IoT(物のインターネット)からインターネットは切り離せるか?

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【編集部注】この記事の執筆者、Daniel Myers氏はFLAIRのCEO

IoT(インターネットオブシングス、物のインターネット)とインターネットは表裏一体であるように見える。しかし、IoTデバイスはどのようにお互いに機能していて、もしインターネット接続がダウンしたら何が起こるのか、という問いが増えてきている。

ユーザーは自身のデータを企業のサーバーに蓄積していることに関連してプライバシーの問題を心配しているし、またインターネット接続が致命的な障害発生点となり得る状態を不安に感じている。こうした声は理にかなっているが、2000年頃を思い出せば、皮肉にも現在のオンラインショッピングは実際のお店での買い物よりもはるかに安全と言える。

何故デバイスメーカーがインターネット接続とクラウドサービスに依存しているのかを理解するためには、どのようにIoTデバイスが機能しているのかを見る必要がある。私たちは、データソース、データ処理、デバイス間通信、そして最終的に一つのデバイスが他のデバイスをどのように活用するのか、を理解する必要がある。

データソース

温度調節のデバイスのメーカーにとって、重要なデータソースは少ない。人、彼らの環境(屋内と屋外)、そして光熱費だ。

人は快適に過ごしたいと思っている。つまり、それは特定の温度、放射温度、湿度で過ごすということだ。人は様々な地形に住んでいて、屋外と屋内の気象状態にも大きな違いがある。その屋内外の差を埋め快適にするにはエネルギーを要する。しかし、エネルギーは供給と需要の影響を受けて変動するため、エネルギーを賢く利用するにはその価格をいつでも把握しなければならない。

このことを具体的なデータソースに落とし込んで考えてみよう。スマホは現代の究極的なウェアラブルである。これは、家か外かのマクロレベル(自宅や屋外)から、どの部屋にいるかなど(私たちの温度調節デバイスのように更に進んだシステムに対応するような)マイクロレベルに至る位置情報をデータソースになる。それだけでなく、入力した情報、加速度センサーの動き、そして時にはマイクからも情報を得ることができる。

電気スイッチをタップするごとにクラウドを経由してあなたの明かりをオンする必要があるか?

センサーは生の物理的な状況を示す環境データ(屋内、屋外)を取得する。大抵の場合、コストと電力の制限があるため、その時点でのデータ処理は多少あるかないかだ。私たちの場合では、気温、湿度、周辺光とその他その空間がどのような環境かということをデジタルに落とし込む。また、例えば公共料金から取れる電気とガスの利用度合いや、第三者機関から出される天気予報など、外部のデータソースもある。

すでに現在、例えば食料品を買いに出かけた時の携帯の位置情報、Yahooの天気予報、ガス会社からの料金など、離れたデータソースを最も理想的に活用出来る事例が沢山ある。さて、この生のデータは次に、どこに送られるべきで、どのように使われるべきか、という問いへと繋がる。
この全てのデータには行き先が必要だ。自宅でサーバーを持つことも可能だが、それに投資したいとは思わないだろう。スケールメリットはAmazonが圧倒的に得意としているし、データ転送のために自分のルーターを設定するのはまさに悪夢だ。拡張性があり常時バックアップを取っているAmazonのクラウドサーバーの方が、実際に自宅で何かを持つよりも圧倒的によい。

データ処理

しかしデータ処理に関してはどうだろう?例えば、あなたの今いる場所をGPSで取得し、自宅までどのように行けばいいかを理解し、仮に今出発したとして自宅までどれくらい時間がかかるのかを割り出す必要があるとする。それらの情報と異なる気象状況においてアパートを快適にするまでの時間を組み合わせて、適切な設定を行わなければならない。

このロジックは複雑で、しかもセンサーや背景(時間帯や日光など)などデータソースを加えると、更に複雑にしかならない。もう一度言うが、この作業を処理するサーバーを自宅で保有することも可能だが、サーバーをIoTデバイスごとに持つか、デバイスごとに「アプリ」を持つ必要がある。中にはこれこそまさにスマートハブ(スマートスイッチ)のすること(もしくはすべきこと)だと主張する人もいるかもしれない。しかし、多くのハブが突然現れたことから見ても、外部のデータソースからデータを取得し処理するためだけに、全てのデバイスメーカーがハブ用のアプリを開発するのは現実的だろうか?

インターネット企業はこれまで以上にサポートレベルを完璧に近い状態にまで上げる必要がある。

事実、無限に拡張可能なクラウドサービスのデータベースと比べるとスマートハブのストレージ容量は0であるし、データ転送の無駄を省くためにデータと近いところでデータ処理をした方が効率が良い。もちろん、毎秒気温のデータを取る必要はないが、Dropcamから来るデータの量や、自動で通知やトリガーをビデオストリーム上で出すためにどれくらいのデータ処理が必要かを考えてみるといい。

データ通信

そしてデバイス間の通信についてはどうだろうか。全てのデバイスがそれぞれ、もしくはゲートウェイがWi-Fiチップを搭載しているのは本当に意味があるのか?もしくは全てのデバイスは常時接続されたゲートウェイを通すべきなのだろうか?データのレートやレンジ、電力の強さなどの要件が「規格」として増えてきている中で、IoTデバイスにはある程度まとまった設計規格のようなものは現状存在しない。なぜなら、時によってデバイスが単純に携帯電話と接近していることをレポートする必要があったり(beaconsを考えてみてほしい)、もしくは時に、厳しい周波数環境下で動いているデバイスが、ThreadやZigbeeに使われるような技術的にも理想的でない高ラジオ周波数で正常に作動しなかったりするからだ。

多くの場合、ゲートウェイと様々なセンサーはうまく機能している。しかし、ゲートウェイが市場により浸透し幅広いプロトコルに対応しない限り、今や誰しも1ドルでWi-Fiチップを購入し5〜10ドルで自分のゲートウェイを作れてしまうので、デバイスメーカーにとって特定のゲートウェイを選んだり、1つに賭けたりすることは躊躇われる。

これが何を意味するのか?電気スイッチをタップするごとにクラウドを経由してあなたの明かりをオンする必要があるか?もちろんそんな必要はない。これが意味するのは、メーカーは「物のイントラネット」ではなく今後もHTTPへの統合を好み続けるだろうということと、インターネット接続がダウンした時に備え適切なフォールバックと対応が必要とされる、ということだ。

インターネット企業はこれまで以上にサポートレベルを完璧に近い状態にまで上げる必要がある。そして、家庭にも第二のインターネット接続がある場合が想定されるだろう(すでに多くの企業に見られるように)。つまり、インターネットオブシングス(物のインターネット)はインターネットなしでは存在しないだろう。

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(翻訳:Kana Shiina)

IntelがイタリアのYogitechを買収して自動運転車やIoTシステムの機能安全の向上に取り組む

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物のインターネット(Internet of Things, IoT)は今、自動運転車やロボットなどの新しい産業で大規模な採用が進んでいるが、今日(米国時間4/5)はIntelが、同社のIoT製品とサービスを確実に無故障にしていくための企業買収を発表した。相手はイタリアの小さな企業Yogitechで、同社は半導体の機能安全(functional safety)に取り組んでいる。

買収の条件は公表されていないが、Intelがイタリアで買収をするのはこれが初めてのようだ。Yogitechはやや毛色の変わったスタートアップで、2000年の創業だが資金はこれまで300万ドル弱しか調達していないし、投資家の中にはピサの商工会議所がいたりする。

Intel自身は同社の投資家でないことを本誌に確認したが、両社にはすでに協働関係がある。それは主に、Intelが昨年買収したAltera経由の関係だ。しかしYogitechはほかにも、Infineonなどのチップメーカーと直接の協働関係があるので、今回の買収でそういう関係がどうなるのか、そのへんが今は明らかでない。

