子会社のgumi Koreaで役員による数十億ウォン(数億円)規模の横領がなされた可能性がある」との報道があったことを明らかにした。

gumiによると、横領は子会社役員ではなく子会社従業員の関与の疑いが強いとのことで、金額についても現時点では数千万円程度だと見込まれているという。

同社では現在、社内調査チームを組成し事実確認を進めており、公表すべき事実が確定したら遅滞なくこれを開示するとしている。


gumiの下方修正はスタートアップに何をもたらすのか

2015年4月期 第3四半期決算の開示日前日である3月5日に営業赤字となる大幅な下方修正を発表したgumi。同社は海外展開をはじめとした今後の方針について説明し、代表取締役である國光宏尚氏の役員報酬を6カ月間100%減額(ゼロ円)にするとした。

3Q決算は純利益が2億2500万円の赤字に

gumi代表取締役社長の國光宏尚氏

3月6日に開示された2015年4月期第3四半期業績は、売上高が206億2100万円、営業利益が4億2000万円、経常利益2億9200万円が、純利益が2億2500万円の赤字となった。

gumiは決算と合わせて金融機関から30億円の借入を実施したと発表している。3月6日の株価は前日比500円減で2081円のストップ安。時価総額は603億7900万円となった。

上場前にTechCrunchで取材した際は「クソみたいに小さいIPOはすべきではない」と語っていた國光氏。ソーシャルメディアやオンライン掲示板には、「VCや役員が上場時に株式を売り出していて、何かあると思っていた」「國光氏は報酬ゼロとは言え上場時に12万株を売り出して4億円近くを得ている」「買い支えている株主を見ていないのではないか」など、厳しいコメントが並ぶ。

僕もさすがに上場3カ月でのこの発表には驚いたし、本来「速やかに開示する」とされている下方修正が決算日前日に開示されたことに違和感は感じた。

そのあたりをどう考えているかという話は来週開催の決算説明会でも聞けるはずだ(今日はアナリスト向けのミーティングだけ開催されたようだ)。また同時に、gumiが叩かれていたとしても、ここで終わる訳ではないだろう。

gumiでは新タイトルやパブリッシング事業での業績回復を狙っていると発表している。また業界関係者からは、ゲーム以外の領域、例えば動画などに重点を置いた投資の準備をしているという話も聞こえてくる。

さらに、ゲームであればヒットタイトル1つで大きく流れも変わるはずだ(ヒットタイトル依存の体質がいいかどうかは別として)。2013年、業績不振だったミクシィだって、追い出し部屋を作ってリストラ(同社は「リストラではなく人事異動」と説明している)をしたが、その後ゲーム「モンスターストライク」で業績を大きく回復させている。

今後の新規上場はどうなる?

僕がgumiの業績以上に気になったのは、同社の下方修正が結果的に新規上場にどんな影響を与えるかということだった。

そこで投資や金融サイドの複数関係者に接触したところ、いくつかの話を聞くことができた。

まず1つ、実は昨年後半から上場審査に通らない企業が増えつつあるのだそうだ。ある関係者は「gumiは上場直前の2014年9〜12月時点で業績が下降トレンドに入っていた。そんな状況で主幹事証券会社(野村證券)が東京証券取引所に上場を押し込んだようなもの。そういった背景もあってゲームやウェブサービスに関わらず、公開審査で予実管理の審査を厳しくする傾向にあるようだ」と語る。

ちなみに今回のgumiの件とつながりがあるかは分からないが、野村證券は3月3日付けで公開引受部の人材を含めた人事異動を発表している。

gumiの決算資料。2015年4月期1Q以降、売上は減少傾向に

また別の関係者は「2006〜2007年頃の新興市場に似ている」と振り返った。メンバーズやフラクタリスト(現在は吸収合併ののちユナイテッドに)など、当時名証セントレックスや大証ヘラクレスに上場した企業は、初年度に相次いで下方修正を発表している。

