Epic GamesのCEOがアップルはiPhoneの「設定」で自社サービスを宣伝していると非難

Apple(アップル)を相手取った反トラスト訴訟(現在控訴中)で大きな注目を集めているEpic Games(エピック・ゲームズ)CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は米国時間10月7日、iPhoneメーカーは他社が利用できない広告枠を自身に与えていると非難した。その場所はiPhoneの設定画面だ。一部のiOS 15ユーザーが、Appleが設定画面のトップ、Apple IDのすぐ下で自社サービスを広告していることを報告している。提示されるサービスは、端末オーナー向けにカスタマイズされていて、すでにサブスクライブしているサービスに基づいていると見られる。

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

例えばApple Musicをサブスクライブしていないユーザーには、6カ月の無料トライアルをすすめる広告が表示される。一方現在のApple Musicサブスクライバーには、AppleCareなどのまだ利用していないサービスの追加が促される。

スウィーニー氏は、この種のファーストパーティー広告はAppleによる反競争的行為の可能性があることを指摘している。推奨されているサービスの中にはApp Store(アップストア)で提供されているサードパーティー・アプリと直接競合するものがあるためから。しかしそれらのサードパーティー製アプリは、もちろんiPhoneの設定画面に近づくことができない。できるのはApp Store上の広告スロットに入札することだけだ。

「Fortnite(フォートナイト)を締め出した連中の新しいやり口。自社の音楽サービスのための設定画面広告は実際の設定画面より早く現れ、他の広告主、Spotify(スポティファイ)やSound Cloud(サウンド・クラウド)は利用できません」とスウィーニー氏はいう。

スウィーニー氏は、Mobile Dev Memo(モバイル・デブ・メモ)のアナリストであるEric Seufert(エリック・スーファート)氏の別の投稿をリツイートしており、スーファート氏はGlassfy(グラスファイ)の共同ファウンダーFrancesco Zucchetta(フランセスコ・ズチェッタ)氏の作成した画像をシェアしている。

ズチェッタ氏はTechCrunchに、その広告は自身が所有するiOS 15が動くiPhone 8で見つけたと語った。しかしもっと新しいデバイスで広告を見た人もいる。中には、Appleの宣伝をプッシュ通知でも受け取ったと指摘するコメントもあった。

この問題が微妙なのは、こうした広告は、Appleが自身の利益のために他社を不利な立場においているとは必ずしも言えないことだ。

例えば私たちのiOS 15.1が動作しているiPhone 13 Pro Maxでは、その掲示がAppleCare+(アップルケア・プラス)の保証を追加できる期限までまだ一定の日数があることを知らせるために使用されていた(我々はすでにAppleの他のサブスクリプションをほとんど利用している)。この場合、SpotifyがApple Musicと直接競合するのと同じようなAppleCareと直接競合するサードパーティーアプリは存在しない。Asurion(アシュリオン)などの保証会社はAT&T(エー・ティー・アンド・ティー)やVerizon(ベライゾン)などの 携帯キャリアと提携して、iPhoneの保険プランを販売し、App Storeを通じた消費者への直接販売は行っていない。

保証追加の喚起は有益な情報であり、望まない侵入ではないと指摘する向きさえある。

スウィーニー氏のツイートは、設定アプリ内のファーストパーティー広告の認知度を高めたが、実際これは新しいことではない。

AppleはこれまでにもiPhoneの設定画面を使ってユーザーに自社サービスを売り込むことがよくあり、今回と概ね同じやり方だった。

たとえば2020年、AppleはApple ArcadeAppleCare、およびApple TV+のプロモーションを設定アプリ内で展開しているところを見つけられた。設定画面以外にも、Appleは別の変わった方法で自社サービスを宣伝しており、プッシュ通知を使ったものもあった。さらに同社は、何年も前から自社アプリの中で別のアプリのクロスプロモーションを行っている。例えばApple Musicのサブスクリプションのおすすめが、iTunesを使っている時に表示されるといったものだ。

しかし現在規制当局は、プラットフォームが自らのマーケティングパワーを利用あるいは濫用する様子を綿密に監視している。現在Google(グーグル)は、端末製造メーカーが自社のスマートフォンを販売する際に一連のGoogleアプリをプリインストールすることを必須としていることに対するEUの記録的な罰金命令を控訴している。一方Samsung(サムスン)は、Galaxy(ギャラクシー)端末上で自社アプリの広告を掲載することを中止すると発表した(これまで同社は、他の企業が自社製品を宣伝する広告を時々掲載していた)。

Epic Gamesのスウィーニー氏のツイートについて補足コメントを出しておらず、同社がこのちょっとした最新情報を次の控訴審で使用するかどうかも明らかにしていない。Appleにはコメントを要求しているがまだ応答はない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがiPhoneでクルマの空調やシートをコントロールできる技術を開発中か

iPhoneが、電話に出たり音楽を選んだりする以外にも、クルマの中で役立つことができるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)はコードネーム「IronHeart」というiPhoneを使ってクライメートシステム、ラジオ、シート、さらにはインストルメントクラスターをコントロールできるようになる技術を開発しているとのことだ。暖房の温度を上げるためだけに、CarPlayとクルマの(おそらく不便な)インフォテイメントソフトウェアを切り替える必要はなくなるだろう。

情報提供者によると、IronHeartはまだ開発の初期段階にあり、自動車ブランドとのパートナーシップが必要になるとのことだ。この件についてAppleはコメントを控えている。

このような取り組みは、自動車におけるAppleの存在感を、CarPlayや最近のCarKeyのような限定的な技術を超えたものにする可能性がある。また、かねてより噂されている電気自動車戦略の一環というわけではないが、この技術の開発を通して自動車のより多くの側面を経験することができ、Appleでの自動車開発にも役立つはずだ。

ただ、自動車メーカーがこのコンセプトを受け入れるかどうかは別の問題だ。Appleは、多くの一般的な作業において、自動車の元々のインターフェイスを事実上バイパスすることになる。特に、Appleのサービスと競合するサービスを持っているメーカーは、自社のカーインターフェースやアプリに多大な労力を費やしてきただけに、躊躇することは容易に想像できる。もしIronHeartが出荷されたとしても、クルマの購入者から熱狂的な反応がない限り、その搭載は一部のメーカーやモデルに限られるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:JOSH EDELSON / Stringer / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

中国での電力供給不足からくる工場の減産により、半導体の原料である金属シリコンの価格が2ヶ月足らずで約4倍にも高騰し、アップルをはじめとする大手ハイテク企業にとって大問題となる可能性が浮上しています。

金属シリコンはテクノロジー業界で重要な役割を果たしており、チップ製造のみならずガラスやコンクリート、太陽光発電パネルやシリコン製品などの様々な産業に使われています。シリコンは地殻の28%を占めるほど豊富に存在するものの、精製された高純度なシリコン原料は生産が追いつかず原料メーカーは増産に追われていましたが、中国での減産により供給がさらにタイトになっている模様です。

これまでの世界的な半導体不足は、チップ需要の増加や水不足などが原因となっていましたが、そこにシリコン原料の生産量が減らされたことが追い打ちを掛けるかたちです。

Bloombergの報道によると、中国政府が国内の電力消費量を減らすため、金属シリコン製造の主要拠点で減産を命じているとのことです。たとえば国内第2の生産地である雲南省は、9月~12月は8月の水準より90%の減産を命じられたそうです。そのため以前は1トンあたり8,000元~1万7000元(約13万3000円~27万円)だった金属シリコンが、現在では6万7300元にまで値上がりしたと伝えられています。

すでに材料不足は太陽電池業界にも影響を与えており、太陽電池用ポリシリコンは先週水曜(9月29日)に13%も値上がりし、2011年以来の最高値を記録しています。

またシリコン価格は長期にわたって高止まりすると予想されており、上海金属市場のアナリストの見解では2022年夏まで高水準が続くとのこと。その時期になれば、同年後半にかけて生産が増やせる見通しが開けると述べられています。つまり、それまではシリコン価格の値上がりが減産による品不足や、最終的に消費者が支払う価格などに影響する可能性があると思われます。

これまでアップルは例外的に半導体や部品不足の影響を免れてきたと見られていますが、とはいえiPhone 13 Proモデルの出荷予定は11月までずれ込んでいます。もしかすると、年末までに発売が予想される新型MacBook Proなどにシリコン不足のしわ寄せが直撃するのかもしれません。

(Source:Bloomberg。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

モバイルSuicaで障害、iPhone・Apple Watch向け「Apple PayのSuica」でチャージなど不可に

モバイルSuicaで障害、iPhone・Apple Watch向け「Apple PayのSuica」でチャージなど不可にJR東日本は10月5日未明、モバイルSuicaサービスのうち、iPhone / Apple Watch向けに提供している『Apple PayのSuica』でチャージや定期券、グリーン券の購入が行えない不具合が発生していると発表しました。

同社は『現在復旧を急いでいる』としたうえで、チャージは店舗・駅の券売機等で、定期券・グリーン券の購入は駅の券売機で行うよう案内しています。

また、『Apple PayのPASMO』ユーザーからも「チャージできない」との報告が上がっています。

(Source:JR東日本Engadget日本版より転載)

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る今年も10月5日となり、アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏が逝去してからちょうど10年の節目を迎えました。

どれほどの偉人や有名人といえども歳月が経つと知名度の風化は免れにくいものですが、令和の時代でも「出でよ、日本のジョブズ」というタイトルの記事を見かけることはたびたびあり、故人の影響力の強さが偲ばれます。ジョブズ氏の美的感覚や「製品はユーザー体験を総合したもの」という考えがiPhoneという形に結実し、10数年以上にわたるシリーズを通じて日常の一部になっているからかもしれません。

以下、これまでの過去記事を引用しつつ、ジョブズ氏の残した足跡を振り返っていきましょう。

Apple TV操作アプリ「Remote」開発者、スティーブ・ジョブズとの思い出を語る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る
ジョブズ氏の関わった製品やソフトウェアも永遠ではなく、いつかは終わりが来る。その現れの1つがiPhoneやiPadをApple TVのリモコン代わりにする「Remote」アプリの廃止でした。もっともiOS 12以降のコントロールセンター画面に同機能が統合されているため、発展的解消ともいえる出来事です。

そのコードの最初の1行を15年前に書いた元アップルのエンジニアは、「App Storeチームがストアへのアップロードの流れをテストするために使用した」最初のProduction(App Store公開に必要な証明書を得た)アプリになった」と振り返っていました。つまり、App Storeのはじめの一歩が踏み出されたわけです。

さらに時代が下って2010年には。ジョブズ氏は「次のApple TVリモコンは、この操作がディスプレイなしで出来なければならない」と語っていたとのこと。それが後のSiri Remoteや、ひいてはiPod Classicのクイックホイールのような操作感が蘇った第2世代へと繋がった。製品や形がなくなったとしても、志は受け継がれていく証でしょう。

ジョブズ、「iTunesがCD市場を滅ぼす」とベゾスに警告したとの証言

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏はEC(電子商取引)のビジネスモデルを根づかせ、送料無料などを武器に全世界を席巻した風雲児です。そんなベゾス氏とジョブズ氏は「音楽」(CD)という接点で関わりを持ち、後のアマゾンのあり方に大きな影響を与えたのではないか、と思わせる逸話がありました。

アマゾンプライムやAWS、KindleやAmazon Musicの創設に関わった著者らによる『Working Backwards』という書籍では2003年、アップルがMac用のiTunesを公開して間もない頃のエピソードが語られています。

アップル本社に招かれたベゾス氏に、ジョブズ氏はWindows用iTunesを開発し終えたと明かし、「アマゾンは、CDを買う最後の場所になる可能性が十分にある」「CDは手に入りにくくなるから、プレミアムをつけてもいいだろう」と述べたそうです。

この発言がアップルとアマゾンの提携を持ちかけていたとは考えにくいのですが、少なくとも「これからの音楽はデジタルかつダウンロード販売になる」と宣言したのは確かなことでしょう。2003年当時のアマゾンにとってCDは小さくて郵送しやすいことから、貴重な収入源の1つでした。

ジョブズ氏の性格から推測すると、本書で述べられる「挑発して、アマゾンのビジネス上の判断を誤らせようとしていた」可能性は高いと思われます。が、ベゾス氏は冷静に対応し、その後まもなくKindleを発売したり、AWS(アマゾンウェブサービス)を立ち上げ、物理媒体への比重を減らして見事に成功を収めています。

天才は天才を知る。ジョブズ氏が予言したCD市場の衰退は現実となっており(さらにストリーミングのSpotifyが登場することでiTunesの「1曲ごとに1ドル27セント」ビジネスも崩壊しましたが)それが反映された今日のアマゾンも「ジョブズの遺伝子」を受け継いでいるのかもしれません。

元アップル幹部、ジョブズのApp Store反対やiOS向けFlash開発を語る

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返る

Scott Forstal

App Storeの成長は目覚ましく、ゲームの収益だけでもソニーと任天堂とマイクロソフトの合計を超えた(2019年)との報道もあります。しかしジョブズ氏はApp Storeの設立に反対する最大の人物のひとりだったという、元アップル幹部の証言がありました。

デバイスの梱包から操作性、搭載アプリから流通まですべてのユーザー体験に責任を持ちたい—そんなジョブズ氏の信念からすれば、サードパーティのアプリ開発を一切可能にすべきではないと強硬に反対していたとの回想は頷けることです。

妥協案として上がっていた「Webアプリをブラウザ内で実現できれば十分」という考えは、おそらく実現していればユーザーも不満が募り、ジョブズ氏の「ユーザー体験は快適であるべき」という理想にも反する結果となっていたはず。

とはいえ生粋の技術者ではないジョブズ氏がそこまで見通せるとも考えにくく、やはり強烈な自我を持つスコット・フォーストール氏らが粘り強く説得し、しぶしぶサードパーティ製アプリ開発を認めさせたことは、アップル内外を問わず幸運だったと思われます。

またフォーストール氏は、最終的にはiPhone向けFlashを却下したジョブズ氏が、実はAdobeとの協力を進めさせていた(が、デキが酷かったので辞めさせた)との興味深い証言もしています。ジョブズ氏の先を見通す力は並々ならなかった一方で、部下の苦言にも耳を傾け、時には自説を撤回する度量があったことを示している(部下にも相当な信用や胆力が必要そうですが)と言えそうです。

ジョブズのメールから「iPhone Nano」が検討されていたことが判明

ティーブ・ジョブズ逝去からちょうど10年、App Storeやアマゾンにまつわる足跡を振り返るアップルとEpicとの「フォートナイト」やApp Store手数料をめぐる訴訟では、証拠として様々な資料が提出され、その中には門外不出のはずのアップル社内メールも多く含まれていました。そこから、ジョブズ氏が「iPhone Nano」なるデバイスの開発を検討していたことが明らかとなっています。

それはiPhone 4発売から数ヶ月後の2010年末、部下に対して送ったもの。この年はAndroidスマートフォンの販売も本格化し、ソニーのXperia最初の機種が発売された時期(海外のみ)ではありますが、「Googleとの聖戦(Holy War with Google)」という言葉があるのも味わい深いところです。

「iPhone Nano」計画が興味深いのは、iPhoneの単一サイズにこだわりがあると思われたジョブズ氏が(原則が崩れたのは2014年発売のiPhone 6 Plus以降)現行モデルの小型化らしきデバイスを自ら提案している点でしょう。実際、2009年~2011年にかけて「iPhone Nano」の噂が飛びかっていたとの証言もあります。

