ファーウェイ社員がウガンダ、ザンビア政府のためにスパイ活動か

中国の有力テクノロジー企業であるファーウェイは、すでに世界的に厳しい視線にさらされているが、さらに打撃となる可能性がある報道が出ている。Wall Street Journal(WSJ)によれば、ファーウェイで働く技術者たちがウガンダとザンビアで政府高官が政敵をスパイすることを手助けしていたという。

記事には匿名の監視組織幹部の証言を伝えている。WSJは「調査では中国政府ないしファーウェイ幹部との直接の結びつきの証拠は得られなかった」としている。しかしファーウェイ職員が通信の盗聴で役割を果たしたことは確認しているようだ。

ファーウェイ社員が関わったとされるデータのリストには暗号化メッセージ、 WhatsAppやSkypeアプリの利用履歴、携帯電話利用記録などがある。

ザンビア与党の代表は反政府的見解を流すニュースサイトと戦ううえでファーウェイの技術者の手助けを得たことをWSJに認め、「我々はフェイクニュースを追跡する場合、ZICTA(ザンビア情報通信技術庁)が実行する。この組織はファーウェイと協力してわれわれのテレコミュニティー・インフラがフェイクニュースを拡散するために使われないよう手を打っている」と述べた。

当然だが、ファーウェイ自身は全面的に関与を否定し、「我々はいかなる『ハッキング』も行っていない。われわれのビジネスを攻撃する根拠なく不正確な報道を断固として否定する。我々の内部調査はファーウェイ社員は報道で主張されているような活動に関与したことは一切ないと結論した。我々はいかなる(情報機関と)契約も結んでおらず、また(スパイ活動の)能力もない」とコメントしている。

この間、ファーウェイは米国、英国、ヨーロッパを含む各国で調査の対象となっており、同社のコミュニティー機器は中国政府によるスパイ活動のために用いられるのではないかという安全保障上の疑いが持たれている。これについてもファーウェイは強く否定、反論している。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ファーウェイの自社製OS搭載のスマホが今年中に発売か

Huawei(ファーウェイ)は最悪の事態に備えて、ここしばらくソフトウェアの開発に取り組んできた。米国が今年初めにこの中国のハードウェア大企業をブラックリスト入りすると発表したとき、開発計画は加速したはずだ。

しかしいまだに明らかになっていないことの一つは、同社のHongmeng OS(ホンメンOS)がどのような役割を担うか、ということだ。最近の報道では、OSはIoTと他の産業用途のために構築されていると推測されている。しかしこのソフトウェアは具体的にはローエンドのモバイルデバイスで作動させるため、という方向にいっているのかもしれない。

中国官営メディアのGlobal Timesは今朝、情報筋の話としてHongmengが今年後半にもローエンドスマホに搭載されるかもしれないと報じた。このOSは現状では明らかにAndroidよりもかなり劣っているが、端末の価格を2000元(約3万円)に押し下げそうだ。報道ではまたファーウェイは今週後半、中国・東莞市で開催するデベロッパー会議でOSの全容を明らかにするとしている。

現在のところ、HongmengはGoogleのOSの代替として作られてはいないようだ。だがファーウェイは米国製のハードウェアとソフトウェアへのアクセスを完全に断つという、あり得る将来に備えつつある。

差し当たっては、ファーウェイは少なくともハイエンドの旗艦モデル向けにはAndroidを使い続けることに専念するようだが、その一方でエントリーレベルのモデルにHongmengをもってくるかもしれない。

イメージクレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

「順調な上半期」という発表の裏でファーウェイが語らなかったのは「スマホの伸びゼロ」

米国時間7月30日、Huawei(ファーウェイ)は「順調さ」を強調した上半期報告を発表し、メディアはおおむね受け入れれたようだ。しかしここで語られていない大きな問題がある。第1四半期から第2四半期にかけて同社のスマートフォンの売上の伸びはゼロだったのだ。

テレコム機器とスマートフォンの有力メーカーであるファーウェイは2019年上半期の決算を発表し、米国の制裁措置にもかかわらず、上半期の売上が23.2%増加し、4013億元(583.1億ドル、約6.3兆円)に達したと発表した。 同社の上半期のスマートフォン出荷台数は1億1800万台となり、対前年比24%のアップだった。

なるほど好調な上半期だったといえようが、では四半期単位ではどうなっていたのだろう?ファーウェイは発表していないが、簡単な計算で語られなかった事実を知ることができる。同社は第1四半期に対前年比で収入を39%を伸ばしている。つまり上半期の成績が好調だったのは第1四半期のせいで、第2四半期は足を引っ張っていたことが分かる。

ファーウェイは上半期の売上が前年比23.2%アップしたと言っている。しかしQ1が39%アップだったことを考えれば Q2はそうとう悪かったに違いない。

ファーウェイは第1四半期にスマートフォンを5900万台出荷している。つまり上半期の出荷合計1億1800万台から5900万台を引けば第2四半期の出荷台数も5900万台だったとわかる。テクノロジージャーナリストのAlex Barredo(アレックス・バレード)氏が Twitterで指摘したように、 これまで同社の第2四半期のスマートフォン出荷台数は第1四半期を大きく上回ってきた。

ファーウェイのスマートフォン売上はこれまで第1四半期から第2四半期にかけて大きく伸びていた(平均(32.5%のアップ)。ところがトランプ大統領の制裁発動の後、今年は伸びゼロ。これはすごい効果だ。