関係者は「当時は事業基盤より今後の成長性を期待して上場するというケースが少なくなかった。だが各社軒並みに下方修正した結果、証券会社の審査が厳格化。2007〜2008年の新規上場数が下がることになった」と語り、来年以降の上場数が減る可能性を示唆した(ちなみに新規上場数は2006年が114社だったが、2007年は68社、2008年は54社と減少している。また2009年は23社と大幅減になったが、これは2008年9月に起こったリーマンショックの影響が大きいとみられる)。

さらに「自戒も込めて言うが、日本のベンチャーキャピタルまわりには浮ついた空気はあったかもしれない」「こういう状況で最終的に損するのは投資家。そうなるとIPO銘柄への信頼が揺らぐことになる」「ゲームセクターに対する市場の見方が厳しくなるのはやむを得ない」「マーケット全体に影響は少ないかも知れないが、IPO時のバリュエーションが下がることは想定される」とそれぞれ語る関係者がいた。

関係者に共通する意見としては、「上場はその企業や彼らに出資したベンチャーキャピタルにとっては1つの出口かも知れないが、ゴールではない。上場すれば、市場や投資家とも向き合わないといけない」ということだった。

すでに証券会社で審査を受けている企業にはまだ直接的な影響はないかも知れない。だが来年以降に上場を目指すスタートアップは、ここからその真価が問われることになりそうだ。


gumiが大幅な下方修正、黒字から一転し営業赤字4億円に

2014年12月、東証1部市場に直接上場したgumi。2013年7月にサービスを開始したスマートフォン向けゲーム「ブレイブフロンティア」はこれまで60カ国以上で配信。ダウンロード数は2015年1月時点で国内500万件、全世界合計2000万件を達成している。

そんな同社が3月5日、2015年4月期業績の下方修正を発表した。修正後の予想は、売上高は265億円(前回予想は309億7200万円)、営業利益は4億円の赤字(同13億2900万円)、経常利益は6億円の赤字(同12億7700万円)。純利益はゼロ(同8億800万円)としている。

海外でブレイブ フロンティアや新規タイトルの売上計画が未達となったほか、 パブリッシングサービスの立ち上がりが遅延したことなどが影響したとしている。今後は既存タイトルおよび新規タイトルでの売上増と海外展開の加速、コストの合理化などを進め、業績回復に努めるとした。

この責任を取るかたちで、gumi代表取締役社長 國光宏尚氏は役員報酬を3月からの6ヶ月間100%減額(つまりゼロ円に)する。同社では3月6日に第3四半期の決算を開示する予定だ。


日本のGumiが北アメリカ市場参入を発表―ゲームスタジオを世界4箇所で立ち上げ中

北米ゲーム市場は118億ドルという巨大な規模だが、最近、ZyngaやCandy CrushのメーカーKingのような有力ゲーム企業でさえ躓いたことでもわかるように、非常にタフな環境だ。

しかし日本のゲーム企業、gumiは北米市場に挑戦することを決めた。 今日(米国時間8/21)、gumiは北米市場向けのゲームの開発拠点として4つのスタジオを立ち上げることを発表した。gumiによれば、今後北米で新たに100人を採用していくという。

gumiはSegaLineGreeなどの有力なパートナーと提携しており、最近、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル、World Innovation Lab (WiL)がリードしたラウンドで5000万ドルの資金を調達している。

gumiのアメリカ本社兼スタジオはテキサス州オースティンに置かれる予定だ。これに加えてバンクーバー、ストックホルム、キエフでもスタジオを立ち上げ中だ。これらのスタジオはアメリカを中心とする英語圏市場向けのゲーム開発を専門に行う。また近くサンフランシスコに事業開発とPRのためのオフィスを開設する。