“機能安全”は、自動運転車やそのほかの、人間に言われたことをしてくれるロボットの、いちばんセクシーな側面とは思えないかもしれないが、もっと必須の要素のひとつではある。Yogitechなど企業の仕事は、これらのシステムを動かしているプロセッサーが、確実に正しく動くようにすることだ。正しくないことが起きそうだったらそれを正確に同定してリアルタイムで人間にアラートする。自動運転車など広義のロボットやIoTは、機能安全が完備していないかぎり、一般社会での実用化は許されない。

Yogitechは、IntelのIoTグループに加わる。同社の技術のIntelにおける実装の方向性をIntelはまだ発表していないが、その前にAlteraを買収したということは、その技術の今後の応用分野を暗に示しているだろう。AlteraとYogitechの両社はこれまで、組み込み用プロセッサーNios IIの機能安全ソリューション、いわゆる“ロックステップ”(lockstep)*を共同開発していた。Alteraによると、これによって設計サイクルにおけるリスクを減らし、一般産業や自動車産業における、応用システムの設計者による機能安全の実装や検定の負担を軽減する。〔*: lockstep, 一般的にはメモリやCPUなどを多重化して完全同一動作であることを常時チェックする。〕

今日はIntelのInternet of Things Groupのプラットホーム技術担当VP兼GMのKen Caviascaが、Yogitechが解決してくれる問題はまさに、Intelが今取り組もうとしている問題と同じものだ、と述べた:

Caviascaはブログの記事に書いている: “Intelは長年、人間や企業がより充実した情報に基づく意思決定ができるための、高性能なIoTシステムを提供してきた。業界は今、データの自動化から意思決定の改善、リアルタイムデータからの情報に導かれるアクションの自動化へと移行しつつある。この進化は自律的車両のプロトタイプにも見てとれるが、そのほとんどが‘インテル入ってる(Intel inside)’である。機能安全は、これらやそのほかのIoTの顧客にとって必須要件である。高性能と機能安全の組み合わせが、IntelのIoTプラットホームとその戦略の自然な進化だ、とわれわれは見なしている”。

この買収と期を合わせるかのように、IntelのIoT関連の役員階層も変わった。昨日の報道によると、IntelのIoT GroupのSVP兼GMだった長年のIntel社員Doug Davisが今年で引退する、という。Intelは彼の経歴として、製造業、一般産業、小売、交通運輸、スマートビルディング、住宅、航空宇宙産業を担当した、と述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftがAWSのLambdaに続いてサーバー不要のイベント駆動型クラウドサービスAzure Functionsをローンチ

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Microsoftが今日(米国時間3/31)行われた今年のBuildデベロッパーカンファレンスで、デベロッパー自身がそのためのインフラを作らなくてもイベント駆動のトリガーを作れる、というサービスのプレビューを発表した。

ご存知のようにAWSは昨年のre:Inventカンファレンスで、Lambdaと呼ばれる同様のサービスを発表したが、競争の激しいパブリッククラウドプラットホームの業界だから、Microsoftもそれを黙視できない。Microsoftの、AWS Lambda相当サービスの名前は、Azure Functionsという。

Microsoftから見ればそれは、同社のPaaSサービスの拡張であり、デベロッパーはJava, Python, C#, phpnなど自分が使い慣れている言語でイベントトリガを作れる。そしてそれはAzure上はもちろん、そのほかのサードパーティによるプライベートやハイブリッドのクラウドでも使える。

Microsoftはこれを主に、IoT用と位置づけている。デバイスやセンサーから情報が来ると、それがイベントをトリガーして自動的に何かを起こす。

Azure Functions demo

なお、Googleも最近、Google Cloud Functionsという似たような名前で、同様のツールのアルファを開始した

ファンクションをプラットホーム側で(イベント駆動で)動かすわけだから、ユーザー(デベロッパー)はサーバーが要らない。この考え方は、なかなか魅力的だ。デベロッパーはイベントトリガーを作る、あるいはそれぞれ独自の意味を持った一連のトリガーを作る。するとクラウドサービスがそれら(から起動されるファンクション)を動かしてくれる。そのために必要な計算機資源やメモリ、ストレージなどはクラウドプラットホーム側が手配する。イベントそのものは、単なる引き金(トリガー)だから、一瞬しか存在しない。

それ(ラムダファンクション)は、小さな自己完結的なアプリケーションをデプロイする権限をプログラマーの手に渡し、デベロッパーがアプリケーションを壁の向こうにいるオペレーション(ops)に渡してデプロイしてもらう、という状況がなくなる。デプロイは、デベロッパーが自分でやる。なぜなら、オペレーション相当部分は、Microsoftなどのクラウドプロバイダが、適正なリソース配分を自分でやりながら担当し、アプリケーションのデプロイを行い、イベントのトリガーを扱っていくからだ。

もちろんこれによって、複数のイベントが同時並列的に発生したり、トリガーが別のトリガーをトリガーするといったドミノ効果が起きることもありえる。そして最終的には、いろんなイベントにトリガーされたアクティビティのコンスタントなフローが常在し、それら個々の小さな(大量の)イベントに課金するMicrosoftは、確実に収益を積むだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネットに接続するスマートワインボトルKuvéeが$6Mを調達、予約販売を開始

最近はあらゆるものが“スマート”(電脳化)だから、ワインボトルがインターネットに接続されても不思議ではない。そのKuvéeという名の、再利用性のあるボトルケースは、ワインの鮮度を最大30日キープする。

General CatalystやFounder Collectiveなどから600万ドルを調達したKuvéeは、ワインの履歴や合う料理などを知らせるタッチスクリーンの画面で、ディナーに招いたゲストたちを感動させるだろう。正しい飲み方、ユーザーの好みに合わせて個人化されているワインのリコメンデーション、同じワインの再注文、などの情報や機能もある。

一度開けたボトルの(ワインの)鮮度を保つ技術で特許を取ったCEOのVijay Manwaniによると、飲みかけのボトルでも一週間はフレッシュな味と香りを維持するそうだ。

Kuvéeのシステムは、Bonny DoonやPine Ridgeなど、カリフォルニアの高級ワインと相性が良い。750mlのボトルが15ドルから50ドルぐらいだ。

今日(米国時間3/28)からKuvéeは、予約販売をKuvee.comやIndiegogoで開始する。179ドルの予約価格には、システムのほかに4本のワインが含まれる。

Kuvéeのデモビデオ(上図)を見てみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

東京の運動グループPhonvertは古いスマートフォンをIoTのノードとして蘇(よみがえ)らせる

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人類は毎年、ますます多くのスマートフォンを生産しているから、ニューモデルが出るたびに、それまでの機種が消費者やお店や工場で廃品になり、膨大な量の潜在的廃棄物が増えていく。そうやって現役でなくなったスマートフォンも、カメラや各種のセンサ、タッチスクリーンやBluetooth通信といった最新のI/O機能を備えたシステムだが、それらの多くは忘れ去られ、最悪の場合、廃棄物として処理される。

ぼくは今年のSXSWで、PhonvertプロジェクトのリーダーTomo Kiharaと話をした。そのとき彼が教えてくれたIDCの調査報告書は、“昨年は2億8000万台以上の完動品のスマートフォンがリプレースされ、その後リサイクルされていない”、と言っている。

そこでTomoは、Keisuke Shiro, Kosuke Takahashi, Seibe TakahashiらとともにPhonvertを作った。それは、使われなくなったスマートフォンを、実用価値のあるIoT(Internet of Things, 物のインターネット)のノードに変える、オープンソースのソフトウェアプラットホームだ。

古いスマートフォンにPhonvertをインストールすると、それらを、さまざまな仕事するデバイスへと生き返らせる。冷蔵庫のカメラ、郵便受けのカメラ、赤ちゃんをモニタするビデオ、などなど。