中国国内ではファーウェイのスマートフォン売上は伸びている。市場調査会社、Canalysが調べた国内販売のデータでは、第1四半期(2990万台)に対して第2四半期( 3730万台)となっている。しかし国内販売の伸びは国際市場での落ち込みを帳消しにするほどの力がなかったわけだ。実際ファーウェイのファウンダーの任正非(Ren Zhengfei)氏自身、6月に同社の海外市場でのスマートフォン売上は最大40%程度下落する可能性があると予想していた

この打撃が生じた理由は複数ある。制裁によってファーウェイは米国の提携企業が開発したコアテクノロジーから締め出されることになった。例えば、Google(グーグル)はファーウェイに対しAndroidサービスの重要な部分を提供することを停止した。Android OSそのものはオープンソースであり引き続き利用できるが、米国の貿易規則はグーグルがファーウェイにソフトウェアアップデートを提供することを禁じている。

半導体メーカーのARMもファーウェイとの関係を断つことを余儀なくされた。米国による制裁措置の打撃を緩和するためめに、ファーウェイは独自の半導体やスマートフォンOSを開発しているというニュースも流れた(のちに同社はこのOSは産業向けのものだと主張している)。しかしこうした措置が効果を挙げるとしても、だいぶ時間がかかるだろう。

もちろんファーウェイという巨人にとってスマートフォンのような消費者向けプロダクトは事業の一部分に過ぎない。しかし同社のエンタープライズ向け事業もまた攻撃を受けている。米国では価格の安さから小規模な地域キャリアの多くがファーウェイを利用してきた。しかし制裁措置以来、関係を断つ会社が増加している。トランプ政権は西側諸国に対し5Gネットワーク構築にあたって同社の機器を採用しなよう強く働きかけている。

簡単にいえば、米国のブラックリストに載せられ、米企業とビジネス関係を持つことができなくなったことはファーウェイに対して非常な圧迫となっている。ワシントンは一定の猶予期間を設け、一部製品については同社との輸出入の再開を認めたが、すでに大きな打撃が与えられたことは明らかだ。ファウンダーの任氏は先月、「米国の制裁措置はひっくるめて300億ドルの収入の落ち込みをもたらすかもしれない」と述べている。

ファーウェイの会長、 梁華(Liang Hua、写真)氏は本日の声明で「我々は困難な時期を迎えている」と認めたが、同時に「前途が明るいものであることに確信がある。1200億元にのぼる今年のR&D関連投資を含め、我々は予定どおり投資を進める。いくつかの困難を克服し、最悪の時期を後にして、今後は新たな成長段階に入れることに自信を持っている」と述べている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルとファーウェイの共同開発スマートスピーカーが対中制裁でボツに

トランプ政権の制裁措置で日の目を見ることがなくなったHuawei(ファーウェイ)関連のデバイスの情報はこの後何週間、それどころか何カ月にもわたって聞こえてくるだろうと思う。例えば、われわれはファーウェイはGoogle(グーグル)と提携してスマートスピーカーの開発を進めていたが、禁輸措置にともなう大混乱の中に消えたという情報をつかんだ。

実際このデバイスは9月にベルリンで開催されるIFAトレードショーに出品されるはずだったが、ご存知のようなことで流れてしまったとThe Informationが伝えている。当然がら情報をもたらしたファーウェイ社員は匿名だ。

これはグーグルのパートナー関係全体の中で考える必要がある。同社はサードパーティーのハードメーカーと提携することで各種のスマートアシスタントを家庭に普及させる足がかりとしてきた。中でも中国は重要な市場で、実際、この5月にはスマートスピーカーの市場規模として米国を抜いたという。中国のハードメーカー、Lenovo(レノボ)はスマートクロックのディスプレイを製造している。

長年の疑惑、非難の後、ファーウェイはとうとう米国の貿易ブラックリストに載せらることになった。このためGoogleとのビジネスにも急ブレーキがかかった。禁輸リストにはAndroid(これは一時的に猶予期間が設けられているが)をはじめ、まだ発表されていない各種のデバイス、プロジェクトも含まれることになる。

ファーウェイはAndroidとGoogle Playストアに代わる独自のモバイルエコシステムを開発しているという情報も流れた。将来の方向はともかく、当面は制裁措置は同社の収益に壊滅的打撃を与えている。

ファーウェイもグーグルもこの件に対するコメントを控えた。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ファーウェイ初の5Gスマホが来月中国でリリース

Huawei(ファーウェイ)は米国時間7月26日、初の5Gスマートフォンを中国市場で発売することを発表した。英国でのデビューに続き、Huawei Mate 20 Xは現在予約を受付中で、中国での発売は8月16日を予定している。

2月に開催されたMWC(モバイル・ワールド・コングレス)でデビューした折り畳みスマートフォン「Mate X」よりも、Mate 20 Xは早く発売されている。ようやく先週におおよその発売日が決定したSamsung(サムスン)のGalaxy Foldの混乱をみれば、企業が折りたたみスマートフォンのリリースについて慎重になるのは当然だ。

China Mobileは先月末、ファーウェイの機器を利用した5G通信ネットワークを稼働させ、10月には商業サービスを展開する予定だ。また6月には、China TelecomとChina Unicomも商用5Gネットワークのライセンスをいくらかの遅れの後に取得した。先週には、ZTEのAxon 10 Pro 5Gも中国で先行販売された。

ただしサービスが展開されるまでは、5Gスマートフォンの購入者は古いネットワークに頼らざるを得ず、米国と中国の貿易戦争の影響をうける。安全保障上の懸念からファーウェイとZTEの両方が国際的に、特に北米において標的となっている。