gumiはまた、ゲーム企業WeMadeの前CEOで、 Microsoftのアジア・ゲーム・スタジオのゼネラル・マネージャーだったA.J. Redmerを北米事業の責任者として採用したことを発表した。RedmerはMicrosoftでXboxを創設したチームの1人であり、任天堂ソフトウェアのゲームデザイン担当ディレクターを務めたこともある。

gumiは今年中に10億ドル規模の株式上場を予定しているとされる。ただしRedmerは「現時点ではこの問題についてのコメントは控える」と述べた。

同社は800人の社員を擁し、この2年で300%の成長を遂げたという。シンガポール、韓国、中国、台湾、インドネシア、フィリピンで事業を行っており、売上の半分以上は海外からのものだという。

Redmerはgumiの北米参入について「ブレイブフロンティアがアメリカ市場で大きな成功を収めたことが、われわれが西欧市場で十分な競争力を持つという確信を強めた。またブレイブフロンティアを売り込んだ体験がアメリカのモバイルゲーム市場に関して多くの貴重なノウハウと知見を与えてくれた。他のゲームを販売していく上でこれらは大きな財産となるものと信じている」と述べた。

またゲーム開発については「われわれは世界各地でスタジオを運営しており、それぞれの地域市場に深く根ざしたゲーム開発を行っている。われわれの新しいスタジオも北米地域の特性を十分に理解して開発を行う。また西欧市場でこれまで見過ごされてきたジャンルのゲームを開発していく」と述べた。

Gumiの最大のパートナーはSegaとLineだ。Segaはまた5000万ドルのベンチャー資金の出資者の1人でもある。またgumiの戦略的パートナーのLineも出資およびゲーム流通の両面で協力するという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


クソみたいに小さいIPOはすべきではない–gumiが50億円を調達した理由

ソーシャルゲームの開発とパブリッシュを手がけるgumiが、WiLなどを割当先とする総額50億円の資金調達を実施した。日経新聞の報道や関係者からの話を総合すると、gumiの2014年4月期決算は、子会社エイリムのゲーム「ブレイブフロンティア」が好調で売上高が100億円超になっているという。また調達の発表後には、ブルームバーグにて年末にも東証1部に上場するという報道もなされた。

そんなgumiの今後について、代表取締役社長の國光宏尚氏と、WiL共同創業者でジェネラルパートナーの松本真尚氏の2人に話を聞いた。

3つの機能を持つWiL

WiLの設立は2013年8月。今回話を聞いた松本氏に加えて、元ベンチャーキャピタルDCMの伊佐山元氏、元サイバーエージェントの西條晋一氏が立ち上げたベンチャーキャピタルファンドだ(ちなみに松本氏は自身の会社の買収合併に伴いヤフーに参画。CIOを務めた)。全日本空輸やソニー、日産自動車などの大手企業、産業革新機構などを中心に、3億ドルという大規模なベンチャー投資ファンドを立ち上げている。gumiへの出資について話を聞く前に、まず松本氏にWiLの目的やミッションを聞いた。

–gumiのほかにもトライフォートやトレタなどがWiLのファンドからの資金調達を発表しています。あらためて投資スタンスを教えて下さい。

松本氏:WiLではすでに日米両国で複数の企業に投資しています。米国で2社ほど、日本で6社ほどです。米国では、例えばOculusと同じ大学で仮想現実を研究していたスタートアップ(Surviosと思われる。詳細はこちらの記事を参照)などに出資しています。

WiLは3つの機能を持っています。まず1つめは日米でのベンチャー投資です。日本からは世界で戦える産業に挑戦しているスタートアップに、また米国であれば日本に進出できるようなスタートアップに投資をしています。

2つめはビジネスクリエーションです。ビジネスクリエーションと言っても、プロダクトをゼロから作るというよりは、カーブアウトを考えています。実は大企業のR&D部門には、たくさんの特許やサービスが使われずに眠っています。さまざまな企業でお蔵入りしたプロダクトを組み合わせていったら面白いことができるという可能性がありますよね。