全員東京に住んでる彼らは、これはスタートアップではなくて運動だ、という点を強調したいと言っている。また、古いスマートフォンの再利用アイデアを、Twitterのハッシュタグ#phonvertで広く募集している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ますますオープンソースづくMicrosoft、今度はEclipse Foundationに参加

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Microsoftが今日(米国時間3/8)、オープンソースの団体Eclipse Foundationに加わる、と発表した。同団体はEclipse IDEでいちばんよく知られていると思うが、ほかにもいろいろなデベロッパーツールを提供している。

これによりMicrosoftは、GoogleやNovell, IBM, Debeka, Oracleなどと並んでEclipseのスポンサーになる。

しかしMicrosoftにはVisual Studioという独自のIDEがあるのだから、今日の発表はやや驚きかもしれない。しかしMicrosoftはすでに、Eclipseのエコシステムでかなり活動しているのだ。たとえば同社はAzure toolkit for Eclipseを提供しているし、また同社のJava SDK for AzureをEclipseから使ってクラウドアプリケーションを作ることもできる。

Microsoftのデベロッパー事業部ゼネラルマネージャーShanku Niyogiが声明文で書いている: “Eclipse Foundationとは長年協働して、わが社のアプリケーションプラットホームと開発サービス(Visual Studio Team ServicesやMicrosoft Azureなど)のポートフォリオを横断するJava体験の改良に努めてきた。このたびEclipse Foundationに参加することにより、Eclipseのコミュニティとより密接にコラボレーションし、すべての開発チームのためのツールとサービスのすばらしい集まりを配布でき、そしてわが社のクラウドサービスとSDKsとツール類を継続的に改良していける”。

今日の発表でMicrosoftは明らかに、オープンソースのエコシステムにおける役割を強化しようとしている。今回EFに加わることに加え、今日はまた、同社のEclipseプラグインTeam Explorer Everywhere plugin for Eclipseをオープンソースにする、と発表した。このほか、AzureのIoTサポートをEFのKura IoTフレームワークに加え、AzureにおけるJavaデベロッパーサポートを改良して、それをあらためてローンチした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

FirefoxOSを死なせたくないMozillaがIoTで四つのプロジェクトを立ち上げ…オープンWebに活路を

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12月にMozillaは、モバイルビジネスのために作ったFirefox OSが軌道に乗らなかったので開発も販売も中止し、今後は物のインターネット(Internet of Things, IoT)方面へ方向変えする、と発表した。ひとつの分野で失敗した組織が、それよりもさらに複雑と思われる別の分野で成功するのか、多くの人が首を傾げたが、Mozillaは同社のIoTの候補リストの中から、最初のいくつかのプロジェクトを公表した。それは、(1)インテリジェントな“パーソナルユーザーエージェント”、(2)クラウドソースによるセンサネットワーク、(3)スマートホームのイニシアチブ、そして(4)IoTデバイスのための音声インタフェイスだ。

Mozillaは、これらのそれぞれがコミュニティのメンバーの取り組みによって開発されテストされることを期待する、と言っている:

(1)
まずProject Linkは、Mozillaの説明では“家の中の各種デバイスと家族がどのように対話しているか、という個人の好みを知って、各人のデバイスやネットワークの利用を自動化するパーソナルユーザーエージェント”だ。

このプロジェクトは最初、FoxLinkと呼ばれていて、基本的なアイデアは、ユーザー個人の好みを学習して、ユーザーが介入しなくてもインターネットに接続されたさまざまなデバイスをコントロールする、というものだ。もちろん人間ユーザーによるコントロールもできる。Mozillがここで追求しようとしているインテリジェンスは、映画Herに出てくるパーソナルアシスタントSamanthaを想起させる。Mozillaによると、このプロジェクトはまだ、きわめて初期的な段階だそうだ。

(2)
一方、Project Sensor Webのねらいは、センサネットワークにクラウドソースなデータを注入して、私企業的でなく、公共的に誰もがアクセスできるようにする、というもの。IBMのWatsonのような私企業的サービスを、そのオープンWeb版として提供するもののようだ。Watsonはご存知のように大量の公的あるいは私的データを私企業の傘の下に集めている。IBMはその取り組みの一環としてWeather Companyを買収したが、Mozillaはそれに対抗するかのように、Sensor WebでクラウドソースによるPM2.5空気汚染センサネットワークを、最初のパイロット事業として立ち上げる気だ。Sensor Webを図解すると、下図にようになる:

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(3)
Project Smart Homeは、Apple HomekitとRaspberry Piなどを使うDIY的やり方、という高低二極に対するMozillaの“中道的”な答だ。基本的には、Mozillaが提案するこのプラットホームの上でハードウェアやソフトウェアのメーカーが、自分たちのインターネット接続型ホームデバイスを動かす。なお、これはSensor Webプロジェクトよりも商用色の強い内容のようだ、若干のためらいもあるが:

“人びとは安価で使いやすいスマートホーム技術を求めているが、でも人間生活の日常的な問題の一部は、既製品的なシステムでは解決できない。そういう問題をRaspberry Piなどを使ってDIY的に解決することもできるが、それは多くの人にとってあまりに複雑すぎる”、とMozillaは書いている。“ここには明白なマーケットギャップがある。でも、消費者がそのギャップを本当に填めてほしいと願っているのか、そのへんがよく分からない”。

MozillaによるとProject Smart Homeの次のフェーズでは、今のスマートホームに欠けているものを研究する。併せて、既存のソリューションの限界や制約も調べる。

(4)
最後の第四のプロジェクトはVaaniだ。(1)のLinkがSamanthaのインテリジェンスだったのに対し、Vaaniはそれの声になりたがっている。つまりそれはAmazon Echo的な音声インタフェイスで、デベロッパーは自分のアプリやハードウェアにそれを、ユーザーがそれらとより自然に対話できるための方法としてくっつける。Mozillaによると、最初は家の中の対話からだ。たとえば、“家の中の温度は何度?”とか、“二階の灯りを消して”など。これで、スマート温度計や照明システムが応じてくれるのだ。つまり、そのハードウェアやアプリのための、コマンドやクェリの一(ひと)揃いを実装する。

———-

ただしFirefox OSはこれまでの実績が良くないから、疑いの目で見る人は多い。Mozillaは自分の長所、すなわちWebブラウザーの技術をベースに、デベロッパーを相手にした方がよい、という声もある。もちろん、今後も得意分野は活かすべきだが、でもせっかく作ったFirefoxOSだから、簡単に見捨てずに、それにできることを究(きわ)めてみるのも、たいへんすばらしいことだ、と私は思う。

IoTはまだ生まれたばかりの分野だから、今あちこちで行われているプロプライエタリな(私企業的な)事業活動とは逆に、あくまでもオープンWebでやってみるのは、決して悪いことではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

処理能力が向上し、Wi-FiとBluetoothにも対応した新型Raspberry Piが登場

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大きく刷新したRaspberry Piのマイクロプロセッサーが今日発表された。Pi 3 Model BのボードがPiシリーズの新しい最上級プロダクトとなる。64bit 1.2GHz クアッドコアチップセットと1GB RAMを搭載し、Pi 2より50%処理能力が高まったと謳っている。価格は35ドルのままだ。オリジナルのModel B Piがデビューした4年前から値札は一緒だ。

ちょうど昨年の今頃、Pi Foundationは900Mhzクアッドコアの Pi 2をローンチした。これは当時、Pi製品ラインにおける最上級品だったModel B+ボードより6倍早く、お手軽価格で買える「エントリーレベルのPC」と銘打っていた。これも価格は35ドルだ。

Pi Foundationは、Pi 3を「何かにエンベッドする類のプロジェクトやIoTの可能性を広げます」と宣伝している。BBCのインタビューでPiのファウンダーであるEben Uptonは「このPiは初めてTVの裏にでも貼り付けて、その存在を忘れても良いものです」と話す。