報道によれば、ファーウェイは米国における排除を受けて、ハードウェアとソフトウェアの内製率を大きく向上させようとしている。注目すべきは、ARMベースのKunpengサーバーチップを中心としたエコシステムの構築に、4億3600億ドル(約470億円)を投資したことだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ファーウェイがブラックリスト入りで米研究施設の600人を解雇

Huawei(ファーウェイ)は今週、シカゴやワシントン州、ダラスに拠点を構える米国の研究部門Futurewei Technologiesの人員600人を解雇した。この数字は850人いるこの研究部門の70%にあたり、解雇は米政府によるHuaweiブラックリスト入りを受けた動きだ。

この研究施設では2カ月以上にわたって仕事がない状態だった、と指摘する関係者の話として、ロイターがこのニュースを最初に報じた。「米国がHuaweiに対する輸出規制を実施する直前の5月17日に、HuaweiはFuturewei Technologiesの全員にすべてをHuaweiのクラウドにアップロードするよう命じた」とこの情報筋はロイターに対し語っている。「その後基本的にはFutureweiは業務を停止した。ほとんどすべての業務を、だ」。

Huaweiはその動きを認め、「Futurewei Technologiesは大幅な人員削減を実施し、これは米国内の600人超に影響する」と書いている。

この研究施設は、5Gに関するものなどHuaweiの何千もの特許申請に携わってきた。この5Gネットワークはこのところ米国の懸念の中心にあり、Huaweiのネットワーク機器や中国政府との結びつきには厳しい目が向けられている。

米商務省の「エンティティ・リスト」入りでHuaweiはすでに大きな影響を受けていて、Googleのような米国企業やARMのような国際的な部品メーカーの技術にアクセスできないなど、最終的には影響はかなり深刻なものとなることが予想される。

今週初め、Huaweiが北朝鮮の3Gネットワークに関与しているとの別の報道があり、この動きは米国の北朝鮮制裁に違反している可能性がある。

関連記事:ファーウェイが極秘裏に北朝鮮の3G構築を支援との報道

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ファーウェイが極秘裏に北朝鮮の3G構築を支援との報道

米政府とHuawei(ファーウェイ)の間では緊張が続いているが、新たな報道がさらなる火種となるかもしれない。ワシントンポスト紙が入手した文書では、この中国のハードウェア大企業は北朝鮮の商業3Gワイヤレスネットワークに関与しているとされている。

米国はすでにイラン制裁違反で同社に制裁を科しているが、もし報道内容が事実なら、米国にとってさらなる制裁の材料になるかもしれない。米政府もまたHuaweiと北朝鮮のつながりについて数年かけて調査したが、確かな関連はつかめていない。

ワシントンポスト紙の報道は前ファーウェイ従業員の証言に基づくもので、報復を恐れて匿名を希望している別の情報筋の事実確認とそれを裏付ける文書もある。Huaweiは北朝鮮で“事業の展開は皆無”と述べていた。

「ファーウェイはすべての輸出規制や制裁の法律や規則を含め、事業を展開する国や地域で適用される法律や規則を完全に遵守している」とHuaweiは報道機関向けのリリースで述べた。明らかにこの声明は主に最近の事業展開に関してであり、過去の事業についてのコメントは拒否している。

取引の詳細はやや複雑だ。文書によると、ファーウェイは中国国営企業Panda International Information Technologyと提携していた。報道では、ファーウェイは10年以上前に、ワイヤレスキャリアKoryolink立ち上げに際してネットワーク機器を北朝鮮に送るのにこの国営企業を使ったとされている。

世界中で通信キャリアが5Gを展開し始めたのに伴い、ファーウェイはこのところ追加で綿密な調査を受けていた。我々はファーウェイにさらなるコメントを求めている。

イメージクレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ファーウェイの新OSはAndroid置換システムではなく工業用だった

結局、ファーウェイの独自OS「Hongmeng」(鴻蒙)は最初に喧伝されたようなAndroidを置き換えるOSではなかった。確かに最初の話では、ファーウェイはGoogleがなくても生きられる道を探していたと思われるが、でもこの中国のハードウェア大手によると、そのオペレーティングシステムは主に工業用だ。

中国国営の新華社通信社の最新の記事によると、そのOSはトランプがファーウェイを禁ずるずっと前から開発されていた。上級副社長のCatherine Chen(キャサリン・チェン)氏によると、HongmengはAndroidなどに比べると比較的シンプルなオペレーティングシステムだ。このニュースは、ファーウェイはIoTデバイス用のソフトウェアを開発していたという、もうひとつの報道のこだまのようだ。

でもこれらのニュースは、ファーウェイが完全なモバイルオペレーティングシステムを開発していないとは言ってない。また、この新しいOSはほかの目的に転用できるのかもしれない。

最新のニュースを見ると同社の人的資源の分厚さがわかる。確かに、かなり前からこうなる前兆はあった。禁令は唐突に訪れたように見えるが、同社に関する疑念はセキュリティ界隈で何年も前から漂っていた。

トランプ政権によってファーウェイは、Googleなどの米企業との協働を禁じられたが、しかし一時的な規制緩和により、スマートフォンにAndroidを使えることになった。あくまでも一時的に。でも規制が再開されれば、同社の今後の健康も危ういだろう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国企業は商務省の認可を得ればファーウェイに売ってもよいことに