そのため、今は企業のR&D部門の方と毎週のように会っています。今僕らの時間の使い方は、ベンチャー50%、大企業(のR&D部門)50%くらいになっています。基礎技術だったりするので、今日明日どうこうするというスピードで進めている話ではありませんが、チームビルドも含めて我々がやり、カーブアウトさせるということをやっていきます。

3つめは日本のベンチャーの底上げをしっかりするということです。とは言ってもインキュベーション、アクセラレーションという形でサポートをする人たちは増えてきていますし、そこをやるつもりはありません。

日本のベンチャーの底上げと考えると、ヒト・モノ・カネを持っている大企業を通してベンチャーが世界に飛び出すということが大事です。そういうこともあって、実はLP(リミテッドパートナー:有限責任のファンド出資者、出資企業)の社員を我々のシリコンバレーオフィスに受け入れていたりします。そこでベンチャーのビジネスプランを考えたり、技術評価をしたりしています。エデュケーションとまではいかないのですが、底上げに向けた動きはしています。ただいずれにしても僕らは基本的にPRはあまりしていません。VCは裏方じゃないですか。

–gumiへの投資を決めた理由について教えて下さい。

松本氏:國光さんがこのあと話してくれると思いますが、「グミノミクス」ですよ。(國光氏がTwitterに投稿していた内容を挙げて)時価総額8兆円を実現してくれると思っています(笑)

冗談はさておいて、國光さんはストラテジストなんです。それに、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズにはなれないと思いますが、実は孫さん(正義氏)には性格が近いところがあります。それは7割方ものごとができあがると、ゴールに向かって進んでいくところです。「ここは勝てる」となった時にアクセルをかけるということをやってのけるし、ダメだとなった時にはすぐに軌道修正もする。しっかりしたボードメンバーもいるし、自社ゲームアプリの一発勝負ではなく、グローバルでゲームのパブリッシングもやっている点も評価しています。

gumiの成長戦略「グミノミクス」

–先ほど松本さんの話にあったグミノミクスについて教えて下さい。

國光氏:グミノミクスはgumiの成長戦略のことです。例えば2年前にはブラウザゲームからネイティブゲームへの移行、海外進出、内製アプリのヒットといったことを指針に掲げていました。

今最新のグミノミクスの指針は3つあります。1つめは「Conquer rest of the world」。ヨーロッパやロシア、中南米など、まだリーチしていない地域をどう攻めるかということです。

今gumiには、国内外合わせて800人弱の社員がいます。国内と海外の比率で言うと、半分は海外です。まだ場所は言えませんがさらに海外も拠点を拡張します。ブレイブフロンティアは現在15言語で展開していますが、こちらは年内にも全世界で展開していきます。

またgumiは自分たちでゲームを作るデベロッパーであり、他社のゲームを世界に展開するパブリッシャーでもあります。デベロッパーとしては、前述のとおり拠点を作っているところです。世界中でいい人材が居れば、チームごと引き抜いてきます。M&Aはやりません。M&Aしても買った会社に価値があるのではなくて、チームが大事です。人に投資しないといけません。

パブリッシャーはとしては取りあえず各国でゲームを出してみて、数値がよければ本格的に進出するという形で展開しています。多くのパブリッシングビジネスは、自分の国の小さいデベロッパーのコンテンツをパブリッシャーが出すことがメイン。金もある、ユーザーもある、と言ってくる。ただしgumiではグローバルでマーケティング、運用といった体制があります。最近ではセガとも組みましたが、我々はクロスボーダーでのパブリッシングに強いという大きい特長があります。

グミノミクスの2つめですが、「ミッドコアゲームへの注力」です。例えば韓国などはカジュアルが好調ですが、もう少しコアなゲームにもチャレンジしていきます。ブレイブフロンティアは世界でもいけると思えたので、パブリッシングゲームでもそこを狙っていきます。