初代iPhone発売時には「誰もスタイラスなんて欲しくない(中略)誰もが生まれつき持っているポインティングデバイス、生まれつき10本持ってる指を使うんだ」としてスタイラス嫌いを標榜していたジョブズ氏ですが、自ら「iPhone Nano」を認めたように、iPad Pro以降のApple Pencilも評価する柔軟さを持ち合わせていたとも思われます。

今年2021年は、アップル創業45周年でもあります。ティム・クックCEOが引用した「これまでのところ素晴らしい旅だったが、まだ始まったばかりだ」という故人の言葉通り、ジョブズ氏の遺産とも言えるiPhoneやiPad、数々のアップル製品と共に、われわれ人類の旅はまだ始まったばかりかもしれません。

Engadget日本版より転載)

【インタビュー】iPhone 13シネマティックモードの開発経緯をアップル副社長とデザイナーに聞く

iPhone 13 Proモデルのシネマティックモードは、先に行われたApple(アップル)の同端末のプレゼンテーションで特に強調されていた。これまでに公開されたレビューを読んだ人たちは、このモードの賢さは認めているものの、その利便性に疑問も感じているようだ。

筆者はこの機能を試してみた。最新のiPhoneをディズニーランドに持っていって、今後数年で数千人いや数百万人の人たちが行うような方法で実際にこの機能をざっと試してみた。筆者が行った個人的なテストの一部は、この記事でも触れる他、こちらの筆者のiPhoneレビューでも紹介している。この記事では少し掘り下げた情報をお届けする。

関連記事:【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

この記事では、世界iPhone製品マーケティング担当副社長Kaiann Drance(カイアン・ドランス)氏とアップルのヒューマンインターフェースチームのデザイナーJohnnie Manzari(ジョニー・マンザリ)氏に、この機能の目標と開発の経緯について話を聞いた。

「動画で高品質の被写体深度(DOF:ピントの合う最も近い距離と遠い距離の間)を実現するのはポートレートモードよりもはるかに難しいことはわかっていました」とドランス氏はいう。「静止画と違い、動画は撮影時に動く(撮影者の手ぶれも含め)ことが前提です。ですから、シネマティックモードで、被写体、人、ペット、モノを撮影するには、さらに高品質の深度データが必要になります。しかも、その深度データをすべてのフレームに追いつくように継続的に維持する必要があります。このようなオートフォーカスの変更をリアルタイムで実行すると、非常に重い計算負荷がかかります」。

シネマティックモードではA15 BionicチップとNeural Engineを多用する。Dolby Vision HDRでエンコードすることを考えると当然だ。また、ライブプレビュー機能も犠牲にしたくはなかった(アップルがこの機能を導入後、大半の競合他社は数年間、この機能を実現できなかった)。

しかし、アップルは最初からシネマティックモードの概念を機能として考えていたわけではない、とマンザリ氏はいう。実際、設計チームでは、機能とは反対の側面から取り掛かることが多い(同氏)。

「シネマティックモードなどというアイデアはありませんでした。ただ、興味深いとは思いました。映画製作が今も昔も人々を惹き付けるのはなぜだろうか、と。そして、それが徐々におもしろい方向へと進み始め、このテーマについて調査が始まり、社内で広く検討されるようになり、それが問題解決につながります」。

ドランス氏によると、開発が始まる前、アップルの設計チームは映画撮影技術の調査に時間を費やし、リアルな焦点移動と光学特性について学んだという。

「設計プロセスではまず、現在に至るまでの映像と映画撮影の歴史に深い敬意を払うことから始めました。映像と映画撮影のどの部分が今も昔も人々を惹き付けるのか、映画撮影のどのような技術が文化的な試練に耐えて生き残ったのか、またそれはなぜなのか、という疑問には大変魅了されました」。

マンザリ氏によると、従来とは異なる技法を選択する決断を下すときでさえ、アップルのチームはもともとのコンテキストの観点から慎重かつ丁寧に決断を下そうとするという。アップルのデザインとエンジニアリング能力を活かして、複雑さを排除し、人々が自身の可能性を引き出せるような何かを作成する方法を見出せるようにすることに重点を置く。

ポートレートライティング機能の開発プロセスでも、アップルの設計チームは、アヴェンドンやウォーホルなどの古典的な肖像画家やレンブラントなどの画家、および中国のブラシポートレートなどを研究し、多くの場合、オリジナルを見に足を運んだり、研究室でさまざまな特性を分析したりした。シネマティックモードの開発でも同様のプロセスが使用された。

画像クレジット:Matthew Panzarino

設計チームはまず、世界中の最高の映画撮影スタッフに話を聞いた。また、映画を観たり、昔のさまざまな映像例を分析したりした。

「そうすることで、いくつかの傾向が見えてきました」とマンザリ氏はいう。「ピントとピントの変更はストーリーテリングには欠かせない基本的な道具であること、私たちのように職能上の枠を超えたチームではそうした道具を使う方法とタイミングを把握する必要があることは明らかでした」。

それができたら、撮影監督、撮影スタッフ、第一助手カメラマン(ピント調整役)などと緊密になる。セットで彼らを観察したり、質問したりする。

「浅い被写界深度を使う理由、またそれがストーリーテリングという観点からどのように役に立つのかについて、撮影スタッフと話すことができたことも本当に良い刺激になりました。そこで覚えたのは、これは本当に陳腐化することのない知見ですが、見る人の注意を誘導する必要がある、ということです」。

「しかしこれは、現在のところ、スキルのあるプロ向けのアドバイスです」とマンザリ氏はいう。「あまりに難しいため、普通の人は試してみようとも思いません。1つのミスで数インチずれただけでだめです。これはポートレートモードで我々が学習したことです。いくら音楽やセリフで見る人の聴覚を刺激しても、視覚に訴えることができないなら、使いものになりません」。

その上にトラッキングショットがある。トラッキングショットでは、カメラが移動し、被写体もカメラに対して移動している状態で、ピント調整担当者は継続的にピントを合わせる必要がある。高度なスキルを要する操作だ。トラッキングショットを成功させるには、カメラマンは数年間、徹底的に練習を重ねる必要がある。マンザリ氏によると、アップルはここにビジネスチャンスを見出したのだという。

「これはアップルが最も得意とする分野なのです。つまり、難しくて、習得が困難とされている技術を、自動的かつシンプルにできるようにしてしまうというものです」。

チームはまず、フォーカスの特定、フォーカスロック、ラックフォーカスなどの技術的な問題に取り組む。こうした研究からチームは凝視にたどり着く。

「映画では、凝視と体の動きによってストーリーを組み立てていくのは極めて基本的なことです。人間はごく普通に凝視をコミュニケーションに使います。あなたが何かを見れば、私も同じものを見るという具合です」。

こうして、アップルのチームは凝視を検出する仕組みを組み込んでピントの対象をフレーム間で操作できるようにすることで、観る側がストーリーを追えるようにする必要があることに気づく。アップルは撮影現場で、こうした高度なスキルを備えた技術者を観察し、その感覚を組み込んでいったとマンザリ氏はいう。

「我々は撮影現場でこうした高い技術を備えた人たちと出会うことができます。彼らは本当に最高レベルの人たちです。そんな中、あるエンジニアが気づきます。ピント調整担当者というのはピント調整ホイールの感覚が体に染み付いていて、我々は、彼らがそれを操る様子を観ているだけだと。つまり、本当にピアノがうまい人が演奏しているのを観ていると、簡単そうに見えるけれど、自分にはできないことはわかっているのと同じ感覚です。ピント調整担当者が行っていることをそのまま真似ることなどできないのだと」とマンザリ氏はいう。

「第一助手カメラマンはアーティストで、自分がやっている仕事が本当にうまく、すばらしい技量を備えています。ですから、我々チームもフォーカスホイールを回すアナログ的感覚をモデル化しようと多くの時間を費やしました」。

これには、例えば長い焦点距離の変更と短い焦点距離の変更では、フォーカスホイールランプの操作スピードが速くなったり遅くなったりするため、変更の仕方が異なるといったことも含まれている。また、ピント調整が意図的かつ自然に感じられない場合、ストーリーテリングツールにはならない、とマンザリ氏はいう。ストーリーテリングツールは観る側に気づかれてはならないからだ。映画を観ていて、ピント調整テクニックに気づいたとしたら、おそらくピントが合っていないか、第一助手カメラマン(または俳優)が失敗したからだ。

最終的に、チームは映画撮影現場での調査研究を終えて多くの芸術的および技術的な課題を持ち帰ったのだが、それを解決するには極めて難しい機械学習の問題を解く必要があった。幸いにも、アップルには、機械学習研究者のチームとNeural Engineを構築したシリコンチームがいつでも協力してくれる体制があった。シネマティックモードに内在する問題の中には、これまでにない新しい独自のMLの問題が含まれていた。それらの問題の多くは非常に厄介で、微妙な差異や有機的な(人間くさい)感覚を維持するという掴みどころのないものを表現するテクニックを必要としていた。

シネマティックモードを試す

このテストの目的は、1日でできること(と午後のプールでのひととき)を撮影することだった。ディズニーランドに行けば誰もがやりたいと思うようなことだ。1人でカメラを持ち、特別なセットアップもなければ、撮影者の指示もほとんどない。ときどき、子どもにこっちを向いてというくらいだ。下の動画は、誰が撮っても大体こんな感じになるだろうというレベルを維持した。これは肝心なところだ。B-ROLL(ビーロール)はあまり用意していないし、何度も撮り直すようなこともしなかった。編集もしていない。唯一、撮影後にシネマティックモードを使っていくつか重要な場所を選択した。これは、エフェクトを入れるため、または自動検出機能によって選択されたカ所が気に入らなかったためだ。といっても大した編集ではなかったが、編集結果には満足している。下のデモ動画を再生できない場合は、こちらをクリックしていただきたい。

この動画はもちろん完璧なものではないし、シネマティックモード自体も完璧ではない。アップルがポートレートモードで導入して大成功した人工的なぼけ味(レンズブラー)は、1秒あたりの実行回数があまりに多くなる点が非常に苦しい。焦点追跡もカクカクすることがあるため、撮影後に編集するケースが想定していたよりも多くなるようだ。低照度設定でも問題なく動作するように思うが、高い精度を求めるならライダー光線の届く範囲内(約3メートル以内)で撮影するのがベストだ。

それでも、何を追跡しているのか、どこに向かっているのかはわかるし、このままでもとても便利で使っていて楽しい。多くのレビューがこのあたりを軽く流していることは知っているが、この種の新機能を(実際に使ってみるのではなく)人工的な負荷を与えてテストするのは、ごく普通の人がどの程度便利に使えるのかを確認するには、いささか雑な方法ではないかと思う。筆者が、2014年にディズニーランドでiPhoneのテストを始めた理由の1つもそこにある。iPhoneが数百万の人たちに使用されるようになって、処理速度とデータ量の時代はあっという間に過ぎ去りつつある。どのくらいの高い負荷を高速処理できるかはもうあまり重要なことではなくなってしまった。

人工的なテストフレームワークによって多くの早期レビューワたちが主に欠点を見つけているのを見ても別に驚きもしない(実際欠点は存在するのだ)。だが筆者は可能性のほうに注目したい。

シネマティックモードとは

シネマティックモードは実は、カメラアプリの新しいセクションに存在する一連の機能であり、iPhoneのほぼすべての主要コンポーネントを利用して実現されている。具体的には、CPUとGPUはもちろん、アップルのNeural Engineによる機械学習作業、加速度計による動きの追跡、そしてもちろんアップグレードされた広角レンズとスタビライザーも利用されている。

シネマティックモードを構成している機能の一部を以下に示す。

  • 被写体認識と追跡
  • フォカースロック
  • ラックフォーカス(ある被写体から別の被写体に自然にピントを移動する)
  • イメージオーバースキャンとカメラ内蔵スタビライザー
  • 人工的ぼけ(レンズブラー)
  • 撮影後編集モード(撮影後にピント変更可)

上記のすべての機能はリアルタイムで実行される。

動作原理

これらすべてを、リアルタイムプレビューや後編集で毎秒30回も実行するためには、控えめにみても、かなり大きな処理能力が必要だ。アップルのA15チップで、Neural Engineのパフォーマンスが飛躍的に向上しており、GPUの処理能力も大幅に向上しているのはそのためだ。上記の機能を実現するには、そのくらいの処理能力が必要なのだ。信じられないのは、シネマティックモードを1日中かなり使ったにもかかわらず、バッテリーの駆動時間が明らかに短くなるということがなかった点だ。ここでも、アップルのワットあたりのパフォーマンスの高さがはっきりと現れている。

撮影中でも、ライブプレビューによって撮影内容を極めて正確に確認できるので、そのパワーは明らかだ。撮影中、iPhoneは加速度計からのシグナルを拾って、ロックした被写体に自分が近づいているのか、逆に被写体から遠ざかっているのかを予測し、すばやくピントを合わせることができるようにする。

と同時に「凝視」のパワーも利用している。

凝視検出機能により、次の移動先となる被写体を予測し、撮影シーン中のある人物が別の人物を見たり、フィールド中の物体を見ている場合、システムはその被写体に自動的にラックフォーカスできる。

アップルはすでにセンサーをオーバースキャンしてスタビライザーを実現している(つまり、事実上フレームの「エッジを越えて」見ている)ため、設計チームは、これは被写体予測にも使えるのではないかと考えた。

「ピント調整担当者は被写体が完全にフレーム内に収まるまで待ってからラックを行うわけではなく、被写体の動きを予測して、その人がそこに来る前にラックを開始します」とマンザリ氏は説明する。「そこで、フルセンサーを実行することで動きを予測できることがわかったのです。このように予測することで、その人が現れたときには、すでにその人にピントが合っている状態になります」。

これは上記の動画の後半のほうで確認できる。娘がフレームの左下に入ってきたときにはすでにピントが合っている。まるで、目に見えないピント調整担当者がそのシーンに娘が入ってくるのを予測して、そこ(つまりストーリーに新しく入ってきた人)に観る人の注意を惹きつけているかのようだ。

撮影した後も、焦点を修正して、クリエイティブな補正を行うことができる。

シネマティックモードの編集ビュー(画像クレジット:Matthew Panzarino)

撮影後の焦点選択ですばらしいのは、iPhoneのレンズは非常に小さいため、当然の結果として、被写界焦点が極めて深くなる(だからこそポートレートモードやシネマティックモードで人工的なぼけを実現できる)。つまり、物体に非常に近い位置にいない限り、フレーム内の任意の物体を選択してピントを合わせることができる。その後、シネマティックモードがすべての動画について保持している深度情報とセグメンテーションマスキングを使用してリアルタイムで変更が行われ、人工的なぼけエフェクトが再生される。

筆者は、iPhone 13 Proのレビューで、シネマティックモードについて次のように書いた。

このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

この機能をデモするためにアップルがどの映画会社と組もうと興味はないが、この機能から最大の恩恵を受けることができるのは、必ずしもカメラの操作に長けている人たちとは限らないと思う。幸いにも手が空いていて、このコロナ禍という厳しい現実の中でも、そこにいたときの気持ちを撮りたいという基本的な欲求を持っている人たちこそ最大の恩恵を受けるのではないか。

そして、それこそが映画という媒体の持つパワーだ。そこにいたときの気持ちになれる。シネマティックモードは、この初期バージョンではまだまだ完璧には程遠いが、従来よりもはるかに容易で、扱いやすい形で、これまではとても手が出せなかった世界への扉を開く道具を「ごく普通の人たち」に与えてくれるものだ。

現時点では、詳しく見ていけば不満な点もたくさんあるだろう。しかし、初めて実物のカイロ・レンを目の当たりにしたときの子どもの反応を撮影したことがある人なら、気にいる点もたくさんあるはずだ。完璧ではないからといって、この種の道具が使えることに異を唱えるのは難しい。