ファーウェイ(Huawei)が米商務省のエンティティリスト(Entity List、米製品輸出禁止対象企業リスト)に載ってから2カ月経った今、この中国の通信機器とスマートフォンの大手は米国のサプライヤーと再びビジネスができることになった。ただしそのためにはサプライヤー企業が米政府の認可を得なければならない。Wilbur Ross(ウィルバー・ロス)商務長官の発表によると、その認可を得るためには企業が、その技術をファーウェイに売っても国にとってリスクがないことを証明しなければならない。

しかしファーウェイはエンティティリストに残り、認可の申請は「原則として不許可」の方針のもとに審査されるので、承認されない企業が多くなるだろう。

先月、G20サミットで二人が日本にいたとき、ドナルド・トランプ大統領は中国の習近平国家主席に、米企業が製品をファーウェイに再び売れるようにすると言ったが、しかしその漠然とした口約束は具体性を欠いていた。そして商務省はスタッフに、ブラックリストがまだある前提で行動するよう命じている。世界最大の通信機器メーカーで、スマートフォンのメーカーとしては世界で2番目に大きいファーウェイは、米国と中国が繰り広げている貿易戦争における一種の切り札だ。

ファーウェイがエンティティリストに載ってからはQualcomm(クアルコム)Intel(インテル)、Google(グーグル)などの重要なサプライヤーとの関係が断ち切られ、それによってファーウェイに生じた損害は約300億ドルと言われる。米国のリスクになることはないと繰り返し主張しているファーウェイの創業者でCEOの任正非(ニン・セイヒ)氏はその後、CNBCのインタビューで損失額を下方修正したが、損失は重要な顧客を失う米企業にも生ずることを忘れてはならない。昨年のファーウェイの部品購入額700億ドルのうち、110億ドルがQualcommやIntel、Micron(マイクロン)などの米企業からだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ファーウェイが米国サプライヤーから部品を購入できるように

1カ月以上にわたる不安定な状態が続いたのち、ドナルド・トランプ大統領は禁輸包囲網が敷かれたHuawei(ファーウェイ)に米国企業が商品を売ることを許可し、同社に救いの手を差し伸べた。

米政府が、企業に取引を禁止するエンティティリストにファーウェイと関連企業70社を加えてから、同社はかなり惨めな状態に陥っていた。この措置は、ファーウェイのネットワーキングと消費者デバイス事業に甚大な影響を及ぼした。いくつかのチップ企業が、ファーウェイデバイスにAndroidを提供し、契約を凍結させたGoogleに倣うことを余儀なくされていた。

ファーウェイ創業者でCEOの任 正非氏は先日、米国の禁輸措置は世界第3位のシェアを持つスマホメーカーである同社にとって大きな損失となり、今後2年間で売上高300億ドルほどを失うことになるかもしれないと語っていた。

しかしながらトランプ政権は救済策を発表した。少なくとも今週末のG20サミットで中国の習近平国家主席との会談後に表明された大統領のコメントに基づけばそうなる。

「米国企業はファーウェイに機器を販売できる。国家安全上、大きな問題がない機器が対象となる」と大統領は加えた。そうしたコメントはおそらく、ブラックリスト入りをファーウェイそのものと同社のグローバルの野心を潰す策としてみなしていた政権内の一部の人と相反するものだろう。一部のアナリストはファーウェイは米国にとって脅威になると考えている。

朗報にもかかわらず、信頼関係にはひびが入り、元に戻ることはない。中国との間で展開されている貿易戦争において最新の戦略だったファーウェイのブラックリスト入りというほぼ思いつきの行為は、同社が機能するためにいかに米国に頼ってきたかを如実に示すことになった。

ファーウェイは、Androidに代わる自前のOSの開発バックアップのチップを含め、米国頼みのリスクを回避しようと方策をとってきた。将来同じような状況に陥ることがないよう、同社がこうした取り組みを今後猛烈に進めることは想像に難くない。

もちろん、ソフトウェアと部品のどちらの点でも米国のパートナーからサプライチェーンを分離させることは簡単なことではない。ファーウェイが米国の部品やソフトウェアなしで、現在の水準の事業(直近の第4四半期には5900万台のスマホを販売し2018年の総売上高は1074億ドルだった)を維持できるかどうかは今後明らかになる。しかし今回の件は、将来再び政治紛争に巻き込まれた時のために確固たる緊急時の方針を持っておかなければならないというリマインダーとなる。

ファーウェイの救済以上に、トランプ大統領の動きはGoogleや事業を拡大しようとファーウェイとの関係発展にかなりの時間と労力をさいてきたファーウェイのパートナー企業を押し上げるものになる。

実際、トランプ大統領は報道に語る中で、米国企業がかなりの量の製品をファーウェイに販売していることを認めた。一部の企業は、同社に販売できないことに強い不満を感じており、そうしたことが今回の決断を導いたようだ。しかし、繰り返しになるが、あり得ないということはない。今回の意外な進展にかかわらず、ファーウェイとトランプ大統領の対決は終結とは程遠いだろう。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

米予算責任者がファーウェイ制裁の一部延期を要請

すでに複雑化している米国/Huawei(ファーウェイ)問題が、今週さらにややこしくなった。行政管理予算局のラッセル・ボート局長代行は、マイク・ペンス副大統領および連邦議員宛に書簡を送り、予定されていたファーウェイ制裁措置の延期を要求した。

6月4日に発信されその後The Wall Street Journalが入手した書簡には、トランプ大統領が署名したファーウェイの米国内での事業を禁止する国防授権法の重要箇所の実施を延期する要求が書かれている。

「これらの禁止条項が国家安全にとって重要であることを政権は認識しているが、多くの関係省庁に対し、本件の影響を受ける可能性のある広範囲の利害関係者から懸念が寄せられている」とボート氏は書いている。