そして3つめは、引き続きヒット作品を出すということです。

クソみたいに小さいIPOはすべきではない

–年内上場という報道もあります。gumiはこれまで何度かIPOの噂もありましたが、改めてIPOについてどう考えているか教えて下さい。

國光氏:gumiの目標は「ゲームで世界一をとる」ということがダントツです。そう考えるなら、たとえ年末にIPOできてたとしても、「攻める」ための資金を集めるには遅いじゃないですか。それがあっての今回の資金調達です。IPOはしかるべきタイミングでと考えています。

松本氏:IPOから逆算するようになると、世界一は実現できないでしょう。Dropboxだって上場のためにお金を集めるわけではないです。そしてFacebookだってTwitterだってずっと赤字でした。中途半端な上場をするくらいならしない方がいい。

國光氏:ここは声を大にして言いたいんですが、クソみたいに小さいIPOはすべきではないんですよ。

IPOするといろんな情報を公開していかないといけないし、計画を大きく変えることには問題が出てきます。そうなると、少なくとも売上はIPO後2年間は右肩上がりになるようなビジネスモデル、そして組織力が必要になります。

そこを考えるとgumiの戦略はシンプル。どんなに行っても日本のマーケットはいつかは底を打つことになります。それで我々は海外に展開しています。グローバルのゲーム市場はまだまだ右肩上がりです。

IPOまでに考えないといけないのは、グミノミクスとしても話しましたが、デベロッパーとしての「(ブレイブフロンティア以外という意味で)アナザーヒット」と、パブリッシャーとしての成功です。

そしてそのヒットを出すための公式は「打席数(金)×打率(人材とIP)」です。お金があっても、人材がいないと始まりません。また、すべてのゲームをIPものにするつもりではないのですが、IPには金がかかります。打席数を増やす、IPをとる、とすべてお金が必要です。いざ何かをやろうとしたタイミングに(今回の調達で)お金を持っている必要があります。

–すでに國光さんは自社の株式をすで3割切る程度しか持っていないとも聞きました。

國光氏:あくまで最優先するのは世界一。自分の持ち株比率は、それより優先度が下になります。株式が希薄化してもお金を集めるというのにそれほど躊躇はありません。ただし、意思決定のために個人筆頭(株主)であることはこだわっています。

松本氏:シリコンバレーでは多い考え方ですよね。会社としての成長に重きを置くというのは。

創業社長がずっと社長である意味はありません。ナンバーワンになることを最優先するなら、ステージステージで最適なボードメンバーが必要です。そうなると社長が國光さんじゃないかも知れない。自分の会社を大事にしたいのか、会社を世界一にしたいのか。例えば後者であれば、みんなが認めたバトンタッチであればいいのではないでしょうか。しかしながら日本ではあまりそういう考え方がありません。

–すべてのゲームとは言いませんが、この30年盛り上がっていたコンシューマ機からスマートフォンへの移行があります。ではスマートフォン中心のゲームビジネスはどれくらい続くと見ていますか?

國光氏:エンタメ産業の市場規模は結局のところ「可処分所得×人口」で決まります。これはなくらないし、市場規模だってきわめて安定している。それを誰が取っていくかの話だと思っています。

国内でいくと2、3年でスマートフォンゲームの市場は成熟化するでしょう。そこからはデバイスの進化に合わせて、5〜10年というところではないでしょうか。

ですが海外では、今まさにスマートフォンが普及し始めて、世界中が豊かになっているところです。向こう5〜6年は完璧な右肩成長が続くでしょう。先進国でこのペースであれば、新興国を含めると10年は伸びていくでしょう。

その後はスマートフォンやタブレットに続き、スマートTV、さらにはOculusのようなデバイスを使ったゲームも出るでしょう。そんな中でどんな手を打つかです。gumiが目指すのはエンタメの世界一です。例えばブレイブフロンティアだってタブレットやスマートTVでも出すし、コンシューマ機でだって出すし、アニメも映画も興味あります。例えばディズニーのミッキーマウスのように、ありとあらゆるところにプロダクトを出すイメージがあります。