「多くの人はPiをPCの代用品として使うか、何かにコンピューターを内蔵するために使います」と言う。「このPi 3では他にできることを探すのではなく、その2つのことがより良くできるように特化しています」。

Pi 3の重要なポイントは、ワイヤレスLANとBluetoothを搭載したことだ。Pi 2はEthernetを搭載しているが、ボードをワイヤレス対応にしたい人は、自分でwi-fiやBluetooth接続が可能となる装置を付け加えなければならなかった。Pi 3ではワイヤレスのためのアドオンを購入しなくても良くなり、箱から取り出してすぐにIoT製品の開発を始めたり、自宅にある複数のインターネット接続が可能な端末をリンクさせるIoTハブとして使うことができるようになる。

接続の選択肢が増えたことと処理能力の向上の他に、Pi 3は電力管理と電源入力の切り替えを改良したことで、最大2.5 Ampsまで対応し、より強力な外部のUSB端末を利用することが可能になったとPi Foundationは伝えている。

早くも行われたベンチマークの検証では、Pi 2よりおよそ33%パフォーマンスが向上していることを示した。

昨年の11月、Pi Foundationは別の新型ボードをローンチした。シングルコア1GHzのPi Zeroだ。このプロセッシングのパフォーマンスは大幅に低く、ボードにはインターネット接続のオプションもない(Wi-Fi機器をマイクロUSBポートで接続することはできる)が、価格はたったの5ドルだ。独自のIoTやインターネット接続端末を制作したい人向けであることは価格設定からも明らかだ。

Pi Foundationはより強力で、接続オプションが豊富なPi 3を持って、Pi Zeroで成長を促すことを目指したIoT端末市場に賭ける。Pi 3は、IoTアプリ対応のために設計されたMicrosoft Windows(Windows 10 IoTと呼ばれている。正式名はWindows Embedded)を走らせることができるPi 2に続くものだ。

今日のローンチイベントでPi Foundationは、Microsoftと協力して新型Pi 3とWindows 10 IoTが完全に対応していることを確かめたという。

Uptonは、今日から数十万個のPi 3の販売を開始するとした。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

HomeKit対応のEve Energyは自宅の消費電力を可視化する

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Elgato「Eve」ブランドの名前でいくつかのスマートホーム端末を制作している。天気空気の状態をトラックするものなどがあるが、今回は自宅の消費電力をモニタリングしてコントロールしたいと思う人向けのプロダクトを発表した。Eve Energy端末は、壁の電源に挿して使い、Bluetooth経由でiPhone、iPad、iPod touchから、それらのデバイスをコントロールすることができる。端末はAppleのHomeKitとも連動し、設定もパーソナライズできる部分が多い。

例えば、HomeKit対応端末(Eve以外の製品を含む)のいくつかをグループに設定すると、1ステップで全てコントロールできるようになると同社は説明する。これにより家のカスタマイズした「シーン」を設定できる。例えば、「エンターテイメントモード」では電気、テレビや音楽を付けるといった具合だ。

これらのシーンはSiriを使って操作することも可能だ。

  1. eve-energy-euus-iphone-en.png

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Eve Energyは端末と通信するのにWi-FiではなくBluetoothを使用するのも特徴的だ。この対応はHomeKit対応のスマートプラグの中でも初めてだ。自宅にインターネット接続端末が増えるほど、混み合う自宅のWi-Fiネットワークを圧迫しない端末を購入できる選択肢があるのは嬉しい。また、この端末は通信するのにブリッジやハブを必要としない。

このデバイスの一番の用途は各シーンを起動することではなく、自宅の消費電力を把握することにある。

連動するElgato Eveアプリから、ひと目で消費電力を確認することができる。日、週、月別のグラフで詳細が分かる。Apple TVを持っている場合は、Eve Energyデバイスを自宅にいない時でも操作することができる。リモートアクセスで端末を付けたり、消したり、シーンを起動させたり、自宅の状態をチェックすることが可能だ。

Eve Energyはこれまでヨーロッパで手に入ったが、アメリカのカスタマーも購入できるようになった。本日から49.95ドルで、同社のウェブサイトかAmazonで購入できる。アプリはiTunesから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

さくらインターネットのIoTプラットフォームの本質は、閉域網に巨大なデータを蓄積することにある

さくらインターネットが以前から発表していたIoT向けのプラットフォームがいよいよ本格稼働する。同社は2月8日、「さくらのIoT Platform」のアルファ版のパートナー申し込み受付を開始した。4月にもアルファ版サービスを開始する予定。また9月にベータ版としてサービスを拡大。2016年度内の正式サービス提供を予定する。

さくらのIoT Platformは、同社オリジナルのモバイル通信モジュールである「さくらのIoT通信モジュール」(設計、開発はCerevoが担当。ソフトバンクおよびソラコム(NTTドコモ)の回線の2種類を提供)を通してL2接続した閉域網を用意。閉域網内ではストレージやデータベースといったバックグラウンド環境を構築、外部のクラウドやアプリケーションなどから呼び出し可能なAPIも提供する。

プラットフォームのコンセプトは「どこでも誰でも手軽に今すぐに」。マイコンやIoT製品にモジュールを組み込むことで、通信経路やサーバとの通信プロトコル(モジュールマイコンのUART、SPI、I2Cといった通信規格に対応)などを意識せず、モノ(ハードウェア)の制御とAPIを使ったデータ処理だけに対応すればいい。

アルファ版のためプラットフォームは無償で提供。通信モジュールや通信費などをベースにした定額料金ではなく、通信モジュールと閉域網で実際にやりとりされるメッセージと、APIを利用したデータの取得に応じて料金が設定される予定だ。「メッセージに関しては2年間期限で100万件(2年間、1分単位での通信に相当)で無償」といったプランも検討されている。3G回線の通信モジュールはこれまで数万円ほどの価格帯が一般的だったが、1万円以下で提供する見込み。なおアルファ版に関しては無償で提供。現在モジュールは1000台生産しており、それ以上のニーズがあれば別途対応を検討する。

閉域網にアップされるデータは、パブリックなものとプライベートなものに分けられる。パブリックなデータに関しては、APIを利用して開発者が自由かつ無償で扱える。一方でプライベートなデータは有料で利用することになる。さくらインターネットでは、プラットフォーム上により多くのデータが集まるよう、API取得時の料金の一部を、データをアップする開発者に還元することを検討している。

開発中の通信モジュール

開発中の通信モジュール

アルファ版の開始にあたり、Amazon Web Services(AWS)やヤフーのIoTプラットフォーム「myThings」などとも連携。さらに「Priority Partner」と呼ぶ先行パートナー企業も集まった。NECパーソナルコンピュータとはホームIoTやパブリックIoTの実現に向けた共創プロジェクトを展開。Cerevo、ソラコムはそれぞれ前述のとおり、また医療IoTスタートアップのサイマックスやM2Mのデータソリューションを提供するアプトポッドなどがすでにプラットフォームの採用を決定している。

と、ここまではすでに各メディアでも報じられている話。ざっくり言えば、IoT機器メーカーにとっては、「とにかく簡単に作れる(組み込みソフトのスキルが低くてもいける)、なのにセキュア」ということだ。会見後Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏にも話を聞いたのだが、閉域網にデータを預けることは、「セキュアな環境なので極論を言えば暗号化せずに通信できる。組み込みのマイコンにおいては、SSL通信などは重くて無駄な処理。そう考えるとマイコンの品質を下げて、原価低減ができるというメリットもある」といった利点もあるのだそうだ。

膨大なデータを閉域網に集めることこそが本質

さくらインターネット創業メンバーであり、現在同社のフェローとしてこの事業に携わる小笠原治氏によれば、さくらインターネットがこのプラットフォームで狙うのは、別に通信料やAPI利用料によるマネタイズではない。IoT機器から送られる膨大なデータのプールを閉域網に作ることだという。