米国政府は、スマートフォン、通信ハードウェア大手によるこの問題の根源は、米国にセキュリティーの脅威を与える中国政府とのつながりにあると以前から主張してきた。対するファーウェイは、この問題を政治的、反競争的行為だとしている。

一方スティーブ・ムニューシン財務長官はReuters(ロイター)のインタビューに答えて本件に関するあいまいな内容を発言している。「私が思うに大統領の発言は、中国との貿易交渉に一定の進展が見られ、何らかの保証が得られれば、Huaweiに対する措置を緩和する可能性があるという意味だと思っている。ただし、これは国家安全の問題である」と報道陣に語った。

もし延期が実施されれば、ファーウェイにとって有利に働くことは間違いない。同社は米国および米国と関係の深い部品メーカーやソフトウェアメーカーに代わる取引相手を探している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ファーウェイ苦境の最中に中国が初の5Gライセンスを認可

以前から予測されていたように、中国は米国時間6月6日に初めて商業向け5Gライセンスが認可される企業を指名した。

2018年には世界の通信機器の売り上げの30%近くを占めた中国企業のHuawei(ファーウェイ)が、セキュリティ上の潜在的な懸念により西側諸国で監視の目が厳しくなる中、中国の通信当局となる中華人民共和国工業情報化部(MIIT)からこのニュースは発表された。

この認可は、2019年後半になると予測されていた中国の5Gライセンスのスケジュールを数カ月前倒ししたものだ。この加速は、すでに商業サービスを開始しているアメリカ韓国との5G産業競争に向けた、中国の野心を明確に示している。

MIITは、China Telecom(チャイナテレコム)、China Mobile(チャイナモバイル)、China Unicom(チャイナ・ユニコム)とケーブルテレビ局のChina Broadcasting Networkに、次世代の携帯ネットワーク事業を認めた。

なお、ネットーワーク機器メーカーやスマートフォンメーカー、チップメーカーやアプリ開発者を含む、5G業界のプレーヤーも準備を進めている。ここ数ヶ月、Samsung(サムスン)やOPPO(オッポ)、Xiaomi(シャオミ)、ファーウェイは5G対応スマートフォンの計画を発表している。

一方、ネット業界大手のTencent(テンセント)はIntel(インテル)とともにクラウドベースのゲームサービスを密かにテストしており、Netflix(ネットフリックス)にも似たiQiyiはチャイナテレコムとVR(仮想現実)プロダクトに取り組んでいる。これらは、5Gに対応し低レイテンシかつ広帯域なネットワークを利用する数多くのアプリケーションのうちの2つに過ぎない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

米中貿易摩擦の影響で今年の世界スマホ出荷台数は減少するとの予測

調査会社Canalysが今年の世界スマホ出荷台数予測をアップデートした。それによると、2019年の出荷台数は前年比3.1%減の13億5000万台となる見込みだ。

この数字は、米国と中国の貿易協議の先行きの不透明性と、国家安全上の観点からトランプが先月、米国企業に対してファーウェイを含む中国デバイスメーカーが製造したキットの使用を禁じる大統領令に署名したことを受けたものだ。この大統領令によりGoogleはHuaweiへの主要なAndroidサービスの提供を中止したとのことだ。

「米国と中国の貿易協議をめぐる多くの不透明な要素、5月15日に署名された大統領令、そしてこれらに付随する動きにより、Canalysは先行きが不透明な点を反映させて出荷台数予測を下方修正した」とアナリストは書いている。

この予測は、Googleなどに現在認められている90日間の猶予が切れたら、ファーウェイとの取引制限が厳密に適用されるという仮定に基づいている。この猶予は2019年5月20日から8月19日までで、取引が制限されると世界第2位のスマホメーカーであるファーウェイは、短期的には新デバイスの展開が特に中国外で難しくなる。

「中国外に起因する要因がしばらく影響を与えるだろう」とアナリストは分析する。「米国と中国はゆくゆくはファーウェイへの圧力を緩和するための取引協定を結ぶだろう。しかしそれが本当に実現するのか、実現するにしてもいつになるのかは不透明だ」。

「マーケットの不確実性により、ベンダーが難しい状況の中で短期・長期的影響を最小限に抑える戦略を加速させる方向に動いているというのは特筆に値する。その戦略とは、例えば関税リスクヘッジのために生産拠点を他の国にシフトさせることなどだ。しかし米国はそのほかの国からの輸入商品にも関税をかけると最近発表していて、テック産業はしばらく対応に追われることになるだろう」とCanalysのVPであるNicole Peng氏は発表文の中で付け加えている。

Canalysはまた、ファーウェイが苦境に陥っていることで出てきた短期的チャンスを他のスマホメーカーがとらえるために資金注入を模索すると予想していて、アグレッシブな端末戦略と素早く生産を強化できる能力を持つことからそうしたスマホメーカーの中で最も恩恵を受けるのは韓国のSamsung(サムスン)だと予測している。

主要モバイル供給チェーンやファーウェイの縮小を和らげるためのチャネルにおける緊急時の対応計画が実行に移され、また5Gデバイスの展開加速により、2020年までには状況は少し落ち着いているだろうとCanalysはみている。

また、5Gや他のハードウェアのイノベーションが消費者の需要を刺激するとCanalys見ていて、スマホの出荷台数は地域によって差はあるもののグローバルでは2020年には成長路線に戻り、3.4%増の13億9000万台を予測している。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