あと、Eトイなんかは挑戦したいと思っています。テクノロジーは進化しています。時代ごとに、ハードとの連携なども考えていかないといけません。そこに手を打っていないと、一気に環境が変わったときに対応できなくなります。gumiはこれまで3回ピボットして、3回会社がつぶれかけたのですが、それでも生き残れてきたのは会社のビジョンで言っている「勝つためには誰より早く挑戦して、誰より早く失敗して、誰より早く復活する」ということをやれたからです。

松本氏:國光さんの、gumiのいいところは「無形資産に投資している」というところもあります。皆さんコンテンツではなくプラットフォームに挑戦をするので、いざそれをスイッチングしようとしても硬直化してしまいます。ですがディズニーだって無形資産、コンテンツです。それでさまざまな形でユーザーの可処分時間を取っています。

プラットフォームは変わって当たり前、ゲームにこだわらなくていいんです。gumiはこれまでのピボットでSNSもブラウザゲームも捨ててきました。いつかはネイティブアプリのゲームも捨てられるでしょう。そうして例えばリクルートのように「イズム」を作る会社になれば、100年だって続いていくはずです。


スマホゲームのgumi、WiLなどから合計50億円の資金調達

子会社エイリムが手がける「 ブレイブフロンティア」も好調なスマートフォンゲームデベロッパーのgumiがまた大型調達を実施している。同社は7月4日、WiLが運営するファンド等を割当先とする第三者割当増資で総額50億円を調達したと発表した。

同社の発表によると、WiLのほか、セガネットワークス 、ジャフコ 、B Dash Ventures、新生企業投資、グリー、三菱UFJキャピタル、DBJ キャピタルに加えて、個人投資家が出資しているとのこと。また複数の業界関係者から聞いた話を総合すると、WiL単体で20億円程度の出資がなされているようだ。

gumiはこれまで公開されているだけでも40億円超の資金調達を実施しており、今回の調達をあわせると約100億円を調達したことになる。


gumiがフジテレビグループとモバイルゲームの新会社設立、あわせて19億円調達

フジ・メディア・ホールディングス(FMH)gumiは、スマートフォン向けオンラインゲームを開発する新会社「Fuji & gumi Games」を2014年1月に設立する。資本金は2億4000万円で、出資比率はFMH子会社のフジ・スタートアップ・ベンチャーズ(FSV)が79.2%、gumiが20.8%。新会社の社長には、フジテレビジョンでコンテンツ事業局ゲーム&インキュベーション事業部長を務める種田慶郎氏が就任する。

日本や韓国などのアジア圏を中心にモバイルゲームが拡大する中、gumiはシンガポールや韓国、中国に開発拠点を設けてきた。一方、FMHの中核会社であるフジテレビは現在、放送外収益を事業戦略の重要なミッションに掲げ、特にモバイルゲームを最重要領域として位置付けている。新会社のFuji & gumi Gamesでは、フジテレビグループの企画・マーケティング力とgumiの開発力を融合し、世界各国の市場にゲームタイトルを提供していくという。

これまでもFMHは、子会社のFSVを通じてモバイルゲームの分野などに投資してきた。FMHとgumiはすでに、モバイルゲーム開発のエイリムを設立するなどの協業関係を構築してきた経緯もある。エイリムがリリースしたロールプレイングゲーム「ブレイブフロンティア」は日本だけでなく韓国や台湾、北米で展開され、プレイヤーは130万人を超えているのだという。

新会社設立に先行してgumiは12月25日、FMH、B Dash Ventures、East Ventures、新生企業投資、DBJキャピタルなどを引受先とする第三者割当増資により総額19億円を調達したことを明らかにした。同日付でエイリムを連結子会社化している。