小笠原氏は会見の中でも「(通信モジュールで)格安MVNOをやるわけではない」「デバイスメーカーになるわけでもない」「インターネットに開かれた繋がれたクラウドサービスを提供するわけでもない」と語っていた。もちろん正式サービス時には課金を行うわけだが、とにかく色んなデータを集めて、それを使った新しいビジネスのシードを見つけていくことこそが重要だという。このプラットフォームは「人々が気づけなかった世界の相関性に気づくためのプラットフォーム」を目指すとしている。

岩佐氏は、作り手の立場からこう語る。「IoT機器のメーカーが、誰かのセンサー値を使える世界というのはめちゃくちゃ面白い話になる。もちろんそんな構想があるメーカーは(現状では)ほぼいないが、スタートアップからは出てくるのではないか」

例えば世の自動車がリアルタイムに車速のデータをさくらのプラットフォームにリアルタイムでアップロードしているとしよう。そのデータがオープンなモノであれば、「ある道が混んでる」と瞬時に判断して、リアルタイムに迂回ルートを提案してくれるなんてこともできる。一部の自動車メーカー(ホンダのインターナビなど)では自社製品に閉じてこういった仕組みを提供しているが、これがパブリックなデータで実現できるようになるわけだ。もちろんこれはあくまで一例。正式サービスのローンチはまだ少し先だが、はたしてこのプラットフォームからどんなIoT機器が生まれてくるのだろうか。

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

広レンジWi-Fi規格HaLowは、IoTの進化の次の当然のステップだ

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[筆者: Jim Hunter]( Greenwave Systemsのチーフサイエンティストでテクノロジーエヴァンジェリスト。)

Wi-Fi Allianceが最近発表した待望のWi-Fi HaLowスタンダードは、IEEE 802.11ahワイヤレスネットワーキング技術を実装したプロダクトのための通信の、新しい規格だ(HaLowはMicrosoftの人気ビデオゲームの名前と同じように発音する)。

HaLowはWi-Fiを900 MHzバンドに拡張し、今標準の2.4 GHzよりも大きなレンジ(到達範囲)を提供し、壁などの障害物も通るので、スマートホームのセンサーやウェアラブルなど低電力消費のIoTアプリケーションの利用域を広げる。

HaLowは、IoTの進化における、当然のような次のステップだ。“あらゆるものにIPを(IP on Everything)”は、これまでのIoTの進化を推し進めてきたスローガンだったが、HaLow にはそのトレンドを指数関数的に拡張する可能性がある。HaLowは電池で動くWi-Fi IPデバイスならどんなものでも実現可能にし、IoTの長年の夢を現実化する。 IPデバイスが使えるようになると、スマートホームに進出したい個人起業家や既存企業の、大きな障碍が消える。

物理層のプロトコルブリッジやゲートウェイの必要性、それらに伴う先行的経費(価格、単純性、使いやすさ等)が、長いあいだ、リテイラーやサービスプロバイダや消費者の前に立ちはだかっていた。HaLowでは、ブリッジングデバイスが要らなくなる。メーカーの消費者用ネットワーク機器に、HaLow機能があるだけでよい。

HaLowは、電力供給ラインに接続されていない900MHzデバイスの電池寿命を最適化する。それを謳う技術は過去にもいくつかあったが、どれも中途半端だったから、私もあえて用心して言うが、Wi-Fi AllianceとIEEEが今802.11ahに関して行っているものは、今後の中心的な通信規格として広く採用されるだろう。

ここまで楽観的なことが言えるのには、理由がある。たとえば:

  • デベロッパーから見れば、ほかのIPデバイスとHaLowデバイスは同じであり、とくに違いがない。デバイスやブラウザーやアプリケーションの通信スタックが、同じようにシームレスに動く。
  • IPベースの通信は、世界でもっとも信頼性があり、幅広く普及しているコミュニケーションネットワークのプロトコルである。
  • 大衆的なワイヤレスルータを作っている企業はつねに、自分たちの製品や技術を、IPベースの通信の最新のIEEE規格をいち早くサポートするよう、進化させている。HaLowに関しても、その勤勉ぶりは同じだろう。
  • 大衆的普及により、802.11 ahの無線通信技術はコストが急激に下がり、新しいIoT製品を開発しようとする者にとって、おいしい好機になる。

ただし、用心すべき点もある:

  • 低電力消費のデバイスはスリープサイクルが必須だから、それと良好な応答性とのあいだにはトレードオフがある。製品とその目的によって、最適の妥協点があるはずだから、HaLowの実装においてもそれを見つける苦労が伴う。
  • HaLowの規格そのものは、応用機器間の完全な互換性を保証していない。A社製の電球で使えたコントロールが、そのままB社製の電球でも使えるためには、業界の明示的な協調努力が必要だ。HaLow自身に共通のデータモデルがあるわけではない。低電力消費のデバイスのためのIPメッセージ通信の、規格らしきものはあるようだが、それは、今後のもっと大きなIoTの相互運用性を担うものではない。
  • 広範な採用には時間がかかるから、消費者市場が臨海質量に達するまでは、メーカーは消費者が手を出しやすい低価格な製品の開発と販売で苦労するだろう。
  • IPの文字がどこにも見当たらない多様な通信技術が氾濫している…ZigBee, Z-Wave, Bluetooth, INSTEON,などなど。したがって今すでに、HaLowでない製品があちこちで大量に使われている。それらが一晩で消えてしまうことは、期待できない。

こういった注意点や欠点はあるものの、HaLowの到来はすばらしい。これによって既存の技術がその可能性の幅を広げ、文字通りあらゆる物が、全世界的に共通の規格で結びつくようになる。今、テレビやラップトップやスマートフォンやタブレットが、全世界的に結びついているように。IoTの今後の進化とともに、このことの重要性は、誰もが過小視できなくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

排泄予知ウェアラブル「D Free」が1.2億円を追加調達、まじめに市場開拓中

「うんこが漏れない世界を」と週刊アスキーがネタっぽく伝えたこともあって、単なるおもしろ系デバイスと思った人もいるかもしれないが、排泄予知ウェアラブルデバイス「DFree」が着実に実用化に向けた開発を進めているようだ。

DFreeを開発するスタートアップ企業のTriple Wは今日、総額1.2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の資金調達はハックベンチャーズから5000万円を第三者割当増資で、そして国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から最大7000万円の助成金交付を受ける形だ。NEDOの交付金というのは2016年2月までの期限付きで、研究開発や事業化のための検証に必要な部材、人件費、家賃などが対象に支払われるもの。Triple Wは2015年4月にもニッセイ・キャピタルから7700万円の資金調達を実施していて、合計約2億円の資金を調達していることになる。

介護施設での排尿ケア業務の効率化

DFreeは超音波で直腸や膀胱に貯まった便や尿の量を検知するデバイスだ。排便・排尿予測の両方にニーズがあり得るが、排便よりも先に排尿タイミング予測で技術的なめどが立ったことから、Triple Wでは介護施設の排尿ケアの効率化というB向け市場に取り組んでいくという。Triple Wの小林正典氏によれば、排便に比べると排尿は1日6〜10回と高頻度。介護士の1日8時間の労働のうち3時間を占める場合もあるなど、介護現場ではこれが負担になっているそうだ。2015年4月から7月にかけてReadyforで実施したクラウドファンディングのキャンペーンでも介護事業者からの問い合わせが多かったのが排尿ケアだったという。

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介護施設によって違いがあるものの、例えば「3時間おきに要介護者を巡回してチェックする」というルールで排尿ケアするようなことがあるという。そして排尿に立ち会っても実際に尿が出る割合は1割程度ということも。排尿が必要なタイミングが正確に分かれば、介護士の不要な巡回をなくすことができて効率化できる。

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Triple Wでは排尿ケアのナースコールや、介護保険申請に必要な排尿ケアのログ記録というシステムまで含めたパッケージとして、介護施設へDFreeを販売をしていくという。対象となるのは全国に100万程度あると言われる介護ベッドを持つ施設で、その1割にあたる10万床への普及を目指す。

すでに3つの施設で量産化前のベータ版デバイスを利用したトライアルを始めている。「寝たきりなのか自律的に排尿ができるのかなどケースによってデバイスの利用方法も変わってくる」(小林氏)といい、トライアルの中で現場ニーズをつかみつつ改善と開発を進めている。

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日本のおむつは600ml程度は不快感なく尿を保持できるほど性能が良いが、現在は無駄に捨てられているおむつが多いそう。Triple Wの小林氏によれば大人用おむつは年間2000億円規模の市場で、この半分が介護施設向け。もし仮に、その半分の500億円程度をDFreeで削減できるとすれば、差額のいくらかを月額課金で売上にできるだろうとソロバンをはじく。

ところで、超音波を使って体内の3Dイメージを得るというのは以前から胎児向けなどであるし、原理的に画期的なところはない。なぜ今までDFreeのようなデバイスがなかったのだろうか?

「着目した人がいなかった、というのがまずあります。これまでにも医療用で1000万円と高価なものなら超音波診断機というのはありました」と小林氏。残尿量を計測するデバイスとして、例えば「ゆりりん」という製品もあるが24万円と高価。DFreeは数万円の前半、Readyforのキャンペーンでは2万4000円という値付だった。これは既存製品の区分が「医療機器」で、認証や開発に必要な要件やコストが違うからだという。DFreeは診断も予防もしないため医療機器ではなく、その分機能も絞っている。デバイス単体ではなく、ニーズに合わせた管理システムも含めたパッケージとして提供していくというのも違いだろう。

Triple Wは2015年2月創業。現在フルタイムで3人、外部を入れると10人のエンジニアがいる。拠点は東京とシリコンバレーにあるが、当面は日本でビジネスを作り、その後はアメリカ、中国、欧州へ進出する計画という。2020年には1兆4000億円になるという大人向けおむつのグローバル市場のうち9割が日本を含むことの4地域で占めるそうだ。

スマートスプリンクラーのRachioが進化した第二世代機の提供を開始

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IoT市場がやや停滞気味に感じている人もいるのではなかろうか。トースターやロボット掃除機をスマートフォンからコントロールできるのは確かに面白いとは思った。ただ必要性という面から考えると、どうも「いらないもの」であるようにも感じられるのだ。ただしIoTに将来がないという意味ではない。省エネに寄与するIoTにはまだまだ大きな可能性があるはずだと思う。

今回紹介するRachioは、可能な限り無駄を省いて芝生に水やりを行うスプリンクラーだ。実はこのたびリリースされたのは第二世代のものとなる。クラウド情報を利用するデバイスとの連動性能を高め、天気などの情報に正しく対処して無駄を省く仕組みが実装されている。

市販価格は249ドルで、RachioのウェブサイトおよびAmazon、Home Depotなどから購入することができる。また最近の先端IoTデバイスらしく、Appleのオンラインストアでも販売されるようになるとのことだ。

Rachioによると、旧モデルにおいても散水を行う水道代を半分ほどに削減できたとのこと。節約につながったのはもちろんのこと、水利用の面で「サステナビリティー」を実現したプロダクトとなった。

その第一世代機のメリットに加え、第二世代のRachioでは他の家庭用スマートデバイスとの連携性を高めている。すなわちNest、Xfinity、Alarm.com、Control4、IFTTT、Nexia、Wink、そしてAmazon Echoなどと連携できるようになっているのだ。連携の幅を広げることで、たとえば雨が降っているのに芝生に水を撒くようなことはしないですむようになる。また散水のエリアを16のゾーンにわけて識別できるようになっており、またセンサーの種類も増えている。さらにくわえてセットアップもこれまでよりも簡単になっているのも魅力のひとつに挙げて良いだろう。

いろいろと性能の向上がある中で、値段が下がっているのもうれしいところだ。第一世代のプロダクトは299ドルだったが、新しい第二世代版は249ドルとなっている。より多くの利用者を獲得したいという狙いもあっての価格設定なのだろう。

Rachioは昨年11月に資本を増やしている。すなわちArborview Capitalが主導するシリーズAにて710万ドルを調達している。新たに得た資金は利用者の要求に沿うかたちでの成長戦略を実現するために利用する予定であるとのこと。

Rachioがもたらしてくれる利益のひとつとしては、水道代の低減という形でみえてくるものだろう。ただしこれは「節約」という効果だけでなく、資源の有効活用という面からしても人類にメリットをもたらしてくれるものだと言えるように思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H

スマートロックで「不動産×IT」を開拓するライナフが資金調達、三菱地所と業務提携へ

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スマートロック「NinjaLock」や、そのNinjaLockと連携するアプリケーションなどを開発するライナフは2月1日、三井住友海上キャピタルおよび三菱地所を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。同社が外部から資本を調達するのはこれが初めて。金額は非公開だが、1億円以上資金を調達しているとみられる。同社は今回の資金調達をもとに人材採用を積極化。開発およびマーケティング体制の強化を計る。また三菱地所グループと業務提携し、不動産業界向けのソリューションを共同開発していという。

ライナフは2015年5月にNinjaLockの販売を開始した。国内でこの領域を手がけるのは、「Akerun」(2015年4月発売)を提供するフォトシンスや「Qrio SmartLock」(2014年12月にクラウドファンディングサービス「Makuake」で発表。2015年8月出荷)を提供するQrioなどがある。

スマートロック単体でなく、サービスと組み合わせて展開

NinjaLockでは、単にスマートロック単体を販売するのではなく、アプリやサービスと組み合わせることで「不動産業界のインフラ」になることを目指しているのだという。

実は同社は「シェアルーミング」という空きスペースのレンタルプラットフォームを提供している。これはスペースのオーナーが、サービス上で会員制の「シェアクラブ」を作成し、会員に限定してスペースを時間貸しするというもの。スペースにNinjaLockを取り付けており、会員はオンラインで事前にスペースの予約をしておけば、予約した時間にブラウザ経由で開錠できる。今後はこういった「スマートロック×サービス」の提供を進めていく考えだ。

「シェアルーミング」のイメージ

「シェアルーミング」のイメージ

三菱地所グループとの取り組みもこのシェアルーミングの延長線上にあるサービスからスタートする。両者は三菱地所レジデンスが開発する高品質賃貸マンション「ザ・パークハビオ」にNinjaLockを導入。「スマート内覧」と呼ぶ無人内覧サービスを開始する。

競合製品も含めて、これまでもスマートロックを利用した内覧サービスはあった。しかしその多く現場まで不動産仲介業者が同行してスマートロックで開錠する、もしくは現場で不動産仲介業者に電話をしてスマートロックを遠隔操作で開錠するというものだったのだという。今回のスマート内覧は、不動産のデベロッパーが直接内覧の機能を提供するかたちとなるため、あらかじめウェブ上で日時を指定して内覧予約していれば、現場では仲介業者等に連絡することなく、ブラウザ経由で開錠して自由に内覧ができるという(エントランス用の後付け式スマートロックも用意している)。

ライナフは今後もスマートロック単体だけでなく、連携サービスにも注力するとしている。「例えば月額1万円でスマートロックのサービスだけ提供するというのではお金を払ってもらえないかも知れない。だがカギの入退室からセキュリティまでスペースの『運営システム』として一括で提供できるようになればビジネスは大きく変わる」(ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏)