台湾フォックスコンが中国ファーウェイ端末生産ラインの一部を停止

サウス・チャイナ・モーニングポストの報道によると自社製品のデバイスが米国と中国の貿易摩擦の中心にある中国テック企業であるHuawei(ファーウェイ)は新スマホの発注を減らしている。

匿名の情報筋によると、台湾のテック製造メーカーであるFoxconn(フォックスコン)はファーウェイが発注を減らしたのに伴い、いくつかのファーウェイスマホの生産ラインを止めた。フォックスコンはApple(アップル)やXiaomi(シャオミ)を含む主要スマホメーカーのほとんどの製品製造を手がけている。

ドナルド・トランプ米大統領が米国のネットワークを海外のテックから守るために、「国家非常事態」を宣言した後、ファーウェイといくつかの関連会社は米国企業とテックに関する取引が禁止された。

ファーウェイのブラックリスト入りは、同社のスマホがGoogleのOSに頼っていたために端末の製造能力を含め事業のいくつかのラインに大きな影響を与えた。

ロイターの報道によると、Googleは5月にファーウェイとの取引を取りやめた。ファーウェイは昨年デバイス2億台を出荷し、2020年までに世界最大のスマホメーカーになるとの目標を打ち出していた。

米国によるブラックリスト入りの影響が、ファーウェイの中国外でのスマホ事業で現れ始めている、とサウス・チャイナ・モーニングポストの報道は明確に指摘している。

ファーウェイはすでにセキュリティに関して非難を浴びていて、世界の顧客向けにAndroidのアップデートが提供できなければさらに非難を浴びるだろう。

ファーウェイは万が一への備えをしている。同社はすでにAndroidベースの自前のOSを構築し、Google Mobile ServicesなしのAndroidオープンソースバージョンで使うことができる。そして当面はファーウェイの顧客はGoogleのアプリストアにアクセスできる。しかし、ファーウェイがデベロッパーにアプリをファーウェイ専用ストアで売らせることを余儀なくされた場合、中国外の顧客からの反発にあうことはあり得る。

ファーウェイと中国政府は米国の措置への報復を展開している。Huaweiは同社の製品を禁止したのは「違憲」として米国に対し法的措置をとっている。そしてファーウェイは深センにある本部のR&D部門に配置していた米国人従業員を帰国させた。

同社はまた、従業員に対して海外からの訪問者と話すことを制限するよう求め、米国の関係者と技術に関するミーティングを持つことを禁じている。

それでも、発注の減少はファーウェイの拡大(少なくとも同社のスマホ事業)を米国政府が阻止しようとする動きが功を奏していると言えるだろう。

ファーウェイ米国法人の広報はコメントの求めに応じていない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

中国が外国企業ブラックリスト作成で米国のファーウェイ締め出しに対抗

米国と中国の間で繰り広げられている貿易戦争の沈静化はさらに遠のいた。世界最大の人口を抱える中国は「信頼できない」外国企業のリストを作成すると発表した。

中国商務省のGao Feng報道官は今日、中国企業との事業を停止・縮小した外国企業を含む「エンティティ・リスト」を作成すると述べた。

「市場のルールに従わず、契約の精神に反し、非商業目的で中国企業への供給を妨げたり停止したりし、さらに中国企業の正当な権利や利益を著しく損なう外国の企業や団体、個人が『信頼できないリスト』に載ることになる」とFeng報道官の発言を引用して国営メディアが報道した。

この報復は、米商務省がHuawei(ファーウェイ)と関連する68社を国家安全保障上の懸念からエンティティ・リスト入りさせ、これにより米企業がそうした中国企業と取引するには政府の許可を得なければならなくなったことを受けた措置だ。しかし、Googleのような企業にはファーウェイとの取引継続を90日間許可する猶予が与えられている。

政府の方針により、GoogleIntel(インテル)、Qualcom(クアルコム)を含むいくつかの米企業はファーウェイとの取引を縮小した。ファーウェイの幹部は同社に対するそうした措置は同社の事業に甚大な影響を与え、世界規模で名誉が損なわれる、と述べている。

現段階では詳細はまだはっきりしないが、シリコンバレーに拠点を構える多くの大企業は中国のブラックリスト掲載条件に当てはまるようだ。

米国が今月初めに2000億ドル分の中国製品への関税を引き上げたことへの報復措置として、中国は今週末にかけて600億ドルぶんの米国製品への関税を引き上げる。2国が解決に向けて歩み寄る兆しは全く見られない。

一方、ファーウェイは同社の製品を米国が禁止したのは「違憲」として法的措置を取っている。同社はまた、深センにある本部のR&D部門に配置していた米国人の従業員を帰国させた。そして中国人従業員に海外からの訪問者と話すことを控えるよう求め、米国の関係者と技術に関するミーティングを持つことを禁じている。

イメージクレジット: JOHANNES EISELE/AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

ファーウェイが略式判決を申請して禁制の根拠は違憲と主張

米国時間5月29日、ファーウェイ(Huawei)は、同社に対するトランプ政権による全面的な禁制に対抗する訴訟手続を開始した。この中国の通信ハードウェア大手は、輸入停止の根拠とされている国防権限法(National Defense Authorization Act)の条項の合憲性を問う、略式判決の申し立てを申請した。

同社の法務担当最高責任者(Chief Legal Officer、CLO)は、米政府に対してファーウェイが前から主張している一連の論点を列挙した。Song Liuping氏は、用意された声明でこう述べている。「米国の政治家は国家の力を利用して一民間企業を追及している。これは正常ではなく、過去にも例がない」。