「私が誇りに思うのは、誰かが私のところにやってきて、写真を見せてくれたときです。写真の出来栄えを誇らしげに語り、自分が突如として才能あるクリエーターになったかのように満面の笑みをたたえて、こんな風に話してくれる。『私は美術学校など行ったこともないし、デザイナーでもない。私を写真家だと思った人など1人もいないけど、この写真は本当にスゴイでしょ』と」とマンザリ氏はいう。

「映画は人間のさまざまな感情やストーリーを見せてくれます。そして、基本を正しく抑えていれば、そうした感情やストーリーを観る側に伝えることができる。iPhoneであなたにも新しい世界が開けるのです。私たちはシネマティックモードに長い間、本当に懸命に取り組んできました。お客様に実際に試していただけるのを本当に楽しみにしています」。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

iPhone 13シリーズ最大の発明は「シネマティック」という命名だ

9月24日から、iPhone 13が発売になる。今回はデザイン変更ではなく「中身」が中心のターン。変化がカメラに集中しているので「別にまあいいか」と思っている人もいそうだ。

iPhone 13 Pro(シエラブルー)とiPhone 13(PRODUCT RED)

iPhone 13 Pro(シエラブルー)とiPhone 13(PRODUCT RED)

こちらもiPhone 13(PRODUCT RED)とiPhone 13 Pro(シエラブルー)

こちらもiPhone 13(PRODUCT RED)とiPhone 13 Pro(シエラブルー)

右がiPhone 12 Pro Max(パシフィックブルー)で、左がiPhone 13 Pro(シエラブルー)

右がiPhone 12 Pro Max(パシフィックブルー)で、左がiPhone 13 Pro(シエラブルー)

iPhone 13 Pro(シエラブルー)。かなり爽やかな色

iPhone 13 Pro(シエラブルー)。かなり爽やかな色

iPhone 13(PRODUCT RED)。昨年より濃い赤で光沢が映える

iPhone 13(PRODUCT RED)。昨年より濃い赤で光沢が映える

でも、ちょっとそれはもったいない。というのも、今回からiPhone 13シリーズに入ったカメラ機能はとても大きな可能性を秘めているからだ。

実機性能も含め、その辺をちょっとまとめてみよう。

今回のiPhoneも「カメラ」がポイント

今回のiPhoneも「カメラ」がポイント

誰でもスマホ1つでできるのが「シネマティックモード」の魅力

多くの人が記事にしているように、今回のiPhone 13シリーズにおけるカメラのポイントは「動画」、特にシネマティックモードだ。

シネマティックモードの正体はシンプル。静止画における「ポートレートモード」の動画版だ。写真に計算から生み出した「深度(奥行き)」の情報をセットして、適宜フォーカス(ピント)が合う場所を変えてそれ以外をボカす……というモードである。

性能が上がったら静止画から動画へ、というのはわかりやすい流れなのだが、その際には新しい配慮も必要になる。「フォーカスが合う場所を時間の変化によって変える」ことを助ける機能が必要なのだ。

その一番シンプルな形が、「人を認識して、動きに応じて変える」というものだ。以下の動画は、iPhone 13 Proを使って撮影したものを、音声カット以外は未編集で掲載したものだ。手前に入ってくる筆者から奥の矢崎編集長へのフォーカス切り替えは完全に自動だ。

▲iPhone 13 Proで撮影。音声カット・前後カット以外は撮ったままの無加工。人が入ってきたり、振り向いたりするとフォーカス場所が変わる
認識するのは人だけでなく物体も含まれるので、以下のような動画も撮れる。

▲せっかくなので「シネマティック・ドリンク」と「シネマティック・焼肉」も。どちらもiPhone 13 で撮影し、音声・前後カットと2本の連結以外は撮ったままだ
「輪郭のヌケが完全じゃない」「背景のボケ感が画一的で書き割りのように見える」
たしかに。この機能はまったく完全じゃない。適切なカメラとレンズを用意し、しっかりとフォーカス操作をしながらなら、もっとハイクオリティなものが撮れるのは間違いない。カメラに慣れた人ならあたりまえのテクニックであり、今なら「Vlog向けカメラ」などでもっと高品質に撮れる。

だが、これらの動画を「スマホ1つで」「特別な操作なしで」「撮って出し」で作れるのは大きな進化だ。iPhone 13シリーズを買えば、誰でもこんなことができるのだ。

ついでに、ちょっとこんな動画も撮ってみた。

▲テーブルを囲んで会議している様子をシネマティックに。撮影された側曰く「テラハっぽい」
どうだろう? 単にテーブルを囲んで話しているだけなのに、ボケの演出がついただけでなんとなくドラマチックに見えてこないだろうか。
この「誰でも日常を撮るだけでテラハっぽくなる」ことこそ、シネマティックモードの価値なのである。今回iPhone 13シリーズを買わなくても、これからiPhoneの新シリーズを買うと標準機能として付いてくるだろう。そして、似たことは他のハイエンドスマホメーカーもやってきて、ありふれた機能になっていく。

今回のアップルの最大の発明は、ボケ付きの映像を撮影する機能に「シネマティックモード」という印象的な名前をつけたことそのもの、と言ってもいい。簡単なことに思えるが、こういうところが糸口となって、機能は一般化していくものだ。

編集はiMovieがお勧め、シネマティックモードの視聴は「大型画面」向き

ちょっとネタバラシはしておこう。

実は、一番最後の最後の動画だけは「撮って出し」ではない。アップルの動画編集ソフト「iMovie」のiPad版を使い、フォーカス位置をかなり細かくいじって作ったものだ。

自動でもある程度はできるが、人が多いとフォーカスが頻繁に変わりすぎて見づらい映像にになる。なので、シネマティックモードのデータをそのまま再編集できるiMovieで編集をしているのだ。なお、ここに掲載した他の動画も、フォーカス位置はいじっていないものの、音と前後のカットにはiMovieを使っている。

iPad Proに画像を転送してiMovieで加工

iPad Proに画像を転送してiMovieで加工

編集に使う機種は、iOS 15/iPadOS 15が入ったiPhoneかiPadであれば、シネマティックモードを持っていない機種(要はiPhone 13シリーズ以外)でもいい。

ただし、編集する場合の動画データは、「シネマティックモード用の付加データがカットされてない」必要がある。

同じ1080p・30Hzの動画で比較すると、通常のモードで撮影した映像データとシネマティックモードで撮影した映像データでは、容量が倍近く違うこともあった。すなわち、1080p・30Hzのシネマティックモード動画の容量=1080p・60Hzの通常動画の容量、という感じになっている。

ここで注意すべきは、単に転送するとシネマティックモード用の「深度データ」が消えてしまうこと。

自分のアカウントである場合にはiCloudの「写真」データとして同期すればいいのだが、他人にAirDropなどで渡す場合には、シェアする際の画面上方にある「オプション」をタップし、次の画面で「すべての写真データ」をオンにしてから転送しよう。

AirDropで誰かに動画を送る場合には「すべての写真データ」(右画面の最下段)をオンにしないと、シネマティックモードの深度情報がなくなり、フォーカスなどの再編集はできなくなる

AirDropで誰かに動画を送る場合には「すべての写真データ」(右画面の最下段)をオンにしないと、シネマティックモードの深度情報がなくなり、フォーカスなどの再編集はできなくなる

また、フォーカス位置の変更などの再編集については、iMovieを使わず、iPhoneの「写真」アプリだけでも可能だ。とはいえ、操作はiMovieの方が簡単で、できることも多い。iPhoneユーザーであればiMovieは無料で使えるので、活用をお勧めする。

iPhone 13での撮影時や「写真」アプリからでも、フォーカスなどの変更は可能。でも、iMovieを使った方が操作は楽だ

iPhone 13での撮影時や「写真」アプリからでも、フォーカスなどの変更は可能。でも、iMovieを使った方が操作は楽だ

それからもう一つ。

前述の動画、「どうも効果が分かりづらい」と思った人はいないだろうか。そういう方々は、おそらく「スマホの画面」で動画を見ているのだろう。

実のところ、ボケはそこそこ繊細な表現であり、動画自体の表示サイズが小さいと分かりづらい。スマホの縦画面などではピンと来ないことも多いのではないだろうか。

お勧めは、MacやiPadなどで視聴することだ。10インチ以上の画面になれば、ボケの効果は驚くほどしっかり楽しめる。また、Apple TVを使ったり、iPhoneなどをテレビにつないだりして、より大画面で楽しむのもいいだろう。

そういう意味では、シネマティックモードは「スマホで撮れるが、楽しむならスマホ以外からの方がいい」機能でもある。

やはり「Pro」は速かった。A15は順当な進化

ベンチマークテストから見える性能についても触れておこう。

すでにご存知の通り、iPhone 13シリーズが採用しているSoCは「A15 Bionic」。アップル設計によるSoCの最新モデルだが、現時点でもバリエーションが3つ存在する。

1つ目は、「iPhone 13」「iPhone 13 mini」に使われているもの。これらに使われているのはクロックが最大3.2GHzで、GPUコアが4つ。メインメモリーは4GBだ。

iPhone 13/miniのSoC。メインメモリーは4GBになっている

iPhone 13/miniのSoC。メインメモリーは4GBになっている

2つ目は「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」のもの。こちらもクロックは最大3.2GHzで、GPUコアが5つになる。メインメモリーは6GBだ。

こちらはiPhone 13 Pro/Pro MaxのSoC。メインメモリーは6GBになっている

こちらはiPhone 13 Pro/Pro MaxのSoC。メインメモリーは6GBになっている

そして3つ目が、先日レビューも掲載した「iPad mini」向け。こちらはクロックが最大2.93GHzで、GPUコアが5つ。メインメモリーは4GBだ。

参考記事:iPad mini 第6世代に死角なし iPhone 13 Pro同等の最新仕様で処理も通信も高速(西田宗千佳)

さて、これらの性能はどのくらいなのか? 数字を丸めて簡単な大小で表すと、

iPhone 13 Proシリーズ>iPad mini≒iPad Pro 11インチ(2020年モデル)≒iPhone 13シリーズ>iPhone 12 Proシリーズ>iPhone 12シリーズ

という感じだろうか。

メインメモリー量とクロックは違うが、同じ構成のiPhone 13 ProとiPad miniは、おおむね「クロック通り」の差。全体的にワンランク上だ。

iPhone 13とiPad miniは、CPUについてはほぼクロック通りの差で、GPUのコアが多い分、クロックが低くてもiPad miniの方が高性能。総合して考えると大体近い性能……という感じかと思う。

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCPUスコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCompute(主にGPU)スコア

Geekbench 5によるiPhone 13/miniのCompute(主にGPU)スコア

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCompute(主にGPU)スコア。コア数が1つ多い分、iPhone 13より数値がグッと高い

Geekbench 5によるiPhone 13 Pro/Pro MaxのCompute(主にGPU)スコア。コア数が1つ多い分、iPhone 13より数値がグッと高い

昨年モデルであるA14世代はもちろん、A12世代でコア数を増やしたハイエンド製品(主にiPad向け)を超えていくのだから、性能向上はいまだ「ちゃんと続いている」といっていいだろう。

iPad miniのレビューでも述べたが、A15は高性能とはいえ、それでも「よりパフォーマンス重視で作られたM1」にはまったく敵わない。コア数の考え方を含め、コストも狙いも違うのだ。

この辺からも、アップルが「スマホ向けで進める性能向上」と「Mac向けで進める性能向上」が違ってきており、使い分けが今後も進むであろうことが予測できる。

(西田宗千佳。Engadget日本版より転載)

【レビュー】iPhone 13 Proを持ってディズニーランドへ!カメラとバッテリー駆動時間をテスト

2021年のiPhoneレビューは、えーと、もちろん、数年ぶりにディズニーランドに戻ってくることになった。うれしいことに、iPhone 13 ProとiPhone 13は非常に良いパフォーマンスを見せてくれた。また、iPhone miniとiPhone 13 Pro Maxで行った限定的なテストでは、初めて、望遠レンズがなくても問題なければ、iPhoneをサイズの好みで簡単に選択できるようになったことがわかった。

私がこれらのiPhoneをいつもディズニーランドに持ち込む大きな理由の1つは、Apple(アップル)が主張する改善点を実際の環境で激しくテストするのに最適な場所だからだ。ディズニーランド内は暑く、ネットワーク環境は最悪で、写真やチケットのスキャン、食べ物の注文など、最近ではほとんどすべてのことに携帯電話を使わなければならず、かけたお金の分最大限楽しめるようできるだけ長く滞在することが多い。これは、人為的なバッテリー消耗や管理された写真環境を含まない、理想的な耐久テストと言えるだろう。

私の行ったテストでは、それほどではないケースもあったが、Appleの改良点のほとんどが、実際に旅先での生活の質に目に見える影響を与えてくれた。画面の明るさ、より長い望遠、そして長くなったバッテリーの持続時間は、いずれもうれしいポイントだった。

パフォーマンスとバッテリー

iPhone 13 Proのバッテリーは、園内での使用でちょうど13時間超えを記録したところで使い切った。2021年はビデオのテストが多かったため、カメラアプリが通常よりも長く画面に表示され「画面上」での使用時間が1時間強となり、システムに少し負担をかけてしまった。実際に標準的な使い方をすれば、それ以上の効果が得られると思うので、iPhone 12 Proのビデオ再生時間が1時間以上長くなったというAppleの見積もりは、おそらくかなり正確なものだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

私のテストでは、iPhone 13 Pro Maxに同じレベルの負荷を与えることは難しかったものの、iPhone 13 Proが充電を必要としたときにまだ余力があったことを考えると、iPhone 13 Pro Maxにはさらに多くのバッテリー駆動時間が期待できると言えるだろう。ただ、より大きなバッテリーで、より多くのバッテリー駆動時間が得られるというのは、大きな驚きではない。

開園一番に入園するつもりなら、午前6時くらいに充電器から外して、午後4時くらいまでには充電器を用意して、電池切れにならないように計画したほうがいいだろう。これは、厳しい環境下でカメラを多用するiPhoneにとって、全体的に悪くない稼働率だと思う。

Appleの新しいProMotionディスプレイもいい感じにアップグレードされていて、画面の明るさが増していることに気づいた。ただし、この明るさの向上は、iPhone 12 Proの画面にハイキーなコンテンツを表示した状態で並べてみて初めて実感できるものだった。ディズニーランドのアプリを起動してバーコードを読み取ると、読み取りの安定性が向上し、直射日光の下では全体的な明るさが増していることがわかる(はっきりとは言えないが)。直射日光が当たらない場所では、この違いほとんどわからないと思う。

ProMotionスクリーンの可変リフレッシュレートは、Safariをスクロールしているときに120Hzまで上昇するが、これは本当に生活の質の面ですばらしい向上だ。私はここ数年、コンピューティングのほとんどをiPad Proで行ってきたので、残念ながらこの分野には少し飽きているが、まだ経験したことのないiPhoneユーザーにとってこれは驚くべき進歩に映るだろう。Appleのシステム上で120Hzに固定されているわけではないため、写真やテキストなどの静止したコンテンツを見るとき、スクロールしないときなどは画面のリフレッシュレートを遅くすることで、バッテリー寿命を節約することができる。うれしいことに、スクロール中に大きなずれも発生せず、この切り替えの際にも、実に反応が良く、シームレスに処理されている。

新しいA15チップは、そう、2020年よりもパワフルになっている。この点が気になる人のために、以下いくつかの数字を紹介しよう。

画像クレジット:Apple

特に、バッテリー駆動時間が短くなったのではなく、むしろ長くなったという点で、非常に印象的だ。Appleデバイスのワットあたりの性能は、チップ担当部門の(あまり)知られていない偉業であり続けている。2021年のiPhoneやM1ラップトップが、単にめちゃくちゃ速いというだけでなく、充電器に接続せずとも、実際に膨大な時間使用が可能であるということだ。気になる方のために触れておくと、iPhone 13 Proには6GBのRAMが搭載されているようだ。