Sonyはセルネットワーク利用のIoTを指向してLTEチップのAltair Semiconductorを買収

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Sony Corporationが今日(米国時間1/26)、Altair Semiconductorを2億1200万ドルで買収する、と発表した。元Texas Instrumentの役員三人がイスラエルで創業したAltairは、デバイスをLTEに接続するためのチップを作っていて、その技術はSonyの物のインターネット(IoT)ビジネスの開発を助ける。

LTEはスマートフォンだけでなく、フィットネストラッカーや家電など家庭用品、センサーなど、IoTのオブジェクトを接続するのにも使われる。今は電脳製品の多くがBluetoothやWi-Fiでネットに接続する場合が多く、それはどちらも、大量の電力を要しないからだ。LTEも低電力消費である点は同じだが、多くのデバイスを一度に接続できるので、企業で使うのに向いている。またLTEによるIoTデバイスの接続はキャリアのネットワークなどがすでに持っているインフラを使えるので、展開の費用対効果も大きい。

IoTにセルラーの技術を使おうとしている企業はほかにもあり、Altair買収によりSonyはそれらの企業と競合することになる。たとえばIntel, EricssonおよびNokiaはNarrow Band-LTE(NB-LTE)と呼ばれる技術で協働しているが、一方それによってHuaweiやVodafoneのNarrow-Band Cellular IoT(NB-CIoT)と競合している。

声明文の中でSonyは、Altairの現行の事業は継続し、そのほかにSonyのGlobal Navigation Satellite System(GNSS)や画像センサーとAltairの現代的なチップを組み合わせて、“セルラ接続のセンサー応用デバイスの新種を開発”していきたい、と言っている。

買収の完了は来月初頭と期待され、Sonyによると、それは2016年の同社の財務的結果に大きな影響を及ぼすことはない、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

物のインターネット(IoT)に完全なプライバシー保護を具備させようとするNeuraがシリーズAで11Mを調達

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インターネットに接続されているデバイスの振る舞いををユーザが個人化でき、しかも個人のデータを保護できる、というプラットホームNeuraが、このほどシリーズAで1100万ドルの資金を獲得し、そのSDKをプロモートしていくことになった。このラウンドをリードしたのはAXA Strategic PartnersとPitango Venture Capitalで、これにLiberty Israel Venture FundとLenovo Groupが参加した。

Neuraは今、55種あまりのデバイスやソフトウェアチャネルと統合でき、最近“数万名のユーザによる”ベータを終えたばかりで、SDKのローンチによりユーザ数の大きな増加を期待している。協同ファウンダでCEOのGilad Meiriによると、今回の新たな資金はSDKのプロモーションと、テク企業とのパートナーシップ締結、および社員の増員に充てられる。

今多くのテク企業が、インターネットに接続されたデバイスが互いに“対話する”方法を模索している。たとえば、フィットネストラッカーがユーザの睡眠を感知したら、玄関のスマートロックをトリガする、とか、コーヒーメーカーは朝スマートフォンからのアラームを受信してコーヒーを淹れ始める、など。

Neuraはこのような機能を実現するが、しかしこの、カリフォルニア州サニーベールのスタートアップのファウンダたちによると、彼らがもっと関心を持っているのは物のインターネット(Internet of Things, IoT)と人間との対話だ。同社の技術はユーザの行動パターンを経時的に分析し、その結果に基づいてアプリやデバイスを各人向けに個人化(パーソナライズ)する。

Neuraが生成する行動パターンデータの中には、個人の執務時間帯や健康情報、住所など機密データもありえるから、同社は、各サービスとシェアしてもよい個人データをユーザが完全にコントロールできることを確約している。

GSM Associationによると、2020年にはインターネットに接続されたデバイスが240億に達するという。SmartThingsWinkなどは、ユーザがインターネットに接続されたフィットネストラッカーや、温度計、家電機器、エンタテイメントシステムなどと単一のダッシュボードから対話できるプラットホームを開発している。しかし最近のユーザはますます、企業が自分の個人データを集めることに関して神経質になっているから、プライバシーに重点を置くNeuraは競合上有利かもしれない。Meiriによると、Neuraはユーザのプライバシーを守るだけでなく、テク企業の責任負担も軽減する。

プライバシーを犠牲にせずにインターネット接続デバイスをより便利にする

ソフトウェアとデバイスはAPIでNeuraのプラットホームに接続され、ユーザはそれらをスタンドアロンのアプリからコントロールできる。同社の技術が、接続デバイスやソフトウェアに対する各ユーザの使い方を分析する。そしてその情報を使って、個人化された機能を作り出す。

ただしそれらの機能が動き出す前に、ユーザはそれぞれをレビューして、OKなものにパーミッションを与える。

Meiriは語る: “Neuraは、たとえば玄関の鍵に、ユーザの居場所や睡眠時間などのデータを共有しない。だから企業には、個人情報の取り扱いをめぐる責任負担が生じない。ユーザの動きや睡眠パターンなどは、鍵の動作の制御に使われたらそれで終わりだ”。

同社のファウンダは、個人的理由からも、接続デバイスが便利であると同時にプライベートであることに固執している。協同ファウンダでCTOのTriinu MagiはNeuraのローンチの前に糖尿病を誤診され、無効な薬を処方された。通常の血糖値計や試験ではMagiの状態を示す十分な情報が得られず、最後に彼女は、血糖値の値と、彼女のフィットネスや食生活の記録を合わせて分析することにより、医師の正しい診断を導いた。

“彼女のときはNeuraのようなプロダクトがなかったから、データサイエンティストとしての自分のスキルを利用して情報を分析するしかなかった”、とMeiriは語る。“今は、それぞれのデバイスが自分だけのデータチャネルを作り出していて、それらを組み合わせてインサイトを得る方法がない”。

Meiriによると、テク企業はデータを収益機会と見て、それらのデータの発生源である人間を助けようとしないことが多い。一方ユーザは、 Google MapsやFacebookなどのサービスを利用できるためには、自分の個人情報のコントロールを、あまりにも自ら進んで放棄しがちだ。

しかしその結果、どれだけのプライバシーが失われたのかを人びとが悟ると、しばしばその反動が起きる。Neuraによると、消費者に、彼らのデータの使われ方に関する十分な透明性を付与すれば、そういう反動に見舞われることも防げる。

Meiriは述べる、“物のインターネットに関しては、まだなんにも決まっていない。そこにはまだ、Webのパラダイムを変えるチャンスがある。ただしそのハードルは高い。検索履歴や友だちのリストだけでなく。バイオメトリクスと、われわれのフィジカルグラフの完全なマッピングが必要なんだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

オタクの夢を詰め込んだプロダクト——ホログラムのキャラとコミュニケーションできる「Gatebox」がお披露目

2015年2月に2000万円のシードマネーを調達して「コミュニケーションロボットを開発する」と語っていたIoTスタートアップのウィンクルだが、いよいよその製品内容が公開された。同社は1月18日、ホログラムコミュニケーションロボット「Gatebox」のコンセプトモデルを発表した。あわせて、インキュベイトファンド、プライマルキャピタル、iSG インベストメントワークスを引受先とした総額9000万円の資金調達を実施したことを明らかにしている。

ウィンクルが開発中のGateboxは、ホログラム投影技術と各種センサーを活用したコミュニケーション技術を組み合わせることで、ホログラフィーとして映し出された3Dキャラクターとコミュニケーションを取ることができるロボットだ。同社いわく、「世界初のホログラムコミュニケーションロボット」だという。画像認識や音声認識技術でユーザーの指示を理解し、家電をコントロールしたり、目覚ましや天気予報をしてくれたりといった具合だ。

Gatebox

Gatebox

VOCALOIDという枠を超えて活躍するバーチャルアイドルの「初音ミク」はご存じだろう。歌声を自動生成できる彼女は、実は何度もリアルなライブを開催している。ライブの際、彼女は透明なスクリーンにプロジェクターで映し出されるのだが、それと同様の仕組みをデスクトップサイズに圧縮。さらにコミュニケーション機能を備えたものがGateboxだと思えばいい。

Gateoxの中でユーザーとコミュニケーションを取ってくれるキャラクターの名前は「逢妻ヒカリ(あずまひかり)」。監修とキャラクターデザインを務めるのは、ときめきメモリアルやラブプラスなどのゲームでも有名な箕星太朗氏。声優はオーディションで採用した。

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この記事を書くのに先駆けて、僕もウィンクルでデモを見せてもらっている。正直なところ、デモ機の数十センチそばまで近づくと(透明とはいえ)スクリーンの存在には気付いてしまう。だが、数メートル離れて見ると、キャラクターは文字通りに浮かんでいるように見えるのはなかなかすごい。

実際のデモでは、音声認識で電気のオンオフ、天気予報、Googleカレンダーと連動した目覚まし、顔認識を利用して、ユーザーの写真付きツイートをする、連動するアプリを使ったコミュニケーションなどを見ることができた。ただし、コミュニケーション手段については今後も調整してくとのことだ(音声認識では定型文しか認識しにくいなど、課題もある)。ちなみにユーザーが構ってくれないと「構ってほしい」といった内容をツイートしたりもするのだそう。キャラクターデザインから機能だけでなく、この「人間らしい」仕草も含めて、Gateboxは「すべてのオタクの夢を詰め込んだプロダクト」だとウィンクル代表取締役の武地実氏は語る。

同社では今秋にもクラウドファンディングを通してGateboxの販売を開始する予定。出荷は2017年春を見込む。価格は「10万円前後になる予定」(武地氏)とのこと。今後はプロダクトの開発に加えて、外部IPとの連携なども検討するとしている。

ウィンクル代表取締役の武地実氏

着脱式センサデバイス開発の福岡発スタートアップ・スカイディスク、1億円の資金調達

スカイディスクのセンサーデバイス「GINGA Box」

スカイディスクのセンサーデバイス「GINGA Box」

福岡に拠点を置くIoTスタートアップのスカイディスクは1月13日、ニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ、ドーガンが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資を実施。総額1億円を調達したことを明らかにした。

スカイディスクは2013年10月の設立。IoTサービスを簡単に実現するための、デタッチャブル(着脱式)センサと、そのセンサを取り扱うためのクラウドサービスを開発している。代表取締役の橋本司氏はかつて九州大学で高速分散処理を利用したデータ分析を研究していた。その際のデータ取得元としてセンサデバイスを開発していたことが、スカイディスクの設立に繋がったという。

センサの「GINGA Box」は、温度度や加速度など14種類の中から最大3つのセンサを選択し、基盤部分に自由に抜き差しして使用可能だ。センサで計測したデータはクラウド上に送信され、センサデータ分析プラットフォーム「GINGA Cloud」で内容を確認できる。

3つのセンサを自由に着脱できる「GINGA Box」

3つのセンサを自由に着脱できるGINGA Boxの基盤

ではこのGINGA Box、具体的にはどのように利用されるのか? 橋本氏によると、一番利用の頻度が温湿度、加速度、照度の組み合わせだそうだ。この組み合わせで、農業用ハウスやオフィス環境のセンシングをするのだという。

同社が注力するのは農業、流通業、環境の3分野。すでに農業向けには「畑守(はたもり)」をと呼ぶサービスを提供中だという。

スカイディスクは今回の資金調達をもとに、経営基盤の強化を図るほか、センサ開発・センサデータ分析に長けた人材の獲得、センサデバイスの量量産に向けた生産管理理の強化を進める。

ログバーの新プロダクトはウェラブル翻訳デバイス「ili」、コンセプト動画には批判も

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米国ラスベガスでは現地時間の1月6日から9日まで、世界最大規模のコンシューマ・エレクトロニクスの見本市「CES」が開催されている。世界中の家電メーカーが展示を行うCESだが、ここ最近ではCerevoやMoffなど、日本のIoT・ハードウェアスタートアップも積極的に展示を行っている。

指輪型のIoTデバイス「Ring」を手がけるログバーもそんな1社。同社はCESに合わせて新プロダクト「ili」を発表しており、CESの会場で展示中で、今夏にも提供を予定している。

ログバーいわく、iliは「世界初のウェアラブル翻訳デバイス」。スティック型の端末についたボタンを押して翻訳したい内容を話すと、それを自動で翻訳、音声にしてくれる。現在は日本語、中国語、英語に対応。それぞれ2言語の相互翻訳に対応した3モデルがリリースされる予定だ。第2弾としてフランス語、タイ語、韓国語、第3弾としてスペイン語、イタリア語、アラビア語に対応していくという。

同社の発表によると、スタンドアロン型のため、翻訳の処理のためにネットワークに接続する必要はなく、大音量でもクリアな音声を確保。言語辞書は、一般的な会話に加えて、買い物やトラブル、レストランなどでの翻訳に対応するという。

ログバーでは今後、iliとのコラボレーションや、iliを利用した新規ビジネスモデルの構築など、旅行関連事業者との連携を進めていくとしている。

プロダクトのコンセプトは未来を感じるものだが、ソーシャルメディア上の反応は賛否両論あるようだ。ネガティブな意見は、どうにもコンセプトを紹介した動画に集中している。その動画はイギリス人と思われるレポーターが、iliを使って日本の街頭で女性に話しかけ、キスを求めるというモノ。動画はこちら。

僕がFacebook、Twitterを見たところ「チャラくて面白い」といった動画を楽しむ意見から、「明確なセクハラ」という厳しい指摘までがあった。動画が「仕込み」かどうか現時点では確認できないが、プロダクトのコンセプトがステキなだけに、こんな炎上狙いにも思える施策はくだらないな、と個人的には思う。とはいえ、簡単に言語を超えたコミュニケーションができるならそれは本当に世界が変わる体験ができそうだ。

ただし現時点ではスペックは非公開。またengadget日本版が報じたところによると、CESで展示されているのはデモのできないモックであり、デモ機は2月頃の公開予定なのだという。ログバーの前プロダクトであるRingもデザイン変更や出荷遅延で批判の声が上がった記憶がある。今回のプロダクトは果たしてどのようなかたちでリリースされるのだろうか。

SecurifiのAlmond 3はWi-Fiルータであると同時に多芸なスマートホームハブ、プログラミングもできる

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Securifiが今日(米国時間1/5)発表したAlmond 3は、最新のタッチスクリーン式ワイヤレスルーターだが、ユーザのスマートホームの中核になることもねらっている。発売は来月で、定価は120ドルだ。

基本的には、Securifiのこの新しいデバイスは要するにワイヤレスルーターで、モデムに接続すれば家中のワイヤレス対応デバイスをWi-Fiネットワークで結びつける。ただしコンピュータの画面から構成する必要はなく、上図のように、ちょっとかっこいい小さなタッチスクリーンが製品にすでについている。たとえばこのタッチスクリーンを使って複数のAlmondルーターのメッシュネットワークを作り、ネットワークの範囲を広げることもできる。

しかしAlmond 3はZigBeeの無線チップを内蔵しているので、スマートホームデバイスとも対話できる。Z-WaveとBluetoothデバイスもサポートしている。つまりAlmond 3があれば、Philips Hueのハブとかそのほかのいろんなハブは要らない。さらにNestデバイスとも対話できる。

プログラマブルなサイレンを内蔵しているから、接続されているデバイスからのアラームに対応して、Almond 3側でサイレンを鳴らせる。またデバイスのリストを作っておき、それら特定のスマートフォンからアラームを解除できる。

全体としてAlmond 3は、Securifiの前の製品よりずっと良い。スピードも、前より4倍は速いだろう。このデバイス上に、”if this then that”的なプログラムを作れるのだ。たとえば、室内に動きを感じたらライトを点けるとか。というわけでこいつは、そこらの単なるルーターではない。

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CES 2016

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。