ファーウェイはかねてから、モバイルデバイスと5Gのインフラストラクチャを含むネットワーキング機器に関し、同社と中国政府との密接な関係につき、そのセキュリティ上の懸念を米国から問題視されていた。また同社は、イランなどの国に対する米国の制裁に違反したとして非難されている。

両者間の問題はここ数カ月で急激に過熱し、アメリカの企業とファーウェイとのすべての事業関係が禁じられた。同社はスマートフォンに関しては代替プランがあるから困らないと言っているが、しかしGoogleのようなソフトウェア企業やARMのような部品企業との断絶は克服できないだろう。

Song氏の声明は、最近同社が米商務省の輸出禁制リストに載ったことを、やや大げさな語調で非難している。「それは危険な前例を作るものである。米政府は、ファーウェイがセキュリティの脅威であることを示す証拠を何1つ提供していない。銃がないのだから、煙もない。あるのは憶測だけだ」。

この申し立てに対する審理は9月19日に行われる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ファーウェイがFedExとの関係見直し、誤配送を問題視

最近の米国との貿易禁止措置を受けて、Huawei(ファーウェイ)は多くの業務関係を再検討している。Google(グーグル)やARMを含む部品やソフトウェアのプロバイダーがファーウェイとの取引を停止しているが、今回の問題はまったく別の原因によるものだ。

ファーウェイはロイターに対し、FedEx(フェデックス)がいくつかの荷物の配送ルートを誤ったことにより、その関係を見直していると今週伝えた。ファーウェイによれば、荷物の中身はトランプ政権による禁止措置に抵触する特定の技術ではなく書類だと伝えている。

ファーウェイの広報担当者は「フェデックスにより送られた重要な業務書類が目的地に届かず、米国内のフェデックスに送られたり、送られるように要求されたことは、私達の信用を損ねた」と述べた。「この出来事により、我々は物流と書類の配送に関するサポート要件を再検討しなければならない」。

フェデックスは中国のソーシャルメディアにてこの誤配送を謝罪し、「不注意に誤配送」されたことを「後悔している」と表明した。同社はこの出来事は外部からの圧力によるものではないとし、米政府が関与したという疑いに対処したものだと説明した。

ファーウェイが謝罪を受け入れるかどうかは、現時点では不明だ。同社は長らく中国政府との関係を否定して、国際的な監視の目にさらされてきたが、その他の米企業との関係について懐疑的なのは間違いない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ARMが米方針に従いファーウェイとの取引を停止

米トランプ大統領によるHuawei(ファーウェイ)を苦境へと追いやるドミノ倒しが続いている。BBCの報道によれば、ARMの内部メモには「すべての進行形のコンタクト、サポート、エンタイトル(資格)、未決定の契約を一時停止する」という決定が記されていたという。

ARMは英国ケンブリッジに拠点をおいているが、米国をベースとする技術を利用しているため、貿易問題の影響を受けると考えている。この動きは、スマートフォンのようなデバイスから米国の技術を排除することが最終的にどれだけ難しいかを示している。そして、多くの人が最終的にファーウェイを破滅に追い込むかもしれないと考えているのだ。

ファーウェイはTechCrunchにたいして、標準的な反応とふたたび政治に関する考えを回答している。「我々はパートナーとの密な関係を大事にしているが、政治的動機にもとづく決定により、いくつかのパートナーがプレッシャーにさらされていることを認識している」「この残念な状況は解決されうると確信しており、世界最高の技術とプロダクトを世界中の顧客に届けることが我々の優先事項だ」

Google(グーグル)は米商務省による「貿易ブラックリスト」へとファーウェイが追加されたことに真っ先に対応した企業で、Androidのサポートを引き下げた。Microsoft(マイクロソフト)はこの事態について、沈黙を守っている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ファーウェイのHonor 20 Proなどミッドレンジの旗艦機は最高級機に負けていない

スマートフォンの売れ行きは、かなり前から下り坂だ。理由はいろいろあるけど、詳しく知りたい人は先週のぼくの記事を読んでみて。そこでは高級機の高額化が原因の上位に挙げられている。著名ブランドではフラグシップモデルが1000ドルを超すのが当たり前になっている。

この状況を悟った大手はフラグシップ機の廉価版を出し始めた。iPhone XR、Galaxy S10e、そしてPixel 3a。でも最近のミッドレンジ機は彼らに負けていない。それどころか、スマートフォンの高級機の指標は価格が4桁であることではない、とわれわれに納得させ始めている。

Honor 20 Proもこのジャンルに当てはまり、最近発表されたOnePlus 7 ProやAsus ZenFone 6などの仲間として、最高級機の仕様をフラグシップのかつてのリーズナブルな価格で提供できることを証明して見せた。

ただしもちろん、この新製品の価格を云々する前には、Huawei(ファーウェイ)のブランドであるHonorが米国内で買えるようになるのかを問題にしなければならない。ドナルド・トランプ大統領の中国との貿易戦争が今難しい局面だから、これもまた難しい問題だ。でもロンドンで599ユーロと発表されたから、米国で買えるとしたら670ドル(約7万4000円)ぐらいだろう。

このスマートフォンはファーウェイの最新高性能プロセッサーであるKirin 980を使用、ディスプレイ 6.26インチでカメラ用のパンチホールがある。背面カメラは4機構成(117度広角、48mpメイン機、望遠、そして接写)で、特にに接写用マクロレンズが面白い。発売は6月から7月にかけて、ということだ。