デザイン

画像クレジット:Matthew Panzarino

iPhoneのデザインは、相変わらずカメラと無線を中心に構成されている。カメラパッケージのセンサーとレンズをサポートするために必要なもの、そしてアンテナが5Gに対応できるようにするために必要なものが、iPhoneの現時点におけるデザインのハンドルをコントロールしており、それはごく自然なことだ。

iPhone 13 Proの背面にあるカメラアレイは、Appleが新たに搭載した3つのカメラに対応するため、より大きく、高くなっている。そう、全体で40%も大きくなり、高くなっているのだ。Appleの新しいケースには、非常に目立つ隆起がある。これは、ケースを表面に置いたときにレンズを保護するためのものだ。

他のすべての部分は、カメラと、ワイヤレス充電と無線性能の必要性を中心に作られている。しかし、Appleのつや消しガラスとスチール製の縁の外観は、2021年も宝石のような品質を維持しており、やはりすばらしい見た目のものに仕上がっている。多くの人がケースを付けずに長時間見ることはないと思うが、見ている間はイケてる携帯電話だと言えるだろう。

カメラのパッケージングを改善したことで、前面のノッチはわずかに小さくなり、動画視聴などの際の画面領域がわずかに増えたが、デベロッパーの人たちが浮いたピクセルをうまく利用する方法を見つけてくれるのを待たなければならない。

次に、カメラについて説明しよう。

カメラ

純粋に、ユーザーの選択肢や、見違えるほど画質を向上させるような改善を、Appleが毎年続けていくことはあり得ないことのように思える。にもかかわらず、カメラの品質と機能は、iPhone 11 Proから全面的に大きく飛躍しており、iPhone 12 Proからも顕著な改善が見られる。それら以前の機種を使っている人であれば、きっと気に入るであろう最高の画質を目の当たりにすることになるだろう。

カメラのパッケージと機能セットも、これまで以上にラインナップ全体で統一されている。Appleのセンサーシフト光学式手ぶれ補正システムは、すべてのモデルに搭載されており、iPhone 13 miniでさえも搭載されているのだが、このセンサーアレイの全体的なパッケージサイズを考えると、これは驚くべきことだろう。

2021年のディズニーランド内での私の経験では、どのレンズを選んでも、Appleによるカメラ改良の大きな違いを感じることができた。低照度から高倍率ズームまで、熱心な写真家の人たちにも満足してもらえる内容となっているはずだ。それと、シネマティックモードについても後で紹介しよう。

望遠

私が改善を期待していたレンズの中で、望遠レンズには実はそれほど大きな期待を寄せていなかった。しかし、このレンズの撮影範囲の広さと実用性の高さには、うれしい驚きを感じた。私は自他ともに認める望遠派で、iPhone 12 Proで撮影した写真の60%が、ワイドよりも望遠で撮影したものだ。後からトリミングしなくても、フレーミングをより綿密に選ぶことができるのが個人的に好きなのだ。

望遠レンズにナイトモードが搭載されたことで、以前のように暗闇の中でクロップしてワイドレンズに戻ることがなくなった。このように、本来の光学の望遠に加えて、ナイトモードの魔法も手に入れることができる。2年前にはまったく手が届かなかったことだが、黒の表現力が格段に向上し、手持ちでズームしても、全体的にすばらしい露出を生んでくれるようになった。

画像クレジット:Matthew Panzarino

より高いズームレベルでは、ポートレートはよりタイトにトリミングされ、ポートレートモード以外の有機的なボケ(ブラー)がより美しくなる。この新しいレンズを使えば、人物をより美しく撮影できるようになるだろう。

もしあなたがカメラ好きならわかると思うが、3倍ズームは私が愛用している105mm固定式ポートレートレンズによく似ている。このレンズのパッケージは、クロップ機能もあり、優秀な背景の分離機能もあり、そして光学品質がとにかく非常に優れている。今回、Appleは望遠で見事に成功したと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

演出のときもあるが、基本的にはパンデミック対策のため、パフォーマーとゲストとの間に距離があることが多いディズニーランドでは、より長い光学レンジも非常に便利だった。カイロ・レンが観客を盛り上げているところを、手を伸ばして撮影できたのは楽しいことだった。

広角

Appleのワイドレンズは、センサー技術全体で最大の進歩を遂げている。ƒ/1.5の大きな開口部と新しい1.9µmのピクセルサイズにより、集光力が約2倍になり、その違いがよく表れている。夜間や車内での撮影では、黒の深みやダイナミックレンジが向上し、全体的な画質が著しく向上した。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にすると、集光範囲の拡大とSmart HDR 4の改善により、黒がより濃くなり、洗いざらしのような写りにならなくなる。あえて言えば、全体的に「より自然」ということになるが、これは今回のiPhoneのカメラに共通するテーマだと言えるだろう。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ナイトモードを有効にしていない状態では、より多くの光を取り込むことで画質が向上していることが一目瞭然だ。ナイトモードをオフにしなければならない状況はほとんどないと思うが、光が少ない中で動いている被写体などはそのユースケースの1つであり、この新しいセンサーとレンズの組み合わせであれば、そのような場合でも数センチの余裕を得ることができる。

センサーシフト式OIS(光学式手ブレ補正)がiPhone 13に搭載されたことは、静止画と動画の両方に大きな恩恵をもたらす。私はiPhone 12 Pro Maxの手ぶれ補正機能でいろいろ遊べたことに満足しているが、まだ手ぶれ補正機能を使ったことがない人は、この機能がもたらす、レベルアップしたシャープさに信じられないほど満足することになるだろう。

超広角

Appleの超広角カメラは、しばらくの間、嫌われてきた。新しい視点を提供してくれるものの、発売以来、オートフォーカス機能の欠如や集光性能の低さに悩まされてきた。しかし今回のカメラでは、ƒ/1.8の大口径化とオートフォーカスを実現している。集光力が92%向上したとAppleは主張しているが、かなり厳しい照明条件でテストしたところ、全体的に大幅な改善が見られた。

ディズニーランドでは通常、ワイド撮影の方法は2つに1つだ。1つはポートレート撮影時に魚眼レンズのような遠近感を出すために接近して撮影する方法、もう1つは照明やシーンの設定が特に良いときに景色を撮影する方法だ。オートフォーカスを使えば、1つ目の方法は大幅に改善され、2つ目の方法も絞りを開けることで大幅に改善される。

月明かりに照らされたTrader Sam(トレーダー・サム)を撮影した写真を見て欲しい。照明と風景がちょうどよく、思わず手に取ってしまいそうなスナップだ。iPhone 12 Proも悪くないが、両者の露出には明らかな差があるのがわかる。絞り値の改善を比較するために、どちらもナイトモードをオフにして撮影している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

この差は明らかで、Appleがこの超広角カメラを改良し続けていることに総じてかなり感心しているのだが、現時点では、このサイズの12MPセンサーがこのような広い視野を持つレンズにもたらすことができる限界に達しつつあることは明らかだと思われる。

新しいISP(画像信号プロセッサ)では、ナイトモードの撮影も改善されている。絞り値が大きくなったことで撮影可能な生の範囲が増え、ナイトモードの撮影では、明るいキャンディのような見た目が削ぎ落とされ、より深みのある有機的な感覚が得られる。

マクロ写真と動画撮影

また、iPhone 13 Proの新たな撮影機能として、2cmまで接近して撮影できるマクロモードがある。iPhone本体の超広角レンズに搭載されているだけあって、本当によくできている。

信じられないほど細かい部分まで撮影することができた。「物体の表面の質感」が見えるくらい細かく「蜂の胸部にぶら下がっている花粉」が見えるくらい細かく「露が….」、まぁこのあたりはもうなんとなくわかるはずだ。マクロアタッチメントを持ち歩かなくても、かなり接近して撮影でき、これだけで十分なのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

撮影領域の中心となる40%程度の粗い領域では、マクロ画像のシャープさと鮮明さが際立っていた。マクロモードがウルトラワイドであるため、画像の周辺部にはかなりの量のコマ収差が発生する。基本的には、レンズが非常に湾曲しているため、超球面素子の端で過剰なボケが発生する。これは、焦点距離の最小値である非常に近い距離でのみ見えるものだ。数センチの距離であれば、気がつくと思うが、おそらくトリミングするか、我慢するだろう。10cm程度の「中マクロ」であれば、あまり気にはならないかもしれない。

これは、すべてのマクロレンズの特徴である「極めて」狭い焦点距離とは別の要素だ。基本的に、最大マクロでは精密さが求められるが、それは今に始まったことではない。

ディズニーランドのスケールの大きさを考えると、マクロの使い方を積極的に模索しなければならなかったが、他の場所ではもっといろいろな使い方ができるのではないだろうか。しかし、Radiator Springs(ラジエーター・スプリングス)のボトルのきめや、Galaxy’s Edge(ギャラクシーズ・エッジ)の人工的な菌類など、クールな写真を撮ることができた。

マクロ撮影も同様に楽しいものだが、本当に活用するためには、手をかなり安定させるか三脚が必要となる。手のわずかな動きが、焦点領域に比例してカメラを大きく動かすことになるからだ。基本的に、このモードでは小さな手の動きが大きなカメラの動きに繋がってしまう。しかし、これは非常に楽しいツールであり、私はこれを使ってGrand Californian Hotel(グランド・カリフォルニア・ホテル)の庭で花びらにいる虫を追いかけるのを楽しんだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

大きなスケールから超細かなディテールまで、さまざまな写真を撮影するのに最適な方法だ。

iPhone 13 Proでは、超広角カメラがマクロ撮影のホームグラウンドとなっているが、興味深い点として、マクロ撮影の範囲に入ると、広角カメラと超広角カメラとの切り替わりが確認できるという点が挙げられる。これは、1つのカメラがオフになり、もう1つのカメラがオンになるという、画像の素早い変化として現れる。これは、照明条件やiPhoneのカメラスタックによる画像判断によってカメラが常に切り替わるにもかかわらず、他の状況ではほとんど見られなかったことだ。

通常、ユーザーはこのことにほとんど気づくことはないだろうが、公式のマクロカメラが利用できるようになったことを考えると「1倍」撮影中に対象物に急接近すると「0.5倍」モードに切り替わり、超近接撮影が可能になる。これはこれでいいのだが「マクロの距離」(約10~15cm)に入ったり出たりしてカメラが切り替わると、少しハラハラする。

このカメラ切り替えの動作についてAppleに問い合わせたところ「今秋のソフトウェアアップデートで、マクロ撮影やビデオ撮影のための近距離での撮影時にカメラの自動切り替えをオフにする新しい設定が追加される予定です」とのことだった。

これにより、マクロ域に特化した作業をしたい人にとっては、この比較的小さなクセが解消されるはずだ。

フォトグラフィックスタイルとスマートHDR 4

コンピュテーショナルフォトグラフィー(デジタル処理によって画像を生成することを前提としたイメージング技術)に対するAppleのアプローチでよく対立することの1つが、高度に処理された画像に関しては、全般的に控えめになりがちだということだ。簡単に言えば、Appleは自分たちの画像が「自然」であることを好むのだが、Google(グーグル)やSamsung(サムスン)といった競合他社の同様のシステムでは、差別化を図るためにさまざまな選択を行い「よりパンチの効いた」、時には全体的に明るい画像を作り出している。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

2年前にAppleがナイトモードを導入したとき、私はこれらのアプローチを比較した。

関連記事:iPhone 11 ProとiPhone 11で夜のディズニーランドを撮りまくり

2021年、Appleが発表した新製品でも、この「自然体」というテーマに大きな変化はなかった。しかし今回「フォトグラフィックスタイル」が導入され「トーン」と「ウォーム」と呼ぶ2つのコントロールを調整することができるようになった。これらは、基本的には「ヴァイブランス」と「色温度」だ(一般的にはの話だが)。調整なしを含む5つのプリセットと、-100〜+100のスケールで調整できるプリセットの2つの設定を選ぶことができる。

私は、長期的に人々がこれらの設定を使いこなし、特定の見え方を撮影するためのおすすめの方法などが出回ることを予想している。これらのプリセットの中で私が最も気に入っているのは「ヴァイブラント」だ。オープンシャドウと中間色のポップさが好きだからだ。しかし、多くの人が「リッチコントラスト」に惹かれると思う。一般的に、コントラストが高い方が人間の目には好ましいと映りがちだからだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもサイズのスピーダーを撮影したこの写真では、シャドーとミッドトーン、そして全体の色温度に影響が出ているのがわかる。私は、これは状況に応じたフィルターというよりも、フィルムカメラでフィルムの種類を選ぶような、深い「カメラ設定」機能だと捉えている。コントラストを重視するなら「Kodak Ektachrome」、寒色系やニュートラル系なら「Fuji」、暖色系の肌色なら「Kodak Portra」、発色を重視するなら「Ultramax」といった具合だ。

この設定では、出したい色が出るようにカメラを設定することができる。この設定は、カメラアプリを閉じても保管される。これにより、カメラを開いたときにすぐ、思い通りの撮影ができるように設定されている。iOS 15では、ほとんどのカメラ設定がこのようになっている。これは、iPhoneのカメラを開くたびにリセットされていた昔と比べて、生活の質を向上させるものだろう。

なお、これらのカラー設定は画像に「埋め込まれて」おり、ポートレートモードのライティングシナリオのように後から調整することはできない。また、RAWの状態では有効ではない。これは理解できる。

また、スマートHDR 4は、フレーム内の被写体に基づいてスマートなセグメント化を行うようになったことも特筆すべき点だ。例えば、逆光で撮影されたグループ写真を撮影した場合、新しいISPでは、それぞれの被写体を個別にセグメント化し、カラープロファイル、露出、ホワイトバランスなどの調整をリアルタイムに行う。これにより、窓からの撮影や太陽の下での撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影が格段に向上した。

2021年の自撮りカメラは、あまり改善されていないように思うが、いつもどおりだ。シネマティックモードを使用することができ、自撮りモードではそれほど便利ではないものの楽しい。

シネマティックモード

これは、一般に公開されている実験機能のようなモードだ。実験に参加しようとしている人たちにとっては、最高の舞台装置となるだろう。Appleの一般的なマーケティングに反して、これはまだ映画セットでの実際のカメララックフォーカスのセットアップに取って代わるものではない。しかし、これまでカメラやレンズ、機材といった多くの扉の後ろに閉じ込められていた巨大な撮影ツールセットを、新進の映画制作者やカジュアルユーザーに開放するものとなる。

シネマティックモードでは、カメラの深度情報、加速度センサー、その他の信号を使用して、合成ボケ(ブラー)を挿入し、フレーム内の被写体を追跡して、ユーザーの要求に応じて効率的に被写体間でフォーカスを「ラック」する映像を作成する。また、驚きのフォーカストラッキング機能が搭載されており、被写体をロックして追いかける「トラッキングショット」では、人混みや手すり、水辺などの障害物があってもピントを合わせ続けることができる。初期のテストでは、このような深度を利用したトラッキング機能は非常に印象的だったが、セグメンテーションマスキングでは、被写体を背景から分離するための鮮明な境界線を定義するのに苦労し、少し物足りなさを感じてしまった。ポートレートモードが静止画で行っていることを、複雑で混乱した背景で1秒間に30回行うのは、非常に困難であることがわかった。

この機能は1080p/30fpsに固定されているが、これはその使用目的をよく表している。この機能は家族映像をデバイス上で流したり、テレビにAirPlayしたり、ウェブに掲載したりするためのものだ。セレクティブフォーカスの新しいストーリーテリングツールを使って、すばらしい作品を作ることができるであろうTikTok(テイックトック)の映像制作者の間ではかなりウケるだろうと踏んでいる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

子どもたちが人混みの中を歩いたり、メリーゴーランドに乗ったりしているところをテスト撮影してみたが、本当に衝撃的なほど良かった。以前は、一眼レフカメラでマニュアルフォーカスのレンズを使って動画を撮影する際に、すばやく連続的にフォーカスを調整することでしか得られなかった、映画のような、夢のようなクオリティの動画が撮影できた。

これこそが、シネマティックモードを理解するための大きな鍵だと思う。このモードは、マーケティング上はともかく、焦点距離の設定や膝を曲げてのスタビライズ、しゃがんで歩いてラックしてのフォーカシングなどの方法を知らない大多数のiPhoneユーザーに、新たなクリエイティブの可能性を提供することを目的としている。今までは手の届かなかった大きなバケツを開けるようなものだ。そして多くの場合、実験的なものに興味があったり、目先の不具合に対処したりすることを厭わない人は、iPhoneの思い出ウィジェットに追加するためのすばらしい映像を撮影することができるようになると思う。

画像クレジット:Matthew Panzarino

画像クレジット:Matthew Panzarino

この機能については、今週末に詳しく紹介する予定なので、お楽しみに。とりあえず知っておいてもらいたいのは、平均的な人が明るい場所でこれを使って撮影すれば、かなり楽しくて感動的な結果が得られるということ。しかし、本格的なプロ用ツールではないということ。そして、特定の被写体にピントが合わなかったとしても、レンズの焦点範囲内であれば、編集ボタンを押して被写体をタップするだけで、後から調整することもできる。

その場で即座にいつでも撮影したい世代のための映画制作ツールとして、これは非常に魅力的なコンセプトだろう。実際、映画製作のメカニズムに費やす時間と技術的なエネルギーを減らし、ストーリーテリングの部分により多くの時間を割くことができるのだ。映画製作は、常にテクノロジーと絡み合った芸術であり、アーティストは常に新しいテクノロジーを最初に採用し、その限界に挑戦するものであるという理想の真の例の1つと言えるだろう。

最近では、私たちのほとんどが映画の言葉に慣れてしまっているので、説明するのは難しいのだが、このようなツールを手に入れることは、今後数年間に私たち一般の人たちが作るホームビデオの見た目や雰囲気を大きく前進させることになるだろう。

Appleのポートレートモードが過去6年間で大幅に改善されたように、シネマティックモードも成長し続け、改善されていくことを期待している。低照度下でのかなり雑なパフォーマンスとロックされたズームは、来年に望む改善点のうちの上位に入っているし、セグメンテーションの改善もそのうちの1つだ。リアルタイムのプレビューだけでなく、撮影後の編集モードでもこのようなスライスや調整ができるのは、Appleの技術力の高さを感じるし、今後もその進化を楽しみにしている。

評価

今回のアップデートは、1日がかりの濃厚なディズニーランドへの外出でも、あらゆる面でユーザー体験を向上させるすばらしいものとなっている。明るさと画面のリフレッシュレートが改善されたことで、ディズニーランドシステム内の操作が容易になり、日中でも案内や待ち時間などの視認性が向上している。カメラの性能が向上したことで、行列での待ち時間や高さのある場所からの撮影など、暗い場所から明るい場所への撮影がしやすくなった。また、新たに追加された望遠では、最近は人混みから離れた場所にいるキャストをクローズアップして撮影することができ、ポートレートモードでなくても美しいポートレートレンズとして機能する。

全体的に、園内で携帯電話をテストした今までの経験の中で最も良いものの1つとなった。カメラを使って「すごい!」と思う瞬間が続き、自分のバイアスに疑問を感じたほどだ。上で紹介した「ナイトモード」の広角と望遠の写真のように、印象的な写真がたくさんあったので、ブラインドテストで他の人にこの2つの画像についてどう思うか聞いてみることにした。そのたびに、明らかにiPhone 13が勝っていた。本当に、全体的に画像作りが明らかに向上しているのだ。

他の部分もかなり良いものになった。A15 Bionicのパフォーマンスが大幅に向上したことで、バッテリー駆動時間に目立った影響がないばかりか、1時間も延長された。上述のパフォーマンスチャートを見れば一目瞭然かもしれないが、1日のチップの電力使用量のパフォーマンスは、まさにAppleのチップチームの最も印象的な偉業であり続けている。

2021年のiPhone 13は画質、バッテリー駆動時間、そしてありがたいことにスクリーンの改良など、この先また1年間にわたってAppleに貢献してくれるであろう強固な壁を提供してくれる、すばらしいプロダクトだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルがiPhoneのデータを使ったメンタルヘルスのモニタリングに取り組んでいるとの報道

Apple(アップル)は、iPhoneを使ってうつ病や不安症、認知機能の低下などの症状を検出・診断する方法を研究していると報じられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、研究者たちは、動きやすさ、睡眠パターン、人のタイピングの仕方などのデータを分析することで、これらの状態に関連する行動を発見できるのではないかと期待している。

また、そのデータには顔の表情分析や心拍数、呼吸数などの測定も含まれているかもしれない。すべての処理はデバイス上で行われ、Appleのサーバーにデータが送られることはない。

Appleは、これらの機能の開発につながる研究プロジェクトを進めている。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、2021年から始まる研究で、3000人のボランティアのApple WatchとiPhoneのデータを用いてストレス、不安、うつ病について研究を進めている。2020年に始まった試験フェーズでは、150人の参加者のデータを記録した。

研究者たちは、iPhoneやApple Watchのセンサーから取得したデータと、参加者が記入した気分に関するアンケートを比較するとのことだ。また、参加者の毛根に含まれるストレスホルモンであるコルチゾールのレベルも測定すると言われている。AppleとUCLAは、2020年8月に3年間の研究を発表した

今回のAppleのプロジェクトに関係しそうな別の研究プロジェクトも進行中だ。Appleと製薬会社Biogen(バイオジェン)は2021年1月、認知機能をモニターし、アルツハイマー病に発展する可能性のある軽度認知障害を発見するための2年間の研究に取り組んでいると発表した。計画では、約半数が認知機能障害のリスクが高いとされている約2万人の参加者を対象としている。

この調査で得られたデータがうつ病や不安神経症の症状と一致した場合、Appleはそのデータを、メンタルヘルス疾患の兆候が見られた場合にユーザーに警告する機能を作ることに使うことができる。iPhoneはユーザーに治療を受けるよう促すことができるようになり、早期発見が長期的には生活の質を向上させることにつながるため、この機能は重要な意味を持つことになる。

Appleとそのパートナーはこの研究の初期段階にあり、iPhoneにメンタルヘルスのモニタリング機能を追加するには、少なくとも数年はかかると思われる。また、この研究がそのような機能につながる保証はない。

先行研究では、特定の症状を持つ人は、他の人とは異なるデバイスの使い方をしているという結果も出ている。しかし、開発者がメンタルヘルスの状態を確実かつ正確に検知できるアルゴリズムを構築できるかどうかは定かではない。

しかし、火のないところに煙は立たない。ここ数年、Appleにとってヘルスは重要な分野であり、今回の研究に基づいた機能がいずれ登場する可能性はある。

編集部注:本稿の初出はEngadget

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(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

【まとめ】最新iPhone 13シリーズレビュー集、13 ProからiOS 15まで、気になるのはどのモデル?

すでに予約開始、9月24日に発売され手に取ることができるiPhone 13シリーズ。TechCrunchでは、ハイエンドモデルiPhone 13 Proをはじめとした実際に触った上でのレビュー、さらに先に配信されたiOS 15の使用感など、最新iPhoneに関する記事を掲載、以下にまとめた。

新たなレビュー記事も公開予定であり、本記事もそれに合わせて更新する。お楽しみに。

iPhone 13 Pro / 13 Pro Max

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

iPhone 13 / 13 Pro×カメラ

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

iPhone 13×eSIM

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

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iPhone 13 mini

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

iPhone 13シリーズ×ニューカラー

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iOS 15

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて追加、アップデートはユーザーに任せだが個人的にはオススメ

iOS 15のリリースは、確かにモバイルOSにおけるビッグイベントだ。しかし2021年は、目立って重要なテーマや画期的な機能はない。今回、Apple(アップル)は、自社アプリの新しい機能に加えて、日常生活的な細部の改良に力を入れている。

その結果、アップデートはとても堅実なものとなり、論争を起こすことはなさそうだ。一部の人、自分のスマートフォンをできるかぎりパーソナルなものにしたいと考え、カスタマイズに長時間を割いているような人たちにとって新しい「集中モード」はうれしいものだろう。また、そうでない人たちは、その新機能に気づかないか、もしくは無視するだろうが。

2021年のアップデートはまた、iOS 15にアップデートしなくてもよい、という点でも変わっている。iOS 14のままで十分、AppleにiOS 15へのジャンプを強いられることはない。現在のままでも、セキュリティパッチはもらえる。だから、iOS 15を完全に無視する人も存在する。

小さな変化のように思えるかもしれないが、それはiOSの現状について多くを語っている。AppleはiOSを、成熟したプラットフォームだと考えている。Macを使っていて、必要なければmacOSを最新バージョンにアップデートしない人もいるように、アップデートは自分のペースでやればよい。

またiOSは、アプリ開発者にとっても成熟したプラットフォームであるため、多くの人が今すぐiOS 15にアップデートしないのであれば、開発者の採用も遅くなるだろう。アプリは以前と比べて長い期間、古いバージョンのiOSで動くはずだ。

もちろんiPhoneそのものを新しい機種に買い替えた場合、それに合わせてiOSの「アップデート」も行われる。

画像クレジット:Apple

スマホ以上にユーザーに「集中」する

iOS 15における最大の変化は、コントロールセンターから集中モードを変更できることだ。これは意外なほど強力な機能で、いろいろなオプションや調整項目がある。Appleの機能ではないみたいだ。

しかしこれは絶対に、iOS 15で最も興味深い機能だ。現在は多くの人が、スマホを触る時間がとても長くなっており、デバイスで行うことや気になることも非常に多くなっている。しかし今度の新機能では、人が主導権を取り戻し、ユーザーである自分が主人公になる。

必要のないときに通知をナシにする「おやすみモード」は、このユーザー主導という考え方をよく表している。iOS 15でこの「おやすみモード」を使い続けたい場合は、そのまま何も変更しなくてよい。

iOS 15からは、集中モードを作成することもできる。デフォルトで仕事、睡眠、運転、フィットネス、マインドフルネス、パーソナル、読書などが用意されている。自分に合わせて、新たな集中モードを作ることもできる。

特定の集中モードをオンにすると、基本的にデフォルトで通知がブロックされる。しかし、人やアプリを追加することで、それらの人やアプリからの通知が届くようにもできる。また、アプリ開発者は、時間的に重要な通知をマークすることで、常に通知を受け取ることも可能だ。この機能が悪用されないことを願う。

さらに3つの設定を有効にすることができる。まず、メッセージや対応するサードパーティ製アプリで、通知が現在ミュートにされていることをオプションで共有することができる。2つ目は、ホーム画面のページを完全に隠せるようになる。3つ目は、ロック画面から通知を隠したり、ホーム画面からバッジを隠したりすることができるようになる。

また、特定の集中モードと自動化機能を組み合わせることで、さらに興味深いものになります。例えば、夜になると自動的に「睡眠」をオンにしたり、出社すると自動的に「仕事」をオンにしたりすることができる。

パワーユーザーは、集中モードをショートカットと組み合わせて使うのも楽しいだろう。例えば、「スリープ」をオンにしたときに「時計」アプリを開くようにショートカットを設定できる。このように、新機能は非常に奥が深く、ベータ版ユーザーはまだ表面をなぞっただけでしかない。

画像クレジット:Apple

すべてのアプリをアップデート

iOS 15では、デフォルトアプリのほとんどすべてがアップデートされた。新たに加わった機能の一部はなかなかすばらしいが、疑問符の付くものもある。

まず、論争を招いたのがSafariの新デザインだ。しかし2021年6月のWWDCで目にしたものは、今では影も形もない。結局Appleはフィードバックを聞き入れて、夏の間にウェブブラウザのインターフェースを変更したのだ。

関連記事:アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

まず、デフォルトではアドレスバーが画面下、ブックマークを開いたり、現在のページをシェアしたり、前のページへ行ったりするボタン列のすぐ上にある。それはとても良いと思うが、アドレスバーを下に置きたくない人は、簡単に上へ戻せる。

それ以外では、Safariの変更はすべて良い改良だ。例えばこのブラウザは今や、前からあるウェブエクステンションをサポートする。Safariは次に、Google Chromeの人気エクステンションもサポートするだろうか?もう1つのすてきな新機能は、タブグループを作れることだ。そしてそのタブグループは、他のデバイスからでも確認できる。

FaceTimeが、多機能なビデオ会議サービスになった。今度からは、リンクを作って友だちと共有したり、「カレンダー」の招待に加えることができる。これで初めて、Appleのデバイスを持ってない人でもFaceTimeの通話にウェブブラウザから参加できるようになる。また、グリッドビューでZoomのビューを見られる。

しかし残念ながら、FaceTimeの機能の大成長は、中途半端だ。オーディオやビデオの再生を友だちなどと同期するSharePlay機能は、この秋の終わりごろリリースされるという。

「天気」アプリもデザインが変更された。情報量が増えて、降雨マップもあり、次の1時間の降雨予報や紫外線指数も表示される。もう、サードパーティ製の天気予報アプリに負けないかもしれない。私は今でもSnowflakeを使っているが、その差は縮まる一方だ。

「メッセージ」は、他のAppleアプリとの統合性が向上された。誰かがあなたに、記事や写真のアルバムやポッドキャストや曲を送ると、Appleの他のアプリや「Apple News」「写真」「ポッドキャスト」「ミュージック」などにそれらのレコメンデーションが出る。これもまた、私がiOS 15をテストしているときにはすてきな追加機能と感じられたが、実際に日常の中でスマートフォンを使ってるときのデバイスの使い方は何も変わらない。

「マップ」は、サンフランシスコの住民にとっては特別に良くなった。何年も使ってなかった人には、おすすめだ。「Googleマップ」の強力な代替アプリになっている。

特にサンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンなどでは、ビルが3Dで表示され、バスレーンや歩道などもわかる詳細地図を見ることができる。まるで、ビデオゲームの中でそれらの都市を歩いているような詳しさだ。また、場所のカードや、運転者のためのユーザーインターフェース、アプリのセットアップなどもデザインが変わった。

「 写真」も、大きく改良された。毎年、同社は「メモリー」のデザインをすっきりとしたものにしている。ユーザーがそんなに多いアプリではないと思うが、とにかく前より良くなった。写真をスワイプして表示される情報にも、シャッター速度や使用レンズなどが追加され、以前より詳しくなった。

しかし写真ライブラリにおける最大の変化は、写真の中のテキストを検索できることだ。iOSは写真をスキャンしてテキストを見つけ、それをSpotlightの検索に保存する。

同じく、カメラをテキストに向けてそのテキストを指定できる。メニュー上にレストランのアドレスを探したり、旅行中に何かのテキストを翻訳したくなって友だちとシェアしたいときなどに、とても便利だ。

画像クレジット:Apple

ちょっとした特徴や使い方

iOS 14よりもiOS 15が良いといえる小さな変化は山ほどある。ごく一部をリストアップしてみよう。

  • 家のキーやホテルのキー、オフィスのキー、IDカードなどをWalletアプリに入れられる
  • 健康データを誰かとシェアできる。愛する人と遠く離れていたり、ヘルスケアのチームをアップデートしたいとき便利だ
  • iCloudで決済する人は、今やiCloud+のユーザーでもある。ストレージの他に、ベータでiCloud Private Relayを使えるので、ウェブを閲覧するときのプライバシーがアップする。また、Hide My Emailでランダムなメールアドレスを作れるので、ウェブで新しいアカウントを作れる
  • 家族がiCloudのメールアドレスを使っているなら、パーソナルなドメイン名を作ってiCloudをセットアップできる
  • iOSは音声認識機能がデバイス内にあるので、テキストの口述入力が速い
  • しかもiOSはSiriのリクエストの一部もオンデバイスで処理するため、タイマーの起動やアラームのセット、音楽の変更なども瞬間的にできる。私の場合、これでSiriの使い方が変わった
  • iCloudのアカウントにアクセスできなくなったときのために、アカウント回復の連絡先を加えられる。できるだけ多くの人に、二要素認証の利用を説得すべきだ
  • 二要素認証(2FA)といえば、Appleが内蔵しているパスワードマネージャー「パスワード」は今度から2FAの詳細を保存でき、入力欄の自動入力ができる。それは1Passwordのときの2FAとほぼ同じだ
  • 故人を自分のApple IDにすることができるが、人によってはできない場合もあるのでご注意を。Appleが、亡くなった人の写真を使わせてくれないことがあるのだ。
  • リマインダーとノートにタグが追加された。ノートでも人を@メンションできる

ご覧のように、iOS 15の変更箇所のリストはとても長い。しかしそれでも、iOS 15へのアップデートはユーザーの任意だ。昔iPhone OS 3でカット&ペーストとコピペが加わったときは、アップデートするのが当たり前だった。今度の新しい機能も、個人的には好きなので、アップデートの価値があった。「する」か「しない」、本記事がその判断の助けになれば幸いだ。

関連記事:iOS 15へのアップデート可能に、iPadOS 15、watchOS 8も提供開始

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

iPhone 13でデュアルeSIMを試す―自由度アップで機種変が楽に

カメラを刷新して、Proモデルは120Hz駆動のProMotionにも対応したiPhone 13シリーズ。同モデル4機種は、iPhone 12から数えて2世代目の5G対応スマートフォンでもあります。残念ながらミリ波に対応しているのは米国版のみで、日本版はSub-6オンリーですが、Gbpsを超える通信速度は魅力的です。一足先に、その実機を試してみることができましたので、ここでは通信周りに関するレビューをお届けしたいと思います。

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

iPhone 13の通信関連機能をチェックした

通信周りでiPhone 12シリーズまでとの大きな差分は、やはり「デュアルeSIM」への対応でしょう。発表後の記事で筆者が取り上げたように、iPhone 13は4機種とも、eSIM同士のDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)に対応しています。これまでのiPhoneだと、主回線・副回線のどちらか一方は物理SIMにする必要がありましたが、iPhone 13であれば、eSIMだけでDSDSができてしまうというわけです。

ということで、まずはこの機能を試してみました。物理SIMを1枚も入れていない状態で、最初に楽天モバイルのeSIMプロファイルをダウンロードします。この辺の手順はeSIMおじさん……もとい、eSIMに慣れ親しんだユーザーの皆様にはおなじみなので割愛しますが、普通に1回線目としてeSIMを設定しました。ここまでは、従来のiPhoenも同じです。次に、LINEMOのプロファイルを読み込んでいきます。

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

いつものようにQRコードを読み込んで1回線目を設定

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

楽天モバイルのeSIMプロファイルがダウンロードされた

設定途中で、どちらでモバイルデータ通信を使うかや、どちらをデフォルト回線にするかを選択する画面が出てきました。これまでは、eSIMを1回線ぶんしか有効にできなかったため、こうした設定はできませんでしたが、iPhone 13では、2つ目のプロファイルをダウンロードするだけで自動的にデュアルeSIMの状態になりました。物理的なSIMカードは1枚も入れていない状態ですが、きちんと通信は両方の回線でできています。

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

続いてLINEMOのeSIMをセット。こちらもQRコードを読み込んでプロファイルをダウンロードする

 

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

1回線目がeSIMなのにも関わらず、どちらをデフォルト回線にするかの選択肢が現れた

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

2つのeSIMがどちらも有効になっていることが分かる。これがデュアルeSIMだ

なお、現状では仕様上、5Gの通信でそのまま通話する「VoNR」という規格も存在しますが、国内キャリアは未対応。そのため、モバイルデータ通信を指定していない方のキャリアは、当然ながら4Gで待受けをすることになります。5G/5GのDSDSではなく、5G/4GのDSDSになるというわけです。

SIMカードスロットを開け閉めする必要がなく、移行も簡単でした。楽天モバイル/LINEMOの両回線は、私物の「iPhone 12 Pro」から移しましたが、SIMピンを取り出す必要なく、画面上の操作だけであっさりSIMカードの情報を移すことができました。SIMピンを挿す際にあやまって側面を傷つけてしまったり、入れ替えまくっているうちにSIMカードの端子が読み取りにくくなったりといったトラブルが起きないのは、eSIMならではと言えるでしょう。

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

SIMカードスロットを出し入れする必要がなく、端末に傷をつける心配がない。ケースを外さないでいいのも便利だ

もちろん、どちらの回線も5Gを有効にできました。5Gの設定周りはiPhone 13でも特に変わっておらず、「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能。前者は不要な場合に自動で5Gの接続を切ることでバッテリー駆動時間を増やす設定。後者は“スピード命”のユーザーが常に5Gを有効にしておく設定です。また、5G接続時やWi-Fi接続時にFaceTimeやストリーミング動画などの画質を自動で上げる機能にも、引き続き対応しています。

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

ソフトバンクの転用エリアでもきちんと5Gにつながった。転用ながら、速度は速い

iPhone 12発売時は、まだまだスポット的だった5Gのエリアですが、最近では都市部を中心に、かなりの広がりを見せています。特に4Gで利用していた既存周波数帯を5Gに転用しているKDDIやソフトバンクは、そうでないほか2社に比べると、5Gのアイコンを目にする機会は多いような印象があります。転用というと速度が遅いようなイメージを持たれているかもしれませんが、ユーザーの絶対数がまだまだ少ないこともあり、ご覧のようにLINEMOの転用エリアでもかなりの速度が出ます。

この点、iPhone 13は仕様が全キャリア共通なので安心です。アップルから購入しようが、4キャリアから購入しようが、変わらず全社の5Gを利用でき、主要バンドにもきっちり対応しています。5G用に割り当てられた新周波数帯のn77、n78、n79だけでなく、1.7GHz帯を転用したn3や、700MHz帯を転用したn28も利用できます。どのキャリアのSIMカードを入れても、主要な周波数でしっかり使えるのはiPhoneならではと言えるでしょう。

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

「5Gオート」と「5Gオン」を選択可能なのはiPhone 12のときと同じ

iPhone 13が搭載するiOS 15は、5Gの利用範囲を拡大しています。具体的には、設定の「データモード」を「5Gでより多くのデータを許容」にしておくと、今まで以上に多彩な場面で5Gを通信経路として選択するようになります。具体的には、iCloudへの自動バックアップに5Gを利用したり、十分な速度が出なかったり、セキュリティ上不安があったりするWi-Fi接続時に5Gで通信したりと、これまでよりもモバイルデータ通信でできることが増えています。

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

「5Gでより多くのデータを許容」をオンにすると、iCloudの自動バックアップに5Gが使われるなど、iOS 14までより用途が広がっている

デュアルeSIMやiOS 15に対応したことを踏まえると、iPhone 13シリーズは5Gをより生かしやすい端末と言えるかもしれません。一方で組み合わせが多彩になった結果、思わぬトラブルが起こることも懸念されます。記憶に新しいところでは、デュアルSIMのデータ通信専用SIMで通信している際に緊急通報をすると、そのままデータSIMで発信してしまい、電話がかけられないという不具合が明らかになったばかりです。eSIM同士で挙動が違うのかどうかの確認が増えると、検証にはさらに時間がかかるようになってしまうかもしれません。

(石野純也。Engadget日本版より転載)

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

いよいよ、2021年9月24日にiPhone 13シリーズが発売されます。先行レビューとして、新たに追加されたiPhone 13のスターライト、そしてiPhone 13 Proのシエラブルーについて、見ていきましょう。

スターライトの色味をチェック

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?「スターライト」と聞いて思い浮かべるのが光GENJIの人もいれば、アイカツ、アイマスの人もいたり、ジャズの名曲もあったりで、人それぞれです。

これまでiPhone、Apple Watch、iPadなどのラインアップには、「シルバー」というスタンダードカラーがありました。ガラスの背面部分は真っ白に塗られ、劣らぬ白いアルミニウムのフレームやボディを備えるカラーです。

今回のiPhone 13シリーズにはそのシルバーが用意されず、代わって「スターライト」が加わりました。シルバー同様に背面は純白で、シルバーとあまり代わらないのではないか、と思います。しかし側面は明らかに異なっていました。

シルバーが真っ白なアルミニウムの金属の色に見えていたのに対し、スターライトはやや黄色みがかった、淡いシャンパンゴールドと言えなくもない、そんな色合いの金属。見た目の印象は、環境光によって、かなり左右されるでしょう。温かみのある電球の下では、よりシャンパンゴールドに近くなるし、蛍光灯のはっきりとした白い光の下では、よりシルバーっぽく見えるかもしれません。

Appleは染料と共に酸化被膜処理を行います。金属表面の細かい孔を作り、これを埋めることで耐食性能を高め、滑らかな表面を実現、同時に色を付けます。

今までのシルバーは、アルミニウムのいわば無垢の色のように見えていましたが、これにあえて色を付けて、一手間加えたのがスターライトというカラーになります。

シエラブルーとパシフィックブルーを比較

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?続いて、iPhone 13 Proシリーズに新たに加わったシエラブルーを見ていきましょう。

ProシリーズではiPhone 11 Proから特別なカラーが用意されるようになりました。2019年のiPhone 11 Proにはミッドナイトグリーンが用意され、ステンレスのフレームや背面が深みのある独特の緑に染め上げられていました。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?ちなみにこの染料を作ったのは埼玉県にあるセイコーアドバンスで、2019年12月にティム・クックCEOが視察に訪れた際に、ミッドナイトグリーンの染料を混ぜている様子を興味深く眺めていたのが印象的でした。

そして2020年のiPhone 12 Proにはパシフィックブルーが用意され、2021年のiPhone 13 Proでは同じブルーながら「シエラブルー」という名前で色味が変更されています。

シエラブルーのシエラは、有名なビールの銘柄にもなっているシエラネバダ山脈からきており、山です。単体で見てみると、藤にも見えるような、明るいカラー。非常に落ち着いた色合いになっています。ハイキング中にこんな色の花が見つかったら、とても豊かな気分になりそうな。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?昨年のパシフィックブルーとシエラブルーを並べてみると、前者の方がより色が濃いことがわかります。若干緑の入った濃い青は、太平洋の深い青のイメージにぴったりです。シエラブルーは、やはり紫っぽさが強まっているような印象を受けます。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ただ、いずれも落ち着きのある色で、刺激がある色ではありません。

ノッチ問題

毎年専用の色味が変わってしまうので、もしミッドナイトグリーンが好き、パシフィックブルーが絶対好み、という人は乗り換えがたい難しさがあります。

その一方で、スマートフォンの性能は年々進化しており、また今年も、大きな飛躍ある進歩がありました。2021年モデルのiPhoneで注目すべき点、実はiPhone 13 Proのアップグレードです。

iPhone 13 Proは、新しいフラットなデザイン、5G対応、3つのカメラなど、iPhone 12 Proの特徴を引き継いだ製品です。一見同じデザインに見えますが、ノッチの縮小と受話スピーカーは見た目も使い勝手も大きく向上しました。iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

ノッチはオールスクリーンデザインのiPhone Xが登場して以来、iPhoneの前面上部に存在する「切り欠き」であり、iPhoneのデザイン上の不完全な要素でした。もちろんそれが意匠にもなっていますが、本来ない方が良いものです。

ノッチの中には、受話スピーカー、インカメラと赤外線照射ライト・センサーを備えるTrueDepthカメラシステム、その他センサー類が備わっています。iPhone 13シリーズでは、デザインの再構成でノッチの面積が20%縮小されました。

具体的には、これまでノッチの中央部にあった受話スピーカーを、エッジギリギリ、ディスプレイ表示領域の外に追いやりました。これによって画面の切り欠き部分をより小さくすることができたのです。

同時に、受話スピーカーが縁に移動したことで、iPhoneを耳に当てたときに、スピーカー位置がズレて聞こえにくいこともなくなりました。細かすぎますが、毎日通話する人にとっては、ユーザビリティ向上の効果が大きいと思います。

6.1インチのProモデル、カメラは2世代分向上

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?iPhone 13 Proは、iPhone 13 Pro Maxに比べて、より性能向上を実感できるはずです。その理由は、広角カメラの進歩。いってみれば、2世代分の飛躍があったからです。

昨年、iPhone 12 Pro Maxには、大型センサーとセンサーシフト式手ぶれ補正が備わりました。このセンサーは、iPhone 13、iPhone 13 miniにも採用されている17μmピクセルのものですが、昨年のiPhone 12 Proには用いられていませんでした。

つまり、iPhone 13の方が、iPhone 12 Proより大きいセンサーを使っている、ということになります。

しかしiPhone 13 Proも負けていません。2021年は、iPhone 13 Pro Maxと同じ、19μmピクセルのさらに大きなセンサーを、センサーシフト式手ぶれ補正で備えるようになりました。これが、iPhone 13 Proの広角カメラが2世代分一気に向上した、と言う理由です。

手ぶれに強く、動画も滑らかにパンすることができます。光を2.2倍多く集めることができ、森の中、夜も、撮影を楽しむ事ができました。

コンピュテーショナルフォトグラフィーも進化しています。シネマティックモードでの動画も、動画撮影が「表現」に昇華するほどのインパクトを持っています。これらの機能はiPhone 13でも利用できる、iPhone 13シリーズの共通の機能だった。また別の機会にじっくりご紹介したいと思います。

しかし光学性能はカメラの基本で、そこに妥協がなくなったiPhone 13 Proは、最もバランスの取れた魅力的な選択肢だと思いました。ところで今回の新色、どう評価しますか?

(松村太郎。Engadget日本版より転載)

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

iPhone 13シリーズ4モデル(iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max)を試す機会を得た。

iPhone 13 Pro/Pro Max発表。120Hz画面と3眼カメラ搭載の「最もProらしいiPhone」
iPhone 13発表。「他社主要スマホより50%速い」A15 Bionic搭載、ノッチは縮小
iPhone 13 mini発表。小型サイズにセンサーシフト式手ぶれ補正、バッテリー持ちも改善

4モデルをあれこれ使って比べてみたが、改めてiPhoneは「カメラが楽しい」と思えるスマートフォンだと認識した。

9月15日未明に行われたスペシャルイベントでは動画撮影での「シネマティックモード」がやたらとアピールされていた。手前にいる人物にピントが合っているが、奥にいる人物のほうを向くと、奥の人物にピントが合うというシーンが繰り返された。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
あれを見て「別にiPhoneで映画なんて撮らないし」と思った人も多いのではないだろうか。

確かに「シネマティック」といわれれると、自分には縁遠い機能にも感じてしまう。しかし、実際に使ってみると、これが意外と楽しいのだ。

「シネマティック」というが、実際は背景がボケる静止画のポートレート撮影が動画にも対応したというのに近いかも知れない。iPhone 13シリーズでは被写体との深度もきちんと把握している上で動画撮影を行っている。

通常のビデオ撮影では深度が深く、手前も背景も比較的、しっかりととらえている感があるが、シネマティックモードにすると被写体にきっちりとピントがきて、背景がボケる感じが強調される。まさに動画版のポートレート撮影といった感じだ。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

イベントでは人物が振り向くことで自動的にピント送りされる機能がアピールされたが、実際にはそんなシーンは日常生活ではあまりない。ただ、iPhone 13では画面をタッチすれば、そこにピントが合う一方、別の場所はかなりボケた感じになってくれる。カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由

使っていて「すごい」と感じたのが、撮影した後の動画でも、自由にピントの合う場所を変えることができてしまうのだ。

実際に4歳11ヶ月の子供を撮影してみたが、背景にいる他人がボケて、子供だけにフォーカスが合う動画になるのは、ちょっとカメラ撮影が上手くなった感がある。

SNSで動画などをあげる際に、背後に映っている人が気になり、場合によって編集でぼかしを入れるなんてことも必要になるが、シネマティックモードならそうした手間も不要になる。もちろん、通常通り、背景もしっかりと記録しておきたい映像を撮りたいのならば普通のビデオで撮影すればいい。

アップルはこのシネマティックモードをiPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxだけでなく、ノーマルのiPhone 13、iPhone 13 miniにも搭載している点が太っ腹だ。より多くの人がシネマティックモードを楽しめるだろう。

ドコモの「衝撃的」購入補助で「iPhoneを毎年買い替える」が容易に

ただ、今年のiPhone 13は去年のiPhone 12と比べて小粒な進化にとどまっている感は否めない。「今年はスルーしようかな」という人もいるのではないか。

しかし、そんな空気を察知したのか、アップルとキャリアはいままで以上に気軽に機種変更できるような施策を打ち出している。

ここ数年、総務省が端末販売に対しての割引を規制しているため、スマートフォンの買い換えがしにくくなった。昨年、各キャリアで5Gが始まったにもかかわらず、5Gへの盛り上げに水を指す結果となりつつある。

そんななか、アップルはこの数年、iPhoneを購入する際、「下取り」を推している。Apple Trade Inという仕組みを紹介し、今使っているiPhoneを下取りに出しつつ、新しいiPhoneを購入する際に割引するというものだ。

海外のアップルストアではかなり前から当たり前のように展開されていたが、日本のアップルのサイトではこの数年で見かけるようになった。端末販売の割引が厳しくなる中での苦肉の策と言えるだろう。

今年、最も衝撃的なのは、NTTドコモが購入プログラムを変更してきた点だ。

いつでもカエドキプログラム」は、スマートフォンのモデルごとに残価が設定され、24回目の支払いをするか、しないで端末を返却して残価を免除してもらうかが選べるプログラムだ。しかも、2年よりも前に機種変更したかった場合、「早期利用特典」として、返済額から月に数百円から1500円程度まで割引をしてくれる。

カメラが楽しいiPhone 13 / 13 Pro、12からの乗り換えも「アリ」な理由
ソフトバンクや楽天モバイルでは、48回払いのうちの24回払い、つまり本体価格の半額は支払う必要があるが、いつでもカエドキプログラムであれば、本体の回収が前提となるが、もっと手軽な負担で最新機種を持つことが可能になる。

我々のような1年に1回、iPhoneを買い換え続ける人には十分、検討に値するプログラムだ。

これまでは、1年後に中古業者に買い取ってもらうことを考慮しながら、iPhoneを使うということをしていてたため「買い取り金額を下げないためにも絶対に傷を一つもつけない」と意識しながら1年間、過ごしてきたが、いつでもカエドキプログラムであれば、ちょっとした傷なら目をつむって回収してくれる。これだけでもいつでもカエドキプログラムを使う意味があるというものだ。

アップルやキャリアの取り組みを見ていると、もはやiPhoneは「1年もしくは2年使ったら回収されるもの」という認識で購入というか入手した方がいいのかも知れない。最新モデルを使い続けたいのであれば、そうした買い方を工夫していくのが賢いだろう。

世間で流行のSDGs的な見方をすれば、回収されたiPhoneは整備されて、「整備済みiPhone」として売られていく、いまではauやUQモバイルのオンラインショップで整備済みのiPhoneが売られるようにもなっている。リユースの観点からも「最新モデルを使いたい人は一目散に買い、1年経ったら回収してもらい、それを別の人が使う」という流れが地球にも優しかったりするのだ。

そうした「1年後の下取り前提で、最新のiPhone13を入手する」という買い方が、今の時代に合った買い方なのかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

iPhone 13 miniは究極の手のひらスマホだ

究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13、iPhone 13 miniの実機に少し早く触れる機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13シリーズは2020年発売のiPhone 12シリーズ同様、iPhone 13│13 mini、iPhone 13 Pro│13 Pro Maxの4モデル構成で、画面サイズはiPhone 13とiPhone 13 Proが6.1インチ、iPhone 13 miniが5.4インチ、iPhone 13 Pro Maxが6.7インチとなっています。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

左からiPhone 13、iPhone 13 Pro、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro Max

「無印かProか」という観点は別のレビューをご覧いただくとして、とにかく小さい・軽いスマホを求める人にはminiのアップデートポイントが何より気になると思います。ちなみに同じ6.1インチでもiPhone 13はProより約30グラム軽量になっています。

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

重量はiPhone 13が約173グラム、iPhone 13 miniが約140グラム(実測値も同)

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

TrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さく

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクとミッドナイト。ほかにブルー、スターライト、レッドの全5色展開

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

ピンクは明るめで、光の辺り加減によって印象が変わる

iPhone 12 miniの弱点が解消

iPhone 12同様、iPhone 13とiPhone 13 miniとの間にサイズ以外の違いはありませんが、バッテリー駆動時間はiPhone 13のほうが長くなります。iPhone 12 miniでは駆動時間に対する不満を耳にしましたが、公称値でiPhone 13 miniは約1.5時間(iPhone 13は約2.5時間)駆動時間が延長されています。まだ違いを体感できるほど試用できていませんが、1日中カメラ機能を試してもバッテリー残量が50%切らなかったので、通常使用で1日は充電しなくて十分もってくれそうな気配です。

iPhone 13|13 miniのSoCはProシリーズと同じA15 Bionic。GPUコア数は4コアですが(Proは5コア)、12シリーズで搭載していたA14 Bionicより約2割高速なので、パフォーマンスはiPhone史上最速レベルです。実際、動作はサクサクで手のひらサイズで何でもできる優越感に浸れます。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

カメラ機能がパワーアップ

カメラレンズはiPhone 12同様2眼構成ですが、センサーが大きくなったことに加え、配置が斜めに変更されました。光学センサーによる手ブレ補正や、シネマティック動画撮影といった機能も備わっています。

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

iPhone 12 mini(右)よりカメラ部が大型化。厚みもわずかに厚くなったため、前モデルのケースは流用できない

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売のケースはiPhone 13も同じく専用。iPhone 12とは異なり、同じ6.1インチのProともケースの互換性がなくなった

別売りのレザーウォレットも新しくなり「探す」機能に対応(iOS 15にアップデートしたiPhone 12でも利用可)。取り外したときの位置情報を通知してくれるようになりました。

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

初回装着時、「探す」に追加するダイアログが出現

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

従来のウォレットでは「探す」機能は使えない。パッケージが似ているので、購入時に注意が必要(2021の表記を要確認)

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

超広角カメラは4倍に。ノイズリダクションにより細部を捉えることが可能に

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

ポートレートのTrueDepth(顔認証)によるボケもよりナチュラルに

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

スマートHDR4で、暗がりや逆光でもいい感じに撮れる

写真撮影の機能にフォトグラフスタイルが追加。好みの画質を画面で確認しながら撮影できるようになりました。

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

左から「標準」「リッチなコントラスト」「鮮やか」「暖かい」「冷たい」。肌のトーンが維持されているのがポイント

どのスタイルで撮影したかは、写真アプリで写真を上にスワイプすると確認できます(余談ですがiOS 15から、この画面で日付などの情報を変更できるようになりました)。4つのスタイルはカスタマイズして保存しておけるので、特定のものを撮るときに自分好みのスタイルを呼び出すといったこともできます。フィルター効果とは概念が異なり、あくまで撮影時に適用されます。

なお、新機能の割にUI上では控えめな実装で、カメラの初回起動時にガイドが出るものの、有効・無効化は若干わかりにくく感じました。

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

カメラ撮影時、画面上部中央の矢印のような箇所をタップすると出てくるアイコン群から、ここをタップ

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

フォトスタイル適用時は、撮影画面右上にアイコンが表示される

シネマティックが止まらない

すっかりハマってしまったのがシネマティックという新しい動画撮影モード。簡単に言うと動画ポートレート(背景ボカシ)機能なのですが、映画でピントをどう駆使しているかを機械学習により表現に取り入れ、自動でピントが移動します。結果的に非常に「エモい」動画ができあがります。モード選択は普通にカメラモード切り替え一覧に出てきますので、すぐにわかると思います。

人物だけでなくモノでも機能する

人物だけでなくモノでも機能する

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

インカメラにも対応。手ブレ補正が強く働くのでジンバルを持っているかのよう。通行人のプライバシーに配慮した自撮りも動画も手軽につくれる

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集機能であとから変更可能

このシネマティックモードは、A15 Bionicでよりパワーアップしたニューラルエンジンならではの撮影機能。iPhone 13が普及したらSNSやYouTubeでよく見る表現手法になるのではないかと思うほどです。なお、シネマティックモードの撮影は現時点ではiPhone 13シリーズのみですが、AirDropによる転送でほかのiPhoneでも再生することは可能です。iOS 15にアップデートした端末上では、ピントやボカシの再調整が行なえることも確認しました。究極の手のひらスマホ、iPhone 13 mini実機先行レビュー

iPhone 13|13 miniは容量128GB〜で10万円を切る価格から購入できます。最大容量も512GBモデルまで用意され、ハイエンド志向の方でも重量・サイズを重視する人には魅力的な選択肢かと。とくにminiは、手のひらに収まるiOSデバイスとしては最も高機能が詰め込まれた作品と言えるでしょう。

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧くださいね。

Engadget日本版より転載)

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

カメラ機能が同等になった「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」実機先行レビュー

9月24日発売のiPhone 13 Pro|13 Pro Maxの実機を少し早く試す機会がありましたので、エンガジェット日本版よりレビューをお届けします。

iPhone 13 ProシリーズはiPhone 12 Pro同様、無印・miniよりもカメラ機能が上位仕様となっているほか、外装がよりゴージャスなステンレス製に、Maxは6.7インチの大画面となっているのが特徴です。

関連記事:iPhone 13シリーズの仕様比較表

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

重量はiPhone 13 Proが約203グラム(実測は205グラム)、iPhone 13 Pro Maxが約238グラム(実測は239グラム)と、どちらも前モデルより微増

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

こちらはゴールド。カラーバリエーションはパシフィックブルーがシエラブルーになった以外は従来通り。3眼カメラはiPhone 12と異なりProとPro Maxで同じ仕様となった

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

iPhone 12 Pro Max(右)よりもカメラが大きくなっている

これまでiPhone 12 Pro Maxのカメラは相当大きく感じていましたが、しばらくiPhone 13 Proを使ってから改めて見ると、小さく感じてしまうので慣れって不思議ですね。

ポイントはディスプレイと撮影機能

iPhone 13 Pro|iPhone 13 Pro Maxは、有機ELディスプレイも新しいものを採用しています。

関連記事: iPhone 13 Proの新OLEDディスプレイは体験レベルを引き上げる

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

iPhone 13シリーズ共通で、前モデル(右)よりTrueDepthカメラ(ノッチ)の面積が約20%小さくなっている。センサーだけでなくスピーカー位置も異なるため、前モデルの保護フィルムやガラスプロテクターは流用できない

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

画面輝度は、標準時で最大1000ニトに向上(HDR表示の最大値は1200ニト)。iPhone 13|13 miniも800ニトに向上しているがProはさらに明るく、炎天下でも白がクッキリと出て見やすい

iPhone 12 ProはiPhone 12 Pro Maxとカメラスペックが異なっていましたが、iPhone 13 Proは Maxとまったく同じ仕様になりました。iPhone 13|13 miniシリーズとのおもな違いは3眼カメラを備え、光学3倍ズームや2センチまで寄れるマクロ撮影に対応した点などです。

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

デジタルズームに頼らず中央のビル群をここまで拡大できる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

被写体に2センチまで寄れるマクロモード。近づいていくとモードが自動で切り替わる

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

抹茶の粉末に寄ってみたら、未知の惑星の大地のよう

マクロモードはOPPO Find X3 Proの顕微鏡モードほど理科の実験的ではありませんが、モード選択も不要で日常で気軽に使えるので、新しい発見のツールになりそうです。

光学ズーム、マクロ以外の撮影機能は(レンズサイズが違うので細かい差はあると思いますが)、基本的にはiPhone 13|13 miniと同じですので、iPhone 13|13 miniのレビューも是非ご覧ください。

関連記事: iPhone 13|13 mini 実機先行レビュー

動画撮影は、デュアル光学の手ブレ補正(望遠・広角)に対応。ストレージ容量は最大1TBのモデルがあるので、最高画質の動画をたくさん撮りたい人はProを選ぶといいと思います。

とくに新しいシネマティック撮影モードは本当に使っていて興奮する楽しさがありました(iPhone 13|13 miniでも使える機能です)。被写界深度を取り込み、映画のようなピントの変化を機械学習によりiPhoneの表現に取り入れたものです。

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

iPhone 13 Proでは光学ズームを利用したシネマティック撮影も可能

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

ピントやボカシの強度は写真アプリの編集から変更可

シネマティックで撮影した動画のSNSやYouTubeでの活用が進みそうな予感がしています。

最高峰のグラフィックス性能

iPhone 13シリーズは全モデルSoCに最新のA15 Bionicを搭載していますが、ProはGPUコア数が5コア(無印・miniは4コア)になっています。これはiPhoneシリーズだけでなく、全スマートフォン中で最高のグラフィックス性能となります。また、有機ELディスプレイの描画がより高速なProMotionに対応しているのもProのみの仕様です。

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

画面の描画速度を状況に応じ自動で調整

ハイエンドAndroidスマートフォンで120Hz対応ディスプレイ搭載をうたっているものがありますが、ProMotionも技術的には同じもので、Apple製品ではすでにiPad Proで採用されていました。10Hz〜120Hzの可変式となっているのが特徴で、体感速度が上がっただけでなく電力効率もよくなっており、バッテリー駆動時間の延長にも貢献しています。実際に使ったうえで120Hz出ている瞬間がわかるわけではないのですが、高速スクロールや激しい動きのアクションゲームなどでは差が出ている気がします。

私の周りにはカメラ機能が同等になったことで、今回はPro MaxではなくProを選んだという方が多いのですが、個人的にはバッテリーが最も長くもち、大画面のMaxでiPhone 13の新機能をマックスで楽しみたいと感じています。

新色シエラブルーのレビューも掲載していますので、気になる方はどうぞ。

iPhone 13シリーズの新色「スターライト」「シエラブルー」実物の印象はどう?

iPhone 13シリーズの動画レビューも是非ご覧ください。

Engadget日本版より転載)

iPhone 13 Proのカメラに「マクロ」「暗所での撮影」「映画製作向け機能」のアップデート

Apple(アップル)はコンシューマ向けデバイスの写真撮影機能を向上させるという伝統を、米国時間9月14日に発表したiPhone 13とiPhone 13 Proも受け継いでいる。iPhone 13とiPhone 13 Proは、日本では9月17日21時から予約開始、9月24日に発売開始となる。

2020年発売のiPhone 12の背面カメラにはレンズが2つ、iPhone 12 Proには3つあった。これについてはiPhone 13とiPhone 13 Proでも踏襲されている。iPhone 13には広角(f/1.6絞り値)と超広角(f/2.4絞り値)のレンズが搭載され、これはiPhone 12と同じだ。これに対し、iPhone 13 Proはまったく新しいカメラシステムになっている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 12 Proのメインのレンズの絞り値がf/1.6であったのに対し、iPhone 13 Proではf/1.5となり、明るさが足りない場所でのパフォーマンスが向上している。超広角レンズも同様で、iPhone 12 Proのf/2.4に対してiPhone 13 Proではf/1.8となった。このように絞り値が変更されたことで、バーやコンサート会場といった暗い場所でもこれまでより多くの光を取り込むことができ、画質の向上につながることが期待される。Appleは「超広角カメラは92%多くの光をとらえて」と表現しているが、これは実際にテストしたいところだ。

画像クレジット:Apple

最も注目されるのは、おそらく望遠レンズの向上だろう。絞り値こそiPhone 12 Proのf/2.4からf/2.8に変更されたが、iPhone 12 Proの望遠が52mm相当であったのに対しiPhone 13 Proでは77mm相当だ。このため、画質を犠牲にすることなく遠くのシーンにこれまで以上にズームできる。望遠レンズは、これまで対応していなかったナイトモードにも対応した。

iPhone 13 Proで利用できるマクロモードも発表された。超広角レンズとオートフォーカスシステムの連携で、2cmの距離まで寄れる。ここまで寄るのはプロ向けの、スマートフォンでないカメラでも難しい。ビデオや、さらにはスローモーションビデオもマクロ撮影ができるので、おもしろいオプションとなるだろう。

画像クレジット:Apple

フォトグラフスタイルとシネマティックモードも発表された。両方ともiPhone 13でもiPhone 13 Proでも利用できる。

フォトグラフスタイルは、写真がレンダリングされるとき必要なエリアだけをリアルタイムで編集する機能だ。4つのプリセットから1つを選んで構図を決め、シャッターボタンを押す前に仕上がりを確認できる。もちろんリアルタイムでフィルタをかけて撮る機能は以前からあるが、Appleによればフォトグラフスタイルはもっと先進的なテクノロジーで、機械学習を利用して被写体のスキントーンを損ねることなくインテリジェントに適用できるという。

画像クレジット:Apple

シネマティックモードにより、ビデオを撮影した後で背景のボケ効果を調整したりフォーカスを変えたりすることができる。この機能はどちらかというとプロの映画製作者向けのようだ。映画監督のKathryn Bigelow(キャスリン・ピグロー)氏と撮影監督のGreig Fraizer(グレイグ・フレイザー)氏が撮影しメイキングで語るビデオで、この機能が紹介された。キヤノンやニコンが心配するには及ばない。カメラであることの利点はこれからも常に存在するからだ。これに対して、こちらはスマートフォンのカメラだ。とはいえ、スマートフォンで撮影した映画がアカデミー賞で話題になったことがないわけではない。

iPhone 13の価格は税込9万8800円からで、エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとちゃんとしたレンズよりも高い。望遠レンズやマクロ撮影機能も備えたiPhone 13 Proは税込12万2800円からだ。

画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

【まとめ】アップルが発表した4つiPhone 13、2つのiPad、Apple Watch Series 7のポイントをチェック!

2021年もこの時期がきた。

9月になると、2つのことが起こる。Earth, Wind, &Fireを繰り返し聴くことと、Appleが新しいiPhone(4台)を発表することだ。

予定どおり、Appleは本日、バーチャルイベントを開催し、クパチーノのキャンパスからちょっとしたライブストリーミングを行った。1時間のストリーミングを全部見る時間がなかった人も、ハイライトだけを知りたい人も、いつものようにそのすべてをそれぞれポイントにまとめてご紹介しよう。

新しい2台のiPad

エントリーモデルのiPadとiPad miniの両方がアップデートされた。それぞれの新機能は次のとおりだ。

画像クレジット:Apple

新しいiPad

  • Appleが2019年に「iPhone 11」で初めて導入した「A13 Bionic」チップを搭載。同社によると、前世代と比べて全体的に20%高速化しているとのこと
  • フロントカメラは800万画素から1200万画素の超広角レンズにアップグレード
  • また、iPad Proにも搭載されたセンターフレーム機能により、部屋の中を移動するときに顔が中央に来るように映像を自動的にリフレーミングすることができる
  • 価格は329ドル(日本では税込3万9800円)から。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:アップルがエントリーモデルのiPadをアップデート、税込3万9800円から

画像クレジット:Apple

新しいiPad mini

  • スリムなベゼルと丸みを帯びたエッジでデザインを一新
  • ディスプレイは7.9インチから8.3インチへと大型化したが、本体サイズは変わらない
  • CPUは40%、GPUは80%高速化
  • USB-Cを採用
  • 5Gモデルも登場
  • 背面カメラには、大幅に改良された12MPカメラとTrue Toneフラッシュが搭載。また標準的なiPadと同様に、フロントカメラにも12MP超広角レンズとセンターフレームを採用
  • 第2世代のApple Pencilにも対応
  • 価格は499ドル(日本では税込5万9800円)。9月24日発売で、すでに予約可能

関連記事:iPad Miniが新デザイン、5G対応、8.3インチディスプレイ採用、過去最大の刷新

Apple Watch

画像クレジット:Apple

AppleはWatch紹介の最初に、iOS 8に搭載されるいくつかの新機能(自転車での転倒検知や、電気自転車での消費カロリー検知のアルゴリズム改善など)を紹介した後、新しいWatch Series 7を発表した。

Apple Watch Series 7

  • ベゼルを狭くしたことで20%の大きさのディスプレイを搭載
  • その大きなディスプレイを活かすために、UI全体でボタンが大きくなる
  • スワイプ式の予測キーボードを搭載し、外出先での文字入力が簡単に
  • Appleによれば、今回のモデルは、史上最強(最も割れにくい)のディスプレイを搭載しており、Apple Watchとして初めて防塵性能のIP6X認証を取得
  • また「最新の充電アーキテクチャ」と「新しいUSB-C充電器」で充電速度が33%向上
  • Series 7の価格は399ドル(日本での価格は未発表)で「2021年の秋の終わり」に出荷を開始する予定

関連記事:Apple Watch Series 7は20%も大きなディスプレイでもっと頑丈に

新しいiPhone

画像クレジット:Apple

iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Maxと、1台でも2台でもなく、4台の新しいiPhoneが登場した。より高速なチップ、より優れたカメラ、より優れたバッテリー駆動時間を搭載、実現している。

画像クレジット:Apple

iPhone 13とiPhone 13 mini

  • どちらもAppleの新しいA15 Bionicチップを搭載。6コアのCPU(2つの高性能コアと4つの高効率コア)と4コアのGPUを搭載し、Appleがデバイス上の機械学習に採用しているニューラルエンジンも大きく進化している
  • 「Ceramic Shield」は他のどのスマートフォンのガラスよりも頑丈だと、Appleはいう
  • IP68の防水性能
  • 28%明るくなったディスプレイ
  • iPhone 13は6.1インチ、iPhone 13 miniは5.4インチ
  • スクリーン上のスピーカーが後ろの人を見たときにカメラのフォーカスを自動的に移動させるなど、機械学習を利用したワイルドな新モード「シネマティック」。
  • 64GBモデルはついに引退。ベースモデルのストレージは128GB
  • Appleによると、iPhone 13 miniのバッテリー駆動時間は1時間半改善され、ほとんどのiPhone 13ユーザーは1回の充電で2時間半長く使えるようになるという
  • iPhone 13は799ドル(日本では税込9万8800円)から、iPhone 13 miniは699ドル(日本では税込8万6800円)から

関連記事:iPhone 13バッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 13 Pro and Pro Max

画像クレジット:Apple

  • 「Ceramic Shield」の採用に加え、A15にアップグレードし、5コアのGPUを搭載
  • ウワサどおり、リフレッシュレートを最大120Hzまで調整できるディスプレイを搭載。動きやスクロールが非常に滑らかになる
  • 背面には光学3倍ズームの望遠レンズ、超広角レンズ、広角レンズの3つのカメラを搭載。ナイトモードは、3つのカメラ(従来は対応していなかった望遠レンズを含む)に対応している
  • サイズは2種類。Proは6.1インチ、Pro Maxは6.7インチ
  • ストレージ容量が足りないという人のために、1TBモデルも登場
  • Proは999ドル(日本では税込12万2800円)から、Pro Maxは1099ドル(日本では税込13万4800円)から。9月17日に予約開始、9月24日出荷予定。

関連記事:iPhone 13 ProとPro Maxは120Hz画面、3倍光学ズームを加えた3眼カメラでより「Pro」に

その他の情報

  • iOS 15は9月20日に配信される
  • AppleのFitness+サービスが、オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、メキシコ、ロシアを含む15の新しい国で展開される。ワークアウトは英語で行われ、6カ国語で字幕が表示される。また、iMessageやFaceTimeから起動できるグループワークアウトも開始され、ハングアウトとワークアウトをマルチタスクで行うことができるようになる
  • AppleのMagSafeウォレットは、ウォレットが携帯電話から外れてしまった場合、「探す」アプリを通じて最後に確認した位置を表示できるようになる

関連記事
次期iOS 15のアップデートは9月21日から
アップルが瞑想やグループワークアウト機能を「Fitness+」サブスクに追加、15カ国で新たに展開
アップルの新MagSafeウォレットは紛失時に「探す」アプリと連動

画像クレジット:Apple

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

次期iOS 15のアップデートは9月21日から

米国時間9月14日の発表イベントの直後、Apple(アップル)はiOSの次期メジャーバージョンがまもなく登場することを明らかにした。iPhoneユーザーは日本時間9月21日にiOS 15にアップデートできるようになる。同社は2021年6月のWWDCでiOS 15を初めて紹介した

iOS 15の最大の変更点は新機能の「集中モード」だ。「おやすみモード」以外にもさまざまなモードを設定できる。アプリや、通知を許可する連絡先を選び、何に集中するかを設定する。例えば「作業」「睡眠」「ワークアウト」などのモードを自分で作成できる。

新しくなった「天気」や地図が更新された「マップ」、機能が充実した「FaceTime」など、全般にわたって新機能がたくさんある。「Safari」も外観が新しくなる。発表直後はやや物議を醸していたが、その後Appleはフィードバックに耳を傾けて調整した。

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アップルが物議を醸しているiOS 15のSafariの変更を最新ベータで微調整

iOS 15では写真に写っている文字が認識される。テキスト認識表示と呼ばれているこの機能により、写真の中のテキストを選択し、コピー&ペーストできる(訳注:テキスト認識表示は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応)。アクセシビリティの機能としても有効だろう。iOSはこの情報をSpotlightで利用する。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索し、関連する写真を探せる。これらの機能はデバイス上で処理される。

iPhone 6s以降、iPhone SEの第1世代と第2世代、iPod touch(第7世代)はiOS 15にアップデートできる。アップデートは無料だ。

iOS 15のベータ版が動作しているデバイスには、9月21日の正式リリースを前にRC版が公開されている。

現状のままiPhoneを使いたい場合は、iOS 15にアップデートしない選択肢もあるとAppleは公表している。当面はiOS 14向けのセキュリティアップデートが引き続き提供される。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

iPhone 13 ProとPro Maxは120Hz画面、3倍光学ズームを加えた3眼カメラでより「Pro」に

Apple(アップル)は米国時間9月14日に行われたバーチャル発表会で、新しい携帯電話のラインナップを発表した。「iPhone 13」と「iPhone 13 mini」に加えて、同社は通常のiPhone 13にはないプレミアムな機能を搭載したProモデルを2機種リリースする。

関連記事:iPhone 13バッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

もちろん、Proモデルのほうが価格も高い。参考までに、 iPhone 13 Miniは699ドル(日本では税込8万6800円)から、iPhone 13は799ドル(日本では税込9万8800円)からとなっている。Proモデルについては、iPhone 13 Proが999ドル(日本では税込12万2800円)から、iPhone 13 Pro Maxが1099ドル(日本では税込13万4800円)からという価格設定。iPhone 13 Proは6.1インチ、iPhone 13 Pro Maxは6.7インチのディスプレイを搭載している。

AppleのあるTim Cook(ティム・クック)CEOはこう述べた。「当社のProラインナップは、最高のiPhoneを求めるユーザーのために、当社の最も先進的なテクノロジーで限界に挑戦します」。

iPhone 13の代わりにiPhone 13 Proを購入することにした場合、得られるものは以下の通りだ。Proモデルでは、iPhoneのケースの周りに光沢のあるステンレススチールバンドが付くため、デザインが若干異なる。3つのカメラセンサーの周りにも、ステンレス製のリングがある。背面にはマットガラスを採用している。

iPhone 13 ProおよびPro Maxの背面には、2つではなく3つの異なるカメラセンサーが搭載されている。超広角カメラと広角カメラに加えて、3倍ズーム望遠カメラが搭載される。Proモデルと通常モデルでは、広角・超広角カメラも異なるようだ。

2020年は、iPhone 12 Pro Maxだけがセンサーシフト光学式手ブレ補正を搭載していた。今回は、iPhone 13の全ラインナップにセンサーシフト光学式手ぶれ補正が搭載されている。基本的に、通常のiPhone 13に、従来はProモデルに限定されていた先進的なカメラ機能の多くが搭載されることになる。

特に、ラックフォーカスによるシネマティックモードが新たに搭載される。被写体を追跡し、リアルタイムで焦点をその被写体にロックすることができる。シネマティックモードはDolby Vision HDRで撮影される。2021年後半には、iPhone 13 ProおよびPro MaxでProResビデオを撮影できるようになる。

iPhone 13と13 Pro Maxに搭載される機能はこちら。

  • 光学3倍ズームの77mm望遠カメラ
  • ƒ/1.8絞り値の超広角カメラで「低照度でのパフォーマンスが最大92%向上」(アップルによる)
  • ƒ/1.5絞り値の広角カメラでは「低照度でのパフォーマンスが最大2.2倍向上」(アップルによる)

今回初めて、3つのカメラすべてでナイトモードが使えるようになった。これにより、どのカメラが最適な結果をもたらすか覚えておく必要はなくなった。

画像クレジット:Apple

iPhone 13 ProおよびPro Maxには、P3色域を持つPro Motionディスプレイが搭載されている。iPadの上位モデルと同様、これらのiPhoneモデルにも可変リフレッシュレートが搭載されている。必要に応じ、iPhoneのディスプレイは最大120Hzまで対応する。映画を見ているときなどは、バッテリーを節約するためにより低いフレームレートを使うこともできる。

iPhone 13 Maxはラインナップの中で最大のサイズであることから、バッテリー駆動時間も長くなる。Appleは、iPhone 12 Pro Maxと比較して、iPhone 13 Pro Maxでは2.5時間長くバッテリーが持続すると約束している。

iPhone 13と13 Miniと同様に、ProモデルにもAppleの新チップ「A15 Bionic」が搭載されている。これは5mmのデザインで、150億個のトランジスタを搭載している、2つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した6コアCPUだ。どのモデルもほぼ同じ性能を発揮するが、Proモデルには新たに5コアのGPUが搭載されている。

米国では9月17日から予約開始され、9月24日に発売される(日本では9月17日21時から予約開始、9月24日に発売開始)。ストレージ容量は128GB、256GB、512GB、1TBの4種のモデルから選べる。

画像クレジット:Apple

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)