ファーウェイの締め出しはともかく、このような手頃な価格の高級機が今後の著名ブランドの製品と価格戦略にどんな影響を与えていくだろうか。そのへんを、見守りたいね。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleのファーウェイ制裁参加で欧州にショック拡大中、脱米模索も

米中貿易戦争は大きくエスカレートしつつある。中国を代表するテクノロジー企業、Huawei(ファーウェイ)に対し、Google(グーグル)がハード・ソフトの新規移転を停止したことはヨーロッパにもショックを広げている。ヨーロッパのテクノロジー企業もファーウェイと絶縁しないかぎり米国の禁輸ブラックリストに掲載される可能性が出てきた。

Reuters(ロイター)の報道によれば、米国時間5月20日、ヨーロッパの大手半導体メーカーであるInfineon Technologies、AMS、STMicroelectronicsの株価が急落した。 これらの企業はアメリリカが同国企業に対し、ファーウェイとの取引を禁止する行政命令を出したことを受けて、ファーウェイへの出荷をすでに停止したか、近く停止するという。

ハイテク分野のサプライチェーンは複雑にからみあっており、テクノロジーでは米国が優れているが、ヨーロッパではファーウェイがモバイル、ITネットワークのコンポネント供給者として地歩を築いていた。米国の厳しい禁輸措置により、EUのテクノロジー企業は大小を問わず政治的な戦いに巻き込まれることとなった。

たとえば、小さな会社ではあるが、フランスのスタートアップであるQwantがそうだ。 同社はプライバシーを優先した検索エンジンでDukDukGoとともにグーグルに対抗しようと試みていた。EUが反トラスト行為の疑いでグーグルのAndroidに制裁を課して以来、同社はグーグル以外の検索エンジンとしてヨーロッパで販売される有力スマートフォンにデフォールトで搭載されることを狙っていた。

その最初の大型パートナーがファーウェイだった。Qwantには、米中貿易戦争の激化以前に、EUのAndroidライセンスの見直しによる値下げに関連して価格面で逆風が吹いていた。そうではあっても米中貿易戦争の激化はスマートフォンのサービスのあり方を見直し、公平な競争条件をを構築しようとするEUの努力を無にする深刻な危険がある。

Googleのファーウェイへのテクノロジー移転の中止がきっかけとなってAndroidに用いられるコンポネントの供給が全面的に停止されるようなことがあれば間違いなくそうなるとロイターは観測している。

スマートフォンにおけるEUの反トラスト措置の核心はAndroidデバイスとグーグルのポピュラーなアプリをアンバンドルすることだ。これによりスマートフォンメーカーはグーグルのブランドを維持したまま完全にグーグルの支配下にあるのではないデバイスを販売できる。例えば、Playストアをプレロードするものの、デフォールトの検索エンジンやブラウザにグーグル以外のプロダクトを設定するなどだ。

しかしグーグルが(現行モデルでは継続されるとしても)ファーウェイに新しいAndroid OSやGoogle Playストアを提供しないとなれば、こうした構想は崩れてしまう。ロイターの報道に対するグーグルのコメントでは、まだ詳細は決定されていないようだ。広報担当者は以下のように述べている。

グーグルは(大統領の)行政命令を遵守するため、今後の行動を慎重に検討している。われわれのサービスのユーザーを保護するため、Google PlayとGoogle Play Protectによるセキュリティーは既存のファーウェイ端末に対して引き続き提供される。

これに対し、Qwantの共同ファウンダーでCEOのEric Léandri氏は、我々の取材に答えて「Googleは過剰反応している」として次のうように述べた。

トランプ大統領が正確にどういうことを言ったのか知りたい。グーグルは過剰反応しているのではないか。私は驚いている。(大統領命令は)そこまで要求しているようには思えない。。

ファーウェイがブラックリストに載せられるのであれば、他の中国企業はどうなる?ヨーロッパで販売されるスマートフォンの60%前後は中国から来ている。ファーウェイかZTEだ。OnePlus(ワンプラス)やその他、ポピュラーなスマートフォンはすべて同じ(米国による制裁の)リスクを負うことになる。

Nokia(ノキア)のような市場占有率の低いスマートフォンも中国の大手企業との提携で製造されている。つまり我々は(Androidという)単一のOSに頼るべきではない。Google PlayストアはGoogle検索と同じくらいスマートフォンにとっては重要だ。(略)

Léandriは「Qwantはファーウェイの対応を注視している。ファーウェイは独自のアプリストアを搭載したデバイスをヨーロッパで提供することにあるかもしれない」と述べた。

TechchCrunchの取材に対し、EU欧州委員会のデジタル単一市場の広報担当者はサイバーセキュリティーを強化したもののファーウェイ制裁を見送ったときの声明を繰り返し「EUメンバー諸国は国家安全保障に有害と認められたならば、そうした企業を市場から排除する権利を有する」と付け加えた。

またロイターの報道によれば、ドイツの経済相は米国のファーウェイ制裁がドイツ企業に与える影響の調査を始めたという。

米国の対中経済制裁の影響は広汎かつ深刻だが、Jollaのようなスタートアップには追い風になるかもしれない。同社はSailfishというヨーロッパ独自のAndroid代替OSを開発している。(略)米中の緊張が高まるにつれ、こうしたヨーロッパ独自の規格はリスク分散の手段として注目されるかもしれない。

画像:J. Scott Applewhite

(日本版アップデート)アメリカ政府はFuaweiに対する制裁措置を一時的に緩和するという。これはすでにライセンスされた技術については期限つきで利用を認めるというもので、Googleもこれに沿った声明を発表している。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook